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【NEXUS29】フェザー級選手権試合、山本陣営の提訴にコミッションの回答は「裁定は正当。早期再戦要求」

【写真】MMAPLANETとしては最初から5分3Rで見たい試合です (C)MMAPLANET

17日(木)、NEXUSコミッショナー相原雄一氏の名の下、7日に開催されたNEXUS29で実施されたフェザー級選手権試合の裁定結果に関して、判定負けを喫した山本空良の所属ジムPODの山本喧一代表が行った提訴についての回答書がメディアにも送られてきた。

横山武司が山本を2R終了時点で2-0の判定で下し勝者=タイトル奪取となった一戦。NEXUSにとって初の後楽園ホール大会は通常通り2Rを戦い終え優劣がつかない場合は延長ラウンドが行われるラウンド規定であった一方で、会場の使用時間と試合数の関係から1、2Rで決着をつける方向で10-8判定を増やすという特別措置が取られていた。


横山と山本の試合は、1Rは足関節を仕掛ける横山の攻撃を凌いだ山本がボトムからのヒジ打ちを入れ、流血に追い込みドクターチェックが入るという展開となった。続く2Rは横山がトップでコントロールした時間が長く見られた。

両者アグレッシブに攻め、攻防が入れ替わる好勝負は結果的に19-18、19-19、20-18の2-0のマジョリティドローで横山に凱歌が挙がり、山本は王座陥落。この裁定に対し、山本代表は初回を10-9で横山につけた採点、2Rを10-8で横山とした採点を不服とし、理由の説明と再審議を求めた。

結論としてコミッションの判断は、採点は正当。試合結果は変更しない。両者の早期の再戦を求めるというものだった。

3人のジャッジの見解はそれぞれ以下の通りだ(要約)。

1Rは10-9で山本、2Rを10-8で横山=19-18で横山としたジャッジA。

「初回は積極性、エリアコントロールの横山に対し、外傷としての裂傷を負わせたダメージを評価し山本」

「2Rは大半がグラウンドの攻防となり、上から横山のパンチやエルボーの攻撃が1Rの山本の攻撃を上回っていたので10-8で横山」

1Rは10-9で山本、2Rは10-9で横山=19-19のイーブンとしたジャッジB

「初回は寝技の優勢の横山だがキャッチに至らず、ヒジ打ちをダメージと評価し10-9で山本」

「2Rは横山がグラウンドで攻勢。最終局面の腕十字をニアフィニッシュと判断し10-9で横山」

1Rを10-9で横山、2Rを10-9で横山=20-18で横山としたジャッジC

「初回は山本のヒジ打ちと横山のパウンドの評価を同等とし、積極性、エリアコントロールで上回った横山が10-9 でラウンドを取った」

「2Rに大半を占めた寝技の攻防でテイクダウン、ポジション、腕十字で攻勢だった横山の10-9となった」

コミッションはこれらの裁定理由と試合映像を確認した結果、三者三様であったとしてもルールに逸脱したものではないと判断。とはいえタイトルマッチに関しては通常のルールで行うべきだったとして、早期の両者の再戦を山田峻平代表に要望するとのこと。

ジャッジの判断が分かれるからこそ複数性が採られ、それぞれの判断が異なるのは問題ない。気になったのはジャッジAの初回の山本の攻勢よりも、2Rの横山の攻勢の方が明確で10-8としたという判断だ。この裁定理由だとラウンド毎の判断で構成されるラウンド・バイ・ラウンド方針ではなく、試合全般を通して裁定される勝者選択方式の定義が用いられているのでないだろうか

ジャッジA型の裁定方法で統一されているのであれば、他のジャッジ──特に今回のケースでいえば初回を山本、2Rを横山としたジャッジBも1Rと2Rでどちらがより攻勢であったかという判断の下、2Rを判断しなければならない。

さらにいえば初回の裁定は既に10-9 とつけられており、そこを基準にしてしまうと──仮に2Rの横山の攻勢点よりも初回の山本の攻勢点が上回っていた場合、2Rをどのように数値化すれば良いのか。10-10ではドローになるので10-9.5で横山とし、合計19.5-19で山本の勝利となるのか。そうであれば0.5P刻みの裁定方針を採る必要が出てくる。

上記のような特別ルールが用いられることが、試合前日のルールミーティングで選手に伝えられるというのは、競技性の面で看過できない。この点はイベントの開催が決定した時点──もしくはこの方針が決まった時点で何よりも早く選手サイド、そして試合の行方を追って楽しむファンにも伝えるべきであったかと思われる(この決定がなされたのが、試合前日であれば──それも競技性が軽んじられている)。

今回の裁定は、結論が出た。何よりNEXUSが月曜日の夜であっても後楽園ホール進出を果たしことは、日本のMMA界にとって無条件で良いことだ。そのなかで見えた課題──特別措置が採られるのであれば早期の連絡&裁定方針の統一化を徹底し、通常大会の活性化と再び後楽園ホール大会の実現を願ってやまない。

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【NEXUS29】山本空良を下し新フェザー級王者に。横山武司「柔術の方が楽しい」& 「MMAはパート」

【写真】インタビュー中に頭のカットの応急処置が必要となり。なんだか可愛らしい姿で控室に戻ってきた横山(C)MMAPLANET

7日(月)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたNEXUS29のメインで山本空良に競り勝ち横山武司がフェザーのベルトを巻いた。

試合後も大量ではないが、流血は続いていた。リングドクターによると、2Rにもっと出血量が多いと試合は止められていただろう──とのこと。つまり、延長があるとその点においても危なかったことになる

現役柔術家だけでなく、父と兄と一緒に柔術アカデミーを営む横山は勝利者インタビューで今後の進路についてアピールをすることはなかった。

格闘家としての目標を「柔術ジムの繁栄、柔術業界の繁栄」とベルトを手にしてなお言い切った横山。試合後、頭の傷の応急手当を受けたNEXUSフェザー級チャンピオンが語ったこととは……。


──ドローだと延長ラウンドがあるのが、ネクサスです。2R終了時点で、ポイントはどのようになっていると考えていましたか。

「全然、分かんなかったです。僕、MMAでは取れないと負けて良いやっていう気持ちでやっているんで。あのまま延長って言われたら、僕はあんまり動けないから負けるだろうなぁみたいな──結構、緩い気持ちでやっています」

──19-19はあり得ると思いました。延長がないとどちらかにつけないといけないのでしょうが。

「そうですね。なんか、どうやったらポイントがつくのとかちゃんと考えてMMAをやっていないので。『ドローって言われたら、俺、どうしよう?』ぐらいでしたね」

──初回にヒジから流血があった。あれがダメージと取られるのかどうか。

「ぜっんぜん、痛くないですよ。血が出たのかって思ったぐらいで」

──なるほど。2Rは組みの展開で試合を優勢に進めました。そこはやはり自信を持って戦うことができていましたか。

「相手が足関に来てくれたから、そこはやられる気がしていなくて。『あぁ、良かった。寝技の攻防をやってくれるんだ』って。離れられて打撃の方が嫌だったので。もう、疲れちゃったスね(笑)。道着がないと疲れちゃうッスね」

──では、逆に横山選手が足関節を取り切れなかった初回の攻防についてはどのように思われていますか。

「あぁ、アレは思ったより相手のディフェンスが上手かったスね。ただ……腕十字にしても、道着がないと僕も寝技の精度がめっちゃ落ちるなと思いました。今後もMMAは負けない限りは続けようとかなと思うので、もうちょっとグラップリング用の寝技もモノにできないかなって感じました」

──寝技の展開で、あれだけスムーズにパンチが出せてポジショニング奪取と融合できているのは、そこを頭において組み技の練習を積んできたということでしょうか。

「う~ん、あんまりMMAをしっかりと想定した練習はしていないので。もしMMAを続けるのであれば、もう少しMMAの練習をしないといけないですね。でも長くは続けないMMAの練習をそんなにしても勿体ないので。自分の人生に上手く生かせるように、格闘技とは付き合っていこうと思います」

──そこですっ!! 今、RIZIN以外のプロモーションではタイトルを獲った選手が『〇〇〇で戦いたい』と宣言するのが、J-MMAの慣わしになっています。それがなかった横山選手は新鮮でした。

「いやぁ、全くないですね。MMAは何となく友達が喜ぶからやっているけど、やっぱりパートタイムでやっていることなので」

──とはいえRIZINで活躍している山本空良選手を下して、ベルトを巻いたわけですし。声が掛かることがあるかと思われますが。

「まぁRIZINは1回、2回は出ようかと思います。MMAを始めた時から、友達のためとチヤホヤされたくてやっただけなので。UFCとかONEは全く目指していなくて、地元の友達とかはRIZINに出るのを一番喜ぶので……負けたら辞めようとは思っていたけど、勝ったら必然と声が掛かると思うから。まぁ1回か2回、負けるまではお金も貰えるし、続けようかなってぐらいだけど。うん、柔術の方が楽しいです」

──では柔術も含め、格闘家として横山選手の目指すところは。

「柔術ジムの繁栄、柔術業界の繁栄ですね」

──……(苦笑)。では競技者としてムンジアルやADCCで勝つということではなくて?

「ムンジアル、アブダビはもの凄く出たいです。だから、もの凄く頑張らないといけないと思っていますけど、MMAに出ながらデキるもんじゃないんで。取りあえずMMAで勝っている以上は、国内で回りのためにも頑張る方が利口なのかなって思います。お金も貰えますし」

──ムンジアルに出ようと思えばポイントを稼ぐために、遠征資金も必要になってきますしね。

「そうッスね。RIZINとかで戦えば、国内で柔術をやるよりもお金になるんで。金もらってから、どうしようかなって。取りあえず負けるまではMMAを続けないといけないのかなって思っています」

──ところで12日のDEEPで盟友の鹿志村仁之介選手がバンタム級初陣で雅駿介選手と対戦します。

「あぁ、まぁこんな感じで一緒にチャラくMMAをやっていますけど、次は鹿志村君──絶対に勝ちますよ」

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MMA MMAPLANET NEXUS29 o 山本空良 横山武司

【NEXSUS29】記念大会に相応しいメインは横山武司がが山本空良に辛勝、フライの浜本と共に新王者に

【写真】 マイクで語る新バンタム級チャンピオン横山武司(C)MMAPLANET

7日(月)に東京都文京区の後楽園ホールでNEXUS29が開催された。

ネクサスにとって初の後楽園ホール大会レポート最終回、2つのタイトル戦の模様をお届けしたい。


<NEXUSフライ級王座決定戦/5分2R+ExR>
浜本”キャット”雄大(日本)
Def.2R2分54秒
平井総一朗(日本)

する取り左ローを蹴る浜本、そのローのタイミングで平井がダブルレッグを仕掛けてテイクダウンを奪う。バタフライガードから頭を固められてもシングルレッグで平本が起き上ろうとする。スクランブルで背中を譲って立ち上がった浜本は、胸を合わせて離れる。

浜本は近い距離で右エルボー、ここから首相撲に入るタイミングで平井がボディロックテイクダウンを決める。

背中をつけると同時に得意のスイープからスクランブルに持ち込んだ浜本だったが、ケージに押し込まれウィザーも右足を抱えられて倒される。浜本はすぐに起き上るも、平井が背中に飛び乗り寝技に持ち込み背中をマットにつけさせられる。ここもスクランブルに持ち込み、浜本がヒザをボディに突き刺す。

嫌がって離れた平井のボディを叩き、左フックを浜本が決める。平井はここでも首相撲狙いを大外刈り投げる。しかし、腹ばいなってしまい体を起こした浜本がバックへ。

とらせず立ち上がった平井だったが、右ストレートを被弾してダウン。ハーフの平井は潜ろうとして鉄槌を落とされ、懸命にZハーフからハーフバタフライで正面でガードを取る。浜本はや前のめりポスチャーながら、鋭い右のパウンドを落とし初回が終わった。

2R、打撃の間合いから平井は組んですぐに引き込むが、このタイミングで浜本がマウントを奪う。殴られながらも平井が背中を向けてスクランブルを狙うと、浜本ががぶって立たせない。

再び下になった平井のニーシールドはヒザの位置が腹に近くスペースを創ることができない。

浜本は右のパウンドを打ちつけ。背中を見せた平井を殴り続けると、レフェリーが試合をストップ。平本がその腰にフライ級のベルトを巻いた。

<NEXUSフェザー級選手権試合/5分2R+ExR>
横山武司(日本)
Def.2-1:20-18.19-18.19-19
山本空良(日本)

開始直後はサウスポーの横山とオーソドックスの山本が、前手ではたき合う。ここからチャレンジャー横山が左ハイを蹴り、チャンピオン山本は左ミドルから右ローを返す。右ミドルをキャッチされそうになり、右フックを振って離れた山本は左ローを蹴られ、左ハイをブロックする。

さらに左ミドルを続けた横山は、山本が距離を取ると左足を取りながらロールして足関節へ。山本がヒザを曲げて対処してきたところで、後方回転から上を取った横山がもう左足を取ってサドルから内ヒールへ。

山本は鉄槌を落とすと、腹ばいになろうとした横山の足を捌く。横山はここでトップを選択しスイープを完成、山本の足首を掴んで上攻めに転じようとするが、エルボーを頭頂部に受ける。

横山が頭を上げると、山本が内掛けから内ヒールを仕掛ける。横山は絡んで足を解除しつつ、山本の右足に両足を絡めつつ、反転してここも上を取る。山本は前転してヒザ十字を狙うが、潰されて背中をマットにつける。

足を束ねてコントロールしようとした横山は、下からエルボーを連続で打たれて、頭部をカットする。立ち上がった横山は、草刈りスイープに尻もちをつかされるが、残っている足を抱えてヒザ十字→トーホールドを極めにかかる。

一度はヒザを畳んだチャンピオンだが、横山がもう一度伸ばしに掛かる。山本はこれも防いで立ち上がる。横山も続こうとしたが、引き込みなおすと、レフェリーがブレイクを命じドクターチェックが入る。

横山はこの時、頭部をメルセデスのスリーポインテッドスターのように三又でカットしており、相当な流血が見られた。

それでも試合は続行され、シッティングで詰め寄る横山に顔を蹴ってこいと挑発した山本がパウンドを狙ってガードの中に飛び込んだところで初回が終わった。

2R、距離を取る山本に対し、横山は後ろ回し蹴りで牽制する。さらに蹴りを多用すると、ケージを背負った山本に組みつく。山本はここでギロチンから引き込むが、そのタイミングで足を抜きに掛かっていた横山に対し、正対するために尻もちをついた状態で金網を背負う。

右足が胡坐の形でマットにつき自由が利かないチャンピオンは、左足ヒザ裏から下半身をリフトされ、背中をつかされる。

当時に頭を抜かれると、ハーフから潜って足関節狙いの山本に対し、横山は左足を畳んで座る。

ニーシールドの山本の下からのパンチを効かされた感もあったチャレンジャーは、枕で圧を掛けて潜りを潰すと、足をすくおうとしたままで顔面ががら空きの山本を殴っていく。

さらにエルボーを打ち、足を振り上げ、手を伸ばして隙間を創ろうとする山本から、横山はヒザを滑らせて、マウント。背中を見せた山本のワキをすくい、肩固めを仕掛けつつマウントに移行する。シザースを耐えた横山は、ハイマウントから腕十字を仕掛ける。

相当にタイトに見えたが、ヒジを抜いた山本に対し、横山はハイガードから三角にトライする。尻もちをつき、胸を張って防いだ山本が足関節へ。反転して逃れた横山にヒザ十字を仕掛けた山本は、結果的に取ろうとした足を畳まれ、自らの左足をレッグドラッグ的に潰される。

パスガードを決め、サイドを取った横山はタイムアップと同時に、左手を挙げて勝利をアピールした。結果、20-18、19-18、19-19のマジョリティ判定で横山の右手が挙げられた。

新チャンピオンはベルトを肩に掛け、しゃがみこむと幼少期に空手を始め格闘技の道に導いてくれた父への感謝の言葉と、結婚することをマイクで話し──その父・横山和忠、兄・横山大鋳の黒帯3人で勝利を喜んだ。その一方で敗れた山本陣営はカットでドクターチェックがあった初回を取れていないとする20-18のスコアに対して、不服があることを隠そうとはしなかった。

後楽園ホール大会を実現させたネクサス。ネクスト・サクセスを目指すうえでもタイトル戦は5分3Rを用いる──それだけ成長していることは、間違いない。


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MMA MMAPLANET NEXUS29 o UFC キック ジェイク・ウィルキンス チョン・ダウン 寿希也 小森真誉 島村裕 栁川唯人 河名マスト 河村泰博

【NEXUS29】初の後楽園大会(02) 河名マスト、2Rドロー後に寿希也が続行不可能でTKO勝ち。栁川は金星

【写真】泣き崩れた寿希也に一言声を掛けた河名。こういう勝負を手にするのは、キャリアを構築するうえで非常に大切になってくる (C)MMAPLANET

7日(月)に東京都文京区の後楽園ホールでNEXUS29が開催された。

ネクサスにとって初の後楽園ホール大会レポート第2 弾は、中盤戦3試合の模様をお届けしたい。


<フェザー級/5分2R+ExR>
栁川唯人(日本)
Def.2R3分53秒by RNC
島村裕(日本)

10月の川越大会でプロデビュー=RNCで一本勝ちしたばかりの栁川が、キャリア27戦目の島村と対戦。ネクサスでは昨年12月に小森真誉に敗れ、Gladiatorでは1勝1敗──直近の試合で中川晧貴に判定負けを喫している島村としては、何があっても落とせないマッチアップだ。

試合は開始直後から、両者が左右のフックを交換し激しい打撃戦に。そのなかでサウスポーの島村のガードが下がり、栁川の右を被弾し下がる場面も。ここからのテイクダウン狙いも反応し上々の立ち上がりとなった栁川も、左を打つ際に防御が甘くなり右をヒットされる。

直後から島村の左インサイドカーフで前足を削られるようになった栁川が、前に出られないように。さらにローを受けるとパンチも被弾するという悪い流れに、陣営から「自分の距離から、前に出る」というアドバイスを受けた栁川が右ボディストレート、そこにテイクダウンを織り交ぜるなかで顔面へのパンチの距離感も戻って来る。

それでも左はガードが落ちる栁川だが、左を打たれた直後に右を打ち返し、足を止めての打ち合いはどちらが効かされてもおかしくない展開に。ここからケージ際のクリンチの攻防で初回が終了した。

2R、左と右の打ち合いのなかで、右を当てる栁川が攻勢のなか島村は組んでボディロックの状態に持ち込む。島村の大内を小外で切り返した栁川がトップを取り、ニーシールドにも右のパウンドを落とす。栁川が立ち上がると、島村もレッスルアップから左腕を差してスタンドへ。

離れた両者、勝ち切るための打撃戦は根性勝負となり、ついに栁川は右の際にもガードが疎かになる。ノーガードに近い打ち合いは、栁川が右ではなく左フックを島村の右に合わせてダウンを奪う。

即レッスルアップからシングルに出た島村だったが、栁川が切ってバックに回ると両足をフックして殴る。

RNC狙いを一度はリストコントロールで逃れた島村だったが、続くアゴの上からのRNCをずらそうとした際、口を開いたような形でセットアップされ──タップを強いられた。絞めでもフェイスロックでもない、いわばマウスクラッシャーのような形で栁川が金星を挙げた。

<ライト級/5分2R+ExR>
ジェイク・ウィルキンス(米国)
Def.1R1分59秒by TKO
キム・ハンオル(韓国)

UFCファイター=チョン・ダウンを帯同したキム・ハンオルに対し、ウィルキンスが右インローを蹴る。さらに右ミドルハイ、続いて左カーフと蹴りを続けるが、その蹴り終わりに右を合わされる。

振りの大きな右フックにも、左ストレートのカウンターを狙ったキムは右リードフックを振るい、蹴りの距離を潰していく。首相撲に取ったウィルキンスは首を抱えて背負い投げ一閃、背中からキムを落とすと袈裟からストレートアームロックへ。

腕への危機は解除したキムだが、右腕の自由を奪われた状態で頭を抱えられており身動きが取れない。動けないキムに対し、ジェンキンスは左のパンチを連打するとレフェリーが試合を止めた。「戦える」と抗議するキム。その気持ちも分からないでもないが、有益な防御を取ることができておらずストップは致し方ない。

<フェザー級/5分2R+ExR>
河名マスト(日本)
Def.2R5分00秒by TKO
寿希也(日本)

互いが「大勝」を口にしてのケージインとなった注目のフェザー級の一戦。タッチグローブ直後に仕掛けた河名だが、左を差しにいったところで首を巻き込まれ前方に姿勢を乱す。自らはスプロールしトップを取った寿希也は、奇襲を見事に逆手にとった形でエルボーを打ち下ろす。立ち上がり、河名のレッスルアップ時にも頭を抑えて右ヒジを入れた寿希也が、右ストレートをヒットさせる。

それでも河名は前に突進、この動きに寿希也は姿勢を乱し尻もちだけでなく背中をキャンバスにつかされた。河名は右足をホールドして殴っていくが、蹴り上げられて動き止まる。

寿希也は左右の蹴り上げを続ける。河名は足を捌いて抑えにいくも、寿希也はクローズドガードに取る。後方回転し亀になった寿希也は素早く立ち上がり、ダメージが残っているのか河名はバックを維持できない。

離れた寿希也に左を当てた河名が、組みを嫌がり離れた寿希也が姿勢を乱したところでパンチを続ける。ここで河名が組んで小手を決めて投げを打つ。左手をマットにつけた河名に対し、寿希也はその手首を取って引きつつ左腕を差し込む。両者が腹ばいで同体になり、スタンドへ。

互いに左腕を差した状態で寿希也の小内刈りが決まり、河名は下に。それでも必殺のウィザーから腰に寿希也を乗せて浮かせると、スタンドに戻り胸を合わせる。続くシングルを切って離れた寿希也が、逆に組んでいきシングルから右腕を差しつつ小外刈りへ。

腹ばいになった河名は起き上った直後に左エルボーを決めた。距離を取り直した両者、寿希也の右を受けた河名が姿勢を乱す。すかさず寿希也はダブルレッグを仕掛け、テイクダウンを奪う。

背中を預けて立ち上がった河名は、後方から左ハイキックを受けそうになり前を向き、両者が間合いを取りなおす。河名の右前蹴りをキャッチして右ストレートを打った寿希也は、前に出てきたところでスピニングバックキックを決める。

河名も怯まず左フックを振るい、寿希也の小外からシングルレッグを潰し、ヘッドコントロールへ。強引に投げを打った寿希也は下になり亀の態勢も河名を落とそうとし時間を迎えた。

2R、寿希也は手を合わすだけでなく、ハグを求めて試合再開。ボディロックに首を抱えて投げを打とうとした寿希也に対し、河名が後方への投げを豪快に決める。右手をついて危ない落ち方をした寿希也はバックコントロールに立ち上がってキムラを狙う。

河名は慌てず前方に崩すとキムラを諦めた寿希也が背中を自らつけるように引き込む。その刹那、河名が強烈な左エルボーを振り下ろす。この一発で右目尻をカットした寿希也は、蹴り上げから距離を創ろうとする度に、河名が空間を潰してガードの中で抑える。

寿希也が右足を払いあげ、スイープ狙いから立ち上がったところでドクターチェックが入った。再開後、左→右をヒットした寿希也は、それでも前に出てくる河名のボディロックに首を巻き込んで投げを決める。続くスクランブルでバックに回り、両足をフックすると腹ばいになった河名の背中が伸びる。上を向こうとした河名に対し、寿希也は絞めを狙う。

河名も譲らず、もう一度うつ伏せになって寿希也を振り下ろそうと腰を上げる。左足で太腿を蹴り、背中を伸ばそうとする寿希也──ここで激闘の10分が終わる。ジャッジの裁定は20-18、18-20、19-19でドローに。

激闘は延長戦突入と思いきや、傷口のチェックを再度受けた寿希也は、ドクターの指さす方向を追うことがデキず、ドクターストップに。2R終了時、河名のTKO勝ちという裁定が下った直後に寿希也は声を挙げて涙を流した。

ドローの裁定が下った直後、自陣で腰を下ろしてしまっていた寿希也。判定勝ちでもおかしくない戦いを繰り広げ──気持ちが途切れていてしまったかもしれない。とはいえ、この両者の対戦はタイトルマッチでも2R&延長Rのネクサスにあって、最初から3R制が見たいと見る者が思ったに違いない激闘、再戦は必至か。

続いてNEXUS バンタム級挑戦者決定戦で森永ユキトが、咲間“不良先輩”ヒロトを3-0の判定で下し、チャンピオン河村泰博へ王座挑戦が決定。解説を行っていた王者はケージに入ると「こんな試合をしているようじゃ、俺には勝てないよ」と森永を切って落とした。

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MMA MMAPLANET NEXUS29 o プロレス 修斗 堀友彦 大石真丈 小倉卓也 山田峻平 手塚基伸

【NEXUS29】山田峻平代表の晴れの日=初後楽園大会(01)53歳、大石が小倉の腕十字に敗れる

【写真】 ネクサス初出場の木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅が、ここから引き込んでパワーチョークで秒殺勝利(C)MMAPLANET

7日(月)に東京都文京区の後楽園ホールでNEXUS29が開催された。

月曜日、午後6時スタートながら12試合がマッチアップされた今大会は2014年9月の旗揚げより8年、新宿FACEのリング大会からGENスポーツパレスのケージ大会、プロだけでなくセミプロ、アマチュア、キッズと総合プロデュースをしてきた山田峻平代表にとってまさに晴れの日となった。

そんな想いが詰まった記念すべきネクサスにとって初の後楽園ホール大会レポート第1弾は序盤戦の3試合の模様をお届けしたい。


キッズのオープニングファイトから本戦時間内に組まれた同大会、まず岩松哲也が98秒で秋山佑史を下し、堀友彦が2018年9月のGrachanで手塚基伸を下して以来──実に4年2カ月振りに実戦復帰を果たした。

40歳になった堀と対する大谷啓元は下派、ハーフからワキを差して上を取る動きを得意としており現在ネクサスで3連勝中の選手だ。

<バンタム級/5分2R+ExR>
堀友彦(日本)
Def.3-0:19-18.19-18.19-18
大谷啓元(日本)

左ハイを蹴った大谷は間合いを測るなかでダブルレッグへ。頭を巻いた堀が上を取るが、下から煽ってバランスを崩させた大谷は背中に回ってワンフック、さらに左足もフックしてバックグラブを完成させ、初回をリードした。

2R、ミドルをカットした大谷に、右ストレートを伸ばした堀がシングルを切る。引き込んだ大谷はハーフを取り、左腕を差してシングルレッグを狙うが、察知されディープハーフからバックを伺う。ワンフックの半身状態から背中に回っていった大谷に対し、堀は後方へのエルボーで顔面を痛打し胸を合わせることに成功する。

左足を両足で挟まれたまま立ち上がった堀は、ボディロックで後方に倒され尻もちをつかされる。が、大谷も上を取っているわけでなく背中をつけており、ここも背中に回ろうとする。尻をずらして上体を起こそうとした堀は、逆にシングルに切り替えた大谷のバックを伺う。

右足を挟んだまま引き込み、ディープハーフから煽ろうとした大谷だったが、命綱といえる右足のフックが外れ、完全に背中を取られる。

掘はフック無しRNCを仕掛け、後方に倒れ込む。乗り過ぎで足もフックもないため、大谷はマットに背中をつけて絞めを解除したがトップを譲り左右のパンチを被弾。ハーフからスイープを狙うも返せず時間に。

延長有りのネクサス、通常興行なら19-19が妥当だが、今大会は会場の使用時間の制約が厳しいこともあり、10-8を積極的につけられる取り決めが事前に行われていた。そのことは出場選手にも伝えられており、晴れの日=後楽園ホール大会仕様スコアにより、ジャッジ3者とも19-18で堀を支持した。

40歳の堀の勝利後、ケージインしたのは39歳の小倉卓也と3週間後にはついに54歳を迎える大石真丈だ。

<バンタム級/5分2R+ExR>
小倉卓也(日本)
Def.1R2分26秒by 腕十字
大石真丈(日本)

今年の4月に高阪剛が52歳で引退したケースを始め、過去に50代のビッグネームが一度現役を退くなど長いブランクの後に試合を行うケースが存在しており、大石は決して最年長MMAファイターではない。スキップ・ホールのように57歳でMMAデビューして62歳まで7試合を戦った選手もいる。

2010年にカナダのジョン・ウィリアムスが70歳で、49歳の元プロレスラーを相手に一度だけMMAを経験している。このウィリアムスが最高齢プロMMAファイターとされているが、大石のように継続的にMMAを戦い続けてきたのは36歳から54歳になる41日前まで17年間5ケ月戦ったダン・スバーンぐらいだ。

対して大石は1993年11月25日にプロデビューし、24歳からこの日まで毎年──29年間に渡り実戦を経験してきた。まさに鉄人のなかの鉄人といえる。その大石は小倉の左をブロックして、ダブルレッグで飛び込むように右をヒットさせ、左ローを蹴っていく。

しかし、続くシングルレッグを切られ小倉にがぶられる。ツーオンワンから立ち上がり、ヒザを見せた大石は左ジャブに右を合わされ後ずさり。ここからのシングルも切られ、引き込むがエルボーを被弾してパスを許す。

小倉は落ち着いてサイドからステップオーバー、右腕を伸ばし腕十字で一本勝ちした。

続いてバンタム級で中桐椋輔が岡元飛龍に左の蹴りを有効に使い判定勝ちを収めると、修斗ストロー級7位の木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅がネクサス初戦を迎えた。

<ストロー級/5分2R+ExR>
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)
Def.1R0分21秒by ギロチンチョーク
楠美貴嗣(日本)

右を振るって組んでいった楠美が、木内をケージにつめてダブルレッグへ。右手の下に頭が入ると、木内は右腕を深く喉下に差しいれRNグリップへ。

そのまま引き込み楠美の右腕ごとクローズドガードに取る。絞めつけ、足の四の字に組んだところで楠美が落ち、直ぐに勝負が決した。

秒殺一本勝ちの木内は対戦相手がなかなか決まらなかったなかで、試合を受けた楠美に感謝の言葉を述べ、ストロー級王座奪取を宣言した。


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【NEXUS29】河名マスト・シーズン02開始=寿希也戦へ。「改めてNEXUSから駆け上がりたい」

【写真】組みに対する自信が、打撃への不安を大いに凌駕している河名(C)MMAPLANET

本日 7日(月)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるNEXUS29で河名マストが、寿希也と対戦する。

8月5日のLFA138でアライジャ・ジョンズに敗れた河名が、4カ月ぶりにケージインする。仕切り直しの舞台はデビュー戦を行ったNEXUS――記念すべき初の後楽園ホール大会だ。

ジョンズ戦までをフェイズ01とした河名は、プロMMAファイター人生シーズン2のスタートを迎える一戦に向け、口調こそ穏やかだが寿希也に負けないほど、自信に満ち溢れていた。


――8月のLFAにおけるアライジャ・ジョンズ戦で黒星。試合前にジョンズ戦までがフェイズ01でレスリングで勝つというMMAから、その後はフェイズ2に入るという話をされていました。その後、何か変化したところはありますか。

「大きく変わったところはないと思いますけど、これまではとにかく抑えて固めることしかできなかったので、試合でもそれを徹底してやっていました。今は抑え込みだけでなく極めに行ったり叩いたりだとか。抑え込みのなかでのバリエーションを増やすというか、ただ上に乗っているだけじゃないぞということをやってきたというのはあります。

もちろん入るところも打撃を出しながら組む、相手の打撃をかわして組むとかもやってきました。それほど攻撃手段が増えたわけではないですけど、もともとあったテイクダウンだけというのよりは増えました(笑)」

――入り方も磨いてきたと。

「そうですね。レスリングにつなげるため。当てるためでなく組むためのパンチ、組むための足の動きとか意識してやるようにしています」

――ジョンズ戦で被弾しても、凄まじい根性で打ち返した。そういう打撃ではないと?

「アレはアレで、貰っても大丈夫というのが自分にあったので。試合のなかで、気持ちを変化させることができて……『もらっても大丈夫』というとアレですけど。そういうパンチでした。今はディフェンスをしながらも組むことを主体にパンチを出す。パンチも狙っていると当たらないと思うので、組むためのパンチが当たればそれはそれで良いと考えています」

――ではLFAを経て、再びNEXUSで試合をしようと思ったのはなぜでしょうか。

「僕自身、これまでと同じで国内でどこかにこだわりがあるというわけではなく、八隅(孝平)さんに話があればトライするというのがフェイズ01でした。そしてフェイズ02のスタートも、改めてNEXUSから駆け上がりたいというのがあります」

――対戦相手の寿希也選手の印象を教えてください。

「ホントに試合を見たままで。柔道が強いけど、打撃が好きな選手です」

――怖いもの知らずにも感じます。

「ワンツーとカーフを上手く組み合わせていて。でも、グラウンドでの対処の仕方は付け入る隙があると思います。山本空良選手にもバックの四の字フックを叩きつけようとして。そこでチョークを取られた。あの経験をして、怖いもの知らずからどう変わったのか。低く見積もるつもりはないです」

――気を付けるべき攻撃は?

「やっぱり打撃じゃないでしょうか。あっちとしては打撃をやりたいと思うので。LFAの僕の試合を視ているのなら、テイクダウンを切って打撃を出していれば勝てると思っているでしょう。それを遂行しようとするはずです」

――組み技主体の選手は、その強さで試合の優劣が決まることがままあるかと思います。寿希也選手と組み技勝負になれば、純粋な組み技力が勝負になるのかと。

「アッチとすれば触られたくないかと思います。僕は触れば勝てる。彼の柔道の組み技は意識はしていないです。怖くはないので」

――ではいかに組めるのか。そこが勝負になると。

「ハイ。成長の跡を見せるためには、殴られないで組むところを見せたいですけど5分2Rですし、一発打たれても組んでドミネイトすれば……怖さはないです」

――ところで先日のRoad to UFCで盟友の中村倫也選手は勝利しましたが、松嶋こよみ選手が判定負けを喫しました。2人の試合から、何か想うところはありましたか。

「倫也に関しては能力的にも、取り組み的にもあのトーナメントは行けると思っているので、この間の試合に関しては100パーセント勝てる……安心して見ていられました。こよみさんに関しては、あれだけの取り組みをしていても、あの判定になっちゃうのかと。あの負けは悔しいですけど、あそこまでやっている人なので、これから運が味方することもあるかもしれない。そういう風に思わないと、僕としてはつらいです。そうでも思ないと、あの負けに納得できないというのはあります」

――取り組みということを口にされましたが、では河名選手の取り組み方は彼らと比較して、どのように自己評価できますか。

「それを考えると、彼ら2人が自分自身に課しているモノにはまだ追いつけていないとお思います。考え方の違いもあるかと思いますけど……キツイ時にその状態を乗り越えて練習するのか、キツイ時にはリセットして次の練習に新しい体と気持ちでリフレッシュして取り組むのか。そういう風に考えると、僕は後者です。前者のキツイ時に厳しい練習を課すという点においては、まだまだだと思います」

――仮に試合で厳しい場面になった時、その考え方の差が影響を及ぼすと思いますか。

「もちろん1回、1回の練習の一つ一つの場面が、試合でも起こると思います。でも練習の頑張りと試合中の頑張りは別物だと思っています」

――ならば中村選手や松嶋選手と比較する必要はないかと。

「そうですね。やるべきことはやっているので」

――NEXUSで戦う。2023年に向けて、キャリアップはどのように考えていますか。

「もう1回、米国にトライするためのキャリアを積みなおします」

――ではRIZINのケージ大会へのオファーがあると?

「八隅さんと話し合います(笑)。それはどこの団体からのオファーも同じです。僕が米国で戦うには、どの道が一番の近道かということを話し合いながら試合を決めて行こうと思います」

――米国への再挑戦、時期的にはいつ頃を想定していますか。

「夏ぐらいですかね。もう1回、LFAで今年と同じような時期に挑戦したいです。だからそういう風に考えていると、日本で戦うのも契約期間などを考える必要はあるかと思います」

――LFAを経験したことで、何か得るモノはありましたか。

「もちろん完敗を喫したのは事実です。圧倒的にやられました。でもLFAでタイトル挑戦経験もあり、UFCと契約できるかも知れない選手と戦って――あそこは手が届かない場所ではないと自分のなかで思えました。そう考えると、あそこをゴールにしてはいけないと思うし。乗り越えていくためにも、自分自身に期待して実現させたいです」

――そこを考えると、今回の試合はどのような戦いをしないといけないと思っていますか。

「この試合は河名マストのMMAシーズン2の始まりなので、シーズン2をより充実したモノにするために必ず圧倒し、ボコボコにしてレスリングで勝ちます。ぶっちぎって圧倒的に勝ちます」

■ NEXUS29対戦カード

<NEXUSフェザー級選手権試合/5分2R+ExR>
[王者] 山本空良(日本)
[挑戦者] 横山武司(日本)

<NEXUSフライ級王座決定戦/5分2R+ExR>
浜本”キャット”雄大(日本)
平井総一朗(日本)

<バンタム級次期挑戦者決定戦/5分2R+ExR>
咲間”不良先輩”ヒロト(日本)
森永ユキト(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
寿希也(日本)
河名マスト(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
ジェイク・ウィルキンス(米国)
キム・ハンオル(韓国)

<フェザー級/5分2R+ExR>
島村裕(日本)
栁川唯人(日本)

<ストロー級/5分2R+ExR>
木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(日本)
楠美貴嗣(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
中桐涼輔(日本)
岡元飛龍(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
堀友彦(日本)
大谷啓元(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
大石真丈(日本)
小倉卓也(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
岩松哲也(日本)
秋山佑史(日本)

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【NEXUS29】「アイツと対戦するやろうなって」&「負ける要素は一切ない」 河名マスト戦へ、寿希也節全開!!

【写真】後光もさす、寿希也節。不言実行は伝えようがないので、有言で実行しようとしている選手は大歓迎です(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(月)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるNEXUS29で、寿希也が河名マストと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

プロデビュー以降、ビッグマウスとともに3連勝した寿希也は、今年5月にフェザー級王座へ挑戦したものの、王者の山本空良に敗れている。今回は再起戦となるが、相手は元グレコU-23世界王者の河名マストだ。強豪との連戦に、寿希也は何を思うのか。そんな彼は意外なMMA観の持ち主だった。

と同時に、止まらないビッグマウス。敗北を振り返るのも、河名との対戦にしても『俺様振り』が止まらない寿希也節を堪能してもらいたい、


――試合に関するお話の前に……まず寿希也というお名前の由来から教えていただけますでしょうか。

「お父(おとう)が辰吉丈一郎のファンで、辰吉の息子と同じ名前をつけたと聞きました」

――やはりそうですよね。寿希也選手は3歳から柔道をやっていたそうですが、辰吉さんのファンであったお父さんは、ボクシングを習わせようとは思わなかったのでしょうか。

「柔道を始めたのも、幼稚園の時に自分が泣かされて帰ってきたのがキッカケらしいんですよ。兵庫県たつの市の出身で、周りにボクシングジムはなかったんですけど、何か格闘技はやらせたかったんでしょうね。お父は柔道も好きやったんだと思います。それで少年柔道教室に連れて行かれて。僕は泣き虫やったから、根性つけさせるために柔道を始めさせたという感じでしたね」

――ボクシングに限らず、当時は柔道以外のスポーツに興味はなかったのですか。

「小学校6年間は、柔道と並行してサッカーもやっていました。中学校の時はサッカーで、市の選抜や県の選抜になっていたぐらいだったんですよ。柔道も小学校の時に県3位になったりとか。それで中学校の時に、柔道を選びました。スポーツは柔道とサッカー、あと水泳ぐらいしかやっていないです」

――「ぐらいしか」、ではないです(笑)。それだけ子供の頃からスポーツをやっていると、体は強くなるでしょう。

「いや、体が大きくなったのは大学に入ってからです。高校を卒業する時の体重が、58キロぐらいでしたからね。周りと比べてもメチャクチャ小さくて、だから技術、技術っていう感じで試合をしていました。でも高校では県大会にすら出られなくて。それでも親を全国大会に連れて行きたくて、大学に入って柔道を続けようと思ったんですよね。そうしたら大学時代に急に成長期が来て、体重が70キロを超えました」

――大学に入って体を鍛えたということではなく、自然と大きくなっていったのですか。

「それもあるし、あとは自分も高校までは、柔道をやらされていたっていう感じやったんですよ。柔道は好きやけど、そこまで考えてやっていなかったというか。でも大学に入ったら寮生活が始まって、ちゃんと柔道をやらなダメやと思ったんです。そのために大学へ入ったんやからって。大学に入ってから体づくりもメンタルづくりも勉強して、大学1年生の時に日本武道館へ行きました」

――全国大会に出場したということですね。ただ、子供の頃から柔道、サッカーそして水泳をやっていると、体の内部も強かったのではないですか。

「もともと運動神経は抜群でした。小さい時から、相手の動きを見たらそれをコピーできる能力があったんですよ。漫画みたいな話で、言葉で説明するのはメッチャ難しいですけど」

――柔道時代は、誰の試合を見ていましたか。

「野村忠宏さん(柔道でオリンピック3連覇)です。他にも強い選手の試合は、全部見ていましたけど、野村さんは神様ですよ。一つの技を磨いて、背負い投げが代名詞になって。柔道にはいろんな技があるのに、あれだけ一つの技を突き詰めて世界で勝つとか。そういう柔道がメッチャ好きでした」

――なるほど。山本空良戦では敗れはしたものの一本背負いで相手を投げる場面もありました。一方で現在、MMAでは参考にしている選手はいますか。

「堀口恭司です。MMAに関しては、才能や感覚で戦うというのは、ちょっと違うと思うんですよ。試合では機械的に動いて、考えていることをそのまま出す。感情をまったく出さない。そういう選手が一番強いと思っていて、その一人が堀口恭司なんですよ。試合を見ているとシンプルにカッコいいし。あとはキム・スーチョルですかね。キム・スーチョルの動きは、MMAとして完成形やと思っています」

――キム・スーチョルですか! 当たり前の話かもしれませんが、完全にMMA思考ですね。柔道出身ということで、参考にしている選手として柔道ベースのMMAファイターの名前が挙がると思っていました。

「僕は柔道時代のプライドを全部捨てたので。元柔道家って言われるのが好きじゃないぐらいなんですよ。それはバックボーンにすぎないし、だから強いっていうわけじゃなくて。柔道やっていたから四つが強いとは限らない。それはレスリングも同じじゃないですか。MMAはMMAやと思うんで、バックボーンは気にしないです」

――その考え方は、MMAを始める前から持っていたものですか。それともMMAを始めから、そういった考えになってきたのでしょうか。

「柔道でオリンピックを目指そうと考えた時から、こういう考え方になりました。どうやったら強くなるのか。それだけで。言葉で表現するのは難しいですけど……」

――それは考えながら試合をするというより、常日頃から考えていることが試合ですぐに出るよう、染み込ませておくということですか。

「僕は両方ですね。パッと持っていくところは持っていきます。それは野性的な感覚だと思うので。壁際の攻防だったり、コンビネーションだったり……あるいは練習の時のパフォーマンスを、どれだけ試合で出すことができるか。それは日頃から考えていないと、できないことなので」

――プロ3試合目で唐沢タツヤ選手と対戦し、下から三角で捉えたあと、パウンドを連打しながら腕を伸ばして仕留めました。あの流れるような一連の攻撃は、試合を進めながら考えたものだったのですか。それとも体が勝手に反応したのでしょうか。

「唐沢戦は……実は当日計量で脱水状態になっていて、入場の時に足がつっていたんですよ。」

――えっ、そうだったのですか!

「試合を見返してもらったら分かると思うんですけど、マウントを取られている時に僕は手で足を伸ばしているんですよね。試合後にネットで『寿希也はテイクダウンを取られるとか、腰が強くない』とか書かれていて。そうじゃなくて、足がつっていたんですよ(笑)。足に力が入っていなかったです」

――……。

「でも1Rに、上を取ってパンチを打っていたら、相手が自分の体の真ん中に頭を入れてきていたんですよね。僕は三角が得意だったので、インターバルの時にセコンドへ言ったんです。『足に力が入らないので、テイクダウンに来たら下になって、ヒジを出しながら三角を狙います。だから時間を教えてください。その時間で判断しますから』って」

――足に力が入らない状態で三角を狙ったのですか。

「あれは足に力を入れていないです。打撃をメインにして、相手の動きに合わせて足を組んだんですよ。ただ、あれでは極まらないと思ったので、切り替えて上になりました。それで三角ではなくストレートアームバーで極めたんですよ」

――足に力が入らない状態で勝利できたことは、ご自身の中で自信になったのではないですか。

「いや、僕は最初から自信あったので(笑)」

――アハハハ、では次のタイトルマッチで山本空良選手に敗れたことについては……。

「試合内容については、どう見ても途中まで自分が勝っていたと思うんですよ。もちろん結果は負けたので、言い訳はしないです。でも、あれだけRIZINで活躍している選手を、MMAを始めて間もない自分が打撃で攻めることができたので。それに山本さんがどれだけ体が強いといっても、僕のことを漬けることができたかといったら、そうじゃない。僕が立って、盛り上げようと投げに行かなかったら、そのまま僕が勝っていたと思うので」

――2Rにバックを取られて立ち上がった時、寿希也選手が相手を振り落とそうとしていました。あれは試合を盛り上げるためだったのですか。

「そうです、投げられるかなかと思って(苦笑)。あれは山本さんが巧かったですよね。経験の差です。それは認めます。やっぱチャンピオンやなって。

逆にオイシイと思いましたよ。山本さんは、ずっと活躍しているじゃないですか。自分もワケ分からん選手に負けたわけじゃないので。あれだけの選手に負けたんやったら――と。だって、自分はMMAを始めてから2年ですよ」

――そういえば、まだプロデビューしてから1年半しか経っていないのですよね。

「経験は必要ですよ。MMAは経験が全てだと思うし。やることが多いから、新しい技術を身につけて、試合経験を積んで……。試合でその差が出ます。0コンマ何秒の世界で。だから経験の差はどうしようもないですよ」

――前回の試合から6カ月間で、その経験の差は補うことができているのでしょうか。

「はい、補えていると思いますよ。名前は伏せますけど、今はRIZINに出ているファイターとも練習していて。木曜日はマスタージャパンで、SASUKEさんと一緒に練習させてもらっています。今はSASUKEさんが僕の組みを嫌がっているぐらいで。RIZINファイターの練習でも、僕は負けていないです。

でも、あの人たちは試合感覚が凄いんですよね。あれだけの大舞台で、自分の力を――練習でやってきたことを、しっかり出せる。やっぱりそれは大事ですよ。良い練習ができているだけじゃダメなんやなって。

でもそういう人たちと練習していたり、それこそ山本空良っていう名前のある選手と試合したことで、自信にはなりましたよ。負けましたけど、オレはこれだけ打撃ができるようになったんやと」

――そして、次の試合も名前のある相手との対戦となりました。

「嬉しいですよね。メッチャ楽しみです。アイツが出て来た時から、アイツとは対戦するやろうなと思っていたので」

――アイツ……。

「絶対どこかで試合するわと思って試合はデビューした時から見ていました。強いですよ。僕がKOされたり、グラウンドで一本取られることはないと思います。でも試合運びが巧い。相手を自分の土俵に入れる試合運びが巧いですよね。何より、一つのことを徹底してやってきますから。厄介やと思うのは、そこです。ただ、アイツに負けてきた人たちと自分は違うところがあるので」

――それは興味深いお話です。どういったところが違うのでしょうか。

「それは試合前だから言えません(笑)。一つ言えるのは、ケージ際の攻防と距離ですね。アイツに対して、まだ誰もやっていないことがあるんですよ」

――なるほど。その攻防が試合で見られるのを楽しみにしています。

「それにね、やっぱり自分は格闘技界でまだまだ知られていないと思うんですよ。だから今回勝ったら名前も上がるやろうし……何やろう? 負ける要素が見つからないです」

――負ける要素が見つからない!!

「寝技も強くなっていると思いますよ。ロータス世田谷で練習しているわけやし。ただ、打撃はできないので。今までアイツが対戦した選手やったら、自分は全員勝てます。相手にならないと思いますよ。まぁ、ナンボ言うても試合で結果を出すしかないので、とにかく今は楽しみです」

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【NEXUS29】横山武司を迎え撃つフェザー級王者、山本空良─02─「柔術家の寝技をMMAで圧倒する」

【写真】写真は約11カ月前のRIZIN TRIGGER01での計量のもの。今回の試合は、あれから数えて7戦目となる山本空良(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(月)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるNEXUS29で、横山武司を挑戦者に迎えてフェザー級王座の防衛戦を行う山本空良のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

すでにRIZINでレギュラー選手のポジションを獲得している山本が語る、NEXUSへの愛。そして横山武司を迎え撃つ、MMAファイターとしての心情とは。

<山本空良インタビューPart.01はコチラから>


――2021年にNEXUSフェザー級王座を獲得し、Road to ONEを経てRIZINに参戦します。しかしその初戦で、鈴木千裕選手に判定負けを喫しました。初めての大舞台での黒星でしたが、あの敗戦についてはどのように考えていますか。

「あの試合は、自分のキャリアにおいて一番のミスというか……。自分は試合前に打撃を練習していて、キックボクサーに打撃で勝つと自分にとっても大きな自信になると考えていました。それで負けてしまったのは、ダメなことだったと思います。でもあの試合から、打撃に対する恐怖心もなくなったんですよね。

鈴木選手は打撃が強いし、メチャクチャ速くて。これは海外の選手と同じぐらいのスピードがあるんじゃないか、と思いました。それを感じることができて、負けたにせよ自分の成長を感じることができた試合です。だから、やって良かったなと思います」

――キックボクサーに打撃で勝つ、あるいは柔術家に寝技で勝つ。それはそれで格闘技のロマンだとは思います。しかし……。

「そういうのはありますよね(苦笑)。でも、これはMMAなので。今はUFCファイターのように技術のレパートリーを増やしてきました。もともと自分の技術は精度が低いところもあったので、その精度を高めています。
やっぱりMMAは戦いの自由度が高いと思うんですよ。だから自分も、もっと自由に、いろんな戦いの幅を広げていて。だから今は、MMAが楽しいって思えるような練習ができています」

――そうしてRIZINに出場するなか、今年5月にはNEXUSフェザー級王座の防衛戦を行い、寿希也選手をRNCで下しています。そして次の横山戦が2度目の防衛戦となるわけですが、今の山本選手にとってNEXUSに出場は、どのような意味を持つのでしょうか。

「感謝の気持ちが大きいです。自分はもともとZSTに出ていて、そのZSTが活動しなくなりました。それで、どこに出るか――と考えていて。その時にNEXUSで1試合したあと、すぐに王者決定トーナメントは出せてもらいました。自分を救ってくれて、育ててくれた。だからNEXUSのベルトを持ち続けるのは自分の感謝の気持ちだし、NEXUSも盛り上がるために自分をいくらでも使ってほしいです。

自分なんかが出場して、NEXUSが盛り上がるかどうかは分からないです。でもRIZINで活躍して、NEXUSにも出る。そうやって一緒に成長してきたいと思っています」

――RIZINの試合数が増えても、NEXUSのベルトを返上することは頭の中になかったわけですね。

「はい、返上はないです。今年はNEXUSに出るのが2回目で、これが年1回になることはあるかもしれません」

――最初の話に戻ってしまうかもしれませんが、このRIZINの試合ペースで、さらにNEXUSにも年2回出場していることが驚きです。

「アハハハ。実は7月のケラモフ戦のあと、9月にRIZINでもう1試合してから、今回のタイトルマッチに臨みたいと思っていたんです。ただ、9月はもうマッチメイクの枠がなくて。10月の福岡大会はどうですか、というお話を頂いたんですけど、それだとNEXUSのタイトルマッチが近いので、お断りさせていただきました」

――1年に何試合するつもりだったのですか……。

「もうちょっと休みたいなぁ、と思う時もあります。でも試合に向かうことが好きなので。今回もNEXUSにとっては2022年の締めの大会で、そのメインでタイトルマッチをやらせてもらえることは、すごく嬉しいです。僕はNEXUSの顔になりたいので。

もうNEXUSの顔になっている、って言われることもあります。それなら、もっともっと大きな存在になりたい。僕が活躍することで、NEXUSのファイターがもっとRIZINに呼ばれるようになったら嬉しいですね。目標はNEXUSを修斗、DEEP、パンクラスと並ぶプロモーションにすることです」

――おぉっ!! ただ、その試合サイクルだと、どうしてもリングとケージの違いという部分は出てこないですか。

「そうですよね(笑)。やっぱりケージのほうが好きです。リングで戦うのは良いですし、リングにも良いところはあります。でもパウンドを打たれている相手が、パウンドを避けているうちにリングから落ちてしまったりとか。そういう安全面でも、ケージのほうが良いんじゃないかとは思っていますね」

――それと山本選手がRIZIN TRIGGERで新居すぐる選手をKOした試合を見ても、足さばきがケージ用のものになっているように思います。ケージ際をつたうように下がりながら、相手が追いかけて来たところに右ストレートを合わせて倒すという……。

「ありがとうございます。自分は偉そうなことを言える立場ではないのですが、リングで戦っているRIZINの選手が、ベラトールのケージで戦う時はどうなるのかな、って思います。リングに慣れていると、どれだけキャリアがあっても、ケージの感覚を取り戻すのは難しいのではないかと。

その点ではクレベル×パトリッキーが、大晦日の次にベラトールのケージでどうなるか――ですよね。クレベルもKSWではケージで試合をしていて、今はずっとリングじゃないですか。大晦日もケージで見たかったんですよね……。ベラトールの選手に関して、ケージ際の戦い方が好きなので」

――では次の試合で、ベラトール流のケージ技術を楽しみにしています。NEXUSの話に戻りますが、現在のフェザー級の動きについて気になるところはありますか。特に今大会では、前回の防衛戦で下している寿希也選手が、LFAでも試合をした河名マスト選手と対戦します。

「いろんな選手の名前を聞くのですが、まだ戦績が浅い選手ばかりで。まだ自分を倒すような選手はいないと思っています。ただ、河名選手はグレコの実績があるので、試合したいですね。

自分はアグォン戦やケラモフ戦を見ても、やっぱりレスリング力が足りないと思います。だから河名選手のようにレスリングが強い選手と、どんどん組んでいきたいですね。だから今回、横山選手に勝つことができれば、次は河名選手と対戦したいです」

――今回の対戦戦相手である、横山選手もまだMMAキャリアは3戦です。これまで横山選手のことを相手として意識したことはありますか。

「正直、意識したことはなかったです。もちろん寝技が強い選手という印象はありますし、あれだけ寝技の展開が速い選手も珍しいとは思います。ただ、まだMMAは3試合しかしていない。だから柔術家の寝技を、MMAとしてMMAの動きで圧倒します」

――先ほどの言葉通り、MMAとして勝つと。

「はい。相手は寝技の展開が速いといっても、MMA全体のスピードは自分のほうが速いと思っています。どんどんスクランブルを仕掛けて、寝技に持ち込ませないようにしたり、自分のポジションを取っていったり、とか。スピード、スタミナ、そしてMMA力は自分のほうが上です」

――では最後に、次の試合に向けての意気込みをお願いします。

「今年は試合が多くて、山本空良に成長が見られないと言う人も多いと思います。でも、ケラモフ戦以降、メチャクチャ練習してきました。圧倒的な差を見せつけて、NEXUSのチャンピオンが最強であることを証明します。よろしくお願いいたします!」

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MMA MMAPLANET NEXUS29 o RIZIN UFC YouTube チャンネル 寿希也 山本空良 横山武司 西川大和

【NEXUS29】フェザー級王座防衛戦、山本空良─01─「やっぱり試合数が多いですかね(笑)」

【写真】凄いマイクから、真っ直ぐな擦れていない言葉が多く聞かれた(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(月)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるNEXUS29のメインでは、フェザー級王者の山本空良が横山武司を相手にベルトの防衛戦を行う。
Text by Shojiro Kameike

山本喧一POD会長を父に持つ山本空良は、昨年4月にNEXUSフェザー級王座を獲得。今年5月には寿希也をKOし、王座の初防衛に成功している。RIZINの試合も含め、ここまで1年間で7試合をこなしている山本だが、それだけのハイペースで戦う理由とは。


――今回はZoomインタビューとなりましたが、マイクとヘッドホンが豪華ですね。

「これは会長がYouTubeの動画撮影で使っているものなんです(笑)」

――山本選手ご自身は、YouTubeはおろかSNS全般やっていないですよね。それは何か理由があるのでしょうか。

「恥ずかしいというか、なんか嫌なんですよね」

――現在、日本格闘技界では選手の多くがSNSで自身をアピールしていますし、プロモーターサイドからSNSでのアピールを求められることがあるとも聞きます。もちろん山本選手の年代であれば、SNSを利用している友人も多いでしょうし、YouTuberも人気かと思います。そのような状況下で、山本選手はSNSを活用しようとは考えてないのですか。

「いつかSNSはやろうと思っています。でもYouTubeは分からないですね。何て言うんだろう? 堀口(恭司)選手ぐらい有名になってから、YouTubeチャンネルを始めたほうが良いのかなと。自分はYouTubeに専念したいわけじゃなくて、MMAに専念したいので。だからある程度、格闘技で有名になってから予備でYouTubeを始める――それぐらいならアリじゃないかなと思っています」

――なるほど。

「僕は会長の時代の格闘家が好きで。今見てもあの時代は、息を飲むような試合が多かったと思います。そういう試合をやりたい。エンターテインメントなんですけど、それは面白い、楽しいってことじゃなくて、みんなに格闘技の緊張感が伝わる試合をしたいです」

――格闘技の緊張感を伝えるためには、1試合1試合の濃度も問われるかと思います。その濃度を今の試合ペースで保つことはできているのでしょうか。

「アハハハ! やっぱり試合数が多いですかね(笑)。確かに現代MMAでは考えられない試合数と試合のペースだとは思います。それは頑丈な体を頂いたからこそですね(笑)。大きな怪我もないですし。そう言われると、この試合数だと1試合1試合が軽く見られてしまうこともあるかもしれないです。実際、自分が毎試合マックスの状態で出ることができていないんじゃないかっていう声もあります」

――……。

「そう考えたら試合数を減らしたほうが良いのかもしれないけど、まだ一昨日22歳になったばかりですからね(※取材は10月31日に行われた)。若いうちに、これだけ試合ができるのは良いことだと思っています。

30歳ぐらいになると、1年に2試合ぐらいが限界になるかもしれない。それなら今のうちに経験を積んで、だんだん減らしていったほうが良いのかなと考えています。これだけ試合をやらせてもらっているからこそ、自分も成長できていると思うので。

今は日本でもテレビでMMAを見る機会が増えてきて、そのぶん新しい選手も出てきているじゃないですか。するとチャンスをもらえない選手も増えてくる。そのなかで僕はチャンスを頂くことができているので、それは自分のキャリアにとって大きいです」

――では1試合ごとのパフォーマンスはご自身の中で合格点を出せているのでしょうか。

「1試合ごとのモチベーションは保つことができていると思います。ただ、カイル・アグォン戦(7月2日に判定勝ち)とヴガール・ケラモフ戦(同月31日、判定負け)は、どちらもテイクダウンが強い相手で、どちらも倒されまくりました。

アグォン戦でテイクダウンされた反省をケラモフ戦に生かすことはできていなかったですよね。試合間隔が短いこともあって。そういう面では、『山本空良は自分を酷使しすぎだ』っていう辛口の意見もありました。

でも自分としては、アグォン戦はダメージがなくて。それにカラモフ選手って、自分が対戦したいと言っても、そう簡単に組んでもらえる相手じゃない。だから僕自身は対戦出来て良かったですし、自分の100パーセントを出せていなかったとしても、良い経験になったと思っています」

――その中でも、試合の中で行くべきところと守るべきところの切り替えが、より明確になってきています。以前はいわゆるアグレッシブにKOや一本を狙い続けることが多かったのに対し、今は試合運びの変化――冷静に戦うことができているように見えます。

「試合運びについては、相手のレベルが上がると、まず自分にダメージがあることを見せてはいけない。それは相手も同じですよね。だから去年ぐらいは、自分が相手のダメージを測ることができませんでした。でも今は、セコンドの声がよく聞こえるようになって。セコンドの『行け!』あるいは『今は行くな!』という指示に対して、すぐ体が反応できるようになってきています。

以前は試合の入場時から興奮してしまっていたんですよ(笑)。それが経験を積んだことで、試合中は冷静に戦うことができるようになりました。その冷静さが、試合運びに繋がっているんじゃないかと思います」

――昨年と今年を比べて、練習方法などには変化があったのでしょうか。

「変わったとしたら会長が相手の研究をして、それに基づいた指示をくれるようになったことですね。僕は今まで、試合前に相手の研究をすることがなかったんですよ」

――相手を研究しなくても勝てた、と。

「アハハハ、そんなことは言っていません! たとえば強い選手って、実力の差がある相手には基礎能力だけで勝てるじゃないですか。ウチのジムの方針は、まずその基礎能力を高めようというものなんです」

――それも若い時にしかできない経験ですよね。しかし昨今のMMAでは1つの黒星が以降のキャリアを左右することもあり、選手サイドがマッチメイクに慎重になるケースも無いわけではありません。

「無敗で米国に行ったほうが、ファイトマネーも上がっていくかもしれないです。でも無敗じゃないからって、チャンピオンになれないわけじゃない。負けてもいつか最強になれるなら――UFCのチャンピオンになれるのなら、僕は試合をして経験を積みたいです」

――幼少の頃から練習仲間でありライバルでもあった西川大和選手が……試合は無くなってしまいましたが、そのUFCと契約したと発表された時の心境はいかがでしたか。

「悔しいとか羨ましいとかっていう気持ちは全くなくて、まず嬉しかったです。正直、大和が行けるなら自分もUFCに行けるんじゃないかって思いました(笑)。それは冗談ですけど、最近は日本からUFCと契約する選手も増えてきているので、いつか自分もその流れに乗りたいです」

<この項、続く>

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【NEXUS29】初後楽園はフェザー級T=山本空良✖横山武司、そして寿希也✖河名マストも決定!!!

【写真】 MMAファイターとして完成度の高さを競う一戦となる(C)MMAPLANET

5日(月・現地時間)、NEXUSから11月7日(月)に開催される初の後楽園ホール大会のカード第一弾が発表された。

全階級のタイトルマッチ実施が宣言されていた同大会、まずはフェザー級選手権試合でチャンプ山本空良✖チャレンジャー横山武司戦がアナウンスされた一方で、フライ級王者の橋本薫太が王座を返上──浜本キャット雄大と平井総一郎の間で新チャンピオンが決定する。


バンタム級では挑戦者決定戦=咲間”不良先輩”ヒロト×森永ユキトも決まっているなか、フェザー級5分✖2Rで寿希也✖河名マストの一戦も明らかとなっている。

8月にLFAに挑むもアライジャ・ジョンズに完敗を喫した河名は、LFAとは単発契約で敗れてなおLFAからの評価は高く今後の参戦もあるなかで、まずは国内で仕切り直すことになったようだ。前回の試合までは打撃を抜きし、レスリング力のみでMMAを戦ってきた河名。デビューイヤーを終えキャリア2年目は、MMAファイターとしてウェルラウダ―仕様に仕上げていく第2章のスタートだ。

一方の寿希也は柔道出身で、打撃が切れるファイター。彼もまたフェザー級王者に挑戦したが、山本空良に敗れ仕切り直しの一戦に。この試合を前にしてマスタージャパンでのトレーニングにも参加、彼もまたMMAファイターとして一皮剥けようとしている。そんな寿希也✖河名はタイトルマッチに負けず劣らず、要注目のマッチアップだ。

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