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【Special】J-MMA2023─2024、新井丈「負けも含めて……絶対にまた強くなれるから」「必ず戻ってくる」

【写真】さらに強い意思を持って、新井丈は戻ってくる(C)TAKUMI NAKAMURA

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Takumi Nakamura

J-MMA2023-2024、第十四弾は修斗で史上初のストロー級&フライ級の二階級同時制覇を成し遂げるも、大晦日RIZINでKO負けを喫した――新井丈に話を訊いた。

8連勝中で迎えた2023年も連勝記録は続き、7月にストロー級王座をKO防衛、9月にフライ級王座をKO勝利で獲得。新井は常に激闘を連発し、修斗のみならずJ-MMAの年間MVP候補と言ってもいい活躍を見せていた。しかし大晦日RIZINではヒロヤにまさかのKO負けを喫し、約4年ぶりの黒星で年を越す形となった。まだ敗戦の傷も言えないなか、新井がインタビューに応じてくれた。

■2023年新井丈戦績

3月19日 Shooto2023#02
○3-0 関口祐冬(日本)

7月23日 Shooto2023#05
○1R4分41秒 by KO 安芸柊斗(日本)

11月19日 Shooto2023#07
○3R2分55秒 by KO 山内渉(日本)

12月31日 RIZIN.45
●2R2分53秒 by TKO ヒロヤ(日本)


――大晦日の試合が終わってからはどのように過ごしていたのですか。(※取材は10日に行われた)

「もちろん練習も運動もせず、人とも会ってないですね。人と会うとどうしてもごめんねって気持ちになっちゃうし、場の空気も悪くなっちゃうんで(苦笑)。立ち直りたい気持ちもあるんですけど、少なからず気持ちが落ちているところもあるから、相手に気を遣わせるんだったら、一人で考える時間を過ごそうと思っています」

――ヒロヤ戦は約3年半ぶりの敗戦で、しかも11連勝中が途切れる敗戦でした。前回の敗戦とは意味合いが違ってくると思います。

「意味が違いますね。連敗中は積んでいるものがなかったから、負けるべくして負けていたし、負けが増えたところで失うものがなかったから、自分が恥ずかしくなるだけでした。でも今は勝ってきた分、修斗のファンも背負っていたし、応援してくれる人も増えているから、自分が負けたことで落ち込ませてしまう人が多いという状況ですよね」

――衝撃的なKO負けでしたが、試合映像は後からチェックすることはできましたか。

(C)RIZIN FF

「ちゃんと見ています。

まずKOされたシーンは完全に記憶が飛んでいたので、どうやって自分がKOされたのかを把握したかったんです。そうはいっても悔しさがよみがえるから、すぐに映像を見ることはできなかったです。気持ちがちょっとずつ回復してきたタイミングで何回か見ました」

――11月の修斗でのタイトル戦から短期間での大晦日RIZIN出場となりました。結果論で語るのはナンセンスだと思いますが、試合をしなかった方がよかったのではないかという声も出ています。その上で大晦日に試合をしたことはどのような経験になりましたか。

「今までにないキャパと注目度だったので、それは自分の経験値になりましたよ。だからそこは絶対にプラスになったと思います。あとは負けも含めて………絶対にまた強くなれるから。こんなに悔しい気持ちは久々で、自分自身にも周りにもこんな悔しい気持ちはさせちゃいけないと強く思ったんで、もう負けたくないですね。一戦一戦自分のすべてをかけて戦わなきゃいけないと思いました」

――自分の負けで落ち込んでくれる人間がこんなにいたのかと驚いた部分もありますか。

「そうですね。自分のことのように悔しがってくれている人がいて、そこまで自分の試合に感情移入してくれてたんだなって。だからそれを知ったことはより辛かったんですけど、言い方を変えれば、そのくらい人の心を動かせられる・影響を与えられる選手になったんだなとは思いますね」

――では大晦日をのぞいて2023年は新井選手にとって、2023年とはどのような1年でしたか。

「大晦日をのぞけば100点です。自分が持っている以上の力を発揮できたし、より多くの人を巻き込むことが出来た1年だったと思います」

――年の始めにそのような1年になることはイメージしていましたか。

「いざ現実と照らし合わせたら、ここまでになるとは思っていなかったけど、もっと輝いている自分を想像して生きているんで、なるべくしてなっているなって気持ちはあります」

――修斗ではストロー級王座を防衛して、フライ級にもチャレンジして史上初の2階級同時王者となりました。ある意味、ストロー級ではやりきった部分もあると思います。これから階級はどこで戦っていこうと思っているのですか。

(C)SATOSHI NARITA

「基本的にはフライ級でいいのかなと思っています。

それこそストロー級でたくさんの人の心を動かすカードやモチベーションになる試合があるならいいんですけど、正直今はそれが見当たらない。だったら僕は挑戦していく姿を見せていきたいし、だからフライ級でやることになると思います」

――新井選手が試合を受けるうえで、どれだけ人に響くか。チャレンジできるかが基準になっているのですか。

「そこが大事ですね。『そりゃ新井丈が勝つだろ?』という試合はやりたくないし、勝った時にどれだけの人が沸くかを考えて試合を受けています。特にこれからはコンスタントに試合をするというよりも、一試合一試合どれだけ意味がある試合なのか、注目してもらえる試合なのか。そこを考えてやっていきたいですね」

――どの選手にも2024年の抱負や目標を聞いているのですが、今はまだ次の試合のことは考えられないですか。

「まず大晦日に勝ったとしても半年は休むつもりだったんですよ。それこそフライ級でやることになったら、そのための身体作りも必要だし、自分のウィークポイントでもある組み技も強化しないといけない。そこは時間がかかると思っていたので。そこは負けても変わらず、です。なんならKO負けしているので、しっかり時間をかけてダメージを抜いて、体作りから始めたいです」

――フライ級仕様に仕上げるには時間がかかる、と。

「いずれフライ級でやるだろうなと思っていたから、この2~3年は常に増量とバルクアップを念頭に置いて過ごしてきたんですけど、どうしても試合数が多いと通常体重が変わらないんですよね。身体作りには時間がかかるし、コンスタントに試合をやりながらでは難しいということを身をもって分かっているので、今は試合間隔を空けて、身体を作る時間にあてたいですね」

――また一から作り直すという感覚ですか。

「一からではないですね。自分は器用じゃないから、このスタイルを突き詰めるしかないと思っているし、時間がある分、変えなきゃいけないところや伸ばさなきゃいけないところを考えてから動き出したいです。そこはジムでも話し合いつつですが、自分のスタイルをガラッと変えることはないです」

――ではまた改めて新井選手が復活する時を待ちたいと思います。

「自分が試合で勝ってきた感覚や戦い方はすぐになくなるものではないし、試合でガチガチに緊張するタイプでもないので、自分は半年(試合が)空いても問題ないと思っています。本当は勝って、そうしたかったんですけど人生そこまで楽じゃないですね(苦笑)。でも必ず僕は戻ってきますよ」


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MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2023#07 キック 修斗 山内渉 新井丈

【Shooto2023#07】有言実行のベストバウト! 壮絶な打撃戦の末、新井が山内をKOし2階級同時制覇を達成

【写真】顔がボッコボコになるのも覚悟の上—―新井が修斗史上初の同時2階級王者となった(C)SATOSHI NARITA

<修斗世界フライ級王座決定戦/5分5R>
新井丈(日本)
Def.3R2分55秒 by TKO
山内渉(日本)

開始早々、新井が距離を詰める。前蹴りを連打する山内が新井をケージに詰めた。ケージを背にしながら新井が左フックを振るって、ケージ際から脱出する。しかし山内のパンチが新井の顔面を捉え、ケージに詰めて左右フックを連打していく。なおも前に出る新井が左フックを見せた。山内は左ジャブ、左フックを当てる。新井のパンチ、右カーフキックも当たる。山内は右クロスをヒットさせると、新井が組んでバックに回る。すぐに離れて打撃戦に戻る両者だが、新井の右ストレートが山内の顔面をかすめた。

パンチを上下に散らす山内が、ローで新井の動きを止める。しかし新井の左フックのダブルがヒットし、右クロスでグラつかせる。追撃の左フックを受けて倒れた山内を抑え込む新井、パンチを落とすが、ここで立ち上がった。ややダメージが残っている山内が左ジャブを突くも、新井の左フックがクリーンヒットしている。山内のダブルレッグをスプロールした新井は、立ち上がってきた山内をケージ際で転がす。残り30秒で山内が新井をケージに押し込んだ。新井がケージ際から脱すると、ケージ中央で山内が左ハイをヒットさせた。

2R、山内の右目下が腫れている。新井が左インロー、山内は左ジャブからローを細かく打つ。山内の左ジャブが細かく新井の顔面を捉えている。さらに山内の連打で新井がフラつくも、新井も左フックを返している。左ジャブの突き合いから、新井が左ミドルを連打する。さらにパンチの連打で新井をケージに詰めた山内が、左ボディを突き刺す。新井も連打を受けながら一発一発、左右フックを返していく。山内の左右ストレートがクリーンヒットし、さらに蹴りをボディに集める。

ボディ攻撃が効いたか、下がる新井はパンチを受けながらもケージ中央に戻る。山内のダブルレッグをスプロールするも、再びケージに詰められてしまう。山内がフックとボディの連打を叩きこんでいくも、新井が自らケージを背にするようなシーンも――これは新井がケージ際に誘いこんでいるのか!? 山内が左ジャブと左の蹴りを見せながら組みにいくと、新井が足払いで尻もちを着かせた。

3R、新井が会場の観客を煽る。大歓声のなかスタートし、新井が右ボディストレートを伸ばす。山内も左ジャブと左の蹴りを当て、距離が詰まると左ボディアッパーを織り交ぜたコンビネーションをめりこませた。新井は山内のダブルレッグをスプロールし、右カーフキックを打ち込む。山内は細かいパンチから、右ストレートのカウンターを突き刺した。

左の蹴りを散らす山内は、新井が距離を詰めてくると左ジャブで迎え撃つ。しかし新井も飛び込んでパンチを振るう。ケージに詰められても打ち返す新井に対し、山内はやや疲労が見える。新井は右ボディ、左フック、右フックと打ち込んだ。動きが止まった新井に左右フックを浴びせると山内がダウン—―その顔面に右フックを叩き込み、KO勝ちを収めた。

修斗史上初の2階級同時制覇を果たした新井は、ストロー級のベルトを左肩にかけ、新たにフライ級のベルトを腰に巻いて写真撮影に応じる。マイクを持った新井は「フーッ! ネバー・ギブアップ!! これで修斗の歴史に名を刻めるチャンプ&チャンプです。俺はどんな言葉もプラスに替えられる。成し遂げられる自分を想像してください。ネバーギブアップ。以上!」と叫んだ。


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MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2023#07 オーディン 宇野薫

【Shooto2023#07】オーディンがスピニングバックフィスト→ヒザで宇野をKOし「格闘技から離れる」宣言

【写真】衝撃のKOシーンと、オーディンの発言――(C)SATOSHI NARITA

<フェザー級/5分3R>
オーディン(日本)
Def.2R0分53秒 by KO
宇野薫(日本)

回る宇野が右の縦蹴りを見せる。左手を伸ばすオーディンに対し、左ローを当てた宇野。オーディンは宇野にケージを背負わせ、右ボディストレート、右ストレートを伸ばす。この右が当たったか、宇野はテイクダウンのために足を掴めず、マットに背中を着けてローでけん制する。立ち上がった宇野がダブルレッグに入ると、オーディンがパンチを合わせる。オーディンの右ミドルハイをキャッチした宇野がシングルレッグで倒しにいくも、オーディンは倒れず。宇野はマットに背中を着けて、オーディンのボディを蹴り上げた。

オーディンが離れるとレフェリーがブレイクをかける。スタンドで再開後、オーディンが右を伸ばす。オーディンの右ミドルハイをキャッチするもテイクダウンできない宇野江は、オーディンが前に出るとケージを背負う。しかしケージ中央で宇野の右フックもヒット。さらに左ストレートから返しの右を当てる。組むと下になってしまう宇野にパウンドを落とすオーディンは、離れて初回終了のホーンを待った。

2R、宇野がスイッチしながら距離を詰めると、オーディンのバッティングを受けた宇野がマットに背中を着けた。オーディンが離れたところでレフェリーがブレイクをかけ、出血している宇野の鼻をチェックした。再開後、宇野が前に出て左の前蹴りを放つ。オーディンが右ミドルを繰り出すと宇野は蹴り足をキャッチしたが、足を抜いたオーディンが右スピニングバックフィストがクリーンヒット。グラついた宇野がシングルレッグに入ろうとしたところに、オーディンが右ヒザをカウンターで合わせた。倒れた宇野にオーディンが追撃のパウンドを浴びせると、レフェリーが割って入った。

勝利したオーディンは「この試合を機に一回、格闘技界を離れたい」と宣言……オーディンの今後はいかに!?


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MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2023#07 エフェヴィガ雄志 マックス・ザ・ボディ 修斗 後藤陽駆

【Shooto2023#07】わずか21秒! エフェヴィガが左ヒザから左ストレートで後藤をマットに沈める

【写真】ライト級転向は成功か。エフェの動きが鋭い(C)SATOSHI NARITA

<ライト級/5分2R>
エフェヴィガ雄志(日本)
Def.1R0分21秒 by TKO
後藤陽駆(日本)

サウスポーのエフェヴィガがサークリングから左ストレートを放つ。左ヒザをボディに突き刺して後藤の動きを止めたあと、パンチを振るいながら下がる相手の顔面を右から左ストレートで打ち抜いた。ダウンした後藤に左のパンチを落とし続け、やや遅いレフェリーストップを呼び込んだ。

勝利したエフェヴィガは「早めにKOしたので、長めに喋れますか? これが修斗2戦目で負けなしです。本当はランカーとやれると思っていたけど、腰抜けがいたみたいです。名前は出さないけど――マックス・ザ・ボディ。強すぎてビビって、また試合しないと思うので。いろんなところで試合をして、また修斗でも試合があると思うので、よろしくお願いします」と語った。


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AB ABEMA DREAM MMA MMAPLANET o Road to UFC Shooto Shooto2023#07 UFC   エフェヴィガ雄志 エンゼル☆志穂 オーディン チャンネル ボクシング ヤックル真吾 ライカ ライダーHIRO 修斗 吉成はるか 大竹陽 宇野薫 山内渉 川北晏生 平良達郎 後藤陽駆 新井丈 杉本恵 杉本静弥 浜松ヤマト 清水清隆 竹原魁晟 藤野恵実 鶴屋怜

【Shooto2023#07】無敗の修斗世界王者へ。新井丈と対戦する山内渉「失神するまで、殴るか絞める」

【写真】全局面打撃で勝つことが理想。それが山内の理想のMMAだ(C)MMAPLANET

19日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#07のメインで、山内渉が修斗世界ストロー級王者の新井丈と空位の同フライ級王座を争う。
text by Takumi Nakamura

プロデビューから6戦6勝というレコードで世界戦にたどり着いた山内。修斗のレギュレーションを変えた新井の2階級同時制覇に注目が集まるが、山内が勝利すれば修斗に新たな無敗の世界王者が生まれることになる。極真空手に始まり、FIGHT FARMで育成されたMMAスタイルでベルトを狙う山内に話を訊いた。


――試合5日前のインタビューとなりますが(※取材は11月14日に行われた)、ここからは体調を整えて体重を落とす段階ですか。

「はい。やることをやって仕上がりはいいので、あとは身体を休めて体重を落とすだけですね」

――前回7月のヤックル真吾戦では鮮やかなKO勝ちでした。あれは狙っていたものだったのですか。

「普段から田村(彰敏)さんと打撃の打ち込みをやっていて、いつも数パターンを分けて練習しているんですね。その一つがハマって倒せた試合でした。繰り返し練習しているものなので、試合になると勝手に体が動きました」

――またテイクダウンされてから立ち上がるまでの流れもしっかり対応できていたと思います。

「FIGHT FARMはみんな組みも強いので、練習では寝かされることが多いんですよ。そこの対処も普段からやっていることなので、それが試合に出たと思います」

――2022年11月の清水清隆戦、ヤックル戦と2連続KO勝利となりました。

「拳の当て方や拳を握るタイミングだったり、倒す感覚を覚えてきたと思います」

――少しずつ山内選手のファイトスタイルが固まってきていますか。

「そうですね。次の新井選手は基本的に打撃でくると思いますが、僕は寝技もできるので、その場の状況に合わせて、自分が戦いやすい方で戦おうと思います」

――2連続KO勝利の山内選手とハードパンチャーの新井選手の試合ということで打撃戦が期待されますが、それだけの試合にはならない、と。

「お客さんが盛り上がるのは打撃だと思うんですけど、僕は打撃にこだわって大事な試合を落としたくないので、打撃でいけたらいくし、寝技でいけたらいく。特にこれというのは決めずに戦います」

――その新井選手にはどんな印象を持っていますか。

「ガッツがあって、パンチ力と当て感がすごいという印象です。でも一番印象に残っているのは気持ちの強さと気合いですね」

――KO勝ちの印象が強いですが、被弾しても最後は殴り勝つというスタイルです。

「それができるのもガッツがあるからですよね。組みでやられた試合を見ても落ちるまでタップしないし、僕も徹底的にやらないとダメだなと思いました。意識がある限りは絶対に試合をあきらめないと思うので、新井選手が失神するまで、殴るか絞めます」

――山内選手はプロ無敗のままタイトルマッチにたどり着きました。自分では順調なキャリアだと思いますか。

「めちゃくちゃ順調だと思います。今振り返るとマッチメークや試合展開も含めて運が良かった部分もあったと思いますが」

――過去にMMAPLANETでも取材している山内選手ですが、今回は山内選手がMMAを始めるまでのことを聞かせてください。もともと山内選手は極真出身ですよね。

「はい。小さい頃から“たたかいごっこ”みたいなことが好きで、父親と遊ぶときもボクシングの真似事とかをやってたんですよ。そしたら友達の中に空手をやっている人とつながっている子がいて、自分も空手をやってみたいと思って始めました。空手は8歳から始めて18歳まで、高校を卒業するまで続けました」

――空手からMMAに興味を持ったのは何がきっかけだったのですか。

「僕めっちゃ空手は弱かったんですけど(苦笑)、一応高校に入るまでは空手で世界チャンピオンになることを目標にやったんですね。でも高校に入ってからは『顔面を殴ってみたらどうなるんだろう?』とか『空手よりも顔面ありの方が向いてるんじゃないかな』と思うようになって。組み技とか寝技にも興味があったんで、それだったらMMAをやってみようという考えになりました」

――空手時代はどんなファイトスタイルだったのですか。

「接近戦が苦手で足を使って戦うタイプだったんですよ。足を止めて突き…じゃなくて、動いて動いて蹴りを合わせるみたいな。そういうスタイルだったから余計に顔面ありやMMAをやってみたいと思ったのかもしれないです」

――実際にMMAを始めるのは高校卒業→上京してから、になるのですか。

「はい。はじめは高校を辞めて上京したかったのですが、親に猛反対されたんですよ。それでちゃんと高校を卒業してMMAをやることになったら親は応援してくれました(笑)」

――2度目のチャレンジだった、と(笑)。でもそのくらいMMAをやりたいという衝動に駆られていたのですね。

「はい。とにかくMMAをやりたくて、高校在学中に東京のジムを調べて、色んなジムを周って体験入会巡りしたことがあるんですよ。それこそ新井選手が所属する和術慧舟會HEARTSにも行きましたよ(笑)」

――そのなかでFIGHT FARMを選んだ理由は何だったのですか。

「最初はTRIBE TOKYO MMAに入会したのですが、当時は専門学校に行きながらジムに通っていて、ジムまで片道1時間半くらいかかったんです。そうしたら長南(亮)さんが通いやすいジムとして髙谷(裕之)さんとFIGHT FARMを紹介してくれて、FIGHT FARMに入ることになりました」

――そういった流れがあってFIGHT FARM所属になったのですね。今の山内選手のファイトスタイルを考えると、髙谷さんや田村さんの指導がハマっていますよね。

「そうかもしれないです。最初はそこまでストライカーになろうとは思わなかったんですけど、やっぱり自分の持ち味は打撃だと思うし、理想は髙谷さんのようにガンガン打撃でいってパウンドを打つスタイルです」

――それから格闘DREAMERS出場を経て、修斗でプロデビューという流れになるわけですが、山内選手はファイターとしてどんな目標を持っていますか。

「修斗で世界チャンピオンになって、世界で戦っていきたいですね。フライ級は日本にも強い選手が多いし、いつかはUFCで戦いたいです」

――平良達郎選手がUFC、鶴屋怜選手がRoad to UFCにも出場していますが、そういった選手たちへのライバル心はありますか。

「ありますね。彼らとは年齢も近いんですけど、現時点では僕よりも先の舞台で戦っていると思うので、早く追いついて抜かしたいと思います」

■視聴方法(予定)
11月19日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル
             
■Shooto2023#07対戦カード

<修斗世界フライ級王座決定戦/5分5R>
山内渉(日本)
新井丈(日本)

<フェザー級/5分3R>
オーディン(日本)
宇野薫(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
藤野恵実(日本)
杉本恵(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
吉成はるか(日本)
エンゼル☆志穂(日本)

<インフィニティリーグ2023フェザー級/5分2R>
竹原魁晟(日本)
浜松ヤマト(日本)

<バンタム級/5分3R>
ライダーHIRO(日本)
川北晏生(日本)

<バンタム級/5分2R>
江口諒(日本)
シモン・スズキ(日本)

<フライ級/5分2R>
大竹陽(日本)
杉本静弥(日本)

<ライト級/5分2R>
エフェヴィガ雄志(日本)
後藤陽駆(日本)

<バンタム級/5分2R>
Jセロウ若林(日本)
中野剛貴(日本)

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【Shooto2023#07】山内渉とフライ級王座決定戦、新井丈─02─「この試合が俺のベストバウトになる」

【写真】新井は修斗のルールを変え、そして歴史も変えてしまうのか(C)MMAPLANET

19日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#07のメインで、山内渉と空位の同フライ級王座を争う新井丈のインタビュー後編。
text by Shojiro Kameike

意識を失いながら安芸柊斗をKOした同日――山内渉がヤックル真吾をKOし、フライ級タイトルマッチの相手として新井を指名した。そんな両者による王座決定戦に至るまでの新井の想定に、彼のMMA観がよく表れている。相手の強さも、階級差も覚悟のうえだからこそ、この試合に新井が目指すヒーロー像が詰まっている。

<新井丈インタビューPart.1はコチラ


――安芸戦と同日に、今回の対戦相手である山内選手がヤックル真吾選手をKOしたあと、タイトルマッチの相手として新井選手を指名していました。そのアピールは聞こえていましたか。

「聞こえていました。ちょうど入場口の裏側――後楽園ホールで控室から階段を上がってきた瞬間ですね。自分の試合前に会場の空気感も知りたくて。そうしたら俺の名前を出していたので、ちょっと気が散っちゃいましたね(苦笑)」

――ご自身の試合に向けて集中力を高めている時の出来事で。

「まぁ、そこは気持ちを切り替えましたけど……。そういえば、俺の名前を出しているのを聞いていたのに――名前が分からなくなって」

――というと?

「もともと試合後に、フライ級の誰かに喧嘩を売ろうとは決めていたんですよ。でも当日のフライ級戦で誰が勝っていたのか覚えていなくて、マイクを持ちながらセコンドに『今日のフライ級戦は誰が勝ったんですか?』と訊いていました。すると『山内渉が勝った』ということだったので、『じゃあ山内君やろうよ』と言ったんです」

――意識が飛んだ試合の直後ですから、それも仕方ないかもしれません。

「当日は山内×ヤックル戦と、関口祐冬×内藤頌貴の2試合があったので、盛り上がって勝ったほうに喧嘩を売ろうと思っていました」

――試合前の時点で新井選手としては、誰が勝ち上がってほしいと思っていましたか。

「理想は山内君が圧倒的なKO勝利で上がってくることでしたね。俺は関口君に勝っていて、一方の内藤選手は大事な試合を落とすタイプだから。この試合はフィニッシュせず、どっちもどっちの試合をして終わってほしいと思っていました」

――それで山内選手が圧倒的なKO勝利を収めれば、必然とフライ級王座決定戦の相手は山内選手になりますね。

「そうです。4人の中で、山内君だけ抜き出ることになる。そのあとに俺がKOでストロー級王座を防衛したら――俺と山内君が対戦するって、観ている側も分かりやすいじゃないですか。そういう理想は試合前から考えていました」

――結果、新井選手の理想通りの展開となりました。改めて、フライ級のベルトを賭けて争う山内選手の印象を教えてください。

「一発の強さは、今まで自分が戦ってきたファイターの中でもナンバーワンでしょうね。あと、ここ3~4戦で試合の中での成長具合が凄まじいというか。やっぱり試合の中でしか掴めないものって、あると思うんですよ。それを俺は9連敗しても掴めなかった――2~3連勝したぐらいで、ようやく戦い方が分かってきて自分のファイトスタイルが確立されてきました。でも山内君はまだキャリアが6戦で、そのうち3~4試合で掴んできていますよね」

――確かに山内選手は戦い方を身につけながら、ここ2試合は仕留め方もプラスされています。何をどうしたら相手を仕留めることができるのか。ヤックル戦では立ち上がり際にパンチで倒すなど……そう考えると、新井選手にとっては関口戦よりも噛み合う相手ではないでしょうか。

「そうですね。俺の周りでも、みんなが楽しみにしていますよ。心配もされるしね」

――新井選手がKO負けを喫するのではないか、と。

「山内君はパンチ力が強いことって、みんな分かっていますから。『さすがのジョーも山内君もパンチを食らったら危ないよ』と言われます」

――もともと山内選手のパンチ力が強いうえ、今回はストロー級とフライ級の差も表れてくるかもしれません。

「そこで自分の気持ちが試されるんじゃないですか? 俺の気持ちが弱くなることはないし、相手もそこで引くようなタイプではないと思うんですよ。俺もいつもよりダメージは受けると思います。ダウンするかもしれないし、もしかしたら俺が下がることもあるかもしれない。でも、それらは全て想定のうえで――覚悟して戦うので。だから相手の良いところも俺の良いところも全部出て、この試合が新井丈のベストバウトになると考えています」

――新井丈のベストバウト!

「相手の良いところも全て引き出したうえで自分が勝つ。そうすると俺を応援してくれている人だけでなく、相手の応援団の感情も引き出せると思うんですよ」

――ただ、そうした戦いの末に自分が倒れるリスクも背負うことになります。

「それはもう、MMAを始めた時に腹を括っていますから。そういうものだと思ってMMAを続けています。最近は一発をもらうことを怖がる選手が多すぎるんじゃないですか。自分にとっては山内君が強いとか、今度こそ俺が危ないとか――そんな意見をネガティブには捉えていなくて。『そこで俺が勝ったら、お客さんはどれぐらい盛り上がるんだろうか』と、全てポジティブな想像しかしていないですね。

今回は修斗初の同時二階級制覇、新井丈が両肩にベルトを掛けた姿をお見せします。そのために自分の体がボロボロになることは、覚悟のうえです。それも含めて、ハラハラしながら俺の試合を見届けてください」

■視聴方法(予定)
11月19日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル
             
■Shooto2023#07対戦カード

<修斗世界フライ級王座決定戦/5分5R>
山内渉(日本)
新井丈(日本)

<フェザー級/5分3R>
オーディン(日本)
宇野薫(韓国)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
藤野恵実(日本)
杉本恵(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
吉成はるか(日本)
エンゼル☆志穂(日本)

<インフィニティリーグ2023フェザー級/5分2R>
竹原魁晟(日本)
浜松ヤマト(日本)

<バンタム級/5分3R>
ライダーHIRO(日本)
川北晏生(日本)

<バンタム級/5分2R>
江口諒(日本)
シモン・スズキ(日本)

<フライ級/5分2R>
大竹陽(日本)
杉本静弥(日本)

<ライト級/5分2R>
エフェヴィガ雄志(日本)
後藤陽駆(日本)

<バンタム級/5分2R>
Jセロウ若林(日本)
中野剛貴(日本)

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AB ABEMA DREAM Shooto2023#07 オーディン ブログ 宇野薫

【Shooto2023#07】大ベテラン=宇野薫と対戦、オーディン「自分を指名してもらい、感謝しかない」

【写真】あと10キロ残っているとは思えないオーディン(C)TAKUMI NAKAMURA

19日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#07で、オーディンが宇野薫と対戦する。
text by Takumi Nakamura

格闘DREAMERS出身のオーディンは7月の修斗後楽園大会で結城大樹を下し、世界ランキング入り。今大会はランク外の宇野との対戦となったが「宇野さんと向かい合って何が生まれるか楽しみ」「今後のことを考えると自分が窮屈になる。それだったら目の前にあることに全力で取り組む」とランキング戦とは異なる部分に試合の意味を見出している。

具体的な目標に突き進むのではなく、その時に自分が感じたものに素直に従う。オーディンの格闘哲学について訊いた。


――いよいよ宇野選手との一戦が近づいてきました。(※取材14日に行われた)

「試合が決まったのが大会まで一カ月くらいだったんで、普段やっている練習を継続して、少し対策的なところを乗せて準備してきました。もう今は本格的な練習が終わって、あと減量が残り10キロってところですね」

――10キロですか!?

「前回の結城大樹戦もファイトウィークに入ったタイミングで10キロだったんで、今回が特に減量幅が大きいわけじゃないです。今日も高谷さんと岡見さんからも『体重大丈夫か?』ってLINEが来るんですけど大丈夫です(笑)」

――さて7月の結城戦がオーディン選手にとっては修斗初参戦となりました。まずあの試合を振り返っていただけますか。

「初めてフェザー級で試合をやって、思ったよりリカバリーに時間がかかったんですよね。試合直前に回復してきて、そこでスイッチが入った感じで。慣れてない階級で試合をすると、こういうこともあるんだなって感じで、いい勉強になりました。試合としては自分のベストパフォーマンスを出すことにマインドが行っていて、次につながる意味のある試合にしたくて。

結城選手がグラップラーで、どちらかといえば自分もグラップラー系なんですけど、あえて一度もグラップリングにいかずにストライキングだけで戦ったんです。自分の課題であり、自分の弱点で勝つということを意識してスタンドで戦いました」

――スタンド勝負したのはあえて選択したものだったんですね。

「グラウンドにいける場面は何回もあったんですよ。でも自分の弱点で戦っても勝てるようにならないと、いずれ壁にぶちあたると思ったので、今のうちからそこまで意識して戦おうと思っていました」

――練習で打撃のスパーリングを重ねても、試合で得られる経験は別物ですか。

「それもあるんですけど、ストライキングが出来ないグラップラーは気持ちが弱いと見られがちじゃないですか。僕はそれって日常生活の弱さが出ちゃうからだと思うんですよ。慣れないものと向かい合ったときに、それを乗りこなすゆとりがないというか。結局(身体の)中身がちゃんとしていないと、外身を動かすことはできないから、練習以外の日常生活でも自分の苦手なことをしっかりやるようにしました」

――具体的にはどのようなことを意識したのですか。

「呼吸ですね。何か起きても呼吸を整えて、無駄なことはしないで落ち着く。結城選手はベテランだから、僕が身体能力と勢いだけでいったら、絶対に上手さでやられると思ったんです。だから仮にそういう展開になったとしても焦らずに自分を貫くことが鍵だと思っていました。

何か自分のなかでエラーが起きたときでもしっかり呼吸を整える。呼吸が乱れて息が上がると重心が軽くなるし、動きも軽くなるから、そうならないように呼吸を乱さない。そういうすっ飛ばしがちなことを意識して、セルフトークしながら準備していました」

――ジムワークはどの選手もやっていることで、それ以外の時間をどう過ごすかも意識しているのですね。

「格闘DREAMERSに出ていた時は毎月試合があったから、相手の対策どうこうじゃないし、筋トレをして筋肉を増やそうと思っても期間が足りない。じゃあ何をすればいいかと思ったときに呼吸だったり、より基本的なことに目がいくようになったんですね。今もその延長線上にいて、そういう基本的な細かいことに磨きをかけて練習しています」

――今回は大ベテランの宇野選手と対戦が決まりました。オファーが来た時の心境は?

「宇野さんから自分を指名してもらったということで、喜んでお願いしますって感じで感謝しかなかったです。自分はランカーとやろうと思ったんですけど、宇野さんと戦って、宇野さんがどんな選手かを感じたいなと思いました。ワクワクしかないです」

――髙谷さんや岡見さんからは何か言葉をかけられましたか。

「岡見さんは『自分の先輩と教え子がやるのかよ…』みたいな(笑)。そういう色んな見方はあると思うんですけど、自分は宇野さんと向かい合って何が生まれるかを楽しみにしています。勝ち負けはもちろん大事なんですけど、自分の人生において自分のベストパフォーマンスを全力で出して、対戦相手とぶつかって何を得られるかが大事だと思っています」

――相手とぶつかって何を得られるか。その部分ではABEMAのMMA海外武者修行5期生として、昨年ATTアトランタで長期合宿していますが、米国ではどんなことを感じましたか。

「米国はMMAに対するリスペクトが全然違っていて、ファイターが生きていく上でやりやすい環境だなと思いました。でもその環境が日本人にとってすべてプラスかどうかと言われたら別で。米国にいるとフットワークとか気持ちが広くなるんですど、がさつなところも出てきちゃうんですよ。そういう国の色が練習にも入ってきちゃうというか。だから米国で練習してプラスになったこともある一方で、雑になってしまった部分は日本に戻ってきてから修正する必要がありましたね。そこのバランスが大事だと思いました」

――それは長期合宿したからこそ分かるものかもしれませんね。

「ATTで練習するプロ選手はフロリダの本部に行くことが多くて、フロリダ本部は一流選手たちが集まるアスリート養成所みたいな環境なんです。で、僕が練習していたアトランタ支部にもそういう選手はいるのですが、ストリートファイターみたいな選手も結構いるんです。ジムの場所がアトランタの荒れている地域で、不良という言い方は変ですけどハスリングして生きているような人たちが普通にジムで練習していて。僕も何度か危険なシチュエーションに直面したんですけど(苦笑)、他のジムで味わえないような経験ができたと思います」

――同じATTでも本部と支部でそれだけ違いがあるのですね。

「彼らはアスリートとしてMMAをやっている選手たちとはマインドが違いますよね。アトランタのジムにはキューバ出身がいたり、ブラジル出身がいたり、アフリカにルーツがある選手がいたり、そういうメンバーが自分たちが持っているカルチャーの色を出すので、ジム内は虹色状態ですよね(笑)。

ABEMAの密着動画でも話したんですけど、米国の人たちはいい意味で『これ!』というものに囚われてない。プロレスとMMAを両方やる選手もいれば、俳優をやりながらMMAの試合に出ている選手もいて、自分がやりたいと思ったことをやる。そういうスタンスなんですね。だから僕も好き勝手にワガママになるという意味ではなく、自分がやりたいことをやっていこうと思いました」

――そんなオーディン選手が考えているやりたいことは何ですか。

「試合が終わった時に自分が何を感じているか。宇野さんと戦って何をやりたいと思うのか。その時の素直な気持ちに従っていきたいですね。僕は見ている人たちがワクワクするような対戦カード、そういう雰囲気で試合をするのが好きというか。自分がピンとくる相手やストーリー性がある相手…そういう試合をやることで格闘技を楽しんでいる部分があるんです。もちろんそこには強さの追及があって勝ち負けを競うのが当然なんですけど『あの人たちが殴り合ったらどうなるの?』とか、見ている人たちから『俺も格闘技をやってみたい』という気持ちを引き出せるような選手になっていきたいですね」

――修斗でランキングを上げて、チャンピオンになって…という道もあると思いますが、今はそういった具体的な考えはないですか。

「昔はあったんですけど、それを考えると自分が窮屈になるんですよ。それだったら目の前にあることに全力で取り組んで、そうすれば自分が進むべき道に進んでいくと思うから、今は宇野さんと全力で戦うことが全てです」

■視聴方法(予定)
11月19日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル
             
■Shooto2023#07対戦カード

<修斗世界フライ級王座決定戦/5分5R>
山内渉(日本)
新井丈(日本)

<フェザー級/5分3R>
オーディン(日本)
宇野薫(韓国)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
藤野恵実(日本)
杉本恵(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
吉成はるか(日本)
エンゼル☆志穂(日本)

<インフィニティリーグ2023フェザー級/5分2R>
竹原魁晟(日本)
浜松ヤマト(日本)

<バンタム級/5分3R>
ライダーHIRO(日本)
川北晏生(日本)

<バンタム級/5分2R>
江口諒(日本)
シモン・スズキ(日本)

<フライ級/5分2R>
大竹陽(日本)
杉本静弥(日本)

<ライト級/5分2R>
エフェヴィガ雄志(日本)
後藤陽駆(日本)

<バンタム級/5分2R>
Jセロウ若林(日本)
中野剛貴(日本)

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【Shooto2023#07】同時2階級制覇へ、修斗を変えた男=新井丈─01─「修斗の方々の懐が深くて、感謝」

【写真】レギュレーションを変えたが、二階級制覇が成ったわけではないことは本人が一番理解しているはず(C)SHOJIRO KAMEIKE

19日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#07のメインで、修斗世界ストロー級王者の新井丈が、山内渉と空位の同フライ級王座を争う。
text by Shojiro Kameike

新井はかねてよりストロー級&フライ級の二階級同時制覇を宣言していたが、そこには修斗のルール面で大きな壁が立ちはだかっていた。もともと修斗のチャンピオンについては、以下の規定が存在していたのだ。

※ISC認定JSAルール 第26条【チャンピオン】
チャンピオンは1クラスに1名を置き、同一の者が同時に複数のクラスのチャンピオンになることは認めない。ただし、当該階級において暫定王者が認定試合により決定された場合は暫定王者を含め2名となる。上記の規定によりタイトルを保持したまま他のクラスのチャンピオンシップに出場することは出来ない。
(一般社団法人 日本修斗協会 公式サイトより。原文ママ)

つまり現状では新井がストロー級王座を保持したまま、フライ級のベルトに挑むことはできない。しかし、9月の後楽園ホール大会で、11月に山内と新井が空位のフライ級王座を賭けて戦うことは発表されていた。と、日本修斗協会は該当の項目を11月8日に改正し、10日より新ルールが適用されることとなった。改正内容は上記のルールから「同一の者が同時に複数のクラスのチャンピオンになることは認めない」「上記の規定によりタイトルを保持したまま他のクラスのチャンピオンシップに出場することは出来ない」の2文を削除――つまり新井は晴れて、ストロー級王者のままフライ級王座決定戦に出場することができることとなったのだ。

修斗が競技であるならば、競技はルールで成り立つもの。ルールを変えた新井は、修斗を変えた男といえる。そんな新井に改めてルール改正とフライ級王座決定戦について訊くとともに、今年7月の安芸柊斗戦について振り返ってもらった。


――修斗のルールを変えさせた男、新井丈選手です!

「アハハハ、変えてくれましたね。修斗関係者の方々の懐が深くて、感謝しています」

――フライ級に挑戦するうえで、ルールを変えてくれるとは思っていましたか。

「いや、そもそも――そういうルールがあるのを知らなくて(苦笑)。自分としては、ただただ戦い続けていたら『あぁ、コレはダメなんだ』と知ったぐらいでしたね。SNSとかでは関係ない人たちが横やりを入れてきたりとか」

――選手からも「自分の時には……」という意見が出ていました。

「選手がそれを言うのは恥ずかしいと思うんですよ。たとえば兄妹がいて『自分は何年生の時にお小遣いが何円だった。でも妹は今、それより多く貰っている』って言うようなものじゃないですか。今を生きている妹に文句を言っても――ねぇ(苦笑)。そんなの状況や背景によって変わってくるもので。じゃあ選手が『自分の時には……』と言ったとしても、当時に戻れるわけでもないですし」

――いずれにせよルールというのは時代に合わせて変化していくものですし、また変化せざるをえない面もあります。ただ、もしルールが変更されないままであれば、ストロー級王座を返上してフライ級の王座決定戦に挑むつもりだったのですか。

「最初に『複数階級のベルトを同時に保持してはいけない』というルールを聞いた時に自分でも、どうにかして二本のベルトを巻けないか考えました。まずフライ級1位の関口祐冬君を倒して、『もし王座決定戦をやるなら出るのは俺だろう』と言えるポジションにはいたと思うんです。そして試合を決めてもらって――ストロー級のベルトを返上することも頭にはありました。もうストロー級は、めぼしいヤツらは全員ブチのめしたので。自分としてはフライ級のベルトを獲ってから、ストロー級のベルトと併せて2つのベルトを両肩に掛けさせてもらえれば――それがたとえ一瞬であっても良かったです。その一瞬を写真に収めてもらえれば。そう思っていたらルールも改正されたので感謝しています」

――まさに新井選手の挑戦のためのルール改正……と聞けば、山内渉選手は怒るかもしれませんね。新井丈ありきで話が進んでいますから。

「いやぁ、それは分からないけど――俺としては何でも盛り上がったほうが良いと思うんですよ。ストロー級の俺が、階級の壁を超えてフライ級も巻き込んだほうが、修斗のためにもなるじゃないですか。お客さんも盛り上がると思うし。そうするとストロー級のコンテンダーたちにも火がつくでしょうしね。正直、『何も悪いことないじゃん』と考えていました。みんなWIN-WINだから、いつかルールは変わるかなと思っていましたね」

――11月12日の沖縄大会では、ストロー級のランカーたちが試合に出場していました。今はフライ級王座挑戦を控えている身として、そこまでストロー級の動きは気にしていませんか。

「沖縄大会のツイキャスPPVを購入して視ましたよ。でも――ランカー対決の2試合は判定決着でしたから。ああいうファイトスタイルで勝って自分との試合が実現したとしても、俺がノレないというか。『みんな競技としてMMAをやっているだけなんだ……』と思いましたね。もっといろんなものを背負って、リスクを負ってもフィニッシュを狙いに行ってほしかったです。旭那拳君、当真佳直君――試合を視たからこそ興味がなくなっちゃいました。12月2日の安芸柊斗×猿丸ジュンジ戦は面白そうですよね。あの試合は会場で観たいと思っています」

――MMAがスポーツである以上、競技としてMMAを戦うことは間違っていないと思います。しかし新井選手にとっては、それ以上のものが必要だということですね。今年7月の安芸戦はノレた試合だったのでしょうか。

「はい、あの試合はノレましたね。相手どうこうの前に、ベルトの初防衛戦っていうこともあって。それと安芸君はストロー級でナンバーワンのストライカーじゃないですか。もちろん俺を除けば、ね。だから前の試合は、自分もやり甲斐がありました」

――安芸戦では開始早々に、安芸選手の打撃を受けて意識が飛んでいたと聞きました。ご自身では、いつの段階で意識が飛んでいたのかは分かりますか。

「自分では開始10秒か20秒ぐらいに、ケージ際でヒザをもらった時だと思っていて。あるいはその次にもらった被せの右かもしれないです。いずれにしても序盤も序盤ですね」

――では、どのあたりから記憶があるのでしょうか。

「それが……控室に戻ってから、俺が大沢(ケンジHEARTS代表)さんに『今日って何月何日ですか?』と聞いたあたりからですね」

――控室に戻るまで意識は飛んでいたのですか! ということは、本人としては意識が飛んでいるなか、試合後にはマイクで喋っていたのですね。

「あとで映像を視ると、結構ちゃんと喋っていましたね(笑)」

――「安芸君の応援で四国から来てくれた熱い応援団に拍手をお願いします」とまでコメントしていました。意識がないなかで相手をKOするというのは、ファイターの本能だと思います。一方で意識がない状態なのに、安芸選手の応援団のことにまで気を遣えるというのは、本能としての優しさではないですか。

「アハハハ、言いすぎですよ。それはあんまり書かないほうが良いかもしれないですね」

――いえいえ、本能的に優しいというのは恰好良すぎます。

「すみませんね、恰好良すぎて(笑)。もうその話は止めましょう」

――アハハハ。そこで照れるのも男前です。話を戻すと、控室に戻るまで試合展開の記憶もなかったのですか。

「はい。俺も控室でセコンドに何度も『何で倒したんですか?』と訊いていました。一度聞いても、すぐに忘れちゃうんですよ。それだけダメージが残っていたのか――『何で倒したんですか?』、『そうですか』、『何で倒したんですか?』の繰り返しで(笑)。大沢さんからは『20~30回、同じことを訊かれたよ』と言われましたね。

そうしたら大沢さんと猿田洋祐さんが途中から、ふざけ始めて。『ジョー、今日は組んで勝ったよ』、『足関節で勝ったんだよ!』とか答えるんですよね。二人が悪い顔しているから、『これは嘘だな』って気づきましたけど」

――ただ、意識はなくても――意識がないからこそ、なのでしょうか。これまでの試合よりも頭を振って中に入り、パンチも上下に散らしていました。

「本当にそうですね。あとで試合映像を視ても、『ちゃんと練習でやっている動きが出ているわ』って思いました」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
11月19日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル
             
■Shooto2023#07対戦カード

<修斗世界フライ級王座決定戦/5分5R>
山内渉(日本)
新井丈(日本)

<フェザー級/5分3R>
オーディン(日本)
宇野薫(韓国)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
藤野恵実(日本)
杉本恵(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
吉成はるか(日本)
エンゼル☆志穂(日本)

<インフィニティリーグ2023フェザー級/5分2R>
竹原魁晟(日本)
浜松ヤマト(日本)

<バンタム級/5分3R>
ライダーHIRO(日本)
川北晏生(日本)

<バンタム級/5分2R>
江口諒(日本)
シモン・スズキ(日本)

<フライ級/5分2R>
大竹陽(日本)
杉本静弥(日本)

<ライト級/5分2R>
エフェヴィガ雄志(日本)
後藤陽駆(日本)

<バンタム級/5分2R>
Jセロウ若林(日本)
中野剛貴(日本)

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【Shooto2023#07】キャリア28年目の宇野薫、約2年ぶりの復帰戦でオーディンと対戦

【写真】宇野と対戦するオーディンはこの試合が修斗2戦目となる(C)MMAPLANET

11月19日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#07の追加対戦カードとして、オーディン×宇野薫のフェザー級戦が発表された。
Text by Takumi Nakamura


宇野は2021年11月「VTJ2021」での原口央戦以来、約2年ぶりの復帰戦。原口戦後の練習中に負傷し、試合から遠ざかることとなったが、2023年の修斗公式戦 後楽園大会の最終戦で復帰を果たす。

対戦相手のオーディンは柔道ベース&格闘DREAMERS出身、EXFIGHTやPOUND STORMで試合を重ね、ABEMA格闘チャンネル海外武者修行プロジェクトの5期生として、ATTのアトランタ支部で練習を重ねた。今年7月の修斗デビュー戦では、世界ランカーの結城大樹をパンチで追い込んでのマジョリティ判定で下し、早くもランキング3位に位置している。

プロキャリア28年目を迎える宇野×デビューから3年弱・キャリア3戦目にしてアメリカでの武者修行も経験しているオーディンという両者の対戦。またMMAでの3連敗を現役生活の節目と言い続けてきた宇野にとって、今回の試合は2連敗で迎える一戦=キャリア6度目の崖っぷちの一戦だ。

今大会では世界フライ級王座決定戦として同級1位・山内渉×ストロー級王者・新井丈も発表されている。

山内と新井は7月の修斗後楽園大会に揃って出場し、第8試合でヤックル真吾をKOした山内が新井との対戦をアピール。第10試合で安芸柊斗をKOしてストロー級王座防衛に成功した新井も山内との対戦に応じる姿勢を見せ、ストロー級&フライ級の二階級同時制覇を宣言していた。

フライ級ではランキング外の新井だが、昨年9月のストロー級王座戴冠後にフライ級で2試合を戦って連勝。今年3月には当時フライ級1位だった関口祐冬に勝利しており、事実上のフライ級トップコンテンダー同士の対戦と言える顔合わせだ。

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