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45 DREAM K-1 MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship ONE FN22 ウェイ・ルイ キック ジョナサン・ハガティー ジョン・リネケル ボクシング ルンピニー 秋元皓貴

【ONE FN22】秋元皓貴が約1年6カ月ぶりの復帰戦、対戦相手はONE初参戦のウェイ・ルイ

5月4日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night 22にて、秋元皓貴×ウェイ・ルイのバンタム級キックボクシングルールの一戦が決まった。
text by Takumi Nakamura


ウェイ・ルイは中国・武林風WLFでの活躍を経て、2017年2月に新生K-1で初来日。初代ライト級(62.5kg)王座決定トーナメントを制して王座に就くと、同年6月にはゴンナパー・ウィラサクレックを下して初防衛に成功した。

翌2018年3月に卜部功也に敗れて王座を明け渡し、それ以降は中国を中心に戦ってきたが、今年3月にONE Championshipとの契約が発表され、ONEデビュー戦で元ONEキックボクシング世界バンタム級王者・秋元との対戦が決定。日本の立ち技格闘技ファンにとっては注目カードの実現となった。

一方の秋元は2022年11月のペッタノン・ペットファーガス戦後、イヴォルブMMAのファイトチームが事実上解散となり帰国。イヴォルブMMA時代のコーチ=シアー・バハドゥルザダがジムを構えるアメリカに行く計画もあったが、現在は日本のPOWER OF DREAMを拠点に練習を続けている。

試合については、今年1月のONE日本大会でジョナサン・ハガティーとのタイトル戦やジョン・リネケルとのミックスルールなども計画されるも最終決定には至らず。試合そのものもペッタノン戦以来、約1年6カ月ぶりとなったが「キックにプライドを持って、キックの競技レベルを上げたい」という秋元の想い通りのカードになったと言えるだろう。今回のカード決定に伴い、ONEからのプレスリリースでは以下のコメントが届いている。

秋元皓貴
「自分がONEで中国人を過去に倒してきて、“中国人キラー”と言われるような選手になっていることが嬉しいです。警戒されるということは実力が認められているということかと思います。ただやることは変わらないので、仕事をやり切るのみです。ウェイ・ルイは蹴りもパンチも上手い選手なので、離れた距離での試合になるのかなと予想しています。そこでの攻防っていうのは見ていて面白いのかなと。

ウェイ・ルイも僕も蹴りが得意なので、そこは見どころの一つかと思います。本当に自分も(試合を)たくさん待ちましたし、ファンの方もすごく自分の試合を待ってくれていたと思います。今まで試合がなかった期間しっかりトレーニングをして成長しているし、その姿をお見せできると思いますので、当日しっかり楽しんでもらえたらと思います」

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship ONE FF58 キック コンペット・フェアテックス ゴンチャイ・チャナイドンムラン ゴントーラニー・ソー・ソンマイ ジョナサン・ディベラ スーパーボン・シンハ・マウイン セクサン・オー・クワンムアン ノンオー・ハマ プラジャンチャイ・PK・センチャイ ボクシング マラット・グレゴリアン ルンピニー

【ONE FF58】ディベラがハイドレーションテスト未提出でプラジャンチャイ戦は中止

【写真】注目の世界戦は思わぬ形で中止に。ディベラが保持していた王座は空位となった(C)ONE

5日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights 58「Superbon vs Grigorian II」。今大会で行われる予定だったONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合=王者ジョナサン・ディベラ×挑戦者プラジャンチャイ・PK・センチャイが中止となった。
Text by Takumi Nakamura


ONEキックボクシング世界フェザー級暫定王座決定戦のスーパーボン・シンハ・マウイン×マラット・グレゴリアンと共に今大会で組まれていたキックボクシングルールの世界戦が大会直前にキャンセルという事態に。

ONE Championshipの日本語版公式Xは「ジョナサン・ディベラがハイドレーションテストの検体を提出できず、計量が許可されなかったため、プラジャンチャイとのONEストロー級キックボクシング世界王座戦は中止となりました」と中止の理由を説明し、ディベラが保持していた王座は空位となる。

■放送予定
4月5日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

<ONEキックボクシング世界フェザー級暫定王座決定戦/3分5R>
スーパーボン・シンハ・マウイン(タイ)
マラット・グレゴリアン(アルメニア)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ノンオー・ハマ(タイ)
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)

<ムエタイ・142ポンド契約/3分3R>
セクサン・オー・クワンムアン (タイ)
麻火佑太郎 (日本)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ムアンタイ・PK・センチャイ(タイ)
ナックロップ・フェアテックス(タイ)

<ムエタイ・134ポンド契約/3分3R>
ジャオスイヤイソー・ソー・デチャパン(タイ)
ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)
エリック・ヘアー(スウェーデン)

<ムエタイ・126ポンド契約/3分3R>
コンペット・フェアテックス(タイ)
ゴンチャイ・チャナイドンムラン(タイ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ジェイク・ピーコック(カナダ)
新城絋平(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(タイ)
ジャン・ペイメン(中国)

<ムエタイ・122ポンド契約/3分3R>
石井寿来(日本
片島聡志(日本)

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FF58 キック ジョセフ・ラシリ ジョナサン・ディベラ プラジャンチャイ・PK・センチャイ ボクシング ルンピニー

【ONE FF58】ムエタイ世界王者のキック世界王座挑戦。プラジャンチャイ「2つの拳を使うから同じ」

【写真】ZOOMインタビュー中に音声をオフしたり、映像も途切れたり、その場を離れたたり、奥さんかガールフレンドか女性の声がずっと聞こえてきたりしていたプラジャンチャイですが、質問の受け答えは非常に的確で。天才なんだなぁと思えました(C)MMAPLANET

5日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights 58「Superbon vs Grigorian II」にて、ストロー級ムエタイ世界王者のプラジャンチャイ・PK・センチャイがジョナサン・ディベラが保持するキックボクシングルールの世界王座に挑戦する。
Text by Takumi Nakamura

プラジャンチャイはムエタイで輝かしい実績を残し、2021年からONEに参戦。2023年6月にサムエー・ガイヤーンハーダオにKO勝利して暫定ストロー級ムエタイ世界王座を手にすると、12月には過去に敗れているジョセフ・ラシリに1RKOでリベンジを果たし、王座統一にも成功した。

ONEでは初のキックルールとなるプラジャンチャイだが「自分は100戦以上ムエタイの試合をやってきて、彼(ディベラ)にないものをたくさん持っている」と自信たっぷり。またプラジャンチャイにもギャンブルから変わりつつあるムエタイについても訊いた。


――昨年12月のONE Friday Fights 46では、ストロー級ムエタイ世界王座の統一戦として正規王者のジョセフ・ラシリと対戦し、ヒジ打ちでKO勝利を収めました。ラシリとは2022年5月にも対戦しており、カットによるTKO負けを喫しています。リベンジ出来た要因は何だったと思いますか。――プラジャンチャイ選手はONEでMMAグローブ着用のムエタイルールの試合を戦うようになりました。ボクシンググローブ着用の通常のムエタイルールとは違は何かありますか。

「グローブは違うけど2つの拳を使って戦うんだから大きな違いはないよ。初めてMMAグローブの試合をやったときは戸惑ったけど、すぐにアジャストできたし、特に困ることなく戦えるようになった」

――具体的にどのような練習をしてアジャストできたのでしょうか。

「う~ん………慣れれば大丈夫(笑)。練習で使うグローブは変えるけど、基本的にやることは同じだから」

――では特にMMAグローブ用の対策はしないのですか。

「そうだね。基本的なことは変わらないよ。強いて言うなら、MMAグローブの時はより速く動く、スピードは意識するけど、そのくらいかな」

――それこそ今回対戦するジョナサン・ディベラは非常にスピードがある選手です。彼に対してはどんな試合をイメージしていますか。

「確かに彼の動きは速くてスピードがある。でも自分の戦い方は彼にはない安定感があるし、自分の方がタフだ。自分は100戦以上ムエタイの試合をやってきて、彼にないものをたくさん持っている。それに彼の動きが速いと言っても、自分が彼より遅いとは思っていないよ」

――これまでMMAPLANETでONEのタイ人選手に聞いてきたことをプラジャンチャイ選手にも質問させてください。ルンピニー・スタジアムでONEが毎週大会を開催していて、ムエタイ=賭け・ギャンブルという状況が変わりつつあると思います。プラジャンチャイ選手はこれについてどう感じていますか。

「ONEがムエタイの試合を組むことで、確実にムエタイは良い方向に進んでいる。人々がムエタイをギャンブルではなくスポーツ・娯楽として見るようになり、ムエタイを見る層そのものも変わった。ムエタイはギャンブラーが金を賭けるものではなく、誰もが見て楽しむものになったんだ。戦っているファイターたちも、ギャンブルのことを気にすることなく、自分のスキルを100パーセント見せて勝つために戦うことができる。これはすごくいいことだと思うよ」

――ONEのムエタイルールでは選手たちがKOを目指して激しい試合を繰り広げています。プラジャンチャイ選手はそうしたアグレッシブな試合の方が好きなのですか。

「今までのムエタイはギャンブルを成立させなければいけないから、どちらかが一方的に勝つことは好まれなかった。1Rはお互いに様子を見て、どんな技を出すのかをチェックする。そのうえで2R以降はどういう攻防をするかを考え、どちらかが一方的にならないように競っているような試合をする。

そうやってギャンブラーの掛け金を増やさないと自分たちの手元に入るお金が少なくなるんだ。どちらかが相手を打ち負かすのではなくて、ある意味2人で協力しながら稼ぐ額を増やすのがギャンブルのあるムエタイだ」

――ギャンブルである以上、純粋に勝つために戦うだけではいけないと。

「ムエタイはファイトマネーそのものが高くないし、自分たちは家族を養うためにも稼がないといけないからね。でもONEでは一方的に相手を打ち負かすことが評価されて、KOボーナスやファイトボーナスを手に入れることができる。自分たちが持っているスキルをフルに使い、1Rから勝ちにいっても問題ない。自分はそういう試合が好きだし、見ている人たちにも楽しんでもらえると思う」

――まさにONEがムエタイを変えたわけですね。

「そうだね。ただしそれはONEのムエタイがギャンブルではないからであって、またムエタイがギャンブルに戻るのであれば、選手たちも以前と同じような試合をするだろうね」

――ONEがムエタイの試合を組むことで、選手もタイだけでなく世界中でスターになる可能性があります。プラジャンチャイ選手も世界規模の選手になりたいと思いますか。

「もちろん!ONEで試合をして世界中の人に自分を知ってもらえるチャンスがあることは最高だよ」

――日本には多くのプラジャンチャイ選手のファンがいます。そのファンに向けてメッセージをいただけますか。

「日本のみなさん、そして世界中のみなさんに4月5日の試合を見て欲しいと思う。結果がどうなるかは分からないけど、100パーセント全力の試合をするよ!」

■放送予定
4月5日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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45 GLORY K-1 MMA MMAPLANET o ONE ONE FF58 キック シッティチャイ・シッソンピーノン スーパーボン・シンハ・マウイン ボクシング マラット・グレゴリアン ルンピニー

【ONE FF58】スーパーボン戦へ、マラット・グレゴリアン「最強の相手に勝つために戦い続けたい」

【写真】強いキックボクサーという以上に、強い人間として魅力的なグレゴリアンでした(C)TAKUMI NAKAMURA

5日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights 58「Superbon vs Grigorian II」にて、暫定フェザー級キックボクシング王座をかけてマラット・グレゴリアンとスーパーボン・シンハ・マウインと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

1月の日本大会ではGLORY時代からのライバル=シッティチャイ・シッソンピーノンに6度目の対戦にして初のKO勝利を収め、日本のファンにも健在ぶりを見せたグレゴリアン。今大会ではキックボクシングルールのフェザー級暫定王座決定戦でスーパーボンとのラバーマッチに臨むことになった。

正規王者チンギス・アラゾフの去就が確定しないなかでの暫定王座戦ではあるが、グレゴリアンは「ONEでのゴールも自分が最強だと思う相手と戦って勝つこと」と言い、スーパーボン戦に集中している。


――1月の日本大会では約8年半ぶりに日本のリングに立ちました。久々の日本はいかがでしたか。

「ずっと日本が恋しかったし、久々に日本で戦えたことが嬉しかったよ。日本は特別な国でファン、観客、それ以外の人々、カルチャー…すべてを尊敬している。そして何より日本はキックボクシングにとって母国のような場所だ。その日本で戦うことは本当に素晴らしいことだし、何より勝利することが良かった。言葉で表現することが難しいくらい嬉しいよ」

――グレゴリアン選手が2015年に日本で新生K-1のチャンピオンになったことが今の地位を築く第一歩だったと思います。そういった部分でもグレゴリアン選手にとって日本は特別な場所ですか。

「K-1で勝つこと、K-1でチャンピオンになることは若い頃の自分にとって夢だった。それを成し遂げられた場所として日本は特別だし、日本で試合をしたいという気持ちは変わらない」

――しかも長年のライバルでもあるシッティチャイ選手にKO勝利という結果でした。

「自分とシッティチャイはずっと競い合い、そしてお互いを高め合ってきたライバルだ。今まで戦ってきたなかで一番“強い”相手がチンギス・アラゾフで、一番“上手い”相手がシッティチャイだ。シッティチャイにポイントを取る戦いをやらせると天下一品で、そのシッティチャイにKOで勝てたことは大きな勝利だと思う。彼とライバル関係でいられることに感謝もしているし、今回は自分が勝ったけれど、彼が今でも危険で強いファイターであることは変わらない」

――シッティチャイ戦ではパンチだけでなくローやヒザ蹴りなど攻撃のバリエーションが増えていたように感じました。

「このスポーツの良いところは成長し続けられることだ。練習を毎日続けていると強くなって成長できる。でもここで十分だと思ったことは一度もない。自分には不可能がないと思っているが、よりよくなるために毎日練習している。そしてそれでもまだ自分には足りないものがあると思っている。もっともっと強くなることを求めているし、それを続けてきたからこそ、自分は人生において成功を収めることができたと思う」

――今大会ではスーパーボン選手と暫定王座決定戦で対戦することが決まりました。オファーを受けた時はどのような心境でしたか。

「次の試合は5月か6月になると思っていて、こんなに早く決まると思っていなかったから嬉しかったよ。ファイトがあることそのものが嬉しいし、以前の自分とは違うところを見せたい」

――スーパーボン選手とはこれまで1勝1敗、直近の試合=2022年3月ONEでの対戦ではグレゴリアン選手が判定負けしています。スーパーボン選手にはどんな印象を持っていますか。

「あの時は彼の方が良い試合をして勝った。それだけだよ。自分もしっかり準備したけど、途中で疲れてしまい、そこからリカバリーできなかった。前回とは違うところを見せるつもりだ」

――2試合連続でタイ人と対戦することになり、これは今回の試合に向けてプラスになりますか。

「このレベルになってくると戦う相手も限られてくるし、自然とタイ人と戦うことも多くなる。自分のキャリアを振り返っても、何度もタイ人と戦ってきた。彼らは本当に強くてハードで、勝つことが大変だ。でも自分はそういう試合をすることが好きだし、次のスーパーボン戦も間違いなくハードな試合なると思う。でもだからこそこの試合に勝つことに価値があるんだ」

――やはりスーパーボン選手に勝利したあとはアラゾフ選手と再戦して勝つことを目指しますか。

「今はスーパーボンに勝つことに集中していて、それから先のことは勝った時にどうなるかを考えようと思う。チャンピオンになればベルトを守ることを考えるが、現時点ではチンギスが現役を続けるかどうかも分からないし、今後彼がどうなるかも分からない。だから今はスーパーボンに勝つことしか考えていないよ」

――グレゴリアン選手は新生K-1、GLORY、ONEと3つの団体で戦っていますが、ONEというイベントの魅力とは?

「今まですべてのファイトには意味があったと思う。自分は常に強い相手と戦ってきた。K-1でチャンピオンになったあと、中国のクンルンファイトのタフなトーナメントでは決勝でスーパーボンに勝って優勝することが出来た。GLORYではシッティチャイに勝ってベルトを巻いて、2度の防衛にも成功した。ずっと世界トップ選手たちと競い続け、最強の相手と戦ってきた。そして今、自分はONEで戦うことを選び、ONEでのゴールも自分が最強だと思う相手と戦って勝つことだ。自分はこれまで強い人間に勝ってきたけど、それはもう過去のことに過ぎない。今、自分はONEの舞台で自分のゴール=最強の相手に勝つために戦い続けたいと思う」

――日本にはたくさんグレゴリアン選手のファンがいます。そのファンに向けてメッセージをいただけますか。

「いつも応援ありがとう。日本での試合からは遠ざかっていたけれど、マラット・グレゴリアンのストーリーはまだ終わっていない。少しでも早く日本に戻って戦いたいし、日本のファンのことを愛している」

――チャトリCEOは年内にONEの日本大会開催を明言しています。またオファーがあったら日本でも戦いたいですか。

「もちろん。そのためにも全力を尽くすよ」

――ありがとうございます。このインタビューを通じてグレゴリアン選手のストーリーを一人でも多くの日本のファンに届けたいと思います。

「アリガトウゴザイマス!」

■放送予定
4月5日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FN20 アリス・アンダーソン キック ジェネリン・オルシム ジヒン・ラズワン ジャネット・トッド プレム・フェアテックス ペッディージャー・ルクジャオポーロントン ボクシング マイッサ・バストス ルンピニー ヴィクトリア・ソウザ 修斗 山田海南江 澤田千優

【ONE FN20】澤田千優戦へ、ジヒン・ラズワン「アトム級より下の階級があれば彼女にとっては最高だった」

【写真】フェアテックスのロゴがまぶしい?ジヒン・ラズワン(C)ONE

本日9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20「Todd vs Phetjeeja」で、ジヒン・ラズワンが澤田千優と対戦する。
Text by Manabu Takashima

レスリングベース、修斗でチャンピオンになったアスリート=澤田に対し、ラズワンは動物病院で働く普通の女の子という印象が強い選手だった。そのラズワン、今年の1月からフェアテックスジムの所属となりパタヤに生活をしている。

家族から離れ、フルタイムMMAファイターとしての生き方を選択したラズワン。それこそが、彼女がやりたいことをして生きるという選択だった。


――今週末、日本からのニューカマー澤田千優選手と戦います。今の気持ちを教えてください。

「良い感じよ。そしてチヒロにはONEでのデビュー、おめでとうと伝えたい。土曜日の朝に彼女と最高の試合をしたいと思っている」

──今回はバンコクでの試合となります。ジョホールバルからだとシンガポールは隣町のような感じだと思うのですが、バンコクで戦うことをどのように思っていますか。

「私は1月からタイのパタヤに住んでいるの」

──つまりフェアテックスジムで練習をしているということですか。

「イエス。だからバンコクは凄く近くて、移動も簡単よ」

──なぜ、タイガームエタイでトレーニングをするようになったのですか。

「去年の3月にフェアテックスのプレム・フェアテックスからスタンプのトレーニングパートナーを務めて欲しいという依頼があって、5月のアリス・アンダーソン戦までパタヤで練習をしていたの。その後はマレーシアに戻っていたけど、プレムから再び連絡があって、もっと長い期間トレーニングをすることになって。その間にフェアテックスと複数年契約をサインしたの。凄く良い機会だと思って、パタヤに移り住むことにしたわ」

──去年の3月といえば、ジヒンはスタンプに敗れてから半年後です。リベンジしたいと思っていたかと思うのですが、練習パートナーの要請を受けることに躊躇することはなかったですか。

「私はリベンジをしたいという想いを持ったことはないわ。再戦したいと思っていてもね。とにかくワールドチャンピオンを含めて、多くのすぐれたトレーニングパートナーがいる場所で練習をできることがとても魅力的に感じて。それにフェアテックスには4、5人の女子MMAファイターが常に練習している。ジョホールバルでは女子選手と練習をすることがなくて、凄く良い経験になったの」

──フェアテックスで練習するようになり、何が一番変わりましたか。

「練習環境は全く変わったわ。故郷にいる時は、お昼は動物病院で働いていたから夜の6時から10時半ぐらいまで練習する日々だった。でもフェアテックスでは朝起きてランニングをし、それからミット打ち。少し休んで、お昼のクラスと夕方のクラスと1日に3度練習できるようになった」

──フルタイムのファイターになったということですね。

「本当に新しい体験で。仕事のことを考えなくて、練習に集中できることが本当に新鮮なの。練習は厳しくなったから、そこはスマートになる必要があって。調子が落ちているなと思ったら、体のメンテをしないとケガをしてしまうし。ただ、休める時に休むというのも、仕事をしている時はできなかったことだから。仕事をして疲れるのと、練習して疲れるのは別モノで。仕事中は体こそ疲れないけど、ストレスが溜まって精神的に疲れていたわ。今はトレーニングでヘトヘトになっても、爽快な気持ちね」

──ところでパタヤで格闘技に集中するという話をした時、ご両親はどのような反応でしたか。

「私の決心には驚いていたわ。ずっと一緒に住んでいたし、家から出たことがなかったから。でもフェアテックスの環境、そして仲間のことを知ると安心してくれたわ」

──親というものは子供達に夢を叶えて欲しい一方で、安定した生活を望むものですしね。

「両親には、私の夢の旅路をサポートしてくれて本当に感謝している」

──1月からフェアテックスの所属になったということは、フルタイムファイターとなって、今回が最初の試合ですね。

「去年の9月のジェネリン・オルシム戦前もフェアテックスで練習をしていたけど、長い休暇を取ってパタヤに行っていたから。ただ事実上フルタイムで練習はできていたから、今回が2試合目とも言ってもおかしくないわ」

──フェアテックスで練習するようになって、どこが一番伸びましたか。

「もちろん、打撃ね。フェアテックスでムエタイの練習をするようになって、打撃にキレが出てきた。同時にグラップリングでも最高のコーチと練習仲間に恵まれているから、組み技も凄く進化しているわ」

──そういうなかで戦う澤田選手ですが、印象を教えてくれますか。

「グッドファイターでレスリングが強い。そして、小さいわね。でも、どんな相手と戦ってもそうだけど、彼女が小さいからといって軽視することは絶対にない。レコードは6勝0敗だし、本当にレスリングを生かした戦いができている選手だから。

もちろん、アトム級より下の階級があれば彼女にとっては最高だったと思う。ただ、ないのだからしょうがないし、結局のところただ戦うしかないの」

──ところでチャンピオンが、チームメイトというのはどのような心境になるモノなのですか。

「世界チャンピオンと練習ができるなんて最高の経験になっているわ。ただONEが私たちの世界戦を組むのであれば、そこはプロとして戦うべきだし。それこそが、完璧なビジネスだから」

──なるほど、です。最高の練習環境を得た今、負けることができないというプレッシャーは?

「最初に言ったように私がフェアテックスに行くことを決めたのは、良い機会だったから。何が良い機会かといえば、自分がやりたいことができるということ。自分が思うように生きる──それが、何よりも大切なことでしょ」

──では土曜日の朝、どのような試合がしたいですか。

「今回は国際女子デーのラインナップに名前を並べることができると同時に、6年前の3月9日に私はONEデビュー戦を戦っていて。個人的な記念日なの。日本の皆は、国籍に関係なく選手をサポートしてくれる。そして日本には凄く強いファンベースがあるから、皆の期待に応えたい。私もチヒロもベストを尽くして、最高の試合を皆に届けたい」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ ONE FN20対戦カード

<ONEキックボクシング世界女子アトム級王座統一戦/3分5R>
[正規王者] ジャネット・トッド(米国)
[暫定王者] ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)

<ONEムエタイ世界女子アトム級選手権試合/3分5R>
アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ムエタイ130ポンド契約/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
マルティニ・ミケレット(イタリア))

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジヒン・ラズワン(マレーシア)
澤田千優(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)
マルティナ・キエルチェンスカ(ポーランド)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
ユウ・ユウペイ(香港)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<サブミッショングラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/10分1R>
マイッサ・バストス(ブラジル)
山田海南江(日本)

<ムエタイ・アトム級/10分1R>
シール・コーエン(イスラエル)
テオドラ・キルオバ(ブルガリア)

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FF54 RIZIN RIZIN LANDMARK08 RYO   サンザール・ザキロフ ルンピニー 本田良介 海外

【ONE FF54】11勝0敗のウズベク人ファイターと対戦、本田良介「判断能力と対応力がついてきた」

【写真】帰る場所のある人間は、それだけで強いです(C)MMAPLANET

8日(金・現地時間)、これから1時間半後にタイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights54で本田良介がサンザール・ザキロフと対戦する。
Text by Manabu Takashima

12月のONE FFデビュー戦に続き、2度目のルンピニー登場となる本田。実はこの間にRIZIN佐賀大会出場という話も聞かれていたが、契約の関係で実現しなかった。ここで落胆しないのが、プーケット在住──悟りのように、強くなることに人生を振り切った本田の強さだ。キャリア11勝0敗の中央アジアの新鋭との対戦について語る言葉から、本田のThe Way of MMA Lifeが感じられる。


――明日の試合に向けて、無事計量を終えたということですが対戦相手のザキロフもOKだったのでしょうか。

「多分大丈夫だと思います。相手の計量結果を見たわけではないですけど」

──そうなのですか。その場で確認とかはされないのですね。

「そうですね。まずフェイスオフがあって、それからハイドレーションと体重測定で。計量が終わったら、それぞれタクシーでホテルに戻るような感じでした」

──フェイスオフが計量前にあるということですね。

「ハイ。僕は言われたことをやるだけですね。まぁ、フェイスオフは計量が終わってからやれば良いのにとは思いますけど(笑)」

──そんななか2度目のルンピニーですが……どうしても、聞いておきたいことがあります。

「えっ、なんですか」

──ズバリRIZIN LANDMARK08、佐賀大会に本田選手はオファーを受けたけどマッチング期間で出場できなかったと。

「あぁ、そのことですか。アハハハハ」

──他の選手なら話題にできないですが、本田選手は常々「人生は思い通りにならない」と言い続けてきた。なので引きずることなく、気持ちも頭も切り替えることができていると思ったので。

「全くその通りです(笑)。なるようにしか、ならない。戦いたい大会で試合ができなかったからって、練習をしないということじゃないですからね。色々なタイミングや状況、それこそ契約なんて絶対で──できないことと、自分がやるべきことは別モノなんで。割り切っているというより、そういう時だからこそ練習をして気持ちもスッキリしていくタイプなので。

もちろん、九州の大会だし地元の皆の前で戦いたいというのはありました。応援してくれる人たちにも『日本で戦うところが見たい』と言ってもらって。同時に、『自分が海外でやっていくと決めたんだから、自分のやりたいようにやれば良い』と言ってくれる人もいました。それこそ僕は今、タイガームエタイにいてタイで戦えることが強味なので」

──九州で試合をして、また試合間隔があいてしまってもしょうがない?

「ハイ。こっちにいる間に、なるべく試合をしたいです。実際12月にして、3月にできる。当然、勝っていることが前提だとは思いますが。RIZINという誰もが知っている団体からオファーを貰えたことだけでも、僕にとってはステップアップなので」

──素晴らしいポジティブン・シンキングですね。そこで迎えるザキロフですが、キャリア11勝0敗のウズベキスタン人ファイター。いやぁ、痺れます。ここで、そういうファイターと戦うという事実に。

「むしろ、そういう人と戦いたいので。若くて、強いという特典つきの人と。アハハハハ。ただし、どんな戦績を持っていても僕と戦うのは初めてなわけで。それは僕も、そうだし。レコードとかはあってないモノだと思っています。余計なことは考えない。

色んな国があって、その国にはその国のMMAのレベルがというものがある。僕の戦績(※12勝3敗1分)を見て、『それは日本での試合だろう?』って思う人がいるかもしれないですし。僕はこうやって海外にいて、相手のレコードを見ても戦ってきた場所が違って、レベルも違うから、そんなに気にせずに……やる」

──動き的にはどうですか? あの長いリーチを生かして、組んでバックを取るというのは嫌な動きに感じました。

「アタックの回数ですよね。アタックの回数が多い。でも、それが今のMMAで。どれだけアタックができて、どれだけ守備に回らないか。それが前提にある15分間を戦うのが、MMAです」

──なるほど。

「ちょっと前まで、そういうことも考えられなかったです。出し切っていくなかでつまるところにつまれば極まるし、終わる。そうじゃなかったら判定で勝つために、アタックしないといけない。15分間でやり切ることが明確になったと思います」

──その意見を聞くと、ザキロフは3Rに疲れる風にも見えます。

「ハイ! 結局はリングで向かい合った時に現地調達された情報……疲れ具合とかですね。そこで判断をしないと。その時の判断能力と対応力がついてきたので、僕としてはストレスなくどんどん動けるようになってきました」

──テイクダウンを切って戦う。組ませずに戦う。どちらが理想ですか。

「入らせないで戦うことも学んできて。日本にいる時は組んでくる相手があまりいなかったから、来てほしいという想いがありました。でも、まぁ、わかんないや(笑)。何でも来いやって。全部したいから楽しみで!!

僕自身の動きは決まっている……そして、微妙に変えることができる。その調整は、色々な材料がないとできなくて。その材料を練習で増やしてきたつもりです」

──そこを瞬時にして、試合で繰り出せる?

「その自信はあります。距離設定とかはあっても、その距離設定も距離を取りたいわけでも組みを切りたいわけでもなくて。自分が何でもできる、距離にいるっていうことなんです。いや、ちゃんと話せていますか?」

──もちろんです。逆に分かりやすいです。テイクダウンを切るのは防御で。パンチをかわすのも。でも、その防御する精神構造の根底が攻撃的であること。そうでないと、自分の攻めが死んでしまうように思うようになりました。

「そうだと思います。リズムがあって、上手くいっている時はリズムに乗って動くことができる。でも、上手く行っていない時もそれが必要で。仕掛けて来られたことに対して、上手く対処するために自分のリズムを創る。オフェンスもオフェンスで、自分でリズムを創る。そういうことですよね」

──リズム、そうですね。考えていたことが、より明確になった気がします。いやぁ、楽しみです。本田選手が日本で戦っていた時と比較して、戦いの幅が広がって強くなっているところを拝見するのが。

「ありがとうございます。そうなるために来て、そうなれているので。リラックスしているというか、フラットにやっていくつもりです(笑)」

──最近、ロータス世田谷勢のMMA用語で自分の得意な形に持っていくと、オアシスという言葉を使うそうなんです。もうタイガームエタイにいること自体が、ロータス用語を使うと本田選手にとってオアシスなのですね。

「アハハハハ。だってロータス用語っていうか、オアシスはオアシスじゃないですか(笑)」

──ハハハハ、確かに。オアシスをエンジョイする本田選手のファイト、楽しみにしています。

「ありがとうございます。どこのジム名を所属先として名乗って良いのか、分からなかった僕の格闘技生活で、タイガームエタイという居場所が本当にできたと思っています」

■放送予定
3月8日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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【ONE FN20】正真正銘、絶対的世界一=マイッサと対戦、山田海南江「誰かのせいにはしたくない」

【写真】ゴミゴミした中心部と違い、スッキリしたラートプラーオ。5月のADCCアジア&オセアニア予選はバンコク郊外のランシットで行われるため、この空気を知っておくことも貴重な経験になるはず(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20「Todd vs Phetjeeja」で、山田海南江がマイサ・バストスと対戦する。8日のInternational Women’s Dayに合わせたタイミングで実施されるオール女子大会で、唯一組まれたサブミッショングラップリング戦で、世界最高峰と戦う山田。
Text by Shojiro KameikeText by Shojiro Kameike

黒帯ルーキーに、突然ビッグチャンスが舞い込んだ。ムンジアル4連覇中のマイッサ・バストスとONEサブミッショングラップリング戦で対決する。ムンジアルはもちろんパン選手権、ヨーロピアン、アジア選手権やブラジレイロ優勝など、マイッサの国際大会の実績を挙げればキリがない。そんなマイッサとの対戦を控えた山田は、リモート画面の向こうで喜びを露わにした。ONEのリングで、世界一の柔術家が待っているから。


――山田選手にとって、海外のプロ興行に出場するのは今回が初めてなのですか。

「初めてです。現地での公式スケジュールが凄いですね。拘束時間も長いから『皆はどのタイミングで練習するんだろう?』って。今までレスリングや柔術だと、直前に近いぐらいの日まで調整してから試合に臨んでいたんですよ。でもONEの公式スケジュールを見ると、写真撮影やインタビューなどもあって……その状況に慣れていなさすぎて、どうしようかと思っています(笑)」

――昨年11月に出場したADCCアジア&オセアニア予選も、そういった公式スケジュールはなかったわけですよね。

「はい。あの時は自分たちで現地の練習場所を見つけて、試合前にMMAPLANETさんがインタビューしてくださった以外は、特に予定もなかったです。アハハハ。逆にONEはホテルと、体を動かす場所を用意してくれているのは安心でした。問題は体を動かすタイミングですね。でもその場所を使って体を動かしている選手も多くなくて」

――MMAの場合は大幅な減量をしている選手もいますし、特にONEはハイドレーションテストもあるので試合直前の調整方法も異なってくると思います。

「ハイドレーションテスト! それが一番の心配です。自分は今回、減量幅も少ないので問題はないとは思いますが……。日本で三浦彩佳選手にハイドレーションテストのことを聞いて、いろいろ勉強してきました」

――何もかも手探りで、調べながらのONE初戦なのですね。

「昨日の夜(※取材は6日に行われた)タイに着いて、そこからの公式スケジュールは先に届いていたんですよ。でも英語だし、私個人のスケジュールではなく全体のスケジュールで。その中から私が関わるものを自分で探すという感じでした。どう動けば良いのか、分からないことが多いです」

――聞いているだけで大変な状況であることは分かりますが、それでも山田選手が楽しそうにしているのが印象的です。

「アハハハ。試合が楽しみです。あのマイッサ・バストスと対戦することができるなんて」

――今回のバストス戦が発表されたのは3月に入ってからでした。かなり急なオファーだったのではないですか。

「お話があったのは2週間前ぐらいかなぁ……。すぐOKって返答しました。でもビザの申請とかあって、正式発表も遅くなったんだとは思います。私としては本当にマイッサ・バストスと試合できるのが嬉しくて(笑)」

――その言葉が決して嘘ではないと思えるほど、笑顔に満ち溢れています。

「そうなんですよ。マイッサって今年1月、柔術グランドスラム東京大会に出て優勝していたじゃないですか(女子茶黒ルースター級で優勝)。私もあの大会に出る予定だったんです。でも年末に怪我をしたために出場をキャンセルしたら、その後にマイッサが飛び込みでエントリーしていて。『うわぁ~』って思いました。

私も今年に入って黒帯になったので、もうIBJJFの世界大会はポイントがないと出場することができないんです。そんななかでマイッサと、しかも日本で戦えるチャンスなんて今回しかなかったのに――と。グランドスラムの大会当日は、会場の上のほうからずっとマイッサの試合を眺めていました。『マイッサと対戦できる選手、良いなぁ』って(笑)」

――確かにギ、ノーギを問わずマイッサの試合は自然と魅入ってしまうものがあることは分かります。

「あの強さは何でしょうね……。2019年に初めてムンジアルで優勝してから、ずっと勝ち続けているじゃないですか。ムンジアルのあとに主要な大会で負けたのは、2021年のパン選手権と今年のヨーロピアンぐらいで。その間ずっと強さが安定していて、つけこむ隙がないんですよ」

――ムンジアル4連覇をはじめ、ギでもノーギでも国際大会で勝ち続けている。分かりやすいところでいえば柔道の谷亮子さん、レスリングの吉田沙保里さんや伊調馨さんのような実績ですよね。

「そう! 本当にそうなんですよ。だから今回の試合も、まずONEとしてはマイッサに出場してもらいたかった。その相手を探して私にオファーが来たって捉えています。そういう扱いに対して思うところはあるというか。ONEとしてはマイッサが勝って、いずれダニエル・ケリーと対戦させたい――というようなプランもあると思うんですよ。でも私は、そんなことを気にしていなくて。何より私自身がマイッサと対戦したかったです。

もちろん『マイッサの相手』という扱いじゃなくて、いずれ私という選手にオファーが来るような試合を見せたいです。今回だけでなく世界を目指すために、それだけの強さを身につけていかないといけないですし」

――なるほど。今回はノーギでの試合となります。ギとノーギで試合の印象も異なりますか。

「ギのほうがベリンボロとかの固定力は強いと思うんですよ。掴むところがあるので。もちろんノーギでも強いけど、私としてはノーギのほうが対策もできると思っています。今回の試合でも凄い技数で攻めてくるでしょうし、その対策を講じながら自分の得意なところに持って行く。私としては、その試合展開しかないと考えています。マイッサとの試合のなかで、私にチャンスが巡ってくることは少ない。その少ないチャンスにつけ入るしかないですね」

――マイッサもギよりノーギのほうが展開も速いし、何よりサブミッションを狙い続けています。ONEサブミッショングラップリングでも強いタイプなのだろうとは思いますが、それだけ展開が速い相手のほうが手は合うのではないでしょうか。

「そういうタイプのほうがやりやすいです。これまでも強い選手と対戦したほうが、私のレベルも上がるというか――私自身、試合が楽しくなるんですよ。強い相手との試合だと、自分が持っている以上のものを出せるみたいで。

去年11月のADCCでは、決勝でアデーレ・フォーナリオには負けてしまいました。でも試合写真や映像を視ると、よほど試合が楽しかったんでしょうね。ずっと笑っていて……私ってヤバいヤツなんじゃないかと思いました(笑)」

――それはファイターにとって素晴らしい素質であり、才能だと思います。ADCC直後の前澤智戦も楽しかったのではないですか。

「楽しかったです! 自分では分かっていなかったんですけど、入場の時から笑っていて。会場へ応援に来てくださっていた方からは、『後ろの席から、あの子笑っているよ……っていう声が聞こえた』と言われました。まぁ、変な人間ですよね」

――いえいえ。ADCCや前澤戦と同じく、あるいはその時以上に楽しそうな山田選手を見て、マイッサ戦にも期待することができるのは確かです。

「ありがとうございます。もともと試合に対して不安や恐怖とかって無いタイプなんですよ。もしかしたら、気づいていないだけで不安や恐怖は感じているかもしれません。でもそれ以上に、『ここまでやってきたから大丈夫だ』って納得できるほど取り組んでいるので。

私の中では、去年のムンジアルで負けたことが一番大きいです。茶帯の2回戦で逆転負けを喫してしまって……『私はこのままで良いんだろうか?』と思いました」

――……。

「紫帯で3位になった時は、『今までのやり方を続けていけば大丈夫だろう』という確信があったんです。でも、そう思ったやり方を1年間続けた結果、茶帯で負けてしまって。『何が悪かったんだろう? このままじゃいけない』と考え始めたんですね。『これは海外で練習したら解決するものだろうか』とか、いろんな気持ちが生まれていました。

それで去年の秋から、自分の練習については自分自身で考えるようにしたんですよ。それまではパーソナルで指導してもらったりしていて。もちろん自分の負けを、教えてくださっていた人たちのせいにすることはないです。ただ自分自身で考えたほうが、試合で勝っても負けても納得できるんじゃないかと思ったんですね」

――誰かのせいにはしたくない。でも、このままだと誰かのせいにしてしまうかもしれないし、そんな自分が許せないという気持ちもあったのではないですか。

「……そうかもしれないです。今までもそうだし、今後もし負けた試合でも誰かのせいにはしたくない。自分で決めた目標だから、自分の気持ちも曲げたくはないですからね。まさか黒帯デビュー戦の相手が世界一のマイッサだとは思わなかったけど(笑)」

――それこそ初めてのオリンピックで、1回戦で吉田沙保里さんや伊調馨さんと戦うような。

「本当にそんな感じです(笑)。もう最高ですよ。今、私に良い風が吹いているんじゃないかって思います。マイッサには――もちろん今のままではギだと歯が立たないし、ノーギでも怪しいですよ。自分の100パーセントを出しても勝てない。それこそ120パーセントまで自分を引き上げないと勝てないです。だからこそ試合が決まった瞬間、どうやって120パーセントを引き上げるかって考えるのが楽しくて」

――そうして強くなる、強くなろうとする瞬間が楽しいわけですね。まさに根っからのファイターです。

「正直『これからはSNSも活用して自分のことをもっとアピールしていかないといけない』とは思っています。強いことはもちろんだけど、強い選手は世界にたくさんいますからね。その中から、どうやって自分が試合に呼ばれるようになるかっていうことも考えるんですよ。でも自分の中では強くなりたい……強くなることが一番で。

今年はADCC世界大会と、IBJJFノーギワールドにも出たいです。ノーギワールドもポイントが関わってきますけど――さっき言ったとおり、ここでマイッサ戦が決まるのは私に良い風が吹いてきているとは思います。でもそのチャンスを掴むためは、強くなるしかないから。格闘技をやる限り、その気持ちは絶対に変わりません」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT


■ ONE FN20対戦カード

<ONEキックボクシング世界女子アトム級王座統一戦/3分5R>
[正規王者] ジャネット・トッド(米国)
[暫定王者] ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)

<ONEムエタイ世界女子アトム級選手権試合/3分5R>
アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ムエタイ130ポンド契約/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
マルティニ・ミケレット(イタリア))

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジヒン・ラズワン(マレーシア)
澤田千優(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)
マルティナ・キエルチェンスカ(ポーランド)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
ユウ・ユウペイ(香港)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<サブミッショングラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/10分1R>
マイッサ・バストス(ブラジル)
山田海南江(日本)

<ムエタイ・アトム級/10分1R>
シール・コーエン(イスラエル)
テオドラ・キルオバ(ブルガリア)

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【ONE FN20】ペッディージャーとのラストファイトへ、ジャネット・トッド「最後はチャレンジで終わりたい」

9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20で、ONEキックボクシング女子世界アトム級王者ジャネット・トッドが同暫定王者ペッディージャー・ルクジャオポーロントンとの統一戦に臨む。
Text by Takumi Nakamura

2020年2月にスタンプ・フェアテックスに勝利してキックルール、2022年7月にララ・フェルナンデスに勝利してムエタイルールのベルトを巻いたトッド。昨年3月にアリシア・ヘレン・ロドリゲスに敗れてムエタイ王者のベルトを明け渡す形となったが、今大会ではペッディージャーとの統一戦を迎えた。

アニッサ・メクセンを下して世界最強とも目されるペッディージャー戦を前に、トッドは「これを最後の試合にしようと思っている」と明かした。ONE、そして女子の立ち技を牽引してきたトッドのラストファイトに向けたインタビューをお届けしたい。

――トッド選手にとっては約1年ぶりの試合となりました。この1年間はどのように過ごしていたのですか。

「試合間隔が1年空いちゃったけど、毎日トレーニングは続けてきた。それが完璧というわけではないけれど、自分が成長するための練習をやってきたと思う」

――一昨年は新型コロナウィルスの影響で試合そのものがキャンセル&延期になったこともありましたが、あのときはどんな心境だったのですか。

「COVID(コロナ)の前は年間5回ぐらい試合していたのに、COVIDの後は年1~2試合になってしまって。もちろんたくさん試合はしたかったけれど、それが出来ない状況なのは分かっていたし、それに慣れちゃったわ(笑)。試合は出来なかったけど、自分が強くなるための練習ができたし、以前よりもいいファイターになれていると思う」

――自分を成長させるための練習をしてきたということですしたが、トッド選手もキャリアが長くなってきて、具体的にどんなことに重点を置いて練習してきたのですか。

「またキックボクシングルールの試合をやることが分かっていたから、この1年間はボクシングだったり、ムエタイよりもハイペースなパンチとキックを練習してきたわ。あとキックルールはヒジとクリンチがないからトレーニング内容もそれに少し変えている」

――トッド選手はONEでもキックルールとムエタイルールをどちらも戦っています。例えば日本人はどちらかのルールは得意で、どちらかのルールは不得意という選手も多いですが、トッド選手はなぜ両ルールで結果を出すことができたのですか。

「確かにキックとムエタイは違うもの。なんだけど似ているところもあるから、そこを理解することが大事で、私はそこを理解してうえでルールに合わせて戦うことができる」

――特にONEの場合はムエタイルールがMMAグローブですが、その難しさはなかったですか。

「グローブの違いは大きいね。キックルールはボクシンググローブだからブロッキングで顔をカバーすれば大丈夫だけど、MMAグローブはブロッキングしても殴られてしまう。ディフェンスのやり方が変わることが一番の違いだと思う」

――逆にMMAグローブのムエタイルールをやったことで、キックボクシングルールにプラスになったことはありますか。

「ムエタイルールの方がよりディフェンスを意識してやっていたから、キックボクシングをやるときも、ムエタイのディフェンスをしっかりやるという部分が活きてくるんじゃないかな」

――また武尊選手がトッド選手も所属するBoxing Worksで練習しているそうですね。

「タケル!私とはトレーニングの時間がずれていたから一緒に練習することはなかったけれど、私のトレーニングパートナーとは一緒に練習していて、何度かジムで一緒になったことはあるわ」

――さて今大会では暫定王者のペッディージャーと王座統一戦で対戦します。ペッティージャーにはどんな印象を持っていますか。

「すごくボクシングが強いので、自分にとっていいチャレンジになると思う」

――ペッディージャーは昨年12月にアニッサ・メクサンに勝利しています。個人的にまだペッディージャーはメクセンに勝てないだろうと思っていたのですが、トッド選手はあの試合を見てどんな感想を持ちましたか。

「ペッディージャーの方が接近戦で自分の距離を作っていたと思う。だからアニッサが自分の距離で戦おうとしても、それが出来なかった。あの試合は常にペッディージャーが自分にとっていい距離で戦って、力のある攻撃を入れることができたと思う」

――恐らく今回もペッディージャーは前に出て距離を詰めてくると思います。それに対する戦い方は準備していますか。

「もちろん接近戦になることを想定して、しっかり練習してきている。もし接近戦になっても自分の攻撃を効かせる試合ができると思う。私は試合をちゃんとイメージして、相手の弱点と自分が強みをしっかり頭に入れて戦う。その準備はできているわ」

――今回はキックルールの統一戦でしたが、これをクリアしたらもう一度ムエタイルールのベルトを獲りにいきたいという想いはありますか。

「いや………私はこれを最後の試合にしようと思っているの」

――そうなのですか!

「これはもう何カ月も考えていたことで、私は今38歳で新しい家族が欲しいと思ったら、これ以上、試合を続けることは難しいと思った。
だから最後の試合で、自分の最高のパフォーマンス、そして最高の姿をみんなに見せたいと思う」

――例えばONEのアメリカでの大会も予定されていて、そこまで待って区切りをつけることは考えなかったのですか。

「アメリカでも試合をしたかったけど…試合がマッチできなかったわけだから仕方ない。それにアメリカで試合をしたい、マッチできないを繰り返していたら、区切りをつけられなくなるから、今回の試合を最後にしたいと思っている」

――これからまたトッド選手の試合を見られると思っていたので驚きました…。ペッティージャーはおそらく今世界一強い選手だと思うのですが、そういう相手と戦って現役生活にピリオドを打ちたいという気持ちはあったのですか。

「それはあります。最後は大きなチャレンジで終わりたいから。しかもそんなファイトを国際女性デーに開催される女性だけの大会で出来ることは本当にうれしい」

――それこそトッド選手のようなファイターがいて、ONEで戦ったからこそ、そういった大会が開催できることになったと思いますし、女子の立ち技格闘技が世界的にクローズアップされたと思います。

「そう言ってくれてありがとう。私も今までずっとやりたいことをやってきたし、この試合をやることで自分の中でも達成感を持てると思う。素晴らしいファイトを見せて、これから次の人生のことを考えていくわ」

――それではトッド選手のラストファイトを見るファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「ずっと私の長い旅を見てきてくれた皆さんに『ありがとう』と言わせてください。私は最後までベストを尽くして戦うので、しっかり見届けてください」

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【ONE FN20】ONE本戦デビュー、ラズワン戦へ。澤田千優「残りあと何年という計画があって……」

【写真】戦場が変わると同時に、所属ジムの変更も公言した (C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20で、修斗女子アトム級王者の澤田千優がジヒン・ラズワンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

澤田は昨年2月にONEフライデーファイトでサナーズ・ファイアズマネシュを下して以来のONE出場となる。しかも念願の本戦契約だ。さらに所属もAACCからキックボクシングジムのteam AKATSUKIへ変更となった。昨年12月に中村未来を下して修斗王座を防衛してから約3カ月間、そしてONE本戦での試合について澤田が語って。


――2月末にONEとの本戦契約と初戦が発表されました。今回の本戦契約は、いつ頃から話が進んでいたのでしょうか。

「正式発表の1カ月前ぐらいからです。私は修斗のインフィニティリーグに出ていた頃から『海外で試合をするならONEのアトム級を目指したい』と言っていて。フライデーファイトに出た時も、ABEMA TVの方がONEに私の本戦出場について話をしてくださったり、今年1月の日本大会も私が出場できるように動いてくださっていたそうなんです」

――そうだったのですね。残念ながら日本大会への出場はなりませんでした。

「そのあとONE JAPANの方から連絡を頂いて、今回の本戦契約に至りました。私も全ての事情を知っているわけではないので、正確なことは分かりませんが……」

――澤田選手はABEMA TVの海外武者修行プロジェクトに参加し、コンバテ・グローバルでアナ・パラシコスを判定で下しました。そして修斗の防衛戦を経てONE本戦契約を勝ち取るという、海外武者修行プロジェクトの成功例とも言えます。

「私が海外で試合をしたい、ONEアトム級で戦いたいという希望があって。ABEMAの方からも『ここで試合をしておくと、ONE本戦契約への良いアピールになるから』と、コンバテで試合をさせてもらいました。その経験はMMAをやっていくうえで、良かったです。ただ本戦契約して初戦がABEMAではなくU-NEXTで中継されるというのは――最初にONE JAPANから聞いた時は驚きましたし、少し不安というか気になることもあって」

――気になることとは?

「ABEMAの方にどう思われるんだろうな、と」

――えっ!? それはONEと中継サイドのお話であり、澤田選手が心配することではないと思いますが……。

「でも海外武者修行プロジェクトは、全てABEMAがサポートしてくれたもので。やっぱり筋というか――これまで私に関わってくれた方を裏切るようなことはしたくない。でも私自身が目指しているもののために、ONEの本戦には出たい。そう考えていた時に、ABEMA TVの北野(雄司プロデューサー)さんから連絡を頂きました。

『おめでとうございます。今後ABEMAがONE中継に関わることはないけれど、何かサポートが必要であれば、いつでも言ってください』と言われて、ホッとしたんですよ」

――それは素敵なお話です。同時に所属がAACCからAKATSUKIに変わることも発表されました。ONE本戦契約と同じタイミングとなったのは偶然だったのでしょうか。

「偶然ではないですね。でも、ONE本戦契約があったからAACCを離れた、というわけではないです。もともとMMAを続けるのは、残りあと何年という計画があって……」

――現在の年齢とキャリアで、現役生活の最後を見据えているのですか!?

「そうなんです。私の性格上、『ここまでにコレをやりきる』という目標を決めないと、頑張れないところがあって(苦笑)。ズルズルと格闘技を続けたくはないんですよ。レスリングを始めてから今のMMAに至るまで、常に自分の中で目標は定めています。

自分としては30歳ぐらいがピークで強い時期だと思っています。今26歳なので、残り5年の間にONEのチャンピオンになりたい。そのためには、もっともっと強くならないといけない、というビジョンをAACC代表の阿部(裕幸)さんとすり合わせて。結果、環境を変えて、いろんな方から刺激をもらいながら練習をしていくほうが良いんじゃないかと考えたのが、ジム移籍のポイントなんです」

――その移籍先としてAKATSUKIを選んだ理由を教えてください。

「AKATSUKI代表の良太郎さんはキックボクサーで、もともと良太郎さんから打撃を教わっていました。キックボクシングだけでなく、いろんな格闘技を見ていて、私のベースであるレスリングを生かせるような打撃を教えてくれる方です。他にも良太郎さんに打撃を教わっているMMAファイターがいます。私の弱い部分である打撃を本当に基礎から教わることで、これから海外の試合に向けてステップアップできるんじゃないかと。

フリーとしてAKATSUKIで練習させていただくこともできますが、私自身はどこか所属して、腰を落ち着けないと頑張るは難しいタイプでもありますし(苦笑)。それでAKATSUKI所属として活動させていただくことになりました。

去年の12月、修斗のタイトルマッチ前からお話を進めていて。防衛戦が決まった段階では阿部さんにも『年内いっぱいで……』というお話をしていました。ただ、もしかしたら1月のONE日本大会出場があるかもしれない。そこで移籍も発表しようと考えていて。本戦契約と初戦が3月になり、移籍の発表もこのタイミングなったという流れです」

――なるほど。修斗王座の防衛戦では、中村未来選手を相手に明確な差を見せつけて勝利しました。もう修斗の女子アトム級では対戦相手がいない……と思われるなか、ますますONEで戦う気持ちが強くなっていたのではないですか。

「はい。もともとファイトナイトに出場した時点で、本戦契約に本戦契約に手が掛かっているか掛かっていないか――という状況だったと思います。もし本戦契約がなければ、もう一度ファイトナイトに出るという話もありました。一方で、修斗女子アトム級の選手とは、みんな対戦していたじゃないですか」

――中村選手とはインフィニティリーグで対戦し、判定勝ちを収めていました。とはいえ、これは結果論ではありますが、個人的にはあの防衛戦があって良かったと思います。圧倒的な差を見せつけることによって、周囲にも『もう海外しかない』と思わせることができたのではないかと。

「それは私も試合前から考えていました。国内で試合をするかぎりは、絶対にそう思わせるような内容を見せなければいけない。実は、セコンドからは『タイトルマッチは5分5Rだから、5R戦うことを考えて』と言われていたんです。私も試合前は緊張しながら『ハイ! ハイ!』と答えていましたが、試合が始まったらチャンスがあれば極め切るという気持ちで臨みました。その気持ちが試合に出たと思っています」

――プロデビュー当時は、その気持ちがありながら試合中にプラン変更を余儀なくされたこともあったと思います。しかし最近は、その強い気持ちを貫いている印象があります。

「私はそれほど試合数をこなしているわけではなくて。でも練習しているなかで、MMAとしてレスリングはもちろん寝技や打撃など、MMAの選手としてMMAらしく戦うイメージを持って試合をしてきました。他の人の試合を視るだけでなく、他の選手から試合のつくり方について聞いているんですよ。そこで聞く意見が凄く勉強になります」

――今はAKATSUKIと、マスタージャパンが主な練習場所なのでしょうか。

「ここ1~2カ月は、マスタージャパンでは金曜日と日曜日の選手練に参加させていただいています。いろいろ練習している内容を、マスタージャパンですり合わせさせてもらっている感じで。『この打撃は通用する』、『まだ壁際はヘタクソだな』とか。そういう練習ができることは、とてもありがたいです。あとは万智ちゃんと週1回は必ずスパーする日をつくっています。あの子も本当に強くて。

それと今は追い込みの時期なので、柔術とグラップリングの練習のために、今成柔術に行かせていただいています。朝早くからグルグルとロールしているだけなんですけど(笑)。体の使い方を確認しながら、『これは違うかな』と思ったり。自分が極めるための体の動かし方だけでなく、極められないための体の動かし方が必要で」

――ONEアトム級はユニファイドであればストロー級です。澤田選手の場合、どうしても相手との体格差は課題となるでしょう。今日のマスタージャパン練習には、黒部選手とライカ選手が参加していました。万智選手も含めて階級が違う相手との練習が多いのですか。

「体格差については……ここ数カ月で鍛えたパワーだけでは到底敵わないと思います。海外の選手とはインナーマッスルや、地の力が違うので。力を力で制圧するよりも、距離で外したり組んだ時に抜くことは意識しています。だから自分よりも大きな相手との練習が重要で。黒部さんや藤野恵実さん、万智ちゃんと組ませてもらうと、自分より体重が10キロ以上は重くて力が強い選手の感覚が分かるというか。ここは抑え込める、ここは外したほうが良いという肌感覚を身につけたいと思っています」

――ジヒン・ラズワンはONE女子アトム級の中でも体格が大きく、組みも強い選手です。

「力は強そうですよね。お尻が大きいし、足も太くて。腰も強くて、なかなか壁際でも崩れない。打撃も出すし、MMAファイターとしてのバランスも良い選手だと思います」

――2022年9月のスタンプ戦(判定負け)でも、序盤はトップをキープしていました。ただ、アグレッシブすぎることでサブミッションが外れたり、敗北を招くこともあります。

「スタンプ戦でも最後は前に出たところに、ガチンとヒジを合わされていましたね。私との試合でも、まず出てきてくれるかなと思っています。でも真正面からぶつかると勝てないと思います。私も突っ込むタイプではありますけど、そこは我慢して相手もジレてくるような戦い方をする。そして相手がパンチを振ってきたところにカウンターで組むとか。今、上の階級の方たちと練習していることが生きる試合だと思います」

――ラズワンは過去にV.V Mei選手、平田樹選手に勝利しています。日本女子アトム級の敵という状態でもあります。

「その点は、あまり意識していないです。ただ、これまで日本人選手に勝っているからこそ、ONEから『サワダ、どうなんだ?』と試されているマッチメイクなんじゃないかと思っています。私にとっても大きなチャンスだから、絶対にモノにしないといけないですね」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午後9時30分~U-NEXT

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【ONE】澤田千優 ONE本戦デビュー!ジヒン・ラズワンと対戦!

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3月9日にタイのルンピニースタジアムで行われるONE FIGHT NIGHT 20に日本から修斗世界女子アトム級王者・澤田千優(TEAM AKATSUKI)が出場する事が発表されました。ONEアトム級ランキング5位のマレーシアの強豪ジヒン・ラズワンと対戦します。

修斗を主戦場にして初代女子アトム級王者に輝いた澤田。バックボーンのレスリングを活かした強力なテイクダウンとポジショニングで修斗では無双状態。次の一手に注目が集まっていましたが、昨年参戦したONE Friday Fightsの流れに乗ってONE本戦に参戦しましたか。

楽しみには違いありませんが、いきなりラズワンとの対戦とはなかなか相手が悪い。ONEでは8勝3敗と大きく勝ち越し、V.V Meiと平田樹にも判定勝ちしている強豪。テイクダウンを許しても下から三角絞めや腕十字を仕掛けてくるだけに、テイクダウンに優れた澤田も気が抜けない相手と言っていいでしょう。

危険な試合なのは間違いありませんが、勝った時のリターンは大きい。ONEでのライクインも視界に入ってきます。所属も長く在籍していたAACCからTEAM AKATSUKIに移籍した事がどう作用するのか。注目のONE本戦デビュー戦を迎えます。