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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:2月 鶴屋怜×チーニョーシーユエ「どう原石が磨かれるか」

【写真】練習仲間たちは、まさに渡辺を送り出す。そんな空気に包まれていた(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2024年2月の一番──2月4日に行われたRoad to UFC2023Finalの鶴屋怜×チーニョーシーユエ戦について、担当・中村の「取材は3月31日だったのでギリギリOK」という言い訳と共に語らおう。


――取材日が3月31日ということで……ギリギリ2月の「今月の一番」で間に合ったということでよろしくお願いします(笑)!今回は鶴屋怜×チーニョーシーユエをピックアップしていだきました。

「トーナメント全体を見て鶴屋選手の強さが際立っていたと思いますし、特化している技術でトーナメントを勝ち抜いた凄さもあったと思います。これからUFCで試合を重ねていくことで、21歳の彼がどう仕上がっていくのかを楽しみにしています。この試合そのものを推したいというよりも、これからの鶴屋選手への期待感も込めて、この試合をセレクトしました」

――鶴屋選手はレスリングのバックボーンがありますが、テイクダウン&トップキープという手堅い戦い方ではなく、色んなことにトライする思い切りのよさが特徴的なファイトスタイルだと思って見ていました。

「だからこそ準決勝でマーク・クリマコとフルラウンド戦ったことが大きな経験になったと思っていて。あの思い切りのいいスタイルをUFC本戦でもやりきるのは大変だと思うんですよ。Road to UFCの選手たちは決してトップレベルではないですし、それで今のスタイルをやりきれている部分もあると思うので。逆にクリマコはLFAでもキャリアがある選手なので、ああいった試合の経験も踏まえてUFCでどんな戦い方をするのか注目したいです」

――例えば首投げからの袈裟固め。あれは鶴屋選手の必殺技であり、得意な形である一方、UFCの本戦レベルの選手に対してはリスキーな技なのかなとも思ってしまいます。

「そうなんですよ。ただ、今の鶴屋選手はダイヤの原石だと思うので、ここからどう原石が磨かれていくかですよね」

――自分の武器をどうぶつけるか。ユニファイドルールや北米の選手と戦ってどう勝つか。UFCにチャレンジする選手はそのバランスが一つの壁だと思っています。

「今のスタイルのままでいくと、いずれ大きな壁にはぶつかると思います。それは本人もチームのみなさんも考えていることだと思いますし、UFCのトップ選手たちと戦う前にUFCでの戦い方・勝ち方を身につけてほしいです。UFCとしても鶴屋選手を将来性のある存在的な扱いで、ちゃんと段階を踏んだ相手を用意してくれると思うので、そこで一戦一戦成長しながら勝っていく。

そして最終目標までたどり着いてほしいです。だからこそ鶴屋選手のUFCデビュー戦が決まる前にRoad to UFCの試合を再チェックしておくと、鶴屋選手の進化や変化も分かって、日本のUFCファンにとってはすごくいい楽しみ方もできると思います」

――そういう意味ではいきなり本戦契約するのではなく、Road to UFCから実績を積んでトップ選手と勝負できる環境は遠回りのように見えて充実したキャリアの作り方とも言えますね。

「はい。それこそ僕はCAGE FORCEのトーナメントで優勝して、WECデビュー戦の相手がミゲール・トーレスでタイトルマッチでしたからね(笑)」

――北米デビュー戦の相手がいきなり当時の軽量級世界最強(笑)。

「すごく貴重な体験でした(笑)。今はUFCのオペレーションのなかで、試合が決まる→試合までの練習・準備をする→試合当日を迎えるという流れを経験できる場があるので、それはすごく大きいと思いますね」

――UFCというピラミッドの一番下からキャリアを積み重ねることは決してネガティブではない、と。

「むしろポジティブな要素の方が多いと思います。しかも今UFCで戦っている日本人はみんな若いですし、慌てて試合を重ねるのではなく、今のUFCのレールに乗って、キャリア相応の相手と戦って、着実に上に上がっていくといいと思いますね。平良(達郎)選手はまさにそうじゃないですか。2人とも同じフライ級で、同門のような存在だと思いますが、この2人がランキングを駆け上がってUFCのベルトをかけて戦うことになったら、日本のMMAは盛り上がると思います」

――水垣選手の戦績を振り返ると、WEC・UFC参戦当初は勝ち負けを交互に繰り返して、徐々に勝ち星を伸ばしていくキャリアだったんですね。

「今は契約満了まで試合をやらせてもらえることも多いですが、当時は2連敗したらリリースされるという暗黙のルールのようなものがあったので、毎回崖っぷちの感覚で試合をして、何とかサバイブしていましたね。だから一戦一戦を何としてでも勝たなければいけなかったし、そのプレッシャーも大きくて、自分を成長させる余裕や時間はなかったなとも思います。もう少し時間的な余裕があって、自分を成長するための時間を作れたら、もうちょっと変わった自分を出せたのかなとも思っていて。そういう意味で鶴屋選手はすごくいい環境にいると思うので、自分を磨いて強くなって欲しいなと思います」

――水垣選手がWECで戦ってきた相手も錚々たる選手たち(ミゲール・トーレス(戦)、ジェフ・カラン(戦)スコット・ヨルゲンセン(戦)ハニ・ヤヒーラ(戦)ユライア・フェイバー(戦))ですし、あそこで米国で勝つ術を覚えたことがUFCでの5連勝にもつながったと思います。

「WECの5戦は本当にきつかったですけど、自分を成長させてくれた試合でしたね。WECは一階級の契約選手が20選手くらいで、当時のバンタム級のトップ20人が集まっているような状況だったので、毎回がトップランカーとの対戦だったんです。なかなかタフな戦いでしたけど、今思えば一番充実していた、楽しかった時期だったかもしれないです」

――今回も水垣選手らしいコメントをありがとうございました!

「Road to UFCという注目される舞台を経てUFCで戦う。そこで選手が成長していく、チャレンジしていく過程を見ていくのは今のUFCの楽しみ方だと思うので、鶴屋選手の成長とチャレンジにも注目したいと思います」

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45 MMA MMAPLANET o Road to UFC Road to UFC2023 Road to UFC2023Final UFC ロン・チュウ 原口伸

【Road to UFC2023Final】原口、右のカウンターを浴びて3RにRNCで一本負け。チュウがUFC返り咲き

<Road to UFCライト級T決勝/5分3R>
ロン・チュウ(中国)
Def.3R3分06秒 by RNC
原口伸(日本)

サウスポーの原口がシングルレッグに入るが、チュウが切る。すぐに原口は左足にシングルレッグに入り、その左足を持ち上げるようにチュウをケージに押し込む。バックについた原口がヒザを入れると、チュウが正対する。原口はボディロックで押し込み、再びシングルレッグへ。チュウは深く組ませずに距離を取る。

チュウは左手で距離を測りつつ右ミドル。原口は左のパンチを振って、ニータップでテイクダウン。チュウは尻餅をついたままケージに移動するが、原口はチュウの手を取って寝かせる。チュウは背中を見せて立つと、原口のクリンチ際にパンチをまとめる。左を見せて組もうとする原口。距離を取ったチュウがワンツーを打ち込む。

これをもらう原口だったがダブルレッグに入って、リフトするようにテイクダウンする。原口はサイドポジションからヒジを落とし、チュウは脇を差して立ち上がる。チュウは左手を伸ばして距離を取って右ストレートを当てる。なかなかタックルに入れない原口だったが、左フックからニータップで組んでシングルレッグへ。離れ際に左フックを打った。

2Rもチュウは左を伸ばして、右ストレート・右の蹴りを狙う。原口はシングルレッグに入りつつ、離れ際の打撃を狙う。チュウが右ストレートと右ミドル、原口のダブルレッグに右ヒザ蹴りを合わせる。何とか組んだ原口が左足にシングルレッグに入って、チュウをケージに押し込む。チュウが半身になると、原口はチュウの左足を自分の左足に乗せて固定し、コツコツとパンチを入れる。

チュウもケージを背にして立ち上がり、左手を入れて原口の組みを切る。距離が離れるとチュウが右ミドル、右フック、右のヒザ蹴り。原口も左ハイを蹴って、シングルレッグに入るが切られる。原口が左フックを振ると、チュウは右アッパーから左フック、組み際の右のヒザ蹴り。

段々と組みに行けなくなる原口に対し、チュウがジャブから右フック、右の前蹴り、右ストレート。原口もガードを上げて左ストレートを返すが、打撃ではチュウにが分があり、右ミドル、右ボディ、右ストレート、右の三日月蹴り。チュウのコンパクトな右が原口を何度も捉えた。

3R、チュウが右の飛びヒザ蹴り。原口は左ストレートからシングルレッグに入るが、テイクダウンできない。チュウは右ストレートで前進し、これで原口の動きが止まる。距離があいまいになる原口に対し、チュウが強烈な右ストレート。この一発で原口のマウスピースが吹っ飛ぶ。なんとかシングルレッグに入った原口だがチュウをテイクダウンできない。

レフェリーにマウスピースをつけるように指示され、マウスピースをつける原口だったがしゃだんだ状態からすぐに立ち上がれない。何とか試合再開となるが、シングルレッグでしがみつく原口にチュウが鉄槌を連打。亀になる原口は動きなく、チュウが殴り続ける。最後はチュウが首だけを絞めるRNCを極め、原口がタップして試合が終わった。

最後までテイクダウンを仕掛けた原口だったが無念の一本負け。一方、この勝利でUFC再契約となったチュウは「アイム・バックUFC。これがUFCに戻れる最後のチャンスだったから、すごくプレッシャーを感じていた。チーム、PI上海、エンポ―に感謝している。ハラグチはとてもタフで、下がるとどんどん出てきたと思う。ダナ、Road to UFCはボーナスがないけど、受け取るに相応しいパフォーマンスを僕らは見せたよ。この瞬間を本当に長い間待っていた」と語った。


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45 MMA MMAPLANET o Road to UFC Road to UFC2023 Road to UFC2023Final UFC イー・チャア リー・カイウェン

【Road to UFC2023Final】体重超過のカイウェンを腕十字破ったイー・チャアが、フェザー級を制す

<Road to UFCライト級決勝/5分3R>
イー・チャア(中国)
Def.1R3分03秒by 腕十字
リー・カイウェン(中国)

リー・カイウェンの計量失敗で149 .5ポンド契約で実施されることになった一戦。互いにサウスポーで構えた友人対決は、まずイー・チャアが左ローを蹴る。リー・カイウェンもローを返すが、イー・チャアも左ローで前足を蹴り、左ストレートを伸ばす。リー・カイウェンは左を2度、3度と被弾するとアッパーカットを突き上げられる。さらに左を入れたイー・チャアはテイクダウンを狙うが、切ったリー・カイウェンがパンチでラッシュをかける。ここも組んだイー・チャアは左エルボーを受けながら、ダブルレッグへ。押し返したリー・カイウェンが小外掛けでテイクダウンを奪いトップと取り切る。

と、イー・チャアは腰を切って腕十字一閃。腹ばいになり右腕を伸ばされたリー・カイウェンが、タップし勝負は決した。

「UFCで戦える能力があることを、証明できた。これで正式にUFCファイターだ。リー・カイウェンは僕の兄弟で、彼が体重を落とせなかったけど本当にハードワークの重ねてオクタゴンに上がったんだ。彼は今も良いファイターだよ。ボーナスを貰って、2人揃ってUFCと契約したい。僕らは友人だけど、オクタゴンに入ればファイトが優先で、友情はその次にある。これが僕らの仕事だから。それが競技なんだ。もっと色々と見せることができる。でも、段階を踏みたいと思う。エンポ―ファイトクラブ、UFC、PI上海、チームに感謝している。旧正月、おめでとう」と話したウィナー。体重をしっかりと落としたイー・チャアの優勝で、フェザー級ファイナルは丸く収まった。


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【Road to UFC2023Final】鶴屋怜、バックマウントからパウンドアウト!1RTKO勝利でトーナメント優勝

<Road to UFCフライ級決勝/5分3R>
鶴屋怜(日本)
Def.1R4分59秒 by TKO
チーニョーシーユエ(中国)

お互いにサウスポー。鶴屋が右手を伸ばし、前後にステップ。チーニョーシーユエの右に合わせて組みつき、チーニョーシーユエをケージに押し込む。鶴屋は左腕を差し、首相撲クラッチから右の肩パンチとヒザ蹴りを入れる。鶴屋はここから首投げを狙うが、チーニョーシーユエはクラッチを外して距離を取る。

チーニョーシーユエはボディへのジャブから左ストレート。鶴屋が前蹴りを見せると、チーニョーシーユエは左ストレートを伸ばす。鶴屋はジャブから左ストレート、右フックからダブルレッグで組みつく。ここから鶴屋は首投げから袈裟固め、肩固めを狙いつつマウント→バックとポジションを変える。鶴屋はシングルバックで左足を斜めにフック=おたつロックで固め、ツイスターを狙う。

さらに鶴屋は右脇でチーニョーシーユエの首を抱え、マウントポジションでネックロック気味のチョーク=エクセキューショナーチョークで締める。これは極まらなかったが、バックマウントで落ち着くと一気にパンチを連打し、レフェリーストップを呼び込んだ。

プロ無敗のまま、UFC契約を勝ち取ったつ鶴屋は開口一番「負けを知りてえーー!」と絶叫。「勝ててよかったというのと、決勝なんで相手も強いので判定になると思っていました。フィニッシュできてよかったです」と試合を振り返った。


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