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【BRAVE CF80】ンコシ・ンデベレのパンチのヒジのコンビに、トーレスが試合放棄&ベルトを失う

<BRAVE CFバンタム級選手権試合/5分5R>
ンコシ・ンデベレ(南アフリカ)
Def.3R1分38秒by Verbal tap
ホゼ・トーレス(米国)

ンデベレのワンツーに右ローを合わせて行ったトーレスは、引き続きローカーフを蹴る。右エルボー、アッパーとリーチ・アドバンテージを生かした踏込みからの攻撃を見せるンデベレだが、左ローでバランスを崩す。起き上ってジャブ、左ボディ、ハイと手数で優るンデベレは蹴りを捌いて前蹴り、ワンツー、さらに左エルボーと手数を緩めない。

トーレスはさらに近い距離に入り、アッパーや左オーバーハンドを繰り出していくも、ンデベレのジャブや前蹴りに阻まれる。ンデベレの距離から前で戦うこと、被弾覚悟で前に出るトーレスはクリンチアッパーも、ンデベレは巧みに下がりながら攻撃すると、左アッパー&右フックをヒットさせる。腰が落ちたトーレスは、すでに左目が腫れあがっている。構えを変えてジャブを繰り出すンデベレにヒザを入れたトーレスは、ンデベレの網にひっかかったように一定の距離でパンチ、蹴り、ヒジを被弾する5分となった。

2R、左インローから前に出るトーレス。ジャブからストレート、ハイと攻撃を続けるデンベレが、ヒザをボディに突き刺す。トーレスはボディを入れジャブを被弾しながら前に出るが、まだ一度もテイクダウンを狙っていない。ンデベレは左ミドルを決め、右ジャブ&左前蹴りを当てる。ジャブを受けながらダブルレッグを見せたトーレス、簡単に切ったンデベレの懐に飛び込みショートのコンビネーションを繰り出す。

ジャブ、前蹴り、ヒジと常に手を出すンデベレは、ボディから右をテンプルに被弾。この手数の多さで体の軸が乱れつつあるンデベレは、ボディからショートを纏められるとケージに詰まってマウスピースを吐き出す。自ら拾い上げて装着しなおしたンデベレは、変わらぬ手数も、打ち終わりに姿勢が乱れトーレスのパンチを被弾する数が増えてきた。とシングルレッグで尻もちをつかせたトーレスは、直ぐに立ち上がったンデベレにヒザを突き上げる。

初回とは違い攻撃を受けるシーンが出てきたンデベレは、それでも動き続け右を入れる。トーレスが右オーバーハンドを決めて、シングルに出たところでノンストップアクションの2Rが終わった。

3R、すぐに距離をつめにいくトーレスは、ヒジを打たれながらシングルレッグへ。切ったンデベレは距離を取り直して右アッパー、シングルレッグにヒザを合わせに行く。と、レフェリーがブレイクをかけ、ドクターチェックを要請。トーレスの左目は腫れあがり、その左目の上と右の前頭部に大きなカットが見られる。それでもドクターはゴーサインを出し、試合が再開された。

直後にエルボーからパンチを連打したンデベレが、ここぞとばかりに試合を決めに行く。と、一瞬の間が生まれ──トーレスが自ら右手を左右に振り、続行を不能を告げた。

「Thank you God!! チーム、コーチ、そしてハードトレーニングができるモチベーションを与えてくれたショーティーに感謝している。アフリカにベルトを持って帰るぞ。ママ、息子はチャンピオンになったぞ。I Love you, Mam.前回の試合はプレッシャーがあり過ぎた。試合後にそれに気づいて、しっかりと練習してきた。僕を愛してくれる皆のためにも。チャンピオンになっても、ハードトレーニングを続ける」と新王者はまくし立てた。一方、元チャンピオンは「ムエタイをやり込んでいることは知っていたけど、クリンチが前回より良くなっていた。ヒジを受けて『あぁ、これだな』と思った。凄くスリッピーでテイクダウンが難しかった。エルボーとパンチを上手くミックスされた攻撃で……左はジャブ、右はヒジでカットされたんだ。僕は彼に再戦のチャンスを与えた。彼も誰かと戦う前に、僕に最後のチャンスを与えて欲しい」と話した。


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Brave CF BRAVE CF80 IMMAF MMA MMAPLANET o サブリナ・ソウザ

【BRAVE CF80】実力測定が難しいデビュー戦。IMMAF世界3連覇のサブリナ・ソウザが29秒TKO勝ち

<女子バンタム級/5分3R>
サブリナ・ソウザ(バーレーン)
Def.1R0分29秒by TKO
モニカ・キラン・チャグ(インド)

アマMMA15勝0敗、IMMAF世界3連覇サブリナのプロ初陣。対戦相手のチャグは6勝2敗というレコードの持ち主だが、本来はストロー級で公式計量56キロ代と、ソウザが5キロも重い。そのチャグの右ローにワンツーを打ったサブリナは、鋭い右を打ち込む。さらにサブリナはボディから顔面、ワンツーとヒットさせさせ蹴り足を掴んで右を入れる。チャグがバランスを崩すが、スタンドで待ち受けたサブリナはまたも右を打ち抜く。動きが止まったチャグに追撃を加えようとしたところでレフェリーが試合を止めた。

「アマチュア時代は連日のファイトだったから、1試合に集中できて皆に良いところを見せることができた」とサブリナは話した。


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【BRAVE CF80】IMMAF世界2位のアルサミアのグラウンドエルボーで、アシュラフがタップ!!

<フライ級/5分3R>
ムハンマド・アルサミア(バーレーン)
Def.1R1分21秒by Tap out
ヤフィア・アシュラフ(エジプト)

IMMAF2022フライ級世界2位のアルサミアが、プロ2戦目で同じく1勝0敗のアシュラフと対戦。間合いを測る両者、まずアシュラフが右ローを蹴る。ジリジリと距離を詰めるアルサミアが左インロー、アシュラフのステップインには大きく下がる。と右を当て、右ミドルのアルサミアは蹴り足を掴まれて倒されるが、すぐにシングルレッグでレッスルアップ。リバーサルに成功すると、ハーフのアシュラフに左エルボーを落とす。

と、エルボーを2、3発と受けたアシュラフがキャンバスを叩いてタップ。あっさりと勝負がついた。


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Brave CF BRAVE CF80 IMMAF MMA MMAPLANET o イリアーナ・ヴァレンティーノ ファビオラ・ナシメント

【BRAVE CF80】IMMAFアジア王者ナシメント、ヴァレンティーノを仕留めきれずも3-0判定でプロ初陣飾る

<女子ストロー級/5分3R>
ファビオラ・ナシメント(バーレーン)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
イリアーナ・ヴァレンティーノ(イタリア)

サウスポーのヴァレンティーノに対し、腰を落としたスタンスで右ローを蹴ったナシメント。ナシメントの右をかわし、左から右を入れたヴァレンティーノは、クリンチにヒザを合わせていく。ナシメントはボディロックでケージに押し込み、小外掛けでテイクダウンを狙う。ケージにもたれて耐えていたヴァレンティーノだが、前方への崩しでキャンバスに運ばれた。

ラバーガードのヴァレンティーノの右足を越えにいくネスメントは、頭を起こしてラバーの解除に掛かる。ヴァレンティーノの足が下がると、パスを決めたナシメントが頭を跨いでキムラグリップ。ヴァレンティーノは自らの右腕を両足で挟んで腕を取られないように防御する。ここからシングルを狙ったヴァレンティーノは、がぶられるがバックを許さず時間を迎えた。

2R、左ローを蹴ったヴァレンティーノだが、腰が引けている。ナシメントは右ストレートを伸ばし、ケージを背負うヴァレンティーノに右ハイを蹴る。圧をかけるナシメントは右フックから組みつき、ここもヴァレンティーノをケージに押し込む。内股を仕掛けきれなかったナシメントは左腕を差し上げ、回すようにしてテイクダウンを決めた。

ここもラバーのヴァレンティーノだが、立ち上がったナシメントが簡単にパスを決める。背中を見せてスクランブル狙いのヴァレンティーノを足払いで倒したナシメントが、ワンフック&後方から殴り、立ち上がったヴァレンティーノに尻もちをつかせてバックコントロール。そのまま時間となった。

最終回、ダブルレッグのフェイクを見せて距離を詰めるナシメントは、左回りのヴァレンティーノに右ハイを狙う。インローから左ジャブ、右ミドルを蹴ったナシメントは、テイクダウンを嫌がり思い切った打撃を繰り出すことができないヴァレンティーノにワンツーを当てて、組みつく。すぐに小外掛けでテイクダウンを決め、直接サイドで抑えたナシメントは初回のように頭を跨いで腕を狙う。ヴァレンティーノも初回と同様にに自らの足に腕を差し込んで耐えるが、ナシメントが腕を引き寄せる。

必死にクラッチを握るヴァレンティーノに対し、ナシメントは腕関節を諦めバックへ。殴って前転についていったナシメントが両足をフック。残り40秒、背中を伸ばしに掛かったナシメントは乗り過ぎの状態で左右のパンチを落とす。ヴァレンティーノは前転してエスケープも時間となり──ナシメントが判定勝ちした。


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Brave CF Grachan Grachan66 MMA MMAPLANET o RIZIN キック ボクシング ライカ 伊藤空也 手塚基伸 田中智也 芦田崇宏 高須将大

【GRACHAN66】田中智也戦へ、伊藤空也「強くなるために何かを変えることに怖さはない」

【写真】5連勝として来年に繋げることができるか(C)BRAVE CF

17日(日)に東京都江東区にあるTFTホール500で開催されるGRACHAN 66で、伊藤空也が田中智也と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

10月の15周年大会では高須将大にKO勝ちし、4連勝を飾った伊藤。そのレコードもさることながら、シュートボクシングへのチャレンジや練習環境をマイナーチェンジして、進化と変化を遂げながら結果を残してきた。2023年を締める田中戦、そしてその先に見据える目標を伊藤に訊いた。


──今大会では田中智也選手と対戦が決まりました。この試合が決まった時の心境はいかがでしたか。

「10月の15周年大会で田中選手とやるかもしれないという話があって、そこで田中選手のことは意識しました。色々と調整があって改めて今回決まった感じなんですけど、田中選手とやる覚悟はしていたし、いつかは絶対にやるだろうなと思っていたので、そんなに驚くこともなく冷静でした」

──ファイトスタイルを含めて、田中選手の印象は?

「完全に寝技師ですよね。ウェルラウンダーとは聞いているんですけど、打撃の展開はほぼほぼなく、徹底的に1Rから寝技でガンガン来る、しっかり極めに来る選手だと思います。ストライカーはみんな嫌がる、今成(正和)さん的な感じですね」

──特徴がはっきりしている分、対策も立てやすいタイプだと思うのですが、どういったことを意識して練習してきましたか。

「前の試合はボクシングジムにも行って、打撃を中心にやっていたんですけど、今回は相手が相手なのであまり打撃をガツガツやってもしょうがないなと。レスリングよりも柔術やピュアグラップリングに力を入れてきました」

──Braveには色んなタイプの選手がいるので、スパーリング相手も含めて寝技対策は順調ですか。

「そうですね。今はMMAで下から狙う技術、下から潜る技術や足関を狙うという技術はタブーではないですけど、そこに特化した選手は少ないじゃないですか。だからこそピュア柔術家の方とも練習したり、僕らの師匠の宮田(和幸)代表もガードからの技術がすごいので、そういう人たちと練習させてもらっています」

──なるほど。ちなみに柔術の道場で練習しているのですか。

「BRAVEジムはJTT(トライフォース赤坂)と連携していて、トライフォース赤坂から柔術の先生が週2でBraveに練習に来てくれているんですよ。それで僕も1年半~2年前から柔術クラスに出ていて、そこで培ったものを活かすような練習もしていますし、なおさら今回は組み技に比重をおいて練習させてもらっているので、練習環境的には助かっています」

──伊藤選手は4連勝中ですが、ご自身で連勝の要因はなんだと思っていますか。

「Braveで基礎的な部分を創って、Brave以外の練習にも力に入れるようになったことが大きいと思います。例えば今までだったらBraveのプロ練に出てレスリングを軸にやっていたんですけど、試合によっては今回のように柔術に力を入れたり、ボクシングのワタナベボクシングジムに行ったり、RIZIN初出場の際にはウィラサクレックジムでムエタイを習ったり。そういうところで自分の戦い方に深みが出てきたんだと思います。自分はもともと空手出身なんですけど、それ以外にも色々と技が増えたというか、そういうところが連勝の要因だと思います」

──色々なエッセンスを取り入れて、どんな変化がありましたか。

「例えばムエタイだったら、体に軸ができるんで、打撃の見合いの中で余裕ができるというか、ディフェンス力が高くなりました。あとは首相撲も前回の試合で出せた部分です。ボクシングだったら、しっかり足を使って当てること。とにかくボクシングは足を使うんで、パンチにしっかりと回転がついたし、不思議とボクシングをやることによって、パウンドを打つ時の点で当てる力がつくんで、そういう面ではどの競技もMMに共通していると思いました」

──6月にはSBにも挑戦して、そこでも得たものもありますよね。

「はい。芦田崇宏さんと2人で出たんですけど、MMAグローブの立ち技ルールだったので、キックボクシングとは全く違う距離で。そういう打撃に特化した練習と試合をやって、自分を試すこともできたし『なるほど!』とい分かったこともたくさんありました、当然、勝てればよかったのですが、SBに出たことは大きな経験でした」

──練習環境の変化や新しいルールへのチャレンジでMMAファイターとしての幅が広がっているようですね。

「自分では意識してないんですけど、周りからは落ち着いて試合できるようになったと言われます。20代前半の頃なんかは、若さと勢いだけじゃないですけど、勢いでバッチバチの試合をやっていたんですけど、キャリアも中盤になってきて、わりと落ち着いてやるべきことをやるというか、自分がこうすれば絶対に勝てるというプランも冷静に考えることができています」

──とりあえず全力&フルパワーで行って、スタミナが切れるまで頑張るという試合は卒業だ、と。

「いわゆるゾンビファイトだけではトップどころや外国人選手には通用しない部分もありますし、2年前に手塚基伸選手に一本負けした時はスタミナ勝負に持っていく作戦だったんですけど、それだけでは勝つことができなくて。それできっかけで柔術に力を入れたんですよね」

──なるほど。そういった弱点や苦手な部分から逃げずに向き合ってきたわけですね。頭では分かっていても出来ない選手が多いと思いますが、伊藤選手はそこにちゃんと向き合ってきたわけですね。

「自分がやってきたことを信じている人は新しいことに取り組むのは辛いだろうし、行動に移すことも難しくなると思います。でも自分の場合は元々地方で格闘技をやっていて、その環境を捨ててBraveに来て、そういうプライドも捨てているというか。強くなるために何かを変えることに怖さはないです」

──Grachan公式サイトではこの一戦について「このふたりの戦いは、バンタム級のパワーバランスに新しい動きをもたらす」というコメントもありました。伊藤選手がこの試合の先に見据えているモノは?

「今回勝てば自分がベルト挑戦に絡む形になると思うので、やっぱり手塚選手にリベンジを果たしたいですよね。そうじゃないと自分の中でも示しがつかないというか、片付けておかなきゃいけないことなので、田中選手に勝って、手塚選手にタイトルマッチでリベンジする。そしてベルトを防衛するなり、強い名のある選手と試合をして、勝ち星を獲りたいと思います」

――1年を締める試合で、どのようなファイトを見せたいと思っていますか。

「本当に自分の印象が変わるんじゃないかというような試合になると思うので、まずそこを見てもらいたいです。それを見せつつ、応援してくれる人たちには僕を信じて良かった、応援していて良かったと思ってもらえる試合を見せたいです」

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【BRAVE CF80】ンコシと再戦=防衛戦、ホゼ・トーレス「タップを奪うためにサブミッションは仕掛けない」

【写真】元祖、拳の届く位置に留まって打撃戦を繰り広げる男。初代、MMAグローブでブロッキングをするファイター(C)BRAVE CF

15日(金・現地時間)、バーレーンはイサタウンのハリファ・スポーツシティ・アリーで開催されるBRAVE CF80のメインで、BRAVE CFバンタム級王者ホゼ・トーレスがンコシ・ンデンベレの挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima

IMMAF世界大会2連覇からTitan FCと契約し、UFCへの道を模索した。そして2階級制覇を果たし、UFCと契約も時はフライ級冬の時代。トーレスは1勝1敗、わずか2試合でフリーとなりBRAVE CFを終の棲家に決めた。フライ級からバンタム級に転じ、王座奪取も判定には論議の的となった。僅か4カ月のインターバルで再戦に応じたチャンピオンに、現代MMAの判定問題にメスを入れてもらい、この試合に賭ける気持ちを語ってもらった。


──金曜日にンコシ・ンデンベレとBRAVE CFバンタム級王座初防衛戦に臨みます。もうかなり頬がこけていますね。

「計量の2日前だから、今は痩せこけているよね(笑)。減量はこのスポーツで、最も大変なプロセスだ。フライ級で戦おうが、バンタム級で戦おうが、その辛さは変わりない。僕はちょっとした事情があって、太りやすいからね。ファイトウィークに入っても水分を多くとって、汗をかいている。今回は計量の1日前に体重をリミットまでもってきたから、ここまで痩せてしまっているけど、それが僕のアドバンテージになる」

──そんな時にインタビューを受けてもらってありがとうございます。

「いや、こうしている方がリラックスできるんだ。体重を落としながら、体調は落とさないようにするにはリラックスすることが一番だから。そうすれば計量後のリカバリーもスムーズになる。全ては試合の日に全力で戦えるようにするためだよ。ここまで順調に来ていて、ハッピーだ」

──前回は標高2600メートルのボゴタでの試合、ファイトウィークの調整も難しい面もあったかと思います。

「ボゴダとバーレーンのファイトウィークは違うといえば違うし、同じといえば同じだ。パンアメリカン・ゲームスのあとにメインで戦い、会場にはメキシコ人、プエルトリコ人、パンアメリカン……特にラティーノの声援をバックに戦うことができた。最高の雰囲気だったんだ。僕の勝利を見て、自分だってできると思ってくれた人がたくさんいたと思う。あそこでメインを戦えたことは、凄く名誉なことだよ。

そして今回はバーレーンという第2の故郷で戦える。ここでは僕はちょっとした有名人で、皆が声を掛けてくれる。街を挙げて応援してもらっているような雰囲気だし。大きな会場で戦っても、シェイク・ハリファを始めバーレーンのプリンスたち、僕の知っている人々の顔がニュートラルコーナーに並んでいるんだ。イベントの空気も最高だ。火柱が上がるなかを入場をして、まるでMMAプロモーションがWWEになったかのようなんだ。そんな素晴らしい舞台で戦うことができるのが、BRAVE CFの最大の特徴であり良さといえる。ここでメインを戦うことも、光栄だよ」

──とはいえダイレクトリマッチになったのは、ンコシの判定への不満が正当であるとBRAVE CFが認めたような感じはしませんか。

「まぁ、ジャッジの裁定がもめるのはMMAにつきものだから。それはファイトビジネスの一部。人々は勝った・負けたと色々なことを言うけど、ベルトは僕が巻いている。そして、あの試合は僕が勝っていた。ただ4カ月後にまた戦うって、珍しいよね。同じ相手と戦うためにファイトキャンプを行った。ンコシもそうだろうけど、前回の試合とは違うファイトを見せることになると思う。どっちが大きい、どちらが速い、どちらがパワフルなのか。そこが焦点になるのも良いだろう。でもね、今回の試合は1度目より頭を使った試合になるよ。そして、僕は2Rで彼を眠らせる」

──つまり判定まで試合をもつれ込まさないということでしょうか。

「フィニッシュは狙っているよ。ただし、5Rフルに戦った時のためにジャッジは存在していて。正しく判断することが必要になってくるんだ」

──最近はテイクダウン&コントロールが、以前と比べて軽視されている向きもあります。同時にニアサブミッションも考慮されることがあったり、なかったり。かなりジャッジの裁定には開きがあるようにも感じられます。

「前回の試合、僕自身は49-46で取ったと思っている。悪くても48-47だろう。1人のジャッジは49-45で僕、もう1人は49-47で僕だった。でも、もう1人は47-48でンコシの勝ちにした。最後の3R、僕はテイクダウンして抑えつけ、腕十字やRNCを仕掛けた。

どっちの方が危ない局面にいたのか。ンコシは腕が伸び、絞められてゼェゼェ言っていたんだよ。

確かに打撃の数は向うが多かった。1Rには前蹴りを被弾し、カットもあって僕は追い込まれたように見えただろう。

ラウンドを落とした。それは認めるよ。あのラウンドは僕のラウンドじゃなかった。でも投げも決めたし、流血しようが本当にダメージがあるとフリップで投げることなんてできやしない。

2R以降は血も止まったし、ダメージもなくテイクダウン、投げも決めた。サブミットしかけた。それで、あんな風に裁定されるならオープンスコアシステムを導入した方が戦いやすい。確実にこっちが取っているラウンドも、向うにつけるジャッジがいるんだから。それができないなら、しっかりと打撃とテイクダウン、そしてサブミッションの評価に基準を設けてブレがないようにしてほしいね。

それに一発のパンチで流血して、15発の有効打を台無しにされたくない。まぁ、前回の試合は2人が僕の攻撃を有効と認めてくれて良かったよ」

──判断基準がブレない、ここは本当にそう思います。そのうえで前回の試合を考慮し、今回の試合では気を付けないといけない点はどこにあると考えていますか。

「前回の試合では、ンコシの気持ちがどれだけ強いのかが分かっていなかった。抑え込んでも、そこから逃れる力を持っていた。サブミッションにも耐えて、落ちることもない。凄くタフだと試合中に分かった。ケージに押し込んでいた時に、彼は『俺はチャンピオンになる』、『チャンピオンになるだ』と独り言を言っているんだよ。

僕に話しかけているんじゃない。自分に向けて、言葉を発して戦い続けていた。自分と戦っていたんだ。相当に疲れていたから、自分で自分のケツを叩いていたんだろうね。あの気持ちの強さを見たんだから、僕はタップを奪うためのサブミッションはもう仕掛けない。RNCなら落とす。腕十字になら、折る。そういう気持ちで、次の試合は戦うよ。

実は彼とは減量中にサウナで一緒になったんだ。凄く狭い場所だったから、顔を合わせて話しかけないわけにはいかなった。2日後には殴り合うんだけど、まぁしょうがない。『君の精神力はチャンピオンだ』、『まだベルトを巻いていないけど、君がやってきていることはチャンピオンになるに相応しいことは分かっている』って話したんだ。

そんな彼と戦うんだから、逆に僕は全ての尊敬心を忘れて殺しにいかないといけない。もちろん試合中の話だ。ファイトが終われば、一緒に飯でも食いたいよ。そしてファンにはチャンピオンとして勝つのは絶対で、ずっとチャンピオンでいられる力があること、この階級の誰と戦ってかも勝てると思ってもらえる試合をするよ。ぶん殴って、持ち上げて、投げ捨てて。そしてフィニッシュする」

──押忍。ところでショーティーはもうベテランの貫禄がありますが、まだ31歳です。BRAVE CFは相当に居心地が良さそうですが、さらなる高見を目指す気持ちは?

「僕はBRAVEで戦えて凄くハッピーだ。彼らを尊敬し、彼らも僕を尊敬してくれている。だから他のプロモーションで戦いたいとは思わないけど、世界中のタフなファイターとは戦っていきたい。BRAVEのバンタム級ファイターは、ンコシのようにタフだよ。世界で名前は知られていなくても。

同時に世界で名前のあるファイターとも戦っていきたい。Bellatorバンタム級GPに出た選手──パッチー・ミックスは僕のメイントレーニング・パートナーだ。セルジオ・ペティス、ラフェオン・スタッツ、マゴメド・マゴメドフ、ダニー・サバテーロ、フアン・アルチュレタ、キョージ・ホリグチ、エンリケ・バルゾラ……全員と練習したことがある。攻められもするし、攻めることできる。だから、バンタム級で最高位にあるファイターと戦って自分の力を試したい。

でも、それは僕が何かできる話じゃないから、BRAVEがコラボレートショーをしてPFLやBellatorの新シリーズで誰かチャンピオンと戦いたいね。BRAVEは世界中をサーキットしているけど、米国ではショーを開いていない。コラボレートショーが難しいなら、BRAEの米国大会のヘッドライナーとして、シカゴで戦える日が来ることを期待している。

もちろん、日本で戦うこともね(笑)。日本のファンには、その前に金曜日の夜に僕が王座防衛を果たす試合を見て欲しい。豪快な柔道スローを決めるからね」

■視聴方法(予定)
12月16日(土・日本時間)
午前0時~ DAZN


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【BRAVE CF80】南アのフィジカル王ンコシ・ンデンベレ「誰が本当の意味でチャンピオンか分かる」

【写真】イメージとして、南アのサッカー。能力は高い、でも粗削り(C)BRAVE CF

15日(金・現地時間)、バーレーンはイサタウンのハリファ・スポーツシティ・アリーで開催されるBRAVE CF80のメインで、ンコシ・ンデンベレがBRAVE CFバンタム級王者ホゼ・トーレスに挑戦する。
Text by Manabu Takashima

キャリア6勝2敗、荒々しさがそのまま最大の武器になっているフィジカル・モンスターは、8月にトーレスと同級王座決定戦で戦いスプリット判定で落とした。その裁定結果に納得がいかないンデンベレは、勝敗の行方をジャッジに委ねないと言い切った。


──インタビューを受けていただきありがとうございます。Nで始まる名前……いや言葉が日本にはなく、正確な発音方法を教えていただけないでしょうか。

「ンコシ・ンデンベレだよ。ところで、日本ではキングのことをどう呼ぶんだい?」

──キングは王。キングに値するのはエンペラーで天皇といいます。

「日本語でキングは?」

──おれはオオ、オオサマですね。

「オオか。ンコシの意味は、オオ(王)なんだよ」

──そうなのですか。王様が名前になっているのですね。

「ユニークだけど、一般的な名前でもあるんだ」

──なるほど、プチ南アフリカ事情──ありがとうございます。そんな王ですが、8月の王座決定戦に続きダイレクトリマッチでホゼ・トーレスに挑戦します。

「あの裁定は最悪だった。ファンの皆は俺の勝利を支持してくれたけど、ジャッジもレフェリーもそうじゃなかった。まぁ、このスポーツにはある話なんだけど残念は裁定だったよ。ただし、自分のパフォーマンスには誇りを持っているし、今でもあの試合の勝者は自分だったと自信を持って言える。おかしな判定というのは、MMAの一部ではあるけど。まぁガッカリだったね」

──なかなか裁定は難しいですが、1Rと4Rはンコシのラウンドだったと思います。

「つまり、その他のラウンドは俺が落としているって言いたいのか?」

──絶対に落としたということではなく、失ったラウンドがあっても致し方ないことかと。

「なるほどね。それが君のMMAの見方なんだね。まぁ、人それぞれ色んな意見があるだろう。だけど、俺はあの判定結果には納得いっていない。勝利に値するだけのアタックをしていたはずだから。ホゼ・トーレスだって分かっているはずだ。もう俺を止めることはできないってことを」

──判定を落としたことで、何か学んだことはありますか。

「勝利の行方はジャッジには委ねないつもりだ。フィニッシュして勝つ。誰が本当の意味でチャンピオンか、金曜日の夜にはハッキリするだろう。KOかTKOで勝つ」

──そのために何か特別な練習をしてきましたか。

「特別なことはやっていない。ただ、ヤツをぶちのめすための練習をして来た。バリのソマ・ファイトクラブでフルキャンプを行った。素晴しいトレーニングを積むことができたから、もう準備はできている」

──ソマ・ファイトクラブに移籍したのですか。

「そうだ、10月からね。練習パートナーも多くて、しっかりとキャンプができた。そろそろ自分のいる環境を変える時が来たと考えていたから、新しい場所で試合の準備をすることも俺にとってはチャレンジだった。でも、本当に良い環境でトレーニングができた」

──前回のタイトル戦はコロンビアで行われ、今回はバーレーンです。

「あの時は試合の3日前に現地入りし、時差や諸々の調整が必要だった。それに標高が2600メートルだ。体が慣れるまでにファイトを迎えた。バーレーンで戦うのはもう6度目だから、何もかも分かっている。高度も変わりないし、今回はしっかりと自分の力が出せる。

しっかりと自分のやるべきことをやり、トーレスを仕留める。フィニッシュして、王座に昇り詰めるんだ」

──ベルトを巻いた後、どのようなキャリアアップを考えていますか。

「今はこの試合の後のことは何も考えていない。ただベルトを巻くことに集中している。試合を見てもらえれば、俺の言っていることも日本のMMAファンの皆に理解してもらえるはずだも、みてもらうと理解できるだろう」

■視聴方法(予定)
12月16日(土・日本時間)
午前0時~ DAZN


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【BRAVE CF80】アーリープレリミでMMA界のドラフト1位=IMMAF世界王者サブリナ・ソウザがプロ初陣

【写真】既に貫録というか、強いファイターのオーラが伝わってくるサブリナ・ソウザ(C)MMAPLANET

15日(金・現地時間)、バーレーンはイサタウンのハリファ・スポーツシティ・アリーで開催されるBRAVE CF80。2023年の掉尾を飾る大会のメインは、BRAVE CFバンタム級選手権試合=王者ホゼ・トーレス✖挑戦者ンコシ・ンデベレという8月の王座決定戦のダイレクトリマッチが組まれている。
Text by Manabu Takashima

コメインにPFL帰りのジャラ・フセイン・アルシラウイが2年半振りの出場、そしてプレリミでは4試合のアラブ・レジェンズ✖UK&アイルランド連合軍の対抗戦が用意されている。

そんな今大会だが、アーリープレリミにもぜひとも注目したい。女子バンタム級、同じく女子ストロー級、そしてフライ級の3試合はIMMAFで結果を残した選手たちが揃い踏みする。


IMMAF世界王者からプロMMAで活躍しているファイターといえば、IMMAFがWMMAAと合体し文字通り世界最大のアマMMA組織になる以前に世界大会を2連覇した──今大会のメインで戦うトーレス。合体後のIMMAF王者の出世頭はなんといってもムハマド・モカエフだろう。ジュニア時代と合わせてIMMAF世界大会3連覇からプロデビュー、僅か3年半で10連勝&UFCでも5連勝とオクタゴンのフライ級を席巻している。

今年も3度の世界王者ラマザン・ギチノフがベラルーシでプロデビューし、BRAVE CFと合わせて半年で4勝0敗の戦績を残している。

日本でもパンクラス9月大会でタジキスタン人IMMAF世界フライ級王者のムハンマド・サロハイティノフがプロ初陣を戦い、秋葉太樹から2RでTKO勝ちを収めたのは記憶に新しいだろう。サロハイティノフはクリスマスイブ興行に2度目の来日を果たし、松井斗輝と対戦。勝者がタイトル戦線に絡むであろう──ファイトに臨む。

そんなMMA界のドラフト1位といっても過言でないIMMAF世界チャンピオンから、プレリミ第3試合で2019年&2021年(大会実施は2022年)、そして今年の2月に行われた2022年世界大会の女子フェザー級3連覇中(※2020年大会はコロナで行われず)のサブリナ・ソウザが、モニカ・キラン・チャグとプロ初戦を戦う。

バーレーンとブラジルのダブルパスポート保持者のサブリナは普段はリオで生活し、ノヴァウニオンでトレーニングを積んでいる。そしてIMMAFの公式トーナメント前には、バーレーンのKHK MMAでトップアマとしてキャンプを行うという選手生活を足かけ4年行って来た。

バハデチジューカに隣接したガハデーニャで生まれ育ったサブリナはGTFで柔術を始め、10歳でムエタイの練習もスタートさせるとMMAに興味を持ち、16歳でノヴァに移籍した。

柔術でもCBJJのブラジレイロの青帯で優勝しているが、ビザが取れずにムンジアル出場は果たせなかったサブリナ。直後にKHKジムからバーレーン国籍を取得してIMMAFにはバーレーン代表として出場を条件に、ファイナンシャルのサポートを受けるように。サブリナ曰く「条件が悪すぎる」ブラジルのローカルショーで戦うよりも、ファイターとして生活を保障されてアマで戦う道を選ぶのは当然だった。

ノヴァ、KHKだけでなくダゲスタンでレスリングのトレーニングを集中的に行うなど、名前だけのプロよりも余程MMAをプロフェッションとして取り組んできた。結果、世界大会3連覇を含むアマ15連勝でプロデビュー戦を迎えることに。UFCでプロデビュー戦を戦うという目標は達成できなかったが、彼女の力は既に限りなくUFCに近いといえる。

そのサブリナ、当初はエジプトのレワン・ヤセルと対戦予定がファイトウィークに入ってチャグと対戦相手が代わった。それでも、ここはもう勝敗ではなく勝ち方が着目されるプロ初陣だ。

(C)BRAVE CF

第2試合でムハンマド・アルサミアがムハマド・アシュラフと対戦。

アルサミアはダゲスタン&ブラジリアン連合といっても過言でないKHKにおいて数少ないバーレーン人ファイターだ。今年のIMMAF世界大会のフライ級で準優勝、6月にプロデビューを済ませており、2RにKO勝ちを収めている。対戦相手のアシュラフは3勝6敗、この一戦もアルサミアのために組まれた一戦といえる。

(C)BRAVE CF

オープニングファイトでプロ初戦に挑むファビオラ・ナシメントもまたバーレーン国籍も持つブラジル人ファイターだ。

IMMAF2022世界大会は女子ストロー級準々決勝で、先ごろONE FFで勝利をしたフェイン・マスキータに敗れるなど、世界大会の最高位は3位のナシメント。アジアでは優勝を果たしている彼女は、イリアーナ・ヴァレンティーノと初の5分✖3Rを戦う。

ヴァレンティーノは2015年の大晦日にRIZINでRENAと戦い、2017年にはSBで再戦も、どちらの試合も敗れている。その後もSBやKNOCK OUTで戦ってきたヴァレンティーノのMMA戦績は今も1勝1敗。打撃につき合う必要のないMMA、IMMAFのトップ選手の経験値は、プロ数戦のファイターを凌駕するのは当然という見方がなされ、この一戦もナシメント優位は揺るがない。

■視聴方法(予定)
12月16日(金・日本時間)
午前0時~ DAZN


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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:10月 ウスマン×チマエフ「スタンドのバックキープは山の五合目」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2023年10月の一番──10月21日に行われたUFC294でのカマル・ウスマン×カムザット・チマエフ戦について語らおう。

――取材がギリギリになって申し訳ありません!10月の一番として、水垣さんにはUFN228でのカマル・ウスマン×カムザット・チマエフを選んでいただきました。

「まずチマエフはまだ底を見せ切れていないというか、ギルバート・バーンズ戦で大分見えていた部分もあったけど、最終的には競り勝った。では本来の階級は下だけど、ウスマン相手にチマエフの実力がどうなのかを見たいという興味がありました。あとはテイクダウンされないウスマンと最強のテイクダウン技術を持つチマエフが戦ったらどうなるのかなという好奇心もありましたね」

――いざ蓋を開けたらチマエフが開始早々テイクダウンしてバックを取るという衝撃的な展開でした。

「あれはビビりましたね(笑)。改めて見直すとチマエフがテイクダウンしてバックを取るまで1分くらいなんですよ。あの攻めの速さは尋常じゃないです。ただ2Rになるとチマエフがテイクダウンにいけなくなるんですよ。少し休みながら戦っているようにも見えて、もしかしたら1Rにテイクダウンとバックは取っていたけど、あの攻防のなかで『今までの相手とは違う』という感覚があったのかもしれないですね」

――意図したものかどうかは分からないですが、1Rと2Rのチマエフは別人のようでした。

「そこがまだチマエフの分からないところなんですよ。スタミナが切れてしまったのか、あえてそうしたのか。3Rに入ると何度かテイクダウンに成功しているし、結局チマエフの全貌が分からない(笑)」

――3Rはウスマンのパンチも当たりだしたので、このままウスマンが前に出て、チマエフが弱気になると思ったんです。そうしたら打撃でも打ち返していましたよね。

「それはバーンズ戦でも感じたことで、僕はチマエフは試合終盤の競り合いになったら弱気になるタイプだと思っていたんですよ。でもバーンズ戦はそういう競り合いでも勝負強さを見せたんですよね。今回も2Rを見終わって、3Rはこのままウスマンの流れるになるかなと思っていたら、最後はチマエフが盛り返して勝っている。2試合連続ちゃんと競り勝っているわけだから勝負弱くはないと思うんですけど、1Rの圧倒ぶりからすると、もっと圧勝できる気もするじゃないですか。でも最終的に接戦になってしまっているので『結局、チマエフどうなの?』と思われてしまいますよね」

――そんな謎多きチマエフではありますが、シングルレッグからテイクダウンしてバックコントロールという流れは素晴らしかったです。ここ最近のロシアや中央アジア出身の選手が得意にしているムーブです。

「シングルレッグ、テイクダウン、相手が立ってきたらバックキープ、仮に立たれてもスタンドでバックをとる、そこからテイクダウン……この流れが完全に出来上がっていますよね。チマエフはハビブ軍団とは別チームなので指導者やトレーナーが同じということはないと思うんですけど、あの地域のレスリング系の選手の技術体系や動きが似ているというのは不思議な部分ではあります。これは推測ですけど“組み伏せて殴る”ことを突き詰めていくと、バックコントロールに行きつくんじゃないですかな、と」

――スクランブルの攻防が増えて、組みの展開で選手が立つという選択をするようになった。グラウンドで両足をフックする柔術的なバックコントロールよりも、レスリング的な足をフックしないバックコントロールの時間が長くなっていることも影響していると思います。

「その方が殴りやすいというのもあるでしょうね。あとは立たれるリスクもあるけれど、スタンドでバックについていればOKという感覚もあると思うんですよ。立たれて正対されるのはダメだけど、バックについていれば仕切り直しできるみたいな」

――スタンドのバックキープがイーブンではなく有利な状況ということですね。

「山登りでも五合目にベースキャンプを置いて、登山途中に天候が悪くなったら一旦ベースキャンプに引き返すじゃないですか。そのベースキャンプがスタンドのバックキープというか。テイクダウンして完全にバックコントロールするのがベストだけど、その攻防で自分が下になる・立たれて距離を取られるリスクがあるなら、立たせてバックキープする方がいい。スタンドのバックキープは6:4で有利だけど、正対されたら4:6で不利になる。だから6:4で有利でいられるところまで戻されることはよしとする感覚なんだと思います」

――なるほど。“立たれた”ではなく“立たせた”という見方もできる、と。そう考えるとポジショニングの概念も選手のファイトスタイルや技術によって変わってきますね。

「もちろんスタンドのバックキープからテイクダウンする&組み伏せる技術ありきですが、彼らにとってはグラウンドのポジションキープよりも体力の消耗も少ないんだと思います。そこまで展開に幅を持たせることが出来たら体力的にも精神的にも余裕を持てますよね」

――逆にショートノーティスで出場が決まって、本来はウェルター級ながら、ミドル級のチマエフとあれだけ出来たウスマンの強さも再確認しました。

「チマエフのテイクダウンを切って、捌くところは捌いてましたからね。UFCは試合中にテイクダウンの成功率が出るじゃないですか。確かにテイクダウンを取られてはいるんですけど、防いでいると言えば防いでいる。その数字は『あれだけチマエフのテイクダウンを防いだウスマンはすごい!』なのか『結果的にウスマンからテイクダウンを取っているチマエフはすごい!』なのか。チマエフが未知数な部分を残している分、どっちなんだろうなと思ってしまいますね(笑)。もちろんウスマンをテイクダウンするチマエフの能力はすごいですんですけど」

――チマエフは前回の試合が13戦目ですし、まだまだ伸びしろはありそうですね。UFC自体も完成された選手が集まるというより、UFCで戦っていくなかでキャリアを積んで伸びていく選手たちが増えそうです。

「例えばDWCS(Dana White’s Contender Series)から無敗のまま上がってくる選手もいますけど、正直『えっ?』と思うような選手もいるんですよ(笑)。でも今のUFCはそれもありというか。戦績がいい選手を30~40選手くらい集めて、その中にダイヤの原石が1人いればいいという考えで、昔と比べるとふるいのかけ方が変わってきているんだと思います。とりあえず戦績がいい選手を数で集めて、UFNのアンダーカードで削って行くみたいな」

――以前は他のプロモーションで勝ち上がった選手がUFCを目指していましたが、今はUFCというプロモーション自体がもう一つ大きなふるいを持ったイメージですよね。それがRoad to UFCやDWCSでもあると思いますし。

「とりあえず履歴書を送って、書類選考は通過みたいな(笑)」

――まずはバイトから始まって正社員まで険しい道のりが続く、と(笑)。言い方を変えれば間口が広がった分、UFCに引っかかる可能性やチャンスは増えましたよね。

「まだDWCSに日本人が出る機会は少ないですけど、木下憂朔選手の例もありますからね。ただそれは他の国にも言えることで、アジア圏でも色んな国から選手が出てきているじゃないですか。来年はUFCとしてインドから選手を育成するプログラムをスタートさせるという記事も見ましたし、Road to UFCに出ている選手たちも1年間で急成長していますからね」

――UAE Warriorsに参戦中の藤田大和選手を取材したのですが「国全体でMMAが盛り上がっている空気を感じるので、これからすごい選手が出てくる可能性もあると思います」と話していました。

「UAEWやBRAVE CFを経由してUFCに出る選手たちは一味違いますよ。あとはムハマド・モカエフのようにIMMAFに出ている選手たちは、アマチュアだけどめちゃくちゃレベルが高いところで試合をしてきているから、先ほどとは逆で『この強さでこの戦績?』と驚くような選手も出てきますよね。MMAという競技の発展という意味では、そういった動向も見ていきたいと思います」

――もしかしたら数年後にインドやUAEがMMA大国になっているかもしれない。そんな言葉で今月の一番を締めさせていただきます!

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【BRAVE CF76】1カ月で6大会、BRAVE CFの注目ニューフェース=ジョシュ・トーゴ「世界中どこでも戦う」

【写真】ファイターのVサインって珍しい……かも(C)MMAPLANET

25日(土・現地時間)、インドネシアはジャカルタのバライ・サルビニでBRAVE CF76が開催される。先週の初のスペイン大会から今日のインドネシア大会、12月5日のバーレーン大会、5日はブラジル、8日と15日に再びバーレーンと人知れずイベントラッシュのBRAVE。それだけ国際色豊かなファイターが集まっている。
Text by Manabu Takashima

シンガポール大会のメイン=ライト級3回戦でタイトルコンテンダーのカミル・マゴメドフと対戦するジョシュ・トーゴもそんな選手の1人だ。シドニー出身のレバノン系豪州人ファイターのトーゴは、同国を代表するフィーダーショー=HEX FSやEternal MMAでキャリアを積みながら、闘う舞台を中東に求めUAE Warriorsではウェルター級王座を獲得も、UAEからバーレーンベースのBRAVEに戦場を移した。

そして初戦を上記のようにメイン&タイトル挑戦経験者と戦うトーゴにインタビューを試みた。


――今週末、BRAVE CFのデビュー戦をインドネシアで迎えます。今の気持ちを教えてください(※取材は23日に行われた)。

「凄く良い感じだよ。BRAVEデビュー戦をメインイベントで戦う。しっかりと自分の力を見せたいと思う」

――MMAとの出会いは、いつだったのでしょうか。

「16歳の時にボクシングを始め、キックボクシングに転向したんだけど、そこからレスリング、柔術、MMAを練習するようになっ。それ以来、ずっとこのスポーツを続けているよ。もう10年になるよ。キャリアの最初はシドニーでも裏街道のようなジムにいたけど、今ではオーストラリアン・トップチームの所だ」

――豪州はMMA界でも強豪国の一つですが、その豪州のトップフィーダーショーで戦いながら中東のプロモーションを活動の場に選んだのは?

「凄く単純なことだよ。その機会が巡ってきたからだよ。デビューをしてから豪州中を行ったり来たりして戦い、それが海外になっただけのことで。UAEWではウェルター級チャンピオンになったけど、通常体重だったからライト級で戦う機会を求めていた。国内でも戦うし、それが今回はBRAVEで戦うことになったということで。UAEだけでなく、世界中どこでも戦う。だから、BRAVEのインドネシア大会で戦うんだ」

――UAEWのチャンピオンだとUFCへの道も模索できたかと思うのですか。

「BRAVE CFもUAEWもこの世界のトッププロモーションの1つだ。UAEWだけでなく、BRAVEも多くのファイターがUFCに進んでいる。MMAを戦っているなら、誰だってUFCで戦いたいに違いない。そういう意味でBRAVEはUAEWと並んで、そのチャンスが多い場所だ」

――既にライト級王座挑戦経験のあるカミル・マゴメドフとの試合はとても大切になってきますね。

「彼の試合をチェックしたけど何も印象に残るものはなかったよ。僕が過去に戦ってきた相手より、特に優れていることなんてないしね。まぁ2Rか3RでTKO勝ちできるだろう」

――ジョシュはしっかりとタイミングを計り、見事な左カウンターショットを持っていますが、2Rか3Rで倒すということは初回で距離とタイミングを掴むということでしょうか。

「別に1Rで倒せるなら、倒す。今回の試合に関しては、対戦相手がガチャガチャした展開に持ち込むために圧を掛けてくるだろうから、そこの対策はしないといけないと思っている」

――マゴメドフはスイッチヒッターですが、オーバーハンドやフックを振るってダブルレッグやクリンチに入る。打撃もそうですが、組みも左右の両方の構えで仕掛けることができます。

「全然気にならないよ。さっきも言ったように何も特別なモノではないから。これまでも彼のようなレスラーとはいくらでも戦ってきた。柔道が得意な相手もいたし、ミドル級やウェルター級で組みが得意な選手を相手にしてきたんだ。だから、今回ダゲスタンのレスラーと戦うからといって気になることはない。もちろん、彼はテイクダウンを狙ってくるだろう。何をやってくるのか、明白だから逆に戦いやすいぐらいだ。

彼の動きが僕に攻める機会を与えることになる。ただ、真正面から攻めてくるだろうし、僕には彼にない角度からの攻撃がある。組みの圧力に負けないプレッシャーを与えて、打撃で戦う。それにテイクダウンを奪われても、何も問題じゃない。10年間、僕も寝技を磨いてきたから。

MMAを戦うために一番必要なことは、自信。自分のことを信じること。その点において、僕は今回の試合に向けて絶対の自信を持っているよ」

■視聴方法(予定)
11月25日(土・日本時間)
午後9時00分~ DAZN

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