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ABEMA GLORY K-1 MMA MMAPLANET o ONE PRIDE RIZIN Special UFC アンソニー・ペティス イスラエル・アデサニャ キック セルジオ・ペティス デューク・ルーファス ボクシング ラフェオン・スタッツ

【Special】名将デューク・ルーファスに訊く、米国キックボクシング事情「練習はキック。視るのはUFC」

【写真】現役キックボクサー、MMAコーチとして成功しているだけにキックとMMAの現状を語らせても抜群の説得力だ(C)MMAPLANET

アンソニー・ペティス、セルジオ・ペティス、ラフェオン・スタッツらが所属するミルウォーキーの名門ジム=ルーファスポーツ。ヘッドコーチであり経営者のジェフ・ルーク・デューファスは米国を代表するキックボクサーから、MMAの指導者となった。

今から9年前、2013年8月にルーファスをインタビューした際、GLORYのSpikeでの中継が始まることで、米国でキックボクシング人気が高まることに興奮を隠せず、期待している彼がいた。

現在、GLORYは米国でのイベント開催から撤退し、ヨーロッパに戻った。同時にコロナにより、MMAはさらに家庭で視るスポーツ・エンターテインメントとして発展した。なぜ米国にキックボクシングは根付かず、またMMAのさらなる発展には何が必要かとルーファスに尋ねた。


――9年前にデュークにインタビューをさせてもらった際、GLORYがSpikeでの中継が始まる直前でした。そしてコメンテイターになることが決まっていたデュークは、SpikeがTUFを中継した時のようにキックボクシング人気が全米規模で高まるという期待をしていました。が、GLORYは2019年に米国から撤退しました。これだけMMAではストライキングが歓迎されているのに、キックはなぜ米国に根付かなかったのでしょうか。

「今、UFCを見てもイスラエル・アデサニャを代表するように、キックボクシングで活躍した選手がトップファイターになっており、ジムにキックボクシングの練習をするために入会する人々は決して少なくない。でも本当に奇妙なモノで、視て楽しむという部分では、アメリカ合衆国の文化は、どうしても手を使ったスポーツになるんだと思う。インターナショナルフットボール……サッカーじゃなくて、アメリカンフットボールだろう? 皆が楽しむのは。バスケットボールもそう、ベースボールだってそうだ。

それにこの国では誰かを殴る行為は容認されていても、蹴る行為は忌み嫌われる。MMA、ケージの中は殴って、蹴って、レスリングもできるタフガイの戦場だ。きっとキックボクシングは、この国においてはMMAとボクシングの間になる中途半端なモノに感じられているんだろう。

私は独特のBGMが流れ、タイを代表するカルチャーであるムエタイのことも大好きだ。でも、ムエタイが米国でタイのような人気を誇ることは永遠にないだろうね。日本でも、それにONEチャンピオンシップですら、ムエタイをタイで行っているままのフォーマットでは実施していない。ONEのムエタイとして試合を組んでいる。

キックボクシングをリングではなくて、ケージで行うのは素晴らしいアイデアだよ。MMAグローブでムエタイを行うことも、そう。あの変則的なキックやムエタイなら、新しいモノとして受け入れられるかもしれない」

──日本ではMMAが好きなファンは、普通にキックやK-1を見て楽しめる人が多いと思います。「あの距離の殴り合いは苦手だ」とか「組みがあったらああはいかない」という方が少数派で。何よりMMAファンでキックを見ない人よりも、キックファンでMMAに興味がないファンの方が多いかと思います。

「う~ん、米国のファンにとってMMAの打撃戦はワイルドに映るんだろうね。ボクシングはよりテクニカルで、パワーレス。MMAはよりパワフルでアグレッシブという感覚で、対局にあると思って打撃戦を楽しんでいる。

対してキックボクシングは、よりテクニカルに思われているのか。GLORYはKOも多く、見ても楽しめるスポーツだった。そうだね……結局はビジネスだし、この国ではマーケティングが何よりも重要になる。コカ・コーラは一番美味しいソーダではなく、最もマーケティングが成功した飲み物なんだ。マクドナルドが一番のハンバーガーなのも、そういうことだ。味が一番なわけじゃない(笑)。

だからUFCなんて珍しい例だよ。ワールドトップファイトで、マーケティングも一番。で、他のプロモーションはUFCのコピーをしている。階級からルールからUFCの後追いだ。何か違うことで勝負し、マーケティングでUFCを凌駕するということはない。だから、全てのプロモーションはUFCの後塵を拝している。

PRIDEやRIZINは違うフォーマットで、マーケティングも違う方向でいるよね。ONEも米国のファンからするとUFCとは違うスポーツに見えるはずだ。MMAもユニファイド・ルールではなく、グラウンドでのヒザ蹴りが認められている。正直ね、ああいうルールの違いは練習状況を難しくしている。サッカーボールキックが許された日本のルールもそうだ。

僕は好きだけど、同じジムで違うルールの試合に出る選手が同時に練習するのは簡単ではない」

──ではMMAでムエタイの技術や蹴りが見られることで、キックやムエタイを知らない人々には、蹴りやヒザ蹴りのある競技を知る入口になることはないでしょうか。ホイス・グレイシーにより、皆が柔術を知ったように。

「UFCは本当にマーシャルアーツ市場を食えるモノにしてくれた。素晴らしい仕事をやってのけたんだ。でも、この国は本当に多くのプロフェッショナル・スポーツが存在している。カレッジですらフットボール、バスケットボール、ベースボールの人気の高さは凄まじいよ。もちろんNFLやNBA、MLBにNHLにいうは及ばずレーシング、テニス、ゴルフもある。TVではとてつもない数のスポーツ中継がされている。とんでもない状況なんだ。

キックボクシングは私のジムでも、一番人気だ。これはずっと変わらない。ルーファスポーツには素晴らしい柔術のプログラムもある。でも一般会員の人気が高いのはキックボクシングだ。普通の人はMMAの練習はハードルが高過ぎる。MMAは見て楽しむもので、キックボクシングはやって楽しむもの

この国の感覚は『トレーニングはキックボクシング、視るのはUFC』ってことなんだろうね」

──キックはDoスポーツなのですね。

「その通りだね。ムエタイもそうだよ。アマチュア・トーナメントは盛んに行われている。でも、プロのムエタイはない。そういう意味では柔術と近いかもしれないね。柔術のトーナメントはこれだけあっても、PPVで視ようとは思わない。やはり見る人間に、戦いを理解するだけの知識が必要だからね」

──MMAとボクシングも、実はそうで。でも、そのように深い造詣がなくても楽しめてしまうというのが、他のコンバットスポーツとの違いなのでしょうか。

「MMAはこれからももっと人気が出るだろう。そして、さらにこの人気を伸ばし、定着するためにはさきほど言った練習する人間の少なさ、ハードルの高さを考えていかなければならない。その解決策は五輪スポーツにすることだよ。GAMMAが、IOCに働きかけている」

──……。

「五輪競技になるということは、政府の後ろ盾を得るようなものだからね。USAボクシング、USAレスリング、USAテコンドー、USA柔道という連盟があることで、保険など色々な面で優遇措置がある。MMAが五輪競技になれば、このスポーツを大いに発展させられるだろう」

──そうなると3分✖2R、ポイント制だとか色々とMMAの本質が変わることはないでしょうか。

「あくまでもアマスポーツだよ。3分✖3R、ヒザ蹴りやエルボーは禁止。アマチュアMMAグローブにシンガードの装着は必要になるだろうね。そこで結果を残して、プロにステップアップすれば良い。今、米国のアマチュアMMAは州のアスレチック・コミッションが掌握していている。でも五輪スポーツになれば、もっと開催が簡単になるだろう。

アンソニー・ペティスFCでもエルボー無し、少し大きめのグローブを使ったアマチュアMMAの試合も組んでいるけど、今後は今言ったようによりアマチュア、プロルールとは差別化された五輪ルールといえるアマMMAの試合を組んでいくことになるだろうね。

そうすれば、もっと細かくルールを規制して、安全に戦える防具を装着したキッズMMAが普及する。もちろん安全第一でしっかり休息をとるなど、そういうレギュレーション面でも整備がなされた時、底辺から頂点までMMAのヒエラルキーが完成し、永遠に発展し続けるよ。

6歳からこのスポーツを楽しめるようになった時、MMAは変わる。ただし、キッズにハードなことを強要してダメだ。セルジオ(ペティス)も子供の頃から、ジムに通っていたけど一番大切なことは楽しむことだった。18歳、プロになってからしか追い込み練習はしていない。そしてアマチュアに過度な減量はさせないこと。本当に危険だからね」

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o キック マゴメド・マゴメドフ ラフェオン・スタッツ

Bellator286:メインカード第1試合・フアン・アーチュレッタ vs. エンリケ・バルゾラ

バンタム級だったが、ファイトウィークに入ってから141ポンド契約に変更。リミットギリギリクリアの元王者アーチュレッタに対し、バルゾラは137.4ポンド。アーチュレッタが落とせなかったのか。

アーチュレッタ3位タイ、バルゾラ9位。

アーチュレッタは堀口が変更したバンタム級タイトルを、今年のGPで堀口を破ったパトリック・ミックスに判定勝ちしてタイトル獲得。しかし昨年の初防衛戦ではセルジオ・ペティスに敗れ王座を失った。今年のバンタム級GPでは、1回戦でペティスの同門・ラフェオン・スタッツと暫定王座決定戦で対戦したが、やや優勢な展開から3Rにハイキックをもらい逆転KO負けで連敗となっている。

バルゾラはワイルドカードからバンタム級GPに勝ち上がり。スクランブルし続けて相手を削っていくスタイル。しかしGP初戦では、ロシアのマゴメド・マゴメドフ相手に接戦の展開からタックルに合わせたギロチンで一本負けした。

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AJ・マッキー BELLATOR MMA MMAPLANET o Special UFC エメリヤーエンコ・ヒョードル スコット・コーカー ラフェオン・スタッツ

【FIght&Life】教えて、スコット!!。「日本人との契約に、年齢制限的なボーダーラインは存在しますか?」

【写真】Bellator暫定世界バンタム級王者ラフェオン・スタッツとスコット・コーカー (C)BELLATOR

28日(火)に発売されたFight&Life#91に、世界第2位のMMAプロモーション=Bellatorのスコット・コーカーのインタビューが掲載されている。
Special Thank to Mis.Yu Murakami

2019年12月以来の日本大会開催の可能性と、新たな日本人ファイターとの契約についてコーカーはポジティブな発言を繰り返していた。

そんなインタビュー記事に掲載しきれなかった質問と回答をここで、お届けしたい。

「UFCは30歳以上の日本人ファイターとのサインアップをまずしません。ばかりか、相当に若齢化か進んでいます。

ただし、フィジカルが欧米人とは違う日本人ファイターのピークは30歳前後、あるいは35歳前ということも少なくないです。Bellatorも日本人選手と契約することに対し、年齢制限的なボーダーラインは存在しますか」という問いへのスコット・コーカーの返答とは。


スコット・コーカー
「やはり年齢というものは、例えば契約に至るまでの過程において、多くの不確定要素が存在するなかで、我々が下す決定の一つの要因にはなるよ。ただしファイターのピークというのは階級、ファイティングスタイル、トレーニング方法、肉体的条件において違ってくる。

AJ・マッキーのように26歳で世界チャンピオンになった者がいれば、エメリヤーエンコ・ヒョードルやランディ・クートゥアーのようなレジェンドのように40代になっても世界選手権試合のレベルで戦い続けることができる選手もいるからね」

※日本大会単独開催、日本人選手のスカウティング、日本大会が実現するならそこで戦わせたい選手等をスコット・コーカーが語ったインタビューが掲載されたFight&Life#91は6月28日(火)から発売中です。なお同インタビュー内でコーカーが話していた同誌発売の時期の来日は諸事情で延期され、改めて来日が実現された際にはMMAPLANETもフェイス・トゥ・フェイスでインタビューをする予定です。

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MMA MMAPLANET o キック ダニー・サバテーロ ラフェオン・スタッツ レアンドロ・イーゴ

【Bellartor282】ヒール誕生!! イーゴと観客にフラストレーションを与え続けたサバテーロが準決へ

<フェザー級ワールドGP準々決勝/5分3R>
ダニー・サバテーロ(米国)
Def.3-0:49-46.49-46.49-46
レアンドロ・イーゴ(ブラジル)

互いに右ローカーフを放ち、ジャブで距離を見る。サバテーロが前進基調で、イーゴはそこにカウンターを狙う。組むタイミングを計るサバテーロが、やや遠い距離からヒザを滑らすように見事なダブルレッグテイクダウンを決め、バックに回るとワンフックの状態に捕える。

ヒールキックからケージを蹴りつつ、ワンフックを続けるサバテーロは亀になったイーゴの肩口にヒザを入れる。後方へエルボーを見せるイーゴだが、再びワンフックに取ったサバテーロから逃れることはできない。サバテーロも右の拳をワキ下で挟まれ抜けない状態に。残り15秒でレフェリーがブレイクを与えたが、この時間で試合が動くことはなかった。

2R、右カーフを蹴ったサバテーロが右に大きく回る。スイッチするイーゴは右ロー、ジャブで距離を詰めたサバテーロが跳びヒザ、狙いは着地後のダブルレッグだ。ケージにイーゴを押し込み、アンクルピックで煽ってからバックへ。ここもロールしてワンフックへ。ガードを取ったイーゴは、上四方に回ったサバテーロの腕を引き寄せ、アームロックを支店にバックを取り、両足をフックする。

サバテーロが自分の得意ばポジションを取られるピンチになり、手首を掴んで絞めのセットさせない。イーゴは後方から肩口にエルボーを連打し、嫌がったところで絞めを狙うつもりか。上体を起こしきれないサバテーロは、後方からパンチを打たれ懸命に腹ばいにならないよう我慢の時間が続く。アゴの上からパームトゥパームは強引すぎ、パンチに戻したイーゴがラウンドを取り返した。が、コーナーに戻る際に足を引きずる仕草が気になった。

3R、前蹴り、ジャブから右を見せたサバテーロが、カーフを連続で蹴っていく。イーゴはボディを殴り、サバテーロはカーフを続ける。イーゴがローを返すと、サバテーロはダブルレッグでテイクダウン。ギロチンのイーゴは、サイドを取らせないようガードを取る。ここでギロチンは解除され、サバテーロがガードの中から細かいパンチを打ち下ろす。

観客のブーイングが響き渡る館内、バタフライフックからすぐにイーゴがクローズドに戻す。細かいパンチのサバテーロがエルボーを落とす。2Rのピンチがあり、より堅実な攻めに徹するサバテーロがエルボーを3発落としてラウンド終了を迎えた。

4R、イーゴのジャブに、近い距離でもぐりこんでダブルレッグを決めたサバテーロ。ギロチンも苦も無く防ぐと、イーゴはラバーガードを狙う。頭をいれて、防いだサバテーロが足を一本抜こうと動く。バタフライガードに右のパンチを入れたサバテーロが、スクランブルでバックを取る。ボディロックで足を刈って崩すサバテーロは、後方からヒザを入れるとついにボディロックで前方にスラム、背中に乗って左足をフックする。

足を外してスラム、そこから背中を取り直してワンフック――サバテーロが、徹底的にコントロールを続け、左のパンチを後方かれ連打する。胸を合わせることができないイーゴは、残り5秒で離れたサバテーロにスピニングバックフィストを当てて時間を迎えた。

最終回、カーフをいれ組みつたサバテーロがテイクダウン。ギロチンを取りきれないイーゴは、ここもクローズドに戻る。結果、サバテーロはスクランブルでバックを取る。正面を向いてギロチンのイーゴ、スラムで叩きつけたサバテーロは、頭を押し込み極めさせない。残り2分、クローズドが開くとサバテーロが担いでパスへ。背中を見せたイーゴが、立ち上がって離れると右を当てる。

直後にダブルレッグでテイクダウン、2R以外は完全に試合を支配したサバテーロがイーゴの腕十字を防ぎ、パウンドを落として試合を締めた。冷え切った観客の感情を逆なでるような勝利のアピールをしたサバテーロ。判定勝ち後もブーイングのファンを挑発――この図太さと素晴らしいテイクダウン&バック奪取で、ワイルドカードから暫定世界バンタム級王者ラフェオン・スタッツへの挑戦&ワールドGP準決勝進出を決めた。

ケージに上がったスタッツは「こいつ、ほんとに最悪」とマイクで話すと、サバテーロは中指を立て――しっかりとワールドGPヒールでヒールとして地位を獲得した。


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o キック ダリオン・コールドウェル ラフェオン・スタッツ

Bellator282:セミファイナル・レアンドロ・イーゴ vs. ダニー・サバテーロ

バンタム級トーナメント一回戦5分5R。イーゴ6位、サバテーロ9位。

イーゴは2018年にダリオン・コールドウェルのタイトルに挑戦したが1Rギロチンで一本負け。昨年5月にコールドウェルと再戦し、テイクダウンされたがインサイドで攻めないコールドウェルに下から打撃を打ち込んだのが評価されスプリット判定勝ち。現在3連勝中だが、2試合続けて計量で失敗している。

サバテーロは4月のハワイ大会で行われたワイルドカード選出マッチでジョーネル・ルゴにテイクダウンをしつこく仕掛け続けて判定勝ち。堀口と同じATT所属。

勝者が準決勝で現暫定王者のラフェオン・スタッツと対戦する。

ジャブで出るサバテーロ。カーフキック。両者のパンチが交錯。イーゴは下がって距離をキープ。ケージに詰めていくサバテーロ。サバテーロタックル。ダブルレッグ。テイクダウンしたが、背中を向けて立ったイーゴ。また投げた。両手をマットにつけて四つん這いの体勢のイーゴの背中に飛びついたサバテーロ。ハーフバック。バックキープして細かいパンチを入れるサバテーロ。後ろについているだけのサバテーロ。イーゴは腕を脇に挟んでディフェンス。会場ブーイング。残り15秒でレフェリー謎ブレイク。再開後すぐにゴング。

1Rサバテーロ。

2R。詰めてきたサバテーロ。ケージを背負ったイーゴに飛び膝。タックルへ。片膝を着かせた。バックに回る。バックを取られたイーゴがキムラを狙うと逆に腕十字を狙った。が、イーゴキムラを放さずバックを取り返す。四の字バック。身動きが取れないイーゴ。イーゴバックのままゴング。

2Rイーゴ。

3R。サバテーロカーフキック。またカーフ。足が流れた。サバテーロタックル。イーゴギロチンを狙ったがサイドに出ようとするサバテーロ。イーゴ放してガードに切り替えた。密着したままインサイドから殴るサバテーロ。イーゴ下でディフェンスするのみ。仕掛けようとしてもサバテーロが上をキープしている。ゴング。

3Rサバテーロ。下から仕掛けられず、逃れることも出来なかったイーゴ。

4R。サバテーロのタックルにまたギロチンを狙ったが、また外される。イーゴ下に。会場ブーイング。ラバーガードを狙うサバテーロだがイーゴ密着して外す。ようやく下から距離を作って背中を向けて立とうとするイーゴ。立ち上がったがスタンドバックからなおもテイクダウンを狙うサバテーロ。投げて膝をつかせる。また立つイーゴをまた投げた。また立ちに行くが、サバテーロすぐに倒して膝をつかせる。残りわずかで放してパンチを入れたサバテーロ。イーゴがバックブローを当てたがゴング。

4Rサバテーロ。

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BELLATOR o UFC キック ダリオン・コールドウェル パッチー・ミックス ピョートル・ヤン マゴメド・マゴメドフ ラフェオン・スタッツ

Bellator282:メインカード第2試合・マゴメド・マゴメドフ vs. エンリケ・バルゾラ

バンタム級トーナメント1回戦5分5R。マゴメドフ4位、バルゾラ10位。

ACB時代にピョートル・ヤンに勝利しているマゴメド・マゴメドフ。昨年8月のBellator3戦目で現暫定王者のラフェオン・スタッツに判定負け。

UFCのバルゾラは、1月のBellatorデビュー戦で元王者ダリオン・コールドウェルをスクランブルの展開で削っていって3Rに肘・パウンドでKO勝ち。4月のワイルドカード選出マッチではヒョードル・チームのニキータ・ミハイロフに完勝。トーナメントのダークホース枠。

勝者が準決勝で堀口を破ったパッチー・ミックスと対戦する。

組んだマゴメドフ。すぐに離れるとマゴメドフバックブロー。ヒット。詰めていくバルゾラ。ジャブがヒット。ワンツー。下がってケージを背負うマゴメドフ。バルゾラシングルレッグ。ダブルレッグに切り替えてテイクダウン。バックを狙うが、マゴメドフが正対し逆にテイクダウン狙い。投げて倒してバックに回るマゴメドフ。バルゾラ立ち上がりスタンドバックに。クラッチを切って離れたバルゾラ。パンチで出る。左がヒット。削っていくバルゾラ。残り1分。マゴメドフのパンチを貰って一瞬ぐらついたバルゾラだがタックルへ。テイクダウンしてバックに回る。しかし上を狙うところでマゴメドフが立った。すぐ詰めるバルゾラ。ケージを背負わせる。マゴメドフのアッパーがヒット。ゴング。

1R僅差の展開だが、試合はバルゾラペース。

2R。すぐに間合いを詰めるバルゾラ。休ませない。ボディに前蹴り。またケージを背負うマゴメドフ。バルゾラタックル。バックに回った。投げてテイクダウン。ハーフバック。足のクラッチを外して立ったマゴメドフ。バック肘を放って正対したマゴメドフ。ギロチンで引き込んだが外れる。後転したマゴメドフをがぶるバルゾラ。アナコンダチョーク。しかし放した。マゴメドフのバックキックがボディにヒット。タックルに入るマゴメドフだが切ったバルゾラ。がぶって膝。またアナコンダ。しかし振りほどいて立ったマゴメドフ。バルゾラ距離を詰めてパンチで攻める。ジャブ。ケージまで詰める。マゴメドフのバック肘は空振り。しかしそこから左がヒット。さらにバックスピンキックを頭部にヒットさせた。ゴング。

2Rも僅差。終盤までバルゾラペースに見えたが、最後にマゴメドフの攻勢があった。

3R。距離を詰めるバルゾラ。左ミドル。キャッチしたマゴメドフ。そこからタックルに入るがバルゾラ切った。逆にバックに回る。スタンドバック。クラッチを切って振りほどいたマゴメドフ。マゴメドフの左がヒットしバルゾラ一瞬腰が落ちた。バルゾラ後退。しかしまたバルゾラが出ていく。四つに組むが引き剥がしたマゴメドフ。詰めるバルゾラ。ケージを背負ったところでタックルに入るが切られたマゴメドフ。バルゾラ四つに組んでクリンチアッパー連打。また詰めたバルゾラ。右がヒット。追撃はかわしたマゴメドフだがバルゾラ詰めていく。パンチからタックル。受け止められるとすぐ放す。マゴメドフ飛び膝。かわしてまたタックルに入るバルゾラ。ゴング。

3Rも僅差の展開。

4R。パンチから四つに組んだバルゾラ。ケージに押し込む。倒せず離れた。また詰めていくバルゾラ。パンチからタックルへ。マゴメドフ受け止めてギロチン!引き込んで全力で絞める!下になり外そうとしたバルゾラだが外れずタップ!

接戦を制しマゴメドフが準決勝進出。

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ABEMA BELLATOR DEEP ISAO MMA MMAPLANET o ONE PANCRASE Pancrase328 PFL RIZIN RYO UFC アナトリ―・マリキン シリル・ガンヌ パンクラス ピョートル・ヤン ラフェオン・スタッツ ローガン・ストーリー 中田大貴 亀井晨佑 北方大地 山北渓人 岩本達彦 海外 清水清隆 神龍誠 藤波勇飛 藤田大和 透暉鷹 遠藤来生

【Pancrase328】陣容固まる山の手大会。透暉鷹✖亀井で暫定王座戦。令和のコールマンはネオブラ2回戦へ

【写真】引き出しを全て出して、全力で勝負にいかないといけない暫定王座決定戦に透暉鷹と亀井が挑む(C)MMAPLANET

1日(木)にRyo✖遠藤来生、5月31日(水)にフェザー級暫定王座決定戦=透暉鷹✖亀井晨佑が発表されるなどPancrase328の陣容がほぼ固まりつつある。

3月大会に続き、7月18日(月・祝)に東京都新宿区のベルサール高田馬場で開催される同大会はストロー級KOP北方大地に山北渓人が挑むタイトル戦、第2代スーパーフライ級KOPで7年振りのパンクラス登場が、最後の参戦となる清水清隆の出場も決定している。


挑戦者トーナメントを補欠戦からの出場で、準決勝を勝利したが体調不良で決勝戦を棄権した亀井に代わってファイナル進出を果たした透暉鷹は、4月大会で岩本達彦をパウンドアウトし挑戦権を獲得した。

しかし、王者ISAOの負傷で挑むベルトは暫定王座、対戦相手は亀井に変更された。世界のMMA界の趨勢は王者のタイトル戦回避と暫定王座決定戦という流れになっている。

Bellatorではウェルター級のローガン・ストーリー、バンタム級のラフェオン・スタッツ、ONEでもヘビー級のアナトリ―・マリキンが暫定世界王者で、UFCでは今年になってバンタム級のピョートル・ヤンやヘビー級のシリル・ガンヌが、正規王者との統一戦に出場し敗れている。

国内に目をやると、DEEPでフライ級正規王者の神龍誠が暫定王者の藤田大和を破り王座統一をしたが、王者がUFCやONEなど海外のプロモーションとエクスクルーシブ契約を結び、国内ではRIZINを活動拠点にしてケースでは、返上→王座決定戦という状況も少なくない。

UFCは絶対としてBellator、あるいはPFL、ONEやRIZINというキャリアの上がりとなるプロモーション以外では、返上→新王者決定でなく、暫定王者が増えているのが現状だ。

そんな暫定王座決定戦に臨む亀井は勢い上等、今大会で再起戦を戦う中田大貴を挑戦者決定T初戦で下している。亀井は長いリーチを生かした打撃と組み、下からも攻めることができるファイターだ。

そんなフィジカル的な側面と同様に注目されるのが、メンタル面だ。中田戦で見せたドロドロのファイトでのスプリット判定を勝ち取った意志力を、亀井は組みの圧が強い透暉鷹に持ち続けることができるか。

昨年5月に勝利まで1秒という時点で、RYOにギロチンで逆転を許した敗北以来、透暉鷹は勝負所を見極めと終わらせるという意識が増したように感じられる。同時に、その見極めを難しくさせるのが亀井のスタイルだ。両者にとって全てを曝け出して勝つ必要がある──結果的にISAOが優位に立つ暫定王座決定戦、それだけの激闘必至なマッチアップといえる。

また今大会はネオブラTも5月の品川インターシティホール大会から引き続き、2回戦実施される。

フェザー級では令和のマーク・コールマン=藤波勇飛が糸川義人と戦う。バンタム級で打撃が上達した田嶋涼が、キャリアの仕切り直しをはかる鬼神光司と、初戦をクリアした4名中、3人がパラエストラCNWというフライ級では大野友哉✖伊藤まこと戦というパラ千葉✖パラ柏対決が実現──要注目だ。

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ABEMA BELLATOR Bellator279 MMA MMAPLANET o Special UFC キック パッチー・ミックス フアン・アルチュレタ ボクシング ラフェオン・スタッツ ロブ・フォント 佐藤天 大沢ケンジ 海外

【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:4月:スタッツ✖アルチュレタ─02─「日本人が勝つためには…」

【写真】日本人が勝つために正解はない。それでも、この試合でここまで大沢ケンジが語ることができるのは、それだけ本気で向き合っているから。佐藤天が反論したのも、人生を賭けて向き合っているから。なので彼らのやり取りに乗じて、本気でやっている人間を尊重していないコメントを見ると──無性に悲しくなります (C)BELLATOR

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、大沢ケンジ氏が選んだ2022 年4 月の一番。4月23日に行われたBellator279で組まれたBellator暫定世界バンタム級王座決定戦&ワールドGP準決勝=ラフェオン・スタッツ×フアン・アルチュレタ戦からの日本人の強くなり方──を引き続き語らおう。

<月刊、大沢ケンジのこの一番:4月:ラフェオン・スタッツ×フアン・アルチュレタPart.01はコチラから>


──日本人選手の練習量が足らないというのは?

「それは専業になれない選手が多いという業界全体の問題に通じてきます。だから勝負できるところ、勝負できないところがハッキリしている選手が増えてきました。MMAを専業にできたい選手が世界のトップどころと張り合うのは厳しいです」

──その時間が少ないと、得意な場所を伸ばすのか苦手な部分を克服するのかという判断もしないといけないですね。

「以前は得意なところだけ伸ばす。そこが中心で勝てえいたというのもあります。でも、今は世界のトップがどの部分でも強さが増しているので、難しいです。だから苦手なところの穴埋めが足らないというのは、感じますね。アルチュレタがあれだけ武器を持っているのを目の当たりにすると」

──そこを克服する時間は専業でもないと取れないと。

「でもやり方次第では……というのも思います。皆が皆、専業にはなれないわけですし。例えばパッチー・ミックスは圧倒的にグラップリングの選手です。でも、打撃でも自分の強い距離を創っている。反応できないならガードで受ける。貰う覚悟がある。そして組める距離を創る。

自分の得意なパターンを当てて、ダメなら組もうという思考ではなくて、組むための打撃の距離と手をいくつか用意している。打撃が通じないからと組むと、その組みも弱くなります」

──ハイ。その通りだと思います。

「ミックスはダメななかで、やれるところと覚悟がある。だから深く入れます。そういう風な武器を増やすことは日本で、専業でなくても可能かなって思います。

そこはウチの連中にも言っていますが、やっぱりやりようがある。MMAスパーに極端によってしまうと、駆け引きばかり上手くなるという風に感じるんですよ。

だから限られた練習時間でも打撃なら打撃をしっかりとやって、レスリングならレスリング、寝技なら寝技をちゃんとやる。MMAだからこそ、MMAスパー中心にしない。

MMAスパー中心だと、打撃で敵わない相手には組み技を仕掛けることができる。でも、試合じゃないので。練習ならその苦手なことにトライしないといけない。自分より強いなって思う相手に挑まないといけない。

相手の方が組みが強いと、組まないで突き放す。そして打撃で勝負する。繰り返しますが、それは試合でやれば良いことで。練習では打撃が強くなれるようにしないといけない。凄く当たり前のことなんですけど、MMAは全てが必要だから個々の強化よりMMA全般のぼんやりとした駆け引き上手のスパーリングをやっておきたくなる。

時間が取れないからこそ、そこを一つひとつ部分で強化しないといけないなって思います。それって皆、薄々気付いていたことだろうけど、この国際戦で勝てないという結果が連続したことで、いよいよ目を逸らせなくなった。結果がでていないというのは、連敗でなくてももう存在し続けたことですし。堀口選手は連敗したけど、彼が勝てる相手はBellatorにはいくらでもいます。ただ無双できると思っていたら、そうではなかった」

──そのショックが大きかったということですね。UFCでないというのもありますし。

「ただスタッツやアルチュレラタはUFCバンタム級でも通用しますよ」

──アルチュレラタ、しますか?

「高島さん……アルチュレタは1Rのテイクダウンと最後のハイキック以外、スタッツに負けてないですよ。倒されてもすぐに立ち上がったし。バンバンに圧力掛けて、近い距離でも戦って」

──それって、これまでの距離のコントロールとテイクダウンという戦い方があったから、フレッシュなのではないですか。例えばロブ・フォントって、相当に強いと思います。でも、既に消耗してしまった。近い距離で戦うことで、2年、3年のハードファイトによりフレッシュでなくなっている。

「あぁ……、ロブ・フォント……強いんですけどね」

──これは完全に結果論ですが、チート・ヴェラと戦って4分30秒、あるいは4分50秒リードしているラウンドで最後に打ち合ってダウンし、ラウンドを持っていかれるわけですし。

「Bellatorもそうなりましたが、タイトル戦ではなくてもメインは5R制──これは削れますね。ただしヴェラも近い距離、ビビらずにやっているじゃないですか」

──チート・ヴェラはその走りだと思います。何でもできて圧力を掛けるファイトの。

「MMAの流れって足りないところが見えてきて、そこを突いて勝率が上がる。そうすると対策が広まる。その繰り返しだと思うんです。それでも僕らが現役の時より、練習量は減っているというのは感じています。慧舟會のプロ練習って3時間ほどで……」

──いや、大沢さん。当時の慧舟會の練習は全てプロ練でしたよ(笑)。

「そうなんですよ(笑)。練習時間は3時間、立ち技10本、寝技が10本、そこから補強。それ以外に昼間に青木君のところに行ってみたり、山田(武士JB SPORTSボクシングジム・チーフトレーナー)さんのところに行ったりとか。

今は傾向として、練習時間が短くコンパクトになりました。ウチも2時間ぐらいで、仕事をしている選手が多いから1日1回という人間も少なくないです。僕らの時代の働いている選手が当然のように大変でしたから毎日はできなくても週3、4はパーソナルを含めて二部練習をやっている選手がいました」

──練習時間と練習量は比例するのでしょうか。それと、やはり短い練習時間の工夫と使い方という部分で、苦手分野の克服と得意分野の伸長をどのように配分するのか。

「まぁ、しんどくないことをずっとやっても一緒で。ただ単にスパーリングが多いから良いということではなくて」

──きつい練習とは何も体力的なことだけではなく、自分がストレスを感じる空間での練習というのでしょうか……。そういうことに時間を使っている選手もいるように思います。取材を通してですが……。

「嫌なことですよね。嫌なことにどう取り組むのか。それに練習をしていない時間でも、ずっと考えるだけでも良いし。一人で体を動かせる時間に、技の入りをアレコレ考えるとか。エクササイズでなくて、MMAのことを考えて体を動かすとか。そういうことで時間を有効に使えると思うんです。

時間がたっぷりあって、どこの局面でもコーチがついて練習できる海外の選手と、日本に住んでやり合うというのなら、どういう風に時間を使っているのかは凄く大切になってくると思います。

あと米国人選手が強いのは環境と練習方法もありますけど、もともと強いってのがあるじゃないですか。レスリングのベースがしっかりとあって、そこに打撃と柔術を組み合わせていく」

──確かにざらにNCAA D1オールアメリカン、NCAA優勝という選手が出てきます。

「全員がそうじゃないけど、そういう選手が多いのは確かで。そうしたら、米国の練習を参考にするとしても、どこをピックして取り入れるんだってこともあります。子供の頃からレスリングをやっていた……カレッジレスリングがデキる選手が主流のトレーニング方法を真似ても、日本にそこまでレスリングができる選手がどれだけいるんだっていう話で」

──仰る通りですね。知ることも、体験することも大切ですけど、MMAを俯瞰して見て取捨選択する能力が欠かせないかと。

「ブラジル人は打撃も寝技も凄く強いです。でも、バラバラですよね。融合していなくても、UFCチャンピオンがここまでいる」

──確かにブラジル人選手で米国レスラーやダゲスタン・レスラーのようなゴリゴリのレスリングベースの選手はほぼ印象にないです。

「それでも、ここまで強い選手がいる。それはブラジル人の強くなり方があり、米国に行って穴を埋めても、自分らの強い部分を崩していないからですよ。打撃なら打撃、寝技なら寝技でバチバチに勝負します。対して米国人は混ぜて勝負しています」

──極端な言い方をすると、レスリングが強く他を加えて混ぜる系の強さと、打撃と柔術が抜けて強くてバラバラでも勝てる。融合と接合のMMAがあるということですね。

「打撃、レスリング、柔術の要素の合計点ですよね。60+90+60で210点。70+20+120でも210点です」

──ハイ。総合力……MMAで勝つといっても30+30+30なら90点で勝てるわけがない……とは私も思います。際と呼ばれる接点「+」の部分で30点を3回稼いで回転といっても、180点にしかならない。それにレスリング中心の米国人ファイターにも、ブラジル人にも「際」の加点はあるわけですし。

「そうなんですよ。野球のピッチャーでストレートも変化球も良くない奴が、駆け引きだけでやっていけるかって。ストレートならストレートで勝負できて、変化球なら変化球を決め球にできるから駆け引きが生きるんだって。

駆け引きだけだと逃げ癖がつきます。勝負できる部分が必要で。と同時に強い部分が一つだけだと、やはり勝てない。ずば抜けて強くても、穴が多いと勝てない。あと、どっちにして打撃を怖がっていない。あのアルチュレタが、スタッツに近い距離の打撃で戦った。自分から行けないと、レスリング+打撃&柔術の選手、打撃+柔術の選手でもそこがないと。近い距離があって、遠い距離が生きるとアルチュレタの試合を見て──彼は負けたけど、思いました」

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【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:4月:スタッツ✖アルチュレタ「日本人が勝てない理由」

【写真】大沢親分は勝ったスタッツではなく、負けたアルチュレタに注目していた (C)BELLATOR

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。3人の論客から、大沢ケンジ氏が選んだ2022 年4 月の一番。4月23日に行われたBellator279で組まれたBellator暫定世界バンタム級王座決定戦&ワールドGP準決勝=ラフェオン・スタッツ×フアン・アルチュレタ戦について語らおう。


──大沢さんが選んだ4月の一番は?

「スタッツ✖アルチュレタです。で──僕の想いを伝えたいのは、勝ったスタッツではなくてアルチュレタなんですよ。アルチュレタって足を使うイメージの選手だったんです。お前は打撃で勝負できないだろうって評価が低かった選手で」

──相手の動きを見て、巧くテイクダウンまで持ち込む。ちょこまかしている選手という印象でした。

「テイクダウンまでいっても打撃の部分はそんなに怖くない。逆にいえばテイクダウンだけで、逃げながら何かやってくるだけだと思っていたんです。

そうしたら、スタッツを相手に圧力を掛けて自分から行く。前に出て攻めたら一回外して、またすぐにプレッシャーを掛ける。あっ、こんな戦い方ができるんだと思いました。打撃も近い距離で、自分から攻める。最近の日本人の連敗、世界のトップどころの戦い方……世界の距離は無関係でない。そこが凝縮された試合でした」

──というと?

「僕がさんざっぱら言っているように距離は近づいている。UFCのロブ・フォントとマルロン・ヴェラにしてもそうですよね。堀口✖ミックスもそう。距離を外すような相手に対して、詰めてキックボクシングのような距離で戦っています。この距離がスタンダードになったと思います。

近い距離を嫌がって外しても、すぐに詰められる。勿論それだけじゃなくて、他も戦えないとダメだけど近い距離も戦えないといけない。ここを嫌がっても詰められる。

レスリングが強いスタッツを相手に、長い距離を取らせないよう距離を詰めることを意識しながら打撃を使う。そういう選択をアルチュレタがしたことでも、今のMMAの距離がどういうモノになっているのかが表れていたと思います」

──テイクダウンを切れるから、それができる。倒されても立てるわけですよね。

「そこは大前提です。キックボクシングをそのまま持ち込んでMMAが勝てるわけがない。そこからなんです、今日の本題は」

──おお(笑)。お願いします。熱気を帯びてきましたね。

「何で日本人が勝てないのか。それは日本人選手が偏っているからです。寝技だけ、打撃だけ。戦い方の選択がほぼ一つだから、ジャンケンで自分がグーで相手がチョキなら勝てるけど、相手がパーなら勝てない。

相手がグー・チョキ・パーを出せるタイプだと、勝てない。組み技がなくてストライカーだと勝てる。打撃がない相手なら勝てる。それは打撃、レスリング、寝技と全てにおいてトップレベルにいる選手が少ないからなんです。だから安定して成績が残せない。

堀口選手や金ちゃん(金原徳正)だと、世界を相手にしても安定した結果が残せると思います。一方で、バランスが良くても一つ一つのレベルがそれほど高くない選手は、相性に関係なくある程度まで勝てる。でもトップとは差がある。

アルチュレタがあの試合をした。あの距離で、あれだけの打撃戦ができる。初回にテイクダウンを奪われ、最後はハイキックで負けましたが……言ってみると、やられたのはその2点だけ。『お前、ここまでできるの?』ってファイトをやってのけたんです。でも『いや、そりゃそうだよな。ベラトールのバンタム級でトップの1人なんだから、全部持っていて当然だよな』と今回の試合で気づかされました。

要はどれだけ練習しているのかということなんですよ」

──行き着くところがそこになると、選手個々の力にもよりますが、業界の力も問われるかと思います。スポンサーシップを得る。ファイトマネーが高額。そうでもないと練習をして生きていくことはできない。仕事をしながら練習をしている選手が、そういう選手にどう歯向かえるのか。

「フルタイムでないと、厳しい。それは確かにあります。結局、打撃だけだと日本人は勝負できる。組み技だけでも勝負できる。でも、穴があるのは練習時間が確保できていないから。

じゃぁ、普段からどういう練習をするのかということになると思うんです」

──HEARTSの激闘王は接近戦でテイクダウンを許しています。

「(中田)大貴のことですか? 大貴なんてMMAを始めて3年ですよ。組み技はこれからです。現状でタイトル戦線の手前とかまで行って目立ったのは日本だからです。もうちょっと時間をかけて育てるつもりが、ハマっちゃって良い所が出てしまって相手を喰うことがデキた。すぐに上に行ってしまった。でも、本来はまだ成長過程も成長過程、発展途上なんです」

──自分の勝てる部分で勝てた。ここから課題の克服する必要があると考えると、勝っていてもその勝てるイメージを上の相手、国際戦で持つのではなく、自身の戦い方に対して違うイメージを持つ必要があるのか……。

「その通りだと思います。相性が良いと勝てるけど、違うと負ける。武器が足らないんです。そこも練習量が足りないからです」

<この項、続く>

<この項、続く>

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BELLATOR Bellator279 o UFC キック スコット・コーカー セルジオ・ペティス ベラトール ラフェオン・スタッツ 堀口恭司

【ベラトール】堀口恭司敗戦 今後の動向を考える

日本人の昨日開催されたBellator279。バンタム級ワールドGP準々決勝でマッチー・ミックスと対戦した堀口恭司。開始直後から寝技師のミックスに背中に張り付かれる苦しい展開。何とか脱出してカーフキックで見せ場を作ったものの、ビッグヒットがないまま試合を終え、判定負けを喫しました。

堀口はセルジオ・ペティス戦に続いての敗戦。キャリア初の連敗という事実は本人にとっても、関係者にとっても、ファンにとっても、とても厳しく、悲しい現実を突きつけられたと言っていいでしょう。最強のメイドインジャパンの連敗。一夜明けても消化し切れない人が多いのも無理はありません。

でも個人的な事で言うと、残念で仕方ないですが、KOや絞め技で失神する事なく試合を終えた事に安堵している自分がいます。こういう感情は桜庭和志以来かな。堀口が勝てば全ての日本人が喜び、負ければ全員が悲しむ。やっぱり堀口はスーパースターだと改めて痛感させられました。

そんな堀口の今後。ベラトールの代表スコット・コーカーは年末、堀口自身は夏くらいと復帰戦の時期について語りました。復帰の時期がいつになるかはさておき、ベラトールの強豪を相手にどこまで渡り合う事が出来るか不安は付きまといます。

ミックスも堀口の打撃やフェイントにも動じずプレッシャーを掛けてきたし、堀口の試合後に対戦したフアン・アーチュレッタとラフェオン・スタッツの強靭なフィジカルを見ると本当に堀口と同じバンタム級かと。もはやモンスター、化け物です。彼らを相手に勝星を積み重ねるのは至難の業です。

堀口も既に31歳。アスリートとしてのピークは過ぎたのかもしれません。しかも打撃をもらって失神する場面を見ると経年劣化の可能性もあります。さらに言うと、反射神経や反応速度、動体視力が生命線の堀口にとって、年齢を経る事で今までと同じような動きをするのは厳しくなってくるでしょう。

悲観的な内容を並べてしまいましたが、堀口にさらなる進化を期待してしまうのは私だけでしょうか。今まで堀口にはたくさんの奇跡を見せてもらったし、UFCのチャンピオンになるという夢も見せてもらいましたもん。フルモデルチェンジになるかマイナーチェンジになるかわかりませんが、堀口恭司第2形態があるんじゃないかと。

何はともあれまずはダメージからの回復。じっくり静養して来るべき復帰戦に備えてもらいたい。復帰戦が12月だとすると、噂されているベラトール日本大会の可能性も十分。堀口恭司の復活を楽しみにしています。