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【Grachan65】TSUNEと対戦――手塚基伸―01―「極めるのが浪漫」&「なんちゃって格闘技ではない試合」

【写真】前列左から2番目が若き日のTSUNE。後列中央が手塚、左端は藤田大和 in ドリーマージム時代(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、TSUNEと対戦する手塚基伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

手塚が初めてグラチャンに出場したのは、2014年4月の中村謙作戦であった。あれから約9年が経った今の手塚にとってのグラチャンとは――。さらに今回対戦するTSUNEとの意外な関係についても語る。

<手塚基伸インタビューPart.01はコチラから>


――ここで手塚選手とグラチャンの歴史についてお聞きしきます。手塚選手のグラチャン初出場が2014年4月の中村謙作戦でした。当時、どのような経緯でグラチャンに参戦することになったのでしょうか。

「2012年からパンクラスを経てUFCに出たあと、VTJやROAD FGCを含めて4敗していました。その時にグラチャン代表の岩﨑(ヒロユキ)さんからオファーを頂いたんです。なぜあの時の自分に声が掛かったのか分からないんですけど(笑)。

グラチャンからのオファーを受けた理由は、一番はベルトが欲しかったからです。昔から沖縄の天下一ファイトや、パンクラスでもランキング上位には入るけどタイトルマッチが組まれなくて。だからベルトへの執着心もあったし、年齢的にも――当時は25歳ぐらいで、『ここらへんでベルトを獲っておきたい』と思っていました。その時期に来たグラチャンからのオファーはタイトルマッチやったんで、飛びつきました」

――当時のグラチャンの印象はいかがでしたか。

「今でこそグラチャンも大きくなったけど、当時は大会中ずっと音楽がガンガン鳴っていたり、他のMMA大会とは雰囲気が違っていたじゃないですか。そんなグラチャンに出ることが決まって、周りからはボロクソ言われましたよ。『手塚は堕ちた』って」

――国内MMAといえば修斗、DEEP、パンクラスなど「老舗」と呼ばれるプロモーションがあります。手塚選手がグラチャンに参戦した当時は、インディー系と呼ばれた他のプロモーションと老舗3プロモーションの序列が今とは違い明白でした。

「正直、自分もグラチャンを見たことがなくて。あと自分もまだUFCを捨てきれていなかったというか、またUFCに出られるんじゃないかという雰囲気もあったんです。まず国内でベルトを巻いて、もう一度UFCへ――という想いだったので、まさか自分のホームになるとは考えていなかったですね」

――ではグラチャンをホームだと考えるようになったのは、いつ頃でしょうか。

「俺がグラチャンを背負うと思ったのは、グラチャンンのベルトを巻いたあとにグラジエーターで大道翔貴選手に負けて(2016年7月に判定負け)、次にZSTで柏崎剛選手と対戦した頃(同年11月に判定勝ち)ですね。大道選手に負けて、現グラチャンン王者として申し訳ないという気持ちでベルトを返上しましたから。その頃からグラチャンへの愛が芽生えてきたのかな、と思います」

――2019年からは修斗に参戦しています。その時も、グラチャンの選手として修斗に出ているという気持ちは強かったのですか。

「グラチャンの10周年記念大会(2018年9月、GRACHAN36)で堀友彦選手に負けてベルトを獲れず、自分は一度引退したんです。当時は試合に出ながらアルバイト生活みたいな感じで。だけど子供が生まれたから……堀戦で負けたら引退して、ちゃんと仕事を始めようと思っていました。結果は負けて、とある会社の正社員になってMMAからは離れたんです。でも8~9カ月後ぐらいに復帰することになった際に、『自分はもうグラチャンには必要ない選手やな』と思って」

――というと?

「もうグラチャンのバンタム級では全員と対戦していましたから。それやったら新しい場所で、気持ちも新たにして戦おうと考えました」

――様々なベルトを獲得した手塚選手にとって、もう一度グラチャンのベルトを獲りに行ったことは、どういった意味を持っていたのでしょうか。

「子供にベルトを見せたかった――それが一番ですね。先ほども言ったとおり子供が生まれたばかりの時の試合で。そう考えると、僕のキャリアの節目には、常にグラチャンがあったような気がします。まずベルトが欲しいと思った時に最初のオファーがあって、子供が生まれた時にベルトを見せたい、負けたら引退しようというのが堀戦で」

――堀戦以降はグラチャンの試合を含めて7勝1敗の戦績で、グラチャンのベルトも取り戻しています。何再び上昇気流に乗っているような感覚はありますか。

「実は、ありますね(笑)。RIZINのヤマニハ戦は負けてしまいましたけど、その前には6連勝していますから。それも『格闘技と共存しよう』と思ってからですよね。格闘技も大事やし、家族もジムも大事。特に子供は――今5歳なんですけど、今この時間は戻らないものじゃないですか。だから、できるだけ子供と一緒にいる時間を増やしたいです。でも死ぬ時に後悔したくないから、MMAもしっかりやりたい。どれかが突出することなく、全てがうまく回り始めているのかなと思います。

昔は時間があったから、いろんなことをやろうとしすぎてパンクしかけていましたよね。でも今は『できないことは止めて、できることを伸ばそう』とかも考えることができる。たとえば以前は壁を使って立ち上がるとか……苦手なことを身につけようとして(苦笑)」

――苦手なことって、自分で言ってしまいましたね(笑)。

「アハハハ。それを練習しても、試合では使わなかったですしね。今は逆転の発想といいますか、引き込んで極めるという」

――特にグラチャンのベルトを取り戻した伊藤空也戦では、ケージを使ってテイクダウンするのではなくケージを使って極めるという、ある意味新しいスタイルを見せました。

「やっぱり僕にとっては極めることがMMAの浪漫で、僕に対してその需要があるかぎりMMAを続けていきたいです。最近は手の置き方、体の動かし方や重心移動とか、ようやく『力を使わずに極める』ということが分かってきました」

――そして迎える15周年記念大会でTSUNE選手と対戦します。TSUNE選手について、今まで対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を意識したことはないけど、TSUNE選手が本名で戦っていた頃から試合は視ていました。年齢はTSUNE選手のほうが2歳上ですけど、やっぱり同じ時代を生きて来たファイターですからね。とにかくトップキープが強い選手で、お互いに『やることは決まっている』というタイプですよね」

――TSUNE選手の試合を視ていたのは、過去に繋がりがあったからですか。

「あぁ、岡山県のドリーマージムですよね」

――2008年ごろにTSUNE選手が格闘技を始めたのが岡山県倉敷市のドリーマージムで、手塚選手も当時ドリーマージムのMMAクラスで指導されていました。

「そのドリーマージムの食事会とかで、TSUNE選手と話をした記憶はあるんですよ(笑)。確かもともと野球をやっていて、ドリーマージムには一般会員さんとして入会していたと思います。それが食事会だったと思いますけど、いずれ東京でMMAをやりたいという話を聞きました。不思議なもんですよね。ここでその2人が試合をするとは……」

――本当に不思議な縁です。そのTSUNE選手との試合は、どのような内容になると思いますか。

「相手が何をしてこようと、何かしてきた時にパッと対処していきます。特に試合のプランがあるわけではなく、そこに足があれば足を極めるし、腕があれば腕を極めたい。僕って、直感型やと思うんです。何か考えながら動くよりも、パッパッと流れで動くことで、決められなくても次の流れに繋がっていくじゃないですか。自分も長いことMMAをやってきたので、その流れは身体に染みついています。

グラチャンの15周年記念大会で、パンクラスのベルトにも挑戦したことがあるTSUNE選手と対戦できるのは嬉しいです。お互い30代後半で、SNSで盛り上げるような『なんちゃって格闘技』ではない試合を見せることができると思います。ぜひ期待してください」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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MMA MMAPLANET o ソン・ヒョンジョン 堀友彦

【HEAT52xAngel’s FC27】子供たちに見せる父親の背中! 堀がソン・ヒョンジョンをRNCで仕留める

【写真】ギロチンは餌だったのか……バックに回ってから極めるまで早かった(C)MMAPLANET

<バンタム級/5分3R>
堀友彦(日本)
Def.2R2分13秒 by RNC
ソン・ヒョンジョン(韓国)

開始早々、ソン・ヒョンジョンが右ローを打ち込む。堀もローを返したが、右ストレートに右を合わされた。組みついたソン・ヒョンジョンが堀をケージに押し込み、シングルレッグへ。さらにダブルレッグに切り替えたが倒すことはできず。堀はソン・ヒョンジョンが体を起こしてくると首相撲でディフェンスする。ソン・ヒョンジョンが離れてローを連打。左ジャブを突き合ったあと、右ストレートのカウンターを放った。ソン・ヒョンジョンは距離をつくって左ミドル、そして右クロスを打ち込んだ。

堀が前に出て右ストレートを当てる。ダブルレッグで飛び込んできたソン・ヒョンジョンをギロチンで引き込むも、ソン・ヒョンジョンが首を抜いてトップに回る。ハーフガードの堀をケージに押し込んだソン・ヒョンジョンは、ケージ際でパウンドを連打する。残り1分で堀が立ち上がり、ソン・ヒョンジョンを上から抑えながらギロチンで捕えた。ソン・ヒョンジョンが立ち上がってきたところで、首相撲からヒザを突き上げると、これがソン・ヒョンジョンの下腹部を捉えて試合は中断。再開後、蹴りを散らしてくるソン・ヒョンジョンに対し、堀が右ストレートを当てている。

2R、ソン・ヒョンジョンが左インローから右ストレートを当てる。さらにシングルレッグからドライブするソン・ヒョンジョンだが、堀がニンジャチョークで捕えるも極めることはできず。しかしガブって体勢を返し、ギロチンをにおわせながら立ち上がる。ソン・ヒョンジョンがケージに押し込んできたところで、堀はニンジャチョークへ。グラウンドに持ち込むとバックに回り、RNCでタップを奪った。

試合後、セコンドについた長男と写真に収まった堀は「また対抗戦を韓国でやるなら使ってやってください」と継続出場をアピールした。


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【HEAT52xAngel’s FC27】誰も知らない──三上ヘンリー大智「誰も見ていないところで、強い人と戦いたい」

【写真】どう考えても良い男だろう──その言動も含め(C)MMAPLANET

19日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるHEAT52xAngel’s FC27で三上ヘンリー大智が10カ月振りの実戦でチョン·ホチョルと対戦する。
Text by Manabu Takashima

剣道からキックボクシング、そしてMMAに転じて2年。甘いマスクの期待の新鋭は、実は取材嫌い。そして個性的という話が常々聞かれた。そのヘンリーをついにインタビューする機会が、試合を明日に控えた計量直後に巡ってきた。

良い意味で自分を持ち、一旦取材を受けると決めると、一つ一つの質問にしっかりと答えてくれたヘンリー。本人の意志に関わらず、これは露出すると人気が出るわ──と書き記したくなる三上ヘンリー大智を知る第一歩。一つ一つの返答を堪能してほしい。


──本来は取材を受けたくないということだったヘンリー選手ですが、岡見選手経由で断ることができない状況を創ってしまい──しかも、計量直後にインタビューと申し訳ありません。

「いえ、宜しくお願いします(笑)」

──実際のところ雑誌でのインタビューも固辞されたことありますし、何かメディアに対して思うところがあるのでしょうか。

「そういうことではないんです。MMAPLANETは読ませていただいています。ただ、あまり目立ちたくなくて(苦笑)」

──いやいや銀幕デビューまで果たして(笑)。

「そこを経験して、さらにというところはあります。誰も見ていないところで、強い人と戦いたいというのがあって……」

──それはプロフェッショナルファイターである限り、我儘ではないかと。誰も見ていないところに、強い選手はいないでしょうし(笑)。

「そうですね(笑)。ただ、そんなに結果を残しているわけでないですし、UFCとかに行って世間的に認められるような選手だとありなんですけど、そこにも達してないのにという気持ちはあります。今は格闘家もメディアを使ってお金を稼ぐ時代なのかもしれないですが、私個人としてはお金を稼ぐなら他の仕事をするので」

──ファンに自身の声を届けたいという気持ちは?

「特にないんですよね。アハハハハ。ファン……ファンの人は、ファンの人の意志で見て頂いているわけで。私としてはファンの人よりも、周りの人のためにという意識が強いです。ファンの人にこういうキャラを演じようとか、ファンのためにこういう試合をしようというより健康無事で家に帰って、皆に元気なところを見せられれば。その上で格闘家として良い結果を残して、喜んでもらえたらと思っています」

──いや、相当に興味深い性格の持ち主なようで。本来は剣道から立ち技、そしてMMAと歩んできた三上選手には、尋ねたいことがたくさんあるのですが、明日が試合ということですし、今日はMMAに集約して話を伺わせてください。10カ月振りの試合ですが、ここまで試合がなかったのはどういう理由だったのでしょうか。

「色々とやるかも、やるかもというのが続いて。それが実現しないということが、3度ほどありました。それもあって……実は個人的に海外で練習をしようと思っています。まずは2カ月ほど行ってみて、向うの気候とか食事、生活リズムに馴染むようでしたら、本格的に練習し、試合も向うのプロモーションで戦うということも考えています。そういう風に考える根底には、日本であまり人に見られたくないというのがあります(笑)」

──本当に今日は貴重な機会を頂き、ありがとうございます(笑)。

「それは岡見さんが橋渡しをして下さったので。私がMMAの手解きを受けたのが岡見さんで、ずっと岡見さんには恩を感じています。皆の前に出たくないと言っても、それでも取材を受けるチャンスを頂けるようになったのも、全て岡見さんのお陰なので」

──オーディションでは、思い切り殴っていましたけど(笑)。

「アハハハ。逆に遠慮をすると失礼なので」

──ともあれ10カ月間、MMAファイターとしてどの部分が成長できたと思っていますか。

「練習の8割が組みの練習だったので、そこですかね。自分から積極的に組むことはGENだとできないのですが、そのなかでもバカみたいにテイクを狙うと成功する数も増えてきました。あれだけ組みが強い選手とやってきてそういう風になっているので、自分と同じレベルの人と戦うとどうなるんだろうと、試してみたくはなっています」

──防御面というのは?

「防御面は、最初から防御ばかりなので。そのなかで何とか穴を見つけて自分が仕掛けるような練習ばかりをしてきました。だから防御は勝手にできて、攻めをどうしようかと私の中で考えられるようになりました。何か一筋の光が見えてきたのかなという感じです」

──岩﨑大河選手との試合、拳に圧力があってもなかなか出なかった。あの印象を続く2戦で相当に払拭できました。今回の試合では、さらに上達しているということですね。

「岩﨑選手は純粋に凄く上手かったです。前蹴りを凄く見せてきて。ファーストコンタクトで私がジャブを入れて。いけると思ってワンツーを出したら、かわされて組みつかれてテイクダウンを取られました。そこから組まれたらヤバいという意識が出て、岩﨑選手が前蹴りを出す素振りを見せる。それが前蹴りか、落として組んでくるのか分からなくて。

蹴りだと、ジャブを打った時にさされる可能性があり、だからといってストレートを打つと組まれるかもしれない。そういう風に考え過ぎるようになって、遠い距離からのジャブしか出なくなってしまったんです。組みの対処が足りなかった。自分のなかではやっていたつもりでも。岡見さんからは『組まれて、倒されても立てば良い』と言われていて、実際に立てる場面もあったし、ケージの攻防もしっかりとはできたとは思っています。ただし、倒しに行くぞとなるには、そこを考えて足かせになってしまったのは確かです」

──やはりMMAは攻めも守りも、選択肢が多いです。

「それと減量がほぼ初めてで。結構落として、色々な要因があったかと思いますが、全てを含めて実力が不足していました」

──その後のEXFIGHTの2試合で改善し、手応えを感じたところというのは?

「それこそ減量に関して、リカバリーの意識を持つようになりました。組んだ時に技術的なアドバンテージは相手にあることが多いので、ある程度はフィジカルで補っていかないといけない。割と水抜きを頑張って戻すようにすると、相手の方が小さいから組まれても何とかなるだろうという気持ち的な余裕ができて、それからはガツガツと行けたかと思います。特に2試合目は私の方から組んで倒して、パウンドで勝つことができたし」

──では明日のチョン·ホチョル戦では、さらに進化バージョンの三上選手が見られるでしょうか。

「そうですね、映像を視ると癖のある選手です。その癖を利用して戦おうと思います。組みに関しては私の方が上です」

──三上選手が目立ちたくなくても、期待値は上がっています。期待しているファンにどのような姿を見せたいですか。

「大変失礼な言い方をすると、『勝手に期待するなよ』というところはあります」

──アハハハハハ。

「あるんですけど、期待していただくのも何かの縁ですから、そういう方には自分の試合を視て元気になる試合をしたいかなというのはあります。1試合を見て「強いな」、「弱いな」でお終いじゃなくて、そこから勝ち負けのストーリーみたいなモノを楽しんでいただければ。剣道の時とか、負けると再起という風に見られることがあって。でも自分としては、死に物狂いでやってきた結果なので。

皆さんの記憶に焼き付いていると思いますが、アマチュアの試合でアンディ・コング選手にKOされていますし、自己評価は結構低いので。でも、そのなかで何かを感じていただけたらなと。自分に対して期待はしていないけど、光は見ているからそこに手を届かせたい。その一心で頑張っているので、そういう部分を伝えていければと思っています」

──格闘技も興行になると、ショービジネスです。そのなかで、今日話してくれたような考えを持つようになったのでしょうか。

「これ、皆同じだと思うんです。実力と知名度が見合っていないと、絶対に心の中に違和感が生じる。それに気づかないのは、自分が見えていない証拠で。ある一定の部分まで自分のことを考えることができるようになると、やっぱり息苦しいと思うようになるかと(苦笑)。そこの部分にハマったかというのはあります」

──では結果を残すほど、露出が増えても平気では?

「う~ん……。それは分からないです(笑)」

──UFCで戦って、「皆、見ないで」とは言えないですよね(笑)。

「UFCの選手でもミドル級の8位は誰だと日本でUFCをみている方に言っても、分かる人は余りいないと思います。そんなぐらいかなって(笑)。そういうところから、タイトルマッチまで上り詰めていきたいと思っています」

──押忍。では最後に──剣道を日本代表合宿に呼ばれるほどやり込んできて、何かMMAに生きることはありますか。

「あのう……むしろ私の中では、剣道をやっている感覚が強いです。そうですね……」

──いえ、今日はそこまで結構です!! そこから先はまたインタビューの機会を下さい。しっかりと尋ねてみたいです。

「ハイ(笑)」

■視聴方法(予定)
8月20日
午後3時分~ TIGET LIVE

■ HEAT52xAngel’s FC27対戦カード

<キック・ミドル級/3分5R>
アビラル・ヒマラヤン・チーター:69.9キロ
ヤン・チャンウォン:69.4キロ

<HEATフェザー級王座決定戦/5分5R>
倉本拓也:65.7キロ
ユ・ジュサン:65.8キロ

<バンタム級/5分3R>
堀友彦:61.5キロ
ソン・ヒョンジョン:61.4キロ

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智:84.0キロ
チョン·ホチョル:83.8キロ

<キック・ライト級/3分3R>
優翔:59.9キロ
パク·ジョンジュン:60.3キロ

<ウェルター級/5分3R>
大道翔貴:77.5キロ
チャン・ユンソン:77.4キロ

<ライト級/5分3R>
平山学:70.2キロ
ソン・ミン:70.5キロ

<フライ級/5分3R>
AXEL RYOTA:56.5キロ
チョ·ジュンゴン:56.8キロ

<ムエタイ64キロ/3分3R>
ペットサムイ・シムラ:64.0キロ
シン·ドンヒョン:64.2キロ

<キック57.5キロ契約/3分3R>
一仁:57.4キロ
ウォームONE LINK:57.3キロ

<フェザー級/5分3R>
今井舜也:66.0キロ
菊川功武:65.7キロ

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【HEAT52 x Angel’s FC27】Angel’s FCパク・ホジュン代表に訊く、ベトナム大会とHEATとの対抗戦路線

【写真】カリスマ美容師感のある(?)パク・ホジュンAngele’s FC代表(C)MMAPLANET

19日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるHEAT52xAngel’s FC27。4月の韓国での対抗戦を経て、第2弾が日本で実現する。
Text by Manabu Takashima

韓国のカリスマ美容師パク・ホジュンAngel’s FC代表を対抗戦を前にインタビュー。Angel’s FCのベトナム進出や、これからのHEATとの関係、そして対抗戦への自信の程を訊いた。


──HEATとの対抗戦第2弾を控えたパク・ホジュン代表ですが、最近は韓国だけでなくベトナムでも3大会ほど開いていますね。このベトナム路線はどのような経緯で行われることになったのでしょうか。

「ベトナムはMMAがまだ根付いていない国で、実は後輩がボクシングの興行を現地でやっており、一緒にMMAの大会をやっていかないかと相談されたんです。そこでザ・グランド・ホーチャム・ストリップというホテルが資金を出し、1年間で4イベントを開くことが決まりました。ホテルが全額を投資して、Angel’s FCが行われている状況ですね。

ベトナムでは国営TV局で中継されています。ただ韓国ではレベルが低くてつまらないという評判もあります。それでもベトナムでは注目されています。フライ級チャンピオンになったホブソン・ジ・オリヴェイラというブラジル人選手がホーチミン在住なのですが、彼がベトナムに帰化したため、ベトナム人としてMMAを引っ張ってくれるのではないかと期待しています」

──今後もAngel’s FCのベトナム大会は継続していくことになりそうですか。

「そうですね、続けて行こうと思っています。今、HEATの志村代表にも相談しているのですが、ベトナム・サイドから日本人選手を呼びたいということで。志村さんと一緒にやっていければ申し分ないかと考えています」

──なるほど楽しみですね。ところで韓国のドメスティックMMA大会は、Angel’s FCもDouble GFCもチャンピオンがRoad to UFCに流出した印象が強いです。

「チャンピオンがいなくなる事態に関しては、困っていないということはないです。ただし、ONEだけでなくUFCにも選手を送り出すことがAngel’s FCの役目だと思っています。契約で選手を縛ることはしたくないですし、選手にとって父親のような立場でありたいと思っています。今はYouTube系の番組で人材育成していて、また選手を育てている状態ですね」

──ではHEATとの対抗戦ですが、4月に圧勝してうえでの第2戦です。

「今回も圧勝します。ただしキックと、MMAの1、2試合は予想が困難です。それでも今回もAngele’s FCが勝ちます。8試合中、5試合から6試合は我々が勝ちます。ソン・ヒョンジョンと戦う堀友彦選手が強そうですね。Angele’s FCフェザー級王者ユ・ジュサンとベルトを賭けて戦う倉本拓也選手の粘りに期待しています。

あとはミドル級の三上ヘンリー大智選手に注目しています。元々は我々サイドもより力のあるチョ・ナムジンを当てる予定でしたが、ケガをしたので選手が代わりました。三上選手はキックのアビラル選手とともに、Angel’s FCにとって脅威になるかと思っています」

──Angel’s FCの代表として、どのような試合を期待していますか。

「HEATという歴史のある団体と、MMAを愛するという共通点があるので良い関係を続けて韓国と日本、両国の選手を強くなることを楽しみにしています。そのためにはHEATの選手の巻き返しに期待しています。そうなることで、韓国人選手が発奮しますし。そのようにライバル関係になっていくことで、互いに強くなることを願っています」

■視聴方法(予定)
8月20日
午後3時分~ TIGET LIVE

■ HEAT52xAngel’s FC27対戦カード

<キック・ミドル級/3分5R>
アビラル・ヒマラヤン・チーター(ネパール)
ヤン・チャンウォン(韓国)

<HEATフェザー級王座決定戦/5分5R>
倉本拓也(日本)
ユ・ジュサン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
堀友彦(日本)
ソン・ヒョンジョン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智(日本)
チョン·ホチョル(韓国)

<キック・ライト級/3分3R>
ユウト・ヌンポンテープ(日本)
パク·ジョンジュン(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
大道翔貴(日本)
チャン・ユンソン(韓国)

<ライト級/5分3R>
平山学(日本)
ソン・ミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
AXEL RYOTA(日本)
チョ·ジュンゴン(韓国)

<ムエタイ64キロ/3分3R>
ペットサムイ・シムラ(タイ)
シン·ドンヒョン(韓国)

<キック57.5キロ契約/3分3R>
一仁(日本)
ウォームONE LINK(タイ)

<フェザー級/5分3R>
今井舜也(日本)
菊川功武(日本)

<フェザー級/5分3R>
サイヤドガディー坂井(日本)
萩原悠人(日本)

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【HEAT52xAngel’s FC27】副将戦&HEATフェザー級王座決定戦で倉本拓也と対戦、ユ・ジュサン「楽勝だと」

【写真】1994年1月21日、ソウル出身。チーム・ピンナックルを中心に出稽古をしているそうだ (C)MMAPLANET

19日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるHEAT52xAngel’s FC27。4月の韓国での対抗戦を経て、第2弾が日本で実現する。
Text by Manabu Takashima

MMA&キック、8✖8の対抗戦の副将戦及びHEATフェザー級王座決定戦で倉本拓也と対戦するユ・ジュサンをインタビューした。ボクシングからMMAへ。大きなケガを経てプロデビュー後は1年7カ月で5連勝、その5勝目は清水俊一を判定で下したAngel’s FCフェザー級王座決定戦だった。試合前からテーピングだらけだったユ・ジュサンは、ベルトを手にしたもののヒールでヒザを負傷し、今回が王座奪取以来初の実戦となる。

夢はUFCトップファイターになることと断言するユ・ジュサンは、今回の試合に向けて余裕しか感じられなかった。


──今週末、HEATでタイトル戦が控えています。今の調子はいかがですか。

「試合の準備をしてきて、過去最高といえます」

──HEATとの対抗戦ですが、HEATの印象を教えてください。

「今ではUFCファイターのチョン・ダウン選手や、ONEのオク・レユン選手が活躍してきたこともあり、身近に感じていた団体です。ここで2つ目のベルトを巻くことができれば、自分も成長していると思えます」

──1つ目のベルトは昨年の12月に日本の清水俊一選手と対戦し、Angel’s FCのフェザー級王座を獲得しました。あの試合は足関節に苦しむ場面もありましたが、バックを取り続けてベルトを巻きました。ただヒザや足首にガッチリとテーピングがされており、試合前からケガをしていたようにも見えました。

「そうですね、まぁケガはありました。同時にずっと打撃で戦ってきたので、寝技ができるところも見せたいという気持ちだったことも事実です。それでも清水選手のヒールで、ヒザが鳴って。あのダメージは大きかったです。本音を言えば、相当に痛かった(苦笑)。ただ表情に出すと、相手チームに悟られるので我慢していました」

──では、ダメージも残ったのではないですか。

「そうですね、数カ月間はリハビリが必要でした。それでもリハビリの先生が優秀で、以前よりも調子は良い感じがしています」

──そんなユ・ジュサン選手ですが、まだまだ日本のファンは知らないことが多いです。そもそもMMAを始めた理由は何だったのでしょうか。

「中学3年生の時にボクシングを始め、プロでも試合をしました。ただ、色々あって続けることができなくなりました。それからは普通に仕事をしていたのですが、格闘スポーツに対する想いが強くてキム・ドンヒョン選手のジムに入って、プロデビューを目指していました。ただヘルニアでデビューまで時間は掛ってしまいました」

──なので2018年1月にTOP FCのアマチュアの試合に出てから、プロデビューまで3年5カ月も要したのですね。

「ハイ、2021年5月にデビューして今は5連勝中です」

──韓国には他にもプロモーションがありますが、Angel’s FCでキャリアを積もうと決めたきっかけは何だったのでしょうか。

「一番良い条件を出してくれたのはAngel’s FCでした。Angel’s FCは選手の待遇が良いプロモーションで、試合も選手の都合を優先してくれます」

──そのAngel’s FCを代表して、HEATとの対抗戦に挑みます。

「自分の意見を知ったパク・ホジュン代表がどのように思うか分からないですが、そう言う団体を背負うということを考えると、プレッシャーになってしまいます。これは常に言い聞かせていることですが、スパーリングをして収入を得る。そういう感じで試合に臨んでいます」

──では対戦相手の倉本選手の印象を教えていただけますか。

「4月の対抗戦第一弾で。ソ・ドンヒョン選手と戦った試合(※倉本が判定負け)を見ていますし、油断しないように戦う。楽勝だと思ってしまうような相手です。あまり強くはないです」

──自信たっぷりですが、倉本選手に対してどのような点でユ・ジュサン選手が勝っていると考えていますか。

「全てです。倉本選手に劣る箇所を見つけるのが、難しいです。秒殺するか、5分5Rの間ずっと底なし沼のような時間を経験してもらうのか。試合の時の気分で決めます」

──ところで、この先のキャリアはどのように青写真を描いていますか。

「最終目標はUFCのトップファイターになることです。それまで一つ一つ、ステップアップしていこうと思っています。試合毎に成長していく。それが今の目標です。UFCしか見ていないです」

──では土曜日の試合に向けて、改めて意気込みをお願いします。

「試合を見てもらえると、自分がどれだけ良い選手か理解してもらえると思います。それだけです」

■視聴方法(予定)
8月20日
午後3時分~ TIGET LIVE

■ HEAT52 x Angels FC27対戦カード

<キック・ミドル級/3分5R>
アビラル・ヒマラヤン・チーター(ネパール)
ヤン・チャンウォン(韓国)

<HEATフェザー級王座決定戦/5分5R>
倉本拓也(日本)
ユ・ジュサン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
堀友彦(日本)
ソン・ヒョンジョン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
三上ヘンリー大智(日本)
チョン·ホチョル(韓国)

<キック・ライト級/3分3R>
ユウト・ヌンポンテープ(日本)
パク·ジョンジュン(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
大道翔貴(日本)
チャン・ユンソン(韓国)

<ライト級/5分3R>
平山学(日本)
ソン・ミン(韓国)

<フライ級/5分3R>
AXEL RYOTA(日本)
チョ·ジュンゴン(韓国)

<ムエタイ64キロ/3分3R>
ペットサムイ・シムラ(タイ)
シン·ドンヒョン(韓国)

<キック57.5キロ契約/3分3R>
一仁(日本)
ウォームONE LINK(タイ)

<フェザー級/5分3R>
今井舜也(日本)
菊川功武(日本)

<フェザー級/5分3R>
サイヤドガディー坂井(日本)
萩原悠人(日本)

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【HEAT52 X Angel’s FC27】エンジェルズFCとの対抗戦出場、堀友彦「セコンドの一枠を長男に」

【写真】それぞれのMMA観、それぞれのMMAファイター人生(C)MMAPLANET

19日(土)に東京都港区のニューピアホールで開催される「HEAT vs AFC 対抗戦Rd.2 in JAPAN」にて、堀友彦が韓国のソン・ヒョンジョンと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

特定のジムに所属せず、フリー一筋で様々な団体を渡り歩いてきた堀。2018年9月の手塚基伸戦を最後に怪我で長期欠場を余儀なくされたものの、昨年11月に約4年ぶりの復帰を果たした。ギラギラした野心とは違う、淡々としながらも格闘技への熱を感じる言葉で試合への意気込みを語った。


――これまで様々な団体を渡り歩いてきた堀選手ですが、HEAT参戦はいつ以来になるのですか。

「15年くらい前ですね。名古屋で坪井(淳浩)さんとやらせてもらって以来です(2007年3月)。そろそろ試合がハマったらいいなと思っていたところで、今回の話をいただいて、HEATさんに出させてもらうことになりました」

――今回はHEATと韓国のプロモーション=AFCとの対抗戦が行われ、堀選手の試合も対抗戦として組まれたものです。対戦相手のソン・ヒョンジョン選手にはどんな印象を持っていますか。

「1試合だけ試合映像を見ました。AFCでブラジル人とやっている試合だったんですけど、いかにも韓国人選手らしい頑丈な選手だなと思いました」

――堀選手はいつをプロデビューとするかにもよりますが、キャリア約20年&40戦の大ベテランです。これだけキャリアを積むと、試合に関して対戦相手のことはそこまで気にならないですか。

「ホントに長くやっているので、対戦相手に合わせて新しい技術を覚えて戦略を立てて…というのは難しいと思うんですよ。20年もやっていれば、自分も形が出来上がっているので。いかに自分の調子とコンディションを上げていくか。相手はこういうタイプだから、自分のどの武器を使って戦っていこうか。そこを考えてやっていますね」

――2018年9月グラチャンでの手塚基伸戦から約4年間のブランクがありましたが、何が理由だったのですか。

「足の怪我です。実は手塚戦のあとに大きな怪我をして、手術したんですよ。それで手術が終わって練習を再開したら、今度は別の箇所を怪我してしまって。それで試合間隔が空いてしまいました」

――そこまで大きな怪我は初めてですか。

「手術が必要な怪我は初めてでしたね。もともと痛めていた箇所で、だましだましやっていたんですけど、それが手塚戦で悪化して。そのまま練習を続けていたら完全にやっちゃいました(苦笑)」

――長年のダメージの蓄積があったのかもしれないですね。

「そうですね。練習帰りに歩けなくなっちゃうぐらいだったんで。これはもう手術しないと無理だと思いました」

――当時の堀選手はグラチャンのバンタム級のタイトルも保持していて防衛にも成功。直近2年間の成績は5勝1敗1分と好調でした。そのなかで大怪我をして、当時はどんな心境だったのですか。

「正直、手術するなら試合はやめようと思っていました。でも身体が動くようになって練習を再開したら、Fighting Nexusさんからオファーをいただいて。自分が教えている若い選手たちからも『堀さん、もう試合しないんですか?』って煽られて、だったら一丁やってやるかと思って復帰しました」

――堀選手は特定のジムに所属せずにフリーという立場で練習していますが、今はどのジムで練習されているのですか。

「今は池袋のBLUE DOG GYMさんでお世話になっています。柔道をやっていた子とか若くていい子が多いので、そういう子たちに自分が教えられることを教えながら、練習するときは一緒に練習してという感じでやっていますね。だから怪我をして動けない時期はありましたけど、格闘技と切れることはなかったです」

――仮に怪我で引退したとしても練習は続けたかったのですか。

「どうだろう……身体が動くようになったから練習を再開したという感じで、そこまで深くは考えてなかったです(笑)」

――ただ単に好きなことをやっているという感覚なのでしょうか。

「もう、依存症みたいなもんですよ(笑)。この年齢で格闘技を続けている人はみんなそうじゃないですかね」

――自然に復帰への気持ちが沸いてきたのですね。

「あと子供が2人いるんですけど、手塚選手とやった時、長男の方は試合を見た記憶があるくらいの年齢だったんです。でも次男はそういう年齢じゃなかったんで、僕の試合を見た記憶がないと思うんですよね。だから子供たちに自分が戦っている姿を見せたいと思ったのが復帰を決めた一番の理由ですね」

――では今の堀選手の試合に向かうモチベーションや目標はどこにあるのでしょうか。

「自分自身が満足したいですね。それこそ僕、最後にKO勝ちしてから10年以上経ってるんですよ。その間に一本勝ちはあったんですけど、久々に相手を“倒す”感覚を味わいたいんですよ」

――「誰かと戦いたい」や「どの団体のチャンピオンになりたい」ではなく、自分の道を追求するということですね。

「まさに自己満ですよ(笑)」

――いやいや(笑)。人生において20年以上も同じことをやり続けるというのはなかなかないですよ。

「でも僕と同世代の40歳前後の選手たちって意外に引退しないんですよ。僕らがMMAを始めた頃は、ちょうどMMAの人気が出始めた頃だったじゃないですか」

――PRIDEをきっかけにMMAが盛り上がっていた時期ですね。と、同時にジャンルとしてどうなるかはまだ分からない時期だったと思います。

「当時からMMAで有名になろうとか稼いでやろうと思っている人もいたと思うんですけど、今の子たちほど明確じゃなかったと思うんですよ。だから本気で好きじゃなかったらMMAをやってないと思うし、純粋にやるのが楽しかったんじゃないですかね。で、その楽しさを忘れられないまま、今もずっと続けている選手が多いんだと思います」

――一緒に練習をしている、あるいは練習をしてきた仲間とは縁が深いのですか。

「僕、練習仲間とプライベートの交流が全然ないんですよ。練習場所以外で会うのは試合会場くらいで、そこで軽く挨拶して…みたいな。ジムで練習する以外でコミュニケーションを取らないからこそ、こうやってどのジムにも所属せずにフリーのままでいられるんじゃないですかね」

――そこもお聞きしたいところでした。堀選手はKRAZY BEEで練習している時期があって、よくKRAZY BEEの選手のセコンドについていましたよね。なぜ所属ではないのにセコンドに選ばれているのか、すごく不思議だったんです。

「確かに周りから見ていたら僕の立ち位置がよく分からないですよね(笑)。たくさん選手のセコンドにもついたし、ついてもらったし、すごくありがたかったですよ。それこそKIDさんとも練習して、たくさん殴ってもらって(笑)」

――堀選手の「練習以外では選手とつきあわない」という姿勢がストイックですし、それがジムに所属していなくても受け入れられていたのですかね。

「どうなんですかね。例えば(田村)一聖とは年齢も近いし、その世代の選手たちとは初期の頃から一緒に練習させてもらっていたんで。そういうところで縁があったんじゃないかなと思います」

――復帰を決める一因にもなった練習仲間=若い選手たちに対して伝えたいことはありますか。

「今の子たちはみんな競技者であり、アスリートですよね。小さい頃に柔道やレスリングをやっていたり、それこそMMAの練習をやっている子もいるくらいなんで。僕らみたいにある程度年齢がいってから、面白そうと思ってMMAの練習を始める子は少ないですよね。だから今の子たちに早く強くなってほしいし、早くみんな上に行って頑張れよ!と思います」

――堀選手は自分のスタンスで格闘技を続けられてきたと思いますが、これからも格闘技には携わっていきたいですか。

「携わる……自分の場合は試合以外で格闘技に携わるイコール練習しかないんです。練習以外で携わる方法がないというか。もし試合をやらなくなっても練習はずっと続けるという感じですかね」

――なるほど。今回の試合はお子さんたちも見に来るのですか。

「そうですね。HEATはセコンドが3人までOKで、僕がいつもセコンドをお願いしているのが2人なんで、セコンドの枠が1人分余ったんです。改めて3人目を探してオファーするのも大変なんで、その1枠を長男にしようと思っていて。息子に間近で自分の試合を見てもらうことなんてなかなかないだろうし。でも息子がセコンドについていたら、こいつふざけてるなと思われますかね?」

――そんなことはないですよ。逆にこのインタビューを読んでもらえれば、堀選手の想いが伝わると思います。

「それならよかったです。僕は他のファイターと違って、こんな感じなんですけど(笑)、これからもよろしくお願いします」

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【NEXUS29】山田峻平代表の晴れの日=初後楽園大会(01)53歳、大石が小倉の腕十字に敗れる

【写真】 ネクサス初出場の木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅が、ここから引き込んでパワーチョークで秒殺勝利(C)MMAPLANET

7日(月)に東京都文京区の後楽園ホールでNEXUS29が開催された。

月曜日、午後6時スタートながら12試合がマッチアップされた今大会は2014年9月の旗揚げより8年、新宿FACEのリング大会からGENスポーツパレスのケージ大会、プロだけでなくセミプロ、アマチュア、キッズと総合プロデュースをしてきた山田峻平代表にとってまさに晴れの日となった。

そんな想いが詰まった記念すべきネクサスにとって初の後楽園ホール大会レポート第1弾は序盤戦の3試合の模様をお届けしたい。


キッズのオープニングファイトから本戦時間内に組まれた同大会、まず岩松哲也が98秒で秋山佑史を下し、堀友彦が2018年9月のGrachanで手塚基伸を下して以来──実に4年2カ月振りに実戦復帰を果たした。

40歳になった堀と対する大谷啓元は下派、ハーフからワキを差して上を取る動きを得意としており現在ネクサスで3連勝中の選手だ。

<バンタム級/5分2R+ExR>
堀友彦(日本)
Def.3-0:19-18.19-18.19-18
大谷啓元(日本)

左ハイを蹴った大谷は間合いを測るなかでダブルレッグへ。頭を巻いた堀が上を取るが、下から煽ってバランスを崩させた大谷は背中に回ってワンフック、さらに左足もフックしてバックグラブを完成させ、初回をリードした。

2R、ミドルをカットした大谷に、右ストレートを伸ばした堀がシングルを切る。引き込んだ大谷はハーフを取り、左腕を差してシングルレッグを狙うが、察知されディープハーフからバックを伺う。ワンフックの半身状態から背中に回っていった大谷に対し、堀は後方へのエルボーで顔面を痛打し胸を合わせることに成功する。

左足を両足で挟まれたまま立ち上がった堀は、ボディロックで後方に倒され尻もちをつかされる。が、大谷も上を取っているわけでなく背中をつけており、ここも背中に回ろうとする。尻をずらして上体を起こそうとした堀は、逆にシングルに切り替えた大谷のバックを伺う。

右足を挟んだまま引き込み、ディープハーフから煽ろうとした大谷だったが、命綱といえる右足のフックが外れ、完全に背中を取られる。

掘はフック無しRNCを仕掛け、後方に倒れ込む。乗り過ぎで足もフックもないため、大谷はマットに背中をつけて絞めを解除したがトップを譲り左右のパンチを被弾。ハーフからスイープを狙うも返せず時間に。

延長有りのネクサス、通常興行なら19-19が妥当だが、今大会は会場の使用時間の制約が厳しいこともあり、10-8を積極的につけられる取り決めが事前に行われていた。そのことは出場選手にも伝えられており、晴れの日=後楽園ホール大会仕様スコアにより、ジャッジ3者とも19-18で堀を支持した。

40歳の堀の勝利後、ケージインしたのは39歳の小倉卓也と3週間後にはついに54歳を迎える大石真丈だ。

<バンタム級/5分2R+ExR>
小倉卓也(日本)
Def.1R2分26秒by 腕十字
大石真丈(日本)

今年の4月に高阪剛が52歳で引退したケースを始め、過去に50代のビッグネームが一度現役を退くなど長いブランクの後に試合を行うケースが存在しており、大石は決して最年長MMAファイターではない。スキップ・ホールのように57歳でMMAデビューして62歳まで7試合を戦った選手もいる。

2010年にカナダのジョン・ウィリアムスが70歳で、49歳の元プロレスラーを相手に一度だけMMAを経験している。このウィリアムスが最高齢プロMMAファイターとされているが、大石のように継続的にMMAを戦い続けてきたのは36歳から54歳になる41日前まで17年間5ケ月戦ったダン・スバーンぐらいだ。

対して大石は1993年11月25日にプロデビューし、24歳からこの日まで毎年──29年間に渡り実戦を経験してきた。まさに鉄人のなかの鉄人といえる。その大石は小倉の左をブロックして、ダブルレッグで飛び込むように右をヒットさせ、左ローを蹴っていく。

しかし、続くシングルレッグを切られ小倉にがぶられる。ツーオンワンから立ち上がり、ヒザを見せた大石は左ジャブに右を合わされ後ずさり。ここからのシングルも切られ、引き込むがエルボーを被弾してパスを許す。

小倉は落ち着いてサイドからステップオーバー、右腕を伸ばし腕十字で一本勝ちした。

続いてバンタム級で中桐椋輔が岡元飛龍に左の蹴りを有効に使い判定勝ちを収めると、修斗ストロー級7位の木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅がネクサス初戦を迎えた。

<ストロー級/5分2R+ExR>
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)
Def.1R0分21秒by ギロチンチョーク
楠美貴嗣(日本)

右を振るって組んでいった楠美が、木内をケージにつめてダブルレッグへ。右手の下に頭が入ると、木内は右腕を深く喉下に差しいれRNグリップへ。

そのまま引き込み楠美の右腕ごとクローズドガードに取る。絞めつけ、足の四の字に組んだところで楠美が落ち、直ぐに勝負が決した。

秒殺一本勝ちの木内は対戦相手がなかなか決まらなかったなかで、試合を受けた楠美に感謝の言葉を述べ、ストロー級王座奪取を宣言した。


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