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回転する風船になる!?太極拳と柔術に共通する身法を探る

♦動画の概要
太極拳と柔術に共通する力の感覚を探ってみました。
それは、どちらも強引な力をもって相手を動かすのではなく、膨らんだ風船が回転を伴って浮いてくるような力が働いている。その為に相手は反応(抵抗感)しようとしても出来ずに崩されてしまう。古伝体術ではそのように考えており、そこを体現するために抜きや螺旋などを意識した身法を用いています。

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お問い合わせ | 武術と型の学校~古伝体術~
武術の型を用いて対立せずに融和する術技の感覚を得ることで生き方など全てが調和する世界を目指します

♦~古伝体術「武術の根理1dayセミナー」開催のお知らせ~

調和のあり方による衝突しない身心を体得することを目的とした、古伝体術の根幹術技となる「抜き」についてを中心に学んでいただきます。

根幹技法となる「抜き」についてを中心に、拙著「武術の根理」に基づいて衝突しない調和する武術の考え方やカラダの使い方について座学と実技を交えて学習していただきます。
手前味噌になりますが、当講座では一般的に武道や武術の世界でいわれる「秘伝的」内容が含まれております。ただし、ここで言う「秘伝的」というのはどこかの流派で私が教わったものではありません。私自身が稽古を通じてきたことで得られた様々な感覚のことです。ただし、その感覚が私だけのものでは意味がないので、一緒に稽古している仲間や生徒さんにもその感覚の状態になってもらうと、同じように相手に作用するようになるので、再現性や普遍性のあるものだという検証もしています。今回の1dayセミナーでは、このような再現性のある秘伝要素を含んだ様々な内容を公開していきます。

↓詳しい内容についてはこちらからどうぞ

古伝体術 「武術の根理 1dayセミナー」のお知らせ | 武術と型の学校~古伝体術~
古伝体術の中野です。 この度「武術の根理 1dayセミナー」を開催することになりましたので お知らせさせていただきます。 調和のあり方による衝突しない身心を体得することを目的とした、古伝体術の根幹術技となる「抜き」につい …

古伝体術では、型稽古によって自身の衝突のない感覚が相手との衝突を消していくという「調和のあり方」を学んでいきます。

♦古伝体術公式HP

武術と型の学校~古伝体術~
古伝体術 今後の体験稽古・1dayセミナーの日程 11月 5日(土)15時〜17時 体験稽古     20日(日)13時〜15時 体験稽古     26日(土)15時〜17時 体験稽古     27日(日)13時〜17時 …

♦古伝体術の稽古メニュー詳細についてはコチラ↓
 https://kodennoosie.com/keikoannai

♦体験者の声
https://kodennoosie.com/voice

古武術、中国武術や空手など、様々な武術に共通する根本原理「根理」を用いて、武術が内包する調和の理念を追求をすることから人間性を高めることを目的としています。

ご興味がある方は体験稽古がありますのでお問い合わせください(神奈川県横浜市で稽古してます)

本当に強くなる“一人稽古”: 武道の「型」が秘めた“体内感覚養成法” BABジャパン https:// www.amazon.co.jp/dp/4814202636/ref=cm_sw_r_sms_awdb_c_qnanEbG

#古武術 #自然体 #太極拳 #解説 #感覚

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【RTU ASIA2022】ホン・ジュンヨン戦へ、松嶋こよみ─02─「ちゃんと喧嘩して、ちゃんと勝って」

【写真】MMAスパー後に站椿に取り組む、松嶋こよみ(C)MMAPLANET

10日(金・現地時間)、シンガポールはカレンのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるRoad to UFC ASIA Episode02でホン・ジュンヨンと対戦する松嶋こよみインタビュー後編。

レスリング、キック、ボクシング、グラップリング、空手だけでなく、その空手でも型、基本稽古、さらには中国武術から站椿、メディテーションを生活のなかに採り入れている松嶋は、ある意味の異形のMMAファイターといえる。全てを出し切るが、集大成ではないRoad to UFC初戦に向けて、松嶋は非常に穏やかに自分が何をすべきかを話した。

<松嶋こよみインタビューPart.01はコチラから>


──対戦相手が決まったのが5月の中旬、全員が同じ条件とはいえ研究及び対策練習の時間は多くなかったです。

「トノン戦が終わって来てから積み重ねてきたことがあるので。決まってからは相手のことを考えて、コレが当てはまるように何個も何個も創りつつ、精度を上げる練習が今はできています」

──この1年強、動きの説明の言語化がかなり進歩したかと感じています。

「う~ん、トレーナーの岳(大宮司岳彦)さんのムーブメントと空手だったり、ボクシングが自分のなかで消化できてきた部分があって。こことここが組み合わせるというのが分かってきたので、言葉としてつかえるようになってきたんだと思います。

でも、まぁ分からないところとかは家に戻ってひたすらノートに書いているので(笑)。リマインドできて、頭に残るような感じにはしています」

──Road to UFCに出場することで、これまで松嶋選手の試合を追って来なかったファンも試合を視たり、その前後をチェックすることも考えられます。そういうファンの人からするとやはり空手の型稽古、基本稽古、さらに站椿と松嶋選手は何をやっているのかと思われるかと。

「七不思議ですよね、きっと(笑)。それこそ僕は朝にメディテーションをしたり、人が普通にMMAを線でつなげるところを色々な角度からつなげようと考えている部分はあると思います。だから站椿が直接MMAに繋がらなくても良いですし、サンチンで勝てるなんて全く思っていないです。ただし、站椿をやって、サンチンをやり、基本稽古をすることが自分のMMAに良い影響を与えてくれています。

サンチンを見て意味がないだろうと思う人がいても、それは然りです。当然だと思います。でも僕のなかではつながる部分がある。ただここはまだ言語化できていないです(笑)。別に試合前に瞑想をするNBAの選手だっています。僕だけがやっていることではない。どういうアプローチをするのかは人それぞれだと思っています。だけど、僕がこういうアプローチをしているというのを見てもらえると嬉しいです」

──そこを踏まえて、次の試合はこれまでやってきたこと出す集大成なのか。ただし、これはトーナメントで優勝してようやくUFCというスタート地点に立てるという状況です。

「う~ん、集大成にはしないです。何だろう……でも、出さないといけないモノは出さないといけないです(苦笑)。結局、優勝しないといけないし、その先を見据えて戦わないといけない。けれども、ここで出し切らないといけない。難しいです。

難しいですけど、あまり気張らずという感じでもあります。もちろん出し切るつもりですけど、ここがゴールじゃないので。ここで喜んでいるようじゃ、まだまだ。ただやることをやる。そこを意識して戦いたいと思います」

──準決勝が日本人対決になるかもしれないということに関しては?

「どうなんですかね(苦笑)、アレ。普通に決勝で当たるトーナメント枠になると思っていました。SASUKE選手と会った時もそういう話になったのですが……、あまりそういう意識はないですね。

トーナメント表が発表される前もRoad FCのチャンピオンが上がって来るだろうなとか、SASUKE選手が1回戦勝つだろうとか考えていたので、どっちと先に当たろうが気にすることなく、ただやることをやるだけです」

──これだけはやってはいけない。ケージのなかで、守らないといけないということはありますか。

「ちょっと試合間隔があいたことで、デビューした頃の勢いが戻ってきた感じがしています。ただあの頃の無鉄砲さ、考えなしで攻めるというのはその後の経験でダメなこと分かっているので。けど、勢いは無くさないで戦う。という感じですかね」

──カッとなってはいけない?

「そうですね。カッとなるとういうか、行けると思っていって失敗した。そういうことは経験してきたので、そこを生かして。同時に自分の鋭さをなくないように戦いたい。今回は本当にそう思っています。

ONEで戦っている間、だんだんと喧嘩ができなくなってきた部分がありました。そこをもう1回取り戻すというか。ちゃんと喧嘩して、ちゃんと勝って、ちゃんとUFCの本舞台に上がりたいと思います」

■視聴方法(予定)
6月9日(木・日本時間)
午後3時30分~ABEMA格闘Ch

Episode01
午後3時30分~UFC FIGHT PASS
Episode02
午後6時30分~UFC FIGHT PASS

6月10日(金・日本時間)
午後3時30分~ABEMA格闘Ch

Episode03
午後3時30分~UFC FIGHT PASS
Episode01
午後6時30分~UFC FIGHT PASS

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode01対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
SASUKE(日本)
イー・チャア(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
パラチン(中国)
キ・ウォンビン(韓国)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
風間敏臣(日本)
クルムアリ・マイマイティトゥハティ(中国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チェ・スングク(韓国)
ラマ・スパンディ(インドネシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
チャン・ミンヤン(中国)
トゥコ・タクコス(ウクライナ)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode02対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
シャオ・ロン(中国)
キム・ミンウ(韓国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
松嶋こよみ(日本)
ホン・ジュンヨン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
チウ・ルェン(中国)
ウォーレン・デルロサリオ(フィリピン)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
アイリヤ・ムラトベク(中国)
パワン・マーン・シン(インド)

<フライ級/5分3R>
ショーン・エチェル(豪州)
内田タケル(日本)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode03対戦カード

<Road to UFCフェザー級T準々決勝/5分3R>
シェ・ビン(中国)
イ・ジョンヨン(韓国)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
堀内佑馬(日本)
トップノイ・キウラム(タイ)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
アンシュル・ジュビリ(インド)
宇佐美正パトリック(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
中村倫也(日本)
ググン・グスマン(インドネシア)

<女子ストロー級/5分3R>
ソ・イェダム(韓国)
ジョセフィン・クヌトゥソン(スウェーデン)

■ROAD TO UFC AISA2022 Episode04対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
野瀬翔平(日本)
ウリジブレン(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
キム・ギョンピョ(韓国)
アスクルバイ(中国)

<Road to UFCフェザー級準々決勝/5分3R>
ルー・カイ(中国)
アンガ・ハンス(インドネシア)

<Road to UFCフライ級準々決勝/5分3R>
パク・ヒョンソン(韓国)
ジェレミア・シレガー(インドネシア)

<ウェルター級/5分3R>
ジョン・アダハー(フィリピン)
キム・ハンソル(韓国)

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【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。タン・カイ✖キム・ジェウン&ジヒン✖平田樹

【写真】一発で終わる──そんな空気が流れる立ち合いのなかで、キム・ジェウンとタン・ガイにどのような差があったのだろうか (C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たタン・カイ✖キム・ジェウン、そしてジヒン・ラズワン✖平田樹とは?!


──教え子である松嶋こよみ選手が離脱したONEフェザー級戦線で非常に高度な試合が見られたと感じました。

「互いにボクシングで戦っているなかで、動いて質量を養成するキム・ジェウンと定位置で質量を養成するタン・カイという対戦でした」

──その場で力を養成する選手、久方ぶりの登場です。

「タン・カイは倒れたキム・ジェウンに、即パウンドを落としていました。以前にも効かせた後の追撃で試合を決めるという場面がありました。1から2、2から3と動きが移行するなかで、タン・カイはラグなく動くことができます。それは──その場に質量があるからです。構えた時にエネルギーがあるので、それを目標に置くだけだからラグが生じないスムーズな攻撃が可能になります。

対してキム・ジェウンは動いて、エネルギーを創って打っています。凄く良いタイミングで右も左も打てているんです。ただし、タン・カイはきっと見えていたと思います」

──フィニッシュの左フック。完全にキム・ジェウンの右のタイミングを掴んでいたように感じました。それ以前の攻防で計っていたように。

「それは怖くないからできるんですよね。貰っても痛くない。見えている攻撃は、さほど痛くない。振りが大きくて強い感じがするパンチを打っているのはキム・ジェウンなんですが、タン・カイは見えていたと思います。

それとキム・ジェウンの構えでは、お腹が死んでしまいます。中心を無くしている。頭を振ったり、上半身を揺らして相手の攻撃を避ける。キム・ジェウンはそういう風に動くことが、動きやすくなっているんだと思います。ただし中心を無くしているので、体が一つにまとまらないようになっています。

中国武術の口訣(※カオチェ=「くけつ」。文書に認めず口で伝える奥義)のなかに外三合(ワイサンフウォ=「そとさんごう」、あるいは「がいさんごう」)という言葉がありますが──腕と脚、ヒジとヒザ、肩と股関節が揃って動いた時に力が出るとされています。この試合ではキム・ジェウンでなく、タン・カイの方が外三合でした」

──タン・カイが中国人だからということは関係ありますか。

「う~ん、彼のベースが何か分からないですが、打撃を続けてきたことで自然と……結果的にそうなったのだと思います。体が一つにまとまっていて、ブレがない。勢いでなく、強いパンチが打てるのは、打つ前からそういう状態にあるからです。

質量も当然タン・カイが高く、結果として間もタン・カイになります。あの空間に入り込むと、キム・ジェウンはぶっ飛ばされます。実はこの試合を見ている最中にネット環境が良くなかったのか、ABEMAの中継がフリーズしてしまったんです。ただし、その空間が見えていたので、この試合はよほどのことが起こらない限りタン・カイが倒せるなと思っていました。そして画面が動くようになると、タン・カイが勝っていたんです(笑)」

──強いパンチが打てる状態。つまり定位置でエネルギーを養成できていると。

「ハイ。動きながらエネルギーを創るのと、存在しているエネルギーを運ぶことは全く違います。とはいえ、これは武術でなくボクシング、キックボクシング、MMAファイターにもそういう選手はいます。そして、一目瞭然です」

──なるほどぉ。それにしてもタン・カイは強かったですね。

「定位置で要請しているエネルギーがあっても精神的な状態で試合に生かせる、生かせないがあります。それを試合で生かすことができるのは、タン・カイが日々厳しい稽古を課しているからです。キム・ジェウンを相手にビビらず、臆することなく戦っていたからですね。

強そうなのは平田。体力やセンスも平田だろう。では平田はどこでジヒンに遅れを取ったのだろうか

いや、今回のONEを見ているとアジア勢の成長に日本はついていけていない現状が見え隠れしましたね。

平田樹選手に勝ったジヒン・ラズワン、あの素人みたいな構え。

『これは相手にならないわ』と実は思ったんです。そうするとあの詠春拳のような素人構えのジヒンが左右にステップを踏んだ。アレをやられると、ボクシングが本当に身についていなくて、形だけ半身の平田選手の打撃ではジヒンを捕らえることができなくなります。

あの構えで蹴りを使っても、効果の得られないのに繰り返してキャッチされていましたし。組み勝てるなら、そうすれば良い。ただし、投げ勝てても組み勝ててはいなかった。

それもジヒンがあの構えで正面に立っているだけなら、そうはならないです。ただ彼女は左右にステップを踏んだ。アレは何かの武術なのかと思ったほどです。ジヒンはテイクダウンして寝技に行こうというなかで、打撃で勝とうとしていないです。グラップラーが下手にボクシングをすると、組みの圧力が落ちます。組みが強い選手が、組み力を犠牲にしない打撃が必要で」

──それがジヒン・ラズワンにあったということですか。

「ハイ。打撃で平田選手を攻めさせなかったのは、理論的でなく偶然だったかもしれないです。ただし、彼女があの構えをして動いていたのは組むため。平田選手は組まれるのが嫌になり、かといって打撃でもジヒンを捕らえることができなかった。ジヒン、ジヒンの指導者には感心させられましたよ。

結果論ですが、マレーシアの女子選手の方がしっかりとMMAを考えて戦っていた。きっと環境は日本より良くないでしょう。でも、平田選手より自分の組みを犠牲にしない打撃を使っていたんです。陣営としてジヒンの方が、平田選手より優っていた。平田選手はジヒンが嫌がる攻撃をしていなかった。対して、ジヒンは平田選手が嫌がることをやっていました。戦いの基本姿勢がそこには存在していたということです」

──う~ん、非常に興味深い話です。そして色々と考えさせられる。そんななか話をタン・カイに戻しますと──下世話な話ですが、松嶋こよみ選手はタン・カイと戦って勝っていたでしょうか。

「いつだったか、一度オファーがあり鼻の骨が折れていて断ったことがあったと記憶しています。まぁ指導している人間のことなので、色んな事は言いたくないですが──私のMMAを見る姿勢として、ボクシングだけの人と蹴りがある人ということです。2本と4本では、どっちの武器が多いのかと。注意するのも2つと4つでは違います。

だからといってボクシングがデキる選手が、蹴りを入れることで2+2が4になるかというと、これが相当に違います。キックボクシングで2+2ができていてもテイクダウンのあるMMAでは話が違ってくる。キックの打撃がMMAで生きるかといえば、それも別問題で。それがMMAの難しさであり、面白さなんです。

MMAグローブで戦うけど、練習で思い切りぶん殴ることなんてできない。だからMMAは難しいです。ONEでMMAグローブのムエタイを始めた当初、一流のムエタイの選手も戦い方が崩れていましたよね。ただし、今は作り直してMMAグローブ用のムエタイを彼らは見せるようになった。

そうですね、タン・カイやキム・ジェウンがMMAグローブでぶん殴って来る。それを想定して、ジャブ、ジャブ、ジャブっていう戦いができるのか。そこを見て稽古する必要があるということです。MMAとは、そういうことだと思います。とはいってもタン・カイにも弱点はありました」

──あの試合で弱点が見られたのでしょうか。

「ハイ。タン・カイは居着いています」

──居着く……。あっ、キム・ジェウンの攻撃を計っていた。

「そうです。相手の攻撃を見ていた。つまり、居着いていたんです。計るということは、相手の攻撃に自分を合わせてしまっているんです。だから後の先を取れたのですが、キム・ジェウンがナイフを持っているような武器があれば、あの戦いをタン・カイはできないです。

キム・ジェウンが先の先が取れていると、キム・ジェウンが勝てた試合です。タン・カイは後の先を取るのではなく、取ろうとして戦っていたので。つまり試合中のほとんどの時間で取れていなかったことになります。取るために戦っていた。なら、先の先を取っていれば勝てた。キム・ジェウンが数センチ、足の位置をずらしていれば……例えば蹴りを見せていれば、タン・カイは反応するのであの戦い方はできなかった。そうなればキム・ジェウンは先の先が取れていた。そうなっていればタン・カイは受けに回ることになります。受けに回る、それが居着くということです。

この試合ではカウンターが取れたので、後の先が取れたことになります。取れなければ、居着いていた。相手を居着かせるのが、武術の究極の目的であり、そういう戦い方が存在します。数センチの違いであれだけ強いタン・カイをキム・ジェウンは倒す可能性もあった。非常に興味深い試合でした」

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Bu et Sports de combat MMA UFC UFC266 アレックス・ヴォルカノフスキー ブライアン・オルテガ ブログ 中国武術 剛毅會 岩﨑達也

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。ヴォルカノフスキー✖オルテガ「人間の本質」

【写真】写真はオルテガのハーフになっているが、両者の勝つための選択が、この上下の位置取りだった (C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たアレックス・ヴォルカノフスキー✖ブライアン・オルテガとは?!


──UFC世界フェザー級選手権、王者アレックス・ヴォルカノフスキー✖挑戦者ブライアン・オルテガ。言葉にならない死闘でした。MMAとしても。

「MMAの深さを思い知らされました。ヴォルカノフスキーもオルテガも、彼らがマックス・ホロウェイやジョゼ・アルド、ジョン・チャンソンやフランキー・エドガーと戦った時と比べると、打撃に関しては申し訳ないですが、感心する部分はなかったです。

基本的に打撃の攻防が成り立っていなかった。リーチの長いオルテガに対し、入っていきたいヴォルカノフスキーが入れない。当然の図式のなかで、オルテガがヴォルカノフスキーのパンチを受けることができていなかった。ジャブに入れないヴォルカノフスキーですが、踏み込みの良いフックを持っていました。それをオルテガが被弾しています。

よく寝技ができないという表現がありますが、それって攻めて、守ってと寝技の攻防、やり取りができるかどうかだということです。打撃にしても、使ってはいても打撃ができない選手もいます。私のなかで打撃ができる、できないという物差しは相手の攻撃に合わせて打撃ができているのか。相手の動きにアジャストできているのか、です。相手の攻撃に対し、自分はどう防御して攻撃を出すのか。そのやり取りができないと打撃ができるとはいえないと思っています。

そのなかでスタンドの打撃に関して、今回の世界は2人ともできていなかったです。凄い試合だけど、やり取りができていない。なぜ、そうなったのか……」

──それが岩﨑さんからして、MMAの深さなのですか。

「いえいえ、そうではないです。3R、オルテガはヴォルカノフスキーのローに左ストレートを合わせて倒し、起き上ってきたところにギロチンからマウントに入りました。そこからですね、この試合の凄みは。5Rは疲れて、リスクをお互いにおかすことはなかったですが、ギロチン以降の3Rと4Rは互いのリスクの取り合いでした。基本、上がヴォルカノフスキーで下がオルテガ。上を取って抑え、立ってきたところをバック狙いで良いわけではないですか、ヴォルカノフスキーとすれば」

──ハイ、コツコツパンチで三角を凌げれば。

「それを立ち上がって、ヴォルカノフスキーは殴っていきました。立って離れるのではなくて、殴りました。さすがに三角は警戒していますが、オルテガの柔術の力があれば草刈りスイープでも何でも仕掛けることができます。そして、実際にパンチを落とすところで三角絞めもセットしていました。

いや、お前らどうなってんの?……ですよ。オルテガは殴られながら、一本を狙った。殴られる距離にいるから取れる。ヴォルカノフスキーも取られるかもしれないところにいるから、スペースがあってあのパウンドを落とすことができた。技がデキる者同士のどっちが退くのかというせめぎ合い、紙一重の戦いをしていました。全部ができて当たり前、できないことがあっちゃ、あの場には立てない。そうなると、どうすれば勝てるのかなんていう方程式は存在しないです。その状況で、絶対に負けないという意志力をもって選択したのがオルテガはガードからの仕掛けで、ヴォルカノフスキーはトップからのパウンドでした。

強い者同士は、絶対に引かない。そういうことなのでしょうかね……。引かないばかりか、自分にとって嫌な状況を創って、それを乗り越えて勝ちにいく。最近のMMAは柔術ができるけど寝ない。レスリングができるけど、テイクダウンにいかない。パンチは良いけど、倒すように戦わない。結果、遠い位置から脹脛を蹴り合うという展開が多かったです。全てがデキる人が、使わないという戦いですね。

確かにヴォルカノフスキー✖オルテガの試合は、武術としてはダメです。ボロボロになるような戦いはダメです。キューバ危機では大量の核弾頭を持った東西の大国が、結果として使わなかった。使ったら最後、両者が負けるからです。武術とは戦わずして勝つこと。その境地を目指す。ただし、そんなことをいくら口で言っても人間は殺し合います。自分だけが可愛いという性悪説があるなかで、米ソは戦争しないという勝利をキューバ危機で手にしました。

生の人間同士が、引くに引けない戦いをするなかで、人間の本質というものがヴォルカノフスキー✖オルテガの試合で見られました。人間の本質を勉強できる戦いを彼ら2人はしているんです。経験もしてないのに『戦わずして勝つ』とか言ってんじゃねえよ、この野郎って。

向うはこっちを殺しに来るんだよ。ボサッとしていたら、殺されてしまうんだよって。一生懸命頑張っても、ジャッジがこんな酷い裁定をするんだよ──みたいなことを、人間が生きる上でそれは多くのことを金網の中でMMAファイターは経験しています。これ以上ない、武術修行です。あの場に背を向けて、何が武術か。ロッキー川村2氏の時に言いましたが、この経験をしているMMA選手こそ武術を学んで昇華させていって欲しいです。

と同時にヴォルカノフスキー✖オルテガを見て感じたのは、武術の理をMMAで使えたとしても、絶対に引かないぞと言っている相手に勝てるのか。武術を究めていく人間として、MMAから突きつけられたと思います。気合が入りました。

UFCという世界最高峰の舞台、その頂点に立つ者だけが巻くことができるベルトを心から欲している。あの場があるから、ヴォルカノフスキー✖オルテガは生まれた。そう感じました。UFCには、彼らと同じような実力を持っている選手は他にもいると思います。ただし、この2人のような意識レベルにある選手は、どれだけいるのか。一番身に着けることが困難なのは技術ではなく、その意識レベルじゃないでしょうか。本当に苦しい時に、人間の意識レベルが見える。意識レベルの高さをヴォルカノフスキーとオルテガに見せつけられました。

この2人の真似を日本人はしてはいけないです。そういう風に体ができていないですから。同じことをしてはダメ。それでも勝機はあります。それには人間を改造する気持ちでいかないと、こんな戦いで勝つことはできない。そういう稽古をするしかない。それは、ヴォルカノフスキー✖オルテガと見てなお、俺もこの両者の意識レベルでMMAをやって行くんだと思える選手、そういう選手だけです。勝機を勝利に変えることができるのは。そういう意識を続けることができる選手がいれば、実力は後付けでも手にできますから」

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