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【Special】J-MMA2023─2024、福田龍彌「ユーザー(ジューサー)というものの凄さを改めて知りました」

【写真】負けじ魂が、福田をどこまで成長させるか (C)SHOJIRO KAMEIKE

2023年も残り僅か、2024年という新たな1年を迎えるには当たり、MMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過行く1年を振り返り、これから始まる1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA2023-2024、第四弾は12月6日(現地時間)にカザフスタンの首都アスタナで開催されたNAIZA FC55で、ジアス・エレンガイポフに敗れた福田龍彌に話を訊いた。DEEPフライ級GPで優勝し同級暫定王座も獲得、続いてRIZINで山本アーセンを下した2023年最後の試合で喫した敗北について、福田は何を想うのか。

■2023年福田龍彌戦績

2月11日 DEEP112
〇3-0 宇田悠斗(日本)

5月7日 DEEP113
〇3-0 本田良介(日本)

9月24日 RIZIN44
〇3R1分37秒 by TKO 山本アーセン(日本)

12月6日 NAIZA FC55
●0-3 ジアス・エレンガイポフ(カザフスタン)


――カザフスタンでの試合後、風邪をひいていたそうですが、それは帰国後ですか。

「試合の日の夜から前兆はありましたね。とにかく無事に帰国することが一つのミッションやったので、それは達成できました(笑)。今回はまずカザフスタンのアスタナという街まで行くのがメッチャ大変だったんですよ。

まず朝10時ぐらいの飛行機で日本を経ち、2回乗り換えて、現地に着いたのは夜中の2時ぐらいでしたから。それは現地時間なので、日本でいうたら朝5時ぐらいですか」

――大会前にはライブ中継に関して、当初は有料だったメインカードも無料視聴できるようになったなか、ひと悶着あったそうですね。

「もともと『オンラインで中継する』とは聞いていて。僕の周りでも視たいと言ってくれている人たちも多かったから、現地で視聴方法を確認したんですよ。でもNAIZA FCのYouTubeチャンネルは日本で登録しているクレジットカードでは決済できない、と。そうなると日本では誰も視られへんから、マネージャーさんがプロモーターと交渉してくれて、メインカードも無料で視られるようになったという流れです。

僕は『みんなに視てほしいから試合をしている』というわけではないんです。でも応援してくれている人には試合を視てもらいたくて。そういう意味では、無料中継を勝ち取ったのが今回唯一の功績じゃないですか(笑)」

――唯一……(苦笑)。現地に着いてからコンディション調整はいかがでしたか。

「それがまたホテルも凄くて。半身浴をしようと思ってバスタブにお湯を溜めたら、なぜか僕の部屋はどこからか漏水して、居住空間のカーペットまで水浸しになるという。ただ、部屋はずっと暖房がガンガン効いていて乾燥しているんですよ。だから部屋のカーペットがビチャビチャになったのが、ちょうど良いぐらいで」

――アハハハ。しかし、その状態だと現地での減量はうまく行うことができたのでしょうか。

「日本で体重を落とすよりもシンドイ状況でした。ホテルのサウナも使えるけど、日本のサウナとは違う感じで――結局、必死でエアロバイクをこいで落としましたね」

――試合結果はフルランドを戦い、判定負けを喫しました。まず率直な感想から聞かせてください。

「う~ん、なんか現実を感じてしまいましたね。まず1R、相手の馬力にビックリしたんですよ。今まで感じたことのない馬力で。テイクダウンに入られた時、原チャリで突撃されたんかと思いました。でも『こんなに強いヤツがおるんか』と僕のテンションは上がって」

――テイクダウンを奪われたあと、立ち上がらずボトムから三角絞めを狙いました。あの展開は、スクランブルでスタミナを消耗しないようにという作戦だったのですか。

「あの時は相手をバテさそうと思っていました。ジアスにとっては『行けそうで行けへん』という状態にして、スタミナだけ使わせてやろうと。現に1Rが終わったら口を開けて、メッチャ肩で息をしながらコーナーに帰っていくから『あぁ、良かった』と思ったんですよね。5Rあるし、次のラウンドでスタミナを使い切らせて3~5Rで倒そうと考えました。でも1分のインターバルで全回復してきよるんです」

――えっ!?

「2Rに入っても全く出力が落ちなくて。だから3Rには相手のことが機械のように感じられましたよ。壁に押し込まれている時のプレッシャーも落ちない。今までの試合を視てもらったら分かると思うけど、僕もスタミナが切れるほうじゃないから。でもそれを凌駕するものを感じたというか――ユーザーというものの凄さを改めて知りました。負けた自分が、そんなことを口にするのも情けないけど」

――ユーザー、ですか。

「たとえば僕たちは5キロを走ることを考えて、ペース配分をするんですよ。でもジアスは100メートル走のペースで1キロ走っている。ペース配分して走っている僕に追いつく前に全回復して、また1キロ全力疾走していく。ジアスの力の使い方が、30秒一発勝負のシチュエーションスパーみたいなペースで。その力で25分間、攻めてくるんですから」

――福田選手がケージに押し込まれた際、しっかり腕を差し上げてバランスを取っていたにも関わらずテイクダウンされたことには驚きました。

「さらにジアスは巧さも持っているから大変なんですよ。技術的な面でも、レスリング力には差があったとは思います。でも抑え込まれても立つことはできたし、『今の自分がやっていることは通用するんやな』とは感じました。

ジアス戦では僕のほうが戦い方を変えていたら、もっと他のこともできたかもしれないです。ただ、それでは自分のほうが3~5Rもたへん。対してジアスは5Rまで同じペースで戦える。そういう状態で、どうやったら勝てたのか。一発カウンターを合わせるしかないけど、こちらの打撃にテイクダウンを合わせてくる巧さは持っていて。さらにインターバル中に全回復してくるから、徐々に崩して削っていくこともできませんでした」

――するとジアス戦に関しては悔しさというより、ユーザーに対して……。

「いや、メッチャ悔しいですよ。何年振りやろう? 平良達郎戦でも神龍誠戦でも、こんなに悔しくはなかったです。今回は言葉にするのが難しいぐらい悔しくて。試合はひたすら投げられて、立つけど投げられての繰り返しやったから、もう二度とそんな情けない姿は見せたくない。

僕はデビュー当初、負ける場合は漬けられることが多かったんですよ。それが悔しくて、どうやって漬けられんようになるかって考えながら、12年間やってきました。だからテイクダウンディフェンスには自信を持っていたし、倒されても立ち上がることに関しては血眼になって取り組んでいきた自信がある。実際に試合でも結果を出してきたと思います。

でも今回は自分がやってきたことを突破され、完膚なきまでに叩きのめされた。それがホンマに悔しいんです。今も毎晩のように思い出して、悔しくてジッとしてられへんぐらい――自分に対して悔しい」

――……。

「そういう意味では、今のモチベーションは過去イチ高いです。もっともっと強くなる。そのためにも、今後の取り組みも含めて考え直していきますよ。来年にはもう32歳で、きっと40歳まで現役を続けることはないと思います。だからこそ、こういう悔しい経験は今回で最後にしたい。自分の中では答えが出ているので、いろいろ修正しながら2024年はまた暴れようかなと思っています」

――2024年はどのような1年にしたいですか。

「早ければ2月には試合したいですね。個人的にはバンタム級でやりたいとは思っています。このままフライ級にこだわっていても――たとえばRIZINやと扇久保博正さんとは戦ってみたいです。でも扇久保戦に行くまで、あと何試合やらないかんのやろうと考えると……今すぐオファーが来たら戦いますけど(笑)。DEEPフライ級では、神龍君が統一戦をやってくれるなら試合したいです。それがDEEPフライ級で唯一やり残したことやから。

どうせ福田が勝つやろ、と思われるようなマッチメイクやと面白くない。僕自身も燃えへん。それやったらフライ級より、バンタム級のほうが新鮮で燃えるカードが組まれるんじゃないかと思っています」


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MMA MMAPLANET NAIZA FC55 o ジアス・エレンガイポフ 福田龍彌

【NAIZA FC55】エレンガイポフ、TD&組みとパンチの融合で福田に圧勝。水車落とし&ジャーマンまで決める

<NAIZA FCフライ級選手権試合/5分5R>
ジアス・エレンガイポフ(カザフスタン)
Def.3-0:50-45.50-45.50-45
福田龍彌(日本)

ワセリンを塗られている時も笑顔でカメラ目線の福田、しっかりとファイトを楽しめる精神状態にあるようだ。ジアス・チャントの館内で、福田がジャブを伸ばしボディを打つ。エレンガイポフは左を振るってダブルレッグへ。福田をケージに押し込み、肩に担いでスラムを決める。ハーフから足を戻し、一瞬ハイガードを取った福田はパンチのエレンガイポフを三角に捉える。しっかりと入ったように見えた三角絞めを担いでパスをしたエレンガイポフが、サイドで抑える。

下手にスクランブルに行くよりも、サイドで抑えられる方が良いと思われる福田は、骨盤にヒザを受けるが、左腕を差して足を戻しハーフに。福田はケージ際に移動し、頭を起こしたエレンガイポフが左エルボーを打っていく。ケージを背負って立ち上がった福田に対し、エレンガイポフは体を沈めてダブルからバック。さらにスナップバックでいなして、サイドで抑える。ニーインベリーでパンチ、エルボーのエレンガイポフが立ち上がろうとする福田をバックコントロールに捕え強烈な左を打って時間となった。

2R、やや遠目の距離に立つエレンガイポフが左を当てる。福田は左ロー、そこから左へ。見たエレンガイポフのロングをかわした福田が、ジャブを連続で打ち込む。エレンガイポフは左オーバーハンドを入れ、左右に動きつつ右ハイへ。ブロックした福田は左にダブルレッグを合わされる。倒された福田はクローズドガードに取り、下からエルボーを打っていく。巧みに腰を押し、左足を抜いたエレンガイポフは足を戻されると左エルボー。オープン、腰を蹴る福田に対し、エレンガイポフが大きな踏込みからパウンド──その勢いでパスを決めた。

ここも骨盤にヒザを入れるエレンガイポフは右ヒジを落とし、マウントへ。即座に反応した福田はハーフに取る。構わずヒザのパンチを入れるエレンガイポフが、上体を起こしてエルボーを打ちつける。福田は背中をつけたまま2Rも落とした。

3R、やや近めの距離から離れたエレンガイポフが左。福田も右を被せていく。エレンガイポフは左オーバーハンド、さらに右を当てる。前に出る福田が右ボディ、ジャブを伸ばす。エレンガイポフは左をヒットさせると、距離を取り直して再び左を振りながら組んでいく。ここはケージを背負って耐えた福田は、切って流れを掴みたいところだ。

左を差しレベルチェンジからダブルレッグでバックに回ったエレンガイポフは、正対した福田をボディロロックで抱え上げてスラムを決める。直ぐに立った福田が懸命にクラッチを剥がして正対しようとするが、小外で尻もちをつかされる。ケージを背負う福田の左足を取って立たせない王者は、ボディにヒザを入れる。小技もきかせるエレンガイポフは、立ち上がった福田を担いで何と後方にフリップ。そのまま後方回転して上を取ったエレンガイポフが、この回も取った。

4R、ジャブの相打ちからボディを伸ばす福田。続いて左を顔面に入れる。さらに右ロングアッパーの福田だが、エレンガイポフもパンチを返すと左フックにダブルレッグを決める。福田はケージを背負って立ち上がり肩パンチ、ヒザをボディに入れる。直後に離れたエレンガイポフに左を伸ばした福田が、ダブルを切る。距離を詰めて左、ジャブを打った福田がケージにエレンガイポフを追い込む。ここでエレンガイポフはシングルレッグからバックに回り、スナップバックでテイクダウンを奪う。サイドで抑えられた福田に肩固めの圧を掛けるエレンガイポフ。福田は鉄槌、エルボーを受けてマウントを取られる。懸命に暴れる福田は直後に時間のホーンを聞いた。

最終回、福田がジャブを伸ばし、右アッパーを狙う。ワンツーで前に出た福田が左を伸ばす。しかし、右フックに組んだエレンガイポフがボディロックで福田を抱え、櫓投げようにテイクダウンを決める。福田の右足を腿の上に乗せて立たせなかったエレンガイポフがバックへ。正面を向いたところで、ボディロック&パンチのエレンガイポフが盤石の試合運びを見せる。

立ち上がって離れた両者、シングルを切り切れない福田が担がれ尻もちをつかされる。続いて後ろに回ったエレンガイポフがヒザを腿に入れ、正対した福田に思い切り肩を押し込みシングルからバックへ。残り30秒、エレンガイポフは自ら祝砲を挙げるように後方に豪快なバックスープレックスを決め、25分の戦いを締めた。

結果は当然のようにフルマークでエレンガイポフに凱歌が挙がり、日本のトップと中央アジアのトップの間には組み技と打の融合という部分で差があることが明白となった。そして「完全に実力不足です。ジアス選手、強かった。ちょっとちゃんと自分の実力不足に向き合って。強くなって戻って来たいと思います」と話した福田にカザフスタンのファンは拍手を送った。


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MMA MMAPLANET NAIZA FC55 o UFC 中村真人

【NAIZA FC55】中村真人、ダブルレッグでケージに詰めるも元UFC戦士ズマグロフのヒジに沈む

<バンタム級/5分3R>
サルガス・ズマグロフ(カザフスタン)
Def.1R1分43秒by TKO
中村真人(日本)

UFCベテランのズマグロフが、まず左リードフックを振るう。中村もワンツーから左ハイ、ブロックしたズマグロフが左から右を当てる。さらにワンツーの右を当てたズマグロフに対し、中村もヒザをボディに入れる。ジャブを互いに見せ、ズマグロフはローに右を合わせようとする。中村は右を当てるが、ローでバランスを崩す。シングルレッグで立ち上がった中村がケージにズマグロフを押し込んでダブルレッグへ。

ズマグロフはエルボーを2発落とすと、キャンバスに突っ伏した中村に右のパウンドを連打して勝利を決めた。


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MMA MMAPLANET NAIZA FC55 o ヌルベク・カブトラフマノフ ムハメド・ハミノフ

【NAIZA FC55】TDを奪われてもスクランブル&ヒジでカブトラフマノフが、ハミノフ下し新王者に

<NAIZA FCフェザー級王座決定戦/5分5R>
ヌルベク・カブトラフマノフ(カザフスタスタン)
Def.3R4分27秒by TKO
ムハメド・ハミノフ(ロシア)

サウスポー同士、ハミノフがインローを蹴る。慎重な立ち上がりのなか、カブトラフマノフは左ボディストレート、間合いの測り合いが続く。前に出るハミノフと、ケージの前を回るカブトラフマノフ。そのカブトラフマノフがミドルやボディストレートと腹を攻撃する。ハミノフはダブルレッグでクリーンテイクダウンを奪うと、カブトラフマノフはクローズドガードを取る。

エルボーのハミノフは腹への蹴り上げに頭をつけていく。カブトラフマノフは下から鉄槌を連打し、再びクローズドへ。ニーシールドで立とうとすると、ハミノフはパンチを打つ。カブトラフマノフのレッスルアップからのシングルを潰したハミノフがバックに回りつつRNCを狙う。左腕を喉下に入れるも、カブトラフマノフは手首を掴んで防ぐと、正対してダブルレッグへ。立ち上がってケージにつめたカブトラフマノフが倒してリバーサル。直後に時間となった。

2R、カブトラフマノフのジャブに右を被せて行ったハミノフが、右の蹴りを見せる。左ローを蹴ったカブトラフマノフは一瞬のオーソから、サウスポーに戻すと左ローを再び繰り出す。右インロー、左ローでハミドフの姿勢を乱したカブトラフマノフだが、直後にシングルレッグでテイクダウンを奪われスクランブルでバックを取られる。キムラ・クラッチを切られたカブトラフマノフは、後方に自ら尻もちをついたハミノフに足のフックを許さず、立ち上がる。再度のキムラ・クラッチも正対したハミドフのダブルレッグからアンクルピックで倒されたカブトラフマノフはスイッチも潰され両足を束ねられる。

カブトラフマノフはエルボーを耳の辺りに落とすが、背中をキャンバスにつかされる。バタフライガードから左腕を差してのレッスルアップ狙いを潰されたカブトラフマノフだが、シングルレッグでスタンドに戻るとエルボーを顔面に突き刺し、ボディにヒザを入れる。腹を効かされたか、組みつくように下になったハミノフは最後に大きなポイントを失った。

3R、前足を蹴られるハミノフ、腹をかばう様な構えになっているか。それでもハミノフはシングルからレッグリフトでテイクダウンを奪う。足を束ねられたカブトラフマノフは、ここもケージを背負って座った状態でエルボーを入れる。ボディロックで背中をつかせたハミノフだが、カブトラフマノフが下からエルボーを続ける。バタフライガード&肩をおして立ち上がるとしたカブトラフマノフは潰されても、頭部にヒジを打ちつける。ここからウィザーで立ち上がったカブトラフマノフは、レベルチェンジのハミノフのシングルレッグにもヒジを打ちつける。腰が落ち、動き止まったハミノフを見てレフェリーが試合を止めた──が直後に頭を上げて、不満げな表情をハミノフが生まれる。

カザフスタン人王者の誕生に会場は沸いているが、このストップは早かったか。ともあれ高度なレスリング&スクランブルの攻防が繰り広げられた試合は、ゼロ距離での打撃を有効に使ったカブトラフマノフに凱歌が挙がり、その腰にNAIZAフェザー級のベルトが巻かれ──勝利者インタビューの最後に英語でATTの練習仲間に感謝の言葉を述べていた。


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【NAIZA FC55】いよいよ明日、福田龍彌がTD&フロント系チョークの完成形=エレンガイポスに挑戦

【写真】カザフと日本の交流が始まるのか──パンドラの箱を福田が開けに掛かる(C) NAIZA FC

明日6日(水・現地時間)、カザフスタンのアスタナにあるバリス・アリーナでNAIZA FC55が開催され福田龍彌が同プロモーションのフライ級王者ジアス・エレンガイポスに挑戦する。
Text by Manabu Takashima

北米のNHLに次ぎ、世界第2のアイスホッケーリーグとされているKHL(コンチネンタル・ホッケーリーグ=カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ラトビア、フィンランド、スロバキア、中国のチームが所属。※ウクライナ紛争によりラトビアとフィンランドのチームは撤退)に参加中のアスタナ・バリスの本拠地で、1万2000人に及ぶキャパを誇る大会場の舞台に福田がいよいよ立つ。


王者エレンガイポスはキャリア14勝3敗、今年の3月にウズベキスタン人前王者のラジスコン・ウズベコフを4 Rに入エルボー・ギロチンで仕留めベルトを巻いている。

日本では無名のエレンガイポスだが、相当に強い。スイッチヒッター、パンチは粗めだが鋭いミドルキックを持ち、何といってもそのテイクダウン能力の高さは脅威となるだろう。シングル、ダブル、リフトしてスラム系のテイクダウンをケージに有無に限らず決める。

テイクダウンの強さはMMAでなく、グラップリングでカイラット・アクメトフと五分にやり合っており、その強さの度合が伺えるというもの。シングルを切られてバックを許し、スナップバックで背中をつかされ0-2で敗れてはいるが、スタンドではより積極的に動いていたのはエレンガイポスだった。

加えてエレンガイポスの代名詞はハイエルボー、マルセロチン、アナコンダらのフロント系のチョークで、スクランブル、テイクダウン狙いのズバッと合わせてくる。

福田は組みを切って打撃戦、打撃戦の空気を創りながら組み技に移行できるウェルラウンダーだが、過去の対戦相手でエレンガイポスほどのテイクダウン力を持つ相手はいなかっただろう。

いや、山本アーセンであればエレンガイポスに匹敵するレスリング力を誇っているかもしれないが、9月の試合でアーセンは拳の届く距離での打撃戦に拘り続けていた。何よりエレンガイポスは、あの拳が互いに当たる距離で打撃戦を続けることはない。

その一方で組みを狙い過ぎて、頭が動かない場面も見られるので、福田は効かすパンチを入れるチャンスがエレンガイポスの組み狙いのなかで訪れるに違いない。

いずれにしてもレスリングとフロント系チョークが見事に調和され、エレンガイポスMMAというべき完成されたスタイルを切り崩すのは簡単ではない。それでもパンチを散らし、エレンガイポスの踏み出しにコンマ数秒でもラグを生じさせることから、福田の勝機は広がってくるだろう。

逆にテイクダウンを奪われた時は、無暗にスクランブルに持ち込まないこと。特に序盤は一旦、背中をキャンバスにつけて落ち着かせた方が良いぐらいの割り切りが欲しい。がぶりからでも取り切るエレンガイポスのフロント系のチョークはそれだけ危険だ。

なお、両者は既に計量を終えており──セレモニアル計量ではなぜか体重が読み上げられることなく、フェイスオフ。そして、これも我々からすると不思議なことだが王者エレンガイポスだけにインタビューが行われていた。

同大会のコメインではNAIZA FCフェザー級選手権試合=王者ヌルベク・カブドラフマノフ✖挑戦者ムハメド・エミノフを差し置いて、中村真人がUFCを1勝6敗でリリースされたザルガス・ズマグロフと対戦する。

ズマグロフはUFC時代とヘアースタイルが変わっており、ベニー・ユキーデ──あるいは李玉秀(リー・ガクスー)のような風貌になっている。そのマズグロフ、UFCではコレといった印象を残すことができなかったように、中村も組みを切って打撃を入れるスタイルで勝利があるはずだ。ただしズマグロフのフィジカルがUFCの時と違いカザフバージョンとなっているのかどうかは、気がかりだ。

■視聴方法(予定)
11月6日(水・日本時間)、
午後7時00分~ NAIZA TV

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【RIZIN44 & NAIZA FC55】福田龍彌が振り返るアーセン戦&NAIZA─02─「二冠になり、バンタム級で…」

【写真】いかなる終了の仕方でも、ルールに則り福田の勝利は動かない。それでいて、絶対に再戦が見たい激闘だった(C)RIZIN FF

9月24日(日)、さいたまスーパーアリーナにて開催されたRIZIN44で、山本アーセンに3R TKOで勝利した福田龍彌のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

1Rと2Rで仕留めるための準備が終わった。「さぁ、これから――」と3Rに臨む福田に対し、ドクターチェックからアーセンの逆襲が始まる。驚きながらも基本通りのジャブを突き続け、レフェリーストップを呼び込んだ福田。その激闘を振り返るとともに、2023年を締めるカザフスタンでの戦いについて訊いた。

<福田龍彌インタビューPart.01はコチラから>


――ここから仕留めに行く……、その前にドクターチェックが入りました。

「絶対に試合が終わってほしくないって思いましたね。ドクターチェックのあと、アーセン君が『ごめんなさい、待たせちゃって』と言うから、『何分でも待つよ』って。するとアーセン君も『ありがとうございます!』と返してくるんです。すんごいナイスガイでした。

それで3Rが始まって、ボディを打とうとしたところに左フックをもらってヒザを着いてしまうけど、ここは効いていないんです。ビックリして引くタイミングでコケちゃった、みたいな。見栄えは悪いけどダメージはなくて」

(C)RIZIN FF

――その後、アーセン選手が左跳びヒザから組んできました。

「僕としてはコレがビックリして。

(C)RIZIN FF

跳びヒザから着地際の右フック――周りにこういうことをしてくる人はいませんでしたから。

でもテイクダウンを切ったあとに僕が、起き上がり際にヒザ、左ストレートと打つんですけど、ここでアーセン君の顔をカットしたんですよ。

相手も見えてへんから『思いっきり行ったろう』と思っていたらドクターチェックが入って。僕のほうが『マジかぁ!』と言っているんです(笑)」

――福田選手のほうが悔しかったわけですか。

(C)RIZIN FF

「やっぱり白黒つけたいから。

レフェリーストップはエェけどカット系のドクターストップは、試合後に『あのままやっていれば……』という『たら・れば』論が出てきちゃうじゃないですか。それが嫌だし、たぶん彼も嫌だったと思います。最後までやりたかったから、僕のほうが『アーセン! アーセン!』と音頭を取りました。ホンマにアーセン君に対する歓声が凄くて、『アーセン!』という音が会場からリングに降ってきていましたからね。

ドクターストップになったあと、僕から『またやろう。今回はしゃあないわ。戦ってくれてありがとう』と伝えました。アーセン君も『俺まだやれるから』と言っていたけど、レフェリーやドクター、ルールあっての場所やからね。仕方ないです」

――試合前と試合後では、アーセン選手に対する印象も変わったのではないですか。

(C)RIZIN FF

「アーセン君の評価は爆上がりしているでしょう。

ホンマに強かったし、良い試合やったと思います。僕も楽しくて、もっと試合を続けたかった。あの内容なら5分5Rやりたかったな、と思えるぐらいの良い時間でした。

でも一番良かったのは、お客さんが喜んでくれたことです。試合をしている二人だけが楽しいだけなら、この試合よりもクオリティの高い殴り合いは日常的にジムでやっているから。これで喜んでくれるなら、練習を見てくれたらもっと面白い動きを見せられるで、と思います。それが僕らの日常なんですよ」

――確かにトップファイターの練習を見ているだけでも面白いと思う瞬間があります。

「そうでしょう? そんな日常から、さいたまスーパーアリーナのお客さんが喜んでくれるようなモノを提供できるようになったんやなと感じました。さいたまスーパーアリーナという格闘技の聖地で、当日の試合の中ではお客さんが沸いたほうやし、RIZINさんに対しても良い試合ができたかなと思っています」

――なるほど。次は早速、12月2日にカザフスタンで開催されるNAIZA FC55で、同フライ級王者のジアス・エレンガイポスに挑むことが発表されました。これまで海外の試合を希望していた福田選手としては、その希望どおりという試合ですか。

「あぁ、それはハッキリと書いておいてほしいんですけど――僕としては『国内より海外』という気持ちはないです。僕は職業=戦士であって。誰と何キロで、ファイトマネーいくらで戦うか。それで年間、何試合できるか。そういう仕事として試合をしています。だから国内、海外どっちでやりたいというのもなくて」

――あくまで海外から仕事のオファーが来た、ということですね。そう考えると今年はDEEPフライ級GPで優勝し、さいたまスーパーアリーナの観客を沸かせて、海外大会の王座挑戦で締めるという……。

「おかげさまで仕事がうまく行っています。本来は9月18日のDEEP×Black Combat対抗戦にも出たかったんですよ。対抗戦に出なかったら、何のためにフライ級GPで優勝したんやっていう感じやないですか。せっかく韓国から選手が来てくれるのに、チャンピオンが出ないのは相手に失礼やと思って。でもフライ級は駒杵選手が一本で勝ってくれて良かったです。僕としては対抗戦に出ていたバンタム級の選手に興味があります。彼はNAIZA FCのバンタム級チャンピオンなんですよね」

――石司晃一選手を下したユ・スヨンですね。Black Combat、DEEP、そしてNAIZA FCのバンタム級王者でもあります。

「僕が次の試合でNAIZA FCフライ級のベルトを獲ったら、DEEPとNAIZA FCのフライ級2冠王になりますよね。そしてユ・スヨンがNAIZA FCとDEEPのバンタム級2冠王――そこで僕がバンタム級に転向できればエェかなと思っています」

――日本とカザフスタン、DEEP & NAIZA FCの2冠王者同士の対決に!

「僕を応援してくれている人って、僕が修斗時代から殴り合っているのを観てくれている人たちばかりなんです。そうした人たちのおかげで、ここまで来られているわけやから。平野区民センター、阿倍野区民センター、高松シンボルタワーから、さいたまスーパーアリーナへ。そしてカザフスタンまで――感慨深いですよ。

だから『国内より海外』っていう気持ちもないし、大きな会場だけで試合をするというつもりもないです。もちろん今後も後楽園ホールで試合がしたい。僕の中にあるのは、『お金を払って試合を観てくれている人たちに楽しんでもらいたい』という大前提だけで」

――それはNAIZA FCをはじめ、海外で試合をする時も気持ちは同じですか。

「同じですよ。言葉が分からない人たちを、試合で沸かせるのって最高じゃないですか。RIZINに出ても8割ぐらいは、アーセン君のことは知っていても僕のことは知らない人たちだったでしょう。それはもう海外と環境は変わらないですよ。僕のパンチが当たってもシーンとなっているのに、アーセン君のパンチがかすっただけで『ウォーッ!!』と沸いていて。こんなに違うんやって思いました。でも2Rあたりから、僕のパンチが当たっても沸くようになりました。ちゃんとヤバいものを提供できたら沸くし、みんなが見入ってくれる。それだけヒリヒリしてくれるわけですよね。

勝負事やから、置きに行く選手もいるじゃないですか。僕は今までたくさん負けてきているので、そういう意味では『負けても構わない』という気持ちで臨んでいます。と同時に、『絶対にコイツを仕留めたろ』という気持ちで戦っています。相手を仕留めるために5分3Rをどう使うか。仕留めるための過程も楽しんでもらう場所、それが試合なんですよ。次はカザフスタンのお客さんに、僕の試合を楽しんでもらいたいし、会場を沸かせたいです」

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