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【Pancrase346】伊藤盛一郎に挑戦、サロハイディノフ「経験不足? アマで勝つ難しさが分かっていない」

【写真】IMMAFの世界王者は、既に国内老舗団体のチャンピオンレベルにあるといっても過言でない(C)MMAPLANET

21日(日)、立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346でムハンマド・サロハイディノフがフライ級KOP伊藤盛一郎に挑戦する。
Text by Manabu Takashima

2023年2月に行われたIMMAF世界大会でフライ級を制したサロハイディノフは、その7カ月後に日本の地=パンクラスでプロデビューを果たした。

それから僅か10カ月──秋葉太樹、松井斗輝を下したサロハイディノフは、プロ3戦目にしてパンクラスの頂点に挑む。ケージのなかのパフォーマンスを見れば、納得の王座挑戦だが、その実──サロハイディノフに関しても、彼を生んだタジキスタンのMMAについても我々はほとんど分かっていない。ほんの数年前まで中央アジアのMMAにあって最弱だったが、今やIMMAFで世界有数のアマMMA強豪国になったタジキスタンMMAの実情と、タイトルマッチについてチャレンジャー=サロハイディノフに尋ねた。


──10日後に伊藤盛一郎選手の持つフライ級のベルトに挑戦します(※取材は7月10日に行われた)。今の調子を教えてください。

「何も普段と変わらない。まだプロ3戦目でも、アマチュア時代に本当にタフな相手と戦ってきたから」

──その辺りは、また後ほど聞かせていただくとして、パンクラス3戦目でベルトに挑むことになること昨年のデビュー戦時に想像できていましたか。

「もちろんだ。過去2戦の相手も強かったし、特に2戦目で戦ったトキ・マツイは6勝0敗だった。加えて僕に負けてなお、Road to UFCのメンバーに選ばれたファイターだからね。彼のような勝ったのだから、すぐにタイトル挑戦が実現すると期待していたよ」

──なるほどです。そんなムハンマドですが、我々はタジキスタンのMMAの現状さえ分かっていないです。まずムハンマドがMMAを始めたきっかけや、それまでの格闘技歴を教えていただけますか。

「9歳から17歳までコンバットサンボをやっていた。そして2019年、17歳の時にMMAに転向したんだ」

──コンバットサンボだけで、打撃なしのスポーツサンボの経験はなかったのでしょうか。

「もちろん、スポーツサンボもやっていたし、柔道の経験もある。サンボではタジキスタンのチャンピオンになって、マスター・オブ・スポーツのサティフィケートを取得している」

──サンボマスターが、なぜMMAに転向したのでしょうか。

「タジキスタンではMMAの人気が高まってきて、日本でエメリヤーエンコ・ヒョードルが戦って人気者だったり、カビブ・ヌルマゴメドフの活躍を知り、自分もMMAも戦おうと思ったんだ」

──ムハンマドはIMMAFの世界王者からプロに転向を果たしましたが、タジキスタンではアマチュアからプロのMMAファイターになるのが普通のステップアップ方法なのでしょうか。

「アマチュアのキャリアはとても大切だよ。しっかりと経験を積んでからプロになるべきだと僕は思っている。加えていうと、タジキスタンには当時はプロのMMA大会は存在していなかった。ここ最近になって、ようやく活動が始まった程度だ。だからパンクラスという日本でも歴史のある組織から、オファーがあった。だから日本でプロデビューを戦うことに決めたんだ」

──実は2018年にキルギスでMMA大会の取材をした時、当時の中央アジアのMMAはカザフスタンがリードし、そこをキルギスが追いかける。ウズベキスタンが続き、正直なところタジキスタンの選手はアンダードッグばかりでした。なのでムハンマドのパンクラスでの試合や、最近のIMMAFでの活躍には驚かされていました。

「この5、6年でタジキスタンのMMAは劇的なまでに成長しているんだ。2018年当時だと公式なMMAの組織もなかった。ただし2019年からMMAの組織が創られ、今ではIMMAFのトップ3にランクされるまでになった。既に4人のUFCファイターがタジキスタンから生まれている。

実力的にはもっとUFCファイターがいても不思議じゃない。ただし、ビザを取得するのが僕らの国では難しいんだ。今ではタジキスタンが、中央アジア最弱なんてことは決してない。他の国と肩を並べている」

──押忍。ではそのアマチュアMMAですが、カザフスタンの選手などは政府や企業からのサポートがあり、アマチュアファイターでも生活ができるとIMMAFの国別対抗トーナメント=Super Cupを取材した時に聞きました。タジキスタンでも同じなのでしょうか。

「カザフスタンではMMAは五輪委員会の傘下にあって、政府のサポートを受けている。タジキスタンも同じような状況だけど、経済的な支援はカザフスタンと違って受けてはいない。ただし、公式的に文書で国の承認を受けているんだ」

──未知のタジキスタンMMAの状況が少し見えてきました。では話題をタイトル戦に戻しましょう。まず伊藤選手の印象を教えてください。

「いつも通りなんだけど、プロの経験は僕より多い。そして尊敬もしている。17勝もプロの試合で勝っているしね。ただ、経験でいえば僕はコンバットサンボやアマチュアMMAで百戦以上の経験がある。

多くの人に『なぜ、こんなに強い相手に挑戦するんだ』って質問されるけど、僕はアマのファイトで多くの経験を積んでいるから、今回のタイトル戦も凄く自信を持っている。経験不足? アマで勝つ難しさが分かっていない。タジキスタンやロシアで開催されているアマチュアMMAではタジキスタン人だけでなく、ロシア人、チェチェン人、ダゲスタン人ファイターが出ているんだ。アマの試合といってもダゲスタン人やチェチェン人に勝つこと、あの場でチャンピオンになることがどれだけ困難なことか。皆、知らないんだよ」

──では伊藤選手の極め系ファイトをどのように思っていますか。

「イトーは確かに極めの強いファイターだ。でも、それを言うなら……彼は僕のようなレスラーと戦ったことがないから、一本を取ることができるだけだよ。イトーのサブミッションのアタックは、僕には通じない。

ベストを尽くし打撃、レスリング、テイクダウンとフルパフォーマンスを見せることで、僕がベルトを巻く。全ての局面で新しい技術、新しいムハンマド・サロハイディノフを見せるつもりだ」

──今回はパンクラスのタイトル戦ですが、将来的にMMAファイターとしての目標をどこに置いていますか。

「パンクラスのチャンピオンになって、ベルトを防衛していく。その過程でマネージャーとパンクラスの方針で、どこで戦っていくのかを決めることになるだろう」

──では、最後に日本のファンに一言メッセージをお願いできますか。

「日本で2試合を戦い、僕のインスタに日本のファンが応援のメッセージを送ってくれる。それが今回のチャンピオンシップに向けても、凄くモチベーションになっているんだ。そんな皆の前で良い試合をしたい。アリガトウゴザイマス」

■Pancrase346視聴方法(予定)
7月21日(日)
午後1時45分~U-NEXT

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45 AB IMMAF INVICTA LFA LFA187 MMA MMAPLANET o PFL UFC その他 アポロ・ゴミス アリーサ・ベルトソ アンドレッサ・ホメロ カルロス・レアル 国内MMA 大島沙緒里

【LFA187】ブラジル×南米。メインにPFLベスト4のレアルが出場。最注目はプロ4戦目のアリーサ・ベルトソ!!!!

【写真】上がブラジル勢、下がラテンアメリカ勢。要注目のベルトソの姿がチーム・ブラジルに見られないのも面白い。それだけ計量が厳しいという見方もできるが――果たして(C)LFA

6日(土・現地時間)、ブラジルはサンパウロ州カジャマルのジナージオ・ド・ポルビーリョでLFA187「Brazil vs Latin America」が開催される。
Text by Manabu Takashima

LFAにとって初の試みとなるブラジルとその他の南米諸国ファイターとのチーム対抗戦。プレリミに出場するキューバ勢を加えると、アルゼンチン、ベネズエラ、パラグアイ、ペルーと五カ国とブラジル勢のマッチアップとなる。


メインカード7試合の特徴は、両陣営ともレコードが綺麗なファイターが多いということ。ブラジル勢の戦績を合計すると64勝12敗、ラテンアメリカ勢は51勝13敗だ。

北米進出を果たしているのはメインに登場する元LFAウェルター級王者で昨年のPFLでプレーオフ進出を果たしたカルロス・レアルだけだが、つまりはブラジル国内で好成績を残した選手が集結していることになる。

南米勢では、レアルとメインで戦うマルエル・メナはベネズエラ人だがアルゼンチンのノヴァウニオン・アルゼンチンに在籍し、MMAキャリアもアルゼンチンで積んでいる。そのメネは計量で176.6ポンドとリミットを5.6ポンドもオーバーしているが、レアルが対戦を受けている。

同じくベネズエラ人ファイターのルーカス・ミレティとパラグアイのレンソ・コルティはブラジルを主戦場としているファイターだ。

カード全体を眺めてみても、ラテンアメリカ勢はアルゼンチンが中心で、ここは両国間のライバル心が特に強い。なお現在開催中のサッカーのコパ・アメリカのグループリーグでブラジルより上位だったコロンビア、今大会の翌日に準決勝で対戦するウルグアイ勢の出場がないのも面白いところだ。

ブラジルの国内MMAで好成績を残しているファイター達が他の国のファイターとは別次元の経験を積んでいることを示すことになるのか。あるいは、そのブラジル意外の国の選手達が成長ぶりを見せつけるのか――そんなLFA187だ。

今後が期待のブラジル勢が揃っている同大会で、誰か1人注目ファイターを挙げろといわると、それはメインカード第1試合でペルーのアレハンドラ・フェルナンデスと戦うアリーサ・ベルトソになるだろう。

プロキャリア3戦を全てLFAブラジル大会で戦ってきたベルトソだが、それ以前にアマチュアで16勝1敗のキャリアを誇り、IMMAF世界王者に輝いている。

ベルトソは先日のInvicta FCで大島沙緒里を下したアンドレッサ・ホメロリオも所属する女子MMAチーム=MSP所属だが、アマ時代はバーレーン王国が、彼女に国籍を与えバーレーン代表としてKHKジムのメンバーにもなっていた。そこでは国別対抗戦=Super Cupでバーレーンを優勝に導き、当時からプロ級の実力を見せていたベルトソは、今やリオのアマゾネス軍団最強戦士であり虎視眈々とUFCへのステップアップを目指している。

対戦相手のフェルナンデスは1勝1敗、今回の試合はLFAがベルトソに与えた一大デモンストレーションとなる可能性が高いだろう。

■視聴方法(予定)
7月7日(日・日本時間)
午前9時~UFC Fight Pass

■ LFA187メイン対戦カード

<176.6ポンド契約/5分3R>
カルロス・レアル(ブラジル)
マルエル・メナ(ベネズエラ)

<128.6ポンド契約/5分3R>
マルコス・デリ(ブラジル)
イグナシオ・フェルナンデス(アルゼンチン)

<ライト級/5分3R>
サムエル・ジアス(ブラジル)
レンソ・コルティ(パラグアイ)

<フェザー級/5分3R>
イングレソン・ジラーラ(ブラジル)
ルーカス・ミレティ(ベネズエラ)

<バンタム級/5分3R>
アポロ・ゴミス(ブラジル)
リオネル・アボイェル(アルゼンチン)

<フェザー級/5分3R>
ペドロ・ドレート(ブラジル)
レアンドロ・ソラノ(ベネズエラ)

<女子ストロー級/5分3R>
アリーサ・ベルトソ(ブラジル)
アレハンドラ・フェルナンデス(ペルー)

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45 AB DEEP Grachan Grachan67 IMMAF MMA MMAPLANET MMAとフィジカル o Special UFC YouTube   パンクラス ベラトール 松場貴志 脱水 鈴木陽一

【Special】『MMAで世界を目指す』第6回:鈴木陽一ALIVE代表「MMAファイターの脱水と脳震盪」─01─

【写真】パンクラス、DEEP、グラジエイターなどでお馴染みの鶴和レフェリー(C)SHOJIRO KAMEIKE

世界的なスポーツとなったMMAで勝つために、フィジカル強化は不可欠となった。この連載では「MMAに必要なフィジカルとは?」というテーマについて、総合格闘技道場ALIVEを運営する鈴木社長=鈴木陽一代表が各ジャンルの専門家とともに、MMAとフィジカルについて考えていく。
Text by Shojiro Kameike

連載第6回目は、救急科のドクターでありMMAのレフェリーも務めている鶴和幹浩氏にご登場いただく。鶴和氏に「MMAファイターの脱水と脳震盪」について訊く――はずが、本題の前にレフェリーとドクターの業務について興味深い話が出てきた。MMAファイターの体を守るのもレフェリーとドクターの役目。基礎知識としてMMAにおけるレフェリーとドクターの業務についてご紹介し、前編の内容も踏まえて後編をお読みください。


ルールを理解していないと、ドクターとしても変な判断をしてしまうかも

鈴木 今回は脱水と脳震盪をテーマにお話を聞きたいと思い、現在ドクターであると同時にMMAのレフェリーもされている鶴和幹浩さんにお越しいただきました。鶴和さん、よろしくお願いします。

鶴和 よろしくお願いします。私は救急科専門医です。救急科というのは、救急車で病院に運ばれてくる患者さんを病気や怪我にかかわらず診療する科です。

鈴木 ひとくちにお医者さんといっても、それぞれ専門分野があるじゃないですか。そのなかでも救急処置ができる方がケージサイドにいてくれると、我々の立場としてもすごく安心するんですよ。だからウチが開催しているアマチュアパンクラスでも鶴和さんに来ていただいています。

鶴和 そう言っていただけると本当に嬉しいです。確かに格闘技の現場で起こりうる問題は、ほぼ救急医がカバーできる分野だろうと思います。

鈴木 今年2月のGRACHAN大阪大会で松場貴志が左腕を脱臼した時、応急処置として腕をはめてくれたのが鶴和さんでしたよね。

今年2月のGrachan67にて。(C)SHOJIRO KAMEIKE

鶴和 松場さん、その後は大丈夫ですか?

鈴木 大丈夫です。応急処置していただいたあと、救急車で病院に行って検査もして――その節はありがとうございました。まずは鶴和さんが医師、そしてレフェリーになった時期と経緯を教えてください。

鶴和 医師になったのは1998年で、ずっと救急の現場にいます。格闘技大会への関わりは2012年か2013年だったと思いますが、ZSTやジ・アウトサイダーに大会ドクターとして参加させてもらったのが最初でした。当時はZST代表であった上原譲さんには大変お世話になりました。

鈴木 最初はリングドクターだったのですか。

鶴和 はい。大会中に『これは競技のルールを理解していないと、ドクターとしても変な判断をしてしまうかも……』と思うことがあって。
鈴木 ドクターストップの判断とか。

鶴和 そうです。私は学生時代に日本拳法をやっていたのですが、MMAとは異なります。ルールなど競技のことを知らないのに、メディカルストップのような責任のある権限は負えません。だからルールを勉強したいと思っていた時に、ちょうどパンクラスで審判候補生を募集していまして。医師として参加した大会で梅木さん(JUDGE SQUAD代表 梅木良則氏)を紹介していただき、審判団で勉強させていただくようになって現在まで師事しております。

鈴木 ドクターからレフェリーへ! 本題の前に、すごく興味深くなってきました。

鶴和 審判の仕事は、選手の命や勝敗を預かる立場として不謹慎な言い方に聞こえるかもしれませんが、もの凄く面白くてやりがいのある役割なんです。自分にとっては、医師として大会に関わるよりも、はるかに興味深いことばかりで、格闘技の審判員という仕事にのめり込んでいきました。

鈴木 今、一つのプロ興行で両方やってほしいと言われませんか。アマチュア大会だと、ウチのアマチュアパンクラスでは鶴和さんに両方お願いすることもあるけど……。

鶴和 それは、あります。でも梅木さんから「兼任だと、大会そのもののクオリティが保てないから」と方針についてお話があり、プロの興行では兼任せず、アマチュア大会では臨機応変に……ということになっています。

鈴木 プロの興行で、白衣姿でケージサイドに座っている人が白衣を脱いだらレフェリーのコスチュームになったりすると……(苦笑)。

鶴和 アハハハ、それは変ですね(笑)。あとはもう一つ、そもそもレフェリーとドクターは異なるものです。レフェリーストップとメディカルストップも異なります。そのため、レフェリーをやっている時に医師としての判断はできません。レフェリーがメディカルストップを判断してしまうと、それぞれの立場がおかしくなってしまう。責任の所在がハッキリしなくなります。

審判団の中で必要な救急医療や応急処置の知識と技術をセミナー形式で

鈴木 ちなみに、たとえばパウンドアウトでストップする時はレフェリーの視点だけですか。それともドクターとしての視点も入りますか。

レフェリーストップのタイミングは難しい。格闘技と医学の見識から考える必要は出て来る(C)SHOJIRO KAMEIKE

鶴和 難しい質問ですね(苦笑)。でも、パウンドの時はレフェリーの視点です。ケージの中に入っている時は100パーセント、レフェリーですから。でもインターバルでは、チラッとドクター目線で選手の状態を見たりすることはあるかもしれません。『ダメージや負傷は大丈夫かな?』とか。

鈴木 これは本題と異なるように見えるかもしれないけど、重要な問題だと思います。世界を目指す選手だけでなく、まず人がMMAを続けていくためには健康面や安全面は欠かせません。我々も職業として常設道場を持ち、医療的な観点も持たないといけない。人の体に関わる仕事ですから。それは大会を運営する場合も同じで。

たとえば加藤久輝がベラトールに出場した時は、ドクターによる運動機能のチェックがありました。内容は四肢の機能障害、手足の機能障害、脳のダメージ、あとは視力検査などです。このメディカルチェックにクリアしないと、試合に出場できない。これは米国だとABC(Association of Boxing Commissions)の管轄で、UFCやベラトール、IMMAFも含めて統一の基準があるんですね。しかもメディカルチェックの時に、レフェリーも一緒にいました。

鶴和 なるほど。米国とは少し違うかもしれませんが、私が所属しているパンクラスでも、試合前日の計量には必ず医師が立ち会うことになっています。また、審判団の中で必要な救急医療や応急処置の知識と技術をセミナー形式で情報共有しようと準備中です。

鈴木 それは良いですね! 私はもともと厚生労働省の健康運動指導士という資格を持っていて、厚労省管轄の運動施設に勤務していました。それと企業の健康経営として産業医さんと一緒に仕事をしていたこともあって、格闘技に関わることでも医療面の話が後になってしまうのが不思議だったんです。

鶴和 まだ計画段階ではありますが「Cage Side Emergency」と題しまして、打撃による裂創や失神、絞め技による失神―さらに心停止というケースまで対応できるような内容を考えています。

鈴木 鶴和さんがいるからこそ可能なレフェリー講座ですね。講座の実現と、その効果を楽しみにしています。では、ようやく本題の「脱水と脳震盪」に移りましょう。

<この項、続く>

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45 AB IMMAF Pancrase346 ブログ ムハンマド・サロハイディノフ 伊藤盛一郎

【Pancrase346】サロハイディノフの挑戦を受ける、伊藤盛一郎「グランドスラムのMMAで、世界へ」

【写真】会見前、スーツ姿だったのに同じ画になるとTシャツ姿に着替えてくれた伊藤。感謝です(C)MMAPLANET

7月21日(日)に立川市の立川ステージガーデン大会で開催されるPancrase346で、フライ級KOP伊藤盛一郎がムハンマド・サロハイディノフの挑戦を受ける。
Text by Manabu Takashima

Road to UFC出場は叶わなかった。実績を残し、挑める力がついたという判断があっても、伊藤に挑戦する権利は与えられなかった。その現状を踏まえ、これから伊藤はどのようなキャリアを積んでいくのか。

13日(月)に開かれた記者会見を前に、その真意を尋ねると──MMAファイターとして、以前とは違う伊藤盛一郎がそこにはいた。


――7月にムハンマド・サロハイディノフの挑戦を受ける。その会見前にインタビューをさせていただくことになりましたが、いつ頃に決定したのでしょうか。

「2週間ぐらい前ですね。Road to UFCで戦えるのか、動いてもらっていて。でも、ずっと分からない状況が続き、1カ月ぐらい前に『ダメ』だな、と。ギリギリになっても話が来るかもしれないと待っていたのですが、勝村(周一朗)先生も『ちょっと、厳しいな』という風になっていました」

──自分が得ていた情報では概ね出場選手が決まったのが3月の終わり。その時点で日本人選手は本野美樹選手、安藤達也選手、透暉鷹選手、小崎連選手、野瀬翔平選手、そして松井斗輝選手の6選手で。トーナメント戦にはその後、河名マスト選手、ワンマッチで雑賀ヤン坊達也選手が加わった形でした。

「そうだったのですね」

──その後、正式発表があった時にチャンピオンである自分自身が選ばれなくて、松井選手が出場できることになり、どのような気持ちでしたか。もちろんチャンスを得た松井選手と陣営が出場するのは当然で、そこでなくUFCの選択に関して伊藤選手はどのように感じたのでしょうか。

「そうですね、フライ級は松井選手になるというのは発表前から聞いていました。UFCが欲しがっているのは戦績を重ねてない、KO勝ちが多い選手だということも予め理解していましたし。

自分は30歳で20戦以上戦っています(※17勝4敗2分)。あと一本勝ちが多いから……しょうがないかなって」

──一本勝ちが多いのがいけないなら、MMAはやっていれないですよ。ただ安藤選手のように34歳で、そこそこのキャリアを積んでいる選手もいる。中国勢など30戦以上のレコードの持ち主もいました。

「ハイ……。まあ、選んでいる基準はよく分かんねぇなぁって感じでした」

──なるほど。UFCが最高峰、ならチャンピオン云々でなく一番強い人に挑む権利を与えて欲しいと自分など勝手ながら思ってしまいます。

「僕はそこまで気にならなかったです。まぁ『しょうがないわ』って。ならパンクラスで元UFCファイターから一本取ってやろうというモチベーションを持つように切り替えました」

──UFCで戦いたいという選手の気持ち、UFCで戦える力があるか試させたいというUFCの判断、UFCで戦うところを見たいというファンの評価は別モノで。伊藤選手はこのうち2つがあってもRoad to UFCに出場できなかった。なら、もう好き勝手に暴れて欲しいです。

「ハイ。ありがとうございます。UFCはそういうところだと言い聞かせて、気持ちを切り替える方が大切だと思いました。パンクラスで元UFCファイターや強い外国人選手と戦って勝っていこうと」

──すぐに切り替えることができたのですね。

「自分は若い頃からRIZINに出たいというのがあって……それはどこかノリ先輩が身近にいたからだと思います」

──田中路教選手がいたから、RIZIN志望になった?

「ノリ先輩がUFCをリリースされ、でももう一度UFCを目指すために努力を重ねていて、どれだけ困難なことがあってもその気持ちを持ち続けていました。試合ができない時期があっても、その目標は全く変わらなくて。でも契約できない。それでも『俺はUFCで戦う』と言うノリ先輩を見てきて、自分にはUFCで戦いたいと言う資格はないと思っていました」

──う~ん……。

「でも、パンクラスのチャンピオンになってRoad to UFCの募集要項を見た時に戦績、フィニッシュ率とかといっしょに年齢が18歳から30歳というのがあって、『年齢だけギリギリで、あとは当てはまる』って思ったんです。それでUFCを目指して良いんだと。だから……遅かったですよね」

──じゃあ田中選手のせいじゃないですか(笑)。

「いや、そんなことないです(笑)。その気持ちになるには、それだけの資格が必要で。そこに行き着くのが遅かったので自分の責任です」

──そのなかでパンクラスの防衛戦の相手がサロハイディノフに決まった。その時、松井選手のことは意識しなかったですか。

「全然、それはないです。サロハイディノフはランキングが1位で、強い外国人選手と戦いたいという部分で合致していたので。組みの強い選手と戦うことって、これまで余りなかったので。グラップラー×ストライカーという図式の試合が多くて。それが組みのタイプで、タジキスタン人でレスリングも強い。凄く楽しみです」

──これからのキャリア、強い選手と戦うことが第一で戦いたい舞台云々ではないということでしょうか。UFCが年齢で扉を閉じるなら、RIZINで少しでも強い選手と戦ってほしいです。

「そうファンの人達に思ってもらえる選手になりたいです。同時に選手として以前のように、RIZINに拘らなくなったというのはあります」

──というのは?

「僕もRIZINのTV中継がある部分とかに惹かれていたのは事実です。あの大きな舞台で戦いたいと。ただ、自分が出ていたころは話題になるようなことは必要でも、力がないと出られなかった。でも、今はSNSで喧嘩みたいなことをしていると出ることができる──そんなケースが増えてきました」

──ファンベースがそうなっている。自分はプロモーションが組むファイトは、ファンの望むモノだと思っています。専門メディアは、本物志向のファンを増やすことができかったですし。

「だから、逆に『伊藤盛一朗が見たい』と思われるようにならないといけないと思っています。RIZINのフライ級で一番強い選手と自分の試合が見たいと思ってもらえるようになること。そのためにもパンクラスで強い外国人選手と戦うことが重要で」

──UFC以外の海外というのは視野にないですか。

「あんまり海外に詳しくないので(笑)。藤田(大和)選手が戦うUAEWとか、猿飛流選手が試合をした豪州の大会(Eternal MMA)とか、色んな大会があるんだなって」

──……。

「ただ今はパンクラスでチャンピオンになったばかりなので、しっかりと防衛をして。そこから強い選手と日本で戦うのか、海外に出て行って強い選手とやるのか」

──何か変わりましたね。

「そうですね(笑)。どこまで行けるのか。勝村先生とグランドスラムで練習してきたことで、ここまで力をつけることができた。行けるところまで、行きたい。そういう風には想えるようになってきました(笑)。

グランドスラムから世界へ……という感じで。僕は出稽古もほとんどしていないし、グランドスラムだけで勝村先生とやってきました。このグランドスラムのMMAでパンクラス──国内のチャンピオンにはなれました。そこは証明したので、次は世界でどこまでいけるのか、トライしたいです。

そのためにもサロハイディノフに負けていると、そんな世界とか言うレベルじゃない。Road to UFCに出ていても、どうせ負けていたと思うし、ここで苦戦はしていられないです」

──それこそ「RIZINで見たい」、「Road to UFCで見たかった」という声が挙がるような試合を。とはいえ、世界のMMAで旋風を巻き起こす中央アジア勢です。

「強いですよね。RIZINにそういう系の選手がたくさん来ていて皆、強いです。パワーは日本人選手とはまるで違うと思うし」

──組みは、打撃よりも実力がそのまま結果に出ることが多いかと思います。ラッキーとか、余りなくて。勝つべくして勝つ、とういうか。そういう点で伊藤盛一郎がサロハイディノフを上回っているのは、どこだと自信を持って言えますか。

「極めです。一瞬で取りに行くスピード、閃き。いつも体に沁みついている技術を感覚で出せる。ここは上回っていると思います。逆にパワーやレスリング力はサロハイディノフの方が上のはずです」

──IMMAF育ちだからこそ、MMAのマジョリティな勝ち方をサロハイディノフは狙ってくる。そこに対して、伊藤選手のMMAは明らかに異文化、マイノリティです。同時に5Rの勝負で、極め重視の戦いを貫けるものなのでしょうか。

「自分は最初から、絶対に極めに行くっていう感覚では戦っていないです。時間も計算にいれて、行ける時に行くので。だから腕がパンパンに張ることもないし、攻めて疲れることもない。時間、相手の状況を頭にいれて考えるなかで、感覚でズバッと行くような感じで」

取材は会見場でなくオフィスで行われ、ロッキーがピンがこないの見切りに……

──まさにマジョリティMMAにない思考ですね。

「まぁサロハイディノフも極めへの反応は良いと思います。ただMMAだし。殴って意識を散らしていけば……まだサロハイディノフのことはそれほど研究しているわけではないのですが、行ける気がします(笑)」

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45 IMMAF MMA MMAPLANET o ONE アデーレ・フォーナリノ ティファニー・テオ マイッサ・バストス 山田海南江

【ADCC2024 Asia & Oceania Trial 02】女子55キロ級に出場、山田海南江「今までいっぱい泣いてきたから」

【写真】今年2度目のタイ。ONEとは異なり自身で航空券とホテルを抑え、戦う。それでもグラップラーは海を渡り、世界の頂点を目指す(C)SHOJIRO KAMEIKE

11日(土・現地時間)、タイはバンコク郊外ランシット大で行われるADCCアジア&オセアニア二次予選の女子55キロ級に山田海南江が出場する。
Text by Shojiro Kameike

昨年11月にシンガポールで開催された1次予選で、女子トーナメントは世界大会への出場権が賭けられていなかった。しかし山田は「ADCCルールに慣れるため」と女子55キロ級にエントリーし準優勝という結果を残している。今年3月にはONEサブミッションレスリングで、現役最強の柔術家のひとりマイッサ・バストスを相手に、敗れながらも好勝負を展開した山田が、今回挑むADCC予選について語った。


――タイのバンコク入り直後のインタビューとなります(※取材は5月9日に行われた)。昼に出発した東京の気温が18℃で、夜のバンコクが35℃と寒暖差が大きいようですね。

「そうなんです。東京も飛行機の中も寒い、空港に着いたら暑い、タクシーに乗ったら寒い――の繰り返しで(苦笑)」

――ここまで調整とコンディションはいかがですか。

「体調は問題ないです。実はコンディションよりも、ONEの試合が終わってから自分の中でギャップが生まれちゃっていて」

――ギャップとは?

「自分ではマイッサ戦で、もっともっとやられると考えていたんです。コテンパンにやられなかったのは、良いことかもしれません。だけど、そんなに世界は遠くないのかなって勘違いも生まれてしまいました。手応えがあった部分、プラス思っていたものと違っていたんですよ。ONEが終わってから1週間ぐらいは自分の中でもいろいろ考えて。練習はしたいけど体調も悪くなってしまいました。心と体のバランスに差が生まれたといいますか」

――世界チャンピオンに負けたけど良い試合を見せた。再戦すれば勝てるかもしれない……と期待されながら、その再戦は初戦とは程遠い内容で敗れるという例は、過去多数ありました。そのケースでは、もしかしたら初戦で燃え尽きてしまっていたのかもしれません。

「何となく分かります。マイッサと試合をして良かったと思う自分と、まだ対戦しなくても良かったんじゃないかと思う自分がいて。それでもADCC予選に向けて気持ちを切り替えないといけない。どうやって切り替えようかと考えたら、また心と体のバランスが――」

――……。

「でも1日中そういうことを考えていると、やることがなくなって。いつもどおり指導はしながら、練習は休んでいると時間もできて『私はこのままで良いのかな?』と。結局は『やっぱり練習するしかない』ってところに辿り着きました」

――マイッサ戦を振り返ると、ご自身の中で試合内容に対して満足いかないものでしたか。

「正直、あまり覚えていないんです。あとで試合映像を見返すと、一方的に攻められていたことには変わりないです。でも最初に言ったとおり『もっとやられるかな?』と思っていた試合内容ではなくて。

どの試合でも、内容に満足することはないです。ただマイッサ戦は周りの人からも『良い愛だったね』と言われますし、高い評価も耳にします。かといって自分で自分を褒めることはない。自分で自分を褒めて良いのかどうかは分からないです。

でもあの試合を見て『勇気をもらった』という連絡をくださった方がいて。それぐらい視ている方の心に響いた試合だったんだなって思うと、あの試合をやって良かったんだなって考えています。それがまた心と体のギャップにも繋がってしまうんですけどね(苦笑)」

――プロとして考えるのであれば、次の試合オファーとファイトマネーが評価を表すものの一つだと思います。マイッサ戦後、ONEから試合のオファーはあったのでしょうか。

「それもADCCとの兼ね合いなんですよ。今の私が目指しているものはONEのベルトではなくADCCです。ADCC世界王者に至る過程として、ONEの試合が存在しているのであれば考えます。でも今の状態では、そのベルトを目指そうとは考えていなくて……。もちろん評価してもらえるのは嬉しいけど、自分の芯はぶらさずに続けていきたいですね」

――それだけ山田選手にとって、今はADCCこそが目指すべき世界の頂点ということなのですね。

「グラップリングって『世界の頂点』と呼ぶ基準が分からない競技じゃないですか。プロとして活動するにしても、やはり自分の中の世界チャンピオンとしての基準をクリアしてから次のことを考えたくて。その自分にとっての世界チャンピオンというのは、やっぱりADCC世界大会優勝なんですよ」

――そんななか昨年11月には、ADCCルールに慣れるためにと、代表決定戦ではないにも関わらずトーナメントに出場しました。以降、ルール対策はいかがですか。

「前回のインタビューでもお話したとおり、自分の中でタイマーを見ながらポイントが入らない前半と、ポイントが入る後半を意識して練習してきました。あとONEが終わってから1カ月間、足関節にこだわってきたんですよ。足関節で攻めて来る相手は絶対いるじゃないですか。特にポイントがない前半は足関節を凌げば、後半に自分がポイントを得られるチャンスが来るんじゃないかと思っています。

それと週1でレスリングの練習に行っていました。ちゃんとしたレスリングはもう5年ぐらいやっていなかったけど、ADCCのためにはレスリングも必要だと思って。今まで柔術だとギがある分、逃げていたところもあったんですよ」

――逃げていた部分……というと?

「ギは掴むところがあるじゃないですか。体で痛めているところがあると、ギを掴んで逃げてしまう時もありました。でもADCC、レスリングはそうもいかなくて。やっぱりADCCで戦うためには逃げることなく、その部分を埋める練習が必要だと思ったんです」

――なるほど。レスリングの練習は母校に行ったのでしょうか。

「いえ、早稲田大学ですね。早稲田のレスリング部に友達がいて。でも申し訳なかったです。全然レスリングができなくなっていて(苦笑)」

――やはり5年振りだと全く勝手が違いますか。

「ひとつは自分が柔術に慣れすぎていて、たとえばテイクダウンに入りきることができなくなっていました。柔術だとギロチンを警戒するので、テイクダウンに入るにしても、すぐに抜けられるような形になっていて。私はグラップリングでも、小さい頃からレスリングをやっていた部分をもっと生かしたいです。そのためにも普段から、もっとレスリングの練習をしておいたほうが良いと思いました。ハッキリ言ってしまえば、私にはレスリングの部分しか勝ち目がないから。アハハハ」

――笑いながら言うことではないです(笑)。

「前半に相手の足関節を凌いで、後半に持ち込んでポイントを取る。そのために自分が好きだったレスリングを――レスリングから離れた今もう一度見直すのも不思議ですね」

――今回の出場選手を見渡すと、やはり昨年11月よりも様々な競技で実績を残しているメンバーがエントリーしています。そのなかでもご自身のレスリング力、レスリングの経験はアドバンテージになるでしょうか。

「アドバンテージにするためにレスリングの練習をしてきました。前回、アデーレ・フォーナリノとの決勝戦では最初のほうで私がテイクダウンしたんです。それも含めて前回出場したメンバーの中では、レスリングに関しては私が上のほうにいたと思います。でも、おかげで私がレスリングで強いのはバレちゃったから、今回は簡単にテイクダウンに入れる状態に持っていかせてくれないでしょうね……」

――そう考えると、前回の予選でアナコンダを極めまくった竹内選手にも同じことが言えるでしょう。

「そうかもしれないですね。自分の強みが周りに知られているなかで、その強みにこだわって貫くか、あるいは別の強みを摂り入れるか。ただ、周りの選手を見ても思うんです。たとえばボトムからの展開にこだわっている選手も、間違いなくトップからの攻めも強いはずなんですよ。それでもボトムにこだわるのは、何か理由があるからで。自分はボトムからはヘタなので分からないですけど」

――ここでも自虐ですか(笑)。それだけに今の山田選手にとって、一番適正なのがADCCルールであると言えませんか。

「はい。今はADCCが一番、可能性のあるルールだと思うんですよね。でも今回出ている選手も、みんな強そうで」

――世界大会への出場権が賭かっているためか、エントリー選手の質が昨年11月とは大きく異なりますね。国際大会の実績を持つ比国のアニー・ラミレスをはじめとして、ONEで戦っているMMAファイターのティファニー・テオや、IMMAF世界王者のジャンナ・カスキノヴァなど多種多様な選手が出場します。

「アニーとは練習したことがあります。私が負ける感じではなかったけど、もともと60キロで試合をしているぐらい、とにかく大きいんですよ。柔術もグラップリングもやっていて、アジアで最強の一人だとは思います。

韓国のキム・シウンは今年1月に、マイッサが優勝したアブダビグランドスラム東京(女子茶帯ルースター級)で3位になっていますよね。マイッサが一度スイープでポイントを取られていて、その時から注目していました」

――なるほど。トーナメント表は計量後に発表されるとのことですが、現時点で出場メンバーを見た印象を教えてください。

「誰と対戦することになっても、結局は自分のスタイルは変わらないですね。これまでも、それで戦ってきましたし。あとは珍しく運次第って言いたいです。

私って、もともと運がないんですよ。レスリング時代のくじ引きとか。でも今回は運も勝負のうちだなと思っています。自分がやれることはやってきました。そこにプラスして『今まで泣いてきた分、運がついてきらら良いな』と。次が無い試合って心地良いです」

――次が無い試合、というのは……。

「今回負けたら、次のチャンスは2年後じゃないですか。そういう試合って久しぶりなんですよね。今は光と絶望の中間にいる状態で」

――オリンピック出場のチャンスは4年に一度しかありません。一方でプロの試合は勝てば、あるいは良い試合をすれば、すぐに次のオファーが来る可能性がある。マイッサ戦でギャップを感じたと言われましたが、「負けても良い試合だったから次がある」というプロの世界が、これまで山田選手が生きて来たレスリングや柔術の世界とは違うわけですよね。

「そうか、そういうことですね。『負けても次がある』という世界に馴染んでいないというか。それと私は今まで楽しんで柔術をやってきました。でも今回『負けたら次はない戦いだ』と気づいた瞬間、勝ちたいという欲が強くなって。そのために『楽しみたい』と『勝ちたい』の間で、気持ちの浮き沈みが激しかったです。

でも今はもう吹っ切れました。今回出ているメンバーの中でも、その気持ちを味わっている経験は私が一番だと思っています。『みんな、その環境に置かれたことないでしょ?』と言いたいです。私は今まで、その環境でいっぱい泣いてきたから。負けたら次はない、だから勝ってラスベガスの世界大会に行きます」

■視聴方法(予定)
5月11日(土・日本時間)
午後12時00分~Flo Grappling

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45 AB Gladiator IMMAF MMA MMAPLANET NEXUS o ONE ONE FF62 ガントグトフ・バートルチョローン ジャンロ・サンジャオ テムーレン・アルギルマー バットオチル・バットサイハン ファビオ・ハラダ ルンピニー 中川皓貴 国内MMA 宮平守太郎 海外

【ONE FF62】ファビオ・ハラダのONE FF初陣。対するは草原のスクランブラー=バットオチル

【写真】日系ブラジリアン×モンゴル、楽しみな顔合わせだ(C)MMAPLANET

10日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights62にファビオ・ハラダが出場し、モンゴルのバットオチル・バットサイハンと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2021年7月のプロデビュー以来、全6試合をNEXUSで戦ってきたハラダは3月27日に自身のSNSでONEとの契約を明らかとしていた。


群馬の名門柔術アカデミー、INFIGHT JAPANの茶帯であると同時に完全なMMA志向でもともとはムエタイから格闘技を始めたハラダは殴って、蹴って、極めることができるファイターだ。

2月に行われた直近の試合=宮平守太郎戦は僅か16秒でKO勝ちしている。ビッグステージを目指していたハラダが、ONE FFという海外の舞台を選び、さらなるステップアップを狙う。そんな彼のONE FF初戦の相手となったバットオチルは、昨年12月にGLADIATORに来日しており、中川皓貴を相手に29-28×3と競り勝っている。

その中川戦がプロ4戦目だったバットオチルは、モンゴルで過去に1度だけ開催されたIMMAFの大会で優勝し、大学在学中にタイガームエタイでの練習も経験、プロデビューを果たした。

実はバットオチルにとって、今回のONE FF参戦はONE本戦との契約を賭けた2度目のチャレンジだ。2022年にモンゴルで実施されたRoad to ONE Mongoliaに参戦した彼はスパーリング形式(シンガードを装着しての非公式戦)でテムーレン・アルギルマー、ガントグトフ・バートルチョローンを下して決勝進出を果たしている。

フェザー級契約で、実質バンタム級のモンゴルMMA界のトップファイターを退けたバットオチルだが、公式戦扱いとなった決勝戦でエンフオルギルバートルフーに敗れ、ONEとの契約を逃した。結果的に勝者もONE FFからの出場となったが、2連勝後にONE本戦に出場してラカイの御曹司=ジャンロ・サンジャオを下すなど、今では本戦で活躍しており、バットオチルとしても「今度こそ」という気持ちが強いに違いない。

バットオチルはモンゴル人ファイター特有のフィジカルの強さを全面に打ち出すスタイルではないが、やはりここ一番のテイクダウン能力は高い。とはいえハラダにとっては、テイクダウンをされてもそこは自分のフィールド。

下からの極め以上に巧みなスイープでトップ奪取を狙えるであろう。

トップになったハラダの到達点はバック奪取と、RNC。対して、中川との試合を見る限り──バットオチルはスタンドバックでの防御能力はままある。

それでも柔道、サンボ、レスリングと比較して発展中ではあるが、まだ競争力という部分で一枚劣るモンゴルの土壌で育ったバットオチルに対し、ハラダは打のある柔術で勝負することで勝利に近づける可能性は高い。

と同時に極めでなくトップ奪取からの攻撃となると、スクランブル&体力勝負でバットオチルが優位という見方もできる。ハラダにとって体力的に、バットオチルにとって技術的に初遭遇となるといっても過言でないマッチアップ。

自分の強さと、そうでない局面での防御力が問われる一戦は、─国内MMA×アジアのMMAという見方をすると、なおさら興味深い戦いとなる。

■放送予定
5月10日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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45 AB AXEL RYOTA IMMAF KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 RIZIN RYO UFC YouTube   キック ブログ 前田浩平 砂辺光久

【Pancrase342】58カ月振りのパンクラス復帰=前田浩平戦へ、砂辺光久「ハイブリッドレスリングをする」

【写真】試合後もこの表情が見られるか(C)SHOJIRO KAMEIKE

明日29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催されるPancrase342で元フライ&スーパーフライ&ストロー級KOP砂辺光久が、1年10カ月振りの実戦復帰を果たし前田浩平と対戦する。
Text by Manabu Takashima

44歳になった砂辺にとってパンクラス登場は実に4年10カ月振りとなる。なぜ、このタイミングなのか──。1993年はUFC活動開始の年でなく、パンクラスの旗揚げ戦のあった年と断言する砂辺のパンクラス愛とハイブリッドレスリングへの拘りの言葉の数々が聞かれた。


──試合自体が1年10カ月振り、このタイミングでパンクラスに戻ってきたのは?

「30周年記念大会に必ず出たかった。それがあります。5年前に北方大地に負けて、ベルトを彼に手渡した。あの瞬間に全て終わったと感じました。あの時、後々振り返ってみると会見の時から何まで、もう疲れてしまっていました。『何回目ですか、この調印式?  8年も僕、チャンピオンですよ』っていう風で。

でも北方選手はリベンジに燃えている。僕は6年間以上負けずに16連勝とかしている途中で、RIZINにキックで出てスコッと負けて。やり返したい北方選手の数年間の想いが詰まった試合で、負けた。なんか大きな役目をやり終えて、肩の荷が下りたというか。なんとなくですが、『ここには戻ってこないだろうな』と言う風に自分のなかで一区切りがつきました。

ただしパンクラスに最後の恩返しとして、地元・沖縄でパンクラスの大会を開く。でも発表後にコロナになり、おかしなことですけど『何かの力が働いてパンクラスと俺の間を止めている流れがあるな。もう、このケージに戻ることはない』と。あれからは好きだから格闘技を続けるという風にしていました。

3歳下の仲間、宮城友一がトップ戦線浮上を狙って頑張っている。教え子の当真桂直も頑張っている。その姿をサポートする立場で見ていて、彼らから刺激を受けつつもパンクラスに自分が戻るという風にはならなかったです」

──それでも、戻って来る気持ちになったのは?

「そんな時にRIZINの沖縄大会に声を掛けて頂き、ポンポンと2つ出て。結果は振るわなかったですけど、反響は大きかったです。僕がデビューして23年、パンクラス王になるということに拘り続けて──パンクラスで3階級のチャンピオンになっても得られなかった知名度を、RIZINで負けても得てしまう……。そこには自分のなかでも複雑な想いがあります。パンクラス、RIZINから声が掛かれば行こうかという想いはあっても、自分が試合に出たいと手を挙げることなかったです。

そうこうしているうちにパンクラスが30周年記念大会を開くようになった。今、現役で選手をしている人達のなかで1993年のパンクラス旗揚げを──ライブで観戦したわけじゃないですけどVHSのビデオでリアルに体感している人って、レジェンドの方々を除くともういないと思います。掌底、レガース、ヒールホールドが禁止になった──そんなパンクラスの歴史を体現し、語り継ぐことができる人間は自分しかいない。だから30周年記念大会で、一つ楔を打ちたい。『俺、まだここにいるよ』と……これが正しい表現方法か分からないですけど、今回の試合はハイブリッドレスリングをするつもりです」

──それこそ、その意味合いを理解できる選手たちが少なくなっていると思います。

「ですよね。MMA、総合格闘技を戦っていても僕の動きはハイブリッドレスリングです。それを今のパンクラスのファンの方に──『こんなヤツいたんだ』、『昔はこんなことをしていたんだ』というのを見てもらいたいというのがあります」

──フライ級で戦うというのは?

「もうフライ級でしか戦わないと思います。ストロー級の52キロで戦うには2カ月前から減量を始めて、1カ月前にはヘロヘロになっている。体は辛い、でも一生懸命に練習をする。翌日になってもキツイ。それをずっと続けていると、もう練習がしたくないと思うようになっていたんですよね。そこまでやっても北方選手に、僅差でもなんでもなく負けた。あそこまでやっても結果が出ず、宝物にしていたモノを奪われた。あの辛さを経験したことで、健康的に格闘技を戦おうというマインドに変わりました」

──そんな砂辺選手ですが、今回の試合前は以前のようにグランドスラムで調整をしていないそうですね。

「それは沖縄に、それだけの環境が整ったからです。あの頃、平良達郎がデビューをしていたのか、していないのか。沖縄にいると松根(良太)さん以外にチンチンにされることはない。なので強い練習相手を求めて横浜で合宿をさせてもらっていました。

今回も行こうかとも考えましたけど、沖縄でできるなと。特に達郎と肌を合わせると、毎回勉強になります。達郎は親身になって教えてくれますし。沖縄は凄く良い環境になったと言えます」

──逆に沖縄に練習にいく選手が増えています。

「そうなんですよ。松根さんが創った環境、そこで生まれた平良達郎の影響はデカいです」

──CROSS X LINEという自身のジムを持ち、THE BLACKBLET JAPANでのプロ練習に参加する。ただ修斗沖縄大会では沖縄勢同士が戦うことがあります。

「当真がTHE BLCKBELT JAPAN勢との試合が決まると、僕も練習にいくのは控えます。でも、もう旭那拳とのタイトルマッチ以外では交わらないので、当真も僕も週に2回お世話になっています」

──ところで5年間勝利から遠ざかり、44歳になった砂辺光久の力をどのように自己評価しているのでしょうか。

「なんか吹っ切れたんですよ、5年前に負けた時に。そして平良達郎がUFCと契約する前から、その成長振りを体感してきました。彼と触れることで、どんどん広がっているモノがあると感じています。

同時に最強を目指すことを辞めました。前はストロー級で一番になりたかった。でもパンクラスへの思い入れがあるので、他で戦うのではなくて『こっちに来いよ』という姿勢でした。それが最強でなく最高を目指すようになって……高山×ドン・フライ、あれって僕のなかでは最高なんです。プロとして凄く最高で。

ただ技術的に何か優れているということは一切ない。僕がこれからやらないといけないのは、技術を見せて何連勝をする……というのは難しいけど、勝った上で最高の作品を一つでも多く残すこと。残したいと思っています。

言ったらRIZINで前田吉朗とやった試合。あれってオジサン同士の総合格闘技じゃないですか。MMAが磨かれている時代に逆行したモノを見せて、最高だと思ってくれる人が多かった。あれほど強い人がいる場で、僕と吉朗が尖ったことをして下半期ベストバウトに選ばれた。人の心を動かす──そこに憧れを持ち続けてきました。1993年は僕にとってはUFCが始まった年ではなくて、パンクラスが始まった年です。それから、ずっとパンクラス、パンクラス、パンクラスで来ました。なので、これからはパンクラスにとって最高の作品を1つでも出していきたい」

──高山×フライは両者の共鳴が必要な殴り合いでしたが、前田選手は自身のIMMAF時代から積み上げてきたMMAをぶつけるために、共鳴どころか拒否をしてくることが予想されます。

「今までもそうなんです。田原しんぺー、室伏シンヤはMMAで僕に向かって来た。結果、田原しんぺーはパワーボム(腕十字をスラム)、室伏シンヤは喉輪落とし(ジャンピングガ―ド&ギロチンをスラム)でKOされました。プロレスラーの僕が、プロレスの技で勝った。修斗の人が修斗で戦い、パンクラシストがハイブリッドレスリングで勝っただけなんです。

前田選手は順調に結果を残せている選手ではないですが、辞めないで続けている。強いヤツらに揉まれてきた。どういう選手であっても、僕は自分の持っているパンクラスへの愛情であったり、ハイブリッドレスリングへの拘りを貫くつもりです。北方大地をジャーマンで投げたとか。試合がどうだったねとか、ゲームプランがどうだったではなくて、『アイツのアレ、面白かったね』というモノを一つでも多く創り出したいです」

──UFCが最高の舞台で、若いMMAファイターには最強を目指してほしい。何より、MMAは勝敗が絶対という姿勢を自分は持ち続けますが、砂辺選手に関しては、噛めば噛むほど味が出る「都こんぶ」のようになってほしいと思っています。

「僕のパンクラス30周年はまだ終わっていなくて。今回の試合に勝ったら、パンクラスの扉を開けた男──稲垣克臣(1993年9月21日のパンクラス旗揚げ戦、第1試合で鈴木みのると対戦)を引っ張り出したいと思います!!」

──その試合が実現するなら、ぜひリングでお願いします。

「そうですね、ロープエスケープ有りで」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後1時30分~U-NEXT

■Pancrase342 計量結果

<ストロー級暫定王者決定戦/5分5R>
黒澤亮平(52.15キロ)
リトル(52.05キロ)

<ライト級/5分3R>
粕谷優介(70.70キロ)
久米鷹介(70.70キロ)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(77.55キロ)
長岡弘樹(77.35キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(52.05キロ)
ホン・イェリン(51.40キロ)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(70.40キロ)
ホン・ソンチャン(70.00キロ)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(57.00キロ)
前田浩平(57.20キロ→57.10キロ)

<ストロー級/5分3R>
寺岡拓永(52.25キロ)
氏原魁星(52.10キロ)

<フェザー級/5分3R>
糸川義人(65.85キロ)
櫻井裕康(66.50キロ→66.10キロ)

<バンタム級/5分3R>
坂本瑞氣(61.35キロ)
谷内晴柾(61.25キロ)
<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
饒平名知靖(56.65キロ)
名久井悠成(56.55キロ)

<ネオブラッドT 2回戦 フライ級/5分3R>
山崎蒼空(56.85キロ)
AXEL RYOTA(56.95キロ)

<フライ級/5分3R>
田中亮祐(56.35キロ)
齋藤桜貴(57.15キロ)

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AB DEEP F1 Gladiator IMMAF UFC ブログ

Road To UFCシーズン3:パンクラス王者透暉鷹、修斗王者安藤、GLADIATOR王者河名の出場が確定。判明している日本人選手は8名。

mmaplanet.jp

MMAPLANETが選手及びマネージメントに出場の確約があることの確認を取れた選手」とのこと。

フライ級
松井斗輝 vs. ルエル・パナレス

24歳でMMA6勝1敗。北斗の拳のトキから名付けられたという松井はボクシングで高校時代国体3位。デビューから6連勝し、パンクラスではランカーとなったが、昨年12月にIMMAF王者ムハンマド・サロハイディノフに敗れMMA初黒星。さらに、2月に組まれた試合は体重オーバーで消滅している。最後のレコードが負けであっても出場のチャンスがあるということか。

パンクラス王者伊藤やDEEP王者福田は「選外となった」とのことなので応募していたが選ばれなかった模様。

バンタム級
透暉鷹 vs. キム・キュソン
小崎連 vs. ダールミス・チャウパスゥイ
野瀬翔平 vs. ユ・スヨン

透暉鷹は27歳で11勝3敗。2022年にフェザー級王者となり、昨年バンタムに落とした初戦で中島太一が返上したタイトルをNEXUS王者河村と争って、1R肩固めで勝利し獲得。2階級制覇を立っていしている。相手はONEにも参戦していたキム・キュソン。2020年に若松佑弥に1RKO負けしている。

尾崎は22歳で6勝0敗2分け。KROSS X OVERでキャリアを積んでいたが、3勝以下の実績の相手のみ。しかし今年3月にDEEPに初参戦すると、ベテランの力也から1RKO勝ちして見せた。

野瀬はシーズン1からの3年連続出場。1年目は準決勝で中村倫也に敗れ、昨年は一回戦負け。自身でも「3度目はない」と思い、今年2月のRIZIN佐賀大会に出場して瀧澤にパウンドアウトで勝利している。相手は昨年9月のDEEPで石司に1RKO勝ちしてタイトルを獲得したユ・スヨン。先月、Road To UFC出場によりDEEPバンタム級王座を返上することが発表されていた。

フェザー級
安藤達也 vs. チュウ・カンチエ
河名マスト vs. ソン・ヨンジェ
原口伸 vs. ホン・ジュンヨン

修斗バンタム級王者安藤は階級を上げてフェザーで出場する模様。もともとUFC志向でMMAを始めた選手で、今回判明した日本人では最年長の34歳。2022年に岡田遼にKO勝ちして修斗バンタム級王座を獲得。昨年3月にはONE Friday Fightsに出場し、1Rにダウンを奪われピンチに陥ったところから逆転勝ちも、その後のONE本戦オファーには繋がらなかった。

グレコローマンレスリンU-23世界王者の河名29歳で9勝3敗。2022年にはLFAに出場するも、現LFAフェザー級王者のアライジャ・ジョンズに判定負け。昨年6月にはGLADIATORフェザー級王座決定トーナメントでパン・ジェヒョクにスプリット判定負けしたが、今年2月の再戦では1Rにパンチを効かされたところから、2R以降盛り返し逆転勝利し、タイトルを獲得している。

レスリング全日本王者の原口は昨年フェザー級で出場を希望するも、枠が埋まっているということで階級上のライトで出場。決勝でロン・チューに敗れてMMA初黒星を喫した。準優勝でUFCと契約の可能性があったのかどうかは不明だが(他の準優勝メンバーの契約があるかどうかも不明)、今年はベストウェイトのフェザー級で出場する。

今年はライト級は実施されないとのこと。代わって、女子ストロー級の実施が確認されている。

女子ストロー級
本野美樹 vs. フォン・フェイアール

本野は29歳で8勝4敗。2020年、魅津希UFC契約に伴い行われたJEWELSストロー級暫定王座決定戦で勝利したが、同年12月にデビュー2戦目の伊澤とのノンタイトル戦で判定負け。ダイレクトリマッチで組まれた防衛戦では1R腕十字で敗れて王座から陥落した。その後JEWELSで3連勝したが、昨年10月に中国で行われたイベントで、フン・シャオカンに1R腕十字で一本負け。そのシャオカンもRoad To UFCにエントリーしているという情報があるとのこと。また、他の日本人選手にも声がかかったが、断った選手もいるとのこと。

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UFC on ESPN+96:第3試合・クリスチャン・リロイ・ダンカン vs. クラウディオ・ヒベイロ

ミドル級。

CLDことダンカンは20歳の時にバスケからMMAに転向。トップクラスがプロと遜色ないと言われるアマのIMMAFで長くキャリアを積み、24歳でプロデビュー後はイギリスの老舗プロモーション・ケージウォーリアーズでデビューすると、1年半で6連勝してミドル級王座を獲得。昨年3月にプロ3年目でUFCデビューを果たした。UFC2戦目には元キック王者アルメン・ペトロシアン相手に判定負けでキャリア初黒星を喫したが、11月にデニス・トゥルーリンに2RKO勝ちで再起に成功。長身・リーチが長く、回転系の蹴りが得意なストライカー。28歳。

ブラジルのヒベイロはUFC1勝2敗。ブラジルムエタイ王者で、キャリア11勝はすべてKOでの勝利。しかし前戦はロシアのコプィロフに2Rハイキックで失神KO負け。元ダンサーの経歴がある。31歳。

すぐにプレッシャーをかけるダンカン。ジャブ。カーフを入れるがヒベイロもカーフを返す。ダンカンバックヒジ。前蹴りでヒベイロを近寄らせない。トリッキーな蹴りを見せる。バックスピンキックがボディにヒット。ジャブ。ほとんど手が出ないヒベイロ。まず間合いに入れない。ダンカンヒジ。ヒベイロパンチで飛び込んだが、ダンカンバックステップでかわした。遠い間合いからパンチを入れるダンカン。両手でヒベイロの手首を掴むと肘を入れた。ヒベイロまたパンチで飛び込んでいくが距離を取られる。前蹴りをキャッチしたヒベイロ。ダンカンジャンピングスピンキック。しかし空振り。間合いを詰めて組み付いたヒベイロだが、ダンカンが四つに組んで入れ替える。押し込みながら膝を入れるダンカン。入れ替えたヒベイロ。ヒザを打ち合う。ホーン。

1Rダンカン。

2R。パンチで出たヒベイロ。四つで組んだ。しかしダンカンがボディロックから投げ。倒されかけたヒベイロだがケージでこらえる。ダンカンダブルレッグへ。テイクダウンしてサイドを取った。一気にマウントに。パウンド・肘。腕でブロックするだけのヒベイロ。背中を向けたヒベイロ。バックマウントからパウンドを打ち込むダンカン。KO!

ダンカン強い勝ち方。スタンドでもリーチの長さを活かして圧倒。今回はタックルからのテイクダウンという新たな引き出しも見せた。テイクダウンしてからは一方的に打ち込んでKO勝ち。

ヒベイロは自分の距離で戦えず、組みに行っても逆にテイクダウンされ、いいところがなかった。

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45 AB IMMAF MMA MMAPLANET o RIZIN UFC UFN UFN238   アブドゥルカリーム・アルセルワディ アレックス・ペレス イスラム・マカチェフ ウマル・ヌルマゴメドフ エイマン・ザハビ エリク・アンダース クリス・ダンカン シャミル・ガジエフ ジェイミー・ピケット ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク スティーブ・アーセグ ボクシング マット・シュネル マニュエル・トーレス ムハマド・モカエフ ルドヴィット・クライン

【UFN238】バーレーン代表ダゲスタン人ファイター=シャミル・ガジエフ「8年間ファイトから離れていた」

【写真】キャリア12勝のなかでKO勝ちが8試合、一本勝ちが3試合。8勝が初回フィニッシュというガジエフ。自信に満ち溢れていた(C)MMAPLANET

2日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFN238:UFN on ESPN+96「Rozenstruik vs Gaziev」が開催され、メインでジャイルジーニョ・ホーゼンストライク×シャミル・ガジエフというヘビー級の一戦が組まれている。
Text by Manabu Takashima

今となっては強烈なファイターが揃っていたRIZINヘビー級戦線で1度加わっていたホーゼンストライクは、既にUFCで12戦をこなし7勝5敗という戦績を残している。対してガジエフは昨年12月に初めてオクタゴンで戦ったばかり、UFCキャリア2戦目でヘッドライナーとなった。

そのガジエフ、34歳ながらプロデビューは3年前。この間に12勝を果たしたダゲスタン人ファイター、いやバーレーン代表ファイターに初インタビューを試みた。


──シャミル、週末にはホーゼンストライクとメインイベントで戦います。今の気持ちを教えてください(※取材は2月28日に行われた)。

「試合前はいつだって最高の気分になっている。ホーゼンストレイクのことは、全く意に介していない。自信を持ってやるべきことをやるだけだ」

──オクタゴン2戦目でメインイベンターになることが、想像できていましたか。

「UFCデビュー戦の時にポスターにサインをしていて、コーチに『いつ、俺の顔が大きくポスターに載るんだろう?』って話していたんだ。今回、それが実現した(笑)。これから自分がどうなるのかなんて、本当に誰にも分からない。でもハッピーだよ」

──シャミルはダゲスタン出身ですが、バーレーン国籍で試合に出ていますね。

「2009年に結婚をして、コンバットスポーツのトレーニングや試合に出ることを辞めた。あの頃、ファイトでは生活ができなかったから。結婚して、子供を育てるという責任を持つようになるとファイトを続けることはできなかった。

それから8年間、普通に仕事をして家庭を守ってきた。そして2017年になって、バーレーンでトレーニングキャンプに参加する機会を得ることができたんだ。KHKジムでローカルファイターのトレーンングキャンプをするから、手伝って欲しいと声が掛かった。その時にKHKジムの代表となって、バーレーンに残らないかと誘ってもらった。

自分は4人の子供が既にいたけど、経済的なサポートをするのでキャリアを再構築すべきだと。アマチュアからキャリアをリスタートさせ、バーレーン代表としてIMMAFアジア選手権、欧州オープン選手権、アフリカ・オープン選手権で優勝し、世界選手権はメダルを獲得している。アマMMAでしっかりと経験を詰めたことは、本当に自分のキャリアに役立っている。プロになる前に、とても貴重な経験ができたよ。

UFCと契約するまで10連勝をしたけど、全てはKHKジムとバーレーンのサポートがあったおかげだ。だから、ロシアでなくバーレーンを代表して戦っている。彼らと成し遂げた来たこと、全てに誇りを持っている」

──8年間キャリアをストップていたということは、以前からMMAの経験があったということですか。

「父親がバレーボール・プレイヤーだった影響もあり、学校に通っている時はずっとバレーボールをやっていた。生まれた育った村から、街に出てバレーボールの練習をしていた時にアブドゥルマナップ(ヌルマゴメドフ)に『見込みがある。明日、ジムに来てみないか』と誘われたんだ。

言われるがままに彼のジムに行った。当時はまだMMAではなく、コンバットサンボの指導を受けた。ハビブ・ヌルマゴメドフ、ルスタン・ハビロフ、イスラム・マカチェフ、皆が練習仲間だった。アブドゥルマナップの教え子として第三世代に当たるのかな、彼らとトーレニングをしていたんだ」

──格闘技から離れていた8年間ですが、トレーニングだけでも続けていたということは? それとも全く練習もしていなかったのですか。

「コンバットスポーツのトレーニングはしていない。ただ時々、楽しむためにボクシングのジムに行ったこともある。でも、ホビーだったよ」

──それでいて、いきなりKHKジムでMMAのキャンプに参加できるほど天賦の才に恵まれていたのですね。

「そういう才能があることには、いつも感謝している。ただ、あの8年間も何も家のソファに座ってTVをずっと視ているなんてことはなかった。ビーチで泳ぎ、バレーボール、フットボールをして、ジョギングも欠かしたことはない。格闘技の練習はできなくても、体を動かすことは続けていた。それに自分はもともと身長が高く、体格面でも恵まれいた。それこそ神様からの贈り物だと思っている」

──なるほどぉ、です。では今現在の練習環境はどのようになっているのですか。

「普段は家族と一緒にダゲスタンに住んでいて、練習もしている。プロで戦うようになって以来、試合が決まると2カ月間のキャンプを行って来た。最初の1カ月はダゲスタンの山間部でレスリング中心のキャンプをして、次の1カ月はバーレーンでコーチのエルダル・エルダノフの立てたゲームプランに戻づいて、技術的な対策練習をするんだ。ジムはどちらもKHKジム……KHKダゲスタンとKHKバーレーンだよ」

──対戦相手ホーゼンストライクの印象を教えてください。

「UFCヘビー級で12位にランクされている選手だから、強くないとは言えない。当然のように強い。タフな試合になるだろう。彼は打撃が優れているしね。その一方でグラップリングとレスリングはどうなんだろうね? 打撃は良いけど、どうなるか。試合になれば分かるよ」

──ダゲスタンの選手はレスリングが強いのは、もう知れ渡っています。その一方でシャミルは意外というと失礼ですが、堅実な打撃も実戦で披露してきました。

「ダゲスタン人はレスリングが強いことは世界中が知っている。でも、まだ30パーセントほどしか、自分の力を見せていない(笑)。どの試合でも、新しいシャミル・ガジエフを発見できるはずだ。次の試合も、そうなるから瞬きは厳禁だ。ヘビー級らしい、殴り合いを期待してほしい。とにかく、瞬きをして俺のKOシーンを見逃さないように」

■視聴方法(予定)
3月3日(日・日本時間)
午前3時30分~UFC FIGHT PASS
午前2時45分~U-NEXT

■ UFN238対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)
シャミル・ガジエフ(バーレーン)

<フライ級/5分3R>
アレックス・ペレス(米国)
ムハマド・モカエフ(英国)

<バンタム級/5分3R>
ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)
ベクザット・アルマカーン(カザフスタン)

<フライ級/5分3R>
マット・シュネル(米国)
スティーブ・アーセグ(豪州)

<ライト級/5分3R>
マニュエル・トーレス(メキシコ)
クリス・ダンカン(英国)

<ミドル級/5分3R>
エリク・アンダース(米国)
ジェイミー・ピケット(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ヴィニシウス・オリヴェイラ(ブラジル)
ベルナルド・ソパイ(スウェーデン)

<バンタム級/5分3R>
ジャヴィッド・バシャラット(アフガニスタン)
エイマン・ザハビ(カナダ)

<ミドル級/5分3R>
クリスチャン・レロイ・ダンカン(英国)
クラウジオ・ヒベイロ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ルドヴィット・クライン(スロバキア)
AJ・カニンガム(米国)

<ライト級/5分3R>
ロイック・ラジャポフ(タジキスタン)
アブドゥルカリーム・アルセルワディ(パレスチナ)

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