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【Road to UFC2024】松井、小崎、透暉鷹、野瀬、安藤、河名、原口、本野。MMAPLANET調べRTU出場選手

【写真】(C)MMAPLANET

5月18日(土・現地時間)&19日(日・同)に中国は上海のUFC PIで開催されるRoad to UFC2024。UFCから正式発表がないが、選手及びマネージメント関連から確認が取れている日本人出場選手と対戦相手を纏めてみた。
Text by Manabu Takashima

アジアでは唯一のUFCへの公式ルート=Road to UFC。しかし、選手の選考基準は曖昧で、3度目の開催を迎える今回も多くの出場希望選手がやきもきしてきた。3月31日を選考の〆とする。4月3日が中国のビザ取得のためにタイムリミット。選ばれた選手はビザ取得のため即連絡が入るが、選考に漏れた選手は連絡がないことで不出場を意味する──などなど、今年も情報が錯そうしまくっていた。

また本来UFCはカードの正式発表等のリリースは通常はなく、選手やマネージメントの自己発信に任されている。対して日本国内はプロモーションとメディアのなかでオフィシャル発表を待つという慣例が存在している。Road to UFC出場メンバーの公式発表がなかなか行われないのは、ビザ取得など選手の顔触れが変更されることなども考慮されているという話も伝わってくるが、そのような状況下で選手個人や出場していた団体が公にするケースも出てきた。ここではソースが明らかでない選手を除き、MMAPLANETが選手及びマネージメントに出場の確約があることの確認を取れた選手について言及したい。


【フライ級】
松井斗輝
対戦相手ルエル・パナレス

Grachanでデビューしンクラスでキャリアを積んできたTHE BLACKBELT JAPAN所属の松井が、昨年の鶴屋怜に続き同ジムよりも出場権を得た。キャリア6勝1敗の24歳、伊藤盛一郎や福田龍彌が選外となったことを考えると、このレコードと若さは今のUFCが欲しているゾーンにいるということだろう。

(C)BRAVE CF

松井の対戦相手はフィリピンのルエル・パナレスだ。

レコードは松井と同じく6勝1敗。松井が初めて海外で戦うのに対し、パナレスはUAEWでUAE、BRAVE CFでバーレーンとインドネシアでの試合を経験してきた。ゴリゴリのテイクダウン・ファイター=ムハンマド・サロハイディノフとの敗北から再起戦がUFCを賭けた戦い。スタイル的に初戦以降の対戦相手、つまりは他の出場選手が気になるところだ。

そのフライ級では日本でも一部で猛烈に注目されていたチェ・ドンフンの出場も決まった。

韓国のDouble GFCフライ級王者で、GLADIATORフライ級王座決定トーナメント準決勝出場を決めていたチェ・ドンフンもUFC行きを賭けた戦いにステップアップ。

堅実な戦いができるフィニッシャーの初戦の相手は、前回の準優勝者チーニョーシーユエだ。

エンボー・ファイトクラブ出身、UFC PI所属の中国MMA界のエリートコースを行くチーニョーシーユエと、韓国海軍出身のイケメン=これは興味深い顔合わせとなる。

【バンタム級】
透暉鷹
対戦相手キム・キュソン

小崎連
対戦相手ダールミス・チャウパスゥイ

野瀬翔平
対戦相手ユ・スヨン

Road to UFC出場を狙い、フェザー級からバンタム級に落とした透暉鷹は、昨年のクリスマスイブに河村康博を初回肩固めで斬って落とし、パンクラス二階級制覇を果たした。

大手エージェントとの契約もなく、所属ジムの代表がコーチング修行で得た人脈からの出場権獲得。透暉鷹の意思の強さと周囲の向上心と合致しての挑戦となる。

透暉鷹の初戦の相手は、韓国のキム・キュソンだ。母国ではTOP FC、そして日本、ONEでキャリアを積んできた元Evolve MMAファイターだ。キャリア12勝5敗でHEATで加マーク納、春日井たけし、TOP FCでNavE、ONEで藤沢彰博、若松佑弥と日本人選手との対戦も多い。×日本勢の戦績は3勝2敗で透暉鷹としては、当然遅れを取ることはできない

そんなキム・キュソン、一番最近の試合で魔のNAIZA FCでカザフスタン人選手に勝っているのが不気味だ。

意外というと失礼だが、小崎の選出には驚かされた。KROSS X OVERとDEEPで活躍中の小崎は戦績6勝0敗2分で、フィニッシュが5つの22歳。

彼もまたUFCが求めるゾーンのファイターといえる。

その小崎と相対するのは、昨年の準決勝でイ・チャンホに敗れたダールミス・チャウパスゥイ。とはいえ、イ・チャンホを序盤は圧倒したテイクダウン能力の高さは、小崎が未経験の世界といえる。カザフスタン国境ウィグル出身のフィジカルモンスター超えなるか──小崎のフレッシュさに期待だ。

小崎以上のサプライズは3年連続出場となった野瀬だろう。

これまで準決、初戦敗退も2月のRIZIN LANDMARKで改めて国内バンタム級のトップクラスである強さを見せつけた野瀬。

対するは一時はDEEP、Black Combatとアジア3カ国のバンタム級を制したユ・スヨンだ。UFC行きが掛かっていなくとも、興味深いマッチアップといえるタフファイト。当然、野瀬としてはグラウンドに持ち込めば、勝機が増す。その一方で、ユ・スヨンもれっきとした柔術黒帯で、しっかりとMMAに適合した寝技を持つ。それでも野瀬としては組み技勝負、いかに自分の庭に持ち込み、その庭での力比べとなる。

【フェザー級】
安藤達也
対戦相手チュウ・カンチエ

河名マスト
対戦相手ソン・ヨンジェ

原口伸
対戦相手ホン・ジュンヨン

(C)ONE

昨年3月のONE FFのアリ・モタメド戦の逆転勝利もチャトリCEOに評価されず、昨年のRoad to UFCのオファーを蹴っても安藤のONE本戦出場はならなかった。

この間、コンテンダーシリーズからのオファーもあった安藤が、34歳にして最後の挑戦に挑む。

その行く手を阻もうとするのは中国のチュウ・カンチエだ。レコードは18勝4敗の28歳。中国国内でしか試合をしておらず、実力を推し量るのが困難な相手だ。昨年7月に20秒で勝利している韓国のイ・ミンヒョクはパン・ジェヒョクにスプリット判定負け、工藤諒司にも判定負けをしているファイターで、中国人ファイターはもう強くて当たり前という想いで戦う必要がある。

デビュー戦、LFA、GLADIATORフェザー級王座決定トーナメントと躓く度に力をつけてきた河名マストも、いよいよ盟友・中村倫也の背中が見えていた。

特にパン・ジェヒョクとの連戦で競り負けから、完勝と河名は自身のポテンシャルを最大限に使うことができるようになった。対するソン・ヨンジェは6勝0敗5つのKO勝ちと1つの一本勝ちを誇るフィニッシャーだ。全て試合をAngel’s FCで戦い、バンタム級とフェザー級の王座を獲得している。

豪腕ファイターのソン・ヨンジェだが、一時期4年近いブランクもあり、ここ2試合は秒殺で組み力に関しては判断材料が少ない。ともあれ一発で試合を終らせる力を持つソン・ヨンジェを相手に、河名がいかにオアシスに突っ走れるのかに勝負は掛かってくるだろう。

また前回のライト級決勝でロン・チュウに敗れ、キャリア初黒星を喫した原口伸も、ビザ取得ギリギリの段階でオファーがきた。Road to UFCファイナルに敗れた後は、そのまま本戦出場という交渉もあった原口だが、適正体重のフェザー級での出場は今後のことを考えると──それでも簡単ではないが、好判断と思われる。

対する対戦相手のホン・ジュンヨンは2022年の初戦で松嶋こよみに接戦の末敗れている選手だ。その後はマーシー・グローブTVとインドネシア人ファイターを破り、Angel’s FCライト級王座を奪取──も、現状の力は測定が難しい。とはいえ簡単な相手でないことは明らかで、松嶋戦でも見せた様にタフファイトになった時の心の強さを原口は凌駕しなければならない。

【女子ストロー級】
本野美樹
対戦相手フォン・フェイアール

今年からライト級でなく女子ストロー級が実施されることとなり、日韓有数の女子ファイターに声がかかるなか、日本では出場を固辞する選手もあったようだが、本野美樹のチャレンジが決定した。

準々決勝で戦うフォン・フェイアールは、本野ともにフン・シャオカンに敗れている。未確認情報だがフォン・フェイアールを含め4選手が出場するという中国人女子選手、その中の一人にフン・シャオカンも含まれているという。

つまり本野とフォンにとって、Road to UFCはRoad to フン・シャオカンへのリベンジでもある。またかつてパンクラスに参戦経験のある韓国のソ・ユダンも出場し、中国のシー・ミン戦が決まっている。

現状、8人の日本人選手出場。今年はワンマッチも1日に4試合組まれるという話もあり、この他にも日本人選手の出場もあるかもしれない──中国、インド、タイ、インドネシア、そしてついにあるのか中央アジア勢の参戦等々、オフィシャル・アナウンスを待ちたい。

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Black Combat CORO DEEP DEEP Tokyo Impact o RIZIN ユ・スヨン 平松翔 石司晃一 金太郎 魚井フルスイング

【DEEP】5.26ニューピアホール大会 石司晃一×平松翔決定!

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5月26日にニューピアホールで開催されるDEEP TOKYO IMPACT 2024 3rd ROUNDで石司晃一(フリー)×平松翔(THE BLACKBELT JAPAN)のバンタム級マッチが行われる事が発表されました。

元DEEPバンタム級王者の石司は BLACK COMBATとの対抗戦でユ・スヨンにパウンドでTKO負けして以来の復帰戦。テイクダウンされると防戦一方に追い込まれましたが、それまでは金太郎やCOROなどに6連勝。スタンドでの打撃でもKO出来るし、グラウンドになっても三角やチョークでも仕留める事が出来るオールラウンダーです。

対する平松。勝ったり負けたりが続いていましたが、転機を迎えたのが3月のDEEP 118 IMPACTで行われた魚井フルスイングとの一戦。魚井にニータップでテイクダウンを許すも、それに合わせてギロチンチョークを極めて一本勝ち。RIZINに出場した魚井を下した事で一躍脚光を浴びる事となりました。

石司は王座から陥落して以来の負けられない一戦。対する平松は勝てば一気にタイトル戦線に浮上する重要な一戦。石司が踏み止まるか、平松が勝って世代交代か。いきなり楽しみなカードが組まれました。
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ANIMAL☆KOJI Black Combat CORO DEEP DEEPフライ級GP o RIZIN パンクラス ホジェリオ・ボントリン ボクシング ユ・スヨン ライカ 修斗 倉本一真 元谷友貴 北岡悟 太田忍 山本アーセン 朝倉海 村元友太郎 水野竜也 福田龍彌 金太郎 雅駿介

【DEEP】元谷友貴×福田龍彌 バンタム級王者決定戦!

ゴールデンウィーク真っ只中の5月3日に後楽園ホールで開催されるDEEP 119 IMPACT。これまでに北岡悟(パンクラスイズム横浜)×倉本大悟(JAPAN TOP TEAM)、水野竜也(フリー)×ANIMAL☆KOJI(HIGH ROLLER ENTERTAINMENT)、村元友太郎(ALIVE)×KENTA(K-Clann)など対戦カードが発表されていました。

決して悪くはなんだけど、RIZIN参戦経験者を上手く絡めて波に乗る最近のDEEPのマッチメイクを考えたら、もうひと盛り上がりほしいと欲張っていたら、極上カードがやってきました。
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【DEEPバンタム級王者決定戦】
元谷友貴(アメリカン・トップチーム)
福田龍彌(MIBURO)

RIZINで結果を出している者同士の贅沢な一戦。RIZINで組まれていて何ら不思議ではない好カードがDEEPで実現するとは。。。RIZIN隆盛の中でのDEEPの存在感を改めて思い知らされました。BLACK COMBATからの刺客ユ・スヨンがDEEPバンタム級王座を返上した事により、王者決定戦として行われます。

元谷は言わずと知れたバンタム級国内トップクラスのファイター。RIZINでは朝倉海の膝蹴りに屈したものの、金太郎、ヒロ・ヤマニハ、太田忍、倉本一真、CORO、ホジェリオ・ボントリンといったうるさ型の選手を連破。一見すると地味にも見えますが、決して簡単に出来る芸当ではないでしょう。

対する福田は現在絶賛売り出し中。元修斗フライ級王者にしてDEEPフライ級GP王者という肩書きもすごいですが、ファイトスタイルも凄味がハンパない。的確に蓄積させる左ジャブで相手の顔面を削り、時折織り交ぜるボディやアッパーの威力も精度の高さも卓越したスキルを感じます。

フライ級からバンタム級に階級を上げた雅駿介戦ではムエタイ出身の雅のお株を奪う打撃の猛攻で雅を圧倒。パンチでダウンを奪ってからのパウンドアウトでバンタム級転での試運転もは滑り出し上々。しかもストライカーを相手に打撃でKOする姿は衝撃的でした。バンタム級王座奪取に向けて調整は順調と見て間違いなさそうです。

ボクシングテクニックはDEEPフライ級最上位の福田を相手に元谷はどう出るか。ある程度スタンドの打撃に向き合いつつ、テイクダウンの糸口を探るのが常套手段か。

レスリングをバックボーンに持つ山本アーセンも福田をテイクダウンするのには手を焼いていただけに、予定通りにはいかないでしょうが、ヒントになりそうなのは昨年12月に行われたNaiza FCでのディアス・エレンガイポフ戦。

エレンガイポフは福田の打撃に臆せずに応戦しつつ、要所要所で組み付くとテイクダウンに成功。立ち上がられてもしつこく捕獲して福田の動きを封じて判定勝ちを収めました。

同じようにはいかないでしょうが、悔しいかな福田の打撃を封じるお手本のような試合。立っても寝てもそつなく試合を運ぶ元谷なら再現しても不思議ではありません。

逆に福田が元谷を駆逐するような事があれば、いよいよ地殻変動。DEEPどころかRIZINの地図にも影響を及ぼすのは間違いないでしょう。日本のバンタム級戦線を占う意味でも重要な一戦。ゴールデンウィークも後楽園ホールだな。
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45 AB ANIMAL☆KOJI DEEP DEEP119 MMA MMAPLANET o キム・ミンウ ダスタン・アマンゲルジ マサト・ナカムラ ユ・スヨン ヴィンス・モラレス 元谷友貴 北岡悟 日比野エビ中純也 木下尚祐 水野竜也 泰斗 石司晃一 神龍誠 福田龍彌 窪田泰斗 関原翔 雅駿介

【DEEP119】ユ・スヨンが王座返上→元谷友貴×福田龍彌で、DEEPバンタム級王座決定戦

【写真】ユ・スヨンが見られないのは、残念。だが国内屈指の実力者対決組まれた(C)MMAPLANET

30日(土)、DEEPより5月3日(金・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP119 Impactでバンタム級王座決定戦=元谷友貴×福田龍彌が組まれることが発表された。
Text by Manabu Takashima

福田は昨日29日(金)にフライ級暫定王者から、神龍誠の王座返上を経て正規王者になったばかりだ。


その神龍と同様にバンタム級王座もユ・スヨンが防衛戦のスケジュールの目途が立たないためにベルトが返上されることとなった。

今回の後楽園ホール大会、実のところ元谷がユ・スヨンに挑戦するという形を第一に話が進められていたが、福田が3月大会で雅駿介に勝利したことで対抗馬に浮上していた。

ユ・スヨンは昨年9月に石司晃一を下し、DEEPとBlackcombatのバンタム級王座を獲得。12月にはNAIZAバンタム級王座をダスタン・アマンゲルジに明け渡した。さらに今年1月にフェザー級シングルマッチでキム・ミンウと対戦し、延長4Rに急所蹴りを受けて試合続行不可能となり、NCという結果に終わっている。

半年間でこのハードなスケジュールをこなしてきたユ・スヨンの防衛戦を行われない場合、元谷と福田の間で暫定王座決定戦が組まれるのではないかという憶測もあった。が、ここにきての王座返上、その理由は推して知るべしといったところか。

元谷は大晦日のヴィンス・モラレス戦における敗北からの再起戦となるが、ATTでどれだけアップデートができているのか。また福田もこの試合に向けて、来週より3週間の予定でファイター福田龍彌生誕の地ともいえる──タイで出稽古を敢行することが決まっているという。

なお同大会では既にメガトン級の水野竜也×ANIMAL☆KOJI、ライト級で北岡悟×倉本大悟という3回戦、関原翔の復帰戦となるマサト・ナカムラ戦=フライ級、バンタム級の窪田泰斗×橋本ユウタ&日比野エビ中純也×木下尚祐戦と2回戦3試合が実施されることが発表されている。

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【DEEP118】バンタム級進出の福田龍彌─02─「雅選手は努力家。だから僕は試合を楽しむことができる」

【写真】プロフェッショナルファイターとして、MMAを戦う職人としての福田の言葉から気づかされることは多い(C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118にて、雅駿介と対戦する福田龍彌がインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

福田は1月の平良達郎との練習で「殴り合いの強さ」を再確認したという。殴り合いの強さを生み出す理由の一つは、福田の練習への取り組み方にある。その最たるものがボクシンググローブとMMAグローブの違いだ。バンタム級の戦いでも、殴り合いの強さを発揮できるか。雅のムエタイMMAとの邂逅で、そうした技術ポイントにも注目してほしい。

<福田龍彌インタビューPart.01はコチラから>


――殴り合いといっても、福田選手の場合はパンチをブンブン振り回しているわけではないですよね。振り回す相手に対して、カウンターでインサイドから急所を突くことができる。

「そういう能力がある、とは自分でもそう思っています。みんながガムシャラに打ち合っちゃうときに、ちゃんと相手の動きを最後まで見ることができるというか」

――しかも、そんななかで正確に自分のナックルを当てきることができる。たとえば2月18日のパンクラス大阪大会では、メインとコメインは正確な左ジャブの積み重ねがフィニッシュに結びつきました。

「あぁ、なるほど。まさに基本どおりで」

――はい。UFCを見ると、その正確性は究極的に高まりますよね。試合写真も左ジャブがまっすぐ伸び、ナックルが相手の鼻突を捉えているものばかりで。国内のファイターの中で福田選手は、右ジャブも左ストレートもその正確性が飛び抜けていると思います。

「そうですね。やっぱりパンチについては――僕、ボクシンググローブを着けて練習することが、ほとんどないんですよ。ボクシンググローブでスパーするのは止めました。ボクサーやキックボクサーの人と、ボクシンググローブをつけてマススパーをやることはありますよ。でもガチで倒し合うスパーはやらないです。しっかり当てる練習をする時ほど、MMAグローブでやらな意味ないと思っているんで」

――ボクシンググローブを使わなくなったのは、いつ頃からでしょうか。

「3年前ぐらいじゃないですかね。そもそもパンチの練習って、そんなにスパーは必要ない。MMAファイターはスパーリングをしすぎやと思っています。ボクシンググローブの練習に時間を割きすぎても良くない。確かにそのバランスは難しいところではありますけど、ちゃんと考えて練習しているファイターもいるから。MMAグローブでフォームや当てる時のインパクトの練習をするほうが大事じゃないですか。本来、MMAってジムに持って行く練習用具が少ないはずなんですよ」

――というと?

「持って行くのはMMAグローブ、マウスピース、あとファウルカップぐらいじゃないですか」

――レガースは持って行かないのですか。

「僕はレガースを着けないです。レガースを着けていると、組まれた時の足の抜き方も違ってきますからね。スパーリングで相手に生のスネで蹴られても文句は言わないし、僕も生スネで蹴ります。パンチと同じように蹴りでも思いっきりやらないというか、練習に威力は必要ないと思うんですよ。どちらかといえばフォームやタイミング、距離感、角度のほうが大事で。スパーでそれらを掴むことができていたら問題ないです」

――柔道やレスリングなど組み技競技は乱取り稽古がある影響で、MMAでもいわゆるガチスパーが多くなっているのでしょうか。ジムの指導方針にもよりますが、ボクシングやキックボクシングの場合は練習の中でガチスパーの割合は高くないですよね。

「もちろんガチスパーも大切ではありますよ。でもその割合をMMAに適用するのはどうかな、って思います。ファイターのタイプにもよるけど。組技でも乱取りだけでなく打ち込みがあって、スパーリングばかりしているわけじゃない。でもMMAはスパーが多くなるという面はあって」

――福田選手がタイにいた頃のムエタイジムはどうでしたか。

「スパーはやりますよ。でもスパーの中で、騙し合いみたいなものをメインにしていました。ガツガツと倒し合うスパーは週2回ぐらいったかなぁ。もうだいぶ昔の話ですけど。タイの場合は特にトレーナーさんがミットを持ってくれる量がハンパないから。トレーナーさんがミットで受けながら、しっかりと打ち返してくれるじゃないですか。ミット打ちの中にスパーに近い要素がありますよね。僕とウエタユウ(MIBURO代表)さんのミットも、そんな感じで。自分のファイトスタイルが固まっている選手であれば、実戦に沿ってそのスタイルの質を上げるための練習をするべきやなって思います」

――国内でいえば、リオン武選手はMMAグローブでナックルの当て方が最も巧いファイターの一人だと思います。これは10年前に取材で訊いたことではありますが、リオン選手もボクシンググローブで練習したことはなかったそうです。そして、拳を骨折したこともないという。

「リオン選手は巧いですよねぇ。ボクシンググローブを使わないのも、よく分かります。何が一番違うかといえば、ボクシンググローブってしっかりと握りこまないんですよ。というか、握り込めない。特に親指が浮いた状態になって――その感覚やとMMAグローブでは、しっかり殴れないです。あと骨折も自分は一度ぐらいで、それ以外は怪我をしたことがなくて。

サンドバッグもMMAグローブでやったほうが良いですよ。ボクシンググローブでやると、どうしても腕の振りだけで強く当てようとしますから。すると『バーン!』という表面的な音だけで、みんな酔いしれてしまう。その打ち方では、頭やヒジとか堅い箇所に当たると拳が折れてしまうんです。正確にナックルを当てる感覚も、微妙な拳の握り具合の感覚も身に着かない。僕のことを理解して、大切にしてくれている人にはOFGの練習を推奨していますね。……今日、こういう話で良いんですか?」

――そうした練習の取り組み方こそが、プロフェッショナルファイターの証ではないでしょうか。以前のインタビューで福田選手が仰っていた、「料理している姿を見ていているだけでも面白い」という料理人さんの姿と同じで。

「なるほど。その所作が重要ですよね。ブンブン振り回してKOしているところを切り抜いただけでは、『オレも勢いだけで行けるんちゃう?』と勘違いされてしまう。僕は試合で『福田のテクニックって凄いなぁ』と思ってもらえるようなものを提供したいです。それがプロフェッショナルやし、プロとしてこだわる部分じゃないですかね」

――なるほど。貴重なお話をありがとうございます。そこで次の試合に関してですが、最初のオファーからバンタム級で雅選手と対戦というお話だったのですか。

「最初は1月のBlack Combatが終わるまで分からへん、って感じでした。もちろん雅選手との試合という案も最初からあったでしょうし、たぶんユ・スヨンの試合がどうなるかによって変わるのかなと思っていて」

――今回の試合で重要なポイントは、対戦相手が雅選手であることはもちろん、福田選手がバンタム級で戦うという点だと思います。

「現状、神龍君とのフライ級王座統一戦はないでしょうからね。GPが終わって、フライ級で戦いたい相手もおらへんし。それと最初の話にもあったように、やっぱりカザフスタンの試合からダメージが残っていて。ここでフライ級まで落とすために労力を使うのも違うのかなと思ったんですよ。

僕も30歳を過ぎて、フライ級まで落とした翌日にベストコンディションで試合できるかどうかは――正直言って自信はないです。カザフスタンの経験も生かしたうえで、多少は体格が小さくてもバンタム級で試合をしようと決めました。

もしかしたらバンタム級では組んでグシャグシャにされるかもしれないし、『やっぱりフィジカル差があるよね』と言われるかもしれない。でも僕にとってのMMAは、そういうものだけじゃないと思っているので」

――実際に試合をしてみないと分かりませんが、グシャグシャにされるかどうかは当日のコンディションに依るところも大きいのではないですか。先ほど福田選手ご自身が言われたとおり、フライ級まで落とした翌日のコンディションと、バンタム級で臨む当日のコンディションも違うでしょう。

「ぶっちゃけフライ級の時は、翌日までにコンディションを戻せる自信はなかったです。GP決勝戦はコンディションも最悪で……。体の中で何かが固まっている感覚があったんですよ。呼吸も浅くなっていたりとか。計量後にそれほど食べたり飲み物を摂取していたわけでもないのに。

そこまでの減量をしてまで、フライ級にこだわる気持ちはなかったです。僕はもう名声やタイトルは求めていないわけですよ。とにかく戦うことを生業として、戦いを楽しみたい。でもフライ級で続けると、戦いを楽しむことができないと思って」

――……。

「決してバンタム級をナメているわけじゃないです。バンタム級だと相手の体も大きくて、強い選手も多い。そっちのほうがヒリヒリした試合ができるんじゃないかと思っています。次の対戦相手の雅選手なんて、特に最近は良い勝ち方をしているじゃないですか」

――雅選手もムエタイを生かした自分のMMAスタイルが固まってきて、一気に勝ち星が増えてきたと思います。

「そうそう。ナックモエとかじゃなくて、完全なMMAファイターになっている。レスリングもしっかりしているじゃないですか。最近は首相撲よりレスリング技術のほうが印象に残っていますね。MMAを始めて、本当に一つひとつ積み上げてきたんやなって思います。雅選手は、そういう努力家の面が試合で見えるファイターで。だから僕としては純粋に試合を楽しむことができると思いますよ。雅戦は良いセッションにしたいです」

■視聴方法(予定)
3月9日(土)
午後5時45分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV

■ 対戦カード

<DEEPメガトン級王座統一戦/5分3R>
[正規王者]ロッキー・マルチネス(グアム)
[暫定王者]酒井リョウ(日本)

<DEEPフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]神田コウヤ(日本)
[挑戦者]青井人(日本)

<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者]イ・ソンハ(韓国)
[挑戦者]江藤公洋(日本)

<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
雅駿介(日本)

<フェザー級/5分2R>
五明宏人(日本)
木下カラテ(日本)

<ライト級/5分2R>
川名 TENCHO 雄生(日本)
倉本大悟(日本)

<バンタム級/5分2R>
平松翔(日本)
魚井フルスイング(日本)

<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
小崎連(日本)

<アマチュア・フェザー級/3分2R>
信原空(日本)
菅涼星(日本)

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【DEEP118】雅駿介と対戦、福田龍彌─01─「達郎との練習で自分の武器を再確認できたなって」

【写真】色気、そして味がある両者の融合 (C)RYUYA FUKUDA

9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118にて、同フライ級暫定王者の福田龍彌で雅駿介と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2021年7月4日、修斗フライ級のベルトを賭けて戦った両者

昨年12月のジアス・エレンガイポフ戦の前から階級変更を示唆していた福田にとって、本格的なバンタム級戦は今回が初となる。

この雅戦が正式発表された2024年1月、福田は沖縄で、かつて敗れた平良達郎との練習に臨んでいた。さらに同じタイミングで、平良と鶴屋怜をマネージメントするイリディウアム社との契約も発表――そんな気になる情報を福田に訊いた。


――次の試合や、沖縄で平良達郎選手と練習したというお話の前に、まずイリディアムと契約したことが驚きでした。

「そうなんですよ。なんか……契約する流れになりました」

――沖縄で平良選手と練習したことは、イリディアムとの関係もあったのでしょうか。

「いえ、それは関係ないです。去年の12月にNAIZA FCで試合をした時にお世話になった方が、松根良太さんに話をしてくださって――僕自身は、そういう話をしていることは知らなかったんですけど(苦笑)。するとイリディアムからも契約OKが出て。だから契約の内容は喋られへんというか、僕も流れをイマイチ分かっていないんですよ。アハハハ」

――なるほど(笑)。ただ、イリディアムと契約したということは、やはり今後は海外の試合を目指すということですか。

「そういうわけでもないですね。海外の試合は、あくまで選択肢の一つで。自分としては『残りの競技生活を悔いなくやり切りたい』って、ずっと考えています。ただ、引退して40歳や50歳になったとき『あの時、海外で試合をしていればなぁ……』と思うことがあるかもしれない。その逆も然りですけど」

――日本でこの選手と対戦しておけば良かったなぁ、と。

「そうです。国内でも海外に関しても、『やりきったな』と思える競技生活にしたいと思っていて」

――そう考えると、敗れはしましたがNAIZA FC出場から繋がった契約ではあるのですね。

「どうなんやろう……。自分の中では『NAIZAの試合は負けて自分自身の価値を落としただけ』と思っていますけどね。仕方ないです。それが僕の今の実力なので」

――もちろんファイターとして、試合の結果と内容に満足はいかないでしょう。一方、海外で試合をしてみないと分からないこともあるわけで。

「あぁ、そうかもしれないですね。カザフスタンで試合するぐらいやから、フットワークが軽い選手やとは思ってもらえたかもしれない(笑)」

――アハハハ。NAIZA FCのお話でいえば、当初はターゲットとしていたユ・スヨンが、グスタン・アマンゲルティに敗れてNAIZA FCバンタム級王座から陥落しました。

「あの試合を視たら、ホンマにNAIZAって魔界やなって感じでしょう。ユ・スヨンってメチャクチャ強いと思いますよ。でも1Rで、いきなり吹っ飛ばされていて」

――福田選手はNAIZA FCで戦ったあと、ダメージは残っていなかったのですか。

「ダメージはありました。試合後も帰国してから、いろんなことがあって……。まず風邪をひいていたじゃないですか(苦笑)。あとはどこか体が痛いとか、ちょっと酔った感じがあるとか、そういう不調の時期は長かったですね」

――ジアス・エレンガイポフのカクテル疑惑はあるとしても、やはりフライ級では減量の影響もあったのではないでしょうか。水抜きを含めた過酷な減量の翌日に試合をすれば、余計にダメージが溜まるのではないかと思います。

「キツイですよ。試合後は飛行機に乗って長時間移動やし、帰国してから風邪を引くし。そんなんが重なって、しばらくダメージというか不調の状態は続きましたね」

――その状態から体を動かすことができるようになったのは、沖縄へ行く直前ですか。

「そうかもしれないですね。一応、体は動かしてはいたけど、ガッツリとした練習はできていなかったので」

――では、その状態で沖縄での練習と試合のオファーが届いた時、「今の状態でやれるかな……」という不安はなかったのでしょうか。

「不安はありましたよ。でも、しょうがないんで。試合は3月やけど、達郎との練習は超ハードでした(笑)。あれは達郎のチーム内で、『練習相手として誰か沖縄に来てもらうなら、誰を呼びたいか』という話になり、僕にお呼びが掛かったんです。僕としても『ぜひ!』という感じで、9日間つきっきりで達郎と練習させてもらいました」

――最初に平良選手と練習していると聞き、次の相手が福田選手に近いタイプなのかと思いました。ただ、海外に福田選手と同じタイプの選手がいるのかどうか。

「アハハハ、俺の試合って独特ですからね。なかなかMMAファイターにはいないタイプじゃないですか」

――ムエタイをベースとしたMMAファイターは多いです。しかし福田選手の場合はムエタイがベースにあっても、いわゆるムエタイMMAではなくて。

「どっちかといえば殴り屋やと思います。相手の嫌なことをしながら、しっかりと効かせる。隙があれば仕留める――ということに特化してMMAをやってきましたから。MMAやとコントロールに重点を置く選手もいるじゃないですか。なるべく試合時間をフルに使って自分が有利に試合を進める=コントロールする、と」

――ユニファイドルールでは、支配率が採点に影響を及ぼしますからね。

「そうそう。でも自分のMMAは、そこに重きを置いていない。そんな自分を練習相手として沖縄に呼んだことが、達郎にとって良かったのかどうかは分からなくて。ただ、達郎も関東が苦手なんじゃないかと」

――……えっ!?

「よくパラエストラ千葉ネットワークでも練習しているじゃないですか。でも――関東が苦手というか、やっぱり沖縄が好きなんやろうと思います。地元が好きで、家族も近くにいる。僕自身も今は京都市内から離れたところで生活をしていて、都会に行くと疲れる時もあったりするんですよ。那覇も都会やけど、やっぱり東京とは違う。それこそ東京に関しては、僕は高校生ぐらいの時に初めて行って『ここで生活するのは無理や』って思いました(苦笑)。

あの街で暮らすことが標準になっている人は、本当に凄いと思います。これは悪い意味ではなく。それって性格の問題みたいなものやから。沖縄では、そんな達郎の人間性にも触れることができて良かったですよ。朝からずっと一緒に練習して、オフの日には二人きりでデートもしましたから」

――デートですか!

「達郎と二人で沖縄そばを食べて、観光地を巡りました(笑)」

――では平良選手との練習の感想を教えてください。

「やっぱり達郎は強いですよ。組みも進化しているし、いろんなことを考えて練習していて。これからも負けてほしくないって思える選手です。まだまだ絶賛成長しているやろうから、どんどん上に行ってほしい」

――対して、ご自身についてはいかがですか。

「もちろん僕も成長しているし、達郎との練習で自分の武器を再確認できたなって思います。やっぱり殴り合いは強いんやな、って」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
3月9日(土)
午後5時45分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV

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【DEEP118】福田龍彌と暫定フライ級王座決定戦へ、雅駿介「寝技でも首相撲が活きる」

【写真】2023年の3連勝で一気にベルト挑戦まで駆け上がった雅が、MMA&ムエタイ談義をじっくりと話してくれた (C)TAKUMI NAKAMURA

9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118 Impactにて、雅駿介が福田龍彌と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

これまでの相手の中で最も完成度が高いMMAができる福田との一戦を「格闘技の能力で競うだけではなく、スタミナや体力面のキツさだけではなく頭も使う試合」と予想している。またABEMA時代のONE Championshipの解説では高い分析力を見せていた雅がMMAにおけるムエタイ論、そしてDEEPという団体への想いも語った。


――今大会ではDEEPフライ級暫定王者&DEEPフライ級グランプリ優勝の福田龍彌選手と試合が決まりました。

「もしかしたユ・スヨンとタイトルマッチをやる可能性もあると思っていたのですが、自分的には福田選手とやりたかったんです。福田選手は日本での知名度があるし、いきなりチャンピオンとやるより福田選手に勝って、挑戦者は雅しかいないだろうという状態でタイトルマッチをやりたかったので。だから福田選手と試合が決まって、よかったなというのが最初の感想でしたね」

──選手によっては早くタイトルに挑戦したい選手もいると思いますが、雅選手はちゃんと段階を踏んで挑戦したかった、と。

「そうですね。だから結果的には自分が望む形になりました」

──福田選手は元々フライ級の選手ですが、いつ頃から対戦を意識していたのですか。

「ビクター・ヘンリーが王座を返上して石司晃一選手が正規王者になるという発表があった時、福田選手が『来年はこっちのベルトも狙ってもいいでしょうか』みたいなことをTwitter(X)に書いていたんですよ。自分が出ている団体の、自分の階級のベルトのことだったので、自分も何か言った方がいいかなと思っていたら、DEEPバンタム級の他の選手は誰もそれに触れていなくて。

なんで他の選手は自分の団体の自分の階級のことを盛り上げないんだろう?という気持ちもあり『(福田が)階級を上げてくるなら一発目の相手に立候補します』と絡んだことがあったんです。その時、いずれやるかもしれないなというのはなんとなく思っていました」

──ファイターとしての福田選手の評価はいかがでしょうか。

「強いと思います。自分の強さを分かっていて、それを活かすための戦いを徹底している選手という印象です」

──以前、MMAPLANETで取材した時、福田選手本人はその場の即興でどう戦うかを考えると話していましたが、相手に合わせて戦い方を変えて自分の強さをぶつけるスタイルだと思います。

「ですよね。自分もそういったクレバーなイメージがあります」

――短い時間で試合を終わらせるのではなく、しっかり時間をかけて相手を攻略するというか。

「そこはキャリア豊富なベテランらしいというか、焦って攻めないというか。色んな餌を撒いておいて、自分の強いところに相手が喰いついてきたら勝負する。そういう部分はあるかもしれないです」

──戦う身としては試合のシミュレーションが難しいタイプでもあると思うのですが、雅選手はどんな試合をイメージしていますか。

「逆に言うと相手によって戦い方を変えるというよりは、自分の得意な戦い方があって、そこに相手がハマっていくように戦っているように見えるんです。だからゲームプランそのものは難しくないのかなって思いましたね」

──技術戦になることはもちろん、戦術的にお互いどういうカードを切っていくかという試合にもなると思います。

「単純に格闘技の能力だけで競うだけじゃなく、スタミナや体力面のキツさだけじゃなく頭も使う試合というか。今回は5分3Rたっぷりと戦えるので、総力戦になると思います。相手もクレバーに戦ってくると思いますが、そこは自分もムエタイで散々やってきたところなんで自信はあります」

──雅選手のなかで勝つイメージはできていますか。

「そうですね。あとは石渡(伸太郎)さん、今はロータス世田谷にも行っているので八隅(孝平)さん。そういったセコンドに入ってもらうチーム陣の考えも僕は信頼しているので、対策は自信持ってできているっていう感じです」

──今の主な練習場所はどこになるのですか。

「CAVE、ロータス世田谷、石渡さんが最近出したALMA FIGHT GYM PUGNUS、打撃と朝練はPOWER OF DREAM。基本的にこの4つでやっていますね」

──雅選手自身は最近の試合を振り返って、どこが伸びていると思いますか。

「もともとMMAでの自分の戦い方の方向性はある程度見えていたんですけど、練習で出来ることをいざ試合でやってみると出来ないことがあったんです。それが試合でもしっかり出来るようになってきたっていうところですね」

──雅選手はムエタイからMMAに転向する際、それまでのムエタイを活かしつつMMAをやろうとしたのか。それともムエタイをリセットして一からMMAをやろうとしたのか。どちらだったのですか。

「僕は本当にゼロからやるイメージでした。やっぱりムエタイとMMAは距離感が全然違うし、むしろ自分をリセットしてゼロからやりたい気持ちがありました。僕が最初に指導をお願いしたのが石渡さんで、石渡さんも同じ思考というか、MMAはゼロからやるという考えの人なので、それが上手くマッチして。もちろん自分の強みを活かそうとは思いましたけど、最初は本当にそれがなく、まっさらなところから作り上げた感じです」

──組み技は一からのスタートだったと思うのですが、打撃もリセットしたのですか。

「はい。打撃も立ち方・構えから始めました。それがある程度形になってきてから、こういうこともできるよねと自分の(ムエタイの)強みを足していくイメージでしたね」

──ムエタイからMMAに転向するうえで、雅選手はどこが一番難しかったですか。

「デビューして最初の3戦は1勝2敗と負け越して、上手く行かない部分が出ちゃったのかなと思います。で、それがだんだん良くなってはいくんですけど、今度は逆に小さくまとまっていた部分もあるんです。MMAファイターとしてムエタイが活きていない、普通のMMAをやる選手になっちゃっているなって。最初はゼロからMMAをやるイメージでしたが、逆に今はムエタイの強みを取り入れて、自分らしさを出していく方向にシフトしています。これからは自分らしさを出していくことが大事なので」

──例えば打撃の間合いやプレッシャーのかけ方など、試合をやるごとに少しずつ変わってきた印象があるのですが、雅選手自身もそこは意識していましたか。

「やっぱり距離感が一番難しかったですね。ムエタイでは何かしら手を出せば攻撃が当たる位置で戦うのが基本で、首相撲もあるからより距離が近づくこともあるんですけど、MMAでその距離で戦うと被弾するリスクが増えて、簡単に組まれてしまう。僕はMMAは踏み込んで打撃を当てる競技だと思っているので、そのMMAの距離感の設定に一番苦しみましたね。石渡さんにも口酸っぱく言われ続けました」

――距離設定がムエタイからMMAに変わってきた、と。

「しかもその距離設定が打撃の一手であり、組みの一手だと思うんですよ。打撃でも組みでも自分が有利な状態でスタートさせるという意味で距離設定は重要なので、そこが上手くなってきたから、試合が上手く回るようになったというのはありますね。だからMMAの距離感を守れるようになった感じです。昔はどうしても相手に触れる距離=ジャブやローキックを出せば当たる距離で戦いたくて、そこまで勝手に行きがちだったのですが、そこの距離設定がちゃんと合うようになってきました」

――攻防の受け返しができる位置で戦うのがキック・ムエタイで、攻防しなくていい位置で戦うのがMMAでもありますよね。

「そうですね。受け返しがあるキック・ムエタイと、受け返しがない&自分の戦いを押し付ければいいMMA。そこの競技性は確かに違うかもしれないです。あと言い方は難しいですけど、いい意味で臆病になるというか、打撃に自信を持っているけど打撃を怖がる。その感覚も大事だと思っています。やっぱりMMAグローブはガードの隙間を抜けてくるし、ボクシンググローブで出来ていたディフェンスが出来ないうえに、一発で効かされてしまう。今はより相手の攻撃に対して敏感に戦っています。ONEのムエタイルールの試合を見ていると、MMAグローブでよくあの近距離で打ち合うなと思うし、今は感覚的にそっちになっていますね」

──一度過去のキャリアをリセットしてMMAにチャレンジした今だからこそ、MMAに活かせるムエタイの技術もあるのではないですか。

「むちゃくちゃありますね。最初は手探り状態だったんですけど、自分のMMAの基礎が出来るようになってくると『こういうことが出来るな』とか『MMAグローブだったらこういうことが出来るな』とか、寝技・組技でも首相撲が活きてくることもあるので、今はいろんなことが活かせるようになってきました」

──寝技での首相撲とは具体的にどういうものですか。

「結局組む競技において、どの局面でも基礎的なこと・一番大事なことは一緒だと思うんですよ。内側をとりましょうとか。だから寝技でも首相撲が活きるところがあるんですよね」

──首相撲が使えればパウンドやグラウンドのヒジも出しやすくなるのですか。

「そうですね。組み手の作り方で殴りやすいポジションやヒジを当てやすいポイントがあって、そこはムエタイの首相撲でさんざん組んできたんで、活きてくることばかりですね。ただヒジのアイデアや打ち方は色々と浮かぶんですけど、練習だと本気で打ち込めないじゃないですか。試合でどう出すかがポイントだと思うんですけど、それもだんだんと試合で使えるようになってきたので、もっとその部分を出していこうと思います」

──そういった意味では雅選手のMMAがどう進化していくのか、非常に楽しみです。

「そうだと思います。やっぱりそこ(ムエタイの技術)で勝負を決めることだったり、それが試合で出てきたらいいなと思いますね。“出てきたらいいな”で終わらせず、それを目指す練習を意識してやっています」

──去年の大晦日は立ち技から多くの選手がMMAに挑戦しました。雅選手はこのことをどう感じていますか。

「いいことだと思いますね。PRIDE時代もそうだったと思うんですけど、ミルコ・クロコップがK-1でめちゃくちゃ強くてMMAに流れてきたように、考え方は人それぞれあると思うんですけど、一番を目指していたら何でも出来て強い、MMAにくると思うので。ただ、自分もMMAの壁にはぶつかったかなと思うこともあったし、鈴木千裕くんとか怪物くん(鈴木博昭)のように立ち技の技術を生かす戦い方ができるようになるとMMAでも強さを見せられますよね。平本(蓮)君も色んなチャレンジをして失敗して、自分の強さを出せるようになってきている。選手それぞれ色んな形があっていいですよね」

──まさにMMAを経験することで、どう自分のスタイルを創っていくかですよね。

「ただ自分と同じにしてほしくない気持ちはあります。自分はちゃんとDEEPでキャリアと実績を積んでベルトを獲ってから、大きな舞台に出ていこうと思っているので。僕は立ち技の選手がMMAに挑戦するのではなく、MMA選手として完成した状態で色んな舞台に出ていきたいです」

──今回の福田戦はベルトにつながる試合だと思いますが、先ほどは「DEEPバンタム級の他の選手の反応を見たら、福田選手以外は誰もそれに触れていなくて。なんで他の選手は自分の団体の自分の階級のことを盛り上げないんだろう?という気持ちもあった」という言葉もありました。雅選手は自分が強くなることはもちろん、自分が戦う団体を盛り上げたいという気持ちもあるのですか。

「僕の感覚的にMMAよりキックボクサーの方がSNSで色々と発信して、大会を盛り上げようとする選手が多いのかなと思います。いざ自分がKNOCKOUTからDEEPに出た時に、DEEPの選手たちは自分の試合のことは書くけど、あまり団体やイベントのことは書かないんだなと思ったんです。特に自分の階級のベルトの行方に対しても誰も何も言わないのはビックリしましたね」

──それと同時に「自分たちが目指しているものに興味がないの?」という想いもありますよね。

「そうですね。もちろんSNSで発信しなくても、ベルトに強い想いを持っている選手はたくさんいて、俺がベルトを獲ってやると思っている選手はいると思います。でも自分はその部分でも負けたくないと思ったから発信したし、今でこそ自分は連勝してタイトルにも絡めるようになってきましたが、DEEPに出始めた頃は誰も自分がそうなるとは思っていないから、自分で勝手に『1年以内にタイトルマッチをやります』とか言っていたんですよ。

周りから『大きく出たね』と言われるくらい(苦笑)。でもそういう状況から自分の想いは言い続けてきたし、言った以上は有言実行しなきゃいけないじゃないですか。だから僕は言うこと・発信することも大事だと思います」

――雅選手はDEEPに対する愛着も強いのですか。

「デビュー当初は結構負けちゃったんですけど、2022年には5試合も組んでもらいましたし、DEEPに自分を強くしてもらったと思っているので、愛着は湧きますよね。DEEPでこれだけキャリアを積ませてもらって、そのDEEPに対する想いが凄く出てきているし、元谷(友貴)さんがDEEP最高傑作と呼ばれているのもカッコいいなと思いますし、自分もDEEPの顔になっていけたらいいなと思います」

──そんな雅選手がDEEPのベルトを獲れば、さらにDEEPが面白くなるでしょうね。

「それと同時に今年こそベルトを獲らないとな、という焦りもあります。僕は2024年に上がっていかなきゃいけないと思っているので。その1発目で本当にいい相手を持ってきてもらえたので、ここをクリアして、今年は勢いに乗って上にいきたいと思います」

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3月9日(土)
午後5時45分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV

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【DEEP118&DEEP JEWELS44】バンタム級転向の福田龍彌に、雅駿介のムエタイが爆発か! そして、伊澤降臨!!

【写真】福田が階級を変えることで予測できない局面が多く、非常に楽しみな一戦だ(C)MMAPLANET

24日(水)、DEEPより3月9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118 Impactの追加カードを発表されている。
Text by Manabu Takashima

既にメガトン王座統一戦=ロッキー・マルチスネス✖酒井リョウ、フェザー級選手権試合=神田コウヤ✖青井人、フェザー級王者イ・ソンハ✖江藤公洋という3つタイトル戦を含む7試合が明らかになっていた同大会に、さらに3つのマッチアップが加わった。

その一つが、福田龍彌がバンタム級に階級を上げて雅駿介と相対するバンタム級3回戦だ。


福田は9カ月をかけて行われたフライ級GPを制し、昨年9月にはRIZINで山本アーセンにTKO勝ちを収めると、12月にはNAIZA FCでフライ級王座に挑戦。結果はジュースパワー全開のジアス・エレンガイポフのテイクダウンの猛威に判定負けを喫した。

それでも「お前なら、ステロイドを打つとUFCでチャンピオンになれるぞ」というカザフスタンのMMA関係者から声を掛けられたという話が伝わってくるほど、強さという面でも中央アジアに足跡を残していた福田。帰国後インタビューでバンタム級転向も示唆していたが、早くも実現することとなった。

対する雅は、2023年は3連勝と右肩上がりの勢いがある。国内ムエタイ三冠王はテイクダウンに圧倒的な強さを見せるようになり、TD&コントロールで3試合連続の判定勝ち──つまりドミネイト力を見せてきた。

とはいっても福田は過去に雅が戦ってきた相手と比較すると、MMAファイターとしての完成度の高さはピカ一だ。テクニシャンながら乱打戦もできる打撃、テイクダウンから寝技に関しても攻防どちらも無難以上にこなす総合力は。GPの各試合を見れば明らかだろう。

気になるフィジカルの差だが、福田の水抜き減量は過酷そのもので、バンタム級の方が無理がないという見方も成り立つ。そんな福田に対してだからこそ、雅の持つ首相撲&ヒジ、ヒザ──そして崩しというムエタイ力が生きるのではないだろうか。ムエタイに頼ることなく、MMAで勝ち続けた1年を経たからこそ、雅のムエタイがMMAで最大限に生きる。そんな時を迎えた──という期待感が確実に持てるのが、今の雅だ。

現在、ユ・スヨンが持つDEEPバンタム級のベルト、国内の情勢を見てもこの一戦の勝者が次期挑戦権を獲得することは間違いないだろう。

この他、17歳の超新星=秋元強真が鹿志村仁之介に挑む一戦と日比野”エビ中”純也✖木下尚祐戦というバンタム級2回戦も決定している。

また3月24日(日)に港区のニューピアホールで行われるDEEP JEWELS44では20日のBlack Combat10で物言いがつく内容ながら須田萌里を破り、Black Combat女子アトム級王座の防衛に成功したパク・シユンが、ついにDEEP JEWELSアトム級王座の防衛戦で伊澤星花の挑戦を受けることが決まっている。

指導者とともにレスリングが強いことで、絶対的に伊澤越えに自信をうかがわせるパク・シユンだが、伊澤のテイクダウンと即・極めサブミッションへの防御力はいかほどのものか──ビッグマウスの真価が問われるタイトル戦だ。

同大会では同じ韓国からパク・ジョンウンも参戦し、HIMEと49キロ契約3回戦で戦う。日韓ストライカー対決という見方もできるが、それだけにパク・ジョンウンのグラップリングに対するHIMEの受けの強さと、ストライカーと対した時の打撃の強さが問われる一戦となろう。

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45 Black Combat Black Combat10 DEEP MMA MMAPLANET o キック キム・ミンウ ユ・スヨン

【Black Combat10】激闘の末に――まさかの延長戦、ユ・スヨンのローブローでキム・ミンウは立てずNCに

【写真】この直撃から結果発表まで、時間を掛ける必要などなかった(C)MMAPLANET

<フェザー級/5分3R>
– ユ・スヨン(韓国)
NC
– キム・ミンウ(韓国)

どっしりと腰を落として構えるミンウ。スヨンが左ミドル、右カーフキックを蹴る。ミンウも右カーフを返し、スヨンはジャブからダブルレッグに入る。ボディロックでケージに押し込むスヨンだが、ミンウが離れた。

試合がスタンドに戻ると、ミンウが右ロー。スヨンはそこに左ストレートを伸ばす。スヨンが左ミドルを蹴ると、ミンウがワンツー。スヨンは丁寧にジャブ・左ミドルを当てる。ミンウもパンチをまとめて左ハイにつなげる。スヨンは左をタイミングよく当ててミンウのバランスを崩すが、ミンウもスヨンの左ミドルに右ストレートを合わせ、スヨンの腰が落ちる。

一気に連打をまとめるミンウ。立て直したスヨンはダブルレッグへ。ミンウが深く組ませず、すかさずバックについてテイクダウンするが、正対したスヨンがインサイドガードでトップキープする。この態勢のままラウンド終了となった。

2R、両者のジャブが交錯する。スヨンはジャブからテイクダウンを狙い、右カーフを蹴る。ミンウも右カーフを蹴り返し、時折構えをサウスポーにスイッチする。スヨンは左ミドルを蹴って、右カーフにつなげる。ミンウは射程の長いワンツーを当て、こちらも右のカーフを当てていく。

プレッシャーをかけるスヨンが右アッパーを当てると、左のパンチを見せてからダブルレッグで組み付く。ケージに押し込んだスヨンはシングルレッグに切り替えるが、ミンウも倒れない。試合がスタンドに戻るとスヨンはジャブでリズムを作り、右のスイングフックを狙う。

さらにスヨンはサウスポーにスイッチしてワンツーを伸ばすと、左の三日月蹴りをボディに突き刺す。ミンウも右ストレートから左フック、右カーフ、左のテンカオ。終盤、スヨンはサウスポーにスイッチして右ジャブを当てた。

3R、スヨンが左ミドルから右ストレート。ミンウはジャブを伸ばし、スヨンがパンチで入ってくるところに右アッパーを狙う。ミンウはジャブと右カーフ。スヨンは変わらずジャブを当てつつ、スイッチしたミンウに右ミドルを蹴る。

オーソドックスに戻したミンウは右ローを蹴って、スヨンの前進に左フックを狙う。スヨンはミンウの右カーフを足を引いて空振りさせ、ジャブから前に出る。単発ながら飛び込むような右ストレートを放つスヨン。サウスポーにスイッチし、ミンウが右ミドルを蹴ると左ストレートを狙う。

残り30秒でスヨンはダブルレッグも見せつつ、右ストレートから左アッパーを突き上げる。ミンウも返しの左フックを狙うが、スヨンはバックステップでカウンタ―を許さない。ここで試合終了となり、このままジャッジの採点に入るかと思われたが、なんと試合は延長戦へ。

延長R、ミンウがじりじりと前に出る。スヨンは右カーフを蹴ると、ケージ内をサークリングする。ミンウは右フックを見せ、サウスポーにスイッチして前に出る。スヨンはサークリングしながら右ミドル。インローを蹴ると、これがローブローとなり、ミンウはその場に倒れ込んで苦悶の表情を浮かべる。ドクターもケージに入り、処置を続けるが、ミンウは立ち上がることが出来ない。

長い長い休憩時間のあと、担架がケージ内に運び入れられた。結果はノーコンテストに。ユ・スヨンは「こんな形で終わってしまって、見に来てくれたお客さんに申し訳ない。3月にDEEPで防衛戦が予定されているが、今後どうなるか分からない」と語り、ケージを下りた。


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【Black Combat10】ノンタイトルのK-MMA最強決戦に挑む、キム・ミンウ「フェザー級も減量を厳しい」

【写真】バンタム級の時ほどではない。バキバキ度は上がっているキム・ミンウだった (C)MMAPLANET

20日(土・現地時間)にソウル・ソンブク区にある高麗大学校(コリョ・テハッキョ)ファジョン体育館(チェユックァン)で開催される Black Combat10のメインでユ・スヨンと対戦するキム・ミンウ。
Text by Manabu Takashima

Road FCバンタム級王座を返上し、一昨年にはRoad to UFCに挑んだが、準決勝の計量失敗で世界最高峰への道が閉ざされた。この後、キム・ミンウはフェザー級への階級変更とBlack Combat参戦を決断した。以来、昨年2月にはDEEPとの対抗戦で中村大介を破り、今回はユ・シヨンの戦うことになった。

NAIZA FCバンタム級王座を12月に失ったが今もBlack CombatとDEEPバンタム級王座を持つユ・シヨンとフェザー級非タイトル戦のK-MMA最強決戦に向け、計量直後のキム・ミンウに話を訊いた。


──韓国人最強といっても過言でないキム・ミンウ選手ですが、一昨年のRoad to UFCバンタム級準決勝で計量失敗。世界最高峰への道を断たれてからBlack Combatを主戦場としました。

「Black Combatは今、韓国で一番期待されているプロモーションで選手の待遇も良いです。だからここで戦うことを決めたのですが、期待通りに良い選手と試合をさせてもらって満足しています」

――これからは母国を主戦場にしていく予定なのですか。

「マネージャーとも話しているのですが、この試合で良い結果を残すことができれば良いチャンスが巡ってくると思っています」

――同じ階級のタイトルマッチを差し置いて、メインで戦うことについてどのように思っていますか。

「タイトル戦を戦う2人も良い選手たちです。ただし、自分とユ・スヨンが韓国でナンバーワンなので我々の試合がメインになるのは当然です」

――バンタム級から階級を上げて、どのような変化を感じていますか。

「中村大介選手と戦った時は、それほどでなかったのですが、今回はあれから体を大きくして筋肉量も増えたので……フェザー級になっても減量を厳しいということでした(苦笑)。パフォーマンス的にはまだハッキリ分からないです。これから試合を積んでいくことで分かってくるかと思います。ただ。現時点でもしっかりと力が入るということ。これは確かです」

――ユ・スヨン選手はMMAの寝技は韓国MMA界トップだと思います。そんな選手を相手に、どのような試合をしたいと思っていますか。

「自分のグラップリングが、ユ・スヨンに劣っているとは思っていないです。全ての局面を準備して練習してきたので、明日、それを見てください」


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