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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN27 キック サンジャル・ザキロフ 和田竜光

【ONE FN27】好きなように攻めさせなかった和田だが、ザキロフを止めることはできず……判定負け

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
サンジャル・ザキロフ(ウズベキスタン)
Def.3-0
和田竜光(日本)

左ハイのザキロフが、スピニングバックキックを繰り出す。和田は下がらず右を当てる。直後の組みの展開で、すぐに離れた和田が右を伸ばす。ザキロフは右ローからハイ、直後にダブルレッグテイクダウンを決める。和田は立ち上がると、離れたザキロフがスピニングホイールキックへ。と、和田のカーフで姿勢を乱したザキロフは腕十字を防がれると、足を取られた状態でトルネードキックを見せてスタンドに戻る。

直後の組みに和田は、右を差して首相撲からエルボーを放つ。ザキロフはヒザ蹴りも、急所に入り試合が中断される。リスタート後、ワンツーからヒザのザキロフ。和田はカーフで再び、尻餅をつかせる。ザキロフはダブルレッグを切られ、コーナーに和田を押し込む。ボディを打ち合い、離れてカーフの和田がザキロフの組みをかわし、右を当てる。和田はしっかりとダブルレッグを切り、回転系の蹴りも食わない。ザキロフはジャブを当てるも、和田はカーフを続ける。残り10秒で右を当てた和田に対し、ザキロフが再び急所にヒザを入れてしまう。互角の攻防だが、イケイケのザキロフは思い通りにならない試合にフラストレーションを感じているか。

2R、ザキロフが右カーフ。スピニングバックキックをかわした和田は、ボディを殴る。ザキロフは派手な蹴りとダブルのコンビも、和田は倒されない。とジャブを伸ばし、スイッチスタンスのザキロフの前蹴りがまたも急所に入る。スイッチはカーフが効いている表れか。

3度目の中断、ザキロフにイエローカードが提示された。再開後、ジャブを当てたザキロフに対し、和田はテイクダウンを切る。右アッパーも見せるザキロフが、拳の攻撃で攻勢を握りかける。和田は下がらず、スピニングバックキックを腹に受け、続くダブルレッグでエプロンに。リング中央で下の状態で試合が再開されると、すぐにロープまで移動した和田はバックを譲って立ち上がる。一度引き、直後にジャンプしてバックを制したザキロフがボディトライアングルを取って、グラウンドへ。後方からパンチを受ける和田は流血が見られ、右目が腫れている。

殴る合間に、勢いをつけてRNC狙いのザキロフ。エルボーはグローブで防ぐが、鉄槌で殴られた和田は明白にリードを許した。

2R、ザキロフはジャブからダブル。切った和田はジャブを伸ばし、右アッパーへ。ザキロフが組んでヒザ蹴り、和田は右フックを入れて離れる。和田はジャブをブロック、バックキックをかわしてテイクダウンを切る――が、待ちの状況だ。右を伸ばして前出た和田は、テイクダウンを切ると左フックを空振りする。

必死で組み続けるザキロフは、逃げ切り狙いか。ボディを殴られた直後に右を入れた和田は、テイクダウンの防御で時間を取られてしまう。ジャブから右の和田、ザキロフはテンカオを繰り出す。蹴り、テイクダウンを動き続けるザキロフは攻めている印象を残せている。一発が欲しい和田だが、右は空を切る。残り1分、右をガードするザキロフがトルネードキック。疲れているはずだが、手を出し続けるザキロフは後ろ回し蹴りから、背中をつけてガードポジションを取る。

背中を見せたザキロフを殴った和田だが、ザキロフは立ち上がってタイムアップを迎えた。基本的にバック奪取はそこまで大きな効果点でないONEルールだが、競り合いのなかではインパクトは大きいか。効果的より、手数を取る傾向もあるだけに……果たして、ジャッジは3者揃ってUNDEFETEDというTシャツを着たザキロフを支持し、13連勝を達成。MMAは厳しいということを試合展開はともかく、結果で和田は見せることはできなかった。


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【ONE FN27】身長差12センチ、澤田千優対戦──モン・ボー「もうワンパンチ・ファイターじゃない」

【写真】計量前夜、動いて汗をかいていたモン・ボー。澤田とともども計量&ハイドレーションもクリア。セレモニアル計量とファイトを残すのみ(C)MMAPLANET

明日11 日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night27「Tang vs Abdullaev」が開催され、モン・ボーが澤田千優と対戦する。

11年と2カ月前のMMAデビュー戦で、ともにプロMMA初陣だった現UFC世界ストロー級王者ジャン・ウェイリを倒しているモン・ボーは、女子MMA界屈指のハードパンチャーだ。しかし、打撃主体の母国でのMMAではカバーできていた弱点=組み技の完成度の低さは、ONEで戦うと彼女の強ささえもスポイルするようになった。

そして一昨年11月に三浦彩佳にアヤカロックを極められると、タイのパタヤに拠点を移したシンジャン・ファイトジムを離れてなんか、プーケットのタイガームエタイで汗を流すようになった。徹底的にレスリングと柔術の強化に取り組んだモン・ボーは、澤田との対戦を前に「弱い自分を乗り越えることができた」と、この1年を振り返る。

身長差は12センチ、長所がハッキリした対戦は澤田、そしてモン・ボーにとって──MMAファイターとしての完成度の高さが問われるタフファイトになりそうだ。


――1昨年の11月に三浦彩佳選手のアヤカロックで敗れて以来、実に14カ月ぶりの試合となりました。この間、これだけ試合間隔が空いたのは何か理由があったのでしょうか。

「そうね、長い間試合をしてこなかったわ。ONEから試合出場の要請がなかったこともあるけど、自分の方から急いで試合をしようとは思っていなかったのも事実で。私にはまだ組み技、寝技に穴があったから。

この14カ月の間にレスリングと柔術の練習をしっかりと積んできた。そして、ONEが私の相手を見つけてオファーがあった。新しいモン・ボーを見せる時がやってきたのよ」

──その1年強の間、タイで練習していたのですか。

「そうね。タイガームエタイで1年間、練習してきた。日本人選手とも練習してきたわ。リョースケ・ホンダとか。その甲斐もあって、今ではグラップリングやレスリングにも自信が持てるようになった。もちろん、打撃に関しては自分の力は把握している。弱点を克服しただけでなく、長所を伸ばすことができた。その成長を今回の試合で見せたいと思う。

私は自分の力を把握している。グラップリングも今では悪くない。何より、自信がついたことが大きい。以前は寝技の展開になることを恐れていた。でも今ではそういう……弱かった自分を越えることができた。まずは自分自身に勝てたと思っているわ」

──女子アトム級の最強のパンチャーが、より強い拳を持つことになったのですね。

「私のパンチは、一発で相手を倒すことができるわ。でも、それだけじゃダメだった。今ではコンビネーションを使えるし、レスリングも柔術もできる。ウェルラウンディット・ファイターになった。全ての局面で、進化できたわ。もうワンパンチ・ファイターじゃない」

──成長を感じるなかで、ONE女子アトム級最強のレスラーである澤田選手と相対します。

「彼女の試合は、全てチェックしたわ。とても気持ちの強い選手ね。1度でもテイクダウンを決めると、そこから攻撃を止めることがない。どれだけパンチを顔面に被弾しても、絶対に諦めない。本当に強いファイターで。それだけの覚悟を持って、私も土曜日には戦うつもりでいるわ」

──公称では身長差は12センチです。このサイズの違いをどのように捉えていますか。

「確かに彼女は背が低いわ。でも、凄く力強い。私は背が高いけど細い。どうなるか、試合が始まってみないと……」

──背の低い選手が、テイクダウンを得意としている。その点はどのように対策を?

「もちろん対策練習はしてきたわ。でも、彼女のような体格で、彼女のように強い練習相手を見つけることは簡単じゃないから(笑)。それでも、しっかりと作戦を立てて練習はしてきた。それに私の方が、リーチがある。距離をコントロールして、自分の間合いで戦いたい。

ファイトはファイト。本当に次の1秒で何が起こるか分からない。でも、ファンにKOを見せたいと思う」

■放送予定
1月11日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE FN27対戦カード
<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]タン・カイ(中国)
[挑戦者] アクバル・アブデュラエフ(キルギス)

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)暫定王者決定戦/5分5R>
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ(米国)
コディ・ジェロム(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
パルハム・ゲイラティ(イラン)

<サブミッショングラップリング・180ポンド契約/10分1R>
トミー・ランガカー(ノルウェー)
ダンテ・リオン(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
ジョン・リネケル(ブラジル)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
サンジャル・ザキロフ(ウズベキスタン)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アーロン・カナルテ(エクアドル)
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
モン・ボー(中国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
スーブラック・トー・プラン49(タイ)
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FN27 RIZIN サンジャル・ザキロフ ブログ 和田竜光

【ONE FF27】和田竜光と対戦、サンジャル・ザキロフ「和田は戦って小遣いでも稼ぎたいんだろう?」

【写真】自信か、過信か。盛り上げるためのトラッシュトークか。全ては試合で明らかになる(C)MMAPLANET

11 日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night27「Tang vs Abdullaev」が開催され、日本から出場する和田竜光とサンジャル・ザキロフが対戦する。

今大会のメインはONE世界フェザー級王者タン・カイに、キルギスのアクバル・アブデュラエフが挑む。和田と戦うザキロフはウズベキスタン人ファイターでONEにも北米、RIZINと同様に中央アジア旋風が置きつつある。

キャリア10勝0敗、ONE FFで本田良介を破り、予定されていた箕輪ひろば戦は2度に渡り流れた。そして迎えたキャリア最強と言ってもよい和田と戦いを前に、ザキロフをインタビュー。「こいつ、舐めてんのか」と思わされるほど、挑発的な言葉を21歳の無敗のファイターは冷静かつ淡々と発し続けた。


ミノワは僕と戦うことが嫌なんだろう

――昨年の10月にサンジャルのインタビューをさせてもらったのですが、ファイトウィークに箕輪ひろば選手が交通事故に遇い、その後遺症で試合がキャンセルとなりました。

「ミノワが試合をキャンセルせざるを得なかった事実は受け止めたけど、凄く残念だった。本当に何が起こるか分からないことだけど、非常に奇妙な状況だったよ」

──結果的にチームで話し合い、試合に出ないことを決めた箕輪選手ですが、彼自身は最後まで戦いたい気持ちもあったのでセレモニアル計量の時に、負傷していることを懸命に隠さないといけなかったようです。フェイスオフで何か、異変を感じることはありましたか。

「全く。彼がケガをしているなんて、思いもしなかったよ。僕自身、試合がなくなることを知ったのはファイトが始まる30分前だったしね」

──う~ん!!

「それもマネージメント・スタッフから聞かされた。ONEは当然、それより早くミノワが戦えないことを把握していただろうね。僕としては、なら代役と戦うことになるのか、延期になるかの2つに一つだと思う。ただ単にキャンセルになっって、他のことは何も決まっていないことに驚かされた。まぁ、戦う30分前にソレを知った僕には何もできることはなかった。

しっかりと準備もしていたし、残念で仕方なかった。いや、残念という以外に僕の気持ちを表現することはできなかったよ。それでも、僕としてはすぐにでもミノワと戦いたかった。実際、インスタで『いつ、戦えるんだ?』とミノワに問いかけさせてもらった。結論としてすぐに戦うことはできず、彼が戦える状態になるまで時間が必要ということになった。

正直、アイツは僕と戦いたくないんだと思う。例えケガをしていても、ファイターなら目の前にいる相手と何とかして戦おうとするはずだ。でも、ヤツは時間をおきたいと言っていた。ミノワは僕と戦うことが嫌なんだろう」

──う~ん、万全の状態でないなら戦いたくないということだと思いますが……。

「OK、ハラショー。もう、ヤツのことはどうでも良いよ」

僕自身、普段は68キロから70キロある

──ともかく箕輪選手がすぐに試合ができる状況でないことで、和田竜光選手との試合が決まりました。

「まぁ、ワダの方が遣り甲斐のあるある相手だよ。ミノワは僕にとって、白星が1つ増えるギフトのようなモノだった。ワダはミノワより強い。経験も豊富だ。確か36歳だよね。でも、36歳になったワダは勝つために試合に出ているのかな?」

──ハッ? どういうことでしょうか。

「もう分別のある大人だろう? あの年齢になって、戦い続ける目的は金だよね。ワダは戦って小遣いでも稼ぎたいんだろう? まぁ、それでも普通に危険な相手だと思っている。同時に凄く危険な相手ではない。ワダに苦労することはないよ」

──う~ん、サンジャルは相当に断定的なモノの見方をしているのですね。耳にしていて、楽しいですよ。

「君が楽しもうが、不愉快になろうが関係ない。ただ、僕は事実を口にしているだけさ」

ワダの狙いはクリンチだ

──なるほどです(苦笑)。和田選手は私どものサイトのインタビューで「ザキロフはランカーでないけど、ジャレッド・ブルックスの次に強い相手だ」と話していました。

「ワダという選手は、凄く現実的なモノの見方ができているんだね。ただ僕の強さを認めていても、本当の強さは分かっていない。僕がブルックスの次に強い? 絶対的に僕の方がブルックスより強い。ブルックスはワダほどじゃないけど、年齢を重ねている年寄りだ。もうピークを下っている。その証拠に前回の試合でリース・マクラーレンに負けたじゃないか。大したことないヤツに負けるんだから、ブルックスも大したファイターじゃない。

本当にワダが僕のことをブルックスの次に強いと思っているなら、軽く見られたもんだ。でも、そう思っているなら有難い。僕のことを正しく理解できていないんだから、試合はこっちのモノだ」

──ブルックスの敗北は、フライ級という階級も関係しているのではないでしょうか。そして和田選手も長らくフライ級で戦ってきた選手で、今回がONE階級では初めてストロー級、ハイドレーション・テスト有りの56キロで戦うことになります。

「ワダが階級を下げてきたことは気にならない。彼が以前は何級で戦っていたのかも関係ない。僕自身、普段は68キロから70キロある。その気になれば、いつでもONEフライ級で試合もできる」

──70キロ……。それでハイドレーション有りのONE計量で56キロまで落とせるものなのですね。

「ONEストロー級で戦うために、凄く精密なダイエットを行っているから計量は何も問題ない。きっとワダの方が、ストロー級で戦っても僕より細いはずだ(笑)。ワダは良い選手だよ。でも、さっきも言ったようにキャリアの最終局面を迎えている。もう試合に出るのは止めて、グローブを置くべきだ。だって、もうここから新しいキャリアを積み上げる気持ちなんてないだろう?  だから金のために戦っているって、僕は言っているんだ。もう引退すべき時を迎えているんだよ」

──う~ん、私からするとサンジャルの方が和田選手のことを軽く考えているのではないかと……。

「えっ? 何?? 確かにワダはウェルラウンディット・ファイターだけど、特別じゃない。全ての局面において、僕は彼を上回っている。試合が始まるとレスリング、寝技、打撃の全てでワダは僕の強さ、支配力に驚くことになるだろう」

──この試合の勝者が次期ストロー級タイトルコンテンダーとなりそうですが、タイトル挑戦権を手にするためにどのような戦いを見せる必要があると考えていますか。

「この試合は絶対的に、僕が挑戦権を手にするための試合だ。56キロ、61キロ、両方の階級で僕が世界最強だ。予定通りキャリアを積み、この2つの階級で世界一になる。それを止められるヤツは、いない」

──ところでワダ選手が得意としているオタツロックを知っていますか。DJも一度は捉えることができた。

「得意技? ワダの得意技はそういうんじゃなくてクリンチだよ。アイツはクリンチをして、息を整えるんだ。組んで休む、そしてアドバンテージを得ようとしている。僕との試合でも、ワダの狙いはクリンチだよ」

■放送予定
1月11日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE FN27対戦カード
<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]タン・カイ(中国)
[挑戦者] アクバル・アブデュラエフ(キルギス)

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)暫定王者決定戦/5分5R>
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ(米国)
コディ・ジェロム(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
パルハム・ゲイラティ(イラン)

<サブミッショングラップリング・180ポンド契約/10分1R>
トミー・ランガカー(ノルウェー)
ダンテ・リオン(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
ジョン・リネケル(ブラジル)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
サンジャル・ザキロフ(ウズベキスタン)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アーロン・カナルテ(エクアドル)
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
モン・ボー(中国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
スーブラック・トー・プラン49(タイ)
ドミトリー・コフトゥン(

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【ONE FN27】和田竜光、ストロー級転向でザキロフと対戦「強い相手から避けるつもりは一切ない」

【写真】ストロー級転向にあたり、自らザキロフを指名したという和田。ストロー級最強に向けた戦いが始まる(C)TATSUMITSU WADA

11日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN27で、和田竜光がサンザール・ザキロフと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

7月にシェ・ウェイに判定勝利した和田は試合後にストロー級への転向を表明。2025年最初のONE FNがストロー級転向初戦となり、対戦相手はロシアのザキロフに決まった。

ランキングにこそ入っていないザキロフだが、ONEでは本田良介をKOした試合も含めて3戦3勝。和田も「実力的にはジャレッド・ブレックスの2番手にいる」と認める強敵だ。

和田はストロー級で戦う上でザキロフを自ら指名したことを明かし、「ストロー級でONEのベルトを巻いたら、文句なくストロー級という階級においては自分が世界一だと言える」と語った。


――ストロー級転向初戦でサンザール・ザキロフとの対戦が迫ってきました。ザキロフ戦はどういった経緯で決まったのですか。

「話があったのは10月の後半くらいですね。前回の試合(7月にシェ・ウェイに判定勝利)が終わったあと『次からはストロー級でやりたい』という希望は伝えていて、それまでに試合の話はあったんですけど、色々と調整していくなかで1月の頭の大会でまとまった感じです。対戦相手に関してはザキロフとやることには何も問題はなかったので、そこはトントン拍子で決まりました。

というのも元々ザキロフは10月に箕輪(ひろば)君と試合が決まっていて、箕輪くんが交通事故に遭って、試合が飛んだじゃないですか。あの時に自分のSNSでも(ザキロフに)『俺とやらない?』って発信して、それをONEにも伝えてたんです。それもあってこのタイミングで色々とハマッた感じです。多分ザキロフと試合したい人もあまりいないだろうし、ザキロフも箕輪戦が飛んで試合をしたかったと思うんで」

――なるほど。一選手としてもザキロフには惹かれるものがあったのですか。

「僕がONEのストロー級を見ていて、ジャレッド・ブルックスが実力的にちょっと抜けていると思うんですよ。2月にブルックスとジョシュア・パシオが試合しますけど、僕は2番手にいるのがザキロフかなと思っています。

ランキングには入ってないけど、実力的にはそこですよね。ちょうど僕もストロー級に落として一発目で、いきなりランカーとやれればよかったですけど、まだストロー級では何の実績も残してなかったんで、そうなったらザキロフがちょうどいいじゃんと思ってました」

――ランキングには入っていない。でもトップクラスの実力がある。そういう相手と戦うことはリターンが少ないと思う選手もいると思うのですが、和田選手は実力がある相手とやりたいと思っていたのですか。

「今までのプロ生活でもそうなんですけど、僕は強い相手から避けて試合するつもりは一切ないんで。主催者からこいつとやれと言われればやりますって感じですけど、出来るならそういう強い選手とやりたいなっていう思いは常にあります」

――改めてザキロフの対戦相手としての印象はいかがですか。

「ストロー級っぽくない体型で、戦い方がちゃんとしているというか、ウェルラウンダーですよね。ストロー級は小柄でがっちりしていて、戦い方も偏ってる選手が多いじゃないですか。パワフルだったり、テクニカルだったり。その中でザキロフは自分みたいな感じかなと思います」

――自分と似ている部分があると感じますか。

「テイクダウンの方法はちょっと違うんですけど、打撃でプレッシャーをかけてテイクダウンに繋げて、トップコントロールで相手を削ってバックからRNCを狙う。 で、相手が起きてきたら、また打撃で仕掛けてテイクダウンにいく。打撃と組み技を連動させるという部分の考え方としては似てると思います」

――試合を見ているとパワフルさや力強さが目立つ選手ですが、そういった相手を攻略するイメージはできていますか。

「確かに試合を見ていて、テイクダウンが強くて、打撃も強くて、トップコントロールも上手で、 それこそロシアスタイルみたいな感じで、完成度が高いなとは思います。ただ組みで言ったら上久保(周哉)の方が強いでしょっていう。俺は普段から上久保と組んでんだぞっていう、自分への自信というか。

僕が上久保に練習で勝っていたら話は早いですけど、僕は上久保にやられてる側なんで、胸を張って自信があると言えないところがありますけど(苦笑)。でもそういう組みの強い相手は普段から体感しているので、ザキロフの組みが多少強かろうが、そこまでびっくりすることではないだろうなと思います」

――ザキロフの組みが強かったとしても、その強さまでイメージできているようですね。

「あとはこの前(12月)ブルックスがフライ級でリース・マクラーレンとやった試合を見て、やっぱりこのぐらいかっていう感じがあったんですよ。ストロー級のトップでも(フライ級でやっていた)自分とは差があるというか。

(ブルックスとやって)負けちゃうんじゃないかとは思わなかったんで。ブルックスが強いのは分かるし、実際に触れてみたら強いんだろうけど、あのぐらいだよねっていう」

――直前にブルックスとマクラーレンの試合があったことで、フライ級とストロー級の違いを見ることができた、と。

「もともとそう思っていたんですけど、改めてやっぱりそうだよね、このぐらいだよねと思いました」

――和田選手自身はストロー級への減量やコンディショニングはいかがですか。

「今のところ(取材日は1月5日)減量に関して言うと、体重は順調に落ちてます。あとは最後のところで『うわ、落ちねえ』っていう場面が来なければ大丈夫だと思います。動きに関しても、体重が軽くなって体がどうこうっていうのは、ここまでは感じてないんで、あと数キロでそこにピーンと来なければ動けるんじゃないかなというところまでは持って来ることが出来ました」

――今回の試合はランキング戦ではないですが、今後のストロー級戦線を占う一戦になると思います。この試合に勝ってタイトルを狙っていきたいですか。

「ベルトは当然1番の目標だし、変な話、ベルトにこだわってストロー級に落としたところもあるので、今回の試合で実力を証明したいところです」

――フライ級はなかなかチャンスが巡ってこないという部分もあったのでしょうか。

「フライ級はタイトルマッチが上手く回ってなかったですし、僕が今の位置からベルトを狙うとなると、もうあと何戦もやらないといけなかったと思うんですよ。実力で(フライ級のトップ選手に)劣ってるとは思ってないんですけど、僕が積んできてしまったものが、そうさせてるというか。

僕の中では負けたとは思っていない試合もあったけど、結果は負けになってしまって。そこを挽回してタイトルマッチまで行くような時間は正直もう作れない。それでいてコンスタントに試合するのが難しいとなおさらですよね」

――確かにそうですね。

「あとはストロー級という階級の話で言ったら、僕はONEが世界一だと思っています。もしフライ級にDJ(デメトリウス・ジョンソン)がいたら、DJがいる以上、ONEのフライ級が世界一かもって思えるじゃないですか。DJがアレッシャンドリ・パントージャとやってもDJが勝つんじゃね?とか。でもDJが引退しちゃって。これが(ストロー級転向の)後付けというか、結果的にそういう展開になったんですけど。

逆にストロー級でONEのベルトを巻いたら、文句なくストロー級という階級においては自分が世界一だと言えると思うんです。だから僕はONEストロー級のベルトには価値があると思うし、ストロー級はONEのMMAで一番価値がある階級だと思います」

――ONEでストロー級のベルトを巻けば、間違いなく世界一になった瞬間を味わえると。

「胸を張って言えると思います。あのリングにぶっ込まれて、『ストロー級で誰が1番強いんだ?』って聞かれたときに『俺だよ!』って。ONEの他の階級、例えばフライ級もレベルは高いけど、周りは『UFCにはパントージャがいるじゃん。朝倉海がいるじゃん、RIZINには堀口恭司がいるじゃん』って言うと思うんです。でもストロー級でチャンピオンになれば、誰もが『あいつがストロー級で世界一だ』と認めるしかないと思います」

――それでは最後にこの試合を楽しみにしている日本のファンにメッセージをいただけますか。

「僕が持っているスキルを出して、それをザキロフとぶつけ合うような試合になると思います。どういう結末・最後になるのかは分からないですけど、そういった部分を楽しんでもらえたら嬉しいです」

■放送予定
1月11日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE FN27対戦カード
<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]タン・カイ(中国)
[挑戦者] アクバル・アブデュラエフ(キルギス)

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)暫定王者決定戦/5分5R>
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
アリョーナ・ラソヒーナ(ウクライナ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ(米国)
コディ・ジェロム(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
パルハム・ゲイラティ(イラン)

<サブミッショングラップリング・180ポンド契約/10分1R>
トミー・ランガカー(ノルウェー)
ダンテ・リオン(カナダ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)
ジョン・リネケル(ブラジル)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
サンザール・ザキロフ(ウクライナ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アーロン・カナルテ(エクアドル)
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
澤田千優(日本)
モン・ボー(中国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
スーブラック・トー・プラン49(タイ)
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)

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デメトリアス・ジョンソンが引退を発表/ONEホール・オブ・フェーム第1号に

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デメトリアス・ジョンソンがMMA引退の可能性についてコメント(2024年09月02日)

 こちらの続報。



 9月6日にコロラド州デンバーのボール・アリーナで開催している『ONE 168』でデメトリアス・ジョンソンが引退を発表し以下のコメント。

「前回デンバーに来た時に、これが最後の試合になるかもしれないとみんなに言ったが、それは嘘ではなかった。もう終わりだ。総合格闘技で戦うのはもう終わりだ。この機会を与えてくれた皆さんに心から感謝したい」


 チャトリ・シットヨートンCEOはデメトリアス・ジョンソンがONEホール・オブ・フェーム第1号になることを発表しています。

Demetrious Johnson(Sherdog)

 デメトリアス・ジョンソンは1986年8月13日生まれで現在38歳。MMA戦績25勝4敗1引き分け(UFC戦績15勝2敗1引き分け、ONE戦績5勝1敗)。UFCフライ級王座11連続防衛記録は全階級を通じてもUFCレコード。日本人では山本“KID”徳郁、堀口恭司、若松佑弥、和田竜光と対戦しており、いずれも勝利しています。2018年10月にベン・アスクレンとのトレードでUFCからONEに移籍しました。続きを読む・・・
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UFC305:セミファイナル・カイ・カラ・フランス vs. スティーブ・エルセグ

フライ級。カラフランス4位、エルセグ7位。今大会唯一のオセアニア対決。

ニュージーランドのカラフランスはオセアニアUFCフライ級ファイターの草分け的存在。もともと、扇久保も出場した2016年のTUF24のフライ級王座挑戦者決定トーナメントに出場したが、トーナメントでは現王者パントーハに敗れている。TUF後の年末にはRIZINに参戦し、和田竜光と対戦したが判定負け。そこから中国を中心に5連勝して、2018年にUFC初参戦。22年7月にはモレノとの暫定王座決定戦に出場したが、3RKO負け。さらに昨年6月にもアミル・アルバジに判定負けして連敗。昨年9月のオーストラリア大会に出場予定だったが、トレーニング中の脳震盪により欠場。脳のダメージからの回復のため、約1年のリハビリを経ての復帰となる。31歳。

オーストラリアのエルセグはカラフランスが前回試合をした昨年6月の試合の1週間後にUFCデビューしたばかりだが、ランカーのダビッド・ドヴォジャークの相手が欠場したため、初戦がいきなりランカー挑戦となり、判定勝ちで1戦でランキング入り。2戦目も勝利し、今年3月にマット・シュネルに2RKO勝ちすると、当時ランキング10位ながら、王者パントーハへの挑戦のチャンスが回ってきた。試合はパントーハがスクランブルの展開で上回り王座防衛したものの、エルセグも予想以上の健闘と評価されている。今回はUFCで初めての地元凱旋試合。昨年2月、今回と同じ会場のパース大会の前日に行われたEternal MMAのメインで勝利したことによりUFCとの契約を果たした。レスリングがバックボーンで、首系のサブミッションを得意としている。29歳。

ワンツーで出たカラフランス。エルセグ詰めながら様子見。カラフランスが手を出すとバックステップでかわす。ジャブで距離を測るエルセグ。プレスするが手を出さない。ワンツー。カラフランスのパンチはバックステップする。飛び込んだカラフランスに左を合わせたエルセグ。また飛び込みにパンチを合わせたエルセグ。カラフランス飛び込むと左がヒットしエルセグダウン!パウンド!立ったがさらに追っていく。右が入ってさらにダウン!亀のエルセグにパウンドを入れレフェリー止めた!

飛び込んでの右をバックステップでかわしたエルセグだったが、カラフランスはさらに踏み込んで返しの左でダウン奪取。チャンスを逃さずに仕留めた。

試合後はタイトル挑戦をアピール。しかし連敗からの長期欠場明けなので、もう1試合勝利が必要か。

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【ONE FN24】山北渓人、世界最高峰で日本人対決。猿田洋祐「日本のストロー級を背負って来た自負はある」

【写真】長女、彩雪(いぶき)ちゃんと。ママがお迎えにくるまで、FIGHT BEAT WORKOUTで一緒に過ごす(C)MMAPLANET

明日3日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night24「Brooks vs Balart」が開催され、猿田洋祐が山北渓人と日本人対決を行う。
Text by Manabu Takashima

修斗とONEの世界王座を巻いたベテランが、パンクラス王者から世界最高峰ONEストロー級王座を目指す山北と戦う。世代、日本でのホームが違う山北との一戦はジム経営&指導をしながら、限られた時間をやりくりして現役ファイター生活を送る猿田にとって自分の戦いであり、自己肯定するためのファイトとなる。


苦しい試合になるのは分かっているので、そういう練習を小野島さんの力を借りてやっています

――2月のマンスール・マラチェフ戦、ジム経営者として初めて挑んだ試合に敗れ、今回の山北選手との試合はそれ以来となるファイトです。

「1年半以上、試合期間が空いての復帰戦でしたが、もちろん勝つつもりで戦っていました。準備期間は3週間しかなくても、ベストは尽くしました。その結果の敗北ということで、納得はしています。強かったです、あの押し込みとか。ケージだったら、もっと何もさせてもらえなかったかもしれないです。押し込みの力強さは、過去に感じたことがないモノでした。

でも3週間の準備で、あのレベルの選手とある程度戦えた。そこは把握できたので、それと同時に時間をかけないといけないということが分かりました」

──以前とは違いベルトを意識せず、強い相手と戦っていきたい。そのように話していた猿田選手ですが、復帰戦に負けても同じ気持ちで今回の試合に臨んでいるのでしょうか。

「年齢もあるので、どういうモノが残せるのか。ジムに関しても今はセミパーソナルのフィットネスジムですが、将来的には選手育成のジムを創りたいという目標を持っています。その時になって今の自分のように35歳を越えた選手が、どのような練習をして、どういうメンタルで試合に臨めば良いのか──。

もしくは遅くに格闘技を始めた人が、30代後半で結果を残すためにどういうトレーニングをすれば良いのか。それを自分の体を使って、実験しているような感覚で創っています」

──今の猿田選手にフィットしたMMAファイター人生を送ると。

「20代の後半、30代の前半のように長い時間の練習とか、3部練習とかは体の面、仕事の面で厳しくなっています。限られた時間で、試合に勝つために工夫をした練習をやっています。それで結果を残せるのか、それこそ今の自分がやっていることです。だから結果が欲しいです。

今できる最大限の練習をしているので、結果が伴わないと続けることができなくなるということですね」

──その限られた時間で工夫した練習というのは、どういうものなのですか。

「ジムでの指導が昼からある日は、朝早くにHEARTSに今年のネオブラTのストロー級で優勝した船田侃志に来てもらって練習して。今日のように夕方からの日は、小野島(恒太)さんと午前中に、CBW東中野でマンツーマンでスパーリングをしてもらっています。

HEARTSで皆が集まってやるプロ練習にも出たいのですが、ジムの都合で出られないのが現実で。だから自分のジムに選手に来てもらったりしています。それとマンツーマンの練習は効率が良いというのもあります」

──というと?

「自分の試合のためだけの練習ができるということですね。誰かに合わせたり、決められたことをするのではなくて。やりたいことだけを集中して短時間でできます。時間に追われているので、マンツーマンは良いと思います」

──つまり小野島選手とのマンツーマンの練習は、山北選手との試合のことを考えられたトレーニングで、小野島選手が強くなるとかということは考えていないことになるのですか。

「そこまで仮想・山北ということではないのですが、誰と戦っても最後は気持ちが大切になります。苦しい試合になるのは分かっているので、そういう練習を小野島さんの力を借りてやっています。

リバーサルジム川口リディプス時代に小野島さんが練習に来てくれて。小野島さんは打撃の選手で、僕は柔術がベース。互いにレスリング──つなぎの部分が足らないと感じていて。それこそ山北選手と同じMe.We所属でレスリングが得意な中村憲輔さんにパーソナル・レッスンをお願いして一緒にやるようになったのが12、13年前です。あれから週に1度、試合前は2度という感じでずっと一緒にやってきました」

──もうHEARTSのプロ練習には一切参加していないのですか。

「いえ、それでも金曜日にはHEARTSのレスリングとグラップリングのプロ練習に出させてもらっています」

──大沢ケンジさんと顔を合わせるのは、その日だけですか。

「ハイ。でも、ずっとLINEで連絡を取り合っています。自分が仕事でチェックできていない試合とか、『絶対に視ろ』ってメッセージが来て。視たら、その試合について話をしたり。ONEとかUFCでも、自分に合った攻撃や山北選手対策になるような動きがあると、その試合を視るように連絡が来ます。そして自分もチェックして、動いて答え合わせをする。大沢さんは格闘技の試合を見ている数が違っていて。本当に色々な試合を見ているので、たくさんアドバイスを貰っています。ここまでずっとやってきたので、毎日のように顔を合わせていなくても、大沢さんへの信頼は変わらないです」

山北選手との試合は、自分と戦うイメージです(笑)

──そんななか、山北選手のオファーを貰った時はどのような気持ちでしたか。

「今回、3カ月の準備期間があって。オファーが来た時は、ジムを任せられる人に確認を取って即答で受けました」

──国際戦の方が良かったという気持ちは?

「全然なかったです。基本的に誰とでも戦います」

──山北選手としては、世代が上の元世界王者を踏み台にする。そういう位置づけの試合かと思います。

「向うは元チャンピオンとか思っているかもしれないけど、そういう意識は自分のなかにはなくて。ジムにベルトを飾るのも本当は嫌なんですけど、ビジネスのために置いています(笑)。ベルトは1回取ったものなので。それより、今の自分がどうなのかっていうところに興味があります」

──マラチェフの押し込みの強さを経験したことで、山北選手とはどのような戦いをしたいと考えていますか。

「山北選手との試合は、自分と戦うイメージです(笑)。ONEと契約したころの自分と戦うような。勢いがありますよね。だから、自分もあるだろうし。自分は競技としてレスリングはやっていないのですが、レスリングと柔術を合わせた自分とよく似た戦い方をしています。似ている部分がたくさんあります。だからこそ、より勝ちたいという気持ちが大きいです。経験が違うということを見せたいですし……。」

──サクッと勝てる相手ではないですし、疲れる試合が予想されます。

「楽に勝ちたいとは思わないです。サーキットトレーニングとかで追い込んでいるのに、1Rで勝つと勿体ない。これだけ練習をしてきたのに。5分3R、全て戦いたいです」

──そういうモノなのですね……。

「試合が終わると、色々な感情があって。厳しいことを乗り越えて、反省会じゃないけど試合を振り返る。その時、厳しかった試合を振り返るのが、一番楽しいです。アハハハハ」

──マゾでナルじゃないですか(笑)。

「アハハハハ、確かに。自分に負けなかった。そこなんですよね。なんか普通じゃないことをやりたいんです。子供の頃から、ずっと普通って言われてきて。体操時代もそう。身体能力は決して高くなかったし、体力テストも平均的で。そんな感じだったから普通でないことに憧れていました」

──ならばタイトルには興味はなくても、ここで勝ってさらに上の相手と戦いという気持ちになりませんか。その方が、とことんしんどい試合ができます。そのために、山北選手とどのような試合をしないといけないと考えていますか。

「毎試合、気持ち的には変わらないですけど……自分から逃げないこと。楽な道とキツイ道があれば、常にキツイ道を選択していけるのか。そして、キツイ方に山北選手も引きずり込む。ただ、山北選手もそういうつもりで戦っていると思います。そこで競り勝てるのかどうかですね」

──個人的には山北選手がボカン戦の最終ラウンドで下になった時、彼の試合で初めて気持ちが途切れるような表情になったように見えました。

「マシーンになり切れていないのかも知れないですね。試合で感情を出さない。それも僕のテーマです。一生懸命になることも、なるべく出さないように戦っています。練って来た戦略通りに動いて、セコンドの声に従う。そこでスイッチを入れるという感覚でいて、それをまたやりたいですね」

──それこそマシーンになりきれた試合はありましたか。それが猿田選手の満足感に繋がると思うのですが。

「1度目のパシオとの試合ですね。あの時は途中から、疲れも感じていなかったです。ラウンドも分からない。ただ、大沢さんの指示通りに動く。マシーンになれましたね」

──つまり無心ということですからね。

「あの時も、準備期間がなかったんですよ。それこそ、普通じゃない。でもHEARTSに移籍してから、大沢さんは常に『普通じゃないことをやれ』って言っていて。だから試合スパンとか、修斗のチャンピオンになってからも、すぐに2階級制覇を目指して試合をしたり。大沢さんとやってきたから、僕もこうなったんだと思います」

──HEARTSから1分や2分の所に住んでいた時と変わらず、同じ気持ちで戦えるのか。本当に勝負ですね。

「まぁ『デキるのかな?』って不安に感じることはあります。普通の人なら諦めるなって思えるから、やり切れます」

──追い込みも指導が終わって、マシーンで一人でやっていると聞きました。ケツを叩く人がいなくても、それができるというのも……。

「正確にいうと、指導中にも同じ時間に自分を追い込んでいます(笑)。そこしか時間がないので。絶対にやると決めていることで、あとは夜にやるか朝にやるか。それだけです。スケジュールに書いたことをやらないと、自分は満足できないので」

──やはりマゾですね(笑)。

「アハハハ。本当にできるのかなっていう不安は、付きまとっています」

和田選手……やりたいですね。ストロー級、甘くないぞって

──この生活を続けるには、この努力に相応な相手を求めることかと思いますが、山北選手との試合後はどのような相手と戦っていきたいと思っていますか。

「戦ったことがない選手と、やりたいです。リト・アディワン、こないだ負けてしまったけどジェレミー・ミヤド。上の方だとボカン。そしてジャレット・ブルックス。あと5試合、契約が残っているので試合をするなら触れたことがない相手と戦いたいです」

──ストロー級転向を宣言した和田竜光選手とは?

「和田選手……やりたいですね。強いことは分かっているし、試合を見て勉強もさせてもらっています。練習でも触れたことがないから戦ってみたいです。それにストロー級、甘くないぞっていう気持ちもあります。階級を落としたからって、勝てるわけじゃない。ストロー級にはストロー級の厳しさがありますから、そんな楽じゃないぞと教えたいです。

自分も元々は修斗フライ級から、ストロー級に落としました。今は勝てていないので大きなことは言えないのですが、日本のストロー級を背負って来た自負はあります。そこの強さを見せたいし、まだ終わっていないということも証明したいです」

──UFCにストロー級がない限り、計量方法の違いでリミットも違いますが、ONEのストロー級は世界最高峰ですよね。

「ハイ。ONEのストロー級は世界一なんで。世界中のストロー級のトップがONEにやってきます。そこで強さを証明したいという気持ちは普通にあります。

だからこそONEのストロー級で6年、7年間やってきました。試合はどうなるか分からないですけど、自分のなかでは山北選手を圧倒する自信はあります」

■放送予定
8月3日(土・日本時間)
午前8時45分~U-NEXT

■ ONE FN24対戦カード

<ONE暫定世界ストロー級(※56.7キロ)王座決定戦/5分5R>
ジャレッド・ブルックス(米国)
グスタボ・バラルト(キューバ)

<ONEサブミッショングラップリング世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/10分1R>
[王者]ダニエル・ケリー(米国)
[挑戦者]マイッサ・バストス(ブラジル)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
フィリッピ・ロボ(ブラジル)
ナビル・アナン(アルジェリア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
デッドゥアンレック・ティーデ99(タイ)
ナックロップ・フェアテックス(タイ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャミル・ガサノフ(ロシア)
アーロン・カナルテ(エクアドル)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ドミトリー・コフトゥン(ロシア)
フェラーリ・フェアテックス(タイ)

<キック・フライ級/3分3R>
内藤大樹(日本)
エリアス・マムーディ(アルジェリア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
山北渓人(日本)
猿田洋祐(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ランボーレック・チョーアッジャラブーン(タイ)
クレイグ・コークレイ(アイルランド)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)
カルロ・ブーミナアン(フィリピン)

<ムエタイ128ポンド契約/3分3R>
アリーフ・ソー・デチャパン(ロシア)
ザガリア・ジャマリ(モロッコ)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ユー・ヨーペイ(香港)
エイミー・ピルニー(英国)

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【SUPER RIZIN03】この夏、一番危険な戦い。扇久保博正「初めての感情。本当に完膚なきまでやっつけたい」

【写真】これは──2カ月前だからできたインタビュー。メディアデーの最後に頭を使わせてしまい、終わった時には扇久保から安堵のような笑みが見られた(C)MMAPLANET

28日(日)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで行われる超RIZIN03で、神龍誠と対戦する扇久保博正。正式発表から5月の記者会見を経て、公開練習──そしてファイトウィークと試合が近づいてきても、その緊張感は高まるばかりだ。
Text by Manabu Takashima

格闘技は性善説に基づいて行われるもの。いや、あらゆるスポーツばかりか人間社会自体が性善説で成立している。そうでなければ車の運転もできないし、屋台でアメリカンドッグを買うこともできないだろう。

それが相手と争う競技、ましてや勝利を得るために目の前の人間を殴り蹴りし、倒して絞めるMMAは、自制心が欠かせない。タガが外れる瞬間、外すことができるファイターは強いが、外れっぱなしでは人間社会を生きていくことはできない。

どれだけ試合前にトラッシュトークをしようが、戦い終わってノーサイド。その姿勢こそが、プロが人前で戦う戦いだ。だからこそ、指導者と指導を受ける者として過ごした時代の因縁が、再燃しているこの戦いは危険だ。実際、扇久保は私生活を持ち出して対戦相手を嫌う様な言動をしたことなど過去になかった。「この感情が試合に影響することはない」という扇久保だが、神龍に対する呼称がインタビュー中も「彼」、「アイツ」、そして「誠」と変わり、一人称も「僕」と「俺」が交錯し続けていた。プロとして受ける取材と、感情の狭間に扇久保はあったように思われる。

そんな彼に神龍戦だけでなく超RIZIN03における立ち技格闘技出身ファイターの台頭を尋ねると、協調性と自負が感じられる──そう彼の人間性が溢れ出るような返答を聞くことができた。(※取材は5月24日の超RIZIN03の会見終了後に行われた)。
る。


早く、分からせてやりたいなって。彼の強さを認めた上で、そう思っています

──会見では神龍選手に対して、盛り上げるために一連の発言をしたのでしょうか。それとも何か身の内に想いがあって、あの言葉を発したのですか。

「榊原さんもリング上で『因縁がある』という風に言っていて、でもファンの皆はどういう因縁があるのか分からなかったんじゃないかと。その状況でも彼は、その因縁を説明をすることはなく普通に『フライ級の1番を決めます』という感じでるだろうなって予想していたんです。そうしたら、案の定そのままだったので。まぁ、盛り上げるためといえば盛り上げるためだったのかなぁ……」

──「いいか、お前」と話しかけておきながら、神龍選手が応えようとすると「黙れ。話を聞け」というのは、かなり理不尽に感じられました(笑)。

「アハハハハ」

──神龍選手の性格を考えると、トラッシュトークの枠を超越した本気モードの罵り合いになるという恐れもありました。

「そうなんですよ……」

──「指導員として、おかしい」という発言は完全にガチでしたね。

「でも、正直を言えばアイツとそれほど因縁があるとは思っていないんですよ(苦笑)。言った方は覚えていないですからね(笑)。でも、言われた方は凄く覚えているというパターンですね。それこそ会見で言ったトイレ掃除のくだりも、僕は全く覚えていなかったですからね。

第三者からアイツが根に持っていると聞いて。でも、それぐらいのこと皆にやっていますし。彼はトイレ掃除が嫌だったのでしょうね」

──そもそも神龍選手とはどれぐらいの期間、どの程度の付き合いをされていたのでしょうか。

「いつ入会したのかは覚えていないですけど、最初はキッズクラスに来ていたはずです。それから徐々に一般クラス、そしてプロ練にも出始めて。どんどん強くなってきて。何がきっかけで強くなったのかは記憶にはないのですが、凄く強かったことは確かです。

練習でも人が使わない、突拍子もない技。プロレスの技を使ったりしていましたね。もともとプロレスラーになりたかったんですよね。突拍子もないことを普通にやってのける子なんで、それが格闘技にも出てしますよね」

──ポテンシャルは認めていたと。

「ハイ。強くなると思っていました。体も柔軟で、やり辛さを感じていましたし。ただ……指導という面では付きっきりでやったり、ミットをずっと持っていたとかっていうことは、僕の記憶にはないです。

一般のテクニッククラスに誠が来ていた。そういう感じですね。あとは和田竜光選手とのタイトル戦とか、デビュー戦でセコンドに就いているんですよ。本当にイチ後輩というか、生徒という感じで見ていました」

──世代が違いますしね。松根良太&扇久保博正のような関係に扇久保博正と高橋誠もなり得たということではないですか。

「僕と誠が、松根さんと僕のような関係に? そういう風になろうとしているのかな……というのは、誠から感じることはありました」

──その気持ちに応えることができなかった?

「う~ん、これはもう詳細を話すと試合を盛り上げるためのインタビューに相応しくない内容になってしまうので……。ただ、常識が欠如したところを指摘したりはしました。そうですね、僕としては『誠な、世の中ってのはな……』なんて社会性を身に着けるために話をしたつもりではいました。

ちょっとね、浮いていたところがあったので。強くなるためにも、皆とコミュニケーションを取った方が良いというのが僕の考えだったし、そのためにはこうした方が良くないかということを伝えましたね。そうじゃないと、あれ以上強くなれないと思ったので。

でも、彼は僕が意地悪をしていると捉えたのかなかって。でも、俺ももっと変なことを言っていたかもしれないですね。まぁ、ウチのジムから離れた選手も当然いますけど、誠は特殊ですね。アイツは本当に、ウチのジムのカラーには合わない奴でした」

──リングの上に私怨があると、怖いです。

「これは僕も長い間戦ってきて、初めての感情ですね。本当に完膚なきまでやっつけたいと思っています」

──自分らのような生き方だと、それこそ人を本気で殴るという行為は若い頃に数えるほどあったに過ぎないです。だから、MMAファイターたちが試合で殴って、絞めて、勝敗もついている間柄で、一緒に練習をして会話をする。そこが凄いと素直に思うんです。自分だと、喧嘩に負けた相手は一生忘れないし、世間が許すなら今でも仕返しがしたい。ただ、そうやって会話や練習ができる人が戦うから、格闘技って成り立つんだと。

「そういう部分でいうと、今回の試合は本当にヤバいですよ」

──その感情がMMAファイターとして、扇久保選手の磁場を狂わせることはないですか。

「いや、全然ないですよ。早く戦いたい。早く、分からせてやりたいなって。彼の強さを認めた上で、そう思っています」

──その感情が勝負をするうえで、余計だと感じることは?

「あぁ、そこは大丈夫です。その感情に引きずられるようなことはないです。そこは自分に自信を持っています。自分のファイトスタイルにないことを、リングの上でやるつもりはない。誠が何もできなかったと思うような試合、そういう風な戦いにします。分からせてやります」

──あの若さと自信、そして実績もある神龍選手をそこまでにする自信があるわけですね。

「それこそ、肌を合わせたことがあるので。どこが強いのか、どこが弱いかも分かっています。彼の強いところを一つ、一つ潰します」

──弱さがあるとすれば、どういう部分でしょうか。

2018年4月28日の和田竜光戦。3Rでなく、2Rに向かう前の神龍

「気持ちでしょうね。

さっきも言いましたが、和田選手との試合でセコンドに就いて、3Rが始まる前に泣きそうになった顔を覚えていますから。『お前、試合中だぞ。気持ちを切らせるな』って怒ったんです」

──それも恨まれましたね(笑)。

「アハハハハ。ただ、その弱さが全てじゃないし。そこに捉われることもない。なんといっても、誠も成長をしているので。でもアイツには、絶対に負けないですね。そこは自信があります。

と同時にTHE BLACKBELT JAPANの若い連中は『分かるぞ、神龍』って思っているかもしれないですよ(笑)」

──アハハハ。その因縁とともに、この試合が超RIZINのなかで実施されるということで、扇久保選手には伺いたいことがあります。

「ハイ、何ですか(笑)」

キックができるからって、MMAで勝てるという風に簡単に思わないでいてほしい

──会見で、皇治×芦澤竜誠のような乱闘が起こりました。その会見を見ても分かるように、今大会はキックから転向してきた選手同士だけでなく、転向組がMMAファイターと戦う試合等が多く組まれています。この状況を俯瞰して、MMAファイターとして意地を見せるという気持ちを扇久保選手は持ち合わせているのでしょうか。

「僕は『俺はお前らと違うんだよ』という気持ちはないです。

乱闘劇の際の斎藤裕、所英男、扇久保博正の三者三様振りがおかしい

本物と偽物というのもなくて。皆、本物ですよ。それこそBreakingDownだって戦っているんだから、本物だと思っているし、偽物とは思っていない。

でもキックボクシングからの転向してきた選手とはやってきたこと、やっていることは違う。僕らが築いてきた技術と比べると、彼らがやっていることはどうしても浅い。そこは違うぞという想いはあります。ただし戦いとしては、全てが本物です」

──いうとキックボクサー×MMAファイター、キックボクサー同士のMMAの方が扇久保×神龍よりも、一般のファンには受ける可能性が高いです。

「う~ん、結局……本物が残るんで」

──……。

「あっ、本物って言っちゃいましたよね(笑)。せっかく、格好つけていたのに(爆)」

──アハハハハ。

「俺、自分で言っていることが分かっていないし、すぐに考えが変わっちゃうんですよ(笑)。だから良いところで編集をしてもらわないと。誠のことを言えないぐらい、俺も相当に変わっているんで(笑)」

──アハハハ。偽物とかではなくて、別モノという気持ちがあるということでしょうか。

「偽物とは絶対に思っていないです。僕はシュートボクシングの試合に一度出ていて、あの辛さを分かっているので。『こんなことをあの人たちはやっているんだ』と。だから、あの人達がやってきた凄さを認めています」

──とはいえMMAのルールで、日本で一番大きな大会でキックボクサーの占める割合が高くなっている(※結果的に11試合中、ベアナックルが2試合、特別ルールが1試合、MMAは8試合で、元キックボクサーが絡まない試合は3試合)。そこに危機感を感じることはないですか。

「だから……レベルの低い者同士が戦えば、面白いですよね。逆に高い者同士が戦うと、防御力が高いですからね」

──ただ元キックの選手達、強くなっていないですか。

「それは思っています。でもMMAとしての強さが一番なんで。だから斎藤(裕)君と久保(優太)選手の試合も、斎藤君が勝つと思っています。試合を見る人が、どう思うかは別で。MMA歴の短いキックボクサーの試合の方が動きが多くて、凄いように捉えられることはあるでしょうね。だから偽物でなく、別モノなんです。とはいっても、強さでいえば僕らの方が強い、確実に強いです。

同時にMMAは打撃から始まるので、打撃の圧力は重要で。そこはキックボクサーの人達は凄いです。そして、真剣にMMAに向き合っている選手もいます。これからは、そういう人達が増えてくること思いますし、もう次の超RIZINに表れています。それでも組み技は、すぐには強くなれない。練習をすれば強くなりますが、時間は掛かります。積み重ねが大切で、だからこそキックができるからって、MMAで勝てるという風に簡単に思わないでいてほしいです。

そのなかで僕の試合が、これがMMAだという試合になるかは正直分からないです。でも、自分がやってきたことを僕は信じているので。それを出していけば盛り上がる──じゃないけど、伝わるモノは絶対にあると思います。

僕はやっぱりRIZINのフライ級を、UFCを越えるフライ級にしたい。中央アジアとか強烈な連中が出てきているからこそ、僕と神龍の試合はRIZINフライ級にとっても大切な戦いになる。覚悟を持って臨みます」

■視聴方法(予定)
7月28日(日)
午後2時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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45 AB DEEP MMA MMAPLANET o TSUNE UFC YouTube   アレックス・ペレス キック ジョシュア・ヴァン ボクシング マネル・ケイプ ムハマド・モカエフ 修斗 和田竜光 岡田遼 平良達郎 松根良太 海外 食事

【UFC 】平良達郎&松根良太、師弟対談─02─「次が世界戦でなければ、モカエフ×ケイプの勝者と」(平良)

【写真】平良がUFC世界王者になるために、頑強が足場が整ってきている(C)THE BLACBELT JAPAN

UFC on ESPN58でアレックス・ペレスを倒し、フライ級で5位にランクされることとなった平良達郎と師・松根良太対談、第2弾。
Text by Manabu Takashima

UFC世界フライ級王座を見据え、武器を増やしながらも軸を崩さない平良の成長の裏には、強い信頼感で結ばれた人間関係とプロアスリートとして彼を支えるマネージメントの存在があった。

王座挑戦が現実的になってきた平良が描く、青写真はファンが見たくなるストーリーだった。

<平良達郎&松根良太対談Part.01はコチラから>


「ボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえた」(松根)

──課題を克服しつつ長所が伸びる。この稀な例を最高に引き出しているのが、平良選手の環境かと感じています。コロラドでの出稽古と拠点である沖縄での練習。そこがしっかりと調和できているようで。

平良 拠点は沖縄にある。そこは絶対です。そのうえでエベレーションファイトチームのコーチも「セカンド・ホームとして使ってくれれば良いから」と言ってくれています。

──練習をするならこっちに来て、チームの一員になれということではないと。

平良 そういうガツガツしたところはないです(笑)。だからってよそ者扱いすることなく、本当に親切で。それでも今回は試合前に行くのは初めてだったで、不安はありました。でもコーチ達もアレックス・ペレスの映像を視て、アドバイスをくれました。それはチームメイトも同じで。沖縄でやってきたことを信じ、最後にコロラドで練習をして良いイメージを持った状態でオクタゴンに上がることができました。

──その最後の調整に帯同していたのも松根さんではなくて、岡田遼選手だった。そこが機能するのも、THE BLACKBELT JAPAN平良チームの良さかと思います。

松根 試合が2度延期されて、ペレス戦が決まったのはジョシュア・ヴァン戦のために渡米する前日でした。あのタイミングで米国に行くと40日間ほど向うにステイしないといけない状態で。相手もペレスになったので、あのタイミングで渡米するのはよそうということになりました。

そこから2週間半、沖縄でペレスと戦うための準備をして、最後にデンバーで高地トレをしつつ時差ボケを解消するというプロセスがしっかりとハマりました。2週間半、平良とペレス戦について話して、対策を施した。そこを岡田に託して、米国で創ってもらえましたね。本当に岡田のサポートには感謝しています。岡田だからこそ、できたことだと思っています。

──3人の間に絶対の信頼関係があるからこそ、この選択ができたと思います。

松根 とても良いチームができています。その上で今年からセカンドキャリアというボクシングを主体としているマネージメント(井上尚弥、武居由樹、平岡アンディらプロボクサーをマネージメントしている)と一緒にやって行くことが本当に大きいです。

2023年まで沖縄の企業様の協力を頂いていましたが、去年の夏ごろからセカンドキャリアから声を掛けてもらって。色々と話をするなかで2024年から一緒にやって行くことが決まりました。「平良達郎をUFCチャンピオンにするためなら、何でもサポートをする」と言って頂けています。

今回のデンバーでの最終調整に関しても岡田遼、そして食事面のサポートをしてもらうために達郎のお母さんにも同行してもらったんですが、渡航及び滞在に必要な費用を全てセカンドキャリアが用意してくれました。「何不自由することなく平良達郎が勝てるベストの状況を整えて欲しい」ということで、最終合宿が実現できました。セカンドキャリアさんと一緒にやって行けていることは、本当に大きいです。

平良達郎の練習、睡眠、食事だけを考えることに集中して欲しいと、SNSやYouTube、テレビなど露出する必要もない。とにかく試合前は練習と体調管理に集中できています。

──プロとは?という部分で強調される露出と話題創り、ここを考える必要がないということですね。

松根 ハイ。オフの時に、自分でやりたいことがあればやってください──というスタンスなんです。これ以上ない、マネージメント会社とチームが組めたと思います。同時に長い歴史を誇るボクシング業界から、日本のMMAが少しでも認めてもらえたのかと。その最初の一例を平良達郎で創ることができました。後に続く選手たちに良い背中を見せることができています。

先ほど仰っていただいた打撃、テイクダウン、寝技のつなぎができていることに踏まえて、プライベートの部分もUFCチャンピオンになる環境が整ってきていると実感しています。

──松根さんの言葉も本当に力がこもっていますね。

松根 MMAで頑張る。達郎は今、MMA以外に興味がない人間になっていますね。

平良 僕はだらしないんで、SNSとかやると失言しそうで怖くて。

──炎上ビジネスとは真逆の人間性。ホッとします。UFCでも沖縄で煽りVが撮られるまでの位置にきた。それでいて、修斗で2回戦を戦っていた時のような純朴さが残っている。

平良 その辺りは変わらないです(笑)。というよりも、変われないです。

「達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ」(松根)

──一方で、平良選手のMMAは進化し続けている。前回の試合で話題になったオタツロックですが、着目するようになったのは、どのようなことからだったのでしょうか。

平良 和田選手が使っていることでオタツロックという技があるのを知って、修斗の頃からチョコチョコ使っていました。今ではオタツロックを意識しているというよりも、流れのなかでバックを取れば自然に出るようになっています。流れの中で使う技ですね。そこに関しても和田選手から、勉強をさせてもらえました。

僕はアマ修斗から修斗をやってきて、修斗しか知らなかったんです。そのなかでDEEPのフライ級チャンピオンだった和田選手の試合を視た時に、『全てがしっかりしている選手だ』と思ったんです。MMAとして全ての要素を混ぜて戦っていて、柔軟性がある。パンチも強くて、カーフキックも強い。和田選手の戦い方も好きで、注目して視ていました。

松根 実は達郎はデビュー2戦目で、オタツロックを使っているんですよ。

──そうだったのですね。自分は初めて撮影をした試合だったからか、両足フックの大翔選手をパウンドしたイメージが強かったです。

松根 両足フックを使う時もありますけど、以前からオタツロックでコントロールをしてきました。沖縄では達郎がオタツロックを使うということで、後に続く選手も多かったです。和田選手とは体形も違いますし、もしかすると独自で進化している部分もあるかもしれないです。

──ペレス戦ではスタンドでオタツロックを取り、すぐに煽りました。ペレスと垂直になるぐらいまで煽って、また背中に戻った。ペレスの軸が強いのもありますが、平良選手の軸とロックの強固さにも驚かされました。

松根 そういう技なんだよな?

平良 ハイ、そうなんです。

松根 日本では和田選手がいてくれて皆が知っていたけど、海外ではアルジャメインが「あの技はなんだ」と騒いでいました。なので、これから世界に広まるでしょうね。達郎もタツなんで、面白いですよね(笑)。

──確かに(笑)。

平良 だから僕のオリジナルではないということは、しっかりと言っていかないといけないと思っています。

松根 達郎のタツでなく、和田竜光選手のタツだと。

「何だかんだとモカエフが勝つ」(平良)

──そこを気にするのも、この師弟ならではです。そして、この勝利でUFCフライ級5位にランクされました。ここでパントージャの名前を出すことも説得力があります。実際問題、実現の可能性はどの程度に感じていますか。

平良 UFCのマッチメイク的に、これで進んでくれるのだったら、もうやれます。そうでないなら、次に誰かと戦ったあとで挑戦したいです。挑戦権を争ううえで一番盛り上がる……自分自身、一番燃えるのはやっぱりムハマド・モカエフとマネル・ケイプの勝った方と戦うことですね。僕自身そうだし、フライ級の流れとしても盛り上がるのではないかと思っています。この試合で勝った選手と試合をする方が僕も燃えますし、そこで勝つと「もう平良しかいないだろう」という空気になるでしょうし。

──7月27日、UFC304で対戦する両者。実はこの取材で、両者の対戦について平良選手の予想を尋ねたいと思っていました。

平良 まぁ……何だかんだとモカエフが勝つとは思うのですが、毎試合危なっかしい試合をしますよね。モカエフにはスパッと極めるイメージはもともとないです。でも1Rでフィニッシュできないと、危ない場面を見ることになるかと。それでもフィニッシュするにしろ、判定になるにしろ、モカエフが勝つと思います。

<この項、続く>

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN23 シェ・ウェイ ボクシング 和田竜光

【ONE FN23】マイスター和田竜光。首相撲&クリンチ、名人芸MMAでシェ・ウェイから3‐0の判定勝ち

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
和田竜光(日本)
Def.3-0
シェ・ウェイ(中国)

ジャブから右をシェ・ウェイが当て、いきなり和田が尻餅をつかされる。シェ・ウェイは右カーフを蹴り、ワンツーへ。和田はボディを返すと、クリンチからアッパーを入れる。左リードフック、右オーバーハンドを伸ばすシェ・ウェイ、続くカーフを和田はチェックしてダーティボクシングへ。そのままクリンチでコーナーにシェ・ウェイを押し込んだ和田だが、回ったシェ・ウェイが打撃の間合いに戻る。スイッチして左インローのシェ・ウェイだが、和田は右フックをヒットさせる。

さらに左ジャブを当てた和田。クリンチ、さらにその距離で打撃を交換した両者は、やや離れるが近い距離で神経戦のようなパンチ、蹴りの交換を繰り広げる。ワンツーの右を入れた和田は、続くクリンチからショートで姿勢を乱したシェ・ウェイを足払いで倒す。勢いのあるパウンドを落とし、立ってきたシェ・ウェイをコーナーに詰めて和田は初回を戦い終えた、

2R、和田は左リードフックから左ジャブ、そして右を当てる。シェ・ウェイのパンチをヘッドムーブでかわし、右ショート、右ミドルと和田が精度の高い攻撃を続ける。クリンチから離れて右フック、直後にクリンチで右エルボーを入れた和田に対し、シェ・ウェイはヒザをボディに突き刺す。和田はコーナーにシェ・ウェイを詰めると、腿にヒザを入れる。さらに腹に入れ、離れたシェ・ウェイに右フックからジャブを打っていく。

シェ・ウェイのミドルをブロックし、ボディを返した和田はクリンチアッパー。シェ・ウェイも右エルボーを返す。残り100秒、和田は小外刈りでテイクダウンを決めると、シェ・ウェイの表情が曇る。ワキ腹を殴り、腰を上げてパスの圧を掛ける和田。レフェリーが両者を中央に戻す。シェ・ウェイの腕十字を察知した和田が内側からエルボー、そして鉄槌を落とす。シェ・ウェイも下から殴るが、和田はトップのままラウンド終了を迎えた。

最終回、サッカーパンチ気味に右を当てた和田は左ボディを食らっても前に出る。首相撲でヒザのシェ・ウェイ、和田はエルボーを思い切り振るう。直後にアッパーを狙った和田は右を差して小外へ。ここはシェ・ウェイが耐えたが、右ショートを入れてコーナーに押し込む。離れたシェ・ウェイに右フックを2発当てると、和田はクリンチへ。ここから首相撲を外して右をヒットさせると、エルボーをガードしテイクダウン狙いに反応し頭が下がったシェ・ウェイの顔面にヒザを突き上げる。

シェ・ウェイはクリンチから離れて左エルボー、和田はボディにヒザ、拳を打ち込む。さらにエルボーを顔面に放つと、和田は右エルボー、ヒザにボディを入れる。ジャブ、右ストレートで前に出る和田が、ボディから顔面を殴る。シェ・ウェイも勢いのある右ショートフックを返すと、左縦ヒジを繰り出す。完全なドッグファイト、頭がぶつかる首相撲、クリンチ合戦、そしてダーティボクシングから最後の10秒は両者が離れる。

シェ・ウェイが思い切りオーバーハンドを振るい、距離を取った和田に跳びヒザを狙う。外して右を放った和田は試合が終わると、コーナーに上るシェ・ウェイとは対照的に勝利のアピールはなし。落ち着いた表情で判定勝ちのコールを受け、ようやく和田は笑顔を見せた。これこそ、職人芸MMAといわんとばかり――MMAマイスター和田が最高に味わい深い戦いを15分間披露した。


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