田村潔司がエグゼクティブプロデューサーを務めたGLEAT MMA Ver.0。後楽園ホールで旗揚げ大会が開催されました。「プロレスラーがMMA、キックボクシング、グラップリングに挑戦する大会」を掲げ、GLEAT所属選手がMMA、グラップリング、キックに挑戦しました。しかし結果は残酷。GLEAT勢は5戦全敗という厳しい結果に終わりました。
象徴的だったのがセミとメイン。セミでは50歳になる田中稔が初のMMAに挑戦。12年ぶりにMMAに臨む和田拓也(フリー)と対戦しました。試合は開始直後に田中のローをキャッチした和田が簡単にテイクダウンに成功。肘とパウンドを乱射し、徐々に動けなくなる田中を見てレフェリーが試合を止めました。
50歳にしてMMAにチャンレジする田中の姿勢には頭が下がりますが、さすがにそう簡単にはいかなかったか。言っても和田は元パンクラス王者ですからね。ワンチャンスを見逃さずに蹴りを掴んでテイクダウンするシーンは往年の面影を見た気がします。
そしてメインの井土徹也(GLEAT)×近藤有己(パンクラスイズム横浜)のMMAマッチ。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのBreaking Downのミドル級トーナメントで優勝した実績を持つ井土に元パンクラス王者の近藤というイリュージョンマッチ。勢いに任せて井土が近藤を飲み込むかと思いきや、近藤がいぶし銀の動きを見せてくれました。
試合開始直後から距離を取った近藤がインローをひたすら蓄積。時間を追う毎に井土の脚は真っ赤に変色。井土は時折パンチを打ち込むものの、近藤は冷静に捌いて逆にカウンターのパンチをヒット。熟練の試合運びで井土を完封しました。
派手さはないものの、47歳にして安定感のある試合を見せる近藤もまたアッパレ。逆に井土はBreaking Downを経験したプロレスラーとして、もっとイケイケのファイトを仕掛けてほしかったと思うのは私だけではないでしょう。
そんなこんなで幕を閉じたGLEAT MMA。客入りは苦戦したようですが、拍手を送りたいのはチケットの料金設定。特別リングサイドは5,500円の他、4,400円、3,300円、1,900円と既存の格闘技イベントにはない安価な料金になっています。
一番安いチケットが8,000円等だと、気軽に観戦とはいきませんが、5,000円以下、特に1,900円だったら友だちを誘いやすいし、子どもでも観戦しやすいですからね。だいぶ無理をしているのかもしれませんが、これこそが日本の格闘技に求められている重要な要素ではないかと。GLEATの挑戦、田村潔司のチャレンジにこれからも注目が集まります。