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【ONE FN20】澤田千優戦へ、ジヒン・ラズワン「アトム級より下の階級があれば彼女にとっては最高だった」

【写真】フェアテックスのロゴがまぶしい?ジヒン・ラズワン(C)ONE

本日9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20「Todd vs Phetjeeja」で、ジヒン・ラズワンが澤田千優と対戦する。
Text by Manabu Takashima

レスリングベース、修斗でチャンピオンになったアスリート=澤田に対し、ラズワンは動物病院で働く普通の女の子という印象が強い選手だった。そのラズワン、今年の1月からフェアテックスジムの所属となりパタヤに生活をしている。

家族から離れ、フルタイムMMAファイターとしての生き方を選択したラズワン。それこそが、彼女がやりたいことをして生きるという選択だった。


――今週末、日本からのニューカマー澤田千優選手と戦います。今の気持ちを教えてください。

「良い感じよ。そしてチヒロにはONEでのデビュー、おめでとうと伝えたい。土曜日の朝に彼女と最高の試合をしたいと思っている」

──今回はバンコクでの試合となります。ジョホールバルからだとシンガポールは隣町のような感じだと思うのですが、バンコクで戦うことをどのように思っていますか。

「私は1月からタイのパタヤに住んでいるの」

──つまりフェアテックスジムで練習をしているということですか。

「イエス。だからバンコクは凄く近くて、移動も簡単よ」

──なぜ、タイガームエタイでトレーニングをするようになったのですか。

「去年の3月にフェアテックスのプレム・フェアテックスからスタンプのトレーニングパートナーを務めて欲しいという依頼があって、5月のアリス・アンダーソン戦までパタヤで練習をしていたの。その後はマレーシアに戻っていたけど、プレムから再び連絡があって、もっと長い期間トレーニングをすることになって。その間にフェアテックスと複数年契約をサインしたの。凄く良い機会だと思って、パタヤに移り住むことにしたわ」

──去年の3月といえば、ジヒンはスタンプに敗れてから半年後です。リベンジしたいと思っていたかと思うのですが、練習パートナーの要請を受けることに躊躇することはなかったですか。

「私はリベンジをしたいという想いを持ったことはないわ。再戦したいと思っていてもね。とにかくワールドチャンピオンを含めて、多くのすぐれたトレーニングパートナーがいる場所で練習をできることがとても魅力的に感じて。それにフェアテックスには4、5人の女子MMAファイターが常に練習している。ジョホールバルでは女子選手と練習をすることがなくて、凄く良い経験になったの」

──フェアテックスで練習するようになり、何が一番変わりましたか。

「練習環境は全く変わったわ。故郷にいる時は、お昼は動物病院で働いていたから夜の6時から10時半ぐらいまで練習する日々だった。でもフェアテックスでは朝起きてランニングをし、それからミット打ち。少し休んで、お昼のクラスと夕方のクラスと1日に3度練習できるようになった」

──フルタイムのファイターになったということですね。

「本当に新しい体験で。仕事のことを考えなくて、練習に集中できることが本当に新鮮なの。練習は厳しくなったから、そこはスマートになる必要があって。調子が落ちているなと思ったら、体のメンテをしないとケガをしてしまうし。ただ、休める時に休むというのも、仕事をしている時はできなかったことだから。仕事をして疲れるのと、練習して疲れるのは別モノで。仕事中は体こそ疲れないけど、ストレスが溜まって精神的に疲れていたわ。今はトレーニングでヘトヘトになっても、爽快な気持ちね」

──ところでパタヤで格闘技に集中するという話をした時、ご両親はどのような反応でしたか。

「私の決心には驚いていたわ。ずっと一緒に住んでいたし、家から出たことがなかったから。でもフェアテックスの環境、そして仲間のことを知ると安心してくれたわ」

──親というものは子供達に夢を叶えて欲しい一方で、安定した生活を望むものですしね。

「両親には、私の夢の旅路をサポートしてくれて本当に感謝している」

──1月からフェアテックスの所属になったということは、フルタイムファイターとなって、今回が最初の試合ですね。

「去年の9月のジェネリン・オルシム戦前もフェアテックスで練習をしていたけど、長い休暇を取ってパタヤに行っていたから。ただ事実上フルタイムで練習はできていたから、今回が2試合目とも言ってもおかしくないわ」

──フェアテックスで練習するようになって、どこが一番伸びましたか。

「もちろん、打撃ね。フェアテックスでムエタイの練習をするようになって、打撃にキレが出てきた。同時にグラップリングでも最高のコーチと練習仲間に恵まれているから、組み技も凄く進化しているわ」

──そういうなかで戦う澤田選手ですが、印象を教えてくれますか。

「グッドファイターでレスリングが強い。そして、小さいわね。でも、どんな相手と戦ってもそうだけど、彼女が小さいからといって軽視することは絶対にない。レコードは6勝0敗だし、本当にレスリングを生かした戦いができている選手だから。

もちろん、アトム級より下の階級があれば彼女にとっては最高だったと思う。ただ、ないのだからしょうがないし、結局のところただ戦うしかないの」

──ところでチャンピオンが、チームメイトというのはどのような心境になるモノなのですか。

「世界チャンピオンと練習ができるなんて最高の経験になっているわ。ただONEが私たちの世界戦を組むのであれば、そこはプロとして戦うべきだし。それこそが、完璧なビジネスだから」

──なるほど、です。最高の練習環境を得た今、負けることができないというプレッシャーは?

「最初に言ったように私がフェアテックスに行くことを決めたのは、良い機会だったから。何が良い機会かといえば、自分がやりたいことができるということ。自分が思うように生きる──それが、何よりも大切なことでしょ」

──では土曜日の朝、どのような試合がしたいですか。

「今回は国際女子デーのラインナップに名前を並べることができると同時に、6年前の3月9日に私はONEデビュー戦を戦っていて。個人的な記念日なの。日本の皆は、国籍に関係なく選手をサポートしてくれる。そして日本には凄く強いファンベースがあるから、皆の期待に応えたい。私もチヒロもベストを尽くして、最高の試合を皆に届けたい」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ ONE FN20対戦カード

<ONEキックボクシング世界女子アトム級王座統一戦/3分5R>
[正規王者] ジャネット・トッド(米国)
[暫定王者] ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)

<ONEムエタイ世界女子アトム級選手権試合/3分5R>
アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ムエタイ130ポンド契約/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
マルティニ・ミケレット(イタリア))

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジヒン・ラズワン(マレーシア)
澤田千優(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)
マルティナ・キエルチェンスカ(ポーランド)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
ユウ・ユウペイ(香港)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<サブミッショングラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/10分1R>
マイッサ・バストス(ブラジル)
山田海南江(日本)

<ムエタイ・アトム級/10分1R>
シール・コーエン(イスラエル)
テオドラ・キルオバ(ブルガリア)

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【F1】ルンピニーでMMA。プレム・フェアテックスに訊く─02─「2年でタイ人選手をワールドクラスへ」

【写真】タイ人がMMAで強くなれない理由が見つからない。プレムの踏み出した一歩は、すぐにダッシュに変わるのではないだろうか(C)MMAPLANET

16日(日・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでフェアテックス・ファイト・プロモーション主催興行=F1 Rumpinee Fairtex Fight「New Era」では5試合のムエタイ戦に加え、3試合のMMAが実施される。

そんな格闘技の歴史が変わるイベントを目前に控え、フェアテックス・ファイト・プロモーションのプレム・フェアテックス代表のインタビュー後編をお送りしたい。

ムエタイ400年の歴史、MMA27年の歴史が今、変わろうとしている。

<プレム・フェアテックス・インタビューPart.01はコチラから>


──フェアテックスでは練習だけでなく、試合をそのために組んでいくということですね。

「その通りだよ。ONEでは何人かタイ人のMMAファイターが見られるけど、あのビッグステージで戦う前で経験を積む必要がある。その経験がないから、タイ人選手たちはケージで敗れている。

日本でもローカルショーがあって、そこで選手たちは経験を積んでいるじゃないか。タイ人選手は1勝0敗とかで、5勝0敗や6勝1敗の選手と戦う必要がある。そういうタイの新しい世代に経験を積む場を与えたい。タイ人は環境さえ整えば、どのようなファイトスタイルだって貪欲に学ぶ姿勢を持っている。

そしてMMAと交流することで、ムエタイも新しいビジネスを展開できるはずだ。チェンマイにベストジムがあり、プーケットにもベストジムがある。パタヤにはフェアテックスがある。ムエタイの人間がMMAに扉を開ければ、世界中から多くの選手が集まりキャンプを張り、生活の拠点を置くケースも出てくる。

タイ人ファイターにとっては、他の国と同様にONEという目指す舞台が存在する。他のプロモーションでアジア人ファイターをそこまで登用することはない。だけどONEはアジア人ファイターにとって新しい場を創った。ONEではタイで戦っているのとは別次元の条件で試合ができる。新しい夢をファイターに与えてくれたんだ。

スタンプはタイでは6000バーツ(約2万700円)で戦っていた。彼女は引退しようと考えていたんだ。ムエタイでは生活できなくて、仕事をしないといけなかった。ONEはそんな彼女にとって、ファイトで生きていける機会を与えたんだ。彼女はそのチャンスを生かした。ムエタイ、キックボクシングで成功し、MMAを3試合戦うことで1年間に100万バーツ(約350万円)を稼げるようになったんだよ(※タイの平均年収は140万円程度)。

自分が生きていくだけでなく、ファミリーを支えることができている。人生が変わった。。スタンプは人々が思い描く人生の手本を見せている──皆が「自分だって、デキる」と思うようになったことはとても大きいよ」

──スタンプに続け──と。

「そのためにも私のショーは賭けの対象ではなくて、誰もが楽しめるエンターテインメントにしたい。演出にも力を入れ、何よりもジャッジをフェアにする。試合もアクションを増やし、これまでムエタイを見ていた層とは違う人々が観られるモノにしていくつもりだよ」

──ONEなどグローバルステージにタイ人MMAファイターをステップアップさせるためのショーということですが、リングとケージのどちらを使用するのですか。

「最初はリングを使わないといけない。タイの格闘技はリングとともにある。何よりムエタイ産業を尊重しないといけないからね。1年、2年と順調にショーが発展していけばルンピニーとは違う会場でケージを使うことを考えているよ。

リングとケージは違うという意見は分かっている。ただONEもケージとリングを併用していたように、我々もその2つの舞台を並行して活用していくことは可能だと考えているんだ。

タイ人選手と同じようなキャリアの外国人選手を招聘したい。アジアはMMAの巨大市場だ。コロナパンデミックの動向次第だけど、日本にもフェアテックスはパートナーがいるから、日本人選手もルンピニーに呼びたいんだ」

──おお、素晴らしいです。

「楽天を通して、フェアテックスのファイトギアも日本で購入できるようになった。フィリピンでもフェアテックスの需要は高まっているし、韓国もそうなりつつある」

──日本でも既にフェアテックスの道具は広まっていると思いますが、ファイトショップでなく楽天で購入できるのは大きいですね。

「そうなんだよ。そういう需要があると、日本人選手をタイに呼ぶ追い風になる」

──そのMMAルールはONE方式を踏襲するということでしょうか。ルールやクラスなどは。

「そうだね。ただ体重や計量に関しては、タイ人ファイターはハイドレーションに不慣れだから、これまでの慣例に則してやっていく。半年ぐらい様子を見て、ONEが選手の健康を守るために実施した計量方法を採り入れることができればと思う。

フェアテックスとONEは10年間に及ぶ協力関係がある。チャトリとの関係もあるし、選手をONEにステップアップさせたいのは当然のことだよね。ただし、ONEだけでなく米国でUFCやBellatorで戦えるようにしたい。とはいえ、最初のステップはフェアテックスのショーからONEに選手を送り出すことだよ」

──いやぁ、本当に歴史が変わりますね。仮にルンピニー・スタジアムMMAチャンピオンなんて誕生すると、鳥肌モノです。

「もちろんベルトは創るし、ランキングも作成していくことになるよ。ルンピニーにおけるMMAの歴史を創っていくんだ」

──WOW!! 月に2回、ルンピニーでMMAが組まれるなら、その日が訪れるのも遠くないですね。

「若い世代はMMAで戦うことにより興味を持っているからね。MMAには世界的なステージが存在している。収入面でも、人生を変えることができるチャンスがMMAにはある。そしてルンピニーとフェアテックスの協力関係は、この想いを後押しできる」

──スタンプ・フェアテックス、ローマ・ルックンブミー、アム・ザ・ロケットは世界を舞台に戦える選手たちです。一方でムエタイがこれだけ強いタイから、そのような選手は誕生していません。デイダムロン・ソーアミュアイシルチョークに続く選手は現れていないです。

(C)ONE

「2年だ。2年間、時間を与えてほしい。

立ち技の基礎のあるファイターが、MMAの練習をして、試合をしていけば世界で戦えるようになる。ヨッカイカーを見てほしい。彼は4年間、柔術の練習をしてきた。日本のファンは色々と思うところもあるだろうけど、タツミツ・ワダと互角の試合をした。とにかくタイ人選手のグラウンドのスキルをあげること。それが最も大切なことだよ。2年後、もっと多くのタイ人ファイターが国際的な舞台で戦っているだろう──それが私の願いだよ。

80キロや90キロは難しいけど、タイの軽量級MMAファイターや女子選手は世界のトップになるポテンシャルを持っている。それは絶対だ」

──いやぁ非常に楽しみですが、韓国、フィリピン、中国に次ぎタイ人選手まで強くなると本当に日本人MMAファイターにはアジアで勝つこと自体が、非常に困難になってきますね……。

「私からすれば、そうなることを楽しみにしている。そのためのルンピニーでのMMAマッチだし、ここで試合があることで選手たちがシリアスに組み技を学び、ディフェンスの大切さを知ることになるに違いない。

(C)ONE

スタンプがレスリング、テイクダウンディフェンスの重要性を既に見せ、そこが成長したことでどれだけMMAが戦えるようになったかを示している。

寝技に対応でき、立ち上がることができるようになれば、タイ人ファイターは無敵だ。そして1月16日に──日本だけでなく、他の国に追いつくための第一歩が踏み出されようとしているんだよ」

■視聴方法(予定)
1月16日(日)
午後8時00分~Fairtex Facebook
             
■対戦カード

<50キロ契約/5分3R>
ジェイダ・キャトリー(豪州)
アピデー・フェアテックス(タイ)

<バンタム級/5分3R>
ピーター・ダニソー(タイ)
ザンニャル・ハッサニ(イラン)

<ライト級/5分3R>
クイティン・トーマス(米国)
エリス・コップ(ドイツ)

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ABEMA Fairtex MMA ONE   プレム・フェアテックス ルンピニー

【FAIRTEX】歴史が変わる。2022年1月16日、ルンピニーでMMA。プレム・フェアテックスに訊く─01─

【写真】ルンピニーでMMA、そんな日が訪れることになるとは…… (C)FAIRTEX

2022年1月16日、格闘技の歴史が変わる。フェアテックス・プロモーションによって、サナーム・ムアイ・ウェイティー・ルンピニー──ルンピニー・スタジアムでMMAの試合が組まれることが明らかとなっている。

ムエタイの殿堂でMMAマッチ。オールドスクールの格闘技ファンにとって、これは一大事だ。言ってみると両国国技館の土俵の上でMMAが行われるようなものだ。なぜ、ルンピニーでMMAの試合を行うことにしたのか──フェアテックスのプレム・フェアテックス会場にリモートインタビューを試みた。

ムエタイ400年の歴史が今、変わろうとしている。


──プレムさん、2022年1月16日にルンピニーでムエタイ及びMMAの興行をフェアテックス・プロモーションが行うと発表しました。ルンピニーでMMAの試合を組む、これは歴史が変わることを意味します。

「歴史が変わる。そういってもらえると嬉しいよ(笑)。本当に大きな変化だと思う」

──なぜ、その大きな変化に打って出たのでしょうか。タイ王国陸軍所有のルンピニーは、陸軍が賭け事に関わることで考慮し、競馬と同様にムエタイを軍の所有の施設では行わない方針が発表されたこととも関係していますか。

「その通りだよ。まず陸軍からルンピニーの新しいマネージャーの管轄となったルンピニーでは、コロナ禍でイベントを再開するうえで新しい試みをしようとしているということなんだ。もともとルンピニーはバンコクの中心部であるパトゥムラン区のラーマ4世通りにあった。

それがバーンケーン区という中心部からほど遠い北部に移設されたことは知っているよね?」

──ハイ。ONEがイベントを行うインパクトアリーナと同様にドンムアン空港に近く、中心部からは渋滞もあり相当に遠いイメージがあります。

「そう。そのバンコク中心から離れたルンピニーでは、以前のような活況を取り戻すことができないままでいたんだ。ルンピニーの活動は移転以来、つねに下降していた」

──そうだったのですか。私はムエタイに疎いので、ルンピニーのムエタイ熱が下がるなど想像もしていなかったです。

「とにかく遠い、周辺の環境もバンコク中心部とは違う。そのような状況で、まず新しいマネージャーはルンピニーのイメージアップのために、会場内での賭け事を禁じた」

──!

「ルンピニーに行ったことは?」

──バンコクにあったルンピニーにはファンとして、そして記者として訪れたことがありますが、新しいルンピニーはなかったです。

「なら、あの観客が手を挙げて賭けのやり取りをしているのは覚えているよね」

──もちろんです。もう30年も昔に立ち技世界最強のムエタイを初めて観戦し、試合中はわきにわいている観客が、試合が終了するともうお金の計算と次の賭けに集中して、勝者に全く拍手を送らない現実に大ショックを受けました。

「アハハハハ」

──これでは競馬の馬だと思ったんです。いや、日本では競走馬はもっと尊敬されていると。もちろん、現在はムエタイもショーアップされイベントとして行われることもあるでしょうし、ONEの会場ではあの手を挙げて合図を送るという観客は一切いなかったです。でも、それはONEだからだと思っていました。

「あの行為、手を挙げてというやり取りを会場内では禁じた。ただ携帯やオンラインでの賭けは続いている。立ち上がって、観客席でやりとりするということを禁じたんだよ。

そして2つ目の変革は、裁定方法を変えた。ムエタイでは試合をリードした選手が、最終回は流して戦わない。あの走って距離を取り、戦わないことを許さなくなったんだ」

──何と!! それこそムエタイだと思っていたので、ある意味ショックです。

「5R、ずっとアクションが必要なんだよ。ジャッジの裁定もラウンドごとだ。新しい世代に対して、ムエタイは賭け事ではなくてスポーツエンターテイメント性で訴えていくようになったんだよ」

──なるほどぉ……頭が古いのかもしれないですが、もう自分たちが思うムエタイではなくなってしまうのですね。タイではムエタイも形を変えようとしている。門外漢なので、ムエタイの変化に関して全く知らなかったです。

「そして半年前、ルンピニーからフェアテックスにルンピニーに戻って新しい試みにトライするつもりはないかと私に連絡があった。私の父はルンピニーで20年に渡り、ムエタイのプロモートをしていたけど、賭け事も含めて色々なことに疲れて10年ほど前に身を引いていたんだ。

フェアテックス・プロモーションではルンピニーからの相談を受けて、新しい試みをすることにした」

──それがMMAとの混合イベントということですか!!

「そうだね。ムエタイに関しても5Rマッチは組まない。全て3分✖3Rだ。私は5Rは好まない。グローブもMMAグローブにする。そしてMMAも組む。男子だけじゃない、女子の試合も組むことになる」

──フェアテックスでは、そのような試みを以前に行ったことは?

「ないよ。来年の1月16日が初めてのショーになる。そして月に2回、このフォーマットでショーをルンピニーで開く」

──何か新しいことを始める時に、反対意見が出るのが世の常です。そしてこれだけの大変革です。プレムさんの始めようとしているムエタイ&MMAショーに対し、ネガティブな反応はなかったでしょうか。

「もちろん……もちろんあったよ。だからこそ、そういう人たちの頭のなかを新しくする必要はあった。そのために大前提といて、私のショーはベースにムエタイがあることを説いた。と同時に世界中の人々にMMAにおいて、どれだけムエタイが重要か訴えたいのかを説明した。

MMAではレスリングと柔術というベストなグラウンドゲームの技術が見られるのに、スタンドの打撃になると世界最高のムエタイが見られない。ムエタイ抜きでMMAは発展してきたんだ。我々はグラウンドゲームのトレーニングをムエタイファイターに課し、タイ人がMMAでチャンピオンになれるようにしたいんだ」

<この項、続く>

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