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【UFN239】DWCS出身シルバ、打撃のプレッシャー&組みでクリバオにスプリット判定勝利

<フェザー級/5分3R>
ダニー・シルバ(米国)
Def.2-1:29-28.28-29.29-28.
ジョシュ・クリバオ(豪州)

サウスポーのシルバがすぐに前に出て、左ストレートから右アッパー。これを嫌ったクリバオが組みつくとシルバがギロチンへ。そのままマウントを取ってトップキープするが、クリバオはすぐに立ち上がる。シルバが打撃のプレッシャーをかけて左から右、左ボディ。クリバオも右の前蹴り、パンチとボディへの前蹴り。ジャブを当てて、ワンツーから左フック、右カーフ。シルバはスイッチしてジャブから前に出る。クリバオはジャブを細かくついて右ボディ、ワンツー、左ボディと手数を増やす。残り30秒でシルバがシングルレッグで組みついてバックにつき、クリバオを前方に崩す。

2R、オーソドックスに構えるシルバ。クリバオは右のカーフを蹴る。構えを戻して左ストレートから前に出るシルバだが、クリバオはケージ内をサークリングしながらジャブを突き刺し、細かいパンチのコンビネーションを当てる。クリバオはジャブでシルバの動きをコントロールし、シングルレッグも見せる。クリバオがパンチから組み付くと、シルバがバックへ。クリバオが正対するとシルバがダブルレッグに入り、クリバオを持ち上げるが、クリバオはバランスよく倒れずに離れる。クリバオは右ストレートから左ボディ、シルバはパンチに合わせて組んでバックへ。クリバオもグラウンドに持ち込ませない。

3R、シルバが構えをスイッチしながら左ミドル。クリバオが蹴り足をキャッチして組みの攻防になるとバックへ。クリバオはグラウンドに持ち込ませない。離れたシルバは左ストレート、右カーフ、左ストレートから右フック。クリバオは下がって右ストレートを返す。シルバが右を当ててダブルレッグでテイクダウン。クリバオが立つところにバックにつき、しつこくテイクダウンを狙いつつ離れ際のヒジ。距離が離れるとシルバがサウスポーから左ストレート、クリバオもヒザ蹴りを返すが、シルバが圧力をかけ続ける。シルバが左ボディから右、組みの展開になっても固執せずに打撃で前進。クリバオのダブルレッグを切ってバックをとりつつ、がぶってコントロールする。クリバオが離れたところで試合終了となった。判定は2-1でシルバ。スプリット判定ながらUFCデビュー戦を勝利で飾った。


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【Special】J-MMA2023─2024、透暉鷹─02─「UFCでベルトを巻く」「海外の元UFCファイターと戦いたい」

【写真】この大きなベルトを巻いたことが、どのように海外につながっていくのか(C)MATSUNAO KOKUBO & SHOJIRO KAMAIKE

J-MMA 2023-2024、第十一弾・透暉鷹インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

パンクラス2階級制覇を果たした河村泰博戦について振り返ってもらった前編に続き、後編は気になる今後について訊いた。UFCとの契約を目指す透暉鷹が希望するのは、海外での試合あるいは海外の強豪との対戦——何よりUFCへと直結するRoad to UFCやDWCS出場だった。

<透暉鷹インタビューPart.01はコチラから>


――国内MMAではフライ級とバンタム級の層が厚いと言われています。そのなかで、「バンタム級の自分は強い!」と思いましたか。

「いやいや、まだそれは言えないですよ(苦笑)」

――しかしバンタム級で戦っていける自信はついたかと。

「それはありますね」

――となると、気になるのは今後です。海外で戦うためにバンタム級転向を選択した透暉鷹選手が、今後パンクラスで防衛戦を続けるのか。あるいはすぐに海外を目指すのか。

「まず前回のインタビューでも言ったとおり、バンタム級初戦がタイトルマッチになるとは思っていなかったんですよ。そこでパンクラスさんが僕の実績を考慮してくれて、暫定王座決定戦になった。そして正規王者の中島太一選手がベルトを返上して、僕と河村選手の試合が正規王者決定戦になって」

――はい。

「じゃあ次はどうするかというと、一番良いのは、今年もRoad to UFCが開催されるなら出たいです。RTUで3回勝てばUFCと契約できる、という目標が明確じゃないですか。しかもトーナメントだからコンスタントに試合ができる。もちろん自分のことを客観的に見ると、まだUFCのランカーやトップ選手たちと比べたら足りないところは多いです。今から、さらに実力を付けていかないといけないですよね。

そんななかで、『PFLという選択肢もあるよ』と言ってくださる人もいました。ただ、PFLはフェザー級以上でバンタム級がない。バンタム級に転向することも含めて自分自身の状況を冷静に見つめると、RTUからチャレンジしていきたいと思いました」

――パンクラスのベルトを獲得した場合は、防衛戦も含めて何か新しい契約事項が発生するのでしょうか。

「契約というより、まだ今後についてパンクラスさんとは細かい話し合いをしていなくて。チャンピオンはベルトを獲得してから1年以内に防衛戦ができなければ、王座返上——という規約は変わらないです。他のところで試合をすることは、話し合い次第だとは思いますけど、RTUの場合はどうなるのか……」

――現フライ級KOPの鶴屋怜選手がRTU出場中で、昨年クリスマスイブに暫定王座が制定されました。その例からいうと、RTU出場については特に規制はないのでしょう。ただし、まだ開催されるかどうか、開催されたとしてもスタート時期も明確になっていません。もしRTU開催まで期間が空いた場合、どのような試合をやっていきたいですか。

「そうですよね……。正直、格闘家ってそんなに長く続けられるものでもない。そして自分が目指しているのは、世界の強い選手と戦うことです。だから、どんどん強い選手と対戦していきたいですね」

――次の試合がパンクラスKOPの防衛戦という選択肢はない、と。

「難しいところですよね。今のバンタム級ランキングを見渡しても、お客さんが面白いと思ってくれるカードが組めるかどうか。日本国内の興行であれば、プロモーターもそういう目線になるじゃないですか。

たとえばランキング3位の井村塁選手がベルトに挑戦したがっている。そういう話も聞きます。でも井村選手は河村選手に負けていて、その河村選手に勝っている僕に挑戦するのは違う――という感はあります」

――その点では昨年4月、中島選手に敗れている現ランキング1位の田嶋涼選手にも同じことが言えますよね。パンクラス内のことでいえば、もう少し次の挑戦者を決める戦いが必要かもしれません。

「いずれにしても春ぐらいには試合がしたいです。やっぱりコンスタントに出たいので、前回が12月だから次は4月か5月か。去年は手術とかあって試合には出られなかったじゃないですか。二十代で試合がやれるうちに、年2~3回はやりたいですね」

――今年もRTUが開催されるとしても、エントリーして出場できるかどうかは、過去の実績も関わってくると言われます。確実にRTU出場を勝ち取ることができるような対戦相手が必要になってくるでしょう。

「はい。それに僕の目標はRTUに出場することではないので。RTUで勝ってUFCと契約し、UFCのベルトを巻くことです。そのための試合がしたい。勝ち星をつけるための試合とか、そういうものは望んでいません。できれば海外の元UFCファイターと試合をしてみたいですね」

――UFCを目指すうえで、RTUができたことでアジア勢の出場が途絶えたDWCS……。いや、UFCは難しいです。ただし、RTUがなければコンテンダーシリーズも選択肢に含まれてきそうですね。

「RTUが開催されないのであれば、DWCSも考えます。今は日本人選手がUFCと契約するためには、RTUやDWCSにチャレンジするしかないかなと思っていて。もし出られるならDWCSにも出たいです」

――RTUは3回勝てばUFCと契約できるのに対し、DWCSは試合内容によっては契約できない場合もあります。ある意味、一発勝負のオーディションですよね。そのRTUとDWCSの性質の違いについては考えますか。

「いや、そういうことは考えないです。DWCSだとフィニッシュする試合を求められるかもしれない。でも僕は、普段の練習から『漬ける』というようなことはやっていないので。DWCSでも自分の実力を出して、その試合を見せることができればUFCと契約できる自信はあります」


本文とは関係ないが、タイトル奪取後のバック宙はヒザをついて失敗した透暉鷹


今もstArtで修得に励んでいる──のではなく、コーディネーション・トレの一環


ちなみに久米鷹介は全日本バック宙選手権シャバーニの部出場に向けて猛特訓中だ


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DWCS LFA MMA MMAPLANET o UFC UFN UFN233   アラン・ナシメント アレッシャンドリ・パントージャ カーロス・ヘルナンデス ダニエル・バレス ダヴィッド・ドヴォルザーク デイヴィソン・フェゲイレド ブランドン・モレノ ライカ ヴィクター・アルタミラノ 平良達郎

【UFN233】オクタゴン5戦目、5連勝へ。平良達郎「UFCフライ級に新しい風を吹かせます」

【写真】髪の毛の色が変わっていた平良。ファイトウィークもリラックスして過ごせているようだ(C)TAKUMI NAKAMURA

9日(日・現地時間)ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN233: UFN on ESPN+91「Song vs Gutierrez」にて平良達郎がカーロス・ヘルナンデスと対戦する。
text by Takumi Nakamura

10月に予定されていたダヴィッド・ドヴォルザーク戦が中止となり、今回の試合も中国から米国に開催地が変更されるなど、紆余曲折を経てヘルナンデスに臨む平良。逆転勝利の自信と課題を掴んだ7月のエドガー・チャイルズ戦を経て、今回の試合に向けて準備を続けてきた。UFC初参戦から1年7カ月、平良はUFCを挑戦ではなく結果を出すための舞台として捉えて、5度目のオクタゴンに向かう。


――渡米後のインタビューありがとうございます。ファイトウィークはどのように過ごされていますか。(※取材は現地時間5日に行われた)

「日曜日の昼に到着して、その日は軽く走ったくらいで、月・火はMMAのスパーリングも交えながら調整しています。米国で試合する時はいつもこのスケジュールで動いていますね。米国の試合が増えてきて、米国での調整も慣れてきたので、体調は過去一いいです。精神的にもリラックスできています」

――今回の試合は開催地が中国から米国に変更となりましたが、米国の方が慣れているようですね。

「調整そのものはしやすいですね。ただ移動の負担や時差のことを考えると中国の方が楽ではあるので、一度、中国で試合をやってみたかった部分もあります」

――今大会ではDWCS(Dana White’s Contender Series)経由でUFCに参戦しているカーロス・ヘルナンデスと対戦します。ヘルナンデスにはどのような印象を持っていますか。

「足を使うボクサーって感じですかね。ストライカーではあるけれど、ストライキングが好きくらいのイメージで、一発はないけど技術がある。テクニシャンタイプのボクサーという印象です」

――UFCでは3戦して2勝1敗。距離を取りながら打撃でポイントをとっていくスタイルで、良くも悪くもつかみどころがない印象があります。

「DWCSでスペインのストライカー(ダニエル・バレス)と戦ってスプリット判定で勝っているんですけど、あの試合は必ずしも打撃で一発がある方が勝つわけじゃないんだという感想でした。ヘルナンデスは相手の攻撃を受けて戦う選手なので、そこで変な一発をもらわないこと、試合が長引いた時にちゃんと最後まで動けること。そこを意識しています。もつれると嫌な展開になりかねないので、松根(良太)さんとも『早めに終わらせられるなら終わらせたいよね』と話していますし、僕としては3Rくらいに仕留めたいです」

――ヘルナンデスはLFAフライ級王者だったヴィクター・アルタミラノ戦のようにスプリット判定で勝つことも多く、爆発的な強さはないものの、競った試合をものにする強さはあると思います。それだけにしっかり攻めどころで攻める、展開のヤマを創ることが必要な相手だと思うのですが、いかがでしょうか。

「判定になった時に『どっちにポイントがつくるんだろう?』と思わせないことが大事ですね。今回は練習でもいかにダメージを与えるかを意識して練習していて、最近の傾向としてトップをとってもダメージを与えないと評価されないところがあるじゃないですか。グラップラーにとっては難しい時代になっているので、しっかり殴って相手をディフェンスさせ、疲れさせることを考えていて、そのなかで試合を終わらせるパターンもいくつか考えています」

――個人的にヘルナンデスは前回対戦したエドガー・チャイルズと似ている部分もあり、チャイルズ戦とつながる、応用できる試合になるのかなと思いました。

「チャイルズ戦は僕の中では大きい試合でした。例えばパウンドを打っているときの腕の張りとか、緊張感で普段以上に力んだ分、筋肉の疲れも感じたり。あとは体力的なスタミナとは違う集中力切れみたいなところも感じて。チャイルズ戦が終わって、ちょっと自分が思うように動けないなと考えちゃうところがあったんです。あれから戦い方も色々と考えて練習して、今やっとその殻が破れてきたかなと思いますね」

――見ている側としては1Rに左フックでダウンを奪われるピンチを乗り越えて、最終的に勝ち切った試合だったと思うのですが、修正すべき点も多かったのですね。

「そうですね。でもしっかりグラウンドで上を取ってヒジを落として勝ち切ったことは自信になりましたし、自信が深まったうえで反省点もあったという試合でした」

――ヘルナンデスは1月にアラン・ナシメントにRNCで一本負けしていますが、平良選手もバックを取ったり、RNCを極めるイメージは出来ていますか。

「チャイルズもそうだったんですけど、おそらく僕がUFCや過去の試合でRNCで勝っていることを知っていて、テイクダウンされたときに絶対に背中を見せなかったんですよ。普通ストライカーだったらトップキープされるより、多少バックを取られてもいいから立とうとするじゃないですか。チャイルズは一切そういう素振りがなかったんです。チャイルズが僕のバックコントロールを警戒して、そういう動きをしているんだなと分かりました。

ヘルナンデスもナシメントにRNCを極められているから、絶対に(バックコントロールは)警戒してくると思うんですよね。もちろんRNCのチャンスがあれば取りにいきますが、そうじゃない展開になった時にどう攻撃するか、どう相手の嫌なことをやるか。そこも必要になると思って、練習してきました」

――相手がバックを取らせたくない=トップから攻める時間も長くなりそうですね。

「僕的にはクローズドガードをとられて膠着したり、コツコツ下からヒジをもらったり、そいういう時間は意味がないと思うんですよ。それだったら自分から立ち上がってオープンガードにさせて上から殴るとか、横につくとか、亀にさせるとか、そういう展開を作りたいです」

――かなり試合のシミュレーションは出来ているようですね。当初10月にフライ級ランカーのダヴィッド・ドヴォルザークと対戦を予定していましたがドヴォルザークが欠場、ヘルナンデスと対戦することになりました。ここをきっちりクリアして、次こそランカーとの対戦を実現させたいですか。

「やっぱりランカーと戦うことをテーマにしたいですね。もうランカーじゃないと相手はいないでしょ!という状況にしたいし……というか自分ではそう思っているんですけど(苦笑)。今回は直近の大会でランカーの試合が組まれていたり、僕の試合が10月から12月にスライドして試合ができるランカーが見つからなかったり……色々とあることは分かりますが、僕はもうランカーと戦っていきたいのでヘルナンデスに勝って、それをマイクで言いたいです」

――昨年5月からUFCに参戦していて、もうUFCはチャンレンジする場ではなく、結果を出す場という認識のようですね。

「そうですね。もう“結果を出したい”じゃなくて“結果を出さないといけない”というマインドになってきました。自分がベルトを獲らないといけない、チャンピオンになるもんだと思って、これからは試合をしていきたいと思います」

――まずはランキング入りして、そこからベルトを目指す。道のりは明確です。

「今はまだランキングに入っていないので、ベルトからは遠いように見えるかもしれませんが、次にランキング戦が組まれて、そこで勝てばもっと上のランカーと戦えると思うし、2~3年後ではなくて来年ベルトを獲るつもりでやります」

――2023年を締める一戦でどのような試合を見せたいですか。

「強い選手はたくさんいますが、いい勝ち方をすれば僕の幻想も膨らむだろうし、『平良がトップランカーとやったらどうなるんだろう?』という期待や興味を持ってもらえるようなインパクトを残したいです。日本のファンだけじゃなく、米国のファンにも『平良やばいね!』と思わせたいです」

――平良選手も試合前後で現地のファンに声をかけられることもありますか。

「はい。でも………まだまだ足りないです(笑)! 僕はフライ級そのものを盛り上げて、もっと注目される階級にしたいんですよ。ランキングを見てもフライ級は上位のメンバーが固定されているというかベテランが多い印象なんで。その状況を僕らのような若い世代が活躍することで変えたいんです」

――そういった発想でUFCを盛り上げようと思う日本人選手は今までいなかったと思います。

「僕らからしたらフライ級は何年も数名の選手でベルトを争っているイメージで、それだと見ている方もつまらないと思うんですよね」

――2020年以降はデイヴィソン・フェゲイレドとブランドン・モレノの二強時代が続いて、今年7月にアレッシャンドリ・パントージャが新王者となって…という状況です。

「さすがにフェゲイレドとモレノは4回はやりすぎだろうと思っていたので、僕がランキングを勝ち上がってUFCフライ級に新しい風を吹かせます」

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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:10月 ウスマン×チマエフ「スタンドのバックキープは山の五合目」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2023年10月の一番──10月21日に行われたUFC294でのカマル・ウスマン×カムザット・チマエフ戦について語らおう。

――取材がギリギリになって申し訳ありません!10月の一番として、水垣さんにはUFN228でのカマル・ウスマン×カムザット・チマエフを選んでいただきました。

「まずチマエフはまだ底を見せ切れていないというか、ギルバート・バーンズ戦で大分見えていた部分もあったけど、最終的には競り勝った。では本来の階級は下だけど、ウスマン相手にチマエフの実力がどうなのかを見たいという興味がありました。あとはテイクダウンされないウスマンと最強のテイクダウン技術を持つチマエフが戦ったらどうなるのかなという好奇心もありましたね」

――いざ蓋を開けたらチマエフが開始早々テイクダウンしてバックを取るという衝撃的な展開でした。

「あれはビビりましたね(笑)。改めて見直すとチマエフがテイクダウンしてバックを取るまで1分くらいなんですよ。あの攻めの速さは尋常じゃないです。ただ2Rになるとチマエフがテイクダウンにいけなくなるんですよ。少し休みながら戦っているようにも見えて、もしかしたら1Rにテイクダウンとバックは取っていたけど、あの攻防のなかで『今までの相手とは違う』という感覚があったのかもしれないですね」

――意図したものかどうかは分からないですが、1Rと2Rのチマエフは別人のようでした。

「そこがまだチマエフの分からないところなんですよ。スタミナが切れてしまったのか、あえてそうしたのか。3Rに入ると何度かテイクダウンに成功しているし、結局チマエフの全貌が分からない(笑)」

――3Rはウスマンのパンチも当たりだしたので、このままウスマンが前に出て、チマエフが弱気になると思ったんです。そうしたら打撃でも打ち返していましたよね。

「それはバーンズ戦でも感じたことで、僕はチマエフは試合終盤の競り合いになったら弱気になるタイプだと思っていたんですよ。でもバーンズ戦はそういう競り合いでも勝負強さを見せたんですよね。今回も2Rを見終わって、3Rはこのままウスマンの流れるになるかなと思っていたら、最後はチマエフが盛り返して勝っている。2試合連続ちゃんと競り勝っているわけだから勝負弱くはないと思うんですけど、1Rの圧倒ぶりからすると、もっと圧勝できる気もするじゃないですか。でも最終的に接戦になってしまっているので『結局、チマエフどうなの?』と思われてしまいますよね」

――そんな謎多きチマエフではありますが、シングルレッグからテイクダウンしてバックコントロールという流れは素晴らしかったです。ここ最近のロシアや中央アジア出身の選手が得意にしているムーブです。

「シングルレッグ、テイクダウン、相手が立ってきたらバックキープ、仮に立たれてもスタンドでバックをとる、そこからテイクダウン……この流れが完全に出来上がっていますよね。チマエフはハビブ軍団とは別チームなので指導者やトレーナーが同じということはないと思うんですけど、あの地域のレスリング系の選手の技術体系や動きが似ているというのは不思議な部分ではあります。これは推測ですけど“組み伏せて殴る”ことを突き詰めていくと、バックコントロールに行きつくんじゃないですかな、と」

――スクランブルの攻防が増えて、組みの展開で選手が立つという選択をするようになった。グラウンドで両足をフックする柔術的なバックコントロールよりも、レスリング的な足をフックしないバックコントロールの時間が長くなっていることも影響していると思います。

「その方が殴りやすいというのもあるでしょうね。あとは立たれるリスクもあるけれど、スタンドでバックについていればOKという感覚もあると思うんですよ。立たれて正対されるのはダメだけど、バックについていれば仕切り直しできるみたいな」

――スタンドのバックキープがイーブンではなく有利な状況ということですね。

「山登りでも五合目にベースキャンプを置いて、登山途中に天候が悪くなったら一旦ベースキャンプに引き返すじゃないですか。そのベースキャンプがスタンドのバックキープというか。テイクダウンして完全にバックコントロールするのがベストだけど、その攻防で自分が下になる・立たれて距離を取られるリスクがあるなら、立たせてバックキープする方がいい。スタンドのバックキープは6:4で有利だけど、正対されたら4:6で不利になる。だから6:4で有利でいられるところまで戻されることはよしとする感覚なんだと思います」

――なるほど。“立たれた”ではなく“立たせた”という見方もできる、と。そう考えるとポジショニングの概念も選手のファイトスタイルや技術によって変わってきますね。

「もちろんスタンドのバックキープからテイクダウンする&組み伏せる技術ありきですが、彼らにとってはグラウンドのポジションキープよりも体力の消耗も少ないんだと思います。そこまで展開に幅を持たせることが出来たら体力的にも精神的にも余裕を持てますよね」

――逆にショートノーティスで出場が決まって、本来はウェルター級ながら、ミドル級のチマエフとあれだけ出来たウスマンの強さも再確認しました。

「チマエフのテイクダウンを切って、捌くところは捌いてましたからね。UFCは試合中にテイクダウンの成功率が出るじゃないですか。確かにテイクダウンを取られてはいるんですけど、防いでいると言えば防いでいる。その数字は『あれだけチマエフのテイクダウンを防いだウスマンはすごい!』なのか『結果的にウスマンからテイクダウンを取っているチマエフはすごい!』なのか。チマエフが未知数な部分を残している分、どっちなんだろうなと思ってしまいますね(笑)。もちろんウスマンをテイクダウンするチマエフの能力はすごいですんですけど」

――チマエフは前回の試合が13戦目ですし、まだまだ伸びしろはありそうですね。UFC自体も完成された選手が集まるというより、UFCで戦っていくなかでキャリアを積んで伸びていく選手たちが増えそうです。

「例えばDWCS(Dana White’s Contender Series)から無敗のまま上がってくる選手もいますけど、正直『えっ?』と思うような選手もいるんですよ(笑)。でも今のUFCはそれもありというか。戦績がいい選手を30~40選手くらい集めて、その中にダイヤの原石が1人いればいいという考えで、昔と比べるとふるいのかけ方が変わってきているんだと思います。とりあえず戦績がいい選手を数で集めて、UFNのアンダーカードで削って行くみたいな」

――以前は他のプロモーションで勝ち上がった選手がUFCを目指していましたが、今はUFCというプロモーション自体がもう一つ大きなふるいを持ったイメージですよね。それがRoad to UFCやDWCSでもあると思いますし。

「とりあえず履歴書を送って、書類選考は通過みたいな(笑)」

――まずはバイトから始まって正社員まで険しい道のりが続く、と(笑)。言い方を変えれば間口が広がった分、UFCに引っかかる可能性やチャンスは増えましたよね。

「まだDWCSに日本人が出る機会は少ないですけど、木下憂朔選手の例もありますからね。ただそれは他の国にも言えることで、アジア圏でも色んな国から選手が出てきているじゃないですか。来年はUFCとしてインドから選手を育成するプログラムをスタートさせるという記事も見ましたし、Road to UFCに出ている選手たちも1年間で急成長していますからね」

――UAE Warriorsに参戦中の藤田大和選手を取材したのですが「国全体でMMAが盛り上がっている空気を感じるので、これからすごい選手が出てくる可能性もあると思います」と話していました。

「UAEWやBRAVE CFを経由してUFCに出る選手たちは一味違いますよ。あとはムハマド・モカエフのようにIMMAFに出ている選手たちは、アマチュアだけどめちゃくちゃレベルが高いところで試合をしてきているから、先ほどとは逆で『この強さでこの戦績?』と驚くような選手も出てきますよね。MMAという競技の発展という意味では、そういった動向も見ていきたいと思います」

――もしかしたら数年後にインドやUAEがMMA大国になっているかもしれない。そんな言葉で今月の一番を締めさせていただきます!

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【UAEW45】2度目のアブダビでアディロフと対戦、藤田大和「前回のように伸び伸びと戦います」

【写真】現地でよく利用するというショッピングモール『ムシュリフモール』前にて。2度目のUAEW出場とあってか、現地到着後もリラックスできているようだ (C)TAKESHI YAMAZAKI

17日(火・現地時間)にUAEはアブダビのアルジャジーラ・クラブで開催されるUAE Warriors45で、藤田大和がカザフスタンのサンスハル・アディロフと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

藤田は8月にフィルカドベク・ヤクボフをギロチンで倒して以来、2度目のUAEW出場となる。21日に開催されるUFCのファイトウィーク内で行われる今大会で、11勝1敗1分の強豪アディロフと対戦することになった藤田。現地入り翌日に現地の様子と試合への意気込みを訊いた。


――今回の試合は開催日が20日から17日に変更されました。その日程変更は現地入りスケジュール等に影響を及ぼしましたか。

「特に影響はないですね。開催日の変更を聞いたのは最近の話ですけど、実は最初に試合の話が来た時――開催日については17日~22日の間で、まだ会場も決まっていなくて。そこから細かく決まっていくなかで、最初から『これは17日の開催もあるな……』と思っていました(笑)」

――えっ!? 21日に現地でUFCが行われるため、開催日が流動的だったことは致し方ないとしても、22日ということはUFCの翌日に試合をする可能性もあったのですね。

UFCファイトウィーク内でもあるため、空港からホテルまでの道にUFCの看板が設置されている(C)TAKESHI YAMAZAKI

「そうなんですよ。僕は17日の試合という最短のスケジュールを想定して動いていたので、特に問題はなかったです。それに17日開催で良かったと思っています。早く試合がしたかったので」

山﨑剛Me,We代表 9月に入って試合のオファーがあり、開催日も20日で決まって契約書にもサインして返送しました。でも9月末にUAEWのSNSで、開催日が17日に変わっていることに気づいて(苦笑)。僕は15日のグラチャンでTSUNEのセコンドについてからアブダビに入るつもりでしたが、予定を変更しました。グラチャンが終わってすぐ日本を発っても、大和の試合の前日には到着できたんです。でも減量のこともありますし、さすがに大和を1人でアブダビ入りさせるわけにはいきませんからね。

――それは大変でしたね……。今年8月にフィルカドベク・ヤクボフと対戦した時は、1試合契約だとお聞きしていました。ヤクボフに勝ち2度目のUAEW出場が決まったということは、前回の試合が現地でも評価されていたということですか。

「いえ、こちらから前回の試合後にアピールしていました。UAEWが10月に――しかもUFCのファイトウィーク内に大会を開催することは知っていたので。大会後にマッチメイカーの方に『次も出たい!』と伝えて、会場から帰りました(笑)」

――それだけ10月の出場をアピールしたのは、やはりUFCのファイトウィーク内の開催……UFC関係者が試合を見に来るという点が大きかったのでしょうか。

「はい。それは間違いないです」

――なるほど。8月のヤクボフ戦ですが、ヤクボフが打撃戦ではなく組みに来たのは意外ではなかったですか。

「過去の試合を視ていると、ローキックに合わせてテイクダウンを狙っているので、それは想定内でした。試合では僕としても思っていた以上に右カーフが当たって、相手も効いていたからテイクダウン中心で来たんだと思います。でも、もともとパンチを振りつつ組んでくる選手で。自分もテイクダウンされていましたが、あの展開になっても驚きはなかったです。本当は1Rも寝かされてから立ち上がりたかったけど、少し様子を見て……。結果、相手が組んできたところにギロチンが入るなと思っていて、2Rにフィニッシュすることができました」

――アブダビでの試合と日本の試合では、何が違いましたか。

ホテルにはマットスペースも(C)TAKESHI YAMAZAKI

「前回の試合は、とにかく気持ちが楽でした。日本で試合をする時は、どうしても試合前にやることも多くて。試合当日も応援してくれる方が多いので、気負ってしまうこともあるんですよね。僕の場合、気負いすぎることが多くて(苦笑)」

――アハハハ。知っている人が誰もいない会場のほうが戦いやすかったのですね。

「会場で知っている人といえば山﨑さんとコーチ、それと日本から応援に来てくださったジムの会員さんが1人という状況でした」

――その状況の中でヤクボフに勝利した瞬間は、どのような気持ちでしたか。

「それはもう視てのとおりです。久しぶりに勝って叫んじゃいました。あんなに叫んだのは、DEEPのベルトを獲った時以来じゃないですか」

――確かに、あれだけ藤田選手が感情を露わにしたことは驚きでした。前回の1勝は自身のMMAキャリアに、どのような影響を及ぼしたと思いますか。

「それはまだ分からないですね。前回の勝利も、たまたまだと思っていますし。UAEWでの戦いも始まったばかりで、今回の試合もそう簡単にはいかないです」

――では今回対戦するサンスハル・アディロフの印象を教えてください。

「アディロフは8月の大会にも出場するはずだったんですよね。戦績を見て『強い選手がいるんだなぁ』と思っていたら、前日に試合がキャンセルになって。今回の試合が決まってから映像を視てみると、足を使ってジャブを突くパンチ主体の選手ですけど、自分から組みに行く場面もある。対して相手が組んで来るとスプロールすることもできて、何でもやれるタイプです。あとはRNCでフィニッシュしている試合が多いので、そこは注意しないといけないと思います」

――前回のインタビューではヤクボフの出身地であるウズベキスタンのボクシング事情についてお話いただきましたが、ちなみにカザフスタンの印象というのは……。

「いまアマチュアボクシングではウズベキスタンが世界一ですけど、その前はカザフスタンでした。僕も初めて海外の大会に出た時、カザフスタンの選手に負けていて。大会では、その選手が優勝していました」

――アディロフもそうですが、スムーズにパンチを出してくるボクサーが多いですね。

同日UAEW45に出場する吉野光、帯同している上久保周哉(C)TAKESHI YAMAZAKI

「僕は、どちらかといえばパンチを振ってくる選手のほうが、やりやすかったです。でも今はMMAの試合ですし、どういうタイプが来ても大丈夫です。相手が打撃戦をやってくるなら自分もやりますし、どんな展開になっても良いですよ」

――それは楽しみです。ご自身の試合が終わったあと、UFCも観戦して帰国するのですか。

「いえ、試合の翌日に帰国します(苦笑)。UFCが21日開催なので、4日も空いてしまっていますからね……。最初は20日開催だったので、観戦して帰るつもりでした。空港からホテルに向かうまでの道にもUFCの看板がたくさん設置されていて」

――UFCのファイトウィーク内に開催される大会で、アブダビ版DWCSの様相を呈している今回のUAEWです。対戦相手のアディロフもDWCSにエントリーしていておかしくない戦績ですし、その中で藤田選手はどのような試合を見せたいですか。

山﨑 入れ込みすぎると良いことはないので、前回のようにリラックスして戦ってほしいです。

――先に山﨑さんから注意のようなコメントが入りました(笑)。

「アハハハ。前回のように伸び伸びと戦ってきます!」

■視聴方法(予定)
10月17日(火・日本時間)
午後11時00分~ UFC Fight Pass

■UAEW45対戦カード

<UAEWライト級王座決定戦/5分5R>
アムル・マゴメドフ(ロシア)
ジェコンギル・ジュマエフ(ウズベキスタン)

<バンタム級/5分3R>
チムール・ヴァリエフ(ロシア)
パウリアン・パイヴァ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
ラニー・ザーデ(ドイツ)
ジェニル・フランシスコ(フィリピン)

<ライトヘビー級/5分3R>
アルテム・ゼムリャコフ(ベラルーシ)
バルトシュ・シェフチェク(ポーランド)

<150ポンド契約/5分3R>
アリ・アルカイシ(ヨルダン)
ヴァルテル・コリアンドロ(イタリア)

<バンタム級/5分3R>
リネット・ハバロフ(ロシア)
吉野光(日本)

<フライ級/5分3R>
ノウラ・アブザク(ヨルダン)
ヴィクトル・ヌネス(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
サンスハル・アディロフ(カザフスタン)
藤田大和(日本)

<ライト級/5分3R>
アブダラ・コツホフ(タジキスタン)
ペトル・ブスドゥガン(モルドバ)

<139ポンド契約/5分3R>
マゴメド・アルアブドゥラ(ロシア)
ラバザリ・シェイドゥラエフ(キルギス)

<女子フライ級/5分3R>
アミーナ・ハダーヤ(豪州)
ワン・ホン(中国)

<ミドル級/5分3R>
カビブ・ナビエフ(ロシア)
アディス・タライベク・ウウル(キルギス)

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DWCS MMA MMAPLANET o UFC アンドレ・リマ コナー・マシューズ トーレス・フィニー マルケル・メデロス ラモン・タヴェラス ルカス・ホシャ ローラ・サンコ

【DWCS S07Ep10】再挑戦タヴェラスが29秒KO勝ち。2023年シーズンは46人のファイターがUFCへ

【写真】再挑戦で最高の勝ち方をしたタヴェラスが、今シーズン46人目の契約者に(C)Zuffa/UFC

<バンタム級/5分3R>
ラモン・タヴェラス(米国)
Def.1R0分29秒by TKO
コーテヴィアス・ロミアス(米国)

2023年コンテンダーシリーズ最後の一戦は、シーズン2度目の出場となったタヴェラスがキャリア7勝1敗のロミアスと対戦。サウスポー同士、両者がすぐに距離を詰めるとのタヴェラスがすぐに距離を詰め、ワンツーを打ち合う。タヴェラスがワンツーを続け、ロミアスは左ミドルを合わせていく。直後に左ハイから左を放ったロミアスだが、タヴェラスも左を伸ばしている。

打って離れると、すぐにステップインという両者はワンツーを打ち合い、ここからパンチを続けたロミアスに対し、タヴェラスがヘッドムーブでかわす。ロミアスは前に出たまま左ハイを蹴ったところで、タヴェラスが右を狙う。そして──4度目、同時のステップインでタヴェラスの左がロミアスを捕えダウンを奪う。すぐに立ち上がったロミアスは、このダウンを挽回しようと連打を放ち、左がタヴェラスに当たる。タヴェラスは構わず左を返して、右フックでテンプルを打ちつけるとロミアスは前方に姿勢を乱して、両手をマットにつける。

即起き上ったロミアスの左に、逆にタヴェラスは左ストレートを打ち抜き3度目のダウンを奪うと鉄槌の追撃でTKO勝ち。この間、僅か29秒。勝者はキャンバスに顔を突っ伏し咽び泣いた。

「僕はファイターだ。アゴを殴ってくる相手の真っ向勝負に応える」と話したタヴェラスは、今は亡き兄弟のゲイブリエルさんについて触れられると「僕らは一緒に夢を見ていた。今日、僕は彼が夢見たことを実現した。僕とゲイブリエルが信じてきたことを実行した。彼はこの日が来ることを信じて」と涙ぐんで話すと、インタビュアーのローラ・サンコも言葉を詰まらせぎみになっていた。

そして、2023年コンテンダーシリーズ最後の審判の時──。ルカス・ホシャの合格を伝えると、熱が困った口調で「ダゲスタン人ファイターのテイクダウンを切り、蹴りを交えた打撃を見せた。UFC出ないを見せるのか、凄く楽しみだ」とマルケル・メデロスもUFCへ。続いてトーレス・フィニー「たくさん穴がある。もっと経験を積み、その体力を生かせるようになってくれ」と落選。

31歳のコナー・マシューズも契約し、アンドレ・リマも「相手がああで残念だった。コンテンダーシリーズは、足を使って逃げる場所じゃない。リマ、UFCへ」と昇格決定。そしてタヴェラスも

「ここで戦うファイターは、何が求められているが分かっている。そういう選手が増えて、ただ削るだけの試合ではなくなった。また来年を楽しみにしている」とダナは締めコメ。今年は計46人と契約し、内訳はブラジル人が20人、米国人ファイターは13人、そしてペルーから3名のUFCファイターが誕生している。ロシアは2選手で以下、豪州、リトアニア、ベルギー、ウクライナ、フィリピン、トルコ、英国、ボリビア、キプロスと世界の13カ国の新鋭がオクタゴンで戦う権利を有することに。ここで契約を勝ち取るにはどう戦うべきかが明白となった、シーズン07だ。


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DWCS MMA MMAPLANET o アンドレ・リマ キック ヒクソン・ゼニジン

【DWCS S07Ep10】サークリングを続けるゼニジンを追いかけ、誘い出し攻撃一辺倒のリマが完全勝利

<フライ級/5分3R>
アンドレ・リマ(ブラジル)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
ヒクソン・ゼニジン(ブラジル)

左インローのゼニジンに対し、右ローを走らせたリマ。さらに右ミドルハイを見せたリマは、予想通り足を使うゼニジンを追いかけてローを続ける。ゼニジンは前蹴りから、左右に回るがリマが右ミドルを入れる。さらにスイッチしてゼニジンを追いかけるリマは、しっかりとゼニジンのローをチェックしている。回りながらの前蹴りを見せたゼニジンは、左右の動きから一転、急に前に出て左を振るう。

同じ動きでローを蹴りに来たところで、リマは右を当てミドルを放つ。ゼニジンの回る先に蹴りを入れるリマは、シングルレッグにもヒジ、そして体を入れ替えてヒザを突き上げる。このヒザ蹴りで姿勢を乱し、尻もちをついたリマにまるでサッカーボールキックを狙うように突進したゼニジンだが、さすがこの場で反則は犯さなかった。その後もリマは回るゼニジンにミドル、右ストレート、ボディショット、左フック、右オーバーハンド、右ハイと一方的に攻撃を続けた。

2R、リマの左ミドルを受けたゼニジンは、変わらずケージを背負って左右に回る。ここから前に出て右ミドルを繰り出すが、回り続けることでリマが両手を広げて「来いよ」とアピールするシーンも。直後のパンチの応酬で、組みついたゼニジンが引き込む。ここからスイープが得意のゼニジンだが、リマはしっかりとポスチャーを取り鉄槌を落として立ち上がる。左右の動きから前後の動きが増えたと思われたゼニジンだったが、サークリングに戻り前蹴りを蹴る。リマは右オーバーハンドを決めて、試合の流れは変わらない。さらに右ハイを入れるなど、リマの攻勢はより明確になっていく。ゼニジンのステップインにもパンチや蹴りを合わせることができるリマは、最後にスピニングバックフィストを見せる余裕のラウンドとなった。

最終回、コーナーから回るのを止めて攻めろという指示を受けたゼニジンだが、過去の試合も基本はサークリング重視のため、どれだけアジャストできるか。案の定、すぐにサークリングを始めたゼニジンにリマが右ロー、右ハイを蹴る。ゼニジンのステップインには、しっかりと距離を取り、もしくはカウンターを見せるリマは縦ヒジを放つ。ここで初めて位置関係でリマがコーナーを背負う形となったが、すぐにゼニジンがケージ前を移動するように戻る。リマは前進だけでなく、前進させて下がったところにも攻撃を入れるようにったが、ローが急所に入り試合が中断した。

再開後、右回りのゼニジンに左ハイ、右ローを蹴ったリマはこの試合一番の前進&テイクダウン狙いにもケージを背負った状態から逆にテイクダウンを奪う。ハーフのゼニジンにエルボー、鉄槌を落とすリマのクローズドガードにも、即ヒザを突き立て右足を抜く。腰を上げて右のパンチ、左エルボーからパンチを続けたリマは、レッスルアップからシングルレッグにギロチンをセット。ゼニジンが引き込み、極め切れなかったが、立ち上がったところでもジャンピングでギロチンを狙うなど必死で一本を狙った。

これで試合がエキサイトにならないとマイナス評価になるようなら、非常に気の毒だが──リマは文句なしのフルマークの判定勝ちを収めた。


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DWCS MMA MMAPLANET o コナー・マシューズ ジャイウ・ファリアス

【DWCS S07Ep10】コナー・マシューズがMore & moreのファイトで、ファリアスに判定勝ち

<フェザー級/5分3R>
コナー・マシューズ(米国)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28
ジャイウ・ファリアス(ブラジル)

サウスポーのマシューズが慎重な立ち上がりの中、ワンツーで前に出る。右回りのファリアスも右を見せて右ミドルを蹴る。キャッチして倒したマシューズは、ローを蹴ると立ち上がり際に組みついてボディロックでトップを取り切る。背中を譲って立ち上がるのではなく、ガードを選択したファリアスはハーフで右腕を差しても潜っていく。マシューズはがぶってバックに回り、右足をフックする。ここも引き込んだファリアスは、スイープからスタンドに戻ることに成功する。

右で前に出てきたファリアスに、左のカウンターを決めたマシューズは左右のローを蹴られるが、左三日月を決める。マシューズが左で腹を抉ると、ファリアスはカーフを蹴り返し、右ボディから左フックにマシューズが姿勢を乱す。オーソで構えるようになったマシューズは実はカーフが効かされていたか。それでも最後にマシューズはクリンチからテイクダウンを決めた。

2R、左三日月をまず見せたマシューズだが、フックを受け右アッパーに後退する。それでもラッシュをかけようとしたファリアスに逆に左を入れ、姿勢を乱したところで右ストレートを打ち込んだマシューズが、左三日月から左ミドルを決める。ファリアスの右アッパーを見たマシューズが、ダブルレッグ&小外でテイクダウンを奪う。背中には乗り過ぎたが、マシューズは右腕を取り後三角を狙う。ファリアスが頭を抜いて試合はスタンドに戻ると、そのファリアスのシングルを切ったマシューズがダブルレッグへ。今度はファリアスが切り、マシューズは左三日月から左ボディを入れる。腹を完全にかばうようになったファリアスは、動きが完全に落ちてきた。

このタイミングでダブルレッグを繰り出したマシューズは、耐えるファリアスに左右のエルボーを見舞う。ファリアスも左フックを返し、カーフへ。右をかわしたマシューズが足を使うファリアスに対し、跳びヒザを狙う。両者揃って動きが荒くなるなかで、ファリアスのガスアウトは明らかな5分となった。

最終回、直ぐに距離を詰めたマシューズが左ミドル、ファリアスはインローをチェックされる。マシューズはケージに詰まったファリアスに、狙いすました右オーバーハンドを決める。ファリアスも前に出て右ミドル。構えを変えながらパンチのコンビのマシューズが放った左ハイは空振りに。ファリアスがワンツーで前に出てパンチの数が増えてくる。右ミドルも決めたファリアスだったが、マシューズが会心のダブルレッグテイクダウンを決める。マウント狙いも、乗り過ぎて頭を跨ぐ形で立ち上がったマシューズは、組みからエルボー、そしてシングルで押し込む。結果、この局面では倒せなかったマシューズは打撃の間合いに戻り、サークリングからダブルレッグへ。

ファリアスは離れて右ボディアッパー。2Rとは一転して、マシューズのガス切れが目立つ。それでも両者が、パンチと蹴りを駆使して前に出る。最後の10秒を切り、左を決められたマシューズは足を使ってタイムアップを迎えた。

結果、コンテンダーシリーズ再挑戦のコナーズが、攻撃を受けても攻め続けるMore & more fightを見せ3-0の判定勝ちを手にした。


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DWCS MMA MMAPLANET o イッサ・イサコフ マルケル・メデロス

【DWCS S07Ep10】イサコフのTD狙いを耐えたメデロスが、『打』で圧倒。シングルにヒザを合わせTKO

<ライト級/5分3R>
マルケル・メデロス(米国)
Def.1R4分09秒by TKO
イッサ・イサコフ(ルクセンブルク)

ルクセンブルク国籍のダゲスタン人ファイターのイサコフは右カーフを蹴られた直後にシングルレッグへ。イサコフはレッグリフトからバックに回ると、足を払ってテイクダウンを狙う。ケージを使って耐えるメデロスは我慢の時間、加えてイサロフも手を変えない展開に。胸を合わせて離れたメデロスは、ヒザを入れパンチで圧を掛ける。スイッチスタンで左右のカーフ、左を当てたメデロスがカーフを続ける。メデロスはさらに左右のフックから右をヒットし、左右のカーフで同じくスイッチするイサコフの前足を削る。シングルレッグに右ヒザを合わせたメデロスが、コーナーに持たれるように倒れたイサコフにパウンドの追撃でTKO勝ちした。

組みを切って打撃で圧倒、まさにダワ・ホワイト好みの戦いを見せたメデロスは「もっと綺麗に戦いたかったけど、良い試合ができたことは間違いない。チームの皆に感謝している」と話した。


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DWCS MMA MMAPLANET o キック ダヴィ・ビテンコート ブログ ルカス・ホシャ

【DWCS S07Ep10】1週間前に計量失敗。仕切り直しのバンタム級戦でホシャがビテンコートをヒザ葬

<バンタム級/5分3R>
ルカス・ホシャ(ブラジル)
Def.2R0分18秒by TKO
ダヴィ・ビテンコート(ブラジル)

前週のイベントでフライ級に落とせなかったホシャが、仕切りなおしのバンタム級でのチャレンジ。ビテンコートの跳び蹴りを交わしたホシャが、パンチを捌きテイクダウン狙いをスプロールする。引き込んだビテンコートは、自らロールしてバックを奪取すると後方にスラム──そのまま両足をフックしていく。ホシャはバックを取られたままで足を取りにいくも、ビテンコートは譲らず立ち上がって、肩口から落とすスラムを再び決める。

ビテンコートは胸を合わされてもボディロック&ワキを潜ってバックを取り直す。ホシャも懸命に正対し、離れてビテンコートのダブルレッグを切る。クリンチでヒザを入れたビテンコートがケージにホシャを押し込みテイクダウンへ。ウィザーで切ったホシャだが、後ろ手で左腕を制されてテイクダウンを奪われる。立ち上がったホシャは、ダブルレッグ狙いをスプロールしたが、ビテンコートが右腕を差しあげてトップを取り6度目のテイクダウンを決める。両足をフックしたビテンコートがアゴの上からRNCも時間がなく、自ら振りほどいて正座状態のホシャにパンチを入れる。立ち上がったホシャはマットに左手をついてハイキックも、ビテンコートは苦も無くかわした。

2R、まっすぐダブルレッグを狙ったビテンコート。これをスプロールしたホシャは、起き上ったビテンコートの左フックに右ヒザを合わせ、この一発で勝負を決めた。勝者は「KO勝ちでダナ・ホワイトに自分の名を刻むことができて嬉しい」と話した。


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