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【BJJ STARS08】ミドル級GP1回戦、ハルクがヒメネスを──柔術の神の子は現役レジェンド越え達成

【写真】疲労困憊のロと、笑顔のミカ。世界のトップにあるレジェンド越えを果たした(C)BJJ STARS

先月30日(土・現地時間)、ブラジルのサンパウロにて豪華プロ柔術&グラップリングイベントのBJJ STARS 8が行われた。
Text by Isamu Horiuchi

目玉は世界4階級制覇のレジェンドであるレアンドロ・ロ、そのロの天敵であるミディアムヘビー級世界王者ルーカス・バルボーザ、そして柔術の神の子ミカ・ガルバォンら、8人のトップ黒帯選手が参加した道着着用ルールのミドル級GP。

レビュー第1回は、主催者の粋な計らいによって大注目の新旧対決が実現した1回戦の模様をお伝えしたい。


<ミドル級GP1回戦/7分1R>
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
Def. 2-0
ロベルト・ヒメネス(米国)

世界王者バルボーザに、新世代の旗手の一人ヒメネスが挑む注目の一戦が1回戦で実現。開始早々両者が腰を引いた構えで襟を掴み合うなか、バルボーザが低く飛び込んで飛行機投げ一閃。見事にヒメネスを舞わせたバルボーザは、次の瞬間にヒメネスの右腕を掬って腕十字へ。うつ伏せの状態で強烈に極めにゆく。

が、ヒメネスは回転してバルボーザの体をまたぎ、腕を抜いて肘のポイントをずらすことに成功。さらにバルボーザの背中とマットの間に飛び込んでのバック取りで逆襲に転じるヒメネス。が、バルボーザが腕を伸ばして距離を作ると、ヒメネスは上のポジションを選択した。

この一連の攻防で、バルボーザの方にアドバンテージが2つ与えられた。見事な飛行機投げがテイクダウンポイントを認められなかったのは、投げたバルボーザがポジションが固定される前に腕十字を仕掛け、結果として下になったからなのだろう。それにしても慎重な戦いを貫くイメージの強いバルボーザが、電光石火の投げを決めるや否や、ポイントの確保もままならぬままリスクを犯して極めを狙いにいった姿は印象的だった。

下になったバルボーザは、ヒメネスの右にデラヒーバで絡む。バルボーザの両足を正面から飛び越えようとするヒメネスに対し、バルボーザはヒメネスの両足首を持つと、後ろに倒して尻餅を作らせ、さらにそのグリップをキープしたままシットアップし、さらに立ち上がってみせた。こうして下になっても上を取り返せる自信があるからこそ、思い切った極めを狙って行けるのだろう。

試合がスタンドに戻ると、両者は再び頭を付け合っての攻防に。重心の低いバルボーザをテイクダウンするのは難しいと見たか、ヒメネスが引き込み。クローズドガードを作るが、天下一品のベースを誇るバルボーザのバランスは崩せず。残り2分のところでヒメネスは距離を取って立ち上がった。

スタンドの攻防に戻ると、バルボーザは再び両膝を付きながら飛び込み、今度は背負い投げに。またしても見事にヒメネスの体を一回転させて上を取ったバルボーザは、オーバーアンダーでかみつく。今回は2点を確保したバルボーザは、ヒメネスが動こうとするところで、すかさずバックに付いてシングルフックを入れてみせた。

両足フックは許さず、下から体をずらし続けるヒメネス。残り40秒のところで正体して上になることに成功した。が、ここでもバルボーザは、下からヒメネスの両足のパンツをしっかり掴んでパスを許さず、時間切れ。点数こそ2-0だったものの、2度にわたって豪快なテイクダウンを決め、さらに腕十字やニアバックで攻め込んだバルボーザの完勝だった。

これまで上になったら漬物石の如く動かない戦いが目立ったバルボーザが、ダイナミックに極めを狙う姿勢を見せての圧巻の勝利。結果として2度に渡って下になったが、ここでも強烈なパンツグリップを用いたオープンガードを駆使し、ヒメネスに付け入る隙を許さず。難攻不落のトップゲームを持つ怪物は、ここにきてさらに恐るべき進化を遂げている。

<ミドル級GP1回戦/7分1R>
ミカ・ガルバォン(ブラジル)
Def. 0-0 アドバンテージ1-0
レアンドロ・ロ(ブラジル)

いきなり実現したGP最大のドリームカード。駆け足で入場してきたロは、舞台に上がると気合十分のジャンプ。なんとも凄まじい跳躍力だ。それに挑む神の子ガルバォンの方は、リラックスした表情でマットをジョギング。対照的な両者だ。

場内の盛り上がりが最高潮に達する中、両者がハグして試合開始。体格でやや劣るガルバォンだが、積極的に前に出てロの襟を掴んでは足を飛ばしてゆく。やがてガルバォンから飛びついてクローズドガードに入った。

すかさず腰を上げ、膝を入れてガードを割りにかかるロ 。しかしガルバォンはロの右腕を抱えると、ガードを閉じたままブリッジをするようにロの右腕側にスイープ。完全に体勢を崩されたロだが、すぐに体勢を立て直して再びインサイドガードに入った。

次にガルバォンはロの右腕をクロスで引き寄せる。ロが抵抗すると、ガルバォンは今度は左手を狙いに。ロがこれも防ぐとガルバォンは再びロの右腕を取って脇に抱える。世界最高峰のトップゲームを誇るロが、ガルバォンが下から仕掛けるグリップバトルで完全に後手に回らされている。

ハイガードを取ったガルバォンは、次の瞬間左足をロの顔の前にこじ入れてオモプラッタへ。ロもすばやく反応し背筋を伸ばし、立ち上がりながら腕を抜く。それにしても、トップにいるロを防戦一方に追い込むガルバォンの攻撃力は凄まじい。

再び座ったロは、腰を引いて距離を作ってから右膝を入れてガードを開きにかかるが、またしてもガルバォンはその右腕を取ると、両腕で抱えて伸ばしにかかる。ロは再び座ることを余儀なくされた。

ロは再び腰を引いてから右膝を入れる。が、ガルバォンはここもブリッジをしながらのスイープへ。体勢を崩された後に持ち直すロ。ここまで4分。手足が長いというよりがっしりした体格のガルバォンだが、ロにパスガードの体勢を作ることすら許さない、恐るべき懐の深さのクローズドガードだ。

再びロが腰を引いて距離を作ると、ガルバォンはハイガードへ。ロがそれでも右膝を入れにかかると、ガルバォンはロの右腕を脇で抱えつつ、再び左足をロの顔の前にこじ入れながら伸ばしにかかる。右腕が逆方向に曲がるほどの強烈な極めだったが、ロは耐えて腕を引き抜いてみせた。

この攻撃で、残り2分20秒のところでついにガルバォンがアドバンテージを獲得。が、この先制点と腕を極められかけた代償として、ロはようやくガルバォンのガードを開かせたまま右足を入れる状態を作ったのだった。侵攻を狙うロは、一気に重心を前にかけると、ガルバォンの頭を抱えて胸を合わせにかかる。が、ガルバォンは両足でロの下半身を浮かせつつ、両腕のフレームを効かせて距離を作る。さらに回転してインヴァーテッドを駆使したガルバォンは、アドバンテージを許すことなく正対することに成功した。

残り2分。ガルバォンはロの右足にデラヒーバで絡む。ロは再び前に重心をかけてガルバォンの上半身を殺しにかかるが、ここもガルバォンは足を効かせて隙間をキープし、ガードを閉じることに成功。残り1分半。侵攻を試み続けるロはまたしても腰を引いて距離を作り、右膝を入れた。

するとガルバォンはガードを開くと、ロの右腕にラッソーで絡み、左腕にはスパイダーを作る。そこからロを左腕側に崩すガルバォンだが、ロもバランスを保つ。防がれても猛攻を試み続けるロと、守り一辺倒に入ることなく反撃を試みるガルバォン。事前の期待を裏切らない凄まじい攻防だ。

残り1分。ロが立ち上がると、ガルバォンは右足にデラヒーバで絡む。ロは前のめりに両手をマットに付け、側転するような形でガルバォンの足を越えにかかる。が、この動きでできたスペースができた瞬間を逃さずに、下から動いてロの右足を掴みにゆくガルバォン。さらに足を使って崩しにかかるが、ロはバランスを保った。

残り30秒。時間のないロは立ち上がると、またしても大きく前方に飛びこんでガルバォンの上半身を力技で制しにゆく。が、ここでもガルバォンは下から入れた右膝を利かせ続け、さらに左手ではロのパンツを掴んでコントロールを許さない。やがて残り時間が数秒になると、もはや逆転は不可能と悟ったロは体の力を抜いてマットに崩れ落ちる。ガルバォンがそのまま上になったところで極上の7分間が終了した。

もはや精魂尽き果て、マットに大の字になるロ。やがて立ち上がった後も全身で悔しさと落胆を表現しており、年下相手に全力で挑んで負けたという事実を隠そうともしない、ある意味きわめて潔い敗者ぶりだ。そんなロに対して、勝者ガルバォンはなんとも爽やかな笑顔で握手を求めたのだった。熱すぎるヴェテランと、リラックスした若者。試合開始前同様に対照的な両者だった。

それにしても恐るべしはガルバォンの技術の高さだ。試合の前半から中盤にかけてはガードから厳しい一方的に攻撃を繰り出し続けてロに反撃の緒を与えず、後半はロが全力を振り絞って仕掛けるパスを全て危なげなく防ぎ切る。攻守共に凄まじい力を見せつけた。

「柔術の神の子」の渾名に相応しい驚愕のパフォーマンスをまたしても見せてくれたガルバォンと、なりふり構わず力の全てを出し尽くし、堂々と散ったレジェンド・ロ。両者ポイントもなく派手な動きが続出したわけでもないが、二人の世界最高峰の柔術家が、誰も及ばぬ至高の技術を正面からぶつけ合った珠玉の名勝負だった。

残りの1回戦の試合では、まずは18年茶帯ミドル級世界王者のレオナルド・ララがイザッキ・バイエンセのイザッキ・バイエンスの代打として登場したウィルソン・オリヴェイラと対戦。テイクダウンを受けた際に膝を負傷するアクシデントに見舞われたにもかかわらず、治療を経て復活し──相手の合法的な攻撃を受けて一度試合続行不可能になった時点で、なぜ試合終了とならなかったのかは謎だ──終盤に逆転のパスガードを決めて5-2で勝利した。

もう一つの準決勝では、18年の茶帯ミディアムヘビー級世界王者にして、昨年のBJJ Bet大会におけるノーギトーナメントにてミカ・ガルバォンの極めを凌いで勝利したマウリシオ・オリヴェイラが、ペドロ・マチャドと対戦。引き込んだマチャドのラッソーガードに対してバランスを保ち、ニースライスで攻め込む等の見せ場を作ったことが評価されて、ポイントもアドバンテージも0-0ながらレフェリー判定勝ちを収めた。

かくして準決勝は本命バルボーザ対ララ、もう一試合は神の子ガルバォンとオリヴェイラによる注目の再戦が実現することとなった。

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【BJJ STARS08】14年に及ぶUFCでの活動を終え、デミアン・マニアが15年ぶりのグラップリングマッチ出場

【写真】こういうとアレだが、実戦でマイアを見られるのはグラップリングでも限られた機会になってくる。超貴重なファイトだ(C)MMAPLANET

30日(土・現地時間)、ブラジルのサンパウロで開催されるプロ柔術& グラップリングイベントのBJJ STARS 08。

レアンドロ・ロ、ルーカス・バルボーザ、イザッキ・バイエンセ、ミカ・ガルバォン、ロベルト・ヒメネス、マウリシオ・オリヴェイラ、レオナルド・ララ、ペドロ・マチャドが出場する道着着用ルールのミドル級GPが行われる同大会で、デミアン・マイアがノーギのスーパーファイトに出場する。


昨年6月に14年に渡るUFCでの活動を終え、グラップリングシーンに戻ったマイア。44歳にして、2007年のADCC世界大会88キロ級を制して以来のグラップリングマッチだ。

MMAが異種格闘技でなく、5分×3Rもしくは5分×5Rのスポーツになって以来、グレイシーではなくホナウド・ジャカレと共に世界の最高峰で最も柔術を駆使してMMAで戦ったきたのが、マイアであることに誰も異論はないだろう。

またMMAファイターとしての良し悪しは別にして、ジャカレは打撃を消化していたが、マイアはほぼ組んでからMMAを戦ってきた。そういう部分でも、マイアは稀有な存在であり続けた。グラウンドでの打撃のあるなかでのグラップリングと純粋グラップリングは違う。やはりMMAでのグラップリングは、動きに制限が生じる。そのMMAグラップリングで世界最強だったマイアが、顔面パンチがない試合ではどのようなグラップリングを披露するか。

対戦相手もこの4月にUFCからフリーとなった同胞アレックス・オリヴェイラだ。とはいえムエタイ・ベースのガウショとマイアでは勝負の行方は明らかという見方も成り立つ。年齢的なことも加味し、マイアが今後はどのようにグラップリングと関わっていくのか。いずれにせよ、コンペティションで見られるマイアを堪能したい。

■視聴方法(予定)
5月1日(日・日本時間)
午前7時00分~FLOGRAPPLING

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BJJ STARS08 MMA MMAPLANET o ONE ガブリエル・アウジェス ジョナタ・アウヴェス タイナン・ダウプラ ブラジリアン柔術 ペドロ・マチャド マウリシオ・オリヴェイラ ルーカス・バルボーザ レアンドロ・ロ レオナルド・ララ ロベルト・ヒメネス

【BJJ STARS08】膠着禁止のミドル級GP。柔術の神の子=ミカ・ガルバォンがロを始め3人の世界王者に挑む

【写真】とんでもないGPトーナメント。タイナン・ダウプラが出ていないところがよりそそられる(C)CLAYTON JONE/FLOGRAPPLING

30日(土・現地時間)、ブラジルのサンパウロにてプロ柔術& グラップリングイベントのBJJ STARS 08 が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

道着着用とノーギグラップリングの両方のルールにおける世界のトップアスリートたちを集めて開催されるこの豪華大会。今回の目玉は8人の黒帯選手が参加する道着着用ルールのミドル級GPだ。


この大会で特筆すべきは、道着着用の試合において膠着禁止目的の特別ルールが2つ採用されていることだ。一つ目は相手のラペルを相手や自分の手足に絡めて掴む技術に関するもの。攻撃姿勢を持って行われているとみなされれば許されるものの、膠着目的と判断された場合には掴んでいた側にペナルティが与えられ、強制的にグリップを解除した状態で試合が再開される。

もう一つは50/50ポジションについて。こちらは20秒間経過した時点で解けなければブレイクされ、両者にペナルティが与えられた上でスタンドから再開となる。

そんなルールが採用された8人制ワンデートーナメントの出場選手は以下の通りだ。

レアンドロ・ロ(ブラジル)
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
イザッキ・バイエンス(ブラジル)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)
ロベルト・ヒメネス(米国)
マウリシオ・オリヴェイラ(ブラジル)
レオナルド・ララ(米国)
ペドロ・マチャド(ブラジル)

この8人の中で、IBJJF世界王者の肩書を持つのはロ、バルボーザ、バイエンセの3人。特に実績・知名度共に群を抜いているのは、言わずと知れた4階級世界王者のレアンドロ・ロだ。

12年にライト級世界王座に就いて以来、ミドル、ミディアムヘビーと制し、2019年にはついに(友人のブシェシャことマーカス・アウメイダに決勝戦を譲られる形ではあったものの)無差別級世界一の座に輝いた。

もうすぐ33歳となるレジェンドはここ数年試合数を絞っているものの、その強さは衰えを知らない。今年のパン大会のミディアムヘビー級においても2試合を勝利し、準決勝でチームメイトに勝利を譲っている。

重い階級での戦いにおいては、一瞬の爆発的なムーブで優位なポジションを取っては動きを止めるような試合運びが目立つロだが、今回は久々のミドル級。この体重ならば、強力なガードから様々なスイープを自在に使いこなし、上からは機動力を生かして鋭いニースライスやトレアナ・パスで攻め立てる本来の動きが期待できそうだ。

(C)CLAYTON JONE/FLOGRAPPLING

このロにとって天敵ともいえる存在が、2018年のミディアムヘビー級世界王者&2021年は同門とシェアで準優勝のハルクことルーカス・バルボーザだ。

ロとは道着着用では2019年のパン大会、2020年のBJJ Starsにて対戦。ロのオープンガードからの攻撃をトップから封じ込めて勝利している。

特に2年前の試合はテイクダウンでポイントを先行し、終盤はバックに付きかけての完勝だった。さらに2021年のBJJ BetのノーギGPの決勝でもロと対決。この時に至ってはテイクダウンからバックを奪ってチョークで一本勝ちを収めている。ロのガードの攻略法を完全に会得している世界でも数少ない選手の一人が、バルボーザなのだ。

低く重く相手を抑え込み、無駄な動きはせず上を決して譲らない重厚なバルボーザの戦い方は、ロだけでなく誰にとっても難攻不落と言えるだろう。普段より軽いミドル級の戦いとなるこの大会、減量の影響がないならばバルボーザこそ本命と言えるかもしれない。

もう一人の世界王者が、イザッキ・バイエンスだ。

高い身体能力を活かした抜群のスクランブル力とトップキープ力を誇る。このGPと同じミドル級を主戦場としていて、2018年に世界王座に就いた。2019年と2021年の世界大会決勝では、それぞれガブリエル・アウジェスとタイナン・ダウプラに惜敗したものの、どちらも正面衝突を避けた相手に50/50を作られて終盤まで延々と膠着された挙句、終了直前に微妙なポイントを稼がれての敗戦だった。バイエンスの実力が現在も世界最高峰にあることを疑う者はいまい。

2019年と2021年の世界大会決勝の展開からいえることは、今回の大会特有の膠着禁止ルールによってもっとも恩恵を受けるのがこのバイエンスということだ。これまでロとは数回対戦し、いずれもそのオープンガードを超えられずに敗戦を喫しているが、27歳と脂の乗り切った現在のバイエンスが、今回とうとうレジェンド超えを果たす可能性は決して少なくないだろう。

GPをさらに興味深くしているのは、上記3人の世界王者に対し、年齢下の若手黒帯5人が挑む構図となっていることだ。

一番の注目は最年少19歳、柔術の神の子ことミカ・ガルバォンであることに異論はないだろう。ルタ・リーブリとブラジリアン柔術の両方で黒帯を巻き、北米では主にノーギシーンにおいて、突出した反応速度を利した一瞬の切り返しや驚くべき極めの強さをもって見る者を魅了している。そしてその驚異のパフォーマンスは、道着着用ルールにおいてさらなる輝きを放つ可能性が高い。

茶帯として参戦した昨年のEUG大会の道着着用トーナメント準決勝では、年末に世界王者となるタイナン・ダウプラと歴史に残るような大激闘を展開。ダウプラの強力無比なオープンガードを盤石の重心とボディバランスで封じ込めた上で、絶妙の体捌きと反射を利したパス攻撃で追い詰め、一瞬で三角絞めの体勢を作ってみせて判定勝ちを収めてみせた。

続く決勝では、弟弟子の雪辱に燃えるジョナタ・アウヴェスの執念の防御&膠着戦法を攻略できずに惜敗したものの、試合全般においてほぼ一方的に攻撃を続ける圧巻の内容だった。今年3月のパン大会において、ダウプラとアウヴェスのAOJ勢が頭二つ抜けた強さを見せつけたことを考えても、当時茶帯だった──柔術の神の子の凄まじさが分かろうというものだ。

昨年はさらにその後、アブダビ・ワールドプロ大会にエントリー。ブラジル予選と世界大会の両方の6試合のうちの5試合で一本勝ちを収めて圧巻の優勝を遂げている。

オープンガードを駆使する相手にギを掴まれても一切動じない盤石のベース&ボディバランス、強烈無比なプレッシャーといったファンダメンタルにおいても無類の強さを持つ神の子は、摩擦が多く極めの力がさらに増す道着着用ルールにおいてこそ最も輝くといえる。

今回、三人の世界王者とガルバォンの試合が実現すればどれもドリームカードだが、特に期待されるのはロとの一戦だろう。トップ、ボトムの双方から多彩かつダイナミックな攻撃を繰り出し、ファンを魅了する新旧レジェンドによる初対決は実現するか。

(C)CLAYTON JONE/FLOGRAPPLING

若手の中でもう一人注目選手を挙げるなら、やはりロベルト・ヒメネスか。

ダイナミックな極めと見事なバックグラブを中心にノーギシーンで活躍する21歳は、昨年2月のBJJ Starsにおいてバイエンセとノーギで対戦しており、ポイントで惜敗したもののバックを奪いかける等の大健闘をみせた。

そして先日のパン大会では久々に道着着用ルールに登場。初戦を突破した次戦で、色帯時代から因縁のある現世界王者タイナン・ダウプラと対戦。三角絞めに屈したものの、先制のテイクダウンを奪った上で見応え十分のスクランブル合戦を展開して力を示した。摩擦によってバックグラブの精度が上がる道着着用ルールにおいて、ヒメネスがレジェンド相手にアップセットを引き起こす可能性は間違いなくある。

残りの3人のブラジル人若手黒帯選手も、いずれも実績を持った存在だ。24歳のマウリシオ・オリヴェイラは、2018年の茶帯ミディアムヘビー級世界王者にして、昨年のBJJ Bet大会におけるノーギトーナメントにてガルバォンの極めを凌いて殊勲の星を挙げた選手だ。

25歳のレオナルド・ララは18年の茶帯ミドル級世界王者で、上述の昨年のワールドプロ大会において、ガルバォンに唯一極めさせなかった選手だ。23歳になったばかりのペドロ・マチャドは昨年末に黒帯を取得し、3月のパン大会のヘビー級で3位入賞を果たしている。

今も最高峰の実力を保持する世界王者3人と、その首を狙う新世代5人による要注目の戦いが幕を開ける。

■視聴方法(予定)
5月1日(日・日本時間)
午前7時00分~FLOGRAPPLING

The post 【BJJ STARS08】膠着禁止のミドル級GP。柔術の神の子=ミカ・ガルバォンがロを始め3人の世界王者に挑む first appeared on MMAPLANET.
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MMA MMAPLANET o PJJC2022   タイナン・ダウプラ ホナウド・ジュニオール リーヴァイ・ジョーンズレアリー ロベルト・ヒメネス

【PJJC2022】ミドル級優勝は因縁のヒメネスに完勝、タイナン・ダウブラ。ムンジで✖ミカの実現に超期待!!

【写真】パン柔術はステータスが世界に2番目に高く、かつムンジアルの最高の予告編になっている(C)IBJJF

6日(水・現地時間)から10日(日・同)まで、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナにて、パン柔術選手権が行われた。
Text Isamu Horiuchi

レビュー第3回は、ミドル級の戦いの模様を、快進撃を続ける若き昨年度世界王者タイナン・ダウプラの戦いを中心に紹介したい。


<ミドル級2回戦/10分1R>
タイナン・ダウプラ(ブラジル)
Def. 2分00秒by 三角絞め
ロベルト・ヒメネス(米国)

ノーギシーンでルオトロ兄弟を連破する等、大いに活躍するヒメネスと、ギあり柔術で昨年の世界制覇等、快進撃を続けるダウプラ。今回ヒメネスが初戦を突破したことで、関係者・ファン注目の若手対決が実現した。ちなみに両者は色帯時代にも対戦経験があり、紫帯時代にはヒメネスがチョークでダウプラから一本勝ちを収めた後、尻に付けた「完全ナチュラル、ステロイドなし柔術」のバッジをアピールする行為をしたことで物議を醸したこともあった。

試合開始後前進するダウプラだが、そこにヒメネスがカウンターでダブルレッグ。ダウプラはあまり抵抗せずに下になり、まずヒメネスが2点を先制した。

ダウプラがクローズドガードを取ると、ヒメネスはすぐにその体をリフトしながら立ち上がる。ダウプラはガードを解きながら着地すると同時にヒメネスの右足にデラヒーバで絡み、すぐに後ろに倒して上に。一瞬の早技で上を取り返してみせた。

さらにダウプラはヒメネスの右足を押さえながら、右に回ってのパス。ヒメネスがそれを嫌がって背を向けると、素早くバックへ。だがヒメネスはそれを許さず体をずらして上になってみせた。ここまででスコアは2-2。アドバンテージはダウプラが2つリード。重厚な戦いで相手を圧倒することが目立つダウプラが、まるでヒメネスに付き合うかのように動きのある攻防を展開している。

さらに下から動くダウプラは、体をずらしてヒメネスの左足に絡んでトーホールドを仕掛ける。これをヒメネスが回転して逃れると、ダウプラは上を取りにゆくが、ヒメネスはスクランブルで上に。

しかしダウプラはそこにアームドラッグでカウンター。ヒメネスは動きに逆らわずに前転するとガードを取り、そしてすぐに立ち上がってみせた。WNOのノーギグラップリングマッチが道着着用ルールに出現したかのような攻防だ。

ダウプラはガードに引き込むと、ヒメネスの右足に絡んで煽る。百発百中のスイープ狙いかと思いきや、ヒメネスの体勢が崩れた瞬間、ダウプラはあっという間に三角絞めをロックオン。そのまま強靭な脚力で締め上げるとヒメネスはタップ、開始からわずか2分少々のことだった。

普段は堅実な戦いで盤石の強さを見せるダウプラが、ヒメネスの領域であるダイナミックな攻防にあえて踏み込むような戦いを見せた上で、圧巻の極めの強さを見せつけて完勝。大会前から注目されていたこの対決だが、ダウプラが道着着用における現役世界王者の力を見せつけた。

翌日、ダウプラは準々決勝のエドゥアウド・カウバーリョ戦も2分少々で襟絞めで圧勝。準決勝において、昨年の世界大会の雪辱を期すホナウド・ジュニオールとの再戦を迎えた。

<ミドル級準決勝/10分1R>
タイナン・ダウプラ(ブラジル)
Def. by 2-0
ホナウド・ジュニオール(ブラジル)

引き込んだジュニオールがクローズドガードを取ると、ダウプラはすぐにリフトして立つ。スパイダーに切り替えるジュニオールに対し、ダウプラはその足を捌いて右にパス攻撃。ジュニオールは右足をダウプラのラペルに引っ掛けて守るが、無類の重心とプレッシャーを誇るダウプラは意に介さず低く右への侵攻を続ける。

右のラペルスパイダーに加えて、左は通常のスパイダーを作ってなんとか距離を保って耐えるジュニオール。対するダウプラは全くバランスを崩さず、右に低くプレッシャーをかけ続ける展開が続いた。

試合時間が半分近く経過したところで、苦しくなったかジュニオールはついにスパイダーを解除してスクランブルへ。すかさず反応したダウプラはバック狙いへ。ジュニオールは体を翻して正対し、ガードを取って立ち上がるが、この攻防でダウプラに2つ目のアドバンテージが与えられた。

スタンドに戻ると、今度はダウプラの方が引き込み。デラヒーバやシッティングから仕掛けにかかるダウプラと、立った状態でそれを捌いてパスを狙うジュニオール。やがてジュニオールの足首を持ち股間に潜り込んだダウプラは、後転するような形でジュニオールを前に崩した。

お互いうつ伏せの状態から、フットロックを掛け合う両者。ここからダウプラがスクランブルで上を取り、2点獲得。こういう場面ではダウプラの鍛え上げた強靭な身体がものを言う。さらに足を捌いて左右に鋭いパスをダウプラだが、ここはジュニオールが凌いだ。

ブレイクを経て残り2分。ジュニオールは引き込んでから内回りを狙うが、ダウプラは、すかさず背中とマットの間に飛び込んでバック狙い。メンデス兄弟を師とダウプラだけに、この辺の反応は見事だ。凌いで立ち上がったジュニオールは再び引き込み、今度はシッティングガードから膝裏からラペルを捕獲。ここからダウプラを前に崩したジュニオールは、背中に回ることに成功。

さらにグラウンドに持ち込んで逆転の両足フックを狙うが、スクランブルで無類の強さを持つダウプラは体を翻して立ち上がる。この攻防でジュニオールにアドバンテージが1つ与えられた。

残り20秒、前進して組むと激しく足を飛ばすジュニオールだが、ここでダウプラの指が目に当たってブレイクに。再開後、ダウプラはすかさずクローズドガードに引き込み、残り時間をやり過ごして終了。スイープの2点を守り切ったダウプラが、雪辱を期すジュニオールを返り討ちにした。が、ジュニオールもダウプラの無類の圧力に耐えてパスを許さず、最後はシッティングからダウプラの体勢を崩してみせる等、確実に爪痕は残したのだった。

<ミドル級決勝/10分1R>
タイナン・ダウプラ(ブラジル)
Def. by 3-0
ジェフェルソン・グアレシ(ブラジル)

ダウプラの決勝の相手は、ジェファーソン・グアレシ。ユニティ柔術の同門にして優勝候補のリーヴァイ・ジョーンズレアリーが対戦を棄権したこともあり、決勝進出。昨年の世界選手権でダウプラに一本負けを喫しており、今回雪辱を期してこの舞台に臨んだ。

引き込んだグアレシは、ラッソーガードを作る。強固なベースをキープするダウプラは、グアレシの足をさばきながら左右にパスのプレッシャーをかけてゆく。グアレシも足を効かせて守るが、ダウプラは攻撃の手を休めない。

やがてグアレシの右足を押さえつけたダウプラは、右に動いて体重をかけてサイドに付きかける。グアレシが左足を差し込んで守ると、その左足をドラッグ。これで背中を見せることを余儀なくされたグアレシが前転するその瞬間、ダウプラは飛び込んでバック狙いへ。

グアレシはスクランブルを試みるが、ダウプラはその右脇をフロントネルソンの形で前からすくい、そのままグアレシの体をひっくり返して背中を付けさせて押さえ込む。かろうじて右足にハーフで絡んだグアレシだが、ダウプラは脇を差し首をコントロールしてグアレシの上体を完全に殺すと、右足を抜いてパスを決めた。6分過ぎのことだった。

強烈な押さえ込みの前にしばし動けなかったグアレシだが、やがてスクランブルしてうつ伏せに。ここでダウプラはバックを取りにゆくが、グアレシはそれを前に落とすことに成功。が、下になっても安定感のあるダウプラ、その後はすかさず強固なオープン&クローズドを駆使して試合終了まで堅実に守り切り、試合終了。

昨年度世界王者のダウプラが、下馬評通りの強さを見せつけて優勝。特に初戦のヒメネス戦の立体的な動きと強烈な極めは、すでにその強さを熟知している者たちの予想すら超えるものと言えた。6月の世界大会の大本命であるこの若者を止める可能性があるのは、今回返り討ちに遭ったものの、唯一その牙城に迫ったホナウド・ジュニオールか、昨年の決勝を争ったイザッキ・バイエンセか、今回対戦が実現しなかったリーヴァイ・ジョーンズレアリーか。

あるいは昨年、驚愕の大激闘の末に黒帯としてダウプラに唯一の黒星を付けた「柔術の神の子」ミカ・ガルバォンか──?

【ミドル級リザルト】
優勝 タイナン・ダウプラ(ブラジル)
準優勝 ジェフェルソン・グアレシ(ブラジル)
3位 ホナウド・ジュニオール(ブラジル)、マチアス・ルナ(ブラジル)

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MMA MMAPLANET o PJJC2022 アンディ・ムラサキ アンデウソン・ムニス エリキ・ムニス クレイグ・ジョーンズ グーテンベルギ・ペレイラ ジョナタ・アウヴェス タイナン・ダウプラ タリソン・ソアレス ダンテ・リオン ディヴォンテ・ジョンソン ブルーノ・マルファシーニ ペドロ・マリーニョ ホベルト・アブレウ リーヴァイ・ジョーンズレアリー レアンドロ・ロ ロベルト・ヒメネス 嶋田裕太 橋本知之

【PJJC2022】パン柔術見所。ライト級のムラサキ✖アウヴェス。ミドル級はダウプラ、ヒメネスらに注目

【写真】昨年のパンナムは8ファイナル敗退だったアンディ・ムラサキ。今年はどうなる?!(C)EUG

フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナで6日(水・現地時間)から、IBJJFパン柔術選手権が10日(日・同)の日程で始まっている。

世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこのパン柔術。プレビュー最終回は橋本知之が出場するライトフェザー級、嶋田裕太が出場するフェザー級以外について考察したい。


【ルースター級】
本命は2020年のヨーロピアンでブルーノ・マルファシーニ越えを果たし(その年は惜しくも決勝で橋本知之に敗れたものの)、今年のヨーロピアンで優勝を果たしているタリソン・ソアレスか。ソアレスと決勝で対峙する有力候補としては、2019年のヨーロピアンで芝本幸司に快勝したカルロス・アルベルトが挙げられるだろう。

(C)EUG

【ライト級】

この大会2連覇中、AOJのジョナタ・アウヴェスがエントリー。昨年のEUG2のトーナメント決勝にて、柔術の神の子ことミカ・ガルバォンと対戦し、一度トップを取ったら這いつくばってでもキープする執念の戦いぶりでリードを守り切って優勝した姿が印象深い。

そして別ブロックには、ティーン時代を日本で過ごし、昨年のEUG1で世界的黒帯を3タテして衝撃の黒帯デビューを果たしたアトスのアンディ・ムラサキがいる。

23歳のアウヴェスと22歳のムラサキは今年のLAオープンの決勝でも対戦し、この時は8-8のアドヴァンテージ差でアウヴェスが勝利している。柔術界の未来を背負う新世代のライバル対決が、今回決勝でまた見られる可能性は高そうだ。

(C)SATOSHI NARITA

【ミドル級】

大本命は、昨年の世界大会初出場にて初優勝を果たしたタイナン・ダウプラ。鍛え上げたフィジカルを武器に、万力のオープンガードで相手をたちどころにスイープして上を取ると、問答無用の圧力で相手のガードを潰して極めまで持ってゆく戦い方は圧巻だ。

(C)FLOGRAPPLING

そのミドル級、ダウプラの初戦が要・注目だ。

1回戦シードのダウプラが初戦で当たる可能性が高いのが、WNO等のノーギシーンでも目覚ましい活躍を見せるロベルト・ヒメネスだ。見事なバックグラブの技術とどこからでも極めを狙うダイナミックな戦いを身上とするヒメネスが、ダウプラの盤石の戦いぶりを崩せるか、注目したい。

ここをダウプラが順当に勝ち上がれば、おそらく準決勝で当たるのはホナウド・ジュニオール。昨年はパン大会、世界大会とどちらもダウプラの軍門を下っているだけに、雪辱に向ける気持ちは強いだろう。

もう一つのブロックにも強豪選手が散見されるが、ダウプラとの決勝を期待したいのは豪州出身のリーヴァイ・ジョーンズレアリー。抜群の切れ味のベリンボロ・ゲームの持ち主で、以前絶対王者ルーカス・レプリの必殺ニースライス・パスを凌駕してみせて世界を驚かせた。レアリーのベリンボロは、ベリンボロを世界に広めたメンデス兄弟を師に仰ぐダウプラにどこまで通用するのだろうか。

【ミディアムヘビー級】

最大のビッグネームは、階級世界制覇のレジェンド、レアンドロ・ロ。ユニティのムリーロ・サンタナ門下に入ったロと、別ブロックにいる師のサンタナによるクローズアウトが実現するかどうかが注目だ。

この二人を止める候補としては、メンデス兄弟の弟子にして昨年の茶帯世界王者マテウス・ホドリゲスや、昨年のF2W 166でダンテ・リオンに勝利する等ノーギで活躍するマニュエル・ヒバマーらが挙げられる。

【ヘビー級】
第1シードはポーランド出身、今年のヨーロピアン王者のアダム・ワルジンスキ。準々決勝では2019年のADCC世界王者にして、世界柔術でも二度3位入賞しているマテウス・ディニズと当たる可能性が大きく、この対戦がトーナメント序盤の大きなヤマとなりそうだ。

別ブロックでは、素晴らしい切れ味のヒールやギロチンを武器にノーギシーンで活躍し、1月のWNOではクレイグ・ジョーンズを破る殊勲の星を挙げたペドロ・マリーニョがエントリー、道着着用での戦い方も注目だ。

【スーパーヘビー級】
昨年の世界柔術初出場初優勝を果たしたエリキ・ムニスが大本命。長いリーリを活かしたスパイダーガードはまさに難攻不落、別ブロックにいる兄のアンデウソン・ムニスとともにクローズアウトを狙う。

が、アンデウソンのブロックには、エリキと昨年の世界大会決勝を争い僅差で敗れたフィリッペ・アンドリューや、そのアンドリューに道着着用の世界大会では敗れたものの、ノーギ・ワールズではアナコンダ・チョークで一本勝ちを収めて優勝したディヴォンテ・ジョンソン等の有力選手が控えている。

(C)SATOSHI NARITA

【ウルトラヘビー級】

最大のビッグネームは、サイボーグことホベルト・アブレウ。13年にADCC世界大会無差別級を制し、昨年もノーギ・ワールズで優勝する等その強さは健在だ。ノーギ専門家というイメージが強いが。その必殺のトルネードスイープは、道着着用にてグリップを確保することで威力が増すはずだ。準々決勝で当たる、昨年サウスアメリカンを完全制覇しているワラス・コスタとの試合がまずはヤマとなりそうだ。

もう一つのブロックには、強靭なベースを誇り、昨年、今年とワールドプロ大会を2連覇しているグーテンベルギ・ペレイラがいる。ちなみにペレイラとコスタは今年のグランドスラム・ロンドンの決勝でも当たり、僅差でコスタに凱歌が上がっており、今回の決勝で再戦が実現する可能性は大いにあるだろう。

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MIKE MMA MMAPLANET UFC WNO13 クレイグ・ジョーンズ タイ・ルオトロ デヴィッド・ガルモ ニック・ロドリゲス ハイサム・リダ ブリアナ・ステマリー ペドロ・マリーニョ マイキー・ムスメシ リーヴァイ・ジョーンズレアリー ロベルト・ヒメネス

【WNO13】ムンジの翌月にWNO王座防衛戦=マイキー・ムスメシ。ADCCへ、無名のピクスリーに注目!!

【写真】哲人であり、鉄人のマイキー・ムスメシ (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

21日(金・現地時間)、WNOの2022年が始まる。テキサス州フリスコにあるUFC PIを彷彿させる設備を誇るスポーツ・アカデミー・アット・ザ・スターが舞台となるWNO13は、3つのタイトル戦を含み注目カードが揃っている。

WNOライトヘビー級王座決定戦=クレイグ・ジョーンズ×ペドロ・マリーニョ、当初WNOミドル級選手権試合と伝えられたタイ・ルオトロ×リーヴァイ・ジョーンズレアリーはウェルター級王座決定戦となり、WNO史上初のチャンプチャンプをルオトロが目指す。

さらに当初の予定ではジョン・カレスティンとワンマッチを戦うと発表されていたエステファン・マルチネスが、バンタム級王者マイキー・ムスメシに挑むこととなった。


その一方で残念なのがハイサム・リダの欠場だ。ジェイソン・カウチとライトヘビー級で戦う予定だったハイサムの代役を務めるのは、カルペディエムからアッセンブリー柔術に掛けて盟友デヴィッド・ガルモとなった。

昨年9月のミドル級トーナメントでロベルト・ヒメネスをヒールで下し一躍注目されるようになったカウチとガルモは普段から電話で話す仲らしく、友人対決となる。カウチが「アイツはチビだから」と言える関係でもあるが、「試合運びが上手い……でもレッグロックを少しでも早く極めるよ」とカウチは自信のほどを伺わせている。

ノーギワールズ・ルースター級優勝で2021年を飛躍の年としたマルチネスと急遽タイトル防衛戦を戦うこととなったマイキー。WNOのポッドキャストで「この一戦が組まれるべきだ」という声を聞き、主催者に「やるよ」とテキストを送り、世界戦が決定したという……。

「毎月のようにベストガイと戦って、自分を試したい」というマイキーは、12月にムンジアルで道着の世界イチに輝いたばかりだ。マルチネスはサブオンリーよりも、ノーギ柔術家というスタイルで、プレッシャーが強い。その攻めのスタイルにマイキーの防御&カウンター攻撃──極めでそれを可能にする能力が見られるのか、あるいはマルチネスが突破するのか要注目だ。

この他、ニッキー・ロドリゲスとプレリミ出場のマイケル・ピクスリー、レスリングで実績を残す新鋭グラップラーも見逃せない。とはいニック・ロッドは既にトップの1人、その力は誰もが認めるところだ。他方ピクスリーはまだ無名といっても過言でない。

柔術では青帯ながら、ノーギワールズではヘビー級で3位、そして無差別級を制したピクスリーはディヴィジョン2の184ポンド級NCAA王者だ。テイクダウンやスクランブルでのマルセロチンやダースの切れ味が抜群──のカウチの同門ピクスリー。ADCCイヤーのWNO13──今大会随一の青田買い候補だ。

■視聴方法(予定)
12月12日(土・日本時間)
午前10時00分~Flo Grappling

■ 対戦カード

<WNOライトヘビー級王座決定戦/15分1R>
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)

<WNOウェルター級王座決定戦/15分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
リーヴァイ・ジョーンズレアリー(豪州)

<ヘビー級/15分1R>
ニック・ロドリゲス(米国)
エルダー・クルーズ(ホンジュラス)

<女子フライ級/15分1R>
ブリアナ・ステマリー(カナダ)
トビー・アレキン(米国)

<ライトヘビー級/15分1R>
ジェイコブ・カウチ(米国)
デヴィッド・ガルモ(米国)

<WNOバンタム級選手権試合/15分1R>
[王者]マイキー・ムスメシ(米国)
[挑戦者]エステファン・マルチネス(米国)

<女子フライ級/15分1R>
ジェシカ・クレイン(米国)
アレクサ・ヤネス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
マイケル・ピクスリー(米国)
キャメロン・リード(米国)

<ミドル級/5分3R>
ジノ・モレリー(米国)
カモイ・アンダーソン(米国)

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ABEMA IRE06 MMA MMAPLANET ロベルト・ヒメネス 杉内由紀 石黒遥希

【IRE06】奇跡のOT同タイムショーで杉内由紀に競り勝った石黒遥希は、ウェルラウンディット柔術家!!!

【写真】コンバット柔術でしっかりとIBJJF柔術の技術を駆使して戦った石黒は、まるでロベルト・ヒメネスのようなアッパレな戦い振りだった(C)MMAPLANET

10日(日・祝)に東京都港区のリバーサル田町芝浦スタジオで開催されたIRE06。

コンバット柔術ルールの6試合がABEMAでライブ配信されるという画期的な大会から──奇跡のオーバータイムが見られた石黒遥希×杉内由紀の模様をレポートしたい。

<51.5キロ契約/7分1R>
石黒遥希(日本)
Def.OT3term
杉内由紀(日本)

試合開始直後、距離を詰めてケージ際まで押し込んだ石黒は、押し返されると大内刈りを切り返され、下になって足を取る。ここで杉内も外掛けからヒールを狙い、抜かせないように足首を掴む。

石黒は一瞬起き上りつつ、ストレートフットロックへ。腹ばいになった石黒に対し、杉内は外ヒールで対抗する。

杉内はトーホールドに移行し、起き上った石黒が左の尺骨系掌底を落とす。サドルを取りつつ石黒を寝転ばせた杉内は上体を起こして、掌底を見舞っていく。50/50で尻もちをつかせた石黒が、内ヒールへ。杉内もここも外ヒールで対抗したが、起き上った石黒は足関合戦に見切りをつけて、パスに成功する。

ここから石黒はマウントを取り、左右の掌底を思い切り落としつつ杉内が背中を見せたタイミングで両足をフック&チョークへ。

しっかりと入っているように見えたが、両手を差し入れた杉内が気道を確保する。チョークを狙いつつ左の掌底を連打した石黒が、柔術に掌底を上手く融合させた動きを見せている。

杉内は腰をずらして正対すると、石黒は下から叩いていく。杉内の掌底狙いに、一気に腰を切って腕十字を狙った石黒は、ここも掌底につなげる。

さらに杉内のストレートフットロックにも、上体を起こして叩いていく石黒は足の取り合いでもストレートフットロックを狙う。石黒は右足を杉内の左ヒザ裏に固定し、掌底を続ける。最後に杉内がストレートフットロックを仕掛けたが、極まらずタイムアップに。

OTはジャンケンで勝った石黒が50/50をセレクトする。杉内がフックを蹴って足を抜くまで要した時間は19秒、後攻となり50/50を選択する。極めにいった杉内に対し、ロールしながら石黒が足を抜く──と、このエスケープタイムも19秒で異例のOT2タームへ進む。

石黒はここも50/50、杉内がフックを足で落ちてヒザを抜いた。後攻・杉内も50/50を選択し、ロールを繰り返した石黒はケージに詰まりそうになりながらヒザを押して足を抜く。何と2タームも29秒と同タイムになり、石黒×杉内の一戦は奇跡のOT3タームに突入する。

三度、石黒は50/50でカカトを抱えホールドする。極めより、捕らえるという展開の足関勝負は44秒で杉内が足を抜く。徹底して50/50に拘る杉内は、ロールを繰り返し座ってきた石黒のカカトを掴んで両足で挟んだ──が、石黒が39秒でエスケープし、本場EBIのOTトーナメントを彷彿させた延長戦を制した。

OTの奇跡的な連続同タイムの印象が強い試合となったが、恐るべきは石黒の総合力の強さだ。サブオンリー的な足関節合戦をこなし、途中からノーギ柔術的なトップゲームに尺骨系掌底を織り交ぜるなど、コンバット柔術のコンバット、ノーポイント、柔術の全ての技術を融合させた見事な“闘い”振り、アッパレだった。


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MIKE MMA MMAPLANET WNO12 WNO13 アンディ・ヴェレラ オーランド・サンチェス クレイグ・ジョーンズ ジャンカルロ・ボドニ スティーブ・モウリー タイ・ルオトロ タリソン・ソアレス ニック・ロドリゲス ハイサム・リダ ハンター・コルヴィン ブリアナ・ステマリー ペドロ・マリーニョ リーヴァイ・ジョーンズレアリー ロベルト・ヒメネス ヴィニシウス・フェヘイラ

【WNO13】ハイサム・リダがジェイコブ・カウチと!! ニック・ロッド、コンバット2冠のステマリーも出場

【写真】ハイサムにとってもADCCイヤーが始まる (C)MIKE CALIMBAS

21日(金・現地時間)にテキサス州フリスコにあるスポーツ・アカデミー・アット・ザ・スターで開催されるWNO13の追加対戦カードが続々と発表されている。

WNOライトヘビー級王座決定戦=クレイグ・ジョーンズ×ペドロ・マリーニョ、WNOミドル級選手権試合=王者タイ・ルオトロ×挑戦者リーヴァイ・ジョーンズレアリーという2つのタイトル戦が組まれている同大会で、ハイサム・リダの出場とジェイコブ・カウチとの対戦が決まった。


ハイサムは9月のWNOヘビー級王座決定トーナメントでは初戦でティム・ブルックスに敗れたものの敗者復活戦に回りオーランド・サンチェス、ジャンカルロ・ボドニに勝利して3位入賞を果たした。

一躍世界中から注目を集める存在となったものの、その後はノーギワールズでは2回戦でヴィニシウス・フェヘイラに0‐7、SUGでアンディ・ヴェレラにOTで遅れを取るなど――ノーマークの存在でなくなった洗礼を浴びている。

(C)MIKE CALIMBAS

対するカウチはミドル級王座決定トーナメントに代役出場。

初戦で優勝候補のロベルト・ヒメネスをヒールで下したことで、ハイサムと同様に存在感を増したグラップラーだ。同トーナメントでは柔術の神の子ミカ・ガルバォンに敗れたが、連続参戦となったWNO12でハンター・コルヴィンをストレートアームバーで一蹴している。

ADCC北米予選では88キロ級に出場したカウチは、優勝したボドニに準決勝で遅れを取った。ボドニを軸に考えると、ハイサム有利という見方も成り立つもののグラップリングに三段論法は通じない。

ライトヘビー級で実施されるこのカード。ヒール、ストレートフットロックという尖端系から、三角絞め系の体のコアを制するサブミッションの持ち主に対し、ハイサムはスピードと反応、どちらも遅れを取ることができないタフファイトとなる。

またムンジアルではタリソン・ソアレスにエゼキエル・チョークで敗れたが、ノーギワールズ・ルースター級優勝& ADCC北米予選66キロ級3位とグラップリング界最軽量級のブレイクスルー・ファイター=エステファン・マルチネスが、バンタム級でジョン・カレスティンと戦う試合も見逃すことはできない。フィニッシュ率72パーセントを誇るマルチネスのパスガードとサブミッションに要・注目だ。

さらにFury Pro Gralling03でスティーブ・モウリーをRNCで一蹴したニック・ロッドことニック・ロドリゲスが、ADCC予選88キロ級準優勝のエルダー・クルーズと相対する一戦。加えて女子マッチではトビー・アレキンとコンバット柔術ストロー級及びバンタム級の世界王者ブリアナ・ステマリーのマッチアップと、粒揃いのカードが揃っている。

ADCCイヤーとなる2022年、WNOを追うことで世界の情勢が見えてくることは間違いない。

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ABEMA EXFIGHT03 IRE05 IRE06 MMA MMAPLANET   タツノスケ ロベルト・ヒメネス 倉本一真 寒河江寿泰 杉本孝

お蔵入り厳禁!!【IRE05】10日のコンバット柔術イベントのガイドラインに――寒河江寿泰✖杉本孝─02─

【写真】会津藩お留流――御式内?! こんな間合い、格闘技にあるのか? グラップラー同士のコンバット柔術創世記に見られた史実(C)MMAPLANET

10日(日・祝)に東京都港区のリバーサル田町芝浦スタジオでIRE06 が開催される。そこで倉本一真とコンバット柔術で対戦することが発表された寒河江寿泰が昨年7月のIRE05 =コンバット柔術70キロ級Tで優勝した直後に準決勝で対戦した盟友・杉本孝とともにコンバット柔術の魅力と課題について語り合った対談後編。

お蔵入り厳禁――6日後の日本初といっても過言でないコンバット柔術ワンマッチ大会を前にして、ガイドブックとなる両者の話をお届けしたい。

<寒河江寿泰×杉本孝対談Part.01はコチラから>


――グラップリングとレスリングの違いは、立ち技が続くとグラップリングはアクションが少ない。コンバット柔術も同様でした。

杉本 ハイ。立ち膠着が起こるぐらいなら、どちらかが下になって極めを狙う。それがこの競技の本質だと思います。

寒河江 立ち技が60秒続いた結果がじゃんけんでサドルだと、勝っても……有利すぎるだろうと思います。

ここはヒザ立ちから仕切り直しとかでも良いので、違う形になってほしいですね。じゃんけんで有利・不利があそこまでハッキリしてしまうのは……やはり気になります。

杉本 それまで攻勢だった方をレフェリーが選び、下か上かを選択させて寝技で再開とか。

寒河江 ただ同時にサドルや50/50を普段からやっている選手なら、そこまで危ういポジションでもないんですけどね。

――MMAとグラップリングの接点ということを考えると、あまりにもグラップリング側が有利で。しかも、その決定がジャンケンだと博打的になってしまいます。

寒河江 MMAの選手は、そこの練習に時間を割いていないでしょうしね。

杉本 柔術家もやっていないですよ。

寒河江 今成柔術が優位になりますね(苦笑)。

――今大会の雰囲気としては掌底が見られると、笑い声が挙がっていたのは気になりました。

寒河江 危ないんですけどね。痛いし、笑いごとじゃないって。

杉本 それがパンチと掌底の差なのでしょうか。掌底は音がパーンっていう感じで出て。効いているのか効いていないのか分からないけど、音は凄い。そういう空気が笑いを誘っていたのかもしれないですね。

――それは杉本選手がお尻とか太ももをパチパチと叩くからですよ(笑)。

杉本 完全にヒールですね(笑)。でも、こればっかりは経験がないので、掌底の距離感も分かっていなかったので、やってみないとどうなるのか想像がつかなかったです。

寒河江 自分の手も痛いことが分かりました。

杉本 顔と腹は効くかもしれないですけど、足とかはダメージを与えることはできないですよね。ただ掌底を使って意識を散らすとか、そういうことができるのかと思ってトライしてみました。

――今回は今成柔術、もしくはトイカツ東中野周辺の選手の出場が多かったですが、本場のコンバット柔術ではロベルト・ヒメネスとういIBJJF柔術の猛者が優勝したりもしています。IBJJFルールで戦っている柔術家の出場は期待できるでしょうか。

寒河江 どうですかね……見ていると笑い声が起こっていましたが、やると怖いですからね。

杉本 やはり練習で掌底を試すのと、試合になると感覚が全く違っていました。痛いし、それだけ怖い。

寒河江 長野(将大)選手の掌底なんて、本当にやばいですよ。あとカルペ芦屋のタツノスケ選手の掌底も……村田(卓実)さんが相当に効かされていました。

杉本 タツノスケ選手は途中で打つのを止めてスタミナ・セーブをしたように見えましたけど、セコンドがいれば打たせ続けてTKO勝ちしていたかもしれないです。

寒河江 生田(誠)さんも、相当に長野選手の掌底で頭を揺れていましたし。

――生田選手は掌底を効かされて取った手段がデラヒーバだったのは、本当に素敵でした。

杉本 ニーシールドでなく、デラヒーバ!! 

寒河江 そういうあたりもコンバット柔術が普及することで、Zガードを取るとかに変わってくるのでしょうね。近い距離のガードよりも、遠い距離を取るガードが増えるとか。

杉本 僕もクローズドに入れてしまうと思います。でも、そこから頭を引き寄せるとか柔術やグラップリングとは違う対処が必要になってきますね。

――そういう変化が起こる前が、また違った意味で醍醐味もありますし、コンバット柔術は誰もができるモノでない柔術として根付けば非常に面白そうです。

寒河江 マットでもやってみたいですね。ただ、広いから攻防が起こるかというのも実際のところは、それも試合が行われないと分からないでしょうね。

杉本 MMAの人はケージのほうが良いだろうし。マットとケージは絶対に違います。足関節にしても、ロールして逃げ続けることはできないですしね。

――今後もコンバット柔術に出場し続けたいという気になりましたか。

寒河江 顔を叩くのは得意じゃないとは、本当に思いました。スラップリングにグラップリングがあるのではなく、グラップリングをするためにスラッピングを使うぐらいでないと私は向いていないというのが正直なところです。

杉本 僕は知っている人間でも叩けるんだって分かりました(笑)。練習では一切叩けなかったのに、試合になると逆にできたので驚いています。掌底がないと取られるという心理状態が、叩くことを可能にしたんだと思います。だから初戦は叩いていないんですよね。倒せる……極めることができるという感覚で戦っていたので。

――それでも寒河江選手も決勝の村田選手との試合はかなり叩いていました。

寒河江 試合前に『殺しにいくからね』って卓実さんに言われ、これはいかないとやられると思って。でも10分を3試合はきついです(苦笑)。

杉本 柔術は止まることができますが、その態勢がコンバット柔術だと殴られるので体力も気持ちも休めるところがなくて……僕は2試合ですけど、しんどかったです。

寒河江 本場のコンバット柔術は優勝するまで4試合。こうやってトーナメントを戦って、あの過酷さが理解できました。尊敬します。

杉本 だからラバーなんでしょうね。完全に止まることできるので。

寒河江 それと今日のほうが本場より、掌底が多かったですよね。

杉本 柔術家、グラップラーよりもMMAの人とやってみたいです。コンバット柔術なら組み勝てるかとも思いますし。

寒河江 掌底をかい潜ってサブミッションにつなげるのが一番面白いので、次に出るときはそういう試合をしたいです。

杉本 ワンマッチでグラップラー×MMAファイター、レスラー×グラップラーとかの方が、グラップラー同士よりもコンバット柔術はもっと面白くなると思います。

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HEAT49 MIKE MMA ONE ONE Championship WNO Championships   ブログ ロベルト・ヒメネス

【WNO Championships】レポート─05─ミドル級この一番。ヒメネス、廃コインランドリー産ヒールに下る

【写真】カウチが優勝候補筆頭のヒメネスを内ヒールで破る (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されたWho’s Number One Championships。ライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメント──は2021年グラップリング界の最大のイベントとなった。
Text by Isamu Horiuchi

レビュー第5回はミドル級のこの一番──マイキー敗北に通じるアップセット=ジェイコブ・カウチ✖ロベルト・ヒメネス戦の模様をお伝えしたい。


<ミドル級1回戦/15分1R>
ジェイコブ・カウチ(米国)
Def.1分54秒 by ヒールフック
ロベルト・ヒメネス(米国)

ペドロ・マリーニョの負傷欠場を受け、直前で代打出場を決めたのはジェイコブ・カウチ。カウチは、話題の組技集団「デイジー・フレッシュ」ことペディゴ・サブミッション・ファイティング──ホドリゴ・バギの黒帯ヒース・ペディゴの指導の下、廃コインランドリーの建物にマットを敷いただけの粗末な道場に寝泊りし、修行僧の如く練習漬けの日々を送っている若者たちで、当初このトーナメントにエントリーしていたアンドリュー・ウィルツィがその出世頭だ──のメンバー。昨年のパンノーギ大会の紫帯を制して茶帯を取得しているカウチ。キャリアを考えると大抜擢だ。

この大チャンスに緊張した面持ちもなく、やる気に満ち溢れた満面の笑顔で登場したカウチは、試合開始後すぐに座る。

自分のやることは最初から決まっているとばかりに迷わずリバースデラヒーバでヒメネスの右足に絡んでいったカウチは、内側から左足を絡めてサドルを作り、外ヒールへ。

まだ入りが浅く回転して逃れたヒメネスだが、カウチはヒメネスのヒールを抱えたまま1度シットアップ。足の絡みを深くした後で、再び外ヒールを極めにゆく。ここも回転して防御するヒメネス。

両者が場外際まで行くと、カウチはいったん外ヒールのグリップを離して動きを止め、逆回転して中央まで戻ってゆく。

そこでヒメネスの右足を逆に持ち替えたカウチは、内ヒールを仕掛ける。ここも足を伸ばして回転して凌いだヒメネスは、カウチの左腕をホールドしながら立ち上がった。

が、サドル(インサイドサンカク)をしっかりとロックしているカウチは、ヒメネスのグリップが離れたところでさらに内ヒールで捻り上げる。

次の瞬間、ヒメネスは大声を上げてタップ。わずか2分弱。代役カウチが、優勝候補筆頭のヒメネスから一本勝ちという大殊勲を上げた。

ほぼ無名のカウチが、迷わずひたすら自分の得意技を仕掛け続けることで、本命のヒメネスに自分の戦いをする機会を一切与えずに極めきっての大金星。いかにオーソドックスな柔術の技術が高くても、足関節技への高度な対応ができないと不覚を取りかねない。グラップリング最先端における現実を、改めて教えてくれる試合だった。

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