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Interview Shooto2020#03 Special ブログ 倉本一真 岡田遼 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:5月─その参─岡田遼✖倉本一真「素養はクラスBだけど……」

【写真】素質はクラスB、その岡田がUFCもあるという青木の真意は(C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ4月の一番、第3弾は31日に開催されたShooto2020#03から岡田遼✖倉本一真の一戦を語らおう。


──5月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「岡田遼✖倉本一真ですね。岡田選手は5R制だから、あの戦いができました。それが一番大きいと思います。僕がマラット・ガフロフとやった時の組み方でした。主導権を握って攻めさせる。それを岡田選手がかしこくやりましたね。

倉本選手陣営をくさすことになってしまうかもしれないですが、あの試合運びは完全に作戦ミスです。」

──青木選手が倉本選手のチームなら、どのような作戦を立てましたか。

「ゆっくり見ろと僕なら言います。できる限り力を使わず、テイクダウン。あとはボディクラッチして岡田選手の動きに合わせておけば良いって。泳げってことですね。10-9.8で初回から3Rを取りましょうと言いますね」

──倉本選手はバックと比較して、トップの時の圧力がないように見えました。

「それはサブミッションですね。サブミッションがないから、ゴールがない。だから岡田選手としては、ずっとバックを取られても、グルグルと付き合ってたまにギロチンを狙う。そういう戦いができますよね。倉本選手は終わらせることができないから。

あのギロチンも岡田選手が上手いわけじゃない。あれだけ抱き着いてドミネイトしていると、まぁギロチンは食らいますよ。MMAとして完成度が低い倉本選手が、終らせることができたとすれば、それはテイクダウンのフェイントからぶん殴ってKO。それしか今はないと思います」

──今はそれだけしかできない選手が、ここからMMAを突き詰めていくとUFCで勝てるようにならないでしょうか。

「う~ん、身体的素質が高い選手ならUFCにはいくらでもいますよ。倉本選手はいうても、まだ7試合とか8試合しかやっていない。それで修斗の世界王座に来ること自体が、人材難なんです。だから岡田選手も倉本選手も、この試合でUFCが見えてくるということではないと思います。

皆が世界、世界って言っている時に……まぁ、その世界ってどこなんだよっていうなかで、修斗王座を狙う。そこに愛ある物語があったのが良かったですね、岡田選手は。他と差別化もできて」

──そして、UFCで戦いたいと口にしました。

「良い話ですよ。ATTに行って、そういう気持ちになるって」

──UFCに行きたい、その気持ちは青木選手も持っていましたよね。

「僕も思っていますよ。あのう……何て言うんだろうな、次なる格闘技の人生のなかで機会があって、もう一度北米で何かできれば楽しい……豊かになれるなって思います。僕はUFCに出ている選手へのリスペクトはメチャクチャありますからね。

岡田選手がUFCを目指したいっていうのは良い話ですね。だってさぁ、策士じゃん?」

──アハハハ。

「そもそも……こんなこといったらアレですけど素質的にはクラスBですよ。素養としては。それをアレだけ考えて、整理整頓できて、自分がどこにフォーカスして努力すれば良いのか正解を見出している」

──最高の誉め言葉ではないですか!!

「だから、僕はあると思いますよ。岡田選手のUFCは。UFCのチャンピオンになるとかっていうことは、現実離れしています。でも、UFCに加入して勝ったり負けたりすることは、彼の思考能力からすればあると思います。

やりくり上手じゃないですか。倉本選手との試合で、露骨にのんびりしようぜってできるほど性格は悪いし。1Rと2Rはお前にやるけど、俺は5Rという試合タイムをフルに利用するからよって、戦えるんですよ」

──それって図太いということですよね。

「図太いです。頭が良いし、腹黒い。図太さでいえば、鶴屋門下ですね。倉本選手の方が絶対に良い人ですよ(笑)。なんかKIDさんっぽさがあって。でも策士が勝っちゃうんですよ、良い人に」

──自分は一つ、岡田選手が凄いなと思ったことがあるんです。当日は2階の記者席から写真を撮っていたのですが、試合後にそれに気づいて2階に視線を送ってきました。正直、後楽園やディファのバルコニーで写真を撮影していて、そこに気付いた選手は過去に1人としていなかったです。

「それは凄いッスね。ちゃんと周囲が見えている。自分がコントロールできているんですね」

──それに受験勉強ができる人って、コツコツできる根性があると思いませんか。

「あぁ、ハイ、ハイ、ハイ。だって意味ないですからね。そのゲームを越える以外に。要はセンター試験を越えるって、部活動を頑張るとかよりも、根性ありますよ。だって甲子園に出るとか、サッカーで国立だっていう風に注目を集めるわけでもなく、別に大学に受かっても有名になれるわけでもない。凡人としての強さですね。それがヤツにはあります」

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Interview J-CAGE Shooto2020#03 ブログ 大島沙緒里 黒部三奈

【Shooto2020#03】スーパーアトム級王座へあと一試合、黒部三奈「コレをやることが好きで──」

【写真】とにかく格好良い黒部三奈です(C) MMAPLANET

5月 31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されたプロ修斗公式戦。同大会で修斗女子スーパーアトム級王座決定トーナメント準決勝が行われ、杉本恵が中村未来を下し、黒部三奈が大島沙緒里を破った。

今や独身でMMAに没頭する自虐ネタすら板についてきた黒部に、コロナの時代で戦うことについて尋ねた。


──こういうと大島選手には非常に失礼な言い草になってしまいますが、今回こそは黒部選手がスロースターター返上かという風に予測していました。

「あぁ、まぁそうですね……。出だしは相変わらずでした。別にポジションを取られても怖さはなかったです。一本取られるとか、怖いパウンドが入る感じはなかったですけど、まぁちょっとやっちゃったなぁって(苦笑)」

──大島選手がやるべきこととして、優位に立ったように感じました。

「あぁ……アハハハ。そうですね、ガッツリ取られましたね。と同時にバックを取られてからも、一本さえ取られなければと落ち着いて対処はできました」

──最初は譲っても、そこを耐えるとこっちのモノだという気持ちはどこかにありますか。

「その自信はありますけど、そういう試合にしようと思っているわけではないんです。1Rからちゃんと、攻められるようなことなく作っていこうとは思っているんです。でも、結果としてああいう風になってしまいます(笑)」

──決勝戦の相手となる杉本選手は大島選手の同門ですし、そこをさらに衝いてくることも十分に考えられます。

「それはあるかもしれないです。でも、本当に私も1Rをやられようと思っているわけじゃないですよ。アハハハ」

──それは十分に承知しています(笑)。

「しっかりとやろうと思って……スパーリングの一本目からも、そこに気を付けてやってきたんですけど」

──今回、準備期間の大半が緊急事態宣言下だったと思います。そのなかで、調整面で問題はなかったですか。

「いつもとは違います。違いますけど……できるなかでパーフェクトな準備をしてきたので、そこには自信がありました。ただ一度、喉風邪にみたいな症状が出た時は──これは……孤独死なのかって(笑)」

──アハハハハって、笑いごとじゃないですよ。

「でも1日で治ったので。まぁ、こういう状況ですけど、戦いたいという気持ちがなくなることはなかったです」

──ご家族から心配されることは?

「いやぁ、もう別にこの年で試合をしていること自体で……親は『好きにやりなさい』ってことなので」

(横を通りかかった)浜崎朱加 その髪型、凄く話題になっていましたよ(笑)。どうしたんだって!

──アハハハ。ターザンみたいで、男前ですよね。

「ターザン、違いますよ!!」

浜崎 髪の毛の量が多いよって(笑)。じゃあ、オンナ出しているの?

「そう、オンナ出してますぅ!!  モテようとしているんですぅ。オンナ出しているけど、何かぁ?」

──いやぁ、浜崎選手ありがとうございます。『モテようとしている』という言葉引き出してくれて(笑)。つまり、そこも諦めていないということですね。

「いや、諦めていないっスよ。えっ? なんで、そこ聞きますか?」

──いやぁ、でも2階の記者席から試合を見ていて颯爽として格好良かったです。

「そうですかぁ、ありがとうございます(笑)。アレっ? 口説かれてますかぁ、ひょっとして」

──ダハハハ、勘弁してください(笑)。ステイホームで家族がさらに仲良く暮らしているのに。

「アラぁ、そうなんですかぁ」

──(笑)。話を決勝戦に戻しますと、このトーナメントは黒部選手が勝って当然という空気は依然としてあります。そういう部分が逆にプレッシャーになることはないでしょうか。

「そういう風に思われているかもしれないですけど、相手のキャリアとか考えずに全力で潰すと思ってやってきました」

──MMA界がUFC以外は止まっているといえます。そのなかで王座奪取後に描いていた未来図も修正が必要でしょうか。

「う~ん、こんな世の中になると想像もできなかったんですけど、逆にこの間に本当にコレが好きなんだなぁって認識できたんです。だから目標云々でなく、コレをやることが好きで、コレしかないって。どんな状況でもできるなら、やりたい……。コロナがあったから、その気持ちはさらに強くなったというか、そこに気付きました」

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Interview J-CAGE JJ Globo Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰

【Shooto2020#03】世羅とドロー、岩本健汰「日本人相手でグラップリングを体現するには……」

【写真】試合後、青木の名前を出した時以外に岩本は笑顔を浮かべることはなかった (C) MMAPLANET

5月 31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されたプロ修斗公式戦内で、岩本健汰が世羅智茂とグラップリングマッチを戦い時間切れドローという結果に終わった。

4月17日のRoad to ONE02では宮田和幸✖田中路教、青木真也✖世羅というグラップリングマッチが組まれ、今回は修斗のなかで岩本は世羅と戦う機会を得た。

MMAファイターが打撃なしに挑む、柔術家が道着を脱いで戦うということではなく、ノーギのグラップリングの確立を目標とする岩本にとって、この日の試合で一本を取ることはデフォルトだった。

が、そこは世羅も試合巧者だ。ポイントがないルールの解き方は行く通りもある。その結果、グラップリング確立ために負けられない人間が戦うグラップリングが、あの10分間で見られた。落胆といっても過言でない試合後の岩本に話を訊いた。


──世羅戦、ドローに終わりました。今の気持ちを教えてください。

「率直に言うと……悔しいですね。それが最初にあります。やっぱり極め切りたかったので」

──序盤が立ちレスになり、寝技まで時間が掛かったのは誤算でしたか。

「ちょっと意外でしたね。ガードを取ってきたら、ああいうパスへの流れは早い段階で仕掛けることができたと思います。世羅さんが僕のテイクダウンにギロチンを合わせようとしているのは分かりました。倒されない、上を取ることを目的としたスタンドではなくて、ギロチンを一発合わせるためのスタンドで。だから首だけは気を付けて組んでいました」

──最初のギロチンのタイトさは?

「大丈夫でした。でも、警戒が必要になりました。結果、寝技にいくまでの時間が掛かってしまいましたね」

──パス、マウントというポジション奪取からの極め狙いは、ホジャー・グレイシーのような柔術として正攻法でした。

「逆に最後らへんの足関節への仕掛けは、一本を取らないといけないという焦りの表れでした。プレッシャーを掛けて相手を疲れさせて極めるのが狙いだったのに、ああいう風に一発狙いになるともうダメですね。あれはしっかりと技術を持っている人には掛からないです」

──中盤のパスはともかく、そこからポジションに関しては世羅選手も極めさえ防げば良いというノーポイント&サブオンリー・グラップリングのマインドが働いていたかと思います。

「途中からそうなったと思います。世羅さんがそうなったことで、僕は『取らないといけない』っていう思考になってしまって。せっかくのチャンスだから、取らないといけない義務という感じでしたね」

──世羅選手は一発狙いのファイトで、巧妙に戦っていました。

「特に危ない場面はなかったのですが……そうですよね。トーホールドとかも全然極まっていなかったのですが、世羅さんが攻めている印象を残せますしね。

ただしケージで戦ったのは初めてだったし、本当に貴重な経験をさせてもらえました。ケージを使ってしっかりと立ちの攻防ができるというのもなかったことです」

──記者席回りでは、やはりMMA関係者から『組み技はしんどい』という声が出ていました。対世間で考えると、そういう内容だったのかもしれないです。

「……。動いていないと思われるかもしれないですけど、一本を取ることを考えると、もっと時間を掛けるべきでした。あそこで止めておくべきだったと思っています。止めて機会を創るべきだったのに、一本を取らないといけないという気持ちが先走り、先に、先にという試合をしてしまいました」

──サブオンリーでも一本を取るというプロセスは、幾重もあるということですね。

「そこも凄く良い経験になりました。サブオンリーでドロー有りの試合をやったことがなくて、いつも極めは意識していたのですが、いざとなるとコレが現実ですね。

ホント青木さんもそうですけど、グラップリングという競技を確立するということで試合を組んでもらえて……ちょっと孤独な戦いをしていましたが、修斗とABEMAに力を貸してもらえて……、支えてもらえて有難かったです」

──この機会を得たことで、次につなげるためには誰か戦いたい相手はいますか。

「次ですか……グラップリングの可能性を見せるには、山田崇太郎さんとかですかね」

──かなり体重が違いますね。

「1度、全日本ノーギで戦ったことがあって、崇太郎さんが足関節の反則があって僕が勝ったんです。IBJJFルールだったので……でも体格差があり過ぎるかなぁ(苦笑)。日本人相手でグラップリングを体現するには……崇太郎さんは体重が全然違うし、岩崎(正寛)とやるともっと固まって……今日よりひどい試合になると思いますし……。

今、強いのは……青木さん。青木さんとやったら面白いですけどね(笑)」

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Other MMA Result SASUKE Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 倉本一真 岡田遼 岩本健汰 杉本恵 清水清隆 石井逸人 西川大和 黒部三奈

【Shooto2020#03 】試合結果 暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼──ケージの中央で愛を叫ぶ

【写真】これぞ5RのMMAという戦いをし、2RKO勝ちで環太平洋に続き、暫定ながら世界バンタム級のベルトを巻いた岡田遼──チョット悪い目つき(C)MMAPLANET

5月31日(日)、Shooto2020#03が会場非公開で開催された。

メインで5教科7科目をマスターしたMMAファイター=岡田遼が、一芸に秀でいた倉本一真からKO勝ちし世界暫定バンタム級王座を獲得し、修斗への愛をケージ内で叫んだ。

注目のAOKI PRJECT=グラップリングマッチ=岩本健汰✖世羅智茂は時間切れのドローに。修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝は黒部三奈と杉本恵が勝ち上がり、決勝で対戦することなった。

Shooto2020#03
<修斗暫定世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
○岡田遼(日本)2R3分02秒
KO
詳細はコチラ
×倉本一真(日本)
<ライト級/5分3R>
○SASUKE(日本)3R
判定
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×西浦ウィッキー聡生(日本)
<グラップリング72キロ契約/10分1R>
△世羅智茂(日本)Draw
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△岩本健汰(日本)
<バンタム級/5分3R>
○清水清隆(日本)2R4分34秒
KO
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×小堀貴広(日本)
<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
○黒部三奈(日本)3R1分54秒
TKO
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×大島沙緒里(日本)
<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝>
○杉本恵(日本2R3分32秒
RNC
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×中村未来(日本)
<フェザー級/5分3R>
○石井逸人(日本)3R
判定
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×齋藤翼(日本)
<ライト級/5分2R>
○西川大和(日本)2R
判定
詳細はコチラ
×木下タケアキ(日本)


             

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Interview J-CAGE Shooto2020#03 ブログ 倉本一真 岡田遼

【Shooto2020#03】新修斗世界暫定バンタム級チャンピオン岡田遼、試合後の会見──「感無量です!!」

【写真】さすがにこの瞬間にはグッとした。そして会見場は新チャンピオンが何を言っても許される──幸福感と達成感に満ち満ちていた(C)MMAPLANET

5月31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されたProfessional Shooto2020 #03。

同大会のメインで岡田遼が倉本一真を破り、修斗暫定世界バンタム級王座に就いた。一大学生がパラエストラ千葉ネットワークの門をくぐり12年、念願の世界のベルトを巻いた岡田はケージの中で修斗への想いを口にし、2メートルのソーシャルディスタンスが取られた試合後の会見でも王者になったテンションのまま共同会見に臨んだ。


──ベルトを巻いた気持ちを教えてください。

「長年の夢だったので、感無量です。言葉になりません。嬉しいです。めっちゃ嬉しいです」

──あのマイクは何日前ぐらいから考えていたのですか(笑)。

「アレは試合が終わってから、即興です……と言わせてください(笑)」

──試合前にトイレで練習している声がしていたとか……。

「アッハハハハ。緊張して、嗚咽していただけです(笑)」

──バックを取られそうなとき、ウィザーや頭を抱えて戦っていた。あの時はどのような精神状態でしたか。

「やっぱり凄い組み力でビックリしました。米国でも強いレスラーとやってきたけど、凄い圧力でした。そこは想定していたつもりなのですが、思っていた以上の組み力で化け物でしたね」

──セコンドの鶴屋さんからは『投げられて良いから』という指示がありました。

「実は作戦の一つで。投げられるのを嫌がっていて投げられると大ダメージですけど、ある程度分かっていて自分からちょっと行っちゃえば、そっちの方がダメージは少ないという練習はしていました。

投げられないことは大切ですが、もし形を作られると自分から投げられようと思っていました。鶴屋さんからあの指示があったことは、『あっ、チョット危ないな』というところだったと思います。だから、そこは頭に入れてこのまま作られたら、自分から投げられようと思っていました。でも、ギリギリのところで防ぐことができましたね」

(会見の横を通りかけた)青木真也 チャンピオンだったね。

「ありがとうございます!!」

青木 コメントで出したんですけど、チャンピオンってメインを締められることだから。チャンピオンだなって。

──バックを取られるかどうかの壁際の攻防のとき、自分か倉本選手かどちらが疲れるかと感じていましたか。

「正直、1Rと2Rはバックを許してコントロールされても良いと思っていました。あの時は僕のスタミナをロスしないことだけ考えていました。倉本選手は凄く力を使ってハァハァ言っているのが分かってので、無理に力を使った態勢を変えるよりもこのままで相手が疲れてくれれば良いなと思っていました。あえてチョット、あの態勢は『これで良いかな』と」

──行けると思った瞬間は?

「ギロチンチョークは完全に入っていました」

──力を使い過ぎたかと思いました。

「それは俺も思いました。疲れたかな?って。だから下で暫らく休んだんです」

──倉本選手のトップのプレッシャーは?

「ガードにいるときは全然大丈夫でした。バックと斜め後ろ、サイドバックにいるときは凄く強いので、ポジションによって圧力が違いましたね。袈裟固めに取られた時、返すことができましたし。袈裟固めとかは、まだちょっと教えてあげようかなって(笑)」

──あの形は師匠・鶴屋さんの首投げから必殺技の……。

「Vクロスですね。僕は鶴屋さんの袈裟固めを食らっているから、あの袈裟固めは倉本選手も鶴屋さんの指導を受けた方が良いです(笑)」

鶴屋浩 全日本3連覇だよ。何言ってんの(笑)。

「実際、あそこで返せたので」

──倉本選手はMMAファイターとして完成度が低いだけ、まだまだポテンシャルが高いと思います。これからは一緒に日本を引っ張っていくためにも、倉本選手はMMAファイターとしてどこを磨いていけば良いと思いますか。

「凄いポテンシャルです。UFCで勝っていくのなら、僕じゃなくて彼だと思います。でもグレコで3連覇して強いという想いはあるのでしょうが、もう少しMMAを……年下が偉そうなこと言えないですけど、もう少しMMAを覚えないとなって感じでした。それでもパンチとバックのポジションは本当に凄かったです」

──無観客での試合の印象は?

「いつも応援していただいて凄く有難いですけど、大歓声でセコンドの声が全然聞こえないんですよ。でも今日は無観客なので全部、鶴屋さんの声が聞こえました。セコンドの声がずっと聞こえて試合ができたのはキャリアで初めてでした。

僕は無観客を気にすることは何もなかったです。試合に関して言えば、冷静に指示が聞けて良かった。指示が聞こえていなかったから、劣性な場面が多かったのでちょっとパニックになってしまっていたかもしれないです」

──これからどんなチャンピオンになりたいですか。

「強く恰好良い、修斗のチャンピオンになりたいです。

──水を差すようですが(笑)、今日UFCのプレリミで勝利した同じバンタム級のケイシー・ケニーと戦うと、どうなると思いますか。

「いや、あの試合を見て──自分が試合をして、俺はまだまだなって。前に高島さんが『修斗のベルトを獲ったからなんや?』って言っていたのが分かります(笑)」

──それをここで言うというのが、腹黒さです(笑)。

「アハハハハ」

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J-CAGE Report Shooto2020#03 ブログ 倉本一真 岡田遼

【Shooto2020#03】岡田、KO勝利で暫定世界王座&環太平洋王座の二冠達成!「俺は修斗を愛しています」

<修斗暫定世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
岡田遼(日本)
Def.2R3分2秒 by KO
倉本一真(日本)

いきなり倉本が組み付いてテイクダウンを奪う。岡田は半身で金網に身体を預けてトップポジションを許さない。ここからバックを狙う倉本に対し、岡田は正対しながらフロントチョークへ。かなり深く入っていたものの倉本は何とか頭を抜いてトップポジションをキープする。倉本はパスガードして袈裟固めへ。岡田は倉本の脇をくぐってバックを狙いつつ立ち上がる。スタンドに戻ると岡田はジャブとロー、そして右ストレートを狙う。倉本もバックブローやバックキック、左フックを打ち込む。

2R、倉本が左フックから右、下がる岡田はテイクダウンを狙う。試合がスタンドに戻ると岡田は左ミドルと右ローを蹴り、倉本は前に出て右フックを打つ。距離を詰める倉本はヒザ蹴りと右アッパー、岡田の後ろについてバックコントロールする。正対した岡田は倉本のバックブローを空振りさせて右ストレート。これを効かせると倉本のタックルをつぶしてパンチを打ち込む。何とか立ち上がる倉本だったが、最後は岡田が右ストレートから左フックを打ち抜いて倉本をKOし、暫定王座に就いた。

試合後、岡田は師である鶴屋浩への感謝を述べたあと「修斗バンタム級は激戦区と言われています。いろんな化け物がいるけど、俺には勝てなかった。その理由をオンラインレッスンします。彼らより俺の方が修斗を愛しているから!」と修斗愛を叫んだ。

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J-CAGE Report SASUKE Shooto2020#03 ブログ 西浦ウィッキー聡生

【Shooto2020#03】テイクダウン&トップキープでSASUKEが西浦に判定勝利

<ライト級/5分3R>
SASUKE(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
西浦ウィッキー聡生(日本)

SASUKEが西浦のローを取ってテイクダウンを奪う。インサイドガードで上になったSASUKEに対し、西浦は金網に背中を預けて立ち上がろうとする。SASUKEは西浦をしっかりと寝かせ、西浦の頭部を金網に押し付けてパンチとヒジを入れる。

2R、サウスポーでガードを下げたトリッキーな構えで距離をとる西浦が右フック。SASUKEはヒザ蹴りをキャッチしてシングルレッグに入り、金網際でテイクダウンを奪う。ここから西浦が尻餅について金網に身体を預けて態勢をキープ。SASUKEがそこにタックルに入る形で寝かしきれないという時間が続く。SASUKEがフロントチョークを狙い場面もあったが、大きな変化がないままラウンド終了となった。

3R、西浦が離れた間合いから一気に飛び込んで右フックを2連発。西浦のパンチのプレッシャーを受けるSASUKEだったがタックルに入ってテイクダウンを奪う。SASUKEは西浦の足を持ち上げるようにしてトップポジションをキープし、西浦が背中を見せて立ち上がるとバックへ回り込む。SASUKEはリアネイキッドチョークを狙いながらパンチを打ち込む。最後は西浦がバックから脱出したところで終了。テイクダウン&トップポジションで攻め続けたSASUKEが判定勝利を収めた。

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Shooto2020#03 ブログ 世羅智茂 岩本健汰 未分類

【Shooto2020#03】結果は時間切れドローも岩本の強さを感じさせる一戦に

<グラップリング72キロ契約/10分1R>
世羅智茂(日本)
時間切れドロー
岩本健汰(日本)

スタンドの展開から金網際でテイクダウンの攻防になり、世羅がフロントチョークを狙う。外した岩本が世羅を金網に押し込み、やや世羅が引き込むような形で岩本がグラウンドで上になる。ここで世羅の頭部から出血が見られ、ドクターチェックが入る。再開後、世羅がガードから岩本の足を抱えて岩本の身体を浮かせる。岩本はポジションを戻して、左右の動いてパスガードに成功する。完全にサイドポジションを奪った岩本は上四方へ移動し、世羅も足を絡ませて正対する。

岩本は自分の膝を世羅のガードに間に入れて、上半身を固めてパスガードを狙う。世羅もしつこく足を入れるが、岩本が再びパスガードに成功し、マウントポジションも奪う。岩本はそこから腕十字を仕掛け、それが外れる足関節へ。これは極まらず、再び岩本がトップポジションに収まる。バックをめぐる攻防から世羅が膝十字とアンクルを狙い、世羅も終了間際にヒールホールドを仕掛ける。

時間切れドローとなったものの、岩本の強さを感じさせる内容に終わった。

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J-CAGE Report Shooto2020#03 ブログ 小堀貴広 清水清隆

【Shooto2020#03】ランカー対決にKO勝利の清水が世界王者・扇久保に「返すか?俺とやるか?はっきりしろ!以上」

<バンタム級/5分3R>
清水清隆(日本)
Def.2R4分34秒 by KO
小堀貴広(日本)

上背・リーチで劣る清水が細かいフェイントを入れて左フック、パンチから右ローにつなげる。お互いに距離を探る時間が続くなか、清水が対角線コンビネーションから右ローを蹴る。清水は少しずつ距離を詰め、的確に右ローを当てていく。小堀は清水の左フックにタックルを合わせるが、清水はしっかりと組ませない。

2R、互いに距離を測ってジャブとローを蹴りあう展開が続く。じりじりと清水が前に出て左右のフック。小堀も左ジャブを返し、清水が左を空振りしたところに右をかぶせる。これで一瞬バランスを崩した清水だったが、清水もすぐにパンチを返してトップポジションを奪う。そこから鉄槌とヒジ、最後は亀になる小堀にパンチを叩き込み、レフェリーが試合を止めた。

ランカー対決に勝利した清水は「返すか?俺とやるか?はっきりしろ!以上」と世界タイトルを保持する扇久保博正にメッセージを送った。

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J-CAGE Report Shooto2020#03 ブログ 大島沙緒里 黒部三奈

【Shooto2020#03】黒部が見事なゲームメイクで大島をパウンドアウト、決勝で杉本と対戦

<修斗女子スーパーアトム級王座決定T準決勝/5分3R>
黒部三奈(日本)
Def.3R1分54秒 by TKO
大島沙緒里(日本)

ジャブを突いて右ストレートを狙う黒部。大島も細かくパンチとローを蹴って組み付く。投げでテイクダウンを奪うと、そのままグラウンドをキープしてバックへ。一度は黒部に立ち上がれたものの、すぐさまダブルレッグに入ってテイクダウンする。受け身の展開が続く黒部だが、グラウンドのポジションをキープさせず。試合がスタンドに戻ると、しっかりと距離をとって、大島のタックルを切って首相撲からヒザ蹴り。組みの攻防でも黒部が大島を金網に押し込み、ヒザ蹴りとヒジ打ちを叩き込み、グラウンドでもトップポジションを奪ってラウンドを終える。

2R、黒部は大島のタックルを切って、ジャブからパンチを当てる。大島が強引に距離を詰めると、黒部は首相撲からヒザ蹴り。大島が足をかけてテイクダウンを狙うと、黒部はすぐにダブルレッグに入る。ここからスクランブルの攻防になり、どちらもトップポジションは許さず。両者立ち上がると黒部は首相撲からヒザ蹴り。大島は黒部の後ろについてそのままテイクダウンするが、最終的に黒部が向き直ってハーフガードで上になる。黒部は身体を起こしてヒジを連打。ガードで動く大島をしっかりと抑え込んで殴り続ける。

3R、黒部が大島のタックルを切ってインサイドガードで上になる。上半身を起こして殴り続ける。最後は黒部がマウントからパンチとヒジを落としたところでレフェリーが試合を止めた。

試合後、ケージ上でトーナメント決勝で対戦する黒部と杉本が挨拶。「決勝まで時間があるので、しっかり準備します。狙うのはベルトなので絶対に負けません」(杉本)、「ベルトまであと一個のところまでたどり着きました。私はケージに入るとき生きるか死ぬかのつもりでやっています。ここで死んでもいいやと思ってやっています。杉本さん、その覚悟はありますか?(杉本が『はい』と答えると)分かりました。いい試合をしましょう」(黒部)と意気込みを語った。