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Bu et Sports de combat MMA サンチン ブログ 剛毅會 岩﨑達也 松嶋こよみ 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─18─サンチン、MMA実戦応用編─03─

【写真】サンチンのこの回転する動きを練ることで、内面の攻撃を可能とする(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、MMA実戦応用編=最終回、MMAでの役立ち方について紹介したい。

<サンチン解析第17回はコチラから>


外面の攻撃と内面の攻撃、後ろ蹴り編

外面の攻撃

往々にして見られる後ろ蹴りは


腰の回転でエネルギーを作っており外面の攻撃となる


外面の攻撃は回った際に左パンチを被弾したり


組みつかれるなど反撃を受けやすい


蹴りが命中することも当然あるが、危険性の高い攻撃になる


実際に押されるだけで、姿勢を乱す=回っている時に中がとれていないため

内面の攻撃

対して内面の攻撃の後ろ蹴りとは


内払いから背中を見せるが


このときに中に入っているので


これだけの距離で


カカトで蹴るだけで十分な威力があり


相手の反撃を受けない


相手が入ってこられないので押されることも、パンチを当てられることもない

ここでの回転も、サンチンに身に着けることができる──詳細は第6回を参照──

回転が浅いと


相手の中を取ることできないので蹴りは内面の攻撃とはならない


中を取るために、サンチンの型で知る回転の仕方が必要になる


サンチンの動き自体が、回転してヒジを打つことが想定されている。サンチンではヒジを中段にいれるが、もちろん上段にも生きる

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拮抗と連関の稽古 24 NOV 2021 拾一流柔術 雍和堂 古武道 活法 整体 JYUICHI-RYU JUJUTSU BUDO SEITAI AIKI KARATE STRIKE

木刀の先を相手に持ってもらい、力で崩そうとしても、まぁビクともしません。
ビックリするくらい、ビクともしません。
相手も楽々と受け止めているものです。

まずは相手が逃げれないくらいしっかり力をかけることです。
自分も相手も動けないくらいの対峙。
そこで拮抗します。
変わらない状態。
この状態を保つのに、猛烈な力が要ります。

それを変えずに、膝と股関節を連関させ、緩めながら相手を導いていきます。
その導く方向は自分の身体の向き、相手の身体の向き、刀の向きで決まります。

上体を固めること。
拮抗を変えないこと。
膝と股関節を柔らかく使うことが肝要です。

最初のしっかり力をかけるというところも木刀の先に力を集約させるという技術が要りますが、今回は適当にやっています。

ただ、上体は張っておかねばなりません。緩むとどうにもなりませんから。
空手のサンチンなんかが役に立ちます。

興味がある方はブログをのぞいてみてください。
一緒に練習しましょう。おもしろいですし、楽しいですよ。

疋田一直ブログ ※日常での気付きを書いています。毎日更新しています。
https://ameblo.jp/yowado11/

拾一流柔術 雍和堂 HP
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Instagram ※嘉麻市にある当地の自然を紹介しています。
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Bu et Sports de combat MMA サンチン 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─17─サンチン、MMA実戦応用編─02─

【写真】武術の叡智をMMAに使う。武とスポーツ格闘技の接点、融合が生まれる(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、MMA実戦応用編=第2弾としてサンチンで身に着けることができるMMAで有効な内面の攻撃について紹介したい。

<サンチン解析第16回はコチラから>


外面の攻撃と内面の攻撃

右ストレートを左手で払い


右を打ち返す


しかし左を打たれる。相手の外で受けて外で返しても、また外から攻撃を受ける


あるいはウェービングで避けても


左フックを返そうとしても、ヒザ蹴りを受ける

「これらの自身の中心がズレる動きは、外面の攻撃になります。自分の中心をずらして、反撃をする場合は相手の間にいることが多いです。結果、反撃を受ける。MMAで戦ううえで止む無く、こういう動きになることはありますが、自分が動いた結果、どのような反応を相手がするのかを考える必要があります。対して、武術空手の理を取り入れると外面ではなく内面の動きを重視することになります。つまり一番安全な動きは直線の動きになります」(岩﨑)

内面の攻撃とは、相手の突きに対し


軸をずらすことなく


腕受けをした時には、もう中に入っており


突きを真っ直ぐ返し相手の攻撃を被弾せず、自らの突きだけ当てることができる。「中に入って、さらに中に入る」のが内面の攻撃となる

※ただし内面の技を使えず、ただ直線的な動きをするとカウンターを合わされる

この動きを習得すると、腕受けもなく中に入って


突きを当てることが可能になる

武術空手サンチンの型で知る、軸がズレない動き──呼吸を含んだ詳細は第5回を参照──

左足前サンチン立ちから


左足に重心を掛け


右足を出し


その右足に重心を乗せる。この動きでは軸がズレて、外面の動きになるので相手の中を取ることはできない


このような外面の動きからの突きは、相手の中に侵入できない


武術空手のサンチンでは


相手に中を取るために可能な限り軸を動かさず、中を入って


前に進む。内回しで外側に膨らまずに中を進むことで、内面の動きとなる


結果、同じように受けて突いていても、相手の中に侵入できる突きになっている

「内面の攻撃は見た目は分からないが、サンチンによって動きを自身にインストロールできれば、中に入る動き実戦できるようになります」(岩﨑)

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Bu et Sports de combat MMA キック サンチン ボクシング 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─16─サンチン、MMA実戦応用編─01─

【写真】同じガードでも、相手を制空権に入れる、入れないという違いが構え生じる(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、前回で一旦は最終回とする予定が、岩﨑氏より『まだまたお伝えしたいことがあるなかで、ここだけは今、話しておきたい』という追加実践を複数回お送りすることとなった。サンチン特別版、MMA実戦応用編。今回はサンチンの構えの格闘技の試合、MMAでの役立ち方について紹介したい。

<サンチン解析第15回はコチラから>


質量が互角の場合を前提とし、

4オンスのMMAグローブを着用してボクシングのように顔面を守ってガードした構えだと


相手に右ストレートを打たれた場合、ガードをすることでパンチは顔面に届いておらず、防御にはなっているが、制空権を突破されており相手が有利な状況になっている


結果、打ち返してもパンチは当たらない


サンチンの状態を理解して、両腕の少し外を意識して構えると


パンチへの処理ができており、自らの制空権を創ることができているので相手のパンチは届かず


自身のパンチは届く


右ハイキックを蹴られた場合


顔面を守った構えだと、ガードはしていても、相手に入られており危険な状態になっている。これでは相手に蹴られていることになる


対してサンチンを理解した構えだと


同じ距離でも相手の蹴りは足が上がらず、蹴りが頭の近くまで来ない。相手が蹴ることができていないこととなる


前蹴りで蹴った人間で試すと、ボクシングの構えは届くが


サンチンを理解した構えでは、なぜか頭を引いてしまい蹴りは届かなくなった


「サンチンの構えを応用した構えは、試合で使うということではなく、体に内蔵することで余裕のある戦いができるようになります。そしてサンチンの姿勢を維持した構えを習得すると、相手が入って来られないという事象は比較的にすぐにおきます。サンチンを型の稽古で修得せず、このような構えを取っても相手の攻撃に対し、ボクシングのような構えに戻すことが殆どです攻撃とは距離など相手の状態を見て、出しやすいモノを出している。サンチンを理解した構えを取ることで、相手の距離が出し辛い状況を創り出すことができるのです」(岩﨑)

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Bu et Sports de combat MMA サンチン 剛毅會 岩﨑達也 武術空手 虎口

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─最終回─外側に入る虎口、倒&極

【写真】空手です。型です。サンチンの虎口です(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、最終回は虎口の理解を深めるために、前回の相手の内側(中)に入って極める動作に続き、今回は外側に入る虎口の分解組手を紹介したい。

<サンチン解析第14回はコチラから>


相手が


右上段突きを打ってきたときに


右腕で、掛けて


ここでは内側に入った時のように、腕を極めるのではなく抑えて


左手で突く。この時も抑えと突きを分断して『抑え・突く』とせず、『抑えて突く』=入った時には突くという風に、一つの動作で行う


この外側に入る虎口の動きを応用すると、相手の右手を自らの右手で制して


左手で突くのではなく、自らの右足で相手の右足を掛けて


倒し、ここから右腕を極める


✖ただし、この時に内側の時と同じように、掴んで力をいれて大外刈りのように投げようという意識が作用すると


相手の力の作用を生み、逆に投げられてしまうなど反撃の機会を与えることになる

つまりは『入って・掛ける』でなく、『入ると同時に掛ける』という一つの動作で行うことが大切になってくる

内側、外側の掛ける時に、接触点を作らないことが最重要。接触点を作ると、腕を回せなくなる。相手の突きに対し、受けて掛けようとすると力と力が衝突してしまう


型の動きを使うと


接触点を作らず衝突を生まなくなる。型の流れのなかで投げたり極めたりしないと、力と力のぶつかり合いになる。この一挙動で動くための呼吸を学べるのがサンチンの型ということになる


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Bu et Sports de combat MMA サンチン 剛毅會 岩﨑達也 武術空手 虎口

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─14─虎口、分解組手で知る極め

【写真】サンチンにはここまで触れてこなかったが、極めが含まれている──が、MMAでこの動きをするということではない(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第14回は虎口の理解を深めるために、その分解空手を説明していきたい。今回は型の動きに含まれている極めという要素を紹介したい。

<サンチン解析第13回はコチラから>


相手が


右上段突きを打ってきたときに


左腕で、掛けて


突いてきた腕を極めつつ


右手で突くことができる。掛けて突くと同様に極めて突く動作となる。この場合も極めと突きを分断して『極めて・突く』とせず、『極めて突く』ようにする。極めて・突こうとすると、相手は動くことができる


反対向きから見ると、極められたことで松嶋は姿勢を乱し、顔面もがら空きになり入られていることが分かる


この時に腕を締めたり、掴んで極めようとすると


入ることができておらず、相手が腕を抜くことができる


反対側から見ると、両者の距離感、松嶋の姿勢から入られておらず、極められていないことが容易に理解できるはず。これだと松嶋は左の突きを出す状態になっている

つまり掴む行為が支点を作ることになり相手が動くことができるようになる。掴む、組むという行為は攻防が生まれ、武術ではなく格闘技、格闘競技となる

掴まず掛けて極める場合も、力を入れて締めると相手は腕を抜くことができるため、締めずに


相手が動いた時にまた極める

※今回は相手の内側(中)に入ったが、次回は外側に入る虎口の分解組手を紹介したい

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Bu et Sports de combat MMA サンチン ブログ 剛毅會 岩﨑達也 松嶋こよみ 武術空手 虎口

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─13─虎口、分解組手で知る型が伝えること

【写真】虎口の動作は、やはり空手と中国武術がつながっていると思わざるを得ない(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第13回は虎口の理解を深めるために、その分解空手を説明していきたい。

<サンチン解析第12回はコチラから>


相手が


右上段突きを打ってきたときに、


左腕で、掛けて防御しつつ


右手の


掌底で顔面を突く

※受けと攻撃が分断すると、攻防一体の意味を成さなくなる

虎口が難しい点は、左手で掛けて


突きを防御し


右手で掌底を顔面にいれる間に呼吸を止めないこと


呼吸が止まると、「掛けて=受けて」、「突く=返す」という風に遮断された動きになる


遮断された動きをすると、相手の2発目の攻撃を受けてしまう。つまり連続攻撃を遮断できない

遮断されない動きをするには──左手を掛けているときに、すでに右手の掌底の準備に入ること。車のハンドルを回す動きをイメージすると理解しやすい。「掛けて・突く」のではなく「掛けて突く」こと。「掛けて」と「突く」を分断しない。掛けているときには、突きが始まっている。逆をいえば、突きが始まる動作で掛けを行っているともいえる。つまり動きが途切れることがない、攻防一体の動作となる

この動作を連続写真で分解しても「掛けて・突く」と「掛けて突く」と違いの再現はほぼ無理だが、相手と距離が全く違ってくるのは明白だ。「掛けて・突く」では、相手の連続攻撃に入られるが、「掛けて突く」だと攻撃を受けず攻撃できる

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Bu et Sports de combat MMA UFC グレゴリー・ホドリゲス サンチン ジュリアン・エロサ チェ・スンウ 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。チェ・スンウ✖エロサ「前足の足の裏」

【写真】確かに『ぶん殴る』という意志が伝わってくるようなチェ・スンウ(C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たチェ・スンウ✖ジュリアン・エロサとは?!


──今回の試合は私どもから解説をお願いした形ではなく、岩﨑さんからチェ・スンウを取り上げたいという話でした。

「はい。この試合もチェ・スンウとエロサでは、質量に差がありました。ただし、日本人選手にあの試合ができるのかということなんです。日本人と韓国人、フィジカルもそこまで違わないのに、なぜ彼らはアレができてUFCと何人も契約しているのか」

──契約選手の数の差は市場の差もあるかと思います。一昨年12月のプサン大会はプサンの観光局がバックアップしていました。UFCを韓国が受け入れている状況が、契約選手との違いでもあるかと思います。もちろん、UFC好みのストライカーが多いのもあると思いますが……。

「その戦い方において違いの一つが、チェ・スンウの試合から見て取れることができました」

──違いというのは?

「それは足の裏なんです」

──……。足の裏ですか?

「はい。特に前足の足の裏です。日本人選手の多くが前足が、パタパタと動く。なぜ、そんな風に動くのか。それは足を止めないため。足が止まると、パンチを被弾するからという発想ですね。もう、この時点で防御の発想になっています。チェ・スンウはそんなに前足を動かしていないです。それは最初からぶん殴ろうという気持ちでいるからで。足の裏もパタパタと浮くことがないです」

──前提として、エロサという相手がそれを許しているという見方ができるかと思います。

「はい、相手は力不足です。そしてチェ・スンウはフィニッシャーです。前回のグレゴリー・ホドリゲスとの違いですね。だから、これもホドリゲスと同じように相手のレベルが上がり、さらにフィニッシャーの欧米人、ブラジル人を相手にしたときにできるのか──それは分からないです。しかし、エロサにはできています。

エロサは石原夜叉坊に敗れている選手ですが、それでも日本人でUFCという場でああいう風に戦えることができるのか……そこを考える必要があります。体格的にも骨格的にも、筋肉的にもそこまで差のない韓国人選手ができていることを、すぐにできる選手がどれだけいるのか」

──できない要因というのは、どう考えておられますか。

「韓国という国土は、常に大陸からの侵略に備えていたと思います。同じアジアでも中央アジア、あの地域の選手たちは土地を奪いあい、国家を形成してきた。そういう血生臭い歴史……今もロシアとウクライナの間でクリミア半島を取り合っています。取らないと取られる。そういう意識が根付いている。結果、やられる前にやってしまえという風潮が、日本人は彼らより欠けてしまっているのです。

日本では侵略されるかもしれないという背景を持っていたのは、沖縄だけだったかもしれないです。大和から侵略されるかもしれない。中国から侵略されるかもしれない。そこで空手が生まれたのは、偶然とは思えないです。少なくとも日本人と韓国人は、日本人とブラジル人や米国、ロシア人より近いです。だけども韓国人ファイターは臆さない。基本的に攻撃のことを考えている。

防御を第一に考える場合と攻撃のことを考えている場合では、質量は圧倒的に変わります。向かい合っているとエロサは、チェ・スンウのパンチのほうが強いことが分かっている。チェ・スンウも自分のパンチのほうが強いことが分かっている」

──フィニッシュの左フック。エロサも左を打って当たっているにも関わらず、チェ・スンウはガードをせずに打ち込んでKOしています。

「ようは韓国の選手とはDNAが違う。だから韓国人選手と同じことをしても、ダメなんです。チェ・スンウもロシア人にこれができるか。やって勝てるかといえば、また違ってきます。ただし、差があるのは筋力でないんです。それは呼吸です。これは断言できます」

──息を吸う、吐くの呼吸でない……阿吽の呼吸などの呼吸ですね。

サンチンで追及している呼吸ですね。日本のプロ野球とMLBも、この呼吸が違います。バットの振り方も違う。それは呼吸の違いなんです。だから、真似をしないで結果を残す選手が野球には存在しています。彼らのやっていることをやるのではなく、日本人には日本人のやり方があります。日本人のやりかたは、多くの欧米人は分からないはずです。彼らのやることを無視するのではなく、研究をしてどこを取り入れて、どこを取り入れないか。なんでも真似をしていてはいけないと思っています」

──つまりチェ・スンウは左フックでKOしましたが、見るべき点、真似るべき点は左フックではないと。

「左フックに着眼して、それを真似ても真似ることはできていないと思います。彼は前足をパタパタと動かしていないです。つまり、チェ・スンウは打つ重心です。前足を500グラムでも重くする。それだけで変わってくることは、多いです。見違えるほどです。ただし、その500グラムを置くことができない」

──それは?

「怖いからです。被弾したくない。ただし、その500グラムがあれば相手も無暗に出てこられなくなります。だから攻撃は最大の防御という言葉が生まれたんです。パタパタと動く、防御のため防御は却って危険です。間も相手になってしまいます。

空手でもMMAでも、どこを見るのか──左フックでKOしたことではなくて、なぜそうなったのかを見る。そのシーンから、動画を巻き戻してもらえると要因が見てくるはずです。結果でなくてプロセスを把握すると、自ずと理解できることは増えてきます。日本人選手は肉体的に近い韓国人選手ができていることを理解し、生かしていくべきだと思います」

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【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─12─虎口で知る、型が伝えること

thumbnail image【写真】中割れから虎口への動きは沖縄空手と中国拳法が、繋がっ…

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Bu et Sports de combat サンチン ブログ 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─11─中割れで知る、型が伝えること

【写真】現在発売中のFight&Lifeで、青木真也が武術空手の中割れを体感している(C)t.sakuma

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第11回は前回に続き中割れを通して、型が伝える意味を解析したい。

<サンチン解析第10回はコチラから>


中割れから

拳を再び握りつつ、

(03) 鳩尾前の前まで引き上げ、手の甲が下を見るように搾る

✖ 肩やヒジを上げず、下げることが重要になる

【応用&上級編】前回、諸手突きを中割れの要領で両手受けし、右手受けから裏拳という打の在り方を紹介したが、ここでは組みへの中割れの応用を説明したい。中割れで相手に手首を掴まれると、そのまま手を開いた状態から、拳を握りつつ引き上げて──自らの左手で相手の左手首を掴む

再び拳を開いて、

返す動作によって

相手を崩す

【重要&MMAへの応用】手首を掴まれた時、拳を握ったままだと

相手も力が入ったままで腕を引き上げることもままならない

そこで──一度中割れの要領で、掌を開くと相手の力が若干抜ける

相手の力が抜けると同時に、拳を握り直し

腕を引き上げることができ、返すことができる。手首を掴まれる攻防は、MMAでも非常に多く見られる状況で、応用できる

この動作を使える空手家はごくごく限られている。何より、この動作を使うという観点ではなく、なぜ中割れが必要がという点を考えることが重要になる。つまり型が伝えることを理解するということ。少ない型から無限の技を想像する武術空手の最大の特徴でもある。

このような特徴を知ることで、空手は動きのある基本稽古と型稽古が一致していることが理解できる。とはいえ空手は本来は型稽古しか存在しなかった。型稽古から局部的に抜き出し、型をより理解するために基本稽古が行われるようになった。よって基本と型は循環しなければならず、基本稽古だけでは空手が本来持つ本質を理解することはできない。だからこそ、型稽古が必要になってくる。

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