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Interview ONE Road to ONE03 ブログ 今成正和 根津優太

【Road to ONE03】根津優太と対戦──今成正和。「お呼びが掛かれば」&「コロナ予防? 鼻毛を抜かない」

【写真】このままやるべきことを究め、仙人のようになってほしい(C)MMAPLANET

明日10日(木)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで、根津優太と対戦する足関十段こと今成正和。

1年7カ月振りのMMA、この間もグラップリングやコンバット柔術と海外で組み技の試合に出場してきた。

8日に行われた記者会見では、時間よ早く過ぎろとばかり周囲を遮断するような空気を醸し出していた。生き方も試合も自分があり過ぎる今成に会見終了後、根津戦に向けて話を訊いた。


──記者会見中もひたすらマイペースというか、授業中に先生の話を聞けない学生のようでしたね(笑)。このような会見での役割をどのように捉えているのでしょうか。

「いやぁ、役目はないですよ。ああいうのはもう、若い人がやっていれば良いって感じですね」

──このタイミングで、この試合がある。どのように捉えていますか。

「タイミングというか、お呼びが掛ればいつでもやるので。特にそれ以上のことはないですよね。特別なことはないですね。いつでも誰でも良いので」

──根津選手というのは意外でした。

「その前に違う人でオファーが来ていて。その人がやらないっていうから、ならもう試合はないかと思っていました。

──MMAは去年の2月以来になりますが、この間はグラップリングで戦ってきました。

「まぁ、誰と戦いたいというのもないですし、お呼びが掛からなかったのでMMAの試合はやってこなかったです。どうしたいとかなくて、タイミングが合えば誰とでも戦いたいですし。自分から試合をしたいと訴えることもないですし。

このままお呼びが掛からなければ、それで良いわけではないですけど、フェードアウトしていくということです。まぁ良くはないですよね。やりたいといえばやりたいですから」

──この間のグラップリングマッチで、ヒンドゥ・コントロールのベン・エディに勝っているというのが、やはり特筆すべき試合だったかと。

「まぁ、そうですけど……グラップリングの方はお呼びが掛かったので、試合をしたということです。ベン・エディに勝ったといっても、それが分かっている人もあまりいないですし(笑)。でもグラップリングは面白いですよ」

──コンバット柔術ワールドも同じスタンスで、出場したというわけですか。

「所さんが出るって聞いて、『良いですねぇ。俺も出てみたいな』って話していたら、所さんが連絡をとってくれて出場が決まったんです。で『出ても良いみたいですよ』って(笑)。

試合があるからとかで、練習内容は変わりないですし。練習することが生活ですからね」

──ZSTでコンバット柔術も始まりました。古巣でコンバット柔術やGTF出場も考えていますか。

「どうなんですかね……お呼びが掛かれば、やっても良いと思っています。ただ、対戦相手とはどこかで練習していることもあるので……だから、それほど国内の子たちとやる興味はあまりないです。今はこんな状況ですけど、やっぱり海外のグラップリングに出たいです」

──海外のグラップリングで戦いたい今成選手ですが、今回の対戦相手である根津選手の印象を教えてください。

「まぁ、ボンヤリとしか分かっていないです。試合が決まってから、動画を送ってもらって。見たらロードFCで凄い勝ち方をしているから、これは嫌だなぁって(笑)。痛いなぁっていう試合をしていましたね。

まぁ、あんまりいっぱい蹴られた痛いから、蹴られないように捕まえたいです。まぁ、何かしら組んでいこうかと」

──ところでコロナ禍のなか、家庭を持った身としては若い頃とは違いそういう問題にも敏感になることはないでしょうか。

「コロナ予防は、クラスの時にマスクをするぐらいです。あとは鼻毛を抜かない。そして鼻毛を伸ばす(笑)」

──アハハハ。

「でも、これが仕事ですからね。やり方は変わってきますね。1人の頃は休むなら休んでいましたけど、今は仕事をしないといけないですから。だから、この時期に仕事をくれるということはありがたいです」

──ところでサドル以来、再び足関節が脚光を浴びるようになり、今成選手のフィールドが進化してきました。

「いや、面白いですよ。無限に広がってきている部分がありますし、それでも自分がやってきたことも使える。そういう風に広げてくれている人が、自分を参考にしてくれたりもしている。だから、そこまでやってきたことは間違っていなかったなっていうのは思います。

名前がついていなかったけど、同じことやってきたというところもありますしね」

──その足関節が1年7カ月振りのMMAで炸裂するのか。マイペースな今成道を楽しみにしています。

「ハイ。まぁ何かしら極められるよう戦います」

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News ONE Road to ONE03 グンダー・カルンダ ブログ 今成正和 内藤のび太 手塚裕之 根津優太 江藤公洋 猿田洋祐 青木真也

【Road to ONE03】記者会見─03─猿田「コスプレじゃない」。カルンダ「I love Ramen」

【写真】メディアもソーシャルディスタンスを忘れてしまう件…… (C)MMAPLANET

8日(火)、10日(木)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE 3rd TOKYO FINGHT NIGHTの記者会見が港区の東京ミッドタウン・カンファレンスROOM7行われた。

ここではMMAファイターと記者の質疑応答の模様を振り返りたい(※要約)。

──猿田選手とのび太選手に質問なのですが、珠理奈さんにも注目の試合に挙げられていました。今の心境を教えてください。

内藤のび太 ありがとうございます。ちょっと照れる感じです。なんか男性からのラブコールを受けたみたいで、嬉しいです。あっ、ちょっと気持ち悪い感じになっちゃうんですけど……。凄く嬉しい──と思います。ハイ。

猿田洋祐 自分が長年、修斗時代から戦いたいと思っていた試合が──自分だけでなく、回りの人も思ってくれるようになった。そこまで持ってこられたのが良かったなと思います。自分のなかで成長できたなと思います。


──青木選手に質問です。青木選手は格闘技界自体をプロデュースして生きてきていると思うのですが、そういう立場になるなかで青木選手と今成選手だけ、この場にいて違和感のある馴染まない雰囲気です。昔から一緒にやってきた今成選手とこのタイミングで同じ大会で試合をする。プロデューサー的な立場でなく、青木真也個人としてどのような気持ちですか。

青木真也 まず一つ言えるのが、好きだと思うんですよ、格闘技が。格闘技が好きで、別に世界だとか一番だとかってことをやっていないけど、格闘技が好きと思ってくれるだけで、なんか僕は許せるというか。

ここにいるとさ、皆が格闘技好きです、尊敬していますっていうわけなんですよ。色々言いますよ。でも、そんなの向き合い方で分かるから。格闘技が好きっていう気持ちを持ってくれている──僕も格闘技が好き、それだけが全てじゃないかな。色々なんかあって、僕も人と上手くいかなかったりするけど、格闘技が好きなヤツは許せる。そこに尽きると思います。

──今成選手、今の青木選手の言葉を受けて一言お願いします。

今成正和 凄く良いこと言うなぁって思います(笑)。

──手塚選手に質問です。ソーシャルディスタンスのなか既に触れあってしまったのですが、実際に触れてみてグンダー・カルンダ選手の圧力、肉体力はどのように感じましたか。

手塚裕之 まぁそうッスね。凄い勢いで突っかかってきて……こっちの方が強いかなって感じですね。食っているモンも、やっているモンも。こっちの方が上のことをやっているので。

──手塚選手はお米を作って、お米で体を作っています。カルンダ選手は日本で何を食べて体を作っていますか。

グンダー・カルンダ アイ・ライク・ラーメン(笑)。ラーメン、スシ、フィッシュ、ウォーター。

──のび太選手と猿田選手へ。今回は入場に気合を入れるとか。意気込みがあれば教えてください。

内藤のび太 そこの対決はないかなと思います(笑)。

──コスプレはしない?

内藤のび太 コスプレっていうか、いつもしているのでアレはやると思います。

猿田洋祐 コスプレじゃないんで。忍者なのでやります!!

──青木選手に質問です。格闘技好きという言葉がありましたが、逆にABEMAの中継を通して格闘技がそこまで好きじゃない世間一般にはどのような受け入れられ方をしたいと思いますか。

青木真也 そもそも格闘技が世間に届いているかといえば、首を傾げることが多いじゃないですか。なんかこう、格闘技が世の中に届いています──メジャーですって。

格闘技をメジャーにしたいってやつ100パーセント信用していなくて。そもそもメジャーにならないし、サブカルチャーというか……サブカルチャーだからこそできる、自分で表現できるというのは多分にあると思うので、メジャーにしたいという考えがそもそも余りないです。

結局、格闘技を外に伝えたいときに、何を伝えるかというとコレに尽きると思います。僕の場合は生きろってことで、要約すると。凄く雑な言い方ですけど、どう生きるんだ。お前はこの世の中とどう組み合って、生きていくんだっていうメッセージを伝えたいですね。

それがない格闘技なんて、ただ運動の得意な人が取っ組み合っているだけだからさ。そんなもん、なんの価値もないからさ。何か自分がやっていることで、主義主張はしてほしいね──と思って、伝えたいと思います。ハイ。

──誰にとか、どういう人に向かってとか青木選手はありますか。

青木真也 俺は……僕は別にヒーローになりたいとか思っていないから。子供のヒーローになりたいとか全く思っていない。世の中の人って失敗したりだとか、コミュニティからあぶれたりとか、そういうこと……失敗することの方が多いんですよ。ここにいる人間も全員が強いわけではなくて、ただ強さに憧れて、自分の弱さを認められない人間なわけですよ。そういうなかで、僕の場合は世の中からあぶれたり、上手くやっていけない人間の、転がっている奴らの希望でありたいとは思っています。

なので、潤風満帆な人は見なくて良いです。

──江藤選手は何か伝えたいモノはありますか。

江藤公洋 自分自身は試合に向かうなかで怖さだったり、恐怖心を凄く感じるタイプなので。それを乗り越えて試合に向かう、どういう結果になるかは分からないですけど、今回の試合に向けての取り組みと試合のなかでどういう風なことを周りに感じてもらえるのか。恐怖を乗り越えた結果をどういう風に受け止めてもらえるか。そのために準備をしてきたので何かを感じてもらえればとは思っています。

──青木選手という存在は恐怖ですか。

江藤公洋 それもありますけど、試合は誰と戦っても恐怖は感じるので。それは青木選手だから、とかではないと思います。

──青木選手が言われたことに対して、のび太選手も取り扱われ方も特殊な、内気な感じの生き方があるかと思うのですが……。そういう同じような引き込まってしまう人に、何かを見せたいというのはあったりするのですか。

内藤のび太 そういう人たちには、そういう人たちの色々なアレがあると思うので、そういう人たちに見て欲しいということではないですけど、そういう人たちが見た時に、何かを感じてくれれば良いなというのはあります。ハイ。何が糧になるかとか、分からないですが。

──根津選手に質問です。青木選手がうだつの上がらない人に試合を見て欲しいと言われましたが、根津選手は明日の活力にしてほしいというモットーで戦っていますが、今回、この状況でどういう人の活力になるような試合をしたいですか。

根津優太 この状況ですから、全ての人が皆もう頑張っているので。だからチョット頑張り疲れた人達に『もう1回、明日も頑張ろう』とか思ってもらいたいですね。

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News ONE Road to ONE03 ブログ 大沢ケンジ 手塚裕之 松井珠理奈 江藤公洋 青木真也

【Road to ONE03】記者会見─02─松井珠理奈「どんな青木真也を?」✖青木真也「遊びじゃないからさ」

【写真】江藤への質問をし、目を見て真剣に返答に聞き入る松井珠理奈。そして、後方の今成はピンが来ていなくても良い味すぎるのが伝わってくる (C)MMAPLANET

8日(火)、10日(木)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE 3rd TOKYO FINGHT NIGHTの記者会見が港区の東京ミッドタウン・カンファレンスROOM7行われた。

出場選手がそれぞれ意気込みを語ると、大会ゲストで当日も解説を加わる松井珠理奈自らが選手に質問を投げかけ、選手が返答。ここではそのやり取りを振り返りたい。

松井珠理奈 江藤選手に質問したいのですが、青木さんと戦うことになって青木選手の存在が変わったなとか、今どのように考えていますか。

江藤公洋 一緒に練習したこともありますし、強さもそのなかで感じています。実際にやってもそれは変わらないです。変わらないのですけど、勝つためにどうやれば良いのかをずっと準備してきたので、それを試合で見せられたらと思っています。


松井珠理奈 ありがとうございます。手塚選手に聞きたいのですが、最近の筋肉の調子はどうですか。

手塚裕之 筋肉の調子はバッチリです。筋細胞が疼いているので。もう滾っているので。

松井珠理奈 筋肉とお米は?

手塚裕之 裏切らないっ!!

松井珠理奈 最後に青木選手に質問したいのですけど、今回のテーマ──どんな青木真也を見せたいですか。

青木真也 遊びじゃないからさ。遊びじゃないからさ、2005年からこれで飯食っているんだけど『お前ら、俺に何か言葉発せられるヤツいるのか』、偉そうに言って『青木真也って名前、お前ら出せるヤツいるのか?』、『誰もいねぇよ』、『勘違いすんなよ』って感じかな。

松井珠理奈 ハイ。ありがとうございます。

大沢ケンジ そういう風になかなか簡単に名前は出せないですよね。

青木真也 だから出すなよ。だから出すなよ。

大沢ケンジ これだけ緊張感があるので、僕の喋りも控えた方が良いですね。

この後、会見は記者との質疑応答へ移った。

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News ONE Road to ONE03 グンダー・カルンダ ブログ 今成正和 内藤のび太 手塚裕之 根津優太 江藤公洋 猿田洋祐 青木真也

【Road to ONE03】イベント2日前・記者会見─01─松井珠理奈降臨、「特に注目は猿田選手とのび太選手」

【写真】会見中の青木と今成が驚くべき程、同じような仕草を見せていた。自分があり過ぎる(C)MMAPLANET

8日(火)、東京都港区の東京ミッドタウン・カンファレンスROOM7で開催が2日後に迫ってきたRoad to ONE 3rd TOKYO FIGHT NIGHTの記者会見が行われた。

今回の会見には全6試合から11名の出場選手と、大会ゲストの松井珠理奈も登壇し選手に質問を行い、自らも記者の質疑応答に応えていた。

まず試合を務めた大沢ケンジ氏が「僕も緊張してきました。いよいよだなって。(江藤も猿田も)覚悟を決めています。勝てると思います」という心境を吐露した直後に、第1試合から出場選手から順にステージに登壇。

グンター・カルンダと手塚裕之が向き合って距離を詰まると小競り合いになると、その大沢氏が割って入って両者を止めるという一幕も見られた。

メインに出場の青木真也までがステージの席に着くと、松井珠理奈がトリを務める形で登場し、「佐藤将光選手のお父様がデザインした服を今日は着てきました(笑)」とまずは開口一番、笑顔を見せる。

そして「ピリピリしている感じがしていて、自分がここにいて良いのかなっていう気持ちなります。全試合が楽しみですが、なかでも猿田選手とのび太選手は修斗の時代から猿田選手がのび太選手を追いかけていたということで、その2人が交わるということで楽しみです。そして、もしかしたら勝者がパシオ選手と戦うかもしれないというワクワク感があって凄く注目しています」とONE通らしい発言をした。

続いて秦英之ONE JAPAN代表がマイクを握り、英語と日本語を駆使して挨拶。「10月以降、世界大会の準備も開始しています。できれば木曜日を皮切りに……普段から練習はやっているかと思いますけど、Road to ONEという名前の通り、世界でとにかく一番になる選手を受け入れる体制をONE全体で準備していますので、とにかく熱い戦いを木曜日ぜひご期待ください」と、10月に予定されているシンガポール大会で日本人選手の招聘に向けて、準備が進んでいることを匂わせる発言があった。

ここからは各MMAマッチに出場する選手の抱負の言葉をお届けしたい。


根津優太
「全てのタイミングが良くて今回、試合を受けさせてもらいました。相手が今成選手とやるとは思っていなかったので、これも良いタイミングだと思います。しっかりと勝ちにいきます」

今成正和
「特に意気込みはないですが、まぁ勝つつもりで痛くないようにやります」

グンター・カルンダ
「コンニチワ。マイネーム・イズ・グンター・カルンダ。アフリカからやってきた。ONEの大会に出られることにお礼を言いたい。そして、僕のチームTRY.Hにも。ゲームをするためにONEで戦うんじゃない。プロのファイト・イベント、プロファイト・ショーだ。だから、出場するんだ」

手塚裕之
「このような時期に試合ができるということで、皆さまに感謝しています。しっかり積み上げてきたモノがあるので、それを出して……さっき突っかかってきて、ちょっと舐めてんなって思ったのですが、差を見せつけて勝ちたいと思います」

内藤のび太
「こんちわ。内藤のび太です。自分と戦いたいと言ってくれたことに照れていたのですけど、嬉しいです。頑張ります」

猿田洋祐
「自分が望んでいた試合がやっと実現できて、ファンの皆さんも松井さんにも注目していただいて凄く嬉しいです。どんな試合展開になるか分からないでですけど、どんな試合になっても苦しくて激しい、凄い削り合いになると思いますので、自分が最後に削り勝って、日本人で初めてのび太選手に勝つ選手になろうと思っています。それと自分たちのことを知らないファンの方もいると思いますが、世界で活躍する日本人がいること知って欲しいです」

江藤公洋
「今回、このような状況のなかで試合を組んでもらったこと凄く有難く思っています。そのなかで青木選手という強い選手とやらせてもらうので、良い試合をするために準備してきたのではなく、勝つために準備してきました。それを当日見せます」

青木真也
「ハイ。ヨロシクッ、終り!!」

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Interview ONE Road to ONE03 ジョシュア・パシオ ブログ 内藤のび太 猿田洋祐

【Road to ONE03】ジョシュア・パシオに訊く、猿田洋祐✖内藤のび太─02─「サルタはよりハングリーだ」

【写真】24歳の若きチャンピオン。このインタビューを読んでいると、彼の試合が見たくなる (C)MMAPLANET

10日(木)、東京都渋谷区のO-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで、実現するストロー級国内トップ対決=猿田洋祐✖内藤のび太。この試合を現ONE世界ストロー級王者ジョシュア・パシオが予想するインタビュー後編。

2度に渡る両者との対戦を経て、猿田洋祐のことも内藤のび太のことも知り抜いているチームラカイの若きチャンピオンは、一点──猿田が有利だという要因を挙げた。

<ジョシュア・パシオ インタビューPart.01はコチラから>


──猿田選手に敗れ、再びこの敗戦から学びを得て3カ月後の再戦に挑んだわけですね。

「その通りだよ。より試合に集中し、サルタの打撃を予測しようと試みた。それでもサルタは強くて、1Rにオーバーハンドを当てられてしまったけどね。でも、絶対にベルトを獲り返したくて集中力を切らすことなく戦ったんだ。そうすることで、打撃を当てるタイミングを掴むことができたんだ」

──猿田✖のび太戦を前に、ジョシュアはのび太選手の強さはどこにあると思っていますか。

「ナイトウの強みは、強力なレスリング力が生み出す尽きることのないプレッシャーだよ」

──では猿田選手のストロングポイントは?

「サルタは爆発力があり、フィジカルも強い。身体能力が優れている。その根底には体が凄く柔軟なことがあると思う」

──続いて、のび太選手の弱みは?

「ナイトウの弱点は打撃が常に挙げられるはずだよ。でも、彼の打撃は進歩している。2016年に対戦した時は、飛びつくようなテイクダウンの仕方だったけど、徐々にレスリングのような入り方に打撃も加わったように、技術的に進歩しているからね」

──なるほど。では猿田選手のウィークポイントはどこだと考えていますか。

「サルタの弱点を挙げることは難しいよ。とてもアグレッシブだし、テイクダウンも打撃も……全局面において凄く強いからね」

──今回の猿田✖のび太、5分3R制だということを踏まえて、勝敗予想をお願いします。

「そうだね、仮にこの試合に4Rや5Rがあれば、ナイトウは競り勝つことができると思うけど……、いやぁ予想するのはメチャクチャ難しいよ。

この試合の鍵を握るのは、2人のコンディションになるだろうし。それによって勝敗は変わって来るけど、とにかく試合を見るのが楽しみだよ。2人とも素晴らしい人物だし、2人にとって良い試合になることを願っている」

──この試合で期待することは?

「僕はナイトウがテクニカルな戦いをすることを期待しているよ。サルタはやはり爆発力のある戦いを見せて欲しい。互いの打撃とディフェンスが交錯する試合が見たいと思っている」

──のび太選手はこの試合に向けて、今後の事は一切考えずに望むと言っています。その一方で猿田選手は『今回の試合を通して、パシオ選手にプレッシャーを与えたい』と言っていました。『パシオは内藤選手のテイクダウンの圧力に対して距離を取っていたけど、自分は彼のテイクダウンやレスリング力を脅威に感じない試合をする』と。

「プレッシャーかい? 僕だっていつも皆の期待を受けているからプレッシャーを感じて戦っている。でも、これまでサルタやナイトウ、アレックス・シウバらトップレベルの選手と試合をしてきたから、僕にプレッシャーは関係ないよ」

──ストロー級王者のジョシュアは、この試合の勝者と将来戦う可能性があります。どちらの選手と決着戦を行いたいですか。

「さっきも言ったように、この試合の勝敗予想をすることは凄く難しい。でも勝った方と戦う準備はできているよ」

──先ほど「もし4Rか5Rがあれば、内藤選手が競り勝つことが出来る」と言いました。のび太選手が最後の2Rで積極的に攻める事が出来る要因として、技術以外にもハートの強さがあると言われています。

「全くもってその通りだよ。あのハートの強さがあるからこそ、ナイトウはチャンピオンになれた。ナイトウがデェダムロンに勝ったのは、まさに気持ちが勝因だったよ。でもナイトウの強さは精神力だけじゃない、コンディショニングの良さや身体能力があってのことだから」

──猿田選手は常にパシオ選手との対戦を想定しているそうですが、内藤選手は全く想定していないそうです。この両選手の考え方の違いについては、どの様な影響があると思いますか。

「チャンピオンに再び返り咲きたい意思があるのかどうか──サルタからは、よりハングリーさが感じられるよね。2人は考え方が違うけど、そのハングリーさがある分、サルタが有利になることもあり得るかと思うよ。

チャンピオンになりたい──それは選手なら誰でも思うところだし。その意志が良い強いサルタが優位に立てるはずだ」

──のび太選手は毎試合ごとに余計な考えを持たず、目の前の試合にのみ全力を尽くす。それについてはいかがでしょうか。

「もちろん、ナイトウは今回の試合に全力を尽くすだろう。でもナイトウだって、まだ王座を狙える年齢だし、サルタとの試合に勝利することがどういう意味があるのか理解しているに違いないさ」

──ジョシュア、今日は本当にありがとうございます。また近い将来、会って話せる日が来るのを楽しみにしています。

「こちらこそ、ありがとう。日本の状況が良くなることを願っているよ」

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Interview ONE Road to ONE03 ジョシュア・パシオ ブログ 内藤のび太 猿田洋祐

【Road to ONE03】ジョシュア・パシオに訊く、猿田洋祐✖内藤のび太─01─「ナイトウは本当に我慢強い」

【写真】ジョシュア・パシオだからこそ、語ることができる猿田とのび太がいる (C)MMAPLANET

10日(木)、東京都渋谷区のO-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで猿田洋祐✖内藤のび太が組まれている。

ONEストロー級のトップランカー対決は、元世界王者の激突でもある。その両者と過去に2度ずつ世界戦で戦い、共に1勝1敗というイーブンの記録を残しているのが、現ONE世界ストロー級王者ジョシュア・パシオだ。

ここではバギオにいるパシオに、両者との戦いを振り返ってもらい、注目の一戦の予想をしてもらった。


──こうしてインタビューの機会を創ってくれて、ありがとうございます。

「こちらこそ、ありがとう」

──ジョシュアの住んでいるバギオは、新型コロナウィルス感染はどのような感じでしょうか。

「ハードな状況だよ。毎日、沢山の人がコロナに罹っているよ」

──セブやマニラでなくて、バギオがですか。

「そうなんだよ。1日で警察官が46人も感染したりして」

──そのような状況で、チームラカイでの練習は問題ないですか。

「少しずつ良くなって来て、今では1年前と同じように練習ができるようになったよ。それでも今も毎日、どうやって練習するかを模索し続けている感じだね」

──これから何が起こるか誰にも予測は出来ませんが、今どのようにしてモチベーションを保っていますか。

「そうだね、モチベーションを常に保てるようにトライしている。僕は世界チャンピオンだし、ずっとベルトを持っていたいから。だからこそ、コロナの感染状況が悪化しても、日々1パーセントでも良いから進歩していけるようにしたいんだ」

──さすがジョシュアです。今回、ABEMAと一緒にジョシュアのインタビューをお願いしたのは、9月10日のRoad To Oneというイベントで、内藤のび太選手と猿田洋祐選手が対戦するからに他ありません。

「えっ? サルタとナイトウが試合をするの? 知らなかったよ!! 凄いじゃないか!!」

──ONEストロー級でタイトル挑戦者候補の2人が戦うことについてどう思いますか。

「いやぁ、凄く楽しみだよ。ナイトウとサルタは違うスタイルのアスリートだからね。サルタは爆発力があって、ナイトウよりも打撃ができる。対してナイトルはテイクダウンが強い。何よりも……我慢強いんだ。例えパンチを被弾しても積極的にテイクダウンを狙って寝技でフィニッシュして来ようとする。

でもサルタも高いテイクダウン能力を誇っているし、フィジカルが強い。いやぁ、どんな試合になるのか凄く楽しみだよ」

──ジョシュアは過去に2人と2度ずつ戦い、揃って1勝1敗です。まずはのび太選手と最初に戦ったのは2016年10月で、ジョシュアはキャリア11連勝中でした。

「ナイトウは本当に我慢強い。1Rで劣勢になっていても、全く怯まないで攻めてきた。あんな風に攻めてきて、ケージ際でもの凄い圧力を感じたんだ。最終的にはRNCを極められてしまった。とにかくナイトウは我慢強かったよ」

──あの試合から何を学ぶことができましたか。

「それはマナブが考えてよ(笑)」

──いやいや、ジョシュアの言葉で返答をください。

「ナイトウに負けて……自分自身の足らないことに気付かされたよ。コンディション創りであったり、寝技やレスリング。本当に多くのことを見直すことができた」

──のび太選手との最初の試合から2年後、2018年9月にリベンジを果たし、ONE世界ストロー級王座を獲得しました。こ2年間でジョシュアが手にした変化は何だったのでしょうか。

「一番の違いは自信を持って戦えたということ。最初の試合では寝技に自信がなかった。でも2度目の試合では何も怖くなかったんだ。テイクダウンされても、スクランブルで立ち上がることができると思っていたから。そこが一番大きな違いだったよ。ナイトウと初めて戦った時は、ストライカーがMMAを戦っていたようなものだった。でも、再戦の時にはMMAファイターとして、どの局面でも戦えるようになっていたからね。

2016年の試合はテイクダウンに対して、ディフェンス一辺倒で、僕の攻めは打撃だけだった。でも、2018年の再戦ではナイトウがテイクダウンをしてきても、寝技を凌ぐことができた。最初に試合の敗北から学んだことを生かすことができたんだ。

とにかく徹底的に打撃で攻めて、テイクダウンされても防ぐことができた。そういった場面を想定して、スクランブルの練習をたくさんしていたから。バックを取られたり、テイクダウンされることを想定して練習していたんだ。もちろん、実行するのは難しかったけどね」

──ジョシュア✖のび太選手は、ケビン・ベリンゴン✖ビビアーノ・フェルナンデスと同じ戦略なのでしょうか。

「そうは思わないよ。確かに2018年11月のシンガポールの試合では。ビビアーノに対してスクランブルに持ち込んでいた。あの時はバックキックを多用して、ビビアーノを削ることだったんだ」

──ジョシュアはケビンよりも、ガードワークに自信がありますか。

「ノー、ケビンより僕の方が上手いとは思っていないよ。僕とケビンはスタイルが違うから。ケビンは爆発力があり、打撃も切れがある。その辺りはバンタム級とストロー級の違いでもあると思う」

──なるほどぉ。のび太選手が奪ったベルトの初防衛戦は2019年1月でした。当初の予定では鈴木隼人選手と対戦予定が、猿田選手に変更となりました。

「そうだね……サルタに負けた試合も厳しかった。僕は下がるだけで、まるで最初にナイトウと戦った時のようだったよ。ただ下がって、打撃はカウンター狙いだけで。アグレッシブさが欠けていたんだ」

<この項、続く>

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Interview ONE Road to ONE03 グンダー・カルンダ ブログ 手塚裕之

【Road to ONE03】ゆきゆきてMMAファイター人生=手塚と対戦するグンター・カルンダ─01─

【写真】終始、明るい雰囲気を感じさせたカルンダ (C)MMAPLANET

10日(木)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで手塚裕之と対戦するグンター・カルンダ。

日本にいると未知な部分が国から日本に移り住んだカルンダをABEMAと共同でインタビュー。アフリカのラージエストMMAプロパティ=南アフリカのEFCワールドワイド元ウェルター級王者が歩んできた道、そして手塚戦に対する意気込みを訊いた。


──手塚選手とのオファーがあった時、どのような気持ちでしたか。

「まずONEとトライHスタジオに感謝の気持ちを伝えたい。最初にこの話を聞いた時からエキサイトしまくりだよ。リングだろうがケージだろうが、日本で自分の仕事ができることは嬉しい。今もワクワクが続いているよ」

──コンゴ民主共和国のことは我々は本当に知らないことが多いのですが、どうのように格闘技と出会いMMAファイターを目指そうと思ったのでしょうか。

「7歳の時から柔道や空手を始めて、柔道をメインに練習していたんだ。成長してMMAに興味を持つようになったけど、コンゴでMMAファイターとして活動することは非常に難しい。アフリカでは南アフリカに行くのが一番の手だったから南アフリカへ行き、ボクシングやMMAの練習をするようになり、今に至っている」

──コンゴではMMAの認知度はどれほどなのですか。

「僕が住んでいた頃は米国人がケージの中で戦っているという風にTVで視ることはできたよ。ただ、それがUFCって名前がついているコトも認識されていなかった。

僕もやりたいと思った時、色々と調べるとさっきも言ったように南アフリカにはEFCワールドワイドという大会もあったし、練習環境も整っていたので移り住むことにしたんだ。あの頃、コンゴではMMA社会はなかった。だから僕はパイオニアというわけじゃないけど、コンゴではかなり早い段階でMMAを始めた人間になっている」

──今は?

「今は凄く人気が出ているよ。他のスポーツからMMAに転向するアスリートも多いし、僕がONEでMMAファイターとして活躍していることは母国では多くの人が知っていて、ビーストへの期待は高まっているのも伝わって来るよ」

──EFCワールドワイドからは、UFCファイターやパンクラスに出場するチャンピオンが輩出されています。ウェルター級王者だったグンターはONEでなく、ONEウォリアーシリーズを選択したのはなぜなのでしょうか。

「EFCとは契約で関係がこじれてしまって。僕はウェルター級で無敗だったけど、EFCでは試合ができなくなってしまった。そこで前から注目していたONEで戦いたいと思ったんだけど、ウォリアーシリーズから戦ったのはファンに僕がONEで戦うのに相応しい選手だと知って欲しかったからなんだ。その後にONEでやっていくためにも」

──それだけの覚悟があったのに、初戦のカルロス・プレイデス戦で敗北を喫したのは計算外ではなかったですか。

「試合のオファーがあったのは、まだEFCとのゴタゴタの最中でストレスだらけで、気持ちも落ちていた。それまで僕は試合前の調整期間を2、3カ月設けていたけど、あの時は2週間だけだったんだ。

相手はプーケット・トップチームに所属しており、準備は整っていた。対して僕は準備不足でスタミナが十分じゃなかった。2Rぐらいで倒せる相手だったんだけど、ガス欠になってしまって試合を続けることは無理だと判断したんだ。アフリカから長時間のフライトを経て、シンガポールで戦うにはあまりにも練習が足りていなかったよ……。

ただ、それでもベストは尽くした。できることは全てやった結果なので、事情を分かっていたリッチ・フランクリンが次の試合を約束してくれたんだ。負けはしたけど、あの試合でファイターとして自分の心が折れることは一切なかったよ」

──ウォリアーシリーズの2戦目、メンディ・バクヘリ戦は2カ月後で勝利を手にしました。それから今回の試合まで試合はしてこなかったです。

「ウォリアシリーズで勝った後、また2カ月後に試合が組まれることになっていて、それが日本になる可能性があると聞かされたんだ。でも対戦相手が見つからなくて、ずっと次の試合は組まれなかった。そんな時、ONEはアジアに基盤を置く大会だから、キャリアアップのためにはアジアに居た方が良いと決断した。それで日本に拠点を移すことにしたんだ」

<この項、続く>

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Interview ONE Road to ONE03 ブログ 中原由貴 松嶋こよみ 高橋遼伍

【ONE】松嶋こよみ発言を受けて、中原由貴に訊く、Road to ONE─01─「日本人対決には全く興味ない」

【写真】言葉は強めだが、終始にこやかだった中原(C)ABEMA

28日(金・現地時間)にABEMAで中継されたONE111「A New Breed」のゲスト解説を務めた中原由貴。

1週間前に解説をした直後のインタビューで、同じフェザー級の松嶋こよみが日本人対決に関して、「前の試合で負けている選手だし、勝ってから声を挙げて欲しい」という発言をした。これ対し、中原はSNSで『話が違う』と反論。解説を終えた直後に、中原に日本人対決や昨年5月以降にどのように過ごしてきたのかを尋ねた。


──解説お疲れさまでした。大会の印象や昨年5月から現在までの動向を伺う前に、松嶋こよみ選手のMMAPLANETのインタビューで『僕と戦いたいという声がなかった。ランキングが下の選手に僕からやろうという気にはなれなかった』という発言をしたことに対し、ツイッターで反応をされていたと聞きました。

「これはもう、書くかどうかは高島さんに任せますけど、俺は別に逃げているわけじゃないんです。それなのに周りは『なんで、コイツらやらないんだ』って意見が出ているみたいで」

──Road to ONE03 に関しては、オファーはあったのでしょうか。

「ありました。僕、プライベートと仕事のケジメをつけたくてLINEが2つあるんです。SIMカードを2つ持っていて。でプライベートの方にしている時にオファーを長南さんからもらっていて1日、気付いていなかったんです。

気付いてすぐに、連絡を取りました。試合まで6週間か7週間で10キロほど体重を落とさないといけない状況で、詳しい計量方法とか分からなかったですけど……。ここ最近の流れだとONEの体重で当日計量だろうし、ONEと契約している日本人選手と戦うのであれば、久しぶりだし試合もしたいから『やります』って返答したんです。

で、相手が決まらないまま1週間ぐらい減量もして体重も3キロ落としていました。そうしたら、他の日本人フェザー級選手はONEが再開して日本人を呼ぶようになるのを待つということで、ONE本戦と契約していない選手の名前を告げられたんです。

ファイトマネーは日本でやる大会だし、本戦のような額じゃないだろうと思っていたけど、そこは良かったです。でも、ONEの契約選手と戦うつもり満々だったのに……それはちょっと気が乗らないってなりました」

──なるほど、そういう流れがあったのですね。

「でも僕のなかで相手は松嶋選手じゃないと思っていました。彼は僕とやるメリットはない。だって1つや2つでタイトルに挑戦できるのだから。で、山田(哲也)選手は日本にいるらしいけど、向うでずっとやってきた人が、このタイミングでは日本で試合はしないだろうと。だったら、高橋遼伍選手かなって。

高橋選手は去年の日本大会の時に『日本人対決も面白い』と発言していたので、これは高橋選手だって僕は思っていました。もう作戦も考えつつ、松嶋選手か山田選手の可能性もあるかもと考えつつ練習をしていると、ONE本戦で戦っていない選手の名前を告げられて……。

それは違うし一旦断わらせてもらいました。で、その直後にちょっとケガをして睡眠をとるにも影響がでる状態だったんです。そうしたら『高橋遼伍選手がOKなら、やりますか?』って1週間後に連絡がきて。『なんで1週間前に言ってくれないんだよ』って」

──でもケガをしていたのですよね。

「僕は試合が決まったら、ケガをしてもやります。逃げたと思われたくないし。だから、なんであの時に高橋選手の名前を出してくれなかったんだって。もう日常生活に影響が出るくらいなので、あの時点で試合ができるとは言えなかったです」

──なるほど、そのようなタイミングが合わないことがあったのですね。それとは別問題で、松嶋選手が『前の試合で負けているのに、ランクが上の僕とやるなら勝ってから言って欲しい』という風に発言していたことについてはどのように受け止めましたか。

「フフフフフフ。正直な話をして良いですか」

──勿論です。

「日本人対決には全く興味ないです。勿論ランキングは上にいるし、そういう風に言う気持ちは分かります。でも、彼がそういう風に言うってことは日本人を意識しちゃっているってことですよね。僕は日本人選手は誰も……それだったらONEに行かず、あのままパンクラスに残ってISAO選手に勝ってベルトを獲ってから、どっかに行くっていう選択をしていました。

お金の問題もありますけど、僕がONEを選んだのにはちゃんと理由もあります。海外で練習をしてローカル団体で戦っている色々なヤツらと肌を合わせた時に『ちょっと待てよ、俺、井の中の蛙じゃん』って思ったからなんですよ。世界にはまだまだ凄いヤツがいる。だから、外国人と戦いたくてONEをチョイスしたんです。

それが周りから同じ階級に日本人がいるとか言われても、それは外野の意見です。まず日本のなかで強いヤツを決めろよっていう気持ちも分かりますけど、俺個人としては正直、日本人と対戦することに興味はないんです」

──ただし10月にシンガポール大会が開催され、日本人選手が招聘されたとしても、出たいと思っている皆が出られることはまずないと予想されます。

「そうですね。その通りだと思います」

──もう本当にどのような大会で、どうなるのか分からない状況でRoad to ONEという国内大会の需要が高まり開催される。でも、日本人としか戦う選択肢はない。そういう場合だと中原選手はどうしたいですか。

「僕、今回スイッチ入ったのはビックリしたんです。日本人対決に意欲的になって。それもなぜか分からないですけど、金じゃなくて、消去法で誰になるか考えつつ3人の中なら誰でも良いって思っていたし。正直、僕より箔のある選手ばかりなんで。

下から突き上げるっていうのは一番良い立場で試合に臨むことができます。そういう気持ちがあったので、次に日本人選手と戦うことにスイッチが入るかと言われたら、今はもう待ちたいです。今日も解説している時に、コメントで中原✖高橋が見たいって書き込んでくれている人達もいて。そういう声を挙がると、それは嬉しいです。これだけ姿を消していた人間に対して、そんな風に行ってくれるなんて。

ですけど、本当にタイミングですね」

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Interview ONE Road to ONE03 グンダー・カルンダ ブログ 手塚裕之

【Road to ONE03】カルンダと対戦、手塚裕之の大自然トレに密着─01─「逆流バタフライ、トビウオ」

【写真】鬼怒川上流に向かい、バタフライ (C)MMAPLANET

2 10日(木)に東京都渋谷区のTSUTAYA O-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHTで手塚裕之が、南アフリカのEFCワールドワイドの元ウェルター級王者で、ONE Warriorで1勝1敗の戦績を残す、グンター・カルンダと対戦する。

コロナ禍の下、日本在住とはいえ国際戦──しかも、しっかりと実績を残しているカルンダ戦を前にして、ABEMAと共同でMMAPLANETは手塚の大自然トレーニングを、栃木県塩屋谷町を訪れ取材した。

そこで目にした恐るべき手塚の練習環境とは!!


──今日は手塚選手の野性味あふれるトレーニングを見せていただいたのですが(※アブが手塚、取材スタッフの周囲を飛び回る)……うわっ、アブですね。手塚選手の自宅に創られたプライベートジムですが、夕方でこれだと夜には虫が相当来るのではないでしょうか。

「毛虫とかマットの上にいて、たまに踏んじゃいます(笑)。カメムシも──寝技をやっていると背中でパリッとか音がして。『くっせぇ』って(笑)」

──……。それにしても鬼怒川で泳いだり、河原の藪になぜか現われた芝が刈り込まれた空間でサーキットトレーニング。あのう……こういうと失礼な言い草なのですが、あの練習は取材用でなくいつもしているということなのですか。

「そうですね。春から夏にかけてはやっています。アイシングにもなりますし。ここで練習して川に行って、アイシングしつつちょっと泳いだりとかして」

──今日は川の流れが穏やかでしたが、それでも川上に向かってバタフライというのはきつそうでした。アイシングどころか、強度が高いトレーニングにしか見えなかったです。

「アレはトレーニングです。逆流バタフライはトビウオって名付けているのですが(笑)、かなりこたえます」

──いつも1人でやっているのですか。

「1人でやったり、トレーナーというか友人に来てもらって」

──1人って危なくないですか。

「その辺は勘を働かせています(笑)」

──まさに野生の勘ですね。いつ頃から、あの大自然トレーニングを採り入れてきたのでしょうか。

「いつ頃というか、子供の頃から自然で遊ぶのが好きで。登山とか、友達と川にいって飛び込んだりしていました。日常ですね。でも、この年になってやっているのはいないですけどね(笑)」

──ダハハハ。それはそうでしょう(笑)。プールで泳ぐとのはまるで違うかと。

「違いますね。流れに逆らって泳ぐのは、凄く良いトレーニングになります」

──多摩川だと通報されます。

「今のところ大丈夫です(笑)」

──それとサーキットトレーニングは、ジャングルのように草木が群生している場所に、突如これ以上ないスペースがあり驚かされました。

「アレは僕も姿を見たことがないのですが、飛行機のラジコンをしている人が滑走路用に刈り取っているみたいなんです」

──!! 私有地なのですか!

「いえ、きっと違うと思います。勝手に刈り込んでいるんだけかと(笑)。あそこの練習はプロになってからやるようにしています。実際、ジムやここでもあの練習はできます。でも、外でやる方が少し疲れないんです。自然の力というのが、少しあるんじゃないかと思います」

──実際にあの場所に行っていないと、そんな馬鹿なことはないと私も思ったはずです。でもあの場で、あの空気を吸うと自然のエネルギーというのは存在していることが実感できます。

「とにかく気持ち良いですしね。実は川泳ぎに関しては、冬も寒中水泳をやることがあります」

──!!!!!!! もう言葉がでないです。

「気温が-1度、水温が1度とかで飛び込んでみたり。それは去年からなんですが、コールドトレーニングというモノで取り入れています。呼吸で体を温めてからやらないと良くないのですが、呼吸によって冷たいところに体を慣れさせることとができます」

──今日も川にある大きな岩の上で腹式呼吸をやっていましたね。

「アレも去年の12月に豪州に旅行がてら行き、現地のトレーナーにアイスバスだとか、コールドトレーニング、呼吸法を教えてもらったんです。で、僕はそれまで1分間しか息を止めることができなかったのが、4分間ストップできるようになりました。

血中の酸素濃度が上がったから、そうなるわけで。それは絶対に試合に生きてくるので、普段からトレーニングしようと思い続けています」

──チアノーゼを防ぎ、疲れて手が下がることが手塚選手の試合からなくなるということですね。

「そのためにやっています。スタミナをつけるために。実際にMMAの練習をしていて、何となくですけどスタミナがついた実感はあります」

──川とサーキット、コチラでのミット打ちも友人が練習相手でした。

「はとこのたけちゃんです。苗字は同じ手塚で(笑)。手塚たけやなので、たけちゃんと呼んでいます」

──そのたけやさんは格闘技の経験は?

「全然なかったです。子供の頃に相撲をやっていたぐらいで(笑)」

──えぇ、でもしっかりとミットを持たれていましたが……。

「アマチュアの時からだから、もう5、6年やってもらっていますからね。最初はこのガレージにジムを創った時に、皆に『筋トレしにおいて』って地元の仲間を集めて。筋トレを教える代わりにミットを持ってくれるようになったんです。

たけちゃんは僕のことをアマチュアの試合からずっと見ているので、良いところも悪いところも知ってくれています。最初は格闘技に関しては素人でしたが、ずっとやってきましたし、何よりも僕に関してはスペシャリストなんです。

一緒に対戦相手の研究をして、親身になってサポートしてくれますし。本当に助かっています」

<この項、続く>

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Interview ONE Road to ONE03 ブログ 江藤公洋 青木真也

【Road to ONE03】青木真也と対戦、江藤公洋「不安と恐怖心が一番に来ました。ても……」

【写真】恐怖に打ち克つ。MMAファイターがケージに足を踏み入れることは、既に何かを乗り越えているはずだ (C)MMAPLANET

10日(木)、東京都渋谷区のO-Eastで開催されるROAD TO ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHT。

8月17日に行われた会見後、青木真也と対戦する江藤公洋が話していたことは。恐怖。不安という感情を隠さない江藤だが、ここで試合をしないという選択はなかった。


──青木選手を横にしての、会見が終わりました。今の気持ちは?

「どっと疲れました(苦笑)」

──この試合のオファーがあった時、素直にどのように思いましたか。

「自分にオファーが来るのかって……思いましたね。実績としてもONEで1勝しか挙げていないですし。青木選手がSNSで『試合が決まりました』と発信していたのを見て、『へぇ、そうなんだ』っていう他人事みたいな立ち位置で見ていました。

それこそ『誰と戦うんだろう』って。だから、こっちに来るんだ?って。そこからは不安と恐怖心が一番に来ました」

──そこがまた江藤選手らしいところです。でも、試合を受けると。

「この状況のなかで『ノー』と言っていたら試合はできないです。それはファイターとしてどうのなのかって。そこは大沢さんとも話をしました。

このタイミングで青木選手が試合をする。自分も試合に向かうことに関して、考えることはありますし……。普段は試合に集中していますが、今回は色々な感情が出てきているので、それを吐き出して当日に向かっていければと良いと思っています」

──この機会、青木選手でない方が……という気持ちもありましたか。

「ONEと契約している選手との試合に限定されると、青木選手だけでなく徳留選手も、一緒に練習させてもらっているので誰と戦っても複雑な心境にはなります。でも、この状況だからこそ受けないという選択はないです。皆がそうだと思います。

色々と考えて複雑な気持ちになったところで、この状況で日本の格闘技を盛り上げる……注目を絶やさないように頑張っている状況ですから、どのような気持ちでいても参加しないといけないと思っていました。自分もそのなかの1人としてオファーがきたのだから、最大限の行動をしないといけないです」

──試合を受ける前と受けた後、どちらが怖いですか。

「正直、両方怖いです(苦笑)。外国人選手で強いと言われているのと、肌を合わせたことがある選手が強いというのはまるで別物で。色々なシチュエーションが、いつも以上に頭のなかを巡っています。常に試合のことを考えているので、そのたびに不安、怖さはあります」

──この試合は、誰がどうみても青木選手有りきのマッチアップです。

「ハイ、前回のアミール・カーン戦もそうでした。だからこそ噛ませ犬どうこうを考えるのではなくて、当日にどれだけやれるのか。気負わず準備していこうと思います」

──青木選手がタナぼただと発言していましたが、だからこそこの機会を生かしてジャンプアップしたいという想いは?

「そこを深く考えてしまうと、硬くなってしまうので自分の持っている技術を全部出して、良い試合をする。そういう風に意識するようにしています」

──アミール・カーン戦に勝利しての試合です。あの試合はどれだけ江藤選手に自信を与えてくれましたか。

「前回は上手く出せました。ただし、今回もそうなるとは限らないです。あの試合で勝ったから、自分の価値が上がったという驕りは持たず、それ以前の自分に戻ってしまうかもしれないという恐怖心と向き合って創り上げたいと思います」

──恐怖が世界を支配している時期でもあります。青木戦の恐怖を乗り越えた時、江藤選手はどのような人間になっているのでしょうか。

「そうですね、こういう状況で皆が色々な不安を抱えています。そこで自分が恐怖を乗り越えることで、人に何かを伝えることができるようになっていたいです。乗り越えた姿を見てもらい、『自分だって変われるんだ』と思ってもらえると嬉しいです」