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Interview ONE ONE TNT04 ONE119 エドゥアルド・フォラヤン ブログ 青木真也

【ONE TNT04】フォラヤン戦完勝から13時間後の青木真也─01─「時間を掛けてきたものは、真似できない」

【写真】この試合後の表情からも青木自身にとっても、会心の勝利だったのではないだろうか (C)ONE

29日に開催されたONE119:ONE TNT04で、エドゥアルド・フォラヤンを1R4分20秒、腕十字で下した青木真也。

鮮やか、そして完成度の上がったファイトでの勝利から13時間後に現地で隔離措置中、最後のPCR検査を終えたばかりの青木に話を訊いた。

打撃の組み立て、テイクダウンの引き出し、そして腕十字という流れとこれからについて、共同会見とは少し違った青木の声をお届けしたい。


──フォラヤン戦の勝利から13時間ほど経過しました。

「昼間の試合ってやっぱり難しいですね。初めてだったし。コロナ禍でもあって、試合が終わって宿に戻ってきたのが朝の10時で(笑)。どう1日を過ごせば良いのか……生活リズムが狂っちゃいますよね。

試合に向けての調整も難しくて、これはどうしたものか。興味深いところでもありました。朝の調整も興味深いです」

──今の雰囲気も、試合当日とは思えない落ち着きようです。

「テンションも解放感も夜の試合の時と違いますね。なんか別競技かっていう感じで。夜に試合をがした時は朝まで寝られないタイプなんですが、そこは変わらなずここまでは寝ていないです。でも、普通に夜中になって眠ることになると思います」

──現地でリードカードは8時半の開始で、青木選手も9時半ごろには試合をしていた。そもそも会場入りは何時だったのですか。

「6時45分で、起きるのは5時半でした。エディ・アルバレスはインタビューで、米国にいるときと時間を変えないと言っていましたけど、彼の場合はそのままで良くて」

──ハイ、なんせ米国時間に合わせてイベントがあるわけですから。

「でも、僕はシンガポールと1時間の時差の日本で普通に生活していて、こっちに来てから早く寝るようにしたり調整が必要になってきて」

──時差はないけど、生活リズムを現地で変える必要がある。アジアの利点がなかったわけですね。

「ほんと、これどっちが良いんだろうってありましたね。調整にしても、日本にいる時には朝の8時から練習に来てほしいって言えないですからね。

それに栄養の接種の仕方とかも変わってきます。僕は最近では胃の中を空っぽにして試合がしたくて。そうなると、朝の試合だと朝食を殆ど取れなくて」

──夜の試合だとしっかりと朝食が摂れるので、当日のエネルギー補給で問題がでますね。

「ハイ。エネルギーを蓄えようと思うと、朝の3時とか4時に起きないといけなくなって。そうなると普段と生活リズムが違い、バイオリズムも違ってきますね」

──いやぁ、なかなか大変です。でも、そういう変化があったとは思えないほど、試合は完璧でした。

「どこまでいっても試合は恐怖を感じるし、怖いモノだと再確認できましたけどね」

──スタンドで非常に落ち着いていました。

「そこは開き直りというか、もう自分が信じた戦い方でやる──この宗教でやるんだって。MMAPLANETの岩﨑さんの武術で見るってヤツを読ませてもらいましたけど、腹が据わるということなんですかね。

岩﨑さんの理屈は、僕も分かっている理屈で。あのパンチを出させないというのは……相手にパンチを出させたのは、僕のミス。僕がプレッシャーをかけて、岩﨑さんのいう質量で上回って気圧せていたら、相手は出せないはずなんで。でも岩﨑さんの理屈でいうと完全に下がらせないといけないから、ケージのなかで実践できるかというのは別の話です。理屈としては凄く分かります。

僕も出させてしまったことは悪いけど、相手を褒めてほしい(笑)。

あの状態でよく出したな……みたいなところはあります。なんだかんだでフォラヤンはガッツがあると思いました」

──組みにいくまでがガムシャラ感がないです、今の青木選手は。

「ハイ、そこはゆっくり創って見えているというか。古い言い方ですけど、打・投(倒)・極というところには近づけている気はします。でも20年やって、ですからね(苦笑)」

──それはそこまで積んできた結果で、成果が出たのだから良いではないですか。ここまで続けてきたから、できるようになってきたという見方ができると思います。

「それは凄く良い見方をしてもらっています(笑)。もうチョット早い段階で、これができていたら身の振り方も変わっていたと思います。やっぱり蹴りや距離、時間が掛かることを選択してしまったので、そこは仕方ない部分ですかね」

──時間を掛けて身につけたものは、直ぐに失わないです。

「そうなんです。時間をかけてやってきたものは、相手が研究し辛いし、真似できないですよね。パッとできるものって、真似しやすいじゃないですか。だからなかなか真似をしづらいモノではあると思います」

──今回の試合、組む前よりも、組んだ後で離れられることが一番怖かったです。

「分かります。僕も嫌です。だからこそ、そうなることを想定して覚悟もしていて。そのために、いくつかの引き出しも用意していましたしね」

──あそこで飛びついてガード、フォラヤンが寝技に行きたくないから踏ん張る。その刹那、着地して小外という流れは、用意されていたものなのですね。

「もうジャンピンガードでもないですよね。2005年にマッハさんと戦ったときに、飛びつきガードしてポスチャーされると投げるとかやっているんです」

──修斗での桜井マッハ速人戦ですね。

「グラウンドに行きたく相手、ポスチャーに対してああいう動きは壁レスで練習中にもしていて。しっかり抱き着いてしまうと、相手の重心も真ん中にあるので着地しても簡単に倒せない。だから、引き込むようにする。そうすると、相手はポスチャーして重心が後ろになるから、着地して倒すことができます。

グラップリングがあるからこそなんですが、レスリングでもなく柔術でもない──MMAでしかない攻防だと思います」

──青木真也のMMAですよね。寝技に持ち込まれたなくない相手、テイクダウンの対処をしてきた相手にアレができるのは。それと最後の腕十字、こういうと申し訳ないのですが青木選手らしくないフィニッシュでした。マウントから腕十字は。

「アレはもうエルボーですね。腕十字は外されると下になるからリスキーなんですけど、フォラヤンにそれだけの戦意は残っていなかったです。

ヒジで削っていたので。もう取ってくださいいう精神状況だったと思います」

<この項、続く>

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ONE ONE TNT04 ONE119 Report オンラ・ンサン ブログ ライニア・デリダー

【ONE TNT04】デリダー、ンサンに完勝。ミドル級に続きLH級王者に。そしてヘビー級王座挑戦アピール

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
ライニア・デリダー(オランダ)
Def.3-0
オンラ・ンサン(米国)

サウスポーのデリダーが、試合開始直後にダブルレッグでテイクダウンを奪う。ンサンは前回の対戦と同じようにスクランブルでバックを譲るが、ここは上へ移動しフックを回避──も、下にはりハーフからフルマウントを許す。腕十字狙いに反応したンサンに対し、デリダーはバックに回り四の字フックを完成させる。

後方から殴るデリダーが、RNCを狙いつつパンチを打ちつける。残り2分、亀になったンサンを殴り、仰向けになってなおパンチを続けたデリダーは、マウントに移行して肩固めへ。右側へスライドしたデリダーが、ニーインも背中を預けたンサンが、ついに前方に落としトップへ。立ち上がったンサンがローを続け、デリダーは蹴り上げを放ち時間となった。

2R、ボディを入れたンサンに組んだデリダーがバックへ。ンサンはすぐに胸を合わせ、シングルからダブルを切ろうとしたが抱える形になりテイクダウンを許す。デリダーはここもバックに回り、ワンフックもンサンが手首を抱えてくぐり胸を合わせる。直後にダブルレッグを決めたデリダーだが、立ち上がったンサンがエルボーを当てる。

一旦離れたデリダーは、ショートノーティスでスタミナが心配されるが、ここも組んでボディロックテイクダウンを決める。今度は背中をつけたンサンに対し、マウントをとったデリダーがエルボーを落とす。ケージキックからの後転にバックに回ったデリダーは、氏正対されるとシングルレッグからバック、そしてテイクダウンを決める。ここはワンフックとしたデリダーは、上を取ってサイドで抑えエルボーを打ちつけ、ヒザを頭部に入れた。

3R、ここもあっさりとテイクダウンを決めたデリダーが、一度は立ち上がったンサンを倒してバックから両足をフック、四の字を組む。オンラは省エネで印象点は度外視のファイトか。胸を合わせに行っても粘れず、マウントを許し──続くスクランブルでは、デリダーがハーフネルソンからヒザを頭部に蹴っていく。

ダースに移行しつつ、ヒザを頭に入れるデリダーの一方的な支配が続く。ンサンが立ち上がると、デリダーはニンジャチョークに切り替える。これは抜けたンサンだが、シングルで押し込まれ片ヒザをついた状態からスタンドに戻った直後に時間となった。

4R、ンサンが右ハイ。ブロックしたデリダーがシングルレッグ・テイクダウンを決める。ンサンの蹴り上げを捌いたデリダーがハーフで抑え、マウントへ。ここもケージキックからスクランブルの狙いのンサンだが、バックを許し両足をフックされる。デリダーは口を開けて呼吸をしながら、ポジションをキープしている。

残り半分でワンフックにしたデリダーは、ンサンにスクランブルを許さず四の字に組み直す。マウントに移ったデリダーがボディを殴り、ケージキックも馬乗りをキープする。ンサンは下から頭を引き寄せ、最後は殴られながら──防御一辺倒で時間を迎えた。

最終回、即シングルに出たデリダーがボディロックテイクダウン。ハーフから枕で固め、足を抜きに掛かる。デリダーの2冠が近づくなか、ミドル級に続きライトヘビー級のベルトも風前の灯となったンサンはマウントをケージキックで返して、トップへ。

残り3分から大逆転は可能か。させじとクローズドガードで固めるデリダー。有効な反撃ができないンサンは、ガードのなかで時間が過ぎ、最後の30秒で顔面とボディに数発のパウンドを入れたが──タイムアップに。

時間とともに拳を突き上げたンサンは、耐えきったことのメッセージか。一本は逃れたが、デリダーに抑え続けられたンサンは0-3で敗れ、無冠となった。そしてデリダーはブランドン・ヴェラの持つ世界ヘビー級王座挑戦をアピールした。


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ONE ONE TNT04 ONE119 Report  グラチアン・サジンスキ エディ・アルバレス オク・レユン ブログ

【ONE TNT04】エディ・アルバレス、初回にダウンしカムバックも打撃で勝負できず。オクに下る

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
オク・レユン(韓国)
Def.3-0
エディ・アルバレス(米国)

かなり慎重差のある両者。アルバレスが右ロー、オク・レユンの左ロングフックをかわす。オク・レユンが右ローを当て、アルバレスはジャブから一度戻ってテイクダウン狙いへ。エルボーを入れたオク・レユンは、アンクルピックで尻もちをつかされすぐに立ち上がる。ケージを背にし、シングルにエルボーを再び落としたオク・レユンが倒れない。ボディにもヒザを受けたアルバレスの頭が上がる。

右を差し、右足で小外を狙ったアルバレスが、ヒザ蹴りに切り替えてボディロックテイクダウンに成功──も、ここもオク・レユンが一瞬にして立ち上がる。残り2分、アルバレスが離れローに右を合わせる。アルバレスのジャブに右を返し、再び右を当てる。効いたアルバレスの動きが止まり、ローを蹴るがオク・レユンが右を入れてダウンを奪う。クローズドガードのアルバレスにパンチ、鉄槌を連打するがレフェリーが試合を止めない。スタンドに戻り、ミドルとフックを当てたオク・レユンだがアルバレスも右フックを返し時間となった。

2R開始直後にシングルに出たアルバレス、エルボーを続けるオク・レユンはボディにヒザを受けてもテイクダウンは譲らない。組みの圧力が落ちないアルバレスもさすがだが、離れるとオク・レユンがジャブを伸ばす。ヒザ蹴りから右を当てたオク・レユンは、ボディロックテイクダウンを許しても、即スタンドへ戻る。

初回のラッシュに打ち疲れ感のあったオク・レユンも、我慢の時間だ。と、いなして離れたオク・レユンはダブルレッグでケージに押し込まれるが、ここも耐える。アルバレスはヒザをボディに入れ、ショートのフックからダブルレッグもテイクダウン出来ずに離れる。

オク・レユンも打撃戦には持ち込めず、アルバレスの押し込みが続く。残り40秒、離れたアルバレスがワンツーを伸ばし、パンチからダブルレッグという動きを続ける。さらに右ハイから組んでいったアルバレスが攻勢も、ダメージでは以前オク・レユンがリードのまま試合は最終回へ。

3R、ケージに押し込まれ相当疲れたように見えるオク・レユン、アルバレスは初回のダメージからカムバックできている。勝負の5分は、アルバレスの左フックでスタートを切る。フックからシングルのアルバレス、切ったオク・レユンが右を被弾する。大きな振りのパンチからアルバレスのテイクダウン狙いに、オク・レユンがヒザを合わせていく。

離れたアルバレスは、フックにダブルレッグを合わせて倒すことに成功。オク・レユンはすぐにスクランブルから離れ、右を打ち込む。アルバレスの動きが止まるが、オク・レユンも追撃はない。アルバレスは組んでクリンチ、離れると左を被弾する。打撃で圧力をかけることができず、組みへの繋ぎでしかなくなるとノックアウトは難しいか。

残り1分40秒、遠い間合からローを蹴りある両者。アルバレスはここもダブルレッグでケージへ。倒れないオク・レユン、最後の60秒で離れると左を打たれ、蹴りにも右が飛んでくる。オク・レユンは相当に厳しい局面だが、アルバレスも打撃で逆転はできない。ハイからスピニングバックフィスト、組んだアルバレスから離れると、左オーバーハンドにオク・レユンはヒザを突き上げる。最後の打撃戦、振りは鋭いが倒す圧力はなかったアルバレス、時間となりONE裁定ならオク・レユンという内容だったが……果たして。

ジャッジの裁定は3-0でオク・レユンに凱歌が挙がった。


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ONE ONE TNT04 ONE119 Report ウマウ・ケニ・ログログ キリル・グリシェンコ ブログ

【ONE TNT04】えっ?! タイムアップ後のパンチでログログが続行不能──グリシェンコがTKO勝ち

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)
Def.2R5分00秒 by TKO
ウマウ・ログログ・ケニ(セネガル)

リーチで優るグリシェンコが前蹴りから距離を詰める。組んだログログは、両ワキを差されヒザをボディに受ける。ケージの前でポジションを入れ替える両者、グリシェンコのヒザが続く。胸を合わせることができないログログは左腕を差し返し、相四つでボディを打ち合う。グリシェンコは右腕を再び差し返し、ヒザ蹴りへ。

ショーツを掴む行為を離れた直後に注意されたログログが、ローキックへ。グリシェンコも右ローを蹴り、右ハイからショートのワンツーを放つ。必死に組んだログログだが、テイクダウンは奪えず逆に削られているか。離れたログログに左ジャブを入れたグリシェンコは右ロー、ログログも右ローを返しスピニングバックフィストに組んでテイクダウンを狙ったところで初回が終わった。

2R、前蹴りからワンツーを放ったグリシェンコ。ログログもフックを連弾し組みつくも、自ら離れる。後ろ回し蹴りでバランスを崩したグリシェンコに対し、組んだログログはケージに押し込むがそれ以上の攻撃はない。ヒザ蹴りに離れたログログがショートのフックを連打する。

残り2分を切り、グリシェンコは左前蹴り、ログログが右ロー。飛び込んでパンチを放ったグリシェンコだが、空振りに終わり組みつかれてケージに押し込まれる。ヒザを見せるが重心が上がってきたグリシェンコも削られてきたか。離れてパンチを打ち合った両者、時間後の1発を被弾したログログが、抗議の声を挙げた直後にマットに倒れこむ。

喉を抑えるログログ、3Rのスタートに応じられずグリシェンコのTKO勝ちに。

最後のパンチは不可抗力かもしれないが、明らかに時間後。ここまでの集計でテクニカル判定ではなく、グリシェンコのTKO勝ち──それがONEのレギュレーションということか。


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ONE ONE TNT04 ONE119 Report エドゥアルド・フォラヤン ブログ 青木真也

【ONE TNT04】これはもう青木というプロ格闘技。フォラヤンを腕十字で破り、秋山成勲に喧嘩売る

【写真】最後は横綱相撲、秀逸だったのは一瞬のジャンピンガードか(C)ONE

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
Def.1R4分20秒by 腕十字
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)

両手でしっかりと握手した両者、サウスポーでゆっくり動き右を伸ばす青木はフォラヤンの踏み込んでの左フックをかわす。青木は左ミドルを蹴り、時間を置いて左ハイへ。フォラヤンがローを蹴り、青木は左右に動くフォラヤンに組みつく。

体を入れ替えたフォラヤンに対し、青木は離れられないように一瞬のジャンピンガードから着地して、小外掛けを決める。両足を四の字フックで束ねて抑える青木は、足を解いてマウントへ移行する。青木は座ってエルボーを落とし、ヒジ打ちを続け足を戻させない。バックに移行できるようにエルボーを続ける青木に対し、フォラヤンは力で暴れる。

と、青木は腕十字に移行してタップを奪う。横綱相撲、これはもう青木という格闘技だった。

「MMAは何でも起こる。テイクダウンの対処は練習してきたけど……。彼のグラウンドは蛇のようにタイトだった。どうなるか、休んで決める。コーチと練習仲間に感謝している。やってきたことは出せなかったけど……シンヤにおめでとうと言いたい」とフォラヤン。

青木は「あのう試合の相手が代わって、エドゥアルド・フォラヤンありがとう。同じぐらいの歳で──もう1回チャンスがあればやりましょう。あなたに5年前に負けて色々と苦しいことがあったけど、皆のおかげで僕もここまでやってきました。エドゥアルド、また一緒に頑張りましょう」と話し、次の対戦相手を問われると「2人います。1人はセージ・ノースカット、必ずやりましょう。1人は今、日本の解説席に座っている、秋山。秋山、おいお前、適当なことやってんじゃねぇよ。試合に穴空けたこと、分かってんのか。えぇ、こら。次はお前だ。よーし、首洗って待っておけ」とまるで人が変わったかのような秋山戦をアピールし、最後に「もう一言、ありとう。それだけです」と言いケージをあとにした。


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ONE ONE TNT04 ONE119 Report コルビー・ノースカット コートニー・マーチン ブログ

【ONE TNT】ノースカット姉=コルビーが、コートニー・マーチンから腕十字で一本勝ち

<60.6キロ契約/5分3R>
コルビー・ノースカット(米国)
Def.1R2分28秒by 腕十字
コートニー・マーチン(豪州)

長身、リーチで優るノースカット姉に対し、マーチンが組みついてボディロックへ。ケージを背にして耐えるノースカットを倒したマーチンは、足を一本抜きつつ殴る。ハーフからキムラを狙いつつ、エルボーをマーチンが落とすとノースカットは右腕を差して立ち上がることに成功する。

ヒザ蹴りをボディに入れたノースカットだが、再びボディロックテイクダウンを許す。正面から腕十字、三角に移行したノースカットが、腰を切って腕十字へ。右腕が伸びたマーチンがタップした。

「みな、私がストライカーだと知っているからグラップリングの練習を一生懸命してきたの。今日は夫の誕生日、ハッピーバースデー・フロム・シンガポール」と勝者は笑顔で話した。


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Interview ONE ONE TNT04 ONE119  グラチアン・サジンスキ エドゥアルド・フォラヤン ブログ 青木真也

【ONE TNT04】フォラヤン戦へ、離日前日の青木真也─03─「戦う選手は火事場泥棒にならないといけない」

【写真】スパーリングの合間に目を閉じて、何やら思案中の青木。イメージトレーニングか、前のスパーを回想しているのか (C)MMAPLANET

29日(木・現地時間)に開催されるONE119:ONE TNT04でエドゥアルド・フォラヤンと対戦する青木真也インタビュー最終回。

『ノー』と言わない青木は、このカードがプレリミに等しいリードカードになったことをどのように捉えているのか。そして、改めてコロナ禍のファイトに対する考えを訊いた。

<青木真也インタビューPart.02はコチラから>


──そして自分の価値観を持ち続けたいということですよね。

「勿論です」

──そういうなかでセイジ・ノースカット戦の方が、フォラヤン戦より期待の声も高かったです。

「どうなるのかっていう興味も、その方が高かったですよね」

──それでもノースカット戦もフォラヤン戦も同じ意識で、がっかりすることもないと?

「ハイ。特に変わらず、です。この間のFight & Lifeで岩﨑達也さんとやらせてもらった対談での話と同じです。内に向いています」

──先日、Fight & Lifeで剛毅會空手の岩﨑達也氏と対談をしていただいたのですが、かなり武術空手の原理原則に食いついていました。

「アレは、マジです。ここ何年かのなかで秀逸なインタビューです。掛け値なし。Fight & Lifeを読んで、『また下に入ったんでしょ』とかって言う人間もいたけど、違う。『アレはお前、面白いんだよ』って。あれはホント。理屈がちゃんとあります。言われていることも間違っていないし。本当に面白かったです。

ちゃんと理がある。抜群。もっと岩﨑さんは格闘技を語る論客としてフォーカスされた方が良いかと思います。それは岩﨑さんのためにってことじゃなくて、業界のために」

──あそこまで話せるのは、青木選手の打撃に理屈が出来てきたからではないかと。

「何を言っているのか……というのはなかったです。組みも打撃も踏まえて、手の置いている位置の話とか。でも理屈は分かっても、俺には怖いからそれができないとかあって──楽しかったですね」

──なるほど。その打撃の理、戦いの理を持って挑めるフォラヤン戦ですが……、フォラヤンはONE第1回大会のヘッドライナーで、青木選手とはライト級王座を争ってきた間柄です。つまりONEの歴史でもある。その試合が本戦から外れたことに関して、どういうことなんだという想いは?

「ありますよ。あぁ、外れるんだって言う気持ちはあります。ただ、そこに文句を言っても変わるモノじゃないですし。『あっ、そういうことね』ってことで納得しちゃっています。文脈とか物語とか、分かる文化の人たちじゃないから。

出汁がある文化の人じゃない。そこは期待してもしょうがないと思っているのかもしれないです」

──TNTの米国中継用の大会というのもありますし。

「ヘビー級を投入して、なりふり構っていられない。それも分かっていますし。そうすべきだと思います。僕もフォラヤンもこれからメインストリームに入っていく選手じゃないし。上で組まれないことが悔しいとか、それは全然ないです。納得はしているんですけど、『おう、こう来たか。そういう風ね』と(笑)。

僕は労働者ですから。だから、そういうことも含めて自分のメッセージとして伝えることができればなと思います」

──木曜日の試合で、出発が土曜日。隔離期間も短くなったということですね。

「これは本当に助かりました。セコンドをお願いするのに現地で11日とかになると、気を使っちゃいます。それが1週間なら、まだお願いしやすいです。今回は宇野さんが修斗での試合が予定されているので、北岡さんにお願いしました。

北岡さんは付き合いも長いし、そこは阿吽の呼吸です。それでも10日間も付き合わせるのは、申し訳ないです。これまでも僕だけ先に入って、あとから来てもらったりしていたので。それがコロナでできなくて、束縛時間が長くなってしまって。滞在4日ぐらいで終わらせることができていたのが、7日、そして10日になると申し訳ないです。本当に」

──それにしても練習と試合の日だけなのですね、直接顔を合わせるのは。

「一切ないですね。宇野さんは毎日、トレッドミルで走っていましたね(笑)。まぁ、身の回りのことは全て自分でやっていますからね。僕は柔道文化の上下関係が苦手だったんです。だから、荷物を持たせるとか絶対にないですし。小間使いとセコンドと違いますからね。北岡さんも宇野さんにも、セコンドをお願いしているので。そうでないと、逆にしんどくなってしまいます」

──ONEは録画で試合を流し、試合カードも代わりまくっても発表がシレっと対戦カードが組み変わっているだけで、報じ方の時系列もメチャクチャになっています。それでも、現地で何が起こっているのかを考えると、本当によくこの規模の国際大会を開けているなと、ふと思うことがあります。

「回っている。北米とロシア、そして中東とONEしかできていないことをしていますからね。大陸間を越えた選手の行き来を、ここまで感染対策が厳しい国でやっているのは実はすごいことで。

でもコロナ禍の試合は参考試合だと思っています。今、大阪の高校は部活動が中止になっていて。じゃあ、高校総体をやったときにイコールじゃないじゃないですか?」

──東京は都立はダメで、私立はOKです。

「もう、まるで同じ条件ではない。大会ができても、出場している選手の条件が圧倒的に違う。対戦相手もどんどん代わる。これはやっぱりコロナ前とは違う。取り替えず、組めることをする。だから、参考試合──残念ながら、そういうことです。

言い方は悪いけど、火事場泥棒感はあります。そう思っているので、戦う選手は火事場泥棒にならないといけないです。そういうなかで一生懸命やれているので、楽しみです」

──零点に抑える投手戦を?

「ハイ。堅く、堅く。当然、試合なのでやられる怖さもあるけど、しっかりと立ち位置を取ってやりたいと思います」

──ナカシマとフォラヤンは全くタイプが違いますが、青木選手が勝つには組んで、極めること。打撃を貰わず、入る。そこに関して成長しているという感覚はありますか。

「それはあります。試合で戦っていても感じます。あっ、こういうことかっていうのが、理屈が分かってきたというか」

──先ほどの対談の件もそうですが、打撃について話す内容が以前と少し違ってきたような気がします。知識より、感覚が増えているというか。

「そうですね。自分のことが掴めてきて、距離感が違うというのが分かります。だから打撃を被弾しなかったんだというも、少しずつ分かってきています。だからこそ、そこが本当に分かっているのか不安です」

■視聴方法(予定)
4月29日(木・日本時間)
午前9時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■ ONE TNT04 対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者] ライニア・デリダー(オランダ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
オク・レユン(韓国)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
ウマウ・ログログ・ケニ(セネガル)
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
青木真也(日本)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ(ベラルーシ)

<60.6キロ契約/5分3R>
コルビー・ノースカット(米国)
コートニー・マーチン(豪州)

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【ONE TNT04】エディ・アルバレスと対戦、オク・レユン「今なら7割から8割、倒せるチャンスがある」

【写真】これほどまで状況判断ができており、言葉にもできる。オク・レユン、大きなことをやりそうだ(C)ONE

29日(木・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE119:ONE TNT04。同大会でオク・レユンがエディ・アルバレスと対戦する。

今月8日にマラット・ガフロフを破り(※中継は22日)、ONE初陣のタフファイトが終わった直後に決まったアルバレス戦。いきなり舞い込んだビッグファイトに向け、オクにガフロフ戦を振り返ってもらい、アルバレス戦への意気込みを訊いた。


──まずガフロフ戦の勝利、おめでとうございます。

「ありがとうございます」

──タフファイトでした。初回、バックを取られて我慢の展開が続きました。

「深く入ってきたこともありましたが、気持ち的は『大丈夫だ。これは逃れることができる』という感覚でした。あれは自分でなく、マラット・ガフロフが疲れる展開だったので。だから初回は我慢、時間まで耐えて2Rになれば自分が攻める番だと考えていました」

──そこまで余裕を持っていたのですね。驚きです。ところでONEでは対戦相手が寝技状態にあるときにヒザ蹴りを使えます。このルールもしっかりと対応していましたね。

「組み合って動かない。そういう時間がMMAでは多く存在していますが、グラウンドでのヒザ蹴りがあることで試合は動きますし、視ているファンも楽しめると思います。ファンも何かが起こるかもっていう風に試合を見ることができますよね。

ただし、グラウンドでのヒザ蹴りは本当に危険です。それでもテイクダウンを狙ってくるところに近距離でヒザを打てるというのは、絶対に試合をエキサイティングなモノにすると思います」

──ガフロフも3Rに反撃をしてきました。試合が終わった時、判定勝ちできる自信はありましたか。

「UFCのようなユニファイドルールであれば、あの試合は互角だったと思います。テイクダウンへの比重が高いですからね。ただし、ONEの裁定基準はダメージが最重要視され、そこが明確に評価されます。

この裁定基準に則していると、自分が勝っていると信じていました。自分は全くダメージはなかったです。例えテイクダウンをされ、バックマウントを奪われても。

それに下になっても三角絞めの態勢を創ることができていました。自分が勝っているという自信が揺らぐことはなかったです」

──試合前、77キロで戦うことに関して心配をしていました。戦ってみて自らの動きを水抜き有りの70キロでの試合と比較していかがでしたか。

「以前のように厳しい減量の必要がなくなりました。こんなに素晴らしいことはないです。コンディションは最高でした。でも、おかしなモノでこれから試合があるという気持ちが削がれていたんです。これまで試合前には、厳しい減量があり、それを乗り越えてから試合があった。その厳しい減量がないことで、試合をするという気持ちが以前のようにわいてこなかったです。本当に奇妙な話です。

ただし、そこについては慣れていくと思います。試合中に感じたことは、自分が77キロとして弱いのか、マラットが強すぎるのか──それは分からないのですが、マラットは本当に力強いと感じました。

テイクダウンを防げなかったり、サブミッションを仕掛けられたのはマラットには凄まじいパワーがあったからです。77キロで戦うと常にそうなのか。それともマラットが特別に強いのか──そこはまだ分かっていないです」

──試合が終われば77キロの体を創っていかないといけないという風に話していましたが、直ぐにエディ・アルバレスとの試合が決まり、その時間を設けることはできなかったです。

「マラットとの試合を終えた時、自分がまず思っていたのは帰国して──休んで、食べて、77キロの体を創ろうということでした。でも、帰国した直後にエディ・アルバレスと試合をしないかというオファーが届きました。

自分の体が準備できていないことは確かです。ちょっとしたケガもあります。コンディションとしては、万全でないのは明白です。でもエディ・アルバレスと戦うチャンスが、自分の人生に何度も訪れるとは思えないです。だから、何も考えず試合に集中しています。ただケージに入り、ベストと尽くす覚悟ができました。

そうしたら不思議なことに人生最大の試合なのに、心が落ち着いているんです。何も恐れていないです。これがゾーンなのかもしれないですが、自信しかないですし凄く集中できています」

──素晴らしく頼もしいです。エディ・アルバレスは長年のハードファイトの蓄積で拳の強さと同様に、脆いアゴの持ち主になっています。

「確かにその通りです。エディ・アルバレスは打たれ弱いです。同時に尋常ならざる気持ちの強さがあります。エディ・アルバレスはどの試合でも倒されていますが、そのたびに立ち上がっています。そこがエディ・アルバレスの最も怖いところです。

そんなエディ・アルバレスのことを心の底から尊敬しています。でも、その彼を僕はぶちのめさなければならないです。そのためにしっかりと距離を取り、アゴにパンチを入れてKOしたいです」

──世界を驚かせる準備はできていますか。

「エディ・アルバレスの絶頂期はBellatorやUFCでチャンピオンだった時です。あの時のエディ・アルバレスに勝つなんて本当に困難なことです。ただし、今は違います。彼のピークは過ぎました。試合をするたびに弱くなっています。

今のエディ・アルバレスなら7割から8割、彼を倒すチャンスがあると思っています。自信はあります」

──この試合に向けて、勝てばタイトル挑戦が近づくという気持ちはありますか。

「エディ・アルバレスに勝てばタイトルに挑戦できると思います。クリスチャン・リーは1位のダギ・アサラナリエフ、2位のユーリ・ラピクス、3位のティモフィ・ナシューヒン、4位の青木真也選手に勝っています。現状5位のマラット・ガフロフに自分は勝ち、ここでエディ・アルバレスに勝てば、クリスチャン・リーへの挑戦者という話題になれば、自分も言及されることになると思っています。

ただし、エディ・アルバレスに勝っても自分はONEで2勝したに過ぎないです。だから、自分からタイトルショットを口にすることはありません。それにエディ・アルバレスにまだ勝っていないで。今はエディ・アルバレスに勝つことに集中しています」

──今回、オク・レユン選手がエディ・アルバレスと戦うということで、強い意志を持ってMMAを続けていれば大きなチャンスが巡ってくると日本の若いMMAファイターにも示してくれました。

「……。そこだけなんです、自分が今プレッシャーを感じているのは(苦笑)。チームMADでも『これはお前1人の試合じゃない。若く将来に夢を見ている連中がお前の背中を見ている』と言われて……凄く重圧になっていて……。今、日本の若い選手たちもそういう風に自分の試合を見ているんだと分かり、プレッシャーが強くなりました……。

でも同時にそう言ってもらえて、より気合が入りました。絶対に何があっても、試合中に諦めることはないです。ありがとうございます」

■視聴方法(予定)
4月29日(木・日本時間)
午前9時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■ ONE TNT04 対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者] ライニア・デリダー(オランダ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
オク・レユン(韓国)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
ウマウ・ログログ・ケニ(セネガル)
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
青木真也(日本)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ(ベラルーシ)

<60.6キロ契約/5分3R>
コルビー・ノースカット(米国)
コートニー・マーチン(豪州)

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【ONE TNT04】フォラヤン戦へ、離日前日の青木真也─02─「ダウンは嫌だという教育は受けていない」

【写真】ロータス世田谷でのグラップリング練習が、試合前と試合後もさほど変わりがない。それが青木のMMAファイター人生でもある(C)MMAPLANET

29日(木・現地時間)に開催されるONE119:ONE TNT04でエドゥアルド・フォラヤンと対戦する青木真也インタビュー第2弾。

青木真也はなぜ、『ノー』と言わないのか。この価値観が生まれた背景を青木が語った。

<青木真也インタビューPart.01はコチラから>


──イベントを成立させるため、仕事として。

「ハイ。独特な興行文化で、そこは日本的な感覚だと思います」

──そんななか青木選手はファンが『エドゥアルド・フォラヤンよりもエディ・アルバレスとの試合が見たかった』という意見を持ったとしても、気にならないということですか。

「そのような声があり、気にならないことはないです。でも、そことは違う魅せ方や世界観を創れるぐらいの自信があります。相手が立たなくても自分を曝け出して創る方法や、相手で創っていく方法もあります。リベンジ戦、因縁の決着戦という創り方もある。

そこは色々な意見を言ってもらえるけど、多様性を持って創造していきます。それがベストを尽くすということなので」

──そこに付随する勝敗については、どのように捉えているのですか。

「試合だからアップダウンは絶対に存在します。そこでアップにならないからやりたくないっていうのは、色々なところで見てきたけど……それは嫌な気持ちになってしまうんです。

平田樹がGPに出ることになって、色んな反応があったじゃないですか。あれってもうアップダウンで、アップすることだけを見て、ダウンするのを恐れているから出る反応で」

──興行という全体利益のなかで、勝負という個人の利益が存在する。致し方ないことですけど、それを個人でなく集団の反応があったことはなんか怖かったですね、個人的にも。

「ダウンを嫌がると、成り立たないですよ。ダウンは存在するし、アップだけじゃないと嫌だってなると、ジェイムス・ナカシマ戦なんて受けていないですよ」

──今やセイジ・ノースカット戦にしても、青木選手の実績を若い選手が奪いに来るマッチメイクで。それはプロモーションとしては、ごくごく正常な流れかと思います。

「そういう仕事ですからね。役割です。ダウンは嫌だっていうのは、僕が教わってきたことにはないです。それが僕の受けてきた教育なんです。PRIDEからDREAMで、あの役割で教育されたこと……断ることはできなかったです。『この試合は嫌だ』なんていうことは許されていなかった。

ケガをして、眼窩底骨折しても試合をするのが普通。だから、ケガをしないようにしようという務めることが当たり前になって」

──それが正しいとは思えないですが……。

「ハイ。良いか悪いかではなく、そういう風に教育されたんです」

──以前は対戦相手を問わず、誰とでも戦う。それが普通という時代もありました。そういう時代を経たからこそ、自分の下の世代にそうはさせたくない。『ノー』といえる環境を創りたいという風に思った人々もいるかと思います。

「それができるようになった人は……多分、俺ぐらい詰められていないッスよ。マジで。俺ぐらい詰められていない。絶対、それは言えます。

シャオリンとやりたくないって言ったら、赤坂プリンスに呼ばれてずっと帰してもらえなかった。そういうことをされていない」

──……、……。

「あの時はマッハに負けた次の試合で。やられた後にシャオリンでって……『約束、違うじゃん!! ダウンを飲んだら、アップをくれるって言ったじゃん!!』みたいな(笑)。この仕事で落ちたら、つぎはアップ下さいねって言う話をしていましたからね。『それ、なくないですか!!』って。

そうやって詰められたから、もう嫌で……呼び出されても行かなかった。そうしたら練習が終わった時に、ジムまで来ていた──とか。そういうことされていないから、断れるようになるんです」

──それはもう監禁で、今や出るところに出ることができる話ですね。

「JZとの2回目の時は、赤坂プリンスに半日いましたから」

──つまり青木選手は、当時は「ノー」ということがあったということですね。

「言っていました。『この状況で、1カ月後になんて試合できないです』って言っても『いや、やれ』、『やらなきゃダメ』、『ダメだよ、何言っているの?』って延々と続きます。だから、最後は折れるしかない(笑)。それは実は何度もありました。

今は亡き赤坂プリンスに詰められるなんてことを、誰もしていないから。教育されていないから、断ることができるんですよ」

──それは都合の良い教えであり、教え子にとっての学びではないですね。

「もう白虎隊みたいなもんですよ。ならぬことはならぬものです──みたいな。そういうのがない他の人とは、感覚が違うと思います」

──その経験、今からするとあって良かったということなのですね。

「ハイ、あって良かった。絶対にあって良かった。それがなかったら、強くはなれなかった。あれがあったから、シャオリンと戦って、また強くなれたし自分の中のMMAが進化しました。

DREAMの最初のころは『嫌だ』といっても詰められて、結局はやることになる……どうせなるから、もう諦めて『誰がどうなっても絶対にやる』という風に変わりました」

──『ノー』が通ったことは、なかったですか。

「ない。1度もない。立ち位置的に僕はないんです。ノーが通った人は逆に中心でなかったと思います。対戦カードが興行の都合で変わるなんて多々あったんで。

長嶋☆自演乙戦だって、最初にフィックスされていたのは青木✖川尻だったし。『ハイ、やりま~す』って言っていたら、『へっ? そうなの?』なんてことがあるので。そんなことは毎年ありましたから」

──ノーと言える方が良いのですが、ノーと言えない状況は人間を強くするなと思い返すことはできます。

「フリーライターって、ノーって言っちゃうと次が来ないってことですよね」

──そこは本当にそうで。20代の頃にそれを経験していると、45歳になってもノーとは言えなかったです。

「断れるっていうのは──甘えか、裕福か。この2つですよね」

──もう、その通りだと思っていましたね、実際に私も。ただ今では断りますし、何のためにやるのか──自分の役割は、自分のためになるのか、そこを考えてノーというようになりました。同時に次の世代にはノーといえる環境で仕事をしてもらおうとは思っています。

「そこができるキャリア、ノーと言える自信がついたということでしょうね。それと信頼感、信頼感があるとノーもいえます。でも、僕は『ファイターたるもの逃げちゃだめだ』とかっていう漢気でなくて、仕事だから断らない。

タクシーの運転手をしたら、近くだから下りてくださいなんて言わないし。藤田和之さんや石澤(常光)さんが『穴を空けちゃいけない』とよく言われていて。そこも教えてとして、感じてきたというのはあります」

■視聴方法(予定)
4月29日(木・日本時間)
午前9時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■ ONE TNT04 対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者] ライニア・デリダー(オランダ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
オク・レユン(韓国)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
ウマウ・ログログ・ケニ(セネガル)
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
青木真也(日本)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ(ベラルーシ)

<60.6キロ契約/5分3R>
コルビー・ノースカット(米国)
コートニー・マーチン(豪州)

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【ONE TNT04】フォラヤン戦へ、離日前日の青木真也─01─「エディ・アルバレスでどうだっていう話も」

【写真】シンガポールへ向かう前日にいつも通りのグラップリングスパーリング──も、若干の心持の違いは伝わってきた (C)MMAPLANET

29日(木・現地時間)に開催されるONE119:ONE TNT04でエドゥアルド・フォラヤンと対戦する青木真也。

当初の予定ではセイジ・ノースカットと戦うことが決まっていたが、COVID19の治療後の後遺症により欠場となり、フォラヤンと3度目の対戦が決まった。

ノースカット戦の期待が高くファンからは落胆の声も聞かれたが、青木自身は対戦相手が代わろが精神的にも起伏はない──なぜ、そのような信条の持ち主になったのか等を日本を発つ前日、ロータス世田谷での練習前に青木に尋ねた。


──明日、シンガポールへ向かうということですが、色々と試合前からあったエドゥアルド・フォラヤン戦です。

「コンディションとかはスロー調整で無理なくやれているんで、悪くない気がします」

──北米基準というところでセイジ・ノースカット戦は楽しみだったのですが、ここでフォラヤン。もちろん、青木選手がもう『相手が代わるから、試合をしない』という選択はないことは十分に分かっているのですが……。

「ノーと言う文化がありますよね。そこは僕はあんまりないから」

──ノーとは言わなくても、気持ちの浮き沈みというのはなかったですか。

「それも正直言って、あまりないんですよ。なんで、そうなるのか自分でも分からないです」

──ノースカットが欠場、対戦相手はフォラヤンという風に同時に連絡があったのでしょうか。

「『セージ、欠場です。コロナのようです。実は秋山選手もケガをしていて欠場で、フォラヤンとやってくれという話ですが、断りますよね』というテンションだったんですけど、
僕としては『やる、やる』というだけで」

──結果的にタイナネスの名前がカードから消えていましたが、その日に出場予定だったローウェン・タイナネスやピーター・バウシュトでも『やる、やる』ですか。

「ハイ、変わりません。戦うことに関しては、変わりないです。その『やらない』という選択を最近の若い子はするじゃないですか? こういうことを言うと嫌がられるけど、皆断るじゃないですか。それって分かりやすくて、終わりを意識していないからです。永遠に続くと思っている。

右肩上がりで続くと思っているから、断るんです。あみだくじで当たりになるよう、はずれは引きたくないという風でいるから断る」

──キャリアが永遠ではない。終焉が近づいている。だから1戦、1戦を大切にして『ノー』という判断もあるかと思うのですが。

「終わりの意識が、そんなレベルじゃないです。明日できなくなる……この良い状態で明日はできなくなるかもという意識が明確にあるんです。それってどういうことなのかって色々な本とか読んでいると、限度が分かることが学問だという一文に辿り着いたんです。限りがあることを知るのが学問、つまり終わりがあるということじゃないですか。

終わりがあることを知るのが学問だし、有名な言葉では葉隠れの『武士道とは死ぬことと見つけたり』みたいな。これって戦時下で特攻隊に向かわせるために、死ぬことを厭わないという間違った使い方がされていますけど、本来は明日何があっても良いように悔いなく生きようということで」

──だからこそ、コイツとやっておきたいから急遽代わった相手とはやりたくないという選手もいるかと思います。

「僕が変わっているんですかね……」

──結果論としてエディ・アルバレスが出てきたオク・レユンなら、同じトリロジーの第3戦でも青木✖アルバレスIIIが見たいという声があっても然りですし。

「僕はフォラヤンでも、アルバレスでもイエスです。実際にラカイ勢から陽性が出たかなんかで、フォラヤンが難しければエディ・アルバレスでどうだっていう話も来ました」

──やはり、そういう話もあったのですね。

「ハイ。『ならエディとやります』と返答したけど、『やはりフォラヤンになりました』という風で」

──それだけのやり取りを感情の起伏なくできるというのは、やはり青木選手は普通じゃないです。

「やっぱり僕が変わっているんだ(笑)。まぁ、僕はアルバレスでOKだったけど、フォラヤンになったということはアルバレスが『ノー』だったと解釈しています。オク・レユンだったら、特別な対策をやらないで戦って圧勝ちできると踏んだんでしょうね」

──青木選手と戦うには、また違った準備が必要だと。

「僕はそう思いました。触らせない練習とグラウンドの練習が必要になるだろうなって」

──エディ・アルバレスがそういう判断だったとしても、十分に理解できます。

「僕は誰とでも戦う、試合を受けるという感覚が普通だと思っていたので」

──とにかく、その試合でゲインがどれだけあるのか。得がどれだけあるのかは選手も考えるところだと。

「そういうことしていると、得していますか?」

──そこでプロモーションとWIN WINなら得がありますが、自分だけがWINの試合をしていると、それは結局得になるのかは微妙かと思います。

「ですよね! そうやって得はしていない選手はたくさん見てきましたよ。そういう渡り歩き方をしようとした選手を見てきたけど、決して得していないと思いますよ。チャンピオンシップしか嫌だとか、そんなの自分に都合よく戦おうとしているのが透けて見えるから。そうなると、俺は価値がつかいと思います」

──「負けた時に後悔したくない」という気持ちは理解できますけど、コロナ禍では目の前のチャンスに飛びつくべきだと思っています。先日も澤田龍人選手が、去年の10月に勝った相手ミャオ・リータオと戦って負けた。イベントを助けたファイトで、ただ負けた試合よりロスは少ないかと。

「まぁ勝たないと、得も損もないですけどね。ベルトコンベアで流れたわけで。こういう言い方が正しいかは分からないけど、澤田龍人もプロレスラーになった。プロの競技者ではなくて、プロのファイターになったんですよ。仕事だからやりますよって」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
4月29日(木・日本時間)
午前9時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■ ONE TNT04 対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者] ヴィタリー・ビクダシュ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
オク・レユン(韓国)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
ウマウ・ログログ・ケニ(セネガル)
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
青木真也(日本)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ(ベラルーシ)

<60.6キロ契約/5分3R>
コルビー・ノースカット(米国)
コートニー・マーチン(豪州)

The post 【ONE TNT04】フォラヤン戦へ、離日前日の青木真也─01─「エディ・アルバレスでどうだっていう話も」 first appeared on MMAPLANET.