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【UFC280】「NJまで片道2時間掛けてスパーに行くわ」。フィオホと対戦、ケイトリン・チューケイギアン

【写真】アッパレ過ぎるほど、アッパレな返答のオンパレードだったチューケイギアン(C)MMAPLANET

22日(土・現地時間)にUAEはアブダビのエティハド・アリーナで開催されるUFC280でケイトリン・チューケイギアンが、マノン・フィオホと対戦する。

UFC在籍6年、タイトル挑戦経験がありオクタゴンで戦績11勝5敗というチューケイギアンにアブダビという地で戦うこと、新鋭フィオホの印象とタイトルショット、そしてNYでの女子選手のトレーニング環境について話を訊くと、彼女のMMAに対する向き合い方こそ、これだけのキャリアを残せる要因だと確信できた。


──ファイトウィークに入り、現地入りして間もないタイミングでインタビューを受けていただきありがとうございます。

「大丈夫よ。昨夜、アブダビ入りしてしっかりと睡眠をとることができたし、今日も問題なく体を動かすことができたわ……って、あなたのこと見覚えあるわ。確か……」

――7月の終わりにセラBJJで平田樹選手に関して、日本のABEMA用にインタビューをさせていただきました。

「ああ、そうね。Zoomで顔を見て、アレって思ったの(笑)」

――あれから3カ月、本来は9月のパリ大会で対戦予定だったマノン・フィオホと今週末に戦うことになりました。

「マノンのホームタウンであっても、すっごくパリで戦いたかったわ。ただパリを訪れたい、そういう感じだけど。大会終了後に数日間パリで過ごすつもりでいたから。それが凄く楽しみだったの」

――勝負云々でなく、パリを楽しみたかったということですね(笑)。

「それだけじゃないわよ(笑)。彼女は唯一のフランス人女子UFCファイターで、試合順もコメインだった。マノンのホームタウンで戦うという経験を楽しみにしていたし。でも、コーチ陣は中立の土地で戦うことを歓迎しているわね。彼女のケガでパリでの試合はなくなったけど、一度はパリで試合を戦ってみたいと今も思っているわ」

――ところで米国国内で3時間の時差で戦うのと、アブダビに来て8時間の時差で戦うのは体調的に違いは感じられますか。地球は自転しており、西に移動するのと東に移動するのではバイオリズムが違うという医学的見解を以前に読んだことがありまして。

「う~ん、その疑問に答えるにはまだこっちに入って早すぎる気はするけど、現時点で私は何も問題はないわ。飛行機とアブダビで睡眠をとったわけだけど、すこぶる好調よ。それに2020年にファイトアイランドで試合をしていて、アブダビへの遠征も初めてじゃないから、問題なく過ごせているしね。

あの時は朝の4時からの試合だったのが、今回は午後10時からだし。戦う環境としては、今回の方が良くなっているから不便が感じられないのかもね。だからベガスで戦うことではなくて、前回のアブダビで戦うことと比較すると今回は楽になっているのは確かよ」

――今回は中立の地です。基本的にケイトリンは米国での試合が多く、USチャントの後押しがあってもブーイングを受けて戦うことはないです。

「ブーイングされて戦うことを考えると、凄くワクワクするわね。もう7年も前になるけど、UFC以前にHungarian FCっていう大会に出場して、ブダペストで試合をしたの。トーナメント戦で決勝がハンガリーの選手が相手だったから、少しブーイングを受けたわ。でも観客の数自体がとても少なかったから、ブーイングも小さくて(笑)。

きっとパリの大観衆にブーイングされると、最高のクールだったでしょうね。でも、今はアブダビでのファイトを楽しみにしているわ」

――マノンはUAEW出身ですし、ひょっとすると彼女の応援が多いかもしれないですね。

「いずれにしても彼女のファイトスタイルはファンにも受けるし。私はアンダードッグだけど、しっかりと戦うわ」

――確かにマノンはUFCで4勝0敗ですが、ケイトリンも現在4連勝です。アンダードッグに納得していますか。

「確かに彼女はジェニファー・マイアに勝ったけど、フライ級契約でも本来はストロー級の選手との試合も多いわ。5連勝、6連勝、7連勝をしようが対戦相手にどれだけの価値があるのか、大切なことはそこよね」

――マノンのカラテ流ファイトにはどのような印象を持っていますか。

「体が強いわ。そして、あの動きをする選手は凄く少ないわね。ただし、マノンが戦ってきた相手で私のようなフットワークを使って戦える選手はいなかった。真っすぐ前に出て、攻撃が当たる相手ばっかりだったわ。これまでの彼女の試合は、スタイル的に戦いやすい相手が多かった。でも、私はちょっと違う戦い方ができるから」

――マノンのようなスパーリング・パートナーを今回は見つけることはできましたか。

「レフティでキックをたくさん使う。スパーでもドリルでも、そこを頭に入れて練習してきたから大丈夫よ。とにかく蹴りの数が多い。そこは十分に対策を練ってきたわ」

――ところで冒頭で話したようにセラBJJでケイトリンに会った取材は、いつ以来のイーストコーストでのジム取材かというぐらい久方ぶりでした。西海岸やミッドウェスト、あるいはラスベガスやフロリダで取材をしていると米国のジムは一つの場所で、全てのトレーニングをこなせるという印象が強かったです。でもNYで平田選手はマンハッタンやロングアイランドなど、公共交通を使ってクイーンズから1時間もかけて移動していました。

「そうね、ほんとソレがNYのクレイジーなところだわ。私はニュージャージー出身だけど、今はロングアイランドに住んでいて。だからセラBJJはすぐに行けるけど、週に2度ニュージャージーまで車で2時間かけて、スパーリングに行っているの」

――!!!!!! それって片道っていうことですか。

「そうよ。往復で4時間ね。私たちも一か所で練習できないことはないけど、納得できる練習をするには、それだけの移動が私は必要なの。特に女子選手はベストなトレーニング・パートナーを見つけることは男の人より難しいから。

全ての局面で練習パートナーがいる男子選手と、私たちは違うからね。まぁ不満には思うところもあるけど、ベストなトレーニングができないより良いからオプションがあって良かったと思っている。車で片道2時間かけても、マーク・ヘンリーの指導やニュージャージーでのジムメイトとの練習は私に欠かせない。納得できる練習をすることが、一番大切なことだから」

――それだけの想いでケイトリンはMMAを向かい合っているのですね。では、その想いをどのように土曜日の試合でぶつけたいと思っていますか。

「UFCで長く戦い、常に成長してきた姿を見せたい。そして、今も新しい武器を携えていることもね」

――おそらくはUFCはマノン・フィオホのようなニューウェーブの台頭を望んでいるかと思います。ただしこの4連勝対決、勝てばケイトリンにももう1度タイトルショットを戦う機会が巡ってくるのではないでしょうか。

「そうね、5連勝したらそのチャンスがあって然りよね。でも、それは勝ってからの話で、また交渉が必要だし、今回も良い勝ち方が求められるはずよ」

――ケイトリン、今日はありがとうございました。日本のファンに一言お願いできますか。

「私だけでなく、UFCを応援してくれてありがとう。日本からNYにガールズたちが練習に来るんだけど、大歓迎よ。彼女たちとの練習はとても楽しいわ。そして日本のファンの皆には土曜日のショーを楽しみにしてほしい。サポート、ありがとう」

■視聴方法(予定)
10月22日(土・日本時間)
午後11時00分~UFC FIGHT PASS
10月23日(日・同)
午前3時00分~PPV
午前3時00分~WOWOWプライム

■UFC280対戦カード

<UFC世界ライト級王座決定戦/5分5R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
イスラム・マカチェフ(ロシア)

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]アルジャメイン・ステーリング(米国)
[挑戦者]TJ・ディラショー(米国)

<バンタム級/5分3R>
ピョートル・ヤン(ロシア)
ショーン・オマリー(米国)

<ライト級/5分3R>
べニール・ダリューシュ(米国)
マテウス・ガムロ(ポーランド)

<女子フライ級/5分3R>
ケイトリン・チューケイギアン(米国)
マノン・フィオホ(フランス)

<ウェルター級/5分5R>
ベラル・モハメッド(米国)
ショーン・ブレイディ(米国)

<ミドル/5分3R>
マフムド・ムラドフ(ウズベキスタン)
カイオ・ボハーリョ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴォルカン・オズデミア(スイス)
ニキータ・クリロフ(ウクライナ)

<フェザー級/5分3R>
ズベア・トホゴフ(ロシア)
ルーカス・アルメイダ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
アブバカル・ヌルマゴメドフ(ロシア)
ガジシ・オマルガジシエフ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
アルメン・ペトロシアン(アルメニア)
AJ・ドブソン(米国)

<フライ級/5分3R>
ムハマド・モカエフ(英国)
マルコム・ゴードン(カナダ)

<女子バンタム級/5分3R>
リナ・ランズバーグ(スウェーデン)
カロル・ホザ(ブラジル)

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BELLATOR o TJ・ディラショー UFC アレン・アメドフスキー カイラー・フィリップス キック グレゴリー・ホドリゲス ジリアン・ロバートソン ダナ・ホワイト トニー・グレーブリー ピョートル・ヤン ホドリゴ・ナシメント マリヤ・アガポワ マルロン・モラエス

UFC on ESPN+68:オッズ/予想と展望

コーリー・サンドヘイゲン 1.53
ソン・ヤドン 2.60
チディ・エンジュクアニ 1.83
グレゴリー・ホドリゲス 2.00
アンドレ・フィリ 1.80
ビル・アルジオ 2.05
ジョー・パイファー 1.23
アレン・アメドフスキー 4.50
タナー・ボーザー 1.61
ホドリゴ・ナシメント 2.40
アンソニー・ヘルナンデス 1.57
マルク・アンドレ・バリオー 2.50
デイモン・ジャクソン 2.50
パット・サバティーニ 1.57
トレヴィン・ジャイルス 1.48
ルイス・コシ 2.80
アスペン・ラッド 1.71
サラ・マクマン 2.20
デニーシ・ゴメス 2.75
ローマ・ルックブンミー 1.49
トレイ・オグデン 3.55
ダニエル・ゼルフーバー 1.33
マリヤ・アガポワ 2.35
ジリアン・ロバートソン 1.65
トニー・グレーブリー 2.35
ジャビッド・バシャラート 1.65
ニコラス・モッタ 1.53
キャメロン・ヴァンキャンプ 2.60

メインはバンタム級ランカー対決。4位サンドヘイゲンに10位のソン・ヤドンが挑む。

元キック王者サンドヘイゲンは、現王者スターリングにはテイクダウンからのチョークで秒殺負けしたが、マルロン・モラエス、フランク・エドガーのトップランカーには連続KO勝ち。昨年7月に、元王者でドーピングによる2年の出場停止明けのTJ・ディラショーと対戦。接戦となったが、ディラショーがブランクを感じさせない動きで、サンドヘイゲンは組まれてスタンドバックを奪われる展開でスプリット判定負け。ディラショーの負傷により暫定王座決定戦のチャンスが巡ってきたが、ピョートル・ヤン相手に前半は打撃でリードしていたものの、後半ギアを上げてくるヤンにダウンを奪われ、そのまま引っくり返されての判定負けで連敗中。

相手の中国No.1プロスペクト・ヤドンはまだ24歳。打撃は強いがテイクダウンされた後の対処に難がある選手。UFCと契約後は相性がいい相手との試合が続き、打撃で圧倒する試合が出来ていたが、相手のレベルが上がるにつれて苦戦するようになり、7戦目のカイラー・フィリップスにはついに判定負け。そこから徐々にテイクダウンディフェンスを向上させてきて、前回は元タイトル挑戦者のマルロン・モラエスに1RKO勝ち。今アジアの男子UFCファイターではもっともタイトル挑戦に近い存在。つまりは、バンタム級アジア最強ファイターということになる。

連敗中のサンドヘイゲンだが、ヤンは別格として、ディラショー相手には内容では負けていなかったし、評価は落ちていない。打撃だけでなく、グラウンドも向上してきている。対するヤドンは、UFCで初めて打撃で上を行くであろう相手との対戦に。得意の打撃で上回れない相手に新たな引き出しを見せるのか、それとも打撃で真っ向勝負するのか。相性はかなり悪い相手だと思うが、オッズはアンダードッグであるものの、そこまでの大差ではない。

期待感は大きいヤドンだが、相性の悪さを考えて、サンドヘイゲンが圧倒しての判定勝ちと予想。

セミはBellatorで8戦していながら、コンテンダーシリーズからUFC契約を決めた遅れてきたルーキー・エンジュクアニが抜擢。今年2月のUFCデビュー戦で16秒KO勝ち、5月の2戦目も1RKO勝ちしているストライカー。相手のホドリゲスはUFC3勝1敗で、柔術ブラジル王者にもなっているグラップラーだが、UFCでは2度のKO勝ちもあり、トータルファイターになりつつある選手。しかし、どちらもまだ前座~中堅クラスの選手。

メインカードでUFCデビューを飾るのは、7月のコンテンダーシリーズで勝利したばかりのジョー・パイファー。今年のコンテンダーシリーズ開幕戦では、アグレッシブな攻めから2RKO勝ち。他の試合がディフェンシブの試合が多かったことから、試合後のダナ・ホワイトが「UFCと契約したければパイファーのような試合をしろ」とまくしたてていた。なお、2年前にもコンテンダーシリーズに出場しているが、優勢に試合を進めていたところで、タックルでテイクダウンを奪われた際に腕をついて肘を脱臼して負傷TKO負けしている。

デビュー戦でいきなり今大会1番のフェイバリットになっているパイファーだが、相手のアメドフスキーがUFC0勝3敗というのも影響しているか。また、コンテンダーシリーズでパイファーを破ったダスティン・シュトルツフスも、UFCデビュー後は1勝4敗と苦しんでいる。

第1試合開始は18日朝5時。再来週はイベントがないため、今月最後のUFCとなる。速報します。

 

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o TJ・ディラショー ショーン・オマリー ジョゼ・アルド タイソン・ナム ピョートル・ヤン マラブ・デヴァリシビリ マルロン・ヴェラ

UFC on ESPN41:ポストファイトボーナス/総評

ファイト・オブ・ザ・ナイト:ネイト・ランドワー vs. ダヴィッド・オナマ

・パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト:マルロン・ヴェラ、タイソン・ナム

メインはKOしたヴェラよりも、クルーズがすごかった。限られた武器をやりくりして、途中まではヴェラを翻弄していた。パンチではダウンは喫しても、パニックにならずにすぐにリカバリーしていた。3Rマッチなら勝っていたかもしれない。過去の2連勝は「衰えたが気持ちを見せた試合」だったが、今回は完全にヴェラの上を行っていた。

が、やはり一発で意識を飛ばされたらどうにもならない。ヴェラの殺傷能力が上だった。メインでレジェンド相手にいい勝ち方をしたので、さらにチャンスを与えてほしいところ。バンタム級トップランカーの予定は以下の通り。

王者・アルジャメイン・スターリン:10/22  vs. TJ・ディラショー
1位・ピョートル・ヤン:10/22  vs. ショーン・オマリー(13位)
2位・TJ・ディラショー:10/22  vs. アルジャメイン・スターリン
3位・ジョゼ・アルド:8/20  vs.  vs. マラブ・デヴァリシビリ(6位)
4位・コーリー・サンドヘイゲン:9/17  vs. ソン・ヤドン(10位)
5位・マルロン・ヴェラ

ヴェラは来週のアルド vs. デヴァリシビリの勝者との対決が妥当か?次期挑戦者はヤン vs. オマリーの勝者になりそうだが…。

MVPはファイト・オブ・ザ・ナイトの2人。決してレベルが高い試合ではなかったが、この試合が客入れで行われて良かった。

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MMA MMAPLANET o TJ・ディラショー UFC UFC ESPN39 アントニーナ・シェフチェンコ カイオ・ボハーリョ キック サイドユカップ・カクラモノフ サイド・ヌルマゴメドフ シンシア・カルヴィーロ ジェイミー・マラーキー ジャレッド・ヴァンデラ デヴィッド・オナマ ハファエル・ドスアンジョス ボクシング マイケル・ジョンソン マナ・マルチネス ラファエル・フィジエフ リッキー・トゥルシオス ロニー・ローレンス 岩﨑達也

【UFC ESPN39】カクラモノフと対戦、ロニー・ローレンス「僕はコンプリート・オーバーオールタイプ」

【写真】粗さが残る打撃から組みというカクラモノフに対し、ローレンスはどちらの構えで、どのような攻撃を見せるか(C)Zuffa/UFC

9日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN39「dos Anjos vs Fiziev」でサイドユカップ・カクラモノフと対戦するロニー・ローレンス。

超自然体のスイッチヒッターは、打撃とテイクダウンも融合している。強豪揃いのUFCバンタム級戦線で、特異な空気を持つローレンスに話を訊いた。


――サイドユカップ・カクラモノフが控えているロニーです(※取材は7月6日に行われた)。今の調子はいかがでしょうか。

「グレートだよ。ちょっとお腹はすいているけど、しっかりと金曜日の計量に向けて調整しているところだよ」

──日本のコアファンが要注目のロニーのスタイルなのですが、日本の空手マスターの岩﨑達也さんがMMAは非常に多くのスイッチヒッターが見られるものの多くはただ構えを変えているだけだと。そのなかでTJ・ディラショーのピーク時は相手を見て、考えて変えていた。ただし、それは体力を駆使してのモノだった。対してロニーのスイッチは非常に自然だと言っていました。

「そう言って貰えると、とても嬉しいよ。構えを変える時、考えて動いているわけじゃない。でも理由は存在しているんだ。そこがなくて、構えを変えることはない。ずっと同じスタンスでも戦えるだろうけど、目で見て体が反応しているんだよ。

練習で培ったものなのか、ファイトIQの類なのか分からないけど、最初は慎重にオーバーハンドとかの大きな一発を貰わないように戦い、少しずつ仕掛けて距離や間合いを掴んでいく。

実はUFCで戦う以前は、もっとボクシングに偏っていた。今では自分が感じるままにカラテ・スタンスから、バシッと一撃を放り込むことが増えた。その距離とタイミングが掴めてきたんだよね」

──しかし、その打撃で前回の試合では2Rまでマナ・マルチネスを圧倒していたのに3Rにスピニングバックフィストを受けてダウン。一転KO負けのピンチからなんとか抜け出しての判定勝ちでした。

「全く見えていなかった。実はあのファイトウィークは体調が悪くて、胃に問題を抱えていたんだ。自分の出来ることは懸命にやったつもりなんだけど、3Rは感知能力も落ちていた。ただ思い切り振っただけのスピニングバックフィストが、見えなかった。

ああいうラッキーなパンチを当てた選手の多くが、そのままフィニッシュに持ち込むことがデキるなかで、レスリングを使って何とかエスケープすることできた。そこは今後のためにも良かったかな。

ラウンド中ずっと、気を抜いたわけじゃない。ただし、一瞬抜けた。集中力が欠けてしまった時にあの一発を貰った。試合だから、過去にもそういうコトはあったけど、まさにその一瞬が彼の攻撃のタイミングと合致してしまったんだ。それも、今からするとちょっとボクシングに寄り過ぎた戦いをしてしまっていたからだと思う。

でもホント、簡単に勝負はひっくり返ってしまうことを学んだよ。集中力を切らさないことの大切さを、ね。そうだね、ホントにスピニングバックフィストは最悪だよ(苦笑)。スピニングバックフィストは、ホームランのような攻撃だ。僕はホームラン狙いのような戦いはしないけど、ホームランは打たれないように集中しないといけないね」

──それがカクラモノフ戦でも生きそうですか。

「そうだね。だからこそ、大きく僕のファイトスタイルは変わることはない。ばかりか、やるべきことは全く変わりない。その同じことをやるうえで、より精度が上がり、良くなっている。結果、大きく変わった試合になるだろうね。

僕の対戦相手はまずパワーがある。柔道が得意で、レスリングも少し使う良い選手だ。ただ、この階級のどの相手と戦っても僕は対処できる。彼の仕掛けにも対応できる。打撃戦のなかでチェンジレベル、ヒザ、ヒジを織り交ぜて、首相撲もそうだしレスリングも使うよ。

どの局面でも使える技はないかもしれないけど、局面にあった攻撃を僕は仕掛けることがデキるからね」

──と同時にUFCバンタム級は非常に層が厚く、ランク外にも強豪揃いです。そんな階級で上位に進出するために、どのようなインパクトを残したいと思っていますか。

「前回の試合の2Rまでのように試合をドミネイトしたい。でも、それ以上に臨むことは勝利を手にするということだけだよ。それ以上に必要なモノはない。そりゃあ、僕だってハイライトリールKO勝ちをしてみたい。でもテイクダウンできれば、ハーフガードで抑えて時間をかけて削っていく。僕はコンプリート・オーバーオールタイプ・ファイターだからね。

僕はレスリングがデキる。捕まえることがデキる。エルボー、ヒジ、パンチ、蹴りを当てることがデキる。スピニングバックキックだって、お手のモノさ。状況に応じて、いかようにも戦うことがデキる。ファンが大喜びする試合じゃないかもしれないけど、今の僕にとって、重要なことは勝利を手にすることだから。それはフィニッシュかもしれないし、判定かもしれない。とにかくベストを尽くして戦い、最後に勝利を手にすること。それが一番大切なことなんだ」

■視聴方法(予定)
7月10日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC ESPN39計量結果

<ライト級/5分5R>
ハファエル・ドスアンジョス: 156ポンド(70.76キロ)
ラファエル・フィジエフ: 155ポンド(70.31キロ)

<ミドル級/5分3R>
カイオ・ボハーリョ: 185.5ポンド(84.14キロ)
アルメン・ペトロシャン: 185.5ポンド(84.14キロ)

<バンタム級/5分3R>
サイド・ヌルマゴメドフ: 135.5ポンド(61.46キロ)
ドゥグラス・アンドレージ: 135.5ポンド(61.46キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジャレッド・ヴァンデラ: 263.5ポンド(119.52キロ)
チェイス・シャーマン: 253ポンド(114.75キロ)

<ライト級/5分3R>
マイケル・ジョンソン: 155.5ポンド(70.53キロ)
ジェイミー・マラーキー: 155.5ポンド(70.53キロ)

<女子フライ級/5分3R>
シンシア・カルヴィーロ: 126ポンド(57.15キロ)
ニナ・ヌネス: 125.5ポンド(56.92キロ)

<バンタム級/5分3R>
エイマン・ザハビ: 135.5ポンド(61.46キロ)
リッキー・トゥルシオス: 135.5ポンド(61.46キロ)

<女子フライ級/5分3R>
アントニーナ・シェフチェンコ: 126ポンド(57.15キロ)
コートニー・ケイシー: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ミドル級/5分3R>
コディ・ブランデージ: 185.5ポンド(84.14キロ)
トレシャン・ゴア: 185.5ポンド(84.14キロ)

<フェザー級/5分3R>
デヴィッド・オナマ: 145.5ポンド(66.0キロ)
ギャレット・アームフィールド: 145ポンド(65.77キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ケネディ・ンゼチェクウ: 205ポンド(92.99キロ)
カール・ロバーソン: 202.5ポンド(91.85キロ)

<バンタム級/5分3R>
ロニー・ローレンス: 136ポンド(61.69キロ)
サイドユカップ・カクラモノフ: 135.5ポンド(61.46キロ)

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Bu et Sports de combat MMA MMAPLANET o TJ・ディラショー UFC キック ジョシュア・クリバオ チェ・スンウ ホン・ジュンヨン ボクシング 剛毅會 岩﨑達也 松嶋こよみ 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。クリバオ✖チェ・スンウ「距離の種類」

【写真】打って出るクリバオと出て→打つチェ・スンウの違いとは (C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たジョシュア・クリバオ✖チェ・スンウ戦とは?!


──今回はジョシュア・クリバオ✖チェ・スンウの試合をお願いします。

「いやクリバオ、凄く良い選手ですね。もともと、どういう格闘技をやっていた選手なのですか」

──私もほとんど知らない選手でした。UFCから送られてくる資料だと柔術からMMAを始めたということで、それ以前に打撃のベースがあったのかは不明です。

「伝統派空手的な打撃なのですが、MMAをやるうえで身に着けた結果がああいう打撃になったのか……。この試合は出て打つのと、打って出るのとの違いが明白でした。

リーチが長いのはチェ・スンウですが、彼は出て打っているのでクリバオにしては見やすかったと思います。なのでブロックをしたり、カウンターを当てることがデキていました。逆にクリバオのパンチは、チェ・スンウは見えづらかったと思います」

──クリバオの打撃は力むことなく、パワーや瞬発力に頼ることがない打撃に映りました。チェ・スンウは動きを目で追っていても、感知できないパンチがありました。ただ、両選手ともドタバタした打撃ではなかったです。

「ドタバタはしていないです。チェ・スンウは送り足でパンチが強い。ただし、動きが一つです。にじり寄って振りまわす。彼は距離が遠く感じていたんだと思います。クリバオは下がったり、外したりと距離を取る手段が断然多かったからでしょうね。外すだけでなく、チェ・スンウの出鼻にサッと前に出たりだとか。

最も注目すべきは遠間からスッと距離を詰めて打つパンチです。アレは見事でした。足を踏み込んだりしていないんです。何気なくポンとおいているだけのパンチでした。チェ・スンウにしてみれば、相当に厄介だったはずです」

──踏み込まずに置くパンチ。つまり打って出る攻撃だったわけですね。

「構えもスイッチして変えていますし、今のMMAを追求していくとああいう形になったのでしょうかね」

──キックボクシングの韓国・国内王者だったチェ・スンウがMMAにアレンジしていった打撃とは明らかに違いました。

「う~ん、なぜ、ああいう風にできるようになったのか興味深いです。接近戦でもフックの打ち合いに応じていますし。このフックの性格も両者は違っていました。チェ・スンウは前に出ないと打てていないです。あれだけ踏み込むと、自分の動きを止めるためにブレーキを同時に掛けないといけなくなるので」

──パワフルに見えたのはチェ・スンウでしたが、自分で勢いを落としてしまっていると。その一方で、クリバオはとても柔らかい動きなのに効かせていました。

「そうなんです。ステップバックをして左のフックを合わしていましたからね。その場で打つフック、下がりながら打つパンチ、急に飛び込んで打つパンチと3種類の打ち方をしていました。それを左の逆突きでもやるし、ワンツーでもやっています。蹴り終わりに出したり。上下の攻撃が繋がっています。これはキックボクシングでもフルコンタクト空手でも同じですが、MMAでは上下が途切れるよりも繋がっていた方が良いです。

米国のMMAの打撃はどうしてもボクシング寄りです。でもレスリングが強いので、パンチと蹴りのトランジットの部分でラグがあっても問題視していないみたいです。でも、良い時のTJ・ディラショーはラグがなかったです」

──MMAという部分で捕らえると、初回と2Rはほぼ組みがなかったです。そして3Rにはチェ・スンウがテイクダウンをしてバックグラブまで行きました。あのポジションと、勢いのあるように映る打撃でジャッジ1人はチェ・スンウの勝ちにしました。

「最初から組みを混ぜる選手に、あの打撃を出すことができるのか。チェ・スンウはずっとクリバオの距離でパンチや蹴りを出してきたので、問題になる攻撃がなかった。そこに組みを交えると、どうなるのか。そこは見てみたかったです」

──ところでクリバオもチェ・スンウも教え子の松嶋こよみ選手と同じフェザー級です。クリバオやチェ・スンウはUFCの契約配下選手、松嶋選手はそこにいくためのトーナメントに参戦中ですが、能力的にどれだけ差があると見ていますか。

「松嶋が凄く良いとは言えないですが、正直、クリバオやチェ・スンウがそこまで完成度が高いとは思っていないです。MMAはやるべきことが多すぎて、一つことを究めることがあまりできない傾向にあります。だからこそ、技術的なことばかり目をやって『やれる』、『やれない』という感情を持ってもしょうがないんです。

UFCが常に凄いのは、あの生き残り合戦のなかで生き残った選手の試合ばかりを視ているからなんです。あそこで生き残れる人間は、生き残っているだけ強くなっている。それは何も技術力が絶対だからではないです。技術はある者同士が戦っている。そこで勝ち残り続けることができるのは、技術だけの問題ではないです。生き残りを賭けた戦いを勝ち抜いてきた生命力の強さです」

──そうなると練習で修得できるモノではなくなってしまいます。

「ハイ。練習で身につくものじゃないです。だから松嶋のホン・ジュンヨンとの試合で一番の収穫は、あの根性のある相手に気持ちで負けなかったことです。彼は技術的なことを反省したり、倒せなかったことを悔やみがちですが──そんなものは練習通りに行くわけがない。

倒せないで落ち込んでいたら、ずっと落ち込み続ける必要があります。でも、最終的には殴って、テイクダウンをして勝てた。あの気持ちの強い相手が最後には勝負を諦めたんです。技術的な部分ではなく、あの気持ちを彼はこの間に経験してきたことで備えることができていた。それは決して練習では身につくことではありません。でも技術も気持ちも練習していないと、何も出ないです。

百やってきたことの幾つかだけですよ、試合に出るのは。でも、その100をやらないと幾つかはない。百をやるから、一が生きます」

──改めて、松嶋選手と彼の間に差は?

「クリバオとチェ・スンウと松嶋に差はないです。アイツが勝つつもりで練習をするのか。今回のような気持ちで戦うということができれば、クリバオの攻撃を凌ぐことだってあります。相手のやる気を叩き潰せば良いんです」

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【RTU ASIA2022】世界に立ち向かうJ-MMAファイター(10)堀内佑馬─01─ 「僕の夢が、また一つ叶う」

【写真】さぁ、いよいよという空気もありつつ──インタビュー中は終始、淡々としている風でもあった堀内だが──後半掲載予定のある質問にぐっと表情も言葉は厳しくなかったことがあった(C)MMAPLANET

6月10日(金・現地時間)、シンガポールはカレンのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるRoad to UFC ASIA Episode03で堀内佑馬が、トップノイ・キウラムとRoad to UFCフライ級トーナメント準々決勝を戦う。

UFC行きを賭けた8人制トーナメントに、カリフォルニア州アーバインから乗り込む堀内は、他の日本人選手と違い米国を拠点にMMAに打ち込み、UFCファイターを目指してきた。

再開──2022年、春(※既に初夏)~世界に立ち向かうJ-MMAファイター特集~。第10弾は堀内佑馬の言葉をお伝えしたい。


──6月10日、シンガポールでRoad to UFC出場の堀内選手ですが、アーバインから現地に向かうのですか。

「ハイ、4日に出発します」

──今大会はコーナーマン1人分のチケットが出ると聞いています。

「そうですね。(コリン)オーヤマ・コーチと行きます。PPVショーにチーム・オーヤマから選手が出ているわけでなく、僕のためにシンガポールまで行ってくれるんです」

──なるほど。ところで時差のない日本で調整をしようという考えはなかったですか。

「なかったです。試合をするだけなんで。時差ぼけも大丈夫だと思うんですけど、なったらなったでその時に考えます(笑)。そこまで時差を気にすることはないです」

──日本からでも7時間以上で、その前に太平洋を越えてくる出場選手に他にいないかと思います。

「全部で19時間、飛行機に乗っているみたいで……辛いですねぇ(笑)。結構、きつそうだと思います」

──ともあれ3つ勝てばUFCという状況での試合になります。

「最高ですね。皆は『ここが夢じゃない』って言いますけど、僕はいっぱい夢を持っていて。UFCに行くのも夢、チャンピオンになるのも夢、一つの勝利も夢なんで。そういう部分では、Road to UFCで戦うことで僕の夢が、また一つ叶うという気持ちです」

──昨年11月にマーク・クリコマを1分52秒でKOし、そこから試合がなかったです。この間というのは、どのような方法でステップアップを図ろうとしていたのでしょうか。

「ショートノーティスでUFCからオファーがあれば出られる。そういう話になっていて、それから3月か4月にベガスのコンテンダーシリーズで戦うという話が来ました。でも僕はアジア人なんで、UFCが最終的にシンガポールでやるRoad to UFCに回した感じだと思います」

──コンテンダーシリーズなら1試合、なぜ3試合勝たないといけない方に回されるんだよという気持ちにはならなかったですか。

「なりましたね、正直(笑)。最初はトーナメントだと思っていなかったです。それからトーナメントとワンマッチがあると聞いたので、ワンマッチで組んでくれないかと期待していました(苦笑)。でも、僕はそういうこともプラスでしか考えていなくて。UFCは甘くないから、行くまでに強いアジア人と戦うことができることをプラスだと捉えています。

大切なのはUFCに行ってからなので。それまでに良い経験をしようと思っています」

──その一方でLFAフライ級王座を争ったチャールズ・ジョンソンが、コンテンダーシリーズを飛び越えて7月にUFCデビューを飾ります。

「(ムハマド)モカエフ戦ですよね。多分、チャールズのこの話はモカエフの相手が見つからなくてオファーが行ったんだと思います。アイツがそれでやるって言ったわけだし、勝ってくれって祈るだけです(笑)」

──まさに堀内選手が狙っていたショートノーティス待ちに近い契約かと思われるのですが、堀内選手もその境遇を経験してどのような気持ちで過ごしていたのですか。

「常にファイトキャンプをしている感じで、体重をキープして……僕としては良いことだったと考えています」

──この間の練習はこれまで通りチーム・オーヤマとONE柔術で?

「そうですね、オーヤマ・コーチ。そしてジヴァ(サンタナ)さんの柔術、あとアレックス(ペレス)が連れて行ってくれたのですが、TJ・ディラショーの打撃コーチのタイラー(ウァンブルズ)がやっているクラシック・ファイトチームで、ミットを持ってもらっています。タイラーはアレックスのコーナーにも就いていて」

──オレンジ一帯のジムだけでなく、SNSでラスベガスにいる堀内選手の姿もよく見られたという印象があります。

「アレックスやルイス(スモルカ)の試合の時にラスガスに一緒に連れて行ってもらいPIで練習できました。アレも凄く良い経験になりました。

──そして俄然、日本で注目を集めているイリディアム・スポーツ・エージェンシーとの契約も果たしています。チーム・オーヤマからイリディアムという流れは、いよいよUFCへという環境が整ってきたと考えることができるでしょうか。

「もともとイリディアムのジェイソン(ハウス)はチーム・オーヤマで練習していた時期があり、コーチとも親しいですし……僕も5年ぐらい前から知っていて、契約自体も去年の2月に交わしました。オートマチックというか、自然に契約しました」

(C)YUMA HORIUCHI

──そのチーム・オーヤマといえばカーラ・エスパルザがUFC世界女子ストロー級王者に返り咲きました。

世にも不思議なタイトル戦でしたが……。

「素晴らしかったです。あの世界戦の前、僕がローズ・ナマジュナス対策のメインパートナーをやらせてもらっていて。カーラは練習に向かう姿勢も素晴らしいですし、とにかくメチャクチャ強いです。女子でこんなに強い選手がいるのかって……。僕の考えではローズは一度やっているから、テイクダウンを取られた後とかが怖くてあんな風になってしまったんだと思います。

あの空間の中でしか分からない何が絶対にあるでしょうね。スパーリングをしていたから分かるんですけど、カーラは凄くプレッシャーがあるんです。とにかくテイクダウンが凄いですから。で、ローズは出られなくなって……ああいう試合になってしまったんだと」

──それにしてもエスパルザは、前に出てこずカウンター狙いのみのナマジュナスに遠い距離からでも組みついてテイクダウンを奪っていました。

「あの距離でテイクダウンができるのは凄いです。僕もアリゾナまで見に行って、大会後は皆でパーティーでした(笑)」

──その場で戦うために、まず6月はトップノイとの試合をクリアしなければなりません。トップノイの印象を教えていただけますか。

「それこそ7年ぐらい前にタイガームエタイに行った時にトップノイが、MMAに転向したての頃で、一緒に練習したことがあるんです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
Episode01
6月9日(木・日本時間)
午後3時30分~UFC FIGHT PASS
Episode02
6月9日(木・日本時間)
午後6時30分~UFC FIGHT PASS
Episode03
6月10日(金・日本時間)
午後3時30分~UFC FIGHT PASS
Episode01
6月10日(金・日本時間)
午後6時30分~UFC FIGHT PASS

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode01対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
SASUKE(日本)
イー・チャア(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
パラチン(中国)
キ・ウォンビン(韓国)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
クルムアリ・マイマイティトゥハティ(中国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チェ・スングク(韓国)
ラマ・スパンディ(インドネシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
チャン・ミンヤン(中国)
トゥコ・タクコス(ウクライナ)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode02対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
キム・ミンウ(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
ホン・ジュンヨン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
ウォーレン・デルロサリオ(フィリピン)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
アイリヤ・ムラトベク(中国)
パワン・マーン・シン(インド)

<フライ級/5分3R>
ショーン・エチェル(豪州)
内田タケル(日本)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode03対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
シェ・ビン(中国)
イ・ジョンヨン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
堀内佑馬(日本)
トップノイ・キウラム(タイ)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
宇佐美正パトリック(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
ググン・グスマン(インドネシア)

<女子ストロー級/5分3R>
ソ・イェダム(韓国)
ジョセフィン・クヌトゥソン(スウェーデン)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode04対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
野瀬翔平(日本)
ウリジブレン(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
アスクルバイ(中国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
ルー・カイ(中国)
アンガ・ハンス(インドネシア)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
パク・ヒョンソン(韓国)
ジェレミア・シレガー(インドネシア)

<ウェルター級/5分3R>
ジョン・アダハー(フィリピン)
キム・ハンソル(韓国)

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MMA MMAPLANET o TJ・ディラショー UFC UFC273 アルジャメイン・ステーリング ピョートル・ヤン

【UFC273】打を捨てて、組んでコントロールを狙い続けたステーリングがヤンをスプリットで下す

<UFC世界バンタム級統一戦/5分5R>
アルジャメイン・ステーリング(米国)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
ピョートル・ヤン(ロシア)

いきなり左ミドルを見せたステーリングが、続いてミドルハイを繰り出す。中を取り、高いガードのヤンをフロリダのファンが後押しをする。すかさズUSAコールが起こる場内、ケージの中は静かな攻防が続き、ステーリングが右ミドルを蹴る。続いて右をボディに入れたステーリング、ヤンは右を伸ばし左フックを振るう。ミドルにも左フックを合わせに行ったヤンは、腹を蹴られてスイッチするや強烈な勢いで左ミドルを蹴る。

オーソに戻し、またサウスポーに構えたヤンが前に出て、ステーリングが回る展開が続く。追いかけてワンツーの暫定王者は右ミドルをスネでカットする。ジャブを連続で見せた正規王者が、当てる攻撃はミドルだ。ヤンが左2発で前に出ると、ステーリングは右エルボー。ヤンが左ハイを返す。ダブルレッグ狙いから細かいパンチの連打、最後に右をステーリングが振るった。

2R、踏み込みに力が入ってきたステーリングに対し、ヤンがミドルを入れる。シングルを一度は切ったヤンだったが、ステーリングの右を見せてシングルというトライで姿勢を乱して崩されると、マウントからバックに回られる。四の字フックで捕らえたステーリングはワキ腹を殴り、RNCを機会を伺う。時間は3分以上あり、じっくり攻める正規チャンピオン。ヤンは後方に拳を振り落としていく。勢いのある左のパンチを嫌がったヤンが暴れると、ステーリングがRNCをしかける。動かされたヤンはマウント、バックマウントで殴られる。厳しい展開でヤンはエルボーを打たれながらサバイブした。

3R、ロー、サイドローのヤンは、ステーリングのシングルレッグを切る。続く右フックにダブルレッグも、これも切ったヤンがガブるが当然ヒザで頭は蹴らない。立ち上がって離れると、腹を殴られたか動きが固まったヤンは、ダブルレッグで倒されてバックを許す。3分30秒と2Rと同じように時間があるなかで、背中に張り付き続けたステーリング。ヤンは胸を合わせることができず、ラウンド終了を迎えた。

4R、左を空振りしたステーリングに左をまとめたヤンは、ダブルレッグを切って殴りながらバックを伺う。それは許さず立ち上がって間合いを取り直したステーリングは、カーフにテイクダウンを合わせるが、切られてガブられる。ヒザをマットについたまま離れたステーリングのバックに回ったヤンは、徹底してテイクダウンを切る。

それでもシングルからバックに回ったステーリングだが、前方に落とされてガードを取る。時折り腰を切るステーリングだが、大きな仕掛けはないまま時間が過ぎる。起き上り、振りの大きなパンチを落としたヤンは、嫌がって立ち上がったステーリングのバックを取る。ステーリングはここで引き込み、ハーフガードからングルを狙う。足首を取ってクラッチして腹ばいになったステーリングは無理をせず、ラウンドを失ってリードを守った。

最終回、右ミドルを入れ、左ローでバランスを崩させたヤン。尻もちをついたステーリングが立ち上がってダブルレッグ、一度は切られてもそのままケージに押し込んでいく。4Rを捨てて効果を発揮するタイミングだが、ヤンが離れて立ち上がる。ワンツーのヤンに、ボディをいれるステーリングは執拗に組み、ボディロックからバックに回る。痛恨のバックコントロールを許したヤンは、ケージに体を預けポジションを入れ替えて離れる。

シングルを切ったヤンは、間合いを測り打撃を振るうこともなく組みに専念するステーリングに飛びヒザを見舞う。ステーリングがそれでもシングルレッグへ。切ったヤンがバックに回る。4Rを休んでなお、攻め込まれるステーリングはバックをとったヤンのハイが空振りに終わると──続くスタンドでも、組んで一度は尻もちをつかせる。ステーリングは抑えにいけず、切り返したヤンがバックに回る。

残り30秒、バックコントロールでヒザを入れ、ついに両足をフックしたヤンはステーリングが立ち上がると自ら着地し、時間となった。コントロール&ポイントアウトのグラップリングMMAは2Rと3Rは正規王者、4Rと5Rは暫定王者のラウンドに。初回は足を使ったステーリングに対し、追いかけていたヤンのラウンドでもおかしくない。

結果、ステーリングが2-1で判定勝ちを収め王座統一。MMAの打の要素を可能な限り省き、組んで倒す&バックに回るという戦いで正規王者が勝ち切った。試合内容はねちっこく、マイクは勇ましい王者はTJ・ディラショーを対戦相手に指名し、ヤンは「自分が勝った」と言い切った──が、2Rを取っているという主張は見当違いだ……。


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MMA TJ・ディラショー UFC UFC ESPN31   ジョゼ・アルド ボクシング ロブ・フォント

【UFC ESPN31】打、組み、寝技でフォントを圧倒。完勝のジョゼ・アルド、「シン・ジョゼ・アルドだよ」

<バンタム級/5分5R>
ジョセ・アルド(ブラジル)
Def.3-0:50-45.50-45.49-46
ロブ・フォント(米国)

サウスポーの構えから左ストレートを伸ばし、オーソに戻して右アッパーを繰り出すフォントが右を当てる。ジャブ、ストレート、右オーバーハンドと構えを変えながらパンチを放つフォントは、ミドルを蹴ったアルドに組んでテイクダウンへ。バックに回ると、正面に回ってリフト。耐えるアルドのバックを再び取る。

ボクシングでなくレスリングで攻めるという意外なスタートを切ったフォントが、左ジャブから右ストレートを打ちこむ。アルドが左フック、右オーバーハンドと勢いに飲み込まれたように打撃戦に付き合う。そのなかで組みを切られたアルドが、右ボディから左ストレートを打たれる。ステップインしながらアッパーを空振りしたフォントが、近い距離でエルボーを繰り出す。

引き続き構えを目まぐるしく変えるフォントに対し、アルドは左フックをカウンターを当てる。さらにアルドの左ボディフックを受けたフォントの構えが小さくなる。その後は体を伸ばして左右のパンチを見せており、ダメージは感じられないフォントだが、ワンツーの右を被弾して続くアッパーを避けるように倒れこむ。組みを切りながらパウンドの追撃を入れたアルドが、逆転で初回を取った。

2R、ローを蹴るフォントがジャブから右を伸ばす。ジャブから右と初回最後の場面を打ち消すかのように積極的に攻めるフォントに対し、アルドも落ち着いてジャブを返す。ジャブに右クロスを入れたアルドは、再び力強いワンツーを打っていく。フォントは萎縮したか動きが小さく、またワンツーを被弾して下がる。すぐにジャブ、ボディアッパーを入れるフォントに対し、アルドがパワーの違いを見せるかのような右、ジャブを繰り出す。

フォントは数で優り、一発のインパクトでアルドが逆転という流れのなかで左ミドルを狙う。フォントがカーフを蹴り、下への蹴りを見せないアルドがジャブにヒザを合わせ、右ストレートを打っていく。右オーバーハンドから組みにいったフォントは切られて右を当てる。直後にボディフックを決めたアルド、ホーン後は疲れを伺わせたが、引き続き凄味のある攻撃を見せたラウンドだった。

3R、強烈なローを蹴ったアルドは、この回になってローを多用する。そこにアッパーを打っていくフォントだが、ジャブに右ローを合わされる。踏み込まない限り、ジャブの距離では足を蹴られるフォントは右に回るようになり、ダブルレッグを切られて下になる。マウント狙いのアルドは、ハーフで抑え肩固めを狙う。半身になったフォントからパスを決めたアルドは、バタフライ→クローズドガードに戻されも、腕十字を察知し腰を引く。

フォントは下からエルボーも、スクランブルには持ち込めない。ハーフで抑え、足を戻されると立ち上がったアルドに続き、フォントもスタンドに戻る。右アッパーを入れたフォントだが、当たりは浅い。とフォントが右ボディを殴り、エルボーにつなげる。さらにワンツーを放ったフォントだが、右ローでバランスを崩し尻もちをつかされる。一旦はサウスポーに構えたフォントは、オーソに戻して前蹴りや右スレートを見せるが、前足を蹴られてラウンド終了を迎えた。

4R、ここまで3R、もしくは2つのラウンドをとっていると思われるアルドは、ワンツーで右を打ち込む。下がったフォントにヒザ蹴りを極め、ダウンを奪ったアルドがサイドで抑えエルボーを打ち下ろす。クルスフィックス狙いから肩固めに移行しようとしたアルドに対し、フォントがヒジを差し入れて防ぐ。鼻の頭のカットを気にするフォントはハーフに戻すも、枕で圧を掛けられ3/4マウントまで攻め立てられる。必死に足を戻したフォントは左腕をしぼっていくが、これは極まることはない。またもパスを決めたアルドは、サイドに拘らずガードに戻されてもトップキープを続ける。フォントは下から、ガツンという音がするエルボーを打っていく。肩を押してエビのフォントを潰し、マウント狙いからハーフと安定したコントロールを続けるアルドは、4Rを勝利に近づく5分とした。

最終回、振りが大きくなったパンチで前に出るフォントに対し、一旦は足を使ったアルドは真正面に立って右を打ち返す。フォントは右フック、左から右エルボーを入れる。ここでクリンチを選択したフォントはケージにアルドを押し込むも、テイクダウンを奪えずエルボーを入れて離れる。アルドは前に出て左ジャブ、フォントはここも組んでケージに押し込む。

打撃戦での逆転を諦めたようなフォントは、ケージへ押し込む展開をを続ける。離れ際にアッパーを入れたフォントだが、アルドは右を当て後方に下がったフォントの腹を殴り、ワンツーをヒットさせる。しゃがんで亀になったフォントは、前転して逃げようとするが、。アルドはついていって、半身のフォントからマウントを取る。上を向かず、背も見せないフォントだったが、最後の1分を切るとついに背中を預け、アルドがボディトライアングルで捕えてパームトゥパームで絞める。

手首を掴み、ロールして必至に逃げたフォントだが、アルドが打、組み、寝技と全ての局面でフォントを上回り──気力・体力ともに衰えていないことを証明。3-0の判定勝ちを手にした。

「この階級でチャンピオンを目指しいるから3Rでなく、5Rで戦えることを証明する練習をしてきた。ロブ・フォントはタフな相手で、リスペクトしている。でも誰も僕を止めることはできない。今回だけでなくチャンピオンになるために、練習し続ける。立っても寝ても戦える。コンプリートMMAファイターであるためにトレーニングしている。自分のデキること全てやる。シン・ジョゼ・アルドだよ。次? タイトル戦線がどうなるか分からないけど、TJ・ディラショーさえよければ彼と戦いたい。ベストパフォーマンスを見せるよ」とジョゼ・アルドは話した。

一方はロブ・フォントは「幾つか見えないところから、力のあるパンチを被弾した。痛いパンチで、目が腫れてしまった。彼はレジェンド、タフだった(苦笑)。やろうとしたことができなかった。ジョゼ・アルドの夜だ。フーッ、強くなって戻って来る。このスポーツのレジェンドと5R戦ったことで、自分を成長させる」とコメントした。


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TJ・ディラショー UFC キック ダン・フッカー ボクシング ヴィルナ・ジャンジローバ

UFC267:オッズ/予想と展望

ヤン・ブラホヴィッチ 1.34
グローバーテイシェイラ 3.45
ピョートル・ヤン 1.45
コーリー・サンドヘイゲン 2.80
イスラム・マカチェフ 1.15
ダン・フッカー 5.75
アレクサンダー・ヴォルコフ 1.34
マルチン・ティブラ 3.45
リー・ジンリャン 5.25
ハムザト・チマエフ 1.18
マゴメド・アンカラエフ 1.36
ヴォルカン・オーズデミア 3.40
アマンダ・ヒバス 1.61
ヴィルナ・ジャンジローバ 2.45
ヒカルド・ハモス 2.45
ズバー・ツフゴフ 1.61
アルベルト・デュラエフ 1.30
ローマン・コピィロフ 3.70
エリゼウ・ザレスキ・ドス・サントス 1.43
ベノイ・サン・デニス 2.90
シャミル・ガムザトフ 1.71
ミハエル・オレクシェイチュク 2.20
マクワン・アミルカーニ 3.45
リローン・マーフィー 1.34
フー・ヤオザオン 2.90
アンドレ・ペトロスキー 1.43
マゴメド・ムスタファエフ 3.30
ダミアー・イスマグロフ 1.37
タギル・ウランベコフ 1.27
アラン・ナシメント 4.10

ファイトアイランドシリーズではないアブダビ大会。アメリカ本土よりヨーロッパ方面の選手が参戦しやすいからか、名前の最後がフ(v)で終わる選手が12人もいる(チマエフのようにロシア人ではない選手もいるし、ピョートル・ヤンのようにロシア人でもvがつかない選手もいるが)。

メインはライトヘビー級タイトルマッチ。昨年9月にタイトルを獲得し、今年3月に初防衛に成功して2度目の防衛戦となるが、初防衛戦の相手は階級下のイスラエル・アデサニヤ。アデサニヤがライトヘビー級初戦だったこともあり、今回が本当の意味での初防衛戦となる。

相手は計量日前日に42歳の誕生日を迎えるグローバーテイシェイラ。7年前に35歳でジョン・ジョーンズのタイトルに挑戦し完敗して以来の王座挑戦となる。一時期は勝ったり負けたりになったこともあったが、ここ最近は5連勝中。ボクシング+柔術のスタイルだが、最近は特に寝技での勝利が多い。

ブラホヴィッチは最近負けた試合では必ずテイクダウンを許している。打撃で勝負するスタイルだけに、相手のテイクダウンも警戒する必要があると、打撃の圧が減ってしまう面もある。ただし、テイシェイラもそこまでテイクダウンが強い選手ではない。そもそも簡単にテイクダウンされない=負けないからこそ王者にまでなっているわけで、テイシェイラもそうそう何度もテイクダウンは奪えない。できれば最初のテイクダウンで決定的な場面を作りたいところ。

ブラホヴィッチKO勝ち。

セミは3月のタイトルマッチで、アルジャメイン・スターリングをリードしていながら、4Rになぜか反則のグラウンド膝を出して反則負けになってしまったピョートル・ヤンとスターリングのダイレクトリマッチが組まれていたが、スターリングが負傷欠場。暫定王座決定戦に変更となり、第1候補はドーピングによる2年以上のブランクからの再起戦でコーリー・サンドヘイゲンを破ったTJ・ディラショーにあったが、ディラショーはサンドヘイゲン戦後に負傷箇所を手術したことにより長期欠場中。負けたサンドヘイゲンに王座初挑戦のチャンスが回ってきた。

元キック世界王者のサンドヘイゲンはディラショー戦ではスタンドでバックに回られる展開で接戦となりスプリット判定負け。しかし内容は互角以上で、ディラショー相手に簡単にはテイクダウンを許さなかった。

ヤンはUFCではここまでダウンを喫することはあったものの、自分から打撃勝負を避ける展開はなかった。サンドヘイゲン相手でも打撃勝負できるだけのボクシングテクニックを持っている上に、レスリングの強さがある。戦いの幅がある分、ブラホヴィッチ有利か。

ヤン判定勝ち。

メインカードにはハムザト・チマエフが復帰戦を行う。昨年7月のアブダビ大会でUFCデビューすると、インターバル10日というUFC最短での連勝、さらに2ヶ月後にも勝利しUFC最短での3連勝を挙げている。昨年12月にはトップランカーのレオン・エドワーズ戦が組まれたが、新型コロナウイルスに感染。後遺症により長期欠場となり、一時はSNSで引退も表明した。3戦目まではUFC記録のスピード出世だったが、4戦目は1年1ヶ月のブランク明けに。

相手はランキング11位のリー・ジンリャンだが、オッズは大差でのフェイバリット。が、ここまでの3戦はたしかに圧勝だったが、ランカークラスとの対戦はこれが初めて。コロナ後遺症の影響も気になる。はたして期待に応えることはできるのか。

アブダビ開催のため、第1試合は30日土曜日の23時30分から。速報します。

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BELLATOR MMA PFL Special TJ・ディラショー UFC UFC ESPN27   イスラム・マメドフ コリー・サンドハーゲン ニュース ブレント・プリマス ベラトール ボクシング 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番─番外編03─ディラショー✖サンドハーゲン「喪が明ければ良いのか」

【写真】サンドハーゲンとディラショーとの試合に、このような視点は持てていなかったです (C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

青木が選んだ2021年7月の一番─番外編─第三弾は7月24日に行われたUFC ESPN27からTJ・ディラショー✖コリー・サンドハーゲン戦について語らおう。


──青木選手が選ぶ7月の一番、番外編も3試合目になります。

「ディラショー✖サンドハーゲンなんですけど、試合内容云々でなくディラショーはドーピング違反からの復帰戦ですよね」

──はい、2019年3月のヘンリー・セフード戦で陽性反応があり、2年間の出場停止処分が下りました。

「サスペンド明けということは、当然のようにクスリを使っていたわけじゃないですか。それが……サスペンドが明けたからって同じ土俵なのかっていう話題にならないなと。

パフォーマンス向上のクスリに関して、皆が厳しい目をしているわけじゃないですか」

──ハイ、アンフェアなことですしね。

「やっているんじゃないか? 使っているだろう?ということに関しては、憶測も含め厳しい目で見ています。でもサスペンドが明けると『楽しみだぁ』となるだけで、『それってフフェアなの』という指摘はなかった」

──う~ん、その見方があるのかというが正直なところです。

「つまり、そういうモノなんですよね」

──米国でMMAがイリーガルでなくなった。コミッションに認可されたスポーツになった。その時、コミッションとは法の番人、公明正大な組織だと思っていました。

「それがずば抜けた既得権益を持つ組織だったと」

──ハイ。実力差のあるマッチメイクもOKだし、ボクシングの世界王者が初戦でMMAの世界チャンピオンとやるのもOK。あれだけ危険だと言われていたワンデー8人トーナメントもサンクションする。お墨付きを与えて、利益を得る組織でした。

「そのコミッションが出場禁止処分を与えた選手が、出場禁止期間が明けて戻ってきた。そうしたら大歓迎なのか、と」

──そこは出場停止という刑期を終えて出てきたので、イーブンになるという感覚でした。

「当然、その考え方を否定することはないです。そして人気もあるし、以前の実績が重視されて重宝されることも。僕自身、この件においては考えが定まっていません。どうなんだろうという疑問があるだけで。

ステロイドを若いころに使っていると、体創りという作業が楽になるのは明白です。良いDNAを残し、時間を節約することがクスリによって可能になっているんです。17歳、18歳で使っていると、体創りの時間を他の技術の習得なんかに当てることができる。

そういう選手がミスって陽性になり、出場停止を経験したから真っ白になるっていう倫理観はどうなんだろうと。ただ、復活を喜んでいるだけで」

──まずクスリの使用は、ファイト時のパフォーマンスを直接向上させると思われがちです。でも決してそうではない。逆に試合前に使用していると、露呈するリスクも高い。ただし普段から使用することで、疲労が少ない練習の連続で蓄積できるものが非常に多い。そこが見落とされがちです。

「そうなんです。特に若い時からやっていると。5年間とかステロイドを使って体創りをして、テクニック練習を凄くする。そうやって人造人間になってからUFCと契約できるわけじゃないですか。

試合をしている間に有罪になって、刑期を終えて出てきたから大歓迎するってどういうことなんだろうと思うところもあるんです。でも、議論の余地もないのが現状で」

──見ている人がクスリをやっていて陽性になったファイターのその後については、使っていなくても強いのかという見方ぐらいだと思います。この間の試合はサンドハーゲンが、ディラショーの実績を奪うファイトという捉え方もできましたし。

「結果、掛け率でもサンドハーゲンの方が上だったという。僕も実際にサンドハーゲンの方が強いと思っていましたしね」

──ディラショーは心が頑丈でした。そこが青木選手が指摘された過去の禁止薬物使用に関係しているのか。

「体の頑丈さ、技術だけでなく、気持ちで勝った。だけど、ここの問題はディラショー云々ではなくて、クスリを使っていた選手に対する対応、意識はどうなのかなってことなんです」

──米国はないのように見えます。ドラックでもクスリ使用から、立ち直ったカムバック劇にすらなることもあるかと。

「そこは日本とは違いますよね。日本はクスリやった芸能人って、そのイメージが付きまといますよね」

──そこはクスリも不倫も同じかと。

「そういう事例は確実に多いですね。でも、MMAの有識者の人がここについて何か指摘することはないのかと見ていました。日本のMMAって議論がないですよね。

僕もディラショーを責める気持ちとかはないんです。ただ、皆がどういう視線で見ているのかなって」

──そこまで考えていないのが現実ですよね。

「まぁ、そういうことですね。そして、試合でいえばディラショーは強かったなと。相性もあるかもしれないですけど、あの判定もどうとでも取れます。ダメージを与えたのはサンドハーゲンで、コントロールはディラショー。まぁ、倒しまくってきたサンドハーゲンをコントロールできることが凄い。そういう見方が成り立つというのはありますよね。

そことは別にクスリ問題は、きっと色々な競技で生まれると思います」

──UFCはあれだけテストをしていることで、逆に過去の使用に関しては帳消しになり、罪悪感も薄れるのかもしれないです。

「喪を明ければね。でも五輪レベルの検査があっても、切り抜ける人はいますからね。UFCでも全員はバレていないとは僕は思っていないです。バレる人がいるということは、やっている人がいる。つまり、切り抜けている人がいるということで」

──その通りですね。

「しかもMMAに関していえば、UFCだけですよね。WADA(世界アンチドーピング機関)のような組織と、自社の資金で検査をするのって。BellatorやPFLで、抜き打ちでアウトっていう話も聞かないですし」

──Bellatorに関しては、アスレチックコミッションがファイトウィークに行う検査だけかと思います。

「イスラム・マメドフと戦ったブレント・プリマスなんて尋常じゃない体に見えて。あれだけグラップリングの技量があって……あのバルク。ベラトールはバルクが凄い選手が多くて、アウトっていうニュースがあまりないから……なんかあるのかなって疑っちゃいますよね。

結局UFCだけで……積極的に不正を暴こうとするのは。他はだいぶ微妙に見えます。まぁMMAにはドーピングはある。だからこそ、もっと色々な見方があって議論が起こった方が良いなと思いました」

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