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【UFC290】「アフリカでUFCを開催できるのは南アだけ」。キャメロン・サーイマンに訊く南アのMMA事情

【写真】なんだか高校生と話しているような感じだったサーイマン。南アフリカのアピールが可愛らしかったです (C)MMAPLANET

8日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC290「Volkanovski vs Rodriguez」で南アフリカの新鋭キャメロン・サーイマンがテレンス・ミッチェルとオクタゴン3連勝を掛けて戦う。

ミドル級トップのドリキュス・デュプレッシー、フライ級のJP・ベイスとアフリカ大陸の最南端からUFCに挑むサーイマンが、南アのMMA事情を説明し、今大会の試合とこれから──そしてUFC南アフリカ対決実現への強い想いを話してくれた。


──テレンス・ミッチェルとオクタゴン3戦目を週末に戦います。今の気持ちを教えてください。

「またラスベガスで戦えるということが、とても嬉しい。環境的にも完璧だし、全てがスムーズに行っているよ。インターナショナルファイトウィークで、南アフリカ人ファイターの力を示す機会を得られるなんて本当に光栄なことだよ」

──南アフリカからラスベガスは相当な長旅ではないですか。しかも季節すら正反対です。

「ホント、その通りだよ。30時間飛行機に乗って真夏の砂漠にやって来る。ベガスに合わせるのは、本当に大変だよ。だから2週間前に来て、着くと同時にトレーニングをしたんだ。3、4日すればもう大丈夫。100パーセントの体調を整えることができる」

──それにしても22歳の南アフリカの新鋭が、ここまで良いパフォーマンスをUFCで見せることができるなんて、昨年のコンテンダーシリーズ前まで思いもしていなかったです。

「僕がプロMMAファイターになったのは18歳の時だった。皆が『若すぎる』って言っていたよ。特に南アフリカでは10代のMMAファイターなんて、本当にいなくて。でも、じっくりとキャリアを積んでEFC Worldwideのバンタム級タイトルを獲った時は21歳で、最年少記録を創った。その結果、コンテンダーシリーズで戦う機会を得ることができたんだ。チームCITの皆にただ感謝している。CITの全コーチの存在なくして、今、僕はここにいることはできていないから。

手にすることができた機会で、常にベストの戦いをしようと心掛けていたら、UFCでも運よく勝ち続けることができた。土曜日の試合も今の状態を持続させたい。テレンス・ミッチェルをフィニッシュしたいと思う」

──キャメロンはアグレッシブかつスマートな打撃、それ以上に見事な組み技を披露しています。もともと、格闘技を始めたのはいつ頃だったのですか。

「12歳の時に家の近所にあった地元の小さなジムで、キックボクシングを始めた。学校が終わるとジムに直行して練習し、夜になると親が迎えに来るんだ。凄く楽しんで練習していたから、すぐに色々なことを学ぶことできた。

それが全ての始まりで、数カ月後にはキックだけでなくグラップリングの練習もするようになった。14歳の時にチームCITに移り、それからレスリングも習えるようになった。ただキックボクシングでは食っていくことはできないから16、17歳の時にMMAでやっていこうと決めたんだ」

──キックでは生活できなくてMMAへ。MMAでは生活できるということですか。

「そうだね。UFCとサインする前に戦っていたEFC Worldwideも凄く良いプロモーションだから。それは南アフリカだけでなく、他の国のMMAファイターにもいえることだろう。EFCで戦っていると、他の国で戦うチャンスを手に出来る。ボカン・マスンヤネやルサンド・ビコに続き、僕とEFCバンタム級王座を賭けた戦ったシンディレ・マネンゲラも、確か今週末に日本で戦うよね。

そういう国外で戦う選手が南アフリカのファイター達の存在を世に知らしめてくれた。彼らは間違いなくワールドクラスのアスリートだから。遠征はいつだって大変だけど、外国で戦うことで違うカルチャーに触れることができる。だから日本に限らず、アジアの大会で僕の試合を組んで欲しいと願っているよ」

──試合経験よりも選手を成長させるものはないと言われるなかで、日本などは毎週のようにMMAの大会が行われていますが、南アフリカでは実戦経験の場が少ない。そのなかで、これだけEFCから世界レベルのイベントへとステップアップをする選手がいるのは、キャメロン的には何が要因だと考えられますか。

「まず南アフリカでは凄くスポーツ全般の人気が高いということがあると思う。MMAを始める前に何らかのスポーツを経験している。今ではバーサス・プロモーションが、ファイトナイトというアマチュアの大会を開くようになり、そこで力を見せた選手がプロ契約をしているんだ。プロとして戦う舞台もEFC以外にもFightStar FCも活動している。

人材発掘と人材育成の両方が強化され、イベントの数も増えた。南アフリカのMMAの未来は明るいよ」

──それこそ南アMMAの未来といえるキャメロンですが、対戦相手テレンス・ミッチェルの印象を教えてください。

「15勝2敗、強いファイターだよ。フィニッシュの多くがグラウンドだよね。前に戦ったスティーブン・コースローのように、まだ表に表れていない良いレコードの持ち主だ。絶対的な質の高いグラウンドの攻防を繰り広げることができるだろうけど、僕は打撃で戦ってボーナスを狙いたい。とにかく、どのような展開になろうが良い試合になって僕が2Rで勝つよ」

──2Rと断言する故は?

「初回はあまり飛ばさない。じっくり相手の動き出しのタイミングを見ている。前の試合では判定勝ちになってしまったけど、好きな勝ち方じゃい。2Rになると仕留めるために戦うからね」

──今大会、日本から平良達郎選手が出場します。彼は4戦目で初のPPVショー出場です。対してキャメロンは過去2試合どちらもPPV大会、Tモバイル・アリーナで戦っています。

「本当に凄く機会を与えてもらっている。UFCに僕がどれだけの力を持っているのか、分かってもらえる舞台だ。PPVのビッグイベントの一員として、これからもキャリアを重ねていきたい。そういえば、その日本人選手とコーチにPIで会ったよ。凄く良いヤツで、めちゃくちゃリラックスしていたね。体調も良さそうで、凄い試合をやってくれそうで楽しみなんだ」

──キャメロンのその言葉が、日本のファンは相当嬉しいはずです。ところでバンタム級は常に層が厚いです。ここからトップ10、トップ5を目指すために土曜日の試合ではどのような点をアピールしたいと思っていますか。

「まずは絶対的に豪快なフィニッシュをすること。スタンドだろうが、グラウンドだろうが試合を終らせる。どの局面でもフィニッシュできるけど、今回の試合ではKOしたいと思っている。テレンス・ミッチェルはとても考えて打撃を使っているファイターなんだけど、僕からすると穴だらけだ。

この試合で勝って年内に最低でももう1試合、できればトップ15のファイターと戦いたい。コンテンダーシリーズも含めると4連勝になり、通算戦績は9勝0敗になる。なら上の選手と戦っても良いはず。そういう機会をモノにして、来年にはタイトルに挑戦したいと考えている」

──キャメロンやチームメイトのドリキュス・デュプレッシー、JP・ベイズら南アフリカ人選手、そしてジンバブエやアフリカ大陸がルーツの選手が増えており、UFCにアフリカでのイベントを開いてほしいという気持ちはないですか。

「今、アフリカからは才能あるファイターが誕生している。アフリカン・ファイターがアフリカで戦える機会が訪れるなら、最高だよ。もしUFCがアフリカに来るなら、海外からの観光客を受け入れる状態にあり、治安も問題ないのは南アフリカだけだよ。まぁ他の国も問題ないけど、なかでも南アフリカは一番安全な国だからね」

──……。

「ドリキュスは世界タイトル挑戦が見えている。そうなればチャンピオンはアフリカ──ナイジェリア出身のイスラエル・アデサニャだ。アフリカ勢同士のタイトルマッチが、アフリカで実現すればこんなに素晴らしいことはない。そしてホスト・カントリーになれるのは南アフリカだけだよ」

──素晴らしい想いですが、日本人からすれば南アフリカが安全だとは口にできないです(苦笑)。サッカーやラグビーのワールドカップで、キャメロンの母国に行ったメディアから、安全だという話を聞かされたことは正直ありません(笑)。

「それは……ツーリストが訪れない場所は、最高の環境だとは言えないね(苦笑)。でも僕のホームタウン、プレトリアはヨハネスブルクよりずっと良い場所だよ。それに素晴らしいアリーナもあるし、郊外にいけばアニマル・クルーズだってできるからね。UFCを開催する資格はあるはずだ。もし、そういう機会が訪れれば街は十分に安全になってメディアを迎えて入れるよ」

──なるほど(笑)。ではUFC南アフリカ大会実現へ向けキャメロンがプレトリアの観光大使にならないといけないですね。

「そうだね、そして安心して世界中の人を受け入れる体制を創っておくよ(笑)。ほんと、まだまだ南アフリカのことは間違って伝わっていることが多いと思うから、しっかりと本当の南アフリカを世界の皆に知って欲しい」

■視聴方法(予定)
7月9日(日・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時30分~U-NEXT

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【UFC282】目まぐるしいグラウンド&スクランブル・ウォー。反則犯したサーイマンがコースローをTKO

<バンタム級/5分3R>
キャメロン・サーイマン(南アフリカ)
Def.3R4分13秒by TKO
スティーブン・コースロー(米国)

間合いの取り合いからサイドキックを見せたサーイマン。コースローは右ハイを蹴っていく。サーイマンはスイッチしながらパンチを伸ばすが、コースローが組んでテイクダウンに成功する。すかさず左足を抜いたコースローはサーイマンのキムラを防いでパスの圧力を立掛ける。サイマンのハイガード狙いに、逆側に回ってハーフで抑えたコースローはそのまま左足を抜いてパスを狙う。

このタイミングでリバーサルに成功したサーイマンだが、コースローはミッションコントロールもエルボーを受ける。再びミッションコントロールからゾンビ、さらに足関節狙いのコースローだが、サーイマンはハイエルボーギロチン。反応したコースローの背中に回ってバックグラブへ。前方に落としたコースローは、パンチからマウントを取る。ここもブリッジ返しでサーイマンが上になるなど、目まぐるしいグラウンドの攻防となった。

2R、「トップが重要で、マウントに行くのは注意しろ」という指示を受けたコースローは右ミドルをチェックし、続く左ミドルに組んでダブルレッグへ。腰を落とすサーイマンに正対してテイクダウンを奪ったコースローは、右腕を差してレッスルアップのサーイマンにギロチンを仕掛ける。頭を抜いたサーイマンに続きコースローも起き上り、ケージに押し込む。首相撲からのヒザを顔面に受けながら、テイクダウンを決めたコースローはボディロックから足を刈り、バックを伺う。

前転したサーイマンが、上体を起こしてトップを取ると足関節狙いのコースローに鋭いパンチを打っていく。背中を向けたコースローからバックグラブ、胸を合わせてきても背中に乗り続けたサーイマンが背中を伸ばす。腰を上げて、前方にサーイマンを落としたコースローが、ダブルレッグでケージに押し込む。両ヒザ立ちのコースローの顔面に右ヒザを入れたサーイマン。ここで試合が中断される。ドクターチェックを受けるコースローは時間を置いて回復を図るが、首を横に振る仕草も見える。それでも4分近くを経て再開に応じたコースロー、サーイマンはペナルティで1Pの減点となる。

試合はスタンドでリスタートされ、サーイマンが右ローを蹴る。さらにヒザをボディに入れたサーイマンだが、近距離で頭を振った際にコースローのヒジに当たりカット。直後のコースローのハイクロッチをを切っていなすと、がぶりからヒザ蹴り、離れたコースローに左ハイを2発狙う。そのまま大きな攻防はなく時間を迎えた。

最終回、左右のハイを見せたサーイマンは、後ろ回し蹴りも繰り出す。組んだコースローはケージに押し込んでテイクダウンからバックへ。前方に落としたサーイマンは腕十字は察知したが、続いてヒザ十字を狙われる。ここも足を畳んで防ぎ、ハーフでトップを取ったサーイマンがエルボーを入れ、シングル狙いのコースローのバックに回る。両足をフックしたサーイマンは、コースローを立たせずに寝技に持ち込むとロールに合わせてマウントへ。コースローはスクランブルに持ち込んで、差しあげテイクダウンでリバーサルに成功する。

ハーフで抑えたコースローをスイープしたサーイマンは、殴ってバックに回る。背中が伸びたコースローは上を向き、殴られてうつ伏せに。しっかりと両足をフックしたサーイマンは胸を合わせてきたところで、離れてスタンドに持ち込むとヒザ蹴りを顔面に連続で入れ。効いたコースローにパンチとヒザの連打で追い込むと、レフェリーが試合を止めた。勝者はインタビューでUFC、ベガスでの戦いに感激しつつ一番にヒザ蹴りの反則を詫びた。


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