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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC310 キック マイケル・キエーサ マックス・グリフィン

【UFC310】これぞMMAグラップリング。細かい打撃&TD→バックキープでキエーサがRNCを極める

<ウェルター級/5分3R>
マイケル・キエーサ(米国)
Def.3R1分56秒 by RNC
マックス・グリフィン(米国)

サウスポーのキエーサが右にサークリングする。グリフィンはじりじりと前に出て右を見せる。キエーサも自分から前に出て、右を伸ばしたところから左ストレートにつなげる、ここからキエーサがダブルレッグに入ってバックにつくと、右足を深くフックして四の字フックする。グリフィンが立ち上がるとキエーサは足のクラッチを外して、試合がスタンドに戻る。キエーサは左ミドル、グリフィンはワンツーで前に出る。キエーサも細かくパンチを見せ、グリフィンが右ストレートを返す。

キエーサは左ヒザ蹴りからパンチにつなげ、左ストレートから右フック、左ストレートから組みついてヒザを突き上げる。離れたグリフィンは前に出て右ストレート。キエーサがダブルレッグでテイクダウンすると、グリフィンもすぐにキエーサの体を後方に返して立ち上がる。キエーサがハイキックを空振りすると、今度はグリフィンがシングルレッグへ。切ったキエーサはグリフィンの頭を落としてがぶってバックに回り、両足をフックしてバックマウントをとってラウンドが終わった。

2R、キエーサは左ストレートを見せ、細かく組みのフェイントを入れる。グリフィンは左アッパーから右ストレート、キエーサは左ストレートを返し、この左を大きく振ってから組みつく。グリフィンも深くは組ませずに離れると、じりじりと前に出て左フック。キエーサが左ミドルを蹴って組みつくと、グリフィンが右腕を差してケージへ押し込み、左手でキエーサの右足を取りに行く。

キエーサもこれを切って、逆にグリフィンをダブルレッグで押し込む。グリフィンもこれを切って距離を取る。キエーサは再びダブルレッグで組みついてヒザ蹴り、アッパーを連打してグリフィンをケージに押し込む。ここからキエーサがスタンドでバックについて、左足をフックしながら頭部にヒジを落とす。

3R、前に出るグリフィンが右フック、左アッパーから右フックまで返す。キエーサも前手のフックを返しつつ、ここからシングルレッグで組みついてバックにつく。グラウンドで両足をフックしたキエーサは左足を深く入れて四の字フックするとRNCへ。最後はバックマウントからパーム・トゥ・パームを極めてタップを奪った。


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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC310 クレイ・グイダ チェイス・フーパー

【UFC310】パウンドを見せることできず──グイダ、チェイス・フーパーの腕十字に初回一本負け

<ライト級/5分3R>
チェイス・フーパー(米国)
Def.1R3分41秒by 腕十字
クレイ・グイダ(米国)

長身&リーチで優るフーパーに飛び込んで、右を振るうグイダ。サウスポーのフーパーの左の蹴りをキャッチしてテイクダウンを狙うが、首狙いを察ししたグイダが離れる。グイダ・チャントのなか、フーパーが左ストレートを当てる。組んだフーパーはボディロックで押し込むと、小外掛けへ。ウィザーでバックに回らせてないでいたグイダだが、後方にテイクダウンを許す。反転した立ち上がったグイダを払い腰で投げたフーパー。即立ち上がったグイダをシングルでテイクダウンし、ギロチンを防いでバックに回る。

フーパーは両足をフックするも、グィダは胸を合わせにいく。腕を取られそうになったグイダは、そのまま担いで立ち上がるが、シングルで倒され再びバックを許す。半身の状態のグイダにフーパーは左の鉄槌を落とし、腕十字へ。グイダは後転、そして前転とエスケープを図るも仰向けにされたところで右腕が伸び切りタップをした。


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【UFC310】1年振りのファイト、クレイ・グイダ「まだここでやれるということを世界中の皆に見てもらう」

【写真】 喋りもハイペース、10分のインタビューで文字量は20分に匹敵するグイダ(笑)(C)MMAPLANET

7日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイルアリーナで開催されるUFC 310「Pantoja vs Asakura」にクレイ・グイダが1年振りにファイトを戦う。
Text Manabu Takashima

42歳、MMA戦績は38勝24敗。オクタゴンでは18勝18敗とイーブンの戦績でこのところは2連敗だ。ところが驚いたことにグイダの戦意、勢いは全く衰えることを知れない。41歳で拳を折り、練習再開まで半年を要した。それでいて、引退を考えることは全くなかったというグイダの元気の源は、チーム・アルファメールの若い選手たちとのトレーニングにある。

チーム全体が底上げされることで、今も強くなり続けている豪語するグイダ。2年前にグラップリング・マッチで敗れているチェイス・フーパーとの戦いで、パンチが許された組みの展開がグラップリング戦とは別モノであること──そして今も上を目指す力を持ち続けていることを世に証明するためにオクタゴンに上がる。


ケガは、人生の一部

──クレイ、練習は終わりましたか。

「終わったよ。すまない、トレーニングでインタビューの時間をずらしてしまって」

──当然のことです。

「ありがとう。こうやって汗をかくと、気持ちも盛り上がって来る。いつだって、ベガスで戦うのは最高さ」

──去年の12月にジョアキン・シウバ戦で敗れて以来、1年間のブランクがありました。これだけ試合をしていないと、本当にクレイは引退してしまうのではないかとファンも心配していました。

「ノー、引退の噂なんて嘘っぱちだよ。あの試合の1Rに右の拳を骨折して、結構酷い状態だったんだ。手術をして、半年間は回復に努めていた。手術の影響でフルでトレーニングをするまで、時間が掛った。でも、もう今は大丈夫だ。レッツ・ロックンロール!! こうやって戻って来ることができた。なんといっても、ヘルシーでいることが一番だ」

──42歳を迎え、それだけ練習ができない期間があると、それこそリタイアを考えることはなかったですか。

「ノー。そんなことは心配しないでくれ。俺にとってケガは、人生の一部だ。常にケガと付き合って来たキャリアだ。もっと最悪なケガも経験しているし、もう過ぎたことだよ。それで20年間もプロフェッショナル・ミックスマーシャルアーチストを続けて来られたんだ。悪いことじゃないだろう」

──どうしても昨年4月のラファ・ガルシア戦で、グローブを外して引退を匂わせたトリックが頭に残ってしまって。あれはダナ・ホワイトもオカンムリでしたし(苦笑)。

「ハハハハハ。契約期間中だったし、ダナもカットすることなんてないよ。引退なんて全く考えない。気持ちの強さもキープしているし、大志を抱いて毎日トレーニングに向かうことができている。チーム・アルファメールでレスリング時代に戻ったようにトレーニングしている。凄くハングリーだ。土曜日の夜は、まだここでやれるということを世界中の皆に見てもらう」

──逆にこの1年間で、MMAファイターとして成長できる要素を見つけることができたということは?

「あったよ。賢くなった。MMAを戦ううえで賢くなり、技術力も上がった。トレーニングキャンプの1日、1日と強くなり成長できた。チームの皆の技術があがり、動くが良くなる。その事実が俺をプッシュしてくれるんだ。若いヤツらは、瞬く間に強くなっている。ただタフに。ただ強く。ただ速くなりたくて懸命に汗を流している。

そんな連中と練習を続けているから、肉体ではなく判断力や反応という部分でも全く衰えを感じることはない。シャープだし、スタミナに関しては今もキングだ。それは誰もが知っていること。日々のトレーニングの成果を土曜日には見せる。ワイルドで、タフで、ナスティに」

──クレイがデビューをした21年前は、40歳を過ぎてここまでMMAを戦える選手がいるとは想像もできなかったです。

「確かに、その通りだ(笑)」

──フィジカルやコンディショニング、ダイエット等あらゆる部分で進化したこともあると思います。20年前に40代でバリバリに戦っていたのは鉄人と呼ばれたランディ・クートゥアーだけでした。実は昨夜、元修斗世界フェザー級王者で55歳で最後のMMAを戦った大石真丈選手のインタビューをしました。彼はフィジカル的には戦える。でも、目の問題でMMAを続けられくなったと。

「その55歳まで戦っていたという修斗のチャンピオンだった選手の話は、凄いね。本当に素晴らしいよ。そしてランディ・クートゥアーは俺のヒーローだ。ファイターの鏡だよ。最高のMMAファイターだ。40代になって戦い続けていただけでなく、成功を収めていた。あの頃に40代で活躍できたってのはすさまじいこと。俺らの世代はやはり医学やトレーニングの進歩に助けられている部分があるからね。俺もライト級のランディ・クートゥアーを目指している。実績でランディに肩を並べられるなんて思っていないけど、ずっとトップレベルで戦い続けたい」

よりテクニカルに、よりハイペースで、よりアグレッシブに

──ところでチェイス・フーパーとは2年前にFury Pro Grapplingで対戦して、カーフスライサーで敗れています。

(C)Zuffa/UFC

「そうグラップリングマッチでね」

──カーフスライサーの前にバック、トラックポジションを譲ったことは少し気になっています。

「だから、グラップリングマッチだよ。彼は柔術家で、素晴らしいグラウンド・ファイターだ。でも素手で組みあうのではなく、グローブをつけて殴ることができると何もかも変わって来る。ぶっ倒すためのポジショニング、ぶん殴るためのスクランブルがMMAだ。しっかりとパウンドを落とす」

──グラップリングとMMAでは、考え方も違いが出てきますか。

「グラップリングでもMMAでも、いつもドミネイトしたいと思って戦っている。よりテクニカルに、よりハイペースで、よりアグレッシブに。それが戦ううえでの気構えだ。パンチをミックスしたハイペースのグラップリング、レスリングと同じような勢いで戦う。ヤツはついてこれないよ」

──土曜日の試合、クレイ・グイダのMMAを期待しています。

「年齢はただの数字に過ぎない。何もその数字で変わることはない。俺はUFCで戦い続ける。そして今もUFCのトップを目指していることをファイトで証明する」

──その言葉を日本のファンに伝えることができて光栄です。では日本のファンに一言お願いします。

「2006年に修斗で戦って以来、ずっと日本のファンに応援してもらっている。また日本を訪れたい。さいたまスーパーアリーナで試合をして、その後はしっかりと日本を観光で回りたい。アリガトー!!」

■視聴方法(予定)
12月8日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前12時~PPV
午前7時 30分~U-NEXT


■UFC310対戦カード

<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)
[挑戦者] 朝倉海(日本)

<ウェルター級/5分5R>
シャクハト・ラクモノフ(カザフスタン)
イアン・ギャリー(アイルランド)

<ヘビー級/5分3R>
シリル・ガンヌ(フランス)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
ブライス・ミッチェル(米国)
クロン・グレイシー(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ネイト・ランドヴェール(米国)
チェ・ドゥホ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
ドミニク・レイエス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)
テンバ・ゴリンボ(ジンバブエ)

<フェザー級/5分3R>
モフサル・エフロエフ(ロシア)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ランディ・ブラウン(ジャマイカ)
ブライアン・バトル(米国)

<195ポンド契約/5分3R>
クリス・ワイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<フライ級/5分3R>
コディ・ダーデン(米国)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<ウェルター級/5分3R>
マイケル・キエーサ(米国)
マックス・グリフィン(米国)

<ライト級/5分3R>
クレイ・グイダ(米国)
チェイス・フーパー(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ケネディ・ンゼチェクウ(米国)
ウーカシュ・プジェスキ(ポーランド)

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45 AB K-1 MMA MMAPLANET o UFC UFC310 YouTube   アルジャメイン・ステーリング アレキサンダー・ヴォルコフ アレッシャンドリ・パントージャ アンソニー・スミス イアン・ギャリー エリク・アンダース キック ギャリー クリス・ワイドマン クレイ・グイダ クロン・グレイシー ケネディ・ンゼチェクウ コディ・ダーデン シャクハト・ラクモノフ シリル・ガンヌ ジョシュア・ヴァン チェイス・フーパー チェ・ドゥホ テンバ・ゴリンボ ドミニク・レイエス ニック・ディアス ネイト・ランドヴェール ブライアン・バトル ブライス・ミッチェル ボクシング マイケル・キエーサ マックス・グリフィン モフサル・エフロエフ ランディ・ブラウン ヴィセンチ・ルケ 佐藤天 朝倉海 空手

【UFC310】ゴリンボ戦へ、元祖K-1 MMA=ヴィセンチ・ルケ「積極性を失うことは、自分を見失うこと」

【写真】UFCにあってもフィジカルモンスター=ゴリンボを相手に、どのような接近戦打撃MMAをルケは見せるころができるのか (C)Zuffa/ UFC

明日7日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイルアリーナで開催されるUFC 310「Pantoja vs Asakura」。同大会でヴィセンチ・ルケが、テンバ・ゴリンボと戦う。
Text Manabu Takashima

魔裟斗に憧れK-1の距離でMMAを戦ってきたオクタゴンの激闘王ルケは、コロナ期の4連勝からその後は1勝3敗と調子を落としている。パンデミック期間中、名前のあるファイターは戦いを控え、上昇志向の強いファイターは次々と試合を受けた。

そんな時期に名を挙げたものの体は疲弊し、調子を落とした。ルケもその1人かどうかは分からないが、彼は負けが込む間に自身の戦い方を見つめ直してきたという。ニック・ディアス戦が流れることすら想定内、溢れんばかりの戦闘意欲を持ちながら落ち着いた様子のルケ。彼は再びタイトルに向けてウイニングトラックを駆けることができるのか──。


──ヴィセンチ、テンバ・ゴリンボ戦を週末に控えた今の調子を教えてください(※取材は4日に行われた)。

「100パーセントの状態で試合に挑めるよう、仕上げることができた。肉体的にも精神的にも、完璧な状態でバトルに向き合える。キルクリフFCという世界一の練習環境があるので、問題なく調整できている」

──ゴリンボは同門の佐藤天選手に勝っていますね。チームとしてリベンジを果たしたいところではないでしょうか。

「その件があるから、この試合は普段以上に高いモチベーションで臨むことができている。タカシ・サトーは僕にとって最高の友人だ。タカシは1週間後に韓国で試合があるから、今回はずっと一緒に練習してきた。リベンジを果たして、タカシに続いてほしい。

タカシは素晴らしい柔道テクニックの持ち主で、ゴリンボのテイクダウンについて凄く効果的なアドバイスをしてくれたんだ」

──ところでヴィセンチは8月にニック・ディアスと対戦予定でしたが今大会に延期され、さらに負傷欠場でゴリンボと戦うことになりました。どちらがタフな相手云々は問わずして、ただ注目度という点では圧倒的にニック・ディアス戦がゴリンボ戦を上回るのは事実です。このビッグファイトが流れて、気落ちすることはなかったですか。

「8月にディアスとの試合がなくなった時は、本当に落ち込んだよ。それから12月にリスケされたけど、ディアスとの試合を想定して練習をしつつ、今回も試合が組まれないもあると思ってやってきた。誰も何が起こるか分からない。だからディアス戦がまたなくなっても、気持ちをキープすることができていた。もう、これ以上オクタゴンに上がれない時間を過ごしたくなかった。対戦相手がゴリンボになっても、これまで培ってきたモノを全てぶつける。

これが8月の時だったら、代役と戦うことはできなかったかもしれない。あの時の精神状態では。でも、今回は全く問題ない。全力でゴリンボに向き合い、最高のバトルを繰り広げたい。今回のファイトキャンプではサウスポーだけでなく、色々なタイプのファイターとスパーリングを繰り返してきた。その頃から、何があっても大丈夫なように準備をしていたんだ。誰とでも戦えるように」

──ところで2020年と2021年の好調ぶりと比較すると、この2年は厳しい時間を過ごしてきたかと思います。

「確かに過去4試合で3つも黒星をついてしまっている。それも絶好調だった2020年と2021年のファイトとキャンプの繰り返しという日々の跳ね返りだ。ちょっと心身ともに疲れてしまっていた時に、プライベートでも問題があって……。

でも、なかなか勝てない日々こそ僕が進化できるチャンスだった。自分のミスに直視して、トレーニングを続けて成長できた。この3つの敗北の分、僕は強くタフになっている。今のヴィセンチ・ルケがどういうファイターか、土曜日の夜に明らかになるよ」

──この間、ヴィセンチの得意だったキックボクシングのような距離の打撃戦が近年のMMAでは増え、この距離で戦う術を身に着けたファイターが多くなっているように感じます。

「僕はMMAでも、K-1の距離でアグレッシブに戦うスタイルを貫いてきた。でもUFCで20試合以上も戦っていると、少しずつ対戦相手が僕の戦いを研究し、対策を練るようになってきたことは感じていた。だからこそ、この間に自分の打撃戦を見直してきたんだ。技術の幅を広げ、より多様性のある戦いができるように。でも、このトライはすぐにオクタゴンの中で成果が分かるモノじゃない。年単位で堅実な変化があるかどうか。それが今回の試合で見られるのか。新しいウェポンを持ってオクタゴンに上がり、微調整を加えたファイトをするつもりだよ」

──激闘王が、自制をしてアグレッシブ一本槍ではないファイトを心掛けるようになる?

「時には距離を取って戦う必要は、あるだろう。ただ、積極的に戦うことが僕のファイトの軸にある。それは変わらない。積極性を失うことは、自分を見失うこと。そうなると戦えない。ヴィセンチ・ルケとして、僕は自分の戦いを全うするつもりだよ」

──では改めてゴリンボの印象を聞かせてください。

「彼は打撃もできるし、グラップリングも強い。スタミナもあるウェルラウンディットな対戦相手だ。人並外れたフィジカルの持ち主で、そのパワーで勝利を手にして来た。打撃にしても、組み技にしてもパワフルで粗い。それがここまでは、功を奏してきたといえる。

ああいう戦い方をされると、リズムが狂ってしまうことが多々あるんだ。ただ、彼はまだ僕と同じレベルの厳しい戦いを経験したことがない。この試合で、ゴリンボはソレを知ることになるだろう。キルクリフFCには様々なタイプのファイターが練習している。だから自分のリズムで戦えない時のアジャストの仕方、想定外の事態に陥った時の対処方法を身に着けている。土曜日の試合はゴリンボにとってビッグファイトになるだろうし、全力で向かってくることは間違いない。でも、僕はその全てに対応できるだろう」

──再起へ、どのような試合をしたいと思っていますか。

「前回の試合で、僕はもう下り坂を転がり始めたと思う人がたくさんいたようだ。でも、僕のピークはこれからだよ。33歳を迎えてフィジカル、メンタル、テクニックと全てにおいて成長している。来年、ウェルター級をドミネイトするだけの力があることをゴリンボとの試合で証明する。大きくジャンプをする前には、一度屈むことが必要だろう?  前回のまでの試合が、それだったんだ」

──押忍。ではヴィセンチの復活を期待する日本のファンに一言お願いします。

「日本の皆の応援に、いつも感謝している。僕のママは実は黒帯の空手家なんだ。子供のころから、ずっと日本の武道の規律を教わってきた。僕の夢は日本で戦うこと。いつの日か、実現させたい。そのためにUFC310で皆が楽しめ、納得いく試合をして勝利を手にすることを約束するよ」。

■視聴方法(予定)
12月8日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午前12時~PPV
午前7時 30分~U-NEXT


■UFC310対戦カード

<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)
[挑戦者] 朝倉海(日本)

<ウェルター級/5分5R>
シャクハト・ラクモノフ(カザフスタン)
イアン・ギャリー(アイルランド)

<ヘビー級/5分3R>
シリル・ガンヌ(フランス)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
ブライス・ミッチェル(米国)
クロン・グレイシー(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ネイト・ランドヴェール(米国)
チェ・ドゥホ(韓国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
ドミニク・レイエス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)
テンバ・ゴリンボ(ジンバブエ)

<フェザー級/5分3R>
モフサル・エフロエフ(ロシア)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ランディ・ブラウン(ジャマイカ)
ブライアン・バトル(米国)

<195ポンド契約/5分3R>
クリス・ワイドマン(米国)
エリク・アンダース(米国)

<フライ級/5分3R>
コディ・ダーデン(米国)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

<ウェルター級/5分3R>
マイケル・キエーサ(米国)
マックス・グリフィン(米国)

<ライト級/5分3R>
クレイ・グイダ(米国)
チェイス・フーパー(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ケネディ・ンゼチェクウ(米国)
ウーカシュ・プジェスキ(ポーランド)

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45 AB MMA MMAPLANET o UFC UFC310 アルジャメイン・ステーリング ブログ モフサル・エフロエフ

【UFC310】UFC8勝=全て判定勝ちのエフロエフと対戦。アルジョ・ステーリング「ああいう相手だから」

【写真】グラップリングの話になると、目が輝いていた (C)MMAPLANET

7日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイルアリーナにて、UFC 310「Pantoja vs Asakura」でアルジャメイン・ステーリングがモフサル・エフロエフと対戦する。
Text Manabu Takashima

元バンタム級世界王者と18勝0敗の新鋭が、プレリミで戦うという贅沢なマッチアップ。アルジャメインは頻繁にプログラップリングの試合に出場するようになっているが、そこでの経験がMMAに如何に活きるのか。

平良達郎のオタツロックへの興味、グラップリングへの造詣の深さが伝わってくるアルジョは、判定でしっかりと勝つ相手だからこそサブミットしたいと言い切った。


──モフサル・エフロエフとの試合が迫ってきました。今の気持ちを教えてください。

「いい感じできているよ。今は減量に集中している。まだ週の初めだけど、もう数ポンドだけだから上手くいっている。土曜日は俺かエフロエフ、より優れたファイターか分かる。楽しみだよ」

──フェザー級2戦目ですが、バンタム級の時と比べて減量は楽になっていますか。

「そりゃあイージーになっているよ。いや、それでもイージーじゃないな(笑)。バンタム級の時と比べると、楽だ。もともとやせ型で贅肉がないから、水分を落とさないといけない。そのためにウォーターローディングが必要だ」

──ところでエフロエフ戦は10月に決まっていましたが、アルジョの負傷で延期となりました。

「もうバッチリだよ。UFC PIのサポートは完璧だ。100パーセントの状態に戻るよう支えてくれた。だからこそ、今週に戦うことができるわけだし。どんなふうに戦えるのか、期待でいっぱいだ」

──昨年8月にベルトを失ってから、グラップリングの試合に定期的に出場していますね。

「MMAを始めた当初はグラップリングのトーナメントにも出ていた。あの頃の楽しさが蘇ってくるんだよ。MMAとは違うスポーツで、違う方法論が存在している。それにグラップリングでも自分の成長を確かめることができるし、実戦だからチャレンジしがいがある。もちろん、今はファイマネーも入って来る。痛みもないのに(笑)。オクタゴンで試合がない時は、楽しみながらグラップリングの試合に出ているよ」

──MMAファイターとの試合も少なくないですが、グラップリングの試合に出ることはMMAファイターとしての成長につながるのでしょうか。

「そうだと言いたいね。BJJでは効果的でも、パンチのあるMMAではできない動きは当然ある。同時にBJJの要素があるグラップリングだから、MMAに通じるピンチからの脱出方法なんかもある。そんな動きがあることを認識できるようにもなるし、MMAなんだから柔術やグラップリングの動きでも効果的であるなら取り入れるべきで。そのためにはグラップリングの試合に出ることは、MMAでの成長にも通じているはずだ」

──7月のKarate Combatのジェイジェイ・ウィルソンとの試合は、そういうリラックスしたなかで延長のポイント戦でテイクダウンでリードを許しながら、最後の数秒でバックマウントを奪って逆転勝ち。真剣勝負でしか味わえないであろう醍醐味が感じられたグラップリング戦でした。

「本戦ドローで、延長のポイント制マッチになった。しかもポイントをリードされていたけど、最後の最後にスイッチからパスガード、そしてマウントで逆転できた」

──MMAであればハーフガードでステイしていたかもしれないですが、パスからサイドでなく直接マウントという動きでした。

「あのパスはMMAでも使える、凄く良いパスだった。レスリングのプレッシャーがあるから、パスも可能になる。結果、柔術がMMAに使える。それに足関節に関しても、仕掛ける方でなくて防ぐという意味では、自分の動きにも満足できた。相手がどのようなポジションを取っているのか。そこを見極めて、トップの自分が如何にプレッシャーをかけるか。この感覚を身に着けることにも役立つよ」

──MMAで50/50で膠着することはないかと思いますが、そこから外掛けにジェイジェイはスイッチし、さらにヒザ十字のエントリー。アルジョはコレを完全に防ぎました。

「色々なエントリーがあり、そのなかで足を抜く。そしてガードを越していく。そういう感覚を掴めることは、絶対的にMMAに生きてくるだろう」

──何より三角絞めの仕掛けの早さは、驚かされました。

「ハハハハ。俺も入ったと思ったよ。でも、ジェイジェイは見事にエスケープしたね。実はMMAでも2度、三角絞めは仕掛けたことがあるんだ。ヘナン・ベラォン戦で仕掛けて失敗。コディ・ステーマン戦ではトライアングルから、リバース・ボウロックを狙ったんだけど、頭を抜かれた」

──アルジョのグラップリングへの造詣の深さが、本当に分かります。そういえば平良達郎選手がアレックス・ペレスからオタツロックで負傷TKO勝ちをした時も、すぐさま反応していましたね。

「あの組み方で、ヒザを壊すぐらいプレッシャーをかける仕掛けを見たことが無かった。腕をとって体を捻り、思い切りヒザに体重を掛けてグラウンドに持ち込み、壊した。これまで自分が使っていたヘンゾ・グレイシーのような仕掛けとは違っていた。あれだけ上半身を固めていると、そりゃあヒザは壊れるよ」

──それだけの見識があれば、自らのレパートリーに加えているのではないでしょうか。

「可能ならね。だからトライしてみる価値はある。足をクロスさせて、腕を取って体を捻る。その機会が訪れたら、やってみようかと思う」

──そんななか対戦相手のエフロエフの印象を教えてください。

「タフだよ。まだ無敗で素晴らしいレスラーだ。打撃もしっかりしている。スタミナも十分にあるしね。俺としてはグラップリングの部分で、彼がどれだけ力があるのか試合中に理解する必要がある。そのためにもスマート、そしてスピーディーに戦わないといけない。そしてレンジと距離をコントロールできれば、勝てるはずだ」

──エフロエフがUFCで挙げた8勝は全て判定勝ちです。その辺りが攻略することの難しさに繋がっているかと思うのですが。

「そうだね。フィニッシュがないけど、その分しっかりと勝利を重ねている。勝ち方を知っているし、そこから外れることがない。まぁ、俺との勝負はできるならエキサイティングなモノにしたいね。いつものように仕掛けを多くて、普段通り動き続けてペースを崩したい。

ああいう相手だからこそ、ファンにサブミッションで勝つ試合を見せたいと思っている」

──ぜひとも3度目の正直で三角絞めを。

「良いねぇ。でも凄く体が柔軟だから、難しいだろう。極めるならチョーク、ギロチン、アナコンダ、ダース、ニンジャだな」

──押忍。楽しみにしています。では、最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「俺はミヅキ・イノウエ、ナオキ・イノウエ、ウルカ・ササキと練習をしてきた。そしてウルカのコーナーに就くために日本に行ったこともある。最高だった。土曜日の夜には、カイ・アサクラが日本人で初めてUFCチャンピオンになるかもしれない。皆、凄くエキサイトしているだろう。この週末、日本人UFCチャンピオンが誕生し、皆が盛り上がることを願っているよ。ダイジョーブ!!」

■視聴方法(予定)
12月8日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前12時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT


The post 【UFC310】UFC8勝=全て判定勝ちのエフロエフと対戦。アルジョ・ステーリング「ああいう相手だから」 first appeared on MMAPLANET.
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45 MMA MMAPLANET o RIZIN UFC UFC310 アレッシャンドリ・パントージャ ブログ 朝倉海

【UFC310】展望=UFC世界フライ級選手権試合。日本格闘技史上・唯一無二の「総合」格闘家、朝倉海物語

【写真】誰も歩んだことがない道を切り開き、UFCデビュー戦を世界戦にできるようインフラを整備した朝倉海 (C)MMAPLANET

7日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイルアリーナにて、UFC 310「Pantoja vs Asakura」 が行われる。幾多の名勝負を紡ぎ出した2024年のUFC PPV大会の最後のメインイベントを飾るのは、王者アレッシャンドリ・パントージャに朝倉海が挑戦するフライ級タイトルマッチだ。
Text Isamu Horiuchi

パントージャは、昨年7月にブランドン・モレノを判定2-1で下して悲願の王座戴冠を果たした。その後同年12月にブランドン・ロイヴァル戦、そして今年5月にはスティーブ・アーセグ戦と、どちらも判定3-0で勝利して二度の防衛に成功している。さらに遡るなら、2021年2月に(今回の朝倉同様に)RIZINバンタム級王座を返上してUFCに参戦してきたマネル・ケイプに判定3-0で勝利して以来、現在まで6連勝中だ。

対する朝倉は、昨年の大晦日にフアン・アルチュレタに2RKO勝利を挙げて二度目のRIZINバンタム級タイトル戴冠を果たした後、6月に王座返上しUFC参戦を表明した。そして今回、王者パントージャへの目ぼしい挑戦者が見当たらないというタイミングにも恵まれ、デビュー戦でいきなりタイトル挑戦が決定。近年のUFCでは特例中の特例といえる大チャンスを得た。さらに当初メイン出場を予定されていたベラル・モハメッドの欠場により、この試合は本大会のメインイベントに格上げされた。

UFCは、規模においても選手レベルにおいても、長年にわたって他を大きく引き離して世界一の座を独走し続けるMMA団体だ。今まで幾人もの日本人トップファイター達が挑んでは跳ね返されてきたUFC世界タイトル奪取を朝倉が果たせば、まさに歴史的快挙といえる。

ここで特筆すべきは、朝倉がこれまでの日本人選手たちとは全く異なった道筋を経て、しかも朝倉にしか成し得ないような方法で現在の地位を築き、今回世界最高峰に挑もうとしていることだ。


自らの世界制覇のために最も有効と思われる体制を築き上げた

いわゆる不良の若者たちを集めた格闘技大会 THE OUTSIDER で名を上げ、2017年末にRIZINデビューを果たした朝倉は、やがて兄の未来に続いてYouTubeチャンネルを開設。さまざまな企画で多数の視聴者の興味を惹き、従来の格闘技の枠をはるかに超えたファンベースやスポンサーとの関係を築き上げた。

RIZINでは2019年8月に堀口恭司を68秒で沈めて日本中を驚かせ、一年後には扇久保博正を1RTKOに下してバンタム級王座を獲る等メガスターとして活躍した朝倉だが、参戦当初から目標はUFCにて真の世界一になることだと公言していた。そして2022年の春、ついに世界の強豪達が拠点とするラスベガスに初修行を敢行したのだが、そのやり方からして、従来の日本人格闘家たちの海外武者修行と大きく異なるものだった。

これまで多くの選手たちは、限られた予算を工面しつつ、なるべく値の張らないホテルやアパートを見つける、現地在住の知り合いの厚意に甘えて宿泊させてもらう、またはジムに泊まり込む形で海外での練習に励んだ。そこでは格闘技の腕前だけでなく、慣れない外国語を駆使して現地に溶け込み、さまざまな不自由を乗り越えて生きる力も試された。

が、朝倉の発想はまるで違っていた。彼がベガスの地で行ったのは──「修行」という表現が適切かどうか迷うほどの──豪華な一軒家を借りきっての、自らのチャンネルメンバーや通訳との共同生活だ。移動も食事の世話も生活の些事も、練習時における英語の細かい理解も全て身内のサポートを受け、自身は強くなるための練習に集中する。そしてその模様をメンバーに撮影させ動画コンテンツとして活かす。巨大な資金調達力と自前の強力なメディアチームを有する朝倉だからこそ可能なものだ。

その現地にて、高い格闘能力に加えて持ち前の社交性を存分に発揮した朝倉は、当時UFCバンタム級トップランカーだったマラブ・デヴァリシビリと練習を通して親交を深め、彼に連れられて訪れたUFC PIでは王者アルジャメイン・ステーリングとも知り合い、やがて肌を合わせている。次いで現地入りした榊原CEOに連れられフロイド・メイウェザーのジムを訪問し、門下の若手ボクサーとのボクシングスパーまで敢行したのだった。

兄の未来に呼び出され路上で殴りかかられたこともあれば、大手企業に数年勤めた経験も持つ朝倉。「言葉の通じないハングリーな環境で、一人で生き抜く力を養う」といった精神論に今更こだわることもなく、資金を惜しまず投入し格闘家としてのスキルアップを最優先し、同時に人脈構築と動画配信を通した収益確保、話題作りを着実にこなした。朝倉のベガス「修行」は、彼が単に潤沢な資金を手にしているだけでなく、それをきわめて合理的な形で自らに投資し収益につなげる頭脳と行動力を持ち合わせた、今までになく斬新なプロアスリート/コンテンツクリエイターであることを如実に示すものだった。

さて、ベガスでの練習を通して現地の練習環境の充実ぶりと日本との大きな差を痛感した朝倉は、さらなる前例未聞のビジョンを抱き、余人には真似のできない実行力で具現化させてゆく。朝倉はすでに環境が出来上がっている海外に拠点を移すのではなく、日本において海外の最先端に匹敵した充実度を誇り、しかも自らの世界制覇のために最も有効と思われる体制を築き上げたのだ。

昨年、前回同様に豪邸を借り切ってベガスでの練習を行った朝倉は、そこで出会い惚れ込んだ打撃コーチのエリー・ケーリッシュ、レスリングコーチのビリー・ビゲロウを説得。彼らを日本に移住させ、JTT(日本有数の設備を誇るこのジム自体、朝倉の後見人とも呼べる存在の堀鉄平氏が彼を世界で活躍させるために設立したものであり、いかに朝倉が支援者にとって魅力的な存在かの証左だ)の専属コーチに就任させた。

格闘技界において、国内で選手が気に入ったコーチを雇って指導を受けることや、ジムのオーナーや指導者が外国人コーチを日本に呼ぶ例は珍しくない。が、選手個人が好待遇を提示して、複数の外国人コーチに生活を大きく変える日本への移住を決断させたのは朝倉をもって嚆矢とする。資金力や協力者たちと築いた強力な拠点に加え、言葉の壁を超えて人を惹きつける力まで朝倉は備えているのだ。さらに彼らコーチの伝手も頼り海外強豪選手をスパーリングパートナーとして呼び全てを世界基準で揃えた朝倉は、昨年元谷とアルチュレタに2連続TKO勝利し、RIZINバンタム級王座に返り咲いてみせた。

さらにUFCとの交渉の際には自らがメインを務めたRIZINの集客数や、SNSのインプレッション数やYouTubeの再生回数(※故に安易な動画制作は決してしなかった)などを揃えてUFCに提示。試合内容においても、UFC首脳が好むスタイルを考察して創り上げつつ戦果を残してきた。

そして、遂に本人が「特大契約」と語る屈指の好条件にてUFCへの参戦が決定。初戦にしてタイトル挑戦という破格のデビューに至った。かつて王座戦に挑んだ岡見勇信や堀口恭司、そして現在頂点に肉薄する場所にいる平良達郎らと違い、UFCの舞台で積み上げた実績を何も持たない朝倉だが、唯一無二の方法で地位を築き、彼らに劣らぬ価値と可能性をUFCに認めさせたことになる。

徹底した体制を築いた上でなお、朝倉がこの試合に勝つのは容易ではない

今回の決戦に向けて朝倉は、両コーチの指導に加えて日本最高峰の寝技師である石黒翔也をグラップリングコーチに迎え、さらに幾人もの強豪海外選手をスパーリングパートナーとして自費で招聘した。大人数にてタイの広大なバンタオ・ムエタイ&MMAで合宿を行い練習に専念し、さらに決戦3週間前にチームでベガス入りして豪邸を拠点にUFC PIを一定時間借り切り、専属の栄養士も付ける万全の体制を整えている。

他を圧倒する資金調達力、人脈、行動力を総動員し──さらにその人間的魅力をもって関わる者たちの人生を大きく変えながら──自らに最適化した環境を徹底的に作り上げ、今回の決戦に打って出る朝倉海。これまでUFCに挑んだ日本人格闘家たちは皆、自分なりのやり方で全力で勝負した。が、朝倉ほど多大な資金と人的&物質的資源を投入し、ありとあらゆる側面から勝利可能性の向上を追求して決戦に臨んだ者はいない。この試合は、日本格闘技史上最大の「総合」格闘家である朝倉海が、空前の規模の準備をもって挑む歴史的大一番だ。

しかし、かくも徹底した体制を築いた上でなお、朝倉がこの試合に勝つのは容易ではない。繰り返し指摘されているように、これは朝倉にとってUFC初舞台にして生涯初の5R戦だ。ケージでの、そしてフライ級での戦いは7年半ぶりだ。RIZINバンタム級の試合時と変わらぬ殺傷能力を、今回朝倉が発揮するのは難しいだろうという声が大勢を占める。

対して王者パントージャは打撃、レスリング、寝技と全てに強いオールラウンダーだ。特に寝技は上からの圧力、下からのスクランブル力、バックのキープ力&極め(チョーク)とどれもUFC同階級で頭一つ抜けた力を持つ。顔面で相手のパンチを受け止めながら拳を振るい前進を続け、相手を組み伏せる心身のタフさも天下一品だ。朝倉が未経験の5R戦を勝ち切る力も高く、ここ3試合は全て世界最高レベルの相手に競り勝っての判定勝利。UFCタイトル戦における経験値という点で、圧倒的有利にあるのは間違いないところだ。事実、先日筆者がインタビューでここ数年の快進撃の理由を尋ねたところ「1分ごと、ラウンドごとに勝つ方法が分かってきたことさ」と答えてくれた。

それは2018年に加入したATTにおける、父代わりと信頼するパフンパ・コーチ(「パフンピーニャ」ことマルコス・ダマッタ=カーウソン・グレイシーの黒帯で、2000年に柔術世界選手権黒帯ライトフェザー級準優勝。2005年にはエディ・ブラボーとグラップリングスーパーファイトを行う話もあったが実現せず。その後MMAで12勝3敗の戦績を残した)の下での練習の賜物だ。朝倉がこの1、2年で築いたものを上回るような世界最高の練習環境で、パントージャはすでに6年以上の時を過ごしている。

さらにそのATTには朝倉と二度戦った堀口恭司、そのヘッドコーチであり徹底的に朝倉を研究したマイク・ブラウンもいる。パフンパはブラウンの師匠格でもあり「カイ・アサクラは、何年も前から我々ATTの解析の対照なのだよ」と今回の試合に自信を覗かせている。

打撃、レスリング、寝技のどこにおいても、攻防の細かい綾が即試合終了につながる可能性がある

それでも──朝倉は、不利とされるあらゆる要素に言及しては、全て対策済みで問題ないと確信をもって語る。減量はすこぶる順調で身体の力が落ちるどころかむしろキレが増している。王者の戦い方は全て研究済みで、テイクダウンディフェンスには自信があり、寝技で最悪の状況に陥った場面からでも逃げ方は全て把握しており、試合が不利と言われる後半戦までもつれても精神力やスタミナで負けることはなく、判定でも勝てる。自分は前回の試合とは別人なのでいくら研究されても構わないし、かつて堀口にリベンジを許したカーフキック対策も万全。そして、見る者全てが衝撃を受けるような形──一撃で試合を終わらせる、と。

かくの如く、自らの勝利を固く信じる両者による世界の頂点を賭けたこの試合は、1R開始直後から一瞬たりとも見逃すべきではない。過去二度の防衛戦では、試合開始と同時に挑戦者の如く拳を振るって前に出たパントージャ。朝倉が長年ケージ戦を経験していないことも踏まえ、打撃で圧をかけて金網側に追い込み、ケージレスリングの攻防を余儀なくさせることは狙いのひとつだろう。

対する朝倉も、ここ二戦で炸裂させた強烈無比なヒザを中心に、多数のカウンターやコンビネーションを用意しているはずだ。顔面を晒して前進しがちなパントージャに朝倉の拳が当たる確率は高く、ボディにヒザが食い込む可能性も十分ある。が、朝倉がフライ級の肉体で本来の凄まじい殺傷能力を本当に発揮できるかは、試合が始まってみないと誰にも分からない。両者の距離が詰まってその身体が交錯する最初の瞬間から、まったく目を離せない。

また朝倉を「才能に溢れていて、出す打撃の選択にもきわめて長けている」と大きく評価し、盟友の堀口と「主にムーブメントをにたくさん練習している」と語った王者が、今回はより慎重な戦い方を選んでくる可能性もある。実際パントージャは、2018年のモレノ戦や2021年のケイプ戦ではジャブや蹴りを巧みに駆使し、打撃の距離を支配して勝利を収めている。特に右の蹴りは強烈だ。朝倉自身が「絶対に蹴ってくると思う」と予測するパントージャのカーフに対して、朝倉が用意している答はどのようなものだろうか。果たしてその体は思う通りに動くのか。

やがてパントージャがテイクダウンを仕掛け、朝倉が金網を背にするような場面が来れば別の緊張感が訪れる。パントージャとしては、倒せずとも崩すなりワキをくぐるなりしてバックに付くことができれば大いなる成果だ。たとえ必殺のチョークを極められなくても有利な体制をキープすればそのラウンドは取れる。朝倉としては、それまで明確なリードを取っていない限り、極められないだけでなく不利な状態からいかに早く脱出するかも鍵となる。拮抗した戦いでは、ラウンド一つを失うことが試合の勝敗自体を左右し得る。

きわめて高いフィニッシュ力を持つ両者だけに、それまでどちらが優勢に立っていようが、打撃、レスリング、寝技のどこにおいても、攻防の細かい綾が即試合終了につながる可能性がある。また5Rに及ぶ総力戦になる場合でも、どこかの時点における一瞬の判断ミスが判定に決定的な影響を及ぼしかねない。全局面が、要注目だ。誰にも真似のできない方法をもって全てを賭けて臨む朝倉が、常識的見解を超越して世界を揺らす初参戦戴冠劇を見せるのか、それとも長年苦闘を重ね、UFC13戦目にして頂点に上り詰めたパントージャの経験と執念が勝るのか。

日本格闘技史上最大の決戦。いつ突然終わるか分からないその攻防の全てを、目を逸らさず注視したい。

■視聴方法(予定)
12月8日(日・日本時間)
午後8時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午後7時 30分~U-NEXT

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UFC 310 Embedded:Vlogシリーズ✨️エピソード1️⃣【日本語字幕付】

UFC 310に出場する選手たちに密着!

フライ級王者アレシャンドレ・パントージャはフロリダのアメリカン・トップ・チームでトレーニングに励み、朝倉海は東京を離れてラスベガスにてファイトキャンプの終盤を迎える・・・👀

#UFC310 : https://jp.ufc.com/event/ufc-310

【開始予定時刻】
アーリープレリム:8️⃣時
プレリム:🔟時
メインカード:1️⃣2️⃣時(正午)

#UNEXT & #UFCFightPass にて全試合をライブ配信✨

🚨開始時刻は予告なく変更になる場合がございます🚨

⚠11月初旬に北米が冬時間に入ったため、メインカードは11時ではなく12時開始となります。ご留意ください。

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UFCは世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体であり、世界中に7億人のファンを有するとともに、ソーシャルメディアのフォロワー数は2億4,300万人を誇ります。年間40回以上の興行を主催するUFCは世界の名だたるアリーナを満員にし続け、UFC関連番組を世界170以上の国と地域で9億以上の世帯に放送しています。現在のロースターには世界80カ国以上から世界最高のMMAアスリートたちが名を連ねています。コンバットスポーツにおいて世界をリードするデジタル有料配信サービスの”UFC FIGHT PASS(UFCファイトパス)”では興行の独占配信や試合のオンデマンド配信、オリジナルコンテンツを世界中のファンに提供しています。UFCは『TKO Group Holdings(TKOグループ・ホールディングス、NYSE:TKO)』の一員として、アメリカ・ネバダ州ラスベガスを拠点としています。

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【UFC】朝倉海の仕上がり、とんでもないことになる

721: 実況厳禁@名無しの格闘家 2024/12/02(月) 14:38:11.60 ID:BYlrh1pqH
かいぴょん仕上がりがとんでもないことになってるな


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#UFC310 Conteo Regresivo: Pantoja vs. Asakura

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45 AB MMA MMAPLANET o Special UFC UFC310 アレッシャンドリ・パントージャ ブログ 平良達郎 扇久保博正 朝倉海

【Special】Fight&Life#105より。朝倉海に訊いた世界戦発表のタイミング─「そこに僕の気持ちは通らない」

【写真】UFCへのアプローチ=プレゼン、SNSと練習時間。多くのファイターがその姿勢を知って欲しいインタビューとなっている (C)YOSHIFUMI NAKAHARA

明日23日(水)に発売されるFight & Life#105で、12月7日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC310のコメインイベントでオクタゴン・デビュー=アレッシャンドリ・パントージャの持つUFC世界フライ級王座に挑戦する朝倉海のインタビューが掲載されている。
Text by Manabu Takashima

またFight&Life#105では朝倉海インタビュー以外にもブランドン・ロイヴァルと歴史に残る激闘を繰り広げた平良達郎が、キャリア初黒星となった25分間を平良が60分に以上に渡る独白。

驚くほど、その試合展開を明確に記憶し、自身のなかで嚙み砕こうとしている平良の切実、そして誠実な言葉な数々。

さらには日本大会再開の追い風となるのか、UFCフライ級戦線をJ-MMA目線で切り込む企画──朝倉ともパントージャとも戦った唯一のファイター=扇久保博正にロイヴァル×平良、パントージャ×朝倉について話を訊き、本邦初公開の秘話と共に、伝説のTUF24を振り返ったインタビューも掲載されている。

そして──6月のUFC出場発表から4カ月、「あっと驚くことになる」という本人の言葉通り、UFCデ「ビュー戦が世界タイトル戦となった朝倉海。

今月17日(木)に東京都品川区のU-NEXTにおいて「UFC310: Kai Asakura Ultimate Media day」=UFC出陣前の記者会見が開かれ、朝倉は会見後に各メディアに10分毎の個別取材を応じた。

MMAPLANETではUFCの理解もあり、Fight&Lifeと共同インタビューという形で20分の時間を確保しより詳しく今の彼の心境を尋ねることができた。その全体像はFight&Life#105を読んでいただくとして、ここではインタビューの一部を抜粋し、あの世界挑戦の発表のタイミングについて尋ねた朝倉の返答をお伝えしたい(要約)。


──ランキング1位と戦う試合当日に、急浮上した日本人選手がタイトル戦が決まったと発表されるようなことがあると、海選手だと心情的にはどうなるでしょうか。

「平良選手は僕の試合のことを知っていたと思いますが、タイミングがここじゃなくても良いだろうとは思いました。僕も発表されたのを知ったのは、朝起きた時でした。確か、その夜中の2時に発表されたんですよね?」

──ハイ。UFCのリリースは2時10分過ぎだったかと思います。

「夜中の午前零時に発表されますと関係者に言われて、僕は眠かったんですけど、起きていたんですよ。でも12時になっても発表されなくて『どうなっていますか?』と確認した時に『ラスベガスは今、朝の7時なのでまだ社長が起きていない。だからGOサインがまだ出ていないから、もう少し起きていてほしい。発表されたと同時に色々と拡散してほしい』ということで12時40分ぐらいまで頑張って起きていたんですけど(発表がなくて)寝たんですよ。

だから僕も起きたタイミングで発表されたんど驚いたぐらい、本当にギリギリまで分からなかったですね」

──このタイミングで発表されたら自分が悪者になるという気持ちは?

「そうなんですよ。だから平良選手の試合のだいぶ前に発表するか、試合の後に発表してよとは思っていたんですよね。でも、そこに僕の気持ちは通らないというか。UFC側にも考え、タイミングがあるから仕方ないなと」

──いずれにせよ、これだけ世界を目指すことができる選手が出揃って来たなかでUFC日本大会開催の機運が高まって来ています。この点、朝倉選手ご自身はどのように思いますか。

「客観的に見ても、僕次第だと思います。僕がチャンピオンになれば、日本で開催できる可能性もあると思いますし、多分UFC側も日本人でチャンピオンが生まれれば日本でやりたいと思うだろうし。

UFCは日本でやりたいんですよ。ずっと。でも今まで日本でやっても失敗しているのは、日本人のスターがいなかったからですよね。今の僕ならUFCのチャンピオンになれるし、チャンピオンとして日本人のファンを呼ぶこともできる。UFCも成功させられる自信が持てると思うので──今回しっかりと勝って来年、日本にUFCを持ってきます」
Text by Nob Yasumura

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