カテゴリー
ABEMA DEEP MMA ONE PANCRASE Pancrase325 RIZIN   修斗 北方大地 宮澤雄大 猿田洋祐 竿本樹生

【Pancrase325】ストロー級KOP王座防衛戦、北方大地─02─「相手へのモチベーションは、100のうち2」

【写真】パンクラス稲垣組での練習も最終調整に入っていたチャンプ北方。スタジオコーストのフィナーレに向かう (C)DAICHI KITAKATA

12日(日)、東京都江東区のスタジオコーストで開催されるPancrase325で、宮澤雄大を相手にストロー級KOPの初防衛戦を行う北方大地のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

今年4月に難病を発症しながら、復帰に向けて希望を失ってはいなかった。結婚し、家族が増えたなかで不安も抱えつつも、ただただ前を向いて自分のできることをやってきた北方。そして迎える復帰戦――試合の話になると、いつもの北方らしさが溢れていた。いざ、初防衛へ。

<北方大地インタビューPart.01はコチラから>


――12月12日、宮澤雄大選手を相手にストロー級KOPの防衛戦を行います。この試合のオファーが来たのは、いつ頃だったのでしょうか。

「最初にこの試合について話をしたのは、パンクラスとDEEPの大阪大会があった時(7月18日、大阪コレガスタジオ大会)やと思うんです。稲垣(克臣)さん、パンクラス大阪の小松(憲吾)社長、パンクラスの坂本(靖)さんと相談しました。僕は試合をしたいし、挑戦者のほうもやりたいと言うてる。でも僕は、そこで無責任に『試合をしたい』とは言えなくて。まずはお医者さんに聞いてから、と。

すぐにセカンドオピニオンで診断してもらって、話をもらった1週間後には『やる』って返事をしました。体を動かすことはできていたので、動けるということは試合できる。そう思っていたんです。最初は体を動かすことができない状態から悩んでいたので。そこから体を動かせるようになった――自分に可能性を感じました」

――では、挑戦者の宮澤選手の試合などは……。

「見ていなかったですね。宮澤選手と八田(亮)選手の挑戦者決定戦(今年5月、宮澤が判定勝ち)も、日にちを覚えていなくて。『あれ? (挑戦者決定戦は)今日やん。見逃した』っていう感じで、後で他の人に見せてもらいました。でも試合が面白くなくて、途中から見ていないです」

――……すると今回の試合は、相手に対するモチベーションはあるのでしょうか。

「相手へのモチベーションは、100のうち2です。宮澤選手に対しては、SNSで『眼中にない』と言いましたけど、ホンマにないんですよ。ただ、最初はゼロやったのが、2に増えました。

それはまず、自分がタイトルマッチを長引かせてしまったじゃないですか。ベルトを返上することも検討していました。でも宮澤選手サイドが『タイトルマッチが年内に実現できるなら待ちます』と言っていると聞いて」

――宮澤選手としては、北方選手と対戦してベルトを巻きたかったのですね。

「パンクラスとしても、暫定のベルトを作るという案があったそうなんです。でも宮澤選手は僕とやりたいって。かわいいこと言うじゃないですか。じゃあ胸を貸してやろうと」

――宮澤選手の意志を汲んで、100のうち2に上がったのですか。では、残りの98は……。

「まず子供たちに、自分の戦う姿――戦う姿勢を見せたいんです。世の中、いろいろな逆境があると思います。でも、そこで折れていたらファイターじゃないんですよ。それを分かってもらうための場所は、ファイターにとっては試合しかない。その試合を子供たちに見せたい……その気持ちが、僕に病気と向き合わせてくれました。

それから、応援してくれている人たちに、ここで引退しますとは言えなかった。みんなを悲しませて終わる、なんてことは嫌だったんです。応援してくれている人たちを笑顔にしたい。その気持ちは強いです。あとはパンクラスのチャンピオンとして防衛戦をやって、お客さんが興奮する試合を見せたい。そうすることでパンクラスにも恩返ししたいです」

――パンクラスへの恩返し……北方選手は2019年にストロー級KOPを獲得後、ONEで修斗王者の猿田洋祐選手に、そしてRIZINで竿本樹生選手に敗北を喫しています。

「あぁ、その2試合について『パンクラスに対して申し訳ない』という気持ちはないです。そこは、すごく冷静なんですよ。自分はパンクラスのチャンピオンですけど、パンクラスのみっていう考えはないので」

――というと?

「まず猿田選手は、修斗というよりONEのチャンピオンだったじゃないですか」

――猿田選手は修斗のベルトを保持したままONE世界王者となり、ONE王座を失ってからの復帰戦が北方選手との試合でした。

「修斗のベルトも一緒に持っていましたけど、それより元ONE世界王者――ワールドクラスの選手と戦うっていう意識が強かったです。パンクラス×修斗のチャンピオン対決ということよりも」

――なるほど。

「RIZINの試合(竿本戦)については、1階級上(フライ級)で、僕にとってはチャレンジマッチでした。自分がパンクラスのベルトを持っていくのは当然やけど、階級も違っていたので、パンクラスのチャンピオンっていう枠組みを超えた挑戦やったと思います。それよりも……」

――それよりも……何でしょう?

「それでパンクラスのストロー級のランカーが、『チャンピオンなのに他の団体で負けて……』とか、どうこう言っても仕方ないんですよ。そのランカーたちは、僕より下でしょ?  だったらまず、お前が俺に勝って行けやって」

――口で言うよりは、自分の実力を証明してみろ、と。

「そういうことですよ。パンクラスのベルトへの恩返しは、パンクラスでするべきやと思っています。次の試合はパンクラスのケージの中で、パンクラス・ストロー級の北方は強いんや、っていうところを見せます」

■視聴方法(予定)
12月12日(日)
午後1時00分~ TIGET LIVE
午後1時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

The post 【Pancrase325】ストロー級KOP王座防衛戦、北方大地─02─「相手へのモチベーションは、100のうち2」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
Interview J-CAGE Pancrase325 ブログ 北方大地 宮澤雄大

【Pancrase325】宮澤雄大の挑戦を受ける北方大地─01─「同じ病気の人に希望を与えたい」

【写真】誰もが勇気を貰える話を北方はしてくれた (C)DAICHI KITAKATA

12日(日)、東京都江東区のスタジオコーストで開催されるPancrase325で、ストロー級KOPの北方大地が、宮澤雄大を相手にベルトの初防衛戦を行う。
Text by Shojiro Kameike

2019年7月に砂辺光久をKOして、ストロー級のベルトを腰に巻いた北方だが、その後はONEとRIZINで2連敗を喫している。その一方で、今年4月には指定難病である「頸椎の後従靭帯骨化症」を発症。痛みに耐えながら治療とリハビリ、さらにトレーニングに挑む日々が続いたという。

それでも北方の中には、一つの想いしかなかった。「ベストを尽くして、試合をする」――ここでは、思うように体を動かせない状態から、復帰までに至った道のりを語ってくれた。


――試合を9日後に控えてのインタビューとなります(※取材は12月3日に行われた)。ここまで練習の調子などはいかがですか。

「練習の状況は今までどおりですね。仕上がりとしては過去最高の状態です」

――過去最高の状態というのは、今回の試合に向けて何か新しいものを取り入れたりしたのでしょうか。

「新しく取り入れたというより、自分の中でムダなものを省いて、格闘技に必要なものの精度を上げたという感じです」

――ムダなものと必要なもの、とは?

「たとえば、ウェイトトレーニングのやり方を変えています。みんながイメージするウェイトって重さや強度だったりするんですけど、僕がフォーカスしているのは関節の動かし方です。正しく関節を使うことで、良いパフォーマンスが出る。どういった姿勢で動かすとパフォーマンスが挙がるのか――そういったウェイトの概念から変えました」

――ウェイトの概念を変えたのは、何かキッカケがあったのでしょうか。

「首の病気ですね。それが一番です」

――首の病気……今年4月に発症した、頚椎の後従靭帯骨化症ですね。

「はい。この病気のために、腕が上がらない。痛みや痺れがなくならない。この状態でどうやって戦えばいいのか――その状態からスタートしました。体のこの部分が動かない、じゃあ代わりにどこを動かせばいいのか、といったことを考えながら」

――後従靭帯骨化症を発症したあとは、入院されていたのですか。

「いえ、通院での治療ですね」

――発症直後は、体を動かすことも困難だったかと思います。そこからトレーニングを再開したのは、いつ頃になるのでしょうか。

「少し複雑な話になるんですけど、まず4月に後従靭帯骨化症と診断されたあと、6月のRIZINのオファーがありました。試合のために5月から練習を再開して――でも体調が悪化してRIZINは欠場となり、そこからさらに具合が悪くなって、次に体を動かし始めたのは8月ぐらいでした」

――日常生活に支障はなかったのですか。

「日常生活はできています。発症後からリハビリは続けていて、本格的に格闘家としての練習を始めることができたのは9月ですね」

――そのような状態でも、まず「どうやって練習して、試合に出場するか」だったのですね。

「正直言うと、僕はもちろん、お医者さんにとっても分からない病気だったんです」

――後従靭帯骨化症は指定難病ですから、その病気の専門的な研究医でなければ、まずは文献や資料を調べながらの治療となるでしょう。

「そこで僕はセカンドオピニオンを利用して、お医者さんに自分の体がどんな状況かだけを聞きに行ったんです。それを聞いて、格闘家としてどうするかを決めるのは自分なので。すると理解のあるお医者さんで、その方と話をしながら練習を進めてきました」

――お医者さんも分からない、調べながら進めていくとなると、どこまで回復したら何が許されるのかというゴールも見えなかったのではないですか。

「そうなんです。どんな状態まで持っていけば大丈夫なのか、それが分からない。だから考えたんです。自分のベストを尽くそう。ベストを尽くせたら、それが良い状態なんやと」

――所属しているジムの皆さんは、北方選手の病気を知って何と仰っているのでしょうか? 試合出場を止めたりはしないですか。

「ジムとも相談しました。稲垣(克臣)さん、前田(吉郎)さんや練習仲間、トレーナー……もちろん家族とも話をして。みんな、僕の意見を尊重してくれています。僕は試合ができると思っています。自暴自棄になっているわけじゃなくて、前向きにそう考えていたし、周りの方たちも僕の熱意を組んでくれました」

――ご家族も、現役生活の続行には理解があったのですね。

「これも複雑な話なんですけど……まず病気のことは分からないと思います。僕も夜に痛かったり、苦しくて寝られなくなることもありました。もちろん妻は声をかけてくれるし、心配もしています。でも指定難病だから、そもそもどんな病気なのか分からないのは当然で」

――……。

「僕も悩みました。不安もありました。今年結婚したんですけど、妻の連れ子が3人いて、今年には4人目が出来て……でもこの病気になって、父親として働いていけるのかどうか。だから自分自身の気持ちを救う意味でも、とにかく病気に関する情報を求めたんですよ」

――そのような状態から、現在の状態は……。

「順調ですね。順調というか、お医者さんの想像を超えているんじゃないですか。僕は同じ病気の人に希望を与えたいんです。同じ病気になっても、どうすれば自分のように動ける状態になるのか、そのヒントを開拓できればと思っています」

――なるほど。

「今これだけ調子が良いのは、体を動かしているからかな、とも思うんですよ。みんな心配してくれて、『体を動かさないほうが良い』と言ってくれるんです。でも、しっかり動いたら、ちゃんとパフォーマンスが挙がってきている。これはいけるんじゃないか、って思いました。これは僕だけの話ではなく、同じ病気でもスポーツをやりたいっていう人のヒントになれば嬉しいですよね」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
12月19日
午後1時00分~ TIGET LIVE
午後1時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

The post 【Pancrase325】宮澤雄大の挑戦を受ける北方大地─01─「同じ病気の人に希望を与えたい」 first appeared on MMAPLANET.