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お蔵入り厳禁【Special】月刊、柏木信吾のこの一番:4月:マッケンジー・ダーン💛✖ティーシャ・トーレス

【写真】 見る者を魅了するマッケンジー(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、柏木信吾氏が選んだ2022年4月の一番。23日に行われたBELLATOR279よりパッチー・ミックス✖堀口恭司戦──からの9日のUFC273で組まれたマッケンジー・ダーン✖ティーシャ・トーレス戦について語らおう。

<月刊、柏木信吾のこの一番:4月:パッチー・ミックス✖堀口恭司はコチラから>


──おおついにマッケンジー♡の柏木さんが、彼女について熱い想いを話してくれる時がきましたね。

「いやぁ、面白い試合でした。ミノタウロ・ノゲイラやジャカレ・ソウザにしてもUFCに行くと柔術家がボクサーになるじゃないですか。柔術のスペシャリストが柔術を使っちゃいけない空気というのか。クロン・グレイシーもカブ・スワンソンと戦った時は、ほぼ寝技に行かなかったですし」

──ハイ。寝技を拒否する相手と戦い、組んで倒すという疲れる戦いをせずに、打撃を効かせて柔術で仕留める。シャーウス・オリヴェイラもそうですが、それがMMAにおける柔術家の戦い方になっています。

「そんななかマッケンジーは、超能力というか一番の能力……他人が持たない武器で戦うことの大切さを見せてれくれました。もちろん、それが柔術で」

──マッケンジーって、めちゃくちゃ柔術を信じていますね。

「ハイ。と同時に女子MMAの傾向が、まだそれを許してくれているというのはあると思います。男子のようにMMA化していなくて、バックボーンの強さがまだ反映される余地がある。ベースの格闘技の技術に頼って戦えるのが、女子のMMAですよね。

それに柔術って、男子のMMAだと圧倒的なフィジカルの前では真価を発揮できない部分があるじゃないですか」

──はい。

「ただし、女子だとまだそうでもない。だからマッケンジーの柔術も見事にMMAにハマる。そういうスタイルをマッケンジーは構築しているので、本当に試合が面白いです。

良い意味で異質と言いますか。新鮮なファイトを見て、米国のファンも堪能していると思います」

──それでもUFCでは女子も相当にMMA化し、異種格闘技っぽい戦いから脱却してきているので、マッケンジーの異質さが際立っています。

「仰る通りです。そういうなかでMMAに慣れたお客さんに、新しいモノとして柔術主体のMMAを提供している。時代に逆行しているような柔術特化ファイターとして、マッケンジーは試合を盛り上げています」

──というか……柏木さんもめっちゃくちゃ、盛り上がっていますね(笑)。

「いやぁ、だって凄いですもん──マッケンジーのMMAは」

──逆行しているのは精神面も当てはまるかと思います。多くのファイターがリスク管理をして、マネージメントをしているなかで、あれだけ攻めていく姿勢を持つというのは。

「皆が隙を与えず、効率的な練習をしていると思います。そのなかでマッケンジーは、相手の腕にぶら下がっていましたからね。そういう風に戦えた2Rが、勝負の分岐点になりました。

試合序盤は遠い距離から大振りで突っ込んでいたので、カウンターを貰って終わるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしながら見ていました。当然のように初回はトーレスのラウンドになって。でも2Rになると柔術地獄というか、寝技地獄に持ち込むと、3Rの打撃の展開がまるっきり初回とは変わりましたね。トーレスは組まれるのが嫌で、下がるようになって」

──組の強さを打撃の圧に加えることができる。まさにMMAですね。

「それがメチャクチャ面白かったです。組みの強さを見せたことで、打撃の圧になった。グラウンドしかやっていなくても、打撃力のアップに繋がる。この3回戦はMMAの面白さが詰まっていましたね。3Rの出だしの打撃でマッケンジーが圧しているのは、僕はもう感激しました!! 

マッケンジーは心と技が一体化していますし。MMAは全てが繋がっていることを教えてくれましたよ。マッケンジーに学べ、ですよ。日本人選手は」

(C)Zuffa/UFC

──柏木さん、そんなマッケンジーのどこが一番好きですか。

「お尻ですっ!!」

──ありがとうございます!!! 100点満点の返答、いただきました!!と言いつつ、2人で読者の皆さんとマッケンジーに謝りましょう(笑)。

「ハイ。スミマセン。冗談です(笑)。決して、そういう目でMMAを見ているわけじゃありませんので。マッケンジーはファイトスタイルを含めてファイターとしてとても魅力的ですからね。でもお尻もおっぱいも富士山と同じなんです。あったら、見ちゃうんです」

──確かに。何百回と東名や新東名、中央自動車をドライブし、新幹線や飛行機からでも富士山が見えると『富士山だ』って同乗者といってしまいますもんね。

「そう、それと同じなんですよ!!」

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ABEMA BELLATOR Bellator279 MMA MMAPLANET o Special UFC キック パッチー・ミックス フアン・アルチュレタ ボクシング ラフェオン・スタッツ ロブ・フォント 佐藤天 大沢ケンジ 海外

【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:4月:スタッツ✖アルチュレタ─02─「日本人が勝つためには…」

【写真】日本人が勝つために正解はない。それでも、この試合でここまで大沢ケンジが語ることができるのは、それだけ本気で向き合っているから。佐藤天が反論したのも、人生を賭けて向き合っているから。なので彼らのやり取りに乗じて、本気でやっている人間を尊重していないコメントを見ると──無性に悲しくなります (C)BELLATOR

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、大沢ケンジ氏が選んだ2022 年4 月の一番。4月23日に行われたBellator279で組まれたBellator暫定世界バンタム級王座決定戦&ワールドGP準決勝=ラフェオン・スタッツ×フアン・アルチュレタ戦からの日本人の強くなり方──を引き続き語らおう。

<月刊、大沢ケンジのこの一番:4月:ラフェオン・スタッツ×フアン・アルチュレタPart.01はコチラから>


──日本人選手の練習量が足らないというのは?

「それは専業になれない選手が多いという業界全体の問題に通じてきます。だから勝負できるところ、勝負できないところがハッキリしている選手が増えてきました。MMAを専業にできたい選手が世界のトップどころと張り合うのは厳しいです」

──その時間が少ないと、得意な場所を伸ばすのか苦手な部分を克服するのかという判断もしないといけないですね。

「以前は得意なところだけ伸ばす。そこが中心で勝てえいたというのもあります。でも、今は世界のトップがどの部分でも強さが増しているので、難しいです。だから苦手なところの穴埋めが足らないというのは、感じますね。アルチュレタがあれだけ武器を持っているのを目の当たりにすると」

──そこを克服する時間は専業でもないと取れないと。

「でもやり方次第では……というのも思います。皆が皆、専業にはなれないわけですし。例えばパッチー・ミックスは圧倒的にグラップリングの選手です。でも、打撃でも自分の強い距離を創っている。反応できないならガードで受ける。貰う覚悟がある。そして組める距離を創る。

自分の得意なパターンを当てて、ダメなら組もうという思考ではなくて、組むための打撃の距離と手をいくつか用意している。打撃が通じないからと組むと、その組みも弱くなります」

──ハイ。その通りだと思います。

「ミックスはダメななかで、やれるところと覚悟がある。だから深く入れます。そういう風な武器を増やすことは日本で、専業でなくても可能かなって思います。

そこはウチの連中にも言っていますが、やっぱりやりようがある。MMAスパーに極端によってしまうと、駆け引きばかり上手くなるという風に感じるんですよ。

だから限られた練習時間でも打撃なら打撃をしっかりとやって、レスリングならレスリング、寝技なら寝技をちゃんとやる。MMAだからこそ、MMAスパー中心にしない。

MMAスパー中心だと、打撃で敵わない相手には組み技を仕掛けることができる。でも、試合じゃないので。練習ならその苦手なことにトライしないといけない。自分より強いなって思う相手に挑まないといけない。

相手の方が組みが強いと、組まないで突き放す。そして打撃で勝負する。繰り返しますが、それは試合でやれば良いことで。練習では打撃が強くなれるようにしないといけない。凄く当たり前のことなんですけど、MMAは全てが必要だから個々の強化よりMMA全般のぼんやりとした駆け引き上手のスパーリングをやっておきたくなる。

時間が取れないからこそ、そこを一つひとつ部分で強化しないといけないなって思います。それって皆、薄々気付いていたことだろうけど、この国際戦で勝てないという結果が連続したことで、いよいよ目を逸らせなくなった。結果がでていないというのは、連敗でなくてももう存在し続けたことですし。堀口選手は連敗したけど、彼が勝てる相手はBellatorにはいくらでもいます。ただ無双できると思っていたら、そうではなかった」

──そのショックが大きかったということですね。UFCでないというのもありますし。

「ただスタッツやアルチュレラタはUFCバンタム級でも通用しますよ」

──アルチュレラタ、しますか?

「高島さん……アルチュレタは1Rのテイクダウンと最後のハイキック以外、スタッツに負けてないですよ。倒されてもすぐに立ち上がったし。バンバンに圧力掛けて、近い距離でも戦って」

──それって、これまでの距離のコントロールとテイクダウンという戦い方があったから、フレッシュなのではないですか。例えばロブ・フォントって、相当に強いと思います。でも、既に消耗してしまった。近い距離で戦うことで、2年、3年のハードファイトによりフレッシュでなくなっている。

「あぁ……、ロブ・フォント……強いんですけどね」

──これは完全に結果論ですが、チート・ヴェラと戦って4分30秒、あるいは4分50秒リードしているラウンドで最後に打ち合ってダウンし、ラウンドを持っていかれるわけですし。

「Bellatorもそうなりましたが、タイトル戦ではなくてもメインは5R制──これは削れますね。ただしヴェラも近い距離、ビビらずにやっているじゃないですか」

──チート・ヴェラはその走りだと思います。何でもできて圧力を掛けるファイトの。

「MMAの流れって足りないところが見えてきて、そこを突いて勝率が上がる。そうすると対策が広まる。その繰り返しだと思うんです。それでも僕らが現役の時より、練習量は減っているというのは感じています。慧舟會のプロ練習って3時間ほどで……」

──いや、大沢さん。当時の慧舟會の練習は全てプロ練でしたよ(笑)。

「そうなんですよ(笑)。練習時間は3時間、立ち技10本、寝技が10本、そこから補強。それ以外に昼間に青木君のところに行ってみたり、山田(武士JB SPORTSボクシングジム・チーフトレーナー)さんのところに行ったりとか。

今は傾向として、練習時間が短くコンパクトになりました。ウチも2時間ぐらいで、仕事をしている選手が多いから1日1回という人間も少なくないです。僕らの時代の働いている選手が当然のように大変でしたから毎日はできなくても週3、4はパーソナルを含めて二部練習をやっている選手がいました」

──練習時間と練習量は比例するのでしょうか。それと、やはり短い練習時間の工夫と使い方という部分で、苦手分野の克服と得意分野の伸長をどのように配分するのか。

「まぁ、しんどくないことをずっとやっても一緒で。ただ単にスパーリングが多いから良いということではなくて」

──きつい練習とは何も体力的なことだけではなく、自分がストレスを感じる空間での練習というのでしょうか……。そういうことに時間を使っている選手もいるように思います。取材を通してですが……。

「嫌なことですよね。嫌なことにどう取り組むのか。それに練習をしていない時間でも、ずっと考えるだけでも良いし。一人で体を動かせる時間に、技の入りをアレコレ考えるとか。エクササイズでなくて、MMAのことを考えて体を動かすとか。そういうことで時間を有効に使えると思うんです。

時間がたっぷりあって、どこの局面でもコーチがついて練習できる海外の選手と、日本に住んでやり合うというのなら、どういう風に時間を使っているのかは凄く大切になってくると思います。

あと米国人選手が強いのは環境と練習方法もありますけど、もともと強いってのがあるじゃないですか。レスリングのベースがしっかりとあって、そこに打撃と柔術を組み合わせていく」

──確かにざらにNCAA D1オールアメリカン、NCAA優勝という選手が出てきます。

「全員がそうじゃないけど、そういう選手が多いのは確かで。そうしたら、米国の練習を参考にするとしても、どこをピックして取り入れるんだってこともあります。子供の頃からレスリングをやっていた……カレッジレスリングがデキる選手が主流のトレーニング方法を真似ても、日本にそこまでレスリングができる選手がどれだけいるんだっていう話で」

──仰る通りですね。知ることも、体験することも大切ですけど、MMAを俯瞰して見て取捨選択する能力が欠かせないかと。

「ブラジル人は打撃も寝技も凄く強いです。でも、バラバラですよね。融合していなくても、UFCチャンピオンがここまでいる」

──確かにブラジル人選手で米国レスラーやダゲスタン・レスラーのようなゴリゴリのレスリングベースの選手はほぼ印象にないです。

「それでも、ここまで強い選手がいる。それはブラジル人の強くなり方があり、米国に行って穴を埋めても、自分らの強い部分を崩していないからですよ。打撃なら打撃、寝技なら寝技でバチバチに勝負します。対して米国人は混ぜて勝負しています」

──極端な言い方をすると、レスリングが強く他を加えて混ぜる系の強さと、打撃と柔術が抜けて強くてバラバラでも勝てる。融合と接合のMMAがあるということですね。

「打撃、レスリング、柔術の要素の合計点ですよね。60+90+60で210点。70+20+120でも210点です」

──ハイ。総合力……MMAで勝つといっても30+30+30なら90点で勝てるわけがない……とは私も思います。際と呼ばれる接点「+」の部分で30点を3回稼いで回転といっても、180点にしかならない。それにレスリング中心の米国人ファイターにも、ブラジル人にも「際」の加点はあるわけですし。

「そうなんですよ。野球のピッチャーでストレートも変化球も良くない奴が、駆け引きだけでやっていけるかって。ストレートならストレートで勝負できて、変化球なら変化球を決め球にできるから駆け引きが生きるんだって。

駆け引きだけだと逃げ癖がつきます。勝負できる部分が必要で。と同時に強い部分が一つだけだと、やはり勝てない。ずば抜けて強くても、穴が多いと勝てない。あと、どっちにして打撃を怖がっていない。あのアルチュレタが、スタッツに近い距離の打撃で戦った。自分から行けないと、レスリング+打撃&柔術の選手、打撃+柔術の選手でもそこがないと。近い距離があって、遠い距離が生きるとアルチュレタの試合を見て──彼は負けたけど、思いました」

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BELLATOR Bellator279 MMA MMAPLANET o RIZIN Special パッチー・ミックス マッケンジー・ダーン 堀口恭司 柏木信吾

【Special】月刊、柏木信吾のこの一番:4月:パッチー・ミックス✖堀口恭司「北米ユニファイドの勝ち方」

【写真】米国MMAチームは緻密だった (C)BELLATOR

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、柏木信吾氏が選んだ2022年4月の一番。23日に行われたBELLATOR279より、パッチー・ミックス✖堀口恭司戦について語らおう。


──柏木さんが選んだ4月の一番は?

「Bellatorバンタム級ワールドGP準々決勝のパッチー・ミックス✖堀口恭司選手の一戦ですね」

──日本のファンにとってショッキングな堀口選手の連敗となってしまいました。

「競技者でない人間の視点として、対局が変わる場面に目が行きます。この試合は流れが決まったのが、とても分かりやすい試合でした。ミックスは北米MMA──ユニファイドMMAの勝ち方、ラウンドマストシステムの勝ち方を忠実に実行した戦い方でした。そういう意味でも1Rが肝ですよね。あの展開を創ることができたことで、5Rの流れを創ることができたと思います。

1Rでバックを取ったことで、『これをやっていけば良い』という保険を手にすることができた。そこが大きかったと思います。とはいえ、あの1Rの動きに出る勇気は凄いです」

──堀口選手から、最初のアクションでバックを取り切る。凄まじいですね。

「本当に良く取り切ったと思います。技術力は当然として、精神力。セコンドからは『お前は失うモノがないから、行くしかない』という言葉があり、ミックスもそういうメンタリティで試合に臨んでいました。あの堀口恭司を相手に、アレをやってそこから先の4Rの攻め方が確立できました。

堀口選手からすると、してやられたということですね。ミックスはアルチュレタと戦ったときに、アレをやって極め切れずに体力を消耗して負けた。あの試合の敗北で、ミックスの評価は著しく下がったにもかかわらず、今回も同じことをしたんです」

──ハイ。確かにアルチュレタ戦の敗北は、期待が高過ぎたのかという風に思いました。

「そうなんです。その程度かというガッカリ感がありましたよねがありましたよね。あの負けを見事にアジャストして、今回のミックスは敗戦から学んだことをフルに生かしました。フィジカル、サイズの差が味方するので、それが優位に働いたというのはあります。

とにかく1Rですね。堀口陣営も警戒をしていたいし、RNCを極めさせなかった。でも、ミックスは極め切れないことより、バックグラブに入れる自信を得たように感じました」

──そこが勝負の大局を決めたと。

「ハイ。キーは1Rと5Rでした」

──5Rというのは?

「ジャッジのスコアは3人ともあの時点で37-37で。結果、2度に渡りバックを制して3-0の判定勝ちを勝ち取りました」

──正直、自分は48-47でなく、49-46。初回が10-8なら49-45もあるかと思っていました。

「僕も49-46、堀口選手が明確にとったのは2Rだけという風に見ていました。そんなに競っていなくて、堀口選手はフィニッシュしないと勝ち目はないと思っていました。ただし、そういう風に楽観的な考えで5Rを戦っていたら、ミックスは負けもあったことになります。

そんな結果的にキーとなった5Rで、初回と同じ戦いをした。1Rで得た自信をもとに、気を抜かずバックを制した。本当にパッチー陣営の勝利ですね。この緻密にやり切る米国のMMAチームから学ぶことは多いと思います。

逆に今の日本人選手達を見ていると、ある程度までちゃんとやっているけど、途中から大雑把になる傾向が感じられるので」

──私の性格もそうです。石橋を叩いて渡る──のではなく、石橋を叩き切らず最後はジャンプインして、落下するという……。

「あぁ、分かります(笑)。石橋を5回、6回と叩くのに最後の方に叩かずにダッシュする。凄く分かります。僕もそうかもしれないです(笑)。それこそ組み立て方、スポーツに対する見方が違う。ファイターかアスリートなのかという差が、ちょっと影響しているかなと。そこが1Rと5Rに表れたかと思います。

対して3R戦でキーの攻防を創って、勝ち切ったのがマッケンジー・ダーンでした」

<この項、続く>

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ABEMA BELLATOR Bellator279 MMA MMAPLANET o Special UFC キック フアン・アルチュレタ ベラトール ボクシング マルロン・ヴェラ ラフェオン・スタッツ ロブ・フォント 大沢ケンジ

【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:4月:スタッツ✖アルチュレタ「日本人が勝てない理由」

【写真】大沢親分は勝ったスタッツではなく、負けたアルチュレタに注目していた (C)BELLATOR

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、大沢ケンジ氏が選んだ2022 年4 月の一番。4月23日に行われたBellator279で組まれたBellator暫定世界バンタム級王座決定戦&ワールドGP準決勝=ラフェオン・スタッツ×フアン・アルチュレタ戦について語らおう。


──大沢さんが選んだ4月の一番は?

「スタッツ✖アルチュレタです。で──僕の想いを伝えたいのは、勝ったスタッツではなくてアルチュレタなんですよ。アルチュレタって足を使うイメージの選手だったんです。お前は打撃で勝負できないだろうって評価が低かった選手で」

──相手の動きを見て、巧くテイクダウンまで持ち込む。ちょこまかしている選手という印象でした。

「テイクダウンまでいっても打撃の部分はそんなに怖くない。逆にいえばテイクダウンだけで、逃げながら何かやってくるだけだと思っていたんです。

そうしたら、スタッツを相手に圧力を掛けて自分から行く。前に出て攻めたら一回外して、またすぐにプレッシャーを掛ける。あっ、こんな戦い方ができるんだと思いました。打撃も近い距離で、自分から攻める。最近の日本人の連敗、世界のトップどころの戦い方……世界の距離は無関係でない。そこが凝縮された試合でした」

──というと?

「僕がさんざっぱら言っているように距離は近づいている。UFCのロブ・フォントとマルロン・ヴェラにしてもそうですよね。堀口✖ミックスもそう。距離を外すような相手に対して、詰めてキックボクシングのような距離で戦っています。この距離がスタンダードになったと思います。

近い距離を嫌がって外しても、すぐに詰められる。勿論それだけじゃなくて、他も戦えないとダメだけど近い距離も戦えないといけない。ここを嫌がっても詰められる。

レスリングが強いスタッツを相手に、長い距離を取らせないよう距離を詰めることを意識しながら打撃を使う。そういう選択をアルチュレタがしたことでも、今のMMAの距離がどういうモノになっているのかが表れていたと思います」

──テイクダウンを切れるから、それができる。倒されても立てるわけですよね。

「そこは大前提です。キックボクシングをそのまま持ち込んでMMAが勝てるわけがない。そこからなんです、今日の本題は」

──おお(笑)。お願いします。熱気を帯びてきましたね。

「何で日本人が勝てないのか。それは日本人選手が偏っているからです。寝技だけ、打撃だけ。戦い方の選択がほぼ一つだから、ジャンケンで自分がグーで相手がチョキなら勝てるけど、相手がパーなら勝てない。

相手がグー・チョキ・パーを出せるタイプだと、勝てない。組み技がなくてストライカーだと勝てる。打撃がない相手なら勝てる。それは打撃、レスリング、寝技と全てにおいてトップレベルにいる選手が少ないからなんです。だから安定して成績が残せない。

堀口選手や金ちゃん(金原徳正)だと、世界を相手にしても安定した結果が残せると思います。一方で、バランスが良くても一つ一つのレベルがそれほど高くない選手は、相性に関係なくある程度まで勝てる。でもトップとは差がある。

アルチュレタがあの試合をした。あの距離で、あれだけの打撃戦ができる。初回にテイクダウンを奪われ、最後はハイキックで負けましたが……言ってみると、やられたのはその2点だけ。『お前、ここまでできるの?』ってファイトをやってのけたんです。でも『いや、そりゃそうだよな。ベラトールのバンタム級でトップの1人なんだから、全部持っていて当然だよな』と今回の試合で気づかされました。

要はどれだけ練習しているのかということなんですよ」

──行き着くところがそこになると、選手個々の力にもよりますが、業界の力も問われるかと思います。スポンサーシップを得る。ファイトマネーが高額。そうでもないと練習をして生きていくことはできない。仕事をしながら練習をしている選手が、そういう選手にどう歯向かえるのか。

「フルタイムでないと、厳しい。それは確かにあります。結局、打撃だけだと日本人は勝負できる。組み技だけでも勝負できる。でも、穴があるのは練習時間が確保できていないから。

じゃぁ、普段からどういう練習をするのかということになると思うんです」

──HEARTSの激闘王は接近戦でテイクダウンを許しています。

「(中田)大貴のことですか? 大貴なんてMMAを始めて3年ですよ。組み技はこれからです。現状でタイトル戦線の手前とかまで行って目立ったのは日本だからです。もうちょっと時間をかけて育てるつもりが、ハマっちゃって良い所が出てしまって相手を喰うことがデキた。すぐに上に行ってしまった。でも、本来はまだ成長過程も成長過程、発展途上なんです」

──自分の勝てる部分で勝てた。ここから課題の克服する必要があると考えると、勝っていてもその勝てるイメージを上の相手、国際戦で持つのではなく、自身の戦い方に対して違うイメージを持つ必要があるのか……。

「その通りだと思います。相性が良いと勝てるけど、違うと負ける。武器が足らないんです。そこも練習量が足りないからです」

<この項、続く>

<この項、続く>

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BELLATOR Bellator279 o UFC キック スコット・コーカー セルジオ・ペティス ベラトール ラフェオン・スタッツ 堀口恭司

【ベラトール】堀口恭司敗戦 今後の動向を考える

日本人の昨日開催されたBellator279。バンタム級ワールドGP準々決勝でマッチー・ミックスと対戦した堀口恭司。開始直後から寝技師のミックスに背中に張り付かれる苦しい展開。何とか脱出してカーフキックで見せ場を作ったものの、ビッグヒットがないまま試合を終え、判定負けを喫しました。

堀口はセルジオ・ペティス戦に続いての敗戦。キャリア初の連敗という事実は本人にとっても、関係者にとっても、ファンにとっても、とても厳しく、悲しい現実を突きつけられたと言っていいでしょう。最強のメイドインジャパンの連敗。一夜明けても消化し切れない人が多いのも無理はありません。

でも個人的な事で言うと、残念で仕方ないですが、KOや絞め技で失神する事なく試合を終えた事に安堵している自分がいます。こういう感情は桜庭和志以来かな。堀口が勝てば全ての日本人が喜び、負ければ全員が悲しむ。やっぱり堀口はスーパースターだと改めて痛感させられました。

そんな堀口の今後。ベラトールの代表スコット・コーカーは年末、堀口自身は夏くらいと復帰戦の時期について語りました。復帰の時期がいつになるかはさておき、ベラトールの強豪を相手にどこまで渡り合う事が出来るか不安は付きまといます。

ミックスも堀口の打撃やフェイントにも動じずプレッシャーを掛けてきたし、堀口の試合後に対戦したフアン・アーチュレッタとラフェオン・スタッツの強靭なフィジカルを見ると本当に堀口と同じバンタム級かと。もはやモンスター、化け物です。彼らを相手に勝星を積み重ねるのは至難の業です。

堀口も既に31歳。アスリートとしてのピークは過ぎたのかもしれません。しかも打撃をもらって失神する場面を見ると経年劣化の可能性もあります。さらに言うと、反射神経や反応速度、動体視力が生命線の堀口にとって、年齢を経る事で今までと同じような動きをするのは厳しくなってくるでしょう。

悲観的な内容を並べてしまいましたが、堀口にさらなる進化を期待してしまうのは私だけでしょうか。今まで堀口にはたくさんの奇跡を見せてもらったし、UFCのチャンピオンになるという夢も見せてもらいましたもん。フルモデルチェンジになるかマイナーチェンジになるかわかりませんが、堀口恭司第2形態があるんじゃないかと。

何はともあれまずはダメージからの回復。じっくり静養して来るべき復帰戦に備えてもらいたい。復帰戦が12月だとすると、噂されているベラトール日本大会の可能性も十分。堀口恭司の復活を楽しみにしています。
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BELLATOR Bellator279 MMA o RIZIN UFC   フアン・アルチュレタ 堀口恭司

パトリック・ミックス「俺の戦績に堀口恭司が加わるのは光栄なことだ」


 『Bellator 279: Cyborg vs. Blencowe 2』で行われたバンタム級ワールドグランプリ準々決勝で堀口恭司に判定勝ちしたパトリック・ミックスが以下のコメント。

「彼から一本取りたかった。取れると思っていたが、彼は良いディフェンスをした。本気で絞め上げて一本取ろうとしたんだが、良いディフェンスだった。堀口恭司はタイトルマッチでしか負けたことがないのが分かったよ」

「彼がRIZIN、Bellator、UFCのタイトルマッチ以外で負けたのは初めてのことだし、それが俺の戦績に残るのは光栄だ。名誉なことだし俺にはその価値がある。『RIZIN.20』(2019年12月31日に元谷友貴に1Rギロチンチョークで勝利)に出場した時から狙っていた相手だし、最近までRIZINバンタム級チャンピオンで元Bellatorバンタム級だった相手にタイトルマッチと同じ5ラウンドという舞台で勝てたことがとても嬉しい」

「5Rマッチの経験はフアン・アルチュレタ戦で得ていた。あのレベルの選手と5ラウンドやった。あの場でアジャストし、楽しみながらコツも掴めた。強くなるにはこういうケージの経験が必要だ。俺は世界最高のバンタム級ファイターの一人だと思うが、世界一になりたい」

 実際、堀口恭司はタイトルマッチでしか負けたことがないというのは違います。『RIZIN.18』で行われた朝倉海との初戦はノンタイトル戦でした。2012年1月に上田将勝に判定負けした試合もノンタイトル戦です。続きを読む・・・
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BELLATOR Bellator279 MMA MMAPLANET o アーリーン・ブレンコウ キック クリス・サイボーグ

【Bellator279】大流血のブレンコウが攻め込むも届かず、サイボーグがフルマーク(減点あり)で王座防衛

<Bellaotr世界女子フェザー級選手権試合/5分5R>
クリス・サイボーグ(ブラジル)
Def.3-0:49-45.49-45.49-45.
アーリーン・ブレンコウ(豪州)

ブレンコウが距離を詰めると、サイボーグは左ロー。ブレンコウは左ジャブを突くが、サイボーグの右クロスで動きが止まる。パンチの交錯で相手を下がらせるサイボーグ、左フックと左ボディストレートでブレンコウを中に入らせない。ブレンコウが距離を詰めると、自分から左右フックを振るって相手を下がらせる。ケージ中央で組んだサイボーグはボディロックでブレンコウをケージに押し込む。右腕を差し上げ、首相撲からヒザをボディに差し込んでいく。ブレンコウが体勢を入れ替えるも、離れてパンチを打ち込む。

離れたブレンコウに対して左ハイでグラつかせたサイボーグ、ケージ際で右ストレートのカウンターでダウンを奪い、トップへ。ブレンコウのバックに回り、パンチを叩き込む。しかしグラウンド状態でブレンコウの顔面に左ヒザを入れてしまい、試合は一時中断に。サイボーグに減点1となり再開後、ブレンコウの右フックをかわして組み付いたサイボーグが、ボディロックからテイクダウンを奪い肩固めへ。これをブレンコウが凌ぐとサイボーグが離れてスタンド勝負へ。右フックでブレンコウをフラつかせると、さらに左ハイを当ててから組みつき、ブレンコウをケージに押し込んでいった。

2R、ブレンコウが左インローをヒット。しかしサイボーグがパンチを振るい、右ローを当てる。ブレンコウは下がらずパンチを振るう。サイボーグはブレンコウの前足で左右ローを連打。ブレンコウが中に入ってくると、右ストレートを打ち下ろす。左ジャブで距離を保つサイボーグ、ブレンコウは右ハイをブロックした。サイボーグの右耳から出血が見られる。サイボーグは右ハイから左ジャブ。ブレンコウの右フックをかわしたサイボーグがニータップで組みつき、ブレンコウをケージに押し込んだ。

右腕を差し上げたサイボーグは、再び首相撲に持ち込んでヒザとヒジを突き刺していく。頭を抜いたブレンコウが離れるも、左目尻から出血している。残り1分、サイボーグのパンチに対してフックを打ち返すブレンコウ。サイボーグは左ジャブを突く。最後はブレンコウにサイボーグが右ショートのカウンターを当てた。

3R、ブレンコウが前に出る。ガードを固めたサイボーグが左ハイから右ローを効かせる。サイボーグの右ハイをブロックしたブレンコウが距離を詰めていくが、サイボーグも前蹴りで距離を保つ。ブレンコウは右ローをヒット、しかし距離を詰めようとするとサイボーグの前蹴りが待っている。右ストレートが交錯したあと、ブレンコウの左フックをもらったサイボーグがマットに手を着いた。

立ち上がったサイボーグは左ジャブを突く。ブレンコウの左目尻の出血が激しくなるなか、サイボーグは左ローと右ショートを当てる。サイボーグのローに左フックを合わせるブレンコウ。サイボーグは大きな右フックを打ち込み、バランスを崩させた。ローと前蹴りで自分の距離をキープするサイボーグが組みつくも、すぐに離れてブレンコウの傷口めがけて右を振るっていった。

4R、会場を煽ったブレンコウに対し、サイボーグは左ジャブと右ロー、右前蹴りを打つ。ブレンコウも右ストレートをヒット、サイボーグの打ち終わりにパンチを狙い、サイボーグがバランスを崩した。さらにブレンコウの右がヒットしてサイボーグが尻もちを着いた。効いていないとアピールするサイボーグは、組みついてバックに投げてブレンコウをグラウンドに引きづりこんだ。

サイドから抑え込むサイボーグ、ケージからブレンコウを離してパンチを落とす。ブレンコウはエビを打つも返すことはできず。左足でブレンコウの右腕を抑えたサイボーグは、鉄槌を落とす。腕を抜いて起き上がるブレンコウ、サイボーグはブレンコウの左腕を抑えるも立ち上がらせてしまう。大流血のブレンコウに対し、左ジャブを突くサイボーグに対し、残り10秒でブレンコウも打ち返した。

最終回、ブレンコウが前に出る。ローを放ちながら下がるサイボーグに対し、ブレンコウも左ジャブと右ストレートを伸ばす。サイボーグは左ハイ、ブレンコウとの距離が詰まるとワンツーで突き放した。続けてサイボーグの右ストレートがブレンコウの顔面を捉える。ブレンコウのパンチをブロックしたサイボーグは、距離を取ってから右バックスピンキックを見せた。対するブレンコウも右バックスピンキックを返す。

前蹴りで距離を取り続けるサイボーグが、左フックを当てた。よろめくブレンコウ、しかし前進し続ける。ワンツーをもらったブレンコウは、ケージ中央での打ち合いを要求。しかしサイボーグは左ジャブを主体に距離を保ち続け、時おり右ストレートを当てながら試合終了のゴングを聞いた。

裁定はサイボーグの減点を除けばフルマークの内容で、王者が4度目の王座防衛に成功した。


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BELLATOR Bellator279 MMA MMAPLANET o キック フアン・アルチュレタ ラフェオン・スタッツ レアンドロ・イーゴ

【Bellator279】アルチュレタの組みを受けきったスタッツ、左ハイ一撃で暫定王座獲得&GP準決勝へ

<Bellaotr世界暫定バンタム級王座決定戦&バンタム級ワールドGP準々決勝/5分5R>
ラフェオン・スタッツ(米国)
Def.3R0分16秒 by TKO
フアン・アルチュレタ(米国)

いきなりアルチュレタが前に出る。しかしアルチュレタの組みをかわしたスタッツがワンツーで、アルチュレタのバランスを崩させる。組みつくアルチュレタだが、スタッツにかわされてしまう。パンチでコントロールするスタッツに、ダブルレッグで組みついたアルチュレタがグラウンドに持ち込んだ。ケージに背中を着けて上半身を起こしているスタッツの両足をたたんでいくアルチュレタ。立ち上がるスタッツ、アルチュレタは右腕を差し込んでスタッツをケージに押し込む。

アルチュレタがボディロックからスタッツをリフトアップするも、スタッツが凌いで倒されず。そのままアルチュレタがスタッツをケージに押し込み続け、スタッツの右足を挟んで揺さぶっていく。押し込まれるスタッツが、組まれながらヒザを繰り出すも届かず。スタッツがケージをつたったところで、アルチュレタも離れた。ケージ中央でパンチを繰り出す両者。アルチュレタの左目尻から出血が見られる。残り30秒で、スタッツがダブルレッグでテイクダウンを奪い、バックを狙っていった。

2R、前に出てきたアルチュレタの顔面に、スタッツが左ストレートを突き刺す。構わず前に出るアルチュレタ。スタッツはアルチュレタのシングルをスプロールして距離を取る。右ストレートを連打するアルチュレタ、スタッツは左ミドルを当てるも、アルチュレタの前進は止まらない。スタッツのパンチをかわしたアルチュレタが組みつき、ボディロックでスタッツをケージに押し込んでいく。右腕を差し上げるアルチュレタ、小外刈りで揺さぶるもスタッツは倒れない。

スタッツがケージから離れて中央へ。ここではスタッツがプレッシャーをかける。サークリングから前に出るアルチュレタ。スタッツの右の打ち終わりに右ショートを打ち込んだ。一瞬間を置いてテイクダウンを狙ったスタッツだが、アルチュレタがこれをスプロールして反対にスタッツをケージに押し込んだ。正対するスタッツに両ワキを差して逃さないアルチュレタ。左足へのシングルに切り替えたアルチュレタが、そのままケージに押し込み続けてラウンドを終えた。

3R、ここでも前に出るのはアルチュレタだ。しかしスタッツが左ハイキックを繰り出すと、ダッキングしたアルチュレタの頭部にスタッツの左ヒザがヒット。ゆっくりと背中からダウンしたアルチュレタの顔面に、スタッツが右ヒジを連打するとレフェリーが両者の間に飛び込んだ。

バンタム級暫定王座を獲得したスタッツは、GP準決勝ではレアンドロ・イーゴ×ダニー・ザバテーロの勝者と戦う予定だ。


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BELLATOR Bellator279 MMA MMAPLANET o イルマレイ・マクファーレン キック ジャスティン・キッシュ

【Bellator279】地元マクファーレンはTDできず、キッシュが組みで切り返して大差の判定勝ち

<女子フライ級/5分3R>
ジャスティン・キッシュ(ロシア)
Def.3-0:30-27.29-28.29-28
イルマレイ・マクファーレン(米国)

直ぐにダブルレッグに入ったマクファーレンだが、両ワキを差したキッシュが体を入れ替える。ボディロックテイクダウンを切り返しきれず、クローズドガードを取ったマクファーレンは自分の庭で、即腰を切っていく。スペースを創り立ち上がったキッシュは、間合いを取り直す。

そのまま時間が過ぎ、打撃で前に出たマクファーレンにキッシュがカウンターを狙う。ローにニータップもテイクダウンを取れないマクファーレンは左ボディ、右フックを当てる。来ないキッシュにはテイクダウンに入ることが難しい──結果的に自分から前に出るマクファーレンがキッシュの戦いに付き合わされている形で初回が終わった。

2R、共にワンツーを出し合う。マクファーレンがプレッシャーをかけてキッシュにケージを背負わせるも、キッシュの右ローでマクファーレンがマットに手を着いた。すぐにダブルレッグに入ったマクファーレンだが、キッシュにスプロールされる。キッシュは左腕でマクファーレンの首を取り、グラウンドへ。立ち上がろうとするキッシュの左足を取ってストレートフットロックを仕掛けたマクファーレン、しかしこれは極まらずキッシュが上を取る。

マクファーレンのダブルをガブったキッシュが立ち上がり、試合はスタンドで。両者が見合う中、マクファーレンがシングルレッグで組みつきもキッシュが体勢を入れ替えて、ボディロックからテイクダウンした。マクファーレンは下からラバーガードの体勢になるも、キッシュはマクファーレンの足をふりほどく。しっかしと相手を抑え込むキッシュは、一度立ち上がってパウンドを落とすも、マクファーレンの顔面には届かず。再びグラウンドに入ったキッシュに対し、マクファーレンはフルガードで守る。

残り1分を切ったところで立ち上がった両者。マクファーレンがアッパーを織り交ぜたコンビネーションを繰り出すも、キッシュが足を使ってラウンド終了までかわした。

最終回、マクファーレンが距離を詰めながら組み付くも、キッシュが距離を取る。足を使うキッシュを負うマクファーレン。キッシュが左ジャブから右を着くと、マクファーレンは右の打ち下ろしを合わせた。サウスポーにスイッチしたキッシュが、ケージを背負いながらサークリングする。距離を詰めてくるマクファーレンのボディに右サイドキックを突き刺したキッシュ、完全にカウンター作戦か。

サークリングしながら細かくローを繰り出すキッシュの顔面に、マクファーレンのパンチがヒット。マットに手を着いたキッシュだが、すぐにダブルレッグで組みつき、マクファーレンをリフトアップしてグラウンドに持ち込んだ。サイドに着くキッシュ、マクファーレンは左足で相手をロックしようとしたが、キッシュがしっかりと抑え込む。マクファーレンが下からキッシュの首を抱えるも、首を抜いたキッシュがマウントからマクファーレンの右腕を取って腕十字へ。マクファーレンは腕を抜きにかかるが、キッシュはオモプラッタを狙う。これを凌いだマクファーレンがバックを狙ったところで試合が終了した。

裁定はジャッジ1人がフルマークをつける内容で、キッシュがマクファーレンを下した。


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BELLATOR Bellator279 MMA MMAPLANET o パッチー・ミックス ベラトール 堀口恭司

【Bellator279】RNCではなく、パッチー・ミックスのバックテイクに堀口恭司判定負け。ベラトールで2連敗

<Bellatorバンタム級ワールドGP準々決勝/5分3R>
パッチー・ミックス(米国)
Def.3-0:48-47.48-47.48-47
堀口恭司(日本)

身長差、リーチさが凄まじい両者。サウスポーに構えたミックスに対し、堀口はサークリングから左カーフを蹴る。ワンツーで堀口を追いかけるミックスは左オーバーハンドに組みついて、即バックに回ってスタンドでボディトライアングルへ。

手首を掴んで守る堀口だったが、アゴの上から右腕で絞めるミックスが後方に倒れてグラウンドに持ち込む。2度、3度と絞めのセットしていくミックスに対し、堀口も頭を上方にずらし、登って対処する。ワキをすくいつつ、パームトゥパームからRNCと攻め続けたミックスだが、堀口も我慢強く防御に徹する。ミックスはパンチ、エルボーから強引に絞めていくも、残り時間は1分を切る。腰をずらし切れないが、ラウンド終了が見えてきた堀口が後方にパンチを入れ、最後は手首を掴んで防ぎ切った。

一番得意な態勢に早々に持ち込んで極め切れなかったミックスは、体力と精神力とともにどれだけ削られているか──2Rが始まった。右カーフを蹴った堀口は、左ミドルに左を合わせる。右ミドルの堀口に対し、ミックスはすぐに組みにはいかない。左右だけでなく前後の動きを織り交ぜた堀口が、拳と蹴りを伸ばす。ミックスはサークリングの堀口を追いかけ、右を伸ばす。スッと離れる堀口が左を当て、左右に大きく回る。右ハイをかわした堀口は左、やや距離が近づきミックスのジャブとローが入る。

堀口は右ボディから左オーバーハンド、そし手直ぐに離れる。右オーバーハンドでも同じように動いた堀口は左ロー。ミックスはワンツーを繰り出すが、組みつかない。追いかけてきたミックスに左を当てた堀口だが、逆に右を被弾。さらに左リードフックを受けると。終了間際に左ローを蹴って時間となった。

3R、開始直後のテイクダウン狙いを切った堀口が左リードフック、右ボディストレートを入れる。右オーバーハンドに続く左オーバーハンドは空を切った堀口だが、左クロスから右ストレートを入れると、遠い位置から踏み込んで右ストレートをヒットさせる。ミックスもヒザを腹に入れたか。そのミックスの前進に捕まらず、右ミドルを入れた堀口は左を見せて、右ボディを殴り、左フックに繋げる。

しかし、ミックスは全力で前進して両ヒザをマットにつけたダブルレッグでテイクダウン。スクランブルでバックに回り切る。尻もち措置を突いて左腕でワキをさして四の字フックを完成させたミックスは、襷のままで絞めを狙う。ここは勢いで動くと肩固めに入られる流れのなかで、堀口は背中を預けたまま一度立ち上がり、寝技に戻っても首を守っていく。フックが開き、胸を合わせた堀口がエルボーを落とす。そのままトップでラウンドを終えた堀口、ポイント的にはリードを許したかもしれないが、体力的にはまだ余力が残っている。

4R、サイドの関節蹴りを繰り出すミックスに、右ハイを蹴った堀口が左で飛び込む。ここで組みつかせなかった堀口は、右ミドルから右の追い打ちを繰り出す。ジャブをブロックた堀口が、左を見せる。ミックスは前足の蹴りを多用し、ジャブを伸ばす。蹴りの届く距離でワンツーを入れた堀口は、右ボディを決める。右インサイドローでヒザをついたミックスがすぐに立ち上がり、ワンツーで前に。堀口は回ってかわすも、決定的な打撃はない。それでも右ボディを打ち込んだ堀口は、ヒザに左目尻をカットする。堀口は鋭い左カーフを蹴り、右ハイもこの回が取れたかは微妙だ。

最終回、初回は10-8がついた可能性があり、明確に取ったラウンドは2Rのみの堀口。ポイントでリードしている可能性はあるが、ここは決定的な一発が欲しい。その意識があり、前に出た堀口をダブルレッグで倒したミックスは、ウィザーにもボディロックでバックを取り切る。

1Rと同様にスタンドでボディトライアングルに捕えたミックスは、腿にヒジを落とす堀口にRNCを仕掛ける。このまま時間が過ぎれば勝利のミックスは、余裕を持って絞めを仕掛けると、後方に自ら倒れ込む。足を組み替え、足に疲れも見えるミックス。続く組み換え際にトップを取った堀口だが、ミックスはギロチンで後方回転し、反応させてバックコントロールで。何とか立ち上がった堀口の2度目の払い腰をかわしまたもミックスがバックに回る。

スイッチもままならない堀口が、何とか正対するが尻もちをつかされたままケージに押し込まれる。残り2秒で立ち上がった堀口だが、拳を伸ばす時間は残されていなかった。

十分に対策し成果も見せた堀口だが、それでもバックを取るミックスのポジション奪取力の前にジャッジ3者とも48-47をつけ判定負けとなった。勝者ミックスは「タフマンを相手に5Rを戦う準備をしてきた。彼は元世界王者、49-46で勝ったと思った。僕はアンダードッグじゃない、ドッグなんだ」と話した。


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