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【Special】J-MMA2023─2024、住村竜市朗「娘から――調子エエやん。もうちょっと続けたら、って」

【写真】何だかんだで仲が良い竜市朗&斉明里の親子(C)MMAPLANET

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA2023-2024、第九弾は住村竜市朗に話を訊いた。2023年は2月の試合を最後に戦いの場をDEEPからパンクラスへと移し、クリスマスイブには林源平を下してベルトを腰に巻いている。年末年始に地元の淡路島へ帰省し、年明けにはキングジム神戸で練習を開始した住村を尋ねると、そこにはアマチュアファイターの娘・斉明里の姿もあった。日本MMA界随一のスベリ芸を見せる王者が、娘と2024年について語る。

■2023年住村竜市朗戦績

2月11日 DEEP112
○2-1 嶋田伊吹(日本)

7月9日 Pancrase336
○3-0 草MAX(日本)

9月24日 Pancrase337
○2R4分59秒 by TKO 藤田大(日本)

12月24日 Pancrase340
○5R2分09秒 by TKO 林源平(日本)


――年末年始は淡路島に帰省し、明石大橋を渡って神戸まで練習に来ているのですか。

「はい。車で40分ぐらいだから近いですよ」

――それは東京に練習拠点を移して以降、毎年同じスケジュールなのでしょうか。

「もともと東京に出る前からキングジムでお世話になっていて、DEEPのベルトを獲った時は週3~4ぐらいでマサさん(小西優樹キングジム神戸代表)と一緒に練習させてもらっていました。今は年末年始ぐらいですね。あと娘の所属もキングジムにお願いしていて」

――住村斉明里選手は淡路島から神戸のキングジムに通っているのですね。

「そうですね。本当はバスと電車で通う約束やったけど、車で送り迎えしないと練習に行かないようになり――それで中学3年間という、一番伸び盛りの時期を棒に振りました(苦笑)。高校に入ってから柔道を始め、キングジムでも練習しているという状態です」

――斉明里選手が初めてアマチュアMMAの試合に出たのは何歳の時ですか。

「小1から練習を始めて、MMAの試合に出たのは中2ぐらいからじゃないですかね」

――当初は本名で試合に出ていましたが、昨年11月のDEEP大阪大会では「セアリ」というリングネームで試合をしています。

「僕の娘だと思われたくなかったらしいですよ。(斉明里選手に向かって)なんでなん? 普通やったら住村斉明里で試合に出るやろ」

斉明里 (小西代表に)本名は嫌ですよね?

小西 いや、本名でエエと思うけど(笑)。

――アハハハ。住村選手から見て、斉明里選手の実力はいかがですか。

「まだまだ全然、っていうレベルですよ。打撃もできないし、レスリングもできない。寝技もフィジカルも弱くて」

――斉明里選手の試合を見る時の目は、父親のものなのか。あるいは一人のファイターとして見ているのでしょうか。

「最初の頃は父親として緊張していました。でも11月は僕もブチギレましたね。トップを奪うたびに同じ返され方をされていたので。マサさんも僕も怒っていました。だから今は自分もファイターとして、いちファイターとしての娘を見ているんだと思います」

――なるほど。一方で住村選手ご自身の2023年は、どのような1年だったでしょうか。

「良い1年だったと思います。2022年が悪かったですからね。もう引退かな――と考えていましたが、そこからまた頑張って良かったです」

――2023年は7月からパンクラスに参戦し、3戦目でベルトを巻きました。

「3戦目でタイトルマッチ、というのは想定内でした。何なら2戦目でタイトルマッチをやりたかったです。それでも3試合やらせていただいて、結果的に良かったと思います。藤田戦の内容から見えて来るものもありましたしね」

――藤田戦で見えてきたものとは?

「組みの部分ですね。組みで勝負していけると思いました」

――では改めて、パンクラスのベルトを獲得した感想をお願いします。

林戦もTD→塩漬けパターンかと思われたが……(C)MATSUNAO KOKUBO

「試合内容は完封だったと思います。相手の得意な部分——強打を封じ込めて戦うことができました。ベルトを巻くことができたのは、率直に嬉しいです。嬉しいけど、また次の挑戦を見据えていきたいですね」

――試合内容でいえば、住村選手はずっと「塩漬け上等」を掲げていました。しかし藤田戦から2試合連続でフィニッシュしています。まず藤田戦でパウンドアウトした時、トップキープしたまま試合を終えようとは思わなかったのですか。

パウンドアウトでKOPに。ポイントはヒジ打ちだった(C)MATSUNAO KOKUBO

「それは思わなかったです。藤田戦はたまたまグラウンドでヒジが効いて、藤田選手が一回落ちたんですよ。それでイケるんじゃないかと思って、パウンドをまとめました。あの試合でグラウンドのヒジの感触を得たのが、タイトルマッチでも生きましたね」

――もし塩漬けを優先するなら、ヒジ打ちもリスクではないですか。

「リスクではないです。言えば、掛け逃げみたいなものですから」

――というと?

「ヒジを打って逃げて、打って逃げて――だからリスクはないですよね。打つ時に胸を張っているわけでもなく、上体も起こしきってはいないので。そこで相手の気持ちが折れたのが分かり、ヒジとパウンドをまとめていきました」

――「塩漬け上等」と言いながらも、実は塩漬け上等ではなかったのでしょうか。

「安全パイ、ですね。リスクを抑えて、安全パイで試合をするということです。でも最近は塩漬けを期待する方が増えたので、その期待を裏切ってやろうと思いました(笑)。天邪鬼ですね。塩漬けも天邪鬼みたいな感じじゃないですか。みんなが打ち合いとかを期待するなかで、『俺はそういう試合はしないよ』って」

――ただ、2試合連続フィニッシュしているので、次の試合も期待されるかと思います。

「だから塩漬けに戻ります!」

――えぇっ!?

「結局、僕のやっていることは自己満足ですよ。試合を観に来てくれたお客さんに、夢や感動を与えたいとか思っていません。ただ自分を応援してくれている方たちが喜んでくれたら良くて。そういう選手が勝ってベルトを巻く――他の選手はムカつくかもしれないけど、どんどんムカついてほしい。僕は悪いヤツやから、むしろウェルカムですよ(笑)」

――そんな悪いお父さんの試合を観て、斉明里選手はどのように仰っているのでしょうか。

父娘が並んで汗を流す、素晴らしい年明け(C)SHOJIRO KAMEIKE

「娘は『早く引退してほしい』と言っています。もう怪我してほしくないっていう気持ちが強いんやと思いますよ。僕が倒れるところも見ていて――自分が格闘技を経験したからこそ分かるものもあるでしょうし。そういう娘の気持ちが、僕の塩漬けの試合にも繋がっているのかもしれないです」

――……。

「でも最近は『調子エエやん。もうちょっと続けたら』と言うんです」

――それはファイターとしても、父親としても嬉しい言葉ですね。

「僕は緊張しぃやから、試合前は娘とLINEでやり取りするんですよ。僕が『緊張してきた』 と送ったら、娘が『やることやってきたんやから、あとは体が勝手に動くやろ。今さら緊張しても仕方ないやん』と返してきました。その娘のメッセージに対して、僕は『押忍!』と。女の子のほうが肝っ玉は据わっていますね」

――メチャクチャ仲が良いじゃないですか。

「なのに本名は名乗らないんですよね(苦笑)」

――アハハハ。

「たぶん『住村竜市朗の娘』って書かれたくないんやと思いますよ。親の七光りで試合に出たくない。自分の力で出たい、と。でも僕からすれば、父親の名前だろうと何だろうと使えるもんは使えば良い。それで自分自身が有名になれば、僕の名前なんて消えていきますから」

――斉明里選手のために東京から淡路島に戻ってくることは考えなかったのですか。

「それは思わなかったです。自分には自分の夢があり、まだ青春していますから。一度東京へ行ったからには、すぐに淡路島に帰ろうとは考えていません。娘は娘で頑張る。自分は自分で、東京で頑張る。その気持ちは娘も理解してくれています」

――ではベルトを巻いて迎えた2024年は、どのようなキャリアを過ごしたいですか。

「地元で試合したいなっていう気持ちもありますけど……一番の心配は、僕ってチャンピオンになったら弱くなるんですよ。だから今後もチャレンジャーの気持ちで、どんどんチャレンジしていきたいと思っています」

――新しいチャレンジ、ですか。

「まだ具体的な試合の予定は決まっていませんが、MMA史上初のことを考えています。自分のMMAキャリアも、もうそんなに長くはない。でも2023年の試合で、いろんなものが繋がってきて、今の自分が一番強いです。ただ、チャンピオンになってしまうと自分の中に油断が生まれてしまう。そうならないよう、2024年もチャレンジャーの気持ちで戦います」


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AB DEEP o RIZIN キック パンクラス レッツ豪太 木下憂朔 草MAX 藤田大 鈴木槙吾 阿部大治

PANCRASE340:メインイベント・林源平 vs. 住村竜市朗

ウェルター級タイトルマッチ5分5R。住村2位。

パンクラスウェルター級は2017年に阿部大治が防衛戦を行って以来、王座返上→(暫定)王座決定戦を4度繰り返し、6年ぶりの防衛戦となる。

ストライカー林はライトからウェルターに上げてから2連勝。今年6月、元王者の村山と王座決定戦を行い、組んでくる村山を引きはがす展開でジャッジ三者ともフルマークの完勝。プロ11年で初タイトルを獲得した。34歳。

DEEP王者住村は2016年に敗れてから2021年までDEEPでは10戦全勝だったが、その間RIZINでストラッサー、ジョン・タックに敗れている。RIZINではレッツ豪太にスプリット判定勝ちで初勝利したが、木下憂朔にはケージ掴み踏みつけでノックアウトされての反則勝ち。DEEPのタイトルは暫定王者阿部との統一戦を行わず返上したが、現王者の鈴木槙吾に1RKO負けしている。今年7月からパンクラスに本格参戦。草MAXに押さえ込みで判定勝ちすると、9月には164cmで20歳の新星・藤田大に押さえ込みからのパウンドラッシュで2RKO勝ち。試合後に「12月にチャンピオンとやりたいが、少し休みたいので考えさせてください」と煮えきらないアピールをしたものの、王座挑戦が決まった。37歳。

いきなりタックルに入った住村。テイクダウン。すぐに背中を向けて立った林。スタンドバックからさらにテイクダウンを狙う住村。バックから膝を入れていく。クラッチが切れて林正対。入れ換えて離れた林。右を打ち込むが、かいくぐってタックルに入った住村がまたスタンドバックに。小手を巻いて正対した林だが、ボディロックからテイクダウンを狙いながらまたスタンドバックに回る住村。バックに付いたままコツコツ打撃を入れる住村。残り1分。そのまま時間が過ぎていく。林が正対したところでホーン。

1R三者住村。林はスタンドバックの展開を短くしたい。

2R。林のローに合わせて住村タックル。テイクダウン。押さえ込んだ住村。ハーフで肩パンチ・細かいパウンド。背中を向けた林。住村バックマウント。しかし背負って立った林。足のフックを解除して降りた住村。残り1分半でまたスタンドバック。林正対して膝を入れ離れた。しかし林タックル警戒で打撃を打ち込めない。ホーン。

2R三者住村。後が無い林。

3R。住村の組みにアッパーを合わせようとした林。さらにミドル。タックルに来た住村。組まれた。スイッチで返そうとしたが返せず。住村四つでクラッチして外掛けテイクダウン狙い。しかし内股で返して投げた林。パウンドを入れすぐに立った。スタンド。パンチを入れていく林だが住村のタックルでテイクダウンされる。林亀になりまた立ち上がる。またスタンドバック。向き直った林。住村がパンチを入れ離れる。パンチで出る林だが、お互いの蹴りが交錯して林の蹴りがローブローに。タイムストップ。再開。またローキックに合わせてタックル。テイクダウン。細かいパウンドを入れていく。一瞬腕十字を狙った林だが、住村密着して防ぐと肘。また背中を向けて立った林。しかし時間がない。スタンドバックから正対したが、住村距離を取りホーン。

3R三者住村。林の判定勝ちはほぼなくなった。

4R。住村タックル。ボディロックからスタンドバックにつく。正対した林。しかしクラッチして外掛けテイクダウン。倒した。ハーフで押さえ込む。林ガードに戻したが時間が過ぎる。上半身を起こした林。立ち上がるがボディロックを放さずまたテイクダウンした住村。残り1分。サイドに出た住村。肩固め狙いを匂わせつつ押さえ込みを続ける。林動けず。残り10秒でマウントに。肘・パウンド。ホーン。

4R三者住村。

5R。住村すぐにタックル。切りきれずスタンドバック。投げて倒した。マウント。肩固めへ。フィニッシュを狙う余裕がある。離してパウンド連打。林は下からホールドすることしかできない亀になるとバックに回った住村。マウント!パウンドラッシュ!連打をもらい動けない林。KO!

4Rまでドミネイトした上でのフィニッシュ。完勝。3Rにタックルを切られて流れが変わりそうだったが、組みでしのぎ切った。判定勝ち上等のスタイルだが、最後はフィニッシュを狙う余裕があった。

住村マイク「悔しい思いをした時もあったけど、目標が出来て、それを形にできたことがすごく嬉しい。なにか一つでも一生懸命取り組めば、こうやって良いことがあるんだなと思いました。応援ありがとうございました」

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【Gladiator024】上久保周哉、グラジ参戦。その意図とこれから「僕のRoad to UFC。ずっとRoad to UFC」

【写真】リアリスト。誇張も悲観もなく。それだけに言葉が突き刺さる(C)MMAPLANET

9日(土)に豊中市176BOXで開催されるGladiator024に上久保周哉が出場し、韓国のシン・ジェヨンと戦う。
Text by Manabu Takashima

8月のRoad to UFCバンタム級準決勝でまさかの敗退となった上久保は、再起の場にグラジエイターを選んだ理由と、変わりないUFCへの想いを訊いた。


――8月のRoad to UFC、シャオ・ロン戦の敗北は大ショックでした。スポットライトが当たっているとはいえない、同時に『これがMMAなんだ』と上久保選手の征く道を見てきたファンも、そうだったと思います。

「ハイ……。僕も同じ気持ちでした(苦笑)」

──組んで勝つ。触れば五分五分という上久保選手のMMAが、UFCではなくRoad to UFCで崩れた点が一番ショックでした。ただ1Rはあれだけ出来ていたのに、なぜ2Rから思うように戦えなくなったのでしょうか。

「実は2Rにテイクダウンを狙った時に、左ヒザが内側に捩じれてしまって。元々、半月板が悪かったのでロッキングしてしまっていたんです。でも、試合中はアドレナリンが出ているから痛みを感じなくて。それでも、踏ん張れる感がなくて。マットを蹴っても力が入っていないし、変だなと思いながら戦っていました。

普段はロッキングをしたら痛みや緩さで気付くのですが、試合中だったからそこが気付かなくて。足が疲れたのかなとか、勝手に思っていたんです。気付いていれば、インターバルにロックしたのを直すことはできたので、それをやっていれば3Rは普通に動けたのになぁという気持ちは結構あります……。足が疲れたと自分で片づけてしまって、セコンドに言わなかったので磯野(元)さんも濱村(健)さんも、急に動きが悪くなったと感じていたと思います」

──そのようなことが起こっていたのですね。

「……ハイ。あの試合に関しては、途中から試合になっていなかったです」

──逆にケガをしたということで、ホッとしました。上久保周哉の組み技がアジアで跳ね返されたわけではないので。

「まぁ、負けた言い訳はできますからね(笑)」

──そこですか(笑)。

「1Rが本来の実力だったと思って欲しいです。切られることが前提で組んでいたので、そんなに深追いもしなかったし、切るなら切るで用意していたので。1Rは思いのほか、自分の展開になったので逆に拍子抜けした感はありました。むしろ2Rの方が『こうなるよね』という展開ではありました。ただ、あの途中から……ですね。でも、結果が全てですから」

──一旦はUFCとの契約という目標が潰えたことは、どのように感じていましたか。

「悔しかったけど、それは実力を出し切れなかったことが大きくて。だから引退するとかっていうへこみ方ではなかったです。改善点や修正しないといけない点があったけど、初回の展開は思い通りにいっていたので通用する部分は通用する。だから100回やったら、100回勝てない相手とやるまでは辞められないと思いました。準決勝の相手は100回やって100回勝てない相手ではないので、辞められないです。会場からホテルに戻るまでも、全然まだやれる。こんなんじゃ辞められないという気持ちでした」

──目指すところも変わらない?

「変わらないというか、それを目指し続けないと自分が求める相手がいない。他のどっか……国内でも出てくるかもしれないけど、そういうところを目指していないと自分のレベルも上げることができない。自分が強くなっていく過程のなかで、何回やっても絶対に勝てない相手と戦わないと意味がない。強い相手と戦っていないと弱くなります。自分が弱くなると意味がないです。だから目指すところは変わりようがないです」

──そうなると、またRoad to UFCを目指すことになりますが、Gladiator出場が決まるまで、再起の道はどのように考えていましたか。

「準決勝が終わって、まずは諸々のケガを直す時間に当てて。でもRoad toUFC決勝戦が12月9日にあるから、その時にどこかで試合をしたいと思っていました(※その後、Road to UFC決勝は延期となっている)。決勝戦のリザーバーとかの話もあったのですが、それだと試合はないだろうし。海外も考えていましたが、時間もなかったので……」

──えっ、だから12月9日のGladiator参戦なのですか!!

「もともとグラジと〇〇〇〇〇はRoad to UFCの前から声を掛けてくれていました。日本で試合をするなら、そのどっちかになると思っていたんです。で、グラジエイターは日程がRoad to UFC決勝と同じだったので『良いじゃん』と思って。この日に戦うのは禊です。自分のせいで負けたので、自分でケツを拭かないと。

やるなら強い人とやりたい。それには外国人選手と肌を合わさないと本当のところはどうだと分からないので。そういう意味で最初に名前が出た候補とか、グラジエイターは色々と考えて用意してくれていました」

──結果的にその候補がまとまらなかったわけですね。そこでシン・ジェヨンという選手と戦うことになりました。

「スパンが短かったこともあるし、自分も直近は負けているので相手にとって美味しくない。強い人に断られてしまうのはしょうがないです」

──話を伺う限り、12月に1試合を戦ってRoad to UFCから声が掛るのを待つということでしょうか。

「Road to UFCしか選択肢がないなら、Road to UFCですよね。そのRoad to UFCが5月スタートなら、その前にもう1試合する形かと。だから12月の早めに試合を戦いたかったんです。1月になると、次の試合をするとなると時間が欲しくなりますし。2月にも試合の話があって。そのタイミングで試合をする方が、何もしないで待っているより良いと思います。負けて、そのままで声が掛るほど甘くはないので」

──モンゴル勢や竹中大地選手もいるグラジですが、ベルトを狙ったり継続参戦というのは? 練習仲間の狩野優選手などは『国内で日本人選手と戦えば、どれだけ上久保選手が強いかを知ってもらえる』と言っていましたが。

「う~ん、何というですかね。もう一つの団体からは日本選手でオファーをくれました。でも、さっきいった最初の候補に〇〇・〇〇〇〇が入っていたんです。あの名前を見た時に『いいじゃん。やりたい』って。あの名前を見た時に感じた想いが、日本人選手の対戦候補には起きなかったです。やっぱりテンションの上がり方が違って。ONEでトロイ・ウォーセンとやった時も『やりたい』って最初に感じて。それが、グラジエイターが最初に出してくれた候補……複数の候補にはめっちゃあったんです。

国内の選手云々でなくて、僕が日本の選手にそういうことを感じなくなってしまっているだけかもしれないです(笑)。知らない強いヤツ、誰もが強いと思っているヤツとやりたい。そこで最初の候補は日本人との対戦もあって、ほとんど勝っている選手だったので。ときめくか、どうか。そこはありますね。あの候補を見て、グラジエイターは自分のやりたいことに乗ってくれているのを感じました。

だから日本人対決に関しては、期待してくれるのは嬉しいですけど……。竹中選手にしても、ONEに出始めた時に自分が竹中選手と並び立つなんて思っていなかったので。並ぶだけで良いと勝手に思っています。当時、竹中選手は無敗の修斗のチャンピオンだったので。そもそも、僕のなかで特定の誰かと戦いたいとかは全然なくて。理想はここで勝って、Road to UFC。あるいはUFCに通じるとこから引っ掛かるのか。UFCを目指さないと、何のために強くなろうとしているのか分からないから」

──6年2カ月振りに日本でMMAを戦うことは?

「意外と何もないです。それに大阪なので、遠征している感覚だし。海外は試合のことだけを考えていれば良いのですが、大阪でも国内の試合なのでアレコレとやらないとはいけないですけど。ただ国内で外国人と戦うので、珍しくホームになるので……ある意味、楽なところはありますね」

──負傷があったとはいえ、8月の敗北を経て練習内容など変えた部分はありましたか。

「体の負荷を減らさないといけなかったので、MMAの練習量を減らしました。そこで色々考えて、ただ練習の中身を変えたのは負けたことよりも、吉野(光)選手のセコンドでUAEWについて行ったことの方が大きいです」

──10月17日のUAEW45、リネット・ハバロフに2RでTKO負けを喫した試合ですね。そこで何を感じたのですか。

「大会全体もあるし、吉野君の相手が同階級で7勝0敗。ヌルマゴのジムに所属していた選手で。吉野君とは肌を合わせていて、強い部分を出していけば勝負どころを創れるという作戦を色々と立てていました。ただ思っていた以上に、通用しなかった。吉野君は『自分の実力不足です』とは言っていたけど、それ以上に何かちょっとこう……これまでやってきたことは間違いじゃなかったのかと結構ショックだったんです。

正直、自分が負けた時よりも……。今までやってきたことが間違っていたかもって、凄く考えました。他の試合も見て、ヌルマゴのチームと戦い、通用している選手や勝っている選手もいました。キルギス人選手とか勝っていて、彼らの試合を見て『何かを変えないとダメだろう』って思いました。

あまり良い言い方じゃないですけど、日本のMMAのレベルの話をした時に韓国、中国の次という風にいわれるようになったじゃないですか」

──はい、アジアにおいて。

「それにフィリピンも強くなっていて、正直──世界的に見ると下から数えた方が早いんじゃないかって。個々の力で突破できることはあっても──藤田大和選手が、カザフスタンの戦績の良い選手に勝ったように。そういう選手が時折り出てくるかもしれないけど、全体的な総数を見た時に日本人はどれぐらい強いのかと考えると、インドネシアの次ぐらいじゃないかって……。このままじゃ、日本人でヌルマゴのチームと10対10で試合をしましょうってなると、0勝10敗になる。そんな風に思うぐらい、ショックでした。

日本だけで練習していると、う~ん、日本人のなかでは強くなれるかもしれないけど、UFCのチャンピオンになれない。海外に練習に行くのもそうだし、根本的に練習への向き合い方、考え方から変えない限り──敵わない。ジムの設備とかあるのかもしれないけど、変えられる部分から変えていかないといけないと考えるようになりました。もう年齢的にも焦って、直ぐに変えないといけないと思った部分はあります」

──この国のMMA業界は世界的な強さを手にするという方向に向いていません。必要なのはLFAでありContender Seriesであって、KSWではない。でも、業界を変えることは一選手ではできないです。

「MMAを練って考えていたものが、UAEWで打ち砕かれて……。今、やれることはまずは自分を変えること。自分が練習で思っているテーマを変えました。本当は大人数で同じ考えでないといけないのですが、まずは身近の人たちから、と。監獄の人たちは考え方も似ているので、そこから変えて行こうかと。

だたし、自分達が今やっていることが正しいとは限らないです。正しいと思った方向に進んでいれば、変えようという考えが広がっていく。別に日本を強くしようなんて考えはないけど、自分の練習環境を良くするために回りに強くなってもらいたいという感じです」

──監獄グルグルの2分のスパーリングでは、あの速いペースで戦えるものなのかと驚かされました。

「ペースはだいぶ上げました。これまでは2分という限られたなかで丁寧に一つの山を創ろうという形だったのですが、ミスをしても良いからとにかくペースを上げること。山場を2分の間にいくつも創るのが、今のテーマです。

やっぱりリズムの違いっていうのは、大きいし。如何に早く自分の流れにもっていけるのかを大事にする。それが今、意識していることです」

──リカバリーも早くなっていないですか。練習のなかで矢継ぎ早に動くので、バックを取り切れないで落とされることも出てきた。そこからのディープハーフからスクランブルなど立て直しが目を見張る速さでした。

「本当ですか……」

──ロータス世田谷でのグラップリングとは明らかに目的が違うことも伝わってきました。

「ロータスでは5分のグラップリングを回していて。5分を2分、2分、1分と考えて、2分を2回取れば絶対にラウンドを取ることになります。なので最初の2分を如何に取れるのか。そこのアプローチを変えて……手数、種類を増やし、今までやっていなかったことを試す。当然、失敗します。でも練習で失敗するのは全然構わないので。これまでミスを少なくするためにアタックが少なかったと思います。そこも大事なのですが、練習でやっていると失敗が少ないから、自分のなかの色々な判断材料も少なくなってしまうのかなって考えて。情報収集もかねて、色々とやっています」

──新たな技術を手にすることも考えていますか。

「ハイ。色々やりたい技もあるし、体のケガも多いから同じことを今までのようにできなくなる。なら武器を増やすことが必要になってきています」

──12月の試合でも、そのペースという部分を試すことはあるのでしょうか。

「う~ん、今やっているペースを出す……ことが間に合えば良いですね。UAEW後から取り組み始めたことなので、間に合えば良いなぁ……と。ただ間に合わなくても、この間に取り組んできたことは絶対に無駄にならないので。やっているペースなり、アタックの部分とかは出せるようにしたいと思います」

──全てはUFCに辿り着くために?

「これが僕のRoad to UFC──ずっとRoad to UFCです」

■【Flash】上久保周哉の対戦相手が、ペ・ジョンウに変更

6日(水)、Gladiatorより9日(土)、豊中市176BOXで開催されるGladiator024で上久保周哉と対戦予定だったシン・ジェヨンが、練習中に負傷しエキストリーム・コンバットの同門ペ・ジョンウが代役出場すること発表された。

ペ・ジョンウは1995年12月31日生まれの27歳。テコンドーとボクシングの経験があり、ブラジリアン柔術は青帯で韓国軍士官服務時代にはテコンドーとボクシングの教官を務めていたというが、今回がMMAデビュー戦となる。

同ジム所属でRoad to UFCバンタム級決勝戦を控えるイ・チャンホのトレーニングパートナーであるペ・ジョンウは、スクランブル発進&初陣にも関わらず──さらには上久保の承諾の知らせを聞く前から、自ら航空券を抑え今回の試合出場に尋常でないやる気を見せていたという。そんなペ・ジョンウのこの試合に向けた意気込みは以下の通りだ。

ペ・ジョンウ
「昨日までにもイ・チャンホのRTU決勝戦準備を一緒にしたので、4日前のオファーでも問題ないです。このところ、トレーニングキャンプで毎日のようにハードトレーニングをしてきたので、今はもう減量に集中するだけで、むしろ楽な状態です。

上久保選手のような強いファイターと試合ができることになって光栄です。上久保選手には楽しい試合をしようとお願いしたいです。本当にお願いします」

■視聴方法(予定)
12月9日(土)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator024対戦カード

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
宮川日向(日本)

<フェザー級/5分2R>
袖裂雄貴(日本)
福山佳祐(日本)

<フェザー級/5分2R>
水野翔(日本)
今村滉(日本)

<GLADIATORライト級次期挑戦者決定戦/5分3R>
田中有(日本)
グスタボ・ウーリッツァー(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
河名マスト(日本)

<バンタム級/5分3R>
竹中大地(日本)
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)

<バンタム級/5分3R>
上久保周哉(日本)
ペ・ジョンウ(韓国)

<フェザー級/5分3R>
中川皓貴(日本)
バットオチル・バットサイハン(モンゴル)

<フライ級/5分3R>
久保健太(日本)
チェ・ドンフン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
じゅん(日本)
高橋孝徳(日本)

<フライ級/5分3R>
澤田政輝(日本)
イ・スンチョル(韓国)

<フライ級/5分3R>
和田教良(日本)
シン・ジェヒョク(韓国)

<バンタム級/5分3R>
南友之輔(日本)
健太エスペランサ(日本)

<バンタム級/5分3R>
吉田開威(日本)
フェルナンド(ブラジル)

<ライト級/5分2R>
八木敬志(日本)
スモーキー(日本)

<フェザー級/5分2R>
田口翔太(日本)
木村柊也(日本)

<アマ・フライ級/3分2R>
伊藤琥太郎(日本)
辻本涼太(日本)

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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:10月 ウスマン×チマエフ「スタンドのバックキープは山の五合目」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2023年10月の一番──10月21日に行われたUFC294でのカマル・ウスマン×カムザット・チマエフ戦について語らおう。

――取材がギリギリになって申し訳ありません!10月の一番として、水垣さんにはUFN228でのカマル・ウスマン×カムザット・チマエフを選んでいただきました。

「まずチマエフはまだ底を見せ切れていないというか、ギルバート・バーンズ戦で大分見えていた部分もあったけど、最終的には競り勝った。では本来の階級は下だけど、ウスマン相手にチマエフの実力がどうなのかを見たいという興味がありました。あとはテイクダウンされないウスマンと最強のテイクダウン技術を持つチマエフが戦ったらどうなるのかなという好奇心もありましたね」

――いざ蓋を開けたらチマエフが開始早々テイクダウンしてバックを取るという衝撃的な展開でした。

「あれはビビりましたね(笑)。改めて見直すとチマエフがテイクダウンしてバックを取るまで1分くらいなんですよ。あの攻めの速さは尋常じゃないです。ただ2Rになるとチマエフがテイクダウンにいけなくなるんですよ。少し休みながら戦っているようにも見えて、もしかしたら1Rにテイクダウンとバックは取っていたけど、あの攻防のなかで『今までの相手とは違う』という感覚があったのかもしれないですね」

――意図したものかどうかは分からないですが、1Rと2Rのチマエフは別人のようでした。

「そこがまだチマエフの分からないところなんですよ。スタミナが切れてしまったのか、あえてそうしたのか。3Rに入ると何度かテイクダウンに成功しているし、結局チマエフの全貌が分からない(笑)」

――3Rはウスマンのパンチも当たりだしたので、このままウスマンが前に出て、チマエフが弱気になると思ったんです。そうしたら打撃でも打ち返していましたよね。

「それはバーンズ戦でも感じたことで、僕はチマエフは試合終盤の競り合いになったら弱気になるタイプだと思っていたんですよ。でもバーンズ戦はそういう競り合いでも勝負強さを見せたんですよね。今回も2Rを見終わって、3Rはこのままウスマンの流れるになるかなと思っていたら、最後はチマエフが盛り返して勝っている。2試合連続ちゃんと競り勝っているわけだから勝負弱くはないと思うんですけど、1Rの圧倒ぶりからすると、もっと圧勝できる気もするじゃないですか。でも最終的に接戦になってしまっているので『結局、チマエフどうなの?』と思われてしまいますよね」

――そんな謎多きチマエフではありますが、シングルレッグからテイクダウンしてバックコントロールという流れは素晴らしかったです。ここ最近のロシアや中央アジア出身の選手が得意にしているムーブです。

「シングルレッグ、テイクダウン、相手が立ってきたらバックキープ、仮に立たれてもスタンドでバックをとる、そこからテイクダウン……この流れが完全に出来上がっていますよね。チマエフはハビブ軍団とは別チームなので指導者やトレーナーが同じということはないと思うんですけど、あの地域のレスリング系の選手の技術体系や動きが似ているというのは不思議な部分ではあります。これは推測ですけど“組み伏せて殴る”ことを突き詰めていくと、バックコントロールに行きつくんじゃないですかな、と」

――スクランブルの攻防が増えて、組みの展開で選手が立つという選択をするようになった。グラウンドで両足をフックする柔術的なバックコントロールよりも、レスリング的な足をフックしないバックコントロールの時間が長くなっていることも影響していると思います。

「その方が殴りやすいというのもあるでしょうね。あとは立たれるリスクもあるけれど、スタンドでバックについていればOKという感覚もあると思うんですよ。立たれて正対されるのはダメだけど、バックについていれば仕切り直しできるみたいな」

――スタンドのバックキープがイーブンではなく有利な状況ということですね。

「山登りでも五合目にベースキャンプを置いて、登山途中に天候が悪くなったら一旦ベースキャンプに引き返すじゃないですか。そのベースキャンプがスタンドのバックキープというか。テイクダウンして完全にバックコントロールするのがベストだけど、その攻防で自分が下になる・立たれて距離を取られるリスクがあるなら、立たせてバックキープする方がいい。スタンドのバックキープは6:4で有利だけど、正対されたら4:6で不利になる。だから6:4で有利でいられるところまで戻されることはよしとする感覚なんだと思います」

――なるほど。“立たれた”ではなく“立たせた”という見方もできる、と。そう考えるとポジショニングの概念も選手のファイトスタイルや技術によって変わってきますね。

「もちろんスタンドのバックキープからテイクダウンする&組み伏せる技術ありきですが、彼らにとってはグラウンドのポジションキープよりも体力の消耗も少ないんだと思います。そこまで展開に幅を持たせることが出来たら体力的にも精神的にも余裕を持てますよね」

――逆にショートノーティスで出場が決まって、本来はウェルター級ながら、ミドル級のチマエフとあれだけ出来たウスマンの強さも再確認しました。

「チマエフのテイクダウンを切って、捌くところは捌いてましたからね。UFCは試合中にテイクダウンの成功率が出るじゃないですか。確かにテイクダウンを取られてはいるんですけど、防いでいると言えば防いでいる。その数字は『あれだけチマエフのテイクダウンを防いだウスマンはすごい!』なのか『結果的にウスマンからテイクダウンを取っているチマエフはすごい!』なのか。チマエフが未知数な部分を残している分、どっちなんだろうなと思ってしまいますね(笑)。もちろんウスマンをテイクダウンするチマエフの能力はすごいですんですけど」

――チマエフは前回の試合が13戦目ですし、まだまだ伸びしろはありそうですね。UFC自体も完成された選手が集まるというより、UFCで戦っていくなかでキャリアを積んで伸びていく選手たちが増えそうです。

「例えばDWCS(Dana White’s Contender Series)から無敗のまま上がってくる選手もいますけど、正直『えっ?』と思うような選手もいるんですよ(笑)。でも今のUFCはそれもありというか。戦績がいい選手を30~40選手くらい集めて、その中にダイヤの原石が1人いればいいという考えで、昔と比べるとふるいのかけ方が変わってきているんだと思います。とりあえず戦績がいい選手を数で集めて、UFNのアンダーカードで削って行くみたいな」

――以前は他のプロモーションで勝ち上がった選手がUFCを目指していましたが、今はUFCというプロモーション自体がもう一つ大きなふるいを持ったイメージですよね。それがRoad to UFCやDWCSでもあると思いますし。

「とりあえず履歴書を送って、書類選考は通過みたいな(笑)」

――まずはバイトから始まって正社員まで険しい道のりが続く、と(笑)。言い方を変えれば間口が広がった分、UFCに引っかかる可能性やチャンスは増えましたよね。

「まだDWCSに日本人が出る機会は少ないですけど、木下憂朔選手の例もありますからね。ただそれは他の国にも言えることで、アジア圏でも色んな国から選手が出てきているじゃないですか。来年はUFCとしてインドから選手を育成するプログラムをスタートさせるという記事も見ましたし、Road to UFCに出ている選手たちも1年間で急成長していますからね」

――UAE Warriorsに参戦中の藤田大和選手を取材したのですが「国全体でMMAが盛り上がっている空気を感じるので、これからすごい選手が出てくる可能性もあると思います」と話していました。

「UAEWやBRAVE CFを経由してUFCに出る選手たちは一味違いますよ。あとはムハマド・モカエフのようにIMMAFに出ている選手たちは、アマチュアだけどめちゃくちゃレベルが高いところで試合をしてきているから、先ほどとは逆で『この強さでこの戦績?』と驚くような選手も出てきますよね。MMAという競技の発展という意味では、そういった動向も見ていきたいと思います」

――もしかしたら数年後にインドやUAEがMMA大国になっているかもしれない。そんな言葉で今月の一番を締めさせていただきます!

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DEEP MMA MMAPLANET o Road to UFC UAEW UAEW45 UFC キック サンスハル・アディロフ フィルカドベク・ヤクボフ 海外 藤田大 藤田大和

【UAEW45】藤田大和が振り返るアディロフ戦「カーフとギロチンでMMAの幅が広がった」

【写真】2試合連続ギロチンで一本勝ちした藤田。海外挑戦へ向けて磨いていた技だ(C)UAEW

10月17日(火・現地時間)にUAEはアブダビのアルジャジーラ・クラブで開催されたUAE Warriors45にて、カザフスタンのサンスハル・アディロフにギロチンチョークで勝利した藤田大和。
text by Takumi Nakamura

UAEW初参戦となった8月大会でのフィルカドベク・ヤクボフ戦に続き、2試合連続同じ技での一本勝ちだった。UAEW参戦が決まるまで約11カ月間のブランクがあった藤田だが、フィニッシュのギロチンはブランクの期間で習得した技であり、試合序盤でペースを掴んだカーフキックはUAEW参戦以降に磨きをかけた技だ。

海外挑戦までの準備期間で取り組んできたことが身を結ぶ形となった。今回のインタビューではギロチンを極めるまでにどんな過程があったのかを聞くと共に、急速に拡大しているUAEでの戦い、そして目標に掲げるUFC参戦への想いを訊いた。


――UAEW45ではアディロフからギロチンチョークで一本勝ちを収めました。これでUAEWでは2連続一本勝ちという結果になりました。

「こんなに上手くいくとは思っていなくて、出来すぎで怖いくらいです。うれしいを通り越して不思議な感じがします(笑)」

――そんな出来過ぎな(笑)アディロフ戦について聞かせてください。事前のインタビューでは「足を使ってジャブを突くパンチ主体の選手ですけど、自分から組みに行く場面もある。対して相手が組んで来るとスプロールすることもできて、何でもやれるタイプ」とアディロフを分析していましたが、比較的早い段階から組んで来ましたよね。

「実はアディロフが想定していたことと全く逆のことをしてきたんですよ。事前に映像を見た限り、構えはオーソドックスでパンチ主体&基本的には組まずに打撃で来ると思っていたら、すぐに構えをサウスポーにスイッチして蹴りを出してきて。それで僕も少し離れた距離を取っていたら、今度はテイクダウンに来るという(苦笑)。戸惑いまではいかなかったですが、ゲームプランを考え直さないといけないなと思いました」

――相手が想定外のことをやってくることはあると思いますが、そこまで逆のことをやるのは珍しいですね。

「でもMMAは色んな局面があるので、想定外のことが起こりやすいと思うんです。今回も事前に見た映像で相手がオーソだから、スパーリングの相手もオーソで揃えるということはしなかったですし、満遍なく色んな選手と練習しました。むしろうちのジムにはサウスポーの選手も多いので、サウスポーは問題なかったです」

――アディロフは開始直後はオーソドックス、藤田選手がカーフを蹴ったあとにサウスポーにスイッチしましたがが、あれは相手がカーフを嫌がっていたのでしょうか。

「間違いなくそうですね。あれは右カーフが効いたからスイッチしたんだと思います。僕が右カーフを蹴ってアディロフがサウスポーにスイッチして、また一瞬オーソに戻したんですけど、その瞬間に右カーフを蹴ったんです。そうしたらすぐに構えをスイッチしたんで、完全に嫌がっているなと思いました。ケージに押し込まれている時にアディロフの左足を見たらかなり腫れていたので確実に効いていたと思います」

――カーフキックは練習していた技なのですか。

「数年前にみんなが使うようになって、自分も練習していた技ではあります。ただUAEWに出るまでは相手のバランスを崩すイメージの蹴り方で、効かせようと思って蹴ったのはUAEWに参戦するようになってからです。練習でもピンポイントで効かせられるようになってきて、カーフは今の自分にとって一つの武器になりました」

――カーフを効かせたあとはケージに押し込まれる展開が続きますが、あの場面ではどんなことを考えていましたか。

「僕自身、ケージを背負った状態は得意というか、試合で寝かされることはほぼないんですよ。普段から倉本(一真)さんや山北(渓人)と組み合っているので(寝かされる)怖さはなかったですし、逆に少し先の展開も考えながらやっていました。あのままラウンド終了までいっちゃうとポイントを取られるので、立ち上がるタイミングを計ってましたね」

――慌てずに対処できていたわけですね。

「相手はかなり力を使っていたと思いますが、僕はほとんどスタミナも使わず、息も上がっていなかったです」

――そこからギロチンを狙っていく流れとなります。

「トータル3回ギロチンを狙って、3回目で取ったんですけど、1回目でトライしたときに『(アディロフは)あんまりギロチンを取られ慣れてないな』と思ったんです。だから1回目はギロチンに固執しなかったし、2回目もギロチンの態勢にはなりましたけど、そこまで極めの形にはなっていなかったので、どちらかというと立てればいいやという技のかけ方でした」

――私見ですがギロチンは何回もトライして極まるというよりも、タイミングを合わせて一発で極めるイメージのサブミッションなんです。なので2回トライして極まらなかったところを見て、もうこの試合でギロチンでフィニッシュするのは難しいのかなと思ったのですが、実際は逆だったんですね。

「はい。僕もギロチンを失敗すると力も使うし、下になるリスクもあるので、何度もトライしないのですが、あの時は取れる感覚があったので、無理な態勢から取りにいく必要はないと思いました」

――そしてフィニッシュのギロチンですが、アディロフがダブルレッグに来た時点で「もらった!」と思いましたか。

「はい。あれはがぶった瞬間にガッチリ入っていました。あのまま両足を組んでも極まりそうだったんですけど、相手も動いてきたので、何度か回転して極まる形でした」

――ギロチンで2連続一本勝ちという結果になりましたが、いつからギロチンが得意になったのですか。

「具体的な時期は覚えていないですが、UAEWに参戦するまで1年ほど試合が空いて、そこで色々と練習して覚えましたね。試しにやってみたら自分にしっくり来たというか。最初は若い選手やアマチュア選手に極まるようになって、UAEWに出る直前くらいからはプロ選手にも極まるようになっていきました」

――UAEW参戦ではケージレスリングも強い中央アジア系の選手と試合が続いて、期せずしてその対策になっていたようですね。

「予習みたいな感じになってました(笑)」

――ここ2試合はギロチンでフィニッシュして、今後はギロチンを警戒されると思います。

「でもギロチンを警戒してくれればケージレスリングや組みの時間が短くなる=打撃の時間が長くなると思うので、それは自分にとってはやりやすいです。カーフキックとギロチンを覚えて、自分のMMAの幅が広がりましたね」

――さて次戦についてですが、何か具体的な話は進んでいますか。

「まだ話はしていないですが、今後も継続してUAEWには参戦したいですし、UAEWにはフライ級のタイトルがないので、これをきっかけにベルトを作って欲しいですね。ベルトという形を残せばUFC参戦という目標にも近づけると思っています」

――藤田選手はいつからUFC参戦を視野に入れていたのですか。

「明確に目標になり始めたのは(2021年2月に)DEEPで暫定王座を獲ってからですね。(2022年5月に)神龍(誠)くんと統一戦をやる前にはこれで勝ったらいけるかもしれないと思っていたのですが負けてしまって。そこからまたキャリアを尽くり直そうと思い、海外で試合をやりたいと思いました。UAEWが決まるまでの空白の期間も幾つか話があったのですが、最終的にまとまらなくて。結果的にUAEWで試合を組んでもらって、現にUAEWからUFCに行った選手もいますし、そこで2連続一本勝ちできたことは大きなアピールになっていると思います」

――ずばり藤田選手がUAEWで戦ってきた相手はRoad to UFCよりも手強い・厳しい相手だと思います。レコードに黒星がつくリスクもありますが、そういった相手と戦って自分のレベルを上げていきたいですか。

「はい。僕は野蛮なヤツとやり合いたいので(笑)。人間は本能的にも相手が強い・怖いと思っている方がいいパフォーマンスを出せると思っています」

――UFCを目指すうえで色んな方法や道があると思いますが、藤田選手が選んだ道がUAEWということですね。

「はい。今はUAEWが主戦場になっていますし、ほかにUFCにつながるチャンスがなければ、UAEWで戦っていきたいです」

――UAEという国自体もMMAが盛り上がっているのですか。

「かなり格闘技熱は高いですね。もともとADCC発祥の国ですし、国営放送でUFCやUAEWはもちろん、柔術やグラップリングの試合も放送されているんですよ。僕も帰りの空港で『昨日試合して勝ったヤツだろ!?』みたいに声をかけられたりもしました。国全体でMMAが盛り上がっている空気を感じるので、これからすごい選手が出てくる可能性もあると思います」

――サッカーではサウジアラビアリーグのクラブがオイルマネーを使ってネイマールやクリスチアーノ・ロナウドといったスーパースターを次々と獲得しています。MMAでもオイルマネーが動き出すと今までの常識が覆るようなことが起きるかもしれないですね。

「全然あると思いますね。僕はいつチャンスが来てもいいように、このまま勝ち続けていきたいと思います」

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IMMAF MMA MMAPLANET NEXUS o PANCRASE Pancrase340 YouTube チャンネル パンクラス ボクシング ムハンマド・サロハイディノフ ライカ 井村塁 伊藤盛一郎 住村竜市朗 佐藤生虎 川中孝浩 有川直毅 村山暁洋 松井斗輝 林源平 河村泰博 田嶋涼 笹晋久 美木航 藤田大 近藤有己 透暉鷹

【Pancrase340】横浜武道館大会の追加対戦カード発表。透暉鷹がバンタム級暫定王座戦へ

【写真】会見はYouTubeで中継(C)MMAPLANET

15日(水)、都内にて12月24日(日)に横浜武道館で開催されるPANCRASE340の追加対戦カード発表記者会見が行われた。
Text by Shojiro Kameike

会見は1部と2部に分かれ、パンクラスのYouTube公式チャンネルでも中継されている。今回の記者会見で発表されたのは次の7カードだ。

ウェルター級KOP選手権試合:林源平×住村竜市朗
バンタム級暫定王者決定戦:河村泰博×透暉鷹
フライ級暫定王座決定戦:伊藤盛一郎×有川直毅
フライ級:ムハンマド・サロハイディノフ×松井斗輝
バンタム級:田嶋涼×笹晋久
71.5キロ契約:近藤有己×美木航
ウェルター級:川中孝浩×佐藤生虎


バンタム級転向のために保持していたフェザー級のベルトを返上していた透暉鷹が、転向初戦で暫定ながらタイトルマッチに挑む。対戦相手は現NEXUS王者であり、今年9月に井村塁をギロチンで秒殺してランキング1位に昇ってきた河村だ。透暉鷹にとっては2階級制覇、河村にとっては2冠王者を目指す戦いとなる。

ウェルター級は今年6月に村山暁洋を判定で下し、新王者となった林源平に住村竜市朗が挑む。野球のヘルメットを被って会見に臨んだ住村は、ややスベり気味――しかしこれが、関西特有のスベり芸なのか。ともあれ、右主体のストライカーだった林は村山戦で鋭い左ジャブでアウトボクシングを展開。一方の住村も「塩漬け上等」と言いながら9月の藤田大戦は怒涛のパウンドアウトと、新しい一面を見せ続けている両者だけに、どのような展開になるか楽しみだ。

また、近藤有己が71.5キロ契約で、これが約7年ぶりのMMAを戦う美木航を迎え撃つことに。「2年ぐらい前から試合用の練習をしていた」という美木は、これがパンクラス初参戦となる。さらにIMMAF世界王者で、9月にパンクラスでプロデビューしたサロハイディノフと、プロデビューから6連勝中の松井斗輝が対戦することも決定している。

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o ONE UAEW UAEW45 UFC   アムル・マゴメドフ アリ・アルカイシ サンスハル・アディロフ ジェコンギル・ジュマエフ マゴメド・アルアブドゥラ ヤン・ジヨン リネット・ハバロフ ヴァルテル・コリアンドロ 吉野光 藤田大 藤田大和

藤田大和、吉野光 出場『UAE Warriors 45』試合結果

るるぶドバイ'24



▼UAEWライト級王座決定戦 5分5R
〇アムル・マゴメドフ(ロシア)7勝0敗
[1R 3分38秒 リアネイキドチョーク]
×ジェコンギル・ジュマエフ(ウズベキスタン)10勝4敗
※マゴメドフがライト級王者に

▼バンタム級 5分3R
〇ラニー・サーデ(ドイツ)13勝4敗
[2R 4分59秒 リアネイキドチョーク]
×ジェニル・フランシスコ(フィリピン)13勝8敗

▼150ポンド契約 5分3R
〇ヴァルテル・コリアンドロ(イタリア)14勝4敗1分
[1R 3分56秒 TKO] ※右ストレート
×アリ・アルカイシ(ヨルダン)15勝7敗

▼バンタム級 5分3R
〇リネット・ハバロフ(ロシア)8勝0敗
[2R 2分15秒 TKO]
×吉野 光(ALMA FIGHT GYM LIFE)12勝4敗

▼フライ級 5分3R
〇ヴィクター・ヌネス(ブラジル)10勝5敗
[1R KO]
×ノウラス・アブザク(ヨルダン)11勝5敗

▼フライ級 5分3R
〇藤田大和(リバーサルジム新宿 Me,We)11勝4敗
[1R 4分43秒 ギロチンチョーク]
×サンスハル・アディロフ(カザフスタン)11勝2敗1分

▼ライト級 5分3R
〇アブダラ・コツァエフ(タジキスタン)5勝0敗
[1R 4分21秒 TKO] ※マウントヒジ
×ペトル・バズドゥガン(モルドバ)5勝1敗

▼139ポンド契約 5分3R
〇ラバザリ・シェイドゥラエフ(キルギス)9勝0敗 ※
[2R リアネイキドチョーク]
×マゴメド・アルアブドゥラ(ロシア)12勝2敗1分

▼女子フライ級 5分3R
〇ワン・コン(中国)3勝0敗
[判定3-0] ※30-27×3
×アミーナ・ハダーヤ(豪州)3勝2敗

▼ミドル級 5分3R
〇ハビブ・ナビエフ(ロシア)7勝0敗
[2R リアネイキドチョーク]
×アディス・タライベク・ウウル(キルギス)8勝5敗2分

▼ライトヘビー級 5分3R
〇バルトズ・シェフチェク(ポーランド)7勝2敗1分
[2R TKO]
×アルテム・ゼムリャコフ(ベラルーシ)4勝1敗1分

 10月17日にアラブ首長国連邦アブダビのアルジャジーラ・クラブで開催された『UAE Warriors 45』の試合結果。藤田大和はサンスハル・アディロフに1Rギロチンチョークで勝利。吉野光はリネット・ハバロフに2R TKO負けしています。続きを読む・・・
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MMA MMAPLANET o UAEW UAEW45 サンスハル・アディロフ 藤田大 藤田大和

【UAEW45】砂漠でギロチン──再び。藤田大和が未知強アディロフから見事な一本勝ち!!

<フライ級/5分3R>
藤田大和(日本)
Def.1R4分43秒by ギロチンチョーク
サンスハル・アディロフ(カザフスタン)

左インローから左ハイを蹴ったアディロフに対し、藤田も右ハイから右インローを返す。アディロフは左ハイからテイクダウンへ。ケージに詰まった藤田はギロチンをセットしきれず、テイクダウンを許す。ヒザ立ちでボディにヒザを受けた藤田が、ボディロックから引き上げられるように倒される。藤田はケージを背負うが、アディロフが足を束ねる。ケージを背負った状態で藤田はボディを殴っていく。アディロフも左でパンチを入れ、束ねた足を抜かせない。

強力なボディロックで、藤田を倒そうとするアディロフ。藤田はギロチンをセットし、シングルで倒されたところでスクランブルから立ち上がる。すぐに組んできたアディロフをギロチンで捕えた藤田は、クローズドガードを取って横回転。マウントをから、もう一度背中をつけるように絞めあげてタップを奪った。

瞬間、両手を広げて勝利の雄叫びを挙げた藤田は、セコンドの山﨑剛に跳びついて喜びを露わにした。


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【UAEW45】2度目のアブダビでアディロフと対戦、藤田大和「前回のように伸び伸びと戦います」

【写真】現地でよく利用するというショッピングモール『ムシュリフモール』前にて。2度目のUAEW出場とあってか、現地到着後もリラックスできているようだ (C)TAKESHI YAMAZAKI

17日(火・現地時間)にUAEはアブダビのアルジャジーラ・クラブで開催されるUAE Warriors45で、藤田大和がカザフスタンのサンスハル・アディロフと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

藤田は8月にフィルカドベク・ヤクボフをギロチンで倒して以来、2度目のUAEW出場となる。21日に開催されるUFCのファイトウィーク内で行われる今大会で、11勝1敗1分の強豪アディロフと対戦することになった藤田。現地入り翌日に現地の様子と試合への意気込みを訊いた。


――今回の試合は開催日が20日から17日に変更されました。その日程変更は現地入りスケジュール等に影響を及ぼしましたか。

「特に影響はないですね。開催日の変更を聞いたのは最近の話ですけど、実は最初に試合の話が来た時――開催日については17日~22日の間で、まだ会場も決まっていなくて。そこから細かく決まっていくなかで、最初から『これは17日の開催もあるな……』と思っていました(笑)」

――えっ!? 21日に現地でUFCが行われるため、開催日が流動的だったことは致し方ないとしても、22日ということはUFCの翌日に試合をする可能性もあったのですね。

UFCファイトウィーク内でもあるため、空港からホテルまでの道にUFCの看板が設置されている(C)TAKESHI YAMAZAKI

「そうなんですよ。僕は17日の試合という最短のスケジュールを想定して動いていたので、特に問題はなかったです。それに17日開催で良かったと思っています。早く試合がしたかったので」

山﨑剛Me,We代表 9月に入って試合のオファーがあり、開催日も20日で決まって契約書にもサインして返送しました。でも9月末にUAEWのSNSで、開催日が17日に変わっていることに気づいて(苦笑)。僕は15日のグラチャンでTSUNEのセコンドについてからアブダビに入るつもりでしたが、予定を変更しました。グラチャンが終わってすぐ日本を発っても、大和の試合の前日には到着できたんです。でも減量のこともありますし、さすがに大和を1人でアブダビ入りさせるわけにはいきませんからね。

――それは大変でしたね……。今年8月にフィルカドベク・ヤクボフと対戦した時は、1試合契約だとお聞きしていました。ヤクボフに勝ち2度目のUAEW出場が決まったということは、前回の試合が現地でも評価されていたということですか。

「いえ、こちらから前回の試合後にアピールしていました。UAEWが10月に――しかもUFCのファイトウィーク内に大会を開催することは知っていたので。大会後にマッチメイカーの方に『次も出たい!』と伝えて、会場から帰りました(笑)」

――それだけ10月の出場をアピールしたのは、やはりUFCのファイトウィーク内の開催……UFC関係者が試合を見に来るという点が大きかったのでしょうか。

「はい。それは間違いないです」

――なるほど。8月のヤクボフ戦ですが、ヤクボフが打撃戦ではなく組みに来たのは意外ではなかったですか。

「過去の試合を視ていると、ローキックに合わせてテイクダウンを狙っているので、それは想定内でした。試合では僕としても思っていた以上に右カーフが当たって、相手も効いていたからテイクダウン中心で来たんだと思います。でも、もともとパンチを振りつつ組んでくる選手で。自分もテイクダウンされていましたが、あの展開になっても驚きはなかったです。本当は1Rも寝かされてから立ち上がりたかったけど、少し様子を見て……。結果、相手が組んできたところにギロチンが入るなと思っていて、2Rにフィニッシュすることができました」

――アブダビでの試合と日本の試合では、何が違いましたか。

ホテルにはマットスペースも(C)TAKESHI YAMAZAKI

「前回の試合は、とにかく気持ちが楽でした。日本で試合をする時は、どうしても試合前にやることも多くて。試合当日も応援してくれる方が多いので、気負ってしまうこともあるんですよね。僕の場合、気負いすぎることが多くて(苦笑)」

――アハハハ。知っている人が誰もいない会場のほうが戦いやすかったのですね。

「会場で知っている人といえば山﨑さんとコーチ、それと日本から応援に来てくださったジムの会員さんが1人という状況でした」

――その状況の中でヤクボフに勝利した瞬間は、どのような気持ちでしたか。

「それはもう視てのとおりです。久しぶりに勝って叫んじゃいました。あんなに叫んだのは、DEEPのベルトを獲った時以来じゃないですか」

――確かに、あれだけ藤田選手が感情を露わにしたことは驚きでした。前回の1勝は自身のMMAキャリアに、どのような影響を及ぼしたと思いますか。

「それはまだ分からないですね。前回の勝利も、たまたまだと思っていますし。UAEWでの戦いも始まったばかりで、今回の試合もそう簡単にはいかないです」

――では今回対戦するサンスハル・アディロフの印象を教えてください。

「アディロフは8月の大会にも出場するはずだったんですよね。戦績を見て『強い選手がいるんだなぁ』と思っていたら、前日に試合がキャンセルになって。今回の試合が決まってから映像を視てみると、足を使ってジャブを突くパンチ主体の選手ですけど、自分から組みに行く場面もある。対して相手が組んで来るとスプロールすることもできて、何でもやれるタイプです。あとはRNCでフィニッシュしている試合が多いので、そこは注意しないといけないと思います」

――前回のインタビューではヤクボフの出身地であるウズベキスタンのボクシング事情についてお話いただきましたが、ちなみにカザフスタンの印象というのは……。

「いまアマチュアボクシングではウズベキスタンが世界一ですけど、その前はカザフスタンでした。僕も初めて海外の大会に出た時、カザフスタンの選手に負けていて。大会では、その選手が優勝していました」

――アディロフもそうですが、スムーズにパンチを出してくるボクサーが多いですね。

同日UAEW45に出場する吉野光、帯同している上久保周哉(C)TAKESHI YAMAZAKI

「僕は、どちらかといえばパンチを振ってくる選手のほうが、やりやすかったです。でも今はMMAの試合ですし、どういうタイプが来ても大丈夫です。相手が打撃戦をやってくるなら自分もやりますし、どんな展開になっても良いですよ」

――それは楽しみです。ご自身の試合が終わったあと、UFCも観戦して帰国するのですか。

「いえ、試合の翌日に帰国します(苦笑)。UFCが21日開催なので、4日も空いてしまっていますからね……。最初は20日開催だったので、観戦して帰るつもりでした。空港からホテルに向かうまでの道にもUFCの看板がたくさん設置されていて」

――UFCのファイトウィーク内に開催される大会で、アブダビ版DWCSの様相を呈している今回のUAEWです。対戦相手のアディロフもDWCSにエントリーしていておかしくない戦績ですし、その中で藤田選手はどのような試合を見せたいですか。

山﨑 入れ込みすぎると良いことはないので、前回のようにリラックスして戦ってほしいです。

――先に山﨑さんから注意のようなコメントが入りました(笑)。

「アハハハ。前回のように伸び伸びと戦ってきます!」

■視聴方法(予定)
10月17日(火・日本時間)
午後11時00分~ UFC Fight Pass

■UAEW45対戦カード

<UAEWライト級王座決定戦/5分5R>
アムル・マゴメドフ(ロシア)
ジェコンギル・ジュマエフ(ウズベキスタン)

<バンタム級/5分3R>
チムール・ヴァリエフ(ロシア)
パウリアン・パイヴァ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
ラニー・ザーデ(ドイツ)
ジェニル・フランシスコ(フィリピン)

<ライトヘビー級/5分3R>
アルテム・ゼムリャコフ(ベラルーシ)
バルトシュ・シェフチェク(ポーランド)

<150ポンド契約/5分3R>
アリ・アルカイシ(ヨルダン)
ヴァルテル・コリアンドロ(イタリア)

<バンタム級/5分3R>
リネット・ハバロフ(ロシア)
吉野光(日本)

<フライ級/5分3R>
ノウラ・アブザク(ヨルダン)
ヴィクトル・ヌネス(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
サンスハル・アディロフ(カザフスタン)
藤田大和(日本)

<ライト級/5分3R>
アブダラ・コツホフ(タジキスタン)
ペトル・ブスドゥガン(モルドバ)

<139ポンド契約/5分3R>
マゴメド・アルアブドゥラ(ロシア)
ラバザリ・シェイドゥラエフ(キルギス)

<女子フライ級/5分3R>
アミーナ・ハダーヤ(豪州)
ワン・ホン(中国)

<ミドル級/5分3R>
カビブ・ナビエフ(ロシア)
アディス・タライベク・ウウル(キルギス)

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【Grachan65】運命の手塚基伸戦へ、TSUNE―02―「自分のやれることを出して、必ずベルトに辿り着く」

【写真】諦めない。昨年12月の悔しさを糧にして――(C)MMAPLANET

10月15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、手塚基伸と対戦するTSUNEのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

ノンタイトル戦で現役王者の手塚を倒し、ベルトを賭けた再戦まで繋げたいTSUNE。そのTSUNEにとって手塚とは、一人の対戦相手というだけではなく、実は「先生」だった――。オファーが届いた時、格闘技を始めた頃の記憶が蘇った。そして、この対戦に運命を感じずにはいられない。10月15日、万感の思いを込めてホーンが鳴る!

<TSUNEインタビューPart.01はコチラから>


――グラチャン初参戦で現バンタム級王者の手塚選手とのノンタイトル戦に臨みます。

「……手塚さん、僕のことを覚えていますかね?」

――手塚選手はインタビューで「TSUNE選手とはドリーマージムの食事会で話をしたことがある」と仰っていました。

「えっ!? 覚えてくれていたんですか。僕がドリーマージムに入った時、手塚さんはクラスの指導を担当していて、僕はいち会員でした。だから僕のことは覚えていないと思っていたんです。今回の試合が終わった後に、『僕のことを覚えていますか? 実はドリーマージムで……』なんて聞こうと考えていたぐらいで(笑)」

――TSUNE選手は藤田大和選手のご家族が運営していたドリーマージムで格闘技を始め、当時ドリーマージムのMMAクラスは総合格闘技道場コブラ会が指導を担当していました。コブラ会から手塚選手が指導で大阪から岡山へ派遣されていたのですよね。

「はい。だから手塚さんって、僕にとってはドリーマージムで最初に格闘技を教えてもらった先生なんですよ(笑)。年齢も近いし、話しやすい人で、いろいろ教えてもらいました」

――当時の手塚選手の印象はいかがですか。

「メチャクチャ強かったです。ニーインザベリーだけで抑え込まれて『プロ選手に抑え込まれると、こんなに動けないんだ!』と思いましたから」

――TSUNE選手も東京に移ってMMAでプロデビューし、バンタム級で戦っていくなかで手塚選手との対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を考えたことはなかったです。僕がプロデビューしてからDEEPを中心に試合をしていた時、手塚さんはいろんな大会に出ていたじゃないですか。それで僕がパンクラスに参戦になってからは、手塚さんはパンクラスに出ていなくて。だから手塚さんと交わることはないのかな、と思っていました」

――大会会場で話をすることもなかったのですか。

「会場で見かけることはありましたけど、僕のことなんて覚えていないだろうと思っていたので……。その時は手塚さんも忙しそうでしたし、改めて挨拶する時間もなかったというか。今は東京と大阪で離れていますしね。手塚さんの言う食事会のことも覚えていますよ。もともと僕はプロ選手になりたいと言っていたから、大和のお父さんが手塚さんを呼んで食事会をセッティングしてくれたんです」

――今回の試合が決まった時、藤田大和選手は何と仰っていましたか。確か藤田選手もMMAクラスに参加していたはずですが……。

「手塚先生と試合するんですね、と言っていました」

――藤田選手は手塚選手のことを、完全に「先生」呼びなのですか。

「当時、大和は中学生でしたから。その時に組み技を教わっていた人だから、今でも『手塚先生』と呼んでいますよ。だから今回の試合は、セコンドを大和にお願いしたかったんですけど」

――完全にドリーマージム繋がりの試合になりますね。

「でも大和がUAEWに出ることが決まって。さらに大会が20日から17日に変更されたので、セコンドにはつくどころか試合の日は東京にもいないんですよね」

――なるほど。それは残念です……。

「でも僕が今回勝って、次のタイトルマッチに繋げますから。ベルトを賭けて再戦する時は、大和にセコンドについてもらいます」

――ドリーマージムは今年に入って惜しまれながら閉館となりました。その年に手塚選手とTSUNE選手が対戦するのは、何か運命的なものを感じずにはいられません。

「不思議な縁ですよ。おそらくプロモーターサイドも、オファーした時点ではこの繋がりを知らなかったと思います。大和のお父さんが始めたジムから、こうして皆が繋がって。一番はこの試合を、大和のお父さんに見せたかったですね。もうお父さんは亡くなっていて……、天国から僕と手塚さんの試合を見ていてほしいです。

格闘技ファンは『ドリーマー』と聞いたら、格闘DREAMERSを思い浮かべるかもしれません。でも僕たちにとっては、あのドリーマージムであり――今回の試合は、僕たちの『格闘技DREAMERS』なんです」

――それだけの想いがこもった試合ですね。では改めて、先生としてではなくファイターとしての手塚選手の印象を教えてください。

「印象は――タフな選手ですよね。年齢は僕より2歳下だけど、いろんな大会で戦ってきて、たくさんベルトも巻いてきている選手です。手塚選手って、やることが決まっているタイプだと思うんです。でも、それで勝つことができる選手は数も少なくて。強い、とにかく強い相手です」

――対して、TSUNE選手もやることが決まっている選手だと思います。あるいは、この試合で新しいものを見せることもあるのでしょうか。

「いろいろ準備はしていますけど、まずは自分のやれることを、試合で出す。それを出せるように、今はいろいろと練習で試しているところです。全てが終わったら――いつか大和も交えて手塚選手と酒でも飲みながら、ドリーマージムの話をしたいですね。その前に、必ず勝ってベルトまで辿り着きます」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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