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LFA MMA MMAPLANET o UFC UFC282 UFC283   イズマエル・ボンフィム ガブリエル・ボンフィム キック グレゴリー・ホドリゲス グローバー・テイシェイラ サイモン・オリヴェイラ ジャイルトン・アルメイダ ジャマール・ヒル ジョシアニ・ヌネス ジョニー・ウォーカー ジルベウト・ドゥリーニョ ダニエル・マルコス チアゴ・モイゼス テレンス・マッキニー デイヴィソン・フィゲイレド ニール・マグニー フェレス・ジアム ブランドン・モレノ ブルーノ・フェヘイラ ボクシング マウリシオ・ショーグン マゴメド・アンカラエフ ムニール・ラジズ ヴァルリー・アウベス

【UFC283】計量終了 4度目の対戦=フライ級世界戦。ショーグン、ラストファイト!! ボンフィム弟に要注目

【写真】これがラスト・フェイスオフとなるマウリシオ・ショーグン (C)Zuffa/UFC

20日(金・現地時間)、21日(土・同)にブラジルはリオデジャネイロのジュネス・アリーナで開催されるUFC 283「Teixeira vs Hill」の計量が行なわれた。

今大会のメインはグローバー・テイシェイラ×ジャマール・ヒルのUFC世界ライトヘビー級決定戦だ。元世界王者テイシェイラはUFC282で当時の世界王者ユーリ・プロハースカとのリマッチが予定されていたが、王者が肩の負傷でタイトルを返上するとUFCは何とテイシェイラの挑戦権を無視し、マゴメド・アンカラエフとヤン・ブラボヴィッチの間で王座決定戦を実施した。

しかし、両者の対戦はドローに終わり王座は空位に。テイシェイラは再びタイトルコンテンダーの地位を取り戻し、母国でヒルとの王座決定戦に臨むこととなった。


ヒルはセレモニアル・フェイスオフ後に「グローバー・テイシェイラとケージをシェアできることはハッピーで、光栄だ。神が死ねといえば、僕らは死ぬ。でも明日は皆のために良い試合をする。なぜ、僕がここに来たのか分かるだろう」と最後はエキサイト気味に吐き捨てた。

対してテイシェイラは「準備は100パーセントできている。明日はやるよ」と穏やかな表情で静かに話した。

コメインの世界フライ級王座統一戦、デイヴィソン・フィゲイレドとブランドン・モレノは実に4度目の世界戦となる。過去1勝1敗1分だけに本当の意味で決着戦となる。

フェイスオフでモレノの胸に左手で触れたフィゲイレドはバナナを持ち出す。とんでもない差別行動に出たのかと思いきや、自らの口に入れるという難解なパフォーマンスを披露する。これを受けて「話すことはない。明日、楽しんでほしい」とそれでも憤慨した表情で手短にコメントの残したモレノ。

続いでフィゲイレドは「明日の夜は皆のために戦う。ただベルトを守るためじゃない、チケットを買ってきてくれた皆の夢、皆のベルトだ」とコメントした。

そんな世界戦に出場するブラジル人ファイターに負けない注目を集めているのがマウリシオ・ショーグンだ。キャリア42瀬戦目となるイホール・ポティエリアとの試合で、20年2カ月のMMAファイター人生に幕を下ろすショーグン。母国を引退試合の地に選んだショーグンのラストファイト――日本のMMAファンの皆が、その目に焼き付けてほしい。

オクタゴンを去るファイターがいれば、ここからUFCファイター人生を歩み始める選手もいる。それがイズマエル&ガブリエルのボンフィム兄弟であり、ルアン・ラセルダだ。3選手ともLFA出身、ボンフィム兄弟はコンテンダーシリーズを経てUFCへ。兄弟揃ってのオクタゴン初陣となる。

特にボンフィム弟=ガブリエルとムニール・ラジズの対戦は注目だ。質の高いキックボクシングMMAを見せるラジズに対し、デビュー以来13連勝でUFCと契約したボンフィムは3つのKO勝ちと10の一本勝ちを誇るフィニッシャーだ。

ラジズが世界最高峰で戦うとKO率が落ちたように、ボンフィムも一本を取ることが難しくなるのか。仮に過去5試合のうち3試合で見せたように初回でタップを奪うようだとボンフィムは、ボンフィムは早々のトップ15入りも期待しても良いだろう。

■視聴方法(予定)
12月10日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
正午~PPV
正午~WOWOWプライム

■UFC283対戦計量結果

<UFC世界ライトヘビー級王座決定戦/5分5R>
グローバー・テイシェイラ: 205ポンド(92.99キロ)
ジャマール・ヒル: 204.5ポンド(92.76キロ)

<UFC世界フライ級王座統一戦/5分5R>
[正規王者]デイヴィソン・フィゲイレド: 125ポンド(56.7キロ)
[暫定王者]ブランドン・モレノ: 125ポンド(56.7キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ: 170ポンド(77.11キロ)
ニール・マグニー: 171ポンド(77.56キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ: 125ポンド(56.7キロ)
ローレン・マーフィー: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ポール・クレイグ: 205ポンド(92.99キロ)
ジョニー・ウォーカー: 205ポンド(92.99キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
マウリシオ・ショーグン: 205ポンド(92.99キロ)
イホール・ポティエリア: 205ポンド(92.99キロ)

<ミドル級/5分3R>
グレゴリー・ホドリゲス: 186ポンド(84.37キロ)
ブルーノ・フェヘイラ: 185ポンド(83.91キロ)

<ライト級/5分3R>
チアゴ・モイゼス: 155.5ポンド(70.53キロ)
メルキザエル・コスタ: 155ポンド(70.31キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ガブリエル・ボンフィム: 171ポンド(77.56キロ)
ムニール・ラジズ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジャイルトン・アルメイダ: 232ポンド(105.23キロ)
シャミル・アブドゥラヒモフ: 263ポンド(119.29キロ)

<ライト級/5分3R>
テレンス・マッキニー: 156ポンド(70.76キロ)
イズマエル・ボンフィム: 156ポンド(70.76キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ヴァルリー・アウベス: 171ポンド(77.56キロ)
ニコラス・ダルビー: 170ポンド(77.11キロ)

<女子フェザー級/5分3R>
ジョシアニ・ヌネス: 145.5ポンド(66.0キロ)
フェレス・ジアム: 146ポンド(66.22キロ)

<バンタム級/5分3R>
ルアン・ラセルダ: 136ポンド(61.69キロ)
コディ・ステーマン: 135.5ポンド(61.46キロ)

<バンタム級/5分3R>
ダニエル・マルコス: 136ポンド(61.69キロ)
サイモン・オリヴェイラ: 136ポンド(61.69キロ)

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MMA MMAPLANET NEXUS28 o ジルベウト・ドゥリーニョ ダヴィ・ハモス ニュース レアンドロ・ロ

【NEXUS28】レアンドロ・ロの悲報を受け、ドリーニョに訊く。「僕らはレジェンドを失った」

【写真】ドリーニョがムンジアルを制した翌年から、ロの世界制覇が始まった (C)MMAPLANET

7日(日・現地時間)、ブラジルからレアンドロ・ロが銃で撃たれて死亡するという悲しいニュースが世界中を駆け巡った。

5階級で8度のムンジアル黒帯優勝、不世出の柔術が世界王者になる直前のライバル――ジルベウト・ドゥリーニョ。

その彼がキルクリフ・ファイトクラブ内の柔術クラスを指導後に、レアンドロ・ロの死について言葉を貰った。


ジルベウト・ドゥリーニョ
僕たちは決して物凄く近い間柄ではなかったけど、彼のことが好きだった。何よりも競技者として、レアンドロ・ロは僕を強くさせてくれる存在だったんだ。僕らは4度戦った。最初はサンパウロの州選手権だった。それからアブダビ・トライアル、ノーギワールズの準決勝、コパ・ポジオで戦った。最初の3試合は僕が勝ち、コパ・ポジオではレアンドロが勝った。

いつもタフな試合になり、僕を成長させてくれた。レアンドロがトーナメントに出ていると知っただけで、力が入ったよ。

それから僕はMMAに転じたけど、彼が柔術界で成し遂げてきたことをずっと見てきた。イイ奴だった。いつも平和的で、柔術界の人間のことを気に掛けていた。純粋な柔術人間だったよ。軍警察の人間が、頭を撃ち抜くなんて……。とにかく……こんなに悲しいことはない。

偉大なる柔術家が亡くなっただけでなく、あんなに良い人間が殺されたんだ……悲しすぎる。僕らはレジェンドを失った。まだ32歳だよ。才能にあふれた彼はMMAだって挑戦できたはずだ。柔術界で引き続き、歴史を創ることができた。子供がいて、家族がいる。これから、いくらでも楽しめる人生を突然、暴力で幕を下ろさないといけなくなったなんて……。本当に悲しすぎる。

本当に素晴らしい柔術家で、ライトからミドル級、メディアヘビー級、ヘビー級に無差別級で8度も世界王者になっている。2011年、僕がムンジアルで優勝した年のライト級はとんでもないメンツが揃っていた。土曜日を勝ち残り、日曜日の準々決勝で僕はルーカス・レプリと戦った。他にはレアンドロ・ロ、マイケル・ランギ、クロン・グレイシー、ダヴィ・ハモス、JT・トーレスがいた。ロが自分の方の山にいるだけで、僕はより強くなれた。ロはそれだけの存在だったんだ。

昨日は本当に辛かったよ」

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MMA MMAPLANET o UFC UFC273   カムザット・チマエフ キック ジルベウト・ドゥリーニョ

【UFC273】MMA史に残る魂の殴り合い。チマエフがドゥリーニョを破り「この痛みも大好きだ」

<ウェルター級/5分3R>
カムザット・チマエフ(スウェーデン)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ(ブラジル)

右前蹴りを2発見せたチマエフが、右を振るって組みつく。ケージを背負ったドゥリーニョは、シングルで持ち挙げられると、ウィザーでカタヒザをついて耐えるが左のパンチを受ける。腰を引いて、ドゥリーニョのバランスを崩してバックに回ったチマエフは前転にも、バックを取り続け胸を合わせてトップを取り、余裕をもってスタンドに戻る。

カーフで姿勢を乱させたドゥリーニョはワンツー、チマエフもワンツーを入れてスイッチする。ミドルを返し、右を振るうドゥリーニョが左フックを当てる。チマエフは右オーバーハンド、左フックと力強いパンチを繰り出す。大きな踏み込みでパンチを振るうドゥリーニョは、あごが上がり気味なのが気になる。

それでもドゥリーニョが近距離での打ち合いでも右を当て、チマエフはスリップしてから距離を取り直しカーフを蹴る。左ミドルで前に出たチマエフの右ジャブで、ドゥリーニョがダウン。クローズドガードの中からパンチ&エルボー、ドゥリーニョも下からパンチを返しチマエフがスタンドに戻る。レフェリーがドゥリーニョを立たせると、ドゥリーニョは左ボディ、右フックを見せて時間となった。

2R、右ローを蹴ったチマエフはワンツーをバックステップでかわすと、右フックにダブルレッグを合わせれても切る。スイッチをして右ジャブから左を入れたチマエフに、ドゥリーニョも右を打ち返し右ミドルを決める。チマエフはオーソに戻し、右オーバーハンド。ドゥリーニョが右フックを決める。ここでチマエフは前に出てサウスポーの構えで右ジャブ、ドゥリーニョのシングルレッグを切る。

と右を振って前に出たチマエフに、ドゥリーニョの右が当たる。姿勢を乱したチマエフはパンチを続けるが、ドゥリーニョも打ち返しクリンチ・アッパーを連打する。間を取った両者、ドゥリーニョはワンツーで前に出る。右に右を合わせたチマエフは、ダブルレッグから引き込んだドゥリーニョに鉄槌を落とそうとする。Zハーフガードから腹を蹴って立ち上がったドゥリーニョは、右を受けても左フックからボディを殴る。右を思い切り振るうチマエフは、ボディを受けても右で圧力をかける。右を当てて前に出たチマエフだが、ここで右を当ててダウンを奪ったドゥリーニョが、サッカーボールキックを蹴ってしまう。

これは当たらなかったが、チマエフはテイクダウンへ。終了後にも離れないチマエフを蹴り上げたドゥリーニョの頭をチマエフが張ろうとし、レフェリーが割って入った。

最終回、ジャブを伸ばすチマエフは右を振り下ろすタイミングを計っているか。左に右を合わせたチマエフは、右ジャブを入れオーソに構えるとシングルレッグを切る。それでボディロックでテイクダウンを狙ったドゥリーニョは、離れたチマエフの右を受けて動きが止まる。頭が下がったドゥリーニョにパンチを連続で打ち込むチマエフは、ここでシングルレッグを選択する。

チマエフは足を放して離れると、ドゥリーニョはジャブにケージを背負う。それで左を伸ばすドゥリーニョが右を打っていく。空振りし姿勢を乱したドゥリーニョに、チマエフが右の前蹴りを入れアッパーを振るう。ドゥリーニョもワンツーを返して左ジャブ、さらにワンツーを打ち込む。チマエフが右を打ちながら前に出る。ドゥリーニョは左ハイから、右を伸ばす。まさに肉弾戦、残り45秒でドゥリーニョが右を思い切り3発打っていく。

勢いが落ちたように見えたチマエフも前に出る。残り10秒で跳びヒザを見せたチマエフのボディに前蹴りを入れたドゥリーニョ。最後まで打ち合い、下がらないで戦いを続けた両者は、タイムアップ後もテンション高めに健闘を称え合った。

初回にダウンを奪ったチマエフ、2Rにはダウンを取ったのはドゥリーニョだ。最終回も互いに攻め、攻められる展開が続き──ジャッジは3者とも29-28でチマエフを支持、デビュー以来の連勝を11に伸ばした。

凄まじい攻防を終え、言葉を交わした両者。勝者は「本当にタフだった。ここまでとは思っていなかった。最初は思ったように戦えていた。ハードトレーニングをしてケガもなかった。でも、マジで彼は強かった。今は幸せだ。11試合連続でフィニッシュできなかったし、流血して疲れた。でも、この痛みも大好きだ」と話した。

一方、ドゥリーニョは「驚いたかい? 彼はランク外? 僕はランク2位だけど、誰とだって戦う。僕のゴールはチャンピオンになることだから。一番タフな相手と戦っていたいんだ。ここにいることが光栄だ。サンフォードの皆に感謝している。僕は止まらない」と話し大きな歓声を浴びた。


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【UFC273】トーレス戦を控えたマッケンジー・ダーン─02─「KOで勝っても、私は柔術を代表している」

【写真】フェイスオフでは、この後に笑顔で言葉をかわし握手をしたマッケンジーとトーレス(C)Zuffa/UFC

9日(土・現地時間)、フロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナで開催れるUFC273で、ティーシャ・トーレスと戦うマッケンジー・ダーン・インタビュー後編。

柔術家がMMAに転向する際、グラスルーツショー→フィーダーショーという道順でなく、ONEのようなビッグショーと契約することが増えてきた。対してマッケンジーはフィーダーショーで経験を積みUFCとサインを果たした。

それこそ──柔術界で成し遂げたように、じっくりと腰を据えてMMAの世界でも頂点に立つことを目標する彼女の姿勢の表れだった。

<マッケンジー・ダーン・インタビューPart.01はコチラから>


──柔術の練習は続けていますか。

「柔術は試合の直前になってから始めることが多いわ。今回も父(メガトン・ディアス)とファイトの4週間前になってから練習を再開した形ね」

──トップ・グラップラーがMMA転向する際、柔術家としてのネームバリューを生かしマッケンジーのようにLegacy FCやLFAなどフィーダーショーでキャリアを積むことなくONEやBellatorなどビッグプロモーションと契約するケースが増えています。

「良いことだと思うわ。ONE Championshipがグラップラーに支払うファイトマネーは高いって聞くし。彼らがどれだけシリアスにMMAファイターとして成功を収めようとしているのかは私は分からないし、経験してみたいってことだと思うの。実際、ほとんどが柔術から離れているわけじゃないし。私は柔術を愛しているわ。そして柔術界で頂点を極めた。最高のキャリアを築き、最高の時間を過ごしたわ。

セミナーをたくさんして。試合もたくさん出た。ビッグトーナメント、スーパーファイトで戦い続けたわ。だから十分にお金を得ることもできた。私は柔術を離れ、MMAでトップを目指しているの。ベルトを巻くまで、時間をじっくりとかけてね。MMAでも柔術と同じように大きなことをやり遂げたいと思っている。

ONEのような大きな舞台でグラップラーが、良いファイトマネーを得ることは素晴らしいことよ。だって彼らはそんなに長い間、MMAを戦うつもりはないだろうし。なら条件の良いところ、グラップラーの価値を認めてくれるところで戦うべきよ。

UFCは最もタフなファイターが集まっている場所で、レベルも最高に高い。ここで戦いたいなら、戦場を変えるでしょうし。何より、皆がONEで良い活躍ができていることはグラップリング界や柔術界のためにも素晴らしいことだと思うわ」

──ただしマッケンジーはそうはしなかったということですね。

「ファンの皆は私のキャリアを追っている方が楽しいんじゃない? だって皆にMMAファイターとしての成長過程も見てもらっているのだから。ONEで戦っているグラップラーは、私のようにスタンドファイトをしていないでしょ? 彼らは即グラウンドで戦おうとしているわ。それはそれで凄いって思うけど、皆はグラップラーのスタンドでの成長だって見たいだろうし。私が鼻を骨折して戦う姿とか──それでも私が負けずに戦い続ける姿を、ね」

──ノー。マッケンジー、激しい戦いは見たくても鼻の骨を折るところなんて見たくないですよ(笑)。ケガをせずに戦って欲しいとファンも思っています。

「アハハハハ。きっと、そんなところが好きファンもいるわよ(笑)。私は母であり、妻でもある。そんな1人の女性が色々と学ぶ過程で、鼻を折ったわけだし。それも私の成長を見てもらっていると思っているわ。そして、その試合よりも次の試合で成長した姿を見てもらう。私の試合を見てくれる人のなかには、柔術を練習している人だっているはず。そんな人たちの中には少数でも『自分だって練習すれば、ああやって戦えるようになる』と思ってくれる人もいるでしょうし。私にインスパイアされる人がいる……だから私はいつだって柔術、グラップリングを代表してMMAを戦っているつもりよ。

KOで勝っても、私は柔術ガールを代表しているの。柔術を練習している誰もが、ベストの中をベストを目指して練習すれば、私のように打撃も成長できるから」

──そんなマッケンジーにこういうことをいうのは失礼かもしれないですが、パンデミック以降WNOのようなグラップリングのプロ大会が盛んになってきました。マッケンジーはああいうトップグラップリング・イベントで戦うことは考えていないですか。

「100パーセント、戦ってみたいわよ。私も柔術よりもグラップリングの試合を視ることの方が多くなっているし。グラップリングは柔術と違うプラットフォームのイベントを確立させたわよね。もちろんMMAにプライオリティをおいているけど、グラップリング大会からのオファーをいつだって待っているわ。MMAの試合がない時なら、グラップリングのスーパーファイトをぜひとも戦ってみたいって。

特にめきめきと力をつけている新しい世代のグラップラーたちと、競い合いたいと思っているの。そういう機会があれば、グラップリングに戻ってみたいわ」

──WNOにナンバーワンが戻って来る。最高ですね、そんな機会が巡ってくると。

「ありがとう。そう言ってもらえて、凄く嬉しいわ。私もその日が来るのが願っているわ」

──そんな日を夢見ながら、土曜日の試合です。マッケンジーが言ったようにタフな試合になることが予想されます。とはいえティーシャはトップどころに負け、それ以外には勝つというハッキリした結果が出ています。つまり彼女に勝たないとトップの1人して認識されません。

「この試合で勝てば、私は次のレベルへ進むことができる。女子MMAのなかでも、今いる場所とは、一段違う場所へ進める。それぐらいの感覚でいるわ。トップの戦い──私が目指してきた場所へね。凄く大切な試合だし、PPVカードになっていることも重要で。私のことを知らない人にも、試合を視てもらえる。そして、一風変わった戦い方をする女子ファイターは、チャンピオンになる可能性を持っているって思ってもらえるようになる」

──ティーシャは常にアグレッシブなので、危険な相手ではありますが、逆に組みやすい相手かもしれないです。ジャブで突き放して、テイクダウン防御に徹する相手よりも。

「その通りよ。だから、この試合が楽しみだったの。彼女は動きが多いファイターよ。攻めるために動いている。グラップラーは、そういう相手の方が戦いやすいから。それに彼女は私より背が低い、だからパンチを当てるために近づいてくることは確実で。

そこを捕獲するわ。テイクダウンの絶好の機会になるし。そうね……この試合で、私は一本勝ちするわ。未来の世界チャンピオンがここにいる──そういう試合を世界に披露しようと思っている」

──マッケンジー、今日もありがとうございました。最後に日本のMMAファン、柔術好きの人たちに一言お願いします。

「アリガト。皆の応援に感謝しているわ。最高の試合を皆のためにするわ。ファンの皆の存在が、強くなろうというモチベーションになっているの。I LOVE JAPAN、皆のために戦うわ!!」

■視聴方法(予定)
4月10日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前11時00分~WOWOWライブ

■UFC273計量結果

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー: 144.5ポンド(65.54キロ)
[挑戦者]ジョン・チャンソン: 144.5ポンド(65.54キロ)

<UFC世界バンタム級統一戦/5分5R>
[正規王者]アルジャメイン・ステーリング: 134.5ポンド(61.0キロ)
[暫定王者]ピョートル・ヤン: 134ポンド(60.78キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ: 170ポンド(77.11キロ)
カムザット・チマエフ: 170ポンド(77.11キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン: 115.5ポンド(52.38キロ)
ティーシャ・トーレス: 115.5ポンド(52.38キロ)

<ライト級/5分3R>
ビンチ・ピチェル: 155.5ポンド(70.53キロ)
マーク・マドセン: 155ポンド(70.31キロ)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー: 170.5ポンド(77.34キロ)
ダリアン・ウィークス: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 252.5ポンド(114.53キロ)
マルチン・ティブラ: 253ポンド(114.75キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
アスペン・ラッド: 136ポンド(61.69キロ)
ラケル・ぺニントン: 134.5ポンド(61.0キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル: 170.5ポンド(77.34キロ)
マイク・マロット: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク: 244ポンド(110.67キロ)
ジャレッド・ヴァンデラ: 266ポンド(120.65キロ)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・ヘルナンデス: 186ポンド(84.37キロ)
ジョシュ・フレムド: 185.5ポンド(84.14キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス: 115ポンド(52.16キロ)
ケイ・ハンセン: 118.5ポンド(53.75キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジュリオ・アルセ: 136.5ポンド(61.91キロ)
ダニエル・サントス: 135ポンド(61.24キロ)

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【UFC273】新型マクレガー=イアン・ギャリー─01─「カレッジを辞めて、MMAにJUMP INした」

【写真】キレキレの打撃とは対照的に、少年のような口調で語るイアン・ギャリー=アイリッシュMMAファイターが何もマクレガー流を踏襲するだけでないことが、よ~く理解できた(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、フロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナでUFC273が開催される。

UFC世界フェザー級選手権試合=王者アレックス・ヴォルカノフスキー✖挑戦者ジョン・チャンソン、UFC世界バンタム級王座統一戦=正規王者アルジャメイン・ステーリング✖暫定王者ピョートル・ヤンの2つの世界戦に加え、ジルベウト・ドゥリーニョ✖カムザット・チマエフという注目カードが組まれた今大会のプレリミマッチにヒューチャーの異名を取るイアン・ギャリーが出場、UFC2戦目=ダリアン・ウィークス戦に臨む。

1997年11月生まれの24歳は、19歳でアマMMAを始め5年で最高峰に辿り着いた。コナー・マクレガー後のアイリッシュMMA、いや世界のMMAをリードする可能性すらあるMMAの未来=イアン・ギャリーに初インタビュー。コナー・マクレガー、そのやり口をコピッたBellatorのジェイム・ギャラガー、アイルランドMMA界の新鋭は──マクレガーへの憧れでいっぱいという内面のなかで、その真逆の感性を持っていた。


――パンデミック以前は欧州のMMA大会は、日本では深夜2時や3時のスタートで終了時がUFCのスタートと重なるためにストリーミングがあっても、ほとんど見過ごしていました。それがコロナ禍で世界各国のMMAが活動休止になり、決して多くないプロモーションが無観客で活動を再開。その頃からCage Warriorsも可能な限り視聴するようにしていたのですが、そこで見た──飛び切り活きの良い選手がイアンでした。すると7戦目でウェルター級王者になり、8戦目でUFCデビューと瞬く間に世界の最高峰に到達しました。

「おお、日本ではそんな真夜中にCage Warriorsは中継されているんだね。いやぁ、それなのに僕の試合を視てくれていたなて嬉しいよ。本当にありがとう」

──いえ、フィーダーショーから可能性のある若い選手が出てくるのを見るのが、楽しくてしょうがないんですよ。ところでアイルランドは今やMMAのパワーハウスの一つですが、イアンがMMAを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「MMAに興味を持ったのは、コナー(マクレガー)の影響だよ。彼の活躍と成功をずっと追っていて、試合も夢中になって視ていた。そして『僕もMMAをやりたい』って思うようになったんだ。その時はカレッジの学生だったけど、学校を辞めてMMAファイターになることを決めたんだ。このスポーツに身を置きたいと思ってね。

コナーを見ていたら、自分がカレッジでやっていることってなんなんだろう?って感じるようになった。そうしたら、『こんなことやっていられない。これ以上、ここに居たくない』って居ても立ってもいられなくなったんだ。そしてジムにジャンプインした(笑)。

テレビで視ていた本当に美しい戦いを習うことができるようになって。僕はコナーと同じ道を歩み始めたんだって──最高の気持ちになったよ。練習は凄く楽しかったよ」

──大学を辞めた? 

「そうだよ。自分で決めた。父にも母にも相談せずに学校を辞めたんだ」

──OMG!! 

「ジムに通うようになってから4~5年でUFCとサインできた。UFCデビュー戦はMSGだった。そして2戦目のPPV大会に出場できている。楽しい人生だよ」

──それまでに格闘技の経験はあったのですか。

「柔道だよ!!」

──えっ、いやあれだけシャープな打撃の持ち主なのにベースは柔道なのですか。

「ボクシングはやっていたよ。10歳から14、15歳までボクシングをしていて──父親に連れられて始めたんだけど、なんで人を殴って自分も殴られるようなことをやっているのか、どういう意味があるだって考えるようになっていたんだ。顔を腫らして、さ。そんなときに柔道と出会った。見た感じでも、柔道はイカしていたよ」

──柔道がクールだったのですか。

「そうだよ。学校が終わって宿題を家でやっているより、ずっとクールだったよ。すぐに週に3回か4回は柔道場に通うようになった。柔道を習っていたことでマーシャルアーツに欠かせない規律、尊敬心を学ぶことができたんだ。それはMMAを始めてからも生きているよ。アイリッシュ・クラブというアイルランドで一番の柔道クラブで練習できていて……18歳で黒帯になったんだ。練習するメンバーのなかでも、トップの連中は日本に行って練習していたよ。

僕も彼らと一緒に日本で稽古したいと思っていたけど、それは実現しなかった。僕にはそれに見合った力がなかったからね。日本まで行って練習していた友人たちは五輪を目指すようなレベルだったんだ。それに僕にとって柔道はどれだけ懸命にやっても、返って来るものは少なかった。国際大会で戦ったことはないし、せいぜいイングランドまで遠征して試合に出ていたぐらいかな。それでも柔道の試合に出ることが大好きだった。それは今、MMAをやっていて最高の気分でいるのと同じことで。

ただし、僕が柔道の試合に出ている期間はそれほど長くなかった。黒帯になってから、翌年にはアマチュアのMMAにデビューしたからね。でも、僕にとってオリンピックに出て活躍する柔道家は本当の天才なんだよ。そんな柔道をやっていたことで、学べた心境というのは何物にも代えがたいモノなんだ。

今はMMAに専念しているけど、いずれMMAで第一線から退く時が来る。その時はまた柔道の練習をして、日本で試合をしたいと思っている。それに柔術だって続けたいし、日本で柔道や柔術の試合に出ることだってあるかもしれないよ」

──ぜひ講道館を案内します。

「おお、サンキュー。ホント、そういう日が来るのも楽しみだよ。講道館で稽古がデキれば最高の経験になるね(笑)。今、MMAをやっていて柔道で学んだ技術云々よりも、柔道で身に着けることができた人間の内面性が凄く役立っていると思う」

──とはいえ規律、尊敬心といってもコナー・マクレガーがケージ内外で見せていたことは、全く真逆のことだと思うのですが……。

「ホント、その通りだ(笑)」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
3月10日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前11時00分~WOWOWライブ

■UFC273対戦カード

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)
[挑戦者]ジョン・チャンソン(韓国)

<UFC世界バンタム級統一戦/5分5R>
[正規王者]アルジャメイン・ステーリング(米国)
[暫定王者]ピョートル・ヤン(ロシア)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ(ブラジル)
カムザット・チマエフ(スウェーデン)

<ウェルター級/5分3R>
ケヴィン・ホランド(米国)
アレックス・オリヴェイラ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
ティーシャ・トーレス(米国)

<ライト級/5分3R>
ビンチ・ピチェル(米国)
マーク・マドセン(デンマーク)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー(アイルランド)
ダリアン・ウィークス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)
マルチン・ティブラ(ポーランド)

<女子バンタム級/5分3R>
アスペン・ラッド(米国)
ラケル・ぺティントン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ミッキー・ガル(米国)
マイク・マロット(カナダ)

<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク(ロシア)
ジャレッド・ヴァンデラ(米国)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・ヘルナンデス(米国)
ジョシュ・フレムド(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ピエラ・ロドリゲス(ベネズエラ)
ケイ・ハンセン(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジュリオ・アルセ(米国)
ダニエル・サントス(ブラジル)

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ABEMA MMA MMAPLANET o UFC UFN204 カミ・バルジニ グンナー・ネルソン ジルベウト・ドゥリーニョ パンクラス ヘンリー・フーフト ベラル・モハメッド 佐藤天

【UFN204】世界に立ち向かうJ-MMAファイター(02)佐藤天「ラストじゃない。まだ、ある。まだ、あるので」

【写真】インタビュー中は非常に厳しい表情が続いたこともあって、最後は笑顔のリクエストをしました(C)MMAPLANET

3月19日(土・現地時間)、英国ロンドンのO2アリーナで開催されたUFN204:UFN on ESPN+62で佐藤天はグンナー・ネルソンに完敗を喫した

1年4カ月振りのオクタゴン。この日のために全てを費やしてきた、考え得るだけの努力をしてきた。そして、敗れた。

2022年、春~世界に立ち向かうJ-MMAファイター特集~。第2弾は、UFCという最高峰に拘り、全てを自己責任で生きる佐藤天に話を訊いた。


──正直に言わせていただくと、やるせない完敗でした。どれだけの想いがあって、人生の全てを賭けようがこのようなシビアな現実に直面する。そんな試合でした。

「凄く残念で、悔しい。それが率直な想いです。ただ、もちろん諦めていないので進んでいくしかない。ちょっとしたところで、大きく結果が変わる。それを実感しています。試合が終わってからなのでタラレバになるのですが、グンナー・ネルソンにバッククラブに入られると、過去もほとんどの選手が逃れることができていないです。だから、そこまでをどうするのか……という勝負でした。

最初のコンタクトにしても、肌を直接合わせた時の感覚は悪くなかったんですよね。実は予想していた試合展開は、もっとネルソンが圧を掛けてきてケージレスリングの展開になると思っていました。それが思った以上に自分が圧を掛けることができたことで、オクタゴン中央での戦いになりました。ネルソンがどういう風にクラッチしてくるかも予想できていて、そこでカウンターを打つとかできれば良かったのですが……決して、感覚的には試合開始直後から悪くなかったんです。

そこから1度テイクダウンされてバックを取られた。戦い方をネルソンは変えてきました。フレキシブルに試合を創ってきました。リスクを最大限に減らして。自分は対照的に柔軟な対応ができなかったです。そうッスね……そういう細かいところの違いが、大きな差となって結果に表れました。それを実感させられた試合でした」

──圧力は掛けることができていた。でも、手が余りでなかった。特にテイクダウンを奪われてからは、ネルソンにテイクダウンがあるというのが念頭に来て、そこから頭で考え手数が減っていったようにも映りました。

「もちろんテイクダウンのプレッシャーもありましたが、ネルソンが凄く待っていました。試合の入り方として動きもメンタルも凄く良かったです。さっきも言った少しの違いを掴み切れなかったということがあったうえで、待たれたことで考えてしまったという部分はあります」

──あのスタンスでネルソンは、右の奥足で蹴りが届くのは戦い難かったかと。何よりテイクダウンを奪う時のパンチ。当たらなくても組めば良い打撃、当てる打撃の2つのパンチを持っていました。

「その見極めは凄く難しかったです。2Rの途中から打撃がかなり見えるようになってきました。合わせるタイミングとか計っていたのですが、その見極めだけは困難になっていきました。組む、打つ、モーションは慣れて見えてきたけど、その織り交ぜてくるのは全く同じ動作で。だから……考えるというよりも、考えさせられました。1回スイッチとかしたのですが、あんなの実際は意味がないです。でも、考えされた結果ああいうこともしていて」

──打つ手がなくなっていったような感じでしょうか。

「う~ん、それよりも何か……考えさせられることによって後手に回らされましたね」

──お互いが相手の動きを見て反応する。相手に動きを見せて反応させる。そんな神経戦のなかでネルソンが当て、組んでテイクダウンを決める。あれはMMAの技術を消化したうえで、彼がポイント空手の試合で積んできた経験。先の先、後の先、ダメージを与える競技ではないですが、心理戦のなかでどう踏み込んで当てるのかという競技をしてきたのが生きたのかと思いました。MMAとはそういう部分で、ポイント空手ですら生きるのかと。

「あぁ、そうですね。今からすれば、組みと打撃の見極めが難しいなら自分から組むこともできたと思います。組んだ時の感覚も悪くなかったので。ギルバート(ジルベウト・ドゥリーニョ)からも『別にパワーはない』と聞いていました。3Rに組んだ時も感触は悪くなかったです。そこでディフェンス有りきで考えてしまって出なかったというのは、絶対にあります。

上を目指している以上、ベラル・モハメッド戦と同じように悔しい負けです。凄く遠いバケモノとかでなくて、自分の持っているモノを生かして勝ってランキングを上げていっている選手に勝てていない。そこはもっと煮詰めていかないといけないです」

──それこそ佐藤選手が言われている、何か一つで局面が変わる。変えてくれという気持ちで2R、3Rと視ていて。そしてテイクダウンからバッククラブというなかで、制されて終わった。

「そういう場面で、柔軟性をつけないと……創り方も大事になってきますし。色々なところに注意を払って、頭を巡らせないといけない。そういう練習もしてきているのですが……」

──ここも結果論ですが、動きが良く圧を掛けられることができる。それでもテイクダウンは取られた。そういう時に自らケージを背負う位置を取るということは難しいのでしょうか。

「それも必要になってきますよね。ケージレスリングに突破口があるのであれば、金網の近くで戦って組みの展開に持ち込む。そういう判断もすべきだと思います」

──あの局面、逆転には打撃を当てること。だからといって、前に出ていくことが打開策になるのか。もちろん、負けているなら一か八かも必要な時もあるのでしょうが……。そこで究極の先手、あるいはカウンターの取り合いが行われている。だから無暗に打って出られない。特に相手が見て、待っているわけですし。

「そうッスね。どう手を出すか、どういう中身の攻めを繰り出せば良いのか。その中身を詰めていかないと、玉砕になります。片道の燃料で敵を目指すのは……違うというのが僕の考えです。漢を見せるとか、そういう次元の話ではないです。勝つために一つひとつ、正しい選択をしていかないといけない。

例えば僕が1回でもネルソンのダブルレッグを切れていれば、彼も消耗したはずです。そうしたら流れが変わったかもしれない。そういった面でも、創りが大切で。それができるよう積んでいかないといけないと本当に思っています。防戦一方で、判定までいって負けてしまったんですけど、動き、切れは以前よりずっと良くなっています。

僕はバックを取られているとパンクラス時代でも、UFCになってかも負けています。だから取らせないということもやってきました。そこは意識していて……、試合では機能しなかったですけど……。

でもネルソン戦がラストじゃない。まだ、ある。まだ、あるのでこの間に詰めていかないと……」

──ヘンリー・フーフトやカミ・バルジニ達、コーチ陣と試合に関して話はされましたか。

「ハイ。皆と話しました。ヘンリーは家に呼んでくれて、『間違いなく良くなっている。もう少し自信を持つことが大切で、細かいところもやっていこう』と言ってくれました。『練習中に、そんなにナイスでなくて良い。もちろんケガをさせたらダメだけど、自分の感覚を大切にするためにもっと我がままを通しても良い。少しぐらい当てても、そういうレベルで戦っているんだから、そこをしっかりとやっていこう。思っている以上に上とは近いところにいるんだ。手が届かないモノじゃない』とも。

カミやグレッグ(ジョーンズ)は『少しの部分、そこをリフィックスできなかった。そういう部分を詰めていこう』という話や『試合間隔が空いたことで、打撃の選手はちょっとした感覚が違ってくるから。その違いも分かったから、今度はちゃんとファイトキャンプをして、対戦相手の研究ができる早目のオファーで準備できるようにやっていこう』と言ってくれました。

今回は1年間、どういう相手がこようが試合を受けることができる。自分のコンディションを整え、穴を埋めるという準備をしてきました。今後はそれに加えて、しっかりと戦略を立てて試合に向かいたいです」

<この項、続く>

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【UFC273】ティーシャ・トーレス戦を控えたマッケンジー・ダーン─01─「MMAではまだ紫帯」

【写真】MMAデビュー直後、IBJJFアジアンオープンで来日した時から彼女が身を置く環境は大幅に変わった。それでも笑顔とインタビューに真摯に向かい合ってくれる姿勢は一切変わりない。多謝(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、フロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナでUFC273が開催される。

2020年5月、パンデミックで活動休止を余儀なくされたUFCに真っ先にイベント開催を認可したフロリダ州ジャクソンビル。ダナ・ホワイトは当時に語ったように、2021年に続き今年もこの地でPPVイベントを行う。

UFC世界フェザー級選手権試合=王者アレックス・ヴォルカノフスキー✖挑戦者ジョン・チャンソン、UFC世界バンタム級王座統一戦=正規王者アルジャメイン・ステーリング✖暫定王者ピョートル・ヤンの2つの世界戦に加え、ジルベウト・ドゥリーニョ✖カムザット・チマエフという注目のウェルター級戦もマッチアップされている。

そんな注目されるイベントのPPVカードで、ティーシャ・トーレスとマッケンジー・ダーンが戦う。昨年10月のマリーナ・ホドリゲス戦で初のメインを任され、ファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得も判定負けを喫した。それでもなおPPVカードに登用されるほどUFC首脳からの評価されるマッケンジー、元柔術の女王にトーレス戦を前にして、改めて彼女にとってMMAとは何かを尋ねた。


――土曜日のティーシャ・トーレス戦に向け、ジャクソンビル入りを果たしたばかりのマッケンジーです。こんなタイミングで(※取材は4月4日(月・現地時間)に行われた)インタビューを受けてくれてありがとうございます。まず今のフィーリングを教えてください。

「凄くワクワクしているわ。前回の試合では初めてUFCでメインイベントを戦い、負けてしまったけどファイト・オブ・ザ・ナイトのボーナスを獲得でき、25分間とても良い勉強になったの。あの試合を経験し、今回の試合まで凄くMMAファイターとして成熟したと思う。過去最高の状態で、準備はできているわ。

ティーシャは経験豊かで、この階級の多くの選手たちと戦ってきている選手だから絶対にタフな試合になるでしょうね。それだけ彼女は色々なタイプの選手達と戦ってきているんだろうけど、私のような柔術を使える相手と戦った経験はないはずよ。ただ戦いやすい相手かといえばそうじゃないし、簡単な試合にはならない。でもこの試合で勝って、またウィンニングトラックに戻りたいと思っている」

──タイトルショットに向け、非常に大切な試合で敗れてなお『勉強になった』と言い切れるのが素晴らしいです。

「マリーナ・ホドリゲスと戦う前から、彼女に勝てばタイトル挑戦だという風な声は多く聞いたわ。でも、私自身はまだ早いと思っていたの」

──えっ、そうなのですか!!

「そうよ。まだ、タイトルに挑戦にして勝つ力はないわ。だから急いでもいないし。私はベルトに挑戦したら、勝ってそのまま王座に居座りたいの。挑戦して負けたり、勝ってもすぐにベルトを失うような状況には陥りたくないのよ。

そしてマリーナのようにフットワークが巧いと、近づいて捕まえることが難しいことを学習できたわ。凄くフラストレーションが溜まって、試合中も考え過ぎてしまった。彼女を捕まえることができなくて、どうすれば寝技に持ち込むことができるのか、頭で色々と考え続けていて。そうね、考え過ぎたのよ。あれじゃダメね。無心になって、自分がやってきたこと、日々の練習を信じれば良かったのに。

もうデビューしたてのグリーンじゃないし、今は中堅の位置にいるわ。まだまだ先は長いけどね。でも、今の私はこれまでに自分が何をしてきたのかを信じることができている。一つ一つの練習をこなすことで、さらに強くなっているし、マッケンジーは日々成長していると自分を信じることができているわ。まだMMAでは黒帯じゃないけど、紫帯ぐらいにはなっているはず」

──UFCのヘッドライナーになってなお、紫帯ですか(笑)。

「だってまだ『私はちゃんと戦えている?』、『このパンチの打ち方で大丈夫?』って思いながら戦っていて……全てを完璧に戦いたいんだけど、全然ファイトは完璧じゃないから。完璧な試合なんてできないことも分かっているからこそ、もっと自分を信じて、自分の感覚、判断を信じられるようになりたいの。ハードな練習をしていれば技術は身についてくるモノだから」

──それにしても5Rと3Rでは明白に戦いが違って来たと思います。5Rの試合はとにかくセーブ・エナジー。特に組みの部分で、そういう試合が増えました。組んで、倒して、抑えて、極める。この流れは攻めている人間が相当に疲弊し、多くのストライカーはテイクダウンとグラウンドは防御に徹します。対して、ホドリゲス戦の2Rのマッケンジーはまさに自らが疲弊する可能性のある戦いをしていました。正直、まだ3R残っているのに……と思って視ていました。

「そこなのよね。私はそれで大丈夫だと思って、寝技で色々な仕掛けを続けたわ。でもラウンドが終了すると、また試合は立ち技でリスタートされるわけで。正直、『あぁ、私は自分の全てをつぎ込んで戦っているのに……』ってなったわ。そうね……ストライカーはグラウンドで攻めてくることはない。私が下になっていても、そうよ。ただ固めてくるだけで。だって、そうやっていればスタンドで試合は再開されるんだから。

でも私は柔術を信じている。20秒あれば、仕留めることができるから。それなのにあの時はパウンドを打たなきゃ、打撃でダメージを与えるんだって考え過ぎていたの。それはサブミッションも同じで、腕十字に行かなきゃとか思って戦っていて。今からすると、ただ戦えば良かったと思っているわ。自分の柔術、トレーニングを信じて、頭で考えることなく体が動くにように任せて戦えば良かったのに──ってね。

だって私が100パーセントの力を見せることができれば、サブミッションで仕留めることができるんだから。だから、あんな風に考え過ぎる必要はなかった。それでも5分✖5R、25分間の試合をストライカーと戦うことを想定したトレーニングは私を強くしてくれたわ。確かに2Rを終えた時に『まだ3R残っている』って思ったの……。でも、そこは思考を変えないとね。もっとフィニッシュするプレッシャーを掛けていくべきだと今では考えているわ。

今は皆が戦略重視で戦っていて。私はそういうことを考えずに戦ってきた。試合を終わらせる。KOする。極める。ジャッジの判断で勝とういう考えはなかったの。でも、私にも戦略が必要になってきたかなって。ポイントアウトすることも、ね。そのためにも極めのプレッシャーが要るなって思っているの」

──それもMMAファイターとしてマッケンジーの進化だと思います。何より、体格が変わりましたね。

「妊娠する前、MMAのキャリアの序盤では計量失敗を何度か経験して……本当に苦しかった。でも、それって私のMMAへの取り組み方が十分じゃなかったからで。全てが経験だって思いつつも、自分のなかでチャンピオンになるんだっていう強い意志が欠けていたの。妊娠と出身を経験し、凄く体重が減ったわ。あのときから、私はチャンピオンになるだって強い気持ちでMMAに向き合うようになったの。

そのためにはあらゆる局面を想定して、全てにおいてハードトレーニングが必要で。考え方、肉体、技術、全てをプロフェッショナルとして見直したわ。今はアンデウソン・シウバについていたホジェリオ・カモエスが私のフィジカル・トレーナーで、試合の2カ月前からトレーニングをするようになって。

私はスイーツが好きだし(笑)、チョコレートも大好き。でも今は普段から体重の管理をするように心掛け自制しているの。それがMMAファイターとして、良いパフォーマンスを見せられる大きな要因になっているから。

良い試合をファンに見てもらいたいし、勝ちたい。ボーナスだって欲しい。PPVカードで戦いたい。それを願うなら、それだけの取り組みを自分に強いることが必要でしょ。そこまでやろうって決めたら、全てのことがさほど大変だと感じなくなって。凄く充実しているし、毎日のトレーニングを楽しめているわ。フィジカルトレーニングによって、体が仕上がって来るとケガがなくなり、他の練習も思い通りに取り組めるようになったから」

──今はどのジムでMMAの練習を行っているのですか。

「コスタメサのRVCAアカデミーよ。チート・ヴェラ、マイケル・ビスピン、BJ・ペン、ルーク・ロックフォードたちが一緒よ」

──男子選手ばかりで、引退した……そして体格の大きなファイターじゃないですか。

「フフフ。もちろん、体格のあった選手、女子選手とも練習しているわよ。でも、時々ハワイからフラッとジムにやって来るBJが強いの(笑)。体はそんなに大きくないけど、今でも強くて……特に頭が固いわ。私のパンチをいつもおでこで受けるから、私の拳が痛くなっちゃうの(笑)」

<この項、続く>

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【UFC264】試合結果 マクレガー、足首壊れポイエーに敗北。オマリーはタフすぎるモウティーニョに激勝!!

【写真】ビッグネームとの対戦にケリをつけ、次の狙いはシャーウス・オリヴェイラか(C)Zuffa/UFC

10日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナでUFC264「Poirier vs McGregor 3」が開催された。

メインのライト級5回戦は初回終了間際にコナー・マクレガーが足を負傷し、試合速攻不可能となりダスティン・ポイエーが、トリロジーの最終幕でTKO勝ちを収めた。

セミのウェルター級はジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズが宣言通りテイクダウンを織り交ぜてスティーブン・トンプソンに判定勝ち、注目のショーン・オマリーは驚異的なタフネスさを誇るクリス・モウティーニョにパンチを入れ続け、3RにTKO勝ちを手にしている。

プレリミではニコ・プライスを相手に、限定四次元殺法&正道的なMMAでミシェウ・ペレイラが判定勝ち、ライアン・ホールは寝技の展開に持ち込めずイリャ・トプリアにパウンドアウトされている。

ファイト・オブ・ザ・ナイト=ショーン・オマリー✖クリス・モウティーニョ
パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト=タイ・ツイバサドリキュス・デュプレシー

UFC264「Poirier vs McGregor 3」
<ライト級/5分5R>
○ダスティン・ポイエー(米国)1R5分00秒
TKO
詳細はコチラ
×コナー・マクレガー(アイルランド)
<ウェルター級/5分3R>
○ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ(ブラジル)3R
判定
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×スティーブン・トンプソン(米国)
<139.5ポンド契約/5分3R>
○アイリーン・アルダナ(メキシコ)1R4分35秒
TKO
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×ヤナ・クニツカヤ(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
○ショーン・オマリー(米国)3R4分33秒
TKO
詳細はコチラ
×クリス・モウティーニョ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
○マックス・グリフィン(米国)3R
判定
詳細はコチラ
×カーロス・コンディット(米国)
<ウェルター級/5分3R>
○ミシェウ・ペレイラ(米国)3R
判定
詳細はコチラ
×ニコ・プライス(米国)
<フェザー級/5分3R>
○イリャ・トプリア(ドイツ)1R4分47秒
KO
詳細はコチラ
×ライアン・ホール(米国)
<ミドル級/5分3R>
○ドリキュス・デュプレシー(南アフリカ)2R1分41秒
TKO
詳細はコチラ
×トレヴィン・ジェイルズ(米国)
<女子フライ級/5分3R>
○ジェニファー・マイア(ブラジル)3R
判定
×ジェシカ・アイ(米国)
<ミドル級/5分3R>
○ブラッド・タヴァレス(米国)3R
判定
×オマリ・アクメドフ(ロシア)
<フライ級/5分3R>
○ザルガス・ズマグロフ(カザフスタン)1R2分02秒
ギロチンチョーク
×ジェローム・リヴェラ(米国)

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【UFC264】ドゥリーニョ、総合力──ではなく、気迫でワンダーボーイを上回り判定勝ち取る

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ(ブラジル)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
スティーブン・トンプソン(米国)

タッチグローブからトンプソンは、オーソに構える。ここから右ローを蹴ったトンプソンに対し、ドゥリーニョは待ちの姿勢から飛び込んで組みを狙う。距離を取ったトンプソンだが、ドゥリーニョがローシングルからケージに押し込む。右腕を差して押し込むドゥリーニョは、ヒザと腰を落とすトンプソンに対し、再度シングルに切り替えて残り2分でテイクダウンを決める。

ハーフでトップを取ったドゥリーニョが右のパウンドを連打する。頭を抱え半身のトンプソンがケージを使って右足を立ててスタンドに戻ろうとする。ボディにヒザを入れたドゥリーニョはパンチを連打。殴られながら立ち上がったトンプソンは相四つから離れると、ドゥリーニョが左フックを振るって再び組みへ。ここでスリップしたドゥリーニョの立ち上がり際にトンプソンがハイを狙ったところで時間となった。

2R、ワイドスタンスでスイッチしたトンプソンが、直ぐにオーソに戻して後ろ回り蹴りを狙う。さらに距離を取ったドゥリーニョをジャブでけん制し、左の蹴りを繰り出す。慎重なドゥリーニョが頭を上下させ、左フックから前へ。回って外したトンプソンが左ハイ、スピニングバックキックから急ぎ離れる。追いかけて右を当てたドゥリーニョだが、トンプソンが圧力を高め、ローを入れる。トンプソンはさらにワンツーで前に出て、左手を伸ばして距離を確認する。

ワンツーにシングルを合わせたドゥリーニョは、足を抜かれると右ローを蹴る。さらに右オーバーハンドを見せ、直後にダブルレッグでテイクダウンを決めると、右ヒザをマットにつけたトンプソンに左のパンチを連打する。殴られながら、右を打ち返したダーティボクシングは、さながらケージ際の高山✖フライの様相を呈していた。

最終回、頭を上下させテイクダウンをに匂わせるドゥリーニョに対し、トンプソンがサイドキックを蹴っていく。組みのフェイクに右を当てたトンプソンは、固まったドゥリーニョのガードの上から左ハイを狙う。ケージの前を移動するドゥリーニョが、左スピニングヒールキックを受けてヒザをつく。パンチで追い打ちを狙ったトンソンだが、右で反撃され距離を取り直す。

ここで前に出たのはドゥリーニョだ。ダブルで組みつき、ケージに押し込みボディロックテイクダウンを決める。レッグドラッグ気味に足を畳ませサイドで抑えたドゥリーニョは、手首をコントロールしてトンプソンを立たせない。しっかりと抑えられたトンプソンは、ニーインベリーでパンチを被弾する。腰をずらして、ケージにもたれたトンプソンは、ギロチンを嫌がり自ら背中をキャンバスにつける。マウント狙いからパンチ、鉄槌を連打したドゥリーニョは、後頭部のパンチもあったが総合力以上に気迫でトンプソンを上回り、判定勝ちで復帰戦を飾った。

勝者は「ソーリー、いつもフィニッシュを狙っているだけど……、。ブーイングしてくれ。全く構わない」と不満げな観客を煽ると、コーチやトレーニング・パートナーを務めたレイモンド・ダニエルズに感謝の言葉を送り、次の対戦相手という問いに「ホルヘ・マスヴィダル、ネイト・ディアス、レオン・エドワース」の3人の名前を挙げた。


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【UFC264】トプリアと対戦する、ライアン・ホール─02─「チャレンジできる人生。それがここいる理由」

【写真】拳を固めるトプリアに対し、ファイティングポーズを取らないホール。良い味をしている (C)Zuffa/UFC

10日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC264で、イリャ・トプリアと戦うライアン・ホール・インタビュー後編。

2年振りの試合で、ハードパンチャーのトプリアと相対するホールは、スタイル的には純粋グラップラーだ。その一方で、彼はグラップリングで勝負するためだけでなく、ポイントアウトするためにも徹底的に頭を使って戦ってきた。

ストロングポイントは絶対的に柔術であることは間違いない。それでも柔術以外の部分で勝負する必要があるライアンにとって、MMAを戦うことは彼の柔術を進化させることだという。

努力と工夫の人、ライアン・ホールがMMAで戦い続ける理由を尋ねた。

<ライアン・ホール・インタビューPart.01はコチラから>


──確かにその通りですね。

「イリャ・トプリアはスタンドだけでなく、グラウンドでもパワフルだ。自分の持っている技術を使い、しっかりと自制しながら試合を組み立て、正しいタイミングで攻めることができる機会を創る。

そのためにも、イリャ・トプリアのプレッシャーを受け過ぎない位置取りが必要になってくる。一か所に立ち止まることは避けたいと思う。あのプレッシャーに晒されて、同じ場所に留まることは本当に危険だから」

──ところでライアンの下になっても構わないという戦い方は、現在のMMAにおいては異質中の異質です。ファンだけでなく、ジャッジもライアンが下からコントロールしていてもスクランブルして立ち上がるより評価しません。この打撃とトップ重視のMMAを戦い続ける理由はどこにあるのでしょうか。

「もちろん、この状況にフランスとレーションを感じることはあるよ。彼らが僕のすることを理解する必要がないように振る舞うことに関してはね。

でも、そこは僕にとって実はアドバンテージでもあるんだ。僕が何をするのか分かっていない人間がいるということは。もちろん、ガードワークの有効性が理解されないのは残念でもあるけど、この状況で戦うことをエンジョイしているよ。

メンタル、フィジカル、エモーショナルな部分も含め、全てが僕にとってチャレンジだ。この僕の挑戦を受けてくれる皆を心から尊敬している。こんなチャレンジができる人生って、そんなにないと思うんだ。それこそが僕が、今ここにいる理由だよ。

マーシャルアーチストとして、全力を尽くしたUFCで戦う。今回の試合は、凄くタフだからこそ遣り甲斐があるんだよ。絶対に勝機を見つけ出すよ」

──ライアン、なんとも素晴らしい言葉です。ところでオクタゴンの中に足を踏み入れた時、ライアンはMMAファイターなのでしょうか。それとも柔術家なのですか。

「僕はMMAファイターでありたいと思っている。全てのマーシャルアーツは素晴らしいものだから。ボクシングは素晴らしい、柔術、レスリング、柔道、空手、テコンドーはみな美しいアートで、それぞれが特別だ。

全てのマーシャルアーツをリスペクトしている。と同時にずっと学んできた柔術をMMAというニューエリアで戦うことで、さらに成長させたいと思っている。それこそが僕の挑戦なんだ。

それにね、僕のように柔術を武器にMMAを戦ってきた選手をUFCではまだ見たことがなかった。MMAで戦う僕に対して、今も続く柔術界からのサポートの声には本当に感謝している。応援してくれる声で背中を押されて、自分が目指すマーシャルアーチストになりたいと思っている」

──う~ん、本当に素晴らしい心掛けですね。ところでパンデミック後、米国ではノーギ・グラップリングのプロ大会が存在感を増しました。純粋グラップラーだけでなく、MMAファイターも出場しています。ライアンはWNOやコンバット柔術、SUGで戦うことは考えないですか。

「グラップリングに戻るなら、それ相応の準備期間が必要だ。でも、今はMMAに専念したい。僕がグラップリングを戦うなら、頭にあるのはADCC2022かな。ADCC2022の77キロ級に出たいと思う」

──66キロではなくて、77キロなのですか!!

「66キロをキープして戦うのは、地獄だよ(笑)。だから、もう少し大きくしないとね。77キロはよりハイレベルだし。ただ、今はそれほど真剣に考えているわけじゃない。今はUFCでMMAを戦うことにフォーカスしたいんだ」

──ライアン、今日はありがとうございました。最後にガードワークの重要性を知る日本のファンに一言お願いします。

「僕はジャパニーズMMAの大ファンだった。このスポーツは大いに日本から影響を受けている。僕のチャレンジを日本のファンが見てくれているなら、凄く嬉しいよ。土曜日はベストを尽くし、どの局面でも戦い続ける。絶対に諦めることなく戦うことを約束する」

■視聴方法(予定)
7月11日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前11時~WOWOWライブ

■UFC264計量結果

<ライト級/5分5R>
ダスティン・ポイエー: 156ポンド(70.76キロ)
コナー・マクレガー: 156ポンド(70.76キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ: 170.5ポンド(77.34キロ)
スティーブン・トンプソン: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ: 263ポンド(119.29キロ)
グレッグ・ハーディー: 264.5ポンド(1119.97キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
アイリーン・アルダナ: 139.5ポンド(63.27キロ)
ヤナ・クニツカヤ: 134.5ポンド(61.0キロ)

<バンタム級/5分3R>
ショーン・オマリー: 135.5ポンド(61.46キロ)
クリス・モンティーニョ: 135ポンド(61.24キロ)

<ウェルター級/5分3R>
マックス・グリフィン: 170.5ポンド(77.34キロ)
カーロス・コンディット: 171ポンド(77.56キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ニコ・プライス: 169.5ポンド(76.88キロ)
ミシェウ・ペレイラ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<フェザー級/5分3R>
ライアン・ホール: 145ポンド(65.77キロ)
イリャ・トプリア: 145.5ポンド(66.0キロ)

<ミドル級/5分3R>
ドリキュス・デュプレシー: 185.5ポンド(84.14キロ)
トレヴィン・ジレス: 185.5ポンド(84.14キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ジェニファー・マイア: 125.5ポンド(56.92キロ)
ジェシカ・アイ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ミドル級/5分3R>
オマリ・アクメドフ: 185.5ポンド(84.14キロ)
ブラッド・タヴァレス: 184.5ポンド(83.68キロ)

<フライ級/5分3R>
ザルガス・ズマグロフ: 125.5ポンド(56.92キロ)
ジェローム・リヴェラ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ミドル級/5分3R>
アレン・アメドフスキー: 186ポンド(84.37キロ)
フ・ヤオゾン: 185.5ポンド(84.14キロ)

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