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【UFC293】マリスカルと対戦、ジャック・ジェンキンス「前に出て戦うだけでは、UFCでは勝てない」

【写真】母国でのファイトの利点を話していたが、取材の多さなど米国の方が気楽な点もあることはあるようだ (C)MMAPLANET

明日10日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州シドニーのクードスバンク・アリーナで開催されるUFC 293「Adesanya vs Strickland」にジャック・ジェンキンスが出場し、母国のファンの前でチャペ・マリスカルと対戦する。
Text by Manabu Takashima

Eternal MMAフェザー級王者からコンテンダーシリーズを経て、UFCにステップアップを果たしたジェンキンスは、オクタゴンでも2連勝中だ。確かなキックボクシングの技術力を誇るジェンキンスが、喧嘩屋マリスカルに向けて語るなかで、彼の揺るぎないファイト・フィロソフィーが見えた。


――ジャマール・エマース戦前のインタビューでは、豪州から米国で戦う時の時差や季節の違いの調整について話していただきましたが、今回は母国でのファイトになります。

「ジェットラグのアジャストは必要ないし、他の国で戦う時に感じる問題が一切ない。試合までのプロセスが本当に楽だよ」

――そして試合に関してもケージがあるなら、アメリカン・レスラーにも簡単にテイクダウンを奪われない。さらに蹴りを使えることがアドバンテージだと言っていましたが、まさにテイクダウンを防ぎ、カーフを効かして競り勝ちました。

「本当に接戦だった。試合前にインタビューを受けた時から、彼がトップ15に値する力の持ち主であることを期待していて、その通りのファイターだった。試合の序盤はテイクダウンを奪われたしね。僕の打撃と彼のアメリカン・レスリングの激突は、一進一退の攻防になった。時差ボケ、長旅の末のパフォーマンスとしては満足しているよ。

カーフキックを効かすことができ、僕のキックはアメリカン・レスラーにはやはり有効だった。カーフキックはMMAを変えたよ。2発、3発……いや、時には1発で試合を決めることができるからね」

(C)Zuffa/UFC

――では今回の対戦相手のマリスカルについては、どのような印象を持っていますか。

「タフな対戦相手だよ。めちゃくちゃアグレッシブで、あそこまでアグレッシブなファイターはUFCでも数パーセントしかいないだろう。とにかく、前に出て戦う選手だ」

――ブロウラー的なファイターに感じます。

「そうだね。僕の方がクリーンに、そしてスマートに戦えることは確かだ。近い距離になれば、僕のモノだ」

――スラッピーでワイルドでありますが、同時に気持ちも強いかと思います。その辺りはどのように感じていますか。

「そうだね、だからこそ僕に勝機があると思っている。そして、そういうイメージがあるからこそ、彼がブロウラーだと思い込み過ぎないようにしている。あまり強く印象を持つと、何かを見落としてしまうからね。これは、どの試合でもそうしているよ。その喧嘩屋っぽい相手と戦うのも、チャレンジの一つだ。

同時にただ前に出て戦うだけでは、UFCでは勝てない。そんな戦い方が通用するような場所じゃないからね。僕のゲームに彼を誘い込む。そうだね、前蹴りとジャブ。この2つで彼を突き放して、前に出させないよ」

――では母国で戦う優位さとは別に、ファンの期待が高いことをプレッシャーに感じることはないですか。

「母国で戦うことで、絶対的に米国で試合をするときよりもファンの注目度は高いよね。そしてプレッシャーになる。でも、僕はこのプレッシャーが悪い影響を与えるとは思っていない。国の期待は、今後上にいくほど増えていくことだしね」

――その注目度の高いファイト、これからさらに前に進むためにどのような試合を母国のファンに見せたいと思っていますか。

「絶対的な支配力を見せる。戦う上で一番大切なことは、勝利を手にすること。次にドミネイトすること。エキサイトな試合をすることが最重要だと考える選手もいるけど、僕はそうじゃない。試合は勝たないといけない。結果的にエキサイティングな試合になって、ファンが喜んでくれるならハッピーだ。でもまず勝つこと。次にドミネイトすること。無理やりエキサイティングな試合になるよう戦うつもりはない」

――ところで豪州でのPPVショーは、試合開始が日曜の朝です。この時間帯に戦うことをどのように思っていますか。

「いつも10時半や11時から練習をしていから、何も問題じゃないよ」

■視聴方法(予定)
9月10日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

■ UFC293対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]イスラエル・アデサナニャ(ニュージーランド)
[挑戦者]ショーン・ストリックランド(米国)

<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ(豪州)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<フライ級/5分3R>
マネル・ケイプ(ポルトガル)
フィリッピ・ドスサントス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
ジャスティン・タファ(豪州)
オースティン・レーン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
タイソン・ペドロ(豪州)
アントン・トゥルキャリ(スウェーデン)

<ライトヘビー級/5分3R>
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)
チョン・ダウン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
ジャック・ジェンキンス(豪州)
チャペ・マリスカル(米国)

<ライト級/5分3R>
ジェイミー・マラーキー(豪州)
ジョン・マクデッシ(カナダ)

<ライト級/5分3R>
ナスラ・ハクパレス(ドイツ)
ランドン・キニョネス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ブラッド・ダイアモンド(ニュージーランド)
チャーリー・ラドキー(米国)

<フェザー級/5分3R>
シェーン・ヤング(豪州)
ガブリエル・ミランダ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ケヴィン・ジュセ(フランス)
キーファー・クロスビー(米国)

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【UFC293】有言実行……いや嘘から出た実はなるか?!=アデサニャ✖ストリックランド戦展望「奇跡は?」

【写真】ジャブでミドル級無双のアデサニャをストリックランドは攻略できるのか(C)Zuffa/UFC

10日(日・現地時間)、豪州のシドニーにあるクドス・バンク・アリーナにて、UFC 293「Adesanya vs Strickland」が行われる。2017年11月以来、実に約6年ぶりにこの地での開催となる今大会のメインイベントは、王者イスラエル・アデサニャにショーン・ストリックランドが挑むミドル級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

アデサニャは2019年6月にロバート・ウィティカーを破って正規王者に。当時のライトヘビー級王者ヤン・ブラホヴィッチに挑んでの二階級王者奪取こそ失敗したものの──実に5度の連続防衛に成功した。昨年12月にはキックボクシング時代からの天敵アレックス・ペレイラに5R逆転TKO負けを喫して王座陥落したが、今年の4月に再戦。

2Rに劇的なKO勝利を挙げてリベンジに成功した。ペレイラが階級を上げた今、ミドル級では頭二つほど抜けた存在だ。


ランキング5位のストリックランドと、チャンピオンの因縁は、昨年7月のUFC 276の試合前記者会見から始まっていた。同大会のメインでジャレッド・キャノニアの挑戦を受けるアデサニャと、アレックス・ペレイラとの対戦を控えたストリックランドは、お互いの対戦相手そっちのけで口論を交わしたのだ。

もちろん先制攻撃を仕掛けたのは、数秒に1回は放送禁止用語を口にするのが通常運転のストリックランドの方だ。アニメ好きで有名なアデサニャに対して「おい、Pornhub(世界最大のアダルトサイト)のお前のページはアニメばっかなんだよな! アニメでbeat off(自慰行為)している奴が、俺をbeat(ぶちのめす)することができるわけねーぜ!」と下品だが上手いことを言って挑発。

すると、王者も負けじと「もしお前が(ペレイラに)勝ったら、次に俺がお前と戦い、KOしてやる。そしてお前の墓の上でTikTokダンスを踊ってやるよ」と言い返す。

するとストリックランドはいかにも嬉しそうに──「ハ! 聞いたか? 大の大人がTikTokだってよ! こういうのがヤベーんだよ。こんな野郎がチャンピオンなんだぜ!」とさらに煽る。

その後も言い合いは続き──。

ストリックランド まあ、イジーはいい奴だぜ! 俺はポルノアニメ中毒の男をダメ野郎だと見下したりしねえんだ!

アデサニャ そのジャンルはHentaiって言うんだ。そのくらい知っとけや!

ストリックランド なるほど、Hentaiか。俺は大人だからそんなもん見ねーよ!

アデサニャ とにかくお前は、(ストリックランドの対戦相手のペレイラを指して)この男に集中したほうがいいぞ。マジだ。こいつはお前をあっという間に眠らせちまうからな。

などと──誰が得するのか分からない方向に話は展開し、アデサニャの警告通りストリックランドはペレイラに1RKO負けを喫し、続くジャレッド・キャノニアは1-2で競り負け、ランカー上位の壁に跳ね返された。

その後、今年1月にランキング12位のナソーディン・イマボフ戦(ライトヘビー級契約)に競り勝つと、7月にはノーランカーのアブス・マゴメドフを2RKOに下して現在2連勝中とはいえ、本来ならば挑戦権を得られるような実績ではない。

実際、現在アデサニャの挑戦者に最も相応しいとされているのは、7月にウィティカーを倒した南アフリカのドリキュス・デュプレッシーだ。が、デュプレッシーはその試合で負傷。当初よりシドニー大会への出場を熱望していたアデサニャ──10歳の頃に故郷のナイジェリアからニュージーランドに移住している王者にとって、同じオセアニアのシドニーは地元同然だ──の挑戦者が見当たらなくなってしまったのだ。

そこで今回白羽の矢が立てられたのが、ランキング6位までの選手中、デュプレッシー以外で唯一アデサニャとの対戦経験のないストリックランドというわけだ。

実績も地位も大きく差のある両者だけに、下馬評では王者が圧倒的有利だ。両者の主武器であるスタンド打撃を比較しても、王者有利説は揺らがない。まず武器の数が違う。アデサニャは自在にスイッチして左右の多彩な蹴りとパンチを使いこなすが、常にオーソのストリックランドの打撃は、前蹴り以外はほぼパンチのみ。もし遠い間合いで戦えば、アデサニャの蹴りで翻弄されローでダメージを蓄積される可能性が高いので、ストリックランドとしては得意のジャブを多用しながら前に出るしか勝機はないだろう。

しかし、打撃一発一発の精度と鋭さ、反応速度やスピードも目に見えて王者が上だ。抜群の距離感と巧みな足捌きを持つアデサニャが、前に出たいストリックランド相手に自分の間合いを保ちつつ、カウンターを面白いように当てる展開が容易に想像できる。

だが──それでもストリックランドには、大番狂わせを期待させる何かがある。幼少時代「とんでもねえ人種差別主義者の祖父とアル中で虐待癖のある父親」に育てられ、自分の性格も大きく歪んでしまった語るストリックランド。

内面の怒りを抑えきれずにハイスクールをドロップアウトされた後、MMAジムで練習を初体験したとき「人生で初めて幸せを感じた」と語る。

それ以来MMAに生活の全てを注ぎ、現在まで周囲が引くほどのハードなスパーリングを毎日重ねてきた。排外主義的、性差別的な発言で物議を醸すことも多く「MMAがなければ、俺は間違いなく今監獄にいるよ」と語るストリックランド(過去の犯罪歴もあり、今回豪州入りのためのビザ取得にも苦労があったようだ)には、MMAこそ社会で生きる唯一の術だ。

数限りないスパーを通して独自のスタイルを練り上げたストリックランドは、やや不格好だがよく伸びるジャブを持つ。さらに自己流L字ガード的な体捌きで、打撃を完全に避けきれなくても威力を逃す術にも長けている。

多少打たれても意に介さず前に出続ける闘志と、それを5R続けるスタミナも間違いなく持っている。遠距離では決して王者に当たらないであろうパンチも、距離を詰めることができれば話は別だ。前回のマゴメドフ戦では、一度ケージ側に詰めたら倒し切るまで延々と連打を放ち続けてみせた。組技のフィジカルに関しては王者を上回っており、ボディロックからのテイクダウンもあり、上をキープしパウンドで削るスキルも持っている。

技術的洗練を極めた王者の打撃を、戦う以外は社会に居場所のない挑戦者が、不格好かつ愚直にプレッシャーをかけ続け、最後には呑みこんでしまう奇跡は訪れるのだろうか。

■視聴方法(予定)
9月10日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT


■ UFC293対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]イスラエル・アデサナニャ(ニュージーランド)
[挑戦者]ショーン・ストリックランド(米国)

<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ(豪州)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<フライ級/5分3R>
マネル・ケイプ(ポルトガル)
フィリッピ・ドスサントス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
ジャスティン・タファ(豪州)
オースティン・レーン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
タイソン・ペドロ(豪州)
アントン・トゥルキャリ(スウェーデン)

<ライトヘビー級/5分3R>
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)
チョン・ダウン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
ジャック・ジェンキンス(豪州)
チャペ・マリスカル(米国)

<ライト級/5分3R>
ジェイミー・マラーキー(豪州)
ジョン・マクデッシ(カナダ)

<ライト級/5分3R>
ナスラ・ハクパレス(ドイツ)
ランドン・キニョネス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ブラッド・ダイアモンド(ニュージーランド)
チャーリー・ラドキー(米国)

<フェザー級/5分3R>
シェーン・ヤング(豪州)
ガブリエル・ミランダ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ケヴィン・ジュセ(フランス)
キーファー・クロスビー(米国)

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MMA MMAPLANET o UFC UFC290 アレックス・ヴォルカノフスキー イスラム・マカチェフ シリル・ガンヌ ジャイー・ロドリゲス ジョシュ・エメット ジョン・ジョーンズ ブラッド・ダイアモンド ボクシング マックス・ホロウェイ ライカ 平良達郎

【UFC290】勝負勘と当て勘の交錯!! UFC世界フェザー級王座統一戦=ヴォルカノフスキー✖ロドリゲス戦展望

【写真】この身長差こそ、実はヴォルカノフスキーの得意とするところ。ロドリゲスのレンジは、実は正規王者の距離でもある (C)Zuffa/UFC

8日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナにて、UFC 290が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

日本から平良達郎も出場するこの大会のメインイベントは、正規王者アレックス・ヴォルカノフスキーと暫定王者ジャイー・ロドリゲスによるUFC世界フェザー級タイトル統一戦だ。


ヴォルカノフスキーは2019年12月にマックス・ホロウェイからタイトルを奪取して以来、4度の防衛に成功しているこの階級の絶対王者だ。今年の2月には階級を上げてイスラム・マカチェフの持つライト級王座に挑戦。この試合は、当時パウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキング1位のヴォルカノフスキーと同2位のマカチェフによる究極の頂上対決と言えた。

階級上にして世界一のMMAレスラー・マカチェフにも容易にテイクダウン&コントロールを許さなかったヴォルカノフスキーは、無尽蔵のスタミナと武器に回を重ねるごとに勢いを増してゆく。5Rにはなんとスタンドレスリングでも組み勝ち、さらにパンチを当てて上のポジションを奪取、マカチェフを防戦一方に追い込んで試合を終えた。結局僅差の判定で敗れたものの、底知れぬ強さを見せつけたヴォルカノフスキーは試合後もPFP1位の座を保持したのだった。(※その後、シリル・ガンヌに圧勝してヘビー級王座に就いたジョン・ジョーンズにその座を譲り現在は2位)

そのヴォルカノフスキーがライト級に挑む間に、暫定王座を獲得したのがジャイー・ロドリゲスだった。ジョシュ・エメットとの決定戦では、遠い間合いから繰り出す強烈な左右の蹴りで圧倒。2R、飛びヒザを当てた後に下のポジションになったものの、そこからエメットのパウンドをニーシールドとフレームで対処し、腕狙いから三角絞めを極めてみせた。

今回の王座統一戦の最大の鍵は、両者の最大の武器であるスタンドの攻防でどちらが主導権を握るかだろう。

ロドリゲスは、言わずと知れたMMA界屈指の変幻自在の打撃の使い手。幼少時にはじめたテコンドー仕込みの回転系の足技、そしてコリアンゾンビをKOした下を向いて突き上げるエルボー等、数々の変則にして精度の高い武器を繰り出す。が、派手な技だけが得意なわけではない。エメット戦ではハイをブロックさせてからの正確にして強烈無比なミドルやヒザを食い込ませ、常にスピード溢れるパンチのフォローアップを入れる等、ストライカーとしての総合的完成度の高さを見せつけている。

今回の大勝負に向けても「アレックスが偉大なファイターなのはよく分かっている。でも僕のスタイルは、彼にとってもきわめて対処が難しいものだと思うよ。僕は今まで攻略されたこともあったけど、その度に自分の弱点を克服して強さに変えてきた。今回も判定をジャッジに委ねるのではなく、4RにTKOで仕留めたいと思っている」とロドリゲスは自信をのぞかせている。

対するヴォルカノフスキーも「僕が前回ライト級でイスラム相手にあれだけの戦いをしたもんだから、次のフェザー級の試合は楽勝だと思っている人も多いけど、そんなことはない。ジャイーは非常に予測しにくい打撃の持ち主だし、きわめて危険な相手だよ」と、全く油断はしていない様子だ。

「僕がいつだって試合に向けて万全の準備をすることはみんな知っているだろう?」と語るヴォルカノフスキー。以前マックス・ホロウェイとの3戦目では、無数のフェイントとフットワークを駆使し、常に優位な位置とアングルを確保しホロウェイのパンチを誘い出しては避け、強烈な左右のパンチとローを浴びせ続けて完勝。MMAボクシングの達人を、相手の土俵で完全コントロールするという驚愕のパフォーマンスを見せた。168センチの身長とは不均等に長い180センチのリーチから繰り出されるスピードと破壊力とボリュームを兼ね備えた拳、天性の距離感覚と勝負勘に加えて、ゲームプランの緻密さと卓越した実行力こそ、ヴォルカノフスキーを絶対王者たらしめている大きな要因だ。

陣営は今回の試合に向けて、ニュージーランドのシティボクシングにおけるチームメイトにして、派手な蹴りを得意とするブラッド・ダイアモンドことマイク・マセサ、はたまたITFテコンドーの世界大会で数々の優勝を飾り、殿堂入りを果たした超アクロバティック・ストライカーのカール・ヴァン・ルーンも招聘。彼らにロドリゲスの戦い方を研究、模倣してもらうことで対策に余念がない。

ヴァン・ルーンからテコンドー流の後ろ回し蹴りも伝授されたヴォルカノフスキーは「僕は敵の本領でも上回るのが好きなんだ。今回の試合では、テコンドー・ヴォルクがみんなの前に姿を現すかもしれないぞ!」とジョークも飛ばす余裕も見せている。

「僕はエメットのように、彼の正面に立って前に出るような戦い方はしない」、「ジャイーがやるようなリスキーな動きは、同時に隙を生むんだ。いつでもそこにつけ込む準備ができているよ」と絶対王者が話せば、対する暫定王者も「僕のスタイルは、他の人が考えているものとは違う。みんなケージで僕と向き合って初めて分かるんだよ」と語る。

当代随一のダイナミック・ストライカー、ロドリゲスが遠間から繰り出す多彩な足技を、稀代の戦略家ヴォルカノフスキーはいかなる位置取りから攻略にかかるのか。世界の頂点に君臨するヴォルカノフスキーの想像すら上回る打撃をロドリゲスは炸裂させられるのか。試合開始直後から目の離せない王座統一戦だ。

■視聴方法(予定)
7月9日(日・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時30分~U-NEXT

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o UFC キック ジェイク・マシューズ ブラッド・ダイアモンド

UFC on ESPN+80:第7試合・ジェレマイア・ウェルズ vs. マシュー・セメルスバーガ

ウェルター級。

ウェルズは2021年、試合5日前の欠場選手の代役として、34歳での遅いUFCデビューを飾ったが、中堅クラスのTUFブラジル3ウィナー・ワーレイ・アウベスに打撃で積極的に攻めて2RKO勝ち。昨年2月の2戦目はキックボクサーでUFCデビュー戦のブラッド・ダイアモンドにテイクダウン→パウンド→バックを取ってのチョークで1R一本勝ち。3戦目は大ベテランのコート・マッギーに1Rにワンツーを打ち込み失神KO勝ちで3連勝・3連続フィニッシュ勝利と、前座戦線を抜け出しつつある。36歳。

セメルスバーガーはUFC5勝2敗。中量級では珍しいアメフト出身(ただし、大学時代はレスリングも並行して行っていた)。パンチが武器のストライカー。このところは中堅クラス同士の対戦が続いており、アレックス・モロノには撃ち負ける展開で判定負け、ジェイク・マシューズには1・2Rにダウンを奪い、3Rに逃げ切っての判定勝ち。しかしまた今回も中堅クラスとの対戦に。ランカー挑戦の道は遠い。30歳。

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MMA MMAPLANET o UFC UFC277 オライアン・コウシー ブラッド・ダイアモンド

【UFC277】オライアン・コウシー、最終回を取り切りダイヤモンドに快勝も計量失敗を詫びる

<172.5ポンド契約/5分3R>
オライアン・コウシー(米国)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ブラッド・ダイアモンド(ニュージーランド)

コウシーの右ハイに、軸は支払いのローを放ったダイヤモンドがワンツーを入れる。左フックを2発見せたコウシーが、シングルレッグからクリンチへ。レベルチェンジにも対応し、ボディにヒザを突き刺したダイアモンド。コウシーもヒザを見せたが、両ワキを差したダイアモンドが体を入れ替える。

ダイアモンドが首投げに耐え、コーシーも背中を預けずにクリンチの状態に戻る。と、コウシーの払い腰が決まり、サイドでダイアモンドを抑える。殴らせないよう腕を掴むダイアモンド、鉄槌を落とし上四方に回ったコウシーは背中を向けられるとバックを取り、スープレックスで後方に投げる。すぐに立ち上がったダイアモンド、コウシーが離れて距離を取る。ダイアモンドは背中を向けるような変わった姿勢で左ハイを当てながら、姿勢を乱した。

2R、鋭い右ローを入れたダイアモンドが前蹴り。コウシーも左ミドルを返すが、ダイアモンドの左フックに組んでいく。即ダイアモンドが投げを狙う姿勢を見せ、耐えたコウシーがケージに押し込む。金網際で体を入れ替える両者、結果的にケージを背負ったダイアモンドはヒザを繰り出す。エルボーを入れて、組みなおしたコウシーのダブルレッグ狙いをダイアモンドはキムラクラッチで防ぐ。

コウシーは頭を挙げて離れると、ダイアモンドがワンツーから左ローを蹴る。さらに左フックから左ハイというコンビを見せたダイアモンドは前蹴り、左を当ててヒザ蹴りからスピニングバックフィストの同士討ちという珍しい場面が生まれる。姿勢を乱したダイアモンドだが、コウシーがダメージで動けないのを確認するとパンチでラッシュをかけ、組まれても切って左ハイ、さらにエルボーを打ち込む。コウシーはダブルレッグからシングルでケージにダイアモンドを押し込むが、エルボーとパンチを被弾する。ダイアモンドはヒザ蹴りで後方にバランスを下しパウンドを落とされ時間に。

最終回、立てヒジを入れたダイアモンドが左フックを決める。首相撲からヒザを受けながらコウシーはクリンチに持ち込むと、胸を合わせた状態から後方に投げを決めてサイドで抑える。ハーフガードから立ち上がろうとしたダイアモンドのバックに回ったコウシーが、前方にテイクダウンして両足をフックする。

ダイアモンドは背中を伸ばされ、絞めを狙うコウシーの後方からのパンチを受ける。肩固めに切り替え、トップ取ったコウシーはマウントへ。もう一度、肩固めをセットし逆側にスライドしたコウシーだが、取り続けずサイドから上四方へ。

背中を見せたダイアモンドを再びバックグラブに捕らえたコウシーは、背中を伸ばしてエルボーを落とす。上体を上げたことでダイアモンドは上を向きなおす。Zガードにコウシーがパンチを入れたところでタイムアップに。最終回を明確に取ったコウシーが判定勝ちも、体重オーバーをダイアモンドとマイクでファンに謝罪した。


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