カテゴリー
AB DEEP GFG K-1 MMA MMAPLANET NEXUS NEXUS33 o PFC30 ブログ 唐沢タツヤ 小蒼卓也

【NEXUS33】青森から。唐沢タツヤとバンタム級挑戦者決定戦、小蒼卓也「自分はコレしかできないんで」

【写真】言葉でなく、佇まいから伝わってくるものがあった (C)MMAPLANET

10日(日)に東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるNEXUS33。メインでNEXUSフライ級王座決定戦=荻窪祐輔✖豪瑠が組まれた同大会のコメインで小蒼卓也が、唐沢タツヤとNEXUSバンタム級王座挑戦権を賭けて戦う。
Text by Manabu Takashima

青森に自らのジム=スカーフィストを持つ小蒼だが、そのMMAの常設ジムの数が県下で片手の指の数で足りてしまうという。120万の県民数に対して、この数はMMAの浸透度の低さを如実に表しているといえるだろう。

対戦相手だけでなく、そのような現実とも戦い続けてきた小蒼は「青森でもやれるんだ」というモチベーションを次世代のファイター達が抱き続けられるために──戦う。


――初めて青森を訪れさせてもらったのですが、まるで格闘技事情を把握しておらず申し訳ありません。小蒼選手が青森にスカーフィストジムを開いたのは、いつ頃なのでしょうか。

「7年ぐらい前ですかね。その前は公共のスポーツ会館のレスリング場を週に3度借りて練習していました」

──公共の施設にレスリング場があるのですね。そもそもMMAを始めたのは?

「23、24歳の時に友達から、『こんなのがあるよ』って総合格闘技のビデオを見せられたんですよ。それが五味隆典さんと佐藤ルミナさんの修斗の試合(2000年12月)で。その試合で勝った五味さんに憧れて次の年に、この人はどこにいるんだって調べ五木田勝さんが代表の木口ワークアウトスタジオに入会しました」

──つまり青森を出て?

「ハイ。仕事と住むところを探して、アッチに行きました」

──もの凄い決断力と行動力ですね。

「でも2年ぐらいですから。本当はもっといるつもりだったのですが、青森に帰省した時に交通事故を起こしてしまって。あの時、同乗していた当時の彼女が青森の人だったので、そのまま青森に留まることになったんです。アレがなかったから、ずっと向うにいたかもしれないです。木口ワークアウトスタジオにはそれだけの短期間しか在籍していなかったので、試合は柔術に出たぐらいでした」

──戻った時、青森でMMAを続ける土壌というのは?

「無かったですね。先輩がスポーツ会館でサークルみたいに遊びでやっていて、そこに自分も遊びに行っていました。当時は俺もプロになるつもりとか全然なかったので。でも途中で、プロになりたいなって思い始めて。当時はMMAをちゃんと知っている人はいなくて。ボクシングや柔道、レスリングをやっている人達と考えながら練習をしていました。

その頃、アマ修斗が八戸で行われていて。パラエストラ八戸の西塚(丈人※11月19日のGFGに52歳で出場、半澤拓也に87秒アームロックで一本勝ち)さんがやっていたのですが、それこそ藤田(成保T-Pleasure代表、GFG主宰)さんとか皆が出ていて」

──そこからプロになったわけですね。いやぁ、歴史が感じられます。

「今も青森県のMMAの常設ジムはうちと五所川原の藤田さんのところ、西塚さん。それと野辺地で魚住(良太)さんがやっているメビウス・スポーツアカデミーの4つぐらいで。あとはサークルが少しありますけど、MMAはまだまだ知名度は低いです」

東北におけるプロ修斗は仙台で行われていたが、震災後は2013年から2016年にかけて青森に移り、弘前、五所川原で公式戦が組まれていた。現在はプロ修斗公式戦ではなく、GFGが五所川原で開催されている。

──ネットで世界中のMMAが視聴できても……。

「今もK-1ですか?って言う人がたまにいますしね(苦笑)。それとプロレスとも……」

──まだ、それを言われてしまいますか……。格闘技とはいえないのですが、Breakingdownの影響でジムに来るような若い世代は?

「何人かいましたけど、そういう子は続かないです。YouTubeで華やかな場面しか見ていなくて。本当に強くなろうと思えば、コツコツと地道な作業が必要なので。そこで嫌になってしまうんでしょうね(笑)」

──それは首都圏も地方都市も共通かもしれないですね(笑)。地方のMMAを考えると、藤田さんが頑張ってくれていても、北陸と東北がエアポケットのような状況かと。同時に地方のジムの所属選手は、試合機会がどうしても限られている。こちらの選手はどのように実戦の機会を得ようとしているのでしょうか。

「年に1回アマ修斗があって、盛岡でも行われています。盛岡は2時間ちょっとで遠くないので」

──……。

「それって僕らからすると遠くない距離なんです(笑)。あと岩手だとブレイブの細川(英司・東北格闘技連合会=グラップリング、MMA、キックの試合を主宰)さんも定期的に大会を開いてくれていますしね。ウチでもブレイブに出たいという子は多いです。

それにプロも今は以前と違い、色々なプロモーションがあるので修斗以外にもウチの選手は出ています。北海道のPFCと繋がっていて、最近は北海道での試合が多いですね」

──格闘技のジムはフィットネスか、選手志向という2つの目的を持った人達がやってくる場所ですが、スカーフィストはどちら系のジムになりますか。

「ウチは選手志向で、フィットネスは少なくて。結果、会員が少ないジムです(笑)。プロは俺と、同い年の大里洋志(GFGのメインで大高幸平にスプリット判定勝ち)、1つ下の黒石大資(11月19日PFC30で、平井聡一郎を破りPFCフライ級王座を獲得)、12月10日のNEXUSでデビュー戦を戦う塩谷優斗、それと吹田琢ですね。デビュー戦の子以外は、平均年齢は高めです」

──首都圏ではNEXUSの出場機会が多い?

「PFC経由でNEXUSということが多いです。PFCでトーナメントがあって、勝つとNEXUSでプロの試合ができるという流れもあるので」

──小蒼選手自身は7月の後楽園大会で、渡部修斗選手の引退試合の相手を務めPFCバンタム級のベルトを取られてしまいました。引退ストーリーに華を添えるような形になり、納得できていない部分もあるかと。

「まぁ、そうッスね。でも何を言っても言い訳になるんで。負けは負けになります」

(隣で話を聞いていた)藤田成保 自分たちがアマチュア修斗を戦っていた頃に、若林太郎さんから「判定になった時点で、何も文句を言うな」と教わってきました。

「そうっスね。それはずっと残っています。判定に文句を言うぐらいなら一本、KOで勝たないといけない」

──そして本部席の前を絶対に横切ってはならない。これこそ太郎さんイズムです。

「ホント、それです」

藤田 でも、やり始めた時に言ってもらえたことって残っています。だから判定になったら、文句は言えない。

「彼の引退試合ですし、判定になったら分が悪いのは分かっていたことですしね」

──判定云々でなく、完全に良き思い出創りの駒にされた。格闘技は思い通りにいかないんだというストーリーを見たかった気持ちは、個人的にありました。記者がこんなことを言ってはいけないのですが……(笑)。

「でも、あの試合は修斗君本人が一番分かっていると思いますよ」

──そんな敗北を経て、次戦の時点では41歳になっている小蒼選手。次は挑戦者決定戦となりました。

「そんなに長くはできないと思っているので、ここでこの機会を貰えたことは有りがたいです。俺がベルトを取ることで、こっちの選手たちも青森にいてもやっていけるんだというモチベーションになると思うんです。NEXUSのベルトを取ったら、次の道も見えてくるし。まぁアンダードッグとして呼ばれることは、慣れっこですしね」

──今もDEEP、パンクラス、修斗を上3つという見方をする現状は残っていますが、そこへの拘りというものは?

「修斗がないと、やっていなかった。修斗には感謝しています。でも、今はもうそういう拘りはないです。それよりも青森で戦いたい。今回はタイミングが合わなかったのですが、GFGで戦いたいです」

──小蒼選手の想いが、青森におけるMMAの普及に通じることを願っています。

「ハイ。自分はコレしかできないんで。本当にコレしかのめり込んだモノがないんですよ」

──では挑戦者決定戦に向けて、意気込みの方をお願いします。

「とにかく今回の試合に勝って河村(泰博)選手に挑戦し、青森にベルトを持って帰りたいと思います」

■NEXUS33メインカード対戦カード

<NEXUSフライ級王座決定戦/5分3R>
荻窪祐輔(米国)
豪瑠(日本)

<NEXUSバンタム級挑戦者決定戦/5分2R>
唐沢タツヤ(日本)
小蒼卓也(日本)

<バンタム級/5分2R>
神部篤哉(日本)
塩谷優斗(日本)

<ライトヘビー級/5分2R>
マシン(日本)
田馬場貴裕(日本)

<バンタム級/5分2R>
ジェイク・ムラタ(日本)
イ・ヘウォン(韓国)

<フライ級/5分2R>
曾我英将(日本)
鶴屋健人(日本)

<無差別級/5分2R>
Guts(日本)
山本拓海(日本)

The post 【NEXUS33】青森から。唐沢タツヤとバンタム級挑戦者決定戦、小蒼卓也「自分はコレしかできないんで」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
MMA MMAPLANET NEXUS o PFC30 PFC31 YouTube ジミー西 パンクラス 中西テツオ 亀松寛都 修斗 天草ストロンガー四郎 小倉卓也 平井総一朗 森崇純 橋本薫汰 海外 黒石大資

【PFC31】平井総一朗とベルトを賭けたリマッチへ、黒石大資─02─「まずは自分が行きすぎないこと」

【写真】写真は2019年11月のNEXUSフライ級トーナメント準決勝。橋本薫汰に判定で敗れてベルトを逃した。黒石はネクサス再挑戦も視野に入れている(C)MMAPLANET

19日(日)、北海道は札幌市北区のPODアリーナで行われるPFC31で、平井総一朗とのPFCフライ級王座決定戦に臨む黒石大資のインタビュー後編。
text by Shojiro Kameike

PFCフライ級は、第3代王者の亀松寛都が王座を返上。空位となったベルトを同級1位の黒石と同級3位の平井が争うこととなった。両者は今年7月のPFC30で対戦し、黒石が3R判定勝ちを収めている。ベルトを賭けたリマッチを控える黒石に、スカーフィストのファイトスタイルと札幌での試合について訊いた。

<黒石大資インタビューPart.1はコチラ


――青森県といえば以前は常設ジムも少なく、地元で試合ができる機会も少なかったと思います。MMAをするために他の地域へ行くことは考えませんでしたか。

「それは考えなかったですね。青森で続けていきたいと思っていました」

――青森の良さって、どんなところでしょうか。

「何だろうなぁ……食べ物が美味しいところですかね(笑)」

――アハハハ、ありがとうございます。話を戻すと、黒石選手は2015年12月にパンクラス札幌大会でプロデビューし、その後は修斗の試合を経て中国WLFの試合を迎えます。プロ5試合目で中国遠征というのは、当時いかがでしたか。

「当時はいろんなことを経験したかったんです。だから『海外での試合って、どういうものなんだろう?』と興味が湧いて、オファーが来た時にすぐ『行きます!』って返答しました」

――なるほど。黒石選手の戦績は勝っても負けてもKOか一本決着で、もともとスカーフィストの選手にはレスリング+パンチ、そこにサブミッションが加わるという印象があります。それはスカーフィスト所属選手に共通することなのでしょうか。

「皆そういうタイプかもしれないですね。特にアマチュア修斗から出ていると、前に出て寝かせてナンボ――という雰囲気はありました。今はルールも変わってきていますけど、当時のアマ修斗はテイクダウンしてトップを取るとポイントが入っていて。そのルールであれば、みんなトップを取りに行きますよね」

――まだアマチュア修斗でグラウンドのポイント制が採用されていた頃ですね。確かに、当時のアマ修斗から育ったファイトスタイルかもしれません。

「前に出ること自体は、リスクもあります。でも自分はリスクを背負ってでも、前に出て倒しに行きたいです」

――そんななか現在は北海道のPFCが主戦場となっています。青森県から北海道で戦うのはアウェイ感が強いのでしょうか。それとも、もう地元のような意識になっていますか。

「他の選手は分からないけど、自分にとっては地元感が大きいです。アマチュア修斗の頃から札幌で試合をしているんですよね。アマ修斗の北海道予選とか。もうPFCでも4試合やらせてもらっていますし、いつも試合が終わったあと『また札幌に帰ってくるね!』と地元のお客さんに挨拶してきますから(笑)。その札幌でタイトルマッチができるというのは嬉しいですね」

――では次のタイトルマッチについてお聞きします。空位のPFCフライ級王座を賭けて戦う平井選手とは、4カ月前に対戦して判定勝ちを収めています。ダイレクトリマッチとなるわけですが、前戦の印象を教えてください。

「平井選手はとにかくフィジカルが強かったです。もともと柔道がベースだと思いますが、スコーンと投げられてしまう感じで」

――前回の試合は5分2R+Ex 1Rで、1Rは平井選手、2Rには黒石選手がテイクダウンを奪ってドローとなりEXラウンドに突入しました。

「2Rが終わって、自分が勝っているのかなっていう思いは少しありました。テイクダウンを奪われたあと、前に出ていたのは自分だったので。ただ、それだけに削られていた部分はあって――延長戦に入ることになって、疲れはありましたが『もおうやるしかないな』と気持ちを固めましたね。延長戦は気合いで戦いました。そこだけは絶対に負けないと思って」

――気持ちで負けていると代表の小倉卓也選手が……。

「いつもセコンドについている代表から怒られています。『行け! サボるんじゃねぇ!!』とか(笑)。でも自分にとっては、それぐらい言われるほうが良いんですよ」

――なるほど。ただ、次のタイトルマッチは5分5Rです。

「しかも5Rを戦いきる試合が多いですよね(苦笑)。ちゃんとフルラウンド戦うことも想定して、まずは自分が行きすぎないことを意識しています。いつものように前に出すぎると、前半戦で消耗してしまうでしょうから。最初はしっかりと圧力をかけながら、自分のペースで進めていきたいです」

――対する平井選手も前回の試合内容を踏まえて、序盤はペースを抑えてくるかもしれません。そうなると黒石選手自身も抑えて進めていくのか、あるいは前に出るのか。

「その場合は、自分がもっと圧力を強めていくかもしれません。できることなら――やっぱりフルラウンド戦うことなく、序盤に仕留めたいですね。アハハハ」

――今回のタイトルマッチも含めて、MMAにおける黒石選手の目標を教えてください。

「今回PFCのベルトを獲ることができたら、その次はネクサスのベルトも視野に入れていきたいですね。自分は一度ネクサスのフライ級王者決定トーナメントに出て、準決勝で負けています(2019年11月、橋本薫汰に一本負け)。あの時は悔しい想いをしたので、もう一度ネクサスのベルトに挑むことができたら――と思っています。

その前に、まずは今回勝つこと。ベルトが懸かった試合なので、ここは死ぬ気で獲りにいきます。今後も期待してください」

■PFC31対戦カード

<PFCフライ級王座決定戦/5分5R>
黑石大資(日本)
平井総一朗(日本)

<PFCストロー級王座決定戦/5分5R>
早坂優瑠(日本)
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)

<バンタム級/5分2R+1ex>
亀松寛都(日本)
ジミー西将希(日本)

<ライト級/5分2R+1ex>
渡辺トシキ(日本)
天草ストロンガー四郎(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
中島光陽(日本)
河永重春(日本)

<ミドル級/5分2R+1ex>
森崇純(日本)
カタナマン(日本)

<フライ級/5分2R+1ex>
澤口悠之介(日本)
中西テツオ(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
伊藤光(日本)
ハント高島(日本)

The post 【PFC31】平井総一朗とベルトを賭けたリマッチへ、黒石大資─02─「まずは自分が行きすぎないこと」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
Eternal MMA73 GFC MMA MMAPLANET o PFC30 PFC31 RIZIN UFC YouTube   ザ・タイガー石井 ジミー西 スティーブ・アーセグ タイガー石井 中西テツオ 亀松寛都 天草ストロンガー四郎 平井総一朗 所英男 森崇純 海外 長野将大 黒石大資

【PFC31】19日は地方の日!! PFC31でフライ級王座決定戦、平井総一朗「何かピークを創っている選手に」

【写真】豪州のフィーダーショーも、北のJ-MMAも今の自分を出すことには変わりはない(C)MMAPLANET

19日(日)は地方の日!! 札幌でPFC31、青森県五所川原でGFCが4年振りに開催され、福岡ではBLOOM FC旗揚げ戦が開かれる。ここでは札幌市北区のPOD アリーナで行われるPFC31のメイン=PFCフライ級王座決定戦で黒石大資と対戦する平井聡一朗のインタビューをお届けしたい。
text by Takumi Nakamura。

今年2月に豪州#01フィーダーショー=ETERNAL MMAに参戦し、現UFCフライ級の注目株スティーブ・アーセグと対戦するという貴重な経験を積んだ平井。7月のPFC30では黒石に判定負けを喫したものの、当初予定されていた黒石×ザ・タイガー石井の王座決定戦がタイガーの怪我の回復が遅れてキャンセルとなり、ダイレクトリマッチという形で王座決定戦のチャンスが巡ってきた。

「これでいいのかなという葛藤もありました。ただその葛藤よりも前戦の自分へのリベンジもしたい」とオファーを受けた平井。アーセグ戦の経験、そして前回の黒石戦での悔しさをどう形にしてきたのか。王座戦を控える平井に話を訊いた。


――今回は黒石大資選手とダイレクトリマッチという形での王座決定戦が決まりました。平井選手にとってはリベンジもかかった一戦ですが、オファーを受けた時はどのような心境でしたか。

「負けたあとのオファーで、これでいいのかなという葛藤もありました。ただその葛藤よりも前戦の自分へのリベンジもしたいと思って試合を受けました」

──7月の黒石戦は振り返ってみて平井選手にとって、どのような試合だったと思いますか。

「黒石戦の前に豪州で試合をやって(※2月のETERNAL MMA73でスティーブ・アーセグに一本負け)、そこで感じた壁や差を少しでもなくすための準備をやってきて、それを出すんだという気持ちで乗り込んだ試合だったんです。でも思った通り自分の体が動いてくれない、イメージしていた試合ができなかったですね」

──その思うようにできなかったのは、自分の中では何が原因だったって感じていますか。

「ただ単に気負いがひどかったですし、勝って当たり前、当然のように勝つ、自分が何かしらでフィニッシュするというイメージでやりすぎてしまって、相手が自分に対してどう戦ってくるかのイメージが不足していたからだと思います」

──対戦相手よりも自分自身に対して課題があったということですね。

「もちろん相手の黒石選手が徹底して組み技の場面を作らせない作戦遂行力があったし、全体的にある程度レベルが高い選手というのも要因だと思います。ただ自分としては準備段階を含め、相手のことを想定した準備ができていなかったことが反省点ですね」

──今回はそこを踏まえて、何を意識して練習されてきましたか。

「その反省ももちろん活かしつつ、5分5Rやる可能性がある試合なので、いつも所英男会長が言っている『やりきる』をイメージして練習をしています。今まで5分2Rで決着をつけていたところが5分5Rで伸びることを考えると、陸上競技で言えば短距離。中距離種目から一気にフルマラソンになるぐらいの違いがあると思いますし、そのなかで『やりきる』ことを意識しながら取り組むことが出来たと思います。底上げを含めた総合力、打・倒・極全て繋がるような動き、そこを徹底的にやってきました」

──やはりラウンド数は試合展開に影響するでしょうね。

「5分2Rであれば、僕の場合は組めればなんとかなってきたところがあるんですけど、5分5Rになるということはスタンドや立った姿勢でどの程度イニシアチブを取れるか、前に出られるか、プレッシャーをかけられるかというのがポイントになると思います」

──しかも5分5R&ダイレクトリマッチというシチュエーションもなかなか経験できるものではないと思います。

「相手選手に対して一度対戦しているから『ここは大丈夫だ』、『ここはダメだ』というのはなく、僕の中では一度まっさらな状態にしました。ざっくりとしたイメージは持ちつつ、最終的には自分自身だと思っているので、今自分が持っているものを5分5Rの中でどれだけ出せるか。相手選手に対してというよりは、自分自身という感じですね」

──先ほど話にも出ましたが、2月のETERNAL MMA73では、のちにUFCに参戦するスティーブ・アーセグとの対戦でした。結果は一本負けでしたが、UFCレベルの選手と海外で戦うことは貴重な経験です。あの試合は平井選手に何をもたらしましたか。

「本当に自分にとってターニングポイントになったと思います。やはり海外遠征だけあって、スケジューリングもアバウトだったんですけど、そのなかでも割と平常心でいられたというか、そこまで動揺することなく、試合には臨めました。相手選手に対しても試合前にフェイスオフで向かい合った瞬間は『こいつなら勝てるぞ』と思って当日を迎えて、いざケージの中に入って相手と向かい合っている瞬間も、気持ち的にビビることがなかったんです。そのぐらい精神的・肉体的にいい状態でできた試合だったのですが、その上で何もさせてもらえないまま終わってしまったことが凄く悔しい部分で……。今はそこ(海外)を自分の目標、モチベーションとして、もう一回、ここからやり直すんだというきっかけになりましたね」

──あの試合をきっかけに格闘技に対する考え方や取り組み方は変わりましたか。

「変わりましたね。世界と視野が広がった感じです。それまでは国内での自分の立ち位置しか見えてなくて。大した立ち位置ではないんですけど、世界にはこういう戦いの場があるということを体感しただけでも、格闘技家としても人としても成長させてもらえました」

──それも踏まえて、平井選手は今どんな目標を持っていますか。

「先日もPFCのYouTubeライブでもお話させてもらったのですが、目の前の試合を一つ一つ勝つことですね。ただ、昨年末から一貫していることがあって、それは所会長を選手としてではなくて、コーチ・セコンドとしてRIZINに連れて行くこと。所プラスも選手が増えてきたのですが、自分の中では自分が最初に(所をRIZINに)連れて行くんだという想いがあります」

──先日所選手を取材した際、プロ選手&プロ志望の選手が増えてきてプロ練の時間を設けるようになったと話していました。

「僕がジム入った当初はプロの先輩が一人、プロ志望の選手が一人いただけで、基本的にプロ志向のジムではなかったんです。僕ももともと柔道をやっていたんですけど、プロを目指すというよりも、格闘技を楽しみたいと思って入会しましたし」

──そこからなぜプロを目指すようになったのですか。

「さっき話したプロ志望の選手=長野将大選手がデビューするかしないかのタイミングでジムに入って、僕が階級も近い&柔道経験者ということで一緒に練習させてもらう機会が多かったんです。それから練習だけじゃなく、セコンドにも入るようになって……そういうことの積み重ねと周りの期待もあって、自分も試合に出ようと思いました」

──そういったジムの歴史を知っているからこそ、所選手を“会長”としてRIZINのリングに立たせることには特別な想いがありそうですね。

「今までジムを引っ張り、担っていくのは僕じゃなくて、自分より先にジムに入っていた2人だったり、僕より下の世代の選手だと思っていたんです。もともと僕はプロ志望じゃなかったですし、僕より若い選手たちがドンドン上のステージに上っていってくれた方が、ジムが盛り上がるだろうなと考えていた時期もあります。でも自分の役割や役目を改めて考えた時に、今は自分がやらなきゃいけないなって発想が変わってきて。それであえて『所会長をRIZINに連れていきたい』と口に出して言うようにしました」

──その目標を達成するためにも、ベルトを巻くことが大きな前進になると思います。そのタイトルマッチに向けた意気込みを最後にいただけますか。

「まだまだ僕は目立つ選手でもないですし、特別何かを残した選手でもないんですけど、本当にこれから先、何かピークを創っていける選手になっていくので、是非注目していただけたらなと思います」

■PFC31対戦カード

<PFCフライ級王座決定戦/5分5R>
黑石大資(日本)
平井総一朗(日本)

<PFCストロー級王座決定戦/5分5R>
早坂優瑠(日本)
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)

<バンタム級/5分2R+1ex>
亀松寛都(日本)
ジミー西将希(日本)

<ライト級/5分2R+1ex>
渡辺トシキ(日本)
天草ストロンガー四郎(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
中島光陽(日本)
河永重春(日本)

<ミドル級/5分2R+1ex>
森崇純(日本)
カタナマン(日本)

<フライ級/5分2R+1ex>
澤口悠之介(日本)
中西テツオ(日本)

<フェザー級/5分2R+1ex>
伊藤光(日本)
ハント高島(日本)

The post 【PFC31】19日は地方の日!! PFC31でフライ級王座決定戦、平井総一朗「何かピークを創っている選手に」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
MMA MMAPLANET NEXUS o PFC30 RIZIN UFC YouTube ザ・タイガー石井 スティーブ・アーセグ タイガー石井 亀松寛都 修斗 堺龍平 山本喧一 平井総一朗 旭那拳

【PFC30】北のケージMMA=PFC。亀松が返上したフライ級王座を狙い、平井総一朗が初参戦

【写真】アーセグに触れた。それだけも今の平井は違うはず(C)MMAPLANET

明日23日(日)、札幌市北区のPOD アリーナでPFC30が行われる。北のケージMMAは3月12日以来、4カ月振りの開催となる。

前回大会ではフライ級王座を5Rに渡る激闘の末、亀松寛都に譲ったザ・タイガー石井が、4月のプロ修斗沖縄大会で旭那拳を破り、さらには7月の大阪大会でサステイン興行に出場するなど、いわば主流とされるMMA界の流れに影響を与えるようになりつつあるPFC。

その亀松はフライ級王座を返上し、今大会ではバンタム級で大高幸平と対戦する。6月24日のRIZIN札幌大会における同郷ファイターの活躍に刺激を受けた亀松は「ここから無敗でRIZINに出たい」と明日の試合への意気込みをプレスリリースに寄せている。


亀松の返上したフライ級王座を目指し、平井総一朗がPFC初参戦しランク1位の黒石大資と相対する。平井はNEXUSフライ級王座を取り逃した後に、豪州#01フィーダーショーといっても過言でないEternal MMAに参戦──も、現UFCファイターのスティーブ・アーセグに完敗を喫した。

キャリアの仕切り直しは北の大地から。「所(英男)会長の下で格闘技を始めた僕がPFCで戦うことに何か運命を感じています。ジムから最初のPFC参戦ということで使命感と責任感を背負って戦いに挑みます」という平井。

所は──UWF風の表現を使えば、Power of DreamではPFC山本喧一代表の弟子にあたる。いってみればこの一戦、PFCからすると孫弟子が本丸に乗り込んで王座奪取に乗り出すという見方ができる。

PFCウェルター級チャンピオンの新名正啓がコロナ禍以降、初ケージイン=ノンタイトル戦で成田佑希をメインで戦う同大会では福岡のRanger Gymからkoki、堺龍平、柿原RR昇汰の3選手が列島縦断参戦を果たすなど、充実のラインナップとなった。北の動きが再び日本のMMAに影響を及ぼすか、バリューアップに大切なイベントとなる。

■視聴方法(予定)
7月23日(日)
第一部=アマチュア:正午~ PFC YouTube Channel
第二部=プロ:午後5時~PFC YouTube Channel

The post 【PFC30】北のケージMMA=PFC。亀松が返上したフライ級王座を狙い、平井総一朗が初参戦 first appeared on MMAPLANET.