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【DEEP112】古林礼名と対戦=しなしさとこ─02─「これからは最年長一本勝ち記録を目指したいです」

【写真】人生、常にピース──サインとはいかないから、良いのです(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP112で古林礼名と対戦する、しなしさとこインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

プロデビューから20年――変化した面もあれば、変わらないところもある。出産と育児でブランクをつくりながらも、しなしは戦い続けてきた。勝ち続けることに対する執着は無くなった、といっても負けることは絶対に嫌な46歳の現役ファイター。選手としてカドは取れていない。そんな彼女の新しい挑戦が、今回の古林戦から始まる。

<しなしさとこインタビューPart.01はコチラから>


――将来、息子さんが『MMAをやりたい』と言ったら、どうしますか。

「いやぁ、どうなんでしょうね(苦笑)。どんどん体は大きくなるでしょうし……。今はまだ170センチぐらいで」

――中学1年生で170センチは大きなほうだと思います(※13歳男子の平均身長は160センチ前後)。

「そうなんですか!? そうなれば息子の良いお手本になれるよう、私も頑張っていきたいですね。試合の結果だけではなく、一緒に暮らしているなかで試合に臨む過程を見てもらいたいです」

――母として試合に臨む気持ちは理解できました。一方で、いちファイターとしては今後戦い続ける先に何を見ているのでしょうか。

「何でしょうね? 最近は女子も選手が増えてきたけど、RIZINでも海外でも女子44キロって試合がないですよね。だから、そういうところは求めていないです。何だろう――幸せ、かな(笑)」

――意外な答えが返ってきました。しなし選手にとっての幸せとは……。

「心の在り方ですよね。年齢を重ねるにつれて、そう思うようになってきたんです。自分が好きなことをやっていると、気持ちが豊かになるし、穏やかにもなるから。最近は、そういう幸せを求めています」

――……その幸せが格闘技を続けていく先にしかない人生って、素敵なことだと思います。

「私はやりたいようにやらせてもらっているので、今も幸せだなって思います。どうですか? あんまり幸せじゃないですかね(苦笑)」

――人それぞれではないでしょうか。これまで多くのファイターを見てきて、戦うことで幸せを得た選手もいるし、そうではない選手もいたと思います。何より命に関わる怪我を負う可能性がある競技なので、MMAを続けることが良いのか良くないのかは第三者として言えません。ただ、しなし選手を見ていると……楽しそうです。

「アハハハ、楽しいですよ。もちろん練習はキツいです。でも何でも楽しまないと、もったいない気がします。この年齢で格闘技を続けられること自体が幸せだと思うし。特に、46歳で挑戦できること――もう吹っ切れましたよね。吹っ切れたので、今までよりも心が強いと思います」

――何に対して吹っ切れたのでしょうか。

「最初に言ったように、ずっと勝ち続けることばかり追求していました。負けたら終わり。でもそこにこだわり続けると自分が小さくなってしまう気がして。今はそんなこだわりを捨てることができて、私にとっては46歳の新しい挑戦なんですよね。ちなみに、毎年つくっている年賀状も楽しいんですよ」

――毎回新しいコスプレに挑戦している年賀状ですか。

「今年の年賀状も撮影した時点で『次は何をやろうかなぁ』って考えていますから。こうなったら年賀状も、できるだけ続けたい。毎年、お正月から皆さんに笑いを届けたいです」

――えっ、あの年賀状は笑いのためにやっていたのですか! てっきりコスプレの趣味があるのかと思っていました。

「そんなわけないじゃないですか(笑)。『皆さんが少しでも笑顔になってくれれば良いなぁ』という気持ちですよ」

――なるほど。話が逸れすぎてしまいましたが、試合のお話に戻ります(笑)。今回の対戦相手、古林選手の印象を教えてください。

「やりづらそうな相手ですよね。結構しつこく組んでくる選手で、しかもケージ際で振り回してくるじゃないですか。力も強そうで」

――にっせー戦では、しなし選手がケージに押し込みながら100パーセントの状態で組むことはできていませんでした。今回もケージレスリングで苦戦すると思いますか。

「前の試合(にっせー戦)は、前蹴りをもらって効いちゃっていたんですよ。それで力が入らなくて。でも負けるつもりはないし、勝ちに行かせていただきます。今回は2R、10分フルで戦うことになるかもしれないです。相手もサクッと極めさせてくれないでしょうし」

――勝つことへの執着はなくなったとしても、やはりフィニッシュへのこだわりは持ち続けているのでしょうか。

「もちろんです。いろんなパターンをイメージしていて、そのパターンにハマればフィニッシュできると思います。ただ、相手がいる試合ですからね。どうなるかは分からないですけど、必ず仕留めたいです。判定は考えていません。今までMMAの試合で、判定で勝とうなんて一度も思ったことがないですから」

――「勝ち続けることにこだわらない」としながら、そう仰っている表情が、やはりファイターなんだなと思います。

「そうですか(笑)。何て言うんでしょうね。スマックガールに出始めた頃(2001年12月にプロデビュー)って、できることが少なかったんです。極めるしか勝つ方法がなかった。そこから極めないと勝ちじゃないと思うようになりましたね。プラス今は、できることも増えていますから」

――判定勝ちよりもKO負けのほうが良いと思うタイプですか。

「いやいや、それはないです。負けたら、また気持ちが落ちちゃいますから。自分も情けないし、周りの人にも申し訳ないし……。だからKOに関わらず負けと、判定勝ちは同じぐらい悔しいかな。今どういう記録があるか知らないけど、これからは最年長一本勝ち記録を目指したいです」

■視聴方法(予定)
2月11日(土)
午後5時30分~サムライTV
午後5時40分~SPWN PPV
午後5時40分~ニコニコ生放送

■ DEEP112対戦カード

<フライ級GP準決勝/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
本田良介(日本)

<フライ級GP準決勝/5分3R>
福田龍彌(日本)
宇田悠斗(日本)

<DEEPウェルター級選手権試合/5分3R>
阿部大治(日本)
鈴木槙吾(日本)

<DEEP暫定フェザー級選手権試合/5分3R>
神田コウヤ(日本)
五明宏人(日本)

<ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
高野優樹(日本)

<ウェルター級/5分3R>
住村竜市朗(日本)
嶋田伊吹(日本)

<女子ミクロ級/5分2R>
しなしさとこ(日本)
古林礼名(日本)

<バンタム級/5分3R>
渡部修斗(日本)
力也(日本)

<バンタム級/5分2R>
山本有人(日本)
KENTA(日本)

<フライ級/5分2R>
高柳京之介(日本)
秋元強真(日本)

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ABEMA BELLATOR DEEP MMA MMAPLANET o RIZIN UFC 五明宏人 平本蓮 弥益ドミネーター聡志 海外

【RIZIN&DEEP】弥益ドミネーター聡志のこれから―03―「MMAが恋しくて仕方ない自分に安心」

【写真】上から目線でスミマセン。弥益聡志、イィ漢になったなぁ。梅田さんも喜んでいるに違いない(C)MMAPLANET

2023年に向けて『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしインタビュー──弥益ドミネーター聡志編Part.03。

平本蓮戦後のダメージと、多忙な日常生活を続けるなかで改めて気づいた弥益にとっての格闘技の意味合いとは。

<弥益ドミネーター聡志インタビューPart.02はコチラから>


──それこそ、弥益聡志の真実ですね。

「本当に練習後とかの集合写真がSNSであがっているのとか見ると、悔しくて悔しくて。『あそこに戻りてぇな』という感情しかなかったです。そこが一番大きいというか、正直ソレしかなかった。だからやっぱり、自分にとって試合はオマケというか過程にくっついて来ることで。結局、格闘技をしていることが楽しい。

例えば平本選手にやり返したいとか。次は別の選手と戦って、勝ってどうこうというビジョンは全く描いていないです」

──66キロで、平本選手と戦いたいという気持ちも?

「アハハハハ」

──計量の体を見ていると、弥益選手は絶対に一度は66キロにする体を創っているように見えました。対して、平本選手は別に創っていない体でした。そういうところ、しょうがないけど納得いかないんですよね。MMAは試合前の状態だけは、なるべくイコールであってほしくて。

「う~ん、どうなんですかね。体ってことをいえば有利・不利はなかったと思います。向うはケガをしていたので。そういう意味では数値化できない曖昧な感じで、お互いが納得して戦ったわけですし。これが国内メジャー格闘技に求められていること。

それこそ高島さんが試合後の記者会見での質問で、日本のメジャーイベントでメインを張ってきた方々の名前を挙げてくださって……。自分は恐れ多いことは言えないですけど、格闘家ごっこを続けている自分としては良い役目を担わせてもらったんじゃないかって思っています」

──J-MMA経験したぜって(笑)。

「アハハハ。ハイ。本当にこんな経験できたヤツ、いないだろうっていう気持ちもあります。凄くゴタゴタして大変な思いをしたうえで、あんな負け方をして大恥をかいた。でも、それも含めて今の自分だからできることだったと思っています」

──……。

「試合中に凄く覚えているのは、ダウンをした時に歓声の上がり方がちょっと面白かったなってことなんです」

──というのは?

「盛り上がり方が半端なくて。平本選手への期待の高さが、凄く感じられました。もちろん悔しいことですけど、あんな雰囲気のなかで戦えた。あの空気のなかに自分の居場所があった。厳しい試合結果ではありましたけど、そういうことも確認できたんです。

なんだかんだ試合が終わったあとで平本選手も評価されて、調子に乗って(笑)。だから自分自身は悔しいですけど、あの試合が与えた影響とか、そこでの評価も含めて自分が見えたような気がします。これまでやってきたことが形になるというのは変ですけど、輪郭が見えたかと」

──とにかく体が一番です。特に頭はしっかりと状況を把握する必要があると思います。そして、その不安がなくなると弥益聡志はリングかケージか、いずれにせよ試合に戻ってくると思っています。

「まぁ試したくはなりますよね(笑)。ピアノを習っている人も、発表会で演奏はしたいじゃないですか。試合がないと、何のためにやっているのかなって思うことも出てくるはずです」

──J-MMAの中の弥益ドミネーター聡志と、MMA道の中の弥益ドミネーター聡志が混在しているかと思います。そういう意味でも今後、RIZIN一本だけになるのかDEEPで戦うこともあるのか。

「どうなんですかねぇ……。DEEP……DEEPもRIZINも今は戦いたい選手が誰なのか、見えなくなっています。勝負論のある勝負をしたいと平本選手との試合前は思っていました。でもあの試合を経て、今の自分の立ち位置ではその時に思っていた選手との試合は組まれないと思います。

もちろん、そういう相手と戦いたいですし、良い勝負ができるという気持ちでいます。でも、今の自分がそういう試合を戦うと飛び級になってしまいます」

──そこは今も気にしてしまうのですか。

「順番を踏めていない試合に関しては、正直、自分自身が何度かそういう試合を受けたからこそ、自分にもあって良いじゃんという気持ちもあります(笑)。でも、そこに関しては今は想像がつかないです」

──予想は外れましたけど、私は平本戦後には──これはDEEPに戻って五明宏人戦とか用意されるのではないかと思っていました。

「あぁ(苦笑)。そういう役割になると。脳をすり減らしながら……(笑)。そうですね、まぁ……一応、上とやらせてもらえるなら準備はしたいと思います。でも今の自分の立ち位置に納得できていないです。やらないといけないことが多いと改めて気づかされました。足りないモノが本当に多いです。

なので、まずは自分としっかりと向き合いたいです。発揮できる場所を探すよりも、発揮できるモノをもっと創る。そのために積みたい。格闘技と向き合いたいです。正直MMAの試合はしてきたけど、MMAと向き合うことは余りできていなかった。自分のなかのMMAと向き合い、しっかりと積み上げたいという想いが今は凄くあります」

──一番楽なのはGPがあって、そのメンバーに入り決まった相手と戦うことかと思います。

「そうですね(笑)。そうなると当たっちゃったから戦う。何も考えなくて済むので有難いです。しかもワンマッチじゃないから、ただの兵隊として戦うことができます」

──ハイ。トーナメント戦は決まれば、もうプロモーターの思惑も関係なくなってきます。

「ハイ、良い意味で決まった仕事をやり切るということですし。パッケージ、フォーマットが確立していて。そうなると、やるしかないですからね」

──〇〇選手と〇〇選手、どちらと戦いますかと言われるより16人トーナメント出ますかの方が楽ですよね。

「ハイ、ノーはないですからね。誰と戦おうが、そこに文句も言われず何も考えずに戦うことができます」

──その声が、届きますように。ところでRIZINのフェザー級戦線は、大晦日のBellatorの対抗戦を経てチャンピオンがどうなるのかで、ストーリーの創り方が変わって来るかと思います。そういうなかで、弥益選手にどのような試合があてがわれるのか。

「そうですね……それと、個人的には海外で試合がしたいです。RIZINのハワイ大会があるならそこも、そうですし。RIZINやDEEPが構わないなら……引退する前に、1度は海外で試合がしてみたいですね。UFCとかそういうことをいっているのではなくて、海外での試合を経験したいです」

──MMAファイター人生をより充実させるために、ぜひ叶えてほしいです。では、最後に『弥益、大丈夫なの?』と心配してくれているファンに一言お願いします。

「なんですかね……。自分を応援してくれている人が、どういう層か分かっていないですが……」

──サラリーマン、いや日々の現実と向かいあっている人達にとって弥益選手の頑張りは活力になっているはずです。

「そう言ってもらえると、有難いです。そうですね……自分も日々、疲れながらきっつい実生活を生きています。でもMMAが恋しくてしょうがないです。逆にそういう自分がいて良かったと感じています。仕事は超絶に忙しくて、それでいて家族と過ごす時間も増えている。なんだかんだと充実している生活をさせていただいているのに、格闘技がやりたくてしょうがないです。恋しくて仕方ない自分に安心をしています。

相変わらず格闘技が好きなので、格闘技が好きな弥益を応援していただけているのであれば、その部分だけは安心してください。表に出る時は出ます。もう少しお待ちいただければと思います」

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【DEEP112】4戦目で神田コウヤと暫定フェザー級王座決定戦、五明宏人─02─「1回戦えば1回勝てる」

【写真】面構えが良くて、当たり前というべき五明の広義での格闘技キャリア(C)MMAPLANET

2023年に向けて『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしインタビュー──五明宏人編Part.02。

伝統派空手出身、日本代表でもあった五明は、2021年に秋にMMAに転向すると昨年DEEPでプロデビューを飾り、デビュー8カ月でDEEP暫定フェザー級王座決定戦に臨むこととなった。

2月11日(土)に後楽園ホールで開催されるDEEP112で、五明は3戦3勝のレコードを引っ提げて神田コウヤとベルトを賭けて戦う。4戦目のタイトルマッチとはいえ、一つの競技で年代ごとに常に日本のトップとして活躍してきた彼のコンペティションを戦ってきた経験値は膨大で、精神的にもベテランのように落ち着き払っている。

伝統派ポイント空手の動きMMAに落とし込み、対戦相手によって戦い方、動きを変える。空手時代から、良い意味で自分を持たないで戦ってきた五明だが、そこには攻守が一体化したレンジコントロールという根幹が存在している。

空手を生かしたウェルラウンダーにタイトル戦、それ以降について話を訊いた。

<五明宏人インタビューPart.01はコチラから>


──空手時代とも髪型や色も変わり、相当にイメージが変わっています。

「MMAは整髪料が禁止で、空手の時のように固められないんですよ(笑)。色の方は空手家は染めることはできないので。武道として、髪の毛は黒の方が良いと思います」

──それだけ技術は生かしても、空手とは違うということなのですね。ところでお父さんからMMA転向に関して、何か注文は入らなかったですか。

「父どころか、周囲の全員から『勿体ない。これからじゃないか。全日本もあるし、世界を目指せば良いじゃないか』と言われました。でも正直、WKFとMMAは規模が違います」

──世界中で実施されていて、五輪種目になったWKF空手よりもMMAの方が規模が大きいと。

「注目度が違います。人生は1度と考えた時に、MMAに挑戦したいと思いました」

──目立って金を儲けたいという気持ちも?

「ハイ。格闘技界を盛り上げたいとか言っている人もいるけど、結局は自分が目立ちたいからやっていると思います。僕もやっているからには目立ちたいし、お金も稼げたほうが良いです」

──そこでトライフォース赤坂を選んだと。

「ハイ、朝倉未来さん、海さんがいて。そこに憧れて入ったのが大きいです。一番有名なんで、その人から教わるのが一番だと思いました。何で皆、憧れているのに他に行っちゃうのか。そこが不思議です」

──実際、どのような指導を受けていますか。

「とにかくスパーリングをして、そこからダメなところを指摘してもらっています。親身になって、色々と教えてくれるので凄く勉強になります。やっぱり、ダメなところが凄く分かるので未来さんの分析力は凄いです」

──セコンドをしている時の指示も凄く明確だと感じます。未来選手以外では、どのような指導を受けているのでしょうか。

「ここは結構、色々な人が来てくれます。未来さん、海さん、(白川)陸斗さんもそうですし、津田(勝憲)さんには個人的に教わっています。フューチャーキングの前から……MMAを始めて直ぐのタイミングで藤野(恵実)さんの繋がりもあって知り合って、以来ずっと教えてもらっています。

津田さんは小手先でない、MMAに必要な基礎をしっかりとやられてきた方なので土台を創ってもらっています。それと追い込み練習ですね。凄く厳しいので、追い込んでもらっています(笑)」

──とはいえ一つのことを究めた五明選手です。技術云々ではなく、精神的な基礎はもう十分にあるのではないかと。

「正直な話をすると空手の方が色々とキツイことが多かったので、MMAに来て練習がどれだけ厳しくても、精神的にキツイことはないです」

──さすがです。ところで2021年にはアマ修斗も経験していますね。

「ハイ。10月から正式にMMAを始めて、最初のアマチュアの大きな大会が全日本アマ修斗でした。それで応募すると、ギリギリで選考が通ったみたいで。で1回勝って、次に負けました。自分としては優勝できると思っていたのですが(笑)、そう上手くはいかなかったですね」

──それでもプロ昇格の資格は手にすることができました。

「あの時点でプロになっても負けるなと思いました。アマで負けているんだから、プロでは通用しない。それからはしっかりと計画を立てようと思った時に、5カ月後にフューチャーキング・トーナメントがあると聞きました。全日本アマ修が取れなかったので、そこで優勝してプロデビューするという目標を立てて、年末にもう1度、アマ修斗に出て。そこで勝ってフューチャーキングで4試合、しっかりと勝ち切ることができました。

あの時点でアマ戦績が6勝とか7勝1敗になったので、もうプロでやろうと決めたんです。振り返ると、全くプラン通りに今日までやってくることができていると思います」

──それにしても、見事に顔面パンチ有りに対応できていますね。

「まぁ……空手の時も同じで。やらなきゃ、やられる世界なんで。相手が誰だろうと、やられる前にやるだけです」

──空手が生きている部分と同時に、修正しないといけなかった部分があったかと思います。

「後屈ですね、僕は。後ろ重心になるのは、MMAでは良くないのでそこは変えました」

──後ろ足重心で、思い切りパンチを振るえる海外勢が羨ましいですね。ただ、距離を見て攻撃を受けないという部分では、MMAでは後屈的なモノの見方もありかと思っていました。

「どうなんでしょうね(笑)。結局、前屈みだろうが後ろ屈みだろうが相性もあるのでどっちが良いとかないかもしれないですよ」

──確かに後屈だと、前回の試合のような迫力のある攻めは出なかったかもしれないです。

「それもプラン通りで、メチャクチャ相手を研究して戦っています。だから僕の試合は、動きが毎回違うと思います。前回の試合で距離をつめて戦ったのは、自分のスタイルだからっていうことではないです」

──では、そのようななかで2月11日の神田コウヤ選手とのタイトル戦ですが、キャリアの違いは明白で。そしてレスリングベースでありながら、打撃もパンチ、蹴りともにある選手です。

「実はまだ、神田選手の対策はしていないです(※取材は12月23日に行われた)。とにかく今、自分に足らないモノを補っている最中です。MMAはやることが多すぎて、まだ細かく神田選手のことに関しては突き詰めていないです」

──では、組みという部分に関してはどのような取り組みを行っていますか。

「もちろん、組みでも戦えるように練習しています。レスリングも柔術も、グラップリングも毎日のように組み技をやっています。伝統派空手だからストライカーだと思われがちですけど、組んでも戦えるのがMMAファイターです。神田選手が組んできたら、ちゃんと組みもできるところを見せたいです」

──後輩の野村選手は『先輩と違い、僕はMMA的に戦う』と言っていましたが(笑)。

「アハハハハ。まぁ、前の試合を見たら誰だってそう思うんじゃないですかね(笑)。でも野村君の師匠の宮田(和幸)さんが、今日も来てくれてレスリングの練習もやっているんで。BRAVEにも出稽古に行っていますし」

──出稽古も行っているのですね。

「結構、行かせてもらっています。ALLIACE、トライフォース赤坂で道着もノーギもやっていて。MMAをMMAとして戦うための練習をやっています」

──決して空手の強さをMMAで見せるという思考ではなくて。

「僕が空手家といって負けちゃうと、空手に迷惑をかけてしまうので(笑)。僕はMMAファイター、総合格闘家としてやっています」

──ではMMAファイターとして、将来的な目標は?

「夢があるから頑張れる人もいるのですが……僕は結構現実的で。『UFCチャンピオンになる』とか、国内だったら『RIZINのチャンピオンになる』とか。『海外で活躍したい』という人が多いと思います。僕は取り敢えず目先のことしか考えていないです。結果的に格闘技を続けられる、お金も稼げる──と考えた時に、次のことをしっかりとやれば自ずとそういう風になる。だから、僕は次の試合しか考えていないです。そうしたら4連勝、そのままRIZINに行くのか。5連勝、6連勝して海外に行くのか。それは、その時にならないと分からないです」

──五明選手は対応力、適応力で道を開くような感じですね。

「そうかもしれないですね。僕はその場、その時に適したことをチョイスしてMMAファイター人生を送ろうと思っています」

──最適の選択をするには、勝って道を切り開く必要があります。神田選手とのDEEP暫定フェザー級王座決定戦に向けて、改めて意気込みをお願いします。

「10回やって何回勝てる……とかっていう人がいて。今回の試合も10回やれば9回、神田が勝つ。その1回を五明はこのタイミングで持ってこられるのかって。1回勝てるということは、1回戦えば1回勝てるんです。だから神田選手と1度、タイトルマッチを戦い、僕が勝ちます。1回やって1回勝つ。それが総合格闘技、MMAのプロの試合だと思います」

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【Shooto2023#01】「パンクラス、DEEPに続いて修斗でも」山本健斗デリカット戦へ、山本琢也─02─

【写真】熱くなることを抑えることができるか── (C)MMAPLANET

15日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#01で、山本健斗デリカットと対戦する山本琢也のインタビュー後編。

グラチャンで2階級制覇を果たしたあと、RIZINで敗れながら、家族のために復帰を果たす山本。その舞台に修斗を選んだ理由と現在の目標とは。それは鶴屋怜のパンクラス王座奪取から始まる、パラエストラ千葉ネットワークの野望だった。

<山本琢也インタビューPart.01はコチラから>


――山本選手がMMAを続けるモチベーションは、やはりご家族なのですね。

「自分の場合は、そうですね。子供が自慢できるようなものを見せてあげたい。僕は勉強の成績が良いわけでもなくて。そんな僕が子供に見せられるものは何かなって考えた時に、このMMAしかないのかなって思います。格闘技をやっていると、いつ最後が来るか分からないじゃないですか。

だから今は毎試合、良いところを見せられるように頑張りたい。そう思っています。あと、自分自身、RIZINで負けた時は恥ずかしくて、1カ月ぐらい外に出られなかったんですよ。誰かから連絡をもらっても、返事もせずに」

――……。

「すると、ネバークイットで一緒に練習しているISAOさんから『また練習においでよ』と誘っていただいたんです。そこからまた少しずつ練習に参加するようになりました。ISAOさんに声をかけていただく前は練習していなかったから、また体重が戻ってしまって」

――そこで体重の話に戻るのですね(笑)。

「さすがに100キロまではいかなかったですが、太りやすい体質なんでしょうね……たぶん」

――果たして体質なのか何なのか、ご自身で調べたことはないのですか。

「僕と一緒に生活していたら、太る理由は分かると思います(苦笑)。1日中食べ続けていたり――特にご飯が大好きだし、ジュースもメチャクチャ飲むので、やりたい放題ですよ」

――それを自分で言ってはいけないかと……(苦笑)。試合の話に戻すと、前回の試合から1年空いた理由は何だったのでしょうか。

「去年もRIZINからオファーは頂いていました。でも僕が体重を落とせそうになかったり、大会自体が無くなったりで。ただ、1年も試合をしないのはマズイなと思って、鶴屋さんに相談したんです。そこで修斗の試合が決まりそうだったのに、今度は僕が怪我をしてしまいました」

――ということは、今回の試合は負傷明けということになるのですね。

「はい。1月の大会までには治すので――と伝えて、今回試合を組んでいただきました」

――復帰戦の舞台が修斗になったのは理由も教えていただけますか。

「まずパンクラスのフェザー級には、練習仲間のISAOさんがいます。DEEPでも、神田コウヤ君が活躍していて、今度はタイトルマッチですよね(2月11日、五明宏人と暫定王座を争う)。簡単に言うと、フェザー級のランカーに練習仲間がいない修斗を選びました。やっぱりベルトが欲しいので」

――いわゆるスポットではなく、修斗のベルトを巻くために参戦するということですね。

「もともとアマ修斗全日本で優勝して、プロでも新人王トーナメントにエントリーしていて、諸事情で出場を辞退しました。そのあとはグラチャンに出ていて、修斗の会場に行くことも少なかったんです。でも修斗については、パラ千葉ネットワークからは扇久保(博正)さんや岡田(遼)さんが出ていて、その誇りを胸に戦っているという印象があります。……すみません、ただ個人的にはそのあたりのことは何も考えていなくて(苦笑)」

――対戦相手である山本健斗デリカット選手についても、あまりご存じないですか。

「いえっ、試合が決まってから映像は見ました。どちらかというと打撃が強いファイターで、僕との試合でも前に出て来るのかな、という感じです」

――その試合映像を見て研究するタイプでは……なさそうですね。

「アハハハ。試合でどう体が動くか。試合してみないと分からないタイプです。でもRIZINで負けて、そういった対策も大事だなと思いました。今回は相手をイメージしながら、対策もやってきています。

鶴屋さんから『また熱くなったら打ち合いに行くだろ?』と聞かれて、僕も冗談で『そうだと思います』と答えたんですよ。『それで良いわけないだろう!』と怒られました(笑)。どうしても打撃をもらったら熱くなってしまうところがあるので、同じ失敗は繰り返したくないです」

――では、この2年で練習環境が変わったなかで、最も成長していると実感する部分は何でしょうか。

「それが、実感できているものがないんです(苦笑)」

――えっ……。

「一緒に練習している選手について、『この人は強くなったなぁ』と思うことはあります。でも自分の試合スタイルは変わらないし、他の部分がどう変わったかは分からないんですよね。それは次の試合で、僕がどう変わったかを皆さんに見てほしいです」

――なるほどっ! 対戦するデリカット選手は現在、修斗世界フェザー級2位です。王者のSASUKE選手がRTUのワンマッチに出場しているなかで、山本選手に勝てば暫定王座決定戦――あるいは正規王座挑戦に近づくことができるマッチメイクではないでしょうか。

「そこは意識しています。修斗に出るからには、やっぱりベルトを目指さないといけないと思っています。もちろんベルトを獲る自信もあります。

パラ千葉ネットワークの中でも鶴屋怜君がパンクラスのベルトを獲って、次はコウヤ君がDEEPのベルトに挑みます。さらに僕が修斗のベルトを巻けるように、とチームメイトからも応援してもらっています。だから、ここが僕の頑張りどころですよね。格闘技人生ってチャンスが多いわけではないので、ここで頑張って修斗のベルトを獲りたいです」

■視聴方法(予定)
1月15日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル
             
■Shooto2023#01対戦カード

<フェザー級/5分3R>
山本健斗デリカット(日本)
山本琢也(日本)

<63キロ契約/5分3R>
加藤ケンジ(日本)
ロイベ・デ・オリベイラ・ネイト(ブラジル)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
黒部三奈(日本)
渡辺彩華(日本)

<バンタム級/5分3R>
野尻定由(日本)
齋藤奨司(日本)

<2022年度新人王決定Tフライ級決勝戦/5分2R>
須藤晃大(日本)
片山将宏(日本)

<2022年度新人王決定Tフェザー級決勝戦/5分2R>
椿飛鳥(日本)
CHAN-龍(日本)

<2022年度新人王決定Tライト級決勝戦/5分2R>
安海健人(日本)
深見弦汰(日本)

<2022年度新人王決定Tウェルター級決勝戦/5分2R>
クアト驎(日本)
エフェヴィガ雄志(日本)

<68キロ契約/5分2R>
ヨシ・イノウエ(日本)
磯部鉄心(日本)

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DEEP DEEP112 LFA MMA MMAPLANET o ONE キック ボクシング 五明宏人 修斗 堀口恭司 神田コウヤ 野村駿太

【DEEP112】2022年中に話が訊きたかったファイター。5人目、五明宏人―01―「武道空手をやってきた」

【写真】インタビュー中の受け答え、そしてこの佇まい。全くルーキーではない。格闘をする人間として、どれだけ修羅場を経験しているのかが伝わってきた初インタビューだった(C)MMAPLANET

2023年が始まり、MMAワールドでは既に6日(金・現地時間)に米国でLFAが開催され、今週末にはONEのタイ大会、東京では修斗公式戦が行われる。

そんな2023年のMMAに向け、『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしインタビューを行った。第5弾は伝統派空手からMMAに転向デビューイヤーを3連勝で終え、2月11日には神田コウヤとDEEP暫定フェザー級王座決定戦を戦う五明宏人に話を訊いた。

TOKYO2020候補、空手界では誰もが知る実力者はなぜMMAを選んだのか。まずは栄光に包まれた空手家時代の五明の空手観、そしてMMAファイターとしてキャリアを踏み出した理由を尋ねた。


──五明選手自身、デビューから1年も経たずに4戦目でDEEPのベルトを賭けて戦うことをどのように捉えていますか。

「光栄なことで……素直にタイトルマッチは、自分からするとチャンスでしかないので。これをモノにしてこそ、スターになれる存在だと思うので必ずベルトを巻きたいです」

──では、今回は伝統派空手ベースでJ-MMA界でデビュー1年目から存在感が際立っている五明選手に、格闘技を始めた時から現在に至るまでを伺いたいと思います。まず空手を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「父親が伝統派空手の道場をやっていて、小学校に上がった頃には習い事として空手を始めていました」

──伝統派とはいってもルールを用いた試合がある限り、スポーツという見方を私はしてきました。その辺り、父親が空手の指導者でもあった五明選手にとって空手とはどのようなモノだったのでしょうか。

「空手は武道だと思っています。だからスポーツ空手でなく、武道空手をやってきました。僕がやっていた空手、親父がやっていた空手は日本空手松濤連盟といって競技空手の中でも、日本空手協会よりの空手です。スポーツ化された伝統派空手とは別で、結構当てる伝統派空手でした。それもあって空手は武道で、スポーツという風に捉えていなかったです」

──では五輪で見られたWKFの競技空手は、空手として捉えることはできたのでしょうか。スミマセン、こんなことを聞いて。

「いえ(笑)。アレはアレで競技空手です」

──自分は本当にあらゆる競技のテクニックがMMAで使うことができると思っているのですが、伝統派空手の競技特性として極めの際の大きな声が挙がるではないですか。声を出すという行為は実戦を想定すると、「危ないよ」と思ってしまうんです……。

「僕もずっとやっていても不思議に思うところはありました。伝統派空手は技を出す時に気合を入れるんですけど、口を広げているのでアゴを殴れると、それで結構落ちるんですよ。歯を食いしばることができないので。歯を食いしばると気合を入れることができなくて。それが伝統派空手かな、と。

ただし僕の考えとして、空手をやっている以上ルールに応じて全局面で、できなければいけないと思ってやってきました」

──どの武道、格闘技も辿ってきた道ですが、本道と競技で勝つことに剥離が生まれる。五明選手は武道としての空手と、競技に勝つ空手を両立させてきたのですね。

「やっている以上、WKFのルールで日本一、世界一を取りたいわけで。ルールが定められているモノなので、そこに則って勝つ。自分たちの会派、日本空手松濤連盟でやっている時も強い空手で勝つという教えの下でやってきました。両方をやってきたので、特に違和感はなかったです」

──日本空手松濤連盟と全日本空手道連盟の試合だとルールが違ってくるのですね。

「日本空手松濤連盟は基本的に突きが当たることは普通にあります。連打もOKだけど、KOはしてはいけない。相手に当てて、残心を取るというモノでした」

──残心を取る、相手の攻撃に備えて構えをしっかりと取ると。

「はい、そうです。WKFの方も当てちゃいけないといっても、結構当てっていますし。当てても技有りになっていたので、本当に違和感はなかったです」

──相手に間合いをつめられたときに頭を下げた相手に対して、内回し蹴りで足の裏を頭部に落とした映像を見ました。

「あれはダメージとかでなく、ポイントを取るために特化した蹴りでした」

──素直にどこまで器用なのかと驚かされました。

「勝つためにはああいうこともできないと。そこはルールに応じて、技の練習をしていました」

──BRAVE GYM所属の野村駿太選手が帝京大学の後輩で、五明選手は本当に防御が長けた空手家だったと言っていました。

「僕としてはルールに順応するのが得意で、ルールに対して柔軟なんです。『俺はこういうスタイルでいくんだ』というのがない。全てのルールに順応して戦うことができるので、負けないノウハウがありました」

──前に出るだけでなく、下がって迎え撃つ。そこも見事だと思いました。空手時代はどちらの足を軸に、前後移動をされていたのでしょうか。

「前屈と後屈。その使い分けはあります。ただ競技化したWKFのルールだと、重心は五対五で皆がやっていると思います。伝統派って人によってはステップを多用するのですが、僕はべた足、摺り足でやっていました。だから相手の動きに合わせてタイミングを見るということではなくて、自分で相手を動かしていました。プレッシャーを掛けると相手が下がるのは当たり前ですけど、引き込んで相手を前に出させて返すという動きでした。この時は前屈、完全に前足重心で攻撃していました」

──ではMMAを戦うときの重心はどのようになっているのですか。

「それこそMMAに順応するために伝統派を採り入れていますけど、キックボクシングの技術を身に付けながら、その距離でも戦います。拘っていないんです。伝統派だろうが、キックだろうが、僕が戦っているのはMMAなので」

──そのMMAを戦うようになった五明選手ですが、大学卒業後もアルソックに就職して空手を続けていました。つまり空手で食べることができていたと思うのですが、なぜその環境を捨ててMMAに転じようと思ったのでしょうか。

「僕の世代は東京五輪があったので、そこを目指すためにアルソックに入社しました。なので空手で食べるという生活はできていました。でも、パリ五輪で空手は採用されなかった。空手では日本一も取れたし、国際大会でも優勝していたので──空手を生かしてMMAに転向しようと思ったんです」

──空手は階級が五輪になると、統合された。そこが五明選手が落選した要因だったのですか。

「う~ん、結局強いヤツは統合しようが勝つんです」

──古傷を抉るような質問になってしまうのですが、全ての階級で空手が実施されて欲しかったという気持ちはないですか。やはりオリンピアンか、そうでないというのは凄く大きいと思いますし。

「違いますね。でも、統合されていなければと考えたことはないです。終わったことですし、前を向いていたいので」

──押忍。前を向いた時にMMAがあったのですね。

「名前を出すのも恐れ多いのですが、伝統派出身で堀口恭司選手がMMAで凄く活躍されていて。それもあって伝統派空手は強いと信じていたので」

──当時からMMAを見ていた?

「凄く熱心にということはないですけど、堀口選手や朝倉選手の試合は見ていました。キックボクシングも頭にあったのですが、やはり距離感が違う。伝統派空手を生かせるのはMMAだと思いました。グローブもMMAの方が近いですし、やりやすいです」

──今、キックも取り入れていますが、ボクシンググローブの感覚は空手時代と比較するとどのような感じなのでしょうか。

「全然違いますね。MMAのグローブは違和感なかったです。ただボクシンググローブは、響くというか。あの感覚は最初は嫌でした。全然MMAグローブの方が好きです」

<この項、続く>

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DEEP DEEP112 DEEPフライ級GP MMA MMAPLANET o 上迫博仁 五明宏人 伊藤裕樹 北岡悟 大原樹里 宇田悠斗 小金翔 本田良介 江藤公洋 神田コウヤ 福田龍彌 鈴木琢仁 阿部大治 高野優樹

【DEEP112】続く、北岡悟のファイティングロード。2月11日大会で、高野優樹と対戦決定!!

【写真】北岡と向き合うのは、『嫌』だろう。気後れするのも分かる(C)MMAPLANET

26日(月)、DEEPより2023年2月11日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP112 IMPACTで北岡悟✖高野優樹のライト級マッチが組まれることが発表されている。

福田龍彌、伊藤裕樹、本田良介、宇田悠斗が勝ち残っているDEEPフライ級GP準決勝、ウェルター級選手権試合=チャンピオン阿部大治✖チャレンジャー鈴木慎吾、フェザー級暫定王座決定戦=神田コウヤ✖五明宏人という2つのタイトル戦などが既に決定している2023年DEEPの戦い初めに、北岡が加わることとなった。


北岡の2022年は上迫博仁、江藤公洋に連敗、2020年7月の小金翔戦のドローを挟み、黒星は連続で7つ並んでいる。とはいえ上迫戦は上迫の負傷も影響していたが、江藤戦も含め2021年の大原樹里、鈴木琢仁戦に連続KO負けを喫した時とは違い、決定的な一発を被弾することなく逆に手数と気迫で上回る場面も見せている。

もちろん、北岡本人はそんな評価のされ方など望むわけもないだろうが、同世代や先輩ファイターから江藤戦の気迫には称賛の声も送られていたのも事実だ。42歳、限界まで鍛えられた肉体とそこに宿るファイティングスプリットに向き合うと、精神的に圧されるという場面が上迫や江藤には見られた。その点で、高野は北岡の圧にどのように向かうことができるのか。

ただでさえバンタム級からフェザー級で戦ってきた高野がフィジカルの差が明らかな状態で、気持ちで引くと勝ち目はない。コンバットスポーツにおいて、フィジカルの差は年齢差よりも、絶対だ。この点でも優位に立つ北岡、それだけに後がない戦いともいえる──が、果たして。

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ABEMA DEEP DEEP112 DEEPフライ級GP MMA MMAPLANET o パンクラス 五明宏人 伊藤裕樹 住村竜市朗 修斗 宇田悠斗 本田良介 渡部修斗 牛久絢太郎 神田コウヤ 福田龍彌 野村駿太 阿部大治

【DEEP112】DEEPの年始は2月11日。フライ級GP準決勝大会で阿部✖鈴木、神田✖五明と2階級のタイトル戦

【写真】日本が強くなるために力があるモノ同士が潰し合い、勝者が全てを手にして次に進むことが不可欠。そういう意味でも楽しみな神田✖五明の暫定王座決定戦だ (C)MMAPLANET

20日(火)、DEEPより2023年の初戦となるDEEP112 IMPACTの対戦カードが発表された。2月11日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催される同大会では既報の通り福田龍彌、伊藤裕樹、本田良介、宇田悠斗が勝ち残っているDEEPフライ級GP準決勝が行われる。

この他、今回の発表ではウェルター級選手権試合=チャンピオン阿部大治✖チャレンジャー鈴木慎吾、フェザー級暫定王座決定戦=神田コウヤ✖五明宏人という2つのタイトル戦が明らかとなっている。


阿部は暫定王者から住村竜市朗のタイトル返上を受けて正規王者となり、その住村を仕切り直しの一戦でKOした鈴木の挑戦を受けて初防衛戦を戦うこととなった。

一方チャンピオン牛久絢太郎のDEEP不在を受けて暫定王座が争われるフェザー級は、タイトル挑戦歴のある神田と昨年5月のプロデビューから3連勝の五明がキャリア4戦目のマッチアップとなった。

全国高校総体35年連続出場、昨年8月の高校総体で女子が団体組手や個人戦を制し、総合成績優勝に輝くなど名門中の名門、御殿場西高校空手部出身の五明は、その高校時代から全国に名が響く空手家だった。

その後は帝京大学に大学し、2年後輩には同じくDEEPで活躍する野村駿太がいる。国内に留まらず日本代表としてアジア、世界を舞台に戦い──ALSOK時代には2019年の全日本空手道選手権男子組手で優勝、KARATEプレミアリーグ東京大会でも67キロ級を制したが、五輪は統合階級となるなり、WKF五輪ランキングで61キロ級の佐合尚人に遅れを取り出場を逃した後、MMAへ。

トライフォース赤坂に所属となり、昨年の全日本アマ修斗のライト級に出場。現在プロ修斗で2戦2勝2KOを宇藤彰貴に準決勝で敗れたが、プロライセンス取得推薦枠獲得者となった。その後、DEEPヒューチャーキング・トーナメントのフェザー級で優勝しプロに。上記にあるように4戦目でベルトに手を掛けることに。

野村によると空手時代の五明は卓越した距離感と防御能力に長けていたという。MMAでは積極的にケージに追い込み、連続の顔面直接殴打でインパクトの残る勝ち方をしてきた。とはいっても、神田と比較すると組み技歴、そしてMMA歴の差が歴然としている。

長いリーチで距離を取れるだけでなく、テイクダウンやボディロックに生かせる神田に対して、五明がここまで考慮する必要がなかった間合いの妙を見せることになるのか。あるいは神田が意地でMMAの奥深さを見せつけることになるのか。非常に興味深い、暫定王座決定戦だ。

なお今大会では、しなしさとこの3年2カ月振りのMMA復帰戦=古林礼名戦。パンクラス移籍が確実視されていた住村の意外なDEEP参戦=島田伊吹戦。DEEPバンタム級王座獲得を目指す渡部修斗✖力也戦などが決定しているが、他にもベテランビッグネームの参戦の話も伝わってくるなど──最近のDEEPらしい質と量が圧倒的な後楽園ホール大会になりそうだ。

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DEEP DEEP Tokyo Impact Deep Tokyo Impact2022#07 MMA MMAPLANET o RYO ライカ 五明宏人 劉獅 原虎徹 小川徹 小金翔 木下尚祐 泉武志 泰斗 渋谷カズキ 狩野優 筋トレ 野村駿太 駒杵嵩大 鬼山斑猫

【DEEP Tokyo Impact2022#07】小金翔と対戦、脱空手家・野村駿太「打撃だけでないと見せられる試合に」

【写真】しっかりとしたMMA観がある野村。レスリングベースの練習仲間の多さが、野村のMMA観を養っているのか(C)MMAPLANET

11日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP TOKYO IMPACT2022#07で野村駿太が、小金翔と対戦する。

伝統派ノンコン競技空手出身、デビューから1年3カ月で3勝1敗の戦績を残す野村は、キャリア20勝4敗2分の小金との対戦前日──計量後にも関わらず落ち着き払ってインタビューで答えていた。

空手ベースのストライカーではなくウェルランダ―としてトップを目指す野村は自らの試合、先輩・五明宏人について話した。


──計量を終えて、今の心境を教えてください。

「明日やるぞという気持ち、それだけです」

──かなり頬がこけていますが、減量の幅はどれぐらいなのでしょうか。

「もともと普段からプヨプヨになるようなことはないのですが、摂生していて水抜きも合わせて7、8キロですかね。体重自体は変わらないのですが、レスリングの練習量が増えると体つきが変わって大きくなったようです」

──筋トレではなくて、レスリングで体が大きくなると。

「そうですね。それとイチロー選手がやっていた初動負荷トレーニングをやっています。関節を細かく動かして、可動域を広げるという感じのトレーニングです。人間が持っているバランスを大切にした体の使い方が必要だと、自分は思っていて。変に体を大きくするのではなくて、もともとのバランスを大事にしてトレーニングをしていると、筋肉もついてきた感じです」

──タイミングとスピードが大切だった空手家時代と比較して、組みがあることで練習内容も変化し体つきも変ったということですね。

「ハイ。耐久力、瞬発力、引きつせる力もパワーということではなくて、上手く体を使うことで出てくるというのが最近少し分かってきました。レスラーにはレスラーならではの体つきがあるように、空手家には空手家の体つきがああります。レスラーの真似はできないので、工夫してやっていかないといけないです」

──7月の泉武志選手との試合、まさにレスラーとの対戦で競り勝ちました。

「普段練習させていただいている武田(光司)さんより実績があるということで、警戒し過ぎた部分が多かったです。そんなレスラーの泉選手から、自分的には思ったほどテイクダウンもされずに凌げたというのはあります。ただし、あの展開では自分も打撃を出すことができなかった。内容的には何もされなかったけど、何もしていないというモノになりました。

なので今回は、そこを変えられるよう試行錯誤して練習をしてきました。この5カ月は自分を見直す時間になりました。泉選手との試合で、自分と堀口選手の違いが実感できる試合だったので」

──レスリングを凌ぐだけでなく、空手……打撃で攻めたいと。

「ハイ。空手というよりもMMAファイターとして打撃を使って攻められるようになりたいです。欲を言えば、ああいう相手に打撃を使って倒したいというのはありますが、そこだけに頼るのではなくてMMAファイターとして、打撃以外のところでも勝負できるようになりたいと思っています」

──そして今回の相手である小金選手は、ZSTのチャンピオンであったり、日本のトップ選手とも戦っているファイターです。

「ハイ。戦績的には自分よりもずっと上の選手ですけど、普段から練習させてもらっている練習パートナーと比較すると怖い部分がないです。良くも悪くもウェルラウンダーで。自分はどちらかというと打撃中心で、組みとか寝技が出せていないので、打撃だけでないと見せることができる試合になると思います」

──ステップアップを考えると、凄く大切な試合になります。

「この試合で今後スッと上に行けるのか、またやり直しになるのか。そこが変わって来る試合で、ここに勝てばトントンと上に行けると思っています。なので自分の得意なところ、皆ができないだろうと思っているところも形になっているので、そこしっかりと見せたいです。そして『こんなに隙がないのか』と思われるよう戦いたいです」

──押忍。あと明日の試合に関係ないのですが、同じ伝統派空手からMMAに転じた五明宏人選手がいます。彼のことを意識しますか。

「宏人先輩ですか?」

──えっ、先輩なのですか。

「帝京大学で自分が1年の時に、宏人先輩は3年でした。自分の部屋の先輩と仲が良くて、いつも部屋に来ていました。僕の試合も応援に来てくれますし、僕も前回の試合は見に行かせてもらいました。凄く良い刺激になっています」

──五明選手は空手の蹴りを使いつつ、喧嘩が強かったんじゃないかという圧力をかけて顔面を殴っています。

「自分は空手を小さな頃からやっていなかったので、トップ戦線で戦うのが遅かったです。でも宏人先輩は高校の時からトップでやってきて、空手の上手さを凄く持っています。MMAに来てからは、自分が知っている宏人先輩ではないような戦いになっています。

本当に負けない戦い方ができる空手家で。今、あんな風にガンガンと攻めることができるのも貰わないという自信があるからだと思います」

──五明先輩に負けたくないという気持ちはありますか。

「ハイ。でも自分は空手ベースですが、ストライカーというよりもウェルラウンダーとしてやっていきたいというのがあります」

──なるほどっ!! では明日の試合に向けて、読者に一言お願いします。

「しっかりと小金選手に勝って、武田さんのようにライト級のトップ戦線に駆け上がっていきたいです。応援の方、宜しくお願いします」、

■視聴方法(予定)
11月23日(日)
午前11時30分~SPWN PPV
午前11時30分~ニコニコ生放送

■ DEEP Tokyo Impact07計量結果

<フライ級/5分3R>
小川徹:57.05キロ
原虎徹:57.2キロ

<59キロ契約/5分3R>
駒杵嵩大:58.9キロ
RYOGA:58.85キロ

<ライト級/5分3R>
小金翔:70.7キロ
野村駿太:70.75キロ

<63キロ契約/5分2R>
木下尚祐:63.15キロ→63.1キロ→63.0キロ
窪田泰斗:62.95キロ

<フライ級/5分2R>
渋谷カズキ:57.05キロ
松丸息吹:57.0キロ

<フェザー級/5分2R>
劉獅:66.15キロ
狩野優:65.95キロ

<フェザー級/5分2R>
鬼山斑猫:66.05キロ
梶本保希:65.75キロ

<ウェルター級/5分2R>
小林ゆたか:77.3キロ
マッスル岩倉:76.65キロ

<ライト級/5分2R>
涌井忍:70.45キロ
岩倉優輝:70.65キロ

<ライト級/5分2R>
倉本大悟:70.75キロ
森俊樹:70.6キロ

<フライ級/5分2R>
根本元太:57.1キロ
三好マヒロ:57.2キロ

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CORO DEEP DEEP110 MMA MMAPLANET o   中村大介 五明宏人 北岡悟 古瀬美月 大島沙緒里 川名TENCHO雄生 江藤公洋 石司晃一 神田コウヤ 赤沢幸典 酒井リョウ 雅駿介 鹿志村仁之介

【DEEP110】計量終了 3階級のタイトル戦。北岡✖江藤、中村✖神田、雅✖鹿志村。後楽園・濃縮大会

【写真】最重量の赤沢は最計量の古瀬の2.78倍の122キロだった(C)DEEP

明日12日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP110 IMPACTの計量が、中野区の中野サンプラザで行われた。

CORO✖石司晃一の暫定バンタム級、酒井リョウ✖赤沢幸典の暫定メガトン級王座決定戦、女子ミクロ級選手権試合=
大島沙緒里✖古瀬美月という3つのタイトル戦に加え、3年11カ月振りの勝利となるか──北岡悟✖江藤公洋のライト級戦、中村大介✖神田コウヤのタイトル挑戦仕切り直し決戦となるフェザー級マッチなど3回戦。

そして2回戦でもストイックなムエタイ三冠王とチャラい極め専門──雅駿介✖鹿志村仁之介など、後楽園ホール大会らしくコンパクトかつ注目カードが並んだ同大会の計量結果は以下の通りだ。


■視聴方法(予定)
11月12日(土)
午後5時50分~SPWN PPV
午後5時50分~ニコニコ生放送

■ DEEP110計量結果

<DEEP暫定バンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] CORO:60.95キロ
[挑戦者] 石司晃一:61.05キロ

<DEEP暫定メガトン級王座決定戦/5分3R>
酒井リョウ:107.45キロ
赤沢幸典:122.2キロ

<DEEP女子ミクロ級選手権試合/5分3R>
[王者]大島沙緒里:44.0キロ
[挑戦者]古瀬美月:43.95キロ

<ライト級/5分3R>
北岡悟:70.65キロ
江藤公洋:70.65キロ

<フェザー級/5分3R>
中村大介:66.2キロ
神田コウヤ:66.0キロ

<ライト級/5分3R>
川名TENCHO雄生:70.7キロ
高橋“Bancho”良明:70.2キロ

<バンタム級/5分2R>
雅駿介:61.65キロ
鹿志村仁之助:60.85キロ

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI:66.05キロ
五明宏人:66.2キロ

<バンタム級/5分2R>
KENTA:61.55キロ
朝比奈龍希:61.4キロ

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CORO DEEP DEEP110 DJ.taiki MMA MMAPLANET o パンクラス 中村大介 五明宏人 修斗 北岡悟 古瀬美月 大島沙緒里 川名TENCHO雄生 新井丈 江藤公洋 清水俊一 牛久絢太郎 石司晃一 神田コウヤ 藤井伸樹 赤沢幸典 酒井リョウ 雅駿介

【DEEP110】不器用な苦労人、好漢CORO。石司晃一を相手に初防衛戦「昔、週2~3で練習していました」

【写真】不器用な選手が要領が良くなるのではなく、手順を覚えると強くなる(C)SHOJIRO KAMEIKE

12日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP110で、COROが石司晃一を挑戦者に迎えてDEEPバンタム級暫定王座の初防衛戦を行う。
Text by Shojiro Kameike

2011年のプロデビューから11年、今年5月にDJ.taikiを下してベルトを巻いたCOROだが、その11年は決して平坦なものではなかった。勝っては負け、勝っては負け――さらに2017年までは連敗も繰り返してきた。しかし現在所属するK-Clannの横田一則代表との出会いから、遂に王座を掴んだCORO。その11年の苦労と、対戦相手である石司との意外なエピソードを語ってくれた。


――今年5月にDEEPバンタム級暫定王者となって半年が経ちました。まずベルトを巻いた感想はいかがですか。

「十何年やってきて、やっとベルトを獲れたので嬉しいですよね」

――現在の日本MMAを見渡しても、屈指の苦労人かと思います。修斗では新井丈選手が9連敗から王者にまで昇りつめて注目を集めました。CORO選手も、何度も勝利から連敗を繰り返した末の王座奪取です。

「メチャクチャ苦しい時期もありました。でもMMAが好きだから続けてきたので。そうですね……キツかった、としか言いようがなくて(苦笑)」

――どの時期が一番キツかったのでしょうか。

「パンクラスで3連勝したあと、瀧澤謙太選手と上田将勝選手、それとハワイの試合(エドワード・トムズ戦)で3連敗したんですよ。次の試合で神田T-800周一選手に勝ったあと、また連敗しました。その時期が一番キツかったです」

――2015年から2017年にかけてのことですね。

「いま思うと、無駄に試合をしすぎたなって思います。とにかく早く上に行きたくて、どんなオファーでも受けていました。スクランブル発進でも。それが良くなかったです。ちゃんと技術が追いついていないのに、試合だけしていて。それで連敗を重ねてしまったので」

――たとえば2015年は10月4日に瀧澤戦、11月1日に上田戦があり、その月末……11月28日にハワイで試合をしています。特に瀧澤戦はKO負けしているだけに、競技面でも以降は行うべき試合はなかったように感じます。

「アハハハ、そうですよね(苦笑)。どれも怪我があるのに直前のオファーを受けて、メチャクチャだったと思います。マネージメントも自分でやっていて、オファーが来たらすぐ、やりますと」

――この時に、自分のキャリアに対して限界を感じることはなかったのでしょうか。

「格闘技が好きだったので、辞めようとは思わなかったです。会場へ観に来てくれる人は、だいぶ減りましたけど(笑)。でも練習は好きだし、練習していたら試合したくなって。観に来る人がゼロになっても、好きだから続けようっていう感じでした」

――会場へ観に来てくれる人が減ったというのは、どれくらい減ったのですか。

「プロデビュー当時と比べたら、半分ぐらいに減りました」

――残り半分の方も、それだけ試合をして怪我もあり、さらに連敗していると心配していませんでしたか。

「はい、つまらなくても良いから勝ってくれと(笑)」

――アハハハ、応援してくれる方も勝っている姿を見たいですよね。試合内容でいえば、当時は何が課題だったと思いますか。

「試合中は自分を客観的に見ることができていなかったのかな、と思います。いつも焦って試合をしていて。自分が得意なところも分かっていなかったし、そこが重要でした。今は試合中に焦ることはないので。昔から練習では自信があったんですよ」

――練習でやっている内容を試合で出すことができない。それは致しかたないことですが、程度にもよるかと。

「やっぱり試合は怖いし、焦って自分から行ってしまう。見合う時間が嫌に感じて、バーッと前に出てしまう。そういうところを克服できたのは、横田(一則K-Clann代表)さんと出会ってからですね。

6~7年前……2017年の藤井伸樹戦(判定負け)あたりですね。当時は出会ったばかりで、まだ結果は出ていなかったんですけど、DEEPに出始めてから少しずつ結果が出て来るようになりました」

――そうですね。2107年12月からDEEPに参戦して2連敗、次に2引き分けから2連勝となりました。

「横田さんと話し合って、ちゃんと勝ち星を重ねて上に行けるように、練ってもらいました。そこから実戦を考えた練習ができるようになったんですよ。もともと和術慧舟會TLIVEで練習していて、当時は牛久(牛久絢太郎)とガチスパーばかりやっていて。そこからMe,Weで“横田練”が始まり、いろんなタイプの選手と練習することで視野も広がりました。その成果が出始めたのは、DEEPで連勝するようになった頃だと思います」

――ということは、2019年10月の清水俊一戦(判定勝ち)からでしょうか。

「そうです。実は白川“Dark”陸斗戦(2018年8月にドロー)のあと、首のヘルニアで練習できなくなって。そこで、ただガムシャラにやっているだけではダメだなって、いろいろ考えるようになりました。それと当時、自分で仕事を始めたんですよ。おかげで以前のようにガッと格闘技に集中しているだけじゃなく、気持ちにも余裕が持てたのが大きかったです」

――2018~2019年といえば、1988年生まれのCORO選手にとっては30歳を超えたあたりですね。格闘技を続けていくにしても、30歳を超えたところで生活面を考えたのですか。

「メチャクチャ考えました。それまでバイトしながら格闘技を続けていて、どうしようって焦りもありましたし。だから早く勝って上に行きたい――そう思って、どんな試合でも受けていたんだと思います」

――……。

「あとはヘルニアになって、格闘技を続けることもできないんじゃないかと思ったんですよね。すると、どうやって生きていくのか。そのために自分で開業して。そうしているとヘルニアも良くなってきたので、また試合に出ようと」

――それだけ好きで続けてきた格闘技です。ヘルニアを発症し、格闘技を続けられないのでは……と思った時の心境はいかがでしたか。

「いや、もうヘルニアが痛すぎて、格闘技のことは考えられなかったです(笑)」

――アハハハ! それはそうですよね。

「とにかく痛くて。早く治ってくれ、としか考えられませんでした。それで1年ぐらい練習していなくて、清水戦の直前から少しずつ体を動かし始めた状態でしたね。ただ、少し焦りはありましたけど、もう他と比べても仕方ないし、自分ができることをやろうと」

――なるほど。そうして復帰したなか、2021年6月には今回ベルトを賭けて戦う石司選手に判定負けを喫しています。

「昔、石司選手と一緒に練習していたことがあるんですよ。週2~3ぐらいのペースで」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
11月12日(日)
午後5時50分~SPWN PPV
午後5時50分~ニコニコ生放送

■ DEEP110対戦カード

<DEEPバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] CORO(日本)
[挑戦者] 石司晃一(日本)

<DEEP暫定メガトン級王座決定戦/5分3R>
酒井リョウ(日本)
赤沢幸典(日本)

<DEEP女子ミクロ級選手権試合/5分3R>
大島沙緒里(日本)
古瀬美月(韓国)

<ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
江藤公洋(日本)

<フェザー級/5分3R>
中村大介(日本)
神田コウヤ(日本)

<ライト級/5分3R>
川名TENCHO雄生(日本)
高橋“Bancho”良明(日本)

<バンタム級/5分2R>
雅駿介(日本)
鹿志村仁之助(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
五明宏人(日本)

<バンタム級/5分2R>
KENTA(日本)
朝比奈龍希(日本)

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