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【Special】J-MMA2023─2024、世羅智茂─01─「まずレスリングをやる。安易に下にならない」

【写真】強豪揃いのBチームでの練習——写真はニック・ロドリゲス、ハイサム・リダと(C)TOMOSHIGE SERA

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA 2023-2024、第六弾は昨年11月にADCCアジア&オセアニア予選の77キロ級3位となった世羅智茂に話を訊いた。全てはADCC世界大会出場のため――国内外を問わず毎月のように試合に出場した世羅は、海外での試合と練習を経て何を感じたのか。

■2023年世羅智茂戦績

3月26日 Gladiator021 Progressフォークスタイルグラップリング
○8-4 大嶋聡承(日本)

4月29日 Gladiator-Cup03
エリート-77.1キロ級 2位

5月27日 ADCC SouthEast Asia Open 2023
プロフェッショナル77キロ級 優勝

5月28日 AFG Open International 2023
アダルトプロ・アブソリュート紫・茶・黒帯ライト級 優勝

6月11日 Gladiator022  Progressフォークスタイルグラップリング
○2R1分50秒 by 肩固め 加賀谷庸一朗(日本)

7月8日 American National IBJJF Jiu-Jitsu No-Gi Championship
アダルト黒帯ライト級 準々決勝敗退

7月17日 Austin Summer International Open IBJJF Jiu-Jitsu No-Gi Championship 2023
アダルト黒帯ミドル級 3位

9月10日 QUINTET04
●2分13秒 by RNC PJバーチ(米国)

9月30日 Gladiator023  Progressフォークスタイルグラップリング
●2-4 森戸新士(日本)

11月25日 ADCC Asia & Oceania Trial 2023
77キロ級 3位
1回戦 ○肩固め キム・キュンジェ(韓国)
2回戦 ○8-0 アーロン・コミンスキー()
3回戦 ○5-0 シライ・ソウフィ(豪州)
準々決勝 ○2-0 シュ・ワイチン(中国)
準決勝 ●延長0-0/レフェリー判定 リース・アレン(豪州)
3位決定戦 ○3-0 シルクハン・バラトベク(カザフスタン)


――改めて戦績を並べてみると、とにかく試合数が多かった2023年です。もともと昨年はこれだけ試合数をこなしたいと考えていたのでしょうか。

「こんなに試合をするとは思っていなかったです。グラジエイターからプログレスのオファーを頂いたことは大きかったですね。2023年は『海外で試合をしたい』という目標を立てていました。どこに行くかは最初の段階で決めてはいなかったのですが、前に海外で試合をしたのはコロナ禍の前ですし、まず海外で経験を積みたいという目標があって。結果、3回も海外へ行くことができたのは――たまたまですね(笑)」

――というと?

「5月に出場した大会は、タイのバンコクで開催されたものです。これは最近オープンしたカルペディエム・バンコクのオーナーさんから『こういう大会があるのですが出ませんか?』と言われたことがキッカケでした。

まずADCCルールの大会は、自分もADCCアジア&オセアニア予選を目指していたので、ちょうど良いと思ったんですよ。翌日の大会は柔術の大会です。実は今年、あまり柔術の大会に出るつもりはなくて。でも翌日に開催されるし、タイで柔術の大会に出るのも良い経験かなと考えて出場しました。優勝すればカルペディエム・バンコクの宣伝にもなるかなと思い、結果的にどちらの大会も優勝することができて良かったです」

――現在、アジアでADCCルールのオープン大会が増加していますね。

「もともと世界各国で開催されていますが、なかでもアジアは増えてきています。僕が出たのはバンコクの大会で、確かプーケットでも行われているはずです(※2023年12月にプーケットでADCCタイ選手権が開催されているほか、プーケットオープンも存在する)」

――実際に試合をしてみて、タイのグラップリングレベルはいかがですか。

「タイ人の選手は、まだそれほどレベルは高くないです。でもグラップリングの人気は高くなっていると思いますね。特にタイ在住の外国人選手が出場するので、盛り上がっているという印象はありました」

――7月には米国ラスベガスで開催されたアメリカン・ナショナルに出場しました。

T-モバイル・アリーナ、300ドル席からの風景。ADCC世界選手権2024は、この会場で行われる(C)TOMOSHIGE SERA

「UFC290と日程が重なっていたので、参加者も多かったんだろうと思います。会場(ラスベガス・コンベンション・センター)もメチャクチャ大きくて。その大会後にUFCも会場で観てきました。UFCのチケット代は300ドル――今のレートだと日本円で42,000~43,000円ぐらいですか。席は会場の端のほうでしたけど(苦笑)。でも平良達郎選手も出場していましたし、こんな機会は滅多にないと思って観に行きました。日本大会とも違う現地のUFCを観ることができて良かったです」

――世羅選手にとっては久々の海外遠征となりましたが、米国のグラップリングに変化はありましたか。

マット12面のアメリカン・ナショナル会場(C)TOMOSHIGE SERA

「僕がコロナ禍の前に行った時はIBJJFのノーギ・ワールドに出たのですが、正直言ってノーギ・ワールドの盛り上がりは、それほど変わっていないと思うんです。それよりもADCCの注目度とレベルが上がっていて。

ムンジアルとノーギ・ワールドを比べると、ノーギ・ワールドの立ち位置って微妙なところはあるんですよ。たとえばムンジアルで優勝した選手が、ノーギ・ワールドには出ないけどADCCに出ていたりとか。だからといって、ノーギ・ワールドのレベルが低いというわけではないです。やはりグラップリング界の注目度はADCCのほうが高いとは感じますよね。そのADCCやUFCの人気が高まるにつれて、米国のグラップリングもそうですし、ノーギ・ワールドのレベルも上がっているんじゃないでしょうか」

――なるほど。アメリカン・ナショナルの1週間後にはテキサス州オースティンの大会に出場しています。

「アメリカン・ナショナルの後に、オースティンにあるBチームへ練習に行ったんですよ。Bチームにいるハイサム(・リダ)に連絡すると、チームも受け入れてくれました。ちなみに、オースティン・サマー国際にミドル級で出場したのは、減量しながらBチームで練習するのは嫌だったからです(笑)。結果は4名参加の初戦敗退で、負けメダルでした」

――Bチームで練習した感想を教えてください。

「当たり前の話ですけど――やっぱり皆が強いです。盛り上がりも凄いですし。まず単純に、ジムの会員さんが多くて。朝9時ごろから始まるクラスでも、30~40人が参加していました。昼からのクラスも同じぐらいの人数でしたね」

――グラップリングのみで、それだけの人数がクラスに参加するのですか。

元チームメイトであるハイサム・リダの協力を得てBチームへ。偶然も同じタイミングで、米倉大貴もB-チームに(C)TOMOSHIGE SERA

「はい。ニック・ロドリゲスやニッキー・ライアンといった有名選手も、一般会員さんと一緒のクラスでスパーリングに参加していました。そこで練習している会員さんたちも、かなり強い人がいます。特にしっかりレスリングができる人が多かったですね。もちろんレスリングが強くない人もいます。そういった人たちでも、まずレスリングをやろうとする。安易に下にならない、という姿勢で練習していました

もともとレスリングベースの選手も多いですよね。17歳でADCC北米予選を制したドリアン・オリヴァレスも練習に来ていて。彼はもともとレスリングのトップ選手なんですよ。体格的には66キロ級でも小さいほうなのに、レスリングを徹底していて強かったです。サブミッションになると、僕が極めることもありました。でもレスリングが強いし、体力も凄かったです。実際のトーナメントで対戦すると、シンドイ相手だろうなと思いました」

――世羅選手も2023年のテーマとして、レスリング力の強化を上げていました。

「そうですね。僕自身は大学のレスリング部や、レスリング専門ジムの練習に参加させてもらったりしていました。あと偶然のような話ではありますけど、最近はカルペディエムにレスリングをやっている方が練習に来たり、クラスでレスリングを教えに来てくださったり。そうしてレスリングと関わることが増えてきました。MMAファイターの方と練習する時も、何かしらレスリングに関することを学ぼうとしていましたね」

――それだけレスリング力の強化に取り組んできたのも、11月に開催されるADCCアジア&オセアニア予選のためだったのですか。

「そうです。練習だけでなくADCCとは異なるルールの試合でも、ADCCのことを考えながら取り組んできたものを試すように意識していました」

<この項、続く>

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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET MMAとフィジカル o Special YouTube   ボクシング 体組成 竹本啓哉 鈴木陽一

【Special】新連載『MMAで世界を目指す』第2回:鈴木陽一ALIVE代表「MMAに適した体組成とは?」─02─

【写真】Gladiator023の計量後。ALIVE所属の竹本啓哉も過去に計量失敗を経験している。個々に適した調整を試行錯誤を繰り返した末、ベルトを取り戻している(C) MMAPLANET

世界的なスポーツとなったMMAで勝つために、フィジカル強化は不可欠となった。MMAPLANETでは「MMAに必要なフィジカルとは?」というテーマについて、総合格闘技道場ALIVEを運営する鈴木社長=鈴木陽一代表が各ジャンルの専門家とともに、MMAとフィジカルについて考えていく連載企画をスタート。「MMAと体組成」について考える連載第2回目は、MMAの計量と調整について深堀りする。

<連載第2回「MMAに適した体組成とは?」Part.1はコチラ


鈴木 毎日あるいは毎試合、減量に関する記録をつけていくなら、計量当日よりも前日の水抜き前に測るほうが、正確な体脂肪率を測れるかもしれませんね。よく知られているインピー・ダンス法体脂肪計のなかに、足を乗せるだけで体脂肪率が測れるというものがあります。しかしこれは、実は足から内臓までしか電気が届いていません。どういうことかというと、内臓肥満型の人が足だけのタイプに乗った場合、肥満度が上がって出てしまうかもしれないんです。それよりも、トレーニングジムなどにある手と足の四点から測るタイプの体脂肪計のほうが、精度は高いですね。一番良いのは水中で体重と体積の比率から測る方法ですが、そんな設備は滅多にないですし。

 愛知県内だと愛知医科大学ぐらいかもしれません。水中置換法といって、プールのように大きな水の箱の中に入って測る設備です。話を戻すと、何かといえば体脂肪率って、それぐらい曖昧なものなんですよ。

私のクライアントにも、今まで運動をしておらず、私と一緒に初めて体を鍛えるという方もいます。まず運動すると筋肉がついて血流も良くなる。すると今まで使っていない筋肉に血が入るようになるので、全体の水分量が増えます。結果的に体重が増えるので、よく「運動して太った!」という方もいらっしゃいますが、あくまで体重は目安でしかありません。その内訳のほうが重要です。内訳も時間によって変化するものなので、私がお勧めするのは1日に2回、体重を測ること。朝と夜、決まったタイミングで測り続けると、日ごとの変化が分かります。この定点観察だと自分の体重も管理しやすくなります。

様々な要素が含まれるため、様々なタイプの選手がいるMMA——より選手ごとに緻密な研究も必要になる。(C)ALIVE

鈴木 特にMMAの場合は、曜日によって練習メニューが大きく変わってきますからね。今日はグラップリング、今日は打撃——では日によって運動量も変わってきます。だから定点観測が、より重要になってくるわけです。それが競技特性というもので。

加えて、選手が目指すタイプによっても、適正の体組成は変わってきます。パワー系のファイターなのか、あるいはテクニシャンを目指すのか。要は体組成——体脂肪、筋肉量、そして骨量は自分の中で比較していかないといけません。他の人と比べても、人によって体格が違えば、目指すタイプも違うのですから。アマチュア時代とプロになって以降でも違ってきますし。

 ちなみに体脂肪率が10パーセント台って、見た目から相当絞れている状態じゃないですか。一般の方が「だいぶ痩せた!」と言っても、調べてみると体脂肪率は20パーセントぐらいあったりします。そこで、脂肪の量を調べることも必要なんですよね。

業務用の体組成計だと脂肪、筋肉、そして骨も全て「量」が分かります。その量を見て、できるだけ筋肉量は維持しながら脂肪だけ減らしていくための観察ができるようになります。パーセントだけ考えると、いろいろな要素が入ってくるので、ワケが分からなくなってしまいますよ。ですからトレーナーとしては、できるだけ「量」で考えるようにしています。もちろん「量」を測る機械を自宅に置いておくのも大変です。しかし今は、スポーツジムはもちろん置かれているところも増えているので、探して利用してみるのも良いと思います。

鈴木 そのためには、まず体組成に関する機械について勉強したほうが良いですよね。細かい数値がどう、ということよりもツールについて知らないといけない。それだけツールによって計測方法が変わるわけですから。可能ならインピー・ダンス法でも4点で測るものを利用してほしいし、もっと言えば「率」よりも体組成計で「量」を測るほうが良いです。

所君も言っていたとおり、それも定点観測で調べ続けるべきです。選手というのは成長し続けるものですから。アマチュアの頃から計測し続けて、記録しておいたほうが良いです。それこそ階級を上げるか下げるかを考える時に、その記録が重要になってきます。ボクシングよりもMMAのほうが、階級間の体重差が大きいわけで。1階級で5キロほど違う。

 それだけ体重が変わると、脂肪量も水分量も大きく変わってきますよね。

鈴木 そう。それが変わらないというのは、運動生理学的にはありえない。

 すると普段から、水分を抜くだけで計量をクリアできる体重を維持しておくほうが良いと思います。そのためには「いかにして筋肉量を保つか」が重要です。脂肪の中に水分を貯めておくことはできません。しかし先ほど言ったとおり、筋肉の中には血液を貯めることができる。これだけ筋肉があり、その中にある水分を絞り出せば一時的に体重を落とすことが可能になります。でも筋肉量が少なく、まあまあの脂肪量があったら水分を絞りだすことはできない。常日頃から筋肉量を維持し続けるためには、栄養学も必要になります。スポーツ選手の場合、たんぱく質を摂取していないと筋肉量を保てませんから。

鈴木 栄養の話まで広げると、コンタクトスポーツに関する最大の問題点は、体をぶつけることで他のスポーツよりも血液が壊れたり、筋肉の組成も壊れていくことですね。血液が壊れるということは貧血になりやすくなります。そのためにも、たんぱく質を摂取し続けていないといけない。

 今回のテーマからは外れるかもしれませんが、よく「たんぱく質を摂ったほうが良い」と言われているものの、どれだけ摂取したほうが良いのか分かっていない方が多いと思います。皆さん、「これぐらいかな?」と感覚で摂取量を決めていたりして。でも正しく摂取するだけでも、パフォーマンスは大きく変わりますよ。

ALIVEでは体重に対しては定点観測を行い続けている。体重を測る際にポーズをとってしまうのはご愛敬(C)ALIVE

鈴木 そうですね。繰り返しになりますが、MMAの場合はまず階級制で計量が行われる。さらに計量前には脱水しても良い、という点に着目しないといけません。そう考えた場合、筋肉量が多く体脂肪率が低いほうが——あくまで一瞬、体重を落としやすくなる。イコール計量をクリアできやすくなります。次に、MMAはコンタクトスポーツなので筋肉量プラス、ある程度の骨量があったほうが安全だということなんです。変に食事制限をして、たんぱく質の摂取量を減らすと筋肉が増えませんから、水抜きもしにくくなってしまいます。筋肉量を保っていたほうが、最後の水抜きも安全にできるようになるんですよ。

——つまり、決して一人だけでは良い状態で計量に臨むことはできないということですね。

鈴木 そうなんです。ALIVEの場合、以前にグラジエイターで竹本啓哉が計量をクリアできないことがあったじゃないですか。そういう失敗も踏まえてウチでは朝イチの体重測定や出稽古の練習量も報告させ、定点観察を続けています。

——最初に自分の体組成を調べていなければ、適正な階級も適正な減量幅も分からないわけですね。多くは身長と体重のバランスのみで、自身の階級を決めがちです。

鈴木 お前の身長ならコレぐらいの体重が適正だろう、という(笑)。そういえば昔、ハイパー・リカバリーというものがありましたよね。ハイパー・リカバリーをしていたなかで、選手寿命が長いファイターは少ないです。毎回何キロも減量して戻す、ということを繰り返すと内臓への影響は大きくなりますし。MMAの場合は戻し方も重要で、体組成を理解していないと「どれくらい戻せば良いのか」ということも分からないかもしれません。

あとは理想をいえば、ファイトキャンプの時と試合当日の体重が同じであることがベストです。普段80キロある選手が、70キロで計量をクリアして試合当日は75キロまで戻す。そうであれば、ファイトキャンプの時も75キロで体を動かすようにしていると、試合当日も練習時の良いパフォーマンスを出せると思います。逆にファイトキャンプの時に75キロで、計量後に78~79キロまで戻すと戻しすぎになりますよね。それはリカバリーではなくリバウンドであって。普段から自分が最も動ける体組成を、日頃から考えておくことも必要ですよね。このあたりは今後、栄養士さんをお招きする回で詳しく説明したいと思います。

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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET o テムーレン・アルギルマー 佐藤将光 太田忍 河名マスト 竹中大地 竹本啓哉

【Gladiator023】竹本啓哉が振り返るテムーレン戦、竹中大地そして――「チャンピオンになって良かった!」

【写真】全てを出し尽くした末の戴冠--戦いは新章へ(C)MMAPLANET

9月30日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されたGLADIATOR023にて、テムーレン・アルギルマーを下し、再び同バンタム級のベルトを巻いた竹本啓哉のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

前編に続き、テムーレン戦の2R中盤から振り返っていくと、そこには竹本のファイターとしての成長が見える。さらにグラジ出場が決定した竹中と、参戦が噂される選手の話まで――チャンピオンとしての今後を語る。

<竹本啓哉インタビューPart.01はコチラから>


――2Rにバックマウントを奪い、テムーレンの右腕を取りに行きました。この展開での判断はポジションキープではなく、極めることだったのですか。

カカト蹴りブームが来るかもしれない(C)MMAPLANET

「残り30秒で極めに行こうと考えていました。バックから削ることができていると思ったし、内モモをカカトで蹴っているのは嫌だったはずです」

――佐藤将光選手も太田忍戦で見せていたカカト蹴りですね。

「そうです、そうです。このカカト蹴りは昔から使われていて、なぜか時々思い出されるんですよね(笑)。バックの話に戻ると、テムーレン選手も僕が極めに行くタイミングを待っていたんだと思います。それは相手の呼吸からも感じて。僕が腕十字に行こうとした時に反転したので、極めることはできませんでした」

――ただ、バックマウントから四の字フックでコントロールしている時間が長かったので、このラウンドは抑えていると見るべきでしょう。

「はい。1Rがテムーレン選手で、2Rは僕――だから3Rは取りに行かないかんと思いました。もうやれることは全てやろう、と。……僕らしくないかもしれませんが(苦笑)」

――自分らしくない、とは何ですか(笑)。

ボトムからのコントロールをどう考えるか(C)MMAPLANET

「アハハハ。ただ、やることは同じです。2Rに自分がやりたいことは通用すると思って、それをやり続けようと思っていました。でも3Rの最初に、下になってしまって。『キムラで抱えているけどボトムになっているのは、どう判断されるのか』とは考えました」

――ではここでボトムからキムラを極めに行くのか。あるいはスイープするのか。

「両方考えていました。スイープか、キムラで抱えながら横三角を狙うか。テムーレン選手も警戒しているのか、左腕で腰を抱えてきているんです。もちろん時間稼ぎにしかならないけど、ちゃんと対策してきていることは分かります」

――竹本選手の仰るとおり、この状態をどう考えるかが判定のポイントになると思います。果たしてテムーレンのトップコントロールなのか、竹本選手がアタックしているのか……。

「微妙ですよね。その両方とも可能性がある。だから僕も試合後は、どちらが勝っているかは分かりませんでした。横三角から立ち上がったあと、ここでセコンドの鈴木社長が『ドローだと思え!』って声をかけてくれたんです。あの一言は、本当にありがたかったです。もうちょっと頑張ろう、もうちょっと頑張らないかんと思うことができて」

――以降はテイクダウンを狙うも倒すことはできず、それでも竹本選手が右フックと左ストレートを当てています。

今回は竹本の左ストレートが目立った。その要因は「距離のつくり方」だという(C)MMAPLANET

「距離のつくり方には自信があるんです。あとは、とにかく自分ができることをやる。その時できる最善を尽くす。ただそれだけを考えていました。たとえば採点上、有利に働くことは何かを考えて――最後はテイクダウンできなくてもコヨーテガードには自信があるので。残り30秒でコヨーテに持ち込めば、自分がKOすることはない」

――そして残り数秒でもコヨーテからバックテイクを狙った。この瞬間に、竹本選手の意志が表れていると思います。ここで自分が勝っていると思ったら、バックテイクには行かずにハーフで耐えるかもしれない。しかし最後まで竹本選手まで攻め切った……。

最後はコヨーテハーフガードからバックテイクへ(C)MMAPLANET

「ありがとうございます。本当に――どちらが勝っているか分からなかったので。そして最後までやり切ることができました。試合終了のゴングが鳴ったあと、たとえどんな判定が出ても誰も恨まない。それだけお互いに出し切った勝負だったと思うんです」

――結果、スプリットで判定勝ちを収めました。

「本当に良かったです。今回は最後の最後まで考え抜いて戦うことができました。……それだけ過去最高の集中力だったと思います」

――竹本選手は一度、グラジのバンタム級王座を獲得しながら計量失敗で手放しました。以前のインタビューでも、計量失敗のことがずっと心のどこかにあったと仰っています。今回テムーレンに勝って再びベルトを巻いたことで、ようやく贖罪が終わったのかと……。

「そうですね……うん、そうですね。ようやく櫻井(雄一郎グラジエイター代表)さんと、ちゃんと話をすることができました」

――それまで櫻井代表と話はできなかったのですか。

「別に櫻井さんから何か言われたわけじゃないです。でもやっぱり計量失敗があり、申し訳なくて……僕のほうからは話しかけづらかったです(苦笑)。今回はベルトを巻いたし、もう良いかなって。アハハハ」

――ひとつ気になったのは試合後の挨拶です。ここで神田T-800周一選手とベルトを賭けた3度目の対戦を掲げるのかと思っていました。

「どうもすいません」ではなく感謝を述べる竹本。実は竹本のカッコ良さが隠れていた(C)MMAPLANET

「あぁ、なるほど。でも、それって嫌じゃないですか? 僕だったら嫌です」

――というと?

「神田君はテムーレンに2連敗していて――『敗者には何もやるな』と言いますよね。もちろん神田君との3度目の対戦はあったほうが嬉しいし、神田君が強い相手を倒して上がってきてほしい。でも自分がベルトを巻いたあとに、わざわざそんなことを言うのも気持ち悪くないですか。ファイターは勝った、負けたが全てですから。そんな情けはいらないですよ」

――カッコ良い! 神田選手も同じことを思っていそうな気がしてきました。では今後については、どのように考えていますか。

竹中大地がグラジ参戦を発表。その後、12月9日にテムーレンと戦うことが決定している(C)MMAPLANET

「これからも強い選手と対戦したいです。竹中大地選手の参戦が決まりましたし(インタビュー後にテムーレン戦が決定)、河名マスト選手もバンタム級転向を口にしていて。あとは●●選手が出ると聞いています。強い選手たちばかりなので、しっかり準備していきたいですね。ベルトは強い人間が巻くものであって、強い人たちが勝ち上がってくれたら良いし、最後のベルトを巻いた人間が強いんです」

――今日は続々と名言が飛び出していますね。

「もうやるしかないですよ。仕事も辞めましたから」

――グラジのベルトを獲得したら格闘技に専念するつもりだったのですか。

「いえ、試合前には何も考えていなかったです。でも大会当日――自分の試合前に、竹中選手が出て来た時に『仕事は辞めよう』と思いました。『いやぁ、とんでもないのが来た』と。別に他の仕事は、格闘技を辞めた後でもできるじゃないですか。でも竹中大地というファイターに対して本気で練習し、試合をするのは今しかできんと思って。さらに●●選手も出るという噂を聞いて、自分も何とかしなきゃいけないと考えました」

――すでに●●選手出場の噂も耳に入っているのですね。

「テムーレン戦後に、●●選手がグラジに出たいと言っているという噂を聞きました。それを聞いた時は自分がチャンピオンであることも忘れて、『すごいことが起きている――これは良いものを見ることができるなぁ』と(笑)」

――MMAファンの意識になりつつありますが、戦うのはチャンピオンである竹本選手です(笑)。どちらと戦いたい、という希望はありますか。

「希望はないですね。次の試合は来年になると思いますが、2024年一発めでどちらかと対戦するつもりでいます。ようやく自分がチャンピオンなんだ、という実感が湧いてきました。チャンピオンだからこそ自分が、この輪に加わることができるわけで。いやぁ、チャンピオンになって良かったです」

――竹中選手と●●選手の名前を聞いて、とても嬉しそうですね。

「それはもう……2試合連続で竹中選手と●●選手に勝てば、自分が日本のバンタム級でトップだと言っても良いと思うんです。ここで勝ったら、さらに上を目指していくこともできるでしょうし、2024年はバンタム級トップを目指して頑張ります!」

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Gladiator Gladiator023 Gladiator024 MMA MMAPLANET o チハヤフル・ズッキーニョス ハンセン玲 ハンセン玲雄 バットオチル・バットサイハン パン・ジェヒョク ユン・ダウォン 中川皓貴 森戸新士 河名マスト

【Gladiator023&024】チハヤフル・ズッキーニョス、ハンセン怜雄戦から河名マスト戦へ「もう幻想はない」

【写真】グラジフェザー級の中心に(C)SHOJIRO KAMEIKE

9月30日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されたGLADIATOR023にて、ハンセン玲雄にTKO勝ちしたチハヤフル・ズッキーニョスのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

ダギースレン戦に続く激闘となったハンセン戦を振り返ってもらった20日後、12月9日(土)に行われるGLADIATOR024で河名マストと対戦することが決まった。2023年、最もグラジエーターで成長したファイターの一人であるチハヤフルにとって、今年を締めくくるにふさわしい一戦についても訊く。

<チハヤフル・ズッキーニョスによるハンセン玲雄戦振り返りインタビューPart.01はコチラから>


――ハンセン選手をKOした2Rについて、まずテイクダウンを奪いました。

「気持ちとしては打撃で行きたかったですが、遠い距離だとハンセン選手の蹴りとか巧い部分が際立っていましたよね。僕も狙っていたわけじゃないですけど、反射的というか『取れる!』と思ったので、テイクダウンに行きました」

――しかしスクランブルの中でハンセン選手にトップを奪われ、さらに投げられてしまう場面もありました。

「ハンセン選手も柔道出身なので、投げ技があることは知っていました。でもまさか投げに来るとは思わなかったです。僕はちょうど殴り合いに行こうと思っていて、ここで離れると思っていたんです。するとハンセン選手は離れずに組んできて、こんなに綺麗に投げられてしまいました(苦笑)」

――ここでは、しっかりと背中を着かされています。

「2Rも終盤だったので、ここで立ち上がってから打ちに行こうという気持ちでした。離れた時に右が一発入って、僕もスイッチが入りましたね。相手も効いているという感覚があったので、とにかく相手のパンチを見ながら自分のパンチを当てることに集中していました。相手が倒れた時も、いつもなら抑え込みに行っていたと思います。でもこの時はラッシュしていたし、左ハイも自然に出ていて」

――あの左ハイはハンセン選手も見えていなかったような感じですね。

「はい。あの左ハイで試合も決まったかなと思います。しっかりと打ち勝てたし、このKO勝ちによって――MMAファイターとしてまた一歩先に進むことができました」

――結果、ハンセン戦はダギースレン戦と同様に大激闘となりました。ただ、ハンセン戦は勝つことができましたが、ダギースレンには敗れている。今、あのダギースレン戦の敗北をどのように受け止めていますか。

「あの時は『自分はまだまだ』と思いました。フェザー級トーナメントに抜擢してもらい、ダギースレンもまだキャリアは浅い選手で、僕が勝たなければいけない試合で負けてしまった。まだまだトップには遠いと感じて。でも『自分には失うものはない。守りに入るよりも、できないことにチャレンジしかなければいけない』と考えた先にあったのが、この試合の『殴り勝つ』というテーマだったんです」

――なるほど。同日に行われたフェザー級王座決定戦、パン・ジェヒョク×ダギースレンの試合はどのように見ましたか。

「最初から思っていたことですが、実際に試合をしてみると二人に技術差がありましたね。ダギースレンの計量失敗は残念です。でも、あれだけ落とせなかったということは、練習中に何かあったのかもしれません。とはいえ、『僕と対戦した時のダギースレンなら、もっと何かを見せてくれたんじゃないか』とは思っています」

――では新王者となったパン・ジェヒョクについては、いかがですか。

「強い選手ですし、彼がチャンピオンであることには異論はないです。結構危なげない試合をするタイプですよね。ただ……、自分が選手であることに誇りを持っているようですけど、それならもっとフィニッシュを狙いに行ってほしかった(苦笑)」

――ご自身としては、すぐにでも新王者に挑みたいですか。それとも、もっとキャリアを重ねてから挑戦したいでしょうか。

「僕の中ではもう1試合か2試合してから挑戦したいです。今すぐ、ということではないと思います。パン・ジェヒョクは打撃が強いと言われていますが、試合を見ても驚くようなことはなかったです。今の自分と彼との差は、それほど大きくはないと思っています」

――2023年は大きく成長し、2024年も楽しみなチハヤフル選手です。グラジエーターの次大会は12月9日ですが、2023年から2024年にかけての意気込みをお願いします。

「2023年はマッチメイクに恵まれていたと思いますし、すごく感謝しています。ここまで来たらベルトに辿り着きたいですね。まずフェザー級では河名マスト選手をブッ倒して、『京都にチハヤフル・ズッキーニョスあり』というところを見せたいです」

ここまでのハンセン玲雄戦の振り返りインタビューは、10月17日に行われたものだ。この時点では次の相手は決まっていなかったものの、河名マスト戦を意識していたことが分かる。11月4日に正式に河名戦が発表されたことを受け、後日改めて河名戦について訊いた。

――インタビュー時点では決まっていませんでしたが、遂に河名戦が発表されました。

「よし来たな、という感じです。河名選手とは対戦したかったので、オファーが来た時は嬉しかったですね。高い確率で次は河名選手と対戦すると思っていました。それとフェザー級では中川皓貴選手が復帰して、モンゴル人選手(バットオチル・バットサイハン)と対戦するというのも楽しみです」

――河名選手の印象を教えてください。

「まずグラジエーターのトーナメントに出ると聞いた時は、彼について詳しくは知らなかったんです。でもその前にプログレスの森戸新士戦を視ていて、これは対戦してみたいと思っていました。

もともとレスリング世界王者ということもあって、幻想を抱いていていました。正直、怪物なんじゃないかって。でもトーナメントでパン・ジェヒョクに負けて、前回の試合(ユン・ダウォンに判定勝ち)も接戦でしたよね。MMAPLANETのインタビューで『成長したところを見せることができた』と言っていましたが、前回の試合で成長や変化があったとは思わないです。僕の中には、もう彼に対する幻想はありません」

――チハヤフル選手もダギースレン戦とハンセン戦で、大きな自信を得ているようですね。

「彼と比べたら、僕のほうが成長している部分を見せられていると思いますよ」

――河名選手のグレコをベースとした組みについては、いかがですか。

「僕もレスリング経験はないけど、グレコ的な組みは大好きです。ここで河名選手の組みの強さを体験してみたいですね。相手の組みから逃げて僕は打撃で――という展開は、河名選手の思うツボだと思うし、それでは面白い試合にならない。全局面で勝負して勝ちます!」

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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET o ジェイソン・マルガリョ テムーレン・アルギルマー 竹本啓哉

【Gladiator023】竹本啓哉がテムーレン戦&ベルト奪還を振り返る─01─「僕のことを研究しすぎていた」

【写真】竹本が開始早々の打撃で、テムーレンの研究と対策を覆した(C)MMAPLANET

9月30日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されたGLADIATOR023にて、竹本啓哉がテムーレン・アルギルマーをスプリット判定で下し、同バンタム級王座を獲得した。
Text by Shojiro Kameike

かつて一度巻いた――そして自らの計量失敗で失ったベルトを取り戻した竹本に、試合映像を視ながらテムーレン戦を振り返ってもらった。まずは1Rから2R中盤までの攻防の裏には、どんなことが行われていたのかを訊いた。


――ベルト奪回、おめでとうございます。テムーレンとは本来、今年12月に対戦予定でした。試合が9月に繰り上がったことは何か影響はありましたか。

(C)SHOJIRO KAMEIKE

「これは結果論になりますが、対戦が早まったのは良かったと思います。試合の随所に、テムーレン選手が僕を研究していることが分かりました。試合が先になればなるほど、その研究や対策の精度は上がっていたはずです。僕も前回の試合(6月、ジェイソン・マルガリョに横三角で勝利)でダメージが無かったですし、正直言って対戦が早くて良かったです」

――では試合を振り返っていきたいと思います。まずファーストコンタクトで気をつけていたことはありますか。

「距離感ですね。試合が始まるまで、テムーレン選手がオーソドックスで構えるか、サウスポーで構えるか分かりませんでした。そこでまず相手の構えを見てから、落ち着いて考えることを第一としていました。神田君との試合は、ずっとサウスポーで戦っているんですよね」

――神田選手も「モンゴルの試合はオーソドックスなのに、自分との初戦ではサウスポーに構えたのは予想外だった」と仰っていましたね。

試合ごとにスタンスを変えて来るテムーレン。竹本戦はオーソドックスでスタートした(C)MMAPLANET

「そうなんです。とはいえ、テムーレン選手は試合中にスイッチしますし、自分も『どちらの構えが良い』というこだわりはなかったです。どちらで構えても良いように練習していたので。そしてテムーレン選手がオーソドックスで構えたので、そこから試合を考えました」

――試合が始まると、意外とも思えるほどテムーレンが距離を詰めてきませんでした。これは竹本選手のほうから何か仕掛けていたのでしょうか。

「いえ、これはテムーレン選手のほうが警戒していましたね。対策を考えすぎていたんじゃないかと思いました。まずテムーレン選手は両手を下げて構えている。これは僕自身が『組みづらいなぁ』と思っていました(笑)。こちらとしては、もっと最初からフィニッシュに繋がるようなパンチを出してくるかと思っていて。それだけ相手は組まれたくないと思っていたのでしょうけど、そうなったら僕のほうからは組みません。

竹本の左ストレートがヒットしたシーン。確かにテムーレンの腕の位置は組みを警戒している(C)MMAPLANET

しかもガードが下がっているから僕の左ストレートがメチャクチャ当たりましたよね。であれば僕もパンチで優位に進められると思って。将棋でいえば『まず相手の歩を取りまくってやろう』という感じで、とにかく顔面にパンチを当て続けました」

――テムーレンが組んできた場合の対処としては、①絶対に倒れずに自分が上を取る②倒れても良いからガードワークやスクランブルで上を取り返す――どちらでしたか。

「②ですね。テムーレン選手の組みの強さは四つです。僕がテイクダウンするにしてもローシングルレッグで。あるいはスイープへの対応は弱いと思っていました。以前、柔術大会でモンゴル人選手の試合を見た時、テイクダウンの2Pから始まる試合が多かったんですよ。一方ガードワークはできないので、モンゴルの選手でボトムから強い人は少ないのかなというイメージを持っていました。だから、この攻防は僕が勝つポイントだと考えていました。

テムーレンも足を抜いてからパウンドを連打すればフィニッシュできていたか――(C)MMAPLANET

でも、僕が足を取りにいった時に受けたパウンドは効きました。このラウンドはテムーレン選手の10-9で間違いないと思います。それこそテムーレン選手のパウンドによるダメージを考えると10-8になっていた展開を、僕がレッグロックで10-9に戻したというか」

――それほどのパウンドを受けながら、竹本選手としてはここで足関節を極めて切ろうと考えていたのですか。

テムーレンも足関節で返そうとしたが「これは見様見真似のように感じた」と竹本(C)MMAPLANET

「ここはアオキロックかヒールで極めてやろうと思っていましたけど、1Rの最後のほうで『ここで極めるのは無理だ』と感じて――極め切ることができなかった理由としては、僕の足関節の精度という問題もあります。ただ、やはりテムーレン選手のフィジカルが強かったです。3Rを通じて、とにかくフィジカルの強さは感じました。最後まで『もう極めるのは難しいだろう』と考えていました。でもテムーレン選手も、この足関で結構ダメージを負っていましたよね。2R、3Rは機動力が下がっていたように見えました」

――なるほど。1Rは取られたと認識しているなかで、インターバルではどのような話をしていたのでしょうか。

「セコンドの鈴木社長も、あのパウンドが効いていることは分かっていて。とはいえ足関節からコントロールしたおかげで、ダメージを受けてからラウンドが終わるまで時間がありました。あとは、どう捕まえるかという話ですね。1Rと2Rで作戦自体は変わらないです。やることは同じ。ただ、テムーレン選手に足のダメージがあるので、1Rよりは捕まえるのが楽になるだろうと考えていました」

――2R開始時点でテムーレンは、グローブタッチに応じませんでした。

「そうなんですよ! あれ、何なんでしょうね?」

――インタビュアーに訊かないでください(笑)。それだけテムーレンも焦っていたのではないでしょうか。神田戦とは表情も違いました。

「あぁ、なるほど。ありがとうございます(笑)。2Rも最初は僕の左がよく当たりましたね。あれは何なのか――」

――とにかくサウスポースタンスの竹本選手が右を出し続けている。そのためにテムーレンは入ってこられず、かつ竹本選手の左が当たっていた……。ですから、こちらが訊いているんです(苦笑)。

2Rにはバックを奪ったものの、ここはテムーレンの研究と対策を感じたという(C)MMAPLANET

「アハハハ。テムーレン選手も足のダメージがあったでしょうし、スタンドではパンチの精度が低くなっていました。ここでテイクダウンしてバックに回ったのは、僕にとっては理想的な展開でした。でもテムーレン選手も、僕が得意としている展開を研究していることは分かりました。僕が直近の試合で見せた横三角に対しても、すぐに対策を講じていた。それは凄いと思います」

<この項、続く>

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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET o キック ダギースレン・チャグナードルジ チハヤフル・ズッキーニョス ハンセン玲雄 ボクシング

【Gladiator023】チハヤフル・ズッキーニョスがハンセン玲雄戦を振り返る─01─「テーマは打ち勝つこと」

【写真】予想外の打ち合いの裏側を本人が振り返る(C)MMAPLANET

9月30日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されたGLADIATOR023にて、チハヤフル・ズッキーニョスがハンセン玲雄にTKO勝ちを収めた。

Text by Shojiro Kameike

今年6月にグラジエーターのフェザー級王座決定トーナメント準決勝でダギースレン・チャグナードルジに敗れたものの、大激闘を展開したチハヤフル。再起戦となったこのハンセン戦も、激しい打ち合いで押される場面もあったが、2Rに連打でハンセンをマットに沈めた。サブミッション・ファイターと思われていたチハヤフルが打ち合いに行った裏には、彼の新しい決意が込められていた。


――今回はGLADIATOR023のハンセン玲雄戦について、試合映像を視ながら振り返っていただきたいと思います。

「はい。よろしくお願いします!」

――まず両者が向かい合うと、身長差が如実に表れますね。

「身長はハンセン選手のほうが高いですね。でも肩幅は僕のほうが大きくて――」

――そう言われると、チハヤフル選手の肩周りが以前よりも大きくなったように感じます。

以前よりも肩から背中にかけて厚みが増している(C)MMAPLANET

「そうですか? もしかしたらボクシングを重点的に練習していたかもしれないです」

――ボクシングの練習に取り組んできたということは、ハンセン戦は最初から打撃戦を想定していたのでしょうか。

「まず組み負けることはないだろう、と何となく考えていました。そのうえで作戦といいますか、今回の試合は殴り勝つことをテーマにしていたんです」

――流れで打撃戦になったのではなく、最初から試合のテーマだったのですね! なぜ殴り勝つことをテーマにしていたのですか。

「まず理由の一つとして『スタンドでも勝てるようにならないと、この先MMAを戦ううえで厳しくなってくる』と考えていました。もう一つは――僕とハンセン選手の試合となれば、どうしても寝技×打撃という見方をされると思うんですね」

――お二人のファイトスタイルであれば、そう見られることは間違いないです。主催者側も、そのようなイメージでマッチメイクしたのではないでしょうか。

「そこで僕がハンセン選手に寝技で危なげなく勝ったとしても面白くない。そんな試合内容では、誰も驚きはしないはずです。だから良い意味で皆の期待を裏切りたい、という気持ちがありました」

――試合では序盤から打撃を出してくるハンセン選手に対し、チハヤフル選手も打撃で応戦していました。しかしハンセン選手の左カーフキックを受けて、少しバランスを崩しましたね。

開始早々、打撃の交換ではハンセンが上回っていた(C)MMAPLANET

「効いていたわけではないですが、まず僕がカーフキックを見ることができていなかったです。正面から打撃でやり合っても、そこは相手の土俵だなと思いました。そこでペースを掴むために一度、組んでおこうと切り替えました」

――そこで想定よりも早く組みに行ったのですか。ボディロックからクリーンテイクダウンを奪っています。

一旦は打撃戦を避け、しっかりと背中を着かせたチハヤフルだったが……(C)MMAPLANET

「すんなりテイクダウンできたので、ここは焦らず削っていこうと思いました。でも『この状態から極めに行こう』という、こだわわりはなくて。ガッチリと固めすぎず、相手を動かしながらパウンドで削ろうと考えていましたね」

――するとハンセン選手がケージ際でスクランブルに持ち込み、一度チハヤフル選手が尻もちを着かされてしまいました。

バタフライガードとスクランブルーーハンセン玲雄も成長を見せている(C)MMAPLANET

「僕がミスをしてしまって……。ハンセン選手も組みで勝負してくるのだなと、この展開は意外でした。組みの展開でも要所要所で良い動きをしていましたね。今までの試合だと、ハンセン選手が自分からテイクダウンして、トップをキープしていることはありました。でも下になると強みが落ちるというイメージがあって。『やるなっ!』と思いました」

――先ほど「殴り勝つことがテーマだった」と仰いましたが、それはスタンドで殴り勝ことであり、パウンドでKOしようとは考えていなかったのですか。

「基本的にはスタンドで殴りたかったです。グラウンドでは、まず削ることを優先していました。本当はもっとヒジも入れておきたかったですが、そこまで削ることはできなかったですね」

――ハンセン選手が立ち上がったあと、かなりパンチの振り合いとなりました。その様子を見ながら、「なぜこれほどまでに打ち合うのだろうか」と思っていました。組んで倒し、立ち上がれることでチハヤフル選手のスタミナが削られてしまったのではないかと……。

立ち上がろうとするハンセンを無理に押さえ込むのではなく、打撃戦を選択したチハヤフル(C)MMAPLANET

「なるほど。あの展開で体力を使わなかった、といえば嘘になります。ただ、ああいう自分も削れるような展開で3Rまで続かせたくない、とは思っていました。もともと『殴り勝ちたい』と考えていましたし、相手が立ち上がるなら――やはりスタンドで戦おう、と。今回が5分3Rであったことも大きいです」

――これまでチハヤフル選手の試合は2R制が多く、3R制を経験しているのも今年に入ってからですね。やはり3R制になるとファイトスタイルも変わりますか。

「準備段階から大きく変わってきますよね。2Rの試合は言ってしまえば――気合いで頑張っていれば試合が終わるということが多かったです。対して3R制の試合は3Rめが本番といいますか、しっかり準備しておかないと良い試合は絶対にできない。僕も3Rの試合を戦うことになってきたので、やはり変えていかないといけないところはあります。その一つが、打ち勝つということでした」

<この項、続く>

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Gladiator023 Interview J-CAGE ブログ ユン・ダウォン 河名マスト

【Gladiator023】河名マストのユン・ダウォン戦振り返り。「取れたと思っても、そうじゃないRもある」

【写真】殴られて大丈夫でない試合も出てくるだろうが、河名は試合ごとに成長が見られる(C)MMAPLANET & TAKUMI NAKAMURA

9月30日に大阪府豊中市の176boxで開催されたGLADIATOR023にて、ユン・ダウォンに判定勝利した河名マスト。
Text by Takumi Nakamura

6月のパン・ジェヒョクで見つかった打撃&MMAレスリングという課題の克服に取り組み、ただ復帰戦で勝つだけでなく「一段階レベルアップしたことを実感できる試合だった」と振り返る。そのうえでラウンドマストを意識した戦い方など、また新たな課題を見つけて次なる戦いに備える。


――GLADIATOR023でユン・ダウォン選手に判定勝利した河名マスト選手です。パン・ジェヒョク選手に敗れてからの再起戦でしたが、しっかり勝利を収めることができました。

「ジェヒョク選手に敗れた試合で得たもの、パンチを当てたいという気持ちプラス、レスリングでコントロールしきるというところで一段階レベルアップしたことを実感できる試合でした」

――今回のダウォン戦では具体的にどんなことを意識していたのですか。

「一つはちゃんと拳を握って打撃を当てること。なんとなくではなくて、当てようとして当てるイメージでやりました。組みについては、今回は相手も組みたい・寝技をやりたいタイプだったので、僕が打撃を見せることで自分から組んできてくれたんですね。

だから相手が組んでくるなら、そこでレスリングをやればいいやという考えで、心に余裕を持って戦えたかなと思います」

――ダウォン選手にはどのような印象を持ちましたか。

「僕が試合前に警戒していたのはスクランブルになった時の際(きわ)でサブミッションを取られたらどうしようということだったんです。でも実際に組んでみた時に取られる感じはしなかったので、外から見ている以上に僕自身はこれなら大丈夫だと思ってやっていました」

――試合当日に解説をしていて、僕はダウォン選手に予想以上に組まれてしまい、そこでテイクダウンを凌いでいるように見えていました。

「僕としてはレスリングの流れの中で、自分が相手を止めたいところで止められていたんですよ。だから僕は1~2Rで作っていたものが、3Rに実になって圧倒できたと思っています。ただ試合後に映像を見直したときに、カメラの位置的に自分がやられているように見えるなとも思ったんです。

例えば中村さんが言っているのは2Rに僕がケージを背負っていて、ダウォン選手が奥の足首を持って寝かせようとしていた場面ですよね?」

――そうです。あの場面はダウォン選手が河名選手をケージに押し込んで、テイクダウンを狙いながら細かく殴っているように見えました。

「あれはポコポコパンチで全く効いてなかったし、寝かされることはないと思っていたんで、殴り返せばいいやと思って殴り返してたんです。『俺のパンチの方が痛いよね?』みたいな。ただ見方によっては僕が押し込まれる&殴られ続けていたように見えたのかなと思います」

――そこは見ている側と河名選手の感覚に差異があったかもしれないです。2Rが終わった時点でダウォン選手を消耗させたという感覚はありましたか。

「それは感じました。あと自分もそこまで力は使わないようにしていたので、3Rに入って腕が張ることもなかったです。五分五分に見えた場面でも、自分のゾーンというか自分の形になっていたので、見慣れた景色のなかで試合を進められていました」

――3Rは序盤からバックをとってコントロールする時間が長かったですが、このままコントロールできるという手応えはありましたか。

「最初にバックを取って前に振って四つん這いにさせたところで、相手は心が折れてるし、身体が動いてないのが分かったので、このラウンドはもらったなと思いました」

――スタンドの打撃についてはいかがでしょう。1Rに何度か右を被弾する場面がありました。

「試合中にいつも考えるのが、最初の立ち合いで一発いいのをもらったときに『これなら耐えられる』と思って、そこで覚悟が決まるんですよ。今回もそういう感じで、殴られて顎が痛かったですけど(苦笑)、KOされるようなパンチじゃないと思いました」

――トータル的に試合のペースを握って、3Rに明確に差をつけたのは河名選手でした。その一方でラウンドごとにポイントをつける採点方式の場合、1・2Rで流れを作っていても相手にポイントが入ってしまい、3Rにフィニッシュしきれずに29-28をつけられるリスクもあります。試合中はどのようにポイント計算をしていたのでしょうか。

「1Rはどちらにつくか微妙なラウンドだったと思いますが、2Rは際の攻防でダメージを与えていたのは自分だったし、セコンドからもこのままでいいという指示だったので、それを信じて戦っていました」

――先ほどは「一段階レベルアップしたことを実感できる試合でした」という言葉もありました。ただ勝つだけでなく成長するために必要なことを試合で実践することもできましたか。

「ジェヒョク戦で掴みかけたものが、さらに積み上がった感じがあります。だからこそ次の試合でどうするか。今回は相手の方から組みに来てくれたので、それを組み伏せることが出来ましたが、ジェヒョク戦のように自分から組みにいかないといけない展開もあると思うので。その流れを打撃のなかでどう作っていくか。今回一つ階段を上がることが出来たからこそ、次はその先を見ようと思います」

――これからは色々なタイプと戦い、それに対応していくことも求められますね。

「ジェヒョク選手は組みの攻防を拒否するタイプだったので、僕がやりたいことが出来ないまま試合が進んで、先が見えない真っ暗なトンネルを走っているような感覚だったんです。多少パンチも当たっていましたけど、とりあえず出したフックが当たっているみたいな状況だったんです。だから自分がやりたいことをやれていたわけではないし、身体よりも精神的に疲労して自分から行けないという試合でした。

これからまたそういう試合もあるだろうし、それに対応できるようにしなければいけないです。あとは自分でポイントを取れたと思ったラウンドでも、実際の判定ではそうじゃないことも起こりうるので、多少消耗することも覚悟のうえで攻めたり、1Rから組み伏せることも必要なのかなと思います。そういう試合の組み立ての部分も意識していきたいです」

――次戦はいつ頃までにやりたいという希望はありますか。

「次のグラジエイターが12月なので、そこで試合を組んでもらえたらやりたいですね」

――河名選手はグラジエイターを主戦場にしていますが、金網・ユニファイドルール・外国人選手との対戦など、河名選手が望むキャリアを積める舞台なのではないですか。

「そうですね。負けを経験した厳しい舞台でもありますし、僕は海外で戦うことや海外の選手と戦うことを目標にしているので、日本で外国人選手と戦う機会があるところでキャリアを積みたいと思い、グラジエイターで試合をしています。その方向性は八隅(孝平)さんとも話し合って意思疎通しています」

――韓国やモンゴルから招聘している選手たちもみんなレベルが高いです。

「今までだったら自分から海外まで出ていかないと戦えないような相手と日本で試合を組んでもらえるので、それは本当にありがたいです。今はグラジエイターのベルトを目標に戦っていきたい」

――では改めて次戦へ向けてのメッセージをお願いします。

「僕自身もそうですし、僕の試合を見続けてくれている人は僕の成長を感じてもらえたと思うので、次の試合ではさらに目に見えて分かる進化を見せたいと思います」


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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET o キック テムーレン・アルギルマー 竹本啓哉

【Gladiator023】竹本がテムーレンにバックテイクと足関節でアタックし続け、バンタム級王座を取り戻す

【写真】返り咲きを果たした竹本とチーALIVE(C)MMAPLANET

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
竹本啓哉(日本)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29.
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)

テムーレンが右サイドキックを当て、組んできた竹本を突き放す。竹本がシングルレッグで入ろうとしたところに、テムーレンが右ヒザを狙った。竹本が左ストレートでアゴを跳ね上げると、テムーレンも一度サウスポーにスイッチした。オーソドックスに戻したテムーレンの右ミドルがボディに突き刺さる。竹本が頭を下げると、テムーレンは右を当てる。左フックをもらいグラついた竹本は、組みつくも下に。足を狙う竹本の顔面に、テムーレンが鉄槌を連打する。

テムーレンの左足をロックした竹本が内ヒールで絞り上げると、テムーレンが回転して逃れる。鉄槌を打ちつつ竹本のクラッチを切ろうとするテムーレンだが、竹本はサドルからストレートフットロックへ。テムーレンも竹本も右足を狙うが、すぐに腕を外す。竹本がストレートフットロックで絞り上げるも、テムーレンがボディにパンチを打ち込んでいった。

2R、テムーレンはグローブタッチを拒否。竹本が右ジャブを突きながらステップを踏む。ノーモーションの左を当てた竹本が、続いて右フックを顔面に叩き込む。竹本はテムーレンの左右フックをかわし、ダブルレッグで組んでからバックに回った。おたつロックで固定した竹本が四の字フックに移行し、バックからパンチで削る。

さらに左ヒジを突き刺した竹本は、さらにテムーレンの右腕を抱えつつカカト蹴りで注意を散らす。しかしテムーレンが反転して腕を抜き、立ち上がった。背中を着けたままの竹本の足を蹴り、左を振り落としたところで竹本がテムーレンの左足を取った。ここで外ヒールを狙ったが、ラウンド終了のゴングが鳴った。

最終回、テムーレンが笑顔を浮かべる。スイッチしながら距離を詰めるテムーレンに、竹本が右ジャブを突く。シングルレッグで入った竹本はバックを狙うも、テムーレンがディフェンス。アームドラッグから下になるも、ハーフガードからテムーレンの右腕をキムラで抱えている。テムーレンのクラッチを切った竹本が右腕を絞り、リバーサルから横三角へ。テムーレンが頭を抜いて立ち上がる。

スタンドに戻ると、テムーレンがステップを踏みながらパンチを浴びせていく。竹本が低空シングルレッグでテムーレンの左足を掴むも、足を抜かれてしまった。背中を着いた竹本がシングルレッグに入ろうとしたところで、レフェリーがブレイクする。スタンドではテムーレンが疲労か両腕を下げている。左ストレートを突き刺した竹本が、テムーレンのパンチをかわしつつ、シングルレッグで飛び込む。トップを奪ったテムーレンのパンチとヒジを受けながら竹本がバックに回ったところで試合が終了した。

裁定はスプリットで竹本が勝利し、一度は手放したベルトを取り戻した。「半分以上のキャリアがグラジエーターで、ここまで使ってくれて、ありがとうございます。グラジエーターの格を高めていくので、強い選手と戦わせてください」と語った。


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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET o RIZIN キック ダギースレン・チャグナードルジ パン・ジェヒョク 朝倉未来

【Gladiator023】計量オーバーのダギースレンを、パン・ジェヒョクが絶妙な距離感で捌き判定勝ち

【写真】ファイトにもトークにもスマートさがうかがえる新王者パン・ジェヒョク(C)MMAPLANET

<65.77キロ契約/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
Def.3-0:30-25.30-25.30-25.
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

ダギースレンが計量オーバーのため、イエローカード2枚でスタート。パン・ジェヒョクが勝った場合のみ試合が成立となる。また、フェザー級トーナメントはパン・ジェヒョクの優勝という内容が発表されたあと、2選手が入場してくる。

試合が始まると、パン・ジェヒョクが左インローを入れる。ダギースレンは強烈な右を2発放ったあと、跳び蹴りを見せた。パン・ジェヒョクのパンチを受けたダギースレンは、鼻から出血が見られる。ダギースレンが左ジャブに右を被せてくると、パン・ジェヒョクが離れた。ダギースレンが右スピニングバックキックを見せる。パン・ジェヒョクは右ミドルをキャッチされたが、すぐに離れた。

パンチをフェイトにシングルレッグで入ったダギースレンだが、これは切られてしまう。前に出て来るダギースレンの顔面に、パン・ジェヒョクが右ストレートを叩き込む。ダギースレンの右をよけながら右ショートを当てるパン・ジェヒョクに対し、ダギースレンはダブルレッグで組んだものの、ここもパン・ジェヒョクが差し返した。

2R、距離を取るパン・ジェヒョクが右ローを当てて回る。ダギースレンの右スピニングバックキックが、パン・ジェヒョクの顔面をかすめた。下がりながらパン・ジェヒョクが右ストレートを顔面に叩き込む。ダギースレンの右も当たるが、打ち終わりにパン・ジェヒョクが右ストレートを入れた。ダギースレンがパン・ジェヒョクにケージを背負わせてダブルレッグで組んだが、パン・ジェヒョクは切って離れる。ダギースレンが中に入ってくると左を合わせるパン・ジェヒョクは、このラウンドは捌ききった。

最終回、パン・ジェヒョクが刀で斬り落とすパフォーマンスを見せる。左ジャブを突き、ダギースレンの右をバックステップでかわすパン・ジェヒョク。互いに右スピニングバックキックを見せる。ダギースレンがダブルレッグで飛び込んでくると、パン・ジェヒョクがスプロールからバックに回った。ダギースレンはガードポジションへ。するとパン・ジェヒョクが立ち上がった。ケージ中央でパン・ジェヒョクの左インローがダギースレンの下腹部を捕らえ、試合が中断される。

再開後、ダギースレンは右フックを振るうも届かない。組んできたダギースレンを突き放しながら右ストレートを打ち込む。さらにダギースレンのテイクダウンをカットしたパン・ジェヒョクが、下がりながら左フックを直撃させる。残り40秒で弓引きポーズを見せたパン・ジェヒョクが、二段蹴りから左ミドルをボディに突き刺し、そのまま試合終了まで捌ききった。

ベルトを肩にかけて判定を聞くパン・ジェヒョク。採点はフルマークにイエローカードのマイナス2pが加わり、全ジャッジが5ポイント差でパン・ジェヒョクの勝利となった。マイクを握ったパン・ジェヒョクは、RIZINと朝倉未来の名前を挙げた――


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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET o Progress 世羅智茂 森戸新士

【Gladiator023】バックグラブで先制した森戸が、世羅の逆転を許さず4-2でプログレスFSG暫定王座を獲得

【写真】しっかりとバックテイク。先制点が大きい(C)MMAPLANET

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士(日本)
Def.4-2
世羅智茂(日本)

世羅が右足前に構える。世羅が首を抑えるも、森戸が押していく。ケージ中央から世羅がワキを押して前に出るも、森とも譲らない。世羅のシングルレッグを森戸が切った。スタンドレスリングの展開が続くなか、シングルレッグを切られた世羅が内股でテイクダウンを狙う。これをディフェンスした森戸が、足をすくって世羅に尻もちを着かせるも、すぐに世羅がトップを狙う。

世羅は森戸の右足を狙ったが、ここは森戸が足を組んで防ぎ、立ち上がる。左腕を差し上げた森戸が世羅をケージに押し込み、ダブルレッグに切り替える。ここは世羅が耐え、首投げを仕掛けていくも森戸が耐えてバックへ。バックグラブで2pを獲得した森戸が左ワキをすくって初回を終えた。

2R、森戸が頭を触りに行く。シングルレッグで組んだ森戸がドライブして、世羅をケージに押し込む。一旦離れた森戸が距離を詰めていくと、世羅がシングルレッグで飛び込んだ。しかし森戸が両腕を差し上げて、押し込まれたケージ際から離れた。右腕でプレッシャーをかける森戸に対し、世羅は首を触るも突き放されてしまう。そのまま森戸がプレスをかけ続けた。

最終回、世羅が森戸の首を触りに行くが、森戸が下がる。組んできた世羅に対し、切り返した森戸がシングルレッグで組むと、世羅が首投げへ。さらにバックを狙ったが、森戸にトップを奪われてしまう。これで森戸に2pが追加された。世羅はリバースデラヒーバ、立ち上がった森戸にシングルレッグで組んだが森戸がギロチンで返す。ここで頭を抜いた世羅に2pが入った。

森戸は立ち上がった世羅に対して足を利かせる。世羅は再びガードの中に入るも展開できず。立ち上がってはパスを狙い、パスできず立ち上がるという世羅。森戸はハーフガードから潜りにいったが、世羅は立ち上がる。森戸は左足を上げていくと、世羅が森戸の左足を取ってストレートフットロック、さらに外ヒールを仕掛けたところで試合終了となった。

最終回の後半からポイント差を守りきった森戸が4-2で勝利し、プログレスFSGウェルター級暫定王者となった。


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