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お蔵入り厳禁【ADCC2022】無差別級 タイ・ルオトロ、今大会道着柔術最強メレガリ相手に奮闘の準決勝

【写真】体格差だけでなく、ノーギの慣れとファウンデーションの強さでタイを下したメレガリ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第21回は――お蔵入り厳禁、今大会の出場者のなかで道着柔術最強といっても過言でないニコラス・メレガリとタイ・ルオトロが対戦した無差別級の準決勝の模様をお伝えしたい。


もう一方のブラケットを勝ち抜きタイとの準決勝まで上がってきたのは、99キロ以下級で3位入賞したニコラス・メレガリだ。

初戦はヴィニシウス・フェレイラ相手に下から足を取りにゆくと、勢いよくスピンして引き抜いたフェレイラが左ヒザを負傷してしまい棄権。メレガリが次に駒を進めた。二回戦でメレガリを待っていたのは、同門にして88キロ以下級を圧巻の強さで制したジャンカルロ・ボドニだ。

ボドニは初戦では、一年前のWNOチャンピオンシップの重量級3位決定戦で僅差で敗れているハイサム・リダと再戦。そのボドニ、ハイサムのオープンガードを丁寧に捌き、体を二つ折りにしてレッグドラッグから背後にまわる。

ハイサムの左腕を両手で掴んで動きを制した後、裏返して後ろ三角絞めをロックしたボドニ。最後は孤立した左腕を捻り上げ、4分少々で一本勝ち。最重量級のハイサムの動きを完全に封じたまま、詰将棋の如く一手ずつ進めて極めまで持っていくという、恐るべしとしか言いようがない技術の高さと圧巻の強さを見せつけた。

ボドニとの同門対決となったメレガリの2回戦。まず小外刈りを内股で切り返されてしまったメレガリだが、下から足を絡めて上を取ると、レッグドラッグからパスに成功。

加点時間帯に入ってからニアマウントからバックに回ってフックを入れ、さらにそれを入れ直す形でリードを6点に広げた。

その後エスケープに成功したボドニにスタンドでテイクダウンを仕掛けられると、あまり抵抗せず下になったメレガリは、得意のガードで残り時間をやり過ごしてチームメイト対決を制し、ルオトロとの注目の準決勝に駒を進めた。

<無差別級準決勝/10分1R>
ニコラス・メレガリ(ブラジル)
Def ExR by Reff decision
タイ・ルオトロ(米国)

スタンドにて、お互い頭に手をかけてはいなし合う展開が続いた後、身長で勝るメレガリが小手に巻いての内股へ。綺麗にタイの体を舞わせたが、タイはヒザを入れて距離を取り、右腕でフレームを作り立ち上がった。

さらにスタンドの攻防が続くなか、メレガリがやや腰高のままタイの右足を掴みながら前に。と、今度はタイが小手からの内股でカウンター。メレガリの体を前に崩すと、次の瞬間必殺のダースチョークをロックオン。

場内の興奮が一気に高まるなか、腕が深く食い込み絶体絶命かと思われたメレガリだが、右腕を張って距離を作って脱出。そのまま体を預けて上を取るメレガリに対し、タイはバギーチョークを狙う。が、メレガリは大きな上半身を引いて逃れてみせた。

そこからしばらく、右でニースライスを仕掛けるメレガリのプレッシャーを、タイが下から耐える展開が続く。やがて試合が加点時間帯に入り、タイは両腕のフレームで距離を作り、さらに脇を差しながら立ち上がった。体格差のあるメレガリ相手に、さすがのスクランブル能力だ。

その後もスタンドで積極的にフェイントから仕掛け合う両者。やがてメレガリが前に出てボディロックを取ると、タイは小手投げでカウンター。が、これを耐えたメレガリはタイの背後にまわる。ここから高々とリフトしてグラウンドに持ち込もうとするメレガリだが、タイはすぐに立つ。

それでも背後に付き続けるメレガリ。タイが自ら前方に倒れてのスクランブルを試みると、巨体を浴びせてハーフネルソンからタイの体を返してフックを狙う。が、タイは一瞬早く体を翻して立ち上がってみせ、場内からは再び大きな歓声が上がった。

その後メレガリは、再びタイの右足に手を伸ばして抱えると、タイの軸足を豪快に刈ってのテイクダウン。スクランブルを試みるタイの背後に付く――や、タイは前転狙い。体重を浴びせてそれを許さないメレガリと、前転して足を取りたいタイの攻防が続く中で本戦が終了した。

スタンドから再開された延長戦。タイはヒザを付いてのダブルレッグへ。深く入りそのままドライブを試みるが、メレガリは倒れず、右の前腕で距離を取って防いでみせた。これは体格差がものを言った。

さらにスタンドの攻防が続き、またしてもメレガリが長い手を伸ばしてタイの右足をキャッチ。そのまま前に出て体を預けて倒し、亀になったタイに背後から覆いかぶさってバックを狙う。が、タイはここもスピンして体をずらし、襷を作ろうとするメレガリの腕を自分の腕で押しのけながら正対してみせた。

下になりかけたメレガリは腕で距離を作って立つが、すかさず迫ったタイは背後からボディロック。が、メレガリは豪快に巨体を舞わせて前方にダイブ。体のグリップを切って立ち上がる。

その後の残り2分、お互いスタンドでフェイントをかけ、手や足を飛ばし合いシュートインを試みるなかで試合終了。激闘を繰り広げた両者を、場内は大歓声で称えた。

レフェリー判定はメレガリに。スタンドでのテイクダウン狙いからタイを亀にさせる場面を数回作ってみせて、背後からフックを狙う時間も長かったので妥当な裁定だろう。

一方、惜しくも敗れたタイ。大きな体格差のあるメレガリ相手に抑え込まれることなく、15分間最後までペースを落とさず動き続けたそのスタミナとスクランブル能力は、驚異としか言いようがない。2回戦のペナからの勝利も併せて、階級別初戦敗退のショックを払拭するに余りある活躍ぶりだった。

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MMA MMAPLANET o ONE ONE FN05 タイ・ルオトロ マラット・ガフロフ

【ONE FN05】グラップリング戦でタイ・ルオトロがガフロフが腕十字→三角から腕を伸ばしてフィニッシュ

【写真】まさに流れるような動きでルオトロがフィニッシュ(C)MMAPLANET

<サブミッショングラップリング81キロ契約/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def.5分09秒 by リストロック
マラット・ガフロフ(ロシア)

サウスポースタンスのテイクダウンのフェイントを見せたルオトロが、シングルレッグから組みつもガフロフが離れる。ガフロフのシングルレッグを返したルオトロ、なおもガフロフがシングルレッグで組みつくと、右のオーバーフックから投げてグラウンドへ。

ルオトロが左腕を捉えながら前転し、さらにダースチョークの態勢に移る。ガフロフが上になったところで、ルオトロはバギーチョークを狙う。頭を抜いたガフロフがトップをキープする。下から足を上げていくルオトロに対し、ガフロフはパスを狙いながらトップを保つ。さらに足を上げていくルオトロ。ここでレフェリーのシャオリンがブレイクをかけた。

頭を触りにいくルオトロが、右腕を差し上げてガフロフをケージに押し込む。一旦離れてからガフロフの左足を狙って前転するルオトロ。これが外れると今度は相手の左腕を狙って腕十字へ。ガフロフが起き上がったところで三角に切り替え、さらに左腕を伸ばしてタップを奪った。

公式記録はリストロックによるフィニッシュ、試合後にガフロフが左腕を抑えるフィニッシュだった。


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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN04 ONE164 アナトリ―・マリキン アミール・アリアックバリ アンドレ・ガルバォン エジソン・マルケス エドゥアルド・フォラヤン キック ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ジェネリン・オルシム ジェレミー・パカティウ ジャレッド・ブルックス ジョシュア・パシオ タイ・ルオトロ チャンネル ティオル・タン デニス・ザンボアンガ ドレックス・ザンボアンガ パク・デソン ボクシング マテウス・ガブリエル マラット・ガフロフ ミレーナ・カオリ モン・ボー ライニア・デリダー リン・フーチン ロベルト・ソルディッチ

【ONE FN04】ヘビー級暫定王者の挑戦受けるミドル&LH級王者デリダー「危険だけど特別じゃない」

【写真】ONEの巨大なベルトベルトも190センチ超のデリダーには格好良く収まる。そしてケイド・ルオトロの目線が良い感じだ(笑)(C)ONE

3日(土・現地時間)、フィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE Fight Night05でONE世界ミドル級&ライトヘビー級王者ライニア・デリダーが、暫定ヘビー級王者アナトリ―・マリキンの挑戦を受ける。

キックボクシング王国のグラップラー王者はキャリア16連勝中で、多くの試合を絞めて勝ってきた。RNC、肩固め、三角絞め、ダース、サイドチョーク、そして横三角。手足を絡ませて、腕を押しつけて首を取るチョーカーは挑戦者のレスリングを「まぁまぁ」、柔術を「大したことない」とぶった切った。


――ミドル級とライトヘビー級王者のライニアが、ヘビー級暫定王者マリキンの挑戦を受けます。調子はいかがでしょうか。

「良い感じだよ。ずっと練習してきて、もう少しするとマニラに向かう(※取材は11月24日に行われた)。力が漲っているし、準備はできている」

──階級の違うチャンピオンの挑戦を受けるというシチュエーションに関しては、どのように思っていますか。

「僕より重い階級で戦っているんだから、それだけでもデンジャラスな要素になる。マリキンは打撃にも良いモノを持っているし、チャレンジングなタイトル防衛戦だ」

──パワフルなウェルラウンダーという印象もありますが、打撃が強いというのがライニアの印象ですね。

「パワフルで強いよ。ただ危険な相手ではあるけど、特別なことは何もない。打撃もテクニックではなく、力があることに気を付けなければならない。主にボクシングで、キックは時々使うぐらいで特に気に留めることはない。レスリングはまぁまぁ、柔術は大したことない。

レスリングに関してはシンプルなダブルレッグで倒して、ガードの中に収まる印象がある。打撃と同じで、特別な技術力はないけどずば抜けたパワーが武器になっている。倒してからはコントロールというより、ガードの中にステイする基本的な戦い方だ。パスガードをするわけでもないし、寝技のテクニックはやってみないと分からないかな。でもデンジャラスだよ。ステップバックして、距離をコントロールすることが重要になって来るよね」

──前回のヴィタリー・ビクダシュ戦では下からの横三角のような形で勝利しました。あの形は体を跨がれると危ないかと思ったのですが、ビクダシュを落としての勝利に驚きました。

「皆が驚いてくれて嬉しかったよ。そういう戦いをするためにONEにいるんだから。これからもああいう試合を続けていきたいと思っている。それにあのポジションは正しかったし、危険なことはなかった。すぐに落としたようにね。あそこからエスケープされるというシナリオは、そんなに存在していない。

特に得意技というわけではないけど、ここ何年かは練習でもよく使っている。13年ぐらい前に柔術を始めた時から、体力を消耗しないことを考えてきた。その結果が、ここ数年……最近になって出てきたように感じている」

──アンドレ・ガルバォンとのグラップリングで引き分けたことは、MMAファイターとしてどのような経験になりましたか。

「アンドレのようなレジェントと組み合えただけで、成長できる。あの試合のあとでテキサスに行き、ゴードン・ライアンとも練習してきた。凄く良い経験になっている。彼らのような強いグラップラーと戦い、練習することで襟を正すことができる」

──ONEは打撃への評価が高く、距離を取って見合っているといエロカードが出される機会が増えました。

「僕は寝技と同じように打撃だって好きだよ。どんな場面でも戦うけど、やっぱりチョークを極めるのが好きなんだ(笑)」

──打撃、特に首相撲とレスリングの融合が見られるのが楽しみなのですが、なかなかその機会がないです。

「アハハハハ。今回、そうなるかもしれないよ(笑)。打撃の交換を見せることになるかもしれないけど、まぁテイクダウンしてチョークアウトだ。アハハハ。それが僕の戦いだから」

──コロナになって初めて、シンガポールを出てマニラに戦うことになります。

「僕のONEデビュー戦はマニラだった。現役の間に色々なところで、戦いたいと思っているから、今回は再びマニラで戦うことができてとても嬉しい。でも、そうなったら戦いたい場所は東京だろう。東京で試合がしたい。ONEが東京大会を開くという話も聞いたし、今度は僕の試合を組んで欲しい」

──ライニア、今日はありがとうございました。12月3日のタイトル防衛戦、期待しています。

「僕がベストだと証明する。目の前に立ち塞がる相手、全員をぶちのめす。そしてヘビー級王座も手にするよ。そして東京に行くんだ」

■ONE Fight Night05放送予定
12月3日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night05対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ライニア・デリダー(オランダ)
[挑戦者]アナトリー・マリキン(ロシア)

<ONEサブミッショングラップリング世界ライト級(※77.1キロ)王座決定戦/12分1R>
[王者]ケイド・ルオトロ(米国)
[挑戦者] マテウス・ガブリエル(ブラジル)

<ONE女子ムエタイ・アトム級選手権試合/3分5R>
[王者] アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
[挑戦者] ジャネット・トッド(米国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ムラッド・ラマザノフ(ロシア)
ロベルト・ソルディッチ(クロアチア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
パク・デソン(韓国)
ローウェン・タイナネス(米国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
エジソン・マルケス(ブラジル)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
アンバー・キッチン(英国)
ジャッキー・ブンタン(米国)

<サブミッショングラップリング81キロ契約/12分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
マラット・ガフロフ(ロシア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リン・フーチン(中国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)モン・ボー(中国)

■放送予定
12月3日(土・日本時間)
午後7時30分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE164対戦カード

<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
[挑戦者]ジャレッド・ブルックス(米国)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP決勝戦/3分3R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
ブランドン・ベラ(米国)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)
フー・ヤン(中国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジェレミー・パカティウ(フィリピン)
ティオル・タン(米国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジャンロ・マーク・サンジャオ(フィリピン)
マティアス・ファリネリ(アルゼンチン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
タギール・カリロフ(ロシア)
チョーファー・トー・センティノーイ(タイ)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)
ドレックス・ザンボアンガ(フィリピン)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
タオコンファー・バンチャメーク(タイ)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ジャスール・ミルザムハメドフ(ウズベキスタン)
オマル・ログログ・ケニ(セネガル)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジェネリン・オルシム(フィリピン)
モン・ボー(中国)

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN05 ONE164 UFC アミール・アリアックバリ エジソン・マルケス エドゥアルド・フォラヤン キック クリスチャン・リー ケイド・ルオトロ ジェネリン・オルシム ジェレミー・パカティウ ジャレッド・ブルックス ジョシュア・パシオ タイ・ルオトロ チャンネル ティオル・タン デニス・ザンボアンガ ドレックス・ザンボアンガ パク・デソン パンクラス ボクシング マテウス・ガブリエル マテウス・ガムロ マラット・ガフロフ ミレーナ・カオリ モン・ボー ライニア・デリダー リン・フーチン ロベルト・ソルディッチ 石井慧

【ONE FN05】KSW二冠王のニューチャレンジ。ロベルト・ソルディッチ「ロボコップの強さを──」

【写真】石井慧とも練習経験があり「サトシは世界中で色々なルールで戦い、練習もしている。ビッグハートの持ち主で素晴らしい男だよ」と話していたソルディッチ。写真はマニラでの記者会見から (C)ONE

3日(土・現地時間)、フィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE Fight Night05でロベルト・ソルディッチが同プロモーション初陣を戦う。

キャリア11連勝中、無敗のムラッド・ラマザノフという強豪を相手にするKSWウェルター級&ミドル級王者は20勝3敗の戦績を残し、判定勝ち2度だけというフィニッシャーだ。UFCでも通用するという声が戦ったソルディッチは、なぜONEをニューチャレンジの場としたのかを尋ねた。


――週末にONEデビュー戦が控えています。今の気持ちを教えてください(※取材11月29日に行われた)。

「準備はできているよ。ファイトキャンプでは、全て必要なことを終えることができた。無敗のムラッド・ラマザノフとは良い試合になるだろう」

──今回もドイツのUFDジムで練習をしてきたのでしょうか。

「そうだね。それと自分の家のジム、そしてレスリングクラブで調整してきた」

──クロアチア国旗の下、戦うロベルトですが今はドイツに生活基盤を置いているのですね。

「僕はボスニア生まれのクロアチア人で、18歳までボスニアで生活をしてきた。それからはドイツとクロアチアでトレーニングをするようになり、この3カ国を行き来してきたんだ。ボスニアにも家があるけど、ファイトキャンプがスタートするとクロアチアとドイツに行くようになったんだ」

──キャリアのほとんどを欧州、最近ではポーランドのKSWで戦ってきました。フィリピンまでのロングフライトと時差があるなかでの調整はこれまでと違うかと思われますが、問題なかったですか。

「シンガポールを何度か訪れているけど、やはりファイトで大陸を越えてくるのは違う。ただし2週間前からマニラ入りをしているから問題ないよ。時差ボケもなく、クリーンな食事もできている。減量、トレーニング、全て上手く行っている。新しい場所で戦うことを楽しんでいるよ。

これまで殆どの試合でフィニッシュしてきたけど、期待されているのが分かるから少しプレッシャーは感じている。ただしアジアでもロボコップの強さを見せつけ、ファンには僕の試合を楽しんでもらいたい」

──2018年からKSWで戦い始めましたが、コロナ後にライバルであったドリキュス・デュプレッシー(※EFC経由)やフェザー級とライト級の二冠王マテウス・ガムロがUFCに転じました。ロベルトはそのままKSWで戦いウェルター級王座に続きミドル級王座も獲得しました。そしてONEと契約。なぜ、ONEを選択したのでしょうか。

「KSWとは契約が残っていた。2階級王者になり、それ以前からドイツ、ロシア、セルビア、スイス、KSWではポーランドと英国とヨーロッパ全土で戦い、対戦相手を倒し続けてきた。僕には新しいチャレンジが必要だった。今年の7月に契約が切れて、もうポーランドで戦う意味は見いだせなくなった。

ポーランドとKSWには感謝しかないよ。そしてUFCやONEと同様に、KSWも素晴らしい条件で契約更新を打診してくれた。でも、今言ったように僕には新しいチャレンジが必要だったんだ。そんな時、ONEに招かれてシンガポールにやってきて、ここでは他と違うチャレンジができると感じた。だから契約をし、チャトリはクロアチアまで来てくれて記者会見を開いてくれた。

彼がどれだけ僕をリスペクトしてくれているのか、分かった。シンガポールではEVOLVE MMAでも練習したし、全てにおいてONEとの契約には満足している。契約書を目にした時、『ノー』なんて返事をすることはできなかったよ。長期契約を結んだONEでは、これまでと違うチャレンジが待っている。そこにはキックボクシングのベルトを狙うことも含まれているだろう。他のルールにも挑戦したい気持ちもある。ただし、今はMMAでタフな対戦相手が用意されているから、ここからまずMMAのベルトを狙いたい。誰と試合を組まれても、僕は断ることはない」

──計量方法、ルールについてどう思っていますか。

「僕がONEと契約した1つの理由が計量システムにある。健康に食事をして、戦うことはファイターにとって重要だ。4、5キロ落としても食事をして、水分を摂ってファイトウィークを過ごせている。ルールには関しては、グラウンドでのヒザ蹴りは経験ない。でも、レスラーのテイクダウン狙いをスプロールすると、ヒザを入れることができるのは僕にとっても都合が良いルールセットだ。違ったルール、新しいルールをエンジョイしたい」

──ラマザノフはLEGEND FC、パンクラス、元ONE世界王者を下してきました。彼の力をどのように見ていますか。

「ダゲスタン、カビブ・ヌルメゴメドフのチーム所属だからパワフルなレスリングと、寝技でも極めを持っている。ただし、僕もドイツではダゲスタン人、チェチェン人ファイターと練習してきた。彼らのテイクダウンとコントロールと日々向き合ってきた。ONEが用意してくれた最もタフなファイターとの戦いはベルトが掛けられていてもおかしくない。それでも勝つのは僕だ。プレッシャーを与えて、フィニッシュする。その次の相手は誰になるか楽しみだよ」

──ウェルター級はライト級との二冠王クリスチャン・リーがベルトを巻いています。

「クリスチャンは強い。技術力も高く、フィニッシュ力もある。精神的にも強い。だから2階級のチャンピオンなんだ。尊敬しているし、ラマザノフに勝ったらどうなるのか。彼との対戦はタフになることは絶対だからこそ、戦いたい」

──ではまだロベルトのことを知らない日本のファンに、自身の強さをアピールしてもらえないでしょうか。

「う~ん、KSWから世界的な規模のプロモーションであるONEで戦うようになっても、ベストを尽くすということに何も変わりはない。プロフェッショナル・スポーツマンとして、対戦相手をリスペクトし、ファンに喜んでもらえる試合を心掛ける一方で、絶対にフィニッシュを狙う」

──クロコップが今もビッグネームである日本のファンに、ロボコップはインパクトを与える自信がどれだけありますか。

「そうなって欲しいね。自分のことを信じているよ。そして僕はクロコップともずっと練習してきた。僕が日本で戦うことがあれば、必ずコーナーにはクロコップについてもらうよ」

■ONE Fight Night05放送予定
12月3日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night05対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ライニア・デリダー(オランダ)
[挑戦者]アナトリー・マリューヒン(ロシア)

<ONEサブミッショングラップリング世界ライト級(※77.1キロ)王座決定戦/12分1R>
[王者]ケイド・ルオトロ(米国)
[挑戦者] マテウス・ガブリエル(ブラジル)

<ONE女子ムエタイ・アトム級選手権試合/3分5R>
[王者] アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
[挑戦者] ジャネット・トッド(米国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ムラッド・ラマザノフ(ロシア)
ロベルト・ソルディッチ(クロアチア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
パク・デソン(韓国)
ローウェン・タイナネス(米国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
エジソン・マルケス(ブラジル)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
アンバー・キッチン(英国)
ジャッキー・ブンタン(米国)

<サブミッショングラップリング81キロ契約/12分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
マラット・ガフロフ(ロシア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リン・フーチン(中国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)モン・ボー(中国)

■放送予定
12月3日(土・日本時間)
午後7時30分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE164対戦カード

<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
[挑戦者]ジャレッド・ブルックス(米国)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP決勝戦/3分3R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
ブランドン・ベラ(米国)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)
フー・ヤン(中国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジェレミー・パカティウ(フィリピン)
ティオル・タン(米国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジャンロ・マーク・サンジャオ(フィリピン)
マティアス・ファリネリ(アルゼンチン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
タギール・カリロフ(ロシア)
チョーファー・トー・センティノーイ(タイ)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)
ドレックス・ザンボアンガ(フィリピン)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
タオコンファー・バンチャメーク(タイ)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ジャスール・ミルザムハメドフ(ウズベキスタン)
オマル・ログログ・ケニ(セネガル)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジェネリン・オルシム(フィリピン)
モン・ボー(中国)

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【ONE164】ジョシュア・パシオに挑戦、ジャレッド・ブルックス「ONEの計量はスーパーイージーだ」

【写真】正論を真っ向からぶつけることができる強さが、ブルックスにはあるようだ(C)MMAPLANET

3日(土・現地時間)、フィリピンはマニラのMOAアリーナでONE164が開催される。コロナの世界的拡大直前、2020年1月以来2年11カ月振りのマニラ大会──アジア向けイベントのメインでジャレッド・ブルックスが、ジョシュア・パシオの持つONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権王座にと挑戦する。

昨年11月のONE初陣以来3連勝、勝つたびにパシオへの挑戦が期待されたモンキーゴッドに、このところ連発するONEの計量失敗と世界戦について尋ねると、変わらず歯に衣着せぬ──気持ちの良い言葉が聞かれた。


――ジャレッド、ついにONE世界ストロー級王者ジョシュア・パシオへの挑戦が8日後に迫ってきました(※取材11月25日に行われた)。

「ほんと、ここまで長かったね。僕自身、ずっとストロー級でナンバーワンでいたけど、ようや正しい活躍の場を得られて、そのことを証明できるようになった」

──ところでONEのMMAではバンタム級とウェルター級で連続して王者が計量失敗、タイトル返上ということがタイトルマッチの直前に起きました。計量が試合前日にしか行われなくなり、当日の再計量がないことが影響しているとも言われています。日本勢も含め、大量の計量ミスに関してジャレッドはどのように思っていますか。

「う~ん、結果として落とせない人間に問題があるんだよ。僕はこれまでの最初の計量でパスしてきた。ONEのウェイインとハイドレーションに関しては、米国を離れる前に体を創っておかないと。試合まで1週間以上あって、今の僕の体重は124.4ポンド(56.38キロ。ストロー級のリミットは56.7キロ)だ。たくさん水分も摂っている。

これはいつも通りのこと、チャンピオンシップだから特別にやっているわけじゃない。これまで計量で問題があったことはないし、まぁ減量の幅が大きな選手は計量前日になると大変だろう。それに再計量があった方が選手は安心できるだろうけどね。僕の場合はたくさん水を飲んでも、体重がアンダーになるようにしている。これまで計量が問題になるようなことはなかった。それはタイトルバウトでも変わらない」

──基本、ONEでは水抜き減量は禁じていますが、実際は水抜きをしている選手は多いと思われます。

「やってはいけないと言われていることは、やってはダメだよ。それにこの計量方法の良さは毎日食事をして、水をたくさん飲めることにあるんだから。昨日の夜、僕はステーキにマッシュポテト、マカロニチーズを食べた。でもリミットより体重は下だ。この計量方法になって2年、電解質とハイドレーションのバランスを保つ──そのプロセスをコントロールして、プロフェッショナルとして計量は問題なく終えないといけない。

そうだね、大体朝食を食べて126ポンドになるくらいで、ハイドレーションもOK。そういう体でいると、ONEの計量はスーパーイージーだよ」

──ドラッグチェックを厳格に行うという通達があったとも聞いています。

「僕にもあったよ。僕にとっちゃ、何も大事じゃない。何もやっていないから(笑)。でも、そうやってくれることは素晴らしいよ。このスポーツはクリーンで、アスリートもクリーンでないと。たくさんのファイターがジュースアップしている。だからこそ、このスポーツはもっとクリーンにしていかなければならない。でも125ポンドで戦っているファイターにストロイドが必要だなんて、僕は思っていないけどね(笑)。僕の場合はフィリピンのアスレチック・コミッションの管理の下でドラッグテストがあり、米国ではTHCのテストがあるんだ」

──THC……大麻に含まれる成分ですね。しかし、そうやってチェックが進むことはジャレッドが言ったようにこのスポーツをクリーンにしていきますね。

「僕にとっても、有難いことだ。きっと何かをやっているファイターがいて、その選手たちが同じようにテストされるってことだからね(笑)。ずっと長い間、求められていたことさ。このスポーツが正常化することは、疑いようがないよ」

──ハイ。ではタイトルショットに関して質問をさせてください。チャンピオンの母国での王座挑戦となります。

「これまで日本、ブラジルでも試合をしてきた。そりゃあマニラ、フィリピンのファンは僕が勝つ姿は見たくないだろう。僕は自分の戦いをして、それを皆に判断してもらうだけだ。僕のMMAの質がどれだけ高いのかを──ね。ジョシュア・パシオは優れた能力を持つ、素晴らしいファイターだよ。でも、僕らが向かい合うとどちらがより優秀かは自ずとわかる」

──過去のマニラ大会で見られた現象としてフィリピン人選手が空振りしても大きなリアクションがあり、対戦相手のクリーンショットには無反応。その観客の反応に影響されてか、ジャッジが劣勢に見えたフィリピン人ファイターの優勢を支持することがありました。そのことは気にしますか。

「考えることはあるよ。ただし、僕がワンサイドで勝つ。だからファンの声援がジャッジの判断に影響するなんていう状況にはならない。どんな局面になっても1RKOとか1Rサブミッションか──いずれのせよ、5Rを戦い切ることはあり得ない。過去に例がないワンサイドの試合になることを約束する」

──とはいえファイトはファイトです。パシオの攻撃で警戒するモノは何でしょうか。

「スピニングバックフィスト、スピニングバックキック、立ち技は優れている。破壊力もあるし、タイミングも良い。チャンピオンになれるファイターなんだから、当たり前だよね。それでも僕のトレーニングパートナーのジャスティン・スコッギンスは、ジョシュアよりずっと優れたストライカーだ。スーパーフット・ビル・ウォレス系の戦い方をしっかりと研究してきたから、問題ない。

個人的にはジョシュアは凄くパワフルで、彼のチームメイトよりもスマートに戦う。ファイトIQが他のチームラカイの選手より高いと思っているし、そうあってほしい。自分の能力を超えないと勝てないようなファイトに持ち込んほしいんだ。そこを乗り越えて、自分の想うように戦い続ける姿を皆に見てほしいと思っている。そして、最終的にジョシュア・パシオは力尽きてチャンピオンではなくなるんだ」

──いや、スーパーフットの名前が出たところでジャレッドはどんだけ格闘技好きなのかが伝わってきます。

「ジャスティン・スコッギンスが、そうだからだよ。キックを使いまくる。一つじゃない、蹴りでワンツーを使える。ジョシュア・パシオが何か狙ってきても、僕はその前に彼の動きを察知できるはずだ。前後の動き、流れるように動くけど、ジョシュア・パシオの仕掛けは何もかも対応できるよう準備してきた。

彼は僕のような強味を持った選手と戦うだけの力をつけることは、できなかったはずだ。パワーとスピードが融合していて、打撃とレスリングの間をついて来ることは無理だ。そんな隙は与えない。僕は29歳で、彼は26歳。ここまでパシオは前の世代のファイターとの試合が多かった。

僕がこの1年で勝って来たリト・アディワン、箕輪ひろば、ボカン・マスンヤネはパシオより強い。世界にジョシュアは僕と伍するのに十分ではないって見せつけるよ。もちろん、誰だって日々成長している。僕の前に立ちはだかるジョシュア・パシオはこれまでの彼と違うだろう。それでも、立ち技も寝技もいかなるアドバンテージを持っているのは僕だ。そしてベストのモンキーゴッドを見せられるよう戦うよ」

──この試合はアジア向けのナンバーシリーズで、米国では土曜日の朝に中継されます。

「僕は誰よりも米国のファンにアピールできる人間だと思っているけどね。まぁ、次はAMAZON PRIMEのカードになるだろう。簡単なことだ。僕がチャンピオンになれば、ONEを米国でもっとアピールできる。今、まだONEの影響力が及んでいないファンにONEの魅力を伝え、夢中にさせるためにAMAZO PRIMEカードで戦いたい。

とにかく僕がONEで最高のMMAファイターだと証明し、喋りも試合も違いを見せつける。ジョシュアは12月3日、僕が世界で一番のストロー級ファイターだと思い知るだろう」

■放送予定
12月3日(土・日本時間)
午後7時30分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE164対戦カード

<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
[挑戦者]ジャレッド・ブルックス(米国)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP決勝戦/3分3R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
ブランドン・ベラ(米国)
アミール・アリアックバリ(イラン)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)
フー・ヤン(中国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジェレミー・パカティウ(フィリピン)
ティオル・タン(米国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジャンロ・マーク・サンジャオ(フィリピン)
マティアス・ファリネリ(アルゼンチン)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
タギール・カリロフ(ロシア)
チョーファー・トー・センティノーイ(タイ)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
アドニス・セビジェーノ(フィリピン)
ドレックス・ザンボアンガ(フィリピン)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
タオコンファー・バンチャメーク(タイ)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ジャスール・ミルザムハメドフ(ウズベキスタン)
オマル・ログログ・ケニ(セネガル)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジェネリン・オルシム(フィリピン)
モン・ボー(中国)

■ONE Fight Night05放送予定
12月3日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night05対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ライニア・デリダー(オランダ)
[挑戦者]アナトリー・マリューヒン(ロシア)

<ONEサブミッショングラップリング世界ライト級(※77.1キロ)王座決定戦/12分1R>
[王者]ケイド・ルオトロ(米国)
[挑戦者] マテウス・ガブリエル(ブラジル)

<ONE女子ムエタイ・アトム級選手権試合/3分5R>
[王者] アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
[挑戦者] ジャネット・トッド(米国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ムラッド・ラマザノフ(ロシア)
ロベルト・ソルディッチ(クロアチア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
パク・デソン(韓国)
ローウェン・タイナネス(米国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
エジソン・マルケス(ブラジル)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
アンバー・キッチン(英国)
ジャッキー・ブンタン(米国)

<サブミッショングラップリング81キロ契約/12分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
マラット・ガフロフ(ロシア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リン・フーチン(中国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)モン・ボー(中国)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   タイ・ルオトロ フィリッピ・ペナ・プレギーサ ブログ ペドロ・マリーニョ

【ADCC2022】無差別級 オープンクラスで躍動=タイ・ルオトロ。ルオトロチン炸裂!!

【写真】ケイドに負けずとタイが、無差別で躍動(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第20 回は88キロ級の早期脱落を無差別級で挽回したタイ・ルオトロの初戦および2回戦の模様をお伝えしたい。

前回大会は、77キロ以下級のラクラン・ジャイルズの大活躍が話題となった無差別級。今回旋風を巻き起こしたのは、88キロ以下級に出場したタイ・ルオトロだった。


<無差別級準決勝/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def.8分47秒by ルオトロチン
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)

階級別ではまさかの1回戦敗退を喫したタイは、無差別級初戦で同階級のペドロ・マリーニョと対戦。無尽蔵のスタミナを武器にスタンドで仕掛け続け、テイクダウンを取られてもすぐにスクランブルで立ち上がるという、らしさ全開の戦いで会場を沸かせ、マリーニョを疲弊させていった。

そして残り3分のところでタイはダブルレッグへ。マリーニョは倒されながらも必殺のギロチンを仕掛けるが、頭を抜いて2点先制した。

さらに背中を向けたマリーニョに4の字フックを入れて5-0としたタイは、相手の腕が一本入った状態で絞め上げる、いわば背後からの肩固めのようなチョークで一本勝ち。

解説によって「仲間内ではルオトロチン(ルオトロ&ギロチン)と呼ばれているんだ」と説明されたこの技は、MMAファイターにしてアロイジオ・シウバの黒帯だった故ジョー・カマチョが2010年に「The J-choke」という名で公表したものと同じ形だ。

<無差別級2回戦/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def.0‐-1
フィリッピ・ペナ(ブラジル)

2回戦でタイは、初戦ロベルト・ヒメネスからマウント、バックを奪って快勝した最重量級のフィリッピ・ペナと対戦。体格差にもめげすに、マリーニョ戦同様スタンドで仕掛け続け、下になってもスクランブルする戦いを展開した。

加点時間帯が近づくとやや疲れたように座り込んだペナに対し、ペースの落ちないタイは得意の足を踏んでのパスや、勢いの良いニースライスを仕掛けていった。

残り3分弱。下から煽ったペナが、左で差して立ち上がってのテイクダウン狙いへ。が、卓越したバランスを持つタイは小手投げを放ち、機敏なフットワークで離れてみせた。諦めてまた座るペナ。なんとここでペナに引き込みのペナルティが。

上を取ろうと試みたペナがタイに防がれてガードに戻ったという流れだが、ペナが一度立ち上がってから3秒以上経過していたと判断されたらしい。つまり上下が解消されて両者スタンディング状態に戻ってから、ペナが改めて引き込んだという解釈だ。

ADCCルールならではの形でリードを許してしまったペナは、タイの左足に50/50で絡むと、両足を胴に絡めるリバースクローズドガードに移行。さらにそこからスクランブルして背後を取ってみせる。

残り40秒、亀になるタイの体をシングルフックから返したペナは、ツイスターやチョークを狙いさらに逆転の両足フックを試みるが、タイが耐え抜いて時間切れに。

無尽蔵のスタミナで動き続けたタイが、最重量級にてゴードン・ライアンの対抗馬と見られていたペナから大殊勲の星を挙げた。

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ADCC2022 K-1 MMA MMAPLANET o   アイザック・ミシェル エオガン・オフラナガン ゴードン・ライアン ジェイ・ロドリゲス ジャンカルロ・ボドニ ジョシュ・ヒンガー タイ・ルオトロ ニック・ロドリゲス ペドロ・マリーニョ ルーカス・バルボーザ ヴァグネウ・ホシャ

【ADCC2022】88キロ級決勝 現代グラップリングの完成形=ジャンカルロ・ボドニがハルクを破り世界一に

【写真】投げとテイクダウン、上も下も極めもあるジャンカルロ・ボドニ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第13 回からは88キロ級決勝ジャンカルロ・ボドニ×ルーカス・バルボーサ戦の模様をお伝えしたい。

緻密な技術で決勝に進んだボドニを決勝で待っていたのは、優勝候補の一人ルーカス・ハルク・バルボーザだ。

バルボーザは1回戦はフィンランドのサンテリ・リリアス相手に加点時間前から積極的に極めを狙ってゆき、中盤にテイクダウンからバックを奪取。極めることはできなかったものの3-0で完勝した。

2回戦でバルボーザはアトスの同門にして40歳の大ベテラン、ジョシュ・ヒンガーと対戦。

ヒンガーは初戦、やはり同門にして21歳も年下のタイ・ルオトロと両者総力を尽くした大激戦を展開。延長にてダブルレッグで先制点を取られるものの、オモプラッタの仕掛けからスクランブルで背後に付いてフックを入れ、3-2で驚愕の逆転勝利を収めている。

そのヒンガーを相手にバルボーザは、加点時間帯に入ってからシュートイン。ダブルからシングルに移行して左足を抱えてテイクダウンに成功。亀を取られて加点はなかったものの、そのまま上からじっくり低く体重を預けて侵攻し、足を超えてパス、そしてマウントまで奪って7-0で完勝した。

迎えた準決勝の相手は、やはり大ベテラン40歳のヴァグネウ・ホシャ。こちらは初戦でオセアニア予選の覇者のアイザック・ミシェルに、2回戦ではペドロ・マリーニョ相手に得意のスタンドでの持久戦を展開。延長で加速して判定勝利を収めている。

ちなみにマリーニョは一回戦、ニック・ロドリゲスの弟ジェイ・ロドリゲスにワキをくぐられてバックを奪われたものの、自ら前転してスクランブルして上のポジションを奪取。そのままニースライスパスを決めて3点を先制し、終盤テイクダウンを奪われるものの終了まで足を絡めて逃げ切る形で激闘を制していた。

そんなホシャとの準決勝。バルボーザは前半バックを取りかける等優勢に進めるものの、後半は恐るべきスタミナと尽きない闘争心を持ち、ヘッドバット上等で前進してくるホシャに精神的にも肉体的にも疲弊させられる展開に。最後はテイクダウンを奪われかけたものの背中を向けて終了まで耐え抜き、前半の優勢を評価される形でレフェリー判定勝利。死闘の末に薄氷の決勝進出を果たした。

迎えた決勝戦。ボドニが2020年に黒帯を取得して以来、両者はノーギで5度対戦。いずれも僅差だがバルボーザが4勝1敗と勝ち越している。


<88キロ下級決勝/20分1R>
ジャンカルロ・ボドニ(米国)
Def.14分10秒 by RNC
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)

まずはスタンドレスリングで争う両者。お互い頭を掴んで下げさせようとする重厚な攻防が続く。ボドニがバルボーザの右腕をドラッグしようとしたところで、バルボーザがシュートイン。

しかしスプロールしたボドニは、上体を起こすバルボーザをフロントヘッドロックで捕らえて投げを放つ。が、バルボーザはうまく左腕をマットにポストして堪え、そのまま上になった。

低く入るバルボーザは、左右に方向を変えながら侵攻を試みるが、ボドニも左右のニーシールドとフレームを使って止める。ここでレフェリーにバルボーザにもっと積極的に動くようにと警告。これはトップからじっくり圧力をかけていくのがバルボーザの持ち味なだけに、気の毒なコールだ。

さらにプレッシャーをかけるバルボーザだが、ボドニは下から入れた右ヒザでバルボーザの体を引き寄せてその右足を抱えると、そのまま足を伸ばしにゆく。バルボーザは自ら横回転しボドニの背後に。さらに前方にダイブしたバルボーザは、ボドニの背中をマットに付けさせてからバックを狙う。

嫌がったボドニをボディロックで固定したバルボーザはサイドへ回ろうとする。ボドニも両腕を張って距離を作って足を入れて抵抗する。

それでも巨大な上半身で圧力をかけてせり上がるバルボーザは、ニアマウントから肩固めへ。そのまま絡んでいる足を外し、サイドに回るバルボーザ。絶体絶命かと思われたボドニだが、ポジションが固まる前に全身の力を使ってスピンして亀に。そのままバルボーザを振り解いて立ち上がってみせた。バルボーザの世界随一の圧力から脱出したのだから、素晴らしいタイミングと力の集中のさせ方だ。

試合はスタンドから再開され、またしてもいなし合いを展開する両者。やや疲弊したバルボーザが、ボドニに手をかけられて頭を下げさせられる場面が増えてきている。

8分過ぎ、再び頭に手を伸ばすかと思われたボドニがダブルレッグに。反応の遅れたバルボーザの懐に深く入ってテイクダウンに成功し、そのまま上のポジションを取った。加点時間帯に入っていないこともあり、バルボーザは無理にスクランブルをせず下になった形だが、試合の流れが、スタミナを残しているボドニに傾きはじめた感がある。

ボドニがクローズドガードの中から立ち上がると、その右足にデラヒーバで絡むバルボーザ。盤石のバランスを誇るボドニは、慌てず騒がず絡んでくる左足を下から押し下げ、ヒザでピン。さらにボドニはバルボーザの右足も抑えてサイドを狙うが、ここでバルボーザは腕で距離を取り、立ち上がった。

スタンドに戻る両者。いなし合う中で試合は加点時間帯に。ボドニに頭を押さえられたバルボーザがシュートイン。しかしボドニにがぶられてしまう。序盤同様に上体を起こそうとするバルボーザだが、ボドニは体重をかけてそれを許さず、そのまま左足を巻き込んでクレイドルの形でグリップを作る。

ここでバルボーザは力を込めてボドニのグリップを切りながら、上体を起こすことに成功する。バルボーサはさらに両差しの状態から大内でドライブしてのテイクダウンを狙うが、ボドニは腰を引いて防御。次の瞬間、バルボーザの右腕を小手で巻いたボドニが内股へ。前に崩されつつ、バルボーサはうつ伏せで耐えきった。

力のこもった攻防に場内から歓声が上がるなか、ボドニはさらにバルボーザの足を跳ね上げて投げ切りにいく。バルボーザは自ら前転し、勢いをつけてスクランブル。場外ブレイクとなった。動きが落ちているバルボーザだが、ここ一番で出力を上げられるのはさすがだ。

この場面、解説のショーン・ウィリアムスが「いま、彼(ボドニ)がニューウェーブでサトシ・イシイのようなトレーニングパートナーを持っていることが役に立っているんだ。内股の使い方だよ。柔道はこのようにレスリングに対して素晴らしいディフェンスとして機能するんだ」とコメントした。

試合はスタンドで再開されボドニのダブルレッグに対し、ワキをすくって押し返すバルボーザだが、疲弊のあまりその時に両ひざをついてしまう。すかさずボドニは突進して肩を押し倒し、スクランブルを試みたバルボーザの背後に付いてみせた。

亀の体勢のバルボーザに覆いかぶさって襷を取ったボドニは、そのままバルボーザの体を仰向けに返しながら四の字フックを完成させ、大きな3点を先取した。大歓声が沸き「USA」チャントが沸き起こるなかチョークを狙うボドニだが、バルボーザも諦めずに両腕でディフェンスする。

が、足を組み替えてさらに6点を追加したボドニは、左手でバルボーザの顎を掴んで上げさせてから、右腕を深くこじ入れることに成功すると──マタレオンの形で絞め上げてタップを奪った。昨年のWNOチャンピオンシップの重量級では3戦全敗、優勝候補に挙げられることは少なかったボドニが、初出場初優勝を決めた。しかも4試合全てを完勝(3つの一本勝ち)。その強さは、他の出場選手たちより頭一つ以上抜けていた。

決勝のバルボーザだけでなく、スタンドレスリングの強さで世界の頂点に立ったディニズをも制した、粘り強いスタンドレスリング。トップゲームで世界柔術の頂点に立ったバルボーザとバイエンセにパスを許さない優れたガードワーク。今回旋風を巻き起こしたオフラガナンの足関節攻撃を的確に捌き、逆に極め返した正確な技術。そして盤石のバランスを礎に段階を踏んで相手の動きを潰し、やがて完全制圧する緻密なトップゲーム──スピード感こそやや欠けるものの全ての局面で抜群の安定感を持ったボドニの戦いぶりは、同門の先輩ゴードン・ライアンを彷彿させる強さを見せつけた。

実際、ニューウェーブに加入してからの練習について「毎週のように自分が上達しているのが感じられる。特に僕は2、3ヶ月ごとに全く違うレベルの選手になっていることが分かるんだ」と語ったボドニ。26歳にして急成長を続ける彼は現在、ライアンとともにダナハーのグラップリングシステムをもっとも高いレベルで体現している選手と言っていいだろう。

これで66キロ級、77キロ級に続き88キロ級も初出場選手が初優勝。ADCCに新しい風が吹いている。

なお3位決定戦は、そんな風など何するものぞ──とばかりにベテラン40歳のヴァグネウ・ホシャがいつもの如く闘争心を前面に出す戦いを展開。

今大会一躍名を挙げたエオガン・オフラナガンに上のポジションから仕掛けるトーホールドを極めてみせ、準優勝の前回に続いてメダル獲得を果たした。

88キロ以下級リザルト
優勝 ジャンカルロ・ボドニ(米国)
準優勝 ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
3位 ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

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【ADCC2022】高橋サブ&堀内勇がADCCを深掘り─02─。77キロ級、柔術の神の子とADCCルール王

【写真】巧さは強さなのか。そして強さは巧さにどう対抗するのか(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING& SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターで開催される2022 ADCC World Championship。2年に1度のグラップリング界最大のトーナメントが、コロナの影響で3年振りに開催される。

グラップリング界においても特殊なポイント制が用いられながら、世界最高峰の組み技の祭典を高橋Submission雄己とMMAPLANETグラップリング・ライター堀内勇氏が、独断と偏見と愛情をもって深堀り。第2弾は66キロの米国勢から、77キロ級の2人の優勝候補の対照的なスタイルについて話を続けてもらった。

<高橋Submission雄己&堀内勇、ADCC深堀対談Part.01はコチラから>


──話を蒸し返すと、ONEでトップグラップラーのグラップリングが頻繁に視られるようになるのは嬉しいのですが、それでもADCC欠場はやはり勘弁してくださいと気持ちになります。

堀内 やっぱりマイキーは個性が際立っていますからね。最近も『僕はピザとパスタしか食べない』なんてことを言いだして。朝はアサイーを食べて、毎日同じピザを食べているという話で。毎日ピザを食べて世界一になるって、ダイエット界や栄養学界の常識を覆しているんじゃないかって。

高橋 アハハハハ。

堀内 そういう彼が抜けるのは残念ですが、今大会はファブシリオ・アンドレイとかベイビーシャークなど、新しい力を知るきっかけになりますね。

──きっと勝てないという意見もありますが、そうなると『ちゃんと負けろよ』と思ってしまうんですよね。バトンタッチしてくださいって。ただ、チャトリはADCCで優勝した人間全員とサインするぐらいのつもりでいるんじゃないかと思います。マイキー不出場はさておき、他に66キロで注目すべき選手は?

高橋 ONEへの恨み節に関しては、ルールが違うから良いじゃないかなって。そりゃあ見たかったですけど、別競技といって良いほど違う。まぁサブオンリーのレフ判も納得できるルールではあるし、ソレはソレ。コレはコレじゃないでしょうか。

──じゃあRoad to ADCCに出るなよって……ってまだ恨み節が続いてしまいます。

高橋 それは……確かに(笑)。でも、やった相手がジオですからね。66キロ級で注目したい他の選手は、ゲイリー・トノンですかね。なんか期待値が高いです。66キロ級に落としてきて体が大きいから、細かい技術はさておき、立ち技も強いだろうし、極め力でいえば抜けている気がします。

あとトノンと同様に米国勢だと、コール・アバテは注目ですね。

優勝候補とまでは言えないですが、若くてそれなりに66キロ級のなかではデカい。伸びしろの多さも期待して、コールがどんなもんなのか凄く気になりますね。

堀内 僕もコール・アバテは楽しみにしています。17歳で、最年少です。

ベイビーシャークは20歳なのに子供に見えて、コール・アバテは17歳なのにやたらと落ち着いていて。態度も凄く偉そうだし(笑)。ただ戦い方は兄弟子のタイナン・ダウプラを彷彿させるというか。もの凄く圧力がある戦い方で、極めも正確でガチッと入る。力強くて楽しみです。

なんかお父さんが結構熱心で、子供の頃からやっていたようですね。そのお父さんがガレージで、『我々は過去のADCCの66キロ級の試合は全て見た』とか言っているんですよ(笑)。そうとうにお父さんが賭けているというのが伝わってきました。

高橋 僕もコールは期待で。後は敢えて名前を出すなら、イーサン・クレリンステンですかね。

堀内 トライスタージムでフィラス・ザハビの下で学び、その後はザハビの師匠格といえるジョン・ダナハーの指導を受けた選手ですね。

高橋 結局、ブラジル✖米国の様相になっていて、ADCCルールにおいてはブラジルが育んできた柔術スタイルが優る。そう思います。

──では77キロに移らせていただきます。世界中の誰もが見たい選手と、試合は別に見たくないけど勝てる選手。そのどちらが強いのか。

高橋 その通りですね(笑)。

堀内 見たい選手がミカ・ガルバォンで。この対談を万が一、あまり柔術に興味がない人が読んでくださっているとしたら、ミカ・ガルバォンの凄さってどういう風に伝えることができるんだろうって考えました。

──ありがたい限りです。

堀内 そして思い出したのが、コナー・マクレガーの言ったことだったんです。マクレガーがジョゼ・アルドを倒した時、「精度とタイミングはパワーとスピードを打ち負かす」という素晴らしい言葉を残しています。つまり精度とタイミングを持っている人間は、パワーとスピードがない。でもミカ・ガルバォンはその4つの全てを持っている。

──おおっ!!

堀内 柔術家に良く見られる、問答無用の重厚な圧力。ベースが強くて、プレスがもの凄く強い。

1度体重を掛けられたら、対戦相手はもうどうにもならない。ああいうファンダメンタルの柔術の圧力がありながら、反応速度が素晴らしく良い。相手の体に一瞬に反応して、素晴らしい体捌きで技を決めます。精度もスバ抜けて高い。それを全て持っているのは、ズルいんじゃないかっていうぐらいで(笑)。

他の人にはない。ちょっと人間離れしたモノを見ることができる。そんな喜びをミカの試合からは感じます。

──反応の良さは、道着でモダン柔術の攻防になった時も際立つようにも感じます。

堀内 タイ・ルオトロとは2度試合をして、ノーギでは競り負けて、道着だとボコボコにしている。それを見ても分かるように、ミカが柔術の神の子たる所以、強さが最も出てくるのは道着の試合ですよね。道着があって滑ることなく、相手がなかなか逃げられないので。ノーギだとタイのようにバランスの良い選手は、そこを凌ぎ切って自分のペースに持ち込むこともできないことはない。そしてノーギのなかでもサブオンリーの方が、ADCCより適しているんじゃいかと思います。

──それは?

堀内 やはり圧倒的なレスリング力があるとは、言えないので。そうなった時に、同じノーギでもADCCルールの権化のJT・トレスと戦うとどうなるのか。試合は別に見たくないと言われたJTとミカは対照的な2人なので、本当に興味深いです。

高橋 そうですね、ミカはレスだとたまに転がされている場面を見ますよね。しかも77キロ級だと身体的な圧力は他の選手より劣るような気がします。本当に堀内さんの見立て通りだと思います。

──JTの強さはともかく、彼の試合のどこを楽しめば良いでしょうか。

高橋 トーナメント全体の見方として、誰がJTを倒すのか。それで良いと思います。ディフェンディング・チャンピオンだし、何が凄いってルールへの対応力。

組み技の質量、技量は皆が高いレベルで拮抗している。そこでJTが勝ち抜き続けているのは、勝負どころを見極め、自分だけでなく相手の特性を理解している試合運びの上手さがあるからで。ここは受けて、ここでは2Pを取るという判断と実行力がともに正確です。そこが絶対王者たる所以で。

対抗馬としてスタイル的にも対照的なのが、ミカですよね。ミカを筆頭に、誰がJTを打ち破るのか。JTはちょっと可哀そうですけどヒール的な見方をしてもらうのが楽しいのではないかと思います。JTを優勝させたら、つまらなくなるぞ──みたいな(笑)。

──JT・トレス=北の湖ですね。

堀内 アハハハハ。

──ルールもポイントも違いますが、ルールを研究し抜いて、ルールに合った技を駆使してギリギリで勝つ。それってフィロソフィーとしては、完全にIBJJF柔術の強い人のソレではないでしょうか。そうなると、JTとの競り合いに負けないのは、同じフィロソフィーの持ち主──IBJJFルールに強い柔術家なのかと。JTは柔術では準決勝ぐらいで勝ち切れなくなることが多い印象がありますし。

高橋 確かに、ホントにそうですね。

堀内 FLOGRAPPLINGが77キロ級出場の各選手の練習風景を追っているカウントダウン映像を流していたのですが、そこで主要メンバーがお互いの印象を話しているんです。だいたい皆がJTに関しては、高橋選手が言ったように隙の無さ、ルールを知り尽くした戦い方だと言っています。

そのなかでケイド・ルオトロはATOSの後輩で「JTのことは尊敬している。JTは隙が無くてペースを掴むのに長けている。でも俺はそのペースを乱すことができる手が、いくつかあるんだ」って話しているんです。ケイドは凄く動きますから、JTの不動のペースを乱すよう、色々と仕掛けてくるのかと。特にスタンドが注目です。あと、もう一人はニッキー……ニッキー・ライアンでねす。

<この項、続く>

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【WJJC2022】アンディ・ムラサキ、準優勝の快挙も強すぎるタイナン・ダウプラが二連覇達成

【写真】ランガカー越えを果たしたアンディ・ムラサキの準優勝は素晴らしい結果である一方で、ダウプラが頭抜けている印象を残したムンジアル黒帯ミドル級だった(C)SATOSHI NARITA

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われた、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text Isamu Horiuchi

レビューは最終回は昨年優勝の大本命タイナン・ダウプラに対し、黒帯の部初出場の日系ブラジリアン、アンディ・ムラサキらが挑んだミドル級の模様をお届けしたい。


階級をライトからミドルに上げての世界初挑戦となったアンディ・ムラサキは、初戦のオースティン・オランデイ戦を上から一瞬で極めるトーホールドで突破。2回戦は4月のパン大会のミディアムヘビー級クローズアウト優勝者のマニュエル・ヒバマーと対戦。大外刈りで倒してバックを奪うと、送り襟締めで落として連続一本勝ちを収めた。

続いて迎えた準々決勝の相手は、昨年のブラジレイロを制したレオナルド・ララ。ここでムラサキは引き込んでからのスイープを三回決めて6-0で勝利。翌日の準決勝、2018年世界準優勝にして昨年の世界大会も3位入賞している北欧の極め業師、トミー・ランガカーとの大一番に駒を進めた。

<ミドル級準決勝/10分1R>
アンディ・ムラサキ(ブラジル)
Def. 2-0
トミー・ランガカー(ノルウェー)

スライディングして引き込み、クローズドガードを作ったムラサキ。ランガカーが立ち上がると、すかさずその右足を内側から掬ってのスイープで後ろに倒して2点先取してみせた。そのままニアマウントの状態になったことでアドバンテージも一つ獲得したムラサキだが、ランガカーも体勢を戻す。

オープンガードを取るランガカーに対し、ムラサキはその左足を押し下げにかかる。内側からムラサキの左足を抱えたランガカーは下から煽るが、ムラサキはバランスキープ。ランガカーは下からムラサキの左足を取ってトーホールドを狙うも、ムラサキは防いで体を起こす。ならばとランガカーはムラサキの左手にラッソーで絡み、一瞬で三角の体勢に。ムラサキが距離を取ろうとすると、すかさず左へのオモプラッタに変化させた。

ムラサキがステップオーバーして逃れようとすると、ランガカーは股間を抜けてのバック狙いに移行。それも反応したムラサキが正対すると、さらにギロチンチョークを合わせたランガカーだったが、ムラサキはここも頭を抜く。ここまで3分。世界超一流の極め業師ランガカーの矢継ぎ早の連続攻撃を、ムラサキは凌ぎ切ったのだった。

ランガカーは右足に絡んで半身のハーフ。ムラサキのラペルをヒザ裏を通して掴んでシッティングから煽るが、強靭なベースを誇るムラサキは崩れずに逆に前にプレッシャーをかけてゆく。その後一気に下がったムラサキは、右足に絡んだラペルグリップを断ち切ってみせた。

残り5分。ランガカーはムラサキの左足に手足で絡んで崩しを試みるが、ムラサキは巧みな重心移動でバランスをキープ。ならばとランガカーは右に絡むが、ムラサキは崩れず、その後も2点のリードを守り続けていった。

残り時間がいよいよ少なくなり、ランガカーは潜り込んでムラサキの右足を肩で抱えてズボンの尻を掴む。さらに下から股間に左膝を入れて煽るランガカーだが、ムラサキは腕でポストしてバランスキープ。残り15秒、ランガカーに背を向ける形でスイープに耐えていたムラサキは、うつ伏せになりながら左足を取ってのストレートフットロックを仕掛ける。こうしてムラサキは、相手に上になられても関節技を仕掛けている以上はスイープ成立とはみなされないルールをうまく利用し、最後の時間を過ごしてリードを守り切ったのだった。

序盤で先制点を奪うと、その後は自らの一番強い部分──トップキープ力──をもって、世界が恐れる極め業師の怒涛の攻撃を凌ぎきったムラサキ。大舞台で見事に作戦を遂行して大物食いを果たしたムラサキは、世界大会黒帯の部初出場にして決勝進出という快挙を成し遂げた。

もう一方のブロックを勝ち上がったのは、予想通り圧倒的な強さで勝ち上がった大本命タイナン・ダウプラだった。準決勝では、4月のパン大会ではパスガードできなかったホナウド・ジュニオールと再戦し、2度パスを決めたのちにバックを奪い――10対0で完勝。この階級で数少ないライバル候補のジュニオール相手に、さらに差を広げる勝ち方で2連覇に王手をかけた。

<ミドル級決勝/10分1R>
タイナン・ダウプラ(ブラジル)
Def.5分20秒 by 襟絞め
アンディ・ムラサキ(ブラジル)

道着を掴み合う両者、ダウプラが引き込む瞬間、ムラサキは見事なタイミングで大内刈りを合わせることに成功し、2点先取してみせた。

クローズドガードを取り、背中越しに帯を取るダウプラに対し、腰を上げるムラサキ。すかさずダウプラはガードを開いてムラサキの右足を肩で抱える。さらに中に入れた右足で下からムラサキを煽ったダウプラは、左手と両足でムラサキの右足をおしのけて崩す形で上になりスイープ完遂。1分経過の時点で、準決勝でトミー・ランガカーの怒涛の下からの連続攻撃を凌ぎきったムラサキをあっさり崩し、2-2の同点に追いついて見せた。

下になったムラサキは、ダウプラの左足にデラヒーバガードで絡む。が、ダウプラはしゃがんでムラサキの足を押し除けて絡みを解くとすぐに左足をドラッグ。そのままサイドに回る。なんとか下から動こうとするムラサキだが、ダウプラはそれを許さず押さえ込んでパス完成。試合開始後1分半で5-2と逆転してみせた。

右腕で枕を取ったダウプラは、ニーオンザベリーでアドバンテージを取ると、自分のラペルを引き出してゆく。ムラサキは下から動いて左足に絡むが、ダウプラはすぐにその足を抜いて8-2に。その後もう一度ムラサキは足を絡めるものの、ダウプラはラペルを右手で掴んで首を殺してから足を抜き、11-2とリードを広げた。

そこからダウプラは、右足でムラサキの頭をステップオーバーしてのチョーク狙いへ。耐えるアンディだが、ダウプラは先ほど引き出した自分のラペルを口でくわえ、ムラサキの首に回して右腕で掴んで、さらに締め上げる。ついにムラサキがタップ。5分20秒、ダウプラが圧倒的な強さでムラサキの挑戦を退けて2連覇を達成した。

問答無用のスイープ力、恐るべきパスの圧力と精度、そして強烈な極め。立ち、トップ、ボトムと全てに優れたムラサキをもねじ伏せ、黒帯2年目にして絶対王者の地位を築きつつあるダウプラのライバルとなる選手は、やはり今年のライト級を席巻し決勝を争った二人──ミカ・ガルバォンとタイ・ルオトロ──だろうか。

【ミドル級リザルト】
優勝 タイナン・ダウプラ(ブラジル)
準優勝 アンディ・ムラサキ(ブラジル)
3位 ホナウド・ジュニオール(ブラジル)、トミー・ランガカー(ノルウェー)

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【WJJC2022】至高の600秒=ミカ・ガルバォンがタイ・ルオトロを決勝で下し、最年少世界王者に

【写真】最年少、世界王者となったミカ・ガルバォン。タイ・ルオトロのライバルストーリーはミドル級に階級を上げて紡がれていくのか。そこにはもう一人、強力な男がいるだけに2023年のムンジアルが既に楽しみでならない(C)SATOSHI NARITA

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われた、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text Isamu Horiuchi

レビュー第3回は、タイ・ルオトロとミカエル・ガルバォンという二大ニュースターの参戦により最注目区となったライト級の模様を、この2人の試合を中心に報告したい。


今回が道着着用ルールにおける黒帯デビュー戦となる19歳のタイ・ルオトロ。1回戦は相手の欠場により不戦勝で突破し、初戦にていきなり優勝候補のジョナタ・アウヴェスとの大一番を迎えた。

<ライト級2回戦/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def. 4-2
ジョナタ・アウヴェス(ブラジル)

前に出て襟を掴むアウヴェス。対するタイは、ノーギでも多用する両腕で相手の頭を抱える形で対抗する。やがて豪快に引き込んだアウヴェスは、タイの右足をワキに抱えて回転して上を狙う。ズボンの足首部分を掴まれているため、ノーギのようには足を抜くことができないタイだが、それでも右手でポストしてバランスをキープする。

さらに50/50の形で右足に絡んだアウヴェスは内回転。が、タイは一緒に回転して対応するとすぐに前方に飛び込んでのバック狙いへ。ここをすぐに対処して距離を取ったアウヴェスは、タイの両足をまとめて左手で抱えて起き上がり、2点を先取した。

下になったタイはアウヴェスの右足を抱えるが、アウヴェスは左で巧みにステップオーバーして距離を作り、離れることに成功した。

中央からタイが座った姿勢で再開。ヒザ立ちで前に出るタイだが、リードしているアウヴェスは両腕を伸ばして襟を掴んで下がりながら距離を保つ。残り6分となった時点で、タイはアウヴェスの襟を取ってクローズドガードに引き込んだ。

この体勢で無類の防御の強さを誇るアウヴェスは、低く胸を合わせて密着。タイは、バギーチョーク、ループチョーク、クロスチョークと狙い。あるいは背中から手を伸ばしてアウヴェスの帯を掴んでの仕掛けを試みるが、重石の如きアウヴェスのベースは崩れない。途中で膠着ペナルティを受けたアウヴェスだが、構わず密着を続ける。

が、残り3分近くの時点でアウヴェスに2つ目の膠着ペナルティが入る。ここで少し動き始めたアウヴェスは、ヒジを入れてタイのタードを開かせて足を潰しにかかる。タイはなんとか隙間を作ると、残り2分少々のところで再びクローズドに引き込んだ。

タイのズボンを掴み、低くプレッシャーかけるアウヴェス。タイがクロスチョークを仕掛けるとすかさず距離を取る。再び引き込んだタイはオープンガードから攻撃を試みるが、アウヴェスはここも腰を引いて距離を取った。

タイを応援する客席からブーイングが起こる中、なんと残り54秒でアウヴェスに3つ目のペナルティ。これでタイは2点を獲得するとともに、受けたペナルティの数により逆転となった。

着実に勝利に向かっていたはずが一転、突然攻撃する必要が生まれたアウヴェスは、タイの左足を抱えて噛みつき。そのまま左に跨いでパスを狙うが、タイは距離を作ってアウヴェスの左足を下から掴むと、両足を絡めて50/50を作って上に。残り14秒で4-2としてみせた。

アウヴェスは最後の望みを賭けて足を取りにゆくが、極めることはできず。タイは道着着用の黒帯デビュー戦で、この階級世界最強の一角であるアウヴェスから勝利を奪うという快挙を成し遂げた。

最初にスイープで先制し、その後は持ち前のベースを利した漬物石戦法で守り切ろうとしたアウヴェスだが、レフェリーの厳しい判断によって予定を狂わされることに。パスも極めも世界最高峰の力を持つにもかかわらず、勝利にこだわるあまりにそれらを駆使することなく、結果として勝利自体も逃すという皮肉な形での初戦敗退となった。

一方、初日最大の難関アウヴェス戦を見事に突破したタイは、2019年ヨーロピアン&パン王者にして、道着着用柔術における最高峰のベリンボロ使いの一人、リーヴァイ・ジョーンズレアリーとの準々決勝に駒を進めた。

<ライト級準々決勝/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def. 8-0
リーヴァイ・ジョーンズレアリー(豪州)

今年のWNOにおいてウェルター級タイトル戦=ノーギルールで対戦している両者。その際はタイがヒールから変化してのヒザ十字を極めて完勝しているが、道着着用ルールのおける黒帯での景観はリーヴァイに一日の長がある。現時点における黒帯でのタイの道着への対応力──初戦では、アウヴェスが膠着戦法を貫いたためあまり見ることができなかった──という点でも注目の再戦だ。

試合開始後すぐにスライディングして座ったリーヴァイは、タイの右足に絡むと直ちに鋭い回転のベリンボロへ。が、タイも合わせて回転。まるでボディボードに乗るかのうようにリーヴァイの上で腹這いになってバランスを保ってみせた。

タイのズボンを掴んだリーヴァイはそのまま上を狙うが、タイはリーヴァイの絡む足を押し下げつつ、後ろ向きにステップオーバーする形でバランスキープ。

やがて向き直ったタイは、前に体重をかけながら腹でリーヴァイの左足を潰してゆく。さらに圧力をかけるタイは、リーヴァイの右足首を踏みつけて固定する得意の形を作った。

卓越したボディバランスで上をキープし、パス攻撃を繰り出し続けて相手を疲弊させる。タイはノーギグラップリングと同様の戦い方を、道着の世界最高峰の舞台でも通用させている。

そのまま上四方の方向に回ったタイ。リーヴァイも足を効かせて守るが、タイは構わずプレッシャーをかけ続けて、再び足を踏みつけてのパスを試みる。リーヴァイはタイの襟を掴んで足を効かせて対抗するが、タイは先日のゲイリー・トノン戦のように両足首を押さえつけて再び上四方に回ると、そのまま低く重心をかけパスに成功。試合時間の約半分が経過したところで3点先制してみせた。

そこから左腕を狙うタイは、リーヴァイのラペルを引き出す動きを見せた後、ニーオンザベリーで2点を追加した。抑えられたリーヴァイは残り2分の時点でガードに戻すことに成功するが、タイはまたしてもリーヴァイの足首を踏みつけて圧力をかけてゆく。

諦めずにタイの右足に絡んだリーヴァイだが、タイはその足を抜いてはまた踏みつけると、大きく頭の方に回って再びパスに成功。最後に狙ったノース&サウスチョークこそ極めきれなかったものの、結局8-0でタイが勝利した。

道着着用ルールにおいても、ノーギ同様のノンストップパス攻撃を貫き、世界最高峰のオープンガードプレイヤーを疲弊させて制圧。競技間の違いを超え、常識を覆す驚愕のパフォーマンスを見せて、タイは翌日の準決勝に進出した。

反対側のブロックでは、もう1人のニュースター、ミカことミカエル・ガルバォンが登場。1回戦はアトスのパウロ・ガブリエル相手に先制点を許したものの、攻撃の数で明確に上回って勝利した。

2回戦でセルジオ・アントニオと対峙したミカは、両者座った状態から相手の片足を持って立ち上がると、いきなり横に飛んでバックを狙うという凄技を見せる。その後ハーフで腰を切って足を抜いてパスしてからマウントに入り、袖車で完勝。準々決勝、昨年度王者マテウス・ガブリエルとの世界が注目する大一番に駒を進めた。

<ライト級準々決勝/10分1R>
ミカエル・ガルバォン(ブラジル)
Def. 4-2
マテウス・ガブリエル(ブラジル)

ミカの道着を取った瞬間に座るガブリエルと、それにカウンターで飛びつこうとしたが退いたミカ。改めて近づいて左に回ったミカは、次の瞬間右に倒れ込みながらガブリエルの左足を掴んで変形のレッグドラッグのような形でパスへ。あっという間に上四方に付きかけるが、ガブリエルも両腕でフレームを作りつつ、足を入れて正対した。

次の瞬間には右足に絡もうとするガブリエルだが、凄まじい反応でその足を抜いて下がるミカは場外へ。ここでブレイクが入り、ミカにパスのアドバンテージが入った。ここまでわずか40秒、とんでもないスピードの攻防が展開されている。

再開後、ハーフで左に絡んだガブリエルは、鋭いスイープでミカを横に崩す。バランスを保つミカだが、ガブリエルはその右足を引きつけてシットアップ。見事に2点を先制した。

下から絡んだミカは右足を抱えて崩しにかかるが、ガブリエルはバランスを保つ。立っているガブリエルに対してガードを閉じたミカは、素早く左足を内側から抱えて倒す。が、ガブリエルはすぐに体勢を立て直してみせた。

ミカはガブリエルのラペルを右ヒザ裏を通して掴むと、前に崩してからのシットアップを狙うが、ガブリエルはここもポジションキープする。さらに右足に絡んだミカが前方に崩しを仕掛けると、ガブリエルはマットに頭をつけて耐えて横向きに。右足のズボンをしっかりと掴んで引きつけられたミカは、シットアップができない。

やがてもう一度下になったミカは、右ヒザ裏を通したグリップをキープしたまま、再びガブリエルを前に崩してからシットアップへ。ガブリエルは左足一本で立ち上がるが、ミカは軸足を刈ってのテイクダウン。ガブリエルはまた立ち上がり、んらばとミカが後ろに倒す。それでも諦めず立ち上がるガブリエルだが、ミカはまたしても軸足を刈って、豪快に舞わせてのテイクダウン。

場外際で立とうとするガブリエルに対し、ミカは中に引きずり込んで上のポジションを固定しにかかる。が、抵抗するガブリエルが下がり切って場外へ。この一連の攻防の中でミカのテイクダウンが認められ、残り3分のところでアドバンテージ差で逆転することとなった。

スタンドからの再開。ガブリエルの引き込み狙いを察知したか、ミカはしゃがんで低い姿勢に。警戒しあう両者に一度ペナルティが与えられる。その後も低く構えたミカは、素早く前に出て引き込むガブリエルに合わせるような形で上に。

これがテイクダウンとして認められ、4-2。アドバンテージでも上回っているミカは、残り2分の時点で大きなリードを得ることとなった。

座ったガブリエルは、ミカが近づくとすぐに左に回って必殺のベリンボロへ。座って腰を引いて距離を取ったミカは、左に動いてパスで反撃。攻防を回避してリードを守り切る気などさらさらないようだ。それを防いだガブリエルは、今度は右に絡んでのベリンボロを繰り出す。終盤まで両者が攻め合う凄まじい攻防だ。

残り1分。ミカの右に絡みつつ、ラペルを絡めて掴んだガブリエルは、最後の望みを賭けてベリンボロのアタック。ミカの体勢を崩して立とうとするが、バランスをキープしたミカは前方にドライブし、ガブリエルを押し倒した。

残り15秒。諦めずにシザースイープを狙うガブリエルだが、それを堪えたミカが左に大きくパスを仕掛けたところで試合終了。最後はミカがサイドポジションに入ったところで終わったが、これは勝負ありと悟ったガブリエルが力を抜いたせいだろう。

両者が上下から凄まじいキレの技術を繰り出し続ける至上の攻防の末、ミカが4-2で快勝。要所で上を取り切るスクランブルの強さにおいてミカが上回ったことが、勝敗を分けた要因か。

とまれ、現在世界最高の業師の一人ガブリエルをも凌駕した柔術の神の子が、翌日の準決勝へ進出。期待されるタイ・ルオトロとの新世代決勝戦が、俄然現実味を帯びてきた。

<ライト級準決勝/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def. 4-0
ルーカス・ヴァレンチ(ブラジル)

大会最終日。準決勝に進んだタイの相手は、この階級で2019年世界準優勝、21年にも3位に入っているルーカス・ヴァレンチ。2019年の世界大会決勝では、当時の絶対王者ルーカス・レプリにすらパスを許さなかったオープンガードの名手だ。

意外にも先に引き込んだタイ。ヴァレンチの右足を抱えて横回転し、さらにシングルレッグへの移行を狙う。バランスを保ったヴァレンチは、上からクロスチョークを狙いながら右膝を抜こうとするが、タイはそのまま強引にスクランブルで上になると、立とうとするヴァレンチを倒し切って上を取って先制点を奪ってみせた。道着着用ルールで自ら下になり、ノーギの流儀を押し通してトップを取るのだから驚きだ。

上になったタイは、担ぎや得意の足を踏みつける形でプレッシャーをかけるが、オープンガードに定評のあるヴァレンチも距離を取り対処し、やがてタイをクローズドガードに入れた。

ヴァレンチは下からタイの手首やラペルを取りにゆくが、タイはその度に切る。またタイは時に腰を上げて前傾姿勢でプレッシャーをかけるが、ヴァレンチに下からギを掴まれそうになると無理せず座る。先制点を取っているからこそ余裕のある戦いぶりだ。

クローズドガードでなかなか突破口を見出せないヴァレンチは、タイの左ヒザに右腕を入れてラペルを取ると、さらに左でラッソーを作って内回りを仕掛ける。

が、強靭なバランスを誇るタイは崩れず。ラペルを左足に巻き付けられているタイだが、見事な体捌きでバランスを保ちつつ左足を上げ、解除に成功した。それでもヴァレンチは左のラッソーと右のラペルグリップを使っての攻撃を試みるが、可動域が増したタイはさらに動いて両方とも解除し、距離を取った。

残り2分。一旦立ち上がったヴァレンチはタイと組み合う。ここでタイはヴァレンチの頭を抱えてスナップダウンを仕掛け、さらに奥襟を取ると大内刈りのフェイントからシングルレッグへ。右手で足を取りつつ、左手でグリップした袖を引き寄せる形でヴァレンチを崩してテイクダウンを決めてリードを広げた。

そのまま攻撃の手を緩めないタイは、さらにプレッシャーをかけてヴァレンチの体を二つ折り。両足首を持って体重をかけ、さらに右足を踏みつけて固定してから自ら飛びこんでのバック取りを狙うが、ヴァレンチも防ぐ。

残り1分。立ち上がったヴァレンチはタイの道着を掴むが、変幻自在に体勢を変えつつ左右の手で頭を掴んでくるタイに攻撃を仕掛けることができない。それでもシングルを狙うヴァレンチだが、タイは軽くがぶると逆に長い左手を伸ばしてヴァレンチのかかとを掴んで崩す。

ここで深追いせずに引いたタイは、次の瞬間大きく跳躍しての飛び三角。ヴァレンチが反応して脇を締めると、タイはここも深追いせずにすぐに立ち上がる。

その後もヴァレンチの帯を背中越しにとって動きを止めたタイは、最後は引き込みスイープを狙って試合終了を迎えた。

自ら下を選んでからスクランブルでトップを取ると、その後はヴァレンチの道着を用いた攻撃を、持ち前のダイナミックな身体操作で完封したタイの完勝だった。道着着用ルールにおける世界屈指のテクニシャンのギを用いた妙技を、全て潰してしまう恐るべき19歳だ。

<ライト級準決勝/10分1R>
ミカエル・ガルバォン(ブラジル)
Def.6分27秒 by ボーアンドアローチョーク
ジョナタス・グレイシー(ブラジル)

準決勝に進んだミカエルの相手は、2020年ヨーロピアンのライト級覇者のジョナタス・グレイシー。いわゆるグレイシー一族と血縁関係はないが、昨年末の世界大会ではミドル級に出場し、準決勝でイザッキ・バイエンセにレフェリー判定で惜敗して3位入賞を果たしている世界的強豪だ。

下になりたいジョナタスは、ミカの道着を掴まずに座ってしまいペナルティをもらう。改めて引き込んだジョナタスに対し、ミカは左膝を入れてベースを作ると、すぐに動いてジョナタスの左足をかつぎ、右足を押し下げての噛みつきパス狙いへ。

低くプレッシャーをかけて右足を超えにかかるミカだが、ジョナタスも腕のフレームで懸命に距離を作る。やがてミカはハーフまで侵攻して胸を合わせると、左腕で枕を作って首を殺して腰を切る。

注目されがちな派手な切り返しではなく、ごくごくオーソドックスな動きで、世界トップどころのガードをゆっくりと殺してゆくミカ。重心の低さ、タイトな密着、圧力のかけ方といった柔術の地力が恐ろしく強いことの証左だろう。

ジョナタスは下からミカのラペルを掴んで揺さぶろうとするが、ミカの盤石のベースは揺るがない。やがて絡まれている右足を抜いたミカは3点を先制すると、さらにステップオーバーしてマウント狙い。ジョナタスはなんとか左足に絡むものの、ミカはジョナタスの左ワキに頭を入れて肩固めの体勢に。さらに袖車に移行するが、ここでジョナタスは回転して上になるとともに両者は場外へ。これが場外逃避とみなされ、ミカがさらに2点を追加した。

試合はスタンド&中央で再開される。ジョナタスが引き込むと、瞬時に反応して右ヒザを入れたミカは、グラウンドに状態なった瞬間にはもうニースライスを完遂してサイドに付いている。ジョナタスも下から足を入れるが、ミカは低く担ぎにかかる。それを凌いだジョナタスは右でラッソー、左でデラヒーバで絡む。

ここからベリンボロを狙って回転するジョナタスだが、ミカは一緒に回転して防御。さらにジョナタスがもう一回転を狙うが、すでにその尻を取っていたミカは前に飛び込んでのベリンボロ返し。あっという間にバックを取って足のフックを入れて9-0とリードを広げた。

ミカは右手でジョナタスの襟を掴み、ボーアンドアローチョークへ。先日2階級上の世界王者ルーカス・バルボーザを仕留めたのと同じ技をもって、約7分半のところでタップを奪ってみせた。

普段は上の階級において世界レベルの活躍をするジョナタスに対し、瞬時の反応や切り返しだけでなく、桁外れに強力な柔術ファンダメンタルから繰り出すオーソドックスなパスガードでも圧倒。柔術の神の子が、その渾名に相応しい力を見せつけて決勝進出し、誰もが待ち望むタイ・ルオトロとの新世代決戦に駒を進めた。

<ライト級決勝/10分1R>
ミカエル・ガルバォン(ブラジル)
Def.2-0
タイ・ルオトロ(米国)

19歳のタイと18歳のミカによる注目の決勝戦。青帯時代に道着着用ルール対戦した時は、グリップを有効に使ってスイープしたミカが完勝している。が、昨年のWNOチャンピオンシップ=ミドル級決勝ではお互いが警戒し合ってほぼ攻防がないまま時間が過ぎ、タイが僅差の判定をものにしている。

まず引き込んだのはミカの方。一瞬で右にオモプラッタに入るが、タイも即座に反応して前転して上に戻る。するとミカは下からタイの右足を取って両足で浮かせるが、タイはバランスをキープした。最初の攻撃でミカにアドバンテージが与えられた。

さらに下からボンをとったミカは尻を出させながらバックを狙うと、タイはここも上を保つ。やがて正対してオープンガードに戻ったミカは、内掛けでタイの右足に絡む。下から煽ってタイを前に崩すと、右足を掴んでトーホールドにゆくが、タイは回転して逃れる。これでミカは2つ目のアドバンテージを獲得した。

その後も下から煽り続けるミカと、守勢を余儀なくされながらも見事なバランスで上をキープするタイ。道着着用であるが故に、前回の対戦──お互い警戒するまま時間が過ぎ、終盤の数少ないミカの攻撃もタイがことごとく遮断した──とは全く違う展開となっている。

やがてミカはタイの右腕にラッソーで絡むが、タイは立ち上がってミカの右足を踏みつける得意の形を作ると、横に動いてのパスを仕掛ける。こうしてタイが反撃を開始したその刹那、ラッソーを利用してタイを前方に舞わせるミカ。下になるまいと頭で着地したタイが立とうとしたところで、ミカもその斜め後ろに付いて追いすがる。

諦めず逃げようとするタイに対し、ミカはそのバックを目掛けて豪快に旋回。遠心力でタイを倒すと、そのまま上になってみせた。

なんとか腕のフレームで距離を作ろうとするタイだが、ミカはしっかり重心を落として体勢を固定。残り5分半でついにミカが先制点を獲得。最初から怒涛の攻めを続け、耐えたタイがついに反撃に出たその瞬間を突いた見事なカウンターだった。

低く胸を合わせたミカは、タイの右足を押し下げて侵攻を図る。タイは下から小手絞りで反撃するが、ミカは構わずポジションを進めてハーフに。さらに腰を切ってサイドを狙うが、タイは小手絞りを解いて右腕で距離を作った。

が、ここでミカはすぐに右のニースライスに移行。タイがそれを押し戻そうとしたところで、巧みに右足を引いて足の絡みを解除したミカは、上半身で低く体重をかけたまま左にパス。暴れるタイを抑え込んでサイドを奪取した…と思いきや、まだ諦めず動き続けたタイが全力でブリッジしてうつ伏せに。見ているだけで力の入る凄まじい攻防だ。

ミカはぴったりその背中に付いて襷掛けを取ると、タイの上体をリフトし、胴体に両足を巻き付けてみせる。ポイントの入る両足フックではなく、足をクロスしてポジションキープするミカは、やがて襟を掴んでチョーク狙い。絶体絶命と思われたタイだが、体を反って動きポイントをずらし続けてなんとか耐える。

ミカは足を四の字に組むと、さらに左でタイの襟を掴んでチョークを狙う。諦めずにディフェンスを続けるタイは、両腕でミカの左腕を掴んで外すとそのまま回転。残り1分半のところで正対し、ミカのクローズドガードの中に入ることに成功した。ここまでポイントは2-0、アドバンテージは5-1でミカがリードしている。

残り時間が少なるなか腰を上げるタイだが、先日レアンドロ・ロのトップゲームを完封したミカのガードは開かず、時間だけが過ぎてゆく。残り35秒、タイはミカをリフトしながら改めて立ち上がり押し下げようとするが、それでもガードは開かない。残り20秒、まだ諦めないタイはミカの体を下ろしてから左腕でガードを押し下げにかかる。

が、内側からタイの左足を抱えたミカは、それと同時に右腕にゴゴからオモプラッタのカウンター。フックこそしきれなかったもの、キムラグリップを取って上下を入れ替える。ここからミカが右腕を極めにゆくなかで、タイが左腕をグリップしてそれを耐える中で試合終了した。

道着着用ルール世界一を賭けた舞台での再戦は、前回と違い両者が持ち味をぶつけ合う珠玉の展開に。形は異なれど共にきわめて強力なトップゲームを持つ両者だが、下になった時に最後はスクランブルが頼りのタイに対し、ミカは多彩なガードからの仕掛けと、相手の動きの先を行く天性のカウンターの勘を持つ。この差が、より相手の体をコントロールできる道着着用下でものを言ったようだ。

戦い終えて、正座して握手した二人。今後10年――続くであろう至上のライバルストーリーの続きを見ることができるのは、ADCC世界大会の決勝戦か――。

18歳、最年少で黒帯のムンジアル王者となったミカは「最高の気分だよ。凄く良い経験になった。前回、僕を破ったタイに勝てたことも良かった。今回はより自分の試合ができたこともハッピーだよ。18歳で世界チャンピオンは最年少かもしれないけど、ずっとやってきたことだからね。父、母、スポンサー、ガールフレンド、チームメイト、試合にも出ているファブリシオ・ディアゴに感謝している。皆の心と一緒戦っていて、僕は1人じゃなかった。自分が目指す場所には、まだまだの距離がある。僕に勝っている2人がライト級で戦っていた。来年は体重を落とせないかもしれないからもしれないから、ライト級で戦うことにしたんだ。来年はミドル、あるいはミディアムヘビー級かもしれない。今からADCCに備えるよ」とポディウムで金メダルを掛けられた直後にFLOGRAPPLINGのインタビューで語っている。

【ライト級リザルト】
優勝 ミカ・ガルバォン(ブラジル)
準優勝 タイ・ルオトロ(米国)
3位 ジョナタス・グレイシー(ブラジル)、ルーカス・ヴァレンチ(ブラジル)

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