カテゴリー
45 DEEP DEEP JEWELS DEEP JEWELS41 DEEP JEWELS42 DEEP JEWELS43 DEEP Nagoya Impact2023 DEEP Tokyo Impact Deep Tokyo Impact2023#02 Gladiator Jr.BORDER MMA MMAPLANET o RIZIN Special YouTube   ケイト・ロータス パク・ジョンウン ブラジリアン柔術 ライカ 修斗 彩綺 斎藤 斎藤裕 桐生祐子 牛久絢太郎 須田萌里

【Special】J-MMA2023─2024、須田萌里&雄律─01─「小学校の卒業式で『夢はRIZINフェザー級王者』と」

【写真】左から須田萌里と父・智行、そして雄律という大阪の柔術&MMA一家(C)MMAPLANET

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA2023-2024、第七弾は大阪スコーピオンジムの須田萌里&雄律の姉弟に話を訊いた。姉の萌里はMMAを戦う一方で柔術の試合にも出場し、昨年は父の智行さんから茶帯を授けられた。対する弟の雄律は、ジュニア/キッズでなんと45戦に出場! 前編ではプロ興行のプロモーターからも熱い視線を向けられているという、雄律を中心に話が進んだ。

■2023年須田萌里戦績

2月19日 JBJJF修斗杯柔術選手権2023
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 優勝

3月25日 DEEP Tokyo Impact2023#02
〇2R0分53秒 by RNC 桐生祐子(日本)

5月28日 DEEP JEWELS41
●1R4分27秒 by TKO パク・ジョンウン(韓国)

7月10日 IBJJF Asian Jiu-Jitsu Championship 2023
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 準優勝

8月6日 DEEP Nagoya Impact2023公武堂ファイト04 ※グラップリングマッチ
●0-3 マユミ・グラップリングシュートボクサーズジム(日本)

9月10日 DEEP JEWELS42
○3-0 ケイト・ロータス(日本)

10月8日 JBJJF第24回全日本ブラジリアン柔術選手権
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 優勝

11月22日 DEEP JEWELS43
○1R0分49秒 by 腕十字 彩綺(日本)

■2023年須田雄律 主な戦績

1月22日 第6回全日本キッズ/ジュニア修斗選手権大会
ジュニア修斗 48キロ以下級 優勝

4月29日 グラジエイターカップ03
ビギナー -61.2キロ級 優勝

7月17日 JBJJF第15回全日本キッズ柔術選手権
ティーン2橙帯ミディアムヘビー級 準優勝

8月11日 Jr.BORDER23 2nd
ジュニア修斗部門 MVP

9月24日 アマチュアDEEP公武堂ファイト53
○1R0分41秒 by RNC 奥村駿(日本) ※優秀賞獲得

10月7日 JSCC修斗チャンピオンズカップ2023 vol.02
ジュニア修斗男子53キロ以下級 優勝

11月3日 Jr.BORDER24 第7回全日本キッズ/ジュニア修斗選手権大会
ジュニア修斗56キロ以下級 優勝

11月5日 Gladiator-Cup04
ビギナー -61.2キロ級 準優勝

12月2日 JBJJF第6回全日本キッズ柔術オープントーナメント
ティーン2橙帯ウルトラヘビー級 優勝


――今回は姉弟揃ってのインタビューで、雄律選手にお話を訊くのは初となります。まずは雄律選手の2023年を振り返ると、1年で45戦35勝10敗という戦績は凄いですね。萌里選手もMMAの試合に出場しながら、柔術のビッグタイトルも狙っていました。

萌里 弟が試合に出ているので、『負けていられへんな』という気持ちはありました(笑)。

雄律 僕はキッズの間にいろんなタイトルを獲りたいので、どんどん試合に出ていました。その僕に、お姉ちゃんが付いてきていますね。

萌里 アハハハ。雄律はもう何でも出ていますから。

雄律 でも、こんな試合ペースは今年ぐらいで。去年も結構試合をしましたけど、コロナ明けで今年から大会も戻ってきたんです。

智行 雄律も今でこそ勝っていますけど、もともとはメチャクチャ弱くて。柔術も勝敗がやっとイーブンになったぐらいで(現在56勝50敗1分)、ずっと負け越していたんですよ。

雄律 勝てるようになってきたのは、小4~5ぐらいからです。それまでは10連敗して、1勝してまた10連敗とか。

――それまで雄律選手が勝てなかった理由は、何だったのでしょうか。

智行 ただ単に弱かったな。

雄律 身体も弱かったし、小さかったからかな(苦笑)。

萌里 当時は練習中も結構ふざけていましたからね。練習の途中でも喋っていたりとか、真面目にやっていなくて。練習には来ていても、練習への取り組み方は良くなかったと思います。でも最初は練習も週1やったのが、どんどん練習回数も増えていって。

雄律 小さい頃は自分が進んで格闘技をやっていたというよりは……。

萌里 やらされていた?

雄律 アハハハ! 最初は自分も格闘技をやりたいという気持ちがあったけど、途中から変わってきました。でも途中から練習回数が増えてきて、なのに試合で勝てないから(苦笑)。小4ぐらいから格闘技が好きになってきましたね。

萌里 それまでは嫌いやったん?

雄律 小2~3ぐらいは遊びたかった(笑)。でも今は、同じ年代の人たちも同じぐらい試合をしているから、自分もこれぐらい出ても良いかなって思う。

――同年代のライバルには、どういった選手がいるのでしょうか。

智行 山里エンゾ君、マツオ・クリスチャン君とかかな。

萌里 尾崎裕二郎君も。

雄律 あと河野大樹君かな。ずっとライバルに負けてから勝つ、っていう繰り返しです。

智行 とりあえず同年代の強い子には、負けてからリベンジしているよなぁ。

――ジュニアやキッズの世代は、年間これだけ試合をこなしている選手が多いのですか。

智行 トップ選手は試合数が多いですね。それこそ毎月のように試合に出ていると思います。でも雄律の試合数は、「出すぎちゃうかな」とは思いますけど。

――お父さんの方針ではなかったのですか。

智行 まず去年は「出られる試合は全て出よう」と決めたんです。スケジュールが合うものは全部出ました。そうしたら、この試合数になって(笑)。

――11月3日のジュニアBORDERでお会いした時、2日後のグラジエイターカップにも出場すると聞いて驚きました。

智行 連日で試合をしたこともありますよ。柔術の試合に出た翌日にMMAをやったりとか――しかも大人のMMAの試合に出て。

――雄律選手はまだ中学2年生です。フレームが異なる大人と試合をさせると、怪我の心配はありませんか。

智行 中学生になってからは、ジムでも大人の会員さんと練習しているんですよ。その練習のなかで体重がある人でも、パワーがある人でも対処できていて。だから「大人と試合をしても怪我はせえへんやろうな」と思っています。今はまだ何でも経験の段階なんですよね。プロになったら帯も体格も関係ないじゃないですか。今のうちに、やりたいことはやっておく。負けるなら、今のうちに負けておくほうが良くて。

――なるほど。弟の雄律選手のほうが、萌里選手よりも先に柔術を始めたのですよね。

萌里 雄律が始めたのが2015年1月で、私は2015年3月ですね。

智行 スコーピオンジムでキッズを始めたキッカケは、まず僕がキッズ上がりの子にボコボコにされたんです。その時、代表(恒冨嘉徳スコーピオンジム代表)に、「10年後に日本一を獲るキッズを育てるからキッズクラスをやらせてくれ」とお願いして。キッズクラスを始めるために、まず雄律に柔術を始めさせました(笑)。

――その時、萌里選手は雄律選手と一緒に始めようとは思わなかったのですか。

萌里 最初は「何かやっているなぁ」と思うぐらいで、特に興味はなかったです。でも練習を見ていると雄律が下手やったんですよ。だから「私のほうが上手くできるわ」って(笑)。

雄律 確かに、お姉ちゃんが始めたら一瞬で抜かれたわ。当時は何も思わんかったけど、今となっては少し悔しい(笑)。

――ジュニアBORDERの試合では、距離を取りながら組んで勝っています。至近距離での打撃戦をやろうとは思わないですか。

ジュニアBORDERで見せた蹴り&寝技も戦略だった。プロデビューが期待されている(C)MMAPLANET

雄律 ジュニアBORDERは顔面打撃(パンチ)がないので、そこまで考えないです。効かないから寝技に行ったほうが良いですよね。

智行 あのルールは寝技をしているほうが強いと思います。寝技で関節技の形に入って、見込み一本を取るほうが勝ちに近くて。

――では顔面へのパンチ攻撃が認められているアマチュアDEEPに出場した時は……。

雄律 速攻で組みました(笑)。

――アハハハ。

雄律 相手がストライカーやったので、速攻で組んでRNCを極めました。

――雄律選手はMMAでもキッズやジュニアの大会で優勝し、すでにプロ興行のプロモーターからも声が掛かっていると聞きます。

智行 そうですね……。会場に行くたび、プロモーターさんからは「将来プロになったら出てね」と声をかけていただいています。

――雄律選手は、いつからプロのMMAファイターになろうと思ったのですか。

雄律 小6の時に、将来はプロのMMAファイターになろうと思いました。

萌里 アハハハ! そういえば――。

智行 思い出し笑いしとる。

萌里 小学校の卒業式で将来の夢を言う時に「MMAでRIZINフェザー級チャンピオンになります!」って、階級も決めていたんですよ(笑)。

雄律 あの時は自分で勝手に考えた(笑)。当時RIZINで一番面白い階級やったから。

萌里 2年前なので、牛久絢太郎選手が斎藤裕選手に勝ってチャンピオンになった頃ですね。

智行 ちょうど牛久君と会って、練習も見てもらっていたころやったらから、そういう気持ちになったんやな。

雄律 身長が今のままならフライ級かバンタム級で、もっと伸びたらフェザー級かライト級でやりたいです。どの階級でやるとしても、チャンピオンになるという目標は変わらないです。

<この項、続く>


The post 【Special】J-MMA2023─2024、須田萌里&雄律─01─「小学校の卒業式で『夢はRIZINフェザー級王者』と」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
DEEP DEEP Nagoya Impact2023 DEEP Nagoya Impact2023#04 MMA MMAPLANET o UFC YouTube   ブログ マユミ・グラップリングシュートボクサージム

【DEEP Nagoya Impact2023#04】マユミ・グラップリングシュートボクサーズ─02─「ヌルマゴが好き」

【写真】本当に彼女自身の人生なので、試合に出る・出ないなど個人の自由です。が、このような話を聞くと試合がもっと見たくなります(C)TAKASHI SATO/GSB

8月6日(日)、愛知県春日井市の勝川プラザホテルにて開催されたDEEP Nagoya Impact2023公武道ファイト04で、グラップリングマッチで須田萌里に勝利したマユミ・グラップリングシュートボクサーズジムのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

取材中も緊張した面持ちで、かつ「試合には出たくない」と連呼するマユミGSBだが、実際に試合となれば表情が一変する。さらに話を訊いていくと、格闘技ジャンキーっぷりが明らかになった。次の試合出場が待ち遠しい。

<マユミ・グラップリングシュートボクサーズジム・インタビューPart.01はコチラから>


須田戦後に尾関昭宏氏(左)、木部亮氏に囲まれて

――マユミ選手は現在、柔術は誰に習っているのですか。

「柔術は加古拓渡先生、グラップリングは尾関昭宏先生に教わっています。スプラッシュの木部亮先生にも習っています」

――須田戦ではガードワークから、ストレートフットロックなど相手の足へのプレッシャーが目立っていました。加古選手と木部選手に習っていると聞き、それも納得です。

「ありがとうございます」

――取材前に須田選手のお父さんである智行さんに試合について訊いたところ、智行さんは「足関節のプレッシャーが強く、こちらから攻めることができなかった」と仰っていました。それはマユミ選手も実感がありましたか。

「試合中は、とにかくやるだけで--足関節のプレッシャーが掛かっていたとは気づかなかったです。極めて勝ちたいと思っていたのですが、緊張しすぎて技が飛んでいて。序盤に腕をすくっていたのに『あれ、どうするんだっけ?』とパニックになっていました(苦笑)」

――こちらとしては試合映像を視ていて、それほどマユミ選手が緊張しているとは気づきませんでした。

「あぁ、そうなんですね……。それはよく言われるのですが、私自身はすごく緊張していました。試合中のことも、ところどころ覚えているっていう感じで」

――とにかく緊張するタイプなのですね。このインタビュー中も、今は表情も柔らかくなりましたが、あまり画面を真っ直ぐ見てくれないですし(笑)。

「……自分に自信がないんです」

――とはいえ、試合でそれだけの動きが出るというのは、練習でやっていることが体に染みついているということですよね。現在はどのようなペースで練習しているのでしょうか。

「基本は週5です」

――1週間のうち5日……もうガッツリ通っていますね。

「練習は楽しくて。緊張することもなく、本当に楽しく練習させていただいています。やっぱり人前で試合をするということが苦手なんです。4月の試合も、試合中はずっと『早く終わりたい。早く終わりたい……』と思うばかりで(苦笑)」

――そのような気持ちのなかで勝利し、次に須田戦のお話が来た時は……。

「うわぁ……、っていう気持ちでした。あまり国内のMMAは視ていないのですが、もちろん須田選手のことは知っていたので」

――国内のMMAを視ていない、とは?

「UFCファイトパスで、UFCばかり視ています」

――UFCファイターの中では、誰のファンですか。

「カビブ・ヌルマゴメドフです。ケージレスリングで削りながらコントロールしていく、あのファイトスタイルが好きなんです。それと『MMAでは負けたことがない』というのも幻想が膨らむので、ヌルマゴが一番好きです。他のダゲスタン選手の試合も全て好きで。私もグラップリングの試合で、スタイルは違いますけど相手に何もさせずに勝つのが理想です」

――須田戦ではボトムから攻めていました。一方で、ヌルマゴのようにトップから潰していくスタイルも好きなのでしょうか。

「どちらかといえば、トップから攻めるほうが好きです。でも前回の試合は1Rが5分だったので、5分の間に極めるなら自分が得意な足関節で攻めたほうが良いと思いました。もっと1Rの時間が長ければ、テイクダウンから極めに行きます。せっかくプロ興行に出場させてもらっているので、できれば極めて勝ちたいです」

――ヌルマゴの話になると、一気に目が輝き始めましたね。

「昼の仕事が終わったらジムに来て、休みの日はファイトパスでUFCを視るという生活を送っています。ジム以外ではUFCの話ができる相手もいなくて……ファイトパスに入っている人がいないので。だからジムで練習して、UFCの話をするのが本当に楽しいです」

――坪井さんはマユミ選手のキャリア形成について、どのように考えていますか。

坪井 別にMMAにこだわってはいないです。このままグラップリングで勝ち続けるのであれば、国内からも彼女に食いついてくる選手も出て来るでしょうし。あるいは海外から強いグラップラーを呼んでみたいとも思っています。MMAに限らず何の競技であれ、マユミ・グラップリングシュートボクサーズジムという一人の選手が上がっていくことを大切にしたいですから。ジムとしても興行としても、できることをやっていきたいです。

――マユミ選手としては、誰か対戦相手はいますか。

「いえ、あまり試合をしたくないので……」

――ここまで坪井さんが仰っているのに!

坪井 選手名に『グラップリングシュートボクサーズジム』が付いているのも、本人が本名では試合をしたくないという理由からなんです。本名を隠すこともできるし、名前にインパクトもあるので良いと思っていますけど。

――なるほど(笑)。では最後にマユミ選手から、MMAPLANETを呼んでいる方へメッセージをお願いします。

「えぇ、メッセージ……正直なことを言って良いですか」

――はい、もちろんです。

「これから試合に出て、ネットに悪口を書かれるようになってしまうと――落ち込んでしまうので、優しくしてください(笑)。よろしくお願いします」

The post 【DEEP Nagoya Impact2023#04】マユミ・グラップリングシュートボクサーズ─02─「ヌルマゴが好き」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
DEEP DEEP Nagoya Impact2023 DEEP Nagoya Impact2023#04 MMA MMAPLANET o UFC   須田萌里

【DEEP Nagoya Impact2023#04】組み技戦で須田萌里に勝利。Who is マユミGSB?─01─「試合は怖い」

【写真】マユミ・グラップリングシュートボクサーズジム。どんな選手なんだ?ということで取材させていただきました(C)SHOJIRO KAMEIKE

6日(日)、愛知県春日井市の勝川プラザホテルでDEEP Nagoya Impact2023公武道ファイト03&04が行われた。2部構成、第2部の04大会ではグラップリングマッチで、マユミ・グラップリングシュートボクサーズジムが須田萌里に判定勝ちしている。
Text by Shojiro Kameike

TAKASHI SATO/GSB

試合結果から見れば、大波乱といっても過言ではない。

もともと柔術家であり、MMAでも活躍している須田に――失礼ながら、無名の選手が勝利したのだ。マユミ・グラップリングシュートボクサーズとは一体どのような選手なのか。ド緊張のなか、取材はスタートした。


――本日はよろしくお願いいたします。Zoomの画面越しに、すごく緊張されているのが分かります。

「はい(苦笑)。すみません、よろしくお願いします」

――正直なところ、マユミ選手に関する情報がありません。まずプロフィールからお聞きしたいのですが、年齢を訊いても大丈夫でしょうか。

「今、31歳です」

――格闘技を始めたのは、いつ頃ですか。

「23歳の時です。公武堂MACSにグラップリングと柔術がメインで通い始めました。当時の公武堂MACSのクラスはネックスが運営していて、途中からグラップリングシュートボクサーズ(以下、GSB)に替わったので、私の所属もGSBになっています」

――23歳の時に格闘技を始めたキッカケを教えてください。

「……UFCが好きで、UFCの真似をしてみたいと思って入会しました。もともと弟が視ていて。弟と一緒に視ていて、私もUFCが好きになりました」

――では弟さんも一緒にジムへ入会して……。

「いえ、格闘技を始めたのは私だけです。弟は視るだけですね(笑)」

――お姉さんだけ入会とは意外です。UFCがキッカケだったということは、MMAをやろうとは思わなかったのですか。

「ジムでMMAの練習はしているのですが、試合は――怖くて(苦笑)。今のところMMAの試合に出たことはありません」

――最初はMMAを想定して柔術やグラップリングのクラスに入ったのですね。

「そうですね。MMAに憧れて、まずは寝技から入りました」

――格闘技を始めて8年ほどが経っています。これまで柔術やグラップリングだけでなく、MMAの試合に出るチャンスもあったのではないでしょうか。

「MMAだけでなく、そもそも試合自体やっていないんです。緊張するのが嫌で」

――試合自体、というのは柔術やグラップリングの試合も含めてのことですか。

「柔術は青帯なのですが、白帯の頃に3回だけ出ました。でも、もう4年ぐらい前で……それ以降はずっと試合に出ていませんでした」

――えっ!? 今年4月のDEEP刈谷大会では高田暖妃選手を下していますが、それが4年ぶりの試合だったのですか。

「はい……」

――お話の途中でスミマセン。インタビュー中もずっと緊張されていますよね。もっと肩の力を抜いてください(笑)。

「あっ、はい(苦笑)」

――話を戻すと、試合に出ていない間もずっとジムに通っていたわけですよね。なぜ4年ほどの間、試合に出なかったのでしょうか。

「一番は楽しく練習することで、試合に出たいという気持ちはありませんでした。人前で試合をするのは緊張しますし、それが苦手で……。でも練習は、すごく楽しいです」

――それだけジムに通っていると、GSBの坪井淳浩代表はもちろん練習仲間の方々からも「試合に出れば良いのに」と言われませんか。

「しょっちゅう言われていました。だから全て断っていました(笑)」

――マユミ選手が格闘技を始めた頃と比べて、現在は女子の試合も盛り上がっています。そんなプロの世界に憧れは……なかったのでしょうね(笑)。

「はい、自分が出たいという気持ちはなかったです。観るのは大好きです」

坪井淳浩GSB代表 アハハハ。

――坪井さんとしては、ずっとマユミ選手に試合をしてほしかったのですか。

坪井 練習を見ていて、実力的に女子の中でもトップレベルにあると思っていました。結局、最初に話をしてから試合に出るようになるまで2年ぐらい掛かりましたけど(笑)。

「……(微笑)」

――説得に2年も掛かったのですか!

坪井 そうなんですよ。周りの皆さんにもバックアップしてもらいながら、「グラップリングなら……」と了承を得て、ようやく出ることになりました。プロデビュー戦で対戦した高田選手は、すごく強いファイターです。でも、こちらとしては勝算がありました。

――それだけ坪井さんから見ても、マユミ選手の評価が高かったのですね。

坪井 はい。だからといって――これは誤解してほしくないのですが、「須田選手なら勝てる」と思ってオファーしたわけではありません。ただ、須田選手ほどのレベルの相手でも、戦えるのではないかと思っていたのは事実です。自分の実力を、彼女自身が一番分かっていないんですよ(笑)。

――マユミ選手としては、今年4月の時点でプロの舞台に上がることなど一切考えていなかったのではないですか。

「そうなんです。代表の押しに負けて、出ることになりました(笑)。ずっと『MMAの試合をやってみないか』と言われていましたが、怖いから断っていたんです。それで『グラップリングなら良いか……』という話になりました」

<この項、続く>

The post 【DEEP Nagoya Impact2023#04】組み技戦で須田萌里に勝利。Who is マユミGSB?─01─「試合は怖い」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
Column DEEP DEEP Nagoya Impact2023 DEEP Nagoya Impact2023#03 DEEP Nagoya Impact2023#04 MMA MMAPLANET o 中西哲生 石塚雄馬 須田萌里

【DEEP Naoya Impact2023#03&04】試合結果 須田萌里がグラップリングでマユミGSB ジムに敗れる

6日(日)、愛知県春日井市の勝川プラザホテルでDEEP Nagoya Impact2023公武堂ファイト03&04が行なわれた。

2部構成、第2部の04大会ではメインで元タイトルコンテンダーの石塚雄馬が、太田将吾にスプリット判定勝ち。コメインのグラップリング5分1R戦で、マユミ・グラップリングシュートボクサーズジムに0-3の判定負けを喫している。

両大会の試合結果は以下の通りだ。

DEEP Nagoya Impact2023#03
<バンタム級/5分2R>
○小崎連2R3分27秒
TKO
×切嶋龍輝
<フライ級/5分2R>
○今井健斗2R
判定
×小林優(日本)
<フライ級/5分2R>
○中西哲生2R
判定
×カネタケマン
<フェザー級/5分2R>
○西川直希(日本)2R
判定
×河添幹斗(日本)
<フライ/5分2R>
○京乃介(日本)2R
判定
×廣瀬裕斗(日本)
<フェザー級/5分2R>
○脇田仁(日本)1R2分48秒
三角絞め
×夏目涼佑(日本)

DEEP Nagoya Impact2023#04
<ライト級/5分2R>
○石塚雄馬(日本)2R
判定
×太田将吾(日本)
<ラップリング51キロ契約/5分1R>
○マユミ・グラップリングシュートボクサーズジム(日本)1R
判定
×須田萌里(日本)
<フライ級/5分2R>
○田中義基(日本)2R3分58秒
TKO
×オサモ・リチャードソン(日本)
<ストロー級/5分2R>
○鶴斗(日本)1R1分48秒
TKO
×大和田光太郎(日本)
<バンタム級/5分2R>
○MASANARI(日本)2R
判定
×大岩翔哉(日本)
<63キロ契約/5分2R>
○田口貴親(日本)1R#分28秒
TKO
×三郎(日本)
<フェザー級/5分2R>
○土本暉弘(日本)2R
判定
×宜野座ケビン(日本)

The post 【DEEP Naoya Impact2023#03&04】試合結果 須田萌里がグラップリングでマユミGSB ジムに敗れる first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
DEEP DEEP Nagoya Impact2023 MMA MMAPLANET o RYO UFC エヴェルトン・イワナガ キック ソーキ ボクシング ライカ 久保健太 佐々木憂流迦 原虎徹 悠太 杉山廣平 橘川尋貴 浜松ヤマト 神田コウヤ 銀・グラップリングシュートボクサーズジム

【DEEP NAGOYA IMPACT2023】銀GSBジムと対戦、橘川尋貴─02─「どう戦うかは、もう決まっています」

16日(日)、刈谷市産業会館あいおいホールで開催されるDEEP NAGOYA IMPACT2023公武堂ファイトで、銀・グラップリングシュートボクサーズジムと対戦する橘川尋貴のインタビュー後編。
Text by Shojro Kamaike

約5年のブランクを経て、2022年にDEEPで復帰を果たした橘川。ZSTルールとDEEPルールの違い、そしてリングとケージの違いへの対応を見せるなか、彼の中に道場で受け継がれる一つの動きがあった。次の試合こそ、伝統のRNCを極められるか!?

<橘川尋貴インタビューPart.01はコチラから>


――昨年3月ぐらいに、試合ができる状態になったのですか。

「そうですね。体重も落ちて、感覚も取り戻してきた頃に遠藤(大翼イギーハンズ代表)さんから『半年後になるけど、9月に一度試合してみようよ』と言っていただきました」

――復帰戦は樋沼ヒロキ選手に2R KO勝ち。2017年9月の浜松ヤマト戦以来、ちょうど5年ぶりの勝利でした。

「復帰戦でKO勝ちできて、すごく嬉しかったです。久々の試合だったから、友達や先輩も見に来てくれて。MMAって特殊なスポーツじゃないですか。人前で殴り合って、それで拍手とか応援してもらって……。そういう感覚をまた味わうことができて嬉しかったですね」

――なるほど。2カ月後には東京で佐藤勇駿選手と対戦し、判定勝ちを収めました。これは自分にとってチャンスが来たと思いませんでしたか。

「いえ、逆に『自分は試されているな』って思いました。DEEPから『コイツは本当に強い選手なのかどうかを試されているんだ』と。だから結構、気合いが入りました。でも気合いが入りすぎたのか、試合内容としては空回りしてしまいましたね。『ここで一発、全てもっていこう』と考えちゃって。試合では勝ち急ぎすぎました」

――ZSTルールからDEEPルールへ、そしてリングからケージへと移行したところで難しい面などはあったのでしょうか。

「まずルールについては、僕が高3の時にZSTもパウンドありになっていたので、そこは問題なかったです」

――ZSTで戦ってきた選手は、ケージのMMAでも下になってしまうケースと、下になれるケースが存在しています。橘川選手も下のポジションを選択していたシーンがありました。

「あぁ、なるほど。ZSTはポジションよりも、一本に近い状態のほうが勝つルールだったと思うんです。でもDEEPルールは違うじゃないですか。だから遠藤さんにも言われて、上を取ってパウンドで削る練習に切り替えていました。

それでも下になっていたのは――復帰戦は樋沼選手が投げをよく使っていたので、コーチ陣からも『投げられて下になっていい。それよりも焦らずに戦うことが重要だ』と言われていたんですよ。投げられた時に、下手にマットに手を着いて怪我したり、あるいは変な状態でパウンドを打たれるほうが心配で。それなら投げられた時に抵抗せず、下になっていいという作戦でした」

――あの展開は作戦だったのですね。もう一つ、バックを奪いに行く展開が和術慧舟會らしさ、そして駿河道場らしさを感じさせました。橘川選手はこれまで7勝を収めているうち、3勝がRNCによるものです。

「そうなんですよ。僕も駿河道場に入った時、とにかくバックを奪う、そしてRNCを狙う練習をたくさんさせていただきました。極め方のコツも当時、佐々木憂流迦さんに教えていただいたりとか」

――道場に伝わる技術は、練習環境が変わっても引き継がれているのですね。とても良い話です。

「復帰してからは、まだ極められていませんね。復帰2戦目は狙いに行ったんですけど、まだ相手も元気な状態で。狙いすぎると、失敗したら自分が不利になってしまうこともありますし。そこはRNCにこだわらず、どちらかというとパウンドを打つほうを意識しました」

――一方、ケージ際の展開はいかがですか。ケージを経験したのは前回の試合が初めてかと思います。

「まず、ケージの中が広くてビックリしました。練習内容も次の試合がリングかケージかで変わってきますよね。でもずっと広い中で試合したいと思っていて、実際にやってみてケージのほうが動きやすいです。あと、ケージってカッコいいですよね」

――……カッコいい?

「え、ケージってカッコよくないですか」

――我々の世代はUFCが始まった頃にケージを見て、当時のバーリトゥードに対して決闘のようなイメージを持っていました。もう古い感覚かもしれませんが……。

「決闘ですか。確かにUFCって最初は素手でやっていましたもんね。だけど今は、ケージで戦うのってカッコいいと思います。うまく言えないですけど……」

――いえ、そう思って若い世代の選手が増えるのは良いことだと思います。では次の試合について、対戦相手である銀・グラップリングシュートボクサーズ選手の印象はいかがですか。

「ストライカーですよね。結構動き回る選手でもあって、落ち着いて強い選手です。あれだけゴリゴリのストライカーと戦った経験はないんですよ。でもウチのジムには、キックボクシングのRISEでランキング3位になっている小野幹晃選手がいて、小野選手と毎日練習しています。だからゴリゴリのストライカーに対して怖さはないですし、そんな相手とどう戦うかは、もう決まっています」

――この試合を含めて、今後MMAを戦っていくうえでの目標を教えてください。

「まずはDEEPの上位に食い込んで、先日DEEPのベルトを巻いた神田コウヤ選手と絡んでいきたいです。もちろん、そのためにはまだ経験が必要だと思います。でもいずれ絡んでいける自信はありますね。まずは今回の試合——完全にアウェイな状況だと思いますけど、僕の一本かKOで、相手の応援をシーンとさせてやります!」

■ DEEP NAGOYA IMPACT2023#02対戦カード

<フェザー級/5分3R>
巽大祐(日本)
今村滉(日本)

<ウェルター級/5分2R>
ソーキ(日本)
エヴェルトン・イワナガ(日本)

<フライ級/5分2R>
久保健太(日本)
田中義基(日本)

<ライト級/5分2R>
河村嘉展(日本)
岡田充弘(日本)

<バンタム級/5分2R>
佐々木陽太(日本)
切嶋龍輝(日本)

<フライ級/5分2R>
広瀬裕斗(日本)
吉田悠太郎(日本)

<バンタム級/5分2R>
MASANARI(日本)
Ryoma(日本)

<フライ級/5分2R>
加藤聡志(日本)
平野紘希(日本)

<ストロー級/5分2R>
鶴斗(日本)
金光優真(日本)

<フェザー級/5分2R>
大岩翔哉(日本)
──(──)

■ DEEP NAGOYA IMPACT2023#01対戦カード

<フライ級/5分3R>
杉山廣平(日本)
原虎徹(日本)

<フェザー級/5分2R>
銀・グラップリングシュートボクサーズジム(日本)
橘川尋貴(日本)

<ライト級/5分2R>
コマネチゆうた(日本)
太田将吾(日本)

<バンタム級/5分2R>
高瀬一平(日本)
三ツ塚勇介(日本)

<バンタム級/5分2R>
下村哲幸(日本)
田口貴親(日本)

<フライ級/5分2R>
オサモ・リチャードソン(日本)
岩堀徹大(日本)

<バンタム級/5分2R>
野木崇政(日本)
三郎(日本)

<フェザー級/5分2R>
加藤優也(日本)
ケビン・ギノザ(日本)

The post 【DEEP NAGOYA IMPACT2023】銀GSBジムと対戦、橘川尋貴─02─「どう戦うかは、もう決まっています」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
DEEP DEEP Nagoya Impact2023 MMA MMAPLANET エヴェルトン・イワナガ ソーキ ブログ

【DEEP NAGOYA IMPACT2023】エヴェルトンと対戦、ソーキ─02─「嫌なことから逃げない人間に」

【写真】昨年5月以来の試合だが、この11カ月というスパンはソーキにとっては短いことになる(C)TORAO

16日(日)、刈谷市産業会館あいおいホールで開催されるDEEP NAGOYA IMPACT2023公武堂ファイトで、エヴェルトン・イワナガと対戦するソーキのインタビュー後編。
Text by Shojro Kamaike

ソーキといえば、とにかくテイクダウンを狙い続ける試合スタイルだ。一方、インタビューでは営業マンとしての能力を発揮し、各エピソードにオチまでついてくるほど。しかし試合のこととなれば、やはり話の方向も変わってくる。「試合は常に怖い」というソーキ、そんな彼がMMAを諦めず、目指しているものとは。

<ソーキ・インタビューPart.01はコチラから>


――仕事と家庭があり、そしてMMAの試合に出るとなれば、難しいことが多いのも理解できます。

「それと僕は本当に怠惰な人間で……、放っておいたら体重が100キロを超えるんですよ」

――えっ!? ウェルター級のリミットから30キロ近く増えるのですか。

「実際、前回の試合は30キロ減量しました(苦笑)。頂いたオファーも下の階級とか、試合の1カ月前とかで――そうなると、体重を落とすのが無理だったんです。だから何か意図があって試合をしていなかったわけではないです。格闘技をやっているのは楽しいし、練習はしていましたから」

――プロになって満足し、新人王トーナメントで優勝してランキングに入って満足していたとなると、2019年に田村ヒビキ選手を下して環太平洋王座を獲得した時も満足してしまわなかったですか。

「はい。いつMMAを辞めてもいいと思っていましたね。ただ、やっぱり『まだ強くなれる』という気持ちが心の中にあったので、辞めるのは今じゃないと考えていました。そのままコロナ禍もあり、3年後に防衛戦をすることになって」

――防衛戦は2022年5月、田村ヒビキ選手とのダイレクトリマッチでした。

「あの試合は、勝っても負けても引退するつもりでした。減量前は体重が110キロあって、30キロ以上落としたんです。すると計量後に、ありえないぐらいリカバリーしてしまい、試合当日はメチャクチャ体調が悪くて……。試合では負けてベルトも失い、『もういいかな』とは思いました。でも、ベストを尽くすことはできていませんでした。それと、これは感動エピソードなんですけど――」

――「感動エピソード」と振っておいて、違うお話になりませんか。

「アハハハ。5歳の子供が初めて試合を見に来てくれて、僕は負けたじゃないですか。そうしたら子供が『パパ、なんで負けたの?』と、毎日聞いてくるんです。『パパが弱かったから負けたんや』と答えるしかなくて。やっぱり強い父親を子供に見せたいです。今MMAを辞めると、子供に負けた姿しか見せることができていないんですよ。まだ頑張れば、体は動く。なのにMMAを辞めると、応援してくれる子供や会社の人たちに負い目を感じながら生きていくことになりそうで。勝っても負けても、嫌なことから逃げない人間になりたい。だからMMAを続けようと思いました」

――まさかの本当に感動エピソードじゃないですか……。

「いやいや(苦笑)。あとは地元で試合をしたいという気持ちもあったんです。MMAを始めてDEEPに出始めた頃なんて、何人か友達が見に来てくれるぐらいでした。でも続けていたら会社の人たちも応援してくれるようになったし、1回みんなに自分が戦っているところを見てほしかった。そしてもう一度、修斗のベルトを獲りに行きたいです」

――今回はDEEPに出場することとなりましたが、それでも目標は修斗のベルトなのですか。

「そうです。今回、DEEPからオファーを頂いて、本当に感謝しています。地元に近い場所で試合をすることができるので。ただ、気持ちとしては失ったベルトをもう一度獲り返したいです」

――なるほど。では次の試合についてですが、エヴェルトン・イワナガ選手の印象はいかがですか。MMAのキャリアでいえば、ソーキ選手のほうが格上ではあります。

「僕は臆病なので、誰と試合をすることになっても怖いです。戦うのは相手ではなく自分だと思っているもんで、自分のほうが格上だなんて思えません。僕は誰と戦うことになっても、常にジョン・ジョーンズと試合をするんだと考えているぐらいで」

――……。

「今回の試合も、ずっと怖くて仕方がないです。対戦相手の映像って、試合直前まで視ないんですよ。みんなに驚かれるんですけど、映像を視ると相手のことが強く思えてくるんですね。『このパンチを食らったら……』とか」

――その恐怖を、どのように克服しているのでしょうか。

「練習仲間のおかげです。みんなが対戦相手の映像を視て、同じような動きをして練習相手になってくれます。その練習を経て気持ちも吹っ切れたところで、僕も対戦相手の映像を視始めるんですよ。……すみません、『相手をブッ殺す』とか言えれば良いんですけど」

――オフィスでインタビューを受けながら「相手をブッ殺します!」と言っていたら、周りの人がビックリしますよ。せっかく得た信用を失いかねないです(笑)。

「アハハハ! 確かにそうですね。営業マンとしてマズイです(笑)」

――強さの概念もまた、人それぞれだと思います。続けること、それも一つの強さだと思いますし、現にソーキ選手はMMAを続けてきました。ただ、ソーキ選手のファイトスタイルは、組んで組み続けてテイクダウンして、というものです。現在36歳、そのスタイルを続けると肉体も削られていくのではないですか。

「削られます。だから今、スタイルチェンジをしています。練習への取り組み段階の話になるのですが、今までは週3回ガチスパーをやって、あとは筋トレをしているような感じでした。すると常に最大出力でやっているような状態だったんですね。当然ダメージも溜まっていくので、まずはその点を直しています。まず練習も常に最大出力でやるのではなく、3Rあるいは5Rをフルで戦うことを意識して組み立てる。そしてファイトスタイルも少しずつ変えていて、大人になりました(笑)」

――アハハハ。今まではガムシャラな若者スタイルだったのですか。

「そうです。とにかくパンチを振って組みつけば良い、と思っていましたから(笑)。試合前なので細かいことは言えませんが、どれぐらい変わったかは試合を楽しみにしていてください」

The post 【DEEP NAGOYA IMPACT2023】エヴェルトンと対戦、ソーキ─02─「嫌なことから逃げない人間に」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
DEEP DEEP Nagoya Impact2023 K-1 MMA MMAPLANET o PRIDE RIZIN   佐々木憂流迦 橘川尋貴 海外 遠藤大翼 銀・グラップリングシュートボクサーズジム 関鉄矢

【DEEP NAGOYA IMPACT2023】「物乞いに囲まれた母を父が助け……」遅れてきたルーキー橘川尋貴─01─

【写真】映画のような両親の出会いから、誕生した橘川尋貴(C)SHOJIRO KAMEIKE

16日(日)、刈谷市産業会館あいおいホールで開催されるDEEP NAGOYA IMPACT2023公武堂ファイトで、橘川尋貴が銀・グラップリングシュートボクサーズジムと対戦する。
Text by Shojro Kamaike

2014年、高校生の時にZSTでプロキャリアをスタートさせた橘川は、約5年のブランクを経てDEEPで復帰戦を行い、現在2連勝中だ。現在25歳、178センチというフェザー級では恵まれた体躯――そんな橘川に初インタビューを試みると、すぐに明確な回答が返ってくることに驚かされた。MMA IQが高そうな、遅れて来たルーキーのキャリアとは。


――橘川選手は、そのお顔立ちだちからもご両親のどちらかが海外から来られたのでしょうか。

「父がバリ島出身で、母は日本人です。母がバリ島へ行った時に物乞いに囲まれて、それを助けたのが父だったそうなんですよ。父はスキューバダイビングのインストラクターで、日本語が喋れたから『困っているの?』と声をかけたらしくて。そうして出会ってから父が日本に来たと聞いています」

――素敵な出会いですね! 橘川選手はスキューバでなく、格闘技を? MMAを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「子供の頃から格闘技をやっていたわけではなかたですが、父も兄も格闘技は大好きで、ずっとPRIDEやK-1を視ていました。僕は中学校の時にサッカーをやっていて、地元の大会で優勝して県大会に出るぐらいのレベルでしたね。

高校に進学してからもサッカーを続けようと思っていました。ただ、中3の冬休みに兄から『格闘技のジムに行くから一緒に来いよ』と誘われて。もともと僕も格闘技を視るのは好きでしたし、実際にジムで練習してみて『これはカッコイイ!』と思って入会しました」

――それが現在所属するイギーハンズ・ジムだったのでしょうか。

「最初は和術慧舟會駿河道場で、佐々木憂流迦さんやABさんにも教えてもらったりしていました。イギーハンズは、駿河道場に所属していた遠藤大翼が独立して出したジムなんです」

――なるほど。ジムに入会した当初は、プロで戦うことは考えていましたか。

「それは考えていなかったですね。高校2年生の時、ZSTが開催した賞金トーナメント(2014年11月のPRESTAGE ライト級賞金トーナメント)に出たんですよ。アマチュアで経験を積むために出たんですけど、何か知らないけど優勝しちゃって」

――「何か知らない」というのは、どういうことですか(笑)。

「アハハハ。そんなに自信はなかったのに、なぜかポンポンと勝ち進んで優勝しちゃったんです。すると次はZSTのSWAT!出場のオファーを頂いて。それがジムに入って2年ぐらい経った頃の話です」

――高校生でプロデビューを果たしたということですね。同級生など周囲の人たちは、橘川選手がプロデビューしたことについて、どのように言っていましたか。

「そこまで反響はなかったですね。『おぉ、凄いじゃん』ぐらいで(苦笑)。トーナメントで優勝して賞金を貰えたことは、メチャクチャ嬉しかったです。修学旅行でロサンゼルスに行った時、賞金を使って現地でたくさん服を買いました(笑)」

――修学旅行でロサンゼルスですか!

「凄いですよね。僕もビックリしました。私立の普通の学校なんですけどね。ただ、バスケットボール部は全国大会の常連になるぐらい強くて、そのバスケ部の人たちに本場NBAの試合を見せたかったんじゃないかなと思いました。現地ではバスケ部の人たちはNBAを観に行き、僕たちはUSJやディズニーランドへ(笑)。そんな高校時代にSWAT!に出るようになって、高校を卒業したあとも格闘技をやろうと決めました」

――ちなみに橘川選手を格闘技ジムに誘ったお兄さんは……。

「兄は練習で腰を傷めてしまい、それほど試合に出ることもなく辞めてしまいました」

――なるほど。橘川選手にとって、当時MMAを戦う目標は何だったのでしょうか。

「目標、何だろうな……。若かったので、『試合に出て勝てれば良いかな』っていう感じで練習していました。特に高校生の時は『絶対XXのチャンピオンになる!』ということは考えていなかったと思います。ただ、プロで勝って有名になりたいという気持ちはありました」

――橘川選手がZSTで戦い始めた時、子供の頃に視ていたPRIDEや、その後DERAM、戦極といった国内のビッグイベントは活動休止になっていました。その点では、ご自身が思い描いていた格闘技界と違っていませんでしたか。

「それはありました。昔ビッグイベントに出ていた選手が、同じZSTの大会に出ていたりすると、やっぱりそれは実感しますよね。それでもRIZINが始まって、自分の気持ちも変わりました。

僕は2017年11月に関鉄矢選手とZSTのタイトルマッチで戦って、負けているんです。そのタイトルマッチのあと、自分は頻繁に怪我をして――『このまま格闘技を続けていても、どうなんだろうな』と思って。一度仕事のほうに身を置いて、格闘技は一旦辞めていました。それが2~3年経って仕事も余裕が出てきた時に、関選手がRIZINに出ていたんですよ。自分が戦った選手が、あんな華やかな舞台に上がっている。それで自分の心の中に変化が起こったというか、もう一度MMAをやりたいと思いました」

――橘川選手が2017年11月の関戦から、次にDEEPで樋沼ヒロキ選手と対戦するまで約5年間もブランクがあるのは、そういった理由からだったのですね。

「そうなんです。それで今から2年前ぐらいに『もう一度MMAをやりたくなりました』と駿河道場に相談したら、『ウチに戻るのでも良いし、遠藤さんが独立してイギーハンズを立ち上げているから、合うほうで練習を再開すれば良いよ』と言ってもらえて。それで僕は遠藤さんの下で練習したいと思って、イギーハンズに所属することになりました」

――イギーハンズで練習を再開するまで、全く体を動かしていなかったのでしょうか。

「もう3年ぐらい体を動かしていなくて。今は通常体重が72キロぐらいなんですけど、イギーハンズで練習を再開した頃は、84キロあったんですよ(苦笑)。よく65キロで試合していたよなぁ、って思いました。体も重くて全然動けないし。練習のたびに吐きそうになりながら、去年の3月ぐらいに体重も落ちて、ようやく試合ができる状態になりました」

<この項、続く>

The post 【DEEP NAGOYA IMPACT2023】「物乞いに囲まれた母を父が助け……」遅れてきたルーキー橘川尋貴─01─ first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
DEEP DEEP Nagoya Impact2023 MMA MMAPLANET o エヴェルトン・イワナガ キック ソーキ ボクシング 修斗 田村ヒビキ

【DEEP NAGOYA IMPACT2023】9年5カ月振りのDEEP出場、ソーキ─01─「家に占い師の方が来て…」

【写真】人それぞれのFIGHT & LIFE(C)SHOJIRO KAMEIKE

16日(日)、刈谷市産業会館あいおいホールで開催されるDEEP NAGOYA IMPACT2023公武堂ファイトで、前修斗環太平洋ウェルター級王者のソーキがエヴェルトン・イワナガと対戦する。
Text by Shojro Kamaike

2013年にDEEPでプロデビュー後、アマチュア修斗を経て2015年にプロ修斗へ。2019年に田村ヒビキを下して環太平洋王座を獲得したソーキだったが、昨年5月、田村にリベンジを許しベルトも手放していた。そのソーキが地元に近い愛知で開催されるDEEP興行の第2部のセミに出場する。MMAPLANETでは初インタビューとなるソーキ、まずはキャリアについて訊いたところ、なかなか普通ではないエピソードが飛び出した。


――本日はZoomでインタビューを行わせていただいていますが、その背景と服装は、もしかして会社ですか!?

「はい、勤務中です。会社からは許可をもらっているので大丈夫です」

――勤務中にインタビューを受けて大丈夫とは、ご理解のある会社なのですね。

「警備会社の営業マンをやっています。おかげさまで自分も会社と格闘技、両方で頑張ってきて、今は会社からも応援してもらっています」

――今回はMMAPLANETで初めてのインタビューとなります。よろしくお願いします。

「ようやく念願が叶いました。修斗のベルトを獲った時も、防衛戦の前もインタビューがなくて……、僕が取り上げられることはないと思っていました(笑)。アハハハ、それは冗談ですけど。とにかく嬉しいです。もう一生の記念です!」

――そう言っていただけて光栄です。MMAを始めたのは、現在の会社に就職した後なのですか。

「就職した後ですね。小学2年生から大学まで柔道をやっていて、大学を卒業したあとサラリーマンになりました。柔道は大学で一区切りつけて、就職後は趣味で体を動かしたいと思っていたところ、先輩に今のジム(ナセル・ド・ソル)を紹介してもらったんです。柔道は趣味で続けたい――その柔道で強くなるために柔術を始めようかと考えて。ただ、初めて練習に行く日に、曜日を間違えてしまって、キックボクシングのクラスの日に行ってしまったんですよ。

曜日を間違えたと思って、帰ろうとしたらトレーナーの方に『ちょっとやってみない?』と言われて。打撃の練習をしたら『筋が良い!』と褒められたんですね。僕は柔道時代に『センスがある』とか言われたことがなく、その口車に乗せられて――『自分の居場所はここなんだ』と、キックボクシングクラスへ通うようになりました。あとで聞いたら、来る人みんなに言っていたみたいなんですけど(笑)」

――アハハハ、完全に乗せられましたね。小学2年生の時に柔道を始めたのは、どのような理由だったのでしょうか。

「これは普通の話なんですけど……、家に占い師の方が来て、まず兄を占ったんです。そして『この子には柔道か空手をやらせなさい』と親に言ったそうなんですね。そして『お兄ちゃんが柔道をやることになったから、お前も一緒にやりなさい』と言われて始めました。兄は半年ぐらいで辞めてしまったんですけどね」

――「普通の話」と振っておいて、全く普通ではないエピソードトークです! 話の運び方に、やり手営業マンの雰囲気が漂っています(笑)。

「ありがとうございます(笑)」

――お兄さんが半年で柔道を辞めたあと、なぜソーキ選手は大学まで柔道を続けたのでしょうか。

「小学生の柔道って、体格にモノをいわせて勝つ部分があるんですよ。僕はデブだったので強かったです(笑)。高校時代は県大会で優勝して、大学時代はインカレの団体戦に出場しました。絶対に試合に出ることのないレベルの補欠でしたけども。1回か2回出してもらって、重要な試合ではしっかりメンバーから外されていました(笑)」

――全エピソードにオチが……(笑)。大学卒業後も柔道の選手として生きていこうとは考えなかったのですか。

「結局、そのレベルまでは行けませんでした。だから就職して、趣味で格闘技を始めました。柔術をやろうと思っていたのに、キックボクシングばかりやっていましたが(笑)。まさかMMAまでやるとは思っていませんでした。ジムに入って半年か1年ぐらい経って、DEEPのアマチュア大会に出場することになりました。そこで勝ってDEEPのプロの試合に出るようになったんですけど、実はそのあと修斗のプロになるまで、MMAのスパーをしたことがなかったんです」

――えっ!? MMAスパーの経験なく試合をしていたのですか。

「そうなんです。当時はジムにMMAの練習相手がいなかったこともあって。とりあえず試合ではキックボクシングをやって、近づいたら柔道の投げ技をやって、寝かしたら寝技へ――それだけでした。プロデビュー以降は4連敗しましたけど、いま思うと、MMAスパーをやったことのないヤツが試合で勝てないですよね(苦笑)。

それが2013年のことで、正直、『ここで負けていたらファイターとして将来はない』と思いました。そんな時、同じジムの田丸匠君がアマチュア修斗に出ることになったので、僕も一緒に出場することにしました。アマチュアで勝てないなら、本当にそこまでだなと思って。そうしたら2014年に全日本アマ修斗で準優勝して、修斗のプロライセンスを得ることができたんです」

――なるほど。2015年からプロ修斗に出場し始めたものの、2016年に入ってから2019年6月の環太平洋タイトルマッチまで試合がありませんでした。

「試合のオファーは頂いていましたが……まずプロになったことで満足し、修斗の新人王トーナメントで優勝したことで満足していて。さらに、新人王になったことでランキング6位になったんですよね。それがものすごく嬉しくて、『自分は一生、修斗のランキングに入ったことを自慢できる』と満足しきってしまいました(笑)。

だから、ガンガン試合をしようというモチベーションはなかったです。仕事も家族もありましたから。でも考えてみると、自分が思い描く最高点に到達していなかったんです。まだ強くなれる――そう思い続けていました。何より、試合は毎回怖いです。本当に1万回ぐらい、MMAを辞めたいと考えました。だけど、辛いことから逃げたくない。そこで逃げていたら将来、親として子供に何も言えない……。だからMMAを戦う。それが僕のモチベーションです」

The post 【DEEP NAGOYA IMPACT2023】9年5カ月振りのDEEP出場、ソーキ─01─「家に占い師の方が来て…」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
DEEP DEEP Nagoya Impact2023 DEEPフライ級GP FINISH10 MMA MMAPLANET o コンバット柔術 ソーキ ボクシング 伊藤裕樹 修斗 原虎徹 本田良介 杉山廣平 村田卓実 松場貴志 田村ヒビキ 福田龍彌

【DEEP NAGOYA & OSAKA IMPACT2023】愛知・刈谷大会で杉山廣平✖原虎徹。大阪に松場貴志出場

【写真】直近の実戦で杉山は組みの強さ、ダーティボクシングの破壊力を見せた原。好勝負必至のマッチアップだ (C)MMAPLANET

7日(火)にDEEPより4月16日(日)に刈谷市産業会館あいおいホールで開催されるDEEP NAGOYA IMPACT2023公武堂ファイトの対戦カードと2日(日)に大阪市住吉区の住吉区民センター大ホールで開かれるDEEP OSAKA IMPACT2023の追加カードが発表されている。

ケージ使用の刈谷大会は午後1時開始の1st roundと午後4時半スタートの2nd roundの二部構成で実施され、1部のメインで杉山廣平×原虎徹というフライ級戦が組まれた。


杉山は刈谷の右隣の知立出身で、安城市を挟んで東にある岡崎のスプラッシュに長く在籍していたファイターで、今回の試合は凱旋マッチとなる。とはいえキャリアのステップアップを望み参戦したDEEPフライ級GPでは福田龍彌に1回戦負けを喫し、続いて昨年末には非フライ級GPファイターの柴田モンキー有哉に敗北と、トーナメント直前の試合で結果的にトーナメント決勝戦進出を決めた本田良介戦の勝利という貯金を使い果たした状態だ。

ここで迎える原は3連敗中の苦しい状態でGP出場、伊藤裕樹とスプリットの激闘を繰り広げ敗れはしたが、そのポテンシャルの高さを見せつけると、12月には小川通りを僅か84秒でKOしている。

DEEPフライ級GPは話題性の高いトーナメントだが、敗者たちはトーナメント後もトーナメント枠のないタフマッチの連続だ。そののなかで杉山は6日のFINISH10でコンバット柔術戦に出場し、村田卓実にOT勝利。掌底に頼らず、組みで村田を攻め込み実力の程を見せつけた。

杉山、原、揃ってトーナメント初戦敗退も、準決勝進出選手と遜色ない実力の持ち主──終わりの見えないサバイバルシリーズから一歩抜け出すために、ここでの勝利は絶対だ。

また刈谷大会では第2部のセミにソーキが出場し、エヴェルトン・イワナガと戦うことも決まっている。2019年6月に4年振りのファイトで修斗環太平洋ウェルター級王座に就いたソーキだが、その後も試合機会に恵まれずダイレクトリマッチとなった田村ヒビキ戦で敗れ、昨年5月に王座を失って以来の実戦。DEEP出場は実に9年8カ月振りとなる。

イベント開催まで1カ月を切った大阪大会の追加カードもフライ級──松場貴志✖早坂優瑠だ。パラエストラ加古川のチームメイト、谷岡祐樹が平松翔との大勝負に出る大会で、GP準々決勝で本田に敗れた松場が、2回戦ながら復帰戦へ。サバイバルウォーに戻るための資格が問われる一戦となる。

The post 【DEEP NAGOYA & OSAKA IMPACT2023】愛知・刈谷大会で杉山廣平✖原虎徹。大阪に松場貴志出場 first appeared on MMAPLANET.