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【ADCC2022】ADCC予選出場、ゴリる秋山実─02─「日本の試合は、相手が練習仲間になることが多い」

【写真】ゴリるのリングネームでNEXUSなどでMMAに挑む秋山。MMA戦績は3勝1敗だ(C)NEXUS

豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで開催される『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』の66キロ級に出場する、秋山実のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

今成正和からグラップリングを学び、試合では常に足関節を取りに行く。まさに今成スタイルでグラップリング界では、知る人ぞ知る存在だった。そんな秋山が米国の10thプラネットでの練習経験、日本での練習について語ってくれた。

<秋山実インタビューPart.01はコチラから>


――今成柔術での練習が楽しそうですね。

「楽しいですねぇ。先生のおかげで、いろんな選手とも練習させてもらえるんです。ただ、強い選手と練習し続けていると、やっぱり疲れてきますよね。でも先生のおかげで、それが嫌にならないような、ずっと続けたいと思うバランスで練習できています。先生って、練習しろとは言わないんですね。自由にどうぞ、休みたかったら仕方ないと。それで毎日来ている方が多いし、そんな感じで自由です」

――いろんな選手との練習……ONEで対戦したマイキー・ムスメシが試合後に、今成選手と練習したいと言っていたそうですね。

「マイキーは、本当に日本へ来るみたいですよ。まだ詳しいことは言えないですけど……。あの時は試合後、マイキーもくるぶしから下が赤くなっていて。先生が負けましたけど、足は効いていたのだろうなと思います」

――それは楽しみです! ちなみに秋山選手は柔術でいえば何帯なのでしょうか。

「それが……以前、10thPlanetへ行ったことがあるんですね。クラヴ・マガの本部は10thPlanetの近くにあって。クラヴ・マガのインストラクター資格を取るために本部へ行った時、10thPlanetでも練習したんです。ただ、10thPlanetのラバーガードや足関節のクラスに出ようと思ったら、『帯は何色だ?』と聞かれて。その時点では青帯だったんですけど、青帯では出られないクラスだったようなんです」

――そのクラスには、紫帯以上でなければ出られなかったのでしょうか。

「それで日本にいる先生に連絡したら、紫帯あげます、って(笑)」

――……。

「翌日また10thプラネットへ行って、今成先生から紫帯をもらったと伝えたら、クラスに参加できるようになったんですよ。そこで、イマナリロールを使うことで有名なマーヴィン(・キャステル)とスパーリングしたら、『お前は全部のクラスに出ていいよ』と言ってくれて」

――アハハハ、実力で認めさせたわけですね。

「マーヴィンもエディ(・ブラボー)に連絡してくれて、エディから『イマナリの弟子なのか? 足関節ができるならOKだ。スパーから参加していいよ』と。クラヴ・マガのインストラクター資格を取るのに1週間かかるんですけど、それが終わってからさらに1週間、10thPlanetにいました。あれからも何回か10thPlanetで練習させてもらっています。先生のおかげで、海外のどこへ行っても練習させてもらえるので、本当にありがたいです」

――今成柔術所属で10thPlanetでも練習していると、コンバット柔術に興味を持つことはないですか。

「特に何の試合をしたい、どんなルールに挑戦したいという意識はないんですよ。ADCCの試合もMMAの試合(NEXUSに出場)も、強度の強い練習みたいな感じです。試合に向けて練習するというよりは、練習が楽しいから練習したい。試合をすれば強くなれて、強くなるとまた練習が楽しいから試合をする。そんなイメージなんですよね」

――結果、どのルールでも足関節を極めています。それもまた今成スタイルですか。

「そうですね。昔、先生がどこかで言っていたようにパスせずに足を取ります。先生みたいに『取ればいい』と思っています。練習でも最初に先生が形を見せてくれたら、あとは細かい説明はいらなくて。先生が取っているようにやったら、それで取れるようになるので。だいたいは先生がやっているのを見て盗みます。反対に私が『先生、こうやっていたじゃないですか』と聞いたら、『あぁソレはこうで……』と説明してくれるんです(笑)」

――なるほど(笑)。ではADCCという大会に対しては、どのような印象を持っていますか。

「もともと、あまりよく知らなくて。2019年に日本で予選が行われた時、豪州から参加した選手が、今成柔術へ練習をしに来たんです。そこで私もスパーをしたんですけど、先生が『この人たちはADCCに出るんだよ』って。私にとっては、ADCCって何ですか、というところから始まりました。今回も聞いたら優勝するには1日6試合ぐらいしないといけないみたいで……半分ぐらい勝てればいいかなと思っています。あるいは1回でメチャクチャ強い選手と対戦して、負けても『あの人と試合したんだよ』と言える経験ができればいいですね(笑)」

――そのなかで秋山選手にとってADCCにチャレンジする意味とは?

「日本でグラップリングを突き詰めてやっていくと、練習仲間も限られてきます。それで試合に出ても、相手が練習仲間になることが多くて。何も練習仲間と試合しなくても……と思っちゃうんですよね。

コロナ前は、海外のグラップラーが日本に来た時、まず今成柔術で練習するみたいな流れがあって。おかげでいろんな選手と練習することができていました。2019年に豪州の選手が来た時は、ジェレミー(ジェレミー・スキナー、2019年オセアニア&アジア予選66キロ級で3位に。今回も同級に出場する)と練習させてもらえたり。やっぱり海外の強い選手と練習するのは、すごく面白いんですよ。

今は海外の選手が日本に来ることができないので、だったら自分が海外へ行って試合をしてみたいなと思って。海外に行けば、初めて会う選手と本気で戦うことができる。どれくらい強いんだろう? そう考えると楽しみです。そういった強い選手と試合をして、自分自身も強くなりたいです」

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022 MMA MMAPLANET o Progress YouTube 岩本健汰 筋トレ

【ADCC2022】ADCC予選出場、岩本健汰─02─「予選を勝つだけでは意味がありません」

【写真】MMAの練習でトータル・グラップリングが強くなっている岩本(C)MMAPLANET

19日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで開催される『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』77キロ級に出場する、岩本健汰インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

2019年大会はオセアニア&アジア予選を勝ち抜き、世界大会に出場した岩本。あれから3年の間に起こった変化と、予選大会に向けた自信を語ってくれた。

<岩本健汰インタビューPart.01はコチラから>


――グラップリングがMMAに近づいている?

「だから僕がMMAという別競技の練習をしていてもグラップリングの試合に対応できるのは、MMAの練習を通じてその部分を強化してきたからなんです。上を取って潰すという攻防が、MMAでは重要になっています。その部分を強化してきたので」

――ルールの違いがどうではなく、そのルールにどうアジャストするかですね。ただ、ADCCはマットで行われるので、ケージの有無は大きくはないですか。

「ケージの有無は大きく変わってくるので、最近はあまりケージレスリングはやらないようにしています。スパーリングでも相手の方が、あまりケージを使わないように配慮してくれていますね」

――なるほど。2019年は66キロ級に出場しましたが、今回は77キロ級にエントリーしています。階級を上げた理由は何だったのでしょうか。

「3年前より体が大きくなっているので、減量がキツくなりました。だから77キロ級に上げました」

――それは自然と体が大きくなったのですか。それともトレーニングで大きくしてきたのでしょうか。

「自然と大きくなりましたね。練習していたら筋量がついてきた、という感じです。ウェイトトレーニングとかは全然していなくて、グラップリングで力を使うということをしてきたので。それで自然と筋肉がつきました」

――ということは、現在の体つきはレスリングをやりこんできた証なのですね。

「そうですね。レスリングの練習をすると、自然と筋トレになります」

――今はグラップリングのために、どのような環境で練習しているのでしょうか。

「IGLOO、ロータスと指導先で練習したり、指導先だとリバーサルジム東京スタンドアウトとMe,Weでグラップリングをやっています。あとはグラントのジム(グラント・ボグダノフのALMA FIGHT GYM LIFE)で練習したり、兄がいるジム(兄の岩本翔太が所属しているシュプラネル柔術アカデミー)でギの練習をやったりします」

――現在もギの練習をしているのですね。

「本当はノーギの練習のほうが良いんですけど、レスリングの攻防をロータスでやって、さらに寝技の攻防で足りないところ補いたくて、ギの練習をしています。ノーギだけで確認できる環境が少ないので」

――すでに出場選手リストは発表されています。77キロ級に出場するなかで、気になる選手はいますか。

「ひと通り、これは強そうだなという選手はチェックしました。特に見たのは、韓国のノ・ヨングァン選手ですね。2017年のアジア予選77キロ級で優勝している選手です。ただ、もともとセアニア&アジアの中では勝てると思ったので、今回はエントリーしました。前回は日本開催だったので、とりあえず出てみたんですよね。今回は豪州まで行く価値はあると思いました。勝てる自信があります」

――77キロ級には日本人選手が多数エントリーしています。

「僕が知っているところだと、竹内(稔)さんと世羅(智茂)さんですか。世羅さんとの再戦があるかどうか……50人以上出る階級なので、当たる可能性は少ないですかね。もちろん勝ち進んでいけば、決勝で当たるかもしれないですけど。とにかく1日で5試合か6試合勝たないと優勝できないので、すごくハードなトーナメントです」

――グラップリングの世界には様々なルールと大会が存在しています。その中でADDCとは、岩本選手にとっては世界最高峰の戦いなのでしょうか。

「もちろんです。出場しているメンバーが、他の大会とは全然違います。世界大会に出ている選手は、ほぼ全員が有名選手ですから。そういう大会は他にないと思います」

――その世界大会では前回、1回戦でパウロ・ミヤオに敗れました。あれから3年、岩本選手の中ではどんな点が変わりましたか。

「前回は単純に、スキルが足りなかったです。攻撃が下からの足関節ばかりになっていました。今回は、もちろん下からの攻撃に加えてレスリングとトップゲームもできるようになったので、幅が広がったなと思います」

――77キロ級ということで、減量もそれほど厳しくはないのでしょうか。

「ほぼ減量無しですね。1キロぐらい水抜くかもしれないですけど。ADCCは階級の幅が広いじゃないですか。77キロの下が66キロ、11キロの差がありますよね。それなら77キロのほうが――と思っています」

――では最後に、オセアニア&アジア予選への意気込みをお願いします。

「世界大会に向けてたった一人、オセアニア&アジアの枠があります。それは獲りたいと思っていますし、僕は獲る自信があるから出ます。ただ、予選を勝つだけでは意味がありません。世界大会の77キロに出ているのは、すごい選手ばかりです。そこに入って結果を出したいですね」

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022 MMA MMAPLANET o UFC 世羅智茂 岩本健汰 橋本知之 海外 青木真也

【ADCC2022】ADCC予選出場、世羅智茂─02─「予選で優勝した強い選手が出る。正しい世界大会の形」

【写真】2020年4月17日。この状況下、ケージのなかでグラップリングを戦っていた。そして今も戦い続けている(C)SHOJIRO KAMEIKA

19日(日)、豪州ニューサウスウェールズのスタンホープ・ガーデンズで開催される『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』の77キロ級に出場する、世羅智茂インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

近年、グラップリング界は大きく変化してきた。その変化を世羅はどのように捉え、いかに勝つことを考えてきたのか。現在のグラップリング界と、自身の成長を語る。

<世羅智茂インタビューPart.01はコチラから>


――カルペディエムと世界、という意味では先日のムンジアル……橋本知之選手の試合結果については、どのように感じていますか。

「結果は残念でしたが、橋本には『お疲れ様です』と言いたいです。彼は日本を代表して戦ってくれました。普段から彼が頑張っている姿を見てきたので、そういう姿を称えたいです。

結果については、言い方が難しいですけど……運が悪かったのかなって。柔術には、いくつも曖昧が部分はあります。僕としては、柔術のルールが現状に追いついていないのかな、と考えています。

橋本が反則を取られてしまったのは、踵を出した形のフットロックですよね。内ヒールと同じような効果のフットロックですけど、僕も昔は反則だと認識していました。でも最近の傾向を見たら、OKっぽい流れになっていたんですよ。

国内でも海外でも、あの形で決まっている試合を見ていましたし、反対にあの形で反則を取られているのは見たことがなかったです。だから、もう黙認されている技だと認識していました。

昔の技術だと、ああやって踵を出す極め方はしていなかったと思います。でも足関節の技術が発達してきて……それこそグラップリングやMMAの技術が進歩してきたことが関係しているのかもしれないですね。特にグラップリングの技術が変わって、それが柔術に流れてきて柔術家も使い始められたりとか。結果、互いの技術が上がってきて、ああいうグレーゾーンといえる際どい技術が生まれた。みんなが何となく『良いのかなぁ』と何となく考えていて、今回は橋本が反則を取られてしまった。それは――彼には申し訳ないけど――運が悪かったとしか言えないんです」

――なるほど。今回のADCCオセアニア&アジア予選は、出場選手リストは公表されていますが、まだトーナメント表は発表されていません。

「出場選手リストはチェックしています。でも海外の選手については、ほとんど知らないんですよね。知っているのは日本の岩本(健汰)君ぐらいで(苦笑)」

――2019年の前回大会は66キロ級で出場しています(準々決勝で敗退)。今回77キロ級に出場する理由を教えてください。

「単純に、もう66キロに下げて戦うことはできないからです。体重を落とすことはできます。でも減量で弱っている状態で1日5~6回勝って優勝というのは、そこまで体力と集中力がもたないかなと思います。であれば、相手は大きくなるけど減量なしで77キロ級に出たほうが……。結局、どちらに出てもキツいと思うんですよ。それなら減量なしで77キロ級に出たほうが良いのかなと考えました」

――ちなみに、世羅選手はグラップリングでいえばポイント制とサブオンリー、どちらが自分に合っていると思いますか。

「どちらかといえば、ポイント制です。僕の中では、IBJJFのポイントルールが一番向いているんじゃないかなと思っています。強いグラップラーは基本的に何でもできると思うんです。そうなると、みんなレベルが高くて、なかなかフィニッシュまでは繋げられない。

そのためにサブオンリーで極めるのは、かなり難しいです。サブオンリーの試合をやるのは大好きですけど(苦笑)。だから勝つことを考えれば、IBJJFのポイントルールで、ギリギリのポイントで勝つほうが向いているのかなと思っています」

――かつて腕十字が世羅選手の代名詞であった時代を考えると、サブオンリーと答えると思っていました。

「それ、よく言われます(笑)。極めが強いんでしょ、って。全然そんなことないんですけど、戦い方は変わってきたと思います」

――なぜ戦い方が変わってきたのでしょうか。

「戦う相手のレベルが上がってきたからですね。今振り返ってみると、京都で活動していた頃は、対戦相手とのレベル差があったから、ガンガン極めに行っていたと思うんですよね。でも東京に来てから対戦相手のレベルも高くなって、なかなか圧倒して勝つことが難しくなってきました。そうすると、自然とポイント差やアドバン差で勝つようになって……もう極め一辺倒ではダメだなって考えるようになったんです」

――以前は極めるために10分フルスロットルで動いていましたからね。

「今はもう無理です(笑)。しっかりとポジションを固める技術も身についてきました。先日の全日本選手権でも、マウント取ってからずっと固めたりとか。マウントになったらルーチは取られないので。それはサブオンリーのグラップリングだと意味がないんですけど、柔術であれば別にリードしていれば関係ないですから」

――前大会から3年、その間に青木真也戦や岩本健汰戦など、プロ興行内でのケージグラップリングも経験してきました。その経験は自身にどのような影響を与えていますか。

「グラップラーは全部できなきゃいけないな、と思いました。グラップリングって多種多様なルールがあることで、いろんなタイプの選手が活躍できる場が多いのは良い点だと思います。反対に……柔術はIBJJFのルールがあるけど、グラップリングはルールが統一されていないから、やる側としては難しいです。グラップリングの中でも、どのルールを自分のメインに持ってくるのか。サブオンリーをメインにするなら、そのための戦い方があります。

ノーギ・ワールドは柔術のように細かいポイントを意識した戦い方が必要になるし、ADCCでは立ちレスの強さが重要になってきます。だからグラップラーは全てのレベルが高くなきゃいけないんですよね。今のMMA、UFCの選手のように」

――そのグラップリング界のなかでADCCは、世羅選手にとってどのような位置づけにあるのでしょうか。

「世界一のグラップリング大会ですよね。一番大きいのは、ちゃんと予選を行っているということなんです。レスリングや柔道って、必ず各地で予選が行われるじゃないですか。その予選で優勝した強い選手が世界大会に出る。それが正しい世界大会の形だと思うんです。

何より、2年に1回というのが良いですよね。毎年やっていると、それだけチャンピオンが生まれて、チャンピオンの価値が薄まっていく気がします。4年に1回のオリンピックが最大のスポーツイベントになっているのが象徴的だと思いますし。ADCCも2年に1回というのが、その価値を高めている。そのぶんチャンスは少ないですが、挑戦したい大会です。

今回の予選は、自分の中でキツいトーナメントになると認識しています。でもADCCという最大のグラップリング大会に出るための大会ですから、キツいのも当然です。そのなかで、全力で代表を勝ち取りに行きます」

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022 MMA MMAPLANET o ONE マイキー・ムスメシ 今成正和 秋山実

【ADCC2022】オセアニア&アジア予選へ、今成柔術・秋山実─01─「技の説明で下ネタを入れてくる」

【写真】一般的に眉を顰められる行為も尊敬の対象。良い感じです(C)SHOJIRO KAMEIKA

19日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』が開催される。その66キロ級に、日本の今成柔術から秋山実がエントリーした。
Text by Shojiro Kameike

秋山はこれまで国内のグラップリング大会で師匠譲りの足関節を極めてきた。さらに今成の試合やセミナーには常に同行しているという、今成の一番弟子といっても過言ではない存在のような。そんな秋山が、ここでADCCに挑戦することになった理由――そして弟子の口から語られる、今成柔術の真実とは?


――今回はMMAPLANET初登場ということで、キャリアの点からお聞きしていきたいのですが……まず本日が誕生日なのですか?(※取材は6月12日に行われた)。

「はい、そうなんです」

――お誕生部おめでとうございます!

「ありがとうございます(笑)今日はよろしくお願いいたします」

――お幾つになられたのでしょうか。

「今日で42歳です」

――では、格闘技を始めたのは……。

「今成(正和)先生と知り合ったのは5~6年前です。その前にクラヴ・マガのスクールに通っていたのですが、そのスクールに週1でグラップリングの指導に来てくださっていて。当時、先生がご自分の道場を開くということで、そこに入会させていただきました」

――クラヴ・マガといえば、イスラエルの戦闘術ですよね。もちろん一般会員さん向けクラスもあったかと思いますが、クラヴ・マガを始めたキッカケを教えてください。

「始めたのは今成先生と知り合う1年前ぐらいですね。ダイエット目的でした。もともとは棒術――杖(じょう)を習っていたんです。戦うには素手よりも棒のほうが強いだろうと思って。杖って足のスタンスが、両足とも前に向いているのですが、それがクラヴ・マガも同じで。両足のつま先を相手に向けるか形ですね。立ち方が同じなら入りやすいかなと考えて、クラヴ・マガを始めました」

――杖ということは、それまでも武術には興味があったのですね。

「やるのは大好きでした。『モンスターハンター』というゲームのように、武器を持ってモンスターと戦う発想に近くて。でも見るほうは、それほどでもなかったんです。周りのみんなと同じようにテレビぐらいで。そこから今はクラヴ・マガの指導員になっています」

――クラヴ・マガの指導員に! そこからグラップリングも始めるわけですね。

「クラヴ・マガのスクールで今成先生にグラップリングを習っていて、グラップリングにも興味を持ちました。それまで本物の格闘家に出会ったことがなかったんです。それが今成先生とスパーリングさせていただいたら、本当に強くて。格闘家ってこんなに強いのか! そう感じました。それで今成先生に『強くなるためには、どうしたらいいですか?』って聞くと、『毎日続ければいいんじゃないですか』と言われまして。で、ちょうど今成先生がジムを開くということで入会しました。今成柔術がオープンして、最初から在籍しています」

――なるほど。

「今成先生の、格闘家としての佇まいも大好きなんです。私はもともと細かいルールがあるものは苦手で。クラヴ・マガに入る前は、他の格闘技も探していました。でもルールが細かくて……。でも今成先生は『相手が痛ければいいんです。折るか絞めるか、相手を痛めつけたら勝ちですから』と。すごくシンプルだ! そう思いました。もちろんグラップリングにもルールはあるんですけど、そのシンプルな考え方がカッコいいと思いました」

――現在やっているのはグラップリングのみですか。

「グラップリングだけですね。最初は道衣も着ていました。でも今成柔術が始まってから半年ぐらい経って、先生が道衣を脱いで練習し始めたんです。そこから誰も道衣を着なくなりましたね(笑)。試合もルールはありながら、取ったら勝ちで、取れなかったら負けという意識でやっています」

――This is 今成スタイルですね!

「先生と知り合ってから、過去の先生の試合映像も見尽くして。先生に習っていて、今もずっとグラップリングが楽しいです。先生のおかげで他のジムでも練習させていただくことができたり」

――一般会員としてアマチュア大会に出続けるのと、ADCC予選にエントリーするのは意識も変わってくると思います。今回ADCC予選にエントリーした理由は何だったのでしょうか。

「ちょうどタイミングで……先生がONEでマイキーと試合をした時(4月22日、シンガポールでマイキー・ムスメシと対戦して一本負け)に、セコンドとして一緒に行っていたんです。その時、JBJJFの全日本ノーギ選手権が開催されていて。先生が『秋山さん、この大会に出なかったんですね。次はオーストラリアでADCCの予選がありますよ』と」

――……。

「じゃあそれに出てみます、と。格闘技をやっていて、何か大会や結果を目指しているわけではないんです。何を目指しているかと聞かれたら、私は今成正和を目指しています」

――なるほど!

「先生の戦うスタイルもそうなんですが、人間として今成正和がカッコいいんですよ。人間としてどうありたいか――先生から直接アドバイスを受けるわけでもなく、先生を見ていて教えられることが、たくさんあって。先生の側にいさせてもらえることが、ありがたいです」

――たとえば、どのような姿に憧れるのでしょうか。

「技の説明で下ネタを入れてくるところとか(笑)」

――アハハハ、やはり指導でも入ってくるのですね。

「入ってきます! 朝の練習から一緒に卑猥な話をして、他の会員さんは我々の周りから離れていくという(笑)。まぁ……悪いと思うことが同じというか。フザける時はフザケる、やる時はやる。その感覚が同じなんですよ。ワイワイガヤガヤ楽しく練習しながら、取る時はビシッと取る。そういう今成柔術の練習と試合が大好きです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022 MMA MMAPLANET o カイナン・デュアルチ クレイグ・ジョーンズ 岩本健汰 椿飛鳥 海外

【ADCC2022】オセアニア&アジア予選へ、岩本健汰─01─「サドルからエントリーしても勝てない」

【写真】77キロ間が出てきた岩本(C)SHOJIRO KAMEIKA

19日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』が開催される。
Text by Shojiro Kameike

岩本は前回の2019年大会でオセアニア&アジア予選(66キロ級)を勝ち抜き、世界大会への切符を手にした。しかし世界大会では1回戦でパオロ・ミヤオに敗れている。あれから3年、再び世界の舞台へ挑む岩本に、現在のグラップリング界――自身が経験したオセアニア&アジアと世界大会の違いについて語ってもらった。


――コロナ禍により延期されていたADCCオセアニア&アジア予選が、ようやく開催されることになりました。この1年の間、ADCC出場へのモチベーションが下がることはなかったですか。

「もともと昨年も出場するつもりでした。延期されて1年の間MMAを始めていたので、その1年が何か影響したということはなかったです。試合がないなぁ、とか嫌な気持ちになったこともなく」

――岩本選手は2021年9月に椿飛鳥戦でMMAデビュー、現在までMMAで3連勝中です。異なる競技にチャレンジしたことは、自身にとってどのような影響を及ぼしていますか。

「ADCCのルールはIBJJFのノーギと違い、レスリングを重視している部分があります。その部分に関しては、MMAの練習とかみ合っているところはありますね」

――岩本選手の中でADCCとIBJJFのノーギは別競技と考えているのでしょうか。2019年8月にADCC予選があり、10月の世界大会に出場したあと、12月にはJBJJFの全日本ノーギ選手権で優勝しています。それだけルールやコンセプトが異なる大会に短いスパンで出場し、常に切り替えていけるものなのですか。

「ADCCとIBJJFのノーギは、競技的には同じだと思います。ギだと、またいろいろ違ってきますけどね。でもIBJJFルールもヒールフックが認められてから、ほぼ同じになってきました。あとはグラップリングでもどういうスキルを重視するのかが、ルールや大会によって変わってきます」

――前回のADCCはオセアニア&アジア予選を制して世界大会へ。世界大会では1回戦でパウロ・ミヤオに敗れました。岩本選手から見てオセアニア&アジアのグラップリングは、世界と何か違いはありましたか。

「オセアニア&アジア予選は、他の地区の予選と比べると、勝ち抜く難易度は低めかもしれないです。実際に世界大会へ行ったら、すごく強い選手と当てられる可能性も高くて……。

予選から勝ち上がった選手は、世界大会の1回戦は招待選手と対戦することが多いんですよ。ただ、世界大会に出る選手はみんな強いので、そこは関係ないかもしれないですけど(苦笑)」

――世界といいますか、やはり米国やブラジルなどとは差があるかもしれません。

「世界とオセアニア&アジアを比べると、レベルの差はあると思います。でも、そういうなかで――例えば2019年のオセアニア&アジア予選の77キロ級で優勝したラクラン・ジャイルスは、世界大会1回戦でルーカス・レプリと対戦して、あっさり負けてしまいました。でも突き抜けた部分があって、何かを起こしてしまう可能性はあったんです」

――実際に無差別級ではカイナン・デュアルチに勝利するなど3位に入賞していますし、世界に名前が通じるグラップラーになっていますね。

「それにクレイグ・ジョーンズも予選で勝って世界大会でも勝ち抜きましたから、何も可能性がないわけではないです。世界大会に出る選手は、何かしら凄いスキルを持っている。柔術では黒帯ではなくても、すごくレスリングが強かったりとか。世界大会にはあまりいないですけど、予選にはレスリングチームが出てきますよね」

――では日本と海外のグラップリング事情を比べて、何か思うところはありますか。

「うーん、そうですね……海外と比べて、グラップリングだけをやる人が日本では少ないですよね。海外というか米国ですね。ただ、今は豪州でもグラップラーが増えています。一方で日本はギのほうが多いというか。グラップリングだけの練習ができる環境が、そんなにない。そこの熱量が違うかな、と思います」

――技術面の変化については、どのように捉えていますか。

「技術については、結構なスピードで変わってきています。前回の予選では、僕が足関節――内ヒールや、サドルからエントリーして極めていました。でも今は、そういう戦い方をしても絶対に勝てないです」

――というと?

「最近では足関節や下からの攻撃に対して、いかにその攻防をさせず、上からプレッシャーを与えて勝負する選手が多くなっている印象が強いです。全体的にMMAの攻防に近づいている気はしますね」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022 MMA MMAPLANET o ONE コンバット柔術 世羅智茂

【ADCC2022】オセアニア&アジア予選へ、世羅智茂─01─「もうギをやらないほうが賢いんだろうな」

【写真】コロナが始まった直後、無観客&ケージのなかでグラップリングを2度戦っている世羅(C)SHOJIRO KAMEIKA

19日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』が開催される。
Text by Shojiro Kameike

9月17日(土・同)&18日(日・同)にネヴァダ州ラスベガスのトーマス&マックセンターで行われる世界大会を目指して、アジアとオセアニアのグラップラーが集まる予選大会。その77キロ級に世羅智茂がエントリーしている。

現在は柔術(ギ)とグラップリング(ノーギ)を並行して行っている世羅だが、プロMMAイベントのグラップリングマッチに出場するなど、グラップラーとしてのイメージも強い。そんな世羅がADCC予選に向け、グラップリングへの気持ちを語ってくれた。


――ADCC予選と世界大会は本来、昨年に行われるはずでした。しかしコロナ禍の影響で今年に延期され、改めてオセアニア&アジア予選に挑むこととなりました。世羅選手は昨年の段階でも出場しようと考えていましたか。

「はい、出るつもりでした。他の柔術の大会と日程が被っていたら、どうなっていたかは分かりませんが、タイミングが合えば出る予定でしたね」

――世羅選手は現在グラップリング、ノーギの試合に出る機会のほうが多くなっているかと思います。ノーギとギありの柔術、世羅選手の中ではどちらがメインなのでしょうか。

「最近は徐々にグラップリングへシフトしています。柔術は先日の全日本選手権(4月9-10日、アダルト黒帯ライト級で3位)でひと区切りつけようかな、と自分の中では考えていました。でも実際のところは、そこまで気持ちの整理がついていない状態です。もしかしたら今後も柔術の大会に出るかもしれないですけど、徐々にグラップリング中心にしていこうと思っています。

柔術のほうは、出る大会を選んでいくことになります。グラップリングも並行して試合していたら、そんなに柔術の大会にも出られないですし。仮に出るとすれば、ワンマッチで特別な相手と戦うとか、あるいは全日本選手権とか大きな規模の大会ですね」

――グラップリングへシフトしているなかで全日本選手権に毎年出場することは、どのような意味を持っていたのですか。

「1回は優勝したい、単純にその気持ちが強いです。ギの全日本は、黒帯になってから1回も優勝したことがないんですよ」

――全日本選手権の成績は、2020年と2021年が3位で……。

「それで今年の2位が過去最高です。やっぱり一度は優勝したいです。日本一という称号を得られるし、ひとつ大きな結果として全日本の一つ大きな結果として全日本のタイトルが欲しいので。そのタイトルを獲ることができていないのは、もどかしいですね。

反対にギで海外を目指すというのは、もう無いに等しいです。そのためにはギに集中しなきゃいけなくなりますから。もうギとノーギ、どちらもレベルが高くなっていて、並行してトップを目指すのは難しいですね。そうしたら、どこかの段階でギかノーギか区切りをつけなきゃいけなくなる。その区切りをつける意味で、全日本は獲りたかったんですよね。

それが2位だったので、どうしようかな……と心残りはあります。合理的に考えたら、もうギをやらないほうが賢いんだろうなということは自分でも分かっているんです。でも、そう簡単には割り切れない。それが格闘家なんですかね(苦笑)」

――負けたままで終わることはできない、その格闘家としての気持ちは理解できます。

「そうなんですよ。ノーギに集中したいけど、まだギに対する未練があるという(笑)。仕事としてクラスの指導はギでやっているので、ギの練習をすること自体を辞めることはないんですよ。でも試合となると、どうしようかなって」

――ギからノーギへシフトしていこうと決めた理由は何なのでしょうか。

「単純にギだけじゃなくノーギも好きっていうこともありますけど、自分の中では、ノーギのほうが結果は出ていると思います。だから……それだけですね。自分にとってはノーギのほうが結果を出しやすい、という」

――昨年のJBJJF全日本ノーギ選手権ではアダルトエキスパートライト級に出場し、決勝で森戸新士選手を破って優勝しています。

「去年、ノーギは負けなしだったんですよ。クインテットの引き分けはありましたけど、負けはなかった。ギもノーギ、どっちも好きですし、どちらが得意か不得意かっていうことも考えません。でもノーギのほうが結果も出ているので、冷静に考えたら、それはノーギへシフトしていくよねっていう感じです」

――そこまでギとノーギは違う競技になってきたのですね。

「もう全然違います。ノーギでは足関節の技術がメチャクチャ発達しましたよね。サブミッションオンリーの大会も増えていますし。海外だと今はWho’s Number One、日本ではクインテットとか。それと、いろんなルールもありますよね。コンバット柔術とかも……あれをグラップリングと言っていいのかは分からないですが、とにかくグラップリングは国内でも海外でも盛り上がってきていると思います」

――一方で、世羅選手の試合内容も以前と大きく変わってきたと思います。2017年に京都から上京し、カルペディエムへ移籍してから、どのような変化があったのでしょうか。

「常に柔術に触れられていること、それは大きいです。仕事は指導――柔術を教えることですし、それ以外の時間は練習しているので。24時間、柔術のことを考えていい環境にいます。それと、高いレベルを目指している選手が身近にいることは大きいですよね。

日本全国に才能のある選手は、たくさんいると思うんです。でも、そういう選手は、どうしても周りの会員さんとの温度差が出てきてしまいます。自分はバリバリ練習して試合で結果を出したいけど、周りの一般会員さんはそうではない。結果、自分が浮いてしまうこともあります。でも今、周りには世界にガンガン出て行こうぜっていう仲間がいます。

指導は指導、一般会員さんと接する時は、また違います。スタッフ同士だと海外の選手の試合をチェックしたり、一緒に技の研究とかもして互いに高め合っているので、そういった環境に来ることができたのは良かったです」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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