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【RIZIN】RIZINウエハース’24発売決定!

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昨年末、RIZINファンの間で話題沸騰したRIZINウエハース。「どこを探しても売っていない」「どこに売ってるの?」という悲痛な声がSNSで飛び交っていた頃が懐かしい。私もカードコーナーや食玩コーナーを覗くクセがつきましたもん。

そんな、はぐれメタルばりに希少価値の高かったRIZINウエハースの第二弾「RIZINウエハース’24」の発売が発表されました。ウエハースに同封されるRIZINカードのラインナップは次の通りです。

朝倉未来(SR)
芦澤竜誠
安保瑠輝也
伊澤星花(R)
伊藤裕樹
井上直樹
上田幹雄
宇佐美正パトリック
扇久保博正
太田忍
キム・スーチョル
久保優太
くるみ(R)
クレベル・コイケ
皇治
斎藤裕(R)
榊原信行(R)
篠塚辰樹
神龍誠
ジョニー・ケース
鈴木千裕(R)
鈴木博昭
萩原京平(R)
平本蓮(SR)
ヒロヤ
フアン・アーチュレッタ
“ブラックパンサー”ベイノア
ホベルト・サトシ・ソウザ(R)
堀江圭功
摩嶋一整
矢地祐介
YA-MAN
ルイス・グスタボ
RENA
シークレット1
シークレット2

SRの2種、Rの7種は選手のサインをデザインにあしらった光り輝くホロカードだそうです。今回もRIZINのレギュラーメンバーに加えて、くるみに榊原CEOという遊びの要素を残してちょうどいい塩梅。いぶし銀好きな私としては金原正徳、佐藤将光辺りがほしかったのですが、これは次回に期待しますか。
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そしてUFC参戦が確定している朝倉海の名前がないのはもちろん、現役のRIZINフライ級チャンピオン堀口恭司の名前がないのもちょっと寂しい。これも旅立ちの前触れか。。。何はともあれ発売は12月。もうあの無い無い尽くしを味わいたくない方は予約マストでお願いします。
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DEEP o RIZIN YouTube セルジオ・ペティス チャンネル 中村大介 井上直樹 佐藤将光 元谷友貴 太田忍 朝倉海

【DEEP】白川“ダーク”陸斗 バンタム級転向を正式表明!


昨日開催されたDEEP 120 IMPACT。チケットは全席ソールドアウト。立ち見席も販売される程の大盛況。試合もKO、一本の連続で神興行と言っても過言ではない大会となりました。

その中でも中村大介と大接戦の打ち合いをスプリットの判定で制した白川“ダーク”陸斗(JAPAN TOP TEAM)が自身のYouTubeチャンネルを更新。階級を現在のフェザー級からバンタム級に落とす事を明らかにしました。

確かに中村との試合を見る限り、群雄割拠のフェザー級で勝ち抜くのは至難の業。それであればバンタム級に落とした方がワンチャンありそうな気もします。しかも、同じジムの朝倉海が返上したRIZINバンタム級のベルトを取りに行くという大義名分もあるかなと。

でもバンタム級だとしても、井上直樹に佐藤将光、元谷友貴、そして成長著しい太田忍。継続参戦するならセルジオ・ペティスなど難点が盛りだくさん。この中で光ることが出来るか。まずは転向初戦の対戦相手に注目です。
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45 BELLATOR Bellator CS2024#03 MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN46 RIZIN47 UFC フランチェスコ・ヌッツィ 佐藤将光 太田忍 朝倉海 海外 牛久絢太郎

【Bellator CS2024#03】対戦相手がヌッツィからブランケに変更、太田忍「今はMMAのMぐらいまでは」

【写真】日本を離れる時には、相当に絞れているように見えた (C)TAKUMI NAKAMURA

22日(土・現地時間)、アイルランドはダブリンのスリーアリーナで開催されるBellator CS2024#03にて太田忍がローゲル・ブランケと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

4月のRIZIN46で牛久絢太郎に判定勝利し、RIZINバンタム級における存在感を見せた太田。当初6月のRIZIN47へのオファーもあったが、最終的にBellator CS2024#03への出場が決定した。年内でのRIZINバンタム級王座挑戦を目指す太田がBellator参戦を決意したのは、対戦相手がフランチェスコ・ヌッツィだったことが大きい。

12戦10勝1敗1無効試合という圧倒的な戦績を誇り、強烈な打撃を武器とするヌッツィとの戦いを楽しみにしていた太田だったが、日本を出発する2日前にヌッツィの欠場が決定。急遽5勝5敗のスペイン人ファイター、ローゲル・ブランケと対戦することとなった。

このインタビューは対戦相手変更直後、日本を出発する当日(※16日(日))に行われたもの。対戦相手変更に戸惑いはありつつもBellatorでの勝利、そして改めてRIZIN王座への想いを語ってくれた。


誰が相手でもやることは変わらない

──Bellator初参戦、そしてMMAに転向して初の海外遠征が決まりました。最初にオファーを受けた時の心境から聞かせてください。

「ちょうどグアムで遊んでいるときにマネージャーから連絡があって、最初は6月9日の大会(RIZIN47)に出られないか?って話だったんですよ」

――初めはBellatorのオファーではなかったのですね。

「RIZINが盛り上がるならと思い、出るつもりで返事をしつつ、体重と対戦相手をどうするかって話になったんです。その時に候補で出てきた相手が、正直ピンと来なかったんですよ。盛り上がる試合になるのかなって相手だったり、自分的には普通に勝っちゃうでしょって思う相手だったりで。

そうしたら6月のBellatorに出ないかと話がきて、最終的にBellatorに出ることになりました。」

──紆余曲折があってのBellator参戦だったんですね。特に海外で試合をしたいという希望があったわけではないのですか。

「そうですね。自分は海外でやるとしたら、RIZINでやることやってからと思っていたんで。でも矢地(祐介)選手が5月にBellatorのフランス大会に出てたりして、今後はRIZINから海外に出ていく選手もいるのかなとは思っていたました。

まさか自分のところに話が来るとは思っていなかったですけど。今回はこういうオファーが来たから受けたって感じですね」

──早く試合をしたいというのもあったのですか。

「自分は次は9月くらいでいいかなと思っていたんですよ。そこでタイトルにつながる試合ができたらいいなって。だから久々にゆっくりできるなと思っていたところにオファーが来て、最終的に来た対戦相手(フランチェスコ・ヌッツィ)がめちゃ強そうで魅力的だったんでやりたいなと思いました。ただ相手が代わったの聞きました?」

──いえ、それは初耳です。

「ヌッツィじゃなくなったんですよ(苦笑)。一昨日の夜にヌッツィが怪我で欠場でキャンセルになって、あんまりよく知らない選手(ローゲル・ブランケ)になりました、スペイン人の。まあ試合やるからには勝たなきゃいけないんで、きっちり勝ってきますけど」

──MMAでは初の海外遠征ですが、レスリング時代には何度も海外遠征を経験していると思います。調整方法など普段と違いはありますか。

「大して変わらないかなって思います。レスリング時代もどの国でやっても調整方法は変わらなかったんで。今回は試合の5日前くらいに現地に入るんですけど、いつもと同じです」

──とはいえ、相手がこのタイミングで代わってしまうと、ゲームプランは変えなければいけないですよね。

「そうですね。でも僕のファイトスタイルは、誰が相手でもやることは変わらないんで。テイクダウンして、ボコボコにするみたいな。唯一スタンドに関しては、ヌッツィがサウスポーで左ストレート・左の蹴りとか、結構大きい技があるんで、そこを警戒していたんです。けどブランケはまるっきりタイプが違って、構えもオーソドックスなんですよ。そこがちょっと気になるくらいですかね。でももう開き直っています」

──太田選手自身は4月に牛久絢太郎選手に判定勝ちして、対戦相手に関係なく意識して取り組んでいることや強化していることはありますか。

「まあテイク(ダウン)してコントロールして…というところでは、牛久戦というか(2023年10月に)佐藤将光さんとやった試合、あれが大きいですね。あの時はテイクしてもキープしきれなくて。あの試合からテイクして、しっかり自分のいい位置でキープしてコツコツ当てて、極めにいくところを強化しています。だから牛久戦はその途中って感じでしたね」

──佐藤戦の反省点が大きかったようですね。

「将光さんはケージの使い方が上手かったし、ケージ際での小技とか、テイク以前の攻防ですよね。こっちはくっつきたいけど、くっつかせてくれないみたいな。腿へのカカト落としだったり、細かいヒジ打ちだったり、そういうところの攻防が本当に上手だったし、それで僕はやりたいことをやらせてもらえなかったんです。

それを頭に入れつつ自分がどうテイクしてコントロールして…という練習を一番やっています」

──今まで自分が経験していなかった攻防があって、そこがやりづらかった感想ですか。

「そうですね。今まではそこを突き詰めなくても、ある程度は試合で出来ちゃってたんですよ。練習ではなかなか上手くいかないけど、試合では上手くいっているから『まぁ、いいや』みたいになっていたところがあって。正直、あの試合は途中で自分の中で手詰まりではあったんですよね。だからそこを変えたいとは思っています」

──今はより戦い方に隙がなくなっていますか。

「隙がなくなっているかどうかは分からないですけど、自分のやりたいことをもっと相手に押し付けられるようになってきたと思います。今はMMAのMぐらいまではできるようになってきたんじゃないですか」

ヌッツィとはやってみたかったです(苦笑)

──太田選手の中ではまだM止まりですか。僕はMMぐらいまで来たのかなと思っていたんですけど。

「まだMですね。実際、牛久戦はスタンドの打撃を一切やってないんですよ。際での打撃とかパウンドはやりましたけど。スタンドで対峙した時にジャブすら出してないんで」

──なるほど。いわゆる打撃の交換も、まだ試合では出してないことなんですね。

「まだ出せないです。練習ではいっぱい手数を出していますけど、カウンターをもらうリスクを考えたら、どうしても自分の安全圏で戦おうとするし、まだスタンドの打撃でいくという選択肢は取れないです」

──それこそ試合を重ねていくうちに色んな選択肢を選べるようにもなるわけですし、なおさらヌッツィとはやってみたかったんじゃないですか。

「それです。ヌッツィとは本当にやりたかったし、対策にも自信があったんですよ。すごく強い選手で穴が少ない選手だとは思いますけど、やってくることは結構明確だから、自分が勝てるという明確なゴールを何個か見つけることができていたんで。だからやっぱり……ヌッツィとはやってみたかったです(苦笑)」

──今RIZINでは日本人の海外遠征であったり、新規の外国人選手が増えたり、新しい流れもできつつあります。その中で太田選手はどんな試合をやっていきたいですか。

「対海外選手や海外遠征というのもありますけど、僕の今年の目標はタイトルに絡むこと。去年からずっとそれを言い続けてきたし、RIZINのタイトルを獲ってから、対海外かなと思っています。自分の希望は秋頃に一戦やって、大晦日にタイトルに挑戦することで、そこに向かう中でBellatorの試合や国際戦を求められるならやりますよというスタンスです」

──ベルトに対して、どういったアプローチができるのか。太田選手にとってはそこが一番なのですね。

「そうですね。チャンピオンになったらギャラも上がるだろうし(笑)」

──プロである以上、そういう話にもなってきますよね。

「もちろんそれだけじゃないですよ。チャンピオンになれば発言権も出てくるし、選択肢も増える。朝倉海くんが防衛戦をせずにUFCに行って、あれは特例だと思いますけど、そういう選択もできるようになってくると思うんで、チャンピオンになったら」

──そういった意味では海選手がバンタム級のベルトを返上する形になって、ベルトを狙うにしても以前とは標的が変わってくると思います。ベルトに挑戦する・王座決定戦に臨む…形に関係なくベルトが欲しいですか。

「はい。そこ(ベルト)は最低条件かなと思います」

──分かりました。これ以上、対戦相手が代わったり、トラブルが起きないことを願っております。

「これ以上カードが変わったら、本当に訳が分からないですよ。今の時点で最初に出る予定だった選手が誰もいないから(笑)。まぁ何とかなるでしょと思ってやってきます」

──頼もしい言葉ありがとうございます。そして出発前のお忙しい時にありがとうございます!

■視聴方法(予定)
6月23日(日)
午前0時45分~ U-NEXT

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【ONE FF65】本田良介戦へ、野田遼介「僕が目指すMMAを完成させているのが本田選手」

【写真】7カ月の長女、波瑠花(はるか)ちゃんと (C)SHOJIRO KAMEIKE

30日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights65に野田遼介が出場し、本田良介との日本人対決に臨む。
Text by Shojiro Kameike

野田といえば、そのアグレッシブなスタイルからは想像できない高音ボイスの持ち主だ。今回ONE初参戦ということでインタビューしたところ、その高音ボイスの話なんて簡単に吹っ飛んでしまう衝撃的なエピソードが次々と出て来る――生粋のファイターだった。


『アメトーーク!』と『グラップラー刃牙』

――現地到着直後にインタビューを受けていただき、ありがとうございます(※取材は28日、夜に行われた)。リモート画面が繋がった瞬間、お子さんが映って驚きました。ご家族と一緒にタイ入りしているのですか。

「はい。妻がセコンドに就くので、子供も連れてきました。妻は悠花というリングネームで、パンクラスで1試合やっているファイターなんです」

――そうだったのですね! 今回はONE初参戦で本田良介選手と対戦することとなりました。試合が決まったあとにSNSで、ご自身が現地でタイ人に間違われないか心配されていましたね。タイ人っぽいルックスということで……。

「先ほどタイの空港に着いて飛行機から降りる時に、ゲートが二つあったんです。一つは外国人用のゲートで、もう一つはタイ人用ゲートと、妊婦さんや小さな子供連れの家族優先のゲートが一緒になったものでした。すると僕たちは真っ先に後者のゲートへ案内されて……。その理由が、僕たちが小さい赤ちゃんを連れていたからなのか、タイ人と思われたのかが今も分かりません(笑)」

――アハハハ! 小さいお子さんを連れて帰国したと思われたのかもしれません。いずれにせよ、のっけから最高のエピソードです。ところで野田選手は三重県出身なのですよね。

「三重県尾鷲市という、どちらかといえば和歌山や奈良に近い場所です」

――地元の尾鷲市で格闘技を始めたのですか。

「初めて触れた格闘技は少林寺拳法と柔道で、それが高校に入ってからでした」

――なぜ高校に入ってから少林寺拳法と柔道を始めようと思ったのでしょうか。

「中学3年生の時に受験勉強をしていた当時、テレビ番組の『アメトーーク!』が好きだったんですよ。そのなかで『グラップラー刃牙芸人』の回がメチャクチャ面白くて。一緒に視ていた姉が翌日に『グラップラー刃牙』を全巻買ってきて。受験勉強しながらチラチラ読んでいたら、世界最強の男になりたいと思い始めました」

――お姉さんも最高です! ただ、刃牙といえばシリーズ全体を考えても、当時かなりの巻数が出ていたと思いますが……。

「100巻ぐらいはあったと思います」

――凄い!!

「あと僕はもともとオタクというかアニメや漫画が好きで、長島☆自演乙☆雄一郎さんのことは知っていたんですね。ちょうど世界最強の男を目指し始めた年の大晦日に、自演乙さんと青木真也さんの試合があって。その試合から格闘技を見ていくうちに、青木さんの戦い方が好きになり、青木さんの影響で高校から柔道を始めました」

――もはや運命としか思えない展開です。MMAを始めたくても周囲にMMAをやる環境がなく、高校から少林寺拳法と柔道を始めたということなのでしょうか。

「正確に言うと、やっぱり刃牙の影響が強かったんです。まずは喧嘩に強くなりたくて……、結局は今まで一度も喧嘩をしたことがないんですけど」

――アハハハ、エピソード一つひとつが最高です。そもそも刃牙も喧嘩の話ではないですし。

「そうなんですよ。刃牙を読んでいると、目突きや金的がない戦いでは強さを証明することにはならないと感じました。そんな戦いに一番近いのは少林寺拳法だろうと」

――少林寺拳法には目突きと金的蹴りの攻防と練習がありますからね。

「たまたま町道場で少林寺拳法をやっている友人がいたんですよ。その友人と格闘技ごっこをしている時に、少林寺拳法の技で組み伏せられて。『これは強い!』と思って少林寺拳法を始めました。その少林寺拳法と並行して、高校は柔道部に入りました。

でも本当に格闘技が楽しすぎて、全然勉強しなくなってしまい――高校では赤点ばかりになりました(苦笑)。そこからいろんな格闘技を見ていくようになり、現代で一番強いのはMMAだと思って、MMAに移行していったんです」

――なるほど。ではMMAのために上京して、アライアンスに入門したのですか。

「はい。大学に入った年の夏休みに、プロ志望としてアライアンスに入門しました。表向きは大学進学のための上京ですが、実はMMAジムに通いやすい場所にある大学を探したんです。そんな不純な動機では、親に聞かれたら怒られるかもしれないですけど……。全ては『アメトーーク!』のせいです(笑)」

――野田選手の特徴といえば、綺麗な右ハイというか右の廻し蹴りと、現代グラップリングがマッチした試合ぶりです。あの右廻し蹴りは少林寺拳法で培ったものですか。

「特に少林寺拳法の蹴りというわけではないのですが、MMAを始める前に蹴りの基礎はあったとは思います」

――ではグラップリング技術はいかがですか。あまり柔道らしくない寝技といいますか。

「関係あるかどうかは分からないのですが、柔道時代は全く立ち技をやらない選手でした。柔道は小中高でルールが違います。小学校は絞技と関節技が反則で、中学校から絞技、高校から関節技が認められます。高校から始めた僕は、子供の頃から柔道をやっている選手に立ち技では勝てません。すると高校から認められる関節技で勝つしかない。だから高校で立ち関節とか狙っていました。体重を浴びせて極めなければ反則ではないので。

さらに抑え込みではなく関節技を極めるために寝技に引き込むスタイルを、柔道時代からつくり上げていたんです。柔道部では立ち技の練習がメインになっているなかで、僕はネットでエディ・ブラボーや柔術の動画を視てラバーガードやスパイラルガード、今でいうリバースデラヒーバを覚えていました」

――立ち技を重視しないスタイルでは、柔道部内で怒られませんか。

「怒られるというか、嫌われていました(苦笑)。合同合宿でも強豪校の選手に投げられまくるんですけど、寝技になると水を得た魚のように動きまくるので……。ただ、それはMMAのためだけではなくて。柔道をやるのは高校3年間だけだと決めていました。だからこそ、どうにか柔道で結果を残したい。柔道で勝つために自分のスタイルをつくっていました。

その面ではMMAをやるためにアライアンスに入ったことは良かったです。アライアンスって、選手によってスタイルが十人十色じゃないですか。ストライカーもいれば、藤井伸樹さんのようなグラップラーもいて。他のジムだと、それぞれジムのスタイルがありますよね。でもアライアンス代表の高阪剛さんは、選手の個性を尊重してくれるというイメージを持っていたので、アライアンスに入ろうと決めました。実際にジムでは高阪さんが個々のスタイルに合わせて戦術や戦略を考えてくださいます」

――他の選手とは違うスタイルを受け入れてくれるジムと出会うのもまた運命かもしれません。野田選手は2017年にパンクラスでプロデビューして4連勝後、ONEジャパンシリーズに出場しています(木内SKINNY ZOMBIE崇雅に1ラウンドKO負け)。当時からONE出場を目指していたのでしょうか。

「そうです。でもあの時に負けて、まずONE出場から後退してしまいました。さらにパンクラスでも山北渓人選手と八田亮選手に負けて——なのに今回ONEと契約することになるのは意外でした。ONEからオファーをもらえるとは思ってもみなかったです」

相手の得意なものを潰す

――そのONE初戦がまさか本田選手との日本人対決になるとは、こちらも想像もしなかったです。

「こういうことを試合前に言うと変かもしれませんが――本田選手のことがメチャクチャ好きなんです。相手に何もさせず制圧する。判定3-0で相手に1ポイントも与えない。そんな完全なドミネイトこそ一番強い勝ち方だと思っています。僕が目指すそんなMMAを完成させているのが本田選手ですよね。

昔、ジムの先輩から言われたことが今でも印象に残っているんですよ。『1ラウンドでKOされても、また次やってやろうと思う。でもフルラウンド塩漬けにされたら、もう一回戦いたいとは思わない』と。その言葉に影響を受けていて、完全に自分のほうが強いということを相手に見せつけたい。本田選手はそれができるファイターなんだろうと思います」

――確かにパンチを振り回す打ち合いの中でKO決着が生まれるよりも、15分もの間相手を抑え込み何もさせないほうが強さを感じる場合もあります。ただ、野田選手と本田選手では体型もファイトスタイルも異なりませんか。

「そこは僕なりのドミネイトというものがあります。ただ、理想のスタイルがあるわけじゃないんです。この○○の技、××の技というふうに技術で分かれていますね。……名前を出すと失礼かもしれないけど、あえて言えば佐藤将光さん。何でもできて、選手によってスタイルを変えることができるファイターが理想です。

たとえば山北選手と八田選手は、どちらも寝技が強いですよね。でもトップから強い山北選手に対してはボトムから勝負して、ボトムからが強い八田選手にはトップから勝負しました。どちらも結果は負けてしまいましたけど、それが僕の理想とするMMAなんですよ。自分の得意なものをぶつけるのではなく、相手の得意なものを潰すという考え方のほうが大きいですね」

――柔道時代と同じようにMMAでも対戦相手から一番嫌がられるタイプかもしれません。

「アハハハ! でも一番嫌がられるということは、一番強いということですよね。ONEでも、そんな強さを求めていきたいです」

■放送予定
5月31日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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お蔵入り厳禁【RIZIN LANDMARK09】井上直樹自身が振り返る、佐藤将光戦「3Rは視界がおかしくて…」

【写真】勝負を決めた3Rの井上のダブルレッグ、視界にトラブルを抱えた中で決めたものだった(C)RIZIN FF

3月23日(土)に神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されたRIZIN LANDMARK09。井上直樹が佐藤将光に判定勝利を収めた。
Text by Takumi Nakamura

高度なスキル・戦術が交錯し、MMAならではの技術戦が繰り広げられた一戦。佐藤の振り返りインタビューに続き、今回は井上の振り返りインタビューを公開しよう。同じ攻防でもそれぞれの目線からどう見えていたのか。両者のインタビューをぜひ読み比べていただきたい。


──試合が終わって、ご自身でも映像を見たと思うのですが、試合自体を振り返っていかがですか。

「ラウンドごとで見たら思った以上にいい展開、あとで見返したら意外といい展開を作っていたのかなと思います」

──試合中の感覚とは違う感想でしたか。

「そうですね。試合中は焦っていた感があったんですけど、試合を見ると意外と練習していたこともできていたのかなと思います」

──対戦相手の佐藤選手は試合巧者でここが強いというタイプではなく、掴みどころのないタイプだったと思います。相手のペースに乗らないことは意識していましたか。

「そうですね。正直1Rはあまりアクションは起こさずにいこうと思っていて、そこは予定通りでしたね」

──井上選手は1Rから速いテンポ・リズムで攻めていましたが、あれも戦略のうちだったのですか。

「その方が感覚を掴みやすいかなとは思っていました。だから1Rは動きは少なかったですが、自分的には感覚を掴めたラウンドでしたね」

──そこから2Rに入って色々と動きが出てきますが、2Rはどんな展開を作っていこうと考えていたのですか。

「あんまりコンビネーションを繋げすぎず、ジャブで誘って誘って、カウンターを狙っていました。でもそこも佐藤選手が攻めてきすぎないというか。そういうのも上手さを感じましたね」

──ちなみに佐藤選手も1Rはそこまで手を出さず、自分が崩れない・相手を見るという考えだったそうです。

「そうなんですね。僕はもっと2Rは出て来るのかなと予想していたんですよ。僕も攻撃を出すには出しているけど、パンチを当てる・蹴る感覚を探っていて、相手もなかなか出てこなかったので、その感覚が掴めないまま試合が終わってしまった感じはありますね」

──これも佐藤選手が言ってたんですけど、井上選手が何かやって、自分が行ったらそれを狙われているって気がしていたらしいんですよ。だから出すには出すけど、ちょっと行けなかった、と。コンタクトする攻防はなくても、お互いに狙い合っている感じですか。

「やっぱりそうだったんですね。佐藤選手がおっしゃる通り、そこがあったからお互い明確な1発がなかったっていう感じでした」

──そういう展開が多少長く続いて、試合中に焦りはなかったですか。

「焦りはなかったですね。スタンドでそういう探り合いや駆け引きがずっと続いた場合の展開として、組みやテイクダウンを考えていたので」

──事前に打撃で展開が少ない場合はテイクダウンにいくことを想定していたんですね。

「はい。1Rは(テイクダウンに)行かず、2Rか3Rのどちらかで展開がなければ行こうと思っていました」

──2Rは先に組まれて、スタンドでバックを取られる攻防でしたが、あの時は佐藤選手を前方に落として脱出しました。バックを取られても逃げるのは得意なのですか。

「あれは得意ですね。佐藤選手がバックを取りに来るのは分かっていたんで、そこはしっかりケージも使いながら対処するというのは、いつもやってる通りです」

──佐藤選手はもっと自分がバックキープできて、殴ったりできると思っていたらしいんですよ。井上選手としてはバックを取られたこと自体はよくなかったと思うのですが、あそこはすぐに動けばいいという考えだったのですか。

「佐藤選手はトップキープが得意だと思うので、すぐ対処しようというのが頭にあって、そこは意識して動きましたね。佐藤選手の得意なキープの展開にさせないように、バックキープさせないようにどうするか。先に動いた感じです」

──あれはケージに自分の背中をつけておけば、足はフックされない・バックキープされないという形だったのですか。

「はい。金網に背中をつける、足をフックさせない、そのための体の位置…そこも含めて佐藤選手がバックキープするなら、ここを取りに来るだろうなというところを先に押さえて動きました」

──なるほど。佐藤選手は形的にたすきがけではなく、シングルバックで肩を持つ形でした。

「僕的にはどちらでも逃げられたかなという感じです。もっと佐藤選手に力を使わせても良かったのかなと思ったんですけど、残り時間もあったし、ここから展開を作り上げていこうと思って。(バックキープから脱出して)そこまで押さえ込みに行かず、ちょっとダメージを取ろうと思った感じですね」

──結果的に佐藤選手に立たれてスタンドに戻りましたが、それもOKという判断だったんですね。

「はい。ただスタンドに戻ったあと、佐藤選手が打撃を出して来て、カウンターを取りたかったんですけど、逆に佐藤選手に打撃を当てられちゃって、若干佐藤選手有利でラウンドが終わったのかなっていうのがありました」

──ビッグヒットや大きなダメージがある攻撃はなかったですが、佐藤選手は独特のリズムやテンポで打撃を出してきて、やりづらさはなかったですか。

「やりづらいというか、ちょっと見切られているかなというのがありました。それで3R前にはセコンドとローを蹴って足を止めたり、テイクダウンも狙っていこうと話していました」

──3R序盤も佐藤選手の打撃をもらってしまう場面がありました。

「実は3Rに目に攻撃をもらっちゃって、視界がおかしくなったんですよ。自分で後から映像を見返しても、どの攻撃でそうなったのか分からないんですけど……。相手が二重に見えるとかいうレベルじゃないくらい佐藤選手が完全に2人いて、どっちの佐藤選手を攻撃すればいいんだろう?みたいな(苦笑)。3Rにそれだったので、ちょっとやばいなと思いました」

──それであまり自分から行けなかったのですか。

「そうですね。右目を閉じると異変がバレるから、しっかり目を開けておいて、構えたまま右手で目を隠して焦点を合わせれば大丈夫かなと思ったんですけど、あまりにもグローブが小さくて視界を遮れなかったです(苦笑)」

──そこからどう立て直すことができたのですか。

「セコンドから残り3分だという声が聞こえて、ここからはもうテイクダウンに行こうと思いました」

──視界のトラブルがありながら、ベストタイミングのダブルレッグだったと思います。あのタイミングは狙っていたのですか。

「狙ってはいましたね。1Rからなかなか展開がない中で、そのまま打撃で行っても同じようになると思ったんで、テイクダウンで差をつけようと思っていて。相手は2人に見えていたんですけど、上手く来た時に合わせることが出来ました」

──テイクダウンをとったあと、佐藤選手がアームロックを狙ってきましたが、しっかり対処できていましたか。

「あれは大丈夫でしたね。むしろ思ったよりちゃんと仕掛けてなかったのかなと思います。ポジションを返すための餌じゃないですけど、そんな感覚に見えたんで、だったら返されないように意識しようと。あそこで返されていたら、向こうのペースになっちゃうんで」

――ではあの場面はトップキープをメインで、持たれている手を自分の股に入れて(アームロックを)極められないようにしていましたよね。あそこからは一旦しっかりトップキープして、時間を使いながら攻めていこうという考えでしたか。

「はい。しっかりキープして狙えるところで狙いに行くみたいな。ダメージを与えるにしても明らかに勝っているところを見せないといけないので、しっかりパウンドを打ちたかったんですけど、まあなかなかそうさせなかったところもあったんで、いいのが2~3発が入ったかなっていう感じです」

──これも佐藤選手が言っていたんですけど、井上選手のトップキープが強くて、スペースを潰されてしまった、と。あの場面は佐藤選手を動かさないことを意識していましたか。

「やっぱり上になっている方が有利に見えるし、肩固めだったりを狙って、ニアフィニッシュみたいな感じで印象つけたくて。トップキープしている時にレフェリーが近くに来たら、ブレイクがかからないように動いて。残り時間も考えながら戦っていました」

──肩固めの形にもなっていましたが、極まり具合はいかがでしたか。

「あっちは呼吸が荒れていて、すごく呼吸を意識していた感じがあったので、苦しそうにしている感はありましたね。ただ極まりそうな感じはなかったので、しっかりトップキープしようと思いました」

──結果的に3Rにテイクダウンを取る・トップキープしたことが勝負を決めましたね。

「そうですね。あのトップキープで明確なポイントを作ることができて、勝負を決められたかなと思います」

──試合前のインタビューでもお互いに色んなことを考えて戦う展開になると言われていましたが、実際に佐藤選手と戦って技術や技の攻防はできましたか。

「もちろん圧倒はしたかったですけど、そうさせない佐藤選手の上手さだったり戦術だったり攻めだったり、全てが上手かったですね。そのうえで海外でも活躍している佐藤選手に勝てたことは凄く大きかったと思いますし、あそこで負けていたらドンドン落ちていくというか。また自分のポジションを作り上げていかないといけないので、ここで勝てたことは本当に大きいです」

──試合後には控え目ですが、タイトル挑戦もアピールしていました。改めてベルトへの想いを聞かせてもらえますか。

「ベルトは目に見えて分かるもので、ベルトを獲ることで色んなチャンスにつながるじゃないですか。朝倉海選手の動向がどうなるか分からないですが、海選手がベルトを持っていればそこに挑戦するし、もし海選手が返上するなら他の選手とやってベルトを巻きたいと思います。UFCに行く前にずっとDEEPで試合をしていたのですが、DEEPでもベルトを獲ってないんですよ」

──そうだったんですね。てっきりDEEPではベルトを巻いているイメージでした。

「実はそうなんです。ベルトそのものを一度も巻いたことがないんです。ベルトを巻く・チャンピオンにならないと、自分が格闘技をやってきたことを形に残せないので、RIZINでチャンピオンになって格闘技の歴史に自分の名前を残したいです」

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お蔵入り厳禁【RIZIN LANDMARK09】佐藤将光自身が振り返る、井上直樹戦「“殺し”があるところを」

【写真】試合後の会見でも、時に笑顔を見せながら井上直樹との充実した15分間を振り返っていた佐藤(C)MMAPLANET

3月23日(土)に神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されたRIZIN LANDMARK09。RIZIN2戦目となった佐藤将光は井上直樹に判定負けを喫した。
Text by Takumi Nakamura

戦前に両者が語っていたように、お互いの技術と戦略が複雑に絡み合った一戦。3Rのテイクダウンが勝敗を決定づける形となったが、そこに至るまでに様々な駆け引きや目に見えない攻防があった。

決して派手なフィニッシュや攻防こそなかったが、MMAならではの高度な技術戦の裏側になにがあったのか。井上・佐藤の両者のインタビューから振り返りたい。お蔵入り厳禁、まずは佐藤のインタビューをお届けしたい。


──前回の井上直樹戦は戦前の予想通り、高度な技術戦になったと思います。少し時間は経っていますが、あの試合にはどのような感想を持っていますか。

「もちろん悔しい気持ちはありますけど、試合までに作ってきたものや用意してきたものを試せたところは良かったなという。自分の力を全く出せずに終わる試合ではなかったし、自分が用意してきたものが結構ハマって、試合にそれを持ってこられた喜びなのか達成感なのか。そういう感情もあるので……どういう気持ちなんだろう」

──何とも言えない感情なのですね。試合結果に対する残念な気持ちがありつつ、動きの面では試せた部分もあるという。

「要所要所でバックテイクを逃げられちゃったなとか、もうちょっと詰めたときにこういう攻撃を出せたなとか、最後だったらテイクダウンをとられたあと、二重絡みにこだわらないで、もうちょい立つ動きを入れても良かったなとか。いろいろ思うところはありますけど、結構自分の中でいろいろ試せてスッキリしている部分ではあります」

──試合前にインタビューした時「井上選手は穴がないから、攻略すできるところを探している」と話していました。実際に立てた戦略とは?

「基本的にストライキングで行くつもりで、そこまでテイクダウンは狙わないプランでした。相手の動きが落ちてきてフィーリングで(テイクダウンを)取れるなら取る感じはありましたけど、基本的に最初は我慢する。井上君はジャブがすごく速くて、どの試合を見ても最初はジャブをついてローキック・ミドル・ハイも出して、そういう組み立てをやってくるので、それに自分が崩されないことを大事にしていました。

過去の試合を見ていると、井上君のジャブに崩されて雑にテイクダウンや打ち合いに行ってカウンターを食らったり、やられるパターンが多かったので、そうならないようにジャブは多少被弾する覚悟で、被弾しても慌てない・崩れないことを意識していました。

もちろん相手がステップインしてきたら、それを外しながら蹴る。ミドル系や左フックを使って、相手が左=自分にとって右に回るような展開を作りたかったんです。それで相手がスウェイ系の動きで崩れたところを追いかけて、空いているところを殴る。それを考えていました」

──では1Rはそこまで手を出さず、自分が崩れない・相手を見ようという考えだったのですか。

「見ようとは思っていないですけど、自分が崩れないように。もちろん攻めたかったのは攻めたかったですが、井上君はステップが速かったので、僕の攻撃を避ける、次に僕が行った時にはその場にいない、そんな感じだったんです。だから僕が井上君を追いかけて攻撃を出していたら、自分に隙ができて(距離を)外して戻ってくる井上君の攻撃をもらう予感があったので、井上君の攻撃を避けたら攻めに行かず、すこし距離を詰める。間合いをリセットするだけなんですけど、それで相手は動きが落ちてくると思っていました。

実際に1Rの最初のスピードがトップギアだとしたら、試合が進むと少しずつスピードも落ちて打撃の起動も見えてきて、これだったら後半は詰めていけるなと思いましたね」

──コンタクトが少ない展開でしたが、そういった布石を打つラウンドだったのですね。

「はい。ただし1Rが終わった時点で、このラウンドは取られた、このまま行ったら井上君のペースになっちゃうから、もう少し詰めていこうと思いましたね」

――2R以降は詰めていけるだろうという手応えもありましたか。

「思いっきり(打撃を)被弾したらもちろん効きますけど、ああやってちょっとズラしながらプレッシャーをかけていけば、行ける感覚がありました」

──実際に2Rからは佐藤選手が手数を増やして、前に出る場面も増えました。

「そうですね。手数を増やした…というか、距離を詰めた、ですね。距離が詰まって自分の射程距離に入ったら自然と手が出るようになるというか。遠いところで手を出すのはリスクがあるので」

──「攻撃して詰める」ではなく「詰めて攻撃する」ですね。そして2Rにはスタンドでバックを取る場面があったものの、井上選手にエスケープされてしまいました。あそこでバックキープできなかったところは悔やまれた場面だと思います。

「そうなんですよ。あそこはめっちゃ自分が得意な展開なんです。相手の左足にシングルフックして、対角の肩=右肩を掴む。そこでコントロールしようと思ったのですが、井上君の逃げ方が上手かった。ケージを使って背中に回られないようにしながら、落とされてしまいました」

──佐藤選手は襷掛けではない形で井上選手の右肩をクラッチしていましたが、あえてあのコントロールを狙っていたのですか。

「基本的に対角の肩と足をコントロールできていたら、バックコントロールできるんですよ。逆にシートベルト式の腕のクラッチ(襷掛け)はバックから落ちやすいんです」

──それはスタンドバックだからですか。

「いや、スタンドのバックでも寝技のバックでも同じですね。両足フックだったらシートベルトでもいいんですけど、片足フック・ツイスターフック系のシングルバックだったら肩をコントロールした方が安定しますね」

──なるほど。

「あそこからシートベルトにもいけるし、おんぶ系のバックキープにもいける。あとは足のフックをツイスターフックにして、股裂きやバックテイクにもいけるんです。最近練習でそれがハマっていたんですよね」

──色々な攻撃のパターンを用意していたわけですね。しかし井上選手もすぐに佐藤選手の腕を一本持ってディフェンスしていました。

「振り落とすのも速くて上手かったですね。腕を一本持たれて、そのままキープされるだけだったら、空いた方の手で殴ったりできるんですけど、その隙を与えてくれなかったです」

──そこから試合はスタンドに戻りますが、佐藤選手がジャブをかわして打撃で出ていきます。

「1Rでパンチのステップ、タイミング、軌道…がある程度分かったので、それでちょっと掴めた感はあります。完全に流れが来ている感じはありましたね」

──そして3R、ここも序盤から佐藤選手の攻撃が当たっていました。佐藤選手は細かくジャブを突いて次のパンチを当てるというよりも、単発ながら強いパンチを当てることが多いですよね。ここも右ストレートや右アッパーが当たっていましたが、自分の中で当てるタイミングやコツがあるのですか。

「当たる距離に入っているからじゃないですかね。相手の横をとれていたらアッパーが入るし、僕のストレートはモーションがなくて単純に見にくいと言われるんですよ。相手との距離・立ち位置で自然にパンチが出ていました」

――3Rはより自分がペースを掴めている感覚はありましたか。

「3Rはすごくいい感じで入れたのですが、井上君は絶対にどこかで(戦い方を)変えてくると思ったんです。実は1Rが終わった段階で、セコンドとは『どこかでテイクダウンに来るだろうな』と話していました。だから2Rと3Rにどこかでテイクダウンには来ると思っていて。そこは絶対に取られないようにしたかったのですが、取られちゃいましたね(苦笑)。あのダブルレッグは全く見えてなくて、入られてから気づきました」

──結果的にこのテイクダウンが勝敗を決定づける形になりました。あのダブルレッグは完全にタイミングを合わされましたか。

「そうですね。試合前は相手がテイクダウンに来てくれたら、それはそれでいい展開だと思っていたんです。最近は寝技にも自信がついてきていて、寝技の展開でも勝負できると思っていたので。井上選手はグラウンドで上を取るとパンチやヒジを狙ってくるので、むしろそうしてくれたらスペースができて、いろいろ狙えるなと。でも実際の井上選手はコントロール重視の寝技をやってきて、そこで僕が動けなくなってしまいました」

――あのグラウンドの攻防を振り返ると、下になった佐藤選手がアームロックを狙ったものの極まらず、トップキープを許す形でした。

「あのアームロックはもうちょっと落ち着いてセットアップすればよかったです。なんか凄く慌ててしまって、一度バタフライフックまでは作れたのですが、もっと体を丸めて相手の腕を手繰って、自分の体に寄せていたら、一緒にボールが転がるように丸まることができたんですけど、慌てて腕を伸ばすような形になって、それを潰されてしまいました。

あそこまでいったら、アームロックじゃなくて立つ方に切り替えても良かったなとか、あとからいろいろ出てきちゃいますね(苦笑)」

──井上選手もアームロックにとられた左手を股の下に入れたり、対処も早かったですね。

「あそこから井上選手は上にのぼって、僕の背中をマットにつけるようにコントロールしてきていた気がします。僕も井上選手の右足に二重絡みして、井上選手の左足を引っ張りたかったんですけど……最初にギロチンを狙って、そのままネルソン系に行ったのが失敗だったかな。

そのまま上体をロックされてヴァンフルーチョークみたいな形になったので。あれで密着されてしまって、自分と相手の間にスペースを作りたいけど腕が引っかかって出来ない。まいったな……と」

──動きたくても動きようがなかったのですね。

「あのまま動けなくなってブレイク待ちみたいになってしまい、自分からアクションを作れなくなったのが、敗因のような気がしますね」

──井上選手も上手かったですよね。ブレイクがかかりそうなタイミングになったら少し動いて。

「そうそう。上手くしてやられた感がありますね」

――最後も佐藤選手が潜りスイープを狙ったところで、右腕を足に挟まれてパンチとヒジを落とされる、そして肩固めで時間を使われる形でした。

「もっと右腕で股を担いで上げられればよかったんですけどね。あれが出来なかった時に、自分の足を立てて違う動きに切り替えれば良かったのかなと思いますし、そういう部分が足りなかったです」

──あの肩固めもそこまでタイトに極まっていなかったと思いますし、気持ち的にはもっと動いてほしかったという部分もありますか。

「でも僕が井上選手の立場でも、ポイントメイクする時間帯でしたし、あそこでリスクをとって攻めてくることはないのかなと思います」

――こうしてお話を聞いていても、佐藤選手にとって出来たこと・出来なかったことがどちらもあった試合だったということが分かります。

「自分のダメだったところを修正して、次こうやればいいんだというマインドになれていますね。僕は試合で何も試せないことが一番怖いというか、試合のために用意してきたものを出すことに意味があると思うし、今回はそれが上手く出来た部分もあります。最近ジムのアマチュアの子たちにも伝えるのですが、練習試合でもアマチュアの試合でも、何かを試すことが大事だと。

例えば格闘技経験のない子が柔道経験者と試合をしたら負けちゃうかもしれない。でも試合に向けてどうやって勝つか、どういう勝負を仕掛けるかを考えて練習して実戦で試す。そうやって試すことの方がよっぽど大事だなということに気づけて、それを自分の試合にも求めて、凄く良かったと思います」

──ただがむしゃらに頑張る、負けて悔しいだけじゃなく、もう一歩先の試合で感じること・分かることを、持ち帰ってくることが大事ですよね。

「(格闘技を)やっている以上は学びというか何かを得るためにやってほしいし、ただ試合に出るだけじゃなくて、何かを得て欲しい。試合に出て何かを持って帰ることを大切にしてほしいですね」

──では佐藤選手も井上戦で持って帰ってきたものがあり、それを日々の練習でも活かしているところでしょうか。

「そうですね。僕が負ける時はテイクダウンコントロールで負けることがほとんどなんで、そこの展開でもっと武器を増やさないといけないし、もちろん打撃ももっと伸ばさなきゃいけないし」

──単純にもっともっと強くならないといけない、と。

「そうなんですよ。全部やらなきゃいけないんで、MMAは。あとはやっぱり自分の形で、もっと決定的な場面を作らないと。試合と言っても結局はファイトなので、フィニッシュを狙わないといけない。お客さん相手の仕事でもあるから、フィニッシュを見せる試合ができるようになりたいと思っているので、自分の強い形を作る。

相手のレベルが上がってきても、それができる形を作ってフィニッシュできる選手になりたいなと。今はそこを考えてやっています。なんかRIZINでは上手い系の選手になっちゃっているので、そうじゃなくてしっかり“殺し”があるところを見せたいですね」

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【RIZIN46】牛久絢太郎戦を控えた太田忍「僕はアスリートじゃない。ファイター、RIZINファイターなんで」

【写真】15日の公開練習後に行われたリモートインタビュー時の太田。しっかりと自身の考えを言葉にしてくれた (C)MMAPLANET

29日(月・祝)、東京都江東区の有明アリーナで開催されるRIZIN46で太田忍が、元RIZINフェザー級王者でバンタム級転向を果たした牛久絢太郎と対戦する。
Text by Manabu Takashima

リオ五輪グレコローマンレスリング59キロ級シルバーメダリスト、2019年には世界sン主権で金メダルを獲得しているスーパーアスリートから、MMAに転向。2021年の大晦日にRIZINでデビューを果たした太田は以来、RIZINという場らしく──ステップ・バイ・ステップというキャリアアップとは違うバラエティに富み、話題になるマッチアップで経験を積んできた。

そして9戦目で元は1階級上のチャンピンと対戦することになった。元谷友貴、佐藤将光との戦いを経て、牛久戦を手繰り寄せた太田にデビューからの3年を振り返ってもらった。


――公開練習という大会に向けてのイベントが行われましたが、試合が近づいてきたという風な気持ちになるのでしょうか。

「う~ん、変わらずに試合に向けて準備をするという感じです。それよりも自分の体の状態だとか──体重が絞れてきたり、寝起きの疲れ具合……『うわぁ、きついなぁ』とか。もう少し頑張り時だなとか感じる方が、試合が近づいてきたという気持ちになりますね。まぁメディア対応とかも、そういうことかと」

──残り2週間、もう一追い込みという状況ですか。

「そうですね。もう1週間頑張って、来週は体重調整ですね」

──牛久選手との試合に向けて、何か特別な練習を取り入れるということはありましたか。

「まぁ強化ですね。何かを変えるというよりも、足りない分を補う。長所を伸ばすという感じですかね。僕はまだ全然MMAファイターとして完成していない。まだ3年目なので、やっとMMAがちょっとデキてきたかっていうところなので、何を変えるよりも強くなるための練習をしています」

──まだ3年という言葉が聞かれましたが、この間に8試合を戦ってきて9戦目にして1階級上のチャンピオン経験者と対戦することに関しては、どのように思われていますか。

「言っても去年の10月、2年半で佐藤将光選手ですからね。グフフフフフ。RIZINのチャンピオンを目指す上で、レコード的には全然綺麗でなく3敗もしちゃっている。でもRIZINの評価的にも、1階級上のチャンピオンと試合をやらせてもらえる位置には来たのかという想いはあります」

──太田選手はデビュー戦が所英男選手、次戦が逆にデビュー戦の久保優太選手が相手でした。祖根寿麻戦を挟んで、4戦目で元谷選手。去年は実績が上の選手と戦い、MMA力が高まってきたところで大晦日は芦澤竜誠戦でした。

「まぁ、アレはお年玉のような試合でしたね」

──能力的に大きく上下するバラエティに富んだ相手と戦っていると、MMAファイターとして総合力がついた実感はどの試合だと感じることができたのでしょうか。

「戦っている舞台がRIZINなので。そういった意味で2023年は倉本(一真)先輩に始まり、瀧澤(謙太)選手、井上直樹選手が佐藤選手にスライドした。4試合、RIZINで戦ってMMAの試合は3戦かなという感じです(笑)。その3試合は自分のなかで段階を踏めたかな、ある程度は。倉本先輩と瀧澤選手は順番が逆だったかもしれないけど、MMAキャリアを積みかさねるなかでは良かったんじゃないと。まぁデビュー戦で所さん、4戦目で元谷さんはチョットめちゃくちゃやな、と。グフフフフ」

──ハハハ。それこそがRIZINです。比べることはないかと思いますが、太田選手は中村倫也選手や河名マスト選手という学年で少し下のレスラーとキャリアの積み方は違います。彼らは強くなるために段階を踏むよう試合を重ねてきました。

「UFCという場を目指すなら、レコードも綺麗な方が良い。オーソドックスなMMAの始め方をして、オーソドックスなステップアップの仕方を彼らはしている。その方がUFCを目指すうえでは、MMAのキャリアの積み方として正しいと思います。僕は榊原社長にスカウトしてもらってRIZINという場を選び、デビュー戦から2万人を超えるお客さんの前で試合をさせてもらっている──以上は、こういうキャリアの積み方になるのも受け入れています。

彼ら……倫也もさいたまスーパーアリーナで戦う、RIZINでやることはMMAを始めるなかで大きな目標のはずだから、僕はそこでデキていることを誇りに思っているし、良くも悪くも毎回注目されている試合を戦うことは、レスリング出身のファイターのなかでも僕にしかできないと思っています。

郷にいては郷に従え、今の日本の流れでは派手な試合や数字が求められている。そのなかで太田忍として輝くためにやることは何かと考えると、RIZIN特有の試合のオファーを受けることは当然だと思います。そのうえで、今回のようなレベルアップできる試合もある。色々な意見があるだろうけど、そこに順応してやっていくのが大切だと思います。最後に勝った者が、勝ちなんで」

──段階を踏める試合だけを戦っていきたいという気持ちは?

「来たオファーは受けます。それがファイターだと思っています。そのなかで……言い方は悪いけど色物とのオファーがあった時は、僕もそういう立場だと思っていたし、今後もそういう試合が組まれるなら、RIZINが考えて求めてくるのであれば、僕は求められたところで求められたパフォーマンスを出せれば良いので」

──オリンピアン、しかもメダリスト。4年に1度をモノにするのは、普通の強さではないと思うのですが、太田選手は求められる試合を戦うということですね。

「オリンピックとか過去のことです。僕はアスリートじゃない、ファイターなんで。RIZINファイターなんで今は。お客さんが喜ぶ、榊原社長から『試合に出したい。大勢の観客の前で太田忍の試合を見せたい』と思ってもらうのが一番良いこと。ファンから『太田忍を出してくれ』、『太田忍の試合を見たい』と思われるのが、今の僕の仕事です。そのなかで僕はRIZINバンタム級を目指していることに変わりはないですし、今も目指している過程です」

──その道が、目標としているUFCに通じると?

「ぶっちゃけて言うと、UFC首脳……ダナ・ホワイトが求めているニーズに合わないといけない。そういうこともあるからRIZINでチャンピオンになることが、UFCへの近道になるとかと考えるのではなくて、今やるべきことをやらなければならない。そこを信じてやるしかないっていうのが、今の状況です」

──押忍。ではTHE BLACKBELT JAPANで練習をしてきて、力がついていると実感することはありますか。

「これが本当に皆、強くて。それほど名前が浸透していない選手も、本当に強い。絶対に強くなってはいるんだろうけど、普段の練習相手が強いので、試合とか出稽古の時に実感する事の方が多いです」

──普段から強い選手とばかり練習をしているという太田選手ですが、牛久戦で我々は何を期待して見れば良いでしょうか。

「フィニッシュを狙う中で相手に何もさせない、というところですね。『何もない』と言われようが、相手に何もさせないことがMMAの基本だと思うので」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後4時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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45 AB ABEMA F1 MMA MMAPLANET o RENA RIZIN RIZIN LANDMARK09   アルマン・アシモフ イゴール・タナベ キック シン・ユリ ストラッサー起一 ダイキ・ライトイヤー ブアカーオ・バンチャメーク ホベルト・サトシ・ソウザ 中村K太郎 中村優作 久保優太 井上直樹 佐藤将光 山本アーセン 武田光司 萩原京平 貴賢神 金太郎 高橋遼伍

【RIZIN LANDMARK09】計量終了 イゴール計量失敗に怒りのストラッサー「舐めるな!!」&中村優作は笑顔

【写真】イゴール×ストラッサーは実現するのか…… (C)MMAPLANET

明日23日(土)に神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09のパブリック計量が大阪市阿倍野区のあべのキューズモール内スカイコートで行われた。
Text by Manabu Takashima

2年4カ月振りの神戸大会のパブリック計量は会場から約40キロ離れた大阪第三のターミナル=天王寺(=阿倍野)の屋外ステージで実施され、寒さに負けない熱を持つ関西のファンに出場選手達が応えて、肉体美を披露した。

メインで戦うホベルト・サトシ・ソウザと中村K太郎は、それぞれ70.85キロと70.8キロでパス。記念撮影時にKポーズを取ったK太郎は、一切体の軸がブレることがなかった。1月31日の会見の時には途中で、サトシが支える瞬間があったが、さすがにしっかりと仕上がっているK太郎だった。


このアシモフの何も感じていない感が――怖い

なお本戦&オープニング全15試合で計量失敗の選手が2名。

1人は本戦第一試合で中村優作と対戦するアルマン・アシモフが2.4 キロ・オーバーに。パブリック計量時に、アシモフは何を想ってか中村に握手を求め、中村はその手を握り返す。さらにフェイスオフの際には、RIZINガールの正面に立つギャグが滑りまくった――根が良いヤツ過ぎる――中村は、自らアシモフに握手を求めていた。

もう1人、計量失敗となったイゴール・タナベは3.25キロの超過で体調を鑑みて公開計量の場に姿を見せることはなかった。1人でメディアの撮影を応じた対戦相手のストラッサー起一は非常に険しい表情から、「舐めるな」と叫び、ステージを後にした。

現時点でこの2試合が明日、行われるかどうかは発表がないが、実現させるためには一定の試合時間前に体重を測り、リカバリーの上限を決めたうえでのキャッチウェイトというのが妥当な線か。いずれにせよ、当日の体重差と健康面を考慮されての決定となろう。

アシモフは最終的に2.4キロ・オーバーだったが、残り1キロの時点まで体重を落としていたという話も伝わってくるが……計量後に記者席の後ろに陣取った中村優作は、周囲に「俺は戦います」という言葉を漏らしていた。

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■RIZIN LANDMARK09計量結果

<ライト級/5分3R>
ホベルト・サトシ・ソウザ:70.85キロ
中村K太郎:70.8キロ

<フェザー級/5分3R>
武田光司:65.95キロ
萩原京平:66.0キロ

<バンタム級/5分3R>
井上直樹:60.9キロ
佐藤将光:61.0キロ

<女子スーパーアトム級/5分3R>
RENA:48.85キロ
シン・ユリ:48.6キロ

<ウェルター級/5分3R>
イゴール・タナベ:80.25キロ
ストラッサー起一:76.8キロ

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉:56.7キロ
山本アーセン:56.65キロ

<バンタム級/5分3R>
金太郎:61.0キロ
ダイキ・ライトイヤー:60.95キロ

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神:118.05キロ
コーディー・ジェラベック:99.4キロ

<フェザー級/5分3R>
久保優太:65.9キロ
高橋遼伍:65.85キロ

<キック74キロ契約/3分3R>
ブアカーオ・バンチャメーク:73.85キロ
木村“フィリップ”ミノル:73.7キロ

<キック70キロ契約/3分3R>
憂也:69.95キロ
蛇鬼将矢:69.95キロ

<フライ級/3分3R>
中村優作:56.95キロ
アルマン・アシモフ:59.40キロ

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【RIZIN LANDMARK09】サトシ戦へ。RIZINライト級の逆・黒船=中村K太郎「キャンって言わせてやります」

【写真】この後、DEEPライト級王者となる江藤公洋と国内ライト級トップ・ガチスパー(C)MMAPLANET

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09で、ホベルト・サトシ・ソウザと戦う中村K太郎。
Text by Manabu Takashima

国内ウェルター級最強の男が、実に10年振りにライト級に階級を落としてくる。UFC参戦2度、修斗、DEEP、戦極とJ-MMAのトップに君臨したK太郎は、RIZINライト級勢にとって逆・黒船といえる。

いきなりのチャンピオンとのノンタイトル戦が、今後のRIZINライト級戦線にどのような影響を与えるのか。江藤公洋との激しすぎるMMAスパーの後で、K太郎に話を訊いた。


──ここにきてライト級に転向。会見では「自然と痩せてきた」ということを言われていましたが、真相の方は?

「本当に加齢なのか、そんなに食欲もなくて。普段通りに練習をしていたら、70キロ代に落ちることも普通にあって。そうなるとウェルター級でやることは難しい。それにライト級の方が層が厚いですし、RIZINで戦っていく上でも戦いたい相手、盛り上がる相手が多いので落としました」

──最後のライト級がいつだったのか、サッと思い出せないレベルです。

「いつだろう……アドリアン・マルチンス戦ですかね(2008年9月23日)。元々ウェルター級で最初にUFCと契約した時の3戦目でライト級に初めて落として(ロブ・エマーソン戦、2008年2月2日)。あぁ、でもマルチンス戦の後もライト級でやっていますね。それからもウェルター級の試合が多かったですけど、(携帯で戦績をチェックしながら)PXCでフランク・カマチョに判定負けした時(2014年2月28日)が、ライト級で戦った最後の試合です」

──いずれにせよ10年ぶり以上のライト級マッチということになります。カマチョ戦後にウェルター級一本になったのは?

「減量がきつ過ぎました。『これは、何試合も戦うのは難しい』という感じになりました」

──それが10年を経て、ライト級に。加齢が原因だと体重を落とすのは難しいかと思うのですが、代謝が落ちて。

「さっきも言いましたけど、食が細くなってきたので。そもそもウェルター級の最初の頃はナチュラルで戦っていました。減量がないぐらいだったので、頑張って増やして。それで最大92、93キロぐらいまで行って。でも試合が定期的だったわけでもなくて、食事もウェルター級の体格を維持しようという意識もなくて。そうなると段々と細くなってきました。食べるモノが変わったというのもあるかと思います。以前はカロリーの高いモノを摂っていて、それでも周囲のウェルター級の選手ほどは食べていなかったですけど」

──そこから年を重ね、食事の内容も変わったと。

「そうですね、単純に量が減り、脂っこいモノもたくさんは食べないです」

──細くなってストレングス、パワー、瞬発力系の動きは?

「多少落ちたと思います(笑)。まぁ、質力が落ちていることが心配されますけど、適正階級になりスピードが上がったり、柔軟性が増しました。動きやすくなっている面もあるので、そんなに心配はしていないです」

──何よりライト級転向初戦がホベルト・サトシ戦。ウェルター級とはチャンスの数が明白に違います。

「いきなり……評価されているのか、有難いです。ビックリしました」

──K太郎選手自身は、一発目は誰と考えていましたか。

「矢地(祐介)です(笑)」

──アハハハ、後輩だけに呼び捨てで。

「ハイ。武田(光司)選手とかもあるかと思っていたのですが、フェザー級に落としたので。でもサトシになって嬉しいです」

──チャンピオンとノンタイトル戦とはいえ、いきなりの大チャンス。今日は江藤公洋選手とのMMAスパーを拝見させていただいたのですが、打撃をしっかりと入れて際も遠慮がない。テイクダウンと組みの強い2人のガチスパーは、柔術家のサトシ選手と戦ううえでも生きる練習に感じました。

「その通りです。組みは全力で、打撃はそうじゃないというのが普通の練習なので。そのなかで週に一度、この練習があるのは大きいですね」

──ではグラップリングの練習は誰と?

「アキラ選手、村山(暁洋)さん、それと泉武司選手とやっています」

──サトシ戦が決まっても、柔術系とは練習をしていないのですか。

「そっちの人とはそんなに……。そもそも寝技の展開を創らせなければ怖くないので。MMAの選手とグラップリングをやっていると、上の取り合いになって。そこが強化されれば、良いので。際の打撃、その前とか自分からタイミングを創ることがキーポイントになると思います。

タイロン・ウッドリーとデミアン・マイア戦ですね。UFC史上、一番多くのテイクダウンをアタックしたマイアが全て返された。ただし、ああいう風に突き放すだけでなく打撃を入れます」

──引き込んで来られたら。

「そこは付き合わないで、立てば良い」

──う~ん、上手くハマれば万人受けするファイトにはならない(笑)。

「残念ながら(笑)」

──ADCC世界大会4位、グラップリングでも生けるのではないかと期待しているのですが。

「まぁ、そうですね(微笑)。サトシもグラップリングでは、道着ほど大きなタイトルを取っていないですしね。だから、そこも自信がないわけじゃないので。スタイル的にもクラシカルで。最近のレッグロックを混ぜたモノを使ってくるわけじゃないですし、対処はしやすいところでもあります。

でも深入りをしても、相手が安心できる時間が増えてしまうので。そういう時間は増やさない方が良いです」

──選手間ではK太郎選手だろうという声が、まま聞かれました。技術的な比較と同時に「やってくれ」という期待感も伝わってきました。

「それはもう色々なところで金原×クレベルに近い構図だと言われていますし(笑)。そういう古参のファンの期待に応えて、やっつけたいです。今年で40歳、ここでサトシと戦えることは光栄ですし、嬉しいです」

──リングでなく、ケージです。

「僕にとってアドバンテージになると思います」

──では最後に意気込みを一言お願いします。

「ハイ。なんかライト層なのか、下馬評ではサトシ有利という意見が目立っていたので──キャンって言わせてやります(笑)」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN LANDMARK09対戦カード

<ライト級/5分3R>
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
中村K太郎(日本)

<フェザー級/5分3R>
武田光司(日本)
萩原京平(日本)

<バンタム級/5分3R>
井上直樹(日本)
佐藤将光(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
RENA(日本)
シン・ユリ(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
ストラッサー起一(日本)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
山本アーセン(日本)

<バンタム級/5分3R>
金太郎(日本)
ダイキ・ライトイヤー(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
コーディー・ジェラベック(米国)

<フェザー級/5分3R>
久保優太(日本)
高橋遼伍(日本)

<キック74キロ契約/3分3R>
ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)
木村“フィリップ”ミノル(ブラジル)

<キック70キロ契約/3分3R>
憂也(日本)
蛇鬼将矢(日本)

<フライ級/3分3R>
中村優作(日本)
アルマン・アシモフ(カザフスタン)

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【RIZIN LANDMARK09】中村K太郎戦、ホベルト・サトシ「MMAでも下になることは厭わない」

【写真】対戦が発表された直後、表情は穏やかなサトシだった(C)MMAPLANET

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09で、ホベルト・サトシ・ソウザが中村K太郎と対戦する。
Text by Manabu Takashima

昨年7月にスクランブル発進でパトリッキー・フレイレに敗れて以来、8カ月ぶりの復帰戦となるサトシは、そのパトリッキー戦で拳を負傷したもののメンタルが落ちることが無かったという。

勝っても負けても、人として中身が変わらないことを信条としているが、それでもAJ・マッキー~パトリッキーに喫した敗北の連鎖を絶対に止めなければいけない。選手間、コア層の評価&指示を受けるK太郎との再起戦に向かうサトシが、1月31日の会見で話していたこととは――。


――中村K太郎選手との試合が発表された会見が、ほんの少し前に終わりました。今の気落ちは?

「最初はナーバスだったよ。皆が注目して、試合について尋ねるからね。フェイスオフや計量の時と比べると、記者会見は神経質になりがちで」

──えっ、そうなのですか。

「まだ試合まで2カ月もあって──それまで契約書……紙の上で見たり、話して耳で聞いていた相手が目の前に現れるのが記者会見だから。こうなると、『あぁ、本当に試合があるんだ』っていう気持ちになって。なんだか、面白いね。同時に試合に向けて集中力が増す。ファイトがある、それはホームに帰ってきたようなものだから。やる気が増すよね」

──会見でK太郎選手は、いつもユーモアたっぷりな返答が多いです。そのことについて、どう思いましたか。

「シリアスになったり、面白くなったり、変わっているよ(笑)。でも何も私に影響を与えることはない。彼の態度で私が変わることはないから。ただ試合に集中する。試合で勝つことに集中しているよ。彼が何をしようが、何もしないでいようが……何を話そうが一切関係ない」

──ではもう去年の7月の話になりますが、パトリッキー・フレイレとの試合にショートノーティスで応じた。あのハイリスク&ハイリターンの試合に敗れたことをどのように考えていますか。成功例が鈴木千裕選手で、サトシ選手の場合は黒星が一つつきました。

「あのショートノーティスの試合に関しては、プレッシャーを感じないようにしていた。ただ楽しむということは、試合前にも言っていたしね。もちろん、勝つために戦ったよ。確かに試合まで1週間しか時間はなかった。でも、普段からずっと練習はしているわけだし。それはいつだって試合があるようなもので。勿論、試合が決まると、より明確に自分のやるべきことが分かって、そこに従って練習をするようになるけどね。あの試合に関しては負けたよ。色んな人もそこを指摘するけど、私自身はそれほど気持ちが落ちたりはしなかった。今もネガティブな感情は持っていない。

そりゃあ、AJ(マッキー)に負けたことは関してはガッカリしたよ。あの時は2カ月間、AJに勝つことだけに集中していたから。100パーセント掛けていた。パトリッキーと戦った時は、あの時の100パーセントで戦った。でも、それは私の100パーセントではないし。

体力的なことよりも、ここまで上位の試合をするときに一番問題はなのは、気持ちだ。精神面が万全でないと自分がどう戦うのか、自分自身を掌握できない。そこが一番ハードなところなんだよ、ショートノーティスで試合を受けるということは」

──つまりパトリッキーと戦った時は、精神的に万全だったわけじゃないということですね。しかし、敗北は敗北で戦績に傷がついてしまいました。プロフェッショナル・ファイターとして、その辺りはどのように考えていますか。

「そこは本当に気にしていないよ。勝負には勝ち負けはつきものだから。ジョニー・ケースと戦って初めて敗北を経験した時に、その辺りの感情の持っていきかたは学んだよ。勝っても、負けても中身が変わらないことが大切だって。それはクレベルにも言えることで。クレベルが金原に負けた時、私もショックだし彼もショックを受けていた。パトリッキーに負けた時も、同じだよ。ただ試合には負けても、私は私でいること。何も変わらない。勝っても負けても、そして誰に何を言われようとも私という人間は何も変わらない。

逆にRIZINに大切な大会で、AJが来日できなくなって代役をお願いされた。それで戦いを受けないようなことをした方が、漢として何かを失っていたはずだと思っている」

──押忍。そしてあれから半年、試合の時は約8カ月後になりますが、この時期に再起戦を行うのはプラン通りだったのでしょうか。

「大晦日には試合をしたかった。でも、拳の状態が100パーセントではなかったから見送ることにしたんだ」

──その負傷とは……。

「そう、パトリッキーとの試合の初回で折れた。試合後、1カ月全く練習をしなかった。ジムにも行かなかった。1カ月もジムに行かないなんて、私の人生で初めてのことだったよ。でも、そのおかげでリフレッシュできた。より熱心に練習するようになった。ただ12月になってクレベルとスパーをした時、拳に痛みを感じた。私が殴った時だけでなく、ヒザやヒジをブロックした時にも。

大晦日に試合をしていたら、万全の状態で戦えなかったはずだよ。それは拳が痛いからではなくて、私の精神状態がそこを気にしてしまうから。正直、年が明けてもまだ100パーセントじゃない。でも、3月には何も問題ではなくなっているよ」

──ところでK太郎選手との試合は、MMAとはいえ両者のグラップラーという側面も注目されています。K太郎選手はプロのグラップリングの試合は長い間出てしませんが、2009年にはADCC世界大会77キロ級で4位になっています。彼のピュア・グラップリングにおける実力をどのように捉えていますか。

「グラップリング・ファイトで、彼は間違いなく強い。優れたグラップラーだ。素早いバック奪取と、精度の高いRNCを持っている。以前から言って来たことだけど、彼はウェルター級では日本一のグラップラーだと思っている」

──もしグラップリングでK太郎選手と戦うとしたら?

「楽しいだろうね。将来、彼がグラップリングに集中し、私が柔術にフォーカスするようになった時、RIZINがグラップリングマッチを組んでくれると凄く面白い試合になるだろうね(笑)」

──技術的にサトシ選手と比較して、どのように評価していますか。

「私と彼のスタイルは、少し違う。彼はトップゲームを得意として、バックチョークが最大の武器だ。私は三角絞め、腕十字と下からの攻撃を得意としている。グラップリングはグラップリングだけど、ストロングポイントが違うよね。私の方が動きが多くて、爆発力もある。彼はコントロール重視のドミネイト型だ」

──だからこそ、興味深いです。削ってミスをさせるK太郎と選手と、動いてミスを誘うサトシ選手。この構図はMMAにも当てはまるでしょうか。

「そこに関しては、教え子にもよく話している事なんだ。グラップリングとMMAグラップリングは違う。まずグローブの存在がある。良いポジションを奪われた時、グローブがあるとエスケープが難しくなる。グラップリングなら容易い。グラップリングはもっと動くことができるからね。

そして下になってハーフガードを取ったとしよう。グラップリングだと、リラックスしていられるポジションだ。でもMMAでは、全く気を緩めることなんてできない。エルボーとパンチを打たれる。グラップリングと、MMAグラップリングは全く違う。ただ、どうなんだろうね。私と彼がMMAで戦うと……。

私はMMAでも、下になることは厭わない。トップでも、ボトムでも。トップで居心地が良ければトップで戦う。引き込んだ方が良いなら、引き込む。私はどっちの局面になっても平気だから」

──ではK太郎選手のサイズに関しては?

「少し、私より大きいね。でも、それが問題になることもない。体格差は心配材料にならない」

──今サトシ選手は2連敗中ですが、3連敗はさすがにまずいと捉える選手が多いです。

「そうだね。と同時に、RIZINで戦う試合はいつだってプレッシャーを感じている。私はチャンピオンで、ベルトが家にある。ただ勝つために集中して、試合当日を迎えたい。そして、この試合は日本語でいえば、ゼッタイニ・マケハユルサレナイ(笑)。そういう試合だと心得ているよ」

──サトシ選手、会見後の慌ただしいなかインタビューを受けていただきありがとうございました。ところで全くこの試合に関係ないのですが、ルオトロ兄弟など新しい世代のグラップラーについて、サトシ選手はどのような印象を持っていますか。

「凄いよ。信じられない動きをしている。全く止まらない。足関節、腕十字、RNCと常にフィニッシュを狙っている。それを可能にしているのが、防御力の高さだね」

──いの日か……。

「アハハハハハ。そうだね」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZN LANDMARK09対戦カード

<ライト級/5分3R>
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
中村K太郎(日本)

<フェザー級/5分3R>
武田光司(日本)
萩原京平(日本)

<バンタム級/5分3R>
井上直樹(日本)
佐藤将光(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
RENA(日本)
シン・ユリ(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
ストラッサー起一(日本)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
山本アーセン(日本)

<バンタム級/5分3R>
金太郎(日本)
ダイキ・ライトイヤー(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
コーディー・ジェラベック(米国)

<フェザー級/5分3R>
久保優太(日本)
高橋遼伍(日本)

<キック74キロ契約/3分3R>
ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)
木村“フィリップ”ミノル(ブラジル)

<キック70キロ契約/3分3R>
憂也(日本)
蛇鬼将矢(日本)

<フライ級/3分3R>
中村優作(日本)
アルマン・アシモフ(カザフスタン)

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