<ウェルター級/5分3R>
阿部大治(日本)
Def.1R1分35秒by TKO
押忍マン洸太(日本)
ワンツーの押忍マンに対して、阿部もパンチを振るって前に。押忍マンもローに左を合わせ、その押忍マンのジャブに阿部が右ローを蹴っていく。カウンターをしっかりと狙っている阿部に対し、左ボディを入れた押忍マンだが押し倒されたように姿勢を乱し背中をマットにつける。すぐに立ち上がった押忍マンにミドルを入れた阿部は、ステップイン&左ジャブに右フックを合わせ、この一発でKO勝ちを決めた。
<ウェルター級/5分3R>
阿部大治(日本)
Def.1R1分35秒by TKO
押忍マン洸太(日本)
ワンツーの押忍マンに対して、阿部もパンチを振るって前に。押忍マンもローに左を合わせ、その押忍マンのジャブに阿部が右ローを蹴っていく。カウンターをしっかりと狙っている阿部に対し、左ボディを入れた押忍マンだが押し倒されたように姿勢を乱し背中をマットにつける。すぐに立ち上がった押忍マンにミドルを入れた阿部は、ステップイン&左ジャブに右フックを合わせ、この一発でKO勝ちを決めた。
<バンタム級/5分3R>
野瀬翔平(日本)
Def.2R2分48秒by TKO
瀧澤謙太(日本)
サウスポーの野瀬に対し、瀧澤が右ボディストレートと右ミドル。野瀬はスピニングバックキックを見せ、左ミドルを蹴る。野瀬がダブルレッグに入ると、瀧澤は右のヒザ蹴り。野瀬はそのまま組みつくと、瀧澤の身体を持ち上げてテイクダウンし、一気に腕十字を狙うが、瀧澤が腕を抜いて立ち上がる。
試合がスタンドに戻ると野瀬がスピニングバックフィスト、左のオーバーフック。瀧澤も右ストレートを返すが、野瀬がダブルレッグに入って瀧澤ケージに押し込む。スタンドでバックを取った野瀬は瀧澤の身体を振るようにテイクダウンしてバックキープ。ポジションをキープしたまま、細かくパンチを入れ続ける。
2R、瀧澤は右ミドルと右ハイキック、野瀬も左ストレートを見せながらダブルレッグへ。瀧澤も距離を取って右ストレート、前に出て右のヒザ蹴り。野瀬は左ストレートからダブルレッグに入り、スタンドをキープする瀧澤のバックにつく。野瀬は瀧澤を倒してグラウンドに持ち込み、足をフックしてバックキープする。おたつろっくで瀧澤の動きを止めると、ヒジとパンチを連打。最後は野瀬が瀧澤の身体を伸ばし、ガード一辺倒の瀧澤を殴り続けてレフェリーストップを呼び込んだ。
試合後、野瀬は「九州の格闘技界、MMAは関西・関東に負けてないと思います。僕も含めて九州の選手を注目してください。僕の組み技はRIZINの上位陣やチャンピオンにも通用すると思います。機会があればよろしくお願いします」とマイクアピールした。
The post 【RIZIN LANDMARK08】初参戦・野瀬が瀧澤にヒジ&パンチで2RTKO勝利「僕の組み技は上位陣に通用する」 first appeared on MMAPLANET.<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
Def.3-0
上田将年(日本)
サウスポーの伊藤がジャブとアウトロー、左ボディストレート。上田が組みつくと、伊藤がスタンドでバックにつく。上田が伊藤の左腕にアームロックを狙うと、両者の動きが止まってブレイクとなる。再開後、上田が右ミドル、伊藤がジャブから前に出ると、上田が組みついて背中を見せるようにアームロックへ。伊藤はすぐに離れる。
伊藤が右を見せて左ボディ、ワンツー、アウトの右カーフキックを蹴る。じわじわと左ストレートでプレッシャーをかける伊藤。上田がシングルレッグに入ると頭をつぶしてパンチを落とす。上田は伊藤をケージまで押し込むが、伊藤はテイクダウンを許さない。
2R、伊藤がジャブを見せて前に出る。上田は右ミドルを蹴る。伊藤は距離を詰めて左ストレートと左ボディ、上田がシングルレッグに入り、伊藤がそれを切ると、伊藤の顔に上田の頭がぶつかってしまい、偶発的なバッティングで伊藤にインターバルが与えられる。
再開後、上田が右ミドルを蹴る。今度は伊藤がシングルレッグから組みつくが、上田は倒れない。距離が離れると伊藤が右から左ストレート、左ボディ、上田が伊藤の左ストレートに合わせて組むと、伊藤が右腕を差して上田をケージに押し込む。バックについた伊藤に対し、上田がアームロックを狙うが、ここは両者動きが止まる。
ブレイク後、右ハイを蹴る上田。伊藤が左ハイを蹴ると、上田が右足にシングルレッグに入ってケージに押し込む。テイクダウンを仕掛ける上田だったが、伊藤はケージに身体を預けて倒れない。
3R、伊藤が細かくジャブを突いて左ストレート。上田が組みつくと、伊藤が右腕を差してケージに押し込む。ブレイク後、上田が右を振ってダブルレッグで組む。今度は上田が左腕を差して伊藤をケージに押し込み、ブレイクとなる。
伊藤がジャブと右フック、上田が右ハイからシングルレッグに入る。それを切った伊藤がサッカーボールキック。立ち上がった上田にパンチで前に出ると、再び上田のダブルレッグを切ってサッカーボールキック、立った上田に右フックを打つ。このまま伊藤がグラウンドで上を取り、インサイドガードでトップキープする。伊藤が立ち上がったところでブレイクとなる。
上田は右ハイと左フック、伊藤は左ストレートから右フック、左の飛びヒザ蹴り。そのまま組んだ伊藤がテイクダウンすると、足を振ってパンチを落とす。最後は伊藤がインサイドガードでラウンドを終えた。打撃でプレッシャーをかけ、上田にテイクダウンを許さなかった伊藤が判定勝利を収めた。
【写真】直前の対戦相手変更でRYOGAもやりづらさがあったか。しかし両者が自分の持ち味を生かした試合内容だった(C)RIZIN FF
<60キロ契約/5分2R>
堺龍平(日本)
Def.2-1
RYOGA(日本)
RYOGAが左右に回りながら左ローを見せた。右フックから飛び込み、左右の連打を浴びせると堺が組む。RYOGAは首相撲を狙ったが、境に尻もちを着かされた。立ち上がったRYOGAが、ケージに背中を着けたところから小外刈りでテイクダウンする。
RYOGAはしばし抑え込んだあと立ち上がる。堺が下から蹴り上げを見せる。ケージまで下がった堺にパウンドを連打するRYOGA。堺は下からRYOGAの右足を取り、サドルのような形RYOGAのヒザを抑えながら内ヒールを狙った。ここは凌いだRYOGAだが、堺にバックを奪われる。展開がなく両者が離れる。スタンドに戻るとRYOGAがパンチを振るう。組みに来た堺の首を取ったRYOGAはギロチンへ。これは極まらずも投げてグラウンドに持ち込んだRYOGAは、ヒジ打ちから横三角を仕掛けていった。
最終回、距離を詰めてきた堺にRYOGAが左フックを浴びせる。RYOGAがワンツーから攻め込むも、堺のパンチを受けた。堺がプレスをかけてRYOGAを下がらせる。やや動きが落ちたRYOGAだが、左ジャブを突き刺していく。さらに左フックで堺をグラつかせた。RYOGAが堺の左フックを受けながらもダブルレッグで尻もちを着かせた。堺はケージに背中を着け、RYOGAの右ワキをつくうもRYOGAが反転してトップを守る。
しかしRYOGAの動きが止まったところで堺がトップからバックに回る。四の字で固めた酒井がパンチで削る。RYOGAの反転に合わせて堺がマウントを狙いながら腕十字に切り替えると、RYOGAがトップを奪う。しかしパウンドを打ち込もうとしたところで堺がフィフティ・フィフティ気味に足を取りバックテイクする。そのまま堺がパンチで削り続けた。
ラウンドごとに評価するなら1RはRYOGA、2Rは堺だろう。しかし試合全体の判定となれば後半を抑えた堺か――裁定はスプリットで堺の判定勝ちとなった。
【写真】ケージに足を踏み入れる時点で、すでに勝者と言いたくなる。これを当然と捉えられるのは、本当に強い (C)MMAPLANET
24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 08のメインイで堀江圭功と対戦するルイス・グスタボ。
Text by Manabu Takashima
昨年4月に武田光司に勝利して以来、10カ月振りの試合は機内で過ごす時間でも30時間という長い旅路の果てに実現する。加えて来日2日は計量が控えている。ケージに足を踏み入れるまでに2つの勝利が必要ならグスタボは、「日本で戦うことが目標だから、当然のこと」と断言した。
――今回、九州の佐賀という街での試合となります。実際、自分は佐賀に行ったことがありません。東京での試合とはまた違うと思いますが、いかがですか。
「日本人なのに、佐賀に来たことがないんだ(笑)。今回、佐賀に来ることができたようにRIZINで日本の色々な街を訪れることができて凄く嬉しい。RIZINには日本中でイベントを開いてほしいよ。そして、RIZINがもっと大きくなってほしい」
──押忍。東京よりも最後に一つ飛行機に乗る回数が増えたのではないですか。
「そうだね。東京から福岡までの分、いつもより長かったよ。飛行機のなかにいるだけでも30時間だった」
──う~ん、もう尊敬しかないです。最近は米国経由というのが少なくなっていますが、どのような経路で福岡までやってきたのですか。
「クリチバからサンパウロまで1時間、それからフランクフルトまで13時間。そして東京まで13、14時間。そこから福岡まで2時間弱かな」
──……。言葉が出てこないです。私もブラジルへ取材に行ったことがあるのですが、最後にサンパウロで入国をしてから、リオデジャネイロまでの短時間のフライトが厳しくて……。
「減量もあるので、サンパウロを飛び立ってから常に厳しい。でも、良い試合をしたくて日本に来ているから」
──有難い言葉です。それだけ長い間飛行機に乗っていると、体調管理の面で機内で気を付けている部分はありますか。
「特に何もやっていない。機内食でタンパク質のモノは口にするけど、炭水化物は摂らないようにしているぐらいだよ。とにかく計量を終えて、しっかりと水分補給をする。そこに集中しているよ」
──移動、計量。試合前に2つの勝負を乗り越えているようなモノですね。
「そういう気持ちにはなるよね。でも僕が日本に来るのは戦うことが目的だから、移動も減量も乗り越えて当然のことさ」
──押忍。本当に素晴らしいです。では10カ月振りの試合になります。これだけインターバルが空いたのは、なぜですか。
「すぐにでも試合はしたかったけど、ケガをしてしまってできなかったんだ」
──そうだったのですね。
「でも、今は何も問題ないよ。神は正しい道に導いてくれるからね。試合をする。それは一番簡単なことで。日々、ブラジルでの練習、ケガと向き合うことの方がずっと厳しい戦いなんだ。そこを経て試合をするんだから、心の底から楽しんで戦うつもりだよ。ファンの皆に、良いファイトを見せたいと思っている。
そして今年は、あと3試合は戦いたい。チャンピオンベルトを獲って、防衛もしたい。日本の格闘技史にルイス・グスタボの名を刻みたいんだ」
──そのためにも大切な一戦。対戦相手の堀江選手の印象を教えてください。
「どの試合も大切だよ。今回の試合も、そのなかの一つ。目標を達成するための一つの試合。そしてホリエにとって、15分間の悪夢になる」
──どのように悪夢を見せようと思っていますか。
「スタンドでも、グラウンドでも叩き潰し続ける」
──堀江選手はフェザー級から階級を上げて、自身のパフォーマンスを発揮できるようになったという風に言われています。
「僕はずっとライト級で戦ってきたから、そこは絶対にアドバンテージになる。ライト級に上げてきたことを後悔させてやる」
──では、改めて試合に向けての意気込みをお願いします。
「日本でまた戦うことができて、本当に嬉しい。最高のショーにしたい。皆が買ってくれたチケットの価値を高めるような試合をするので、会場でも僕にポジティブなエネルギーを与えて欲しい。皆の期待に応えるので」
■視聴方法(予定)
2月24日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■ RIZIN LANDMARK08 計量結果
<ライト級/5分3R>
ルイス・グスタボ(70.95キロ)
堀江圭功(70.95キロ)
<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(65.75キロ)
今成正和(65.35キロ)
<ライト級/5分3R>
矢地祐介(71.00キロ)
白川陸斗(71.00キロ)
<女子スーパーアトム級/5分3R>
大島沙緒里(47.85キロ)
クレア・ロペス(48.90キロ)
<フェザー級/5分3R>
芦田崇宏(65.95キロ)
鈴木博昭(65.90キロ)
<ウェルター級/5分3R>
阿部大治(76.95キロ)
押忍マン洸太(76.95キロ)
<バンタム級/5分3R>
瀧澤謙太(60.85キロ)
野瀬翔平(60.95キロ)
<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(56.55キロ)
上田将年(56.90キロ)
<キック・58キロ契約/3分3R>
寺田匠(57.90キロ)
冨永武聖(57.70キロ)
<60キロ契約/5分2R>
RYOGA(59.80キロ)
堺龍平(59.50キロ)
<フライ級/5分3R>
八尋大輝(60.65キロ)
荒木雄登(60.90キロ)
<キック・62.5キロ契約/3分3R>
REITO BRAVELY(62.30キロ)
古村匡平(62.40キロ)
<キック・62.5キロ契約/3分3R>
般若HASHIMOTO(62.50キロ)
力斗(62.30キロ)
<キック・53キロ契約/3分3R>
石郷慶人(52.85キロ)
片島聡志(52.55キロ)
【写真】計量の模様はYouTubeチャンネルで中継された。野瀬と瀧澤、この身長差は試合に影響を及ぼすか (C)SHOJIRO KAMEIKE
24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 8 in SAGAの計量がヒルトン福岡シーホークで行われた。出場選手は全員、計量をクリアしている。
Text by Shojiro Kameike
RIZIN初となる佐賀大会は、九州ならびに山口県在住あるいは出身のファイターたちが多数参戦する。山口県在住の摩嶋一整は当初、前RIZINフェザー級王者ヴガール・ケラモフと対戦予定であったが、ケラモフが来日不可能となり相手が今成正和に変更されている。計量をクリアした摩嶋は「今成選手と戦えるのは光栄です。明日はレベルの高い攻防を見せられると思います」と語った。
また、北九州を拠点に戦う田中半蔵との試合が組まれていたトゥラル・ラグモフもケラモフと同様、来日不可能に。一方の田中も右腓腹筋損傷で全治4週間のため、今大会は欠場することとなった。元RIZIN女子スーパーアトム級の浜崎朱加は山口県出身で、高校卒業は福岡県で柔道選手として活躍していた。今大会でクレア・ロペスと対戦予定であったが、こちらも負傷で欠場に。代わりにチームメイトの大島沙緒里がロペスと戦う。
九州勢の中でも注目は野瀬翔平の参戦だ。福岡県在住の野瀬は、2年連続でRoad to UFCに出場。いずれもUFC契約には至らずも、昨年12月には神田T-800周一に完勝して再起を果たした。この国内屈指のグラップリングMMAファイターと戦う瀧澤謙太は、現在RIZINで3連敗中と苦しい試合が続いている。ここは空手ベースで、2021年9月には元谷友貴をKOしたパンチの強さを再び見せつけたい。
■視聴方法(予定)
2月24日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■ RIZIN LANDMARK08 計量結果
<ライト級/5分3R>
ルイス・グスタボ(70.95キロ)
堀江圭功(70.95キロ)
<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(65.75キロ)
今成正和(65.35キロ)
<ライト級/5分3R>
矢地祐介(71.00キロ)
白川陸斗(71.00キロ)
<女子スーパーアトム級/5分3R>
大島沙緒里(47.85キロ)
クレア・ロペス(48.90キロ)
<フェザー級/5分3R>
芦田崇宏(65.95キロ)
鈴木博昭(65.90キロ)
<ウェルター級/5分3R>
阿部大治(76.95キロ)
押忍マン洸太(76.95キロ)
<バンタム級/5分3R>
瀧澤謙太(60.85キロ)
野瀬翔平(60.95キロ)
<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(56.55キロ)
上田将年(56.90キロ)
<キック・58キロ契約/3分3R>
寺田匠(57.90キロ)
冨永武聖(57.70キロ)
<60キロ契約/5分2R>
RYOGA(59.80キロ)
堺龍平(59.50キロ)
<フライ級/5分3R>
八尋大輝(60.65キロ)
荒木雄登(60.90キロ)
<キック・62.5キロ契約/3分3R>
REITO BRAVELY(62.30キロ)
古村匡平(62.40キロ)
<キック・62.5キロ契約/3分3R>
般若HASHIMOTO(62.50キロ)
力斗(62.30キロ)
<キック・53キロ契約/3分3R>
石郷慶人(52.85キロ)
片島聡志(52.55キロ)
【写真】上田将年の言葉は、日々を生きる市井の人々に活力を与える (C)SHOJIRO KAMEIKE
24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 8 in SAGAにて、上田将年が伊藤裕樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
目の前にある困難から逃げない。自分に嘘をつくようなキャリアを送りたくない。それが2011年3月のプロデビューから13年もの間、上田がMMAファイターとして貫いてきた信念だ。その信念ゆえに厳しい1年――鶴屋怜と伊藤盛一郎に敗れた2022年を経て、昨年11月には地元・福岡でモンゴルのツェルマー・オトゴンバヤルを下し、再起を果たした。2014年初戦は、同じ九州の佐賀での試合となった上田。しかも伊藤裕樹という強豪を相手に、今回も上田は自分の信念を貫く。
――RIZIN初の佐賀大会で伊藤裕樹選手と対戦することが決まりました。上田選手にとっては昨年11月、福岡で開催されたBloom FCのオトコンバヤル戦に続き、九州で2連戦となります。
「まさか今回も九州で戦えるとは思っていなかったです。感慨深いし、嬉しいですね」
――福岡を拠点にMMAを戦う上田選手ですが、九州での連戦は2013年以来、10年振りです。オトコンバヤル戦は福岡開催ということで、応援団も多かったのでしょうか。
「はい。現役を続けるなかで、地元でも多くの人たちが応援してくれています。自分の中でもずっと『福岡で試合がしたい』という気持ちがありましたし、実際に地元で試合をして勝つことができたので、嬉しいという気持ちが一番です」
――試合としては、オトコンバヤルとのタフファイトを判定で制しました。あの試合内容と結果については、いかがですか。
「モンゴルから未知の強豪を呼んでいただき、勝つことができました。その結果については満足しています。でも改めて試合映像を見返すと、内容に満足できている部分もあるし、満足できなかった部分もあります。まだまだ納得がいかない点がある――それがずっとMMAを続けている理由なのかもしれないですけど(笑)」
――オトコンバヤル戦で満足できている部分と、満足できていない部分とは?
「試合前から決めていたのは、絶対に自分から仕掛けることでした。どんどんアクションを起こしていく。いろんな人から『上田君は自分から仕掛けた時は強い』と言われます。一度戦ったことのある猿飛流選手や小川徹選手にも、そう言われました。だから何があっても常に自分からアクションを起こしていく。そのことを意識して、自分から試合をつくることができたのは満足しています。逆に満足できていないのは――これは言っていいことかどうか分からないんですけど(苦笑)」
――何でしょうか。
「何度も極められるチャンスがありました。本当に自分がファイターなら、バシッと極めることができたと思うんです。折るとか、完全にタップさせるとか。これは過去にも何度かあったことで、変な優しさというか、緩めてしまった部分があって」
――緩めた、とは……。
「終盤に腕十字が入った時、バキバキと音も鳴っていて。そのままバキッと折ることもできました。でも、それはファイターとしてどうなのかなと考えてしまったんです。そう考えてしまう自分は、ファイターに向いていないのかもしれません」
――えっ!?
「もし自分がいっぱいいっぱいの状態であれば、完全に極めないと負けるって考えるはずです。でも1R、2Rの段階でグラウンドについては差があると感じました。だから3Rに入り、相手に対して『タップしてくれ!』という気持ちがあったことは事実で。相手も苦悶の表情を浮かべていましたし、自分の中では『このまま折りたくない』と……。結果、それ以上は先に進めることができなかった。自分の精神的な弱さが出てしまいました」
――それは優しさでも弱さでもなく、ゲームコントロールの範囲ではないでしょうか。3Rに極めきらずとも判定で勝てる。3Rもあの展開で上田選手がスタミナを使った末、オトコンバヤルが頭を抜いてトップをキープすれば、上田選手にとって危険な展開になったかもしれません。2連敗で迎えた地元の試合で、確実に勝利を狙いに行くのも当然だと思います。
「そうですね……。オトコンバヤル選手が結構パンチを振ってくるファイターであることは分かっていました。その相手が3R通じてテイクダウンもグラウンドも警戒している。僕は組んでしまえば怖くなかったし、2Rまで終わった時点で『もう負けることはない』と考えていました。あとは予想以上というより予想外にオトコンバヤル選手がタフで」
――確かにオトコンバヤルのタフさは、全く予想できないレベルでした。他の選手であれば1Rの後半、上田選手が腕十字に入った時にタップしていたように思います。
「序盤に三角も十字も深く入っていたので、『ここで終わるかな?』と考えたりもしました。でもオトコンバヤル選手のハングリー精神というか、『ここで絶対に勝ちたい』という気持ちはすごく伝わってきましたね」
――『上田君は自分から仕掛けた時は強い』という声が出たのは、鶴屋怜戦と伊藤盛一郎戦は見すぎた部分があったということでしょうか。
「あの2試合に限らず、自分は試合になると見すぎてしまう部分があるんですよ。一度待ちに入ってしまうと悪循環というか2R、3Rも動けなくなってしまう。だからオトコンバヤル戦については動きが雑になっても良いので、とりあえず自分から触ってスクランブルをつくる。スクランブルをつくり、相手の息が上がってしまえば何とかなると考えていました」
――上田選手との試合後、伊藤盛一郎選手はパンクラスのベルトを獲得し、鶴屋選手はRoad to UFCで優勝しました。
「鶴屋君に関しては、素直に嬉しかったです。鶴屋怜の強さを体感した者としては、彼がUFCと契約するのは当たり前だと思っていました。でないと、自分が報われない(笑)」
――アハハハ。
「伊藤盛一郎選手の戴冠については悔しいです。自分が何もできずに負けていれば、こういう気持ちにもならなかったでしょうね。でも1Rに自分がポイントを取って、気持ちに余裕が生まれました。すると2Rは入り方が雑になってしまい、そこからグラウンドに持ち込まれ、何もできずに負けて。
チャンスがあれば伊藤選手にもリベンジしたいですね。今はパンクラスで1年以上試合をしていないのでランキングから外れていますが、また勝って行けばチャンスはあると思いますし。Bloom、RIZINと戦っていくなかで、必ずパンクラスにも戻ります」
――なるほど。その意味では絶対に負けられなかった、地元でのオトコンバヤル戦で勝利を掴みました。ここで負けていればRIZINで、しかも伊藤裕樹選手という強豪との試合が組まれていたかどうかは分かりません。パンクラスとDEEPのタイトルマッチ経験者同士、日本フライ級でも上位の対決となります。
「オトコンバヤル選手に負けていたら、たとえ佐賀大会に出たとしてもオープニングファイトで若手選手と――といった試合になっていたかもしれないですね。そうなると、自分はオファーを受けていなかったと思います。だから今回、対戦相手として伊藤裕樹選手を提示された時、嬉しかったです。ずっと福岡でMMAをやってきて、自分のことも認めてもらっているんだなと思いました」
――一方で、ここ数年は強豪相手の試合が続きます。コロナ明けの2020年からは杉山廣平、猿飛流、小川徹、有川直毅、鶴屋怜、伊藤盛一朗、オトゴンバヤル、そして今回が伊藤裕樹戦というのはハードですね。
「う~ん……自分がまだ20代前半だと、キャリアのつくり方も考えるでしょう。でも今36歳で、40歳まであと少し。そんな自分の中で大事にしたいのは、『どこで戦うか』よりも『誰と戦うか』ということなんです。その戦いが決まって自分自身がドキドキするのか、しないのか。そのドキドキを大切にしていきたい、という気持ちはありますね」
――では上田選手にとってドキドキする相手、伊藤裕樹選手の印象を教えてください。
「まずはあの強打――左ストレートを軸にした打撃の巧さですね。組みに関して怖さはないですが、ディフェンスが巧い。柔らかい動きで、力を逃がしてエスケープするのが巧いと思います」
――2023年11月に、上田選手の盟友である本田良介選手に敗れてから、さらに巧さが増したように感じます。
「あの試合で僕は本田君のセコンドについていました。グラウンドになっても簡単には背中を着けさせてくれない相手ですよね。本田君と自分ではタイプも違うので、試合内容も違うものになるとは思います。ひとつ言えるのは組みだけ、打撃だけという展開になると良くない。伊藤選手を相手に、そういう試合は通用しないですよね。だから打撃、寝技、テイクダウン全て混ぜながら、自分から仕掛けていきたいです」
――ちなみに伊藤裕樹戦が決定し、現在はタイにいる本田選手とは話をしましたか。
「試合が決まって、すぐに電話がありました。『決まりましたね! 上田さん、イケるっすよ~』と、すごく軽い感じでした(笑)」
――とても本田選手らしいです(笑)。
「アハハハ。今回はRIZINで試合をすることになり、地元の反響も大きいです。やはり地方だと、MMAといえばRIZINしか知らない人も多いので。何百人という応援団も会場に駆けつけてくれることになりました。その中で戦えるのは嬉しいですね。
でも、ひとつだけ言いたいことがあるんです。いろんな方から『RIZIN出場おめでとう!』と声をかけてもらいます。でもそう言われたらイライラというか、モヤモヤする自分がいて」
――……どういうことでしょうか。
「自分が10年間パンクラスで戦ってきて、その自分を否定されているような――よく分からない感覚がありました。先日、田中半蔵さんと練習したあと、その話をしたんですよ。そうしたら半蔵さんから『モヤモヤするのは、おめでとうって言葉に対してじゃないか』と言われて。半蔵さんもRIZIN佐賀大会に出ることになり、同じことを思ったそうなんです。
自分たちからすればパンクラスでも、修斗でも、DEEPでもMMAをやることには変わりません。もちろんRIZINの知名度が高いことは分かります。でも『おめでとう』と言われたら、それ以外で戦ってきた自分たちのキャリアを否定されてしまうような、複雑な気持ちもありました」
――確かに、RIZINに出場することがファイターのゴールではないですからね。RIZINであろうと、どの舞台であろうと勝つこと。それこそがMMAを戦う目的でしょう。
「もちろん『おめでとう』と言ってくれた人も、悪気があるわけではないんですけどね(苦笑)。ただ、そう言われてモヤモヤするということは、自分たちがしっかりMMAと向き合ってきた証拠なんです。自分たちのモヤモヤは間違っていない。だからこのモヤモヤを――僕たちがMMAと向き合ってきた年月を、この試合にぶつけますよ」
■視聴方法(予定)
2月24日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
【写真】凄く良いことを言ってくれているインタビューです (C)TAKUMI NAKAMURA
24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 8 in SAGAのメインイベントにて、堀江圭功がルイス・グスタボと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
昨年9月RIZIN.44でのスパイク・カーライル戦からライト級に階級を上げた堀江。カーライルにクリーンテイクダウンを許さずに打撃で競り勝ち、判定勝利を収めた。2024年の初陣はルイス・グスタボとの対戦が決まり、打撃主体のグスタボと戦うことで「カーライル戦とは違う自分が見せられる」という。さらにライト級で海外勢に勝つためには「深いところまで自分を信じてやるしかない」と語った。
――今日は月曜日の練習後のインタビューですが、一週間どのようなスケジュールで練習しているのですか。
「自分は試合前も試合後もあまりメニューが変わらなくて、月・金がMMA、火がグラップリング、水が立ちからのシチュエーションスパー&MMAグラップリング、木もMMAスパーリングをまじえてのMMAグラップリングで、土はフィジカルですね」
――基本的にALLIANCEでの練習がメインですか。
「そうですね。出稽古に行く場合は火曜にロータス、木曜にTRIBE TOKYO MMA。ボクシングのトレーナーがたまにジムに来てくれるので、その時にミットを持ってもらったり、水曜にボクシングのパーソナルトレーニングを入れることがあります」
――ここまでの仕上がり・調整はいかがでしょうか。
「怪我も体調不良もなくていい感じですね。先週の火・水はちょっと動き的にあれ?というところがあったのですが、木・金くらいから上がってきて『よっしゃー!』って感じです」
――前回MMAPLANETで取材させてもらい、堀江選手は自分の感性・感覚を大事にしている選手だと思いました。
「そうですね。今まさに試合に向けて色んな動きがハマってきている段階です」
――前回のスパイク・カーライル戦が終わってからはどんなことを意識して練習しているのですか。
「佐々木憂流迦戦(2021年9月)のあとから体力を向上させたくて、あまり試合後に休む期間を設けずに練習するようにしたんですよ。だからカーライル戦以降もずっと練習を続けていました。いわゆる試合前の追い込み時期は締めにサーキットトレーニングを入れたり、逆に週末は5分3R・試合と同じ時間に濃縮したスパーリングをやったり、そういう形で仕上げています」
――ただ追い込むだけではなく、試合のために仕上げる練習を続けているのですね。
「セコンドにつく選手と作戦を立てて練習もするし、練習前に髙阪(剛)さんにその日の体調やコンディションを伝えて、じゃあ今日はこういう感じでいこうと話しながらやっています」
――さて今大会ではルイス・グスタボと対戦が決まりました。
「カーライルの時もそうだったんですけど、試合が決まって相手のことを知れば知るほど『こいつ強いなぁ…』と思いました。決まる前からグスタボが強敵だということは分かっていましたが、やっぱり強敵ですよ」
――組みメインのカーライルとは真逆のタイプの選手と対戦することになったと思います。ファイトスタイルにはどんな印象を持っていますか。
「基本的にストライカーで、荒くてセオリーがない。そういう印象ですね」
――まさにヴァンダレイ・シウバ的というか、荒くて激しいブラジル人ストライカーという印象です。
「(ヴァンダレイと)似ているところはありますねよね。歩きながら前に出てパンチを出すところとか。彼から受け続いている部分もあると思います」
――打撃のフォームは決して綺麗ではないですが、MMAでは強さを発揮するスタイルです。
「それですね。ああいう打撃に慣れてないからこそ、いざ向き合ったら危険な相手だと思います。相手の打撃が強いことは明確なので、そこに対して自分がどう戦うかを作っているところです」
――カーライル戦は堀江選手の組みへの対応力が出た試合でした。グスタボ戦はそれとは違う試合=打撃戦が予想されます。
「相性的にカーライルよりもやりやすさはあると思うんですよ。だからこそ自分の強さが目立つ場面もあると思うので、カーライル戦とは違う自分が見せられると思います」
――堀江選手はもともと空手出身で、自分の打撃を伸ばすためにどんな練習をしているのですか。
「自分自身、打撃そのものはそんなに変わっていないと思うんですけど、向き合った人からは『前よりも距離を遠く感じる』と言われたりするんですよ。ガガガッ!と変わることはないですが、細かいところで成長していると思います。あとは練習でやっているけど、まだ試合で出せてないものだったり、今回はグスタボが相手だからこそ、そういう部分が見せられるんじゃないかなと思いますね」
――カーライル相手に組み負けなかったことで戦い方の幅も広がりそうですか。
「しっかり組みに対応できたことは自信になったし、カーライルはライト級でもパワーがある方だと思うんですよ。しっかり四つで組んだりしたわけではないですが、力負けしたとは思ってないので、そこも自信になりました。あと組みに関しては、自分がカーライルにやられて嫌だったことを真似して『これいいかも!』と思える技術もあったので、あの試合ですごく伸びた部分はありましたね」
――僕はMMAにおいてストライカーが組みを覚えると打撃が伸びると思っています。
「テイクダウンディフェンスを磨くことで自信を持って打撃でいけるし、組みに自信がついたからこそ出せる打撃が増えると思っています。もちろんグスタボが組みに来ることも想定していますが、より自分の打撃を出せる展開にはなると思います」
――堀江選手にとって九州で初の試合、しかもメインイベントです。そこについてはいかがでしょうか。
「うれしいですね。地元でしか会えない友達や仲いい人たちが見に来てくれるので。ただ周りのためじゃなくて、自分のために戦うことが今回のポイントだと思います。自分が自分のために戦って最善を尽くしてグスタボに勝つことで、周りのみんなが喜んでくれると思うので、自分はグスタボに勝つことだけを考えて戦います」
――2024年、ここからはどこを目標に戦っていこうと思っていますか。
「これからは深いところまで自分を信じてやるしかない。そこがむちゃくちゃ大事になると思います。試合でも試合じゃない時でも」
――深いところまで自分を信じる、ですか。
「例えばまだ試合で出すことが怖い技術があるとします。その技術が目の前の相手に対して『決まるんだろうか?』と思った時、やっぱりリスクは背負いたくないじゃないですか。でもそこで自分を信じていかないといけない。だから簡単に言うとリスクを背負うってことですかね。これからの試合はそういう部分が大事になってくると思っています。ただ自分はそれをリスクと呼びたくないんですよ。周りから見たらリスクかもしれないけど、それをやることが勝利につながるわけだから」
――なるほど。
「逆に言えば、ここからはそういう技術を出していかないと勝てない相手になってくると思うんです。次のグスタボも含めて。そこを自分なりに表現すると“深いところまで自分を信じる”ですね」
――ライト級に上げたことで新たなチャレンジというか、違うステージでの戦いに挑んでいるようですね。
「ライト級は世界的に層が厚くて、相手もデカくなるんですけど、自分もベストコンディションで戦えるんですよ。それがフェザー級との違いですね」
――生き物として一番強い堀江圭功としての挑戦ですね。
「それが今の自分には一番大切なところだと思います。試合で自分を出すという意味で、フェザー級は減量で弱っている自分を出していたのが、ライト級は一番自分を出せる。その分、相手のレベルも上がるんですけど、自分は一番強い自分を出してどこまでいけるかを勝負したいです」
■視聴方法(予定)
2月24日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
【写真】“怪物くん”と呼ばれる鈴木だが、独自の理論に基づいたうえでの本能系であることが分かる(C)TAKUMI NAkAMURA
24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 8 in SAGAにて、鈴木博昭が芦田崇宏と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
昨年はRIZIN.43での西谷大和戦の1試合のみに終わった鈴木。試合ができないストレスこそあったものの「僕はMMAファイターとして時間をかければかけるほど強くなる」という手応えを感じながら日々を過ごしていた。今回のインタビューでは芦田戦についてはもちろん、RIZINでMMAへの道に進んだ立ち技ファイターの先駆けでもある鈴木のMMA打撃論についても訊いた。
──2023年は6月の西谷大成戦のみ、1試合という1年でした。
「その西谷戦も1分くらいで終わったので、試合が出来なくてフラストレーションが溜まりまくりですね。もちろん試合のお話自体は結構いただいてはいたんですけど、上手く相手と噛み合わなくて。試合は1人ではできないし、僕は(試合の話をもらって)やりますと言ってはいたんですけど、最終合意に至らなかったという感じです」
──そういう状況の中で集中を切らさず練習を続けるのは難しくはなかったですか。
「正直、ないことはないんですけど、そんなに日常のスケジュールは変わらないんで、修行期間が増えたのかなっていう感覚ですね。僕は単純に日常のレベルアップを考えながらずっと練習しているんで、その期間が自分のブラッシュアップに繋がっています」
――前回の試合以降、特に意識してやってきた練習はありますか。
「基本(打撃と)組みの連携はずっとやってますし、その中でMMAにおいて自分がやるべき打撃とか、際の攻防であったりとか、毎日MMAのことを考えて過ごしています。僕の場合はMMAのキャリアが長いわけじゃないから、時間が経てば経つほど強くなっちゃうよと。今は試合も含めて全部経験しながら、戦いながら経験値を積み重ねている最中なので、本当に回を追うごとに、試合を重ねるごとに強い姿を見せられる自信があります」
──例えば去年の大晦日は立ち技から多くの選手がMMAに挑戦しましたが、鈴木選手はその先駆けといってもいい選手です。鈴木選手はMMAをやるにあたって、打撃のキャリアをリセットして一からMMAに取り組もうとしたのか。それとも打撃のキャリアにMMAを上乗せしてやろうとしたのか。どちらだったのですか。
「もともと僕は立ち技出身ですが、もっと前までさかのぼると、最初に入ったのはMMAのジムだったんですよ」
──そうだったんですか。ストライキングジムAresですよね?
「はい。元々自分はMMAをやりたくて、看板が総合格闘技・キックボクシングということだったのでAresに入会したんです。それではじめはMMAの練習をやっていたんですけど、ジムに入って半年くらいでMMAのコーチがいなくなっちゃって、それでジムそのものがシュートボクシング中心のジムになったんです。その流れで僕もシュートボクシングでプロデビューしたという経緯があるんですよ」
――それは意外でした。
「立ち技は立ち技で奥が深いので、ずっと立ち技を追及していたから、MMAに転向するタイミングがなかったんです。当時はONE Championshipに出ていたんですけど、立ち技で自分が満足できていないのに(MMAに)逃げんじゃねえ!って気持ちもあったし。ただコロナで海外に行けなくなって、試合から遠ざかっている時にたまたまホベルト・サトシ・ソウザやクレベル・コイケたちと一緒に練習するようになって、2人が東京ドームで試合をした時にセコンドに就いたんです。その時に『そういえば俺ってMMAやりたかったんだよな』と思い出して、ちょうどONEと契約も切れるタイミングだったんで、そこでMMAをやろうと決心しました。だからMMAにチャレンジするというよりも、もともとやりたかったMMAに戻ったという感覚で、MMAをやるのが楽しいですよ」
──一緒に練習しているのがボンサイ柔術の選手たちで、組み技・寝技の楽しさも日々感じていますか。
「いきなりあのメンバーが練習相手だったんで、最初の頃はただただボコられて『なんじゃこりゃ!?』でしたけど、最近はようやく楽しさが分かってきました。今でもボコられるのは変わらないですけど(笑)」
──ちなみにMMAレスリングやMMAグラップリングではなく、ピュアグラップリングを練習しているのですか。
「それもやりつつ、MMAとして自分の持ち味を活かす技術、ようは戦いですよね。なるべく制約のない戦いを楽しんで、練習しています」
──鈴木選手はMMAにおけるファイトスタイルを模索しながらやっているように見えます。
「本当その通りです。もともと2021年のお盆明けからボンサイ柔術に通い始めて、10月の奥田啓介戦がMMAデビューだったんで、MMAの練習を始めて1カ月半くらいで試合に出てるんですよ。だからしっかり準備して試合するというよりも、試合をしながら『これいけるんじゃないかな?』や『ここはあんまり欲をかいちゃダメだな』と、色々と試して学びながらやっています。だから僕のMMAの試合キャリア=MMA歴と思ってもらってかまわないです」
――では鈴木選手のMMA歴は約3年、まだまだ伸びしろはたくさんあるわけですね。
「僕はMMAという制約の少ない戦い自体を楽しめているんですよね。だいぶ耳も沸いてきたし、これからMMAファイターとしてドンドン熟成されて、時間をかければかけるほど強くなりますよ」
──もう一つこれも聞きたかったのが、鈴木選手は試合ごとに重心の落とし方、構え、打撃の組み立てを変えていると思うのですが、自分の理想の打撃のスタイルはこれだというものが徐々に見えていますか。
「見えてきていますね。ただそれをドンドン肉厚なものにしていきたいので、自分の元の強さの幅も広げつつ、取捨選択をしている最中でもあります」
──立ち技時代の鈴木選手は繊細な印象があって、しっかりガードを上げて細かい蹴りで削って仕留めるイメージでした。それがMMAの場合はあえて大振りの打撃を見せることもあったり、MMA用に変えている部分もありますか。
「やっぱり立ち技とMMAは違うし、立ち技では自分のスタイルのなかにハメ技みたいなものがありました。僕はルールの制限があればあるほど深みがあって、制限がなければないほど広がりがある、そういうイメージなんです。ただ最終的には1対1でタイマンを張るわけだから、何を選択してフィニッシュするのか。もしかしたら変に狙わずに自然に行った方がいいかもしれないし、そこは自分の本能というか、0.1秒後の自分に任せようと思います」
――ではMMAをやることで立ち技においても新たな発見はありますか。
「めちゃめちゃありますね。キックボクシングじゃない、シュートボクシングじゃない、これがMMAストライキングですねっていう。僕は立ち技出身と言われれば出身だし、そこで戦ってきた歴史はありますけど、今現実に目の前にある俺の戦いを見てほしいと思います」
──さて対戦相手の芦田選手にはどんな印象を持っていますか。
「まさにこういう選手と戦っていきたいという選手ですね。MMAの経験を重ねて、MMAを知って、MMAでのし上がるための第一歩。そこで相手が元DEEPのチャンピオン。めちゃめちゃちょうどいいじゃないですか」
──試合間隔こそ空いてしまいましたが、試合としてはベストの相手だ、と。
「そうですね。僕の場合は注目度優先のカードが多かったんですけど、今回は勝てば上位陣に食い込んでいけるための試合になったと思います」
──前回の西谷戦から比べて、違う自分を見せられそうですか。
「違う自分どころか、全くの別人がいますよ」
──今年はどんな1年にしたいですか。
「最低3試合はやりたいですね。着実ステップアップして、いわゆるランクを上げる1年にしたいです」
──鈴木選手が戦うフェザー級は個性派揃いですが、そのなかでどんな自分を表現していきたいですか。
「自分のファイトスタイルを見せていきたいので、基本は打撃でぶっ倒していこうと。あとはMMAファイターとして気づいたら1本取っちゃったって姿も見せたいです。そのために今は日常を積み重ねていますけど、本番の試合になったら何も考えないでただの戦闘する生き物でいたい。そういう生き物が目の前にいるっていう試合をしたいです。さっきも言いましたが、何も考えずにただ戦うだけの人間が0.1秒後に何で試合を終わらせるのか?そういう戦いを見せたいです」
──それでは最後にファンのみなさんにメッセージをいただけますか。
「本当に面白いファイト、強い生き物を見せたいと思います。僕の試合は何も考えなくていいし、見ていて語彙力が頭の中からぶっ飛んじゃう状態にしたいと思っているんで楽しみにしていてください」
The post 【RIZIN LANDMARK08】鈴木博昭のMMA打撃論「制限があるほど深く、制限がないほど広い」 first appeared on MMAPLANET.【写真】出場8選手、海外勢はシン・ユリとルイス・グスタボがリング上から挨拶を行った(C)RIZIN FF
昨日、RIZIN45内で今年の前半期のイベントスケジュールと対戦カードの発表があった。
Text by Manabu Takashima
まず既にイベント開催の発表は行われていた2月24日(土)のRIZIN LANDMARK08=SAGAアリーナ大会に続き、3月23日(土)はRIZIN46が神戸ワールド記念ホールで、さらに5月6日(祝・月)に有明アリーナでRIZIN47が行なわれる。
スーパーアリーナのリング上で発表されたカードはLANDMARK08 ではライト級=堀江圭功×ルイス・グスタボ、フェザー級で摩嶋一整×ヴガール・ケラモフの2試合。RIZIN46では女子スーパーアトム級でRENA×シン・ユリ、バンタム級=井上直樹×佐藤将光、武田光司×萩原京平のフェザー級戦という3試合。
そしてRIZIN47ではフェザー級選手権試合チャンピオン鈴木千裕×チャレンジャー金原正徳で、計6試合が明らかとなっている。
神戸大会が発表になったなか、恒例の春の大阪大会はどうなるのか。日本のMMAプロモーション各イベントでは、同時期のRIZIN出場の有無がはっきりするまで返答を保留するファイターが多い。2月からの3カ月間、3ないし4大会のカードの決定が待たれる。
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