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【Grachan50】GrachanでプロMMAデビュー、原口伸─02─「レスリングと融合させる打撃を」

【写真】内輪ネタのようなものでうが、クレジットがMMAPLANETの試合写真は過去数年はシャッタースピードが320/秒か400/秒で撮影しています。この時は320/1ですが、見様見真似のパウンドで拳がこれだけブレる。それが原口伸の資質、ポテンシャルと捉えています (C)MMAPLANET

5日(日)、千葉県千葉市の幕張ベイパークアリーナで開催されるGRACHAN50で、大搗汰晟とのプロデビュー戦に挑む原口伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

中村倫也、河名マスト、修斗とNEXUSでMMAデビューした国内トップレスラー勢、第3の男、原口はMMAを始めてわずか2カ月、右も左も分からない状態で挑んだアマチュアマッチを経て何を掴んだのか。

レスリングとMMAの違い、そこから学ぶ打撃の重要性――プロデビュー戦で、原口はMMAファイターとして成長した姿と可能性を見せつける。

<原口伸インタビューPart.01はコチラから>


――今年2月に初めてMMAに触れてから、4月にEXIFIGHTのアマチュアマッチに出場するまでは、どのような練習を行っていたのでしょうか。

「基礎的な練習をしていましたが、まだ寝技も打撃も見様見真似でやっているような状態でしたね。とにかく先輩方の練習に、必死に食らいついていました」

――その状態で試合に出るのは、不安はなかったのですか。

「宮田先生から『出る?』と聞かれて、『出ます』と答えてしまった、みたいな感じです(苦笑)。試合も特に作戦はなく、僕にとっては出たとこ勝負でした。当時はパスガードもよく分かっていなかった状態で……」

――えっ……。

「テイクダウンしたあと、セコンドから『ニーオン!』という声が聞こえるんですけど、まだニーオン(ニーオンザベリー)の意味も分からないほど、無知でした」

――そこで、テイクダウンからスラムに行くのですね。

「スラムは3回ぐらいやりました。普段の練習でスラムをやることもないんですけど、無意識にやっていたんです。ポイントを取るためにはスラムで叩きつけておいたほうがいいかな、と考えたのかもしれないですね。自分にはできることが少なかったので」

――打撃については?

「その時点では自分が攻めるより、相手の打撃を見て守る、という練習が多かったんですね。試合でも相手のハイキックをガードしたら、そのまま相手がマットに背中を着けたので、寝技の展開に持ち込むことができました」

――とにかく何も分からない状態でのアマチュアMMAデビューだったのですね。

「この試合のおかげで、MMAについて考える時間が一気に増えました。今考えると、宮田先生も『まず試合をしてMMAを覚えろ』と考えていたのかもしれないです」

――では、アマチュアの試合を経て、どのようなことが分かりましたか。

「練習でも試合でも、ずっとレスリングのテイクダウンばかりでしたけど、MMAのテイクダウンって何か分かってきました。テイクダウンしたあと、ニーオンからパウンドを打って、相手が嫌がったらサブミッションというように、繋げていく。繋げることを考えてテイクダウンしないといけないんですよね」

――なるほどぉ。

「それまでは相手が立ち上がってきたところを、ひたすらもう一回抑え込もうと無理をしていたんですね。でも、相手が立ち上がったら無理をして抑え込もうとせず、打撃に移行する。それがMMAなんだと思って練習しています」

――すると、MMAとしての打撃の習得が必須になりますね。

「はい。……ずっとレスリングをやってきたから、試合でも倒して殴れば良いと思っていました。でも、武田(光司)さんとかトップの選手は、シンプルなレスリングでは通用しないんです」

――倒して殴ろうにもそもそも倒すことができない、と。

「そうなんです。打撃と繋ぎ合わせないと、テイクダウンできない。今はテイクダウンに繋げるための打撃も練習しています。自分の持ち味はレスリングですけど、そのレスリングと融合させることができる打撃を身につけたいです」

――なるほど。MMAの練習で、面食らうことも多いでしょうね。

「競技が違うので、『レスリングが強いからMMAも強い』とは思っていなかったです。でも勝手が違いすぎて、レスリングの練習よりキツイですね(苦笑)。打撃に関しては完全に初心者でしたから、技術を覚えるのが大変で、その分すぐに疲れてしまいますし」

――アマチュアデビューから5カ月、MMAファイターとして、どのような点が成長したと思いますか。

「自分の中では、全体的に底上げしている感じです。『ここが成長した!』ということではなく、MMAファイターとして必要な部分、全てですね」

――宮田和幸代表をはじめ、練習仲間からは「ここが伸びた」という声をもらうことはありますか。

「打撃を褒めてくださることは増えました。あとは、スクランブルですね。スクランブルはレスリングと動きが似ているところもあるので、伸びているんじゃないかと思います」

――9月5日、GRACHANでプロデビュー戦を迎えます。相手は総合格闘技宇留野道場の大搗汰晟選手です。

「ずっと柔道をやっていて、プロデビュー戦(今年7月、WARDOGでワタナベ関羽マサノリに判定勝ち)はしっかり漬け込んで勝利したと聞いています。レスリング力は僕のほうがあると思うので、レスリングでも勝負しますし、打撃でも勝負します」

――今、緊張していますか。

「あっ、すみません。インタビューって慣れなくて……」

――こちらの聞き方が悪かったですね(笑)。プロデビュー戦に向けて、緊張していますか。

「アハハ、そういうことですね(笑)。試合に向けて緊張しています。でも僕は、緊張感がないと自分の力を出せないタイプなんです。ずっとレスリングの試合をやってきたおかげか、そういう自分の付き合い方は分かっています」

――では最後に、プロデビュー戦への意気込みをお願いします。

「今回の試合は――いろいろと作戦もありますが、まず全力を出し切ることがテーマです。よろしくお願いします!」

■ GRACHAN 50対戦カード

<ライト級/5分2R>
藤村健悟(日本)
小川道的(日本)

<ライト級/5分3R>
原口伸(日本)
大搗汰晟(日本)

<バンタム級/5分2R>
松本尚大(日本)
上荷大夢(日本)

<ライトヘビー級/5分2R>
小沢祐介(日本)
高桑格(日本)

<バンタム級/5分2R>
GEN(日本)
松井斗輝(日本)

<ライト級/5分2R>
野村駿太(日本)
前田啓伍(日本)

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MMA NEXUS23 RIZIN Special ジェイク・ウィルキンス 中村倫也 河名マスト 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番─番外編─河名マストからの中村倫也、そして河名マスト

【写真】課題も、良さも見えたデビュー戦だった (C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

青木が選んだ2021年7月の一番、第三弾まで既に終了しているが──今回は青木から他に言及したい選手、試合があった。青木が選んだ2021年7月の一番─番外編─第一弾は7月25日に行われたNEXUS23からジェイク・ウィルキンス✖河名マスト戦について語らおう。


──青木選手が選ぶ7月の一番、3試合目が終わったのですが、今回は他にも青木選手が気になった試合があるということですが。

「ハイ、河名マストの試合なんです。でも負けてしまったからなぁ」

──勝敗に関係なく、気になったことを話していただくのが一番です。そもそも私が『河名マスト選手って、どういう感じですか?』と尋ねたところ、『MMAは弱い。グレコしかできない』と一刀両断され、記事化を控えたということがありました(笑)。

「アハハハハ。思ったことをスパッと言って、試合はその通りになりました」

──RIZINの柏木さんが視察に来られていて。国内髄一の北米MMAの語り部であると自分が思っている柏木さんと、『1999年代終わりごろのマット・リンドランドにそっくりですね』と話していたんですよ。

「あぁ、そうかぁ。マット・リンドランドもグレコでしたよね(※シドニー五輪グレコ76キロ級銀メダリスト(現在TOKYO2020に米国ナショナルチームのコーチとして来日中)」

──ハイ。マウントで片ヒザをついて座っていました。ただしリンドランドはMMAデビューしてから、メダリストになっていますね。

「まぁ河名の場合は練習をしていても胸を合わせて、ワキを差していく。やっぱりグレコなんです。だからMMAには合わない」

──ただし、その形に入れば圧倒的に強いかと思われるのですが。

「強いことは強いです。だから、どれだけMMAに馴染むか。グレコの特性が、足を触っちゃいけないモノだから、そこだけだと動きが限定されすぎますよね。フィニッシュする武器もないので」

──今回はウィルキンス選手が全く噛ませ犬でなかったです。マウントを取られても、ブリッジで返していって。打撃も組まれることを恐れず放っていっていました。それでも2Rは圧倒的に河名選手のラウンドでしたが。

「あの選手は元TRIBEで……いわばはぐれTRIBEなんです」

──おお、そうだったのですか。

「それでもカットで負けですからね。でも、マウントで返されるのは分かります。寝技は全然ですから。だからこそ八隅さんもNEXUSから始めさせたんだと思います」

──中村倫也選手と高校の同級生で、MMAデビューも奇しくも同じ日。その倫也選手にインタビューした時に河名選手が電話で『青木選手に叱られる』という話をしていたそうです(笑)。

「『どういうつもりで、ここにいるんだよ!!』ってね(笑)。要は差して終わる。組手で終わっちゃうんですよ。それってMMAの練習をしているのに、そんなことしてちゃあ始まらねぇだろうって。

それを言ってもすぐに変わるモノじゃない。本人の特性ですけど、じっくり吸収していくタイプなのか。現時点ではMMAに向いていない……あまり向かないのかとは思いました。

でも分からないですね……。グレコから来て、MMAで大成するのはフリーやフォークスタイルと比較して多くないかと思います。人数自体が多くないかもしれないですし」

──古くは永田克彦選手、今も倉本一真選手や太田忍選手がいます。河名選手にアドバイスを送るとすれば、どういう言葉になりますか。

「グレコって、いってみれば相撲です。クリンチとワキを差す、押し相撲です。みな苦労していると思いますが、MMAを知るには練習は当然として、たくさん試合を見ること。MMAをどんどん見て、自分がどういう間合いで、どういう風に長所を生かせるのかとか考えること。

ただ、誰かに教えてもらうというだけでは転向組は難しいです。自分で考えて、自分で変えていかないと。

僕からすると、フリースタイルから転向の中村倫也選手ですら、『こんなに向かない選手はいない』と思ったんです。そんなに甘くないって。

でもデビュー戦を見ると、中村倫也選手は凄く練習したんだと思いました。まだ相手も相手ですけど、MMAを戦うために努力をしている後が見えましたね。そういう意味では大澤茂樹って、天才だったんだと感じました。練習しなくても強かった」

──ただし大澤選手も残っていないですし、MMAで大成したとは言い難いです。

「雑にいえば、好きかどうか。中村選手は絶対的にMMAが好きでしょう。そういうことだと思います。

商売にならないと転向組はいなくなる。好きな人じゃないと残らない。河名はクソ真面目、月謝を払って練習しているし、次ですね。僕も『お前、ふざけんなよ』とか言っちゃうんですけど、そうは言っても局面はメッチャ強い。グレコの組みの局面は絶対に強いので、そこを生かしてやっていけば……今回の試合の負けなんて関係ない。諦めずに頑張れば、必ず強くなります」

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J-CAGE NEXUS23 Report ジェイク・ウィルキンス ブログ 河名マスト

【NEXUS23】課題と可能性を見せた河名マスト、MMAデビュー戦はウィルキンスにTKO負け

【写真】倒して立たれてを繰り返しても、離れなければ勝てる。そして離れても勝てるように、段階を踏んでいけば良い話 (C)MMAPLANET

25日(日)に東京都新宿区のGENスポーツパレスでNEXUS23が開催された。試合レポート第1弾はU23グレコ世界王者から注目のMMAデビューを迎えた河名マスト✖ジェイク・ウィルキンスの1戦の模様をお届けしたい。


<ライト級/5分2R+ExR>
河名マスト(日本)
Def.ER0分46秒 by TKO
ジェイク・ウィルキンス(日本)

サウスポーの河名のローにパンチを合わせるウィルキンスは、組まれてケージに押し込まれると逆に首に手を回して払い腰で投げる。下になった直後に上体をコントロールして上を取った河名は、がぶっていくがウィルキンスが立ち上がる。ケージに押し込まれた河名はヒザ蹴りを入れ、離れたウィルキンスがワンツーフックを振るっていく。

ローにダブルレッグを仕掛けた河名だったが、切られてワンツーを被弾する。下がった河名にフックを放つウィルキンス、ここで組まれてバックを許す。ウィルキンスが前転からスクランブルに持ち込み立ち上がると大量の鼻血を流している河名にドクターチェックが入り、試合が中断する。

再開後、ウィルキンスが左ハイを蹴り、続く右ハイに組んだ河名がバックに回る。離れるとウィルキンスが右ジャブを入れ、左フックをヒットさせる。

さらに左を被弾した河名はローに右を合わされるも、続く蹴りをキャッチしていく。ケージにウィルキンスを押し込み、左を当てた河名は逆にワンツーを打たれクリンチへ。ウィルキンスはスペースを作ってヒザ蹴りから、払い腰を再び狙うが潰されて下に。

抑えきれず、立ち上がった河名は蹴り上げを捌いてバック、両足をフックすると腰をずらしてきたウィルキンスからマウントを奪う。河名がエルボーを落としたところで時間となった。

2R、右ローから右ミドル、前に出て右を当てて組んだ河名がバックに回る。ヒザをつき、引き込んだウィルキンスに対し、即座にマウントを取った河名がパンチを連打する。

ケージキック&ブリッジから起き上ったウィルキンス。その背中に回った河名は亀になったウィルキンスが立ち上がると、腿にヒザを入れる。胸を合わせつつ、投げを狙うウィルキンスはすかされてサイドを取られる。

鉄槌を顔面に入れ、背中を向けたウィルキンスを後方から殴る河名。さらにサイドバックで左の連打を入れと、前転にも対応しサイドを取り直す。やがて河名は簡単に跨いでマウントに入り、パンチを連打する。枕で圧力を掛蹴る河名だったが、ウィルキンスがブリッジから一気にスタンドに戻る。

即座にバックを取り、前転でガードを取ろうしたウィルキンスをサイドで抑えた河名が腰にヒザを打ちつける。5分間、攻め続けた河名がラウンドを取り返し、延長Rに。

河名は右ローを蹴り、ウィルキンスが右ロングフック。と、サウスポーに構えたウィルキンスが左ハイを蹴る。顔にキックを受けながらテイクダウンを決めた河名が即マウントへ。ここもウィルキンスがブリッジからスクランブル、立ち上がる。ケージにウィルキンスを押し込んだ河名だったが、ハイで右目尻を大きくカットしており試合続行不可能に。

U23世界グレコ王者のMMA初陣は強さと脆さを見せ、ほろ苦いモノとなったが、修正点がハマればその強みを最大限に発揮できる可能性は十分に伺わせた。そして同じプロ初陣で好ファイトを見せたウィルキンスのこれからも期待したい。

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MMA NEXUS23 UFC YouTube   ジェイク・ウィルキンス 中村倫也 修斗 寿希也 河名マスト 滝田J太郎

【NEXUS23】ビッグマウスか、モノホンか?! MMA2戦目、寿希也「ポテンシャルが違うんで」

【写真】1996年7月8日生まれ、兵庫県竜野市出身。寿希也は東洋大姫路高校から金沢学院大学に進学し、自衛隊体育学校まで柔道を続けた(C)NEXUS

25日(日)、東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるNEXUS23で寿希也が、プロ2戦目で滝田J太郎と戦う。

MMAの練習を始めたのは、昨年の9月から。今年の4月のプロデビュー戦で一本勝ち──NEXUS山田俊平代表の一押しにインタビューを試みると、ビッグマウスと捉えられても仕方ない自信家がそこにいた。

これだけの言葉を口にするのであるから、相当の覚悟もできているだろう。寿希也がほら吹きとなるのか、有言実行の日本を代表するMMAファイターになっていくのか──要、注目だ。


――初めまして。MMAインタビューでは初インタビューとなります。今回、プロ2戦目になる寿希也選手を山田俊平ネクサス代表から要注目のファイターだということを伺いました。ただし私自身が寿希也選手について、ほとんど知識がありません。もともと柔道をされていたと伺っています。

「ハイ、柔道は小学校1年生の時から、24歳になるまでずっとしていました。中学、高校と目立った成績を残していないですけど、大学の時に学生選手権で5位になりました。あとは国際大会でも2番になっています」

──その頃にMMAへの興味は?

「小学校の頃からPRIDEとかTVで視ていました。柔道を終えたら、MMAをやろうかという気持ちはありましたけど、趣味程度の気持ちでした。やはり柔道で五輪に出たいと思っていたので。

それで自衛隊体育学校で、実業団柔道を続けながら五輪を目指していました。でも肩をケガして1年ほどブランクができて……去年、五輪メンバーに選ばれなかった時に柔道は諦めました。もう次を目指すとなると、30歳近くになるわけですし、そんなに柔道を続けて良いモノなのかと考えて。

でも五輪っていう夢をずっと持っていたし、スポーツをずっとやってきたので、MMAで世界に通用するようになりたいって思ったんです。それなら中途半端にやるんじゃなくて、本腰入れて一からMMAをやろうと思い、去年の7月31日に退職し、格闘技の世界に飛び込むことにしました」

──特別職の国家公務員を辞して、MMAの世界に。周囲の反応はいかがでしたか。

「特に反対意見はなかったです。『寿希也がやりたいようにやれば良い』、『寿希也なら成功するだろう』みたいな感じでした」

──なるほどぉ。BLUE DOG GYMで練習するようになったのは?

「知り合いがBLUE DOG GYMで練習していて、見学をしにいって決めました」

──他のジムを見て回るとかはなくて?

「なかったですね。僕のなかでは、どこにいても強くなれるっていう自信があったんで。実際に練習してみると、打撃とか凄く難しかったです。でもBLUE DOG GYMの先輩方は、凄く優しくてしっかりと教えてくれます」

──そこに柔道で培った組技、フィジカルが加われば問題ないと?

「う~ん、でも柔道とMMAは全く別物だと思っています。そんな甘い世界じゃないと思っているので、それ相応の努力はしてきました」

──ではMMAに専念すると決めた時、目標はどこに掲げていたのでしょうか。

「UFCファイターです!! 世界で一番強い男になりたいので。単純に」

──そして4月のプロデビュー戦では、アメリカーナで一本勝ちでした。実際に戦ってみて、何か感じることはありましたか。

「特に……デビュー戦やし、こんなもんやなって。回りは『凄いな』、『デビュー戦であんなに緊張もせず戦える人間はなかなかいないよ』と言うてくれましたけど」

──初めての打撃有りで緊張しなかったですか。

「全くないですね。僕のなかで通過点なだけですから、怖さも全くなかったです。練習中でも打撃に関して、怖さを感じることはほとんどないです。僕、痛いのは当たり前やろうって思ってやっていますから。自分で打撃を使う方も問題ないし、むしろ打撃が好きですね」

──UFCを目指すうえで。キャリアの積み方に関しては、どのように考えていますか。

「会長に全て任せています。どこに出るかも、僕が出たい場所とかも特にないので、会長に言われたところで戦い、試合をするだけです」

──ではUFCにステップアップするために、戦っておきたい同階級の選手はいますか。

「今は目の前の相手、次の相手に集中しています。別に先のことは結果がついてくれば、自ずと決まって来るので。そんなに先にことを考えることはないです」

──では、日曜日の相手はベテランの滝田J太郎選手です。どのような印象を持っていますか。

「シンプルにベテランやなって思うぐらいですね。ベテランなだけやな……ぐらいですね」

──怖いと思うところは?

「怖さなんて全くないです。むしろ、相手の方が怖いんじゃないですか」

──根性で組みついて、ベテランの意地を見せようという意気込みでいるかと思いますが……。

「いやぁ、もうポテンシャルが違うんで。ベテランはベテランなりの戦い方があるやろうし。でも、若手は若手の戦い方があるので。そこが嚙み合えばね、全然勝てるなって思いますけど」

──どのような試合がしたいと思っていますか。

「自分の戦い方ができれば良いですね」

──寿希也選手にとって、自分の戦い方とは?

「前に出てプレッシャーを掛けて、相手のミスを誘って決めることができれば良いかなって。この前はテイクダウンから寝技やったので、今回は立ち技で勝ちたいですね」

──この大会はU23のグレコで世界チャンピオンだった河名マスト選手、そして同じ日に開催される修斗では同じくU23のフリーで世界王者になった中村倫也選手がデビューを果たします。他競技で実績を残した同世代の選手もUFCを目指しています。ライバル心を持つことはありますか。

「全くないです。眼中にないです。知名度があるから人気なんやろうって感じです」

──UFCにステップアップするためにも、知名度を上げる必要もあるかと思います。

「う~ん、僕のなかでは名前があるから注目されるんかといったら、そうじゃないと思っています。強いヤツ強いは、絶対に注目されるんで。マネージメントがどうであろうが。

強さでなくて、マネージメントで上がっている選手がいるじゃないですか。ただ金儲けのためにやって、本当に強いわけじゃない。でも本当に強い選手は、堀次恭司選手のように回りが放っておかない選手になります。そういう選手になりたいです」

──自信が言葉に表れていますが、その自信はどこからやってくるものなのでしょうか。

「練習量です、圧倒的に。毎日、課題を持って考えながらコツコツやっています」

──では最後に寿希也とはどのようなファイターなのか、MMAPLANETの読者にアピールお願いします。

「見ていて絶対に飽きない選手です。見ていて面白い選手です。圧倒的に強いんで、今後楽しみにしてもらえればと思います」

■視聴方法(予定)
7月25日(日)
午後4時00分~YouTube Fighting Nexus Official Channel

■ NEXUS23対戦カード

<NEXUSバンタム級王座決定戦/5分2R+ExR>
福島啓太(日本)
河村泰博(日本)

<NEXUSフライ級王者決定戦/5分2R+ExR>
橋本薫汰(日本)
タイガー石井(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
亀松寛都(日本)
田口滉人(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
大越崇弘(日本)
須藤拓真(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
滝田J太郎(日本)
寿希也(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
唐沢タツヤ(日本)
森山壱政(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
石田陸也(日本)
健吾(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
ゴリる(日本)
隅田一樹(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
河名マスト(日本)
ジェイク・ウィルキンス(米国)

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MMA RIZIN Shooto2021#05 UFC チャンネル ボクシング 中村倫也 松嶋こよみ 河名マスト 論田愛空隆

【Shooto2021#05】論田愛空隆戦で、プロMMA初陣。中村倫也─01─「丁寧に創ることを心掛けてきた」

【写真】五輪スポーツに生きてきたアスリートの第二の人生ではなく、MMAファイター人生のためにレスリングが存在したことが強く感じられる中村だ (C)MMAPLANET

25日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#5で中村倫也が論田愛空隆と──改めてMMAデビュー戦を行う。

ピュアブレッド大宮を庭に、MMAファイターになるという天命を受けて成長した中村は、その過程においてレスリングでU23世界王者など輝かしい実績を残してきた。

MMA転向後LDH martial arts所属となり、完璧を求められた『格闘DREAMERS』をミッション・コンプリートし、UFCへの最短距離を往くためにキャリアの一歩を踏み出す。論田戦を6日後に控えた中村をインタビューすると、すでに場慣れした一流アスリート然とした受け答え以上に、いかにMMAに造詣が深く、MMA LOVERであることがヒシヒシと伝わってきた。


──ひとつ前の取材で一緒していた松嶋こよみ選手に、倫也選手にインタビューすると伝えると「宜しく終え伝え下さい。メチャクチャ強いです。たまにではなく、極められます」と言っていました。

「いえいえ。こよみさんこそ……こよみさんのことはレスリング時代から知っていて、団体戦では敵チームだったこともありましたし。レスリング時代から身体能力が凄かったです。

そのレスリング時代に(大宮司)岳さんにムーブメントを教わっていて。岳さんの減量セミナーを受けさせていただきときに、MMAにも生きそうだと思って指導を受けるようになったんです。そのつながりで、今、こよみさんと打撃とムーブメントを一緒にさせてもらっています。

こよみさんって、他の選手の動きを観察する力も凄いんですよ。僕のパンチも踏み込みと、方向がズレているとか指摘してもらっています」

──そんな関係だったのですね。まぁ大宮司トレーナーのことは個人的には触れたくないのですが(笑)、自分のなかで体のトレーナーの方であれだけMMAをチェックし、選手の名前もスラスラ出てくる人はあまり知らないです。ムーブメントのためのムーブメントでなく、MMAを凄く研究したうえでのムーブメントで、素晴らしいですね。

「MMAのことが好きですよね。でも、『触れたくない』というところはしっかりと書いてください(笑)」

──アハハハハ。それにしても、プロデビュー戦まで1週間を切ったというのに、凄くリラックスされていますね。

「わくわくが緊張を上回っている感じです。もちろん、不安がないといえば嘘になりますけど、僕だけのデビュー戦でなくLDH martial artsのデビュー戦だと思っているので。ちょっと大暴れしたいなって気持ちです」

──4月の『格闘DREAMERS』のオーディション最終選考も、アママッチとはいえルールはほぼ同じで、相手もプロシューターでした。あの時は成し遂げないといけないハードルがある状況でのファイトでしたが、そこと比較すると何かメンタル面で違いはありますか。

「あの時と同じかなと思います。ただ、確実に打撃をもらわないという自信はなく、そこに対する不安はあります。でも、試合が始まるとその部分は捨てて戦うだけです。なので練習では丁寧に丁寧に創っていて、試合では大胆に行こうと思っています」

──では最初にデビュー戦の相手、論田愛空隆選手の名前を聞いた時、どのような気持ちになりましたか。

「えぇと……『誰だっけ? ん?』みたいな感じでした。映像をチェックしてからは、やりたいことが明確なので、試合としては組み立てやすいと思いました。ただ実際に組んでみて、力がどの程度あるのか──ですね。そこは触ってみないと分からないので、実際に試合になるとプランが変わることもあるかと思います」

──気を付けるべき点は?

「奥手なので、そこですね。奥手を当てたい戦い方です。4月の試合で僕自身、様子を見てボクシングでいけるならやろうと思い、そこがハマりました。今回も同じです。スピード感、反応を見て……そこに差があると感じたら、パンチでも戦います」

──なるほど。倫也選手の打撃をボクシングとして切り取ると、課題はたくさんあるかと思います。ただ根本的なアスリートとしての土台の部分で、違いを感じればボクシング勝負ができたということなのですね。

「そうですね。色々な仕掛けは見えたのですが、長さがなかったです。なら踏み込めば当たると思いました」

──レスリングで培った瞬発力と爆発力があれば、打撃戦も可能になると。

「相手次第ですけどね。レスリングでやってきた動き、散らし方なんかもMMAで打撃をやるうえで生きています。ただし、やはりMMAなので──最初はスタミナとフィジカルで誤魔化していた部分がありました。レスリングって、正面のスクエアを崩さないことが基本中の基本じゃないですか?」

──相手の方に胸を開いているのは、明かに打撃有りの競技とは違ってきます。

「そうなんです。だからパンチを打つときに、面で打つことが多くて。前足を踏み込んで廻旋する動きが全然できなかったです。身体操作は色々とできるつもりでいたんですけど、これは違うと痛感しました。

そこは(太田)忍さん(※リオ五輪グレコ59級銀メダリスト。RIZINでMMAデビュー)とかも感じているかと思います」

──グレコのみだとMMAは、フリーを知っているレスラーと比較するとアジャストが難しい面もあるかと。そういえば倫也選手と同日にNEXUSで河名マスト選手がMMAデビュー戦を迎えます。河名選手もグレコでした。

「奇遇ですよね(笑)。大学の同期が、団体は違うけど同じ日にデビューって。マストとは今も連絡を取り合っています。マストは物静かな人間なんですけど、練習中にこういうことを指摘されたとか色々と考えてMMAに向き合っているようです」

──ところでLDH martial arts所属の倫也選手ですが、同門の宇佐美パトリック正選手、そしてEXFIGHTで練習している元DREAMERSとは現状での実力差は大きいです。試合に向けて、どのような練習をしてきたのでしょうか。

「EXFIGHTで指導している石田(光洋)さんや門脇(英基)さんは凄くグラップリングが強くて、2人に仕掛けられたことを考えて対処するようにしています。同じ仕掛けを喰わないように考えて、丁寧に創ることを心掛けてきました。石田選手は同じレスリング出身でMMAをやってきた方なので、参考になることも多いですし。

門脇さんはグラップリングでの知識が半端なくて、もう仙人のようです(笑)。そうやって創っていったモノを出稽古先の練習で試して、またフィードバックを得て持ちかえるということを続けてきました」

──出稽古はどちらで?

「メインはパンクラスイズム横浜で打撃のムーブメント、打撃とMMAのスパーリングをやってきました。あとはロータス世田谷も週一でグラップリングですね」

──手応えの方はいかがですか。

「やはり打ち込みを丁寧にやっていることで、精度が上がってきているという感覚はあります。レスリングのスクランブルだけでやってきていたことが、打ち込みをやってきたことで、相手の仕掛けとかも察知できるようになりつつあります」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
7月25日(日)
午後5時~ ABEMA格闘チャンネル

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Interview J-CAGE NEXUS23 ジェイク・ウィリアムス ブログ 八隅孝平 河名マスト

【NEXUS23】河名マストのMMA初陣は『なぜ、ネクサスなのか?』を八隅孝平に訊いた

【写真】今やMMAファイターのプロ練だけでなく、グラップラー勢の選手練、そしてプロMMAファイターのプライベートも受け持つ多忙な八隅さん(C)MMAPLANET

25日(日)、東京新宿区のGENスポーツパレスで開催されるネクサス23でグレコU23世界王者だった河名マストが、プロデビュー戦でジェイク・ウィリアムスと戦う。

五輪スポーツの実績を考えると、RIZINのような大舞台で戦うことも可能だったろう。と同時にレスリングとMMAは別モノと考えるなら、アマ修斗から一歩を踏み出す選択もありうる。

なぜNEXUSでプロ初戦を河名は戦うのか。彼を指導するロータス世田谷の八隅孝平代表に真意を尋ねた。

<河名マスト・インタビューPart.01はコチラから>


「北岡(悟)とも話し合って、ネクサスさんでプロデビューすることに決めました。理由は最初からパウンド有りのプロルールで経験を積んでいってほしいからです。まだデビュー戦を行っていないので何とも言えませんが、プロルールの試合で実力を出せると考えてのデビューです。

そしてプロルールで下積みができるのが、ネクサスさんだと思いました。それでも今回のプロデビュー戦を戦うにあたって、一番強い相手を選びました。ジェイク・ウィリアムス選手は実績も申し分ないと思っています」

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【NEXUS23】MMA初陣。河名マスト─02─「UFC、海外で戦いたい。五輪を目指していたように」

【写真】グレコローマンレスリングの経験は十分過ぎるほど十分。MMAに生かせる部分も十分にある。と同時に河名はレスリングとグラップリングは別モノと考えているように、グレコの実績がMMAの実績になるほど簡単には捉えていない(C)MASUTO NAKAMURA

25日(日)、東京新宿区のGENスポーツパレスで開催されるネクサス23で、プロデビュー戦を迎える河名マストのインタビュー後編。

2020年の東京オリンピック出場を目指していたが、その夢は叶わず。それでもレスリングを続ける意思を持っていた河名だが、コロナ禍でレスリング界が動きを止めた。その時、MMAジムを借りて練習を再開──ふとしたきっかけで、ミット打ちを行い、彼の人生が変わった。

河名にMMA転向に至った経緯と、プロデビュー戦への意気込みを訊いた。

<河名マスト・インタビューPart.01はコチラから>


――レスリングのグレコ59kgキロ級で2020年のオリンピックを目指していたとのことですが、オリンピックの予選は前年に行われます。その結果は……。

「2019年末の全日本選手権で負けて、東京オリンピックの出場権を得ることはできませんでした」

――では、それがMMAに転向するキッカケとなったのでしょうか。

「いえ、そこからもレスリングを続けたいとは思っていました。2024年のパリ五輪を目指すまでのモチベーションはなかったんですけど、やはりレスリングはやりたいと思って」

――それがなぜMMAを始めることに?

「コロナ禍でレスリングの練習する場所も、試合する大会もなくなってしまったんです」

――……。

「職場はもちろん、大学(専修大学)でも練習できない時期がありました。それでもレスリングをやりたいと思っていた時に、大学で同期だった中村倫也が本格的にMMAを始めると知って。それで聞いたところ、MMAのジムならレスリングの練習のために、マットを貸してくれるということで。最初は長南亮さんのTRIBE TOKYO M.M.Aのマットを借りて、練習させていただいていました」

――それはレスリングの練習ですよね。MMAではなく。

「レスリングです。MMAといっても、年末の大会をテレビで見るぐらいで、そこまでガチガチのファンではありませんでした。だから、MMAをやろうとは思っていなかったです」

――しかし、MMAを始めることになったのは……。

「一度ミットを持っていただいて、打撃をやってみたんです。そうしたら、ミットを打つのが気持ち良くて(笑)。このままレスリングの試合に出る機会がないのであれば、MMAもやってみたいと思いました」

――ただ、河名選手は当時、クリナップのレスリング部に所属していました。レスリングを辞めるということは、クリナップも退社しなければいけなくなるのですか。

「そうです。クリナップの社員としてレスリングをやっていて、試合に出て勝つことで給料を頂いていましたので」

――ということは、MMAを始めるため会社を退社することに、収入の面などで不安はなかったのでしょうか。

「僕自身は、そんなに不安はなかったです。弟(河名真偉斗、2020年全日本選抜選手権 男子グレコローマン60kg級3位)には、『バカじゃん』と言われました(笑)。といっても、反対されたわけではなくて。親も同じでした。母親に電話で伝えたら、『好きにすればいい』という感じで。父親にも母から伝わって、父からも特に何も言われなかったですね」

――そして……MMAに進むことになった、と。

「MMAをやろうと決めたのが、去年の夏ぐらいですね。そこで中村倫也とか、TRIBEでは佐藤天さんに相談していたんです。佐藤さんは専修大学の柔道部で、部活は違いましたが大学の先輩でしたから、いろいろ相談に乗っていただきました。それで、同じレスリング出身の八隅考平さんのジム『ロータス世田谷』で練習してみたらどうか、と」

――そのような経緯があったのですか。

「もともと松嶋こよみ選手が専大レスリング部で練習していたことがあって、その時に聞いたことがあったんです。『ロータスの月曜日のプロ練はスゴいですよ』って」

――松嶋選手はMMAPLANETのインタビューでも2019年6月のクォン・ウォンイル戦の前に、2カ月ほど専大レスリング部で練習していたと言われていましたね。

「そうなんです。当時は松嶋選手が言っていた意味が分からなくて。それで、練習させていただきたいと八隅さんに電話したら、『では月曜日に来てください』と」

――いきなり月曜日プロ練に(笑)。

「そう聞いて『あれ、松嶋選手が言っていたのが月曜日だよなぁ……』と思い出しました。実際に行ってみると、北岡悟さんや青木真也さんといった方々がいて」

――練習に参加して、いかがでしたか。

「5分で何本取られたか分からないぐらい、メチャクチャ取られました(笑)」

――意外と、明るく振り返りますね。

「やられて当然だと思いますよ。もともと僕の中でも、レスリングとグラップリングは全く別モノ、と思っていましたから。レスリングは『倒されちゃダメ』という競技なので、どうしても重心が低くなってしまいます。グラップリングとは、そこから違っていて」

――最初からその意識を持っていれば、受け入れ方も違うのでしょうね。

「それほど自信もなかったですし。やられてショックは受けましたけど、『これは無理だ……』といった悲壮感はなかったです。その時点で、もうMMAをやるという気持ちも固まっていたので。今年の3月までクリナップとの契約があったので、契約期間が終わって4月から正式にロータス世田谷の所属になりました」

――そして7月25日、ネクサスのジェイク・ウィリアムス戦でプロデビューすることとなりました。

「ジェイク選手は以前に練習したことがあるんですけど、組み力やパワーで劣っているとは思いませんでした。でも、その時すでにMMAを経験していて、MMAのテクニックでは相手のほうが上でしたね」

――ジェイク選手は、2019年の全日本アマチュア修斗選手権ライト級で優勝していますから、その時点でMMA経験の差はあったでしょう。

「そこから自分も打撃や、パウンドの打ち方も練習してきました。もともとレスリングとグラップリングは別モノだという考えが強かったんですけど、今は自分のやっていたレスリングの動きを、MMAに生かせるようになってきたと感じています」

――MMAを戦ううえで、どこに目標を置いていますか。

「やるからにはUFCをはじめ、海外で戦いたいと思っています。レスリングで、オリンピックを目指して戦っていたように」

――河名選手が目指していた東京オリンピックはコロナ禍で延期となり、河名選手のMMAデビューと同じ時期に開催されることになりました。

「……そうですね。レスリングで一緒に練習していた仲間が、東京オリンピックに内定しました。彼らが世界のトップ選手と戦おうと練習している姿を見ています。それを見て自分も新しいスタートを切って、その目標に向かって頑張らないといけない、という気持ちになりました」

――そのMMAデビュー戦では、どんな試合をしたいと思いますか。

「デビュー戦なので、派手な試合をしたいとも言えないし、そんな試合ができるとも考えていません。この期間で練習してきたことを、試合で出す。当たり前のことですが、それが一番ですね。あとはケージに立つと、どんな景色が見えるのか楽しみです」

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MMA News NEXUS23 ジェイク・ウィルキンス 中村倫也 修斗 河名マスト

【NEXUS23】25日、MMA初陣世界級レスラーは not only 中村倫也 but also 河名マスト!! 初インタビュー!!!

【写真】マスト(真寿斗)という名はヨット好きのお父さんがつけたという話も…… (C)MASUTO NAKAMURA

25日(日)、東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるNEXUS23で、2017年U-23世界選手権グレコローマン59キロ級優勝の河名マストが、プロデビュー戦を迎える。

河名マストは幼少期からレスリングを始め、大学ではABEMA『格闘DREAMERS』を経て、同じく25日に修斗でプロデビューする中村倫也と同期だった。中村同様にジュニア五輪、世界ジュニア、専修大学時代に全日本学生選手権、全日本大学グレコローマン選手権を制し、2017年に前述したように中村がフリー61キロを制したU23世界大会を制するなど華々しい実績を誇る。

今回ネクサスで、2019年の全日本アマチュア修斗ライト級優勝のジェイク・ウィルキンスを相手に、いきなりプロデビュー戦を行う河名マストとは、どのようなファイターなのか。インタビュー前編では、そのレスリング時代について訊いた。


――ネクサスでジェイク・ウィリアムス選手とのプロデビュー戦を控える河名マスト選手です。河名選手は、もともとレスリングをされていたのですよね。

「レスリングは――インターネットでは『4歳の時に始めた』とあるのですが――正確には6~7歳ですね。小学校に入る時に、地元のキッズレスリングのクラブに入りました」

――キッズレスリングを始めるキッカケは何だったのでしょうか。

「父親が、子供が生まれたらレスリングをやらせたかったそうなんです」

――お父さんもレスリングをされていたのですか。

「いえ、両親ともに野球とソフトボール経験者でした(笑)。子供の頃に基礎体力やバランス、体の柔軟性をつけさせるために……とレスリングを選んだようです」

――では、当時からレスリングで世界を目指すといったような考えではなかった、と。

「はい。別にレスリングで大成してほしいとか、そういう考えはなかったみたいです」

――河名選手はご兄弟もレスリングをやっているのですよね。

「僕は4人兄弟の2番目で、兄も僕と同じ頃に、レスリングクラブに入っています。あとは弟も妹も全員レスリングをやっていました」

――完全にレスリング一家ではないですか。

「小学校の時、全国大会で優勝したことがあるのですが、子供が勝てるようになってくると、親も気合いが入るんでしょうね(笑)」

――確かに、親御さんの気持ちも分かります。しかし、中学では陸上部に入られたとのことですが……。

「中学校にレスリング部がなかったからです。レスリングって中体連(全国中学生体育連盟)に加盟していないから部活がなくて、みんな小学生の頃と同じレスリングクラブで続けることが多いんですよ」

――河名選手は、その時レスリングから離れたのですか。

「いえ、僕はクラブでレスリングを続けながら、中学校ではまず野球部に入りました」

――最初は野球部だったのですね。

「ただ、中学校に入った頃は体が小さかったから、そんなに野球も上手くならなかったんです。先に兄が陸上部に入っていたので、僕も中学1年生で野球をやめて、陸上部に入りました」

――陸上部ではどの種目をやっていたのでしょうか。

「長距離です。部活の先生が長距離の指導者で、短距離はやっていないぐらい、長距離に特化した陸上部でした」

――陸上部時代の実績を教えてください。

「3000メートルで県大会の決勝に進みました。あと、いつも練習している会場で年に1回、競歩の大会が行われていたので、1回だけ出たことがあります」

――さらに競歩ですか。その大会の結果は?

「その時に出した記録が、当時の全国ベスト8でした」

――すごいですね! レスリング、長距離、競歩と何でもこなせてしまうとは……。

「いえいえ、そんなことはないです(苦笑)」

――それで野球は上手くならなかったということは、体格もあって階級制の競技が向いていたのかもしれないですね。

「親もそう言っていました。もともと体が小さいけど、サイズが同じならケガもしにくいのでレスリングを始めさせたんだ、と。それで高校に入ってから身長も伸びました」

――高校ではレスリング部に入っていますよね。そのまま陸上を続けようとは思わなかったのですか。

「兄が陸上の強豪校に進学していて、僕も陸上を続けるか、レスリング部のある高校に行くか迷いました。ちょうどそんな折、高校1年の時のインターハイが、沖縄の石垣島で開催されることになっていたんです」

――えっ、まさか……。

「陸上の個人戦でインターハイに出るのは難しい。でもレスリングは、強い高校なら団体戦でインターハイに出られる可能性があるじゃないですか」

――……はい。

「石垣島に行ってみたくて、レスリングを選びました(笑)」

――ハハハ! 石垣島ありきだったのですね(笑)。

「おかげで、その年はレスリング部が全国大会に出場し、石垣島に行きました。大会は1回戦で負けましたが、そのぶん石垣島を堪能することができています(笑)」

――アハハハハ。動機はどうであれ、それでレスリングを続けることになったのも、何かの縁かもしれません。

「そう思います。そこから大学でもレスリングをやりたいと考えるようになったので。レスリングで専修大学に進み、そこでは中村倫也と同期でした」

――ABEMA『格闘DREAMES』を経て修斗でプロデビューする、LDH所属の中村倫也選手ですか。

「はい。中村倫也とはキッズレスリングでも試合をしたことがあります(本人の記憶では2戦2敗とのこと)」

――大学では、中村選手はフリースタイルに。そして河名選手はグレコローマンを選び、全日本大学グレコローマン選手権で優勝しています。

「実は最初のレスリングの先生がグレコ出身で、小学校の頃からグレコの技術も教えてもらっていました」

――日本だと、そういったケースは珍しいのではないでしょうか。

「ヨーロッパではグレコのほうが盛んですけど、日本ではインターハイがフリースタイルだけで、国体のグレコで勝ったら大学でもグレコをやるか……という選手が多いんです。僕も本格的にグレコをやるようになったのは高2からでしたが、昔からグレコの技術を学んでいたことは大きかったです」

――実績としては、オリンピック出場も視野には入ってくるかと思います。

「高校の時に世界ジュニアで3位になり、大学生の時にリオ予選で倉本一真選手に勝ってから、オリンピックに出たいと思うようになりました」

――現在、MMAをやっている倉本一真選手ですか。

「はい、2015年の全日本選手権で倉本選手に勝って3位になりました」

――それまでオリンピック出場は視野になかった?

「そうなんです。大学3年生までは、ただ漠然と『強くなりたい』と思ってレスリングをやっていました(苦笑)」

――大学3年からオリンピックを目指すというのは、レスリング界では遅いほうなのでしょうか。

「もちろん、もっと若い時から目指していったほうが良いとは思います。若いうちに経験を積んでいれば、その勢いでオリンピックに行ける可能性も高まりますし」

――結果、大学卒業も社会人としてレスリングを続け、2017年にはU23世界選手権のグレコローマン59キロ級で優勝しています。オリンピック出場も近づいてきますよね。

「当時のグレコ59キロ級は、国内で勝てば世界でも勝てる、という階級でした。その中で僕は、文田健一郎選手(東京五輪代表)と太田忍選手(リオ五輪銀メダリスト)に続いて3番手につけて‥‥…2020年、東京オリンピックを目指していました」

<この項、続く>

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