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【Shooto2022#03】新環太平洋バンタム級チャンピオン石井逸人がバックステージで話したこと。

【写真】悪ぶることが、自分を強く保つ方法論。これを機に弱さを見せることも強さに通じるという生き方をしても良いかと。何があろうと払拭できな過去は存在するのだから、未来を良くしていくのが彼の生きる道で。そうできる仲間が今の石井逸人には存在している (C)MMAPLANET

22日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたShooto 2022#03のメインで、石井逸人が小野島恒太を下し修斗環太平洋バンタム級のベルトを手にした。

試合後の会見で石井は「重心を落としてフレームを創って組み対策をし、右回りに左ハイを合わせてくるので左を取ってストレートを打つ。そこが入れば、下から組んでくるので右アッパーを合わせようと思っていました。相手の右が見えたので、おでこで受けました。それで小野島選手は腕が折れたみたいです。おでこで受ける練習をしていました。カーフは凄く効いて、我慢していました(笑)」と小野島対策を話した。


今回はセコンドに就かなかった長南亮TRIBE代表と創り上げてきた作戦を実行した石井は今後に関して「安藤(達也)選手がRoad to UFCに出ないのなら、日本にいるならもう1回やろうという感じです」と語った。

そして新チャンピオンに「お客さんも友人も、チームメイトも目の前にいない状況です。素直にどのような気持ちですか」と尋ねると以下のような言葉が訊かれた。

石井逸人
「それ言われると俺、泣いちゃうから。勘弁してください(笑)。一番しんどい時に……しんどかった時に『辞めちゃダメだ』って言ってくれた人が自分の回りにいてくて……。俺はこの業界、めっちゃ大嫌いで、病んでいて。もう地元でサラリーマンをしようと思った時に『辞めちゃダメだ』って一生懸命に言ってくれたのが長南さんで……。

めっちゃしんどい時があって……。辞めなくて良かったです……。あのとき、俺のために必死になってくれて……ありがとうございます。やっと……やっと一個、ベルトを取れました。長かったス。アハハハ……本当に辞めなくなって良かったです……。こっちに来てからもしんどいことが多くて、辞めちゃったほうが楽だった。

(自業自得では?)そうスね(苦笑)。今になったら、あの時にこうすべきだったとかあります。やっぱり……。あのときはどうすれば良いのか、手段や方法を知らなくて……。こっちきてもしんどいことばかりで、辞めたいことなんていくらでもありました。でも色んな人と出会って、前の自分より強くなっている。方法と手段を身につけた。感謝とまでは言えないですけど、あの時の自分にも今となっては意味があったと思います。ありきたりですけど。今の俺だと、あの時の自分に『こういう方法があるよ』と言えると思います。

その分チョットだけ、チョットだけ大人になれたかなって。TRIBEに来て良かった。あの時に支えてくれた人に『ありがとうございます』と言いたいです。シンガポールで皆に出会って良かったです。助けて貰って……踏ん張った結果、少しだけ人生良い方に変えられた気がします。感謝しています」

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MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2022#03 キック 修斗 小野島恒太 海外 石井逸人

【Shooto2022#03】最終回にバックを奪った石井が小野島を下して環太平洋王者に、世界王座挑戦をアピール

【写真】最終回のテイクダウンとバックテイクが勝敗を分けた(C)MMAPLANET

<修斗環太平洋バンタム級選手権試合/5分3R>
小野島恒太(日本)
Def.3-0:30-27.29-28.29-28.
石井逸人(日本)

石井が左ロー、小野島はスイッチしながらサークリングする。石井の右ローの打ち終わりに左フックを当てた小野島。石井は左ジャブを突く。小野島は右カーフキックを当てて、石井のワンツーをバックステップでかわす。右フックを振りながら組み付いた小野島は、右腕を差し入れて石井をケージに押し込んだ。左腕を差し返した石井が小野島をケージに押し込み、左ヒザを顔面へ突き上げた。石井は首相撲へ。小野島は支え釣りこみ足で石井のバランスを崩す。そして体勢を入れ替えた小野島、ここでレフェリーがブレイクをかけた。

再開後、石井の右ローに対して小野島が右フックを振るってから右カーフキックを当てる。石井の左ジャブがクリーンヒット、さらに左ローで相手のバランスを崩させた。小野島は石井の右ストレートに右を合わせる。石井の足払い気味のローでバランスを崩した小野島だったが、右カーフを当て、さらにプレッシャーをかけ続ける。石井はニータップから右腕を差し込んで小野島をケージに押し込み、初回を終えた。

2R、石井が右を伸ばす。小野島は左フックから右カーフ、さらに組みついて石井をケージに押し込んでいく。右腕を差し上げて、左腕をかけてハイクラッチに持ち込んだ小野島だが石井を倒すことはできない。ここでレフェリーがブレイクをかけた。石井の右フックをブロックした小野島、石井の左ローを捌いて自身は右カーフを当てる。石井がダブルレッグからケージ際へドライブ、シングルレッグに切り替えるもテイクダウンは奪えず。右腕を差し上げて小野島をケージに押し込む。

ケージを背負った小野島が石井の左足を取って体勢を入れ替えた。バックに回る小野島に対して、石井は右ヒジを入れる。離れた小野島。石井は左ジャブと右ローで追うも、小野島の右カーフがヒットする。石井は小野島の右前蹴りに右ストレートを合わせた。さらにパンチの連打が小野島の顔面を捉える。さらにダブルレッグで小野島に尻もちを着かせた石井、小野島はスクランブルから立ち上がり、そのまま石井をケージに押し込んだ。

最終回、石井が左ジャブから左ロー。小野島は右インローから右のカウンター、さらに左フックへとつなげる。石井は右クロスから左ジャブを当てた。石井の左ジャブと小野島の右カーフ、という展開のなか石井がステップを使い始めた。小野島は左ハイを繰り出すも、石井の右ストレートに阻まれた。石井の右ストレートに右ローを合わせた小野島、石井は左ジャブから右ストレートへ。小野島の右フックをかわしてパンチを当てたあと、ダブルレッグでテイクダウンを奪った。

小野島がフルガードから立ち上がろうとした瞬間、石井がバックに回る。バックグラブから足を差し入れる石井。反転した小野島はスクランブルに持ち込み、シングルレッグで石井に尻もちを着かせた。シングルバックからパンチを打ち込む小野島、石井は足を取りにいったが失敗。ガブった小野島に対し、石井は立ち上がり、両者はケージ中央で打ち合いへ。小野島は相手に来いとアピール、石井も気迫の表情でパンチとローを繰り出し、試合終了のホーンを聞いた。

判定をモノにして王座を獲得した石井は、もう一本のベルト=世界王座挑戦をアピール。この日ツイキャス中継の解説を務めていた世界王者の安藤は「僕は世界(海外)で戦いたいから、修斗が防衛戦を組むのかどうか分からないんですけど……」と濁した。

石井はTHE1.TVの大会MVPを獲得、インタビューでは次に対戦したい相手として、改めて世界王者である安藤の名を挙げた。対する安藤は海外プロモーションと交渉する意志を示しており、今後のバンタム級戦線の動向が注目される。


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MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2022#03 キック 新井丈 箕輪ひろば 黒澤亮平

【Shooto2022#03】新井丈がパンチで圧倒、黒澤亮平の口から大量出血でドクターストップに

【写真】攻撃だけでなく黒澤のパンチへのディフェンスも光った(C)MMAPLANET

<ストロー級/5分3R>
新井丈(日本)
Def.2R by TKO
黒澤亮平(日本)

いきなり距離を詰めた新井、黒澤はケージを背負ってサークリングする。追う新井に対し、左ミドルと蹴りで押し返した黒澤。下がる新井に左ボディストレートを続けて当てる。新井の右ローに対してシングルレッグを狙った黒澤だが、新井が離れてプレッシャーをかける。サークリングしながら足を滑らせた黒澤。ケージ中央で新井の顔面に右ストレートを入れた。新井は黒澤の右をブロックしながらケージを背負わせる。新井の右ローに右ストレートを合わせた黒澤。新井の左目尻から出血が見られる。黒澤のテイクダウンをスプロールした新井は、右ストレートをブロックしながら左フックを振るう。

黒澤はさがりながら左フックを入れた。新井の右フックをかわす黒澤。しかし新井の右ストレート、右クロスをもらってしまう。左ジャブを突く黒澤だが、顔面から出血している。新井は左ボディストレートを突き刺しながら、右を当てると黒澤がフラつくように。新井は頭を振りながら、サークリングする黒澤を追う。新井の右ローをもらった黒澤がヒザを着いた。立ち上がった黒澤を追い続ける新井が、相手の打撃をブロックしながら舌を出して相手を挑発。最後は左ボディを当てて、黒澤を下がらせた。

2R、またも新井が距離を詰める。サークリングする黒澤、左ジャブを突くも新井の前進は止まらない。新井が左ボディストレートを伸ばす。黒澤のニータップをスプロールした新井の左右パンチが黒澤の顔面を捉える。フラつく黒澤。新井の右ボディが突き刺さる。黒澤の右をブロックする新井、相手にケージを背負わせて追い続け、右カーフキックを当てる。口からの出血が激しくなった黒澤。新井のパンチがヒットして、バランスを崩す。ここでレフェリーが試合を中断し、ドクターチェックが入り、ストップとなった。

勝者の新井は「ストロー級は盛り上がっていると思うんですけど、ランカーを倒してきました。箕輪選手はベルトを防衛する気があるのかどうか」と、世界正規王者の箕輪ひろばにメッセージを送った。


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【Shooto2022#03】澤田千優が久遠をドミネイト。テイクダウンから削って最後はRNCで仕留める

【写真】試合を経験するごとにMMAとしての完成度が高まっている(C)MMAPLANET

<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
澤田千優(日本)
Def.2R by RNC
久遠(日本)

サウスポーの澤田が前に出る。久遠は牽制の右ローと右前蹴り。澤田は久遠にケージを背負わせ、そのまま組みついてボディロックからテイクダウンを奪った。フルガードの久遠に対し、右ヒジと右パウンドを落とす澤田。久遠は下から足を利かせ、腕十字や三角を狙っていく。ポスチャーを保って久遠の仕掛けを防ぎながら、澤田がパンチを落としていく。左ストレートを上下に散らす澤田。そのままケージに押し込んで左右の鉄槌やパンチを叩き落としていく。

久遠は澤田の左腕を取って腕十字を狙うも、これを外した澤田が立ち上がる。久遠も柔術立ちでスタンドに戻るも、すぐに澤田が再びグラウンドに持ち込んだ。サイドからパンチとヒジを打ち込んでいく澤田。久遠はハーフガードに戻した。しかし、しっかりと抑え込んだ澤田が左右のヒジを当てていく。相手の左腕を巻き込んだ澤田が、袈裟固めからパンチを落とし続ける。残り10秒でマウントを奪い、そのままエルボーを落として初回を終えた。

最終回、澤田のシングルレッグをスプロールした久遠だが、右ハイをキャッチされてグラウンドへ。スクランブルに持ち込むも、澤田がバックマウントへ。そして右腕を久遠の首に回し、RNCでタップを奪った。

勝ち点3を加えて合計5点となった澤田が、インフィニティリーグでトップに躍り出た。


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【Shooto2022#03】久遠と対戦──澤田千優「レスリングと空手が結びついて動きやすくなっています」

【写真】 取材後、「レスリングで勝ちなさい。ただし澤田千優のレスリングにはパンチと蹴りがある」と岩﨑氏がいえば、AACCの阿部裕幸代表が「それが古代のパンクラチオン」と言葉を続けた(C)SHOJIRO KAMEIKE

22日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2022#03で、澤田千優が久遠と対戦する。

キッズから高校、大学とレスリングで活躍し、兄・龍人の後を追ってMMAに転じた澤田千優。プロ3戦目を前に、MMAファイターとして打撃の成長のために取り組む剛毅會空手の稽古後に、初インタビューを試みた。


――千優選手がアマ修斗で勝った時に、お兄さんの龍人選手が「大学も出ているのだし、MMAなどせずに普通に働いてほしい」と言っていました。千優選手はなぜMMAをしようと思ったのですか。

「大学を卒業してからMMAをしたくなったわけではなくて、中学の時からなんです。AACCでずっと身近に藤井(恵)さんや(浜崎)朱加さん、勿論りゅうりゅうがいたから……というのはあります」

──りゅうりゅうというのは、龍人選手のことですね。

「ハイ。上にもお兄ちゃんがいて……真ん中のおにいちゃんのことはりゅうりゅうって呼んでいます」

──……なるほど。そして龍人選手の影響もあり中学の時から、MMAはしたかったと。

「ハイ。高校に進学せずにMMAをやりたいと両親に伝えたら『バカなことを言わないで。勉強ができないんだから、レスリングで高校に行きなさい』と説得されました。それにMMAでトップにいくには、レスリングでしっかりと頑張られないと中途半端になっちゃうから、レスリングで行けるところまで行こうと思ってレスリングの方に進みました。

でも節目になるとMMAがやりたくなって。『MMAをしたいから大学には進みません』と言った時も家族会議をして、やっぱり『レスリングで行けるところも行くべき』という風に説得されました。そこまでやり切ったら、私もMMAでレスリングを生かしきれるんじゃないかなって思いました」

──結果、レスラー人生で全日本2位、全日本学生2位、社会人優勝、アジアジュニア2位など輝かしい結果を残しています。

「でも大学を卒業してからは就職して……。今も働いているところなんですけど、『やっぱりMMAをやりたいんだよね』って一番上のお兄ちゃんに相談したら『今からでも遅くないじゃない?』って言われて。もちろん、りゅうりゅうは反対しているので、そのことも伝えても『アイツのことなんて放っておけ。自分の人生だし、関係ないよ。他に誰が反対している?』と言ってもらえたので頑張ろうって思いました」

──大学までレスリングを続けているとMMAに転じても運動神経と体力、それとレスリングの技術だけでそこそこ行けることはなかったですか。

「それこそレスリングを軸に戦うと、アマ修斗で勝てました。でも、もっと強い人達と練習しているので、そんなに甘くないことは自分でも理解しています。りゅうりゅうがやられていたり、他のレスリング上がりの人も練習でやられているのを見ているので。レスリングだけじゃ勝てないから、岩﨑先生に打撃を習うようになりました(苦笑)。

レスリングはこのままキープで良いので、MMAができるようになりたいです。打撃は全く知識がないですし、見様見真似でやると何も理解できない。だから、ちゃんと教えてくれる人が私には必要だと思って……。でも一から学ぶ……腑に落ちるというか、納得できる伝え方をしてもらえないと全然身にならなくて」

──ボクシングやキックボクシングを習うことが主流だと思いますが、そこで剛毅會の空手を習おうと思ったのは? サンチンをやっていると白い目で見られることもあるかと思います。

「先生が時々、教えてくれてことが腑に落ちて。先生に教われば間違いないかなと思いました。空手を学ぶことは全く抵抗なかったです。一番近くにいる先生でしたし」

──効果の程を何も疑うことなく?

「ハイ」

──なるほど、それは身に付きやすいですね。他の打撃の経験がある方が、岩﨑空手は素直には入ってこないかと思うところもあるので。

「先生はレスリングも好きなので、レスリングの動きでアドバイスをしてくれたり、そこはとても入ってきやすいです」

──腑に落ちて、身についているという実感はありますか。

「拳(ケン)の強さとか、体重の乗せ方という部分で感じられます。レスリングと空手は似ていないんですけど、結びついて動きやすくなっています」

──去年の11月の中村未来戦での左の突きを見た時に、あれっ……剛毅會空手だと思いました。

「あの時はもう指導を受けていました(笑)。あれは観客席から『止まれ』、『手だけ伸ばせ』って先生の声が聞こえて。『動くな』と。その声に従っただけなんですけど、あとから『基本稽古をやっていないと出ない動きだから』と説明してもらいました。

その後に下がって打つというのを教わったのですが、あの時は止まって打つことを稽古していました。その止まって打つのから、距離を取って少し下がって打てるようになってきまいた。きっと他の打撃を知らないので、体に入りやすかったと思います。

それにやっていると、レスリングと空手が近くなってきたような気がします。距離感は違うのですが、私はボクシングとかキックのように打撃を打とうとすると、重心が上がってフワフワしてしまうんです。『フワフワ』するなって先生に指摘されます。その時はテイクダウンもダメで、蹴りもダメなんです。

でもレスリングでテイクダウンに入れる構えだと、空手の突きがスッと出て。足もパッと強いのが出せて……『あっ、こういうことだ』と身に入ってきました」

──対戦相手の久遠選手、あの優秀なストライカーを相手にMMAで戦ううえで自信の方は?

「今、教えてもらっていることを出せたら間違いはない。間違ったことを教えてもらっているのではないので、間違ったことはしない。そういう自信はあります。もちろん、勝つんですけど。間違っていない自信はあるので、そこを如何に試合で出せるか。

MMAの経験値が違うので、何をしてくるのか分からない怖さはありますが、試合の経験数は自分もレスリングをずっとしてきたので……。MMAは2試合しかやっていないので、それでも緊張してしまうと思うけど、教えてもらったことがちゃんと出せれば間違いはないという自信はあります」

──ところで下らない質問ですが、龍人選手をライバル視していますか。

「舐められたくないというのはあります。誰も言わないけど、りゅうりゅうが一番格好良いと思っていて大好きだし。だから舐められたくないし、負けたくない。格好良いところを見せたいです。りゅうりゅうに恥ずかしくない戦績を残したいと思っています。

まだ認めてもらえていないというのを感じているので、もっと頑張らないといけないと思います」

──では最後に、次の試合でどのようなMMAを見せたいと思っているか意気込みの方をお願いします。

「まだ3戦目で、MMAというには不十分ですけど、やっていることをしっかりと出して──少しでも前の試合より成長したなと思えるように頑張ります」

■視聴方法(予定)
5月22日(日)
午後5時50分~ Twit Casting LIVE
             
■Shooto2022#03

<修斗環太平洋バンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 小野島恒太:61.2キロ
[挑戦者] 石井逸人:61.2キロ

<ストロー級/5分3R>
新井丈:52.2キロ
黒澤亮平:52.2キロ

<バンタム級/5分3R>
藤井伸樹:60.9キロ
齋藤翼:61.25キロ→61.2キロ

<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
久遠:47.6キロ
澤田千優:47.4キロ

<ストロー級/5分2R>
木内“SKINNYZOMBIE”崇雅:52.2キロ
阿部マサトシ:52.2キロ

<バンタム級/5分2R>
榎本明:61.1キロ
ガッツ天斗:61.0キロ

<フライ級/5分2R>
大竹陽:56.7キロ
須藤晃大:56.7キロ

<バンタム級/5分2R>
伊集龍皇:61.2キロ
川北晏生:61.2キロ

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Interview J-CAGE Shooto2022#03 ブログ 久遠 澤田千優

【Shooto2022#03】澤田千優と対戦、久遠「次の試合が最後じゃない。1年後に完全に距離感を掴めるよう」

【写真】これだけ自己分析ができているのだから、格闘IQは相当に高いはず (C)SHOJIRO KAMEIKE

22日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2022#03で、渡辺久江改め久遠が澤田千優と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2002年にスマックガールでプロデビューした久遠は、2007年のゲンカーム・ルークチャオポーカム戦を最後に、MMAから離れていた。2010年にはキックボクシングやシュートボクシングのリングに立ったものの、2011年から再び戦いの舞台から姿を消すことに。2016年にはMMAに復帰し、WSOF CGとVTJで2試合を戦ってから6年――キックボクシングの試合を経て修斗に出場した久遠に空白の5年と現在、そして今後について訊いた。

なお、本日21日(土)行われた計量前に杉本恵と対戦予定だった須恵樹季が、体調不良で搬送され女子ストロー級2回戦は中止となった。


――試合を5日後に控えた久遠選手です(※取材は5月17日に行われた)。

「どうも! お久しぶりです!!」

――格闘技ファンにとっても、渡辺久江改め久遠選手のインタビューは久々となるかと思います。久遠選手は昨年キックボクシングの試合で復帰し、今年に入ってケージでMMAの試合を行いました。MMAとしては2016年6月のVTJ(イ・イェジとドロー)から昨年まで、この5年間は何をされていたのでしょうか。

「VTJのあとも試合が決まっていたんですけど、実はその時に妊娠していることが分かって。出産したあと……ご察しのとおり離婚して、ドタバタしていました。実家に戻ってから落ち着いてきたので、何をしようかと考えたら、私には格闘技しかなかったということです」

――そうだったのですか。昨年11月にで久遠選手の修斗出場が発表されたとき、お子さんを連れられていたので驚きました。

「アハハハ。格闘技については、まだできるっていう気持ちが強かったので。だから何をするにしても、まずは格闘技をやってから考えようと」

――お子さんが生まれるまでは、格闘技の試合を見ることはあったのでしょうか。

「一切見ていなかったです。見ていると、格闘技をやりたくなっちゃうんですよね。すると、もどかしさというか、羨ましさというか……。今はRIZINに女子選手が出ているじゃないですか──父は格闘技が好きなので、テレビで見ているんですよ。すると私の目にも入ってくるし、知り合いからも連絡が来るわけです。そうやって格闘技界に関する情報は入ってくるんだけど、自分から見ることはなかったです」

――お知り合いから「RIZINに出ないの?」といったような連絡が来るのですか。

「それもあるし、あとは『久江ちゃんは、もう無理だよね』、『RENAって、チョー強くない?』とか。全然見ていないからって答えるんですけど、ちょっと見てみると、私もやれると思ったりして。そうなると余計に――格闘技したい、羨ましいって妬みの感情も生まれちゃうので、一切見ないようにしていました」

――久遠選手がプロデビューした2002年から、一度試合から遠ざかる2007年までは、地上波放送でMMAの試合が流れても、そこで女子の試合が行われることはありませんでした。なかには地上波テレビ局が、女子選手が殴り合う試合を放送したくないという方針だったという話も聞いています。その時代を経て、地上波でも女子の試合が流れるような現状については、どのように感じていますか。

「海外については裾野が広がったじゃないですか。日本だと浜崎さん? ……申し訳ないんですけど、あまりよく知らなくて」

――浜崎朱加選手がインヴィクタ世界後無休王座を獲得したのが2015年です。久遠選手にとっては、まったく絡んだことのない世代ですよね。

「そう考えると行き着くのは、私の甘さなんですよ。もっと自分が格闘技を追い求めていたら、その間も続けていたでしょうし、海外にも興味を持っていたかもしれない。時代は動いていたのに、私は動いていなかったわけで。でも今は、私の階級も海外で試合が行われているじゃないですか。選手も増えて、カッコいい選手も多いし。逆に国内は、私が出ていたスマックガールと同じ道を辿っているようにしか見えなくて」

――えっ、どういうことでしょうか。

「MMAをやっていない選手が、いきなりMMAをやって注目される。MMA選手×キックボクシング選手の試合をMMAでやるとか。それは地上波で放送されるか、されていないかの違いも大きいとは思うけど……。そういうのを見ていると、私もまだ戦えるんじゃないかなって。海外でも試合がしたいです。ただ、年をとって殴り合いはしたくない(笑)」

――1月の加藤春奈戦では、相手の左ジャブをもらって口から出血していましたが……。

「あの時ね、完全に試合勘がなくなっていて、なぜこんなにパンチをもらうのかなって自分でも思っていたんですよ。でも次の試合は、そんなことはないと思う。この間のキックの試合(3月に宮城でKARENと対戦してドロー)は、ちゃんと戦えていたから」

――加藤戦では、相手のパンチに対して反応できていない面がありました。その原因が試合勘だったとすれば、この4カ月で解消できたということですか。

「私の中では重心の問題で、動けるスタンスと動けないスタンスがあるんですよ。正直、今もそこは100パーセントにはなっていないです。まだ試合の緊張感が影響すると、ちょっとブレていたりするけど、ガッチリ合ったら昔以上に良いパンチや良い蹴りを打てる状態にはなっているので。

それに、次の試合が最後じゃないから。口から血を流そうが、目の上がパックリ切れようが、次の試合は勝てばいい。試合をこなしていって、1年後には完全に距離感を掴めるようになっていればいいかなって。

それでも……千優ちゃんって呼んじゃうけど、千優ちゃんをKOできると思っていますよ。そこで距離感が合わなかったらどうしよう、とか考えても仕方ないから。試合中にビビったら、完全に相手に飲まれて悪い展開になっちゃうし」

――距離感でいえば、ケージでレスリングベースの選手と対戦するのは、今回の澤田戦が初めてではないですか。

「そうなんですよ。ケージで戦ったのも、2016年のWSOF GCとVTJだけでしたからね。でも相手のタイプは気にしていなくて。今、そんな対策ができるような練習環境じゃないから」

――今はどのような環境で練習しているのですか。

「所属しているキックボクシングジム(ZERO)で打撃をやっていて、ねわざワールド宇都宮で柔術の練習に参加させてもらったりしています。コロナ禍じゃなければ東京に行って練習したいんですけど……。ただ、そういう出稽古じゃなく、日常的に練習したくて。今はチケットを売ったり、ツイキャス中継を買ってもらって入ってきたお金を、生活環境と練習環境に費やしたいですね」

――2010年ごろまでの久遠選手を考えると、当時とは全く違う環境にあるのですね。

「当時は一切何も考えていなかった。子供が生まれるまで、その日暮らしだったから。今は子供のためにも、チケットが売れるような選手にならなきゃいけないので。あとはルンピニーとか海外の試合にも出たいし」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
5月22日(日)
午後5時50分~ Twit Casting LIVE
             
■Shooto2022#03

<修斗環太平洋バンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 小野島恒太:61.2キロ
[挑戦者] 石井逸人:61.2キロ

<ストロー級/5分3R>
新井丈:52.2キロ
黒澤亮平:52.2キロ

<バンタム級/5分3R>
藤井伸樹:60.9キロ
齋藤翼:61.25キロ→61.2キロ

<インフィニティリーグ2022女子アトム級/5分2R>
久遠:47.6キロ
澤田千優:47.4キロ

<ストロー級/5分2R>
木内“SKINNYZOMBIE”崇雅:52.2キロ
阿部マサトシ:52.2キロ

<バンタム級/5分2R>
榎本明:61.1キロ
ガッツ天斗:61.0キロ

<フライ級/5分2R>
大竹陽:56.7キロ
須藤晃大:56.7キロ

<バンタム級/5分2R>
伊集龍皇:61.2キロ
川北晏生:61.2キロ

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MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2022#03 UFC ブログ 新井丈 黒澤亮平

【Shooto2022#03】9連敗から5連勝、元世界チャンプ黒澤亮平戦へ。新井丈「ナメくさっていたんです」

【写真】5連勝の経験がある選手は少なくないが、9連敗をした選手というのはそうはいない。この巻き返し力は凄まじい (C)SHOJIRO KAMEIKE

22日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2022#03で、修斗ストロー級世界1位の新井丈が同級3位の黒澤亮平と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

新井は2015年11月、当時スタートしたばかりだった修斗トライアウトマッチに出場し、その試合内容を評価されてプロ昇格を果たした。しかし2016年のプロデビュー以降は、1勝1分からなんと9連敗を喫する。ところが2019年10月、大竹陽にKO勝ちを収めてから5連勝でランキング1位に昇りつめた。その大躍進の裏には何があったのか。新井丈がこれまでのキャリアと、煽り続けている黒澤亮平良について語る。


――新井選手といえば、MMAで9連敗からの5連勝というキャリアが注目されています。9連敗していた時期と6連勝している現在では、何か大きな変化があったのでしょうか。

「アマチュア時代やプロデビューしたばかりの頃は、試合は好きだったんですよ。あとは殴り合うことが好きで。でも練習が好きじゃなかったです。試合が終わったら2カ月休んだりとか。今はツラい練習も好きだし、トレーニングや栄養とか、技術についている時間も好きで。そこが変わったかなと思いますね」

――新井選手の試合を初めて見たのは、修斗トライアウトの時でした。トライアウトでは1試合でプロ昇格になるほどの才能と身体能力を見せていたと思います。一方、その時点ではまだ才能と身体能力だけで戦っているのかなという印象も強かったです。

「……アマチュアの時は、それで通用したんですよ。でもプロになって、組みの選手には全く対応できなかったというか。それこそ9連敗って全部同じ負け方ですし。だから自分が負ける理由も、もっと練習しないといけないことは分かっていたのに、そこから逃げていたような感じです。いま考えると、恥ずかしいヤツだなって思いますよね(笑)」

――そのことに気づくまでのキャリアをお聞きしたいと思います。まず新井選手がMMAを始めたキッカケを教えてください。

「キッカケはアメリカのプロレスですね。小学校の時にWWEを見ていて、血だらけになりながら逆転勝ちするヒーローの姿に心躍らされて、自分もヒーローなりたいと思ったんです。そこから格闘技に興味を持ち始めました」

――プロレスラーになりたいとは思わなかったのですか。

「プロレスは好きで見ていたんですけど、そこから地下格闘技を観たり、昔のMMAを観たりするようになって。自分やるならプロレスじゃなくMMAだなと思って、ネットで調べて家から一番近かったキングダムエルガイツのジムに入りました」

――今も試合の前後で「殴り合いたい」という発言をされていますが、MMAを始めた頃から殴り合いをしたかったのですか。

「殴り合いもそうだし、血だらけになりたいっていう気持ちがあったんですよ。血だらけになって最後に勝つような試合をしたい。人の心を躍らせることができるヒーローになりたかったんです。寝技で漬けたり判定で勝つっていうことは、考えたことなかったですね。グラップラーにはなりたくなかったです。もちろん相手を潰すための寝技の技術は必要なので、寝技をやらないといけないっていうことは分かっていました。でも、そこまで本気で取り組めていなかったんですよね。結構軽く考えていたので」

――プロでもKOで勝ち上がっていくことができる、と。

「そう、そうです。ナメくさっていたんですよ。アマチュアの時は1回か2回負けたぐらいで、あと勝てていましたから。……まぁ、本来は1回負けたら気づくんでしょうけど、9連敗しないと気づけなかったです(苦笑)」

――アマチュア時代やプロデビューしたばかりの頃に、才能や身体能力だけで勝っている選手は、勝ち進むと壁にブチ当たることが多いですよね。

「ホント、その通りでした。自分の意識を変えられたのは、中国に行った時ですね。格闘技だけの生活をしたいと思って、1カ月ほど一人で中国へ練習しに行ったことがあるんですよ。大竹戦の前だったと思うんですけど、ずっと何かを変えたいとは思っていたので」

――新井選手は中国で開催されたMMA大会、WLFでも試合をしていますよね。

「中国には4回行きました。試合で3回、練習で1回です。そのうち試合は1回、現地で地震が起こって大会が無くなっちゃったんですけど」

――2017年8月8日に発生した、九寨溝(シルツァデグ)地震のことでしょうか。

「そうです。で、中国では2回試合をして、2回ともエンボーゲドウというジム(恩波格斗、エンボー・ファイトクラブ。現在UFCランカーのソン・ヤードンやスムダーチーが所属していた)の選手だったんですよ。それでエンボーゲドウの選手と顔なじみになり、一緒に来ていたロシア人コーチと連絡先を交換して。そのロシア人コーチを通じてエンポー・ゲドウへ行くことになったんです。

でもロシア人コーチがエンボーゲドウと揉めて、ロシアへ帰るっていう話になっていて。自分は中国に着いているのに、何のアテもなくなっちゃったんですよ。オレは中国語も英語もできないから、日本にいた中国人の知り合いに、町の人と電話で話してもらいました。そうやって紹介してもらった空手の道場で練習させてもらいながら、キックボクシングのジム、MMAのジムと紹介してもらっていって。結局、中国でも150キロぐらい移動しましたね」

――えっ!?

「えっ、ってなりますよね(笑)。ヤバすぎますよ。オレは中国まで何しに来たんだろう、って思いました。一番起きてほしくないことが起きちゃって。でも、エンボーゲドウがある成都にいたんですけど、重慶まで行ったらMMAの練習ができるところがあって。

最初にたどり着いた空手道場の先生が、日本の文化が好きで何回か日本に来たことがあったから、少しだけ日本語が分かる人だったんです。それは助かりました。
重慶では格闘技しかやることがなくて、毎日練習していました。それで最後にジムのメンバーからもらった言葉が『『格闘技の本質は継続することにある』って。その言葉が、すごく心に刺さって……。やっぱり格闘技に対して情熱というか愛を注がないと、結果が返ってこないと気づいたんです』

――その言葉をもらってから、新井選手の中で大きな変化があったのですね。

「自然と練習が好きになったんですよね。もっと技術を知りたい、栄養について詳しくなりたい、体の動きについて知りたいという気持ちになって。自然と格闘技が好きになりました」

<この項、続く

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【Shooto2022#03】石井逸人の挑戦を受ける環太平洋バンタム級王者 小野島恒太「自分にはないセンスが」

【写真】前回の試合と違い3R、両者揃ってこの間の成長が問われる試合となる (C)SHOJIRO KAMEIKE

22日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2022#03のメインで、修斗環太平洋バンタム級王者の小野島恒太が、石井逸人を挑戦者に迎えて初防衛戦を行う。
Text by Shojrio Kameike

今年1月に藤井伸樹を判定で下して環太平洋のベルトを巻いた小野島と、石井は2020年8月にインフィニティリーグで対戦し、ドローに終わっている。前戦から約2年――その間に修斗世界バンタム級の王座は、岡田遼から安藤達也に移った。大きく動き始めた修斗バンタム級で、小野島が目指すものとは何か。


――環太平洋のベルトを獲得してから約4カ月が経ちました。小野島選手の気持ちや生活の面で、何か変化はありましたか。

「自分は試合前から、何も変わらないだろうなぁと思っていたんですよ。8年前にベルトを獲れなかった悔しさからMMAを続けていたところがあるので、そういう意味ではホッとしたというか。毎日飲むコーヒーの味のレベルが上がったと思います(笑)」

――朝起きて飲むコーヒーが美味しい。それは一番幸せな時間の一つではないですか。

「そうなんですよね。他の人からの評価に興味がないわけではないです。でも、そういった評価を意識してMMAを続けてきたわけではないので。自分の中で、一つ目標を達成した。それ以外では特に変化もないです。逆にベルトを獲ったことでMMAへのモチベーションが下がることもなく、今も淡々とMMAをやっていますね」

――ベルトを獲得したことで「もうこれでいいかな」という気持ちは起きなかったのですね。

「全然そういう気持ちはないです。むしろ修斗の環太平洋のベルトを獲ったからといって――こう言っては何ですけど、世界のベルトではないですからね。今の目標の一つが、世界のベルトを巻くことです。僕は自分のMMAの完成度を高めるために続けているので、一つひとつその完成度を、ベルトという形として証明していきたいです」

――自分のMMAの完成度について考えた場合に、何をもってゴールとするかは難しくはないですか。

「ゴールはないようなものですからね……。正直、自分も年齢が年齢なので、いつ最後の試合になってもおかしくないと思っています。それは体の怪我なのか、それとも心が『これ以上はキツい』と思うのか。今もキツいことはキツいですよ。楽しいけど、シンドイこともありますし、生活を犠牲にするところもあるので。いつ現役生活が終わっても……という気持ちは持っています」

――……。

「もう今からUFCに行ってどうこう、と口にできる年齢でもないですし。でも、そういう若い選手が抱く夢とは別に、まだ自分に伸びる余地があるなかで、自分自身のMMAの完成度を高めていくことが楽しいんです」

――なるほど。すると前回の試合は、自分にとってはMMAとしての完成度が高まった試合だったと思いますか。

「そうですね。高まるように頑張って……頑張ったけれども、自分はまだまだだなって思わされた試合でした(苦笑)」

――どのような点が、まだまだと感じられたのでしょうか。

「自分はKOや一本でフィニッシュするタイプではないと思います。実際、フィニッシュしている数も少ないですよね。まず勝つことを目指して、どうやったら勝てるかということを考えています。そのうえで前回の試合は、自分の完成度が低くて相手をコントロールしきれていなかったり、相手にバックを取られてしまう場面もありました」

――試合では相手に何もさせずに勝つことが理想なのですか。

「それが理想ではあります。チャンピオンクラスやランカークラスに、そういう試合ができるのは理想です。なかなか難しいですけど」

――対照的な内容として、3月の世界チャンピオンシップはKO決着となりました。修斗の世界王座を目指すのであれば、あの試合はどのように見ましたか。

「やっぱり安藤選手の武器――切れ味鋭い打撃が生きて、まさに持っている選手なんでしょうね。もちろん本人の努力もあるでしょうし、すべて含めて持っている選手だということですよね。特に安藤選手は、自分にない武器を持っている選手だと思います。反対に――分かりづらいところなんですけど――僕は安藤選手が持っていない武器を持っていると思っています。今回対戦する石井選手もそうですよね」

――というと。

「石井選手は僕と比べると、鋭い武器を持っています。しかも能力が高い武器を持っていて」

――その石井選手とは一度、2020年8月に対戦しています。インフィニティリーグということで2R制、結果はドローでした。

「あの試合に関しては、自分の悪いところが出ました。試合中に自分の中で勝手にポイントを計算していたんです。それで今ポイントを取っているなと判断して……その点は反省しています。あの試合を通じて、もっと自分の完成度を高めていこうと思いました。具体的に言えば、テイクダウンしたあとも展開を作っていこうと考えた試合でしたね。

あの試合で評価されずドローになったからこそ、そういう部分を鍛えようと思うことができたんです。おかげで以降の試合では、勝つために自分がもっと決定的な場面を作るように努力し始めました。その意味で、自分にとっては大きなキッカケになった試合でした」

――ポイントを取ったと思ったことで、自分の動きを抑えてしまったのでしょうか。

「抑える部分というよりは、もう一歩踏み込まないというか。相手も強い選手なので、踏み込みすぎると危ないと思っていました。それはグラウンドでも、スタンドでも。そこで自分としては、リスクを冒さない戦い方に寄っていたと思います」

――インフィニティリーグでは、続く野尻定由戦がドローでした。以降の小野島選手は、組んでも寝かせても手を止めない、よりノンストップファイターになったと思いますが、それは石井選手との初戦の判定結果があったからなのですね。

「石井戦と野尻戦がドローという結果になり、その結果が一番生かされたのはRoad to ONEの試合だったと思います。ダメージ優先というONEの判定基準もあったので、よりダメージを与えていく戦い方に繋がっていきました」

――結果、MMAゾンビと呼ばれる藤井選手を相手にノンストップで攻めることができていました。約2年前の初戦から、そのように小野島選手が成長してきたなかで、対戦相手の石井選手はどう変化したと思いますか。

「石井選手については、田丸戦から注目して見ていました。すごく動きのある良い選手だなと思っていて。試合前だから、あまり相手のことは褒めたくないんですけど(笑)」

――アハハハ。しかし、褒めざるを得ない選手であると。

「自分にはないセンスがありますよね。極める力や、投げる力に関して切れ味鋭い部分がある選手です。若いからか、フィジカル面も充実してきて。あとTRIBEでトップ選手たちと練習している部分も強いのかなと思います。そういう良い環境で揉まれて、強くなっている印象があります」

――では現在、小野島選手はどのような環境で練習しているのでしょうか。

「練習会やプロ練習のようなものに参加するというよりは、スパーリングパートナーに来てもらって、マンツーマンで練習することがメインになっています。

今のスパーリングパートナーは、パンクラス王者の中島太一選手です。お互いチャンピオンになる前から一緒に練習していて、中島さんもチャンピオンになったので嬉しいです。他にも元ONE世界王者の猿田(洋祐)さんとか。猿田さんもONEのチャンピオンになる前から一緒に練習していました」

――練習会やプロ練習など集団で練習するよりも、マンツーマンでの練習することのメリットは何なのでしょうか。

「集団で練習することも大事だと思います。自分も、もともとは出稽古させていただいたりしていましたから。でもマンツーマンでより深く技術を研究し、お互いにアドバイスして、お互いに感じたことを伝え合う。次にまた同じ人とスパーリングをして……という練習で突き詰めていくなかで、どんどん完成度が高まっていくのかなと思っています。

初めての方とのスパーリング、慣れていない方とのスパーリングだと、どうしても遠慮が出でしまったりすることがあるんですよね。対してマンツーマンのほうが運動強度というか、練習の質が上がってくるのかなっていうメリットはあります」

――なるほど。それとベルトを巻いた直後に、次に対戦したい相手として手塚基伸選手と中村倫也選手の名前を挙げていました。いずれも試合が実現しなかったことについては、どのように考えていますか。

「1月16日の時点で誰と戦いたいかと言われたら、手塚選手と中村選手ではあったんです。あの時点で3月や5月の試合が決定すれば、ですよ。でも3月に石井選手が石橋(佳大)選手に一本勝ちしましたよね。石橋選手は、ああいう負け方をしたことがなかったと思うんです。だから石井選手が石橋選手に勝った時点で、次は石井選手とやるべきじゃないかと思いました。石井選手の挑戦を受けないと、チャンピオンじゃないでしょって」

――そうだったのですね。今回は再戦となりますが、前戦とはまったく違うものになると思いますか。

「意外と全然違う展開になるんじゃないでしょうか。お互い狙っているもの、やることっていうのは、あまり変わっていないと思います。石井選手は打撃でペースを握って、グラウンドに持ち込んで自分のペースで試合を握りたいでしょうし、それは自分も同じです。ただ、自分のペースに持ち込めなかった時に、スタンドかレスリングの展開になるのか、グラウンドになるのかはフタを開けてみないと分かりません。でも、どんな展開になっても自分は大丈夫です」

――そのように冷静に分析できるということは、自身の中で試合に向けて出来上がっているということなのでしょうか。

「はい。試合はフタを開けてみないと分からない、神のみぞ知る部分が多いですよね。でも、どうなっても大丈夫なように対策はできています。今は自分も世界ランキング1位ですし、この試合に勝ったら次は世界チャンピオンシップだと思っています」

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