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【Vietnam MMA Cup 2021】密かに動き始めていた──ベトナムのMMA普及=国家プロジェクト?!

【写真】エルボーパットの装着が認められる──ベトナムMMA界の第一歩だ (C)TO CHI HUNG

19日(金・現地時間)、ベトナムはホーチミンのニャーティードゥ・ラック・ミョウ(ラック・ミヨウ体育館)でスーキエンチョック・クッパ・ヴォートットホップ・ベトナム2021(ベトナムMMAカップ2021)が開催された。
Special thanks to Mr.HISANORI KOTANI & Mr.DUG ANH NGUYEN

2019年9月に開かれたONEにとって初のベトナム大会が、リング使用のオンリー立ち技大会であったようにMMAの開催が認められてなかったベトナムで、密にMMA普及がはかられていたことが分かった。


かの国のMMAは米国籍を持つホーチミン在住のアクション俳優兼格闘家のジョニー・トゥリ・ウェンが、祖父ウェン・ギャンムンが創始したリン・フォン(コンバイン・スタイル)という武道を継承し、米国で視たMMAをベトナムに持ち込んだという歴史がある。

もともとベトナムではフランス統治時代、バァア・ヤァと呼ばれた「死んでも文句を言ってはいけない」という了解の下、薄手のグローブをつけた──グラウンドファイトも認められた──何でも有りの試合がフランス統治時代に行われていた。

ジョニーは自らの道場=リン・フォンや会場を借りてMMAの試合を組んでいたが、ベトナム政府に認められたモノではなく非合法のMMAイベントであった。つまりリン・フォンにしてもバァア・ヤァにしても、現状のベトナムMMA正史ではなく、ベトナム共産党が認めてないMMAの裏歴史といえる。

2019年12月28日にハノイで開催されたBai Danh Chien03(バイザンチエン)というキック興行で組まれた2試合が、ベトナム社会主義共和国が初めて認めたMMAの始まりとされる。

ここからMMAが解禁され、2021年3月に予定されていた2度目のONEホーチミン大会では、いよいよMMAマッチが組まれるという流れになっていた。しかし、ご存知のように世界に広まったコロナ・パンデミックを前に同大会はキャンセルされ、以降1年半に渡り日本にベトナムのMMAの動向が入って来ることはなかった。

それが突然のスーキエンチョック・クッパ・ヴォートットホップ・ベトナム2021の開催さらという報が入った。この大会は事前に告知もされておらず、ベトナムの柔術界隈にも話が漏れ伝わってくることがなかったという。

会場への入場が許された政府関係者、選手、セコンド、運営陣と招待客を含め200人。

これは現状のベトナムのコロナ対策で上限の集客数だという。その200人は会場の外で抗原検査を行い、体育館に足を踏み入れることができた。

大会主催はベトナムMMA協会。私的なプロモーターや共催者は存在せず、政府機関が「選手、ジャッジ、ルール、運営の向上」を目的とし今大会は実施された。

マイ・テンバ協会書記長によると、「ベトナムのMMAはまだ歴史が浅く、普及が必要です。同協会では今大会のようなローカルの小さなイベントを開催し、試合に向けた練習をするという機会をベトナムのMMAアスリートに用意してMMAを普及していく意向です。そして我が国のアスリートたちが十分に力をつけたと判断すると国際的な舞台に送り込んでいきます」と今後の方針について大会後に語っている。

闇興行などもってのほか、スポーツ選手の海外プロスポーツでの活躍は同国の外貨獲得策でもあり、MMAの普及は国家プロジェクトと捉えることができる。

とはいえ時の為政者の判断が左右されるのが文化の発展……。ベトナムのMMAが如何に発展していくか、同協会の主催大会の続報を待ちたい。

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