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お蔵入り厳禁【Road to UFC2023 Ep06】「課題の克服に3カ月を費やす」。原口伸がRTU準決を振り返る─02─

【写真】決勝へ。Braveジムのタフな練習仲間とのスパーで課題の克服に努める(C)MMAPLANET

8月27日(日・現地時間)、シンガポールのインドアスタジアムで開催されたRoad to UFC 2023Ep06のメイン=ライト級準決勝でキム・ジェヒョンを判定で破り、決勝戦進出を決めた原口伸インタビュー後編。
Text by Manabu Takashima

お蔵入り厳禁――対戦相手の計量失敗と、ワンマッチ出場選手の代役出場。1度は切れた気持ちを紡ぎ直し、スクランブルに長けたキム・ジェヒョンを徹底的にテイクダウンで攻め切った。そのうえでの不満顔と、決勝戦に向けて何をすべきかを原口が語った。

<原口伸インタビューPart.01はコチラから>


――対戦相手のスクランブル能力の差ということも考えられますが、これまでの試合より組んでの打撃が少ないように見えました。

「立たせたくないっていう気持ちから、そうなってしまったように思います。過去の対戦相手は、ジッとしていることが多くて。だからこそ、この試合は本当に勉強になりました。本当に勉強だらけだったと自分でも思います」

――初回は倒し続けることができたと思いますが、2Rからは切られることも出てきました。完全レスリングという展開に疲れたということはありますか。

「実は試合映像を視て、びっくりしました。自分で『こんなにキツい顔をしていたんだ』って」

――そうだったのですか(笑)。

「でも気持ちは全く折れていなかったです」

――折れていてはあの試合はできないです。逆に絶対に倒すという気持ちのファイトでした。一方で体力の方はどうでしたか。

「僕の動き続けるというのは、ずっと元気に動き続けるということではなくて、疲れても動くということなんです」

――あっ、なるほどです。

「ただ、終わってみるとあの試合展開では一発をもらったり、テイクダウンをする過程で相手の細かいパンチを受けることで向こうのラウンドになることもあると思うようになりました。現にヒジは打たれましたし。スタンドでも打撃を見せて組まないといけないし。本当に準決勝の試合内容で、自分が勝ったと胸を張るつもりは一切ないんです。

帰国中の飛行機でも、今も寝る前にずっと試合映像をチェックして『これじゃいけない。どうすれば良いのか』を考えています。試合後にここまで考えるのは、初めてのことです。だから……とりあえず決勝には進めたけど、勝った喜びは全くなかったです。やっぱり対戦相手が代わったことで気負ってしまって。気持ちの重さがフットワークの重さに関係していたのかなって」

――少しでも不戦勝になると思った。その影響があったのかもしれないですね。

「そうならないようにしようという意識はあったのですが、でも……やっぱり無理でしたね(苦笑)。気持ちが切れた感覚はありました。本来はいけないことですが、気持ちと精神はリンクしていたと思います。本来の対戦相手と戦うために積み上げてきたことが帳消しになり、新たに創り直す時間はなかった。ただ1回戦はフィニッシュができても、まるで勉強にならない試合だったので今回の経験は自分のキャリアに役立てることができます。それなのに――終わった瞬間は、何か腑に落ちない。しっくりこない気持ちがあって……」

――あの笑顔がない勝利写真でも明らかです(笑)。

「自分に対して、こんなもんなのかってガッカリしてしまい……でも、お客さんに対して『ごめんなさい』というのも違うし」

――絶対に違うと思います。自分の練習してきたことを出し切る。勝っている試合で、客を沸かせるために自分のスタイルでないファイト、一か八かの動きをする必要は全くないです。

「なので『俺は俺』っていう言い方はしたのですが、自分の中では反省点だらけの試合です。謝るものかとは思っていましたけど、勝ち名乗りを受けた時にブーイングがあって――。『これが自分』という発言を外に向けて出てしまったというのもあります。『黙ってろ』っていう気持ちは凄くありましたね(笑)」

――上手く立たれましたが、何か攻撃を受けたわけではなかったですし。

「そこから脱却できない相手にも、問題はあるでしょっていう気持ちもありました」

――必殺「漬けられるヤツが悪い」理論ですね。

「アハハハ。本当に兄の気持ちが少しずつ分かってきました。これから決勝、その先のUFCで戦うことを考えて、テイクダウンを取った後のことを考えていきたいです。いかに背中をマットにつけさせるか。そうすることで、勢いのあるパンチを打てるようになるはずです。

それにテイクダウンのフェイントが掛かって、手が下がっている相手にパンチを打つとか。フェイントからハイキックも、やれば入るじゃんって。それができないということは、まだビビり過ぎている部分があったということです。結果的にこれからに向けて、やることが明確になりました。どうすべきかを自分の頭の中で考えて、今日も練習できました。

ヌルマゴメドフの教則みたいなのをたくさん見て(笑)。しっかりと抑えられるようにします。2回だけロータスに行って練習させてもらったのですが、その時に上久保(周哉)選手にもその辺りの話を聞かせてもらいました。青木選手の技術も見て。これからもロータスに行かせてもらい、その辺りを見て・聞いて、自分のモノにしていきたいと考えています」

――では12月にあると思われる決勝戦に向けて、今はどのような想いでいますか。

「準決勝の反省点、課題の克服に向けて3カ月という時間を費やそうと思います。何かを加えるのではなくて、そこをやることで殻を破ることができるかと。練習相手が強いですし、そのなかで強くなる練習と勝つ練習がリンクできているので、どっちも充実しています」


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