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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:1月:ジョンソン✖モタ─02─「打ち合いなさいという打ち合い」

【写真】MMAに限らず、プロスポーツは観客の見たいモノ、求めるモノで変貌していくと思います。ビジネスとして拡大してきた今、MMAは変革期を迎えているのかもしれない(C) LFA

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、水垣偉弥氏が選んだ2022 年1月の一番は1月21 日に行われたLFA122からLFAフライ級選手権試合=チャールズ・ジョンソン×カルロス・モタ戦について引き続き語らおう。

<月刊、水垣偉弥のこの一番:1月:チャールズ・ジョンソン✖カルロス・モタPart.01はコチラから>


──クローズドになって時間が過ぎたからではなく、クローズドになったからという風にも見えました。そういう意味ではBellatorでイスラム・マメドフがベンソン・ヘンダーソンに負けた試合など、もうテイクダウン・ディフェンスがしんどくてギロチンを仕掛けて下になり、立てないで下で勝った。アレが他の試合でも続けば、MMAは別物になってきますね。

「まだ初回のギロチンは分かります。ニアフィニッシュという風に捉えて、あの展開だとベンヘンにつくのは。ただし3Rはギロチンで引き込んで、極まらなかった足関節でポイントがつくというのは、これまでにはなかったことですね。

マメドフがケガをしたり、ヒヤッとしたモノでもなかったです。それで、あれが有効なのかと」

──観客の声に惑わされた一過性の裁定だと信じたいです。マメドフには気の毒ですが。

「これが続くと、やはりMMAが違ってきますよね。ギロチンで下になり、そのままで勝てるならレスリングの攻防がなくなるかもしれない。それはLFAやコンテンダーシリーズの戦い方を助長することもありえますね」

──我々が好きだったMMAは、もう無くなってくのかもしれない……と。

「いやぁ、寂しいです。そうなると。僕もやはり強烈なテイクダウン能力を誇る選手と如何に戦うかと、そこを考えて打撃をやってきたので。これってまた車のレースの話になりますけど……」

──ぜひともお願いします。そこに反応してくれるMMAファンがほぼほぼいないのですが(笑)。

「そうなんですよね。MMA好きって、レースが好きな人少ないですよね(笑)。テイクダウンの要素をなくしたMMAが存在するって……今のレースのオーバーテイクのシーンを感じさせるんですよね」

──と言いますと?

「ずっとレースって、前の車の後ろにつき空気抵抗を無くしたスリップストリームでオーバーテイクをしてきたじゃないですか。それが、空力を追求し過ぎて難しくなった」

──前者の真後ろにつくと、空気がなくなって引き寄せられていたのが、空力が複雑になり過ぎて乱気流が起こったり、空気の抜けがあってアンダーが出たり、今では近づけないという状況になっています。

「そこでパスを増やすためにオーガナイザーが採用した手段が、一時的にエンジンの出力を上げるプッシュ・トゥ・パス、もしくはウィングを可変させドラッグ(空気抵抗)を低減させるDRSでした。パスの瞬間だけ、前と後ろの車の特性を変えて後ろの車が前者を抜けるようにしたんです」

──前者がプッシュ・トゥ・パスを押せない、DRSを使えない場合は、エンジン出力と空力特性が違うようになり後者が圧倒的に有利なる。もう、駆け引き無しに抜けます。

「ハイ。どんどん抜けるようにした……。そこに別の駆け引きが生まれている。テイクダウンとコントロールを排除したMMAは、そこに通じているのかと思います」

──手っ取り早く打撃戦にするには、本来ある要素を抜くと。

「ハイ。打ち合いなさいっていう打ち合いって、なんか乗れないんですよ。そこにテイクダウンがあり、倒されないように戦って打ち合いになるなら分かりますけど」

──打撃で勝ってきた水垣さんが言うと、本当に重い一言です。

「僕はそこで勝負して、打ち勝つたないと勝てないから打撃戦をしていました。だから、そこで負けると試合も負ける。対して他に勝てる手、引き出しがある選手が打撃だけにしぼった戦いをするのは、勿体ないです。MMAを狭いモノにしている。そういう違和感が、ジョンソンがモタにテイクダウンを仕掛けられた時の反応の仕方に顕著に感じられました。

『足を取ってテイクダウンしても良いよ、どうせスクランブルゲームになるでしょ。で、立っちゃえば打撃戦で行けるから』というようなところです、ね。1度テイクダウンを許せば、そのままラウンドを失うかもしれないっていう緊張感もMMAにあるんです。この試合はいくら打撃で打ち合っても、そういう緊張感がない戦いになっていました」

──ジョンソンからすると堀内佑馬選手に勝って暫定チャンピオンになった時、UFCから声が掛からなかった。だけど嘘か真か『もう1つ勝利が欲しい。ショートノーティスで見たい』というリクエストがあり、王座獲得から2カ月弱で初防衛戦を戦い、パウドアウトで勝った。それでもUFCは契約を結ばなかった……。

「あぁ、だからもうあの戦い方でアピールをするしか、選択肢がなかったのですね。しかもジョンソンがフェザー級の選手だったらPFLもBellatorもあります。バンタム級でもBellatorがある。でも、フライ級だからUFCしかない。もう、ああいう試合をやるしかないという心境だったとすれば……」

──いやぁ、切ないですね。それは。

「辛いですよねぇ。MMAファイターとしてジョンソンは今も成長しているし、強いです。スイッチワークも堀内選手と戦った時とは違って、スムーズになっていました。なぜUFCがジョンソンとサインをしないのか。

個人的にはUFCにいっても、ランキングに入れる力があるかと思うんです。そういう選手と堀内選手が次はどう戦うことができるのか。ジョンソンにはUFCという舞台で戦わせてあげたいという気持ちがある一方で、冷徹にも堀内選手と強いジョンソンとの再戦が見てみたいです」

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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:1月:ジョンソン✖マタ「UFCに行くためにMMAが変わる」

【写真】正規王座のベルト、暫定王座獲得時のベルト、暫定王座防衛時と3本のベルトを持つ。毎回ベルトを創るって、凄い (C) LFA

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、水垣偉弥氏が選んだ2022 年1月の一番は1月21 日に行われたLFA122からLFAフライ級選手権試合=チャールズ・ジョンソン×カルロス・モタ戦について語らおう。


──水垣さんが選ぶ1月の一番、どの試合になるでしょうか。

「LFAフライ級選手権試合のチャールズ・ジョンソン×カルロス・モタの一戦ですね」

──おお、UFCへの登竜門でベルトが懸かった一戦で王者ジョンソンが最後は殴り勝った形でした。この試合を選んだ理由というのは?

「まさに、そこに関してなんです。コンテンダーシリーズでもそうですが、LFAもUFCから声がかかるためのMMAのスタイルというモノが出来上がっているように感じられます。

UFCと契約をするためにはただ勝つだけでなくはなく、プラスアルファが求められています。そのいう空気の中で、FAのタイトル戦やコンテンダーシリーズでは、テイクダウンからコントロールに徹する選手は少なくなりました」

──ダニー・サバテーロがTITAN FCで王者になり、コンテンダーシリーズでも勝利もUFCと契約できず、再びTITANの王座防衛もしましたが、最終的にはBellatorを選択しました。

「そういうことですよね。ジェイク・シールズやジョン・フィッチのような攻めをする選手はLFAやコンテンダーシリーズでは見られなくなるかもしれないです。

テイクダウンからコントロールして勝ってもUFCは取ってくれないでしょ──という思考になりますしね。それなら立ってドッグファイトをしようと。そこに関連してジョンソンも割と簡単にテイクダウンを取られますよね」

──差し返して粘ろうという展開ではなかったです。

「ハイ。テイクダウンされてもスクランブルが上手いので問題がないとしているのでしょうけど、スタンドの打撃戦の最中もテイクダウン・ディフェンスの意識は高くなかったです。倒されたとしてもモタもUFCを狙っているので、懸命にトップコントロールはしてこない。そういう風な選択はないとして、簡単に下になってもスクランブルに持ち込みやすいですから。

互いに漬けないという認識の下、スタンドで戦っていますよね。特にスクランブルが強い選手は、なおさらテイクダウンされても立てるという腹積もりで戦っている。この試合もそれが顕著で、MMAが変わったなと思いました」

──確かに私なども見ていて、何かスッキリしない打ち合いだったのは、そういうことだったのですね。

「彼らの試合はUFCへ行くためのスタイルというか……。LFAやコンテンダーシリーズは、倒されても抑えられないから立てば良い。だから思い切り打撃でアピールするというMMAになったんだと」

──ジョンソンが殴られても殴るというスタンスで試合をしていました。

「それもモタがそこまで打撃に力がないからできる戦いだったはずです。打撃に関しては差がありました。ただしジョンソンは本来、打撃一辺倒でなく違う選択ができる選手なんです。僕は彼もことをMMAファイターとして、打撃だけでなく何でもできる強い選手だと思っていました。

スクランブルでもアナコンダやダースという攻め方もあるにも関わらず、打撃戦に戻るチョイスが多かったです。ジョンソンはそこだけでなくても強い。興味深い選手のはずです」

──その違和感は本当に分かります。選択肢が多いMMAなのに、その選択肢を捨てて打撃戦をする。だから、こういうとアレなのですが、自分はこの試合がエキサイティングで手に汗握るものではなかったです。

「それは分かります(苦笑)」

──水垣選手は打撃が得意な選手でした。北米でも前に出て、パンチを打って勝つ。ただし、それはテイクダウンをされないで殴らないといけない。だから大学のレスリング部へいって、レスリングを学ぶという努力をした。

「そうですね(苦笑)」

──そうすると、テイクダウンを取れるようにもなりました。

「僕の場合はテイクダウンが取れた時は抑えて、漬けていましたしね。スクランブルをさせないために、スペースを与えていなかったです。打撃とテイクダウンをしたら漬ける。その2つの軸で戦っていました。ただし、LFAやコンテンダーシリーズでは漬けて勝っても先がない。MMAが変わりますね。同時に彼らがああいう試合で勝ってUFCにステップアップをしたら、あのままのスタイルだと勝てない。スタイルを変えないと勝ち残れないので」

──とはいっても最近はUFCでも、このタイミングでブレイクが掛るのかという試合もあります。

「この間のUFC270のジャスミン・ジュスダヴィチェスとケイ・ハンセンの試合とかそうでしたよね。下になっていたハンセンがハーフバタフライから、クローズドを取った時にブレイクでスタンドに戻ることができました。エルボーとか受けて、立ち上がることができなくて両足を閉じたのに、ブレイクでスタンドに戻れた」

<この項、続く>

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【LFA122】高い防御力からチャンスを逃さない攻撃力、王者ジョンソンがモタを最終回に沈める

<LFAフライ級選手権試合/5分5R>
チャールズ・ジョンソン(米国)
Def.5R0分45秒 by TKO
カルロス・モタ(ブラジル)

開始早々、モタが右バックスピンキックを繰り出す。ガードを高く構えて回るジョンソンに対し、モタが押し込んでテイクダウンを仕掛けた。ジョンソンは立ち上がってスイッチしながらサークリング、追ってくるモタに右カーフキックを当てる。オーソドックスに戻したジョンソンの左前蹴りに合わせて、モタが右ストレートを繰り出した。さらにモタがローを見せると、ジョンソンが蹴り足を掴んでテイクダウンを狙った。足を抜いたモタがグラウンドに引きづりこみ、バックマウントから腕十字、その腕を狙うと足を取りに行ったが、ジョンソンは立ち上がった。

スタンドに戻ると、モタの右ハイをキャッチしたジョンソンが右ストレートでダウンを奪う。背中を着けたままグラウンドに誘うモタ、しかしジョンソンは乗らず、試合はスタンドに戻る。モタの蹴りがジョンソンの下腹部を捉え、試合は一時中断したがすぐに再開。モタの右ストレート、左ミドルハイを見せながら、シングルでジョンソンに尻もちを着かせるも、ジョンソンはエスケープして立ち上がった。互いにパンチとミドルハイを見せ合うなか、モタはジョンソンの左飛びヒザをキャッチするも倒せない。残り10秒で、モタの左ミドルがヒット。下がるジョンソンを煽って1Rを終えた。

2R、プレッシャーをかけるモタに対し、サウスポーに構えたジョンソンが足を使う。モタはパンチからハイにつなげるもヒットせず。モタの左ローをチェックしたジョンソンが右カーフを当てる。モタはジョンソンの蹴り足をキャッチし、パンチを繰り出しながら押し込み、ジョンソンに尻もちを着かせるも、ジョンソンのエスケープが速い。ジョンソンの左ボディストレートが、モタのワキ腹にクリーンヒット。モタもパンチを見せるが、ジョンソンのジャブがモタの顔面を捉える。

打撃でクリーンヒットを許すモタが前に出て、左ボディアッパーを突き刺した。しかしジョンソンはイーブンペースで打撃を放っていく。やや疲れた表情を見せるようになったモタに、ジョンソンの右カーフがヒット。モタはジョンソンの蹴りを嫌がるようになったが、残り1分から左右フックと前蹴りでジョンソンをケージに追い込んだ。しかし、ここでもジョンソンがケージ際から脱し、パンチと前蹴りでコントロールしつつ、最後はテイクダウンに行く素振りも見せた。

3R、ジョンソンの右ローに右ストレートを合わせるモタ。さらにジョンソンを追いかけて左ボディを放つが、ジョンソンは足を使ってケージ際から離れる。モタのワンツーをブロックするジョンソン、大振りになったモタの右フックをかわしてダブルレッグを仕掛けるが、これはモタもすぐにカットした。優位に立ったか、ジョンソンがリズムに乗って手数を増やす。モタも負けじとパンチを繰り出すが、ジョンソンの顔面には届かない。ディフェンス力の高さを見せるジョンソンのペースになってきたか、モタに打ち疲れが見られる。

モタの右ストレートを肩でブロックしながら、前蹴りで距離を保つジョンソン。左ボディから組み付くも、倒せないと判断したか、すぐに離れた。パンチで前に出続けるモタの左ワキ腹に、ジョンソンの右ボディが突き刺さると、一瞬モタの動きが止まる。残り1分20秒で、ジョンソンのコンビネーションが連打でモタの顔面にヒットした。さらに猛攻をかけるモタに右飛びヒザを見せながら組み付いたジョンソンが、ケージ際でモタのバックに回る。そのままモタの足、ボディ、顔面へと右ヒザを当て続けた。

4R、前に出たジョンソンに対しモタはワンツー。ジョンソンは距離を保ち、左ストレートを見せる。アウトボクシングから左ストレートをヒットさせるジョンソン、モタは手数が減っている。蹴りよりもパンチが多くなったモタを前進を、足を使ってかわすジョンソン。モタが右から右ミドルを当てると、ジョンソンは下がるように。しかしすぐに体勢を立て直したジョンソンが、アウトボクシングでコントロールする。ここでボディブローから攻め込むモタ、ジョンソンも疲れたか手数が減り、足を使って回る場面が増えた。

モタは当たらずもパンチを出しながら、ジョンソンをケージに追い込む。そんなモタにパンチを当てるジョンソン、距離が詰まったところでジョンソンが組み付き、一度はエスケープされるも追撃のダブルレッグでテイクダウンを奪った。ケージ際でハーフガードのモタに、パンチとエルボーを落とすジョンソン。最後は起き上がり、モタの顔面に強烈なパンチを何発も当てていった。

最終回、スイッチを繰り返しながらも他のパンチをかわすジョンソンが、左ストレートと右ジャブを当てる。激しい打ち合いを見せる最終ラウンド、ジョンソンの左ストレートフックがクリーンヒットし、モタが下がり始めた。前に出てくるジョンソンの顔面に、モタも右フックを返すが、ジョンソンの前進は止まらない。すかさず連打で追い立てるジョンソン。モタは効いたか明らかに表情が変わり、勢いが落ちる。そしてジョンソンの右ボディから顔面へパンチを受けたモタがダウン。ジョンソンがパンチを追撃すると、レフェリーが試合を止めた。


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