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【Special】月刊、良太郎のこの一番:8月 カラフランス×アーセグ「スイッチを使う打撃として参考になる」

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾、良太郎というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は良太郎氏が選んだ2024年8月の一番──8月17日に行われたUFC 305「Du Plessis vs Adesanya」のカイ・カラフランス×スティーブ・アーセグについて語ろう。


――今回はカラフランスのKOをピックアップしていただきました。まずその理由から聞かせてください。

「カラフランスは約10カ月ぶりの復帰戦で、アーセグはアレッシャンドリ・パントージャに負けて以来の試合だったんですよね。アーセグはフライ級では身長が高いんですけど(173㎝)、カラフランスは身長に対してリーチが長い体系なんですね。で、僕もMMAの選手を指導するうえで構えをスイッチする打ち方を勉強していて、この試合でカラフランスはファーストコンタクトから左→右→左とスイッチしながら出す攻撃を積極的にトライしていたんですよね。この形をトータル3回くらいトライしていて、アーセグもカラフランスの左のオーバーハンドを気にして、あまり自分から前に行くことが出来ていなかったんです。

アーセグもカラフランスが入ってくるところにアッパーを用意していて、それがいい形で当たったんですけど、フィニッシュシーンのカラフランスは左→左で入ってるんですよ。しかも左を見せたあとに左手でアーセグの前手を払って、それをアーセグに反応させておいて、右のオーバーハンドからスイッチしての左フックでダウンを奪っていました。あれは僕もすごく参考している動きですね。マイケル・チャンドラーもストレートでやる動きなんですけど、カラフランスの場合はストレートというよりもしっかり骨盤・軸に体重を乗せて、いい角度でフックが入りましたよね」

――試合途中にカラフランスのパンチの空振りが目立っていて、少しやりにくそうに見えていました。

「最初カラフランスは自分の右側に回ってトライしようとしてたんですよ。そこをリセットして左に回ったときにアーセグにアッパーを合わせられてるんですね。で、それもあったので次のトライではカラフランスがアーセグの前手を払いにいってるんです。あの前手払いにアーセグが反応してしまい、軸・顔が上がってしまったんです。あれはスイッチパンチャーに対して絶対にやってはいけない動きなんです」

――アーセグにミスがあったんですね。

「カラフランスはカラフランスで失敗もしているんですけど、最後のトライではそこを修正して打ち抜きました。だからここはしつこくやり続けたもの勝ちというか。アーセグはカラフランスのプレッシャーを感じていて、バックステップが少し甘くなっていたのかもしれないです。この試合は僕がMMAファイターを指導するにあたって、すごく勉強になる試合でした。構えをスイッチしてくる選手に対して“これをやってはいけませんよ”という意味でも参考になりました」

――良太郎さんはただ構えをオーソドックスとサウスポーに変えるだけではなく、スイッチしながらの打撃も研究しているのですか。

「はい。そういったスイッチしながらの打撃=ムービングの打撃に関しては、アルファメールの流れでいうとTJ・ディラショーとコーディ・ガ-ブランドがいて、ドゥェイン・ラドウィックのチームに分家していって……ですよね。実際にラドウィックはすごくムービングの打撃を研究していて、そこの指導が上手いんですけど、かなり複雑で覚えるのが難しいんですよ。あとはムービングをよく使う選手は体の反応速度が衰えると、それがパフォーマンスの低下に直結しちゃうんですよね。それこそディラショーやガ-ブランド、イスラエス・アデサニャもそうですよね。年齢を重ねることでの反応や体の連動が落ちると、一気に動きが落ちてしまうんです」

――スイッチしながらの打撃は運動能力に影響される部分も大きい、と。

「僕はそう思います。やはりムービングは体を連動させる動きなので、一つの形を覚えるのではなくて(重心を)おしりに乗せる、股関節に乗せる、体軸を変える……そういった動きが必要になるんです。どうしても年齢やキャリアを重ねると無理して戦わなくなるというか、若い時のようにたくさん動いて戦うというよりも、どっしりと構えて動きのベースをしっかり作って戦う選手の方が被弾は少なくなりますよね」

――非常に興味深い話です。

「例えばオーソドックスだけ、サウスポーだけしか使わない選手だったら、年齢を重ねても自分と相手との空間支配能力でなんとかなるものなんですよ。そしてその空間支配能力はあまり年齢に影響されることがない。アレックス・ペレイラがまさにそれです。逆にムービングする選手は空間支配の仕方が変わるし、反応速度が衰えてくると、そこに大きなズレが生じてくるんです。だからもし年齢を重ねてスイッチを使うとするなら、流れるようにスイッチを使って動き続ける=ムービングのスタイルよりも、オーソドックスとサウスポーをどちらも使えるスタイルの方が合っていると思うし、どうしても前者のスタイルは全盛期が少し短くなるのかなと思います。それでいくとカラフランスはキャリアは37戦やっていますけど、年齢的には31歳だし、まだ体力的に落ちることはないと思うんですよ。もし朝倉海選手がUFCのフライ級でやっていくなら、カラフランスとやると面白いと思いますよ」

――今後もスイッチしながらの打撃、良太郎さんが言うところのムービングの打撃は伸びていくでしょうか。

「日本人でも頻繁にスイッチしたり、ムービングする選手は増えていますけど、アメリカに比べると遅いじゃないですか」

――僕が初めてスイッチやムービングを意識したのは、おそらくドミニク・クルーズだと思っていて、彼がWECチャンピオンとして防衛を重ねてUFCに参戦したのは2010年~2011年です。

「僕もアメリカに練習にいった選手に聞くと、アメリカではスイッチやムービングがMMAをやる選手たちの基本的なドリルに組みこまれているそうなんです。ボクシングも国によってファイトスタイルが違うと言われますが、あれはその国の選手に合ったスタイルというわけではなくて、指導方法・方針の違いだと思うんです。もし日本人がメキシコでボクシングを始めたらメキシカンスタイルになるはず。もちろんそこには持って生まれた身体能力という部分での向き不向きはあると思いますけど、ただし最初からスイッチすることを教えていれば、そういう動きはできますよね。僕が最初から指導する選手は子供も含めて、オーソドックス・サウスポーどちらもできるようにしていますし、初歩の段階でどちらの構えもできるように仕込んでおくことで、将来的にスイッチやムービングの基礎はできやすいと思います」

――最初にどちらかに構えて、逆の構えを覚えるではなくて、最初からどちらも構えるようにするわけですね。

「どちらが利き手か、どちらの構えの方が力が伝わりやすいかは選手によって違うし、格闘技のバックボーンによっても変わってくるので、それはやりながらカスタムしていくイメージです。スイッチを練習するからスイッチヒッターにならなくてもいいし、どちらも構えることが出来たら、オーソドックスがやられて嫌なこと、サウスポーがやられて嫌なことを自分で覚えることもできて、同じジムの仲間の練習相手にもなる。そういう意味でもプラスですよね。どちらもの構えも出来ることと、構えをスイッチしながら打撃を出すことは別で、そこへの向き・不向きもあるので、僕はそういう考え方で見ています。少し話は脱線してしまいましたが、アーセグをKOしたカラフランスの打撃はスイッチを使う打撃として非常に参考になりました」

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45 AB DWCS DWCS S08 MMA MMAPLANET o UFC YouTube アーセグ スティーブ・アーセグ トーレス・フィニー ビリー・ブランド ペイトン・タルボット ボクシング

【DWCS S08 Ep02】骨の髄まで殴り屋=ブランド✖脅威のバック奪取&背骨クラッシャー=ハッドン

【写真】PPV大会のプレリミで組まれても、おかしくないマッチアップだ(C)Zuffa UFC

20日(火・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスでDana White’s Contender Series第2週が開催され米国、カナダ、スウェーデン、ロシア、ブラジル、豪州という6カ国から10選手がUFCとの契約を目指してケージは上がる。
Text by Manabu Takashima

第1週で4人のファイターがUFC行きを決めたように、今週もフィニッシュ勝利がデフォルトのDWCSだけに、激しい戦いが繰り広げられることは間違いない。そんなDWCS S08 Ep02は、オープニングマッチのバンタム級の一戦=ビリー・ブランド✖コディ・ハッドンから要注目だ。


ハッドンは第2試合のウェルター級戦でトーレス・フィニーと対戦するキャム・ロウストンと同様に、豪州からのチャレンジとなる。国別のUFC契約選手数は米国が200人、ブラジルが100人越えと群を抜いており、豪州はこの両国に続きロシア、メキシコ、英国、中国らと同じ15人~20人+αの選手がUFCに在籍している。

今や南太平洋のMMAパワーハウスに成長している同国だけに、Eternal MMAやHEX FSというフィーダーショーからDWCSへの出場選手も当然のように多い。

HEX FS暫定バンタム級王者のハットンの戦績は6勝1敗、唯一の黒星はUFC世界フライ級タイトルコンテンダーのスティーブ・アーセグに28-29✖3で敗れたもの。とはいえ、この試合でハッドンはジャブをアーセグに何発も入れ、テイクダウンからバックという展開も創っている。

終盤に攻め疲れと、力技でテイクダウンを狙ってトップ&マウントを許したことでポイントを譲り惜敗したハッドンだが、キャリア3戦目のアーセグ戦と比較すると、今では落ち着いて戦局を見極めることができるようになっている。

特に打撃戦のなかでのテイクダウン防御の精度が増しており、攻めの方のレスリングではダブル、そこからボディロック、そして大内刈りなど、ケースバイケースでテイクダウン方法をアジャストできる、特筆すべきはテイクダウンに紐づけることができるバック奪取能力と、それだけでタップを奪えそうな──相手の背中を反らしてしまう──バックグラブの力強さだ。

絞めの一本勝ちは直近=3月の試合だけだが、バックやクリンチの状態でのダーティーボクシングとパウンドの強さが、5つのTKO勝ちのファンダメンタルとなっている。

対するブランドのレコードは5勝1敗で、黒星をつけられた相手はペイトン・タルボットだ。そのタルボット戦では、やや劣勢であったがガンガン殴り合いを演じると、反撃のパンチを入れている最中に──米国では非常に珍しいが──流血レフェリーストップとなってしまった。

アマMMAは8勝1敗で5つのTKO勝ち、プロでもKO率は60パーセントを誇るブランド。インファイトでのボディの連打など、MMAでそれを見せるかという距離で容赦なく連打を駆使することができる。ブランドが自身の強さを発揮するには、ハッドンの組みを突き放す必要がある。組みに付き合うとバック奪取&ダーティボクシングでハッドン優位は明白だ。ブランドとしては拳の強さを見せ、ハッドンが組む前に打撃に応じるように仕向けたい。

■視聴方法(予定)
8月21日(水・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS

■DWCS S08 Ep02対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
パット・ピトリック(カナダ)
アンドリアス・グスタフソン(スウェーデン)

<ヘビー級/5分3R>
リズワン・クニエフ(ロシア)
ウゴ・クーニャ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
コーテヴィアス・ロミアス(米国)
マイケル・インプラト(カナダ)

<ミドル級/5分3R>
トーレス・フィニー(米国)
キャム・ロウストン(豪州)

<バンタム級/5分3R>
ビリー・ブランド(米国)
コディ・ハッドン(豪州)

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【Special】Fight&Life#104より。ロイヴァル戦決定、平良達郎「向うの攻撃が想定内になることが重要」

【写真】MMAへの透明度が、さらに上がっているように感じた (C)FUMIO KURODA

今月23日(金)に発売されるFight & Life#104のワイド特集「格闘技日本代表」内で平良達郎の巻頭インタビューが掲載される予定だ。UFCフライ級5位の平良は、10月12日に1位のブランドン・ロイヴァルとの一戦が決まった。
Text by Manabu Takashima

ロイヴァル戦を通して、タイトル挑戦への筋道。平良のUFCへの想いを尋ねたインタビューで、スペースの都合上誌面で掲載できなかった箇所を切り取って、MMAPLANETで公開したい。


──ペレスに勝った直後にはムハマド・モカエフという同い年で無敗同士の対戦というストーリーラインも盛り上がるという話もされていました。しかしUFCはモカエフとの契約を更新せず。モカエフが12月に予定されるアレッシャンドリ・パントージャへのチャレンジャーの有力候補でもあったので、平良選手にその枠が回ってくるかもしれないという話が内々では聞かれていました。

「モカエフがマネル・ケイプ戦で圧倒的な勝ち方をして、彼が次の挑戦者になってもいずれは交わる日が来る。そうなれば僕らの試合は盛り上がるから、モチベーションも高く保てるという心境でした。結果としてモカエフがいなくなり、僕はランク5位だし挑戦者になるのは唐突だなという想いでしたね。

同時にちょっと早いと思いつつ、そうなった時のために準備はしていました。ただ、モカエフとは将来的にオクタゴンで戦える日が来ることを期待しています」

──結果、10月にロイヴァルと戦うことになった。同時に8月18日のUFC305ではカイ・カラフランス×スティーブ・アーセグのタイトルコンテンダー同士の一戦も組まれており(※結果はカイ・カラフランスが勝利)、挑戦権争いのライバルと見て良いかと。

「ロイヴァル戦がなくて12月に挑戦となれば、美味しいという見方はできかと思います。でも、14位の状態で5位の選手と試合ができたわけだし、そこまで都合が良いようには望んでいなかったです(笑)。元々トップ5の選手と戦うには、あと2勝ぐらい必要だと考えていたので。5位になったといっても、ここから上の選手と戦って自分の力を見せることでよりタイトル戦が盛り上がるはずです。

同時にカイ・カラフランスとアーセグの試合の勝者の方が先に挑戦することになるかもしれないですが、ロイヴァル戦は文句なしで挑戦者決定戦の意味合いを含んでいるので、凄く気合いが入っています」

──おおッ!! 力強い言葉です。同時に今のMMAはテイクダウンを軸に攻撃が評価対象になりやすい打撃、スクランブル、攻防になることが少なくなってきた寝技という3つの局面があるなかで、ロイヴァルは寝技の攻防が可能になるファイターで極めが強いです。そういう点でも、過去の試合と比較して対策練習の比重も変わってくるかと思われます。そこで平良選手がフィニッシュを警戒するレベルにある練習パートナーは存在しているのでしょうか。

「なかなか練習相手で下からの極めを積極的に使う人はいないです。柔術家で下からの仕掛けが上手い人を沖縄に呼んで、対策練習をする必要はあります。ロイヴァルにしても他の対戦相手にしても、向うの攻撃が僕のなかで想定内になることが重要で。

できるだけクローズドガードの中に入らない。入るとラバーガードで足が上って来るので、できるだけハーフガードで足を潰すことはイメージしています。それに柔術に関しては、パラエストラ沖縄時代から松根(良太代表)さんに基礎から習ってきているので、やりあえる基盤はあると思っています」

──ロイヴァルは胴と手が長い。そんな印象があります。

「長いですね(笑)。ただ、その手の長さに関連してくるのは寝技の前の打撃の展開、サウスポー対策が先決だと思っています。そこは松根さんと相談して、福田(龍彌)選手にまた沖縄に来てもらうことになっています」

──福田選手とは今年の1月にも一緒に練習をしていますね。

「ハイ。今回は10日から2週間ほど来てくれます」

──福田選手の呼ぶところのセッションとは、毎回斬り合うイメージで練習をする。スパーだけでなく、ミット打ちも真剣勝負という姿勢です。

「福田選手はスネ当てもつけないし、グローブもボクシンググローブでなくMMAグローブです。僕の打撃スパーはソフトな方なので、福田選手との練習は緊張感があります。それでも福田選手も、京都の方で練習をしている時ほどガチではないと思います。とにかく福田選手の話してくれる打撃論が面白くて」

──福田選手から学べることは、どういったモノですか。

「福田選手はスパー中に、本当に隙を見せないです。だからこそ、あれだけ手数を増やすことができる。逆に僕は福田選手の動きを見てしまうんですよね。そうなると、僕の方に隙ができる。福田選手はミットでも何でもMMAをとことんイメージして、練習をすることができる人で。それをスパーリングと上手く連動させているから、積み上げてきている部分が凄いです。福田さんとは新鮮な気持ちで練習できます」

■「UFCで戦っていると、選手の体調を気遣ってくれるので長く現役生活を送ることできる」、「相手の嫌がることを選択していくことが一番大切」、「1位のロイヴァルに勝ってタイトルに挑戦しようとすることは間違ったことをやっているわけじゃない。納得して歩んでいる道」。なぜ、UFCなのか。MMAという戦いの本質。朝倉海×パントージャ戦の噂──等々への問いに関して、平良達郎の人間性が伝わってくるインタビューが掲載されたFight&Life Vol.104は8月23日(金)の発売です。

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC305 カイ・カラフランス スティーブ・アーセグ ブログ

【UFC305】体格で上回るアーセグを左フックで倒したカイカラフランスが右ストレートでフィニッシュ

<フライ級/5分3R>
カイ・カラフランス(ニュージーランド)
Def.1R4分04秒 by TKO
スティーブ・アーセグ(豪州)

カラフランスが左ジャブを突くが、アーセグがプレスをかける。下がりながらパンチを打ち分けるカラフランスに対し、体格で上回るアーセグがケージを背負わせる。しかしカラフランスも左右のパンチでアーセグを下がらせ、ケージ中央に押し戻すも、アーセグのボディブローを受けて下がってしまう。

それでもカラフランスが低い体勢から飛び込み、右ストレートから左フックをクリーンヒット。この一撃で背中から倒れたアーセグは、追撃を狙うカラフランスの足に組みつくも、カラフランスがパウンドを浴びせる。最後は立ち上がってケージまで下がったアーセグの顔面を右で打ち抜き、レフェリーストップを呼び込んだ。

KO勝利のカイカラフランスは「まずスティーブは男の中の男で、紳士だと言いたい。シティキックボクシングは世界一のジム、この場所をMMAを愛しているんだ。スティーブは距離を考えて戦うスマートな相手だから、僕はとにかく大砲をぶちかまそうと戦った。フィニッシュだけを考えて。次はタイトル戦になるのか、皆の声を聞きたい」と語り、アーセグの地元である豪州のファンから歓声を受けた。


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45 AB Interview UFC UFC305 アレッシャンドリ・パントージャ カイ・カラフランス スティーブ・アーセグ ブログ

【UFC305】南太平洋最強決定戦=カイ・カラフランス戦へ、スティーブ・アーセグ「ヒジとヒザがある」

【写真】 (C)MMAPLANET

18日(日・現地時間)、豪州はパースのRACアリーナでUFC 305「Du Plessis vs Adesanya」が開催され、コメインでスティーブ・アーセグがカイ・カラフランスと対戦する。
Text by Manabu Takashima

Beatdown Promotionで北野一声を破ったスチュアート・ニコルが、第1試合でヘスウ・アギラーと戦うフライ級も組まれている今大会。日本からの遠征も増え、日本人フライ級ファイターがその視界に豪州勢を入れないといけなくなっている現状で、オーストララシア最強のフライ級を決める一戦が組まれた。

ニュージーランド&豪州の軽量級をリードしてきたカラフランスの対戦を控えたアーセグをインタビュー。昨年6月のスクランブル発進オクタゴン初陣から1年未満で世界王座挑戦を実現させた──ある意味、シンデレラボーイは、オクタゴンの中と同じで、現状の把握と修正が人生でもできるスマートなファイターだ。


カイはボクシングが好きで、接近戦で打撃の攻防がしたいだろう

――カイ・カラフランスと地元パースのファンの前で戦います。今の気持ちを教えてください(※取材は14日に行われた)。

「ホームタウンのファンの前で戦うことはワクワクすると同時に、少しプレッシャーも増えるかな。でも、自分がどれだけ成長できたかを皆に見てもらえる機会でもあるし、色々な気持ちが交錯しているよ」

──PPV大会のコメインでもあります。

「数多くのファイターがUFCとサインをしているけど、訪れる順番としては『試合に出る』、『PPVショーで戦う』、『PPVショーのコメインに出る』という風になるはずだ。地元でPPVがあってコメインで戦う機会が訪れる選手なんてほとんどいない。なにかの間違いないじゃないかという状況をUFCが与えてくれた。その期待に応えないといけない」

──とはいえスティーブは既にMSGで戦い、ブラジルというアウェイの地で世界王座に挑戦するなど僅か14カ月間で他のUFCファイターにはない経験をしているかと思います。特に敗れたとはいえ、オクタゴン4戦目でのタイトル挑戦は得難い経験だったのではないでしょうか。

「色々なことを学ぶことができた。そのなかでも一番良かったことは、自分に自信が持てたということかな。世界のベストとやり合う。ずっと夢見てきたことが、現実になった。初めての5Rの試合で、世界王者とやりあえたことは大きな自信になっている。特にラウンドが進むと、僕と同じようにパントージャにも疲れが見て取れるようになったしね。

序盤からハイペースで戦った。そうしたら世界チャンピオンも疲れ始めたんだ。3Rのファイトなら、そういうことは言うと簡単にトライできる。それを5回戦でやれたのは、大きいよ。次の機会には、フィニッシュを考えて戦うことができるはずだ」

──スティーブは素晴らしいキックボクシングをケージの中で披露しています。構えも蹴りとパンチを出しやすい姿勢で。それでいて相手のテイクダウンを返す力も持っています。しかし、パントージャにはラウンドに1度というぐらいの確立でテイクダウンを許しました。他の選手とパントージャの違いはどこにあったのでしょうか。

「まずパントージャ―にはダブルやシングルでなく、ボディロックでテイクダウンを奪われた。ここが違う。特に左フックに組まれて、ボディロックを許した。足への組みには自信を持って対処できたけど、上半身に組みつかれたことが大きな要因だ」

──ボディロックに入るための、スラッピーな打撃がパントージャにはありました。それを可能にしたのは、パントージャがスティーブの打撃を怖がらないで戦えたからかと。ビビッて下がるとボディロックを取ることはできなかったと思います。

「確かにパントージャの打撃は粗い。そして、それは組むための打撃だったのも絶対だ。あの試合以降、ボディロックテイクダウンの対処は徹底的にやってきた。カイが同じようにしようと思っても、もう違う。足だけでなく、どの箇所でもテイクダウン・ディフェンス力は上達している。

カイはボクシングが好きで、接近戦で打撃の攻防がしたいだろう。でも近距離になると、僕にはエルボーやヒザ蹴りもある。テイクダウンに関しても、倒されることもあるかもしれないけど、倒された後もカイとパントージャは違う。パントージャのトップキープ力、その体の重みはカイにはない。つまり、寝技の攻防は続かずにすぐに立ち上がることができる」

──当然、この試合に勝ってタイトル戦線に戻ることが目的だと思いますが、一度敗れているとすぐに機会は訪れないかもしれないです。そのためにインパクトのある勝ち方が必要になってきますが、日曜日の朝はどのような試合をしたいと考えていますか。

「まず、この試合で僕が勝ってもすぐにタイトル挑戦はできないと思っている。もちろん、そうなれば嬉しいけど──この試合でカイをフィニッシュしても、あと2試合は必要になってくるだろう。フライ級のトップ選手を2人倒すと、またタイトルショットの権利が得られるぐらいの気持ちでいる。

と同時にカイという豪州やニュージーランドの軽量級をリードし、僕らに世界で戦うドアを開いてくれたファイターのことを凄く尊敬している。もし、戦う必要がないのなら試合をしないでおきたい相手だった。でも、決められた試合にNoというつもりはない。

何よりもクラス最強のファイターと戦いたいし、僕の現状ではそれがカイ・カラフランスになる。彼ももう一度世界のベルトに挑戦したいはずだ。僕もそうだ。なら、戦うよ。彼へのリスペクトは一旦、置いてオクタゴンに上がって勝利を手にするだけだよ」

Eternal王者とHEX王者の対戦は凄く興味深い

──そんなカイ・カラフランスとの試合に集中しないといけないことは承知しているのですが、豪州MMA界について一つ質問させてもらっても構わないですか。

「もちろんだよ」

──今、豪州MMA界ではEternal MMAとHEX Fight Seriesが選手を引き抜いたり、ドメスティック・シーンがシビルウォーの様相を呈しています。この現状は豪州MMAにとって、どのような影響を及ぼすと考えていますか。

「なるほど(笑)。僕はEternal MMAの王者からUFCにステップアップしたけど、HEX FSでも戦った経験がある。単独のプロモーションが独走するよりも、複数のプロモーションが競合している状況の方がMMAが発展すると思う。団体運営も良くなっていくし、選手の環境も良くなるだろうからね。一方がベストで、もう一つが大きく水を空けられるという状況に陥らない程度なら、競争は良い効果があると思う」

──その余波がDWCSでも見られて、Eternal MMAフライ級王者だったアンソニー・ドリリッチとHEX FCフライ級王者ショーン・ガウシーの一戦が組まれました。

「Eternal王者とHEX王者の対戦は凄く興味深いよ。でもアンソニーとは一緒に練習をしているので、彼の勝利を願っている」

■視聴方法(予定)
8月13日(日・日本時間)
午前7時30分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前7時00分~U-NEXT

■対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] ドリキュス・デュプレッシー(南アフリカ)
[挑戦者] イスラエス・アデサニャ(ニュージーランド)

<フライ級/5分3R>
カイ・カラフランス(ニュージーランド)
スティーブ・アーセグ(豪州)

<ライト級/5分3R>
マテウス・ガムロ(ポーランド)
ダン・フッカー(ニュージーランド)

<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ(豪州)
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)

<ウェルター級/5分3R>
リー・ジンリャン(中国)
カルロス・プラチス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R
ジュニオール・タファ(豪州)
ヴァルテル・ウォウケル(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジョシュ・クリバオ(豪州)
ヒカルド・ラモス(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
ケイシー・オニール(英国)
ルアナ・サントス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジャック・ジェンキンス(豪州)
エウベルチ・バーンズ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
トム・ノーラン(豪州)
アレックス・レイエス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ソン・ケナン(中国)
リッキー・グレン(米国)

<フライ級/5分3R>
スチュアート・ニコル(豪州)
ヘスウ・アギラー(メキシコ)

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45 AB DWCS DWCS S08 F1 LFA MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase345 Road to UFC UAEW UFC YouTube   アリ・カラダギィ アンソニー・ドリリッチ アン・トゥアン・ホー アーセグ カイ・カラフランス クァン・リー コ・ソクヒョン ショーン・オマリー ショーン・ガウシー ショーン・シェルビー ジャマール・ヒル スティーブ・アーセグ ダナ・ホワイト チャンネル パンクラス ペイトン・タルボット モンテル・ジャクソン 中務修良 内藤由良 木下憂朔 猿飛流

【DWCS S08】Must Watch!! パンクラスがミドル級KOP内藤由良のコンテンダーシリーズ出場を公表

【写真】人生を賭けた一発勝負、痺れる展開になってきた(C)MMAPLANET

18日(水)、パンクラスが公式YouTubeチャンネルで「内藤由良選手がUFCに挑戦! 内藤選手は、ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ2024に出場することが決まりました。詳細は追って発表されますが、一足先にパンクラスでの軌跡をご覧ください!」と公表した。
Text by Manabu Takashima

6月30日(日)のPancrase345のメインで、2年3カ月振りの実戦を戦ったミドル級KOP内藤。キルクリフFC所属のディラン・オサリバンの代役アリ・カラダギィを相手に、1R1分52秒でマウントからのエルボーでTKO勝ちを収め、改めてUFCを目指すことを宣言していた。


LFA、UAEW、TUF出演など実現しそうで流れたUFCへの道が、結果的に内藤にとって最上の形で歩を進めることになった。Dana White’s Contender Series=DWCSは、その名の通りダナ・ホワイト、ショーン・シェルビー、ミック・メイナードというUFC首脳の前の行われる御前試合で、1年に10大会が火曜日の夜にUFC APEXで実施される。

1大会=5試合というフォーマットで、UFCとの契約が審査される真剣勝負の場だ。2017年からスタートしたコンテンダーシリーズからは既にショーン・オマリーとジャマール・ヒルがUFCの頂点に立っている。そんなUFCに直結する今年の登竜門は8月13日にスタートし、10月15日まで10週に渡って鎬が削られる。

既にEp01とEp02&Ep04は5試合が決定しており、第3週と第5週は3試合が埋まっている状況だ。あとは第9週と第6週で1試合が決まっているがEp07 、08&10は5試合全て10人のスポットが空いたままなので、これらの週に内藤の雄姿が見られることになるだろう。

アジア勢にとってUFCとの契約を賭けた戦いはRoad to UFCが並行して開催しされているが、従来はフライ級からライト級、今年はフェザー級までの3階級しか実施されず、事実上ミドル級の内藤には、アジア勢で競い合ってUFCへ進むというルートは存在していなかった。

事実今年のシーズン8では既にEp01のウェルター級戦で中国のJCKウェルター級王者ティン・ワン、Ep4では韓国Angel’s FCウェルター級王者のコ・ソクヒョンと、中量級のアジアン・ファイターの出場が決まっている。

(C)LFA

広義でアジア系でいえばLFAで戦うベトナム人ファイター(アリゾナ州在住)のアン・トゥアン・ホーが第1週のフライ級に、同じくLFAからチャンスを掴んだクァン・リーも米国に住むベトナム人選手だ。

また、ここでこのカードを組むのか──と豪州のMMAファンが歯ぎしりをしつつ、注目せざるを得ないのがEp09で決まったショーン・ガウシーとアンソニー・ドリリッチのダウンアンダー対決だ。

ガウシーはHEX FSフライ級王者で、今年の5月に中務修良を右クロスで一蹴している。対してEternal MMAフライ級王者ドリリッチは3月に猿飛流を2Rに、6月には1Rでマックス・リアリをKOしている。しかも今、豪州MMA界ではHEX FSとEternal MMAがドメスティック大会#01の称号を得るために、チャンピオンの引き抜き合戦を繰り広げるなど、骨肉の争いを展開している。

とはいえ破壊力十分の右を持つガウシー、必ず当たる左の持ち主ドリリッチが、わざわざコンテンダーシリーズで戦う必要があるのか。なんせガウシーは戦績9勝1敗で5KO勝ち、ドリリッチは8勝1敗で4つのKOと2つの一本勝ちを誇っており、揃ってUFCが求めるフィニッシャーだ。

恐らく両者は8月18日にパースで行われるUFC305出場に標準を合わせていたはず。加えていえば、2人ともカイ・カラフランスとスティーブ・アーセグの両者のうち、どちらかが欠場となればショートノーティスで母国でオクタゴンに足を踏み入れる気持ちでいることも間違いない。

UFC側として、両者ともその力があるからこそ、8月でなく10月にガウシー×ドリリッチの試合を組んだとしか考えられない。

日本からは2年前の木下憂朔に続き、内藤が挑戦することで注目度も上がるに違いないDWCS S08だが、内藤以外の出場ファイターも状況としては、ガウシー×ドリリッチ戦ほどお膳立て揃っていなくても、世界中から人生を賭けて集まって来る。それらの戦いが熱い激闘にならないはずがない。

それらの戦いから明日のショーン・オマリー、ペイトン・タルボット、モンテル・ジャクソンが生まれる可能性が高い。日本のMMAファンにとって、2時間のコンパクトな大会ということも含めて、DWCSはマストウォッチと断言できる。

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN58 UFC302 UFN UFN241 YouTube アレックス・ペレス アレッシャンドリ・パントージャ アーセグ ジョシュア・ヴァン スティーブ・アーセグ ティム・エリオット デメトリウス・ジョンソン ライカ 平良達郎

お蔵入り厳禁【UFC ESPN58】メイン出場、平良達郎がヴァン戦について話していたこと「僕がハマれば」

【写真】確固たる自信が感じられる平良達郎=アレックス・ペレス戦に変更される前バージョンの言葉の数々です (C)MMAPLANET

15日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC on ESPN58「Perez vs Taira」のメインイベントで平良達郎がアレックス・ペレスと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

当初、平良は5月18日のUFN241でティム・エリオットと対戦を予定していたが、1日のUFC302でのジョシュア・ヴァン戦に変更&スライド。さらにそれが変更となり、今週末のイベントでフライ級ランキング5位のぺレスと対戦することになった。

MMAPLANETではジョシュア戦が決まったあとの5月5日、そしてぺレス戦に向けてアメリカ入りした今月5日にインタンビューを実施。対戦相手変更を受けて平良が何を思っていたのか。そして久々に日本人がタイトル戦に絡んでいくかもしれない――そんな期待と注目を集めるぺレス戦に向けた想いを訊いた。

まずはお蔵入り厳禁として、対戦相手がエリオットからジョシュアに変更になったあとのインタビューからお届けしたい。


――今回も…という言い方はおかしいですが、対戦相手がティム・エリオットからジョシュア・ヴァンに変更となりました。カード変更の話を聞いた時はどんな心境でしたか。

「もともと3月上旬にティム・エリオット戦が発表されて、大会が5月18日だったんで結構準備期間があって、すごく順調に来ていたんです。だから逆に僕は何か疑っていたんですよ、こんな順調に試合まで行くことある?って。そうしたらやはり恒例の…(対戦相手が変更)ですね(苦笑)。

僕らとイリディウムのLINEグループがあるんですけど、そこにメッセージが入った時に、これは相手が変わるなと察しました。そうしたら案の定『エリオットがアウトになります』ということで。僕も相手変更の連絡が来て、初めの頃は『どういうことですか?』みたいに、松根(良太)さんにもLINEして送ったりしたんですけど、今はもう慣れてしまったというか、分かりましたという感じですね」

――エリオット戦に向けた調整や準備は順調だったのですか。

「かなり順調にきていて、倒す気満々でした」

――試合間隔としては約5カ月空く形ですが、その期間は相手の対策以外の部分でどんなことに重点を置いて練習してきたのですか。

「おそらく次はランカーとの対戦が決まるだろうなと思っていたし、僕からも絶対ランカーを用意してくれと伝えてもらっていたんです。だから誰が来ても倒せるように、自分自身、スタンドだったり色々と。結局は全体的になるんですけど、あらゆる面を強化していましたね」

――もちろん対戦相手によって練習内容は変わると思います。その一方でランキングに入ってからはトータル的に強くならないと、この先の勝負は勝っていけないという感覚もありますか。

「そうですね。軽量級のランカーは基本的に何でもできる選手が多いので。そういう上の選手と戦っていくなかで、自分の打撃と寝技の両方で相手を削るというか、そこをミックスさせられるように。試合になったら自信を持って技を出せるくらいのクオリティで引き出しを増やす。そういうイメージで練習していましたね」

――UFCでランカー、しかもトップ選手と戦うとなると「長所をどれだけ伸ばすか」と「短所をどう補うか」のバランスが難しくなりそうです。そういうところも松根さんと話をしながら練習内容を考えているのですか。

「松根さんは基本的に『自信を持ってやっていいよ』と言ってくれて。例えばエリオット戦が決まったときは、エリオットはレスリングが強いからガチャガチャした展開になることが多いので、僕は松根さんに『組んでの離れ際を積極的に狙いたい』とか、そういうイメージの話をしていたんです。

そしたら、松根さんは『全然四つ組みでも通用すると思うから、達郎は自信を持ってやればいいよ』と言ってくれたんですよね」

――なるほど。松根さんの考えは対戦相手に軸を置くのではなく、自分のストロングポイントをどうぶつけて勝つか。そのための底上げをするようなイメージですか。

「そうですね。そういうイメージです。僕は僕で作戦を立てちゃうところもあるんですけど、松根さんはベーシックに今までやってきたことを変えない方がいいよという派なので。うまくバランスがとれてやっていますね」

――僕のイメージでは選手の方が自分に自信を持っていて、トレーナーは相手や試合によって戦術を考えるイメージだったので、平良選手と松根さんの場合はそれが逆なんですね。

「確かに逆かもしれないです。僕は結構相手のストロングポイントに気をつけて戦おうとするタイプなんですけど、松根さんは『それで達郎のいいところが消えるよりは、達郎のいいところを出そう』という考えで。スパーリングでも対策的な動きだけじゃなく、僕の長所や得意技を活かすように言ってくれるので、それがあるとスパーリングの内容も変わってくる。そうやって今は全部自信を持ってやっています」

――そして今大会ではジョシュア・ヴァンと対戦することになりました。平良選手と共にフライ級新世代を代表する選手ですが、いつか対戦するだろうという予感はあったのですか。

「はい、どこかでぶつかるかもなとは少し思っていました。まだ底が見えない雰囲気の選手ですし、どこまでいくかなと注目していたら、その役目が僕に回ってきたみたいな感じです」

――これまでのジョシュアの試合を見ても、自分のポテンシャルとストロングポイントをぶつけて勝つスタイルで、いい意味で怖いものなしだと思います。

「僕と比較して言えば、ジョシュアがストライカーで僕がグラップラーだと思うんですよ。シンプルに寝技は僕の方が上回ってると思います。ジョシュアはいわゆるファイターというか戦士みたいなイメージで、僕も似たような選手と戦ったことがあるので、自分としてはいいイメージができています」

――平良選手もジョシュア選手もフィニッシュして勝ちたいという気持ちが強いのでかみ合う試合になると思っています。それと同時に同じ新世代というところでの出世争い、ネクストジェネレーションの潰し合いだと思います。そこは意識していますか。

「意識していますね。ここで負けるとジョシュアがどんどん上にいくと思いますし、逆に僕は絶対に勝って、改めて上位ランカーの人にアタックしないといけない立場です。本当に落とせない試合になったなと気持ちが引き締まりました。エリオットが試合をできないと聞いて落ち込みましたし、どうなるんだろうと思った時にジョシュア・ヴァンの話が来て。

僕も追われる立場というか、そういう感じにもなりましたけど、新世代同士の潰し合いという意味ではワクワクする気持ちも大きいです。この相手を倒した時、やっぱりこれからのフライ級は平良だなと思わせるにはいい相手なので、僕自身すごい楽しみですね」

――ここから本格的にタイトル戦線に入っていくための試合になると思いますが、今日のタイトルマッチ=アレッシャンドリ・パントージャ×スティーブ・アーセグをご覧なりましたか。

「見ました。パントージャがやっぱり強かった、しっかり勝ったイメージなんですけど、チャンピオンも確固たる強さがありつつ、5Rやればオールアウトするような試合になるんだなと。僕は結構隙はあるなと感じましたね」

――ランキングで言えばアーセグは挑戦時にフライ級10位で、それでもチャンピオンを追い詰める展開があるということは、他の階級よりも1位~10位まで誰にでもチャンスがあるのがフライ級だと思います。それで勝ちきるパントージャもすごい選手ですが、付け入る過ぎがないわけではないですよね。

「それは間違いないと思います。今のフライ級は突出して強いデメトリウス・ジョンソンみたいな絶対的なチャンピオンはいないと思っているし、逆にそういう飛び抜けたファイターが必要だと思うので、そこに僕がハマればいいかなって思っています」

――その飛び抜けたファイターになるまず第一歩がこの試合だと思います。最後にファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「この試合は勝った方が自ずと上にいくと思いますし、大きい会場で自分自身楽しんで普通に圧倒して、ジョシュア・ヴァンを倒して勢いづいてまた上にアタックしていきたいなと思っています」

■放送予定
6月16日(日・日本時間)
午前5時00分~UFC Fight Pass
午前4 時45分~U-NEXT

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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC301 アレッシャンドリ・パントージャ アーセグ スティーブ・アーセグ

【UFC301】アーセグの右ヒジで大流血も、パントージャがTDで大接戦を制し地元ブラジルで王座防衛

<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)
Def.3-0:49-46.48-47.48-46.
スティーブ・アーセグ(豪州)

パントージャが右カーフ化は右クロスに繋げる。距離を詰めてダブルレッグで組みつくが、アーセグが体勢を入れ替えた。両者が離れて、ケージ中央でパントージャが右カーフと右ストレートを当てる。しかしアーセグがプレスをかけて左ジャブを突く。パントージャの右の打ち終わりに、アーセグが左ジャブから左ボディを突き刺した。パントージャが組みつくも、アーセグが突き放す。首相撲からヒザを突き上げる両者。パントージャが右クロス、右カーフを当てると徐々にアーセグが体勢を崩すように。

右ストレート、右ボディからニータップでパントージャがクリーンテイクダウンを奪った。スタンドでバッティングが起こったか、アーセグは頭部から出血が見られる。スクランブルに持ち込んできたアーセグをダブルレッグで押し込むパントージャ。スイッチを狙うアーセグからバックを奪い、反転した相手をサイドから抑え込む。アーセグはハーフガードを取ったが、パントージャのパンチ連打を受けてしまう。再びバックからグラウンドに引き込んだが、アーセグが立ち上がってプレスをかけ、右ヒザを繰り出して初回を終えた。

2R、パントージャが一気に距離を詰める。パンチから組みつき、右腕を差し上げてアーセグをケージに押し込む。ハイクロッチに切り替えるも倒せなかったパントージャが離れた。パントージャの左ジャブに対し、アーセグは左前蹴りで前進を止める。アーセグが左ジャブを突くも、パントージャが右クロスを狙う。ショートレンジの打ち合いからボディロックで組んだパントージャが、グラウンドに持ち込んだ。アーセグのハーフガードをパスしてマウントに移行するパントージャ。アーセグが再びハーフに戻し、スイープに成功した。立ち上がったパントージャが離れる。

右アッパーからシングルレッグを狙ったアーセグだが、パントージャにギロチンに捕えられてしまう。首を抜いて離れるアーセグ。パントージャは右ストレートから前進するが、アーセグも右ヒジで迎え撃つ。パントージャが組みつきケージに押し込んだが、投げに失敗して打撃戦に戻されてしまう。パントージャが距離を詰めてくるとアーセグはクリンチから突き放し、右ストレートと右ヒザを繰り出す。残り10秒でパントージャがボディロックからグラウンドに引きずりこみ、パウンドを浴びせていった。

3R開始早々、パントージャの右カーフにアーセグが右ヒジをカウンターで合わせた。パントージャがアーセグをケージに押し込み、ヒザを突き刺すも、アーセグが体勢を入れ替える。プレスをかけるアーセグに、パントージャが右ボディストレートを突き刺した。しかし顔面を狙った右フックは空振りに終わる。アーセグの左ジャブがパントージャの顔面を捉える。左フックのカウンターから右に繋げるパントージャ。アーセグは左ジャブで距離を保っている。

距離を詰めてアーセグをケージに押し込んだパントージャが右腕を差し上げた。しかしアーセグがオーバーフックから右側に回ってケージを脱する。パントージャの細かい連打はヒット率が下がっている。打ち合いの中でアーセグの右ヒジがパントージャの頭部にヒットした。打ち合いからダブルレッグで飛び込んだパントージャが、アーセグに尻もちを着かせた。すぐに立ち上がったアーセグを押し込むパントージャ。しかし額から大量の出血が見られる。パントージャはバックコントロールからグラウンドに持ち込み、ケージに押し込んでラウンドを終えた。

4R、アーセグがパントージャにケージを背負わせる。パントージャの右をかわしたアーセグがジリジリと距離を詰めていく。右ストレートからニータップを狙ったアーセグだが、ここはパントージャがかわした。スタンドではアーセグの右アッパーが当たる。パントージャは疲労か足が動かない。アーセグが左ジャブでパントージャの顔面を跳ね上げ、前に出て来る相手に左フックを叩き込む。再びパントージャの額から血が流れ始めた。パントージャの左ジャブは届かず。アーセグのシングルレッグはスプロールしたが、スタンドに戻ってもペースは掴めないパントージャ。アーセグの左ボディが突き刺さる。残り20秒でアーセグの右アッパーに合わせて組みついたパントージャだが、テイクダウンを奪うことはできなかった。

最終回、パントージャの右にアーセグが左を合わせる。アーセグは距離を取ってカウンター作戦からダブルレッグでパントージャに背中を着かせた。パントージャはスクランブルからバックに回る。立ち上がったアーセグはケージを掴むが注意なし。パントージャがバックから引き倒したが、すぐにアーセグが立ち上がって離れた。アーセグがパントージャにケージを背負わせて右を打ち込む。パントージャの左ジャブに左ハイを合わせたアーセグは、自分の距離をつくって戦い続ける。組みついてきたパントージャを振り払ったアーセグは、様子を見ながらダブルレッグで入ると、パントージャが足を取ってトップを奪う。ハーフガードのアーセグはリバーサルを狙ったが、ここはパントージャが抑え込んだ。再び返そうとしたアーセグの動きに合わせてマウントを奪ったパントージャは、ハーフに戻したアーセグにパウンドを浴びせる。最後は立ち上がり、勝利をアピールした。

大接戦となったが、判定はユナニマスでパントージャに。パントージャは地元ブラジルで2度目の王座防衛に成功した。


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45 MMA MMAPLANET o UFC UFC301 アレッサンドロ・コスタ アーセグ ケヴィン・ボルハス スティーブ・アーセグ ブログ

【UFC301】右カーフを効かせたアレッサンドロ・コスタが、ボルハスをパウンドアウト

<フライ級/5分3R>
アレッサンドロ・コスタ(ブラジル)
Def.2R1分35秒by TKO
ケヴィン・ボルハス(ペルー)

様子見の両者、30秒を過ぎてようやくコスタがロー、ボルハスがジャブを繰り出す。コスタはワンツー、そして距離を詰めて左右のフックのコンビを見せる。コスタのローに右を合わせたボルハスは、左インローを蹴られる。踏み込んでコンビのコスタと、ボルハスの右オーバーハンドが交錯する。コスタのダブルレッグを切ったボルハスはジャブを伸ばす。

コスタが踏み込み右フック、ボルハスはボディを合わせる。前に出るコスタと、迎え撃つボルハスという流れのなかでボルハスが右ボディを入れる。ワンツーの右を決めたボルハスに対し、コスタもすかさずコンビを打ち返していく。跳びヒザは不発に終わったボルハスはリードフックを打たれ手をつく。続く跳びヒザを押し倒したボルハスは、立ち上がったコスタに跳びヒザを狙う。最後のダウンがジャッジの判断にどのような影響を与えたか。

2R、パンチの交錯のなかで右カーフを効かせたコスタが、2発、3発とカーフを続ける。崩れたボルハスはパウンドを落とされながら立ち上がったものの、カーフを受けて再び倒れる。コスタは鉄槌の連打からボルハスが潜ろうとしたところでマウント奪取。半身のボルハスに拳を落とし続けたコスタがTKO勝ちを手にした。

「メキシコに住んでいるけど、僕はブラジルのために戦っている。UFCデビュー戦は2種間しかキャンプができなかったけど、今回はフルキャンプができた。これが僕の戦い方だ。10日ほどスティーブ・アーセグと練習をしたけど、パントージャとは凄くタフな戦いになるだろう。スティーブ・アーセグ、すぐにまた会おう」とコスタは話した。


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45 Eternal MMA83 MMA MMAPLANET o UFC アンソニー・ドリリッチ キック スティーブ・アーセグ 猿飛流

【Eternal MMA83】猿飛流、警戒していたドリリッチの左を受けダウン──追い打ちの鉄槌でTKO負け

<Eternal MMAフライ級選手権試合/5分5R>
アンソニー・ドリリッチ(豪州)
Def.2R1分25秒by TKO
猿飛流(日本)

観客席に手を振ってケージインした猿飛流が、バック宙を見せる。試合はまず猿飛流がサイドキックを見せる。距離を取る猿飛流に対し、左をいきなり当てたドリリッチはステップバックの猿飛流がケージに詰まると追い打ちの左を入れる。猿飛流は左ローを蹴り、右に回る。ドリリッチはここも左ストレートを決める。左ハイを空振りとなったドリリッチだが、その踏込みは予想以上に速い。

猿飛流は右ハイをガードされ、間合いを取り直す。左インローのドリリッチは待ちの姿勢を貫く。そして一瞬のステップインに左ボディを狙ったドリリッチは、ジャブを見せるが狙いは左一本だ。かわして右に回った猿飛流は右ハイを空振りする。手を下げ、変則的な構えで挑発する猿飛流に対し、ドルリッチが左で距離を詰めて、その左をヒット。と、猿飛流がダブルレッグへ。ケージ際から回ったドリリッチが離れ、最初の5分が終了──猿飛流はリードを許した。

2R、ドリリッチの右ローに右を合わせようとした猿飛流が、前蹴りから右を伸ばす。猿飛流は右を当て組みに行き、直ぐに離れる。ドリリッチが右カーフ。と、猿飛流が左を見せて右を伸ばす。ここにドリリッチが左を合わせると、腰から崩れ落ちた猿飛流がシングルレッグへ。しっかりと切り、反転して足を抜いたドリリッチチが左の鉄槌を連打。体が伸びた猿飛流は、無念のレフェリーストップ=TKO負けとなり、唇を嚙みしめてケージを後にした。

ドリリッチは前Eternal MMAフライ級王者のスティーブ・アーセグがUFC世界フライ級王座に挑戦することを尋ねられ、「俺も続く、スティーブは素晴らしいファイターだけど、俺もすぐに同じステージに上がる」と答えた。


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