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【POUNDOUT01】67秒決着。右ストレートでダウンを奪った山本が岡野をパウンドアウト

【写真】岡野の右に右ストレートを合わせた山本が、一気にKO(C)MMAPLANET

<ライト級/5分2R+ExR>
山本琢也(日本)
Def.1R1分07秒 by TKO
岡野裕城(日本)

岡野が左ミドルを放つと、山本が右ローを返す。さらに右ミドルで岡野にケージを背負わせた山本が、右ストレートでダウンを奪う。ゆっくりと倒れる岡野のトップに回った山本が、パウンドを落としながらマウントを奪取する。連打を受けて背中を見せた岡野に対し、バックマウントを奪いながらパンチを落とし続けるとレフェリーが試合をストップした。

勝利した山本は家族をケージに呼び入れ、記念写真を撮影し「頑張りまーす」と挨拶した。


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【POUNDOUT01】髙谷裕之、第二章2ndクール「純粋に強さを求めて練習している選手が活躍できる場を」

【写真】選手は強化してきた。その場を創る活動が、再び始まる (C)MMAPLANET

本日5 日(土)、ついに千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールでPOUNDOUTが産声を挙げる。
Text by Manabu Takashima

POUNDSTORMから2年半、2021年と2022年に実施された格闘DREAMERSは中村倫也というUFCファイターを生み、外敵ファイターを含めJ-MMA界の中心を担う、海外に活路を求めるという両面で人材を輩出してきた。

両大会の総監督であった髙谷裕之が手がけるPOUNDOUTはあの日の続き、言い出しっぺのプライドが日本人を強くするベクトルを持ち再び動き出す。リアル・ガチ路線続行、髙谷の話を訊いた。


選手たちは育っている。自分だけが足踏み状態になっていました

──POUNDSTORMから2年半、LDHの格闘技イベントが諸事情で休止しているなかで髙谷裕之総監督が手掛ける新しいMMA大会=POUNDOUTが始まります(※取材は9月25日に行われた)。ここで自らのイベントをスタートさせることになったのは?

「もともとPOUNDSTORMで、プロモーターとして活動をしていこうと思っていたのですが、そこの動きが止まった。でも選手たちは育っている。自分だけが足踏み状態になっていました。選手を強くするのと、大会を開くというのは自分のキャリアとして別モノとして捉えていて。後者の方は止まってしまっていたのですが、色々な人の協力もあって動き出すことができました」

──POUNDSTORM後、描いていた将来像が崩れたといっても過言でないかと思います。

「再開を待つこともできました。でも、だんだんとモヤモヤしてきて。このままじゃいけないんじゃないのか、と。それに再開したときに何かをやっていた方が合流もしやすいという想いでした」

──Grachanの岩﨑ヒロユキ代表が実務面で相当にサポートしているようですが、なぜ関係性の強いサステインでなくGrachanの協力を仰ぐことになったのでしょうか。

「なんでですかね……(笑)。たまたま声をかけてもらったこともありすし、坂本(一弘サステイン代表)さんは先生なんで。ちょっと一緒にというのは、おこがましいというか……(苦笑)。岩﨑さんは宮田(和幸)さんをサポートして、Brave Fightとの合同興行の経験も長いので、その乗りで『一緒にやらない?』みたいな感じでしたね、最初は。

僕の活動が止まってしまっているので、心配して声をかけてくれたんです。『じゃあ、やってみたいんです』みたいな感じで気楽に……そこまで深く考えていなくて(笑)。でも、進めていくなかでドンドン気合いが入って、ちゃんと世界を目指していけるような大会にしたいと思うようになりました」

──POUNDOUTという名称は?

「僕が考えました。POUNDSTORMもそうで。その流れで考えていくうちにPOUNDOUTという名前に決めたことで、しっかりとやらないといけないという考えになって」

──格闘DREAMERSの卒業生やFight Farm所属選手で、今一緒にやっていける選手が中心という考えだったのですか。

「もちろん、自分が指導している選手は全員が出て欲しいという気持ちはありました。でも(中村)倫也はUFCですし、出られるわけがないですよね。修斗でチャンピオンになった(齋藤)奨司も、修斗世界王者をいきなり担ぎ出すことも失礼だし。と同時に全員が同じ大会で試合があると、実はしっかりと練習ができない。皆が自分の戦いのことを第一に考えるのは当然なので、練習仲間を勝たせるために練習ができないんですよ。

個々を勝たせる練習を同時に行うことはできなくて。皆が自分が勝つ練習ばかりになり、チーム力が分散してしまう。これは本当にPOUNDSTORMの時に学んだことでした」

──なるほどっ!! そういうなかで岩﨑代表が、良い対戦相手を用意してくれたかと。Grachan関係の主力級の選手が出場します。

「山内に関しては、新井丈戦でダメージを受けてからの再起戦で。『弱いヤツとはやりたくない。あと何試合、戦えるのか分からない。自分の体は消耗品』という気持ちでいます。そこで松場(貴志)君は元チャンピオンだけど、現チャンピオンよりも強いという風に聞かされた山内が、『ぜひ戦いたいです』と。

京一郎はRookies Cupを途中欠場したので、Grachanで戦う選手にしっかりと勝ってGrachanのタイトルを狙うという意味合いの試合ですね」

──それと千葉から世界へ。なかなか首都圏に属している大都市圏からは出てくるフレーズではないですが、千葉連合が実現したようにも見えます。

「地元から、ですね。地元の企業も応援してくれますし。鶴屋(浩)さんも、その考えに共鳴してくれて。千葉から世界に出したい。鶴屋さんが協力してくれたので、自分が思っていた以上のカードが組めました。それでいて千葉同士を当てているんですけどね(笑)」

──アハハハハ。千葉から世界へ──という部分ですが、日本人を強くするためにLDHとABEMEMAのリアリティTVショーと大箱での大会があった。そして2年が過ぎて、Road to UFCでは準決勝で日本人が姿を消した。この現実を髙谷さんはどのように見ていますか。

「確かにショックでした。準決勝で中国人ファイターに日本人選手が全敗をして。ただ中国人選手が優勝するために選手を選んだ。そんな風に感じられていました。あの結果が日本の全てではないと思っています。POUNDOUTから、その場を目指す選手を育てたいです」

『世界を目指して、やろうぜ』という企画をやった責任があるので、中途半端なところで辞めてはいけないですし、辞めたくない

──格闘DREAMERSに出ていた選手たちが、今や日本をリードし中枢にならんとばかりの活動を続けています。

「そこは凄く嬉しく思います。色々な選手が集まっていた、良い企画でした。ただ僕が育てたわけじゃないですけどね(笑)。素直にあの企画に出演していた選手たちのキャリアアップに、元DREAMERSという肩書が役立っているのは嬉しいです。今回も今も地方でも頑張っている選手に声を掛けると、岡田(達磨)が出てくれました。DREAMERSがスタートで、ここに来たというのは絶対です」

──POUNDSTORM、EXFIGHTのことがあったので継続という部分にはしっかりと向き合っているかと思いますが、今後の青写真というのは?

「『世界を目指して、やろうぜ』という企画をやった責任があるので、中途半端なところで辞めてはいけないですし、辞めたくない。POUNDSTORMが復活する時も、自分がPOUNDOUTをやっていることが、形としても責任を果たしていることになりますし。自分で、そういう風に思いたい。なので少なくとも年に2度のペースで開いて、しっかりと定期開催をしていきます。今後は世界に行くためなら、国際戦も組まないといけないですし。簡単ではないですが、それだけの力をつけないといけないです」

──旗揚げ戦のガチ路線はSTORMからOUTになっても、しっかりと引き継がれています。

「いや、そういうカードしか思いつかないんですよねぇ(笑)」

──格闘技ってこうじゃなかっただろう……と思うことが増えた2024年のMMA界にあって、それこそが我々が髙谷裕之に望む部分です。なんせ「強い外国人とは戦いたくない」という選手が普通にいる現状です。

「そんなこと、本当にあるんですか!! ウチには、そんなヤツはいないですよ。そして、そんなヤツらに夢を見させたのは自分なんだから。続けないといけないというプライドもあります。コレを続けないと、恥ずかしいです。

やはり選手たちには、世界を目指して欲しいですし。僕自身がDREAMでチャンピオンになったけど、世界一になった気持ちは少しもなかったです。僕は世界一を目指していたし、今の選手達にも、どうせやるなら世界一を目指して欲しい。その世界一はUFCなので、UFCを目指して欲しい。そういう気持ちの選手が集まる大会にしたい。ゆくゆくはここからUFCファイター、UFC世界チャンピオンが生まれて欲しいとは思っています。でも、まずは純粋に強さを求めて練習している選手が活躍できる場を創りたいと思っています」

──押忍。盟友の岡見勇信選手が、どこで合流するのか期待しています(笑)。

「アハハハハ。岡見はまだ現役なので。自分のことに集中して、次の試合ことを考えるべきなんです」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後4時30分~髙谷裕之YouTubeチャンネル

■ POUNDOUT対戦カード

<フライ級/5分2R+ExR>
山内渉(日本)
松場貴志(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
中村京一郎(日本)
鍵山雄介(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
山本琢也(日本)
岡野裕城(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
斎藤翼(日本)
児山佳宏(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
手塚基伸(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
能坂陸哉(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
岡田達磨(日本)
八木匠(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
樋口幹太(日本)
高木恭平(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
椎名渉(日本)
渡邊架月(日本)

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【POUNDOUT01】メインで山内渉と激突。前Grachan王者、松場貴志「大縄跳びに加わっていきたい」

【写真】リモート取材では本人の希望で2パターンのスクショを撮影。ポーズに意味はないそうです……(C)SHOJIRO KAMEIKE

5日(土)、千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールで開催されるPOUNDOUT01のメインで、松場貴志が山内渉と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年2月、松場は御代川敏志に敗れてGrachanフライ級のベルトを失った。結果こそ松場が御代川の投げに対してマットに手を着き、左ヒジを脱臼したため負傷TKOとなったが、試合前からいつもの松場と違っていたことは確かだ。そんな王座交代劇、そしてPOUNDOUTでの復帰戦について松場は何を語るのか――と思えば、やはり松場は松場だった。


――御代川戦で左ヒジを脱臼していましたが、その後の回復具合はいかがですか。

「何も問題ありません。次の試合は新生松場を見てほしいです」

――……いきなりインタビューを終わらせようとしないでください。新生ということは、生まれ変わったのですか。

「はい。ヒジを負傷したことで、ヒザの重要性を感じることができました」

――ヒザの重要性とは?

「……、……ひとつ何かを失うことで、大切なものに気づくことができたんです」

――おそらくオチはないだろうと思って聞いていたら、本当に何もなかったです。

「いやいや、そんなことはないです。新生松場を見てほしいです」

――試合ではあれだけ二手三手と用意しているのに、トークでは一の手しか用意していないですよね。

「アハッハァ! 前回の試合も、一の手しか用意していないから、ああいう結果になったんじゃないですか」

――ベルトを失ったことについては、今の時点でどのように考えていますか。

「やらかした、というか。まぁ、うん、何というか……」

――試合の話になると急に素のモードですね。

「まぁ、等身大でやっていかないといけないですね」

――等身大というのは分かります。あの時、試合前から少しムキになっていませんでしたか。いつもの松場選手とは違う雰囲気を漂わせていました。

「そうなんですよ。なんだか試合前からグッと力んでしまっていて。いろいろと歯車が回っていなかったような気はします」

――試合後、松場選手のセコンド陣に訊くと「いつもより攻め急いで、スタミナが切れるのが早かったのではないか」という意見がありました。

「それもありますけど、いっぱい練習しているので、あれでスタミナが切れることはないです。ただいつもより力んでいて……、もうこの話は止めましょう(苦笑)」

――リアルに止めようとしている表情じゃないですか。ひとつ言えるのは、タイトルマッチなのに王者がベルトを自宅に忘れてきたのは……。

「はい。その点は私が100パーセント悪いです」

――試合で敗れ、そのベルトを失ったことについては?

「勉強になった、というぐらいですね。そんなにベルトにはこだわっていないですし。それよりも今まで大きな怪我をしたことがなかったので、良い経験になりました」

――翌月のDEEP大阪大会にセコンドとして来ていた時、何もなかったように腕を動かしていたので回復具合に驚きました。

「5月ぐらいには試合したいと思っていましたからね。それほど大ごとになることもなくて良かったです。ちょっと他にも怪我があって、ここまで復帰も延びちゃいましたけど。この期間に良いところを残しつつ、いろいろ進化してきました。次の試合は新生松場を見てください」

――今回はその一言だけで乗り切ろうとしていますね。

「アハッハァ」

――話を戻すと、DEEPフライ級GPを経てグラチャンのベルトを失って以降、松場選手が何を目指していくのでしょうか。

「何かを目指す、ということじゃないんですよね。どこで引退するか、なんてことも決めていないし。何なんですかね?」

――そんななかで、復帰の舞台がPOUNDOUTになったことは少し意外でした。

「そうですか? POUNDOUTに出ることができて嬉しいですよ。僕、髙谷裕之さんのことがメッチャ好きで」

――えっ、それは本当の話ですか。

「本当ですよ。何もかも疑わないでください(笑)。高校生の頃に試合を見ていて、メチャクチャ好きでしたよ。今でも当時の試合映像を視ているほどですから」

――髙谷さんと松場選手はファイトスタイルが違うので、それも意外です。

「髙谷さんってストライカーで、スタンドではメチャクチャ強いじゃないですか。でも、あの立ち方はレスリングも強いと思うんですよ。あれだけテイクダウンを防いでスタンドで戦う姿が本当にかっこ良くて」

――POUNDOUTでは、高谷さんの弟子である山内選手と対戦します。

「はい。僕はずっと髙谷さんの試合映像を視ていますから、弟子が試合でやってくることも筒抜けです。もう髙谷さんの試合を見るだけで、何もかも分かりますよ」

――山内選手の試合映像は視ていないのですか。

「視ていません。髙谷さんの試合映像を視ていれば大丈夫です」

――……また一点突破しようとしていますね。

「アハッハァ。もちろん100パーセント勝つ気でいますよ。今の国内フライ級って、実力的に拮抗していると思うんです。ほぼ団子状態というか――扇久保選手、神龍選手をはじめ、多くのトップ選手が大縄跳びに並んでいる状態で。

僕もしっかりとリズムを取って、縄に引っかかることがないよう大縄跳びに加わっていきたいです。そして何回も何回も、跳べるかぎり跳び続けていきます。山内選手はその大縄跳びに加わるというより、縄を回す選手という印象ですね」

――縄を回す選手、というと?

「所詮は縄を回す人だな、ってことですよ。僕たちは跳ぶ側の人間ですから。そして僕は何回も跳び続けて、最後まで大縄跳びに残ります。ファンの皆さんは会場で、あるいは配信で何回跳んだか声を挙げて数えてください」

■POUNDOUT01 視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後16時30分~ YouTube髙谷裕之チャンネル

■POUNDOUT01 対戦カード

<フライ級/5分2R+ExR>
山内渉(日本)
松場貴志(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
中村京一郎(日本)
鍵山雄介(日本)

<ライト級/5分2R+ExR>
山本琢也(日本)
岡野裕城(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
斎藤翼(日本)
児山佳宏(日本)

<バンタム級/5分2R+ExR>
手塚基伸(日本)
笹晋久(日本)

<フェザー級/5分2R+ExR>
岡田達磨(日本)
八木匠(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
宮内拓海(日本)
能坂陸哉(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
樋口幹太(日本)
高木恭平(日本)

<フライ級/5分2R+ExR>
椎名渉(日本)
渡邊架月(日本)

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【POUNDOUT01】髙谷裕之が新イベント開催!! 山内渉&中村京一郎揃い踏み。山本琢也もライト級で再起戦

【写真】格闘DREAMERSの1期生と2期生。髙谷チルドレンが集結する(C)MMAPLANET

27日(火)、Gグローバルより10月5日(土)に千葉県美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールでPOUNDOUT旗揚げ戦の開催と対戦カードが発表された。
Text by Manabu Takashima

同大会を主宰するのは「格闘技には、人の心を動かし、人生を変える力があると信じています」という髙谷裕之だ。髙谷といえば2022年4月にLDHマーシャルアーツの格闘技プロジェクトの一環として、対世界を目指す若い選手を世に送り出す──格闘DREAMERSと連携したPOUNDSTORMを開催したが、その後は人材育成大会として開いていたEX FIGHTと共に活動は停止していた。

今回のPOUNDOUTは企画としては上記の試みとは一線を画しているのは明らかだが、髙谷の格闘技に対する軸にはブレはない。リリースで9試合と1名の出場選手の名前が記されており、ずばり髙谷人脈にGRACHANが協力という形でイベントが実施されるような形だ。


(C)SATOSHI NARITA

髙谷の城というべきFIGHTFARMからは昨年11月の修斗フライ級王座決定戦以来の実戦復帰となる山内渉、齋藤翼、そして樋口幹太が出場。

EXFIGHTから中村京一郎、SAI-GYMから岡田達磨とDRAMERS系ファイターの名前が見られ髙谷チルドレンが集まる。そこに上記にあるようにGRACHAN畑のファイター、THE BLACKBELT JAPAN、マッハ道場、津田沼道場など千葉系列が揃う。

山内は元GRACHN & GRANDフライ級王者の松場貴志、中村京一郎は鍵山雄介という一筋縄にはいかないファイターとの対戦が決まっている。山内としては松場がかつてのような徹底して組んでコントロールというファイトを仕掛けてくると、これまでに経験がしたことがない試合展開になるやもしれない。

格闘代理戦争で強さを見せた中村は超RIZINでも、海外でもなく鍵山戦を迎えることになる。MMA打撃能力の高さは周知のところといって良い中村は、柔術家の組みへの対処も3分3Rという戦いのなかで見せている。では1R5分の時間軸のなかで、しつこさに定評のあるベテランとの戦いはどうなるのか。その辺りが焦点となる鍵山戦だ。

さらにはバンタム級で手塚基伸×笹晋久という渋すぎる実力者対決。さらにさらに齋藤✖児山佳宏、ここで復活か──という山本琢也×岡野結城の千葉✖茨城ライト級対決も見ものだ。

「名前を上げたいなら、力で掴み取れ」、「ジムを創るならクラファンに頼るな」という髙谷節が聞こえてきそうなカードが揃ったPOUNDOUT。その旗揚げ戦に向けての髙谷のコメントは以下の通りだ。

髙谷裕之
「僕自身、格闘技との出会いが人生を大きく変えてくれました。それは、ただのスポーツではなく、僕の人生に新たな道を切り開いてくれたものです。格闘技には、人の心を動かし、人生を変える力があると信じています。この力を皆様にも感じていただきたく、今回のPOUNDOUTを開催することを決意しました。

POUNDOUTでは、本当の強さを求め、自分の限界に挑む選手たち、そして世界に挑戦する勇気を持つ選手たちを応援しています。彼らの熱い戦いを通して、格闘技が持つ無限の可能性と感動を感じていただければ幸いです。

地元千葉から世界へ。新たな挑戦の瞬間を、皆様と共に作り上げていきたいと心から願っています。どうぞ、僕たちと一緒に格闘技の力を感じ、選手たちに熱い応援をお願いします。皆様のご声援が、彼らの力になります。よろしくお願いいたします」

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45 DREAM MMA MMAPLANET NEXUS o PRIDE RIZIN RIZIN44 山本琢也 山田峻平 摩嶋一整 横山武司 海外

【NEXUS36】岸野”JUSTICE”紘樹を相手に防衛戦、横山武司「復帰戦は簡単じゃないなと思ってます」

【写真】この11カ月をしっかりと話してくれました (C)TAKUMI NAKAMURA

25日(日)、東京都港区のニューピアホールで行われるFighting NEXUS 36にて、フェザー級王者の横山武司が初防衛戦で岸野”JUSTICE”紘樹と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

横山は2022年11月にNEXUSフェザー級王者となり、2023年からRIZINに参戦。9月の摩嶋一整戦でプロ初黒星を喫すると、摩嶋戦後の練習中に網膜剥離の怪我を負い、長期欠場を余儀なくされた。初めての負けのショックと選手生命を左右する怪我が重なり、MMAからの撤退も脳裏によぎったが、大晦日のRIZINを見て復帰を決意。NEXUS山田峻平代表から防衛戦の提案を受けて、約11カ月ぶりの復帰戦が決まった。今回のインタビューでは復帰を決断するまでの道のり、そしてこれからのMMAファイターとしての目標を訊いた。


――昨年9月、RIZIN44での摩嶋一整戦以来、約11カ月ぶりの試合となりました。摩嶋戦後に目の負傷で長期欠場を余儀なくされたと聞いています。

「そうなんですよ。摩嶋戦の後に網膜剥離になっちゃって。もともと小さい頃から目が悪くて、レーシックもやっていて、角膜そのものが薄かったらしいんです。医者からは何かきっかけがあってなるもんじゃないから、蓄積されたダメージだとは言われたんですけど、練習のときにがっつりアイポークをもらったあとなんで、それで(網膜剥離になった)かなと思います」

――例えば摩嶋戦の前に違和感があったりはしたのでしょうか。

「いや、全然なかったです。摩嶋戦の練習でアイポークがあったところから目の調子がおかしくて、1週間後ぐらいに完全に目が見えなくなって、びっくりしました。いきなり朝起きたら目が見えなくったんで」

――具体的にはどういう状況だったのですか。

「アイポークがあってしばらくはちょっと目がかすむなって感じだったんですよ。それで1週間ぐらい経ったときに嫌な夢を見て、びっくりして起きたら目が見えなくなってたんです。目のレンズの一部、25パーセントぐらいが真っ暗みたいな感じで。で、その真っ暗な部分が時間が経つにつれて大きくなってきて、これは絶対にやばいやつだと思ってすぐ病院に行きました」

――自然治癒じゃ無理だと判断して病院に行った、と。

「はい。最初に診察を受けた病院で網膜剥離と診断されて、すぐ大学病院に行って手術をしてもらいました。本来は1週間ぐらいで退院できるそうなんですけど、他の場所でも剥離しているのが見つかって。その箇所の手術が結構大がかりなものだったので大変でしたね。結局1カ月ほど入院して、運動してもOKになったのが半年後くらいでした」

――選手生命を左右する怪我だったと思うのですが、何か格闘技に対する向き合い方は変わりましたか。

「実は目が見えなくて入院した日に、嫁の妊娠が発覚して。嫁は産婦人科に行って、僕は眼科に入院して──みたいな感じだったんです。だから最初は総合なんてやってる場合じゃないと思いました。言うても僕が総合を始めたのは2年ぐらい前だし、死ぬまで続けるとは思ってなかったから、こんな怪我をしてしまって、子供も生まれてくるんだったら総合はこれで辞めようと。

でもそれは怪我で気分が落ちていて、摩嶋戦で負けてヘコんでいたのが大きかったと思います。それで退院して、退院してもすぐは体は動かせなかったから、年内はずっと家で安静にしつつ、大晦日のRIZINを見に行ったんですよ。そこでイゴール(・タナベ)とか仲間の試合を見ていたら『やっぱりこれ(MMA)やりたい!』と思いましたね」

――仲間たちの活躍がきっかけだったんですね。年明けから練習は再開できたのですか。

「振動を与えるのもダメだったんで、年が明けてもなかなか運動の許可が下りなくて。2月~3月ぐらいからようやく動き始めて、っていう感じですね」

――ジムの指導も休んでいたのですか。

「指導は年明けから始めたんですけど、スパーリングとかはやれなかったですし、本当にゆっくり徐々に…ですね。僕って4歳からずっと格闘技漬けの人生を送っていて、半年間ぐらい練習を休んだのは初めてだったんです。だから体がなまっちゃって『休むとこんなに(動き・体力が)落ちるんだ』と思いました」

――「練習を1日休むと取り戻すのに3日かかる」という言葉もありますが、そういった感覚ですか。

「そんな感じですね。本当にそうなるんだって。だから復帰戦は簡単じゃないなと思ってますし、しっかり作り上げていかないといけないんだなっていう感じですね」

――もちろん辛い時期だったと思いますが、休んだからこそ気づけたものもありますか。

「まず怪我はない方がいいです、それは間違いない。怪我とはちょっと関係なくなるけど、摩嶋戦で負けたことが、結構自分にとって大きかったなとは思ってます。自分はデビューから5連勝して、1回も負けてなかった。だから変な話、試合すれば勝てると思っていたんですよ。

それで摩嶋選手に負けたことで、勝つことがどれだけ嬉しいか分かったし、すぐ試合をして次は勝ちたいと思いました」

――試合で負けると次に試合で勝つまでは記憶は負けのままじゃないですか。

「本当にそうなんですよ。そうなると自分が弱いんじゃないかと思っちゃって、自分が強いという自信がなくなっちゃうんです。次の試合は勝てるかな?みたいな感じで。そのくらい摩嶋戦の負けはショックでした」

――改めて摩嶋戦の試合を振り返っていただけますか。

「あれは結構パニクった試合なんですよ。僕がしょっぱなに飛びヒザにいったところにパンチ合わされて、ガードを取ったところから15分くらい記憶ないんです」

――ファーストコンタクトでほぼ試合が終わったような感覚ですか。

「ほぼほぼ終わりましたね(苦笑)。あれから寝技の展開になったんですけど、そこからもう超パニックで。大舞台に飲まれたのかもしれないし、パンチが効いたのかもしれないし。摩嶋選手が強くて、どうしようどうしようとなって動けなくなったのもあると思います。

だからあの試合は自分の中では本当にバッドで。試合のことも覚えてないから、試合後の1週間ぐらいは自分に何が起きたのか分からなくて。記憶がないから試合を見返すのも怖かった。あれはもう本当なんか悪夢として終わってますね、自分の中で」

――僕もあの時は試合会場で取材していて、横山選手がインタビュースペースに来たときの様子がすごく淡々としていた印象があって。あれは試合の記憶がないから話ができなかったんですね。

「本当そうですね。あと試合で負けると、めっちゃハイになるんですよ。周りの選手を見ていて思うのが、負けると敗因や言い訳をすごい探すというか。自分が負けを経験して、試合で負けた後の選手のSNSを見たりすると、めっちゃハイになってるんですよね。

すごく長文を書いてみたり、やっぱり負けると様子がおかしい。負けを受け入れて悔しいですと言える選手の方が少ないと思います。当時は嫁と2人暮らしだったんですけど、僕の様子がおかしくても、奥さんも励まし方が分からない。嫁もショックを受けちゃって、状態が良くなかったんです。だからもうあんな思いは二度としたくないです」

――なるほど。家族としても負けを経験しないから、奥さんもどう接していいか分からなかったんですね。

「試合に出れば勝ってたわけだから、今回もそうなるだろうと思っていたら、そうじゃなかったわけですからね。嫁も初めての負けだったから、本当に何を言えばいいのかわかってなかったと思うし。いやぁ悲惨でしたね。自分はいつもポジティブで、いつでも明るい性格なんですけど、試合後の1週間はホントにひどかったです」

――そういった時期を経て、今回の復帰戦ですが、ある程度は夏に復帰する目途を立てていたのですか。

「いや、そういうわけじゃないです。ちょうど練習を再開するかどうかのタイミングでNEXUSの山田(峻平)代表と会う機会があって。最初山田さんは『目がそういう状態だと(MMAを)続けるのは難しいよね?』という感じだったんですよ。

それで『俺、やっぱやりたいっす』と気持ちを伝えたら『それだったら8月のネクサスで防衛戦をやってみない?』と提案してくれて。そこから徐々に練習がスタートしていった感じです」

――そのときに山田代表と話をして、一つ具体的な目標が出来たことが大きかったようですね。

「はい。そこで具体的にまた(MMAを)やる方向に行きましたね。いきなりRIZINで復帰もなしではなかったんですけど、それはちょっとハードルが高くて。自分はまだ総合を始めて2年半ぐらいだし、最初に声をかけてもらったNEXUSで、タイトルを取ってから1年9カ月ぐらいNEXUSには出てないから、ここで防衛戦をやってまた頑張ろうっていう感じですね」

――今はどんなことを意識して練習を続けていますか。

「復帰戦は楽じゃないので、何か新しいことをやったり、できることを増やしていく練習が一番いいんですけど、今はもうコンディションを戻すことを一番に考えています。もちろん対戦相手の対策とか、試合の作戦に基づいた練習はしていますけど、まずはやっぱ自分のコンディションですね。

僕はMMA=コンディションが大切だと思っていて、MMAは一瞬の隙で勝負がつくじゃないですか。だからその一瞬でちゃんと動けるようなコンディションが必要だと思っています」

――確かにMMAは柔術と比べると攻防の瞬間瞬間にやることも多いし、判断も多いと思います。

「あとはすごく人に見られるわけじゃないですか、アマチュア競技と違って。だからその緊張感ですよね。数カ月前にも試合していて、そこで勝って『フォー!』となっていれば、そのテンションで次の試合にも出るんですけど、今回は試合そのものが久しぶりだし、しかも直前の試合で負けている。

色んな嫌なことを経験したから、今は一試合一試合が自分にとってすごく重い。だから総合の試合では過去一で緊張してるかもしれないです」

――改めて横山選手は柔術とMMA、それぞれどこに戦う楽しさや喜びを感じていますか。

「自分の人生はずっと柔術をやってきて、家族でやっている柔術ジムが自分の生活の基盤になっています。今のジムは父が代表で、父と兄と僕の3人がインストラクターなんですけど、父は50歳でも黒帯の試合で優勝して。兄も30歳で全日本チャンピオンになった。父と兄で十分柔術の結果を出してるから、インストラクター3人のうち1人はMMAをやってもいいかなっていう。

父と兄がいなかったらずっと真面目に柔術だけやってると思うんですけど、今は柔術は父と兄に任せて、僕は総合にチャレンジする役じゃないけど、ジムの会員さんたちでも、RIZINとか総合が好きな人が多いから、そういう人たちにとってはジムの誰かが総合に出るほうがある意味盛り上がるっていうのもありますね。

あとはやっぱり本当に、シンプルに総合がずっと好きなんですよ。小さい頃からPRIDEとかDREAMを見て総合をやりたいと思っていたから、その頃の自分の夢を叶えるじゃないけど、あと2~3年間で総合をやりきって、また柔術だけの生活に戻りたいなと思っています」

――横山選手の中ではある程度MMAをやる期間を決めているんですね。

「MMAの練習ばっかりやっていると、どうしても純粋な柔術のレベルは落ちるんですよ。それはそれですごく自分的にはプレッシャーで、早く柔術に戻らないと、柔術に戻った時に苦労するのが分かっています。自分は柔術を死ぬまでやるつもりだし、逆に総合はマジでやって35歳ぐらいまでだと思ってるから、今は死ぬ気で総合をやりきって──ですね。

あとはやっぱお金ですね。家族もできたし、娘も生まれたし、家族で海外旅行とかそういう遊びにもいきたいので。ちょっと総合で稼ぎたいなとは思ってます」

――今回NEXUSでの防衛戦をクリアしたらて、その後はまたRIZINに出ていきたいですか。

「そうですね。僕はNEXUSデビューで、NEXUSでチャンピオンになったことでRIZINデビューできて。NEXUSがあったから今の自分がいると思っています。だからちゃんとNEXUSのチャンピオンとしての役目(防衛)を果たして、RIZINにチャレンジしたいです」

――今回は岸野選手の対策もされてると思いますが、一番は自分のパフォーマンスをちゃんと出し切ることですか。

「岸野選手は、打撃に特化した選手とか寝技に特化した選手というよりはオールラウンダーで、バランスの良い選手だから、本当に自分のパフォーマンスをいい状態に仕上げて、力が100%出せれば絶対に勝てるっていう自信があります。もちろん、相手の動画はちゃんと見ているし、油断はしてないです」

――横山選手自身も見ている側も、横山選手がRIZINのトップ戦線に絡んでいくことを期待していると思いますが、そこはどう考えていますか。

「自分はRIZINデビュー戦では勝てたんですけど(山本琢也に一本勝ち)、2戦目でやった摩嶋選手はRIZINの主要メンバーじゃないですか。だから摩嶋選手のような相手を倒して初めてRIZINファイターを名乗れるというか。RIZINに1~2回出たことがある選手じゃなくて、RIZINで何戦もしてる選手を倒さないと、自分をRIZINファイターとは言えない。日本で総合をやるからにはちゃんとRIZINファイターになることが大事だと思うので、まずはそこを目標にしています」

――胸を張ってRIZINファイターを名乗ることが当面の目標ですね。

「そうですね。摩嶋戦の時にどういう心境ですか?と聞かれて『これが公式なRIZINデビュー戦だと思ってます』と答えたんですよ。それで見事にやられたんで、RIZINファイターは強いなというか。これが日本のトップなんだなと感じました。でもしっかり練習していけば、そこら辺も倒せる自信はあるので、これからまた頑張っていきます!」

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NEXUS o RIZIN ジェイク・ウィルキンス 小倉卓也 山本琢也 山本空良 摩嶋一整 村井和道 横山武司 河村泰博

【Fighting NEXUS】横山武司復活!岸野”JUSTICE”紘樹と対戦!

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8月25日にニューピアホールで開催されるFighting NEXUS vol.36。河村泰博(和術慧舟會AKZA)×小倉卓也(スカーフィスト)のバンタム級タイトルマッチをプッシュしたばかりですが、さらなる豪華カードが追加発表されました。フェザー級チャンピオン横山武司(Swells柔術ジム)が岸野"JUSTICE"紘樹(トイカツ道場)とのタイトルマッチに臨みます。

横山は全日本柔術選手権アダルト黒帯フェザー級で優勝したグラップラー。Fighting NEXUSでプロデビューすると寝技を武器に3連勝。わずか3試合目でRIZIN常連だった山本空良を判定で下してフェザー級チャンピオンを戴冠しました。

その後はRIZINに参戦すると契約体重オーバーの山本琢也から腕十字で一本勝ち。次戦の摩嶋一整との重厚なグラップリング対決には敗れ、その後に網膜剥離の手術を受けたものの、プロ戦績は5勝1敗(4試合が一本勝ち)で27歳と伸びしろ充分。強気な性格と引き出しの多い寝技を武器に改めてブレイクしても不思議ではありません。

対する岸本はFighting NEXUSライト級チャンピオン。ジェイク・ウィルキンスを下して王座を戴冠すると、今年になって1階級下のフェザー級に挑戦。2月には4連勝中だった村井和道に判定で競り勝ってタイトル挑戦権を獲得しました。

派手さはありませんが、立っても寝ても安定感があって、グラウンドで上をキープも出来る選手。横山の仕掛けを封じ込めてドロドロの競り合いに持ち込めば、フィジカルにモノを言わせて競り勝つ可能性も充分。河村×小倉とのダブルメインだけでも観戦する価値アリ。見逃せません。
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DEEP Grachan Grachan65 MMA MMAPLANET o Road to UFC TSUNE UFC   ロクク・ダリ 中村京一郎 伊藤空也 原口伸 大原樹理 大搗汰晟 天野哲宏 宮内拓海 小谷 小谷直之 山本琢也 岩﨑ヒロユキ 岸本篤史 手塚基伸 林RICE陽太 桜井隆多 金井一将 鈴木崇矢 阪本洋平 高須将大 黒井海成

【Grachan65】岸本篤史戦はKO勝利を宣言、ロクク・ダリ─02─「タイトルマッチにふさわしい選手になる」

【写真】前編の舌出しとは打って変わって素の表情に--ちなみにリモート画面の背景は何の関係もないそうです(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65「15TH Anniv」のメインイベントで、岸本篤史と対戦するロクク・ダリのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

MMAキャリアのほとんどをグラチャンで戦ってきたダリ。一度はGRAND王者となるも、ベルトを失いウェルター級からライト級に転向した。その先に目指すタイトルマッチへの想いに、格闘技に対する姿勢は真摯な姿勢が見られた。

<ロクク・ダリ インタビューPart.01はコチラから>


――ダリ選手は派手な試合内容と言動が目立つこともありますが、そのファイター観というのは理解できます。

「ありがとうございます」

濱村 でも毎月試合をしたいという割には、たまに連絡がつかなくなったりするんですよ。

「アハハハ! いろいろあるの。いろいろと、ね(笑)」

――何か言えないようなことをしているのですか(笑)。

濱村 別に言えないようなことじゃないんですよ。たとえばスマホの画面がバッキバキに割れて電話できなくなり、『いま奥さんのスマホから連絡しているんだけど――』って。そんなことが何回もあるから、『なんでそんなにスマホの画面が割れんねん!』と(苦笑)。

「ゴメンナサイ。私のスマホで子供がゲームしていることもあったり、いろいろあるの」

濱村 それだけじゃなくて、書けないこともありますよ。

――アハハハ。楽しそうなお話ですが、本題に戻ります。ダリ選手は2014年にプロMMA3戦目からグラチャンに出場しています。対戦相手は上山龍紀選手でした。

濱村 3戦目で上山さんと対戦できるなんて、激アツじゃないですか! もともと僕がグラチャンに出たことがあったので、以前から岩﨑ヒロユキ代表と面識はあったんですよ。細かい経緯は覚えていなくて申し訳ないのですが、その関係で岩﨑さんからお話を頂いて。

「僕がグラチャンに出始めた頃は、格闘技を始めてそんなに時間が経っていなかったです。当時は留学生として日本に来ていて、吉田道場で練習させてもらっていた時にグラチャンのアマチュアに出ました。当時はグラチャンだけでなく、日本の格闘技団体のことはよく分からないまま『ダリ、この試合どう?』『Here We Go!』という感じで試合に出ていました」

――当時から「Here We Go!」の精神だったのですね。

「2015年にDEEPで米田さんと試合をしてから、『これからはグラチャンでやっていく』という話をしたんですよ。大阪のグラジエーターに出たこともあるけど、それはグラチャンの選手としてGRANDタイトルマッチに出場しました。あの時は岩﨑さんから『グラチャンの選手として絶対に勝ってほしい』という気持ちが伝わってきたんです。その気持ちが嬉しくて、岩﨑さんにも『僕が絶対にベルトを獲るから』と約束したし、実際にGRANDのベルトを巻くことができて良かったですね」

――そのGRANDタイトルマッチまで8連勝を収めていますが、2019年に入りウィル・チョープと桜井隆多選手を相手に2連敗を喫しました。

「桜井さんとの試合は本当にショックでした。1R、2Rの途中まで自分が勝っていて、最後に『これは行けるかな』と思ったら負けてしまった……。ベルトまで獲られてしまって。ただ、桜井さんは凄いですよ。あれからまだ頑張っているし、今回も出るからね」

――桜井戦でGRANDのベルトを失ったあとは、何を目標としていたのでしょうか。

「試合後は『もう一度ベルトを獲りたいね』と思っていました。でもコロナ禍で試合できなくなって……。その頃に岩﨑さんから『ライト級でやってみる?』と言われたんですよ。もともと僕はウェルター級で試合をする時、ほとんど減量をしていなくて――普段から77キロか78キロぐらいだったから。僕も70キロなら落とせると思って、ライト級でやることにしました」

濱村 ずっとウェルター級でやっていたのは、プロデビュー戦で大原樹理選手と対戦した時に減量を失敗したからなんですよ。

「……あの時は何も分かっていなかったね。でも今はいろいろ勉強してきて、ライト級まで落とせるようになりました。ライト級に落としたほうが体の調子は良いです。試合でもリラックスして体を動かすことができるようになりましたよ。いま考えると、ウェルター級の時は相手が大きかった(笑)。『この人、同じ体重!?』と思うぐらいで。ライト級で、ようやく他の選手と同じ体格になった気がしますよね」

――そこで次はライト級でグラチャンのベルトを獲ろうと考えていたのでしょうか。

「いつかタイトルマッチをやりたい、という話はありました。でもその前に、順番がある。僕も最近はグラチャンに出ていなかったし、ずっとライト級で戦っている選手もいるから。僕はベルトが欲しい。やっぱりベルトを持っていると――気持ち良いじゃないですか。ベルトを持っていたら、僕はベルトを一緒に寝ます。まるで子供と一緒に寝るみたいに(笑)。

でもファイターは、ベルトのことばっかり考えていたらダメですよ。もしライト級の実績がない時に岩﨑さんが『ダリ、次はタイトルマッチだよ』と言ってきても、それは僕にとって良くない。まずファイターなら、いつでも試合ができるように準備しておく。ひとつ一つ試合で勝って、タイトルマッチにふさわしい選手になっていかないといけないですね」

濱村 こういうことを言って、急に良い子ぶるところがあるんですよ(苦笑)

「いや、たまには真面目なことも言わせて(笑)」

濱村 いまダリが言ったことは、本心です。普段は真面目なことを言わずに、こういう時に本心で真面目なことを言うから……。先ほど言ったように、連絡が取れなくなってムカッとする時もあります。でも格闘技の話をすると『あぁ、格闘技との向き合い方は本当に真面目なんやな……』って誤魔化されます(笑)。

――では次の対戦相手、岸本選手の印象を教えてください。

「岸本さんとは前に一度、試合が決まっていました。でも相手の怪我か何かで、試合が流れたんですよ。それでもう一度、僕とやりたいと思うなんて――岸本さんは凄いと思います。絶対に僕が勝つのにね。必ずKOしますよ」

――ライト級王者の原口伸選手がRoad to UFCに出場であるため、ベルトの行方は原口選手の結果次第というところです。ただ、今大会のダリ×岸本、小谷×林のライト級2試合がタイトルマッチに繋がっていくのは間違いないでしょう。

「次の試合は絶対に勝ちますよ。それで僕がタイトルマッチにふさわしい選手になれるんじゃないかと思っています。だからグラチャンには次か次の試合で、ベルトを用意しておいてほしい。僕はノー・ドーピングで頑張りますよ」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grahan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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DEEP Grachan Grachan65 MMA MMAPLANET o PANCRASE TSUNE UAEW パンクラス ロクク・ダリ 中村京一郎 伊藤空也 大搗汰晟 天野哲宏 宮内拓海 小谷 小谷直之 山本琢也 岸本篤史 手塚基伸 林RICE陽太 桜井隆多 藤田大 藤田大和 金井一将 鈴木崇矢 阪本洋平 高須将大 黒井海成

【Grachan65】運命の手塚基伸戦へ、TSUNE―02―「自分のやれることを出して、必ずベルトに辿り着く」

【写真】諦めない。昨年12月の悔しさを糧にして――(C)MMAPLANET

10月15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、手塚基伸と対戦するTSUNEのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

ノンタイトル戦で現役王者の手塚を倒し、ベルトを賭けた再戦まで繋げたいTSUNE。そのTSUNEにとって手塚とは、一人の対戦相手というだけではなく、実は「先生」だった――。オファーが届いた時、格闘技を始めた頃の記憶が蘇った。そして、この対戦に運命を感じずにはいられない。10月15日、万感の思いを込めてホーンが鳴る!

<TSUNEインタビューPart.01はコチラから>


――グラチャン初参戦で現バンタム級王者の手塚選手とのノンタイトル戦に臨みます。

「……手塚さん、僕のことを覚えていますかね?」

――手塚選手はインタビューで「TSUNE選手とはドリーマージムの食事会で話をしたことがある」と仰っていました。

「えっ!? 覚えてくれていたんですか。僕がドリーマージムに入った時、手塚さんはクラスの指導を担当していて、僕はいち会員でした。だから僕のことは覚えていないと思っていたんです。今回の試合が終わった後に、『僕のことを覚えていますか? 実はドリーマージムで……』なんて聞こうと考えていたぐらいで(笑)」

――TSUNE選手は藤田大和選手のご家族が運営していたドリーマージムで格闘技を始め、当時ドリーマージムのMMAクラスは総合格闘技道場コブラ会が指導を担当していました。コブラ会から手塚選手が指導で大阪から岡山へ派遣されていたのですよね。

「はい。だから手塚さんって、僕にとってはドリーマージムで最初に格闘技を教えてもらった先生なんですよ(笑)。年齢も近いし、話しやすい人で、いろいろ教えてもらいました」

――当時の手塚選手の印象はいかがですか。

「メチャクチャ強かったです。ニーインザベリーだけで抑え込まれて『プロ選手に抑え込まれると、こんなに動けないんだ!』と思いましたから」

――TSUNE選手も東京に移ってMMAでプロデビューし、バンタム級で戦っていくなかで手塚選手との対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を考えたことはなかったです。僕がプロデビューしてからDEEPを中心に試合をしていた時、手塚さんはいろんな大会に出ていたじゃないですか。それで僕がパンクラスに参戦になってからは、手塚さんはパンクラスに出ていなくて。だから手塚さんと交わることはないのかな、と思っていました」

――大会会場で話をすることもなかったのですか。

「会場で見かけることはありましたけど、僕のことなんて覚えていないだろうと思っていたので……。その時は手塚さんも忙しそうでしたし、改めて挨拶する時間もなかったというか。今は東京と大阪で離れていますしね。手塚さんの言う食事会のことも覚えていますよ。もともと僕はプロ選手になりたいと言っていたから、大和のお父さんが手塚さんを呼んで食事会をセッティングしてくれたんです」

――今回の試合が決まった時、藤田大和選手は何と仰っていましたか。確か藤田選手もMMAクラスに参加していたはずですが……。

「手塚先生と試合するんですね、と言っていました」

――藤田選手は手塚選手のことを、完全に「先生」呼びなのですか。

「当時、大和は中学生でしたから。その時に組み技を教わっていた人だから、今でも『手塚先生』と呼んでいますよ。だから今回の試合は、セコンドを大和にお願いしたかったんですけど」

――完全にドリーマージム繋がりの試合になりますね。

「でも大和がUAEWに出ることが決まって。さらに大会が20日から17日に変更されたので、セコンドにはつくどころか試合の日は東京にもいないんですよね」

――なるほど。それは残念です……。

「でも僕が今回勝って、次のタイトルマッチに繋げますから。ベルトを賭けて再戦する時は、大和にセコンドについてもらいます」

――ドリーマージムは今年に入って惜しまれながら閉館となりました。その年に手塚選手とTSUNE選手が対戦するのは、何か運命的なものを感じずにはいられません。

「不思議な縁ですよ。おそらくプロモーターサイドも、オファーした時点ではこの繋がりを知らなかったと思います。大和のお父さんが始めたジムから、こうして皆が繋がって。一番はこの試合を、大和のお父さんに見せたかったですね。もうお父さんは亡くなっていて……、天国から僕と手塚さんの試合を見ていてほしいです。

格闘技ファンは『ドリーマー』と聞いたら、格闘DREAMERSを思い浮かべるかもしれません。でも僕たちにとっては、あのドリーマージムであり――今回の試合は、僕たちの『格闘技DREAMERS』なんです」

――それだけの想いがこもった試合ですね。では改めて、先生としてではなくファイターとしての手塚選手の印象を教えてください。

「印象は――タフな選手ですよね。年齢は僕より2歳下だけど、いろんな大会で戦ってきて、たくさんベルトも巻いてきている選手です。手塚選手って、やることが決まっているタイプだと思うんです。でも、それで勝つことができる選手は数も少なくて。強い、とにかく強い相手です」

――対して、TSUNE選手もやることが決まっている選手だと思います。あるいは、この試合で新しいものを見せることもあるのでしょうか。

「いろいろ準備はしていますけど、まずは自分のやれることを、試合で出す。それを出せるように、今はいろいろと練習で試しているところです。全てが終わったら――いつか大和も交えて手塚選手と酒でも飲みながら、ドリーマージムの話をしたいですね。その前に、必ず勝ってベルトまで辿り着きます」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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DEEP Grachan Grachan65 MMA MMAPLANET o Road to UFC TSUNE UFC ショーン・オマリー パンクラス ルクク・ダリ 中村京一郎 伊藤空也 修斗 大搗汰晟 天野哲宏 宮内拓海 小谷 小谷直之 山本琢也 岸本篤史 手塚基伸 林RICE陽太 桜井隆多 金井一将 鈴木崇矢 阪本洋平 高須将大 黒井海成

【Grachan65】J-MMA Rookies CUPフライ級決勝=鈴木崇矢「格闘技をして、生き物として強くなりたい」

【写真】J-MMA Rookies CUPは、鈴木のような立ち位置にいる選手にとっては本当に良い機会になったことだろう(C)MMAPLANET

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65「15th Anniv」のJ-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦で鈴木崇矢が金井一将と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

格闘DREAMERS出身、POUNDSTORMでプロデビューし、J-MMA Rookies CUPを順調に勝ち進んできた鈴木。3月のトーナメント一回戦を終えて、MMAへの向き合い方が変わり、気持ちを新たにMMAに取り組んできたことという。UFCという明確な目標に向けて、MMAファイターとして進化を続ける鈴木に話を訊いた。


――GRACHAN65でJ-MMA Rookies CUPフライ級 決勝戦を控える鈴木崇矢選手です。試合が目前に迫っていますが、今の心境ですか(※取材は11日に行われた)。

「いつも通りの試合前だなって感じで、今はもう落ち着いています。いつも緊張よりも楽しみな気持ちの方が大きいので『やばい。試合だ…』ではなくて『よし! やってやるぞ!』って気持ちです」

――5月の準決勝ではしゅんすけ選手のシングルレッグを潰してバック→マウントをとってからのパウンドアウトでした。あの試合の良かった点、悪かった点はどこですか。

「今まで以上にMMAとしての練習をがっつりやったうえでの試合で、何が来ても大丈夫と思えるぐらいチームと一緒に作り込むことができた試合だったので、それがああいう結果になったと思います。良かった点・悪かった点というより、MMAの練習をして試合に臨めたという部分で、一つの道が開けた・見えた試合ではありました」

――それまではそこまでMMAらしい練習をしていなかったということですか。

「僕は殴って勝つことが好きなので、そのための練習ばかりになっていたんですよ。でも3月の一回戦(小田魁斗に判定勝ち)が終わったあとに自分の戦い方を見つめなおして、ちゃんとMMAとして勝つためには何が必要なのかを髙谷(裕之)さんと岡見(勇信)さんに指導してもらって、それがちょっとずつ形になる中で臨んだ試合でした」

――ずばり「試合になったらぶっ飛ばせばいい」くらいの感覚だったのですか。

「はい。とにかくタックル切って殴る、みたいな。でもMMAをやる人間としてMMAをちゃんと理解して学ばないといけないと思いました。練習そのものはむちゃくちゃキツくて、僕は落ち込みやすい性格なんです。自分がイメージしている動きと実際の自分の動きにギャップがあると、それが段々と積み重なって、本当に落ち込んでました(苦笑)。でもそこで踏ん張って練習を続けたからこそ見えてきたものがあります」

――具体的にはドリル練習などを増やしたのですか。

「それまではスパーリングばっかりやって、それで練習した気になっていたんです。5月の試合前は自分が嫌な態勢から始めるシチュエーションスパーやドリルを延々とやって、完全に心が削れていましたね(苦笑)。今思えばそんな簡単にできるものじゃないんですけど、この時期に細かいけど自分の土台になる練習をやってもらいました」

――鈴木選手は空手出身で、MMAに必要なレスリング・グラップリングの練習を一から学ぶことは苦手分野でしたか。

「テイクダウン狙いを切ることには自信があるんですけど、MMAで勝つためにはそれだけではいけなくて。MMAはやればやるほど味が出るというか、いぶし銀の競技だと思うんですよ。そういう技術や歴史を髙谷さんや岡見さんから教わると『先輩たち、やばい!』みたいに思って。MMAに対する深みっていうんですかね。やっぱり3月の試合で『ちゃんとMMAをやらないと強くならない』って身体が感じたんです。

感覚、瞬発力、反応、僕の場合は若さ。今はそれに任せてバババババッ!と動けちゃうんですけど、それには限界がある。例えば今のUFCチャンピオンはほとんど30代で、一番若いショーン・オマリーでも28歳なんですよ。これって絶対何か理由があるよなって思った時に、僕はMMAをやりこんだ時間と量だと思ったんです。だったらやるしかねえじゃん──みたいな。MMAはやることが多いというのは頭では分かっていたけど、自分の身体で気づけたことはこの半年くらいの大きな収穫だったと思います」

――そういった意味ではプロ3戦目でJ-MMA Rookies CUPのような各団体を交えたトーナメントに出場することが決まったことは大きなステップアップですね。

「僕がプロで出た試合はPOUND STORMとEXFIGHTなので、ある意味、身内の大会だったと思うんです。だからJ-MMA Rookies CUPで初めて外の大会や試合に触れたのでデビュー戦のような気持ちでした。しかも各団体の選手たちと交わる貴重な機会だったし、本当にありがたいです」

――しかも出場選手のキャリアがほぼ同じという部分も刺激になると思います。

「オファーをもらった時からモチベーションは高いですね。修斗の新人王とかパンクラスのネオブラッドトーナメントとかDEEPのフューチャーキングトーナメントとか、若くてキャリアが浅い選手のためのトーナメントって各団体にあると思うんですけど、そういう戦いを団体関係なくできるっていうのがすごくワクワクするんですよ。何て表現したらいいか分からないけど…ワクワクしました(笑)!」

――決勝で対戦する金井一将選手にはどんな印象を持っていますか。

「シンプルにガンガン前に出てくるグラップラーですよね。僕が勝つパターンと苦戦するパターンがはっきりイメージできる相手かなと思います」

――MMAファイターとしての成長を感じる中、どんな試合をして勝ちたいと思いますか。

「今の僕はめちゃくちゃ強いんで、一方的に相手を殴って、気づいたら相手が倒れているんだろうなって感じです」

――レスリング・グラップリングの技術が上がったことで打撃の面でプラスになったこともありますか。

「ルーツである空手とMMAの打撃を上手くミックスできているので、今まで以上にスピードも威力もタイミングも精度も上がっていると思います。今の自分が試合をしたらどうなるんだろう?という自分への楽しみもありますね」

――トーナメント優勝も含めて、今後に向けてどのような目標を持って戦っていきたいと思いますか。

「ちゃんと優勝することが大前提として、UFCに出るためにはどうしたらいいかを考えたときに、今だったらRoad to UFCがアジア人にとってUFCへの明確な道だと思うんですよ。チャンスがあればいつでも出ていきたいし、国内でベルトを獲ることもRoad to UFCへの近道になると思うので、ベルトも狙っていきたいです」

――今日初めて鈴木選手を取材しましたが、明確な目標を立てて、そこから逆算して自分がやるべきことを考えられる選手だと感じました。UFC王者の年齢を自分と照らし合わせて考える選手は少ないと思います。

「ありがとうございます(笑)。僕は格闘技をやっていて生き物として強くなりたいという気持ちがあって、その基準で一番強いのはUFCチャンピオンだと思うんですよ。だから(MMAを)始める前からUFCチャンピオンなろうと思っていたし、UFCチャンピオンになるという目標・意思は本当に固いです」

――それでは最後にファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

「いつも応援ありがとうございます。しっかり勝って優勝してくるので楽しみにしていてください!」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grahan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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DEEP Grachan Grachan65 MMA MMAPLANET o RIZIN TSUNE UFC VTJ パンクラス ルクク・ダリ 中村京一郎 伊藤空也 修斗 国内MMA 堀友彦 大搗汰晟 天野哲宏 宮内拓海 小谷 小谷直之 山本琢也 手塚基伸 林RICE陽太 桜井隆多 藤田大 藤田大和 鈴木崇矢 阪本洋平 高須将大 黒井海成

【Grachan65】TSUNEと対戦――手塚基伸―01―「極めるのが浪漫」&「なんちゃって格闘技ではない試合」

【写真】前列左から2番目が若き日のTSUNE。後列中央が手塚、左端は藤田大和 in ドリーマージム時代(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、TSUNEと対戦する手塚基伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

手塚が初めてグラチャンに出場したのは、2014年4月の中村謙作戦であった。あれから約9年が経った今の手塚にとってのグラチャンとは――。さらに今回対戦するTSUNEとの意外な関係についても語る。

<手塚基伸インタビューPart.01はコチラから>


――ここで手塚選手とグラチャンの歴史についてお聞きしきます。手塚選手のグラチャン初出場が2014年4月の中村謙作戦でした。当時、どのような経緯でグラチャンに参戦することになったのでしょうか。

「2012年からパンクラスを経てUFCに出たあと、VTJやROAD FGCを含めて4敗していました。その時にグラチャン代表の岩﨑(ヒロユキ)さんからオファーを頂いたんです。なぜあの時の自分に声が掛かったのか分からないんですけど(笑)。

グラチャンからのオファーを受けた理由は、一番はベルトが欲しかったからです。昔から沖縄の天下一ファイトや、パンクラスでもランキング上位には入るけどタイトルマッチが組まれなくて。だからベルトへの執着心もあったし、年齢的にも――当時は25歳ぐらいで、『ここらへんでベルトを獲っておきたい』と思っていました。その時期に来たグラチャンからのオファーはタイトルマッチやったんで、飛びつきました」

――当時のグラチャンの印象はいかがでしたか。

「今でこそグラチャンも大きくなったけど、当時は大会中ずっと音楽がガンガン鳴っていたり、他のMMA大会とは雰囲気が違っていたじゃないですか。そんなグラチャンに出ることが決まって、周りからはボロクソ言われましたよ。『手塚は堕ちた』って」

――国内MMAといえば修斗、DEEP、パンクラスなど「老舗」と呼ばれるプロモーションがあります。手塚選手がグラチャンに参戦した当時は、インディー系と呼ばれた他のプロモーションと老舗3プロモーションの序列が今とは違い明白でした。

「正直、自分もグラチャンを見たことがなくて。あと自分もまだUFCを捨てきれていなかったというか、またUFCに出られるんじゃないかという雰囲気もあったんです。まず国内でベルトを巻いて、もう一度UFCへ――という想いだったので、まさか自分のホームになるとは考えていなかったですね」

――ではグラチャンをホームだと考えるようになったのは、いつ頃でしょうか。

「俺がグラチャンを背負うと思ったのは、グラチャンンのベルトを巻いたあとにグラジエーターで大道翔貴選手に負けて(2016年7月に判定負け)、次にZSTで柏崎剛選手と対戦した頃(同年11月に判定勝ち)ですね。大道選手に負けて、現グラチャンン王者として申し訳ないという気持ちでベルトを返上しましたから。その頃からグラチャンへの愛が芽生えてきたのかな、と思います」

――2019年からは修斗に参戦しています。その時も、グラチャンの選手として修斗に出ているという気持ちは強かったのですか。

「グラチャンの10周年記念大会(2018年9月、GRACHAN36)で堀友彦選手に負けてベルトを獲れず、自分は一度引退したんです。当時は試合に出ながらアルバイト生活みたいな感じで。だけど子供が生まれたから……堀戦で負けたら引退して、ちゃんと仕事を始めようと思っていました。結果は負けて、とある会社の正社員になってMMAからは離れたんです。でも8~9カ月後ぐらいに復帰することになった際に、『自分はもうグラチャンには必要ない選手やな』と思って」

――というと?

「もうグラチャンのバンタム級では全員と対戦していましたから。それやったら新しい場所で、気持ちも新たにして戦おうと考えました」

――様々なベルトを獲得した手塚選手にとって、もう一度グラチャンのベルトを獲りに行ったことは、どういった意味を持っていたのでしょうか。

「子供にベルトを見せたかった――それが一番ですね。先ほども言ったとおり子供が生まれたばかりの時の試合で。そう考えると、僕のキャリアの節目には、常にグラチャンがあったような気がします。まずベルトが欲しいと思った時に最初のオファーがあって、子供が生まれた時にベルトを見せたい、負けたら引退しようというのが堀戦で」

――堀戦以降はグラチャンの試合を含めて7勝1敗の戦績で、グラチャンのベルトも取り戻しています。何再び上昇気流に乗っているような感覚はありますか。

「実は、ありますね(笑)。RIZINのヤマニハ戦は負けてしまいましたけど、その前には6連勝していますから。それも『格闘技と共存しよう』と思ってからですよね。格闘技も大事やし、家族もジムも大事。特に子供は――今5歳なんですけど、今この時間は戻らないものじゃないですか。だから、できるだけ子供と一緒にいる時間を増やしたいです。でも死ぬ時に後悔したくないから、MMAもしっかりやりたい。どれかが突出することなく、全てがうまく回り始めているのかなと思います。

昔は時間があったから、いろんなことをやろうとしすぎてパンクしかけていましたよね。でも今は『できないことは止めて、できることを伸ばそう』とかも考えることができる。たとえば以前は壁を使って立ち上がるとか……苦手なことを身につけようとして(苦笑)」

――苦手なことって、自分で言ってしまいましたね(笑)。

「アハハハ。それを練習しても、試合では使わなかったですしね。今は逆転の発想といいますか、引き込んで極めるという」

――特にグラチャンのベルトを取り戻した伊藤空也戦では、ケージを使ってテイクダウンするのではなくケージを使って極めるという、ある意味新しいスタイルを見せました。

「やっぱり僕にとっては極めることがMMAの浪漫で、僕に対してその需要があるかぎりMMAを続けていきたいです。最近は手の置き方、体の動かし方や重心移動とか、ようやく『力を使わずに極める』ということが分かってきました」

――そして迎える15周年記念大会でTSUNE選手と対戦します。TSUNE選手について、今まで対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を意識したことはないけど、TSUNE選手が本名で戦っていた頃から試合は視ていました。年齢はTSUNE選手のほうが2歳上ですけど、やっぱり同じ時代を生きて来たファイターですからね。とにかくトップキープが強い選手で、お互いに『やることは決まっている』というタイプですよね」

――TSUNE選手の試合を視ていたのは、過去に繋がりがあったからですか。

「あぁ、岡山県のドリーマージムですよね」

――2008年ごろにTSUNE選手が格闘技を始めたのが岡山県倉敷市のドリーマージムで、手塚選手も当時ドリーマージムのMMAクラスで指導されていました。

「そのドリーマージムの食事会とかで、TSUNE選手と話をした記憶はあるんですよ(笑)。確かもともと野球をやっていて、ドリーマージムには一般会員さんとして入会していたと思います。それが食事会だったと思いますけど、いずれ東京でMMAをやりたいという話を聞きました。不思議なもんですよね。ここでその2人が試合をするとは……」

――本当に不思議な縁です。そのTSUNE選手との試合は、どのような内容になると思いますか。

「相手が何をしてこようと、何かしてきた時にパッと対処していきます。特に試合のプランがあるわけではなく、そこに足があれば足を極めるし、腕があれば腕を極めたい。僕って、直感型やと思うんです。何か考えながら動くよりも、パッパッと流れで動くことで、決められなくても次の流れに繋がっていくじゃないですか。自分も長いことMMAをやってきたので、その流れは身体に染みついています。

グラチャンの15周年記念大会で、パンクラスのベルトにも挑戦したことがあるTSUNE選手と対戦できるのは嬉しいです。お互い30代後半で、SNSで盛り上げるような『なんちゃって格闘技』ではない試合を見せることができると思います。ぜひ期待してください」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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