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【Shooto2023#02】SASUKEに挑戦、飯田健夫─01─「SASUKE選手のチャンスを奪ってしまう」

【写真】イメージ一新、長髪の飯田(C)SHOJIRO KAMEIKE

19日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるSHOOTO2023#02で、修斗世界フェザー級王者SASUKEに同ランキング1位の飯田健夫が挑戦する。
Text by Shojiro Kameike

2021年7月に工藤諒司を下してベルトを巻いたSASUKEは、昨年Road to UFCトーナメントに出場したものの1回戦で敗退した。その間、飯田は4連勝を収めてランキング1位に昇りつめ、今回の王座挑戦に至っている。両者は過去2戦して飯田の1勝1分という戦績だが、3度目の対戦を控えた飯田に、北海道から上京して以降の練習環境と連勝の要因を訊いた。


――修斗世界チャンピオンシップを控える飯田選手です。ずいぶんと雰囲気が変わりましたね。特に髪型など……。

「アハハハ、そうですね。髪の毛が伸びて、今はチョンマゲになっています。北海道にいる頃はスキンヘッドだったのですが、東京に来て『あまりにもガラが悪すぎる』と指摘されてしまいました(苦笑)」

――東京に拠点を移したのは、いつ頃なのでしょうか。

「ちょうど4年前です。ONE日本大会(2019年3月31日のONE90)が開催された時から東京に住み始めました。その時はまだ住む部屋も決まっていなかったんですけど……」

――えっ!? どういうことですか。

「ONE日本大会の日から東京に住もうとは決めていたものの、まだ東京で仕事が決まっておらず、部屋の審査に落ちてしまっていたんです(苦笑)。仕事のほうも住所がないから採用してもらえない、という悪循環で。まず先輩の家に1カ月ほど住まわせてもらい、そこを住所として申請して、すぐに仕事も決まりました。仕事が決まってから自分で部屋も借りて」

――住所不定の無職とは、なかなかの上京物語ですね。ずっと北海道でMMAを続けていた飯田選手が、なぜ東京に拠点を移したいと思ったのでしょうか。

「一つは、グラチャンの大澤茂樹戦(2018年5月に判定負け)です。いつも絶対に気持ちでは負けないと試合に臨んでいました。でもあの時は、初めて試合中に『この選手には勝てない』と思ってしまって。試合後は自分の中で『引退するか、練習環境を変えないといけない』と悩んでいたんですね。ちょうどその時――格闘技とは関係ない話になってしまいますが、大丈夫ですか?」

――はい、もちろん大丈夫です。

「MOROHAというラップグループがいるんですけど、その頃にMOROHAの『上京タワー』という曲に出会ったんです。『田舎から上京して、やってやる』という歌詞が、すごく身に染みて。僕も東京に出ないと先に進めない――そう考えるようになりました。さらに当時は、母親が癌でもう助からないという状況で……。その母から『あなたは悔いが残らないよう、最後まで自分の好きなことを貫きなさい』と言われたんです」

――……。

「人生は一度きりじゃないですか。だからこそ、結果として成功するにしろ失敗するにしろ、自分に言い訳ができない状況にチャレンジしたいと思いました。後になって『オレはここにいたら、もっと頑張れたんだ』なんて言い訳するのは、一番カッコ悪いことで。『自分はここまでやったんだ』と言える環境に身を置きたい。そのために1年間お金を貯めて、2019年3月に上京しました」

――なるほど。東京で練習し始めてから、何が一番変わりましたか。

「練習への取り組み方もそうですし、自分の考え方が変わりました。昔は練習するにしろ何にしろ、全力でやれば何とかなると思っていたんです。それが東京で練習し始めてからは、一つひとつの動作の意味――なぜ相手はこう動くのか、ということを考えるようになって。自分がこのパンチを出したから、あるいは目でフェイントをかけたから、相手がこう動く。だから次はこの攻撃を出そうというふうに理論的に考えられるようになりました。おかげで試合の中でも先が読めるようになったのが、一番変わったところだと思います。

あとはここ1年ぐらいのお話で、何をやっても楽しいんですよね。練習でも試合でも、全てのことが楽しい。練習は苦しくて辛いものだから、たくさんやる。ずっとそう思っていました。でも最近は、楽しいから練習するという意識に変わっています。もちろんGENに集まっている選手たちとのスパーリングや、追い込みの練習はキツいです。ただ、それ以上に楽しいという気持ちが勝っているんですよね。練習中でも楽しくて笑っていたら、スパーリング相手を怒らせてしまうこともあるんですけど(苦笑)。論田愛空隆戦(2022年9月にKO勝ち)も、楽しくて試合中も笑っていました」

――あの笑みは、そのような意味があったのですね。論田戦は打ち合いの中で、しっかりと受け返し……相手のパンチをギリギリでよけてからクロスを返す、という打撃戦を展開していました。あれも相手の動きを、しっかりと読むことができていたわけですか。

「はい。あれは皆さんが打ち合いや乱打戦と表現されているのですが、パンチは見えていました。見えていないパンチは効きますけど、見えているパンチは我慢できます。見えているので、相手のパンチに対しては肩でブロックするか、パンチと同じ方向に頭を振るので、見ている印象ほどは効いていませんでした。打撃については、田牧トレーナーの指導を受けて大きく変わったと思います」

――GEN練習でボクシングを指導されている、田牧一寿トレーナーですか。

「田牧さんはボクシング一筋のトレーナーさんです。でもMMAのことを踏まえた質問をしても、しっかり答えてくれます。蹴りに対する反応について訊いても、『これは距離感が違うよね』とか。要は距離感ですよね。その点で単なるボクシングではなく、MMAに通ずるものを教えてくれる方です。田牧さんから、自分の中では衝撃を受けるような指導を頂いて、一気に変わってきました」

――リアルタイムで試合中の因果関係を把握できるということは、過去の試合についても勝敗の要因が全て分かるようになっていませんか。

「過去の勝った試合はほとんど見ていなくて、負けた試合や失敗は原因が分かりました。『なぜここでもう一歩踏み出してないんだ!?』とか『ここはそんなに力を入れなくて良かったのに!』というふうに(笑)。あと過去のSASUKE選手との試合を見て、なんだか恥ずかしくなってしまいましたね」

――SASUKE選手とはアマチュア時代も含めて過去2戦し、飯田選手の1勝1分という戦績です。しかし現状はSASUKE選手が連勝を重ねて修斗のベルトを獲得し、Road to UFCにもエントリーするほど、立場の差は開いています。

「あぁ、そうですね。2019年に上京した頃は僕もまだ苦しんでいるなか、SASUKE選手は2019年に復帰してから連勝していて……。でも、そこに羨ましさとか妬みは一切ないです。SASUKE選手も努力したからこそ今の立場があるわけで。Road to UFCに出た時も、僕はイチ格闘技ファンとして応援していました。

でも選手として考えたら、よく今の状況で僕の挑戦を受けてくれたなって思います。SASUKE選手は、これからもRoad to UFCに出られる可能性がありますよね。でも今の自分と対戦したら、僕が勝ってSASUKE選手のチャンスを奪ってしまうことになりますから」

<この項、続く>

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【Shooto2023#02】RTUから帰還、野瀬翔平が新人王=新井拓巳と対戦。同門菅原はMAXと─続く茨の道

【写真】新井としても、野瀬を食うことで未来を変えることができる一戦だ(C)MMAPLANET&ONE

3月19日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#02の追加カードがSustainより発表されている。

SASUKE✖飯田健夫の世界フェザー級選手権試合、新井丈×関口祐冬、澤田龍人×安芸柊斗等が組まれている同大会にライト級のマックス・ザ・ボディ×菅原和政、バンタム級の野瀬翔平×新井拓巳の2試合が加わった。


HEATで岡野結城、VTJで西川大和、修斗公式戦で宇佐美正パトリックと3連敗後、昨年10月にエドモンド金子を破り約1年7カ月振りに勝利を挙げた菅原だが、ここでマックス・ザ・ボディとのマッチアップ、まだまだ茨の道が続く。

ここまでのハードな相手との対戦、勝ち負けを抜きにして、その経験を生かすのはこれから。そういう意味で、フィジカル・モンスター=マックス・ザ・ボディとの対戦は、菅原の今後を占う上で非常に大切な一番になってくる。

そんな菅原の同門、野瀬はRoad to UFCを経験し修斗に戻って来ることとなった。対する新井は昨年の新人王、なんともシビアなマッチアップとなる。野瀬と新井、ここまで接点がないように見えるが、両者揃って中村倫也に大敗を喫したという共通点がある。

新井は一昨年の4月にアマチュアマッチとして、格闘DREAMERS最終選考試合で中村と対戦し、42秒でKO負け。野瀬は昨年11月にRTU準決勝で、2分21秒で同じくKO負けを喫している。中村戦後の新井は1勝1敗1分、とにかく組んでしつこく攻めるという戦いを貫いている。

野瀬としては、その執拗な組みを遮断、あるいは自分の形で組むことができるか。RTU出場前に野瀬の師匠である弘中邦佳は「契約できれば御の字。そうでなくて、RTUで得られる経験が野瀬のキャリアに大切になってくる」と明言していた。

RTU初戦で元UFCファイターのウリジブレンと向き合ったことも、現状の日本ではなかなか経験できないことだ。Road to UFCを戦ったアドバンテージは確実に存在する。それを生かせるかどうかは本人次第。野瀬のMMAファイター人生の第2章がこの新井戦から始まるといっても過言でない。

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【Shooto2023#02】SASUKE✖飯田健夫──ベルトだけでなくこれからの人生が賭けられたフェザー級世界戦

【写真】7年5カ月前の両者の初対決──(C)MMAPLANET

12日(日)、サステインより3月19日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#02でプロ修斗世界フェザー級王者SASUKEが飯田健夫の挑戦を受けることが明らかとなっている。

同大会はストロー級チャンピオンの新井丈が関口祐冬と対戦するフライ級の一戦、Evolve MMAとONEチャンピオンシップとの契約が昨年秋に終了し帰国した澤田龍人が、安芸柊斗と事実上の次期挑戦者決定戦といえる凱旋──ではなく、仕切り直しの帰国第1戦を戦うことが既に発表されている。


澤田がONEからであれば、SASUKEはRoad to UFCからの仕切り直しの一戦となる。UFCとの契約を目指し参戦したRoad to UFCではイー・チャアに一本負けを喫し、初戦敗退。10月の準決勝大会ではノントーナメント戦でパラチンを判定で下して溜飲を下げ、かつ最高峰へ首の皮一枚を残した。

そして決勝大会はUFCファイトナイトに組み込まれ、自動的に出場はなくなったSASUKEが、2021年7月以来のプロ修斗公式戦でタイトル初防衛戦に臨む。飯田は現在4連勝中でランキング1位、SASUKEが留守にしていた修斗フェザー級戦線で3勝(※4連勝中に含まれる1勝はライト級マッチ)を挙げ、修斗離脱も覚悟で環太平洋王座挑戦のオファーを固辞し、今回の世界王座挑戦を実現させた。

この両者2015年の全日本アマ修斗ウェルター級(※現ライト級)決勝で戦い、負傷をおして戦ったSASUKEを下し飯田が優勝。翌2016年に新人王トーナメントで再戦し痛み分け、優勢ポイント2-1で飯田が決勝進出を果たした。と、この試合で負った負傷で飯田が欠場、代役のSASUKEは傷が癒えないまま戦い、長期離脱に追い込まれた。

あれから6年が過ぎ、世界の扉を開きかけたSASUKEは今もその夢を追いかけている。一方、飯田は北海道から上京した格闘技ライフも総括の時期が近付いており、現役生活継続云々ということではなくてもケジメの一戦となる。

全く立場もこれからのMMAファイター人生の青写真も違う両者が、3度目──そして最後の戦いにベルトだけでなく、これからを賭ける。

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