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【ADCC2024】レポート─03─素晴らしき、G-World!! ミカがホシャを下しスーパーグランドスラム達成

【写真】(C)SATOSHI NARITA

8月17日(土・現地時間)と18日(日・同)の二日間にわたって、ラスベガスのT-モバイルアリーナにて、世界最高峰のグラップリングイベントであるADCC世界大会が行われた。今年は既報のように、破格の賞金100万ドルを掲げて日時と場所をあえて重ねて開催してきた対抗団体クレイグ・ジョーンズ・インビテーショナル(CJI)に多くの有力選手を奪われた形となった。レビュー第3回は、元チームメイト同士にして、22歳もの年齢差対決となった77キロ以下級の感動の決勝戦と、3位決定戦の模様をレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<77キロ以下級決勝/20分1R・延長10分>
ミカ・ガルバォン(ブラジル)
Def.19分05秒 by RNC
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

以前はマイアミのファイトスポーツにて一緒にトレーニングをしていた、親子並に年齢差のある二人。42歳のホシャが笑顔で両手を大きく広げると、20歳のミカも笑顔で歩み寄り両者はハグ。しばらくそのままの体勢で言葉をかけ合った両雄だった。

スタンドの探り合い。足を飛ばすミカ。ホシャが前にドライブすると、ミカはあまり抵抗をせずに倒れてクローズドガードを取った。

ハイガードを取るミカに対して、ホシャはその体を持ち上げ、ガードをこじ開けにかかる。ガードを解いたミカは下から足を絡めると、やがてホシャの左足を引き出して肩に抱える形を作る。が、ホシャは冷静に右足をミカの頭側に移動して足を引き抜いた。

その後も下から足を絡めるミカと、上からそれを捌くホシャという展開がしばらく続くが、6分過ぎにホシャが距離を取ったところでミカも立ち上がり、試合はスタンドでの探り合いに戻った。


7分近く。 ホシャが高めのダブルで前に出るとミカは瞬時に左でワキを差しながら支え釣り込み足。天才的な反応とタイミングで見事にホシャを舞わしてテイクダウンを奪い、サイドに付いたのだった。

さらにマウントを狙うミカだが、かろうじて左足に絡んだホシャは距離を作って立ち上がった。

その後はまたしても両者のスタンド戦となり、やがて10分が経過して試合は加点時間帯に突入した。

額をミカの額に擦り付けて押してゆくホシャは、左でワキを差す得意の姿勢を作る。さらに前に出ながらの小外刈りでミカを豪快に倒すホシャ。

が、ミカは倒された瞬間に右足でホシャの体を跳ね上げて立ち上がると、スクランブルを試みるホシャの背中に、まるで猫の如き俊敏さで飛びついてみせて、あっという間にフックを入れて3点を獲得してみせた。この動きもまた、尋常ならざるものがある。

さらにパームトゥパームで首を絞め上げにかかるミカ。ピンチと思われたホシャだが、後ろに倒れ込むと同時に体を捻って、チョークを振り解いて正対することに成功。

凄まじい攻防に大歓声が上がるなか、ミカのオープンガードの上になったホシャは、なんとも言えない味のある笑顔を作ったのだった。

ここから下のミカと上のホシャの攻防が続いた後、ミカが立って試合はスタンドに戻った。お互い何か言葉を掛け合い、時に笑顔を見せながらも厳しい組手争いを続ける両者。先程の攻防がリバーサルとして評価されたのか、ホシャにも点が入りポイントは3-2となっていた。

12分過ぎ、しきりに差しの体勢を狙うホシャが両ワキを差しにゆくと、ミカはすかさず外掛けでカウンターしテイクダウン。

動きを止めずに立とうとするホシャだが、ミカは再び素早く背中に飛びつきシングルフック。

が、ホシャは腰を上げてミカを前に落とすことに成功した。

上になったホシャは圧力をかけての侵攻を試みるが、ミカの強靭な足と上半身で作るシールドをフレームに阻まれる。やがて残り4分半の時点でミカが立ち上がった。

ここまで見事な攻撃で見せ場を作っているのはミカだが、点差はわずか1点と一瞬で逆転可能だ。どんどん前に出るホシャは左でワキを差すと、ミカが払い腰でのカウンターを狙う。しかしホシャの体は崩れず、すっぽ抜けてミカが下に。ミカはすぐさま立ち上がってみせた。

無尽蔵のエネルギーを誇るホシャはさらに前進を繰り返し、ミカの頭を両手で掴んでは下げさせにかかる。が、スタミナ十分のミカはそれを許さず、積極的にホシャの足に手を伸ばしてゆく。両者気力充実、一つのテイクダウンが勝敗を分けるスリリングな攻防が続いた。

残り2分。首を抱え合った状態から、おもむろに頭を下げて右手を伸ばしたミカは、内側からホシャの左カカトを掴んでピックしてバランスを崩したと思いきや、次の瞬間背中に回ってそのままフックを完成して6-2。凄まじい動きで決定的なポイントを奪うと、すぐさま深く左腕を食い込ませ、残り1分のところでホシャからタップを奪ってみせたのだった。

大歓声が上がるなか、体を起こしたホシャの肩に顔をうずめるミカ。

親子ほども年齢差のある両者は健闘を称え合った。

やがてホシャはミカの父にしてセコンドのメルキ・ガルバォンと抱き合い、ミカはホシャの盟友にして古巣ファイトスポーツの主であるサイボーグことホベルト・アブレウとハグ。さらにミカはガールフレンドであり、今年のパリ五輪女子フリースタイルレスリング68キロ級にて、米代表として金メダルを獲得したアミット・エロアとも抱き合ったのだった。

念願のADCC初制覇にして、2024年度スーパーグランドスラム(IBJJFユーロ、パン、ブラジレイロ、ムンジアル、ADCC全制覇)達成を果たしたミカは「すごく長い旅だったよ。僕の周りにいてくれた人たちなら、ここまで本当に何が起きたかを知っているんだ。ただこの大会に出られたということだけでも僕には大きな意味がある。2022年(のADCCでは、結果が準優勝で終わって)からADCCタイトルを取るためにずっとやってきた。このイベントに感謝したい。そして来てくれたみんなにもね。感謝したいのはまずダッドだ。僕はときには、あなたに相応しいような息子じゃないのは分かっている。でも約束するよ、これからベストを尽くして、あなたが育てようとしていたような息子になるから。(ガールフレンドのアミット・エロアに向けて)ベイブ、本当にありがとう。君はオリンピックで優勝したばかりで、時間をとってここにADCCを見にきてくれた。僕のハートの全ては君のものさ、僕は本当に恵まれているよ」とコメントを残した。

準決勝では思わぬ大苦戦を強いられた──判定に「救われた」とすら見えた──ミカだが、絶妙のタイミングとスピード、卓越した反応から繰り出されるテイクダウン、そして目にも止まらぬスピードと高い精度を兼ね備えたバックグラブは、組技を見る者に至上の喜びを提供してくれる。

選手の活躍する舞台が多様化するとともに、ときに自由な行き来が困難な場面も出てくるのが昨今のグラップリング界だ。それでもファンとしては、今回世界を獲ったミカと、CJIで輝いたルオトロ&タケット兄弟、リーヴァイ・ジョーンズレアリー、そしてタイと初戦で激闘を繰り広げた超エリートレスラーにして、後日グラップリング転向を表明したジェイソン・ノルフらの対戦の実現を心待ちにしたい。

また、強力なレスリングベースを持つ同士の3位決定戦となったPJ・バーチ対エライジャ・ドロシー戦では、ドロシーが自ら座って下からの勝負を挑んだ。一度腕ひしぎ腕固めでバーチの左腕を伸ばしかける等の見せ場を作ったドロシーだが、それを抜いたバーチは準決勝でミカからパスを奪いかけたのと同様の3点倒立の形を作ると、右ヒザをスライドしてパス。

さらにマウントを奪って見せたが、これは加点開始前。

やがて加点時間帯に入ると、ドロシーが立って勝負はスタンドレスリングに。ドロシーがシングルに入るが、それを切ったバーチが逆に深くシュートイン&ドライブする。

ドロシーは倒されながらアームインギロチンに入るが、バーチが首を抜き2点を先制した。

その後ドロシーの下からの仕掛けをしっかりワキを締め、また胸を密着させて防ぐバーチは、ドロシーが最後の望みを賭けて外ヒールを仕掛けてくるも、余裕の表情を見せる。

極めることに気を取られているドロシーの左足をクロスで捉えたバーチは、逆に一瞬で内ヒールで切り返して9分44秒、鮮やかな一本勝ちを収めた。

昨年はJTに殊勲の星を挙げるも4位に終わったバーチ。今年は準決勝でミカに限りなく勝利に近い判定負けを喫したものの、見事な3位入賞。 10thプラネット随一のレスリングベースを持つ男は、歴戦を重ねるなかで極め力と勝負勘、そして世界屈指と言っても過言ではないほどのパス技術を磨き上げ、34歳にして世界最強のグラップラーの一人へと成長した。

【リザルト・77キロ以下級】
優勝 ミカ・ガルバォン(ブラジル)
準優勝 ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)
3位 PJ・バーチ(米国)

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【ADCC2024】レポート─02─ステ投与を明言=ヴァグネウ・ホシャが優勝候補と新星下し、ファイナルへ

【写真】30代の時からステロイドの使用を公言。ADCCは検査なし、42歳の彼は6度目の出場で、5年ぶり二度目の決勝進出。これがホシャの人生(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)と18日(日・同)の二日間にわたって、ラスベガスのT-モバイルアリーナにて、世界最高峰のグラップリングイベントであるADCC世界大会が行われた。今年は既報のように、破格の賞金100万ドルを掲げて日時と場所をあえて重ねて開催してきた対抗団体クレイグ・ジョーンズ・インビテーショナル(CJI)に多くの有力選手を奪われた形となった。レビュー2回目は、最注目77キロ以下級の後半ブロックの準決勝までの模様をレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi

前回大会3位。前回準優勝のミカ・ガルバォンや2017&2019年優勝のJTトレスに次ぐ優勝候補と言えるダンテ・リオンは、一回戦で新鋭エライジャ・ドロシーと対戦した。ロイド・アーヴィン門下にして強力なレスリングベースを持つドロシーは、今年の東海岸予選の覇者で同予選のファイナルではニッキー・ライアンを制圧している。

前半、ドロシーがダブルに入れば、リオンがギロチンで切り返し、また足関節を狙う白熱の攻防に。加点時間帯になるとリオンが座る。バタフライフックから座ってワキを差してボディロックを作り、そこから立ち上がってのテイクダウンを狙うリオンだが、ドロシーが堪えて両者は場外に。

再開後も差しからのテイクダウンを狙い続けるリオンだが、強靭な足腰を持つドロシーが、小手から内股で豪快に投げて上を取った。大きな流れの中で考えるともともと上のポジションにいたドロシーが上に戻ったという攻防だが、ブレイクを経て一旦両者がスタンドに戻ったと解釈されて、ドロシーに2点が入った。リオンとしては、改めてテイクダウンを狙うというよりスイープを継続していたつもりだっただろうから、痛恨の計算違いだ。

まさかのリードを許したリオンは再びバタフライ。そこから潜ってワキを差し、ドロシーの右足に二重絡みをかけて下から煽るが強靭なベースを誇るドロシーは崩れない。ダンテはさらに好転しながらドロシーの左足を肩で抱えて崩しにかかるが、ドロシーはここも足を抜く。その後もリオンはシッティングから崩し、チョイバーで左腕を伸ばしかける場面も作るが、ことごとくドロシーがディフェンス。結局ドロシーが2点のリードを守り切り、優勝候補を撃破する殊勲の星を挙げた。


勢いに乗るドロシーは続く準々決勝、JTトレスと対戦。ちなみにJTは以前(現在ドロシーが師事する)ロイド・アーヴィン門下だっただけに、その点でも因縁のある新旧対決だ。

レスリングに自信を持つ両者だけに、スタンド戦が続く。4分過ぎ、シュートインしたドロシーが組みつくと、JTが上から首を抱えにあかる。が、ドロシーは首の力でJTをリフトしながらボディロックを作り、そのままテイクダウンに成功。その後は下から足を絡めるJTと上からパスを狙うドロシーの攻防が続くが、加点時間開始前にドロシーが距離を取り、両者スタンドに戻った。

そして試合時間が5分を過ぎ加点時間帯になると、JTはすぐさまシュートイン。ここはドロシーがスプロウルしてみせた。逆にシュートインするドロシーがそのまま押してゆくと、JTは右でウィザーを作って対抗。そのまま内股で投げを狙うJTだが、ドロシーは崩れずJTの背中側に重心をかけてゆく。

ここでJTは方向を変え、仰向け方向に捨て身の形でドロシーを投げようとするが、ドロシーは機敏な反応でバランスを取り上をキープ。なんとか距離を作って立とうとするJTに重心を浴びせて押さえ続け、ついにハーフで固定。6分経過時点で2点を先取して見せた。

JTはハーフから仕掛けようとするが、ドロシーは動かず。残り3分のところで立ち上がったJTが前進するも、ドロシーはうまくいなし続ける。ならばとJTが両差しを作ってドロシーの体を掬い上げにかかると、差し返すドロシー。さらにJTは左ワキでドロシーの首を抱えようとするが、が、前半同様強靭な首の力を持つドロシーのバランスは崩せない。逆にここでドロシーがニータップから浴びせ倒し、再び上に。JTはギロチンのカウンターを狙うが、ドロシーに首を抜かれてしまいテイクダウンが成立。4-0とリードを広げた。

その後、上からパスのプレッシャーをかけ続けるドロシーに対し、JTが有効な攻撃を仕掛けないまま試合終了。若さに勝るドロシーが、JTの本領であるはずのスタンドレスリング&トップゲームで完勝。世代交代を印象付ける一戦となった。レスリングの優位性で勝利してきたJTだが、そのレスリングで勝てなくなってしまうと、ADCCルールにおいては厳しいようだ。

もう一つの山からは、42歳の大ベテランにしてやはり優勝候補のヴァグネウ・ホシャが気を吐いた。初戦ではジェレミー・スキナーからテイクダウンを取り、パスガードを決めた後に左腕を伸ばしかけ、最後にはバックも奪って6-0で完勝。

2回戦ではジョナタス・グレイシーと当たったホシャは、上からじっくりプレッシャーをかけて疲弊させ、延長戦で左でワキを指す得意の形から小内刈りを合わせてテイクダウンに成功。その後もジョナタスの口を手で塞ぐなど嫌がらせ攻撃も冴え渡り、自分より際も若い相手を疲労困憊させて完勝。自分より20歳若いエライジャ・ドロシーとの準決勝に駒を進めた。

<77キロ以下級準決勝/10分1R・延長5分>
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)
Def. Referee’s decision
エライジャ・ドロシー(米国)

42歳✖22歳。実に20の年齢差のある両者はスタンドで首や腕を取り合い、そして頭を付けて、時に強くぶつけ合っての鍔迫り合いを展開する。そして2分半経過時に、ホシャが前に出てワキを差す得意の体勢から浴びせ倒してのテイクダウンに成功。ドロシーがクローズドガードを取ると、喉元に手をやりプレッシャーをかけるホシャは一度ハーフまで侵攻するが、ドロシーも戻す。

5分を過ぎて加点時間帯となっても、上のホシャと下のドロシーによる攻防が続いた。

残り3分のところでドロシーが距離を作って立ち上がり、試合はスタンド戦に。レスリングに自信を持つドロシーが前に出るが、ホシャは下がりながら受け流す。ドロシーはニータップも仕掛けるが、ホシャはここも巧みに下がって対応した。やがてホシャはまたしてもワキを差す得意の体勢に。

対するドロシーは小手に巻いての内股狙いに出るが、ホシャがこらえてみせた。残り45秒、ホシャがワキを差した形からの小外刈でドロシーを倒す。が、ドロシーはウィザーを効かせてすぐにたち、ポイント献上は回避した。結局そのまま0-0で本戦が終了し、試合は延長に持ち込まれた。

延長に入るとドロシーがシュートイン。

しかしホシャは素早く対応して受け止める。アタックを試み続けるドロシーは残り3分のところで深くシングルに。

そのままドライブしてのテイクダウンを狙うが、ホシャは右足を抱えられながらもスプロールし、重心を落として対応する。

やがてドロシーを押し返して距離を取った。若きレスラーが仕掛けるテイクダウンに対して見事なディフェンスを見せたホシャは、してやったりの笑顔を見せた。

その後も両者譲らないスタンドの展開が続く。残り1分を切っても反応速度が落ちず気力充実ぶりが伺えるホシャに対し、20歳若いドロシーは遠い距離から雑にシュートインしては防がれる場面が目立ってくる。ドロシーのテイクダウンを切っては押してゆくホシャは、笑顔を見せてからフェイント。さらに前に出て左でワキを差してドロシーを場外に押し出す等、底知れぬスタミナと地力を発揮するホシャが余裕を持ってドロシーのテイクダウンを防ぐうちに試合は終了した。

レフェリー判定は、本戦の前半で綺麗なテイクダウンを奪う場面も見せたホシャに。延長で何度もアタックを試みたのはドロシーの方だが、ペース支配という点では、上手く捌き続けては押していったホシャの方が優勢に見えてしまうような展開だった。

とまれ、ホシャは2019年大会以来二度目の決勝進出。リオンとJTという優勝候補二人をスタンドレスリングとトップゲームで上回った20歳下のドロシーを相手に、まさにその分野で渡り合い攻略するという驚くべき戦いぶりだった。準々決勝でドロシーは、2019年にホシャを決勝で倒した34歳のJTに完勝し世代交代を強く印象付けた。そのドロシーをさらに一世代上のホシャが倒したのだから、時代の流れを一人で引き戻す凄まじい活躍だ。

ただしホシャ本人は、ホルモン補充療法としてステロイド投与を30代半ばから続けていることを以前から明言しており、この「驚くべき」戦いに我々はどの程度驚くべきなのか、果たして「鉄人」、「中年の希望の星」等の賛辞を送るべきかどうかの判断は難しい。

が、このADCC大会の公式ルールには禁止薬物についての記載がなく、検査もされないことは公然の事実だ。つまりホシャはこの大会で他の選手たちと同じルールに則って戦っている。そして2011年の初出場以来6度出場、実に13年間かけて戦い続け、今回42歳にして5年ぶり二度目の決勝進出を果たした。他の追従を許さない並外れた業績であることは間違いない。

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MMA MMAPLANET o UFC UFC FPI04 ニッキー・ロドリゲス ヴァグネウ・ホシャ

Overlooked【UFC FPI04】OT狙い??のヴァグネウ・ホシャ、OTでニックロッドにRNCで敗れる

速報で負い切れなかった試合をお伝えする──帳尻合わせ試合レポート。

ここでは6月29日(木・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APECで開催されたUFC FPI04から、無差別級T準決勝=ニッキー・ロドリゲス✖ヴァグネウ・ホシャの一戦の模様をお届けしたい。

<無差別級T準決勝/8分1R>
ニッキー・ロドリゲス(米国)
Def. OT 2nd term by RNC
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

30秒で両ヒザ立ちとなったニックロッドだが、すぐに立ちあがる。これは寝技とは認められず、1分が経過したところでゲットダウンが命じられ、ニックロッドがトップを選択する。ホシャはバタフライ&ダブルアンダーフックを続け、両ワキを差したままクローズドガードを取る。フックを解いたニックロッドは、ホシャの蹴り上げにスタンドに戻る──そして、2度のゲットダウンへ。

今度はホシャがトップをチョイする。すぐにスクランブルを狙ったニックロッドをがぶろうとしたホシャだが、逆にアームドラッグを仕掛けられて離れる。座ったニックロッドに頭から飛び込んだホシャは、笑顔を見せてスタンドに戻る。追ったニックロッドは、残り3分20秒で座るが、いつでも立ち上がる準備をしておりホシャも寝技には転じない。

柔術競技に対し、オフェンスの意識がディフェンスの意識より高まるというのがEBIルールの本質だが、明らかにこの試合は防御重視の展開が続く。ついにはニックロッドに膠着誘発の指導が入り、強制的にバタフライガードを取らされる。ニックロッドはここで即レッスルアップから、アームドラッグ&ダブルレッグでリバーサルを決める。

懸命に蹴り上げ、スペースを創ろうとするホシャは足回しからニックロッドの足まで蹴っていく。残り、15秒──恐らくはホシャが勝負を賭けていたであろうOTに突入した。

しかし、ホシャのシートベルトの組手争いから、駆け引きが始まったOTはセカンドタームでアゴの上からRNCを極めたニックロッドが制した。


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JJ Globo Report UFC FPI04 フィリッピ・アンドリュー ブログ ヴァグネウ・ホシャ

【UFC FPI04】ヴァグネウ・ホシャ、見事なカウンターのインサイドヒールでアンドリューからタップ取る

<無差別級T1回戦/8分1R>
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)
Def.6分18秒by ヒールフック
フィリッピ・アンドリュー(ブラジル)

211ポンドだったホシャ。アンドリューより6ポンド軽いだけで、イメージ以上に大きい。直ぐに座ったアンドリューがデラヒーバ、足首をコントロールして防ぐホシャが上という状態が続く。ホシャが立ったままトーホールドを狙い、体を捻って防いだアンドリューはハーフガードに。ホシャはアンドリューの外掛けヒールに、スタンドでトーホールドを仕掛ける。アンドリューはサドルを取り、ロールしたホシャは股間を蹴りつつ下がってスタンドに戻った。

仕切り直しでデラヒーバ、Kガードから足を取りに行く。残り5分を切り、ホシャが立ち上がり座ってデラヒーバから足を差し込み、足関節狙いのアンドリューの仕掛けを捌くという展開のなかで、リバーサルを許す。すぐに立ち上がったホシャは、アンドリューのシングルレッグで場外に転落しそうになり、レフェリーが懸命に止めに懸かった。

マット中央で再開となり、デラヒーバから左足を絡まれたホシャは右足で思い切りアンドリューの胸を蹴っていく。試合はスタンドに流れ、アンドリューのテイクダウン狙いをホシャが切っていく。残り2分、座ったアンドリューがデラヒーバから足をスイッチして50/50も右足を開いた刹那、ホシャが残っている左足をサドルから内ヒールに捕え──瞬息、見事なカウンターアタックでタップを奪った。


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【UFC FPI04】魂の耐久戦を戦ったスミスがテイシェイラと再戦。NCAAを2度制したブラボーヤングも注目!!

【写真】こんな攻防は絶対にない。ではどのような我慢合戦が見られるのだろうか (C)Zuffa/UFC

29日(木・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC FPI04。フィリッピ・ペナ✖クレイグ・ジョーンズのメインを筆頭に$3万が懸かった無差別級Tなど、世界のトップグラップラー&新鋭が集結する同大会では、MMA色の強いワンマッチも組まれている。

それがコメインで組まれたグローバー・テイシェイラ✖アンソニー・スミスのヘビー級マッチとフェザー級のローマン・ブラボーヤング✖アレックス・ペレスの2試合だ。


2020年5月、まだ未知の病原菌としてコロナの脅威が全世界を襲っていた頃にテイシェイラとスミスはUFN171──活動再開第2弾──のメインで戦っている。序盤の拮抗した勝負から3R以降はテイシェイラが、スミスをコントロールし徹底的にパウンドで痛めつけ、辛くも2つのラウンドはサバイブしたスミスが遂には最終回に仕留められている。

とはいってもスミスの粘りは驚異的でしかなく、今回は3年の時を経てグラップリングで両者が再び相対する。

ヘビーパンチャーのテイシェイラだが、柔術も黒帯で組み技競技の出場でいえば時を14年も遡るが、2009年のADCCブラジル予選で優勝し、同年にバルセロナで開かれた世界大会にも出場している。ばかりか、99キロ級で4位に輝いている。

続く2011年度の挑戦はブラジル予選で準優勝に終わり、2019年末のQuintet UltraまでテイシェイラはMMAに専念してきた。その後2021年10月にはUFCヘビー級王座となっていることは、周知の事実だ。元世界王者テイシェイラのグラップリング力は、スミスを上回ると予想される。とはいってもキャリア36勝(※18敗)のうち、14勝が一本勝ち(※KO勝ちは20度)のスミスも、極め力は相当なモノがある。

膠着無用、スタンド回避のサブオンリー・ルールでは、当日のコンディションも大いに勝敗を左右するものだが、5分3R制でなく、インターバルがないことも勝敗の鍵となるに違いない。43歳のテイシェイラを34歳のスミスが動かす試合となれば、マット上でのリベンジも大いにあり得るだろう。

またフェザー級戦ではフライ級タイトルコンテンダーのペレスが、ペンシルバニア州立大時代にNCAA D1を2度制したブラボーヤングの初のグラップリング戦(現地では初の柔術マッチと喧伝されている)の相手を務める。

レスリングベースのペレスは、ジヴァ・サンタナに長年に渡り柔術の手解きも受けており、サブミッション・レスラーとしての側面も持つ。対してブラボーヤングは大学を卒業後、フリースタイルでパリ五輪を目指す立場でありながら、レスリングのキャリアを全うした後にはMMA転向を既に宣言している。

このブラボーヤング、2020年の12月にアルジャメイン・ステーリングと6分間のフリースタイルレスリングの後、3分間のグラップリングというガチのエキシビションマッチを経験。レスリングでは6-4でリードし、グラップリングではRNCで敗れている。

いずれケージに足を踏み入れるであろうブラボーヤングは133ポンドでNCAAを制しており、ペレスはフライ級ファイターということを考えると、フェザー級契約はフィジカル的にはブラボーヤングが優位という見方も成り立とう。

レスラーとしてはフットワークを駆使し、シングルレッグやアンクルピックなどに強味を発揮するブラボーヤングは、ドミニク・クルーズともトレーニングもしてようだが、如何にペレスの柔術的な動きを断ち切ることができるのか──焦点はズバリこの一点に掛かってくる。つまりは、ペレスが引き込む可能性は十分にある対戦だ。

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC FPI04対戦カード

<ヘビー級/20分1R>
フィリッピ・ペナ(ブラジル)
クレイグ・ジョーンズ(豪州)

<ヘビー級/10分1R>
グローバー・テイシェイラ(ブライジル)
アンソニー・スミス(米国)

<ヘビー級/10分1R>
ニコラス・マレガリ(ブラジル)
ホベルト・サイボーグ・アブレウ(ブラジル)

<フェザー級/10分1R>
ローマン・ブラボーヤング(米国)
アレックス・ペレス(米国)

<140ポンド契約/10分1R>
ヘレナ・クレヴァー(米国)
エミリー・フェルナンデス(米国)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ロベルト・ヒメネス(米国)
ニック・ロドリゲス(米国)

<無差別級T1回戦/8分1R>
フィリッピ・アンドリュー(ブラジル)
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ヒョードル・ニコロフ(ロシア)
ハイサム・リダ(ガーナ)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ガブリエル・アウジェス(ブラジル)
ダン・マナスー(米国)

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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MMA MMAPLANET o UFC UFC FPI04 YouTube カイナン・デュアルチ クレイグ・ジョーンズ ニコラス・メレガリ ニッキー・ライアン ニック・ロドリゲス ハイサム・リダ ホベルト・アブレウ ヴァグネウ・ホシャ

【UFC FPI04】メインはクレイグ✖ペナ。陽性→IBJJF系大会3年出場停止のアブレウはマレガリと対戦

【写真】去年のADCC出場時のサイボーグ・アブレウ。ADCCはステロイドフリー。MMAではドラッグテストに莫大な費用を投じているUFCも、グラップリングでは世の趨勢に従うのか (C)SATOSHI NARITA

9日(木・現地時間)に開催&配信されるUFCファイトパス・インビテーショナルの展望後編。
Text by Isamu Horiuchi

ハイサム・リダが出場するトーナメントの見所に続き、今回はメインで組まれたクレイグ・ジョーンズ✖フィリッピ・ペナを戦の行方を占い、ニコラス・マレガリと戦うホベルト・アブレウのステロイド問題について言及したい。

<UFC Fight Pass Invitational04展望Part.01はコチラから>


まずジョーンズ✖ペナ戦は、長きに渡り世界のトップグラップラーとして揺るぎない地位を確立している両者だが、意外にもこれが初対決となる。

世界屈指のガードプレイヤー、ペナは昨年のADCCの最重量級準決勝にてジョーンズの盟友ニック・ロドリゲスと対戦。ボディロック取られて完全パスガードを許して敗戦した。が、今年の2月のWNOの再戦ではより強固なニーシールドと腕のフレームを駆使してパスを許さず、一進一退の攻防の末に僅差の判定勝利、リベンジに成功している。

対するジョーンズは、昨年のADCCは99キロ以下級に準決勝でニコラス・メレガリに競り勝ったものの、決勝でカイナン・デュアルチが繰り出した、膠着ペナルティ上等の強烈な抑え込みの前に屈して以来の試合出場だ。

ジョーンズのチームメイトのニッキー・ライアンらは「前戦では(足関節のスペシャリストではない)ニック・ロッドがペナから外ヒールを取りかける場面があった。ならばクレイグなら下から足を絡めて極めることができるだろう。できなくてもOTで勝てるのではないか」と予想する。

確かにサブミッション・オンリーで、さらに立ち技での膠着も許されない今回のルールは、スイープの名手ペナよりも極め業師のジョーンズにとって本領といえるだろう。

それだけに、ペナの出方──上から足を攻撃される危険を冒してでも自ら引き込み良い形を作りにゆくか、それともジョーンズの仕掛けを待って対応するのか。はたまた上下をコイントスに委ねてバタフライ&アンダーフックの攻防を挑むのか──が興味深い。

この他、ワンマッチでも注目すべき試合が組まれている。まずジョン・ダナハーのもと昨年からノーギ・グラップリングに進出して目覚ましい活躍を見せているニコラス・メレガリと、2013年ADCC世界大会無差別級優勝をはじめとした輝かしい実績を誇る42歳のサイボーグことホベルト・アブレウの試合も組まれている。

アブレウは昨年末のノーギ・ワールズで6度目の優勝を果たしたものの、薬物検査に引っかかり優勝剥奪&3年間の出場停止処分を下された。

それを受けて「私は確かに長年HRTホルモン補充療法を受けている。これは私のような30歳を過ぎた選手が、試合に出続けるためにハードな練習と回復を可能にするために必要であり、有益だ。IBJJFは選手に賞金を出してくれないから、私は金を稼ぐには何も検査のないプロイベントで、(薬物を使ってくる)より若く大きい選手と戦い続けなくてはならない。そもそもIBJJFが王者だけを検査すること自体が不公平ではないか」と、随分と開き直った声明を出したことで波紋を呼んだ。

薬物使用の是非はともかくとして、IBJJFと同様にUSADA(米国アンチドーピング機構)が行う薬物検査を採用するUFCの名を冠するこのイベントにて、アブレウの出場が許可されているという事実は留意しておくべきだろう。

ちなみにアブレウの盟友にして、やはり昨年末のテストで陽性となってなお今回のトーナメントにエントリーしているヴァグネウ・ホシャについても状況は同様だ。

アブレウ同様HRTを受けていることを公言しているホシャと、自らトップグラップラーとしては少数派である「ナチュラル」であることを大いにアピールするヒメネスの対戦が今回実現したら、正反対のイデオロギーのぶつかり合いとなる。

同じUFC傘下とはいえ、UFC本戦とUFCが行うグラップリングイベントである今大会は、まったく異なる統括原理のもとで開催されているということなのだろう。

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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【UFC FPI04】立ちレス強制終了ルール適用UFCファイトパス招待TにB-TEAM移籍のハイサム・リダが出場

【写真】2021年のハイサム旋風を再び巻き起こすことができるか!! (C)SATOSHI NARITA

9日(木・現地時間)、東部時間の午後9時よりUFCファイトパスにて、グラップリング大会UFCファイトパス・インビテーショナル(FPI)04が配信される。
Text Isamu Horiuchi

強豪選手を集めたシングルマッチと優勝賞金3万ドル(※約430万円)が掛かった8人トーナメントを同時開催するこの大会は、トーナメントは本戦8分、メインカードのシングルマッチは本戦20分のサブミッション・オンリールールで争われる。

本戦で決着がつかなかった場合には、攻撃側と防御側に分かれて極めとエスケープの速さを競うEBI形式のオーバータイム(OT)で勝敗を決める。


UFC FPIルールの特徴は、立ち技の攻防が続くことを防止するための「ゲットダウン」ルールが採用されている点にある。スタンドの攻防が1分間続いた場合にはレフェリーが強制的にブレイクし、選手はバタフライガード(下の選手は双差しで相手の背中で手を組む)の上下に分かれて、(選択権はコイントスで決められる)寝技から攻防が開始されることとなる。

さらに、寝技の攻防で膠着を誘発する選手には積極的に警告やペナルティ(1回につき、OTにおいて自らのエスケープ時間を1分間加算される)が与えられ、選手たちは常に組技でのアクションを促されることとなる。

今回のトーナメントの参加選手は以下の通りだ。

ハイサム・リダ(ガーナ)
ダン・マナスー(米国)
フィリッピ・アンドリュー(ブラジル)
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)
ガブリエル・アウジェス(ブラジル)
ヒョードル・ニコロフ(ロシア)
ニック・ロドリゲス(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)

日本のファンにとって嬉しい知らせは、昨年12月のUFC FPI03に続いてのハイサム・リダのエントリーだ。米国移住後、デトロイトのアセンブリー柔術を拠点としてメジャーグラップリング大会で活躍をしてきたハイサム。昨年のADCC世界大会最重量級1回戦では、超大物ホベルト・アブレウからわずか75秒で腕十字を極めてみせ、世界にその恐るべき潜在能力を知らしめた。

が、2回戦ではルーズベルト・ソウザのテイクダウンに敗れ、また無差別級では階級下のジャンカルロ・ボドニにガードをパスされ、完全制圧された上で腕を極められてしまう等、発展途上な側面が露呈してしまったことは否めない。前述のFPI 03においても、やはり階級下のパトリック・ガウジオの三角絞めの前に初戦敗退となってしまった。

そんなハイサムは、今年4月末にデトロイトを離れてテキサスのB-Teamに移籍することを決意。「負けが続いて、自分の戦いをみんなに知られてしまっていることが分かった。新しい技術を身に付けなければいけないと思った。そのためにここ以上の場所はない。僕の弱点、やるべきことは自分でも分かっている。突然強くなるはずもないから、多くのドリルやスパーリングを重ねてゆくよ」とハイサムは語る。

実際、クレイグ・ジョーンズ、ニック・ロドリゲス、ニッキー・ライアンといった世界最高峰のグラップラーが所属するB-Teamは、これまでハイサムの大きな課題であった各要素──テイクダウン、足関節、柔術ファンダメンタル=パスガードの攻防──に優れた選手たちが集い、特に足関節とパスガードの技術においては世界最先端を行く集団だ。

重量級として突出した瞬発力とダイナミックな極めを持つハイサムが、真のコンプリート・グラップラーとなるためにはまさに最善の選択だろう。

持ち前の明るい性格であっという間にチームに溶けこみ、また道場前に駐車した自分の車を荒らす泥棒を追いかけ、素手で取り押さえるという経験までしたというハイサムは、今回が移籍後初戦となる。本人も語るように、わずか数ヶ月の練習で全てが劇的に変わるものではないだろうが、ガーナ生まれの少年が、日本~デトロイト~テキサスと移動し世界の頂点を目指す旅の新章の幕開けとして、今大会は注目だ。

そしてこのトーナメントには、ハイサムを受け入れたB-Teamの重量級エース、ニック・ロドリゲスもエントリーしている。ハイサムの加入について「僕と同体格で、同じように高い身体能力を持ったパートナーが得られて最高さ。ハイサムは自分のエゴを試合では勝つために上手く使うけど、練習ではシャットダウンし、いつも笑っているんだ」と大歓迎の様子だ。

前回大会で世界最強のグラップラー、ゴードン・ライアン相手にOTに持ち込み、eエスケープタイム時間差で敗れたもののチョークを極めかける場面を作ったロドリゲスが本命であることは間違いない。

チーム加入前、練習に訪れたハイサムとのスパーリング動画が公開されているが、そこでは──あくまでお互い、勝ち負けではなく技術の向上を目指した手合わせにおいて──ロドリゲスがボディロックからパス、マウントを奪い上からの三角で極めているシーンがある。今回ハイサムとの同門対決が実現した場合、お互い手の内を知り尽くしているからこそ、当時よりさらにステージの上がった攻防を期待したいところだ。

さらに直前になって、ペドロ・ホシャに代わりロベルト・ヒメネスがエントリーされたこともこのトーナメントの期待感を増している。どのポジションからもダイナミックに極めを狙いにゆくヒメネスと、同様のスタイルを最重量級で実践するハイサムの対戦が実現すれば、好勝負となることは必至だ。

他にも世界王者レベルのグラップラーたちが続々と名を連ねるこのトーナメントでは、ジョン・ダナハー門下の22歳の巨漢ジョン・マナスー、10th Planetセントペテルスブルグ支部のヒョードル・ニコラスといった新顔の戦いぶりにも注目だ。

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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ADCC2022 K-1 MMA MMAPLANET o   アイザック・ミシェル エオガン・オフラナガン ゴードン・ライアン ジェイ・ロドリゲス ジャンカルロ・ボドニ ジョシュ・ヒンガー タイ・ルオトロ ニック・ロドリゲス ペドロ・マリーニョ ルーカス・バルボーザ ヴァグネウ・ホシャ

【ADCC2022】88キロ級決勝 現代グラップリングの完成形=ジャンカルロ・ボドニがハルクを破り世界一に

【写真】投げとテイクダウン、上も下も極めもあるジャンカルロ・ボドニ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第13 回からは88キロ級決勝ジャンカルロ・ボドニ×ルーカス・バルボーサ戦の模様をお伝えしたい。

緻密な技術で決勝に進んだボドニを決勝で待っていたのは、優勝候補の一人ルーカス・ハルク・バルボーザだ。

バルボーザは1回戦はフィンランドのサンテリ・リリアス相手に加点時間前から積極的に極めを狙ってゆき、中盤にテイクダウンからバックを奪取。極めることはできなかったものの3-0で完勝した。

2回戦でバルボーザはアトスの同門にして40歳の大ベテラン、ジョシュ・ヒンガーと対戦。

ヒンガーは初戦、やはり同門にして21歳も年下のタイ・ルオトロと両者総力を尽くした大激戦を展開。延長にてダブルレッグで先制点を取られるものの、オモプラッタの仕掛けからスクランブルで背後に付いてフックを入れ、3-2で驚愕の逆転勝利を収めている。

そのヒンガーを相手にバルボーザは、加点時間帯に入ってからシュートイン。ダブルからシングルに移行して左足を抱えてテイクダウンに成功。亀を取られて加点はなかったものの、そのまま上からじっくり低く体重を預けて侵攻し、足を超えてパス、そしてマウントまで奪って7-0で完勝した。

迎えた準決勝の相手は、やはり大ベテラン40歳のヴァグネウ・ホシャ。こちらは初戦でオセアニア予選の覇者のアイザック・ミシェルに、2回戦ではペドロ・マリーニョ相手に得意のスタンドでの持久戦を展開。延長で加速して判定勝利を収めている。

ちなみにマリーニョは一回戦、ニック・ロドリゲスの弟ジェイ・ロドリゲスにワキをくぐられてバックを奪われたものの、自ら前転してスクランブルして上のポジションを奪取。そのままニースライスパスを決めて3点を先制し、終盤テイクダウンを奪われるものの終了まで足を絡めて逃げ切る形で激闘を制していた。

そんなホシャとの準決勝。バルボーザは前半バックを取りかける等優勢に進めるものの、後半は恐るべきスタミナと尽きない闘争心を持ち、ヘッドバット上等で前進してくるホシャに精神的にも肉体的にも疲弊させられる展開に。最後はテイクダウンを奪われかけたものの背中を向けて終了まで耐え抜き、前半の優勢を評価される形でレフェリー判定勝利。死闘の末に薄氷の決勝進出を果たした。

迎えた決勝戦。ボドニが2020年に黒帯を取得して以来、両者はノーギで5度対戦。いずれも僅差だがバルボーザが4勝1敗と勝ち越している。


<88キロ下級決勝/20分1R>
ジャンカルロ・ボドニ(米国)
Def.14分10秒 by RNC
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)

まずはスタンドレスリングで争う両者。お互い頭を掴んで下げさせようとする重厚な攻防が続く。ボドニがバルボーザの右腕をドラッグしようとしたところで、バルボーザがシュートイン。

しかしスプロールしたボドニは、上体を起こすバルボーザをフロントヘッドロックで捕らえて投げを放つ。が、バルボーザはうまく左腕をマットにポストして堪え、そのまま上になった。

低く入るバルボーザは、左右に方向を変えながら侵攻を試みるが、ボドニも左右のニーシールドとフレームを使って止める。ここでレフェリーにバルボーザにもっと積極的に動くようにと警告。これはトップからじっくり圧力をかけていくのがバルボーザの持ち味なだけに、気の毒なコールだ。

さらにプレッシャーをかけるバルボーザだが、ボドニは下から入れた右ヒザでバルボーザの体を引き寄せてその右足を抱えると、そのまま足を伸ばしにゆく。バルボーザは自ら横回転しボドニの背後に。さらに前方にダイブしたバルボーザは、ボドニの背中をマットに付けさせてからバックを狙う。

嫌がったボドニをボディロックで固定したバルボーザはサイドへ回ろうとする。ボドニも両腕を張って距離を作って足を入れて抵抗する。

それでも巨大な上半身で圧力をかけてせり上がるバルボーザは、ニアマウントから肩固めへ。そのまま絡んでいる足を外し、サイドに回るバルボーザ。絶体絶命かと思われたボドニだが、ポジションが固まる前に全身の力を使ってスピンして亀に。そのままバルボーザを振り解いて立ち上がってみせた。バルボーザの世界随一の圧力から脱出したのだから、素晴らしいタイミングと力の集中のさせ方だ。

試合はスタンドから再開され、またしてもいなし合いを展開する両者。やや疲弊したバルボーザが、ボドニに手をかけられて頭を下げさせられる場面が増えてきている。

8分過ぎ、再び頭に手を伸ばすかと思われたボドニがダブルレッグに。反応の遅れたバルボーザの懐に深く入ってテイクダウンに成功し、そのまま上のポジションを取った。加点時間帯に入っていないこともあり、バルボーザは無理にスクランブルをせず下になった形だが、試合の流れが、スタミナを残しているボドニに傾きはじめた感がある。

ボドニがクローズドガードの中から立ち上がると、その右足にデラヒーバで絡むバルボーザ。盤石のバランスを誇るボドニは、慌てず騒がず絡んでくる左足を下から押し下げ、ヒザでピン。さらにボドニはバルボーザの右足も抑えてサイドを狙うが、ここでバルボーザは腕で距離を取り、立ち上がった。

スタンドに戻る両者。いなし合う中で試合は加点時間帯に。ボドニに頭を押さえられたバルボーザがシュートイン。しかしボドニにがぶられてしまう。序盤同様に上体を起こそうとするバルボーザだが、ボドニは体重をかけてそれを許さず、そのまま左足を巻き込んでクレイドルの形でグリップを作る。

ここでバルボーザは力を込めてボドニのグリップを切りながら、上体を起こすことに成功する。バルボーサはさらに両差しの状態から大内でドライブしてのテイクダウンを狙うが、ボドニは腰を引いて防御。次の瞬間、バルボーザの右腕を小手で巻いたボドニが内股へ。前に崩されつつ、バルボーサはうつ伏せで耐えきった。

力のこもった攻防に場内から歓声が上がるなか、ボドニはさらにバルボーザの足を跳ね上げて投げ切りにいく。バルボーザは自ら前転し、勢いをつけてスクランブル。場外ブレイクとなった。動きが落ちているバルボーザだが、ここ一番で出力を上げられるのはさすがだ。

この場面、解説のショーン・ウィリアムスが「いま、彼(ボドニ)がニューウェーブでサトシ・イシイのようなトレーニングパートナーを持っていることが役に立っているんだ。内股の使い方だよ。柔道はこのようにレスリングに対して素晴らしいディフェンスとして機能するんだ」とコメントした。

試合はスタンドで再開されボドニのダブルレッグに対し、ワキをすくって押し返すバルボーザだが、疲弊のあまりその時に両ひざをついてしまう。すかさずボドニは突進して肩を押し倒し、スクランブルを試みたバルボーザの背後に付いてみせた。

亀の体勢のバルボーザに覆いかぶさって襷を取ったボドニは、そのままバルボーザの体を仰向けに返しながら四の字フックを完成させ、大きな3点を先取した。大歓声が沸き「USA」チャントが沸き起こるなかチョークを狙うボドニだが、バルボーザも諦めずに両腕でディフェンスする。

が、足を組み替えてさらに6点を追加したボドニは、左手でバルボーザの顎を掴んで上げさせてから、右腕を深くこじ入れることに成功すると──マタレオンの形で絞め上げてタップを奪った。昨年のWNOチャンピオンシップの重量級では3戦全敗、優勝候補に挙げられることは少なかったボドニが、初出場初優勝を決めた。しかも4試合全てを完勝(3つの一本勝ち)。その強さは、他の出場選手たちより頭一つ以上抜けていた。

決勝のバルボーザだけでなく、スタンドレスリングの強さで世界の頂点に立ったディニズをも制した、粘り強いスタンドレスリング。トップゲームで世界柔術の頂点に立ったバルボーザとバイエンセにパスを許さない優れたガードワーク。今回旋風を巻き起こしたオフラガナンの足関節攻撃を的確に捌き、逆に極め返した正確な技術。そして盤石のバランスを礎に段階を踏んで相手の動きを潰し、やがて完全制圧する緻密なトップゲーム──スピード感こそやや欠けるものの全ての局面で抜群の安定感を持ったボドニの戦いぶりは、同門の先輩ゴードン・ライアンを彷彿させる強さを見せつけた。

実際、ニューウェーブに加入してからの練習について「毎週のように自分が上達しているのが感じられる。特に僕は2、3ヶ月ごとに全く違うレベルの選手になっていることが分かるんだ」と語ったボドニ。26歳にして急成長を続ける彼は現在、ライアンとともにダナハーのグラップリングシステムをもっとも高いレベルで体現している選手と言っていいだろう。

これで66キロ級、77キロ級に続き88キロ級も初出場選手が初優勝。ADCCに新しい風が吹いている。

なお3位決定戦は、そんな風など何するものぞ──とばかりにベテラン40歳のヴァグネウ・ホシャがいつもの如く闘争心を前面に出す戦いを展開。

今大会一躍名を挙げたエオガン・オフラナガンに上のポジションから仕掛けるトーホールドを極めてみせ、準優勝の前回に続いてメダル獲得を果たした。

88キロ以下級リザルト
優勝 ジャンカルロ・ボドニ(米国)
準優勝 ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
3位 ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

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BJJ BET02 MMA カイナン・デュアルチ ガブリエル・アウメイダ クレイグ・ジョーンズ レアンドロ・ロ ヴァグネウ・ホシャ

【BJJ BET02】新旧の強豪が揃うノーギ88キロトーナメントに、レアンドロ・ロが4年振りのノーギ参戦

【写真】4年前の時点では、クレイグ・ジョーンズに敗れることは不覚だったレアンドロ・ロ(C)SATOSHI NARITA

8月1日(日・現地時間)ブラジルのサンパウロにて大型プロ柔術・グラップリングイベント「BJJ BET 02」が行われ、Flograpplingにて中継される。

BJJBETは昨年9月に第1回大会が行われたプロイベントで、IBJJFルールに基づいたポイント制柔術と同じくポイント制でIBJJFより一足早くヒールを解禁していたノーギの両方が、10分✖1Rで組まれている。

その第1回大会ではサイボーグこと、ホベルト・アブレウがカイナン・デュアルチの50/50を内ヒールで切り返し一本勝ちしたことで注目された。そんなBJJ Bet第2回大会の目玉は、なんといっても8人参加の88キロ級のノーギトーナメントだ。当初参戦が予定されていたヴァグネウ・ホシャは残念ながら欠場となってしまったが、北米&ブラジルのノーギグラップリングシーンではお馴染みのトップスターが顔を揃えているが、なんといっても注目は4年ぶりのノーギの試合となるレジェンド、レアンドロ・ロ だろう。


怪物ロは道着着用の柔術では世界4階級制覇、現在31歳にしてすでに全てを成し遂げた存在だ。近年は試合出場数を大きく絞っているが、先月のBig Deal 03にて今年2度目の実戦の場に登場すると、道着着用ルールでヘンリケ・セコーニ相手に終始ペースを支配して勝利、健在ぶりを見せつけている。

そんなロは今回、2017年のADCC世界大会──88キロ級初戦で、クレイグ・ジョーンズに敗れ、ジョーンズの名前が一気に浸透することになった──以来実に4年ぶりのノーギグラップリング参戦となる。普段は相手の道着をコントロールしてのオープンガードワークやパスガードを主な攻撃手段とするが、重量級の相手を一瞬でなぎ倒す爆発的なテイクダウンも使いこなすだけに、ノーギ適性も高そうだ。

上からでも下からでも戦える万能グラップラーのロ。ノーギではまずスタンドレスリングで勝負をするのか、それとも引き込んでガードワークを見せるのか。どのような戦いをするか予想が付かず、またどんな光景も新鮮に映るだけに楽しみだ。

対戦相手のハファエル・パガニーニはアリアンシ所属の26歳。2019年のノーギ・ブラジレイロで無差別級優勝、同年のノーギワールズのミディアムヘビー級では、準決勝でガブリエル・アウメイダのガードを攻略できず、後転スイープをもらって敗れて3位となった。ロを攻略するのは容易ではないと思われるが、それだけにこの1回戦は、その名を世界に轟かせるチャンスだ。

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BELLATOR MMA UFC UFC264 アンソニー・ペティス イリャ・トプリア カーロス・コンディット キック コナー・マクレガー ショーン・オマリー ジルベウト・ドゥリーニョ スティーブン・トンプソン ダスティン・ポイエー トレヴィン・ジレス ドリキュス・デュプレシー ニコ・プライス ミシェウ・ペレイラ ライアン・ホール レイモンド・ダニエルズ ヴァグネウ・ホシャ 若松佑弥

【UFC264】再出発、ジルベウト・ドゥリーニョ─02─「UFCファイター? ユーヤはUFC王者になれる」

【写真】レイモンド・ダニエルズとのトレーニングの成果は!! (C)Zuffa/UFC

10日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC264「Poirier vs McGregor3」で、スティーブン・トンプソンと対戦するジルベルト・ドゥリーニョ・バーンズ・インタビュー後編。

(C)Zuffa/UFC

サンフォードMMAの盟友、超ド級ストライカーのビセンチ・ルケがハマってしまったワンダーボーイのトリックに対し、ドゥリーニョはキャンプ中にレイモンド・ダニエルズと対策を施していた。

またこの間、サンフォードMMAで出稽古を行っていた若松佑弥を「UFC王者になれる」とドゥリーニョは絶賛した。

<ジルベウト・ドゥリーニョ・インタビューPart.01はコチラから>


──テイクダウンを視野に入れているということですね。楽しみです。ところでチームメイトのビセンチ・ルケとは、ワンダーボーイ戦について話しましたか。彼はトンプソンに敗れています。

「ビセンチとワンダーボーイの試合も含めて、いつも僕は彼のコーナーにいるんだ。今、ビセンチはブラジルにいるけどスパーリングのビデオを送って、アドバイスをずっと貰っていた」

──ビセンチは前に出ても、詰め切ることができずパンチを被弾する形で敗れました。

「ビセンチも僕もアグレッシブなファイターだ。ただし、グラップリングを含めるとスタイルが違う。ビセンチも組んで戦うことができるけど、僕は組み続けて戦うことができる。組みの展開を増やすことで、ビセンチの時のような試合にはならないだろう」

──ところでワンダーボーイと戦うにはファンの期待とは別に、待って彼に前へ出てこさせるファイトも選択肢の一つとしてあるのではないかと思うのですが。

「確かに、その選択肢はあるよ。彼を前に出てこさせるという戦いはある。でも、僕の戦い方は待ちじゃない。前に出て、色々と仕掛けることだ。そこで自分の展開にならないなら待つこともあるだろうね。タイロン・ウッドリーやアンソニー・ペティスがやったように。

いくつかキャプションもあるし、それだけのトレーニングを積んできた。アグレッシブにも戦えるし、我慢の試合もできる。とにかく全ての力を使って勝利を手にするよ」

──このところドゥリーニョは打撃の成長を見せつけてきましたが、この試合は柔術がカギを握りそうですね。

「イエス。柔術とレスリングを世界に見せる格好の機会になると思っている。ハイレベル・ストライカーをテイクダウンして、極める。これ以上の舞台はないだろう。ワンダーボーイのゲームをされると、正直厳しい。だから僕の柔術ゲームに持ち込む。

そのためにサンフォードMMAではレイモンド・ダニエルズと練習してきたんだ」

Bellatorで活躍するダニエルズは、現Bellatorキックのウェルター級王者で。過去にWAKOやポイント空手でも成功を収めている(C)BELLATOR

──おお、トンプソンと同じ米国ジェントルマンキックの雄と準備をしてきたのですね!! 

ダニエルズはサイドキックとジャブ&ストレート、そして後ろ回し蹴りという戦いでは、ワンダーボーイに引けを取らないです。

「その通り。1日に2回、1カ月間レイモンドと準備をしてきた。レイモンドはワンダーボーイのコピーもしてくれるし、何よりもあの独特なスタイルを詳しく解析してくれた。スティーブンが仕掛けてくるであるトリック、そして僕が犯してはいけないミスについて繰り返し、繰り返しアドバイスを受けてきた。レイモンドにはキャンプ中に多大なるサポートをしてもらったよ」

──トンプソンはステップを常に続けます。その動きを目で追うと、混乱してしまうかもしれないですが、あのステップとスイッチの合間に起こる……とあるタイミングで、彼の体はテイクダウンに対して無防備になるような。角度的にみて、組みに弱い姿勢になることが度々あるように見えます。

「フフフフ。良いポイントを見ているね。とてもMMAを考察している意見だ。でも、それ以上は話さないでくれ。ここから先はオクタゴンの中を見てほしい(笑)」

──ハハハハハ。了解しました。ところ、1カ月サンフォードMMAには若松佑弥選手が日本から出稽古に出かけていたと思います。彼と接触することはありましたか。

「もちろんだよ。サトーがしっかりとユーヤをフォローしていたよ。ユーヤが来てくれて、サンフォードの皆がハッピーになれた。ユーヤはベリー、ベリー、ベリーグッドだ。彼は少しでも早くサンフォードMMAに戻ってきたいと言っていたよ。

この1カ月の間にテイクダウン、グラップリングともに凄く成長したし、ストライキングは元から良かった。ユーヤの練習を見るたびに、感心させられたんだ。毎回、成長が見て取れたからね。またサンフォードMMAに来てほしい、もの凄い可能性を秘めているからね」

──そこまでですか……。平たい言い方になりますが、UFCファイタークラスの実力を若松選手は持っていますか。

「UFCファイター?  いやUFCチャンピオンになれる力を持っている。素早いし、ファイトIQが高い。ヴァグネウ・ホシャの柔術のクラスで、色々と質問をして、すぐに自分の動きに反映さえることができていた。あの吸収力は素晴らしいよ。もちろん、もう少し試合数を重ねて経験を積む必要があるけど、彼はチャンピオンになれる力を持っているよ。

フロリダにやってきた当初は、コミュニケーションを取ることも苦労していた。でも最後の方は英語も凄く上達していた。凄くスマートだ。今回は数週間だけだったけど、数カ月……そうだね3カ月、いや半年間サンフォードにいれば、一段階違うファイターになれるだろう。それぐらい、ユーヤは良い選手だ」

────おお、ドゥリーニョがそう言っていることを知ると若松選手もさらに気合がはいると思います。彼への言葉を含め、今日はありがとうございました。土曜日の試合、期待しています。

「こちらこそ、ありがとう。日本のMMAファン、柔術ファンの皆に喜んでもらえる試合をするよ」

■視聴方法(予定)
7月11日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前11時~WOWOWライブ

■UFC264計量結果

<ライト級/5分5R>
ダスティン・ポイエー: 156ポンド(70.76キロ)
コナー・マクレガー: 156ポンド(70.76キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ: 170.5ポンド(77.34キロ)
スティーブン・トンプソン: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ: 263ポンド(119.29キロ)
グレッグ・ハーディー: 264.5ポンド(1119.97キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
アイリーン・アルダナ: 139.5ポンド(63.27キロ)
ヤナ・クニツカヤ: 134.5ポンド(61.0キロ)

<バンタム級/5分3R>
ショーン・オマリー: 135.5ポンド(61.46キロ)
クリス・モンティーニョ: 135ポンド(61.24キロ)

<ウェルター級/5分3R>
マックス・グリフィン: 170.5ポンド(77.34キロ)
カーロス・コンディット: 171ポンド(77.56キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ニコ・プライス: 169.5ポンド(76.88キロ)
ミシェウ・ペレイラ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<フェザー級/5分3R>
ライアン・ホール: 145ポンド(65.77キロ)
イリャ・トプリア: 145.5ポンド(66.0キロ)

<ミドル級/5分3R>
ドリキュス・デュプレシー: 185.5ポンド(84.14キロ)
トレヴィン・ジレス: 185.5ポンド(84.14キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ジェニファー・マイア: 125.5ポンド(56.92キロ)
ジェシカ・アイ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ミドル級/5分3R>
オマリ・アクメドフ: 185.5ポンド(84.14キロ)
ブラッド・タヴァレス: 184.5ポンド(83.68キロ)

<フライ級/5分3R>
ザルガス・ズマグロフ: 125.5ポンド(56.92キロ)
ジェローム・リヴェラ: 125.5ポンド(56.92キロ)

<ミドル級/5分3R>
アレン・アメドフスキー: 186ポンド(84.37キロ)
フ・ヤオゾン: 185.5ポンド(84.14キロ)

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