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【DWCS S08 Ep09】元GLORY世界王者。ポアタンと1勝1敗のアルテム・ヴァキトフら4人がステップアップ

【写真】この試合を観戦していたアレックス・ポアタンが、ダナ・ホワイトに「ぜひ契約を」という言葉を掛けたという(C)Zuffa/UFC

<ヘビー級/5分3R>
アルテム・ヴァキトフ(ロシア)
Def.1R4分23秒by TKO
イスラム・マサハフ(フランス)

プロで23勝6敗の戦績を残すヴァキトフはアマでもロシア選手権、欧州選手権、世界選手権を制した強豪キックボクサーだ。Gloryで世界ライトヘビー級王座につき、アレックス・ポアタン・ペレイラと1勝1敗の互角の星を残している。そんなヴァキトフはMMA戦績は2勝1敗。対して、3勝0敗のマサハフが思い切り左右のロングフックを振るって前に出るが、クリンチでケージに押し込めれる。ボディロックのヴァキトフは、体を入れ替えられバランスを崩す。下になったヴァキトフは、マサハフのパンチねらいで立ちあがって組んでボディロックへ。マサハフはケージレスリングのなかでエルボーを放つ。押し返して離れたマサハフがシングルレッグからアンクルピック。耐えるヴァキトフは右腕を差してケージに追い込む。

両腕を差したヴァキトフは崩してテイクダウンを奪うと、背中を見せて立ち上がろうとしたマサハフを後方から殴る。さらに組まれてもヒザをボディに入れたヴァキトフは、間合いを取り直すとボディから右フックを決める。と、ガシャっという音が館内に響き、動きを止めたマサハフにパンチをまとめたヴァキトフがTKO負けを決めた。

「今日、アレックスがいたよね。こないだの試合は素晴らしかった。チームと彼にお祝いの言葉を贈りたい。戦いたい? もちろん、次の次の次、すぐだよ」とヴァキトフは話した。

毎週のようにダナ・ホワイトの口からは前口上が聞かれたが、今週はいきなり合否の発表へ。そして、ショーン・ガウシーは将来性は買われても、「今夜じゃない」と落選。イスラム・ドゥラトフ、マリオ・ピント、コディ・スティール、ヴァキトフの4人がUFCへのステップアップを決めた。


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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC307 アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ キック

【UFC307】一進一退からダムが決壊したかのような猛攻。ポアタンがラウントリーの顔面破壊、4RKO勝ち

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
Def.4R4分32秒by TKO
カリル・ラウントリー(米国)

すぐに前蹴りを繰り出したポアタン。キャッチしたラウントリーだが、テイクダウンにはいかず試合は打撃の間合いに。ラウントリーはワンツーで前に出ると、バックステップのポアタンはローを蹴る。サウスポーの構えから、果敢に踏み込むラウントリーのジャブに王者が右を合わせる。ワンツーを右で止めて、右ハイのポアタンが空間を支配している。制空圏を破ろうとするラウントリーは、右から左を伸ばす。ワンツーを繰り返すラウントリーは、ポアタンのステップインに右を合わせようとする。そして左を伸ばしたラウントリーに対し、ポアタンがジャブを伸ばす。ラウントリーはケージを背負って、右にサークリング。静かな初回が終わった。

2R、左ストレート、右ジャブを伸ばすラウントリー。ポアタンは左ローを蹴り、右ハイ。続く右の蹴りを捌いたラウントリーが、右をヒットさせる。カウンターの右を入れたポアタンは、背中を伸ばした大きな構えで素早いパンチを繰り出す。対して小刻みにステップを踏むラウントリーは右ハイ後に左ストレートも、クリーンヒットはしない。チャンピオンとしては、繰り返されるワンツー&ステップインに何を合わせていくのか。

ジリジリと詰めるポアタンは、ハイキックの空振りの一瞬の間に右フックを打たれる。ポアタンは腰が落ちたが、すぐに臨戦態勢に戻り距離を詰めてジャブを伸ばす。左ストレートをダブルで見せ、2発目を届かせたラウントリーが左ハイ、ポアタンが頭を戻したタイミングで側頭部を捕えた。

3R、ポアタンは2Rを落としたことで、動きが変わるか。やや早めに圧を掛け、距離を詰めるポアタンが右をヒット。直後に素早い回転の左を決めたラウントリーは、下がったポアタンの誘いには乗らない。ポアタンはリードフック、ラウントリーの左ハイをガードする。逆に左ハイを当てたチャンピオンは、間合いを測るファイトに応じる。右を打たれ、右を返したポアタンだが、ラウントリーも負けじと左を振るう。

ラウントリーは右ローから右、ポアタンが左カーフを蹴った。ボディショットを織り交ぜるラウントリー。その頭部を捕え切ることができないポアタンのハイキック。制空圏は王者にもうポアタンになく、互角の攻防が続く。しかし王者が左ヒザを突き上げると、一気に試合の流れが変わる。圧を高めたポアタンが左カーフを蹴り、ジャブ。ラウントリーはケージの前からワンツーで逃れるが、ポアタンがワンツー、ヒザを突き上げてラウンドを締めた。

4R、ラウントリーのローに、左ジャブをクリーンヒットしたポアタン──前のラウンドの後半の流れを維持できるか。1分を経過し、中央で蹴りを出し合うなかで、ポアタンがボディを殴る。効いた感のあるラウントリーはジャブを被弾し、自らのパンチは届かない。ポアタンがジャブを続け、ワンツーフックを入れる。下がったラウントリーに右を当てて、さらにパンチをかわして右、ヒザを突き上げる。冷静にジャブを続け、ガードを固め流血のラウントリーに対し、仕上げに入るようにワンツーから右、アッパーと打ち込むポアタン。思い切りパンチを振り抜くようになると、回るラウントリーを追いかけて右ストレートを2度決めたポアタンが引き続きジャブ、右フックを打ち込む。

ラウントリーが顔面を守っても右を打ち抜き、首相撲の機会を伺う様な動きを見せたポアタンが右ストレート、アッパーとパンチを纏め、そして首相撲&ヒザ──を踏み止まる。きわめて冷静なチャンピオンに対し、完全に動きが止まりながら最後の力を振り絞るように左右のフックを繰り出したラウントリーだったが……右フックからボディを2発、最後は右アッパーで射抜かれるとしゃがみこんで勝敗は決した。

まるで溜まりに溜まった水を、一気に放水──いやダムが決壊したかような猛攻撃を見せたチャンピオンは「この試合はトップの一つの試合で、ラウントリーを本当にクオリティの高いファイターだった。作戦は疲れさせてから、仕留めること。僕のスタミナは問題なかった。ヘビー級転向も良いけど、ライトヘビー級は十分に魅力的で減量も問題ない」と話した。


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45 AB MMA MMAPLANET o UFC UFC307 YouTube アレキサンダー・ヘルナンデス アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ イアズミン・ルシンド イホール・ポティエリア オヴァンス・サンプレー オースティン・ハバート カーラ・エスパルザ ケイラ・ハリソン ケトレン・ヴィエイラ ケヴィン・ホランド ジュリアナ・ペニャ ジョアキン・バックリー ジョゼ・アルド スティーブン・トンプソン セザー・アルメイダ ソルト ティム・ミーンズ マリオ・バウティスタ マリナ・ホドリゲス ラケル・ペニントン ロマン・デリツ 澤田千優

【UFC307】ラストファイトへ、カーラ・エスパルザ「長い旅路の終わり。でも楽しむためにココに来た」

【写真】ファイトウィークとは思えない幸せな過ぎる家族の一コマ (C)MMAPLANET

5日(土・現地時間)、ユタ州ソルトレイクシティのデルタ・センターで開催されるUFC307「Pereira vs Rountree」でカーラ・エスパルザが1年11カ月振りにオクタゴンに戻ってくる。
Text by Manabu Takashima

昨年9月に母になったエスパルザが、出産後に初ファイトをテシア・ペニントンと戦う。2度のUFC世界ストロー級王者は何を想い、母としてケージに足を踏み入れるのか。彼女の心境を尋ねたくインタビューを試みると、エスパルザは「この試合が最後」と話し、その心境を語ってくれた。


――カーラ、ZOOMの画面からトレーニングを終えたばかりに見えますね。

「そうね。ホテルの練習スペースで汗を流して、気分は爽快ね」

――少しZOOMに入ってくるのが遅れていたので、てっきり授乳中かと思っていました。

「アハハハ。練習をしながら、ファイトウィークになってもベイビーの世話をしているのは確かね(笑)」

――2022年11月以来のオクタゴンとなりますが、この間には昨年の9月に出産を経験しています。お母さんとなって、ファイトに戻ってきた心境を教えてください。

「最高ね。でも、本当に毎日が目が回りそうなほど大変で。強いファイターと、良き母の両立は大変だわ。でも、試合をするのだからやり切るしかないわよね」

――私の妻は3度出産をして、格闘家ではないですが出産の度に体の具合が変わると言っています。カーラの場合は、何かフィジカルの違いを感じますか。

「そうね、ファイターには細かいケガがつきものだったけど、いうと一晩休むと大丈夫っていうモノも今ではしっかりと体を休める必要が出たかなと思う。それが出産とどれだけ関係しているか、確かなことは言えないけど。私自身の体の変化は見られるわ」

――赤ん坊は泣きたいときに泣いて、時間の理念など吹っ飛んでしまった日々を思い出します。まさに忍耐の日々でした。

「ホントにその通り。ベイビーはベイビーに必要なことを、必要な時に私に求めてくるわ。ただ、私には凄くサポートしてくれる主人がいてくれて。そこは本当に助かっているから感謝の限りね」

――出産を経験すると、メンタルが強くなるということは?

「絶対的にね。何かハードなことがあっても、ベイビーが困難を乗り越えるモチベーションになっているから。この子の存在が私のメンタルを強くしてくれるし、ボディケアにも神経が行き届くようにしてくれているわ」

――その一方で日本の女性アスリートは妊娠を機に、現役を退くというケースが多かったです。

「私がこの子を授かった時、もうキャリアは15年を迎えていて2度のUFC世界チャンピオンも経験していたから、やり切った感はあったの。MMAにおける夢は達成したし、これからはベイビーと共に生きていこうと思ったわ。特にベルトを取り返した時に、はっきりと達成感を感じていたし。私の人生はネクストチャプターに入り、24時間ずっとこの子の母親でいようと思うようになったわ」

――もうベストファイターの座に戻ろうとは思わない?

「ノー。もう自分のキャリアには満足しきっているから、今が引退のタイミング。私は人生の第2章を歩むことにしたの」

――えっ、つまりは今回が引退試合ということですか。

「そうよ」

――スミマセンでした。全く知らなくて。それは……試合前ですが、おめでとうと言わせてください。

「ありがとう(笑)。そう、今が潮時よ。最高のタイミングで、最後の戦いに臨むことができるわ」

――最後にもう一度、母親になってから戦おうと思ったのは?

「そうね……妊娠をして、出産を経験して……でも、区切りをつけたかったのかもしれない。とにかく、土曜日の試合が私にとって最後のMMAになることは間違いないわ。そう、人生の区切りのファイトね」

――試合前からエモーショナルになることはないですか。

「もちろん。長い旅路を終えようとしているのだから。それは感傷的になるわ。でも、私はここに楽しみに来たわけで。息子の前で戦って、グローブをケージに置くまで全力で戦うわ。

もうMMAと一定の距離を置いて、家庭に入る。でも、時々セミナーとかできれば良いわね」

――実は昨年の春にチーム・オーヤマでトレーニングをしていた澤田千優選手が、たった2度だけカーラがトレーニングセッションに姿を見せてくれた時に受けた教えが凄く勉強になったと言っていました。そのカーラの知識をチーム・オーヤマで後進の指導に生かすことはないのかと。

「彼女とのトレーニングセッションは覚えているわ。私も凄く楽しかった。彼女もそうだし、他の選手にも何かを伝えることはできると思う。もちろん、チームメイトの役に立ちたい。役に立てるだろうし。でも、人生のプライオリティは良き母であること。だから常駐の指導者になることはないだろうし、さっきも言ったようにセミナーなんかで私の知識をシェアできれば良いかなと思っている感じね」

――今回の引退試合、カーラが全てを出し尽くしたファイトを楽しみにします。

「試合に出る限り、私のゴールは勝利を手にすること。最後の試合でも自分の手が挙げられるために戦う。テシアはリマッチで絶対に勝ちたいと思っているでしょうけど、今回も私が勝つ――絶対にね。これまで打撃を見せる機会が少なかったから最後の試合で、私のストライキングを見せることができれば楽しい時間になるかなって(笑)」

――素晴らしい意気込みです。引退試合の前にありがとうございました。

「こちらこそ、ありがとう。私の現役最後の声を日本のファンに届けてもらえて嬉しいわ。2010年……私がデビューした年にメグミ・フジイと戦って以来、日本のファンが応援し続けてくれたことは本当に嬉しかった。長い間、ありがとう」

■視聴方法(予定)
10月6日(日)
午前7時30分~UFC Fight Pass
午前11時00分~PPV
午前7時00分~U-NEXT


■UFC307対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
[挑戦者] カリル・ラウントリー(米国)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ラケル・ペニントン(米国)
[挑戦者] ジュリアナ・ペニャ(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョゼ・アルド(ブラジル)
マリオ・バウティスタ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ケイラ・ハリソン(米国)
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・デリツ(ジョージア)
ケヴィン・ホランド(米国)

<ウェルター級/5分3R>
スティーブン・トンプソン(米国)
ジョアキン・バックリー(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)
イアズミン・ルシンド(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イホール・ポティエリア(ウクライナ)
セザー・アルメイダ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
オースティン・ハバート(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
カーラ・エスパルザ(米国)
テシア・ペニントン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
オヴァンス・サンプレー(タヒチ)
ライアン・スパン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
コート・マッギー(米国)

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45 F1 MMA MMAPLANET o UFC UFC307 YouTube   アイリーン・アルダナ アマンダ・ヌネス アレキサンダー・ヘルナンデス アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ イアズミン・ルシンド イホール・ポティエリア オヴァンス・サンプレー オースティン・ハバート カーラ・エスパルザ ケイラ・ハリソン ケトレン・ヴィエイラ ケヴィン・ホランド ジュリアナ・ペニャ ジョアキン・バックリー ジョゼ・アルド スティーブン・トンプソン セザー・アルメイダ ソルト タラ・ラロサ ティム・ミーンズ マイラ・ブエノ・シウバ マリオ・バウティスタ マリナ・ホドリゲス ミーシャ・テイト ラケル・ペニントン ロクサン・モダフェリ ロマン・デリツ 大成

【UFC307】TUF18以来、11年間も続く因縁に決着の刻。UFC女子世界バンタム級選手権ペニントン×ペニャ

【写真】オンナの意地が、世界の頂点を争う場で爆発。こ、こわい (C)Zuffa/UFC

5日(土・現地時間)、ユタ州ソルトレイクシティのデルタ・センターにて、UFC 307「Pereira vs Rountree」が行われる。アレックス・ポアタン・ペレイラがカイル・ラウントリー・ジュニアの挑戦を受けるライトヘビー級タイトル戦をメインとするこの大会のコメインは、新王者ラケル・ペニントンに元王者ジュリアナ・ペニャが挑戦する女子バンタム級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

ペニントンは2018年5月、当時の絶対王者アマンダ・ヌネスに初挑戦するも終始圧倒され、5Rに背後からのパウンドでTKO負けを喫した。しかしこの敗戦が自分を見直すきっかけとなり、2020年6月から連勝を重ね、今年1月にマイラ・ブエノ・シウバとの王座決定戦に漕ぎ着けた。ここで相手の組技を凌ぎ主武器のパンチを当てて削ったペニントンは、5R判定3-0で激闘を制して新王座に就いた


対するペニャは、2021年12月にヌネスに挑戦。圧倒的不利という下馬評のなか初回の猛攻を耐え抜くと、2R突然雑になった王者の打撃にことごとくカウンターを合わせて大反撃に。怯んだヌネスに組みつき投げ倒すと、背後からチョーク一閃。世界を震撼させる大番狂わせを引き起こしてみせた

しかし8カ月後のリマッチでは、2Rに不用意にパンチで前に出たところにカウンターを合わされる形で3度のダウンを喫してしまう。その後も前に出続けたペニャだが、ことごとくヌネスにテイクダウンを合わされてしまい、5R判定で大敗して初防衛に失敗した。

2023年5月に予定されていたヌネスとの3度目の対決は、ペニャが肋骨を骨折してキャンセル。この時に代打のアイリーン・アルダナに完勝して防衛に成功したヌネスは、王者のまま引退を発表した。こうして空位となったタイトルを今年一月の決定戦でモノにしたのが、ペニントンというわけだ。

TUF18以来、11年間のドロドロ

今回が初対決となる両者だが、二人の因縁は11年前2013年に行われたTUFシーズン18シーズンまで遡る。この年初頭、UFCはロンダ・ラウジーを初代バンタム級王座に認定して初の女子試合を開催している。新設された女子部門の拡大を目論み、各チームに女性監督(ラウジーとそのライバルだったミーシャ・テイト)を迎えて女性選手たちを競わせるというはじめての試みが行われたのが、このTUF18だった。

予選を勝ちハウス入りを果たした8人の女子選手のなかで、チーム・テイトのドラフト1位に指名されたのがペニャ、3位指名がペニントンだった。ペニャはトーナメント一回戦にて、当時頭一つ抜けた実績&知名度を誇っていたベテラン、シェイナ・ベイズラーと1位指名対決に臨んだ。幾度となくテイクダウンを奪われても柔術流のスクランブルを駆使して動き続けたペニャは、突出した体力と圧力とアグレッシブネスをもってベイズラーを呑み込んでゆき、2Rにチョークで一本勝ち。

陽の当たらないところで長年努力を重ね、ついに大舞台で輝くチャンスを掴んだベテラン──日本流に「ジョシカク第一世代」とも呼べるだろう──を、新世代が若さと勢いで打ち砕く。あまりにも残酷かつ鮮やかに新時代の到来を象徴する一戦となった。

このシーズンにおいては予選でタラ・ラロサ、トーナメント一回戦&フィナーレでロクサン・モダフェリといったジョシカク勢も敗れ去り、時代の移り変わりを色濃く反映した。ただしモダフェリがその後階級を落として戦い続け、2017年には新設のUFCフライ級王座決定戦に出場、その後も2022年までUFCで活躍したことは特筆に値する。

閑話休題。

対するペニントンは、一回戦で長身のムエタイ使いジェサミン・デュークと対戦。デュークの強烈な前蹴りや膝や肘をもらいつつ、強烈なパンチを打ち返す大激闘の末に判定勝利を収めた。この試合はデイナ・ホワイト代表も絶賛し、ファイト・オブ・ザ・シーズンを受賞。「女性版フォレスト・グリフィンvsステファン・ボナー(※)」という声まで出るほど、今まで女子MMAに触れてこなかった層にその可能性を知らしめる試合とされた。

(※第一回TUF決勝のグリフィン×ボナーは、壮絶な殴り合いによってUFCの魅力を一般大衆に伝え、その後の人気爆発に大きく貢献したとされる試合。ホワイト代表は、30年を超えるUFC史上ベストバウト1位を聞かれた際には常にこの試合を挙げる。それほどその歴史的意義は高く評価されている)

素晴らしい内容の初戦を経て、決勝での対決が期待されたペニャとペニントンだが、ペニントンは試合前の右手の負傷の影響もあって準決勝で敗退。両者の対戦は実現しないまま、ペニャが準決勝&フィナーレともにその組み力を如何なく発揮して圧勝してシーズン優勝を果たしたのだった。(ペニントンはフィナーレの前座試合に出場してモダフェリに勝利

ちなみに両者は単にチームメイトというだけでなく、ハウス内の狭い二人部屋の二段ベッドの上下に陣取り生活を共にする仲でもあった。ペニャはこの種のリアリティショーの盛り上がりには欠かせない「自己中迷惑キャラ」を地で行く女性。常に自分の好きなように振る舞い、ハウス内の男女から煙たがられても一切気にせず、自分に向けられる非難を平然と他人に転嫁しては視聴者のヒートを誘っていた。

もっともシーズン序盤の二人は、(自分が同性愛者であることを公言し女性的な所作は好まない)ペニントンにペニャが「プリンセス風」メイキャップを施し、ドレスを着せてモデルウォークを教えるというコミカルな場面も見られ、関係は良好だった模様だ。

しかしペニントンはやがて、常に騒音を立て続けるペニャに耐えられなくなり本人に直接対峙する。が、ペニャは笑って「そんなことしてないわ」と全否定。呆れ気味のペニントンが「あんた精神安定剤が必要なんじゃない?」とこぼしても、ペニャは「私は至って冷静よ。みんな揃ってそうやって、私がしてもいないことを言って責め立てる嘘付きなのよ」と返したのだった。

とまれペニントンとペニャはともに、UFC女子部門の創設期にその未来を担う若手として登場し、先行世代を容赦無く打ち破り新時代の到来を告げた選手たちだ。そしてすっかり女子部門が確立した現在、11年の時を経てその頂点を──お互い30代半ばという円熟期に入った──二人が競い合う。オールドファンには感慨深い構図がこの試合には存在する。

当然両者とも11年前来の確執は意識しており、ペニントンは「あれからアイツと連絡を取ったことがあるかって? あるわけないでしょ。ジュリアナと同じ部屋に住むのは本当に苦痛だった」、「やっと11年前の話に決着を付けることができる」と語れば、ペニャの方も「ラケルは私がメイクしてあげたおかげで、彼女の生涯で最も美しい見た目になれた。なのにそんな私に感謝するどころか文句を言うなんて、なんて酷い人間なのでしょう。みんなで私の陰口を叩いて、私の生活を生き地獄にしたのはあいつらよ」とまったく譲らない。

さらにUFC女子勢では群を抜いたトラッシュトーク力を誇るペニャは、返す刀で(4月に鮮やかなUFCデビューを飾り、ペニントン×ペニャ戦の試合の勝者への次期挑戦者の有力候補である)ケイラ・ハリソンにも言及し「お注射はもうやめておきなさいね。今はやっていないだろうけど、アイツは昔は間違いなく打っていたわよね。昔ATTに練習に行った時にある人に言われたのよ『ATTの女子選手たちは、シャワー室でお互いにケツに注射を打ち合っているんだぞ』ってね」と、一部男性ファンの想像力まで掻き立てながら挑発してみせた。

当然ハリソンが「私は柔道で12歳の頃から検査を受けてきて、一度も陽性になったことはない。使っていないからよ!(次の対戦相手について聞かれて)別に誰でもいい。もっともそれがジュリアナなら喜んでタダで頭にエルボーを叩き込んでやるけどね」と反応すると、ペニャは「まあなんて怖い。典型的なロイドレイジ(ステロイドの副作用で激昂すること)の症状だわ!」と見事に切り返したのだった。

絶対女王ヌネスが去って話題が少ない女子バンタム級へのファンの興味を繋ぎ止めるのに、根拠など一切気にせず放言するペニャの口が一役買っていることは否定できない。

一方でペニントンとペニャのオクタゴンのなかでの振る舞い=パフォーマンスに目を転じると、試合はまずはパンチで突進して組みつきたいペニャとスタンド戦をキープしたいペニントンのせめぎ合いとなる可能性が高そうだ。前戦でペニャは、ワキを開けてパンチを振り回して前に出ては、ヌネスに面白いようにカウンターを合わされ何度も倒されている。が、ヌネスほどの圧倒的な破壊力の拳やリーチの長さを持ち合わせていないペニントンは、いかにペニャの突進を止めるのか。

ペニャが組みつくことに成功すれば、次はペニントンの安定したディフェンスを、いかにペニャが攻撃的グラップリングでいかに切り崩すかの攻防となる。

もっとも技術的なこと以上に、互いの精神と肉体のタフネスのぶつかり合いこそがこの試合最大の見どころだろう。女子有数の頑丈さを誇り、被弾するたびに倍打ち返しては相手を削り続け、体力&根性の判定勝利を重ねるペニントン。やはり被弾上等の恐れを知らぬ突進と、問答無用の組みの圧力とノンストップ攻撃で相手を呑み込んでしまうペニャ。引退したヌネス、下の階級のシェフチェンコやグラッソのような洗練された技術を持っていない両者だからこそ、あのハウスでの日々以来、お互いが歩んできた11年間の集大成をぶつけ合うような闘いを期待したい。

■視聴方法(予定)
10月6日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT


■UFC307対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
[挑戦者] カリル・ラウントリー(米国)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ラケル・ペニントン(米国)
[挑戦者] ジュリアナ・ペニャ(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョゼ・アルド(ブラジル)
マリオ・バウティスタ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ケイラ・ハリソン(米国)
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・デリツ(ジョージア)
ケヴィン・ホランド(米国)

<ウェルター級/5分3R>
スティーブン・トンプソン(米国)
ジョアキン・バックリー(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)
イアズミン・ルシンド(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
イホール・ポティエリア(ウクライナ)
セザー・アルメイダ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アレキサンダー・ヘルナンデス(米国)
オースティン・ハバート(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
カーラ・エスパルザ(米国)
テシア・ペニントン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
オヴァンス・サンプレー(タヒチ)
ライアン・スパン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
コート・マッギー(米国)

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45 GLORY MMA MMAPLANET o Preview UFC UFC303 アレックス・ポアタン・ペレイラ イリー・プロハースカ ブログ

【UFC303】展望 ポアタン×イリーの超常現象世界戦。先住民族×侍、非科学的要素の効果は??!!

【写真】世界最高峰の戦いに、先進科学以外の精神性が加わる。ある意味、目の前に見られる超常現象だ(C)Zuffa/UFC & MMAPLANET

29日(土・現地時間)、ラスベガス近郊パラダイスのTモバイルアリーナにて、UFC 303大会が行われる。メインイベントは現王者アレックス・ポアタン・ペレイラに元王者イリー・プロハースカが挑むライトヘビー級タイトルマッチだ。
Text by Isamu Horiuchi

もともと本大会のメインには、3年ぶりの復帰となるコナー・マクレガーとマイケル・チャンドラーのレジェンド戦が予定されていた。しかしマクレガーの負傷により延期が決定。大会僅か16日前である今月13日、このタイトル戦が急遽発表された。

ポアタンことペレイラは、昨年11月のUFC 295にて前王者プロハースカとライトヘビー級王座決定戦に臨み、2RTKO勝利。キック団体GloryとUFCの両方で世界二階級制覇の偉業を達成した。さらに今年4月の記念大会UFC 300のメインイベントでは、前王者ジャマール・ヒルと初防衛戦を行い、試合前に右足の小指を骨折して主武器の右カーフが使えない状況下にもかかわらず、瞬時に距離を詰めて必殺の左フック一閃。目を剥いて倒れたヒルに追撃を浴びせて仕留めて見せた


ニックネームのポアタンは、南米の先住民語であるトゥピ語で「石の如き手」を意味するという。その名に相応しい凄まじき威力の拳で観客を魅了する、現在のUFC最大の(つまり現在MMA界最大の)スーパースターだ。

対するBJP(こちらはBomby jak pičaの略だそうで、UFC.comによると「爆弾をぶっ放せ」的な意味らしい)ことプロハースカは、日本のRIZINにおける活躍でもお馴染みの選手。UFC転出後3連勝を飾りライトヘビー級王座に輝くも、肩の負傷により王座返上を余儀なくされた。復帰して臨んだ11月のポアタンとの王座決定戦には敗れてしまったが、上述のUFC 300のプレリムのメインにてランキング5位のアレクサンダー・ラキッチと対戦。いつものように被弾上等で前進し攻撃を仕掛け続け、初回は失ったものの2Rに強烈な右をヒットさせるや、強引に嵐に巻き込むが如きラッシュをかけて薙ぎ倒し、TKO勝利を収めている。

大会後プロハースカはポアタンへの挑戦の意志を表明し、王者も次の防衛戦はプロハースカとの再戦になるだろうと語った。両者ともに8月の対戦を念頭に置いていたようだが、マクレガーの負傷欠場により事態が急展開。ともに前戦から僅か2ヶ月半ほどでの再登場となった。

もっともプロハースカは先月の段階で「もしUFC 303でタイトル戦が組まれるのなら喜んで」と発言しており、急遽のオファーを受けることに迷いはなかった模様だ。侍の哲学に傾倒する彼らしく「ウォリアーにとって大切なのは、自分の周りに起きる物事や状況の変化にその場で対応することだ。今回のようなショートノーティスの試合は、まさにそれだよ」と、むしろこの展開を歓迎している。

一方のポアタンも、豪州でのプロモーションツアー中だったにもかかわらずオファーを快諾。移動中の車中にて、マネジャーから諸条件の確認の連絡を受けた際「Chama or no Chama!(やるかやらないかだ!)」と笑顔で試合を受けるシーンを自ら動画でアップしている。

ちなみに「Chama(シャーマ)」というのはポルトガル語で「炎」を意味するポアタン愛用のキャッチフレーズだ。

「もともと彼と戦うつもりだったし、この豪州アでのツアー中も毎日トレーニングをしていた。僕はもうすぐ37歳になり、いつまで戦えるかは分からない。こういう機会を逃す選択肢はないよ」と、団体側から見るとこの上なく有り難いメンタリティを持つ王者はさらに

「ずっと世界中で試合してきた。1カ月で2回中国に行ったこともある。1度目は取材等をこなし、2度目は試合に向けての減量中に3度もトランジットを重ねて中国入りして試合した。僕の心は強い。今回の減量も問題ない。これから10キロ減らすだけだ、試合まで15日あれば十分食事で調整できるさ」と語っている。

Gloryにてキック世界王者として君臨するだけでなくKunlun FightやGlory of Heroes等で中国、欧州で&北米を転戦した経験は、この男に桁外れの破壊力を秘めた石の拳だけでなく、常人には測り知れない鉄の精神力をもたらしているようだ。ちなみにプロハースカもそんなポアタンのことを「彼流のウォリアーの道を生きている、真の戦士だ」と評価している。

と同時に、ポアタンが出自である先住民族パタシャオ族の儀礼に参加したり、その民族衣装やフェイスペイントを纏って会見に参加することを受けて「彼はいつも地元のシャーマンからスピリチュアルな力を得ているね。おそらくそれなしでは戦えないのだろう。私もスピリチュアルな力の存在は信じているけど、ああいう『魔術』は使わず、人間のピュアなパフォーマンスを信じているんだ」ときわめてユニークな見解を披露している。

そんなプロハースカも最近、光を遮断した場所に数日間食事も摂らずに籠り自らの魂と向き合う試みを敢行し、また前戦の前夜には会場の前に一人で佇み、場の力を吸収しようとする姿が目撃されている。現代MMAの最先端で極限の強さを競う選手たちが、科学的合理性とは一線を画した方法で精神的追求を行っている事実は興味深い。

ちなみにポアタンのように祖先の魂に触れて力を得ることの効用は、宿命のライバルのイズラエル・アデサニャも認めている。ポアタンに敗れてミドル級タイトルを失ったアデサニャは、再戦の前にポアタンに倣って自分も祖先の文化に立ち返る必要があると考え、幻覚剤のシロサイビン(マジック・マッシュルームをマイクロドーズ(微量使用)することで自己探求の旅を試み──。

「彼(ポアタン)はいつもそうやって力を得ている。俺もそこからインスピレーションを受けた。自分の祖先に触れ、自分は何者かを見つけなければと思ってね。その経験(=マイクロドーズによる自己探求の旅)は本当にあの(リベンジを達成した)試合で役に立ったよ」と語っている。

閑話休題。

チェコ出身のプロハースカが日本の侍文化を独自の形で吸収し、ポアタンは南米先住民族の伝統への回帰を通して精神的・霊的な力を求める。こうした精神世界における世界規模の過去と現在の交錯もまた、21世紀のグローバルスポーツとしてのMMAの一側面だ。

さて、あまり間を置かずに再戦となるこの試合だが、きわめて対照的な戦いで観る者を魅了する両雄による頂上決戦なだけに、興味は尽きない。むしろ前回の試合を経て見所が深まっていると言える。

プロハースカの最大の特徴は、その変則的にして超攻撃的な戦闘スタイルだ。軽やかにステップを踏み、スイッチを繰り返してはフリッカージャブ、アッパー、オーバーハンド、前蹴り、縦肘、飛び膝等を奔放に放ってゆく姿は、侍文化に傾倒する本人が大切にする「常に現在に住まう(always live in the present moment)」という言葉を具現化しているかのようだ。

何より型破りなのは、対戦相手全てが一撃必殺の攻撃力を持つUFCライトヘビー級トップ戦線にて、両腕を下げアゴを上げた姿勢で躊躇なく危険な距離に踏み込んで攻撃を仕掛けてゆくことだ。実際UFC転出以降の5試合全てにおいて、プロハースカは自分から強引に距離を詰めていき、結果相手の強烈なカウンターを何度も顔面に被弾している。

それでも持ち前の目の良さと打たれ強さで持ち堪えては前に出続け、最後は強打の嵐に相手を巻き込んでしまうという常識外れの戦い方で、UFC参戦後僅か3戦にして世界に頂点に立った。試合は常にエキサイティングなものとなり、ほぼ毎回何らかの形でボーナスを獲得している。たどたどしい英語で生真面目に侍の精神性を強調する、ユニークな個性と髪型もファンの好感を呼ぶビッグスターだ。

そんな破天荒な戦い方が仇となってしまったのが、前回11月のポアタン戦だ。2Rに強烈な右を当てることに成功したプロハースカだが、下がったポアタンを追いかけて距離を詰めていったところで、カウンターの左右フックを被弾してしまう。膝から崩れ落ちたところに肘を連打で落とされ、万事休す。

他の相手には驚くべき耐久力を発揮したプロハースカの強靭なアゴだが、至近距離でも恐るべき破壊力を発揮するポアタンの拳と肘を耐えられるはずもなかった。お互いのパンチが当たる距離のことを英語で「イン・ザ・ポケット」と呼ぶが、高い精度と桁外れの威力を兼ね備えた拳を持つポアタンと戦う者にとって、そこは誇張なしに「世界一危険なポケット」と化す。

そこで今回の再戦の鍵は、プロハースカがいかに前回の教訓を踏まえ、ポアタンとの間の危険極まりないポケットに切り込んでゆくかとなるだろう。

実際プロハースカは11月の前戦にて、ポアタンの拳を掻い潜って有効な攻撃を仕掛ける場面を幾度か作っている。一つ目は1R中盤に奪ったテイクダウンだ。組みと打撃を織り交ぜたフェイントを駆使するプロハースカは、ポアタンの右ストレートをかわしざま見事なタイミングで懐に入り、片足を抱えることに成功。やがてテイクダウンを奪いラウンドを先取してみせた。

もう一つの場面は2Rに見られた。ギアを上げたプロハースカは、体を振りながら前に出てポアタンを下がらせ、さらに距離を詰めると見せかけてカウンターの左右フックを誘い出し、目の前で空振りさせることに成功。次の瞬間得意の右オーバーハンドをクリーンヒットさせたのだった。

前進しながらも冷静に相手のカウンターを見切る動き自体は、プロハースカがいつも使っているものだ。が、ポアタン戦で見せたそれは今までで最も見事で、本人が憧れる古(いにしえ)の剣豪の如き、とさえ言えるものだった。

臨機応変にして変幻自在の動きを持つプロハースカ。今回はMMAのいかなる要素を組み合わせて「世界一危険なポケット」に侵入そして突破し、ポアタン最大の課題である寝技の領域に試合を持ち込むのか。

それともさらに洗練された見切りを駆使し、ポケットの境界スレスレの位置に留まり「後の先」を取りにゆくのか。最高度にスリリングな攻防となるに違いない。

さらに付け加えるべきは──ポアタンと戦う者にとって、ポケットの外にいさえすれば安全などということは全くないということだ。強烈な左フックを始め、KOパワーを秘めたパンチ力は当然として、ポアタンにはもう一つの主武器がある。それが、パンチを警戒する相手への右カーフキックだ。恐るべき左拳から遠ざかりたい対戦相手が動いた瞬間、逆側からノーモーションでこれが飛んでくるのだから防ぐのは困難だ。

そしてその破壊力がまた尋常ではない。実際11月の試合の初回、プロハースカはオーソに構えるたびに前足に強烈なカーフを被弾し、派手にバランスを崩されている。2Rに強引に攻め込み返り討ちに遭った遠因が、初回に足を壊されかけたことで勝負を急いでしまったことにあるという見方もできるだろう。

危険な拳の射程距離に容易に近づくことすら許さない、まるで城門への接近を試みる敵に向かって放たれる強力な矢の如きポアタンのカーフキック。今回もプロハースカは、前回同様の大きな犠牲を払っての強行突破を試みるのか、それとも新たな対処法を用意しているのかもまた見どころだ。

ネット上の真のMMAファンを自認する皮肉屋たちからは「コナー、怪我してくれてありがとう! おかげで僕らはこんな最高のカードをすぐにまた観ることができるよ!!」などという声まで少なからず聞こえてくるこの再戦。生命活動のほぼ全てを戦いに注ぎ込む真のウォリアー2 人による戦いが、一瞬たりとも目が離せないものとなることは間違いない。

■視聴方法(予定)
6 月30日(日)
午前7時00分~ UFC Fight Pass
午前6時30分~ U-NEXT

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC300 アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ ジャマール・ヒル

【UFC300】ペレイラの左フックがさく裂!ヒルを1RKOして王座防衛「ヘビー級でも戦いたい」

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
Def.1R3分14秒by KO
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

サウスポーに構えるヒル。ペレイラはヒルの前の足に左右のローを蹴る。ジャブを顔とボディに振って、左ミドルを蹴る。ヒルもペレイラの前足にローを飛ばして、右フックを見せる。ペレイラがボディにジャブを散らし、ヒルは左ミドルと前蹴り。ペレイラはしつこくボディにジャブを当て、ヒルは左のボディストレートを返す。

ヒルの前蹴りがローブローになり、レフェリーが試合を一瞬ストップする。再開後、ヒルの左ストレートにペレイラが突き上げるような左フックを合わせると、ヒルがダウン。一気に鉄槌を連打し、ペレイラが圧巻のKO勝利でベルトを防衛した。

試合後、ペレイラは「しっかりとプラン通り戦える。蹴りを幾つかミスしたけど、距離とタイミングは完璧だった。ケージの中でも外と同じように、チャンピオンだという意識でいない。ただベルトを持っているだけで。ずっと言ってきたようにブラジルで戦いたい。ヘビー級でも戦う」と語った。


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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC300   アルジャメイン・ステーリング アルマン・ツァルキャン アレックス・ポアタン アレックス・ポアタン・ペレイラ イェン・シャオナン イスラエル・アデサニャ イリー・プロハースカ カルヴィン・ケイター キック グローバー・テイシェイラ ケイラ・ハリソン シャーウス・オリヴェイラ ジェイリン・ターナー ジェシカ・アンドラーデ ジエゴ・ロピス ジム・ミラー ジャスティン・ゲイジー ジャマール・ヒル ジャン・ウェイリ ダナ・ホワイト デイヴィソン・フィゲイレド ヘナト・モイカノ ホーリー・ホルム ボクシング ボビー・グリーン ボー・ニコル マゴメド・アンカラエフ マックス・ホロウェイ マリナ・ホドリゲス ライカ

【UFC300】展望─01─ポアタン✖ヒル。記念大会のメインはKO必至。瞬き厳禁=近距離の打撃戦?!

【写真】KO必至。MMA的にはヒルという見方も成り立つが、近い距離のポアタンの振りにどう体が反応するか (C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催される。プレリミ含めて全試合がメインイベント級と呼べる豪華カードがズラリと揃ったこの記念大会のメインを飾るのは、二階級制覇を達成した王者アレックス・ポアタン・ペレイラに、前王者のジャマール・ヒルが挑むUFC世界ライトヘビー級選手権試合だ。
Text by Isamu Horiuchi

この試合は、約1年半続いてきたUFCライトヘビー級戦線の混迷状況に完全に終止符を打ち、ついに誰もが認める──”Undisputed”王者を決定する戦いといえる。


同級の混乱は2022年11月、当時の王者イリー・プロハースカが右肩の負傷によりタイトルを返上したことに端を発する。これを受けて翌月、2位のヤン・ブラボヴィッチと3位のマゴメド・アンカラエフの試合が急遽王座決定戦に格上げされて行われた。

しかしこの試合が、直後の会見でダナ・ホワイト代表が「酷い試合だった。ファッ○ンな3ラウンドが終わった後、私は卒倒しそうになったよ」と得意のFボムを投下し吐き捨てるような内容の末にドロー、王座は空位のままとされた。呆れた表情のホワイト代表はその場で、年明けの2023年1月リオ大会にて、元王者のグローバー・テイシェイラと当時6位のヒルの間で新たな王座決定戦を行うと発表したのだった。

(C)Zuffa/UFC

突然の大抜擢を受けて敵地に乗り込む形となったヒル。

地元の英雄に対して多彩な打撃でスタンド戦を支配。5Rにはテイシェイラ執念のテイクダウンからマウントを奪われたものの、股間を抜けてスクランブルして上を取り返し、文句なしの判定勝利を収めた。デビュー後14戦にして見事世界の頂点に立ち「俺のような境遇からここまで来られるなんて」とマットに突っ伏して感涙にむせんだヒル。

そこから顔を上げて「多くの人間が俺には無理だとぬかしやがった。チャンスは1Rしかなく、5Rは戦えないとかな。見たかこのクソ野郎ども!!」とアンチに大見栄を切ったが、思わぬ展開が重なった末の「棚ボタ的」戴冠という印象は拭えず、ヒルをまだ真の王者としては認め難いという声が消えることはなかった。

防衛を果たすことでそんな声を黙らさんと意気込んでいたヒルだが、半年後の7月に悲劇が襲う。なんとファイトウィークの催しで行われたファイターたちによるバスケットボールの試合にてアキレス腱断裂の大怪我を負ってしまい、タイトル返上を余儀なくされたのだ。

(C)Zuffa/UFC

そこで同年11月、この一年間で実に三度目の王座決定戦へ。

前王者プロハースカと二階級制覇を目指して階級を上げてきたアレックス・ポアタン・ペレイラ。1Rに強烈な右カーフでダメージを与えたポアタンは、2Rに強引に詰めてきたプロハースカに左右のフックをヒット。崩れたところに追い討ちをかけてTKO勝利。キックボクシングとMMAの両方で世界二階級制覇という大偉業を達成してみせた。

今回の記念大会ではその新王者ポアタンに、手術とリハビリを経て復活したヒルが挑む。正規王者と、敗れることなく王座を失った前王者による真の世界の頂点を決める戦いが、ついに実現するというわけだ。

ヒルにとってこの試合は、戴冠後も自分を認めようとしない世間に対して自分を証明する戦いでもある。対戦相手の悪口を言わないストイックな求道者ペレイラのことを「クールな男で、ああいうやつは好きだ」と認めているヒルだが、自分のことをビッグマウスと罵るペレイラファンたちのことは我慢がならない様子だ。

「俺はアレックスを立ち技でKOしてやる。そしてその事実を奴のファンどもの目の前に突きつけてやるぜ。アレックス本人に対してはやらないけどな。俺のことを侮辱しやがる奴ら、お前らより俺の方が遥かに優れた存在だ。俺は自分の本職で世界のトップに上り詰めたんだ。それと比べてお前らは何様だ? たかが百人くらいの規模の工場で月間優秀社員に選ばれたとか、そんな程度でお前らは自慢し、自分を特別だと思ってたりするんだろ? 

お前らなとど違い、俺は選ばれた1パーセントの中の1パーセントの中の1パーセントだぞ。そんな俺の達成や努力に唾を吐きかけクソぶっかけるような真似しやがって。その理屈で行けばお前らなど、人生において誇れることなど何一つありはしないということを理解するがいい。お前らがどう足掻こうが、俺はこの3年間で、ほとんどの人間が生涯で稼ぐ額より遥かに多くを手にしたんだ。そいつらの子供が稼ぐ金を含めてもな。俺はお前らの言葉をモチベーションにして、お前らが崇め奉るアレックスを眠らせてやるぜ」と、対戦相手ではなくそのファンに対して身も蓋もないトラッシュトークを展開する前王者だ。

それはさておき、この試合で期待されているのは凄まじい殺傷能力を持つ両者による大打撃戦だ。グローリー2階級制覇という輝かしいキックボクシングの実績を持つポアタンは、当然のようにMMAでも9勝中7フィニッシュの全てがKO勝利だ。対するヒルも、7つのフィニッシュの全てがKO。しかし高校時代までバスケットボールに励んでいたというヒルは、MMAを始めるまで特に格闘技経験はない。まったく異なるバックグラウンドとスタイルを持つMMAストライカー同士の対決という意味でも、興味深い頂上決戦だ。

まず注目なのは、ポアタンの主武器である右カーフキックを巡る攻防だ。腰を捻らないコンパクトな蹴り方でありながら強烈無比な威力を持つこの右カーフを駆使し、序盤に相手の足を殺すのがポアタンの常套手段だ。ほぼノーモーションから放たれるため、相手にとっては反応が極めて困難となる。

ヒルのヘッドコーチであるチャド・ポメロイも「我々はローキックの対策を重点的に行っていて、強いムエタイ選手たちにスパーでローを蹴ってもらっている」と発言しており、挑戦者陣営がこの技を最も警戒していることは間違いない。ヒルとしては、スタンドでいかにプレッシャーをかけて王者のローを封じるかが勝利への大きな鍵となりそうだ。

その点本人は、11月のポアタンの戴冠をケージサイドで目撃した直後にすでに「1Rはスローな展開だった。イリーは広いスタンスでローに対処せずにダメージを受けてしまったが、俺にはアレックスが対処できないようなスキルと特性がある。奴は俺が試合に持ち込むスピードとボリュームに対抗できないよ」と自信を覗かせている。

実際ヒルは王者と同じ193センチという長身を誇り(201cmのリーチは王者のそれを1センチ上回っている)、前手での多彩な攻撃を軸に、足技も交えてプレッシャーをかけることを得意とする。さらに相手のジャブにカウンターを合わせるタイミングにも天賦の才を持ち、サウスポーを基本としつつスイッチも駆使するが故に、ローのダメージを両脚に分散させることもできる。

王者のローの距離を殺しケージ際に詰めるために必要な適性に恵まれているのは確かだ。さらに誰よりもポアタンをよく知るイスラエル・アデサニャとの練習も敢行したヒルは「彼は俺の質問に全て隠すことなく答えてくれて、(打倒ポアタンのための)素晴らしいインサイトを授けてくれたよ」と語っている。

もっともポアタンとしては、ローを嫌がる相手が前に出てくるのはいつものこと。前戦でも、プロハースカが2Rに強引に詰めてきたところを待ち構えていたように強烈な左右のフックを当てて沈めている。近距離からでも異次元の破壊力を発揮する拳こそ、ポアタンの真の怖さだ。

が、挑戦者はむしろそこにポアタンの弱点を見出しているようだ。「奴のディフェンスは、自分のオフェンスに依存しているんだよ」とヒルは言う。「守るときには、自分の攻撃の背後に隠れる形になっている。だからディフェンスを余儀なくさせるように追い込んでいけば、そこに弱点が出てくるはずだ」と。

実際ポアタンは、相手が距離を詰めてきた時に上半身を動かさず腕を伸ばして下がる傾向があり、その際に相手のパンチを被弾する場面も見られる。ケージ際からの一撃必殺のカウンターは持っているが、巧みなディフェンスワークを披露することはあまりない。対してヒルは柔らかく体を使ったスウェイも得意とする。前戦の4Rにテイシェイラをケージ際まで詰めると、リーチに勝る自分の打撃だけが当たる絶妙な距離を保ち、反撃を巧みなボディワークでかわしつつ多彩なコンビネーションで滅多打ちにしてみせた。「オフェンスに依存したディフェンス」を攻略する術を、ヒルは確かに持っている。

しかし──この師と仰ぎ敬愛する存在がヒルに打ちのめされる光景を、ポアタンはセコンドとして間近で目撃している。打撃戦で師と同じ轍を踏むつもりは毛頭ないはずだ。

今回の試合に向けてテイシェイラの道場で共に練習し、攻略法を伝授される日々を過ごしてきた王者は「ヒルの打撃は確かにパワーがあって危険だ。でも技術レベルを見ると(自分が倒した)イリーの方が優れていると思う」と静かに語り、自信を覗かせる。両者の間合いが蹴りの距離からパンチの距離へと移行した時、射程距離の長いヒルの拳と短いポアタンの拳、二つの凄まじい殺傷能力はどのように交錯するのか。

お互いのことを熟知し、研究し尽くした最高峰のMMAストライカー二人による決戦。意表をついてどちらかがテイクダウンを仕掛けてゆく可能性も含め──真のライトヘビー級の頂点を決める、記念大会に相応しい至上の攻防を堪能したい。

■視聴方法(予定)
4月14日(日・日本時間)
午前7時分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT

■UFC300対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ポアタン・フェレイラ(ブラジル)
[挑戦者] ジャマール・ヒル(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者]ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] イェン・シャオナン(中国)

<BMFタイトルマッチ・ライト級/5分5R>
ジャスティン・ゲイジー(米国)
マックス・ホロウェイ(米国)

<ライト級/5分3R>
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)
アルマン・ツァルキャン(アルメニア)

<ミドル級/5分3R>
ボー・ニコル(米国)
コディ・ブランデージ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレクサンドル・ラキッチ(オーストリア)

<フェザー級/5分3R>
カルヴィン・ケイター(米国)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ホーリー・ホルム(米国)
ケイラ・ハリソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ソディック・ユースウ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジェイリン・ターナー(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マリナ・ホドリゲス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
ジム・ミラー(米国)

<バンタム級/5分3R>
デイヴィソン・フィゲイレド(ブラジル)
コディ・ガーブラント(米国)

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【UFC295】ペレイラが左フックを効かせてプロハースカにTKO勝利。ライトヘビー級王座戴冠&2階級制覇

<UFC世界ライトヘビー級王座決定戦/5分5R>
アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
Def.2R4分08秒 by TKO
イリー・プロハースカ(チェコ)

ガードを低く構え、細かくスイッチするプロハースカ。オーソドックスに構えると組みのフェイントから右アッパーと右フック。ペレイラが右のカーフキックを当てると、プロハースカが転倒する。続けてペレイラが右のカーフキックを蹴ると、プロハースカの動きが鈍る。

ペレイラがカーフキックからパンチにつなげると、プロハースカがシングルレッグに入ってケージに押し込む。ペレイラはギロチンも狙うが、プロハースカがテイクダウンを奪って、ハーフガードで上になる。プロハースカは上体を起こしてヒジを落とす。ペレイラがケージに背中を預けて立ち上がると、プロハースカが右アッパーから前に出た。

2R、プロハースカが右のフェイントを入れる。ペレイラはワンツーを伸ばし、プロハースカは左右のロングフック、飛びヒザ蹴り、ジャンプしての前蹴りも見せる。ペレイラはジャブをついて、プロハースカがサウスポーになると右ミドル、オーソになると右カーフキックを蹴る。

プロハースカは変則的なパンチを見せて、ペレイラにケージを背負わせると右ストレートから返しの左。ここからパンチの連打をまとめる。ペレイラが距離を取ると、プロハースカはパンチから組みついて、首相撲の要領でペレイラを転ばせる。

立ったペレイラはやはり右カーフで、プロハースカの左足を狙い、プロハースカは右ストレートを当てて前に出る。ここでペレイラが右を当てて、返しの左フックを打ち込む。これでプロハースカが崩れ落ち、なんとかダブルレッグで組み付くが、そこにペレイラが鉄槌とヒジ打ちを連打。ペレイラがマウントを取ったところで、レフェリーが試合を止めた。

これでミドル級王座戴冠、2階級制覇を成し遂げたペレイラは「ストップは驚かなかった。足を取って来ても、体は落ちていたので。MSGでの勝利は意味が大きい。アデサニャ、ライトヘビー級に来い。ジャマール(ヒル)は危険な相手だ。直ぐに戦うことになるだろう」と語った。


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【UFC295】UFC2戦目でMSG、スティーブ・アーセグ「平井が試合を受けてくれたらUFCとサインできた」

【写真】豪州勢らしく125ポンドでもパワフルなウェルラウンダーのアーセグ(C)MMAPLANET

11日(土・現地時間)、秋のUFCビッグショー in NYC──UFC295「Prochazka vs Pereira」がニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンで開催される。
Text by Manabu Takashima

イベント名にあるようにイリー・プロハースカ✖アレックス・ポアタン・ペレイラによるUFC世界ライトヘビー級王座決定戦を筆頭に、UFC暫定世界ヘビー級王座決定戦=セルゲイ・パブロヴィッチ✖トム・アスピナルなど選りすぐりのマッチアップが並ぶ同大会で、豪州フライ級のエース=スティーブ・アーセグが、オクタゴン2戦目でアレッサンドロ・コスタと対戦する。

今年の2月にパースで開かれたUFC284の前夜、ある意味ダナ・ホワイト・ルッキン・フォー・ファイト的なPPVショーウィークのローカル大会=Eternal MMAで平井総一朗を破り最高峰に辿り着いたアーセグを初インタビューした。


――今週末、MSGでアレッサンドロ・コスタとオクタゴン2戦目を戦います(※取材は8日に行われた)。今の気持ちを教えてください。

「感謝の気持ちでいっぱいだよ。なんせMSGだからね。1年前のことを想うと、ここにいることが信じられない。Eternal MMAで戦っていてUFCとサインし、MSGで戦う。これ以上のことはないだろう。コスタは強敵だし、凄くチャレンジングな試合になる。最高だよ、真っ向勝負をしたいと思っている」

──スティーブは今年の2月に、UFC284ファイトウィークに行われたEternal MMAで日本の平井総一郎選手を破ったことでUFC入りを果たしました。その過去があって、日本のファンにとっても気になる選手です。

「UFCの前日の試合だったけど、実は対戦相手がなかなか決まらなかった。豪州国内では僕と戦いたがる選手が誰もいなくて。そして英国や海外の選手に当たることになった。結果、ヒライが試合に応じてくれて本当に嬉しかったよ。彼とは試合後、そして日本に戻ってからも何度か連絡を取り合った。

あの大会後、バックステージでUFCとの契約が決まった。僕はあの試合でUFCに良い印象を与えて勝つ必要があったけど、ヒライが試合を受けてくれたからUFCとサインできたんだ。試合がなければそれは不可能だったからね」

──6月のダヴィッド・ドヴォルザーク戦はショートノーティス、ランカーとのUFC初戦となりました。

「いつだって試合ができるように準備していたから、あのチャンスに跳びついた。10日前だろうが、2日前だろうが構わない。オファーがあった時、僕はコーチに『皆が大丈夫なら、俺は戦うよ』って伝えたんだ」

──コーチからの確認でなく、コーチの方を確認したと(笑)。

「そうなんだ(笑)。それにさ、普通にオファーを待っていたらいきなりトップ10ファイターと戦うことはできなかっただろうしね」

──とはいえ、そのランカーを破ったのにスティーブはランク入りしていません。

「どういう仕組みでランキングが決定されているのか、僕には分からないんだけど……そこは気にしていないよ。いずれにせよ、デビュー戦でトップ10の選手に勝てたことで2戦目からもトップランカーと戦えるポジションを手にすることができたんだ。この状況はチャンピオンを狙ううえで、好ましいことは変わりないから」

──当初の予定ではランク9位のマット・シュネルと対戦予定でした。

「ランク9位の選手との試合がなくなって……やはり勝てば返ってくるモノも大きかったし、最初は引っ掛かるものがあったよ。けど、NYのビッグイベントで戦えるし気持ちはすぐに切り替わった。実際コスタはシュネルより、手強いと思う。グラウンドが強くて、テイクダウンディフェンスにも長けている」

──では、そのコスタ戦ではどのようなファイトを見せたいですか。

「僕がどの局面でも、しっかりと戦えることを証明したい。打撃、寝技、レスリング、全ての場面で僕の爆発力がアドバンテージを握るだろう。彼は距離を保つタイプだから、開始直後から詰めて圧力をかける。そして打撃に優位に立つ。彼が持っている僕のイメージとは違う武器を使って戦う。彼のカウンター狙いに対して、あくまでも僕のファイトを貫く。僕が世界のベストだと証明できるファイトを心掛けたい」

──ところで私はUFCフライ級ファイターのインタビュー機会を得ると、常に平良達郎選手のことを尋ねるようにしています。スティーブにとって、平良達郎選手のパフォーマンスはどのように映っていますか。

「UFCで戦っている日本人だよね。あのサブミッションが得意な。いや、彼のサブミッションは良いよ。いつか戦う日がやってくると思うけど、その時は思い切りファイトしたい。凄く良いファイターだ。日本のファンも、その前に僕の試合を見て楽しんで欲しい」

■視聴方法(予定)
11月12日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午後12時~PPV
午前7時30分~U-NEXT

<UFC世界ライトヘビー級王座決定戦/5分5R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)

<UFC暫定世界ヘビー級王座決定戦/5分3R>
セルゲイ・パブロヴィッチ(ロシア)
トム・アスピナル(英国)

<女子ストロー級/5分3R>
ジェシカ・アンドラーデ(ブラジル)
マッケンジー・ダーン(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
マットフレヴォラ(米国)
ベノワ・サンドニ(フランス)

<フェザー級/5分3R>
パット・サバティーニ(米国)
ジエゴ・ロピス(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
スティーブ・アーセグ(豪州)
アレッサンドロ・コスタ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
タバタ・ヒッチ(ブラジル)
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)

<158ポンド契約/5分3R>
マテウス・レンベツキ(ポーランド)
ルーズベルト・ロバーツ(米国)

<ライト級/5分3R>
ナジム・サディコフ(アゼルバイジャン)
スラヴァ・ボルシェフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
ジャレッド・ゴードン(米国)
マーク・マドセン(デンマーク)

<138ポンド契約/5分3R>
カン・ギョンホ(韓国)
ジョン・カスタネダ(米国)

<フライ級/5分3R>
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)
ケヴィン・ボルハス(ペルー)

<147ポンド契約/5分3R>
デニス・ブズーキア(米国)
ジャマール・エマース(米国)

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【UFC291】計量終了 ペレイラ計量失敗、ワンダーボーイは契約戦飲まず。LH級のポアタンがデカいッ!!

【写真】よくミドル級で戦っていたな──というフレームのポアタン (C)MMAPLANET

29日(土・現地時間)、ユタ州ソルトレイクシティのビビント・アリーナで開催されるUFC 291「Poirier vs Gaethje 2」の計量が行われた。

メインでBMF(Baddest Motherfucker)のベルトを賭けダスティン・ポイエーとジャスティン・ゲイジーが戦う──世界戦のないPPV大会。

そのメインカードのウェルター級戦でスティーブ・トンプソンと対戦予定だったミシェウ・ペレイラが174ポンドと計量失敗し、トンプソンがキャッチウェイト戦を飲まずに試合はキャンセルされた。


トンプソンはSNSで「11年のUFC在籍で、何も対戦相手の減量失敗は初めてではない。以前は戦ったけど、今回そうすることはスマートではないと判断した。この年齢、これまでMMAでやり遂げてきたことを考え、自分は門番ではなくてウェルター級王者になるためにオクタゴンに上がっている。これはビデオゲームじゃないんだ」と、体重オーバーをした相手との試合を落として、タイトルから遠ざかるリスクを避けたことを明言している。

またキャリア初のライトヘビー級の一戦に挑む、前ミドル級王者ポアタンはオフィシャル計量ではさすがにミドル級の時よりも減量幅は確実に少なく、ギリギリの状態ではなかった。それでもセレモニアル計量では十分にリカバリーされたポアタンは、元ライトヘビー級王者ヤン・ブラボヴィッチを上回る体躯を誇っていたことが印象深い。

そしてウェルター級のホルヘ・マスヴィダルの引退にともない持ち主がいなくなったBMFのベルトを争うライト級の両者。5年3カ月振りの再戦でリベンジを狙うゲイジーは「この試合の意味は何もかも全て。やり返すチャンス、ここでやり合うことが待ち切れない。レッツゴー」と話し、ポイエーも意味は全てと言うと「ウォーの準備はできている。血と根性を見せることを約束する。レッツゴー」とシャウトした。

なおフライ級でCJ・ヴェルガラと対戦するヴィニシウス・サルバドールが1ポンドオーバーリミットから2.5ポンド重かったが、この一戦はキャッチウェイトマッチとして実施される。

■視聴方法(予定)
7月30日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午前7時00分~U-NEXT

■UFC291計量結果
<ライト級:BMF王座決定戦/5分5R>
ダスティン・ポイエー: 155ポンド(70.31キロ)
ジャスティン・ゲイジー: 156ポンド(70.76キロ)

<ライトヘビー級/5分5R>
ヤン・ブラボヴィッチ: 206ポンド(93.44キロ)
アレックス・ポアタン・ペレイラ: 205ポンド(92.99キロ)

<ウェルター級/5分3R>
スティーブン・トンプソン: 170.5ポンド(77.34キロ)
ミシェウ・ペレイラ: 174ポンド(78.92キロ)

<ライト級/5分5R>
トニー・ファーガソン(米国): 155ポンド(70.31キロ)
ボビー・グリーン: 155.5ポンド(70.53キロ)

<ウェルター級/5分3R>
マイケル・キエーサ: 170ポンド(77.11キロ)
ケビン・ホランド: 169.5ポンド(76.88キロ)

<ウェルター級/5分3R>
トレヴィン・ジレス: 170ポンド(77.11キロ)
ガブリエル・ボンフィム: 170ポンド(77.11キロ)

<ヘビー級/5分5R>
デリック・ルイス: 263.5ポンド(119.52キロ)
マルコ・ホジェリオ・デ・リマ: 262ポンド(118.84キロ)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・コピロフ: 185ポンド(83.91キロ)
クラウジオ・ヒベイロ: 185.5ポンド(84.14キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジェイク・マシューズ: 170ポンド(77.11キロ)
ダリウス・フラワーズ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<フライ級/5分3R>
CJ・ヴェルガラ: 125.5ポンド(56.92キロ)
ヴィニシウス・サルバドール: 128.5ポンド(58.28キロ)

<ウェルター級/5分3R>
マシュー・セメルスバーガー: 169.5ポンド(76.88キロ)
ウロス・メディッチ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ミランダ・マーヴェリック: 125.5ポンド(56.92キロ)
プリシラ・カショエイラ: 125ポンド(56.7キロ)

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