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【Grachan65】TSUNEと対戦――手塚基伸―01―「極めるのが浪漫」&「なんちゃって格闘技ではない試合」

【写真】前列左から2番目が若き日のTSUNE。後列中央が手塚、左端は藤田大和 in ドリーマージム時代(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、TSUNEと対戦する手塚基伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

手塚が初めてグラチャンに出場したのは、2014年4月の中村謙作戦であった。あれから約9年が経った今の手塚にとってのグラチャンとは――。さらに今回対戦するTSUNEとの意外な関係についても語る。

<手塚基伸インタビューPart.01はコチラから>


――ここで手塚選手とグラチャンの歴史についてお聞きしきます。手塚選手のグラチャン初出場が2014年4月の中村謙作戦でした。当時、どのような経緯でグラチャンに参戦することになったのでしょうか。

「2012年からパンクラスを経てUFCに出たあと、VTJやROAD FGCを含めて4敗していました。その時にグラチャン代表の岩﨑(ヒロユキ)さんからオファーを頂いたんです。なぜあの時の自分に声が掛かったのか分からないんですけど(笑)。

グラチャンからのオファーを受けた理由は、一番はベルトが欲しかったからです。昔から沖縄の天下一ファイトや、パンクラスでもランキング上位には入るけどタイトルマッチが組まれなくて。だからベルトへの執着心もあったし、年齢的にも――当時は25歳ぐらいで、『ここらへんでベルトを獲っておきたい』と思っていました。その時期に来たグラチャンからのオファーはタイトルマッチやったんで、飛びつきました」

――当時のグラチャンの印象はいかがでしたか。

「今でこそグラチャンも大きくなったけど、当時は大会中ずっと音楽がガンガン鳴っていたり、他のMMA大会とは雰囲気が違っていたじゃないですか。そんなグラチャンに出ることが決まって、周りからはボロクソ言われましたよ。『手塚は堕ちた』って」

――国内MMAといえば修斗、DEEP、パンクラスなど「老舗」と呼ばれるプロモーションがあります。手塚選手がグラチャンに参戦した当時は、インディー系と呼ばれた他のプロモーションと老舗3プロモーションの序列が今とは違い明白でした。

「正直、自分もグラチャンを見たことがなくて。あと自分もまだUFCを捨てきれていなかったというか、またUFCに出られるんじゃないかという雰囲気もあったんです。まず国内でベルトを巻いて、もう一度UFCへ――という想いだったので、まさか自分のホームになるとは考えていなかったですね」

――ではグラチャンをホームだと考えるようになったのは、いつ頃でしょうか。

「俺がグラチャンを背負うと思ったのは、グラチャンンのベルトを巻いたあとにグラジエーターで大道翔貴選手に負けて(2016年7月に判定負け)、次にZSTで柏崎剛選手と対戦した頃(同年11月に判定勝ち)ですね。大道選手に負けて、現グラチャンン王者として申し訳ないという気持ちでベルトを返上しましたから。その頃からグラチャンへの愛が芽生えてきたのかな、と思います」

――2019年からは修斗に参戦しています。その時も、グラチャンの選手として修斗に出ているという気持ちは強かったのですか。

「グラチャンの10周年記念大会(2018年9月、GRACHAN36)で堀友彦選手に負けてベルトを獲れず、自分は一度引退したんです。当時は試合に出ながらアルバイト生活みたいな感じで。だけど子供が生まれたから……堀戦で負けたら引退して、ちゃんと仕事を始めようと思っていました。結果は負けて、とある会社の正社員になってMMAからは離れたんです。でも8~9カ月後ぐらいに復帰することになった際に、『自分はもうグラチャンには必要ない選手やな』と思って」

――というと?

「もうグラチャンのバンタム級では全員と対戦していましたから。それやったら新しい場所で、気持ちも新たにして戦おうと考えました」

――様々なベルトを獲得した手塚選手にとって、もう一度グラチャンのベルトを獲りに行ったことは、どういった意味を持っていたのでしょうか。

「子供にベルトを見せたかった――それが一番ですね。先ほども言ったとおり子供が生まれたばかりの時の試合で。そう考えると、僕のキャリアの節目には、常にグラチャンがあったような気がします。まずベルトが欲しいと思った時に最初のオファーがあって、子供が生まれた時にベルトを見せたい、負けたら引退しようというのが堀戦で」

――堀戦以降はグラチャンの試合を含めて7勝1敗の戦績で、グラチャンのベルトも取り戻しています。何再び上昇気流に乗っているような感覚はありますか。

「実は、ありますね(笑)。RIZINのヤマニハ戦は負けてしまいましたけど、その前には6連勝していますから。それも『格闘技と共存しよう』と思ってからですよね。格闘技も大事やし、家族もジムも大事。特に子供は――今5歳なんですけど、今この時間は戻らないものじゃないですか。だから、できるだけ子供と一緒にいる時間を増やしたいです。でも死ぬ時に後悔したくないから、MMAもしっかりやりたい。どれかが突出することなく、全てがうまく回り始めているのかなと思います。

昔は時間があったから、いろんなことをやろうとしすぎてパンクしかけていましたよね。でも今は『できないことは止めて、できることを伸ばそう』とかも考えることができる。たとえば以前は壁を使って立ち上がるとか……苦手なことを身につけようとして(苦笑)」

――苦手なことって、自分で言ってしまいましたね(笑)。

「アハハハ。それを練習しても、試合では使わなかったですしね。今は逆転の発想といいますか、引き込んで極めるという」

――特にグラチャンのベルトを取り戻した伊藤空也戦では、ケージを使ってテイクダウンするのではなくケージを使って極めるという、ある意味新しいスタイルを見せました。

「やっぱり僕にとっては極めることがMMAの浪漫で、僕に対してその需要があるかぎりMMAを続けていきたいです。最近は手の置き方、体の動かし方や重心移動とか、ようやく『力を使わずに極める』ということが分かってきました」

――そして迎える15周年記念大会でTSUNE選手と対戦します。TSUNE選手について、今まで対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を意識したことはないけど、TSUNE選手が本名で戦っていた頃から試合は視ていました。年齢はTSUNE選手のほうが2歳上ですけど、やっぱり同じ時代を生きて来たファイターですからね。とにかくトップキープが強い選手で、お互いに『やることは決まっている』というタイプですよね」

――TSUNE選手の試合を視ていたのは、過去に繋がりがあったからですか。

「あぁ、岡山県のドリーマージムですよね」

――2008年ごろにTSUNE選手が格闘技を始めたのが岡山県倉敷市のドリーマージムで、手塚選手も当時ドリーマージムのMMAクラスで指導されていました。

「そのドリーマージムの食事会とかで、TSUNE選手と話をした記憶はあるんですよ(笑)。確かもともと野球をやっていて、ドリーマージムには一般会員さんとして入会していたと思います。それが食事会だったと思いますけど、いずれ東京でMMAをやりたいという話を聞きました。不思議なもんですよね。ここでその2人が試合をするとは……」

――本当に不思議な縁です。そのTSUNE選手との試合は、どのような内容になると思いますか。

「相手が何をしてこようと、何かしてきた時にパッと対処していきます。特に試合のプランがあるわけではなく、そこに足があれば足を極めるし、腕があれば腕を極めたい。僕って、直感型やと思うんです。何か考えながら動くよりも、パッパッと流れで動くことで、決められなくても次の流れに繋がっていくじゃないですか。自分も長いことMMAをやってきたので、その流れは身体に染みついています。

グラチャンの15周年記念大会で、パンクラスのベルトにも挑戦したことがあるTSUNE選手と対戦できるのは嬉しいです。お互い30代後半で、SNSで盛り上げるような『なんちゃって格闘技』ではない試合を見せることができると思います。ぜひ期待してください」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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【Grachan65】初出場で現王者の手塚基伸とノンタイトル戦――TSUNE―01―「もっとベルトが欲しくなった」

【写真】笑顔の陰にパンクラスのベルトを巻けなかった悔しさと、新しい戦いへの希望を見せていた(C)SHOJIRO KAMEIKE

10月15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 旗揚げ15周年記念大会で、TSUNEがバンタム級王者の手塚基伸とノンタイトル戦で戦う。
Text by Shojiro Kameike

昨年12月、プロデビューから11年の集大成としてパンクラスのバンタム級暫定王座決定戦に臨んだTSUNE。しかし田嶋涼を相手にKO負けを喫し、念願のベルトを巻くことはできなかった。あの敗戦から10カ月――グラチャン初参戦を控えたTSUNEが、MMAとベルトに対するモチベーションを語ってくれた。


――TSUNE選手とは昨年12月のパンクラス暫定王座決定戦の1カ月後にお会いしましたが、試合後とあって体重も増えていたと思います。その時と比べると、当然のことながら絞れてきていますね。

「久々のMMAの試合で、頑張っていますよ!」

――今年に入ってお会いした時は、しばらく休養を取るとお話していました。暫定王座決定戦のあとは、どれくらいの期間休養していたのでしょうか。

「丸々1カ月は休みました。そのあと山﨑(剛Me.We代表)さんから『そろそろ練習に参加してみようか』という連絡が来て。まずは減量もなく太っていましたし(笑)、まずは練習を再開して柔術の試合に出たんですよ。でも柔術の試合で、ちょっと負傷してしまいまして……」

――えっ!? せっかく復帰したのに。

「だからMMAの試合は復帰が遠のいてしまって。やっぱり練習を再開したばかりで試合に出るのは良くないですね(苦笑)」

――その負傷がなければ、もっと早くMMAに復帰するつもりでしたか。

「これからMMAの試合に向けて練習を再開しようと思っていたところだったので、『またかぁ……』と思いました。それでMMAの練習を再開したら、別の箇所を負傷して。今まで大きな怪我はなかったんですけど、急に連続で出てきましたよ。今年に入ってから、いくつか試合のオファーも頂いていました。でも怪我があって満足に練習できない状態だったんですよ」

――MMAを戦っているかぎり100パーセントの状態はないと思いますが、それでも試合ができる状態にはなってきたのですね。

「はい。もう年齢も年齢なので、どうやって怪我と付き合っていくかも考えていかないといけませんね」

――昨年12月の試合はハードファイトになりましたが、その直後にダメージはなかったのですか。

「試合のダメージはなかったです。試合中の記憶もありますし。何か一発が効いて倒れたというより蓄積で倒れたので、脳はハッキリしていました。最後にタオルが投入された時まで覚えています」

――蓄積で倒れるということは、それだけ打たれながらも立ち向かっていた証拠ではあります。試合を視ながら「なぜここまで出来るのか……」と思うほどでした。

「ベルトが欲しい。その執念だけですね」

――……。

「勝ちたい、負けたくないっていうより、とにかくベルトを巻きたかったです。あれだけ打撃をもらっていたら、普通は倒れているかもしれません。でも自分としては引き下がれませんでした。序盤に自分の打撃が当たって、少しベルトが見えてしまったのが逆に良くなかったのかもしれないけど……。思っていたよりも僕のパンチが当たって、いつもとは違い距離で戦ってしまったんですよね」

――結果、大激闘の末に敗れました。それでも試合としては大きな盛り上がりを見せたことは良かったと思えるのか。やはり、どのような試合内容でもベルトを巻きたかったのか……。

「試合内容が泥臭いものになっても、ベルトを巻く。その気持ちしかなかったです。確かに大激闘にはなりました。でも自分の中では『負けパターンに入っているなぁ』と思っていましたね。何よりも試合中に『これは打撃で勝てる』と考えてしまったことは、僕の驕りでしかないんですよ。もっともっと泥臭くいかないといけなかったです」

――なるほど。手が届きそうで届かなかった暫定王座を獲得した田嶋選手が、次に正規王者の中島太一選手と王座統一戦を行いました。あの試合を、どのように見ていましたか。

「まぁ、僕が勝っていたら自分が出ていたであろう試合ですからね。でも、それが僕と田嶋選手の差だし、自分がベルトを獲れなかった理由だと思うんです」

――というと?

「よく負けたあとに『再戦したら勝てる』という選手もいるじゃないですか。でも、あの日あの時に勝てなかったのが、僕の実力であって。あの日あの時に、あのチャンスをモノにしたのが田嶋選手の強さであり、僕との差なんです。Me,Weにはチャンピオンが多くて、彼らを見ていると、その差がよく分かります。『持っている』という表現は、運とかそんなものじゃなく――あのチャンスをモノにすることが強さなんですよ。

自分としてはMMAを続けるかぎり、『あのタイトルマッチがあったから――』と言えるようにしたいです。やっぱりベルトを巻くことができずに、人生で経験したことのない悔しさがあって」

――その悔しさの先に、絶望や引退という2文字は浮かびませんでしたか。

「ありましたよ。『もう自分には無理なのかな……』とか思いました。でもベルトを巻くことができなかった分、もっとベルトが欲しいという気持ちが強くなったんです。そこで今回、グラチャンから良いオファーを頂いて。手塚さんは現役のチャンピオンじゃないですか。ノンタイトル戦で勝ったら、次はタイトルマッチですよね。ここで勝って、必ず次に繋げたい。そういうモチベーションは高まりました」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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【Grachan65】15周年記念のホームで、TSUNEと対戦――手塚基伸―01―「格闘技と共存しよう」

【写真】ある世代にとってのカフェバーのような雰囲気があるシークレットベース ドミネート(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、バンタム級王者の手塚基伸がノンタイトル戦でTSUNEを迎え撃つ。
Text by Shojiro Kameike

「グラチャンは自分にとってホーム」という手塚は、2021年12月に一度失っていたバンタム級のベルトを獲り返し、昨年はRIZINで2試合を経験している。アラン・アラニハには敗れたものの、メイマン・マメドフを下した試合は、寝技師である手塚らしい試合内容といえた。プロキャリアも50戦を超えてもなお、自身のスタイルを貫き戦い続ける秘訣とは。


――今回は手塚選手が運営するジム『シークレットベース ドミネート』に伺いました。このジムをオープンしたのは2020年ですよね。

「2020年2月25日がオープンでした。その直後からコロナ禍があって……」

――もともと総合格闘技道場コブラ会に所属していた手塚選手が、自身のジムをオープンしようと思った理由を教えてください。

「もともと格闘技しかやっていなかったので、自分のジムの出すのは夢でした。子供が生まれてから別の会社で正社員として働きつつ、ジムを出すために動いていたんです。まさかコロナ禍が起こるとは予想していなかったですけど(苦笑)」

――あの状況は誰も予想していなかったと思います。

「オープンして2カ月経ったら緊急事態宣言が発令されたので、ジムを閉めなアカンようになりましたよね。全く入会もないので、その頃はまた朝から夕方まで別のところで働いて、夜になったらジムを開けて――という毎日でした。コロナ禍が開けてからは回復してきています」

――ジム名を「ドミネート(dominate)」とした理由は何だったのでしょうか。

「格闘技の試合で『ドミネートする』と言うじゃないですか。支配する、制圧する――完全試合という感じですよね。自分の『漬けきる』という試合スタイルも掛けています。あと『シークレットベース』というのは秘密基地という意味で。最初に物件を見た時に『あっ。秘密基地や』と思いました(笑)。それでシークレットベースと、ドミネートをくっつけました」

――『制圧する秘密基地』という名前は、格闘技を知らない人からは怪しまれませんか(笑)。

「アハハハ! そのうえ、派手な色のネオンを使っていますからね。コロナ禍の頃は飲食店が閉まっていたじゃないですか。どこかで飲みたいと思って、お店を探していたんでしょうね。このネオンと名前を見て、バーやと思って入ってくる人もいましたよ(笑)」

――確かにバーの雰囲気はありますね! そんななか、今回はグラチャン15周年記念興行で、TSUNE選手と対戦します。グラチャン参戦は、2021年12月に伊藤空也選手からバンタム級王座を奪取した試合以来となりますね。

「やっぱりグラチャンは自分にとってホームやと思っているので、その15周年記念に呼んでいただいて嬉しいです。去年10月のRIZINの試合から間隔も空いていて……、選手とジム経営を並行しているなかで試合間隔が空くと、どうしても試合へのモチベーションも落ちてきます。年齢的(現在36歳)なこともありますしね。そのなかで試合が決まったら、もう一度気持ちを盛り上げることができます。

正直、燃え尽きていたような感じはあったんですよ。グラチャンのベルトを獲り返して、アラン・ヤマニハ戦は負けたけどRIZINというものを経験できた。その次にマメドフ戦で勝つことができて、一度負けているRIZINで勝った――そのあとは『早く試合がしたい』という気持ちも薄れてきていました」

――手塚選手もベテランの域に達してくるなかで、グラチャンをはじめ多くのベルトを巻いてきました。UFCやROAD FCなど海外の試合も経験しています。その手塚選手にとって、MMAを戦ううえで今の目標は何なのでしょうか。

「以前は、それこそ『格闘技で死にたい』と思っていました。自分は格闘技と心中するんや、って。でも結婚して子供が生まれると、そういうわけにはいかない。だから『格闘技と共存しよう』と考えるようになりました」

――『格闘技と共存』、なんだかグッとくる言葉です。

「格闘技と共存するための方法の一つが、ジムだったんです。ジムがあるから――ジムのための試合をすることが肯定されるというか。もちろん試合をすることが、格闘技と共存することにも直結しますし。だから、戦いたいっていう気持ちは持ち続けています。あとは今の時点で、プロで55試合しているんですよ。だから60戦を目指そうかな、と」

――もう55戦も経験している現役選手は、MMAでは少ないですよね。ただ、それだけ試合をしているとダメージや体力面なども心配になりませんか。

「心配がない、と言えば嘘になります。家族もいて、ジムもある。自分が動けなくなったらジムも動かせないし、家族が路頭に迷いますからね。だけど、やっぱり格闘技が好きなんですよ。やれるなら、ずっと試合をし続けたいと思っています」

――その想いが相反するといいますか、家族やジムのことが試合でブレーキをかけてしまうことはないですか。試合をすれば怪我もあります。怪我があればジム経営にも支障が出て来るでしょう。

「ブレーキ……う~ん、それがないんですよ(笑)」

――……はい。どの選手に訊いても、そのブレーキがないですよね。それがファイターの凄いところだと思います。

「アハハハ、何なんでしょうね。でも僕の場合は、大きな怪我をしたことがないのも大きいと思います。もちろん小さな負傷はありますけど、選手生命を脅かすような怪我は経験していないですね。今まで手術といっても、ヒジの関節ネズミぐらいで。別に怪我をしないように戦っているわけでもないけど、試合直後に入院したという経験もないですし。だからいつも大丈夫と思って試合していますね。今回はグラチャンの15周年記念興行じゃないですか。自分は30周年記念興行に出るつもりですよ」

――えっ!? 15年後は手塚選手も50歳を超えていますよ。

「グラチャンでいえば、桜井隆多さんも50歳を過ぎて試合されていますよね。自分もそれぐらい戦い続けたいです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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ACA BELLATOR MMA o ONE RIZIN RYO UFC アキラ アリ・アブドゥルカリコフ キム・ギョンピョ ジョニー・ケース トフィック・ムサエフ ナリマン・アバソフ ルイス・グスタボ ヴガール・ケラモフ 中島太一 中村優作 宇佐美正パトリック 手塚基伸 朝倉海 武田光司 鈴木千裕

RIZIN LANDMARK7:アゼルバイジャン大会でフェザー級タイトルマッチ・ケラモフ vs. 鈴木千裕、ムサエフ vs. 武田など5カード発表。

RIZINフェザー級(66kg)選手権試合 5分3R
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)王者
鈴木千裕(日本)挑戦者

地元でメインを飾るケラモフはタイトルマッチに。挑戦者はクレベルとのタイトルマッチでノーコンテストとなり、7月のRIZINではライト級契約でパトリシオ・ピットブルを1RKOした鈴木千裕。今回も圧倒的不利は否めない鈴木だが、それでも一発KOのチャンスは常にある。

▼ライト級(71kg)5分3R
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン
武田光司(日本)

7月のRIZINではアキラにKO勝ちしたムサエフ。相手はジョニー・ケースに勝って一躍日本人ライト級エース格となった武田。昨年末のBellator対抗戦でのラバダノフ戦、4月のルイス・グスタボ戦は善戦したものの判定負けで連敗中。

▼フライ級(57.0kg)5分3R
メイマン・マメドフ(アゼルバイジャン
ジャスティン・スコッギンス(米国)

マメドフは昨年微妙な戦績でアゼルバイジャン第3の男としてRIZINに参戦するも、手塚基伸の三角に捕らえられた体勢で打撃をもらい続けレフェリーストップ負け。今年4月の2戦目は中村優作を開始直後の打撃戦でKO。一発はあるが、手塚戦を見る限りそこまでレベルは高く見えない。

スコッギンスは5年前、UFCをリリースされた直後にRIZINに参戦。元谷と階級上の60kg契約で対戦し、1Rティーピーチョークで一本負け。翌年朝倉海戦が組まれたが負傷欠場し、8月の名古屋大会で地元の祖根と対戦して判定勝ちしたが、その後はオファーがなく、ローカルイベントで3連勝中。

▼ライト級(71kg)5分3R
トゥラル・ラギモフ(アゼルバイジャン)21勝9敗
キム・ギョンピョ(韓国)12勝4敗

RIZIN初参戦のラギモフ。本来はフェザー級の選手で、バンタムに落としたこともある。フェザー級時代にロシアのACBで中島太一に勝利しているが、今回はライト級での出場。ACB・ACAでの戦績はトータル8勝7敗。

HEAT王者ギョンピョは昨年Road To UFCに出場し準決勝敗退。今年4月のRIZIN初戦では、宇佐美正パトリックをテイクダウン→パウンド→チョークで圧倒し、MMA経験の差を見せつけた。

▼ライト級(71kg)5分3R
ナリマン・アバソフ(アゼルバイジャン)28勝4敗
アリ・アブドゥルカリコフ(ロシア)12勝2敗

アバソフは昨年9月にコンテンダーシリーズに出場し、ボンフィム兄弟の兄・イスマエル・ボンフィムにダウンを奪われて判定負け(ボンフィムは現在UFC1勝1敗)。ロシアのAMC Fight Nightsでライト級王座を獲得している。

アブドゥルカリコフは2019年にライト級GP査定試合として川尻と対戦するも、テイクダウンで削られスタミナ切れで判定負け。以降は呼ばれなかったが、今年4月にジョニー・ケース戦が組まれ再登場。2週間前にケースが欠場して代役の雑賀“ヤン坊”達也と対戦し、1RKO勝ちした。

今回のテーマはアゼルバイジャン vs. 世界選抜で、ケラモフとムサエフ以外、世界を迎え打てる選手がいるのかが疑問だったが、いい感じにRIZINで直近勝ってはいるが世界レベルではない選手を連れてきている。セミとメインがある分だけ、今月のRIZIN.44・来月のLANDMARK6よりいいカードかもしれない。

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【Grachan65】15周年大会にバンタム級王者の手塚が出場。パンクラスランカーTSUNEを迎え撃つ

【写真】グラウンド勝負の前に、どう組むかがカギとなる両者の一戦だ(C)MMAPLANET

10月15日(日)、東京都江東区のTFTホール1000で開催されるGrachan65の全対戦カードが決定した。旗揚げ15周年記念大会として行われる今回の興行では、現バンタム級王者の手塚基伸が、パンクラスの王座挑戦経験を持つTSUNEと対戦する。

Text by Shojiro Kameike

GRACHANは2008年12月にディファ有明で旗揚げ。以降は15年間で70を超える大会を開催してきた。そのGRACHANについて「自分にとってホームやと思っている」と語る手塚は、2021年12月のGrachan52以来、1年9カ月ぶりのホーム参戦だ。前回は伊藤空也を秒殺し、かつて自身が返上したバンタム級王座を奪還。昨年はRIZINで2試合を経験している。

テイクダウンとトップコントロールが必要とされる現代MMAにおいて、手塚のスタイルは異色なものとなった。自ら下になり、相手の腕を殺しながら腕十字や三角絞めを狙う。昨年10月にはRIZINで、アゼルバイジャンのメイマン・マメドフを三角で捕えてからパンチ連打を浴びせ、TKO勝ちを収めた。

手塚に挑むのは、昨年12月のパンクラス暫定バンタム級王座決定戦で田嶋涼に敗れて以来の復帰戦となるTSUNEだ。田嶋戦はTSUNE有利という声も多かったなか、結果はTKO負け。来はテイクダウン&トップコントロールの選手であるTSUNEは、「序盤にパンチが当たったので、そのままパンチで攻めてしまった」と敗因を語っていた。

TSUNEとすれば、手塚の伸びるパンチを警戒して中途半端な距離から飛び込むことは避けたい。それこそ手塚にとって最も良い形--引き込んでからサブミッションに移行する展開の強さは健在で、それは伊藤戦とマメドフ戦でも証明済だ。互いにグラウンド勝負よりも、いかにしてスタンドで削り、自分の得意な形で組めるかどうかが鍵となる。

さらに今回は同じバンタム級で、伊藤空也×高須将大がマッチアップされた。主催者側からは、7月にフライ級で弘田颯志を下した田中智也を加え、バンタム級を活性化させたいという狙いも伝わってくる。

すでに発表されているライト級の2試合も同様だ。ライト級王者の原口伸はRoad to UFCに出場中で、UFCと契約に至れば王座は返上となるだろう。今回出場するダリ、岸本、小谷、そして林RICEがそのベルトを争うことになるのは間違いない。今後のライト級戦線を占うマッチメイクとなった。

なお今大会は、元GRACHANライト&フェザー級王者の阪本洋平が引退エキシビジョンマッチを行う。その相手を、同じく元2階級王者の山本琢也が務めることも発表された。

■Grachan65対戦カード

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ共和国)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+延長1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+延長1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王8日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
YO-HEI(日本)
今村豊(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

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MMA MMAPLANET NEXUS o PRIDE ソン・ヒョンジョン 堀友彦 手塚基伸

【HEAT52 X Angel’s FC27】エンジェルズFCとの対抗戦出場、堀友彦「セコンドの一枠を長男に」

【写真】それぞれのMMA観、それぞれのMMAファイター人生(C)MMAPLANET

19日(土)に東京都港区のニューピアホールで開催される「HEAT vs AFC 対抗戦Rd.2 in JAPAN」にて、堀友彦が韓国のソン・ヒョンジョンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

特定のジムに所属せず、フリー一筋で様々な団体を渡り歩いてきた堀。2018年9月の手塚基伸戦を最後に怪我で長期欠場を余儀なくされたものの、昨年11月に約4年ぶりの復帰を果たした。ギラギラした野心とは違う、淡々としながらも格闘技への熱を感じる言葉で試合への意気込みを語った。


――これまで様々な団体を渡り歩いてきた堀選手ですが、HEAT参戦はいつ以来になるのですか。

「15年くらい前ですね。名古屋で坪井(淳浩)さんとやらせてもらって以来です(2007年3月)。そろそろ試合がハマったらいいなと思っていたところで、今回の話をいただいて、HEATさんに出させてもらうことになりました」

――今回はHEATと韓国のプロモーション=AFCとの対抗戦が行われ、堀選手の試合も対抗戦として組まれたものです。対戦相手のソン・ヒョンジョン選手にはどんな印象を持っていますか。

「1試合だけ試合映像を見ました。AFCでブラジル人とやっている試合だったんですけど、いかにも韓国人選手らしい頑丈な選手だなと思いました」

――堀選手はいつをプロデビューとするかにもよりますが、キャリア約20年&40戦の大ベテランです。これだけキャリアを積むと、試合に関して対戦相手のことはそこまで気にならないですか。

「ホントに長くやっているので、対戦相手に合わせて新しい技術を覚えて戦略を立てて…というのは難しいと思うんですよ。20年もやっていれば、自分も形が出来上がっているので。いかに自分の調子とコンディションを上げていくか。相手はこういうタイプだから、自分のどの武器を使って戦っていこうか。そこを考えてやっていますね」

――2018年9月グラチャンでの手塚基伸戦から約4年間のブランクがありましたが、何が理由だったのですか。

「足の怪我です。実は手塚戦のあとに大きな怪我をして、手術したんですよ。それで手術が終わって練習を再開したら、今度は別の箇所を怪我してしまって。それで試合間隔が空いてしまいました」

――そこまで大きな怪我は初めてですか。

「手術が必要な怪我は初めてでしたね。もともと痛めていた箇所で、だましだましやっていたんですけど、それが手塚戦で悪化して。そのまま練習を続けていたら完全にやっちゃいました(苦笑)」

――長年のダメージの蓄積があったのかもしれないですね。

「そうですね。練習帰りに歩けなくなっちゃうぐらいだったんで。これはもう手術しないと無理だと思いました」

――当時の堀選手はグラチャンのバンタム級のタイトルも保持していて防衛にも成功。直近2年間の成績は5勝1敗1分と好調でした。そのなかで大怪我をして、当時はどんな心境だったのですか。

「正直、手術するなら試合はやめようと思っていました。でも身体が動くようになって練習を再開したら、Fighting Nexusさんからオファーをいただいて。自分が教えている若い選手たちからも『堀さん、もう試合しないんですか?』って煽られて、だったら一丁やってやるかと思って復帰しました」

――堀選手は特定のジムに所属せずにフリーという立場で練習していますが、今はどのジムで練習されているのですか。

「今は池袋のBLUE DOG GYMさんでお世話になっています。柔道をやっていた子とか若くていい子が多いので、そういう子たちに自分が教えられることを教えながら、練習するときは一緒に練習してという感じでやっていますね。だから怪我をして動けない時期はありましたけど、格闘技と切れることはなかったです」

――仮に怪我で引退したとしても練習は続けたかったのですか。

「どうだろう……身体が動くようになったから練習を再開したという感じで、そこまで深くは考えてなかったです(笑)」

――ただ単に好きなことをやっているという感覚なのでしょうか。

「もう、依存症みたいなもんですよ(笑)。この年齢で格闘技を続けている人はみんなそうじゃないですかね」

――自然に復帰への気持ちが沸いてきたのですね。

「あと子供が2人いるんですけど、手塚選手とやった時、長男の方は試合を見た記憶があるくらいの年齢だったんです。でも次男はそういう年齢じゃなかったんで、僕の試合を見た記憶がないと思うんですよね。だから子供たちに自分が戦っている姿を見せたいと思ったのが復帰を決めた一番の理由ですね」

――では今の堀選手の試合に向かうモチベーションや目標はどこにあるのでしょうか。

「自分自身が満足したいですね。それこそ僕、最後にKO勝ちしてから10年以上経ってるんですよ。その間に一本勝ちはあったんですけど、久々に相手を“倒す”感覚を味わいたいんですよ」

――「誰かと戦いたい」や「どの団体のチャンピオンになりたい」ではなく、自分の道を追求するということですね。

「まさに自己満ですよ(笑)」

――いやいや(笑)。人生において20年以上も同じことをやり続けるというのはなかなかないですよ。

「でも僕と同世代の40歳前後の選手たちって意外に引退しないんですよ。僕らがMMAを始めた頃は、ちょうどMMAの人気が出始めた頃だったじゃないですか」

――PRIDEをきっかけにMMAが盛り上がっていた時期ですね。と、同時にジャンルとしてどうなるかはまだ分からない時期だったと思います。

「当時からMMAで有名になろうとか稼いでやろうと思っている人もいたと思うんですけど、今の子たちほど明確じゃなかったと思うんですよ。だから本気で好きじゃなかったらMMAをやってないと思うし、純粋にやるのが楽しかったんじゃないですかね。で、その楽しさを忘れられないまま、今もずっと続けている選手が多いんだと思います」

――一緒に練習をしている、あるいは練習をしてきた仲間とは縁が深いのですか。

「僕、練習仲間とプライベートの交流が全然ないんですよ。練習場所以外で会うのは試合会場くらいで、そこで軽く挨拶して…みたいな。ジムで練習する以外でコミュニケーションを取らないからこそ、こうやってどのジムにも所属せずにフリーのままでいられるんじゃないですかね」

――そこもお聞きしたいところでした。堀選手はKRAZY BEEで練習している時期があって、よくKRAZY BEEの選手のセコンドについていましたよね。なぜ所属ではないのにセコンドに選ばれているのか、すごく不思議だったんです。

「確かに周りから見ていたら僕の立ち位置がよく分からないですよね(笑)。たくさん選手のセコンドにもついたし、ついてもらったし、すごくありがたかったですよ。それこそKIDさんとも練習して、たくさん殴ってもらって(笑)」

――堀選手の「練習以外では選手とつきあわない」という姿勢がストイックですし、それがジムに所属していなくても受け入れられていたのですかね。

「どうなんですかね。例えば(田村)一聖とは年齢も近いし、その世代の選手たちとは初期の頃から一緒に練習させてもらっていたんで。そういうところで縁があったんじゃないかなと思います」

――復帰を決める一因にもなった練習仲間=若い選手たちに対して伝えたいことはありますか。

「今の子たちはみんな競技者であり、アスリートですよね。小さい頃に柔道やレスリングをやっていたり、それこそMMAの練習をやっている子もいるくらいなんで。僕らみたいにある程度年齢がいってから、面白そうと思ってMMAの練習を始める子は少ないですよね。だから今の子たちに早く強くなってほしいし、早くみんな上に行って頑張れよ!と思います」

――堀選手は自分のスタンスで格闘技を続けられてきたと思いますが、これからも格闘技には携わっていきたいですか。

「携わる……自分の場合は試合以外で格闘技に携わるイコール練習しかないんです。練習以外で携わる方法がないというか。もし試合をやらなくなっても練習はずっと続けるという感じですかね」

――なるほど。今回の試合はお子さんたちも見に来るのですか。

「そうですね。HEATはセコンドが3人までOKで、僕がいつもセコンドをお願いしているのが2人なんで、セコンドの枠が1人分余ったんです。改めて3人目を探してオファーするのも大変なんで、その1枠を長男にしようと思っていて。息子に間近で自分の試合を見てもらうことなんてなかなかないだろうし。でも息子がセコンドについていたら、こいつふざけてるなと思われますかね?」

――そんなことはないですよ。逆にこのインタビューを読んでもらえれば、堀選手の想いが伝わると思います。

「それならよかったです。僕は他のファイターと違って、こんな感じなんですけど(笑)、これからもよろしくお願いします」

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Grachan Grachan62 MMA MMAPLANET MMA甲子園 o YouTube ハシモト・ブランドン 中嶋紳乃介 大搗汰晟 小川道的 岡本純一朗 岩﨑ヒロユキ 弘田颯志 手塚基伸 村田俊 海外 田中智也 鍵山雄介

【Grachan62&MMA甲子園】「いま僕が死んだら、グラチャンはなくなる。でもMMA甲子園は、僕が死んでも残るものでないといけない」岩﨑ヒロユキ-02-

【写真】素晴らしい覚悟のある言葉です (C)SHOJIRO KAMEIKE

23日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGrachan62を前に、岩﨑ヒロユキ代表がMMA甲子園の実行委員長に就任した。
Text by Shojiro Kameike

プロ興行のグラチャンと、グラチャンのもとで開催されるアマチュア大会グラチャン・チャレンジとの関係、大阪でのアマチュア展開など岩﨑代表の想いを訊いた。

<岩﨑ヒロユキ・インタビューPart.01はコチラから>


――MMA甲子園の話に戻りますが、階級と減量についてはどのようにお考えですか。現状、MMA甲子園で設定されている最も軽い階級はフライ級です。高校生の場合、ストロー級が最適な選手もいるかと思います。

「階級については悩みました。実行委員会の皆さんとも相談していて――たとえば身長×体重でレギュレーションを考えるとか。でもMMA甲子園はアマチュア大会で、当日計量ですし、何をどうやっても減量はするわけじゃないですか。となると選手に無理な減量をさせたら所属ジムにペナルティを課すなどの対応を検討しています」

――まだ体が出来上がっていない段階で大幅な減量をしてしまうと、その後の身体形成に関わってきますからね。

「それは実行委員会と所属ジムが二人三脚でやっていくしかないです。実行委員会としても常に目を配っておかないといけない問題で。減量については選手ではなく、所属ジムの問題として捉えます。何かあれば所属ジムにも問題意識を持ってもらうように、実行委員会としても指導していくしかないですね」

――高校生の大会を開催するためには、プロ興行も問題意識を持たなければいけないと思います。キッズから高校生までが目標としてくれるようなプロ興行を開催すること。アマチュア大会だから厳しい、プロ興行だから緩い……ということは、あってはいけないわけで。

「計量について言えば、人間だから誰でもミスすることはあります。ミスした時にどうするのか。グラチャンに関して言うと、計量オーバーしたら次は同じ階級でオファーしません。いつも計量をクリアできるかどうか危ない選手には、常に指導し続けています。誰かは名前を出せないけど(笑)。

MMA甲子園では、そういった規約を明確にしておいたほうが良いでしょうね。一度計量オーバーしたら、二度とその階級で出場することはできないとか。そのためにもプロ興行を正しく運営していかないといけない、という意見は分かります」

――では、プロ興行においてタトゥーをどうするのか。MMA甲子園ではタトゥーが入っている選手は試合に出場できない。でもプロ興行なら良いのか。近年はタトゥーを入れることも一般的にはなってきましたが、アマとプロの関係を考えると問題は残ります。

「MMA甲子園ではタトゥーが入っている場合、オフィシャルのラッシュガードを購入してもらいます。ということは、それだけお金が掛かってしまいますよね。高校生にとっては決して安くない金額です。余計なお金を掛けたくないなら最初からタトゥーを入れない、という考えを持ってもらいたいですね。

一方で、プロは仕方ない面もあります。今はYouTubeでMMAを観ると、国内でも海外でもタトゥーが入った選手ばかりで。だからこそ、MMA甲子園なんですよ。『ラッシュガードを買わなきゃいけないなら、タトゥーを入れるのは止めようかな』と思ってくれる高校生が増えてくれたら――タトゥー問題に対して、MMA甲子園が少しでも抑止力になることができたら嬉しいです。もちろんタトゥーはファッションだし、高校を卒業して20歳を過ぎたら自分でどうするか考えれば良くて。もう大人ですからね。でもせめて……高校生の間は、その時の気分でタトゥーを入れるのは止めてほしい」

――タトゥーが入っている選手のみがラッシュガード着用で、相手がラッシュガードなしだとアンフェアになりませんか。

「そうですね。もともとラッシュガード着用については道徳面を優先して考えました。ただしフェアにならないというのは、そのとおりです。両方ともラッシュガード着用にするか、相手がラッシュガード着用でもOKした場合に試合を認めるか等、今後の検討課題ですね」

――MMA甲子園を開催することで、グラチャンは何か変わりますか。

「あくまで別組織なので、MMA甲子園に紐づいてグラチャンを何か変えないといけない、ということはないです。先ほど言ったとおり、計量については今のやり方を貫いていきます。たとえ選手にとっては厳しくても」

――分かりました。ではプロ興行のお話に移りますが、7月23日は前回の大阪大会と比べるとタイトルマッチもなく、関西の選手が中心となっています。

「大阪で大会を行うかぎり、大阪の選手が出ないと意味はないですからね。僕としては、いずれ大阪大会は関西の選手だけで試合を組みたいと考えています。これは書いてくれて良いけど、今回は手塚基伸と海外選手の試合を組む予定でした。でも海外選手が出場できなくなってしまって……」

――それは残念です。手塚選手と海外勢の試合は見たかったですね。

「今大会でいえば、第一試合に出る有田一貴選手はグラチャン・チャレンジ(以下、GC)を経ている選手です。来年は大阪大会でも、もっとGC出身選手がプロデビューすると思います。ようやく撒いてきた種が実を結びつつあるんですよね。

繰り返しになりますが、僕は選手にプロデビューしたことを後悔してほしくなくて。今まで、いろんな選手を見てきました。正直、グラチャンも初期は『プロかどうか』というレベルの選手も出ていたと思います。そういう選手が負けて、格闘技を辞めてしまう姿を見てきたんです。

彼らもアマチュアだったら格闘技を続けていたかもしれない。プロデビューするからには辞めてほしくないので、まずアマチュアで経験を積んでほしい。そう思っているからこそ僕もアマチュアにこだわっているのかな、って思います」

――MMA甲子園に出場した選手が芽を出すには、何年かかると思いますか。

「最低、3年はかかるんじゃないですか」

――MMAだけでなく、それこそ格闘技界だけでなく日本全体が経済的にも厳しい状況にあります。そのなかで高校生の大会を、いかにして3年以上続けていくか。

「だからこそ、各支部の力が必要なんです。僕ひとりだけでは絶対に無理ですよ。いま僕が死んだら、グラチャンはなくなるでしょう。でもMMA甲子園は、僕がいなくなっても残るものでないといけない。だから、しっかりと組織として固めていきたいです」

――グラチャン、GC、MMA甲子園以外にも今年開催された『J-MMAルーキーカップ』があります。

「ルーキーカップは10月8日が決勝で、来年も開催しますよ。これから各プロモーターの方々に相談します。今年は春に1回戦を行いましたが、来年は夏以降のスタートになるかもしれません。MMA甲子園の全国大会が来年に2月の開催予定ですからね。今後も楽しみにしていてください」

■Grachn62視聴方法(予定)
7月23日(日)
午後0時30分~Grachan放送局

■Grachn62対戦カード

<ライト級/5分2R>
林 RICE 陽太(日本)
小川道的(日本)

<無差別級/5分2R>
ハシモト・ブランドン(ブラジル)
岡本純一朗(日本)

<68㎏以下契約/5分2R>
鍵山雄介(日本)
村田俊(日本)
※当初、鍵山と対戦予定だった室井大勢が怪我のため欠場に。対戦相手が村田に変更となった

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
櫻庭泰裕(日本)

<ウェルター級/5分2R>
青木忠秀(日本)
モリシマン(日本)

<フライ級/5分2R>
弘田颯志(日本)
田中智也(日本)

<ウェルター級/5分2R>
上田拳翔(日本)
遠塚浩希(日本)

<ストロー級/5分2R>
藪本龍作(日本)
大貴(日本)

<バンタム級/5分2R>
中嶋紳乃介(日本)
有田一貴(日本)

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【Kiwami01】手塚基伸戦へ、石黒翔也─02─「逆にケージへ押し込んでくれたほうが……」

【写真】ケージで戦うことで、どのような攻防が生まれるのか。楽しみだ(C)MMAPLANET

19日(日)千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示場8ホールで開催される極~KIWAMI~で、手塚基伸と対戦する石黒翔也のインタビュー後編。

前編ではギとノーギで異なる取り組み方、さらに5分1Rという極ルールについて語ってもらった。続く後編では、石黒が大学で専攻していたというトレーニング論に。ここもまたギとノーギでは異なる。さらにケージという要素が加わったら、どうなるのか――という質問に対する答えにも、石黒のスマートな面が感じられた。

<石黒翔也インタビューPart.01はコチラから>


――石黒選手は昨年1月にIREで今成正和選手とコンバット柔術ルールで対戦し、オーバータイムで勝利しています。あの試合から先日のアンライバルドまで、ノーギの試合には出場していたのでしょうか。

「いえ、ノーギは出ていないですね。今成戦もコンバット柔術なので、純粋なグラップリングはアンライバルドだけです」

――今成戦でギを脱いだ姿を見た時に、まず『バランスの良い体つきだな』と思いました。

「ありがとうございます。体重でいえば、柔術はフェザー級がナチュラルウェイトなんです。通常体重が65~69キロぐらいで(※柔術のアダルトフェザー級はギ込みで70キロ以下)。Unrivaledの試合はバンタム級まで落として、計量後は5~6キロ戻りました」

――ノーギの試合に出る前から、フィジカルトレーニングには取り組んでいたのですか。

「筋トレは一度ヘルニアになってから中断していたのですが、つい昨日から再開しました。それは次の試合に向けて、ということではなく普段から長期的にやっていないといけないものなので。僕は高校時代から筋トレをやっているんですよ」

――高校時代というのは、ボンサイ柔術で練習していた頃からですか。

「はい。中学生でボンサイに入って、16歳から筋トレを始めたので、もう10年になりますね。ジムのスペースは半分がマットで、もう半分がトレーニング器具という感じでした。そのあと大学も、パーソナルトレーナーの資格を取得できるところに通っていましたから。解剖学や栄養学の知識を生かして、今もジムで教えることができています」

――大学で専門的に学んでいたのですね!

「ボンサイにいた頃は、あまり体は大きくならなかったんです。なぜか、そのあとに成長期が来て(笑)。それと大学で専門的な知識を得たことで、ちゃんと鍛えることができるようになりました。特に今のほうが、柔術とリンクさせることができたので伸びてきたと思います。

ずっと柔術と筋トレは別に考えていたんですよ。まず柔術に必要そうな筋肉を鍛えて、それを柔術で使ってみるという。今は筋トレをしている最中に、相手を押したり引いたりするような動作をイメージして鍛えています。すると神経が脳まで繋がって、柔術の試合でも反応が良くなったような気はします」

――なるほど。筋トレでイメージする動きは、ギとノーギでは異なりますか。

「自分の中では、そこまで分けていないけど、ホールドする力などは違ってきますよね。たとえばノーギだとギロチンを取るとき、腕を内側に絞るじゃないですか。アームカールの時にその動きをイメージして、より内側に絞って一度止めてみるとか。あとグリップを鍛える時は、柔術だと4本の指でギを掴むんですけど、ノーギだと変わってきますよね。そうやって、とにかく無駄な筋トレはしないようにしています」

――ギとノーギで、それだけ筋トレの内容が異なるとすれば、今後はノーギをメインにしていくのでしょうか。

「いえ、そんなことはないです。実は4月2日に、IBJJFのシドニーオープンに出場します。6月のムンジアルに向けて出場ポイントを得るために。しかもギの階級別と無差別、ノーギの階級別と無差別――全てエントリーしています」

――えっ!? 極の2週間後ではないですか。

「現状、ギの無差別で優勝したらムンジアルに出ることができます。もし階級別で優勝、無差別で優勝できなくても表彰台に上がることができれば、あと1回どこかで勝てばムンジアルに出られるという状態なんです。ノーギも12月のノーギワールドに出たいので、今のうちに海外で試合を経験したい。とにかくギとノーギを並行してやっていきます。

もちろん難しいことは分かっています。さっきも言ったように、スタイルが全く異なるので。どちらかに集中したほうが良いという声もあります。でも僕の中では、両方やることで相互作用が生まれて、強くなっていることを実感しています。クロストレーニングみたいな形ですよね。そうやって強くなることができているうちは、並行していきたいですね。

もしシドニーで、ギの試合で負けたとしても、ノーギの割合を増やしすぎたのか――ということが国際的な基準で分かるじゃないですか。それも、やってみないと分からないので。僕がノーギを始めたのは2年前で、伸び幅を感じています。これから自分がノーギでどれくらい強くなるのかっていう気持ちが強いです。プロマッチも今は負けなしですし」

――まだまだ伸びしろがあるのは今後も楽しみです。対戦相手として手塚選手の印象を教えてください。

「RIZINの試合を見ると、本当にグラップラーという感じですよね。手塚選手はRIZINでヒロ・ヤマニハ選手と対戦しているじゃないですか(昨年3月にヤマニハがRNCで勝利)。ヤマニハ選手は、僕のボンサイ柔術の先輩で。その試合も見て、手塚選手のMMAグラップリングに対して、どう僕の柔術グラップリングが生かされているか考えています。とにかくディフェンス力が強くて、僕の好きなようにはさせてくれない。そこをどう崩していくか、ですね」

――もう一つ重要なポイントは、極の試合がケージで行われることです。ケージの試合となれば、やはり手塚選手に大きなアドバンテージがあると思われます。

「そうなんですよ。僕は今成さんとの試合しかケージを経験したことがなくて、全く慣れていません。ケージ際で動くと痛いですしね(苦笑)。でも僕のイメージとしては、アンライバルドのルールのほうがやりづらいと思っています。あの試合は、相手が後ろに下がっても良いルールだったじゃないですか。そこで相手が下がり続けると、僕がアタックできない展開が続きますよね。それがケージだと、相手が下がるとケージに追い込めるんです。そこから自分の展開に持ち込めると思っています」

――確かに、その通りです。一方で、ケージに追い込めるというのは相手にとっても同じです。手塚選手に追い込まれた場合は……。

「逆にケージへ押し込んでくれたほうが、僕が相手の足を取りに行きやすいんじゃないかと考えています。もちろん自分のアタックも潰される場面は出て来るけど、そのぶん相手が近くに来てくれるわけですから。そこで足を取り、ケージとは反対方向に転がって極めるとか、いろいろとイメージしています。別に、絶対にケージ際で戦おうとも考えていませんし。

とにかく今は、試合で勝つことだけに集中しています。極のルールは5分間という限られた時間ですが、5分間でも極めることができる。それが自分の強みですし、その強みを最大限に生かして最高の試合をお見せします。当日は応援よろしくお願いします」

■ KIWAMI01対戦カード

<66キロ契約/5分1R>
手塚基伸(日本)
石黒翔也(日本)

<73キロ契約/5分1R>
マイケ大浦(ブラジル)
芦田崇宏(日本)

<80キロ契約/5分1R>
岡本裕士(日本)
川中孝浩(日本)

<74キロ契約/5分1R>
新居すぐる(日本)
小見川道大(日本)

<スポーツ柔術62キロ契約/5分1R>
高橋逸樹(日本)
伊集龍皇(日本)

<70キロスペシャルエキシビション/5分1R>
村田良蔵(日本)
所英男(日本)

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【KIWAMI01】手塚基伸と5分1Rの短期決戦、石黒翔也─01─「ポイントで勝つことは考えていない」

【写真】5分──サブオンリー&OTだとSUG。KIWAMIはポイントがあるので、白黒はつくが10分や15分とはある意味、別モノの組み技が見られそうだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

19日(日)に千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示場8ホールで開催される極~KIWAMI~で石黒翔也が手塚基伸と対戦する。
Text by Shojiro Kameika

2021年にJBJJF全日本選手権の黒帯ライトフェザー級を制した石黒は、以降ノーギの練習を増やして昨年1月にはコンバット柔術で今成正和を下している

さらには今年2月に行われたUnrivaled02で、元ONE世界ストロー級王者の猿田洋祐を相手ヒザ十字で一本勝ちを収めた。そして今回も再びMMAファイターとノーギで対戦する石黒が、まずはルールの観点から自身のグラップリングについて語ってくれた。


――手塚選手との試合を控える石黒選手です。ここ最近はコンバット柔術も含めてノーギの試合出場が増えていますが、ギとノーギではファイトスタイルも異なっているのでしょうか。

「はい、スタイルは違いますね。まず柔術はギが掴めるので、ギを掴んだ状態からのテクニックが多くなります。ノーギだと掴むところがないし、掴んでも滑るので、そのぶん関節自体をコントロールしないといけなくなるんですよ。自分の場合だと柔術ではガードが得意なので、そこが大きく変わっていまいます。でも、最近ノーギを練習するようになって、ノーギのスタイルが柔術のほうに生かされるようになってきています。そこがすごく面白いですね」

――猿田選手とは2019年の柔術修斗杯(当時は茶帯)で対戦し、ポイントで敗れています。その時から時間も経っているのですが、ギとノーギでは試合展開も大きく変わったのではないかと思いました。

「そうなんです。柔術では、よくデラヒーバやリバース・デラヒーバを使っています。でもノーギでは、リバース・デラヒーバはまだしも、デラヒーバはグリップが無いぶん難しいです。そこで前回の試合は、練習ではよくやっているんですけど――柔術の試合では1回も使ったことがないディープハーフで、潜って足を取りに行きました」

――石黒選手といえば、柔術の試合ではガードポジションを整えてからスイープ→パスを仕掛けるという印象がありました。

「前回のルールは、ほぼサブオンリーだったんですよね。ポイントはあるけど、ポイントを取りに行くと不利になるような感じで。僕の中ではサブオンリーと考えて試合に臨みました。だからと柔術のように、上を取ってからアタックという攻め方はしなかったんです」

――それがマイナス6ポイントに繋がるのですね。

「1回引き込んだ時、相手が全くアタックしてきませんでした。自分としては、『もうマイナス100ポイントになってもいいや』と思って、どれだけマイナスポイントが入っても気にしなかったです。どんな展開になってもサブミッションを極めることを考えていましたから。相手が何を仕掛けてきても大丈夫、と考えていたんですよね。ただ、思いのほか相手が後ろに下がって、攻めて来なくて……それは想定外でした。

でも逆に、そうなると相手のほうが攻めることができなくなります。そこで僕のほうがディープハーフというリスクを負って攻めていきました。ディープハーフって、ノーギだとリスクのあるポジションなんです。密着しすぎて、キムラなど腕関節を取られやすいポジションでもあるので。僕としては、ディープハーフを使って相手との距離を詰め、サブミッションを取りにいく練習はしていました。そういう意味では、自分が考えていたとおりの展開と結果になりましたね」

――想定どおりだったのですか!

「ディフェンシブな相手に対してディープハーフを狙うという練習はしていました。相手が下がってしまうと、遠いほうの足は取れなくなりますよね。でも反対に近くの足に対してディープハーフで潜ってから、足を取りにいく練習をしていたんです。

それがMMAファイターとノーギで対戦するうえでの作戦で。今、MMAでもディープハーフを使う選手が多いじゃないですか。足関節も流行ってきて、見ているとメチャクチャ面白いです」

――するとディープハーフに持ち込められれば……という狙いだったのですね。

「そうです。でも次の極は外掛けが禁止なんですよね。先日の試合ではディープハーフで外から足を掛けていったので、一瞬だけ外掛けになる形でした。去年のムンジアルで、橋本知之さんの試合でもあったように、そこは審判がどう取るかという部分でもあります。ただ僕としては何がアウトで何がOKかは分かっているし、ギリギリなゾーンは自分の得意なところでもありますから、そこでも攻めていきたいです」

――極はSBJJFのスポーツ柔術ルールを採用した、ポイントのあるグラップリングです。その点ではサブオンリーと考えて挑んだフィニッシュの猿田戦とは、また戦い方も異なってきますか。

「変わらないです。次もポイントで勝つ気はなく、極める気マンマンなんですよ。ただ、試合時間が5分と短くて。しかも相手の手塚基伸選手も強いじゃないですか。強い相手を5分で極めるというのは――猿田戦も5分少しで、ようやく極めることができました。次の試合でも極めることは難しいかもしれないけど、極めに至るまでに良いポジションを取っているはずです。だからポイントゲームになったとしても、勝つことはできるんじゃないかとは思っています。

でもポイントで勝つことは全く考えていないですけどね。展開としては、まず僕が下になると思います。相手はMMA選手なので、上を取るのは強いでしょう。そこで僕が下になってから仕掛けて、相手がどう対応してくるか。足関節を警戒して下になってくるかもしれないし、そうなったら僕が上からアタックするか――というふうに考えています」

――IBJJFやADCC、最近のサブオンリーと比較しても、5分1Rはなかなか短いですね。

「5分は柔術だと白帯ですよ(苦笑)。相手は守りも固いと思うし、MMAでは潜ってくる選手じゃないですか。それを僕が崩していくしかないような気もします。ルール的には5分間、上と下が入れ替わり続けるシーソーゲームになる可能性もありますけど、そこで僕が極めて大会を盛り上げたいです」

<この項、続く>

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【Kiwami01】道着戦。勝って当たり前という目が怖い─マイケ大浦×芦田崇宏、岡本裕士×川中孝浩決定

【写真】これで6試合が揃ったことになるのか (C)MMAPLANET

3月19日(日)に千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示場8ホールで開催される極〜KIWAMI〜旗揚げ大会の追加カードが発表されている。

グラチャン、修斗、DEEP、GLADIATOR、Fighting NEXUS、WARDOG-CAGE FIGH、格闘DREAMERSが協力し、実現するJMMA Rookies Cupと合同興行となるケージ使用&ポイント・ノーギグラップリング大会は手塚基伸✖石黒翔也、新居すぐる✖小見川道大、高橋逸樹✖伊集龍皇に加えてエキシビションマッチで村田良蔵✖所英男──全て5分1Rマッチが明らかとなっていた。

今回、ここにスポーツ柔術マッチとして道着マッチ2試合、マイケ大浦×芦田崇宏、岡本裕士×川中孝浩が加わった。


形としてマイケと岡本という柔術家に、BRAVE所属のMMAファイターが挑むことになった。これはもう、下記に記したマイケの言葉のように柔術家として絶対に負けられない試合。と同時に5分間をいう時間を考えると、サブオンリーならサバイブだけを考えるという手段も取れるが、ポイント戦は逃げ道がない。と同時に、勝って当たり前と見られるマイケと岡本にとって、敵は自身のメンタル=焦りという──実は厳しい試合になる可能性もある。

出場4選手がプレスリリースに寄せたコメントは以下の通りだ。

マイケ大浦
「これで負けたら柔術のメンツが立たないので、しっかり極めて柔術の株があがるようにしたい」

芦田崇宏
「今回は記念すべき旗上げ大会に参戦させていただきありがとうございます。対戦相手は日本寝業界のトップ選手だと思いますが、そんなマイケ選手に全力で一本取りに行きます。MMAファイターとして日々進化している僕の戦いを是非観にきて下さい」

岡本裕士
「極〜KIWAMI〜は、“極める”にこだわるプロ興行。極めにこだわる柔術をモットーとしている柔術家として、参戦したい思いがありましたので、今回オファーをいただけて、とても嬉しいです。

川中選手はGRANDの王者。RIZINにも出場しており、対戦できることがすごく楽しみです。川中選手はレスリングベースということで、立技、寝技ともに、アグレッシブな攻防ができればと思います。

やるからには勝ちにいきますが、それ以前に観ている人が面白いと思える試合をしたいと思います。観客の皆さんには、極めるか極められるか、ヒリヒリした緊迫感ある展開を楽しんでいただきたいです。ポイントは全無視してでも、一本を狙いにいきます」

川中孝浩
「僕のキャリア初のグラップリングの試合でとても楽しみです。相手は柔術で実績のある選手ですが攻めまくって一本取りにいきます」

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