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Interview J-CAGE Shooto2020#05 ブログ 安藤達也 田丸匠

【Shooto2020#05】新環太平洋バンタム級チャンピオン、安藤達也「Road to ONEに出たいッス!!」

【写真】伝統のベルトを肩にかける安藤達也(C)KEISUKE TKAZAWA/MMAPLANET

1日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたShooto2020#05で、田丸匠を破り安藤達也が環太平洋バンタム級のベルトを手にした。

左ストレートからパウンドアウト、2度目の挑戦で晴れてチャンピオンとなった安藤にその心境とこれからについて尋ねた。


──率直な今の気持ちをお願いします。

「メチャクチャ嬉しいです。格闘技をやってきて、いつも死生観ではないですけど、これで終わって良いと思って戦ってきたので。今回もネガティブな感じに、これで負けたら引退するとかは考えていなかったですけど、勝負することを課題としていました。

でも、かなり立ちあがりは動きが悪くて……。そこで勝負ができたので自分のなかで自信になりました」

──個人的な話ですが、安藤選手を初めてインタビューさせてもらったのが2015年。GRANDSLAM02で芦田崇宏選手にキャリア3戦目で勝利した直後で……。正直、初戴冠までこれほど時間が掛かるとは思っていませんでした。

「そうッスねぇ(苦笑)。僕……フリーになってから、格闘技って個人競技だけど、団体競技なんだと改めて実感するようになったんです。個人力はもちろん大切なのですが、チーム力が結構出る。たくさんの人が僕のことを支えてくれているので、こうやってベルトを獲れたことが嬉しいです。

そういう人たちに感謝の言葉を、これで伝えることができると思います」

──試合内容としては田丸選手の右の三日月蹴りなども有効で、パンチでもかなり真っ向勝負的な試合展開になりました。

「プレッシャーを掛けられましたね。ただ、さっきも言ったように立ちあがりは僕の動きがメチャクチャ悪かったです。いつものようにジャブを差して、距離が取れると思っていたのですが……最初はボンヤリしたような展開になってしまいました。

でも四つ組みになった時に『これはいける』と感じました。前に(佐藤)将光さんと試合をさせてもらった時には、隙がなくて『この人、ヤバい』って思ったんです。でも、今日は行けると思ったし、左が当たって田丸選手がグシャっとなったのを見て、もう何も考えずに仕留めに行きました」

──環太平洋王者となりましたが、暫定世界王者と世紀世界王者がいます。

「世界戦には興味があります。岡田さんのことはリスペクトをしているけど、ドローだったしまた戦いたい。将光さんには、負けているので当然もう1度戦いたいです。そういう気持ちなのですが、バンタム級ではコンディションを作るのが難しいというのはあって……。

だいぶ上手くやれるようになったのですが、12キロ……13キロぐらい落としているので、終盤は感覚練習が主になってしまうというのはあります。それでもフリーだから、自分で選択して練習はできていて、スパーリングも入れるようにしているのですが……そこは受け入れてくれる方々に感謝しています」

──ただ体重を落とすことが中心になってしまうと。ではフェザー級に戻すことも考えているのでしょうか。

「それはまだ終わったばかりなので、断言はできないです。修斗でベルトを持たせてもらうということは、僕は僕なのですが修斗を背負っていかないといけない。やっぱり感謝もしていますし、そういった意味で皆が見たいマッチメイクなら、やっていきたいです。

そのうえで正直に言わせてもらうとONEに興味があります。水抜きなしの65.8キロ、バンタム級で戦ってみたいです」

──では修斗の世界チャンピオンになるのが一番クリアではないですか。

「ただ、佐藤選手はONEで戦っているし……」

──岡田選手も、できれば違うステージで戦いたいという風です。

「それにコロナのこともあるので。修斗も色々と考えてくれているようですけど……。でも、4月のようにROAD TO ONEがあるなら、出たい。ROAD TO ONEにで出たいッス!!」

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Other MMA Result Shooto2020#05 ブログ 安藤達也 黒澤亮平 黒部三奈

【Shooto2020#05】試合結果 黒部三奈が修斗初の女子王座のベルト巻く。環太平洋バンタム級王者は安藤に

【写真】G-SHOOTOと米国のHOOKnSHOOTO以外では、プロ修斗公式戦として初の女子の試合がメインとなった(C)KEISUKE TAKAZAWA

1日(土)、今年の1月以来7カ月振りに後楽園ホールでプロ修斗公式戦が開催された。

首都圏のサステイン興行では3月のSHIBUYA O-EAST大会以来の有観客大会は、会場撤収時間が以前より早くなっていることもあり、5試合というコンパクトかつ観客席もソーシャルディスタンスが取られるという形で戻ってきた。

そしてメインで黒部三奈が杉本恵を判定で下し、初代修斗女子スーパーアトム級王者となり、セミでは安藤達也が田丸匠を破り2度目のチャレンジで環太平洋バンタム級王座に就いている。

Shooto2020#05
<修斗女子スーパーアトム級王座決定戦/5分3R>
○黒部三奈(日本)3R
判定
詳細はコチラ
×杉本恵(日本)
<修斗環太平洋バンタム級王座決定戦/5分3R>
○安藤達也(日本)1R3分23秒
TKO
詳細はコチラ
×田丸匠(日本)
<フライ級/5分3R>
○黒澤亮平(日本)1R0分24秒
KO
詳細はコチラ
×木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)
<インフィニティLバンタム級/5分2R■>
△小野島恒太(日本)2R
Draw
詳細はコチラ
△石井逸人(日本)
<ウェルター級/5分2>
△宮路智之(日本)2R
Draw
△飯田健夫(日本)

             

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J-CAGE Report Shooto2020#05 ブログ 安藤達也 田丸匠

【Shooto2020#05】右を当ててダウンを奪った安藤が田丸をパウンドアウト=新環太平洋バンタム級王者に

【写真】環太平洋バンタム級チャンピオン、安藤達也誕生(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

<修斗環太平洋バンタム級王座決定戦/5分5R>
安藤達也(日本)
Def.1R3分23秒by TKO
田丸匠(日本)

右ミドルを蹴る田丸に対し、一気に距離を詰めた安藤がケージに押し込む。離れた安藤に対し、パンチを見せて組んだ田丸はヒザ蹴り。小外でテイクダウン狙った田丸から上を取った安藤が肩固めを仕掛けつつマウントへ。ロールからスクランブルの田丸が足関をしかけつつスクランブルでスタンドに戻る。クリンチの攻防にブレイクが掛かり、安藤の左に田丸が右を当てる。

正面での打撃戦でミドルを入れた田丸に対し、安藤が右クロスでダウンを奪う。鉄槌の猛攻を受ける田丸の足関節を潰した安藤は、背中を向けたところでパンチを続けレフェリーが試合をストップ。安藤が環太平洋のベルトをその腰に巻いた。


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Interview J-CAGE Shooto2020#05 ブログ 安藤達也 岡田遼 田丸匠

【Shooto2020#05】環太平洋バンタム級王座決定戦の行方を──暫定世界チャンピオン岡田遼に尋ねる

【写真】別件取材中に思いつきで勝利予想をしてもらうことになったのだが、それは岡田からは『土曜日の試合はめっちゃ楽しみです』と言葉が聞かれたからだった (C)SUSTAIN

8月1日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2020#05で環太平洋バンタム級王座を賭け安藤達也と田丸匠が戦う。

群雄割拠の修斗バンタム級戦線も、頂点が留守にしている間の生き残り合戦の末にかなり趨勢が判明してきた。そんななか5月に暫定世界王座に就いた岡田遼に、王座決定戦の予想をしてもらった。


──安藤達也選手と田丸匠選手の環太平洋王座決定戦、ズバリ勝利者予想をお願いします。

「安藤ですっ!!」

──! 即答でしたが、その理由を教えてください。

「クソジジイ同盟として、クソガキが勝つとは言えないです(笑)」

──アハハハハ、乗っていただきありがとうございます。で、本音は?

「う~ん、それは難しいですねぇ。田丸君ってパワー系に弱いイメージがあります。ライリー・ドゥトロとの試合を見てみると……まぁ、あの時は減量が常識外だったのでまた違うのかもしれないですが、パワー系に弱いままだと……安藤達也のパワーはえげつないですから。

安藤君はキレーにやらずに、本能の赴くまに野性味タップリにラフなぐらいでやった方が良いと思います。凄く、安藤寄りですけど(笑)。そうなると安藤有利だと思います。

ただMMAPLAETの田丸匠インタビューを読んで、彼のMMA論っていうのはちょっと僕に近いというか……シンパシーを感じます。全然、有りだと思っています」

──でも見た感じの試合展開は違いますよね。

「距離の取り方も、下になることも思い切った選択をしているとは思うのですが、見映えが悪くなってしまいますよね。そこは何とかした方が良いのですが、彼が自分で考えてやっていることなので。そういった創意工夫ができるのがMMAの良いところです。田丸君が弱者でもできるMMAをやっているのは僕と同じです」

──「クソジジイと一緒にするな」と言ってきたらどうしますか。

「アハハハハ。いや、だって彼は何も言ってないじゃないですか(笑)。思いっきりの仮定の話で……(笑)。それに、そういう元気な若者が出てこないと困りますよ」

──安藤選手とはドローとはいえ、一度戦いました。そういう意味でも、田丸選手と戦うことを考えることはありますか。

「それは全然考えていないです。彼とやりたくないってことじゃなく、別に戦っても良いのですが……。ただ僕はクソジジイだから、もうそんなに長い間MMAができる時間は残されていないんです。だから、できれば田丸と交わることがないMMA人生を今後は進んでいければなっていうのはあります」


         
■Sooto2020#05対戦カード

<修斗女子スーパーアトム級王座決定戦/5分3R>
黒部三奈(日本)
杉本恵(日本)

<修斗環太平洋バンタム級王座決定戦/5分5R>
安藤達也(日本)
田丸匠(日本)

<フライ級/5分3R>
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)
黒澤亮平(日本)

<インフィニティLバンタム級/5分2R>
小野島恒太(日本)
石井 逸人(日本)

<ウェルター級/5分2R>
宮路智之(日本)
飯田健夫(日本)

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J-CAGE News Shooto2020#05 ブログ 安藤達也 杉本恵 田丸匠 黒部三奈

【Shooto2020#05】タイトル戦出場の黒部三奈✖杉本恵、安藤達也✖田丸匠は前日計量で問題なしっ!!

【写真】ゴールド&ピンクの修斗初の女子チャンピオンベルトを手に杉本と黒部(C)MMAPLANET

31日(金)、明日8月1日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2020#05の計量が品川区の修斗ジム東京で行われた。


今大会における前日計量は、5試合の中からメインとコ・メインで組まれている修斗女子スーパーアトム級王座決定戦と修斗環太平洋バンタム級王座決定戦に出場する4選手のみが参加し、他の6選手は通常体重よりも1階級上のクラスで当日計量を経て戦うことになっている。

前日計量自体も対戦相手のセコンドが体重を確認するという従来の形式は用いられず、4選手が15分刻みで別々に体重を測り個々に計量、撮影のときだけ顔を合わせるという接触をなるべく減らすスタイルが採られた。2つのタイトル戦に出場する黒部三奈、杉本恵、安藤達也、田丸匠の計量結果は以下の通りだ。

<修斗女子スーパーアトム級王座決定戦/5分3R>
黒部三奈:50.0キロ
杉本恵:49.8キロ

<修斗環太平洋バンタム級王座決定戦/5分5R>
安藤達也:61.1キロ
田丸匠:61.2キロ


             
■ SHOOTO2020#05対戦カード

<修斗女子スーパーアトム級王座決定戦/5分3R>
黒部三奈(日本)
杉本恵(日本)

<修斗環太平洋バンタム級王座決定戦/5分5R>
安藤達也(日本)
田丸匠(日本)

<フライ級/5分3R>
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)
黒澤亮平(日本)

<インフィニティLバンタム級/5分2R>
小野島恒太(日本)
石井 逸人(日本)

<ウェルター級/5分2R>
宮路智之(日本)
飯田健夫(日本)

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Interview J-CAGE Shooto2020#05 ブログ 安藤達也 田丸匠

【Shooto2020#05】環太平洋バンタム級王座へ、田丸匠─02─「安藤も岡田もクソジジイですよ」

【写真】田丸の発言は自信でも、意地でもなく──仲間との信頼感からくるように感じられる (C)MMAPLANET

8月1日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2020#05で安藤達也と修斗環太平洋バンタム級王座を賭けて対戦する田丸匠インタビュー後編。

MMAを戦うようになった時には、既に目の前に現代MMAという戦い方が存在していた。世界の頂点への計り知れない道程を考え、とにかく強い選手と触れる必要があると考える田丸は、安藤には勝って当然のような歯に衣着せぬ物言いだった。

田丸のMMAワールド、有言実行できるか。

<田丸匠インタビューPart.01はコチラから>


──MMAで戦ううえで、最初からその考え方だったのですか。同じような考えの選手は周囲にいましたか。

「いないと思います(笑)。ただし、ウチの道場では最初からもらうなっていう風に教わってきたんです。ボクシングを見ても、ムエタイでも上にいく選手は貰っていないからって。ディフェンスが上手くなってダメージを負わない選手がチャンピオンになるし、長い間防衛するって言われてきました。

それとMMAを戦う上で苦手を作るなと。ただし、相手の苦手なところで戦え。そのために苦手な部分を作らない。寝技が十分じゃないと思えば、キックボクシングをやれば良いという風で。ずっと指導してもらってきた、さかもとひろしトレーナーもそういう考えだし、ドミニク・クルーズが好きでずっと見てきたので。

殴り合うことが男らしく戦うというのであれば、僕のなかで男らしく戦うということはないです。良い試合はしたいです。でも、それは殴り合うことではないです」

──そんな殴られないスタイルで、安藤選手との戦いを制圧していくと。

「でも軸を保つ練習はしてきました(笑)。見た目が悪くないように戦おうと、ちょっとだけ(笑)。とはいっても、これまでやってきたことをそこまで崩すことはないですし、大丈夫だと思います。相手が弱いとか強いということでなく、相手の攻撃は受けない。それができて、自由度が高いのが僕の武器だと思っています」

──それこそMMAだと?

「それがMMAの面白いところじゃんっていうのは思っています。殴ってテイクダウンしてというという強い人の戦いだけじゃMMAは面白くないです」

──まさに安藤選手はボックス&レスリング、強さの象徴MMAスタイルです。

「まぁ、相手の強いところで戦うつもりはないです。でも……う~ん……」

──どうしましたか。

「安藤選手の強いところがパンチだったとしても、パンチで勝負してもやられる気はしないですし。テイクダウンされても、だから何って気がします。テイクダウンされても僕には寝技があるし。下からスイープしちゃえば良いぐらいの気持ちでいます。リスクは……最初にパンチを被弾することだけ。

本当のところを言うと、僕のスタイルには絶対的な欠点があるんです。ただし、その欠点をつけるだけのモノが安藤選手にはないです。例えばUFCの選手を見ていると、今の僕じゃ全く戦えない。だから、そういう部分を強くしていく作業が今の僕には必要で」

──バンタム級ではUFCは諦めてというような発言がゴング格闘技のインタビューでありましたね。

「えっ、そんなこと言っちゃっていましたか(苦笑)。いや、でもUFCで戦いたいです。今は全く敵わないから、力をつけて……。UFCでチャンピオンになりたいという気持ちでいないと、到達点は低くなると思うんです。UFCは他とは全く違います。そのためには、これで生活できるようにならないと難しいですし。これからのことは本当に分からないですけど、30歳ぐらいまでにUFCで戦えるようになるためにも、今は自分の力量を測りたいです。

安藤選手にまず勝ってからですけど、これからどうなるのかは……」

──暫定王者の岡田遼選手も同じような悩みを持っているようですね。でも、スタイルは違うといえども5教科7科目の男とMMA論については似ているような気もしますが。

「岡田選手に挑戦できるなら、早くやらせてほしいです。とにかくチャンピオンになりたいのと、時間が掛かるなら他団体で強いヤツに触れたいということなので。

でも岡田遼には『クソガキ』って言われましたからね(笑)。僕ってクソガキって言われがちなんです。夜叉坊さんのことが好きでインスタグラムとか見させてもらっているんですけど、『安藤、ガンバレ。あのクソガキ、潰してこい』って書いてあって……。またクソガキって言われたわぁって(笑)。

まぁ、でも僕からすると夜叉坊さんはともかく──安藤も岡田も30歳なんですよ。なら24歳のクソガキからすると、安藤も岡田もクソジジイですよ」

──なるほど、以前東京で一緒に練習した田中路教選手も30歳になるので伝えておきます(笑)。

「あっ、いや田中さんは違います……。田中さんは意識が日本の選手と別です。田中選手は日本の選手のなかでは特別だから、そんな風には言えないです。井上魅津希選手とか、佐藤天選手とかこの状況で米国にいることを選択できる。そういう選手は絶対に意識が違うんです。

だから田中選手は違うとしても、30歳にクソガキって言われるなら、僕からすればあの人たちはクソジジイですよ」

──もう、こちらが言わせているような感じですが……クソジジイいただきます(笑)。そして安藤選手との試合、田丸匠のMMAを堪能させてもらいたいと思っています。

「ありがとうございます。本当はどっちもデキた方が良いことは分かっています。真っ向勝負も上手く戦うのも。何よりも、一つ一つの基礎ステータスを上げていくことも欠かせません。でも、僕は今の自分の環境を顧みて、自分に適した戦いをするだけです」

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【Shooto2020#05】環太平洋バンタム級王座へ、田丸匠─01─「自信でなく、当然勝つということで」

【写真】既に頬がこけ始めた田丸。体重は順調に落ちているそうだ(C)MMAPLANET

8月1日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2020#05で安藤達也と田丸匠が環太平洋バンタム級王座を賭けて対戦する。

バンタム級転向以降、3連勝。10勝1敗1分という戦績を誇る田丸は、岐阜県瑞穂市のナセール・ド・ソルで磨き上げた独特なスタイルが勝負にいかないという指摘を受けることがある。そんな指摘に反論する田丸はMMAだから安藤に勝てる。喧嘩なら勝てないと断言した。


■世界王座に挑戦できるなら、僕は佐藤さんでも岡田さんでも構わない

──宜しくお願いします。

「お疲れ様です。宜しくお願いします」

──アレッ、声に張りがないですね。減量疲れですか。

「いえ、そんなことないです。ただ塩抜きを始めているからもしれないですね。バンタム級でも、何だかんだと水抜きはあるのですが、今回は緊急事態宣言期間に太ったというのはあります」

──あぁ、やはり練習に影響はでましたか。

「ハイ、対人練習はジムが1カ月ぐらいは閉まっていたのでできかったですし。その間は走る量を増やしていたぐらいでした」

──最近、お隣の愛知県は感染者数が増えていて不安はないですか。

「そうですねぇ。岐阜でも僕らの住んでいるのとは違うところで感染者が出てき始めていて。僕らのところは少ないので、自分が感染するよりも感染源になってしまうことを考えると、皆に迷惑をかけてしまうので怖いという気持ちはあります。

でも、いつまでも怖がってばかりいても前に進むことができないですしね。ワクチンが早々に創られることもないと思いますし。できることで、前に進まないと……。それに昨日(※取材は28日の火曜日に行われた)は坂本(一弘)さんが名古屋まで来てくれて、PCR検査を僕とセコンドと……それから北岡さんの大会に出る選手もしてもらって。ここまでしてくれるんだから、ちゃんとやらないといけないと思いました。

感染者が増える前に僕を応援するためにチケットを買ってくれた人たちもいて、それから増えてしまったから『無理しないでください。東京に行けなくてもしょうがないので』って伝えて……。それでも東京まで応援に来てくれる人もいますし、とにかく僕は戦って勝つだけ……ベルトを獲らないといけないです」

──首都圏でいえばプロ練習は続けているというジムも多かったです。

「ナセール・ド・ソルでいえば出稽古は禁止になっています。ただ、僕の練習は全く変わっていないです。僕は試合前に出稽古をするタイプでもなかったですし、ジムの仲間に支えられて、助けてもらっているので。

体重が落ちるのも早くて、もう65キロぐらいしかないのでコディション的にも大丈夫だと思います」

──1月に藤井伸樹選手に勝って、次は安藤選手だという予想はありましたか。

「全くなかったです(笑)。手塚(基伸)選手と思っていました。安藤さんが環太平洋王座にもう一度挑むということに驚きましたし」

──環太平洋王座……、田丸選手は答え辛いと思いますが、ぶっちゃけてどのような価値観を見出していますか。

「アハハハハ。ホント、言い辛いです(笑)。ぶっちゃけ、自分が目指しているのは世界のベルトです。いえば世界王座への挑戦者決定戦で。ただし、現状として正規王者の佐藤将光がいて、暫定王者の岡田遼がいる。2人がどうなっていくのか。時間が掛かるなら挑戦者決定戦でもないよなって。正直、この状況は歪だと思います」

──ONEと契約するなら、王座返上すべきだと?

「ハイ。そう思います。佐藤さんがやり玉にあがることが多いですけど、佐藤さん自身も返上を考えたことがあると思います。でも現実として持っているままで、なら暫定王者の岡田さんに挑戦することになるのか。佐藤さんと岡田さんがやったあとで、僕が暫定王座とか絡むのか……。まぁ、分からないです。でも世界王座に挑戦できるなら、僕は佐藤さんでも岡田さんでも構わないんです。ただ世界王座に挑戦したいだけで」

──事実上、新型コロナウィルス感染拡大で海外渡航がままならない状況では、佐藤選手が修斗で防衛戦を行うという選択肢が生まれないとは限らないとか考えてしまいますね。

「それもあるんですよね……。でも何とかならんかなって。世界王座に挑戦できる日がなかなか来ないのなら、環太平洋王座の防衛をしていくことになるのか。でも、もう24歳だし、どんどん強い相手と戦うためには修斗と他団体を行き来できるようにならないとダメかなとか考えます」

──そこまで考えていますか!! 実際、このところ修斗は暫定世界王座があることで、各階級に3人のチャンピオンがいるのかという状況です。

「前田(吉朗)選手と福田(龍彌)選手のことですか。福田選手は強いと思いますけど……」

──でも唐突ですよね。タイトルが掛かっていなくても、前田選手越えはしたいでしょうし。

「う~ん、強さの象徴ですからね……ベルトは。でも、海外から見ると、どのベルトも同じだと思います」

──安藤選手との試合を控えて、そこまで次のことが話題になるというのは……。

「自信があるということじゃないんです。当然勝つということで。客観的に考えても、一発貰わなければ負けない。そう思っています」

カウンターが当たる距離を試合のなかでセッティングしているのが分からんの?

──劣性に見えがち田丸匠スタイルですが、本人は全くブレることがないですね。

「猿田戦ぐらいから、そんな風に思うようになりました。とりあえず、負けていないので。ダメージを与えているのは、僕だから大丈夫だと思って戦っています。ただ魚井戦の時は、ちょっと分からんかったですね。あまり冷静でなく、行かないと勝てないと思っていました。対して藤井戦は2Rで、『これは勝つ』と確信して戦っていました」

──それなのに見ている方は、ポイントを失っているかもしれないように見える。非常に興味深いです。

「人がどう見ているのかっていうのは、自分も気になってはいます。あとから中継の実況とか見ていると『あぁ、こんな風に僕が劣性に見えるのか』って思いましたし」

──田丸選手は軟体動物みたいので、ドンと軸がある方が強く見えがちです。

「分かります。ドンとしている選手の回りを動くと、こっちが当ててダメージも与えているのに、向こうがペースを握っていると思われるようですし。

僕は本当に喧嘩が強くないんです。だから駆け引きとかタイミング、騙すのが上手くて勝ってこられたので」

──MMAであっても拳の届かないところに居続けると、逃げ得ているという風に言われがちです。

「それは……僕は納得していないです。『逃げているって何?』って思います。掛け逃げとか言われることが多いですけど、本当に逃げていたら攻撃なんて当たらないし、ああいう仕掛けってテイクダウンを取られるリスクがあるなかで選択して戦っているのに、逃げているとか言うなよって。そうじゃないだけどなって……思います。

逃げていて勝てることなんてないですよ。カウンターが当たる距離を試合のなかでセッティングしているのが分からんの?って。だってMMAですよ、喧嘩じゃないし、殴り合って勝つ必要はないじゃないですか。

僕、喧嘩だったらMMAをやらないです。MMAは色々と工夫して戦うことができる。僕自身、この戦い方の利点も弱点も熟知して戦っているんです。喧嘩だったら、僕は勝てないですから」

──渋谷で安藤選手と肩がぶつかって、喧嘩になると勝ち目はない?(笑)

「そうなるのが、怖いから渋谷に行きません(笑)。怖いですよ、あんなの……」

──では金津園で肩がぶつかると?(爆)

「アハハハ、勘弁してくださいよ。それはもう『僕が奢ります』としか言えないです(苦笑)。でも、安藤選手とは昔、少し話をしたことがあって、気が合う感じはしたんです。好きな感じの人だと思って……その安藤選手と試合をしないといけないので……別にぶっ倒してやろうとか思わないですけど、勝たせてもらいます」

──ぶっ倒そうとは思わない?

「思わないです。フライ級の時は減量でたまったイライラとかストレスを相手にぶつけてやろうっていうのはあったのですが、バンタム級になってからはそういうのはないですし。MMAなんだから拳が届く位置に立ち続けて殴り勝つとかっていう考え自体が、僕にはありえないです」

<この項、続く>

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J-CAGE News Shooto2020#05 ブログ 安藤達也 杉本恵 田丸匠 黒部三奈

【Shooto2020#05】サステインが次回大会に向け選手、セコンド&スタッフのPCR検査実施へ

【写真】どのイベントも最大限の注意を払ってイベントを開催するのであれば、メディアも同調する必要があるだろう(C)MMAPLANET

22日(水・現地時間)、Sustainより8月1日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2020#05に向けて出場全選手、セコンド、ケージサイドスタッフにPCR検査が実施されることが発表された。


「8月1日(土)に開催される株式会社サステイン主催プロフェッショナル修斗公式戦・後楽園ホール大会でPCR検査を実施する事になりました。PCR検査は大会の1週間前に行われ、出場する全選手、各選手のチーフセコンド、ケージサイドスタッフが検査の対象となります。
~中略~
修斗では今後も更に新型コロナウィルスの対策を考え、選手並びに、関係者、ご来場頂くお客様の安全を考慮して大会を開催していく所存でございます」とある今回のリリース。さらに大会を取材するメディアにもPCR検査の実施を推奨されており、PCR検査で陰性が確認されたカメラマンのみが、ケージサイドでの撮影が許可され、インタビュースペースへの入室できるというガイドラインが敷かれることとなった。

ちなみに現状の一般的な検査費用よりもかなり割安の費用でメディアも検査が受けられることとなっている。

リリースは「修斗では今後も更に新型コロナウィルス対策を考え大会を開催していく所存でございます。各媒体の記者の皆様並びにカメラマンの皆様にも格闘技業界に於ける新型コロナウィルスへの対策意識を我々と共有し、取材して頂ければ幸いです。お忙しいとは思いますが、是非ご検討下さいませ。何卒、宜しくお願い致します」という言葉で締められている。

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【Shooto2020#05】8月1日・後楽園ホール大会で黒部✖杉本&田丸✖安藤、2つの王座決定戦

【写真】世界王座挑戦権を争う、環太平洋王座決定戦でもある(C)MMAPLANET

1日(水・現地時間)、Sustainより今月26日(日)から8月1日(土)に開催日時が変更されていた後楽園ホール大会=Shooto2020#05の対戦カードが発表された。

今回のプレスリリースで3試合の3回戦と2回戦・1試合が明らかとなったが、うち2試合は選手権試合だ。


昨年11月にスタートを切った修斗女子スーパーアトム級王座決定トーナメント。チームラカイからの出場予定だったゼファーニャ・ンガヤがパスポート及びビザの発給が間に合わず、初戦を勝ち抜いていた韓国のイ・イェジは新型コロナウィルス感染問題により、入国が不可能となるなど、紆余曲折のあったトーナメントもついに決勝を迎える。

修斗にとって初の女子王座を賭けて戦うのは、インフィニティリーグ優勝で出場権を得た杉本恵と、日本MMA界の鉄の女=黒部三奈の両者だ。杉本はレスリングテクニックを武器に中村未来を破り、黒部は初戦にして最大の山とさえいわれたターニャ・アンゲラー、大島沙緒里の両者をパウンドアウトし、予想通りの決勝進出を果たした。

インフィニティと今回のトーナメントで経験値を上げた杉本が、『死んだら、死んだで』というまでの覚悟をもってMMAを向きあう黒部の牙城にどれだけ迫ることができるか。

杉本✖黒部と同じく、王座決定戦として組まれたのが環太平洋バンタム級王座決定戦だ。5月大会で岡田遼が暫定世界バンタム級王者に就いたことで、規定で剥奪となった環太平洋のベルトを安藤達也と田丸匠が争う。

安藤は昨年9月に前チャンピオン岡田に挑戦し、ドロー。田丸はフライ級からバンタム級に階級を上げてから3連勝で初の王座挑戦を迎える。デビュー直後から日本MMA界をリードする男と目されていた安藤と、岐阜から修斗新世代の旗頭として戦ってきた田丸。両者揃って挫折を味わってきた。今回のリリースでは安藤=怪物、田丸=天才と謳われているが、素性の良さで戦ってきた安藤と、MMAを咀嚼しチーム一丸となって力をつけてきた田丸という見方も成り立つ。何より怪物、天才と呼ばれ続けるにはここで躓くことはできない王座決定戦となる。

またフライ級3回戦で木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅✖黒澤亮平という3月大会で流れたカードと共に、2回戦でウェルター級の宮路智之✖飯田建夫戦も発表されている。この4選手は通常のクラスより1階級上でのマッチアップとなっており、タイトル戦以外は1階級上の階級&当日計量という、過去3カ月間の日本のMMA界の流れは修斗においては同大会でも続くようだ

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【Road to ONE02】後藤丈治のMMAファイター人生─03これから編─「今年中に安藤達也選手と」

【写真】祖根戦の勝利を活かすも殺すも、これから次第 (C) MMAPLANET

北海道から東京へ、Tribe Tokyo MMAに所属して1年が過ぎ、祖根寿麻戦の勝利で飛躍のチャンスを掴んだ後藤丈治インタビュー最終回。

祖根戦での勝利をステップに、これからをどのように考えているのか。格闘家としての最終目標とともに尋ねた。

<後藤丈治インタビューPart.02はコチラから>


──結局、その1戦は実現しなかったですが、修斗での試合にOKを出したということは、今後は戦う場所は拘らないということでしょうか。

「チャンスを頂けるところで戦いたいと思っています」

──となる修斗、Road to ONEしか選択肢がこの2カ月はなかったということですね。ちなみに27日のTTFC08に出たいという気持ちはなかったですか。

「デビュー戦やキャリアの少ない選手の大会と長南さんに言われていたので……、良い相手なら戦いたいかったです。でも、試合の要請がなかったですし」

──では祖根選手に勝った試合をステッピングボードにしたいということですが、どこに向けてのステッピングボードになるのでしょうか。

「今年中に祖根さんの2つ、3つ上のランクの選手を倒したいと思っています。祖根さん絡みで勝った、負けたという選手とやるのもありかと考えてはいます。修斗だと祖根さんが負けている魚井(フルスイング)選手、勝っている根津(優太)選手。パンクラスなら金太郎選手が祖根さんにハイキックで負けているはずなので、金太郎選手も倒したい1人です」

──ではMMAファイターとしての目標は?

「そこは……心の中にはUFCというのはあります。UFCはバケモノが集まっている。日本人であのバケモノ達に勝てるのかって考えますし、到底無理だろうっていうところに挑戦したい。そういう気持ちはあります」

──あまり時間を共有はしていないかもしれないですが、TTMから巣立った佐藤天選手がUFCで戦っていますね。

「天さんは僕が東京に来てから、少ししてフロリダに行かれたのですが、今も連絡を取らせてもらっています。人生を賭けて、一つ一つUFCで勝つ可能性をあげていくために頑張っている姿勢は、凄く刺激を受けますし尊敬しています。

それとは別に……格闘家としての最終目標として、自分が死んだ後も記憶に残る試合をしたいということがあります。長南さんだったら、アンデウソン・シウバとの試合。それと僕の心の中に凄く残っている青木さんとエディ・アルバレス、KID✖魔裟のような試合に近づきたい。そういう戦いができるなら、場所はどこでも構わないです」

──そのためにも、4月の勝利を活かした試合をしていきたいですね。

「林修先生が『大した努力をしなくても勝てる環境で、死ぬほど努力しろ』と言っていたのですが、僕のこの言葉が好きでモットーになっているんです。真正面からぶつかるんじゃなくて考えて……練って、自分が楽に戦える場所で必死に戦う。

それと佑弥さんの影響も受けていて……佑弥さんは凄く考えて練習をしている人なんです。でも、試合に関しては『顔があったら殴る、腹があったら蹴る。以上!!』っていう感じなんです。試合になると僕も『顔があったら殴る、腹があったら蹴る、首があったら絞める』──そこだけを徹底的に意識して、完全KO決着、完全フィニッシュを突き詰めていきたいです」

──MMAPLANETでは武術の側面からMMAの解析を剛毅會の岩﨑達也宗師にお願いしているのですが、青木選手のみなならず岩﨑さんも後藤選手は殴る実感が拳(ケン)にある選手に、あの戦いができるようになってほしいと期待していました。

「ありがとうございます。その記事も読ませていただき、めっちゃ嬉しかったです。あの記事の最後で『組みの強い選手に後藤丈治がどういう風に戦えるのか』と言われていて、それこそ自分の真価が問われる試合になる……宿題を出してくれたと受け取っています。

そうやって考えた時に殴れて、組める選手が……祖根選手が修斗だったので、修斗でいないかなぁって考えた時に、何か安藤達也という選手がいたりして。トライブとの過去もありますし、安藤選手を倒したいと思っています。今年中に安藤選手と戦いたいです」