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Interview J-CAGE JJ Globo Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰

【Shooto2020#03】世羅とドロー、岩本健汰「日本人相手でグラップリングを体現するには……」

【写真】試合後、青木の名前を出した時以外に岩本は笑顔を浮かべることはなかった (C) MMAPLANET

5月 31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されたプロ修斗公式戦内で、岩本健汰が世羅智茂とグラップリングマッチを戦い時間切れドローという結果に終わった。

4月17日のRoad to ONE02では宮田和幸✖田中路教、青木真也✖世羅というグラップリングマッチが組まれ、今回は修斗のなかで岩本は世羅と戦う機会を得た。

MMAファイターが打撃なしに挑む、柔術家が道着を脱いで戦うということではなく、ノーギのグラップリングの確立を目標とする岩本にとって、この日の試合で一本を取ることはデフォルトだった。

が、そこは世羅も試合巧者だ。ポイントがないルールの解き方は行く通りもある。その結果、グラップリング確立ために負けられない人間が戦うグラップリングが、あの10分間で見られた。落胆といっても過言でない試合後の岩本に話を訊いた。


──世羅戦、ドローに終わりました。今の気持ちを教えてください。

「率直に言うと……悔しいですね。それが最初にあります。やっぱり極め切りたかったので」

──序盤が立ちレスになり、寝技まで時間が掛かったのは誤算でしたか。

「ちょっと意外でしたね。ガードを取ってきたら、ああいうパスへの流れは早い段階で仕掛けることができたと思います。世羅さんが僕のテイクダウンにギロチンを合わせようとしているのは分かりました。倒されない、上を取ることを目的としたスタンドではなくて、ギロチンを一発合わせるためのスタンドで。だから首だけは気を付けて組んでいました」

──最初のギロチンのタイトさは?

「大丈夫でした。でも、警戒が必要になりました。結果、寝技にいくまでの時間が掛かってしまいましたね」

──パス、マウントというポジション奪取からの極め狙いは、ホジャー・グレイシーのような柔術として正攻法でした。

「逆に最後らへんの足関節への仕掛けは、一本を取らないといけないという焦りの表れでした。プレッシャーを掛けて相手を疲れさせて極めるのが狙いだったのに、ああいう風に一発狙いになるともうダメですね。あれはしっかりと技術を持っている人には掛からないです」

──中盤のパスはともかく、そこからポジションに関しては世羅選手も極めさえ防げば良いというノーポイント&サブオンリー・グラップリングのマインドが働いていたかと思います。

「途中からそうなったと思います。世羅さんがそうなったことで、僕は『取らないといけない』っていう思考になってしまって。せっかくのチャンスだから、取らないといけない義務という感じでしたね」

──世羅選手は一発狙いのファイトで、巧妙に戦っていました。

「特に危ない場面はなかったのですが……そうですよね。トーホールドとかも全然極まっていなかったのですが、世羅さんが攻めている印象を残せますしね。

ただしケージで戦ったのは初めてだったし、本当に貴重な経験をさせてもらえました。ケージを使ってしっかりと立ちの攻防ができるというのもなかったことです」

──記者席回りでは、やはりMMA関係者から『組み技はしんどい』という声が出ていました。対世間で考えると、そういう内容だったのかもしれないです。

「……。動いていないと思われるかもしれないですけど、一本を取ることを考えると、もっと時間を掛けるべきでした。あそこで止めておくべきだったと思っています。止めて機会を創るべきだったのに、一本を取らないといけないという気持ちが先走り、先に、先にという試合をしてしまいました」

──サブオンリーでも一本を取るというプロセスは、幾重もあるということですね。

「そこも凄く良い経験になりました。サブオンリーでドロー有りの試合をやったことがなくて、いつも極めは意識していたのですが、いざとなるとコレが現実ですね。

ホント青木さんもそうですけど、グラップリングという競技を確立するということで試合を組んでもらえて……ちょっと孤独な戦いをしていましたが、修斗とABEMAに力を貸してもらえて……、支えてもらえて有難かったです」

──この機会を得たことで、次につなげるためには誰か戦いたい相手はいますか。

「次ですか……グラップリングの可能性を見せるには、山田崇太郎さんとかですかね」

──かなり体重が違いますね。

「1度、全日本ノーギで戦ったことがあって、崇太郎さんが足関節の反則があって僕が勝ったんです。IBJJFルールだったので……でも体格差があり過ぎるかなぁ(苦笑)。日本人相手でグラップリングを体現するには……崇太郎さんは体重が全然違うし、岩崎(正寛)とやるともっと固まって……今日よりひどい試合になると思いますし……。

今、強いのは……青木さん。青木さんとやったら面白いですけどね(笑)」

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Other MMA Result SASUKE Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 倉本一真 岡田遼 岩本健汰 杉本恵 清水清隆 石井逸人 西川大和 黒部三奈

【Shooto2020#03 】試合結果 暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼──ケージの中央で愛を叫ぶ

【写真】これぞ5RのMMAという戦いをし、2RKO勝ちで環太平洋に続き、暫定ながら世界バンタム級のベルトを巻いた岡田遼──チョット悪い目つき(C)MMAPLANET

5月31日(日)、Shooto2020#03が会場非公開で開催された。

メインで5教科7科目をマスターしたMMAファイター=岡田遼が、一芸に秀でいた倉本一真からKO勝ちし世界暫定バンタム級王座を獲得し、修斗への愛をケージ内で叫んだ。

注目のAOKI PRJECT=グラップリングマッチ=岩本健汰✖世羅智茂は時間切れのドローに。修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝は黒部三奈と杉本恵が勝ち上がり、決勝で対戦することなった。

Shooto2020#03
<修斗暫定世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
○岡田遼(日本)2R3分02秒
KO
詳細はコチラ
×倉本一真(日本)
<ライト級/5分3R>
○SASUKE(日本)3R
判定
詳細はコチラ
×西浦ウィッキー聡生(日本)
<グラップリング72キロ契約/10分1R>
△世羅智茂(日本)Draw
詳細はコチラ
△岩本健汰(日本)
<バンタム級/5分3R>
○清水清隆(日本)2R4分34秒
KO
詳細はコチラ
×小堀貴広(日本)
<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
○黒部三奈(日本)3R1分54秒
TKO
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×大島沙緒里(日本)
<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝>
○杉本恵(日本2R3分32秒
RNC
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×中村未来(日本)
<フェザー級/5分3R>
○石井逸人(日本)3R
判定
詳細はコチラ
×齋藤翼(日本)
<ライト級/5分2R>
○西川大和(日本)2R
判定
詳細はコチラ
×木下タケアキ(日本)


             

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Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰 未分類

【Shooto2020#03】結果は時間切れドローも岩本の強さを感じさせる一戦に

<グラップリング72キロ契約/10分1R>
世羅智茂(日本)
時間切れドロー
岩本健汰(日本)

スタンドの展開から金網際でテイクダウンの攻防になり、世羅がフロントチョークを狙う。外した岩本が世羅を金網に押し込み、やや世羅が引き込むような形で岩本がグラウンドで上になる。ここで世羅の頭部から出血が見られ、ドクターチェックが入る。再開後、世羅がガードから岩本の足を抱えて岩本の身体を浮かせる。岩本はポジションを戻して、左右の動いてパスガードに成功する。完全にサイドポジションを奪った岩本は上四方へ移動し、世羅も足を絡ませて正対する。

岩本は自分の膝を世羅のガードに間に入れて、上半身を固めてパスガードを狙う。世羅もしつこく足を入れるが、岩本が再びパスガードに成功し、マウントポジションも奪う。岩本はそこから腕十字を仕掛け、それが外れる足関節へ。これは極まらず、再び岩本がトップポジションに収まる。バックをめぐる攻防から世羅が膝十字とアンクルを狙い、世羅も終了間際にヒールホールドを仕掛ける。

時間切れドローとなったものの、岩本の強さを感じさせる内容に終わった。

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Interview J-CAGE JJ Globo Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰

【Shooto2020#03】修斗でグラップリング、岩本健汰─02─「極め切る力は柔術ではそれほど大切じゃない」

【写真】実はバキバキ・ボディの岩本。やり込んでいること伝わってくる説得力のある体、だ (C) MMAPLANET

31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されるProfessional Shooto2020 Vol.3 で、世羅智茂とグラップリングマッチを戦う岩本健汰インタビュー後編。

AOKI PROJECTが発動され、青木真也のMMAが打撃に偏りがちな今、グラップリングマッチを組むことでバランスを保ちたいという意向が反映したマッチアップだ。

ただし、岩本はグラップラー。MMAのためではなく、彼はグラップリングを一つの競技として確立させたいという強い想いともに修斗のケージに足を踏み入れる。

プロ修斗のなかでグラップリング寄りの柔術家=世羅と戦う岩本。もはや自らを柔術とは認めず、グラップラーだという認識の下で格闘家として生きる岩本は、この試合でグラップリングの面白さを伝えようという気持ちに溢れていた。

<岩本健汰インタビューPart.01はコチラから>

──グラップリングもMMAも、柔術も同じように楽しんで視聴したいですが、その裏で格闘技としてえげつなさもあります。

「こないだのSUGのクレイグ・ジョーンズ✖ヴィニー・マガリャエスですよね……。あのヒザが壊れたのは、えげつなかったです(苦笑)」

──そういう怖さもグラップリングというスポーツには含まれています。

「そこも含まれてグラップリングですしね。それがグラップリングの醍醐味であるサブミッションで……次の試合でもそのサブミッションという形を見せたいです。サブミッションを取るまでの戦いを。

グラップリングらしさ、良さを見せたいと思って戦ったことは、余りなかったですけど……これまではグラップリングのっことを理解した人が、面白いと感じてくれれば良いという意識だったので。でも、今回の試合はMMAとは違う……打撃がない故の技の美しさを意識しています」

──観客がいないことで、MMAの試合でも画面は静まり返っていて、セコンドの声がしっかりと聞こえる。これは通常の観客を入れたMMAの大会で組まれるグラップリングよりも、ずっと伝わりやすいのではないかと勝手ながら期待しています。

「あぁ、その話を聞くと良いなぁと思えるようになりました(笑)。MMAのファンの人に『動けよ』とか『殴れよ』なんて野次られると、試合に影響が出てしまうかもしれないので」

──いずれは、グラップリングを引っ張る立場として、そういう野次にも岩本選手が平気になるために、今回の試合がステップとなれば良いですね。ところで岩本選手は柔術とグラップリングは別物という説を説いていますが、グラップラーの強さを示す物差しは、未だに柔術の帯です。

「そうですね……」

──岩本選手は今も紫帯ですか?

「僕は一応、茶帯です。でも、連盟とかの登録上は紫帯のままです。IGLOO柔術の山中健也さんに帯を貰ったのですが、連盟に認められた帯ではないです(苦笑)」

──JBJJFでは紫でIGLOOでは茶帯、いかにも岩本選手らしいです(笑)。そして世羅選手は柔術の黒帯です。

「柔術とグラップリングは別競技です。帯の色は意識しないです」

──柔術とグラップリング、どこが一番違うと言えますか。

「ルールにもよりますが、柔術もノーギ柔術がIBJJFにあります。そのルールだとグラップリングでも柔術寄りです。今回のようにサブオンリーになると、柔術があまりやらないところも……サブミッションを確実に取る力や、サブミッションに対する防御力とか、柔術では勝敗の対象として大きな要素になっていない部分が必要になってきます。極め切る力は柔術ではそれほど大切じゃない」

──おお、言い切ってしまいましたね!! 柔術では極める前の段階の技術が必要だと。

「ハイ。だからルールによっても、柔術黒帯でもサブオンリーでは極める力がない人や、エスケープをあまり練習していない人は全然勝てないです。だからルールによるのですが、サブオンリーだと柔術の黒帯だからといって強いとは限らないです」

──今、ムンジアルで優勝できる柔術家で極めが強くない、エスケープ能力が高くない選手など存在するのでしょうか。

「極めがなくても、エスケープの能力が弱くてもムンジアルの世界王者にはなれると思います。サブオンリーになると、できない人でも一番になれます」

──ADCCでも長い間、IBJJFの最高峰ムンジアルで優勝する人が結果を残していた印象がありますが……。

「アブダビもサブオンリーではなく、後半はポイントが入ってきます。でも下になってはいけない。クレイグ・ジョーンズやゴードン・ライアンが勝てるのは、前半はサブオンリーだし、足関節で使える技が多くて、それほどポイントもIBJJF柔術寄りではないからだと思います。ポイントを失わないのもアブダビ流というのがありますし」

──では、サブオンリーだけに今回の試合は負けられないですね。

「そこは本当にそう思っています。僕は世羅選手と違って柔術はやっていない。グラップリングだけをやっています。グラップリングはMMAと違うのと同じように、柔術とも全然違います。おこがましいけど、僕はグラップリングを一つの競技として確立させたいんです。

世羅選手は、多分そういうことは思っていない。柔術とグラップリングの両方を楽しいって感じでやっているはずです。でも僕はグラップリングしかやっていない。グラップリングに全てを賭けています。そういう想いを持っているからには、負けるわけにはいかないです」

──グラップリング専門家は、ほぼいないといっても良い状況です。

「だからこそ、MMAの人が視て、柔術の人も視る次の試合は大切になります。色々な人を巻き込んでいくためにも、グラップリングの面白さを知ってもらいたいです」

■プロ修斗対戦カード

<修斗暫定世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
岡田遼(日本)
倉本一真(日本)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
西浦ウィッキー聡生(日本)

<グラップリング72キロ契約/10分1R>
世羅智茂(日本)
岩本健汰(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
黒部三奈(日本)
大島沙緒里(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
杉本恵(日本)
中村未来(日本)

<バンタム級/5分3R>
清水清隆(日本)
小堀貴広(日本)

<フェザー級/5分3R>
石井逸人(日本)
齋藤翼(日本)

<ライト級/5分2R>
木下タケアキ(日本)
西川大和(日本)

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Interview J-CAGE JJ Globo Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰

【Shooto2020#03】修斗でグラップリング、岩本健汰─01─「青木さんと世羅さんみたいな試合にならない」

【写真】青木と岩本が練習をし始めた昨年夏の一コマ。MMA的ではなくて、グラップリング的なスクランブルの攻防や足関節の攻防が見られた (C) MMAPLANET

31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されるProfessional Shooto2020 Vol.3 で、世羅智茂✖岩本健汰のグラップリングマッチがAOKI PROJECTとして組まれた。

プロ修斗のなかでグラップリング寄りの柔術家=世羅と戦う岩本。もはや自らを柔術とは認めず、グラップラーだという認識の下で格闘家として生きる岩本は、この試合でグラップリングの面白さを伝えようという気持ちに溢れていた。

──世羅選手とのグラップリングマッチを青木選手の刺客として戦うことが決まりました。それ以前に青木選手とドローだった後のインタビューで、世羅選手から岩本選手と戦いという発言がありました。

「向うから指名してくれたので、チョット嬉しかったです。世良さんもそう思っているんだって。僕も戦いたかったので」

──では、その世羅選手の印象を教えてもらえますか。

「QUINTETとか見ていても、極めのある選手だと思いました。腕十字とギロチン。ポジションを取って攻めるというより、その場で一瞬にして極める形でのサブミッションがある選手だと思います。腕十字もクローズドガードから極めたりしていたので」

──10分間のサブオンリーを金網で戦う。ドローの場合、EBIのようなオーバータイムがないことはどう捉えていますか。

「あっても良いのですが、それで本戦はドロー狙いで、オーバータイムで勝負を掛ける選手もいるので、何とも言えないですね」

──今回、ルーチはありますか。

「いやぁ、聞いていないです。膠着しても、そのままじゃないでしょうか」

──動かないのも勝負ですが、修斗のなかであるグラップリングの試合ということで、意識することはありますか。

「打撃がないから面白くないとは、思われたくないです。MMAでもなく、柔術でもなく……グラップリングが面白いっていうことを見せたいです。今回の試合は無観客大会でABEMAの中継があるなかで組まれました。グラップリングを認知してもらうためにも、凄く大切な一戦だと感じています」

──勝つために……負けないために動きが、止まるのが格闘技で。個人的には勝利という目的に対する、手段として動きが多いのは理解できますが、目的と手段が変わると興ざめしてしまいます。そういうなかで岩本選手と世羅選手のグラップリングは、どういう攻防になるとイメージしていますか。

「青木さんと世羅さんみたいな試合にはならないと思います。やはり一本を狙って、膠着しないよう戦いたいですね」

──世羅選手は青木戦で終盤に下から仕掛けて、足関節を取りに行きました。

「う~ん、最近のグラップリング寄りの柔術家ですね。グルグル回って、足を取りに行くっていうのは。青木さんを相手に一度でも煽れたのは、凄いとまでは言わないですが……そこそこ攻め手はあったんだという印象です。

僕も世羅さんとはスタイルが少し似ていて。フックで浮かして足を狙うとか、ギロチンを取るとか。似ているからこそ、噛み合うとは思います」

──今、岩本選手は理想するグラップラーがいるのですか。

「まぁ、スタイル的には……ルールにもよりますが、このルールで世羅さんが相手なら上からプレッシャーをかけて青木さんみたいなスタイルで、かつ膠着のないようにとは考えています」

──おお、下から作るのはでないのですね。

「それはあまり考えていないです。世羅さんが上を取りに来るイメージはないです。なので上からプレッシャーをかけて、壁とか使いたいですね。せっかくケージのなかでやるので」

──足関節だけではないということですね。

「そうですね。何でもできないと。グラップラーとして──練習でもそうですが、立ちも含めて全部やっています。パスもスクランブルも、足関節も。均等にやっているので、一つに拘らないように今は意識しています」

──ではクローズドの中に収まることも考えられますね。

「そうなると、立って動きます。前の試合のようにはならないようにします」

──岩本選手は言い辛いからもしれないですが、青木✖世羅ではグラップリングの魅力は伝わらない? グラップリングの認知度を上げるには、ああいう試合になってはいけないというのはありますか。

「……やっぱり、それはあります」

──アハハハ。スミマセン、誘導尋問ですね。

「MMAを念頭に置くと、ああいう試合になってしまうと思うので、僕は僕なりにグラップリングの戦いをしたいです」

<この項、続く>

■プロ修斗対戦カード

<修斗暫定世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
岡田遼(日本)
倉本一真(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
黒部三奈(日本)
大島沙緒里(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
杉本恵(日本)
中村未来(日本)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
西浦ウィッキー聡生(日本)

<バンタム級/5分3R>
清水清隆(日本)
小堀貴広(日本)

<フェザー級/5分3R>
石井逸人(日本)
齋藤翼(日本)

<ライト級/5分2R>
木下タケアキ(日本)
西川大和(日本)

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Interview J-CAGE JJ Globo Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰

【Shooto2020#03】岩本健汰と戦う世羅智茂─02─「勝ちに行きますが、岩本君の動きもよく見て欲しい」

【写真】柔術、そしてグラップリングが本当に好きなんだなぁというのが伝わってくる世羅だった (C) MMAPLANET

31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されるProfessional Shooto2020 Vol.3 で、岩本健汰とグラップリングマッチがAOKI PROJECTとして組まれた世羅智茂インタビュー後編。

自らが臨んだ岩本戦が、思わぬ形でプロ修斗の大会で組まれることとなった世羅は、グラップリングマッチが2カ月連続でABEMAの格闘技中継で見られる事態をどのように捉えているのか。そして岩本戦でどのような試合を見せたいのか──そんな問いに対い、世羅の持つ独特の世界感が伝わってくる返答があった。

<世羅智茂インタビューPart.01はコチラから>


──対策練習が好きでないと?

「そればっかりだと飽きてしまって、疲れちゃうんです。それなら純粋にやりたいこと、試したいことを練習したいんです、まだ」

──青木戦と同じルール。前回はMMAファイターと、今回はグラップラーと。組み技のなかで異種格闘技戦になっているような試合です。

「あっ、そこは意識していないです。組み技の異種格闘技戦……岩本君はグラップリングに寄っている柔術家で近いような気がします」

──岩本選手は自らをグラップラーであって、柔術家とは名乗っていない向きがあります。

「そうですか。なるほど……(微笑)」

──今回の試合は何か想うところはありますか。前回の試合は……。

「塩試合やってしまったので、前よりは動こうと思います。さすがに(笑)」

──前の試合は上にいた青木選手も動いていないです。

「まぁ、僕も動いていなかったのでお互い様です。上が動くってモノでもないですし」

──そういう想いもあるので、今回は意識して動くということになりますか。

「でも、勝つためです。良い試合をしても、極めることができなければドローなので。一本を狙っていきたいです」

──世羅選手は柔術の試合でも、下から腰を切って果敢に極めに行ったり、スクランブルでバックに回って思い切り絞めを狙うとか、極めに拘る印象がありました。同時に、そこでスタミナをロスすることも含めて。

「昔はけっこう酷かったです、その傾向が……」

──酷かった?

「あっ……酷かったというより、強かったです。今は自重するようになりました。昔ほどでは、なくりましたね。そこは変えてきています」

──ところで岩本選手は、厳密にいえば世羅選手とは柔術でいえば帯の色が違います。

「ハイ、柔術だと同じトーナメントには出られないですね」

──ただ、彼はもう連盟に認められた帯を巻くつもりもないようです。

「その思いっきりが良いですね。中途半端じゃなくて。僕は柔術も割としたいし、グラップリングもしたいので中途半端ですね」

──いえいえいえ。

「でも石川(祐樹カルペディエム青山代表)さんに『どっちかにせぇ』というか、『グラップリングに専念したら』とはよく言われます」

──グラップリングに専念すると、試合数が極端に限定されてしまうので、躊躇してしまうかと。

「日本だけだと一気に試合は少なくなってしまいますよね。う~ん、米国ではないのでグラップリングに専念しづらいです」

──米国ではノーギ・グラップリングの試合にどんどんMMAファイターも出場してきますしね。

「ハイ、米国はグラップリングが盛んです」

──世羅選手がそういうことに無頓着な性格であることは、徐々に分かってきましたが、2カ月連続でグラップリングの試合がABEMAで流される。コロナの時代のMMA大会にグラップリングが入り込む余地があるのではないかと。

「あぁ、そうなれば嬉しいですね。MMAファイターと柔術家が試合をしたり、そういうのでも続いてほしいですね。なので、このルールで戦ってくれる選手がいてほしいです。普通の柔術ルールだけを考えているグラップラーばかりが相手だと詰まらなくなるので。サブミッションに寄っているグラップラーがいれば、盛り上がりやすいですよね」

──Road to ONEに出場した宮田選手などもADCCに予選から出たいということを言っていましたし、コロナ時代はグラップリングが脚光浴びる機会になるかもしれないです。

「グラップリングをこれだけ見てもらうことって、過去になかったことですしね」

──そこでこのルールに出たいと思う柔術家、MMAファイターが増えると良いですね。では改めて、岩本戦への意気込みをお願いします。

「意気込み……ですか、まず前よりは動くので見てください(笑)」

──アハハハハ。

「僕ももちろん負けるつもりで戦うことはないです。でも、岩本君ももの凄く強い選手で、これからのグラップリング界の中心になる選手です。僕も勝ちにいきますけど、彼の動きも良く見て欲しい……。これじゃ、意気込みにならないですね」

──いえ世羅ワールドが展開されたと思っています。ありがとうございました。

「こちらこそありがとうございます」

■プロ修斗対戦カード

<修斗暫定世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
岡田遼(日本)
倉本一真(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
黒部三奈(日本)
大島沙緒里(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
杉本恵(日本)
中村未来(日本)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
西浦ウィッキー聡生(日本)

<バンタム級/5分3R>
清水清隆(日本)
小堀貴広(日本)

<フェザー級/5分3R>
石井逸人(日本)
齋藤翼(日本)

<ライト級/5分2R>
木下タケアキ(日本)
西川大和(日本)

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Interview JJ Globo ONE Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰

【Shooto2020#03】青木真也に続き、岩本健汰と戦う世羅智茂─01─「ここで戦えることはラッキーです」

【写真】飄々とというよりも、世羅は淡々と語る (C)MMAPLANET

31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されるProfessional Shooto2020 Vol.3 で、世羅智茂✖岩本健汰のグラップリングマッチがAOKI PROJECTとして組まれた。

4月17日に開かれたRoad to ONE02で青木真也とグラップリングマッチを戦いドローだった世羅が、青木のトレーニング・パートナーである岩本と今度は戦うこととなった。

コロナの時代に思わぬ2連戦を戦う世羅に岩本戦について尋ねた。


──前回の青木選手との試合後に、岩本選手と戦ってみたいという発言があった世羅選手ですが、その一戦が修斗の大会で組まれることになりました。

「このタイミングなんだって(笑)。岩本選手とはADCC予選、全日本ノーギ、もしくはQuintetでやることもあるだろうと思っていたのですが、こんなに早く戦うことになったかと。でも、互いに続けていれば当たることになったでしょうし。

それが修斗の大会で実現することは驚く部分ではあるのですが、またこういう機会で試合をさせてもらえることは有難いです」

──大会開催も試合内容も賛否両論だった青木選手との試合が呼び水になりましたね。

「青木さんとの試合があったから、より面白くなるかと思います。岩本君と青木さんは同じチームのようなものなので、次は青木さんの代わりに岩本君が出てくるという流れがあるので」

──青木選手とすれば、身内の岩本選手をアップしたい。そういう試合かと思います。

「う~ん、そこまで考えているのかどうかは分からないですけど、青木さんが岩本君に期待しているということですよね。若いですし、これからのグラップリング界の中心になる選手で。もう既に中心になってしますけど……、その彼により大きな舞台に立ってもらおうという気持ちが青木さんにあるんじゃないでしょうか」

──そうは問屋が卸さないという気持ちは?

「それもありますけど、強い相手なんで十分に負ける可能性もあると思っています。彼は強いです。青木選手がどういう考えなのか本当のところは分からないです。でも、誰が相手でも負けられないという気持ちでいます。だから、青木さんの思惑は関係ないですね」

──世羅選手は4月17日の青木戦に続き、2カ月連続で試合をすることになります。この間に2度、青木真也、そして岩本という相手と試合ができる柔術家は日本にはいないです。

「いないですね。柔術の大会がすぐに開かれるということはないでしょうし……まだ無理ですよね。甲子園が中止になるってことは、色々なことに影響を与えてしまうんじゃないでしょうか」

──甲子園も興行だったというのが分かったような気がします。野球とサッカー、どちらが接触しているのかということを考えると。

「それは、そうですね。甲子園がダメだと、他のスポーツにも影響しますから。なんとか色々なスポーツが無観客でも開催に向かってほしいです」

──それでどこまで採算が取れるのか。もう、判断理由はそこに尽きると思います。

「だからこそ、僕がここで2試合を戦えることはラッキーです。自分のことだけを考えると。でも、他の人が試合どころか練習もできないという状況でもあるので、この状況を諸手を挙げて喜ぶという気持ちにもなれないです」

──現時点で結果的に4月17日は東京都における1日の感染者数がピークにあった日です。あの時と比べて、状況は上向いている中で、今回の試合に臨む。前回と比較てして、気持ちの違いなどはありますか。

「新たな感染者数が明らかに数値で減っていますし、外を出歩いている人の数も明らかに増えている。そのなかで気が緩むことはもうしょうがないと思います。どちらにしても、自分の場合は試合が決まれば練習をするだけなので」

──そのなかで戦う岩本選手は青木選手とは全く違うスタイルのグラップラーかと思います。岩本選手対策はしていますか。

「ハイ、青木さんと岩本君は違いますね。ただ、練習に関しては岩本君を少しは意識していますが、あくまでも自分の技術を練ることが多かったです」

──盟友の岩崎正寛選手が故郷に戻りカルペディエム芦屋をオープンされるそうですが、練習相手の事欠くことはなかったでしょうか。

「岩﨑君はまだ東京にいるので、練習しています。ちょっと新しい動きとか練習で試していますが、対戦相手のことばかり考えて練習するのって、僕は苦手なんです」

<この項、続く>

■ Shoto2020#03対戦カード

<修斗暫定世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
岡田遼(日本)
倉本一真(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
黒部三奈(日本)
大島沙緒里(日本)

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
杉本恵(日本)
中村未来(日本)

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
西浦ウィッキー聡生(日本)

<バンタム級/5分3R>
清水清隆(日本)
小堀貴広(日本)

<フェザー級/5分3R>
石井逸人(日本)
齋藤翼(日本)

<ライト級/5分2R>
木下タケアキ(日本)
西川大和(日本)

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J-CAGE JJ Globo News Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰 青木真也

【Shooto2020#03】組み技異種格闘技戦=世羅智茂✖岩本健汰のノーギグラップリングマッチが決定!!

【写真】青木✖世羅に続き、今度は世羅✖岩本だ(C)MMAPLANET

25日(月)、サステインより31日(日)に会場非公開でABEMAテレビマッチとして開催されるProfessional Shooto2020 Vol.3 Supported by ONE Championshipで、世羅智茂✖岩本健汰のグラップリングマッチがAOKI PROJECTとしてマッチアップされることが発表された。

AOKI PROJECTとは青木真也が今、見たい──旬のカードやプランニングするというモノで、第1回で予定されていたプロ修斗フライ級戦=清水清隆✖平良達郎の一戦はコロナウィルス感染拡大の影響を受け、大会とともに中止されてしまった。

今回は修斗の大会のなかで、敢えて青木は日本グラップリング界の現状を憂い、また存亡を賭けてグラップリングマッチながら世羅と岩本に白羽の矢が立てた。

世羅は4月17日に開かれたRoad to ONE02で、プロジェクトの中心である青木とグラップリングマッチを戦い10分タイムアップのドローだったことは記憶に新しい。対して岩本は青木のトレーニングパートーナーであり、青木がピュアグラップリングでの知識を深め、技を練るのに欠かせないグラップラーだ。


ノーギワールドやADCC予選に挑むなど世羅は道着を着た柔術ともにノーギにもチャレンジする柔術家で、昨年のADCCアジア・オセアニア予選では岩本が優勝した66キロ級にエントリーしていたが、準々決勝で敗れ両者が組み合うことはなかった。

またMMAPLANETのインタビューで、青木戦を終えた世羅は岩本との対戦を口にしていた。その岩本はもはや柔術家という肩書きは持たず、グラップラーとして生きている。そして柔術でいえば岩本は茶帯を巻いているが、JBJJFが認可する帯制度では未だ紫帯のままだ。つまりは連盟主催の柔術では不可能な両者。思えばグラップラーの評価対象が、柔術の帯という現状も興味深い。

閑話休題。

とはいえ岩本は今やノーギ・グラップリング、特に今大会で採用されるノーポイント&サブミッションオンリー・ルールでは間違いなく日本の第一人者といえる。ADCC2019ではパウロ・ミヤオに初戦で敗れたが、当然のようにパウロとやり合う彼の組み技力が紫帯レベルであるわけがない。今年3月のZSTグラップリング=「GTF.3」でも圧巻の3試合連続一本勝ちで断トツの優勝を飾っている。

世羅も青木を相手にパスを許さず、青木が動けばニーシールド・ハーフからの作りや、リバースデラヒーバから足関節という流れを見せていたものの、それらの動きはIBJJFルール以下のポジションを許さない、またはポジションを取ることがベースとなっている足の取り方だった。

(C)SATOSHI NARITA

対して、岩本にとってのグラップリングは極めに行き着く。ポイントに関してはADCCのトップが上位とされる得点であり、IBJJFベースの世羅とはアイデンティティが違うといって過言でない。

青木✖世羅がMMAファイター✖柔術家のノーギ・グラップリングだったのに対し、今回の試合は柔術家=世羅✖グラップラー=岩本という構図が鳴り立つ。現状、日本ではトーナメント&出場料を支払う組み技トーナメントは成立させることが困難であるからこそ、プロ修斗内で見られる組み技・異文化交流は貴重、パウンド有りとは違う「組み」の魅力と怖さを日本中に届けて欲しい一戦だ。

なお同大会ではメインの修斗暫定世界バンタム級王座決定戦=岡田遼✖倉本真一、3回戦でライト級=SASUKE✖西浦ウィッキー聡、フェザー級で石井逸人✖齋藤翼、修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント準決勝=黒部三奈✖大島沙緒里&杉本恵✖中村未来、そして2回戦のライト級戦=木下タケアキ✖西川大和の5試合に加え、バンタム級で清水清隆✖小堀貴広の3回戦も22日(金)に明らかとなっており、全8試合が組まれることが決まった。