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【Fight&Life & ADCC Asia & Oceania Trial】ADCC予選へ、森戸新士「家族や仲間の存在が自分の力に」

【写真】競技として柔術とグラップリングは別モノであると思いますが、グラップリングを修めようといういう姿勢は生き方として柔術家だと感じます(C)MMAPLANET

現在発売中のFight&Life#99で11月25日(土・現地時間)にシンガポールはジュロンイースト・スポーツセンターで開催されるADCCアジア&オセニア予選に出場する森戸新士のインタビューが掲載されている。

岩国と広島に柔術道場を持つ。経営&指導でありながら、毎月のように道着&ノーギ、プロ&アマ・トーナメントに数多く出場する森戸にとってADCC出場の意義と、柔術家として取り組みを尋ねた同インタビューを全文掲載したい。


──昨日の全日本柔術選手権、ライト級と無差別級で3位でした。

「階級別も無差別も初めて試合をした大浦マイケ選手、グラント・ボクダノフ選手に準決勝で負けてしまいました。マイケ選手は茶帯で勝ちまくっていた選手で、自分の形を創る前に崩されてしまいした。素直に完敗でしたので悔しくて、やり返したい気持ちでいっぱいです(苦笑)」

──無差別の準決勝はポイントを取り合って同点でレフェリー判定負けだったと。マイケ選手もグラント選手も年下です。国内において下の世代が上がってきたことに関しては、どのように捉えていますか。

「そういう年齢になってきたな、と(笑)。僕が黒帯になったのが2018年、あの時には『やっと黒帯の強い選手を倒しにいける』と思っていました。思ったことを実現してきて、今は茶帯から上がってきた強い選手を倒す立場になった。でも今回は倒されたから、やり返したいです」

──それにしても1週間前にグラジエイターで暫定王座決定戦を戦い、世羅智茂選手を破って王者になったばかりでした。ケージ・グラップリングと畳の道着、もう完全に別モノかと。強行スケジュールで、どちらに比重を置いていたのですか。

「今回はノーギの方でした。ただ普段からノーギの試合前でも道着の指導をしていますし。そのままスパーにも加わっているので、どちらも練習しています。ただフォーカスしていたのはノーギですね。道着の方は3、4回ほど練習しただけでした。なので全日本は出場するかどうか迷ったんですけど、これでは来年のムンジアルで勝てないと思い知らされたので、出て良かったです」

──たまたまグラップリングの試合が前だったから、比重を置いていたのでしょうか。

「今回はタイトル戦で、世羅さんにはノーギで1度負けているので。ちゃんと取り返しておきたいというのがありました」

──4-2でしっかりと確実に勝った。そういう印象の試合でした。

「ルール的に上の取り合いになると分かっていましたし、そのつもりで準備もしていました。しっかりと勝てたことは良かったです」

──それにしてもグラジエイター、FINISHというグラップリングのプロマッチ、プロ柔術でもKITとART。そして全日本やアジア、全日本ノーギともの凄い数の試合に出場していますね。

「基本的には月に1度は試合をしていると思います。でも僕は試合が終わると、もう過去のことになっちゃうんです(笑)。次のことしか考えないので」

──現役生活と指導者生活、これだけ試合に出ていてなお、バランスが取れているのですね。

「基本、オファーがあったら断らないようにしています。呼ばれているうちが華なので。大きな舞台で活躍したいですし、その過程でもあるので数もこなしていきたいです」

──そういうなかで旅費、出場費を払うトーナメントと足代が出てファイトマネーのあるプロの試合では、捉え方は違ってきますか。

「試合は始まれば同じなので、あまり違いとかは考えないです。エントリー費用で1万円払うのも経験値を積んで、実績を創るためです。それにトーナメントは試合数が多くて、その分練習で取り組んできたモノを試せて成長できます。勿論、ファイトマネーが少しでも多い方が良いですけどね(笑)。それにプロの試合は旅費の負担がないのも助かります。そこに呼んでもらえていることが、有難いです。そういう舞台で戦うと名前も売れますし、ジムの宣伝にもなるので。プロマッチは相手が強い人しかいないのも良い点です」

──森戸選手はいつ頃からグラップリングの試合に出て、ADCCを目指すようになったのですか。

「初めてグラップリングの試合に出たのは2019年のADCCアジア・オセニア予選でした。岩本健汰選手が66キロ級で代表になった時です。僕は77キロ級に出場し2回戦でラクラン・ジャイルスに内ヒールで負けました」

──ラクランはその年の世界大会では無差別級で3位になるなど、足関節で旋風を巻き起こしたグラップラーですし、初のグラップリングでは致し方ない結果かと。

「あの時は柔術の練習の時に道着の上だけ脱いで藤田(善弘。藤田柔術代表)先生とチョロッとやっただけで出ていました。で足関を創られて、逃げ方も分からず足首とヒザを少し鳴らされてタップしました」

──なぜ予選に出ようと?

「当時はまだ会社員で、仕事をしながらでも選手として活躍したいともがいていた時期で、大きな大会は全て出ようとしていました。それで、取りあえず出てみようと。振り返れば、まぁ……どうやって勝つつもりだったんだろうとは思います。同時にそれぐらいのマインドを持っていないと、ああいう舞台には出ていなかったでしょうし。僕は試合に出て、課題に直面して直していくようにしているので」

──柔術では禁止されている内ヒールで敗れて、これは別モノだから構わないという気持ちには?

「ならなかったです。あの後のラクランの活躍も見て、自分もグラップリングを頑張ろうというきっかけになりました」

──別モノだという考えにはならなかったということですね。

「別モノという考えもあると思います。ただADCCの入賞者を見ても柔術家が多かったです。コブリーニャ、ダヴィ・ハモス、2連覇のJT・トレスと。柔術家がADCCルールに対応するために練習をして結果を残している。つまり柔術はグラップリングで生きているということじゃないですか」

──ハイ。

「グラップリングを戦う上でも柔術の練習が無駄になるとは思わないので、それほど分けて考えることはないです。ただし、グラップリングに特化して練習した方がADCCでは結果を残せるとは思っています。ムンジアルとADCCの両方を狙うよりも、どちらかに集中した方が成果は出しやすい。それでもミカ・ガルバォン、ジオゴ・ヘイス、ファブリシオ・アンドレだとか、ルオトロ兄弟もそうですが、両方で活躍している柔術家も多くて。僕が目指したいのはそういう選手です」

──まさにその言葉通りの活躍を国内ではできています。両競技に出る利点はどこにあると考えていますか。

「利点……利点というか、両方とも楽しいです。道着もアジアの前に集中して練習していると、掘り下げる分だけ新しい技術が見つかって。その時は道着にハマります。でもノーギの大会前はレスリングもそうだし、新しい技術にハマります。一方に集中した方が、競技者としては上達すると思いますが、両方とも楽しいから、今のところは両方で頑張りたいという気持ちです」

──コンペティションに出る理由も楽しいからでしょうか。

「そこに対する取り組みも、ですね。もちろん、試合だから精神的に負担もあります。ただ挑戦していること自体は楽しいです」

──楽しめなくなる。それも競技者生活の一面ではあります。

「注目が集まり過ぎると、そうなるんじゃないでしょうか。マイナー競技だから、楽しめているのかもしれないです。ただゴードン・ライアンが楽しめているとは思えないですね(笑)。ウィリアム・タケットも『試合に出ることはストレスだから、ずっと競技者をやっていこうとは思っていない』と言っていました。弟のアンドリューは、ただ楽しいって感じですけど(笑)」

──なるほどぉ。これは絶対的に否定していることではなくて──。森戸選手が全日本柔術の週末に子供さんの運動会に行かれていたことは、正直驚きました。

「日程的に可能であれば、どんな大きな大会前でも娘の運動会には行きますっ!! 」

──かつかつに体重を落とすわけでないですし。そういえば、MMAでも計量後に運動会に駆けつけている選手もいました。

「僕は減量を余りしないのですが、そりゃあ娘の運動会は大切です。むしろ、そこから活力を得ないといけない。そのために日々を頑張っているので」

──昭和親父として、頭が下がります(苦笑)。

「競技を続けることは当然、楽しいだけではないです。今の僕は道場経営で生活を成り立たせているので、自分の実績も今後の経営に関係してきます。何より応援してくれる家族、生徒さんやスポンサーさん達の生活も僕が活躍することで豊かになってほしいし、自分の心も豊かになれるので競技を頑張りたいです」

──今年は1月にジョセフ・チェンに完敗を喫しました。自らの努力を否定されかねない敗北だったかと思うのですが、心を豊かにするのとは真逆で絶望感を持つことは?

「自分がジョセフの域まで達していないだけで、でも強くなっている実感があります。これだけ強い人がいるのだから、もっと頑張ろうという気持ちになりました。強い選手と肌を合わせられて良かったと思います。戦う舞台が世界になると、ああいう選手が揃っているので。現にジョセフはノーギだと過去一で強かった。ジョセフ・レベルの選手がADCCの世界大会に出る。そういう選手と日本で試合ができて、差も分かりました。そこをどう埋めていくのかという過程に今はいます」

──あの試合以降、森戸選手のグラップリングは技術的に変化しました。ラクランの足関から始まったグラップリング挑戦ですが、この競技自体に技術変遷が見られます。

「今では足関は必須科目です。主流の技術が代わり、その技術を修得していく過程はやはり楽しいです。強くなることが実感できるので」

──その成果を発揮する舞台が、 11月25日のADCCアジア・オセアニア予選です。

「ADCC世界大会は僕の目標とする大会の一つです。招待選手でもない僕は、そこに出るには予選で勝つしかない。もちろん、そこに賭ける想いはあります。そのために練習をしているので」

──その練習環境としては広島&岩国だと、首都圏のコンペ練習がある道場とはまた違ってきます。首都圏ではMMAファイターのプロ練習に参加する選手もいますし。

「練習環境の差はどう見てもあります。でも僕はこのジムを自分で起ち上げて、通ってくれる生徒さん、出稽古で来てくれる練習仲間──皆で強くなっていこうという気持ちでやっています。取り組み方次第で、練習環境の差は埋めていける。結果を残して、ソレを示していきたいという想いでやっています」

──アジア・オセニアニア予選、豪州、あるいは中央アジアからどのような選手が出てくるのか分からないですが、前回優勝の岩本健汰選手が優勝候補一番手だと思われます。東京やB-Teamで練習する岩本選手を相手にして、今の言葉を実践できるのか。大勝負ですね。

「う~ん、ADCCルールの実力でいえば向うの方が全然上です。ジョゼフに勝ち、ウィリアム、ダンテ・リオンという世界のトップと張り合える選手との試合を見ても、岩本選手はめっちゃ強いです(笑)。でも、そこに挑んでナンボなんで。やるからにはもちろん、自分の持っているモノを全部出して勝ちに行きたいです」

──岩本健汰になくて、森戸新士にある長所とは?

「柔術の極め。岩本選手もスクランブルが強いですけど、自分も意外と得意なので、そこで驚かせることもないことはない。そういうところでチャンスを創りたいです。僕はコロナの時に米軍基地での指導という仕事を失って、あの時に柔術を教えていた生徒さんの助けがあって、家族と生き抜くことができました」

──……。

「LEOSを創る前、結婚をする前、子供が生まれる前は自分のことしか考えていなかったです。今は柔術だと試合会場に仲間と一緒に行き、プログレスとか自分だけの試合でもセコンドで仲間が来てくれます。試合直前まで支えてくれて、応援してくれる家族や仲間の存在は、明らかに自分の力になっています」

──圧倒的な実力差があるケースを抜きにして、競り合った時にその想いが森戸選手のエネルギーになりそうですね。

「より一層負けられないという気持ちが大きくなります。試合前も娘の写真を見て……だから運動会にも行くし(笑)。奥さんから娘が『頑張ってねぇ』と言っている動画が送られてきます。道場の皆のメッセージを読んで、動画を見ると良い感じで緊張が取れて『やるぞ』と気持ちを切り替えることができるし。そんな皆のためにも頑張りたいです」

──では改めてADCCアジア・オセニア予選に向けて、意気込みの程をお願いします。

「ADCCアジア・オセアニア予選はレベルも凄く上がっていて、メンバー的にも過酷なモノになると思います。インターバルも短く体力的にも厳しいです。勝ち上がれば勝ち上がるほど厳しい状況になりますが、一つひとつ勝ち進んで──代表権を掴み取りたいと思います」

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ADCC2022 JT・トレス MMA MMAPLANET o PJ・パーチ YouTube   アンディ・ヴェレラ ウィリアム・タケット エスペン・マティエセン クレイグ・ジョーンズ ダンテ・リオン ダヴィ・ハモス トミー・ランガカー ニッキー・ライアン ヘナート・カヌート ロベルト・ヒメネス 堀内勇 岩本健汰

【ADCC2022】高橋サブ&堀内勇がADCCを深掘り─03─。77キロ級、トップ4の力有り?! 岩本健汰

【写真】組み合わせは次第、力はベスト4に肉薄しているか──岩本健汰(C)HUYNH NGUYEN

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターで開催される2022 ADCC World Championship。2年に1度のグラップリング界最大のトーナメントが、コロナの影響で3年振りに開催される。

グラップリング界においても特殊なポイント制が用いられながら、世界最高峰の組み技の祭典を高橋Submission雄己とMMAPLANETグラップリング・ライター堀内勇氏が、独断と偏見と愛情をもって深堀り。第3弾は77キロのJT・トレスの対抗馬から、日本から出場する岩本健汰について話を続けてもらった。

<高橋Submission雄己&堀内勇、ADCC深堀対談Part.02はコチラから>


──おお、ニッキー・ライアンですか。

堀内 ダンテ・リオン戦でケガをして、その後にもう一度ヒザをやったようで。本当に復帰直後で、100パーセントとはいえないのでしょうが、「この2、3年レスリングを強化してきて、レスリングには本当に自信がある。ハンド・ファイティング、立ち技で相手を疲れさせることが重要だ。僕はJTと戦っても、レスリングで疲れさせることができて、もしかしたらレッスルアップもできるんじゃないか」という風に言っていました。

一方でミカの方は「JT、強いねぇ。1回戦でも決勝でも戦うのが楽しみだよぉ(笑)」っていう感じなんです(笑)。皆、それぞれがJT対策を練っているようです」

──ニッキーとJTが対戦して……ハンド・ファイティング、つまり組手争いをするということですよね。それが10分とか延長戦まで続くと思うと……。

堀内 アハハハハ。「加点でない時間帯は疲れさせる」と言っていたので、あとからチェックして最初の5分は早送りで良いかと思います(笑)。

高橋 アハハハハ。やっぱりケイドとニッキーかと思います。JTの嫌なことができそうなのは、ケイド。かき回してくれそうです。あとニッキーはB-TEAMのYouTubeとか視ていると、めちゃくちゃレスが強くなっていますね。ADCCルール的にレスリングの地力でJTに勝つこともあり得るかと。ミカ以外の対抗馬は僕もケイドとニッキーかなという感じです。

そういうなかでルーカス・レプリが欠場という残念な情報を見ました。

──レプリは実戦の感がどれだけ戻っているのかというのがあったのですが、残念です。JTのADCCの勝ち方でルールを理解して纏めてくる。それはIBJJF的フィロソフィーだという部分、実は岩本健汰選手に話題が進まないかと振りでした。

堀内 そういうことだったのですか(笑)。

──優勝、JT越えが現実的な話題かどうかは、さておいて日本からたった1人の出場選手で、B-TEAMで鍛えて本戦に挑む岩本選手に言及して欲しかったです。

高橋 う~ん……。

堀内 僕がスッと岩本選手の名前が優勝候補やそこに勝つというところで出てこなかったのは、やはり岩本選手と世界のトップの試合を見ていないからであって期待をしていないということは絶対にないです。

ツイッターを見せていただくと、B-TEAMで指導を代行したり、本当に凄いことだと思います。あのトップどころに短期間でそこまで認められて。ベン・エディにも勝っていますし。

高橋 地力は間違いなく、トップレベルに追随しています。僕も身をもって岩本さんの強さをロータスの練習で知っているけど、如何せん比較対象となるJTやミカと肌を合わせたわけでないので、肌感覚物差しでは話せない。そうなると過去の試合を見て、客観的な分析からルールに合う部分を揃えて勝敗予想をしていきたいですけど、こっちの物差しで測ろうとすると岩本さんの試合データがなかなかなくて、比べることが難しい状況です。

──となると、過去の実績で評価してしまうのが世の常ですね。それとアジア&オセニア予選の優勝者が、過去にどういうリザルトだったのかが判断材料になってしまいます。

高橋 ただB-TEAMで認められていて、組み技のレベルとしてトップグループに追随している。あとスタイル・マッチアップを考えると岩本さんはサブオンリーでなく、ADCCルール向きです。この条件でいうと、ベスト4候補のニッキーと練習して認められている。しかもニッキーに立ち技を教えていたりしています。そうなるとスタイルはADCCにバッチリ合っていて、組み技のレベルでトップに追随しているという理屈だと、ベスト4に食い込んでくる候補として挙げても良いのかもしれないとは思います。

──ベスト4候補というのは、ベスト4に入る力の持ち主ということですね。ただし、組み合わせで次第で、それこそ初戦でJT、ミカ、ケイド、ニッキーと当たることもあります。

堀内 アジア&オセアニア予選の優勝者は第1シードか第2シードに当てられる印象が強いです(苦笑)。

高橋 そこを乗り越えても、消耗するだろうし不利になってきますね。

──ではトーナメント枠を取っ払って16人の枠のなかで順位をつけるとすれば、現在の岩本選手は何位になると思われますか。

高橋 ベスト4はあると思います。

──堀内さんは?

堀内 僕は……そこは分からないです。でも、本当に期待しています。最後にエントリーされたマジット・ヘイジとかには勝って欲しいです。他の選手もトミー・ランガカー、オリヴィエ・タザ、ウィリアム・タケット、先に名前が出ていてもおかしくないロベルト・ヒメネス、ラクラン・ジャイルズ、ダヴィ・ハモス、ヘナート・カヌート、PJ・パーチ、アンディ・ヴェレラは少し落ちるかもしれないですけど。

──言うて石井慧選手にSUGで勝っていますし。

堀内 それだけ凄い選手しか、いないってことなんですよね。

高橋 俺、今挙がった中の選手だったらヴェレラ、バーチ、タケット、なんならラクランだと岩本さんが勝つかなって思っています。ただ、そこと1回戦で当たることがないんですよね。でもフラットに見たら、それぐらいの強さを岩本さんは持っていると思います。

──ならADCCだけでなく、世界のプロ・グラップリングの場に挑戦する姿も見たいですね。

高橋 ただしADCCルール向きというのは有ると思います。ルール云々でなく、組み技全体の総合力という部分では、岩本さんはトップレベルにいるんじゃないかと……いて欲しいという希望的観測はあります。触れてみて、凄く強いと思うから。岩本さんがボコボコにされたら、そのレベルってどうなんだって──となってしまうので。

堀内 ブラジル、そして米国ばかりだったころに北欧からランガカー、エスペン・マティエセン、豪州からラクランとクレイグ・ジョーンズが出てきたように、極東から岩本選手がバーンと来たら、本当に夢がありますよね。

──この場で、このメンバーと戦って、勝負論まで語ることができる日本人グラップラーが過去にいたのかということですし。

高橋 本当にそうですよね。

<この項、続く>

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MMA MMAPLANET NEXUS28 o ジルベウト・ドゥリーニョ ダヴィ・ハモス ニュース レアンドロ・ロ

【NEXUS28】レアンドロ・ロの悲報を受け、ドリーニョに訊く。「僕らはレジェンドを失った」

【写真】ドリーニョがムンジアルを制した翌年から、ロの世界制覇が始まった (C)MMAPLANET

7日(日・現地時間)、ブラジルからレアンドロ・ロが銃で撃たれて死亡するという悲しいニュースが世界中を駆け巡った。

5階級で8度のムンジアル黒帯優勝、不世出の柔術が世界王者になる直前のライバル――ジルベウト・ドゥリーニョ。

その彼がキルクリフ・ファイトクラブ内の柔術クラスを指導後に、レアンドロ・ロの死について言葉を貰った。


ジルベウト・ドゥリーニョ
僕たちは決して物凄く近い間柄ではなかったけど、彼のことが好きだった。何よりも競技者として、レアンドロ・ロは僕を強くさせてくれる存在だったんだ。僕らは4度戦った。最初はサンパウロの州選手権だった。それからアブダビ・トライアル、ノーギワールズの準決勝、コパ・ポジオで戦った。最初の3試合は僕が勝ち、コパ・ポジオではレアンドロが勝った。

いつもタフな試合になり、僕を成長させてくれた。レアンドロがトーナメントに出ていると知っただけで、力が入ったよ。

それから僕はMMAに転じたけど、彼が柔術界で成し遂げてきたことをずっと見てきた。イイ奴だった。いつも平和的で、柔術界の人間のことを気に掛けていた。純粋な柔術人間だったよ。軍警察の人間が、頭を撃ち抜くなんて……。とにかく……こんなに悲しいことはない。

偉大なる柔術家が亡くなっただけでなく、あんなに良い人間が殺されたんだ……悲しすぎる。僕らはレジェンドを失った。まだ32歳だよ。才能にあふれた彼はMMAだって挑戦できたはずだ。柔術界で引き続き、歴史を創ることができた。子供がいて、家族がいる。これから、いくらでも楽しめる人生を突然、暴力で幕を下ろさないといけなくなったなんて……。本当に悲しすぎる。

本当に素晴らしい柔術家で、ライトからミドル級、メディアヘビー級、ヘビー級に無差別級で8度も世界王者になっている。2011年、僕がムンジアルで優勝した年のライト級はとんでもないメンツが揃っていた。土曜日を勝ち残り、日曜日の準々決勝で僕はルーカス・レプリと戦った。他にはレアンドロ・ロ、マイケル・ランギ、クロン・グレイシー、ダヴィ・ハモス、JT・トーレスがいた。ロが自分の方の山にいるだけで、僕はより強くなれた。ロはそれだけの存在だったんだ。

昨日は本当に辛かったよ」

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Column MMA o ONE UFC   アルマン・ツァルキャン グレッグ・ハーディー サビーナ・マゾ セルゲイ・スピヴァク ダヴィ・ハモス ホルヘ・マスヴィダル ミランダ・マーヴェリック

UFCがグレッグ・ハーディーら4選手をリリース


Greg Hardy(Sherdog)

Sabina Mazo(Sherdog)

Davi Ramos(Sherdog)

Jared Gooden(Sherdog)

 UFCがグレッグ・ハーディー、サビーナ・マゾ、ダヴィ・ハモス、ジャレッド・グッデンをリリースしたことをMMAFightingが確認したとのこと。


 グレッグ・ハーディーは現在33歳のアメリカ人でMMA戦績7勝5敗1無効試合(UFC戦績4勝5敗1無効試合)。今月の『UFC 272: Covington vs. Masvidal』でセルゲイ・スピヴァクに1R TKO負けし3連敗を喫したことから本人もリリースを覚悟しており、インスタグラムで「俺のファンの人も嫌いな人も全ての人たちに感謝する。みんな、ありがとう。コーチ、家族、そしてUFCに、明るく輝く機会を与えてくれたことに感謝している」とコメントしていました。

 ハーディーは元々NFLのトッププレイヤーでカロライナ・パンサーズ、ダラス・カウボーイズに所属していましたが、素行不良、DVによる逮捕、コカイン所持による逮捕等でチームから放出されたことから総合格闘技に転向。アマチュア戦績3勝0敗の後にDana White's Contender Seriesで2連勝、ローカル団体でも1勝したことからUFCと契約しています。しかしUFCデビュー戦だった『UFC Fight Night 143: Cejudo vs. Dillashaw』では反則の膝蹴りによる反則負け。『UFC on ESPN 6: Reyes vs. Weidman』のベン・ソソリ戦では判定勝ちした後にインターバルで酸素吸入器を使用していたことから裁定がノーコンテストに変更されるなどUFCでも悪童ぶりを発揮していました。

 サビーナ・マゾは現在24歳のコロンビア人でMMA戦績9勝4敗(UFC戦績3勝4敗)。今月の『UFC Fight Night 203: Santos vs. Ankalaev』でミランダ・マーヴェリックに2Rリアネイキッドチョークで敗れ3連敗を喫していました。

 ダヴィ・ハモスは2020年7月の『UFC Fight Night 172: Figueiredo vs. Benavidez 2』でアルマン・ツァルキャンに判定負けして以降試合をしていませんでした。

 ジャレッド・グッデンは昨年10月の『UFC Fight Night 194: Dern vs. Rodriguez』でランディ・ブラウンに判定負けした後、すでに今年1月にホルヘ・マスヴィダルの団体iKon FCで試合をしており判定勝ちしています。続きを読む・・・
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MMA ONE WNO Championships WNO13 オリバー・タザ クレイグ・ジョーンズ タイ・ルオトロ ダヴィ・ハモス ドナルド・セラーニ ペドロ・マリーニョ リーヴァイ・ジョーンズレアリー

【WNO13】2022年のWNOはクレイグ×ノーギワールズ2冠マリーニョ、タイ・ルオトロ×リーヴァイから

【写真】反応という部分をとっても、若いマリーニョがクレイグを食う可能性は十分にある (C)MMAPLANET

1月21日(金・現地時間)にテキサス州フリスコにあるスポーツ・アカデミー・アット・ザ・スターでWNO13が開催され、WNOライトヘビー級王座決定戦=クレイグ・ジョーンズ×ペドロ・マリーニョ、WNOミドル級選手権試合=王者タイ・ルオトロ×挑戦者リーヴァイ・ジョーンズレアリーという2つのタイトル戦が組まれることが発表されている。

ムンジアルが2年振りに開催された今も、北米でのグラップリング熱は収まらず、MMAファイターも多く参戦するなか、純粋グラップラーの活躍でこのジャンルをリードするWNOが2022年も早速注目カードを揃えてきた。


新設されるライトヘビー級王座を争うクレイグとマリーニョは揃って9月に行われたWNO Championshipsのミドル級王座決定トーナメントを欠場しているが、翌月にクレイグはPolarisノーギ・ミドル級王座をダヴィ・ハモスを相手に防衛し、今月19日には──なんちゃってコンバット柔術でドナルド・セラーニを下している。

一方、グレイシーバッハの黒帯マリーニョは10月に開催されたノーギワールズで無差別級とヘビー級を制し、ポイント有りノーギで──黒帯初年度にして世界最強グラップラーの地位を獲得している。

レスリング力もあり、足関節も使いこなしながら、ギロチンというスクランブル系の極めを持つマリーニョ。ADCCイヤーの戦い初めでクレイグを相手に、どのような試合を見せることができるのか、非常に興味深い。

(C)CLAYTON JONES/WNO

そんなクレイグとマリーニョが欠場したトーナメントを制し、ミドル級王者となったタイの初防衛戦の相手=ジョーンズレアリーは10月のWNOに初参戦し、オリバー・タザを判定で下している。

その後、アブダビ・ワールドプロ、ムンジアルを経てWNO王座挑戦という機会を得た。

(C)CLAYTON JONES/WNO

オープンガードとベリンボロのユニティらしいコンビネーションで、10代の百戦錬磨=タイへの攻略は可能か。

ノーギにおけるベリンボロ攻防が、どのようなグラップリングの未来を見せてくれるのか──見逃せないミドル級選手権試合だ。

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MMA Polaris17 クレイグ・ジョーンズ ダヴィ・ハモス ラファエル・ロバトJr

【Polaris17】優柔不断レフェリーをスルー、勝手に試合を再開したクレイグが戦わないハモス相手に王座防衛

<Polarisノーギ・ミドル級選手権試合/10分1R>
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
Def.3-0
ダヴィ・ハモス(ブラジル)

座ったクレイグがZハーフガード、ハモスは右腕を差しにいく。グラウンドでの組み手争いはハモスが立ち上がり、仕切り直しに。すぐに同じ形とならい、潜ろうとするクレイグをハモスが制する。再び立ち上がったハモスのパス狙いに対し、クレイグは右足をすくいつつ右足でニーシールドを創る。Kガードからクローズドを取ったクレイグ、ハモスはガードの中で内側、内側へと左右の腕を差しいれていく。

再度クレイグは足関節のエントリーもラモスが走って足を抜く。スクートで圧を掛けるクレイグが、座ったままで足を払いハモスが姿勢を乱す。Zガードのなかでヒザをついたハモスは、ニーシールドから足を絡まれそうになり急ぎ距離を取る。

デラヒーバもカカト抱えられそうになると、大きく足を挙げて防御するハモス。ここまで攻防ではなく、クレイグの攻、ハモスの防という試合展開が続き、試合時間は残り5分半に。Zハーフからヒザ裏をとりにいくクレイグに対し、とにかく足を腕では触らせないハモスは抜いて離れる。ならばとスクートでアンクルピック狙いのクレイグは、Zハーフを取ると2度目のアイポークがあったとアピールする。

再開後、頭を下げてパスの圧を高めるかと思われたハモスが、立ち上がって間合いを取り直す。カカトを両手で取られたハモスは、足を振り上げて抜こうとすると、これが前蹴りのような形となり、観客から非難の反応が起こる。直後に飛び込みつつ、ヒールでカカトを抱えようとしたハモスだが、取れずに離れようとしたところでクレイグが起き上りバックを伺う。前転から座ったハモスに対し、初めてトップを取ったクレイグはパスやスクランブルでバック狙いの圧力を掛ける。

ハモスが蹴り上げで場外に出て、試合はマット中央で再開される。シッティングのハモスはヒザの裏を取られた姿勢での再開を断固拒む。と、何と同体での再開を諦めたレフェリーがスタンドでの再開を指示する。

なんともナンセンスなレフェリーの判断に、クレイグは両手を広げて不満のアピール。観客からはブーイングが起こる。するとレフェリーは再び、ハモスに座るように指示を出すという優柔不断ぶりを見せる。となるとハモスが徹底的に抵抗の構えだ。さらにハモスは、なら場外際で再開とばかりに、マットサイドに出て寝転がる。

勝利への執念か、審判への意地か──全く潔さのないなかに、リアルさが垣間見えるシーンが続く。マット中央に戻されても、座らないハモス。ここでモニターでリプレイが流されるが、痺れを切らしたクレイグは自分が座るよとシッティングを取り、試合が再開される。全くもって自らの役割を全うできないレフェリーは心なしか両者から離れた位置に立ち、クレイグは構わずKガードを狙うとハモスが離れる。

タイトに組もうとせず、トップから離れるという動作に終始するハモスは、足を取られて下がるという動きに終始すると勝ち目はない。ADCCのようにスクートに対し、下がるとマイナスポイントというルール設定がないだけに、ハモスの負けない動きを否定することはできないが、勝ちにいかない姿勢は否定できる。

このまま試合はタイムアップとなり、Zハーフから足関節の機会を伺い続けたクレイグがレッグロックゲームには徹底して付き合わなかったハモスを3-0で下して王座防衛に成功──「みんな、この試合はクソ退屈だったろうね。以前はジャンピングしてから攻撃するとか、彼はリスキーでワイルドな動きを見せていたけど、今日は歴史上はじめてトップを取ってレフェリーを抗議する人間になったね(笑)。ポラリスでは次はライトヘビー級王座防衛戦をラファエル・ロバトJr相手にしないといけない。皆、今日は本当に超退屈な試合になってしまい申し訳ない」とマイクで話した。


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【Polaris17】WNO欠場のクレイグ・ジョーンズが、苦悩のダヴィ・ハモスと対戦。CJJ王者スティールも

【写真】WNO Championships、出れんかったんか~いとどうしても思ってしまうクレイグの今大会出場だ (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

9日(土・現地時間)、英国サウサンプトンのサンサウプトン・セントラル・ホールでPolaris17が開催される。ここ3 回、Polaris Squadsというチーム戦が続いたポラリスが昨年7月以来のワンマッチ大会を開く。

その大会もコロナ禍の影響でほぼ国内勢のGP形式、最低参加人数で実施されており、本格的な国際戦はコロナパンデミック以前の2019年11月大会以来、実に1年10カ月振りとなる。


そんな今大会のメインはクレイグ・ジョーンズとダヴィ・ハモスがミドル級ノーギマッチで戦うというもの。WNOミドル級チャンピオンシップTの本命ながら、負傷欠場したクレイグが、2週間後の今大会の大トリを務める。

2018年12月のキーナン・コーネリアス戦(※結果はスプリット判定勝ち)以来のポラリス参戦となるクレイグは、コロナ禍では12戦をこなし、SUGでメイソン・ファウラーに2度OTに敗れただけで、本戦決着の戦いでは10連勝中だ。

対して、ハモスはこのところグラップリングとUFCで悪夢の5連敗中で厳しい状況にある。今回のクレイグ戦もMMAではライト級、グラップリングではウェルター級で戦うハモスにとって、ミドル級はしぼる必要がない体重だけでに、フィジカル面での優位性もない。しかも上になる戦いを身につけつつあるクレイグが相手となると、ハモスには非常に厳しい戦いになることが予想される。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

また今大会ではチェックマットからコディ・スティールがポラリス初参戦を果たす。

2019年コンバット柔術ウェルター級GPウィナーのスティールは、アンディ・ムラサキ&タイ・ルオトロという新世代に敗れるも、ここ2戦はエドウィン・ナジミ、フィリップ・ロウを相手に連勝中だ。

80キロキャッチウェイトというやや重めの体重で、ジェッド・ヒューを相手に得意のトップゲームを展開できるか──楽しみだ。

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F2W182 JJ Globo ダンテ・リオン ダヴィ・ハモス ブログ

【F2W182】残り2秒、ダンテ・リオンがダヴィ・ハモスからRNCで一本勝ち

先月28日(土・現地時間)、カリフォルニア州バーリンゲームのハイアットリージェンシー・サンフランシスコ・エアポートで、F2W182「East Bay」が開催された。
Text by Isamu Horiuchi

遅まきながら、注視すべき結果にになった上位カードから、メインで行われた一戦の模様をレポートしたい。

<F2Wノーギ・ウェルター級選手権/10分1R>
ダンテ・リオン(カナダ)
Def.9分58秒 by RNC

ダヴィ・ハモス(ブラジル)

常にアグレッシブな姿勢で試合に臨むリオンは、試合開始後すぐにシュートイン。腰を引いたハモスに防がれると、今度はイマナリロールへ。これもハモスに距離を取って防がれると、そのままオープンガードに入った。

低くプレッシャーをかけにくるハモスに対し、リオンはハーフガード&左のニーシールドという十八番の形を取ってその侵攻を許さない。ハモスの左腕にアームドラッグを仕掛けたリオンは、さらに下からの腕ひしぎ腕固めに。一瞬左腕を伸ばされかけたハモスだが、素早く反応して防御した。

その後もハモスは重心を低くしてパスを狙うが、リオンは左のニーシールド&フレームで防ぐ。逆に隙を見てリオンはレスリングアップを仕掛けるが、ハモスは素早く距離を取って防いだ。

残り4分少々のところで、リオンが潜っての仕掛けを狙うと、ハモスは前方に飛び込んでリオンの左足を取りにゆく。すかさず反応したリオンは逆にベリンボロからのバック狙いへ。が、ハモスはすぐに距離を取って立ち上がった。

ここでリオンも立ち上がり、試合はスタンドの攻防へ。リオンは二度ほどシュートインするが、反応の速いハモスに防がれると引き込み。

その後は、上から圧力をかけるハモス、それをニーシールドで防ぎながら煽るリオンによるどちらも譲らない攻防が続いた。

残り1分半、立ち上がったリオンはまたしてもシュートイン。ハモスは両脇を指してそれを振りほどくが、ここでリオンは間髪入れずもう一度ダブルレッグへ。これが深く入り、見事にテイクダウンに成功した。

この試合はじめて下になったハモスは、オープンガードから潜りを仕掛け、すぐにリオンの右腕をたぐってのアームドラッグへ。これでリオンを前のめりに崩したハモスは、リオンの足を抱えて前転を余儀なくさせて上に。あっという間に上を取り返してみせたのだった。

残り30秒、またしてもニーシールドから内回りに入ったリオンに対し、勝負をかけたハモスは瞬時に倒れ込みながらの左足に膝十字狙い。が、素早く足を畳んで対応したリオンは、そこに乗じてバックポジションを奪取。そのままリオンはあっという間に右腕をハモスの顎の下に食い込ませて締め上げ、なんと残り1秒でタップを奪ってみせたのだった。

常に自分から仕掛けて試合を作り、鉄壁のニーシールドで世界的競合ハモスの攻撃を遮断したリオン、最後は圧巻の極めを見せつけての見事な勝利──その腰にベルトが巻かれた。

対するハモスも、リオンの様々な仕掛けを遮断した反応速度の速さはさすが。そして最後にリスクを背負って勝負を仕掛けた姿は、プロとして称賛に値する。

それにしても、19年のADCC世界大会77キロ級で名を挙げたリオンが、15年の同階級決勝で見事な飛び十字を極めて優勝したハモスに完勝(奇しくも、両者の対戦相手はルーカス・レプリだった)。時代が確実に動いていることを実感させられる試合となった。

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F2W180 F2W182 MMA UFC イスラム・マカチェフ エドウィン・ナジミ ケネディ・マシエル サミール・シャントレ ジアニ・グリッポ ジェレミー・ケネディ ジャクソン・ナガイ ジョニー・タマ ダンテ・リオン ダヴィ・ハモス ニッキー・ライアン ペドロ・マリーニョ ロベルト・ヒメネス

【F2W182】ベイエリアのF2Wはハモス✖リオン、ナジミ✖ナガイ、グリッポ✖シャントレ!!!

【写真】50/50からバックとか、足関節を軸に色々な攻防が見てみたいグリッポ✖シャントレ (C)MMAPLANET

28日(土・現地時間)、カリフォルニア州バーリンゲームのハイアットリージェンシー・サンフランシスコ・エアポートでF2W182「East Bay」が開催される。

今大会のメインではADCC2015の77キロ級優勝でUFCファイターのダヴィ・ハモスが、2019年のADCCでルカス・レプリ越えを果たしたことで名前を挙げたカナディアン=ダンテ・リオンと対戦する。

とはいうものの、この両者は最近の試合では勝ち星から遠ざかっており、崖っぷち対決ともいえる。


ハモスはパンデミック後、UFCでは昨年7月にアルマン・ツァルキャンに判定負け、グラップリングでもこの7月にF2W177でペドロ・マリーニョの敗れている。さらにいえば2019年も9月にUFCでイスラム・マカチェフに敗れ、11月にはF2W132でゲーリー・トノンに下るなど、実に2年3カ月間勝利の美酒に酔っていない。

一方のリオンも対戦相手がトノン、ロベルト・ヒメネス、ニッキー・ライアンという強豪ぞろいといえども過去5戦で1勝4敗と大きく負け越してしまっている。

上ではニースライスパス、下では強固なニーシールドと攻撃力も防御力も高いリオンは、一本勝ちよりもポイント、レフ判定での勝利が多く──IBJJF柔術的な戦い方の方が、サブオンリーよりも向いているという見方もできる。

一方、ハモスもレプリから飛び込み十字、ドゥリーニョをRNCで下したこともがあったが、ADCCではテイクダウンポイントが認められる後半に強さを発揮して頂点に立ったイメージが強い。そのテイクダウン&スクランブルゲームでMMAではロシア勢に遅れを取ってしまっているが、ノーギ&サブオンリーとはいえジャッジ裁定があるF2Wだけに、テイクダウン&パスの攻防を堪能したいラモス✖リオンの一戦だ。

セミではSUGでMMAファイターのジェレミー・ケネディにOT勝利も、F2W180ではジョニー・タマのヒールに一本負けを喫したエドウィン・ナジミが、チェックマット所属のジャクソン・ナガイと対戦する。パスに強いナガイにナジミが跳びつくことができるか。ネームバリューではナジミだが、拮抗した勝負になりそうだ。

さらにサミール・シャントレ✖ジアニ・グリッポという渋い一戦も実現する。過去1勝2敗と負け越しているシャントレだが、オズワルド・ケイシーニョとのシェアを含め3度のノーギワールズ王者になっており、ノーギでの経験は上だ。

一方グリッポも本格的にノーギに進出し、先のエメラルシティ・インビテーショナルでEBI/OTながらケネディ・マシエルを決勝で下し優勝するなど、道着無しで極められない強さを持っていることはすでに証明している。

足関節とバックテイクの攻防のなかで、上下が入れ替わる。そんな攻防がタイトな距離で繰り広げられることに期待したい両者のノーギマッチだ。

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Report UFC UFN on ESPN+30 UFN172 アルマン・ツァルキャン ダヴィ・ハモス ブログ

【UFN172】抜群の打撃とテイクダウンのコンビでツァルキャンがハモスに快勝

<ライト級/5分3R>
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)
Def.3-0:30-27.30-27.28-27
ダヴィ・ハモス(ブラジル)

ツァルキャンが右に回りながらロー、左フックを振るいワンツーをハモスが見せる。ツァルキャンはスピニングバックフィストを繰り出し、打撃の間合いの取り合いのなかでハモスが狙ったニータップは決まらない。逆にスピニングバックフィストに組みつくが、小内刈りでテイクダウンを許す。下とはいえ自分の庭となったハモスだが、腕への仕掛けは察知されパウンドを被弾する。腰を上げて重い一発を落としたツァルキャンはスタンドに戻り、ワンツーからローを蹴り込んだ。

2R、初回と同じように右に回りながら蹴りを入れ、ワンツー、スピニングバックキックとツァルキャンはハモスの接近を許さない。ワンツーで下がるようになったハモスも、飛び込みながら右を当てるがボディを受け、動きが落ち始める。ハモスは連続でワンツーを被弾する。むきになってパンチを振るったハモスにダブルレッグを合わせたツァルキャンは、足関節の仕掛けにはすぐに反転して足を抜く。

ツァルキャンはスタンドに戻ると前蹴り、ボディから低い姿勢でテイクダウンを狙う。切ったハモスは右を入れ、ボディを連打したところで左を被弾する。しっかりと距離を取って戦うツァルキャンは踏み込んでボディから顔面、離れミドルを蹴りこむ。残り20秒、ツァルキャンのダブルからシングルというテイクダウンを防いだものの、この回も失った。

最終回、思い切って距離をつめてフックを打ったハモスは、ツァルキャンのテイクダウン狙いを切る。ここでツァルキャンはファールカップの不具合を伝え、ブレイクを得る。再開後、右に回るツァルキャンに対し、前に出てこいとアピールしたハモスだが、続くステップインに左を打ち込まれる。殴られながら右オーバーハンドをハモスは繰り出すが、回るツァルキャンは連打を受けることはなくスピニングバックキックをボディに突き刺す。

ツァルキャンはパンチをかわして踏み込むとワンツーからハイキック、さらに右アッパー、前に出ていたハモスの顔面を右ストレートで打ち抜く。残り90秒、ダブルレッグをかわされたハモスは、諦めにも似た表情を浮かべた……。この後、右目じりの傷にドクターチャックが入ったハモス、リスタート後に右を当ててテイクダウンを狙う。押し返したツァルキャン対し、ハモスはギロチンで引き込むも。同時に時計回りに移動したツァルキャンが絞めを無力化させタイムアップに。

打撃からテイクダウンでハモスを圧倒したツァルキャンが、判定勝ちを決めた。